JP7290535B2 - 固着体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固定ビスと、構造物に接触した状態で固定ビスによって固定される固着体と、を有する固着体装置に関する。
従来より、建物の壁、造営材、吊りボルトなどの構造物に対して配線・配管材等を支持した状態で設置するため、構造物には固着体の一例である配線・配管材支持具が固定され、その配線・配管材支持具によって配線・配管材が支持されている。
例えば、特許文献1の配線・配管材支持具は、構造物に固定される第1固定部と、第1固定部に連設され、配線・配管材を支持するとともに配線・配管材の配設空間を形成する支持部と、支持部に連設された第2固定部と、を備える。第1固定部には、複数の第1固定孔が穿設されている。第1固定孔には、配線・配管材支持具を構造物に固定するための木ねじが保持されている。また、第2固定部には、第2固定孔が穿設されている。第2固定孔には、木ねじが挿通可能である。
そして、配線・配管材支持具によって配線・配管材を配設するには、第1固定孔に挿入された第1固定部材が第1固定部に保持された状態で、第1固定部を構造物にあてがい、木ねじを構造物にねじ込み、第1固定部を構造物に固定する。次に、支持部に配線・配管材を支持させ、その後、第2固定孔に挿入された木ねじを構造物にねじ込み、第2固定部を構造物に固定する。すると、配線・配管材支持具によって配線・配管材が構造物に配設される。
特開2015-108419号公報
ところが、特許文献1の配線・配管材支持具は、第1固定部に木ねじをねじ込み、保持させている。このため、配線・配管支持具を構造物に固定する際、第1固定部に保持された木ねじを第1固定孔内にねじ込むと、木ねじの螺進に伴い、木ねじのねじ部の螺旋に乗って第1固定部が構築物から離れる方向に移動してしまう。このため、配線・配管支持具を構造物に固定する際には、配線・配管材支持具を手で構造物に押し付けながら木ねじの螺進を行う必要があり、配線・配管支持具の固定が行いにくいという問題がある。
本発明の目的は、固定ビスによる固着体の固定を容易とする固着体装置を提供することにある。
上記問題点を解決するための固着体装置は、軸部と、前記軸部の軸方向一端に連続する頭部と、前記軸部の軸方向他端に連続し、当該軸部より細く、かつ先端に向かうに従い尖る先細部と、を有し、前記軸部及び前記先細部に螺旋状に突出するねじ部が設けられる固定ビスと、前記固定ビスが前記先細部から挿入される挿入孔を有し、かつ構造物に接触した状態で前記固定ビスによって前記構造物に固定される固定部を有する固着体と、を有し、前記軸部は、当該軸部の軸方向の一部に前記ねじ部を分断するように前記ねじ部の無いねじ欠落部を備え、前記固定部は、前記ねじ欠落部の周面、又は前記ねじ欠落部よりも前記先細部側で前記ねじ欠落部に隣接する前記ねじ部に接触して、前記挿入孔に挿入された前記固定ビスの脱落を規制して前記固定部に前記固定ビスを仮保持する脱落規制部を前記挿入孔内に備え、前記ねじ欠落部よりも前記頭部側の前記ねじ部が前記脱落規制部に接触するまで前記固定ビスを前記挿入孔にねじ込んだ状態では、前記先細部に位置する前記ねじ部、及び当該先細部に隣接する前記軸部の前記ねじ部の一部が前記構造物にねじ込まれているように、前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されていることを要旨とする。
固着体装置について、前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法は、前記軸部の軸方向に沿った前記先細部の寸法より大きくてもよい。
固着体装置について、前記脱落規制部に仮保持された前記固定ビスの前記先細部の先端が、前記挿入孔における前記固定ビスの挿入方向の先に位置する端よりも突出しないように前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されていてもよい。
固着体装置について、前記脱落規制部は前記ねじ欠落部の前記周面に圧接していてもよい。
固着体装置について、前記ねじ部は多条であってもよい。
固着体装置について、前記固定ビスは、打撃工具により前記構造物に打ち込み可能であり、前記固着体は、前記固定部から延出されて被設置部材を保持する保持部を備え、前記挿入孔は、前記打撃工具と前記保持部との干渉を避けるべく前記保持部から離れた位置に設けられ、前記固着体は、当該固着体において前記保持部と前記挿入孔に挟まれた位置に、前記固定ビスが挿入されて当該固定ビスにより前記固着体を前記構造物に固定するための下孔を備えていてもよい。
固着体装置について、前記脱落規制部に前記固定ビスが仮保持された状態では、前記脱落規制部は、前記ねじ部のうち、前記ねじ欠落部よりも前記先細部側に接触していてもよい。
固着体装置について、前記固定ビスは、前記ねじ欠落部の周面のうち前記頭部側の一部が前記固着体から露出して前記固着体に仮保持されていてもよい。
本発明によれば、固定ビスによる固着体の固定を容易とする。
実施形態の固着体装置を示す斜視図。 実施形態の固定ビスを示す正面図。 実施形態の固着体装置を示す側面図。 第1ねじ部を示す拡大断面図。 第2ねじ部を示す拡大断面図。 固定部の挿入孔を示す拡大断面図。 脱落規制部にねじ欠落部が仮保持された状態を示す拡大断面図。 先細部が構造物にねじ込まれた状態を示す拡大断面図。 ねじ欠落部が構造物に入り込んだ状態を示す拡大断面図。 固定ビスによって配線・配管材保持具を構造物に固定した図。 固定ビスをねじ孔に打ち込む状態を示す図。
以下、固着体装置を具体化した一実施形態を図1~図10にしたがって説明する。
図1又は図3に示すように、固着体装置Sは、固定ビス10と、固着体としての配線・配管材保持具50とを備える。
図2に示すように、固定ビス10は、円柱状の軸部11と、軸部11の軸方向の一端に連続する頭部21と、軸部11の軸方向の他端に連続する先細部31と、軸部11及び先細部31の両方に亘るねじ部12と、を有する。なお、軸部11の軸方向Y1とは、軸部11の中心軸線Lの延びる方向である。軸部11の中心軸線Lは、先細部31の中心軸線Lでもあるため、軸部11の軸方向Y1は、先細部31の軸方向でもある。また、軸部11の直径に沿って中心軸線Lに直交する方向を軸部11の径方向Xとする。
固定ビス10は、頭部21の上端面に円形状の打撃面22を備える。固定ビス10を打ち込み先に打ち込むとき、打撃面22は、金槌といった図示しない打撃工具によって打ち込まれる部分である。頭部21は、軸部11の軸方向Y1一端の外周面から打撃面22に向かって拡径する円錐状の錘部23と、軸部11の軸方向に沿って錘部23に連続する円盤状の面形成部24とを備え、面形成部24の上面に打撃面22が設けられている。面形成部24の外周面は、軸部11の径方向に沿って錘部23の外周面よりも外側に位置している。
図1に示すように、固定ビス10は、打撃面22から十字状に凹む嵌合穴25を備える。嵌合穴25には、図示しない電動式ドライバーのプラスのビッドや、手動式プラスドライバーの先端が嵌合可能である。
図2に示すように、軸部11の径方向Xに延び、かつ軸方向Y1に直交する仮想面を直交面Mとする。また、錘部23の外周面を通過する面をテーパ面Tとすると、直交面Mに対するテーパ面Tの傾斜角度γは45度である。
次に、先細部31について説明する。
先細部31は、軸部11の軸方向Y1の他端から先細部31の先端に向かうに従い尖る。先細部31は、軸部11よりも徐々に細くなる円錐状である。先細部31の頂角αは30度であり、0.5度の公差を含む。先細部31の頂角αを30度より小さくすると、先細部31が細くなりすぎ、固定ビス10を打ち込む際、又はねじ込む際に折れやすくなって好ましくない。一方、先細部31の頂角αを30度より大きくすると、先細部31をねじ込み先にねじ込みにくく、打ち込み先に打ち込みにくくなり好ましくない。軸部11の軸方向Y1の他端から先細部31の先端までの寸法である先細部長さGは所定の長さに設定されている。
次に、軸部11について説明する。
軸部11は、ねじ部12と、軸部11の軸方向Y1の一部に設けられねじ部12が形成されていないねじ欠落部13と、を有する。ねじ部12は、軸部11及び先細部31に対し、つる巻き状に設けられ、二条設けられている。ねじ部12は、軸部11に螺旋状に突出する。ねじ部12のつる巻線に沿って軸部11の中心軸線Lを中心に一周して進む距離のことをリードと呼び、中心軸線Lに対するねじ部12の傾きをリード角とする。ねじ部12のリード角は30度~40度であり、ねじ部12は、軸部11から先細部31までの全てにおいて、リード角が30度~40度に維持されている。本実施形態では、ねじ部12のリード角は、全体に亘って一定である。
リード角が30度より小さくなるほど、固定ビス10を打撃工具で構造物19に打ち込んだときに、ねじ部12の釘先側の面である後述する進み側フランク面が打ち込み先から受ける圧力が大きくなり、打ち込み時の摩擦抵抗が大きくなってしまい、打ち込みが困難になって好ましくない。一方、リード角が40度より大きくなるほど、固定ビス10をねじ込み先にねじ込んだとき、ねじ部12が、ねじ込み先をすくい込みにくく、ねじ部12が引っ掛かりにくくなって好ましくない。
ねじ部12は、軸部11に設けられた第1ねじ部42を有する。第1ねじ部42のリード角は30度~40度である。第1ねじ部42は、その頂点から軸部11へ向かう2つの斜面と、両斜面に挟まれた第1頂上部43とを有する。図4に示すように、第1頂上部43の角度θ1は、65度である。第1ねじ部42の第1頂上部43を形成する2つの斜面のうち、固定ビス10をねじ込む時に進む側の斜面は、第1進み側フランク面42aであり、もう一方の斜面は第1戻り側フランク面42bである。
第1ねじ部42の第1頂上部43を通り、軸部11の中心軸線Lに直交する仮想面をねじ用直交面Nとしたとき、このねじ用直交面Nと第1進み側フランク面42aの成す角を第1進み側フランク角θ2とし、ねじ用直交面Nと第1戻り側フランク面42bの成す角を第1戻り側フランク角θ3とする。第1進み側フランク角θ2は55度であり、第1戻り側フランク角θ3は10度である。
第1戻り側フランク角θ3を、第1進み側フランク角θ2より小さくすることにより、固定ビス10のねじ込み後、又は打ち込み後に、ねじ込み先又は打ち込み先に掛かる戻り圧力を分散させることができ、固定ビス10を構造物19にねじ込んだ状態、又は打ち込んだ状態を維持する。
第1ねじ部42の第1頂上部43の角度θ1を65度に設定し、かつ第1進み側フランク角θ2を第1戻り側フランク角θ3より大きく設定している。このように設定することにより、軸部11の中心軸線Lに対する第1進み側フランク面42aの傾斜が小さくなり、固定ビス10の打ち込み時、打ち込み先に第1ねじ部42が到達した後は、固定ビス10がスムーズに回転し、打ち込みやすくなっている。また、固定ビス10を引き抜く際も、固定ビス10がスムーズに回転し、引き抜きやすくなっている。
図2に示すように、ねじ欠落部13は、軸部11の軸方向Y1の一部に設けられている。ねじ欠落部13は、ねじ部12を軸方向Y1に沿って頭部21側と先細部31側に分断する。ねじ欠落部13により、軸部11にはねじ部12の無い円柱状の部分が設けられている。詳細には、ねじ欠落部13は、第1ねじ部42が無い部分である。なお、軸部11の軸方向Y1に沿ったねじ欠落部13の寸法を欠落長さKとする。欠落長さKは、先細部31の先細部長さGより長い。つまり、軸部11の軸方向Y1に沿ったねじ欠落部13の寸法は、軸部11の軸方向Y1に沿った先細部31の寸法より大きい。
固定ビス10は、ねじ欠落部13よりも先細部31側の第1ねじ部42の端から、当該先細部31に亘って設けられた第2ねじ部32を有する。第2ねじ部32は、軸部11の軸方向他端側の一部と先細部31の両方に亘って設けられている。第2ねじ部32のリード角は30度~40度である。第2ねじ部32は、その頂点から先細部31へ向かう2つの斜面と、両斜面に挟まれた第2頂上部46とを有する。
図5に示すように、第2ねじ部32の第2頂上部46での角度θ4は、第1ねじ部42との境界から先細部31の先端に向けて徐々に小さくなるように遷移している。第2ねじ部32の角度θ4のうち、先細部31の先端部での最終的な角度θ4は、60度である。
また、第2頂上部46を形成する2つの斜面のうち、固定ビス10をねじ込む時に進む側の斜面は、第2進み側フランク面45aであり、もう一方の斜面は第2戻り側フランク面45bである。第2ねじ部32の第2頂上部46を通り、軸部11の中心軸線Lに直交する仮想面をねじ用直交面Nとしたとき、このねじ用直交面Nと第2進み側フランク面45aの成す角を第2進み側フランク角θ5とし、ねじ用直交面Nと第2戻り側フランク面45bの成す角を第2戻り側フランク角θ6とする。
第2進み側フランク角θ5は、第1ねじ部42との境界から先細部31の先端に向けて徐々に小さくなるように遷移し、第2戻り側フランク角θ6は、第1ねじ部42との境界から先細部31の先端に向けて徐々に大きくなるように遷移している。そして、先細部31の先端部での最終的な第2進み側フランク角θ5及び第2戻り側フランク角θ6はそれぞれ30度である。このように第2ねじ部32のフランク角を設定することにより、第2ねじ部32をタッピングねじと同じ構造にしている。
そして、第2進み側フランク面45aの中心軸線Lに対する傾斜は、第1進み側フランク面42aの中心軸線Lに対する傾斜より大きい。このため、固定ビス10のねじ込み時、ねじ込み先に最初にねじ込まれることとなる第2ねじ部32は、固定ビス10をねじ込むと直ぐにねじ込み先をすくい込み、引っ掛かるようになっている。なお、先細部31の直径は、軸部11の直径より小さい。
次に、固着体装置Sについて説明する。
図1又は図3に示すように、固着体装置Sは、合成樹脂製の固着体としての配線・配管材保持具50と、配線・配管材保持具50を構造物19に固定するための固定ビス10と、を有する。構造物19としては、例えば、梁、柱、壁である。
配線・配管材保持具50は、建物に敷設された配線・配管材53を支持するために構造物19に固定されて使用される。配線・配管材保持具50は、構造物19に固定される固定部51と、固定部51から延出されて被設置部材としての配線・配管材53を保持する保持部52とを備える。
固定部51はブロック状である。固定部51は、構造物19の設置面19aに対向する平坦な矩形状の第1面51aを備える。固定部51は、第1面51aの一対の長縁から突出する複数の突起51bを備える。第1面51aの2つの長縁それぞれから2つの突起51bが突出している。
図6又は図7に示すように、固定部51は、固定ビス10が挿入される挿入孔61を備える。挿入孔61は、当該挿入孔61に固定ビス10を打撃工具で打ち込むときに、打撃工具と保持部52との干渉を避けるべく保持部52から離れた位置に設けられている。挿入孔61は、固定部51を厚さ方向に貫通している。挿入孔61の中心軸線Hの延びる方向を挿入孔61の軸方向Y2とする。挿入孔61は、中心軸線Hが第1面51aに対し斜めに交差するように傾斜している。固定部51において、挿入孔61によって第1面51aと連通する面を第2面51cとする。固定部51は、挿入孔61の中心軸線Hに向けて環状に突出する脱落規制部62を備える。脱落規制部62は、挿入孔61の内周面のうち、軸方向における第2面51c寄りに位置する。
脱落規制部62における挿入孔61の孔径R1は、固定ビス10のねじ欠落部13における直径より僅かに小さく設定されている。よって、脱落規制部62は、挿入孔61のその他の部分よりも縮径した部分である。
軸方向Y2への脱落規制部62の寸法を厚さDとする。脱落規制部62の厚さDは、挿入孔61の軸方向Y2に沿って一定である。このため、脱落規制部62は、軸方向Y2へ一定の孔径R1を有する。脱落規制部62の厚さDは、上述の欠落長さKを加味して所定の値に設定されている。
挿入孔61に固定ビス10を挿入したとき、脱落規制部62にはねじ欠落部13が圧入される。その結果、ねじ欠落部13の周面は、脱落規制部62の内周面に圧接する。また、脱落規制部62の孔径R1は、固定ビス10の第1ねじ部42を強制的にねじ込み可能とする大きさに設定されている。よって、脱落規制部62の孔径R1は、第1ねじ部42の直径より僅かに小さく設定されている。
挿入孔61において、脱落規制部62以外の部分での孔径R2は、孔径R1より大きく設定されている。挿入孔61における脱落規制部62以外の部分での孔径R2は、固定ビス10の第1ねじ部42の直径より僅かに大きく、第1ねじ部42が空回りできる大きさに設定されている。したがって、挿入孔61に固定ビス10をねじ込んだとき、脱落規制部62に対して固定ビス10をねじ込むことができるが、挿入孔61の脱落規制部62以外の部分では、固定ビス10は空回りする。
配線・配管材保持具50の固定部51は、挿入孔61と保持部52に挟まれた位置に下孔63を備える。下孔63は、固定ビス10が挿入されて、固定ビス10により配線・配管材保持具50を構造物19に固定するための孔である。
下孔63は、第2面51cに開口する大径孔63aと、大径孔63aよりも第1面51a寄りに位置し、かつ第1面51aに開口する小径孔63bとを備える。小径孔63bは、大径孔63aより小径である。大径孔63aの孔径R3、及び小径孔63bの孔径R4は、固定ビス10の第1ねじ部42の直径より僅かに大きく、第1ねじ部42が空回りできる大きさに設定されている。本実施形態では、小径孔63bの孔径R4は、挿入孔61における脱落規制部62以外の部分での孔径R2とほぼ同じである。そして、下孔63は、保持部52の基端に近接している。
保持部52は、固定部51から延出し、鉤状に曲がった形状である。保持部52の先端部52aは、固定部51との間に隙間を形成する位置にあり、この隙間から保持部52内に、配線・配管材53を挿入可能にしている。保持部52は、先端寄りの外側面に溝52bを備える。溝52bは、保持部52の短手方向全体に亘っている。保持部52は、溝52bより先端側の部分に可変部52cを備える。保持部52に溝52bを形成することにより、保持部52に肉薄部が形成されている。この肉薄部を起点として可変部52cが変位可能である。なお、可変部52cを保持部52の外周面側へ反るように変位させたとき、溝52bが狭まり、保持部52の短手方向に延びる溝52bの縁同士が接触し、それ以上の保持部52の変位を規制する。
保持部52は、基端側に肉盗み部52dを備える。肉盗み部52dは、保持部52の短手方向の中央部を、保持部52の基端側から固定部51に至るまで設けられている。上記した下孔63は、保持部52の肉盗み部52dに繋がる状態で設けられている。
上記構成の固定ビス10においては、上述したように、第1ねじ部42の各フランク角θ2,θ3の設定により、第1ねじ部42はタッピングねじと同じ構造になっている。このため、先細部31側から挿入孔61に固定ビス10を挿入してねじ込むと、第2ねじ部32が脱落規制部62にねじ込まれ、先細部31が脱落規制部62を通過すると直ぐに、先細部31側の第1ねじ部42が、脱落規制部62にねじ込まれる。すると、固定ビス10と配線・配管材保持具50が一体化される。
さらに固定ビス10を脱落規制部62に対しねじ込むと、第1ねじ部42が脱落規制部62を通過し、その直後に、ねじ欠落部13が脱落規制部62の内側に圧入される。すると、脱落規制部62にねじ欠落部13が圧接して保持され、固定ビス10と配線・配管材保持具50とからなる固着体装置Sが構成される。固着体装置Sにおいて、固定ビス10は、中心軸線Lが固定部51の第1面51aに対し傾斜した状態に仮保持されている。
固着体装置Sについて説明する。
図7に示すように、ねじ欠落部13によって軸方向Y1に分断された第1ねじ部42のうち、先細部31寄りの第1ねじ部42の端が脱落規制部62に接触している。つまり、脱落規制部62に固定ビス10が仮保持された状態では、ねじ部12のうち、ねじ欠落部13よりも先細部31側に脱落規制部62が接触している。言い換えると、固定ビス10が配線・配管材保持具50に仮保持された状態では、脱落規制部62は、ねじ欠落部13における先細部31側に隣接し、第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13に隣接する一部に接触している。
第1ねじ部42におけるねじ欠落部13よりも先細部31側に脱落規制部62が接触して固定ビス10が配線・配管材保持具50に仮保持された状態では固定ビス10の先端、つまり先細部31の先端は、固定部51の突起51bから突出していない。本実施形態では、固定ビス10における先細部31の先端は、四つの突起51bの先端を通過する仮想面F上又は仮想面Fより第2面51c寄りに位置している。つまり、固定ビス10における先細部31の先端は、挿入孔61における固定ビス10の挿入方向の先に位置する固定部51の端としての突起51bよりも突出しない。仮想面F上に位置する突起51bの先端は、固定部51において構造物19の設置面19aに接触する部分である。よって、固着体装置Sの固定部51を構造物19の設置面19aに宛がったとき、固定部51に仮保持された固定ビス10の先端が設置面19aに突き刺さることはない。
一方、固着体装置Sにおいて、固定部51の第2面51cからは、固定部51に仮保持された固定ビス10の頭部21側が突出している。固定部51に仮保持された固定ビス10においては、ねじ欠落部13の周面のうち頭部21側の一部が配線・配管材保持具50から露出している。
次に、固定ビス10における欠落長さKについて説明する。
図7に示すように、第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13よりも先細部31側の第1ねじ部42の端が脱落規制部62に接触した状態から、固定ビス10を構造物19にねじ込むと、まず、図8に示すように、先細部31の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれる。本実施形態では、ねじ欠落部13の欠落長さK、及び脱落規制部62の厚さDは、固定ビス10の軸方向Y1に沿った第2ねじ部32の全てが構造物19にねじ込まれるまでの間は、ねじ欠落部13が脱落規制部62に接触しているように設定されている。具体的には、ねじ欠落部13の欠落長さKは、先細部31の先細部長さGより長い。
つまり、本実施形態では、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれるまでの間は、ねじ欠落部13が脱落規制部62に接触しているように、欠落長さK及び脱落規制部62の厚さDが設定されている。加えて、ねじ欠落部13の欠落長さK、及び脱落規制部62の厚さDは、第1ねじ部42のうち、先細部31寄りの第1ねじ部42の端が脱落規制部62に接触した状態において、固定ビス10における先細部31の先端が突起51bよりも突出しないように設定されている。
次に、固着体装置の作用を説明する。
図3に示すように、配線・配管材保持具50を構造物19に固定する場合、固着体装置Sをその施工現場に搬送する。次に、構造物19の設置面19aに対し配線・配管材保持具50を固定する位置に、配線・配管材保持具50の第1面51aを対向させ、突起51bを接触させる。
次に、固定ビス10を構造物19にねじ込む場合は、電動式ドライバー(図示せず)のビッドを固定ビス10の嵌合穴25に嵌合し、電動式ドライバーにより、固定ビス10の進む方向へビッドを回転させる。このとき、固定ビス10のねじ欠落部13は、脱落規制部62に圧入されているため、固定ビス10が挿入孔61から脱落しにくく、しかも倒れにくいため、ねじ込みが行いやすい。
図8に示すように、固定ビス10が回転すると、突起51bの先端を通過する仮想面F上又は仮想面Fより第2面51c寄りに位置する固定ビス10の先端が構造物19に対し設置面19aからねじ込まれ、第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれていき、先細部31が構造物19に入り込んでいく。このとき、固定ビス10は、第1面51aに対し傾斜した挿入孔61に沿って進みながら構造物19にねじ込まれる。構造物19の設置面19aは、第1面51aに沿うため、挿入孔61に沿って進む固定ビス10は、構造物19の設置面19aに対し斜めにねじ込まれる。
軸方向Y1に沿った第2ねじ部32の全て、つまり先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれるまでの間、ねじ欠落部13が脱落規制部62に摺接する。つまり、固定ビス10が回転しても、脱落規制部62の内側ではねじ欠落部13が回転し、ねじ部12が脱落規制部62を含め固定部51にねじ込まれることはない。その後、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれた後、第2ねじ部32に繋がる第1ねじ部42の一部が構造物19にねじ込まれる。
続いて、図9に示すように、ねじ欠落部13が構造物19に入り込んでいく。ねじ欠落部13が構造物19にねじ込まれた後、頭部21寄りの第1ねじ部42が構造物19にねじ込まれる。図10に示すように、錘部23の外周面が、第2面51cにおける挿入孔61の周囲に圧接すると、固定ビス10によって配線・配管材保持具50が構造物19に固定される。
なお、固定ビス10を構造物19に打ち込む場合は、図示しない打撃工具により、固定ビス10の打撃面22をたたき、固定ビス10を構造物19に向けて打ち込む。このとき、固定ビス10は、脱落規制部62に仮保持されているため、固定ビス10が倒れにくく、打ち込みが行いやすい。
そして、第2ねじ部32が回転しながら構造物19に打ち込まれ、その後、第1ねじ部42が回転しながら構造物19に打ち込まれる。錘部23の外周面が、第2面51cにおける挿入孔61の周囲に圧接すると、固定ビス10によって配線・配管材保持具50が構造物19に固定される。
その後、配線・配管材保持具50の保持部52において、可変部52cを保持部52の内側に向けて変位させ、保持部52の内側に配線・配管材53を保持させることで、構造物19の配線・配管材53が支持される。
固定ビス10を構造物19及び固定部51から引き抜く場合は、電動式ドライバー(図示せず)のビッドを嵌合穴25に嵌合させ、電動式ドライバーにより、固定ビス10が抜け出る方向へビッドを回転させる。このとき、第1ねじ部42及び第2ねじ部32のリード角が30度~40度に設定され、リード角が大きくなりすぎないように設定されている。また、第1ねじ部42の第1進み側フランク角θ2を第1戻り側フランク角θ3より大きくしている。このため、固定ビス10を回転させたときの摩擦抵抗を抑え、固定ビス10を速やかに引き抜くことができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)脱落規制部62に固定ビス10のねじ欠落部13を仮保持させ、固定ビス10の先細部31を構造物19にねじ込むとき、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転するようにした。このため、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転している間は、固定部51に対する固定ビス10の強制的なねじ込みは発生せず、ねじ込みに伴う固定部51の螺退方向への移動がない。すなわち、固定ビス10のねじ部12の螺旋に乗って配線・配管材保持具50が構造物19から離れる方向に移動することがない。その結果、配線・配管材保持具50を構造物19に固定する際に、配線・配管材保持具50を手で構造物19に押し付けながら固定ビス10のねじ込みを行う必要がなく、配線・配管材保持具50の固定作業が行いやすい。
(2)脱落規制部62に固定ビス10のねじ欠落部13を圧接させることで、固定ビス10を配線・配管材保持具50に仮保持できる。したがって、固定ビス10と配線・配管材保持具50とを別々に運搬する場合と比べると、固着体装置Sの運搬が楽になるとともに、固定ビス10を挿入孔61から構造物19にねじ込む作業も行いやすい。
(3)固定ビス10を構造物19に打ち込むことができるように、先細部31に設けた第2ねじ部32の角度θ4と、軸部11に設けた第1ねじ部42の角度θ1とを異ならせている。このため、固定ビス10を構造物19にねじ込んだときは、第2ねじ部32の方が構造物19にねじ込みにくい。このような第2ねじ部32を先細部31に備える固定ビス10であっても、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19に入り込むまで、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転するように欠落長さKの寸法及び脱落規制部62の寸法を設定している。したがって、構造物19に打ち込み可能な固定ビス10であっても、配線・配管材保持具50を構造物19に固定する際に、配線・配管材保持具50を手で構造物19に押し付けながら固定ビス10のねじ込みを行う必要がなく、配線・配管材保持具50の固定作業が行いやすい。
(4)ねじ欠落部13の欠落長さKを、先細部31の先細部長さGより長くした。このため、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれるまでは、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転する。したがって、先細部31が構造物19にねじ込まれるまでは、配線・配管材保持具50が構造物19から離れる方向に移動することがない。
(5)ねじ欠落部13の欠落長さK及び脱落規制部62の厚さDを、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれる間は、ねじ欠落部13が脱落規制部62の内側で回転するように設定した。このため、第2ねじ部32が構造物19に入り込んでから第1ねじ部42の一部が構造物19に入り込むまでは、配線・配管材保持具50が構造物19から離れる方向に移動することがない。したがって、固定ビス10が構造物19に対しある程度固定されるまでは、配線・配管材保持具50が構造物19から離れる方向に移動することがない。
(6)脱落規制部62がねじ欠落部13の周面に圧接することで、固定ビス10は固定部51に仮保持されている。よって、脱落規制部62に対し、固定ビス10を簡単に仮保持させることができる。
(7)第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13よりも先細部31側の端に脱落規制部62が接触した状態で、固定ビス10が配線・配管材保持具50に仮保持され、この仮保持状態では、固定ビス10の先端は、固定部51の突起51bから突出していない。このため、固着体装置Sの運搬時に、固定ビス10の先端が他の部品に引っ掛かることがなく、固着体装置Sの運搬が行いやすい。また、第1面51aを構造物19の設置面19aに対向配置させるとき、固定ビス10の先端が設置面19aに引っ掛かったり、突き刺さることがない。
(8)固定ビス10が配線・配管材保持具50に仮保持された状態では、脱落規制部62は、ねじ欠落部13における先細部31側において第1ねじ部42に接触している。このため、固定ビス10を構造物19にねじ込むとき、脱落規制部62の内側で固定ビス10が空回りする量を最大にできる。
(9)固着体装置Sにおいて、固定ビス10が脱落規制部62に仮保持された状態では、ねじ欠落部13の一部が固定部51から露出している。このため、固着体装置Sを視認したとき、ねじ欠落部13を有する固定ビス10を用いていることが確認できる。
(10)挿入孔61は、配線・配管材保持具50の保持部52から離れた位置に設けられている。このため、脱落規制部62に仮保持された固定ビス10を構造物19に打ち込むとき、打撃工具が保持部52に干渉することを抑制できる。
(11)固定ビス10は、ねじ欠落部13が構造物19に入り込むとともに、第1ねじ部42のうち頭部21側の第1ねじ部42も構造物19にねじ込まれる。このため、ねじ欠落部13よりも先細部31側の第1ねじ部42のみが構造物19にねじ込まれる場合と比べると、固定ビス10によって、配線・配管材保持具50を構造物19に強く固定できる。
(12)固定ビス10のねじ部12は二条であるため、ねじ部12を一条とする場合と比べると、構造物19へ第2ねじ部32がねじ込まれやすくなる。しかし、ねじ欠落部13の欠落長さK及び脱落規制部62の厚さDを調整することで、固定ビス10のねじ部12の螺旋に乗って配線・配管材保持具50が構造物19から離れる方向に移動することをなくすことができる。したがって、ねじ欠落部13及び脱落規制部62を備える固着体装置Sは、多条ねじの固定ビス10に適用するのがより好ましい。
(13)固定ビス10は、ねじ欠落部13よりも頭部21側にも第1ねじ部42を備える。このため、固定ビス10の先細部31側の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれた後、ねじ欠落部13よりも頭部21の第1ねじ部42が脱落規制部62に強制的にねじ込まれることで、配線・配管材保持具50の回転を規制することができる。その結果、配線・配管材保持具50が回転しないように手で保持する必要がなくなる。
(14)脱落規制部62が、ねじ欠落部13の周面に圧接することで、固定ビス10は配線・配管材保持具50に仮保持されている。また、仮保持状態で、固定ビス10の先端が、固定部51の突起51bから突出していない。何らかの衝撃で、仮保持された固定ビス10が移動して、固定ビス10の先端が突起51bから突出した状態となることがある。このとき、固定ビス10が固定部51にねじ込まれて仮保持されている場合は、固定ビス10の先端を構造物19の設置面19aに宛がっても固定ビス10を引っ込ませることはできない。しかし、脱落規制部62がねじ欠落部13に圧接している本実施形態では、固定ビス10の先端を構造物19の設置面19aに宛がうことで、固定ビス10を引っ込ませることができる。その結果、固定ビス10が固定部51の突起51bから突出しても、固定ビス10を引っ込ませた状態で配線・配管材保持具50を構造物19に固定できる。
(15)固定ビス10は、固定部51の第1面51aに対し傾斜した状態に仮保持されている。このため、固定ビス10を構造物19にねじ込んだとき、固定ビス10は構造物19の設置面19aに対し斜めにねじ込まれる。第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13よりも頭部21側が脱落規制部62に強制的にねじ込まれ、配線・配管材保持具50に対し、固定ビス10を回転中心として共回りさせる力が加わっても、固定部51の突起51b又は第1面51aが、構造物19の設置面19aに当たり、配線・配管材保持具50の共回りが規制される。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図11に示すように、構造物19の設置面19aが狭い場合のように、挿入孔61に挿入された固定ビス10によって配線・配管材保持具50を構造物19に固定できない場合は、下孔63に固定ビス10を挿入して配線・配管材保持具50を構造物19に固定してもよい。このように構成した場合、下孔63に固定ビス10を挿入し、固定ビス10を構造物19にねじ込むことで、配線・配管材保持具50を構造物19に固定できる。その結果、挿入孔61と下孔63を使い分けることで、構造物19の設置面19aの大きさに対応して配線・配管材保持具50を構造物19に固定できる。
○ 固定ビス10が脱落規制部62に仮保持された状態において、ねじ欠落部13が固定部51から露出していなくてもよい。つまり、固定ビス10が脱落規制部62に仮保持された状態において、軸方向Y1に沿ったねじ欠落部13の全てが挿入孔61に入り込んでいてもよい。
○ 脱落規制部62によってねじ欠落部13を仮保持する位置は適宜変更してもよい。例えば、第1ねじ部42に脱落規制部62が接触することなく、軸方向Y1におけるねじ欠落部13の途中位置に脱落規制部62を圧接させて仮保持してもよい。
○ 配線・配管材保持具50は下孔63を備えていなくてもよい。
○ 固定ビス10のねじ部12は一条でもよいし、三条以上でもよい。
○ 脱落規制部62における挿入孔61の孔径R1は、固定ビス10のねじ欠落部13における直径より大きくし、脱落規制部62がねじ欠落部13に圧接していなくてもよい。この場合、挿入孔61に挿入された固定ビス10は、ねじ欠落部13よりも先細部31側に位置する第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13に隣接する一部が脱落規制部62にねじ込まれた状態で固定部51に仮保持される。そして、固定ビス10を回転させた場合は、固定ビス10の回転に伴って脱落規制部62の内側にねじ欠落部13が入り込み、ねじ欠落部13は脱落規制部62の内側で空回りする。
○ ねじ欠落部13の欠落長さKと、先細部31の先細部長さGは同じでもよいし、短くてもよい。この場合、先細部31寄りの第1ねじ部42のうち、ねじ欠落部13に近い端に脱落規制部62が接触した状態で固定ビス10が脱落規制部62に仮保持されている。そして、固定ビス10を構造物19にねじ込んだ場合、第2ねじ部32の一部が構造物19にねじ込まれた後に、脱落規制部62に第1ねじ部42が強制的にねじ込まれる。
○ ねじ欠落部13の欠落長さKと、先細部31の先細部長さGは同じでもよいし、短くてもよい。この場合、脱落規制部62の厚さDを実施形態より小さくすることで、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第2ねじ部32が構造物19にねじ込まれるまでねじ欠落部13が脱落規制部62の内側で回転するようにすることができる。このように、ねじ欠落部13の欠落長さKを調節せず、脱落規制部62の厚さDのみを調節することで、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転している間は、固定部51の脱落規制部62に対する固定ビス10の強制的なねじ込みは発生せず、ねじ込みに伴う固定部51の螺退方向への移動をなくすことができる。
○ 固定ビス10は、先細部31のねじ部12が第2ねじ部32でなく、第1ねじ部42であってもよい。具体的には、先細部31のねじ部12において、頂上部の角度を第1ねじ部42の第1頂上部43の角度θ1と同じとし、進み側フランク面における進み側フランク角を、第1ねじ部42の第1進み側フランク角θ2と同じとし、戻り側フランク面における戻り側フランク角を、第1ねじ部42の第1戻り側フランク角θ3と同じとしてもよい。
○ 固定ビス10を配線・配管材保持具50に仮保持するのは、配線・配管材保持具50の施工現場であってもよい。この場合、配線・配管材保持具50と固定ビス10とを別々に施工現場に運搬する。
○ 固着体装置Sを構成する固着体は配線・配管材保持具50以外でもよく、例えば、配線用ボックスや電線管の付属品であってもよい。
○ 第2ねじ部32は、先細部31のみに設けられていてもよい。この場合、脱落規制部62の内側でねじ欠落部13が回転している間に、先細部31の第2ねじ部32、及び軸部11の第1ねじ部42の一部が構造物19にねじ込まれる。
○ 第2ねじ部32において、第2進み側フランク角θ5と第2戻り側フランク角θ6とは同じでなくてもよい。
○ 第2進み側フランク角θ5が第1進み側フランク角θ2より小さく、第2戻り側フランク角θ6が第1戻り側フランク角θ3より大きければ、第1ねじ部42の第1進み側フランク角θ2及び第1戻り側フランク角θ3の値は変更してもよいし、第2ねじ部32の第2進み側フランク角θ5及び第2戻り側フランク角θ6は変更してもよい。
○ 固定部51は、挿入孔61の脱落規制部62に加え、下孔63にも脱落規制部62を備えていてもよい。この場合、脱落規制部62は下孔63の小径孔63bに設ける。
Y1,Y2…軸方向、10…固定ビス、11…軸部、12…ねじ部、13…ねじ欠落部、19…構造物、21…頭部、31…先細部、50…固着体としての配線・配管材保持具、51…固定部、52…保持部、53…被設置部材としての配線・配管材、61…挿入孔、62…脱落規制部、63…下孔。

Claims (8)

  1. 軸部と、
    前記軸部の軸方向一端に連続する頭部と、
    前記軸部の軸方向他端に連続し、当該軸部より細く、かつ先端に向かうに従い尖る先細部と、を有し、前記軸部及び前記先細部に螺旋状に突出するねじ部が設けられる固定ビスと、
    前記固定ビスが前記先細部から挿入される挿入孔を有し、かつ構造物に接触した状態で前記固定ビスによって前記構造物に固定される固定部を有する固着体と、を有し、
    前記軸部は、当該軸部の軸方向の一部に前記ねじ部を分断するように前記ねじ部の無いねじ欠落部を備え、
    前記固定部は、前記ねじ欠落部の周面に圧接して、前記挿入孔に挿入された前記固定ビスの脱落を規制して前記固定部に前記固定ビスを仮保持する脱落規制部を前記挿入孔内に備え、
    前記ねじ欠落部よりも前記頭部側の前記ねじ部が前記脱落規制部に接触するまで前記固定ビスを前記挿入孔にねじ込んだ状態では、前記先細部に位置する前記ねじ部、及び当該先細部に隣接する前記軸部の前記ねじ部の一部が前記構造物にねじ込まれているように、前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されていることを特徴とする固着体装置。
  2. 軸部と、
    前記軸部の軸方向一端に連続する頭部と、
    前記軸部の軸方向他端に連続し、当該軸部より細く、かつ先端に向かうに従い尖る先細部と、を有し、前記軸部及び前記先細部に螺旋状に突出するねじ部が設けられる固定ビスと、
    前記固定ビスが前記先細部から挿入される挿入孔を有し、かつ構造物に接触した状態で前記固定ビスによって前記構造物に固定される固定部を有する固着体と、を有し、
    前記軸部は、当該軸部の軸方向の一部に前記ねじ部を分断するように前記ねじ部の無いねじ欠落部を備え、
    前記固定部は、前記ねじ欠落部の周面、又は前記ねじ欠落部よりも前記先細部側で前記ねじ欠落部に隣接する前記ねじ部に接触して、前記挿入孔に挿入された前記固定ビスの脱落を規制して前記固定部に前記固定ビスを仮保持する脱落規制部を前記挿入孔内に備え、
    前記ねじ欠落部よりも前記先細部側で前記ねじ欠落部に隣接する前記ねじ部の端が前記脱落規制部に接触した状態から、前記先細部に位置する前記ねじ部、及び当該先細部に隣接する前記軸部の前記ねじ部の一部が前記構造物にねじ込まれるまでは、前記脱落規制部の内側で前記ねじ欠落部は回転し、
    前記ねじ欠落部よりも前記頭部側の前記ねじ部が前記脱落規制部に接触するまで前記固定ビスを前記挿入孔にねじ込んだ状態では、前記先細部に位置する前記ねじ部、及び当該先細部に隣接する前記軸部の前記ねじ部の一部が前記構造物にねじ込まれているように、前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されていることを特徴とする固着体装置。
  3. 軸部と、
    前記軸部の軸方向一端に連続する頭部と、
    前記軸部の軸方向他端に連続し、当該軸部より細く、かつ先端に向かうに従い尖る先細部と、を有し、前記軸部及び前記先細部に螺旋状に突出するねじ部が設けられる固定ビスと、
    前記固定ビスが前記先細部から挿入される挿入孔を有し、かつ構造物に接触した状態で前記固定ビスによって前記構造物に固定される固定部を有する固着体と、を有し、
    前記軸部は、当該軸部の軸方向の一部に前記ねじ部を分断するように前記ねじ部の無いねじ欠落部を備え、
    前記固定部は、前記ねじ欠落部よりも前記先細部側で前記ねじ欠落部に隣接する前記ねじ部に接触して、前記挿入孔に挿入された前記固定ビスの脱落を規制して前記固定部に前記固定ビスを仮保持する脱落規制部を前記挿入孔内に備え、
    前記ねじ部のうち前記ねじ欠落部に隣接する一部が前記脱落規制部にねじ込まれた状態で前記固定部に前記固定ビスが仮保持され、前記構造物にねじ込まれる前記固定ビスの回転に伴って、前記脱落規制部の内側に前記ねじ欠落部が入り込み、当該ねじ欠落部は、前記脱落規制部の内側で空回りし、
    前記ねじ欠落部よりも前記頭部側の前記ねじ部が前記脱落規制部に接触するまで前記固定ビスを前記挿入孔にねじ込んだ状態では、前記先細部に位置する前記ねじ部、及び当該先細部に隣接する前記軸部の前記ねじ部の一部が前記構造物にねじ込まれているように、前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されていることを特徴とする固着体装置。
  4. 前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法は、前記軸部の軸方向に沿った前記先細部の寸法より大きい請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の固着体装置。
  5. 前記脱落規制部に仮保持された前記固定ビスの前記先細部の先端が、前記挿入孔における前記固定ビスの挿入方向の先に位置する端よりも突出しないように前記軸部の軸方向に沿った前記ねじ欠落部の寸法、及び前記挿入孔の軸方向に沿った前記脱落規制部の寸法が設定されている請求項1請求項4のうちいずれか一項に記載の固着体装置。
  6. 前記ねじ部は多条である請求項1~請求項のうちいずれか一項に記載の固着体装置。
  7. 前記固定ビスは、打撃工具により前記構造物に打ち込み可能であり、
    前記固着体は、前記固定部から延出されて被設置部材を保持する保持部を備え、前記挿入孔は、前記打撃工具と前記保持部との干渉を避けるべく前記保持部から離れた位置に設けられ、
    前記固着体は、当該固着体において前記保持部と前記挿入孔に挟まれた位置に、前記固定ビスが挿入されて当該固定ビスにより前記固着体を前記構造物に固定するための下孔を備える請求項1~請求項のうちいずれか一項に記載の固着体装置。
  8. 前記固定ビスは、前記ねじ欠落部の周面のうち前記頭部側の一部が前記固着体から露出して前記固着体に仮保持されている請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載の固着体装置。
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