JP5206711B2 - 蓄電モジュールと該モジュール用枠体 - Google Patents
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Description
近年、これら蓄電素子搭載製品(例えば電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両)の高性能化に伴って、これらに搭載される蓄電素子の高出力化、大容量化が望まれている。かかる要求に応えるための一つの方策として、所定出力及び所定容量の蓄電素子(二次電池等)を数多く、例えば直列に接続した状態で対象物に搭載することが挙げられる。
かかる所定の電池(典型的には同タイプの電池)を車両等に多数搭載する場合、取扱い性の向上や組付けの簡略化の観点から、幾つかの電池を所定の枠体にまとめてモジュール化した所謂蓄電モジュール(組電池)の利用が好ましい。このことに関し、例えば特許文献1〜5には、リチウム二次電池等に適用し得る、複数の電極体ユニットを接続して収容する種々の構成の蓄電モジュール(組電池)が記載されている。
本明細書において「蓄電モジュール」とは、所定の電気エネルギーを取り出し得る蓄電素子(典型的には電池(セル)或いはキャパシタ)を二以上備える蓄電素子集合体すなわち蓄電装置をいい、特定の蓄電機構に限定されない。リチウム二次電池その他の二次電池(この場合は単電池をいう)、或いは、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)を電気的に接続した状態で複数配列させた蓄電装置は、ここでいう蓄電モジュールに包含される典型例である。
また、本明細書において「電極体ユニット」とは、少なくとも一つずつの正極及び負極を含み、電池又はキャパシタ(蓄電素子)の主体を成す構造体をいう。
また、本明細書において「枠体」とは、ここで開示される蓄電モジュールを構成する一部材であって複数の所定形状の電極体ユニットを物理的に収容可能な部材をいい、その形状に特に制限はない。大まかにみてフレーム、ボックス或いはケースと視認されるような形状の電極体保持部材は、ここでいう枠体の典型的な形状(外形)であり得る。
また、上記の蓄電モジュールでは、接続端子は、枠体と一体に形成されており、該枠体の外方にはみ出さない位置に配置されている。接続端子は、その一端が一の電極体ユニット収容部に収容される電極体ユニットに接続される一方、その他端が該一の電極体ユニット収容部が隣接している他の電極体ユニット収容部に収容される電極体ユニットに接続されている。接続端子の一端と他端の間の部分は、樹脂に埋設されている。
また、上記の蓄電モジュールでは、枠体に電極体ユニットが収容されると、枠体の一の端部から他の端部に向かって一方の側面に沿って配置された電極体ユニットが直列に接続されると共に、枠体の他の端部から一の端部に向かって他方の側面に沿って配置された電極体ユニットが直列に接続され、一方の側面に沿って接続された電極体ユニット群と他方の側面に沿って接続された電極体ユニット群は枠体の他の端部において接続されている。そして、外装体は、水分の透過を防止し得る外装フィルムである。
かかる構成によると、直列に接続された複数の電極体ユニットが枠体に収容されることによって高出力化及び大容量化を図れるとともに蓄電モジュールが全体として省スペース化され得る。また、電極体ユニットに固体電解質が用いられ、電極体ユニットと枠体、及び接続端子を一の外装体に収納する。従って、本発明によると、自動車等の蓄電モジュール搭載対象製品における限定された電源収納スペースに多数の蓄電モジュールを密に配置し得、結果、搭載電源の高出力及び/又は大容量化と、蓄電モジュール収納に関する省スペースとを、ともに実現することができる。
また、枠体に収容される電極体ユニットの電気的な性能を下げない範囲で副材料を添加してもよい。例えば、種々の安定剤(例えばフェノール系、ステアリン酸系の熱安定剤)、金属不活性剤(例えばヒドラジン系の金属不活性剤)、耐衝撃強化剤(例えばセラミックス粉体)、ラジカル反応停止剤を適宜配合することができる。
なお、枠体は材料に応じて選択される一般的な方法で製造又は成形加工されればよく、本発明の実施にあたって特別なプロセスは要求されない。例えば材料として合成樹脂を用いた場合、材料の性質(例えば、熱可塑性、熱硬化性の硬化特性)に応じて射出成形、熱成形(真空成形、圧縮空気成形)等の一般的な成形加工技法が採用される。
図1はラミネートフィルムによって外装する前(即ちラミネートフィルムを除いた状態)の蓄電モジュール1を示す斜視図である。図2、図3及び図4は、それぞれ、該蓄電モジュール1に使用された枠体(樹脂ケース)3を電極体ユニット非装着の状態で示す斜視図、平面図及び側面図である。図7はラミネートフィルムによって外装した状態の蓄電モジュール1を示す斜視図である。
これらの図に示すように、本実施例に係る蓄電モジュール1は、大まかにいって、枠体3と、該枠体3に収容される4個の電極体ユニット5,7,9,11と、3個の接続端子15,17,19と、総負極端子13及び総正極端子20とから構成されている。
尚、かかる電極体ユニット5,7,9,11の構成自体は本発明を制限するものではなく、従来使用されている種々の材料を用いて構成されておればよい。例えば、正極シートは長尺状の正極集電体の上にリチウム二次電池用正極活物質層が付与されて形成され得る。正極集電体にはアルミニウム箔等の金属箔が好適に使用される。正極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種又は二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2等を挙げることができる。他方、負極シートは長尺状の負極集電体の上にリチウム二次電池用負極活物質層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔等の金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種又は二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等を挙げることができる。正負極シート間に使用される好適なセパレータシートとしては多孔質オレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。
本実施例によれば、総負極端子13及び総正極端子20、さらには排気弁97を同じ端部(端面)57に設けることにより、蓄電モジュール1の嵩張りの要因となり得るこれらモジュール1(枠体3)から外方へ突出する部材の集約化が実現されている。これにより、モジュール1全体のさらなる省スペース化が実現されている。また、これら端子13,20と排気弁97とが同じ向きに形成されることにより、モジュール1と外部電気回路(外部端子)との接続作業や複数の同型モジュール1を相互に組付ける作業を効率よく行うことができる。
また、これら信号線(ここでは電圧検出線)107,109,110,111,113が総正負極端子13,20と同じ向きで、さらに好ましくは同じ端部(端面)に形成されることにより、モジュール1と外部電気回路(外部端子)との接続作業や複数の同型モジュール1を相互に組付ける作業(端子接続作業を含む)を効率よく行うことができる。
次いで、図7に示すように、ラミネートフィルム33によって枠体3の全体を覆うようにして外装する。使用するラミネートフィルム33には予め外部接続用端部57から突出する総正極端子20、総負極端子13、排気弁97及び複数の信号線(ここでは電圧検出線)107,109,110,111,113が貫通し得る穴が形成されている。
本発明を限定する要素ではないが、図1及び図7に示すように本実施例の蓄電モジュール1では、枠体3の厚みよりも側面方向にやや出っ張った状態で電極体ユニット5,7,9,11が電極体ユニット収容部25,27,29,31に収容されている。このため、使用するラミネートフィルム33としては、電極体ユニット5,7,9,11が枠体3から厚み方向にやや出っ張った(突き出た)状態に適合して外装可能なように、電極体ユニット5,7,9,11の出っ張り形状に適合した凹みを有する比較的浅いエンボス加工がなされているものを使用するとよい。尚、本実施例の蓄電モジュール1のように、枠体3の厚み方向に電極体ユニット5,7,9,11を収容することにより、厚み方向に突出する電極体ユニットの厚みが低減される。このため、ラミネートフィルム33のエンボス加工を図示するように浅くすることができ、ラミネートフィルム33のエンボス加工時におけるピンホールや肉薄化を低減することができる。従って、本実施例の他の効果として、使用するラミネートフィルム33の製造効率(歩留まり)が向上する。
完成した蓄電モジュール1は、図7に示すように、各電極体ユニット5,7,9,11を接続する端子15,17,19が枠体3の外方にはみ出していないため、極めてコンパクトで省スペース化されている。このため、高出力が要求され、複数の電極体ユニットを接続して構成される蓄電モジュールであっても、小さなスペースにおいても組付けることが可能となる。
これらの図に示すように、本実施例に係る蓄電モジュール201は、大まかにいって、枠体203と、4個の電極体ユニット205,207(一方の側面221側に配置されるもののみ示し、図中の後背側に相当する側面223側の電極体ユニットは図示されない)と、3個の接続端子215,217,219と、総負極端子213及び総正極端子220とから構成されている。以下、本実施例の特徴を説明するが第一実施例と相違しない部分(例えば電極体ユニット、接続端子の構成)についての重複する説明は省略する。
第一実施例と同様、枠体203の長手方向に延びる両側面221,223には、それぞれ奥行き方向に窪んだ電極体ユニット収容部225,227,229,231が並んで2箇所ずつ、枠体203の長手方向への中心を背中合わせにして合計4箇所設けられている。これら電極体ユニット収容部225,227,229,231の開口部は矩形状であり、枠体203の側面(長手方向に対して横方向)から、電極体ユニット205,207をコンパクトに枠体203内に位置決めし、配置することができる。
尚、枠体203の外方にはみ出さない位置に配置された接続端子215,217,219、総負極端子213及び総負極端子220を模式的に略して示しているが、これらの構成、形状や配置(埋設)部位は前記第一実施例と同様である。また、電極体ユニット収容部225,227,229,231、及び電解質注入孔299,301,303,305についても前記第一実施例と同様に構成される。第二実施例においては、排気路及び電圧検出線が図示されていないが、第一実施例と同様に設けることもできる。
3,203 枠体
5,7,9,11,205,207 電極体ユニット
15,17,19,215,217,219 接続端子
13,213 総負極端子
20,220 総正極端子
25,27,29,31,225,227,229,231 電極体ユニット収容部
33,233 ラミネートフィルム
75 排気路
85,87,89,91 ガス透過孔
93,95 ガス透過膜
97 排気弁
Claims (5)
- 正極と負極と固体電解質をそれぞれ有する複数の電極体ユニットと、
前記複数の電極体ユニットを相互に離隔し配列した状態で収容し得る電極体ユニット収容部が形成されている樹脂製の枠体と、
前記複数の電極体ユニットと電気的に接続される総正極端子及び総負極端子と、
前記電極体ユニット間にそれぞれ配置される接続端子であって隣接する電極体ユニット間を電気的に直列に接続する接続端子と、
前記複数の電極体ユニット、枠体、及び接続端子を収納する外装体と、を備えており、
前記正極と負極の一方は、前記電極体ユニットの第1の方向の一方の端面から引き出されており、前記正極と負極の他方は、前記電極体ユニットの第1の方向の他方の端面から引き出されており、
前記枠体の両側の側面のそれぞれには、第1の方向に隣接する2以上の電極体ユニット収容部が形成されており、
各電極体ユニット収容部は、前記枠体の側方に向けて開口しており、
前記総正極端子及び総負極端子は、前記枠体の第1の方向の一の端部において前記枠体の外部に引き出されており、
前記接続端子は、前記枠体と一体に形成されており、該枠体の外方にはみ出さない位置に配置されており、
前記接続端子は、その一端が一の電極体ユニット収容部に収容される電極体ユニットに接続される一方、その他端が該一の電極体ユニット収容部が隣接している他の電極体ユニット収容部に収容される電極体ユニットに接続されており、
前記接続端子の一端と他端の間の部分は、前記樹脂に埋設されており、
前記枠体に電極体ユニットが収容されると、前記枠体の一の端部から前記他の端部に向かって一方の側面に沿って配置された電極体ユニットが直列に接続されると共に、前記枠体の他の端部から前記一の端部に向かって他方の側面に沿って配置された電極体ユニットが直列に接続され、一方の側面に沿って接続された電極体ユニット群と他方の側面に沿って接続された電極体ユニット群は前記枠体の他の端部において接続されており、
前記外装体は、水分の透過を防止し得る外装フィルムである、蓄電モジュール。 - 前記接続端子の一端はアルミニウムで形成されており、前記接続端子の他端は銅で形成されており、該アルミニウムと該銅との接合部が前記樹脂に埋設されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
- 前記枠体の一の端部と、前記他の端部の厚みは、先端に行くほど狭くなっており、
前記総正極端子及び総負極端子のそれぞれが薄板状に形成されており、前記枠体の一の端部において、それぞれの板厚の方向が前記枠体の側面が向いている方向に一致した状態で、板厚方向に直交する方向に一直線上に並んでいる、請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。 - 前記枠体は、該枠体の一方の側面に設けられた電極体ユニット収納部と他方の側面に設けられた電極体ユニット収納部との間に隔壁部を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
- 前記電極体ユニットは、正極と負極とセパレータとが積層及び捲回された捲回型電極体ユニットである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
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