以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル500の概要について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベル500の側面図である。
本実施形態に係るショベル500は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント(作業装置)としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。以下、ショベル500の前方は、ショベル500を上部旋回体3の旋回軸に沿って真上から平面視(以下、単に「平面視」と称する)で見たときに、上部旋回体3に対するアタッチメントの延出方向(以下、便宜的に「アタッチメントの向き」と称する)に対応する。また、ショベル500の左方及び右方は、それぞれ、ショベル500を平面視で見たときに、キャビン10内のオペレータの左方及び右方に対応する。
下部走行体1(走行体の一例)は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル500を走行させる。
上部旋回体3(旋回体の一例)は、旋回油圧モータ21(図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。キャビン10には、その内外を区画する透明な窓が設けられ、その少なくとも一部は、開閉可能とされる。また、キャビン10の操縦席には、オペレータを操縦席に保持するシートベルトが設けられる。
[ショベルの基本構成]
次に、図2を参照して、ショベル500の基本構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るショベル500の構成の一例を示すブロック図である。
尚、図中、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
本実施形態に係るショベル500の油圧アクチュエータを油圧駆動する油圧駆動系は、エンジン11と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル500の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するエンジンコントロールモジュール(ECM:Engine Control Module)75による制御の下、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するコントローラ30による制御の下、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、油圧アクチュエータである走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
本実施形態に係るショベル500の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26を含む。
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11により駆動される。
操作装置26は、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、それぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26(即ち、レバー26A,26B、及びペダル26C)は、油圧ライン27を介して、コントロールバルブ17にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。また、操作装置26は、油圧ライン28を介して圧力センサ29に接続される。以下、ペダル26Cにより、下部走行体1が操作される前提で説明を進める。
本実施形態に係るショベル500の制御系は、コントローラ30と、圧力センサ29と、ECM75と、エンジン回転数センサ11aを含む。また、本実施形態に係るショベル500の制御系は、後述する姿勢安定化制御や乗員保護制御に関する構成として、傾斜センサ40と、ブーム角度センサ42と、アーム角度センサ44と、旋回角度センサ46と、窓開閉状態検出部47と、シートベルト装着状態検出部48と、表示装置50と、音声出力装置52と、減圧弁54を含む。
コントローラ30は、ショベル500の駆動制御を行う電子制御ユニットである。例えば、コントローラ30は、オペレータ等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、ECM75を介して、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。また、コントローラ30は、圧力センサ29から入力される、操作装置26における各種動作要素(即ち、各種油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧の検出値等に基づき、コントロールバルブ17を含む油圧アクチュエータを駆動する油圧回路の制御を行う。また、コントローラ30は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に成立する所定の条件(後述の制御適用条件)が成立した場合に、オペレータに対して、傾斜地の下り方向へのショベル500の転倒を抑制するショベル500の姿勢状態(以下、「ショベル500の安定姿勢」と称する)の実現を促す制御(以下、「姿勢安定化制御」)を行う。また、コントローラ30は、同様に、制御適用条件が成立した場合に、ショベル500のオペレータ等の乗員保護に関する制御(以下、「乗員保護制御」)を行う。以下、コントローラ30による姿勢安定化制御及び乗員保護制御の詳細は、後述する。
圧力センサ29は、上述の如く、油圧ライン28を介して操作装置26と接続され、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの動作要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、一対一の通信線やCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に入力される。
コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、補助記憶装置、I/O(Input-Output interface)等を含むマイクロコンピュータで構成され、ROMや補助記憶装置に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能が実現される。
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラにより実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。
ECM75は、コントローラ30からの制御指令に基づき、エンジン11を駆動制御する。例えば、ECM75は、エンジン回転数センサ11aから入力される検出信号に対応するエンジン11の回転数(回転速度)の測定値に基づき、コントローラ30からの制御指令に対応する目標回転数でエンジン11が一定回転するように、エンジン11のトルク指令を生成する。そして、ECM75は、生成したトルク指令に応じたトルクがエンジン11に発生するような駆動指令を、エンジン11の燃料噴射装置等の各種アクチュエータに出力する。
エンジン回転数センサ11aは、エンジン11の回転数を検出する既知の検出手段である。エンジン回転数センサ11aは、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてECM75と通信可能に接続され、エンジン11の回転数に対応する検出信号は、ECM75に取り込まれる。
傾斜センサ40は、ショベル500が位置する作業面の傾斜角を検出する既知の検出手段である。傾斜センサ40は、例えば、上部旋回体3に搭載され、ショベル500(即ち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸における傾斜角を検出する。傾斜センサ40は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、傾斜角に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
尚、コントローラ30は、傾斜センサ40の検出信号以外の情報に基づき、作業面が傾斜しているか否かを判断してもよい。例えば、コントローラ30は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8等に設けられる位置センサ等により取得されうる、作業時のブームシリンダ7、アームシリンダ8等の伸長状態に関する情報に基づき、作業面が傾斜しているか否かを判断してもよい。ショベル500が傾斜地に位置する場合、作業時のアタッチメントの姿勢は、平地の場合と異なりうるからである。また、例えば、コントローラ30は、ブーム4等のアタッチメントに設けられるIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等の慣性センサ等により取得されうる、作業時のブーム4等のアタッチメントの動作状態に関する情報に基づき、作業面が傾斜しているか否かを判断してもよい。ショベル500が傾斜地に位置する場合、作業時のアタッチメントの動作状態は、平地の場合と異なりうるからである。
ブーム角度センサ42は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3に対する俯仰角、例えば、上部旋回体3の旋回平面に対してブーム4が成す角度(以下、「ブーム角度」と称する)を検出する。ブーム角度センサ42は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、6軸センサ、IMU等を含み、以下、アーム角度センサ44及び旋回角度センサ46等についても同様である。ブーム角度センサ42は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、ブーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
アーム角度センサ44は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4に対する角度、即ち、ブーム4に対してアーム5が成す角度(以下、「アーム角度」と称する)を検出する。アーム角度センサ44は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、アーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
旋回角度センサ46は、上部旋回体3に取り付けられ、下部走行体1の基準角度位置(例えば、下部走行体1の前進方向に対応する角度位置)に対する上部旋回体3の旋回角度を検出する。旋回角度センサ46は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、旋回角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
窓開閉状態検出部47は、キャビン10に設けられる開閉可能な窓の開閉状態を検出する。窓開閉状態検出部47は、例えば、窓と窓枠(サッシ)との間の接触部分に設けられる接触スイッチである。窓開閉状態検出部47は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、キャビン10の窓の開閉状態に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
シートベルト装着状態検出部48は、キャビン10内の操縦席に設けられるシートベルトの装着状態を検出する。シートベルト装着状態検出部48は、例えば、シートベルトのバックルに内蔵されるバックルスイッチである。シートベルト装着状態検出部48は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、シートベルトの装着状態に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
重量センサ49は、バケット6の内部に抱え込まれた(積載された)土砂等の積載物の重量を検出する既知の検出手段である。一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じてコントローラ30と通信可能に接続され、バケット6の積載物の重量(積載重量)に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
尚、コントローラ30は、重量センサ49に代えて、例えば、ブーム角度、アーム角度等により規定されるアタッチメントの姿勢と、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油の圧力(以下、「ブームボトム圧」)の測定値とに基づき、バケット6の積載重量を測定してもよい。
表示装置50は、キャビン10内の操縦席付近のオペレータが視認し易い場所(例えば、キャビン10内の右前部のピラー部分等)に設けられ、コントローラ30による制御の下、各種情報画像を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであり、操作部を兼ねるタッチパネル式であってもよい。
音声出力装置52は、キャビン10内の操縦席付近に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに各種通知を行うための音声を出力する。音声出力装置52は、例えば、スピーカやブザー等である。
減圧弁54は、走行油圧モータ1A、走行油圧モータ1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれに対応して、操作装置26の二次側の油圧ライン27に設けられ、コントローラ30からの制御指令に応じて、操作装置26の操作状態に対応するパイロット圧を減圧する。これにより、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6の動作を個別的且つ選択的に制限することができる。減圧弁54は、例えば、コントローラ30からの制御指令に応じて動作する電磁比例弁である。
尚、減圧弁54によりパイロット圧を減圧する以外の方法で、下部走行体1等の動作が制限されてもよい。例えば、走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ21、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9に供給される作動油が可変リリーフ弁等で選択的に作動油タンクに開放されることにより、下部走行体1等の動作が制限されてもよい。また、例えば、走行油圧モータ1A,1B等に作動油を吐出するメインポンプ14の出力やメインポンプ14を駆動するエンジン11の出力が制限されることにより、下部走行体1等の動作が制限されてもよい。
[姿勢安定化制御装置の構成の詳細]
次に、図3を参照して、姿勢安定化制御を司る姿勢安定化制御装置200の詳細な構成について説明する。
図3は、姿勢安定化制御装置200の機能的な構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
姿勢安定化制御装置200は、コントローラ30と、圧力センサ29と、傾斜センサ40と、ブーム角度センサ42と、アーム角度センサ44と、旋回角度センサ46と、窓開閉状態検出部47と、シートベルト装着状態検出部48と、重量センサ49と、表示装置50と、音声出力装置52と、減圧弁54を含む。
コントローラ30は、姿勢安定化制御に関連する機能部として、条件判定部301と、姿勢取得部302と、姿勢安定化処理部303と、乗員保護処理部304を含む。
条件判定部301は、ショベル500が姿勢安定化制御及び乗員保護制御の対象となる条件(以下、「制御適用条件」)に適合するか否か、つまり、制御適用条件が成立しているか否かを判定する。制御適用条件は、ショベル500の傾斜地における下り方向への転倒が生じうる状況に関する条件、つまり、"ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性があること"を少なくとも含む。例えば、条件判定部301は、傾斜センサ40の検出信号に基づき、ショベル500が傾斜地にいるか否かを判定することができる。また、例えば、条件判定部301は、不揮発性の内部メモリ等に予め登録される作業現場の地形情報に基づき、ショベル500の周囲の傾斜地の存在や、ショベル500とその傾斜地との位置関係を認識することができる。また、条件判定部301は、ショベル500に搭載される周囲の状況を認識する空間認識装置の検出情報に基づき、ショベル500の周囲の傾斜地の存在や、ショベル500とその傾斜地との位置関係を認識してもよい。このとき、空間認識装置には、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR(Light Detecting and Raging)、ミリ波レーダ等が含まれうる。そして、条件判定部301は、下部走行体1の動作状態に対応するパイロット圧の測定値に基づき、傾斜地に向かって移動しているか否かを判定することによって、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があるか否かを判定することができる。また、条件判定部301は、車体(下部走行体1或いは上部旋回体3)やアタッチメントに搭載される各種センサ(例えば、IMU等)の検出情報に基づき、ショベル500の移動状態を認識することによって、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があるか否かを判定してもよい。制御適用条件の詳細は、後述する。
姿勢取得部302は、ショベル500の姿勢に関する情報(以下、「姿勢情報」)を取得する。このとき、ショベル500の姿勢には、下部走行体1の向き(例えば、下部走行体1の前進方向或いは後進方向の向き)、上部旋回体3の旋回位置に応じて変化するアタッチメントの向き、アタッチメントの姿勢状態(例えば、ブーム角度、アーム角度等の姿勢角)等が含まれる。
例えば、姿勢取得部302は、ブーム角度センサ42、アーム角度センサ44、及び旋回角度センサ46のそれぞれから入力されるブーム角度、アーム角度、及び旋回角度の測定値に基づき、姿勢情報として、下部走行体1に対するバケット6の位置(具体的には、バケット6における基準点の位置。以下、単に「バケット位置」と称する)に関する情報(バケット位置情報)を取得してよい。具体的には、姿勢取得部302は、上部旋回体3の旋回中心軸を円筒の中心軸とし、且つ、地面を原点とする円筒座標系において、バケット位置情報として、バケット位置に対応する径方向の座標(動径座標)、周方向の座標(角度座標)、及び軸方向の座標(軸座標)を取得する。この場合、角度座標は、旋回角度に相当し、軸座標は、バケット6の地面からの高さに相当する。
また、例えば、姿勢取得部302は、姿勢情報として、下部走行体1の向きとアタッチメントの向きとの相対関係(例えば、下部走行体1の向きとアタッチメントの向きとの間の角度差)を取得してもよい。具体的には、姿勢取得部302は、旋回角度センサ46から入力される旋回角度の測定値に基づき、下部走行体1の向きとアタッチメントの向きとの相対関係を取得する。
また、例えば、姿勢取得部302は、姿勢情報として、アタッチメントの先端部の旋回半径(つまり、アタッチメントの先端部と上部旋回体3の旋回軸との間の距離)を取得してもよい。具体的には、姿勢取得部302は、ブーム角度及びアーム角度の測定値と、既知のブーム4、アーム5のリンク長とに基づき、アタッチメントの先端部の旋回半径を取得(算出)してよい。
姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合に、具体的に、傾斜地の下り方向へのショベル500の転倒を抑制するショベル500の安定姿勢の実現をオペレータに対して促す姿勢安定化制御を行う。
例えば、姿勢安定化処理部303(警告出力部の一例)は、制御適用条件が成立した場合に、ショベル500の傾斜地の下り方向への転倒に対する注意を促す、オペレータ等によるショベル500の操作に関する警告を出力する(後述する図7A参照)。つまり、姿勢安定化処理部303は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に、当該警告を出力する。このとき、姿勢安定化処理部303は、ショベル500の傾斜地における下り方向への転倒に影響する操作、例えば、下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等のうちの少なくとも一つの操作に関する警告を出力してよい。下部走行体1、上部旋回体3、或いは、アタッチメントに対する操作に応じて、ショベル500の下り方向への転倒が生じうるからである。以下、当該処理動作を「警告出力処理」と称する。具体的には、姿勢安定化処理部303は、表示装置50や音声出力装置52を介して、オペレータに警告を出力してよい。より具体的には、姿勢安定化処理部303は、傾斜地の下り方向への転倒に対する注意を促す文字情報等を含む警告画像を表示装置50に表示させてよい。また、姿勢安定化処理部303は、音声出力装置52を通じて、傾斜地の下り方向への転倒に対する注意を促す音声を出力させてよい。これにより、オペレータに対して、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する場合の下り方向への転倒に対する注意を促すことができる。
また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が傾斜地の下り方向への転倒を助長する不安定な姿勢状態(以下、単に「不安定姿勢」)であるときに、ショベル500が不安定姿勢である旨の警告を出力してもよい(後述する図7B参照)。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、ショベル500が不安定姿勢である旨の条件(以下、「不安定姿勢条件」)が成立したときに、警告を出力してもよい。より具体的には、姿勢安定化処理部303は、不安定姿勢である旨の文字情報等を含む警告画像を表示装置50に表示させてよい。また、姿勢安定化処理部303は、音声出力装置52を通じて、現在のショベル500の姿勢が不安定姿勢に該当する旨の音声を出力させてよい。これにより、オペレータは、現在のショベル500の姿勢が、傾斜地の下り方向に転倒する可能性がある不安定姿勢である旨を認識することができる。そのため、オペレータに対して、不安定姿勢にあるショベル500が安定姿勢を実現するための下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等の操作を促すことができる。また、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、ショベル500の下り方向への転倒に対する注意を促す警告(具体的には、不安定姿勢である旨の警告)が出力される。そのため、コントローラ30は、ショベル500が不安定姿勢でない転倒しにくい状況で、警告が出力されることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
以下、図4を参照して、ショベル500の不安定姿勢について説明する。
図4は、ショベル500の不安定姿勢の具体例を示す図である。
図4に示すように、本例では、ショベル500は、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向が一致し、且つ、バケット6が比較的高い位置に上がった姿勢状態で、下部走行体1により傾斜地401を下り方向に走行している。ショベル500は、バケット6が地面から比較的離れた位置、具体的には、キャビン10の高さよりも地面から離れた位置にあるため、仮に、傾斜地401の下り方向に転倒し始めると、直ぐには、バケット6が地面に接地することができない。そのため、ショベル500は、アタッチメントが転倒を抑制する突っ張り棒の役割を果たせないため、実際に転倒に至ってしまう可能性が高い。即ち、ショベル500の不安定姿勢は、アタッチメントの向きが傾斜地の下り方向であり、且つ、バケット6の地面からの高さ(本例では、バケット6におけるアーム5との連結点の地面からの高さ)Hbが比較的高い状態、つまり、所定の閾値Hth1を超える状態に対応してよい。
閾値Hth1は、仮に、ショベル500が転倒し始めて、バケット6が接地した場合に、キャビン10が保護される必要がある点を鑑みて、キャビン10の高さ方向の寸法を基準として規定されうる。例えば、閾値Hth1は、キャビン10の高さ以下に設定される。
姿勢安定化処理部303は、姿勢取得部302により取得されるバケット位置に対応する軸座標に基づき、バケット6の地面からの高さHbが閾値Hth1を超えているか否かを判定すると共に、ショベル500が不安定姿勢であるか否かを判定することができる。
また、ショベル500の不安定姿勢は、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との一致性によって規定されうる。傾斜地401を下り方向に走行する場合の下部走行体1の走行方向は、ショベル500の転倒する可能性がある方向に相当し、アタッチメントの向きが下部走行体1の走行方向とずれていると、バケット6が地面に接地しにくくなるからである。例えば、ショベル500の不安定姿勢は、アタッチメントの向きが傾斜地の下り方向であり、且つ、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差分である角度差Δθが比較的大きい状態、即ち、所定の閾値θth1を超える、上部旋回体3の姿勢状態(旋回状態)に対応してよい。
閾値θth1は、例えば、平面視で見たときに、バケット6が、地面に接地している下部走行体1の幅方向の位置範囲内に収まるように、規定される。つまり、閾値θth1は、平面視で見たときのバケット6と下部走行体1との幅方向の位置関係を基準として規定されてよい。この場合、閾値θth1は、下部走行体1の前後方向(走行方向)におけるバケット6の位置によって、変化する。
姿勢安定化処理部303は、姿勢取得部302により取得されるバケット位置に対応する角度座標に基づき、角度差Δθが閾値θth1以上であるか否かを判定すると共に、ショベル500が不安定姿勢であるか否かを判定することができる。
尚、ショベル500(下部走行体1)が傾斜地を下り方向に走行する場合、通常、オペレータは、進行方向である下り方向が視認できるように、操作装置26によって、上部旋回体3の旋回位置を合わせることが多い。つまり、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する場合、上部旋回体3は、アタッチメントの向きが下部走行体1の走行方向に略一致する旋回位置にあることが多い。そのため、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1の走行方向とアタッチメントの向きとの差に関する判定を省略し、バケット位置に関する判定だけで、ショベル500が不安定姿勢であるか否かを判定してもよい。
また、ショベル500の不安定姿勢は、アタッチメントの向きが傾斜地の下り方向であり、且つ、アタッチメントの先端部(例えば、バケット6の爪先)の旋回半径Rが所定の閾値Rthを超えている状態に対応してよい。アタッチメントが下り方向に向いている状態で、アタッチメントの先端部が上部旋回体3から離れた状態にある場合、アタッチメントの動作に起因する慣性モーメントの変動が大きくなり、ショベル500が下り方向に転倒し易くなるからである。
このとき、閾値Rthは、バケット6に収容される土砂等や図示しないフックへの吊荷等のアタッチメントの先端部の積載物の重量(積載重量)を考慮して、実験やシミュレーション等に基づき、予め固定値として規定されてよい。また、閾値Rthは、重量センサ49の検出信号に対応するアタッチメントの先端部の積載重量(バケット6に収容される積載物の重量)に応じて、可変されてもよい。
また、ショベル500の不安定姿勢は、アタッチメントの向きが傾斜地の下り方向であり、且つ、重量センサ49の検出信号に対応するアタッチメントの先端部の積載重量Wが所定の閾値Wthを超えている状態に対応してよい。アタッチメントが下り方向に向いている状態で、アタッチメントの先端部の積載重量が相対的に大きい場合、アタッチメントの動作に起因する慣性モーメントの変動が大きくなり、ショベル500が下り方向に転倒し易くなるからである。
図3に戻り、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が傾斜地の下り方向への転倒を助長する不安定な動作状態(以下、単に「不安定動作」)を行っているときに、ショベル500が不安定動作を行っている旨の警告を出力してもよい。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、ショベル500が傾斜地の下り方向への転倒を助長する不安定動作を行っている旨の条件(以下、「不安定動作条件」)が成立したときに、警告を出力してもよい。より具体的には、姿勢安定化処理部303は、不安定動作が行われている旨の文字情報等を含む警告画像を表示装置50に表示させてよい。また、姿勢安定化処理部303は、音声出力装置52を通じて、現在のショベル500の動作状態が不安定動作に該当する旨の音声を出力させてよい。これにより、オペレータは、現在のショベル500の動作状態が、傾斜地の下り方向に転倒する可能性がある不安定動作に対応する旨を認識することができる。そのため、コントローラ30は、オペレータに対して、不安定動作を行っているショベル500が安定な姿勢状態や動作状態を実現するための下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等の操作を促すことができる。また、ショベル500が不安定動作を行っているときに限定して、ショベル500の下り方向への転倒に対する注意を促す警告(具体的には、不安定動作がおこなわれている旨の警告)が出力される。そのため、コントローラ30は、ショベル500が不安定動作を行っていない転倒しにくい状況で、警告が出力されることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
ショベル500の不安定動作は、例えば、ショベル500の姿勢状態を不安定姿勢に向かわせるような動作状態である。
具体的には、ショベル500の不安定動作は、アタッチメントの向きが下り方向である状態で、バケット6を地面から離れる方向に移動させるアタッチメントの動作状態(例えば、ブーム4の上げ動作やアーム5の開き動作)に対応してよい。また、ショベル500の不安定動作は、バケット6の地面からの高さHbが比較的高い状態(Hb>Hth1)で、アタッチメントの向きを傾斜地の傾斜方向に沿う下り方向(以下、便宜的に「下り傾斜方向」)に向かわせる、下部走行体1及び上部旋回体3の少なくとも一方の動作状態に対応してよい。このとき、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせる動作状態には、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせる上部旋回体3の旋回動作や下部走行体1の転回動作(方向転換動作)等が含まれる。
また、ショベル500の不安定動作は、アタッチメントの向きが下り方向である状態で、アタッチメントの先端部の位置を旋回半径Rが大きくなる方向に移動させるアタッチメントの動作状態に対応してよい。また、ショベル500の不安定動作は、アタッチメントの先端部の旋回半径Rが閾値Rthを超えている状態で、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせる、下部走行体1及び上部旋回体3の少なくとも一つの動作状態に対応してよい。
また、ショベル500の不安定動作は、ショベル500の下り方向への転倒モーメントを増大させうる下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントのうちの少なくとも一つの動作状態に対応してもよい。例えば、ショベル500の不安定動作は、アタッチメントの向きが下り方向である状態で、その動作速度に関する物理量(例えば、ブーム4やアーム5の角速度或いは角加速度等)が相対的に高い(つまり、所定閾値を超える)アタッチメントの動作状態に対応してよい。このとき、アタッチメントの動作速度に関する物理量の測定値は、ブーム角度センサ42、アーム角度センサ44の検出信号や圧力センサ29におけるブーム4、アーム5に対応する検出信号(圧力信号)に基づき、取得(算出)されうる。また、ショベル500の不安定動作は、アタッチメントの向きを下り方向に向かわせる動作状態、且つ、その動作速度に関する物理量(例えば、下部走行体1の走行速度或いは走行加速度等や上部旋回体3の旋回速度或いは旋回加速度等)が相対的に高い(つまり、所定閾値を超える)動作状態に対応してよい。このとき、下部走行体1や上部旋回体3の動作速度に関する物理量の測定値は、旋回角度センサ46の検出信号や圧力センサ29における下部走行体1や上部旋回体3に対応する検出信号(圧力信号)に基づき、取得(算出)されうる。
また、例えば、姿勢安定化処理部303(第1動作制限部の一例)は、制御適用条件が成立した場合、ショベル500の動作要素の動作を制限する(後述する図8A参照)。つまり、姿勢安定化処理部303は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に、ショベル500の動作要素の動作を制限する。以下、当該処理動作を「第1動作制限処理」と称する。このとき、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの全ての動作を制限してもよいし、一部の動作要素(例えば、転倒への影響が相対的に大きいと判断される動作要素だけ)の動作を制限してもよい。具体的には、姿勢安定化処理部303は、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1を駆動する走行油圧モータ1A,1B、上部旋回体3を駆動する旋回油圧モータ21、並びに、アタッチメントを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のうちの少なくとも一つの操作装置26における操作に対応する動作を通常時よりも緩慢にする。これにより、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの傾斜地における急激な動作や走行速度等が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、不安定姿勢条件が成立したときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が不安定動作を行っているときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、不安定姿勢条件、或いは、不安定動作条件が成立したときに、ショベル500の動作要素を制限してもよい。これにより、不安定姿勢にある、或いは、不安定動作を行っているショベル500の転倒を抑制しつつ、不安定姿勢でないショベル500や不安定動作を行っていないショベル500、つまり、転倒しにくい姿勢状態或いは動作状態のショベル500の下部走行体1等の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。
また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある状態が継続している状況で、上記警告が出力されたにも関わらず、ショベル500が不安定姿勢のままであるときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい(後述する図8B参照)。また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある状態が継続している状況で、上記警告が出力されたにも関わらず、ショベル500が不安定動作を継続しているときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、警告が出力されたにも関わらず、ショベル500が不安定姿勢のままである旨の条件(以下、「不安定姿勢継続条件」)、或いは、ショベル500が不安定動作を継続している旨の条件(以下、「不安定動作継続条件」)が成立したときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。これにより、警告によるショベル500の転倒への注意喚起を前提としつつ、それでも、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、下部走行体1等の動作を制限することができる。そのため、ショベル500の転倒を抑制しつつ、下部走行体1等の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を更に抑制することができる。
また、例えば、姿勢安定化処理部303(教示部の一例)は、制御適用条件が成立した場合、ショベル500の安定姿勢をオペレータに教示する(後述する図9参照)。つまり、姿勢安定化処理部303は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に、ショベル500の安定姿勢をオペレータに教示する。以下、当該処理動作を「安定姿勢教示処理」と称する。具体的には、姿勢安定化処理部303は、表示装置50に安定姿勢に相当するショベル500を模した画像や安定姿勢に向けた操作を促す文字情報等を表示させたり、安定姿勢に向けた操作を促す音声を音声出力装置52から出力させたりする。これにより、オペレータは、ショベル500の上部旋回体3やアタッチメント等の姿勢が教示された安定姿勢に近づくように、操作装置26を利用して、上部旋回体3やアタッチメントの操作を行うことができる。そのため、ショベル500が下り方向に走行している場合の転倒等を抑制することができる。
また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、ショベル500の安定姿勢をオペレータに教示してもよい。また、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、ショベル500が不安定動作を行っているときに、ショベル500の安定姿勢をオペレータに教示してもよい。つまり、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、不安定姿勢条件、或いは、不安定動作条件が成立したときに、ショベル500の安定姿勢をオペレータに教示してもよい。これにより、オペレータに対して、不安定姿勢にあるショベル500や不安定動作を行っているショベル500を安定姿勢に近づける、下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等の操作を促しつつ、既に安定姿勢にあるショベル500のオペレータに対する不要な安定姿勢の教示を抑制することができる。
以下、図5及び図6を参照して、ショベル500の安定姿勢及び安定姿勢の教示方法の具体例について説明する。
まず、図5は、ショベル500の安定姿勢の具体例を示す図である。
図5に示すように、本例では、ショベル500は、下部走行体1によって、傾斜地501を下り方向に走行している。この状況で、アタッチメントの向きが下部走行体1の走行方向と略一致し、且つ、バケット6が地面に比較的近い位置にあれば、ショベル500は、仮に、傾斜地401の下り方向に転倒しそうになっても、バケット6が直ぐに地面に接地する。そして、ショベル500は、バケット6を含むアタッチメント全体が突っ張り棒の役割を果たし、転倒を回避することができる。
つまり、ショベル500の安定姿勢には、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差が比較的小さい状態、即ち、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差分(角度差Δθ)が、閾値θth1以下の範囲で設定される所定の閾値θth2(第2閾値の一例)以下である上部旋回体3の姿勢状態(旋回状態)が含まれる。
閾値θth2は、閾値θth1と同様、平面視で見たときのバケット6と下部走行体1との幅方向の位置関係を基準として規定されてよく、具体的には、平面視で見たときに、バケット6が、地面に接地している下部走行体1の幅方向の位置範囲内に収まるように、規定されてよい。
また、ショベル500の安定姿勢には、バケット6の地面からの高さ(本例では、図4の場合と同様、バケット6におけるアーム5との連結点の地面からの高さ)Hbが比較的低い状態、即ち、閾値Hth1以下の範囲で設定される閾値Hth2(第1閾値の一例)以下である、アタッチメントの姿勢状態が含まれる。
閾値Hth2は、閾値Hth1と同様、キャビン10の高さ方向の寸法を基準として規定されうる。例えば、閾値Hth2は、キャビン10の高さ以下に設定される。
このように、姿勢安定化処理部303は、安定姿勢として、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差が比較的小さく、且つ、バケット位置が地面に比較的近い状態に対応するショベル500の姿勢をオペレータに教示してよい。具体的には、姿勢安定化処理部303は、アタッチメントの向きが下部走行体1の走行方向に近づく(一致する)ように、操作装置26による上部旋回体3の操作をオペレータに促してよい。また、姿勢安定化処理部303は、バケット6が相対的に地面に近づくように、操作装置26によるアタッチメント(ブーム4、アーム5、及びバケット6)の操作をオペレータに促してよい。これにより、オペレータによる上部旋回体3やアタッチメントの操作に応じて、ショベル500の安定姿勢が実現されうるため、ショベル500の傾斜地における下り方向への転倒を抑制することができる。
尚、本例のように、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する場合、上部旋回体3は、アタッチメントの向きが下部走行体1の走行方向に略一致する旋回位置にあることが多い。そのため、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1の走行方向とアタッチメントの向きとの差に関する教示を省略し、バケット位置(バケット6の地面からの高さ)に関する教示だけを行ってもよい。また、姿勢安定化処理部303は、安定姿勢として、アタッチメントの先端部の旋回半径が相対的に小さい、ショベル500の姿勢をオペレータに教示してもよい。また、姿勢安定化処理部303は、安定姿勢に代えて、或いは、加えて、ショベル500の転倒を抑制するショベル500の動作状態(以下、「ショベル500の安定動作」)を、表示装置50や音声出力装置52を通じて、オペレータに教示してもよい。このとき、ショベル500の安定動作は、ショベル500の姿勢状態を安定姿勢に向かわせる動作状態を含んでよい。また、ショベル500の安定動作は、ショベル500の下り方向への転倒モーメントが相対的に小さくなるような下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントのうちの少なくとも一つの動作状態に対応してもよい。つまり、ショベル500の安定動作は、下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメントの動作速度に関する物理量が相対的に小さい動作状態に対応してもよい。
続いて、図6は、安定姿勢の教示方法の一例を示す図である。具体的には、図6は、表示装置50に表示される、オペレータにショベル500の安定姿勢を教示する画像(教示画像)の一例を示す図である。
図6に示すように、本例では、姿勢安定化処理部303により表示装置50に表示される教示画像には、安定姿勢に対応するショベル500を模したショベル画像601と、オペレータに対してアタッチメントの操作を促す文字情報を含む文字画像602が含まれる。
ショベル画像601は、バケット6が地面から比較的近い位置にあるショベル500の安定姿勢を模している。これにより、オペレータは、安定姿勢を直感的に把握することが可能となり、操作装置26を操作することで、容易に、ショベル500の安定姿勢を実現することができる。
また、文字画像602には、バケット6の高さを上記閾値Hth2に対応する高さ("〇〇cm")以下まで下げるように、オペレータに対して、アタッチメントの操作を促す文字情報が表示される。これにより、オペレータは、具体的に、どのような操作をすればよいかを容易に把握することができるため、操作装置26を操作することで、より容易に、ショベル500の安定姿勢を実現することができる。
尚、姿勢安定化処理部303は、当然の如く、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差を小さくするための教示画像を表示装置50に表示させてもよい。この場合、例えば、教示画像には、ショベル画像601に加えて、或いは、代えて、上部旋回体3の旋回状態を示す、平面視で見たショベル500を模したショベル画像が表示されてよい。また、例えば、教示画像には、文字画像602に加えて、或いは、代えて、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向とを近づける(一致させる)ように、オペレータに対して、上部旋回体3の操作を促す文字情報が表示されてよい。また、姿勢安定化処理部303は、上述の如く、音声出力装置52を通じて、文字画像602等の文字情報に対応する音声を出力させてもよい。
図3に戻り、また、例えば、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、表示装置50や音声出力装置52を通じて、現在のショベル500の姿勢状態の安定姿勢からの逸脱度合いがどの程度であるかをオペレータに通知する。つまり、姿勢安定化処理部303は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、現在のショベル500の姿勢状態の安定姿勢からの逸脱度合いをオペレータに通知する。以下、当該処理を「安定姿勢逸脱度通知処理」と称する。また、姿勢安定化処理部303は、制御適用条件が成立した場合、更に、現在のショベル500の姿勢状態が安定姿勢に該当しない旨の条件(以下、「安定姿勢非該当条件」)が成立したときに、安定姿勢からの逸脱度合いを通知してもよい。具体的には、姿勢安定化処理部303は、バケット6の地面からの高さHbと閾値Hth2との差分をオペレータに通知してよい。また、姿勢安定化処理部303は、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差分(角度差Δθ)をオペレータに通知してよい。また、姿勢安定化処理部303は、現在のアタッチメントの先端部の位置に対応する旋回半径Rと閾値Rthとの差分をオペレータに通知してもよい。これにより、オペレータは、現在のショベル500の姿勢が安定姿勢に対してどの程度逸脱しているかを把握することができる。そのため、オペレータは、通知される逸脱度合いを目安にして操作装置26を操作することで、より容易に、上部旋回体3やアタッチメントを安定姿勢に対応する姿勢状態に到達させることができる。
尚、姿勢安定化処理部303は、ショベル500の安定姿勢からの逸脱度合いに代えて、或いは、加えて、ショベル500の動作状態の安定動作からの逸脱度合いを、表示装置50や音声出力装置52等を通じて、オペレータ等に通知してもよい。また、上述の警告出力処理、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理、及び安定姿勢逸脱度通知処理は、これらの全てが実行されてもよいし、これらの一部だけが実行されてもよい。また、警告出力処理、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理、及び安定姿勢逸脱度通知処理は、それぞれが独立して実行されてもよいし、一の処理が他の処理に従属する態様で実行されてもよい。具体的には、警告出力処理、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理、及び安定姿勢逸脱度通知処理は、同時に、実行されうる態様であってもよい。また、警告出力処理、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理、及び安定姿勢逸脱度通知処理は、例えば、警告出力処理による警告が出力された後に、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理、及び安定姿勢逸脱度通知処理等が実行されうるような従属的な実行態様であってもよい。
乗員保護処理部304は、制御適用条件が成立した場合、具体的に、乗員保護制御を行う。
例えば、乗員保護処理部304は、ショベル500の転倒等の際にオペレータを保護する安全装備の使用をオペレータに促す処理を行う。以下、当該処理動作を「使用確認通知処理」と称する。安全装備には、例えば、万が一、ショベル500が転倒した場合に、オペレータがキャビン10の外部に放り出されてしまう事態を防止する操縦席のシートベルトやキャビン10の窓等が含まれる。
具体的には、乗員保護処理部304(通知出力部の一例)は、音声出力装置52を通じて、安全装備の使用をオペレータに促す通知(使用確認通知)を行ってよい。つまり、乗員保護処理部304は、音声出力装置52を通じて、オペレータに対して、シートベルトの着用を促す音声通知を出力したり、音声出力装置52を通じて、オペレータに対して窓を閉めるように促す音声通知を出力してよい。
より具体的には、乗員保護処理部304は、ショベル500の起動時やゲートロックレバーが引き上げられた場合等、ショベル500の作業が開始される時点で、使用確認通知を行う。その前提の下で、乗員保護処理部304は、制御適用条件が成立した場合、つまり、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に、使用確認通知を行う(後述する図10A参照)。これにより、安全装備の使用をオペレータに促すことができ、仮に、ショベル500が転倒してしまった場合であっても、安全装備の使用によりオペレータがキャビン10の外部に放出されてしまうような事態を抑制できる。
また、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、安全装備が使用されていないときに、使用確認通知を行ってもよい(後述する図10B参照)。つまり、乗員保護処理部304は、制御適用条件が成立している場合、更に、安全装備が未使用である旨の条件(以下、「安全装備未使用条件」)が成立したときに、使用確認通知を行ってもよい。これにより、安全装備が使用されている場合、使用確認通知が行われないため、不要な使用確認通知を抑制すると共に、不要な使用確認通知が行われることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。具体的には、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、キャビン10の窓が開放されているときに、使用確認通知を行ってよい。また、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、シートベルトが装着されていないときに、使用確認通知を行ってよい。また、乗員保護処理部304は、キャビン10の窓の開放、及び、シートベルトの未装着の何れか一方の条件だけに該当するときに、該当する条件だけに対応する使用確認通知(窓を閉めるように促すだけの通知やシートベルトの装着だけを促す通知等)を行ってもよい。
尚、使用確認通知は、表示装置50を通じて、行われてもよい。この場合、使用確認通知に対応する画像は、教示画像に重畳して表示装置50に表示されてもよい。
また、例えば、乗員保護処理部304(第2動作制限部の一例)は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる場合、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合、安全装備が使用されていないときに、ショベル500の動作要素の動作を制限する(後述する図11A参照)。以下、当該処理を「第2動作制限処理」と称する。つまり、乗員保護処理部304は、制御適用条件が成立している場合、更に、安全装備未使用条件が成立したときに、ショベル500の動作要素の動作を制限する。このとき、乗員保護処理部304は、姿勢安定化処理部303による第1動作制限処理の場合と同様、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの全ての動作を制限してもよいし、一部の動作要素(例えば、転倒への影響が相対的に大きいと判断される動作要素だけ)の動作を制限してもよい。具体的には、乗員保護処理部304は、姿勢安定化処理部303による第1動作制限処理の場合と同様、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1を駆動する走行油圧モータ1A,1B、上部旋回体3を駆動する旋回油圧モータ21、並びに、アタッチメントを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のうちの少なくとも一つの操作装置26における操作に対応する動作を通常時よりも緩慢にしたり、停止させたりする。これにより、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの傾斜地における急激な動作や走行速度が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制し、安全装備を使用していないオペレータの安全確保を図ることができる。
また、乗員保護処理部304は、少なくとも、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある状態が継続している状況で、使用確認通知が行われたにも関わらず、安全装備が使用されないときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい(後述する図11B参照)。つまり、乗員保護処理部304は、制御適用条件が成立した場合、更に、使用確認通知が行われたにも関わらず、安全装備が未使用の状態が継続している旨の条件(以下、「安全装備未使用継続条件」)が成立しているときに、ショベル500の動作要素の動作を制限してもよい。これにより、使用確認通知によりオペレータに安全装備の使用を促しつつ、それでも、安全装備が使用されないときに限定して、下部走行体1の動作を制限することができる。そのため、安全装備を使用していないオペレータの安全確保を図りつつ、下部走行体1の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。
尚、上述の使用確認通知処理、第2動作制限処理は、双方が実行されてもよいし、使用確認通知処理だけが実行されてもよい。
[姿勢安定化制御装置の第1例に関する動作の詳細]
次に、図7~図11を参照して、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例の具体的な動作について説明する。
本例では、コントローラ30は、ショベル500が下部走行体1により傾斜地を下り方向に走行している場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、本例では、制御適用条件は、"下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していること"であり、条件判定部301は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行しているか否かを判定する。下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合、下部走行体1の走行状態(例えば、速度や加速度等)や上部旋回体3、及び、アタッチメントの姿勢状態によっては、ショベル500が下り方向に転倒する可能性が高まるからである。以下、「下り方向」には、下り傾斜方向だけでなく、傾斜面の傾斜方向に対して斜めに傾斜地を下る方向も含まれる。
具体的には、条件判定部301は、圧力センサ29、傾斜センサ40、及び、旋回角度センサ46のそれぞれから入力される、下部走行体1の操作状態に対応するパイロット圧、傾斜角、及び旋回角度の測定値に基づき、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行しているか否かを判定することができる。より具体的には、条件判定部301は、上部旋回体3を基準とする2軸における作業面の傾斜角の測定値に基づき、作業面の傾斜角Θを算出することにより、ショベル500が傾斜地にいるか否かを判定できる。また、条件判定部301は、傾斜センサ40による作業面の傾斜角Θの測定値と、上部旋回体3の旋回角度の測定値とに基づき、下部走行体1の向きを算出する。そして、条件判定部301は、算出した下部走行体1の向きと、下部走行体1の操作状態に対応するパイロット圧の測定値とに基づき、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行しているか否かを判定することができる。また、条件判定部301は、車体やアタッチメントに搭載される各種センサ(例えば、IMU等)の検出情報に基づき、ショベル500(車体)の位置や速度等に関する情報を取得し、取得した情報から下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行しているか否かを判定してもよい。
この際、条件判定部301は、ショベル500が位置する作業面の傾斜角Θが所定の閾値Θth以上の場合に、当該ショベル500が傾斜地にいると判断してもよい。ショベル500が傾斜地に進入する可能性があるか否かが判定される場合についても同様である。これにより、閾値Θthを適宜設定すれば、ショベル500の転倒が発生しにくい緩やかな傾斜地が除外されるため、不要な姿勢安定化制御や乗員保護制御を抑制することができる。後述する姿勢安定化制御装置200の第2例、第3例についても同様である。
また、閾値Θthは、重量センサ49の検出信号に対応するバケット6の内部に積載された土砂等の積載物の重量に応じて、可変されてもよい。具体的には、閾値Θthは、バケット6の内部に収容された土砂等や図示しないフックの吊荷等のアタッチメントの先端部における積載物の重量(積載重量)が重くなるほど、小さくなる態様であってよい。アタッチメントの先端部の積載重量が大きくなるほど、ショベル500が傾斜地の下り方向に転倒し易くなるからである。後述する姿勢安定化制御装置200の第2例、第3例についても同様である。
以下、条件判定部301により下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合のことを、単に、「下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合」と称する場合がある。
また、コントローラ30は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性がある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行ってもよい。つまり、制御適用条件は、"下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性があること"であり、条件判定部301は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性があるか否かを判定してもよい。これにより、コントローラ30は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する前に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を開始させることができるため、ショベル500の姿勢安定化や乗員保護の実現性を高め、ショベル500の安全性を更に向上させることができる。このとき、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する可能性がある場合には、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があり、且つ、ショベル500が侵入後に、傾斜地を下り方向に走行する可能性がある場合が含まれうる。
例えば、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、オペレータが操縦席に着座し、且つ、作業が所定時間以上停止している場合、ショベル500が傾斜地での作業を終了し、傾斜地を下り方向に走行する可能性があると判定することができる。この際、条件判定部301は、圧力センサ29から入力される操作装置26の操作状態に対応するパイロット圧の検出値に基づき、作業が停止しているか否かを判断できる。また、例えば、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、作業を停止した状態から下部走行体1の進行方向を下り方向に向ける方向転換が行われた場合、傾斜地での作業を終了し、傾斜地を下り方向に走行する可能性があると判定することができる。この際、条件判定部301は、圧力センサ29から入力されるペダル26Cの操作状態に対応する検出値に基づき、下部走行体1の進行方向を下り方向に向ける方向転換が行われたことを判定できる。
また、例えば、条件判定部301は、ショベル500が下部走行体1により頂上側の略水平な平面から傾斜地に向けて走行しており、且つ、頂上側の当該平面と傾斜地との境界までの距離が所定の閾値以下である場合、当該ショベル500が傾斜地に進入し、下り方向に走行する可能性があると判定できる。
以下、条件判定部301により、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性があると判定された場合のことを、単に、「下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性がある場合」と称する場合がある。
このように、本例では、姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)は、ショベル500が下部走行体1により傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、制御適用条件には、"下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していること"及び"下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性があること"の少なくとも一方が含まれる。
以下、姿勢安定化制御及び乗員保護制御に関する処理の詳細について説明する。
<警告出力処理の具体例>
図7(図7A,図7B)は、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による警告出力処理の具体例を示すフローチャートである。
まず、図7Aは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による警告出力処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベル500の運転中において、所定時間ごとに、繰り返し実行される。以下、後述する図7B、図8A、図8B、図9、図10A、図10B、図11A、図11Bのフローチャートについても同様である。
ステップS702Aにて、条件判定部301は、圧力センサ29、傾斜センサ40、及び旋回角度センサ46のそれぞれから入力される、下部走行体1の操作状態に対応するパイロット圧、傾斜角、及び旋回角度等の測定値を取得する。
ステップS704Aにて、条件判定部301は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行しているか否かを判定する。条件判定部301は、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合、ステップS706Aに進み、それ以外の場合、ステップS708Aに進む。
尚、本ステップにて、条件判定部301は、上述の如く、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性があるか否かを判定してもよい。また、本ステップにて、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態、及び、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行する可能性がある状態の何れか一方に該当するか否かを判定してもよい。以下、後述する図7B,図8A、図8B、図9、図10A、図10B、図11A、図11BのステップS704B,S804A,S804,S904,S1004A,S1004B,S1104A,S1104Bにおいても同様である。
ステップS706Aにて、姿勢安定化処理部303は、表示装置50や音声出力装置52を通じて、オペレータに対するショベル500の転倒への注意を促す警告を出力し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS708Aにて、姿勢安定化処理部303は、警告を出力せず、既に、警告が出力されている場合、警告を停止し、今回の処理を終了する。
下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合、下部走行体1の走行状態(例えば、速度や加速度等)や上部旋回体3、及び、アタッチメントの姿勢状態によっては、ショベル500が下り方向に転倒する可能性が高まる。これに対して、本例では、下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合に、警告が出力されるため、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する場合の下り方向への転倒に対する注意を促すことができる。
続いて、図7Bは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による警告出力処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS702B,S704Bの処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS704Bにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS706Bにて、姿勢取得部302は、ブーム角度センサ42、アーム角度センサ44、及び、旋回角度センサ46のそれぞれから入力される、ブーム角度、アーム角度、及び、旋回角度の測定値を取得する。
ステップS708Bにて、姿勢取得部302は、バケット位置を算出する。
ステップS710Bにて、姿勢安定化処理部303は、算出されたバケット位置に基づき、現在のショベル500の姿勢が不安定姿勢に該当するか否かを判定する。姿勢安定化処理部303は、現在のショベル500の姿勢が不安定姿勢に該当する場合、ステップS712Bに進み、それ以外の場合、ステップS714Bに進む。
ステップS712B,S714Bの処理は、図7AのステップS706A,S708Aと同じであるため、説明を省略する。
本例では、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、警告が出力されるため、上述の如く、ショベル500が不安定姿勢でない転倒しにくい状況で、警告が出力されることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
<第1動作制限処理の具体例>
図8(図8A、図8B)は、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第1動作制限処理の具体例を示すフローチャートである。
まず、図8Aは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第1動作制限処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS802A,S804Aの処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS804Aにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS806Aにて、姿勢安定化処理部303は、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作を制限し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS804Aにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していないと判定された場合、ステップS808Aにて、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1の動作制限を行わず、既に、下部走行体1の動作制限が行われている場合、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作制限を解除し、今回の処理を終了する。
上述の如く、下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合、下部走行体1の走行状態(例えば、速度や加速度等)や上部旋回体3、及び、アタッチメントの姿勢状態によっては、ショベル500が下り方向に転倒する可能性が高まる。これに対して、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合に、下部走行体1の動作が制限され、下部走行体1の傾斜地の下り方向への急激な動作や走行速度が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
尚、ステップS806Aにて、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1に代えて、或いは、加えて、上部旋回体3やアタッチメントの動作を制限してもよい。つまり、ステップS806Aにて、姿勢安定化処理部303は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの動作を制限してもよい。これにより、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合に、上部旋回体3の動作が制限されうる。これにより、例えば、アタッチメントが下り方向に向かうような上部旋回体3の旋回動作が行われる場合の急激な動作や旋回速度が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。また、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合に、アタッチメントの動作が制限されうる。これにより、例えば、アタッチメントの向きが下り方向である場合のアタッチメントの急激な動作や動作速度を抑制されるため、アタッチメントの慣性モーメントの急変動が抑制され、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。この場合、ステップS808Aにて、姿勢安定化処理部303は、ステップS806Aで動作制限対象或いは動作停止対象となる動作要素に対応する減圧弁54に制御指令を出力する。また、図7Bと同様、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの動作が制限されてもよい。これにより、不安定姿勢のショベル500の転倒を抑制しつつ、不安定姿勢でないショベル500、つまり、転倒しにくい姿勢状態のショベル500の下部走行体1等の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。この場合、当該処理は、本例のステップS804Aと、ステップS806A,S808Aとの間に、図7BのステップS706B~S710Bの処理が追加されることにより実現される。
続いて、図8Bは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第1動作制限処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS802B,S804Bの処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS804Bにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS806Bにて、姿勢安定化処理部303は、直近の警告出力(警告開始)からステップS804Bの条件に相当する状態が継続しているか否かを判定する。つまり、姿勢安定化処理部303は、直近の警告開始から下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続しているか否かを判定する。例えば、姿勢安定化処理部303は、警告が開始された後、ステップS804Bの処理で判定条件が成立すると、フラグをインクリメントし、一方、判定条件が成立しないと、フラグを初期化(ゼロ)にする。これにより、姿勢安定化処理部303は、当該フラグの値に基づき、直近の警告開始から下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続しているか否かを判定できる。姿勢安定化処理部303は、当該条件を満足する場合、ステップS808Bに進み、当該条件を満足しない場合、ステップS822Bに進む。
ステップS808Bにて、姿勢安定化処理部303は、直近の警告出力(警告開始)から所定時間T11(>0)以上経過したか否かを判定する。姿勢安定化処理部303は、直近の警告出力から所定時間T11以上経過している場合、ステップS810Bに進み、それ以外の場合、ステップS822Bに進む。
ステップS810B~S814Bの処理は、図7BのステップS706B~S710Bと同じであるため、説明を省略する。
ステップS814Bにて、ショベル500が不安定姿勢であると判定された場合、ステップS816Bにて、姿勢安定化処理部303は、直近の警告出力(警告開始)から所定時間T12(>T11)以上経過したか否かを判定する。姿勢安定化処理部303は、直近の警告出力から所定時間T12以上経過している場合、ステップS818Bに進み、それ以外の場合、ステップS820Bに進む。
ステップS818Bにて、姿勢安定化処理部303は、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作を停止させて、今回の処理を終了する。
一方、ステップS820Bにて、姿勢安定化処理部303は、減圧弁54に制限指令を出力することにより、下部走行体1の動作を制限し、その動作を緩やかに(緩慢化)し、今回の処理を終了する。
他方、ステップS804B,S806B,S808B,S814Bの判定条件が成立しなかった場合、ステップS822Bにて、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1の動作制限を行わず、既に、下部走行体1の動作制限(動作の緩慢化或いは動作停止)が行われている場合、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作制限を解除し、今回の処理を終了する。
本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続している状況で、警告が出力されたにも関わらず、ショベル500が不安定姿勢であるときに、下部走行体1の動作が制限される。具体的には、ショベル500が傾斜地にいる状況で、警告が出力されてから所定時間T11以上経過し、且つ、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続している場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、下部走行体1の動作が制限される。これにより、上述の如く、警告によるショベル500の転倒への注意喚起を前提としつつ、それでも、ショベル500が不安定姿勢のままであるときに限定して、下部走行体1の動作を制限することができる。そのため、ショベル500の転倒を抑制しつつ、下部走行体1の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を更に抑制することができる。
また、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続する状況で、ショベル500が不安定姿勢のまま、警告が出力されてから所定時間T11以上経過すると、下部走行体1の動作が制限される。そして、そのまま、警告が出力されてから所定時間T12以上経過すると、下部走行体1の動作が停止される。つまり、警告からの時間経過に応じて、段階的に下部走行体1の制限度合いが高くなり、最終的に、停止される。これにより、まず、下部走行体1の動作を緩やかにする態様で制限することで、ショベル500が不安定姿勢を脱する時間的猶予を付与しつつ、それでも、ショベル500の不安定姿勢が改善されない場合、最終的に、下部走行体1の動作を停止させ、安全確保を図ることができる。
尚、図8AのステップS806Aの場合と同様、ステップS818B,S820Bにて、姿勢安定化処理部303は、下部走行体1に代えて、或いは、加えて、上部旋回体3やアタッチメントの動作を制限或いは停止してもよい。つまり、ステップS818B,S820Bにて、姿勢安定化処理部303は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの動作を制限或いは停止してもよい。この場合、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントのうち、ステップS818Bの動作停止対象の動作要素と、ステップS820Bの動作制限対象の動作要素とは、同じであってよい。また、ステップS822Bにて、姿勢安定化処理部303は、ステップS818B,820Bで動作制限対象或いは動作停止対象となる動作要素に対応する減圧弁54に制御指令を出力する。
<安定姿勢教示処理の具体例>
図9は、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による安定姿勢教示処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS902,S904の処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS904にて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS906にて、姿勢安定化処理部303は、表示装置50や音声出力装置52を通じて、オペレータに対して、ショベル500の安定姿勢を教示し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS904にて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していないと判定された場合、ステップS908にて、姿勢安定化処理部303は、オペレータに対するショベル500の安定姿勢の教示を行わず、既に、ショベル500の安定姿勢の教示が開始されている場合、当該教示を停止し、今回の処理を終了する。
上述の如く、下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合、下部走行体1の走行状態(例えば、速度や加速度等)や上部旋回体3、及び、アタッチメントの姿勢状態によっては、ショベル500が下り方向に転倒する可能性がある。これに対して、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合、ショベル500の安定姿勢がオペレータに教示される。これにより、オペレータは、上述の如く、ショベル500の上部旋回体3やアタッチメント等の姿勢が教示された安定姿勢に近づくように、上部旋回体3やアタッチメントの操作を行うことができる。そのため、コントローラ30は、ショベル500が下り方向に走行している場合の下り方向への転倒等を抑制することができる。
尚、図7Bと同様、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、ショベル500の安定姿勢がオペレータに教示されてもよい。これにより、オペレータに対して、不安定姿勢にあるショベル500を安定姿勢に近づける、アタッチメントや上部旋回体3の操作を促しつつ、既に安定姿勢にあるショベル500のオペレータに対する不要な安定姿勢の教示を抑制することができる。この場合、当該処理は、本例のステップS904と、ステップS906,S908との間に、図7BのステップS706B~S710Bの処理が追加されることにより実現される。
<使用確認通知処理の具体例>
図10(図10A,図10B)は、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による使用確認通知処理の具体例を示すフローチャートである。
まず、図10Aは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による使用確認通知処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS1002A,S1004Aの処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS1004Aにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS1006にて、乗員保護処理部304は、音声出力装置52を通じて、オペレータに対する使用確認通知を出力し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS1008Aにて、乗員保護処理部304は、使用確認通知の出力を行わず、既に、使用確認通知の出力が開始されている場合、当該通知を停止し、今回の処理を終了する。
上述の如く、下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している場合、下部走行体1の走行状態(例えば、速度や加速度等)や上部旋回体3、及び、アタッチメントの姿勢状態によっては、ショベル500が下り方向に転倒する可能性がある。これに対して、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している場合、使用確認通知が出力される。これにより、安全装備の使用をオペレータに促し、ショベル500が転倒してしまった場合であっても、安全装備の使用によって、オペレータがキャビン10の外部に放出されてしまうような事態を抑制できる。
尚、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続する限り、使用確認通知が出力され続けるが、例えば、使用確認通知の出力開始から所定時間経過すると、停止される態様であってもよいし、音声による使用確認通知が所定回数だけ再生されると、停止される態様であってもよい。これにより、オペレータに対して、安全装備の使用を促しつつ、使用確認通知が出力され続けることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
続いて、図10Bは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による使用確認通知処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS1002B,S1004Bの処理は、図7AのステップS702A,S704Aと同じであるため、説明を省略する。
ステップS1004Bにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS1006Bにて、乗員保護処理部304は、窓開閉状態検出部47及びシートベルト装着状態検出部48から入力される、キャビン10の窓の開閉状態及びシートベルトの装着状態に関する情報を取得する。
ステップS1008Bにて、乗員保護処理部304は、キャビン10の窓が開いている状態、又は、シートベルトが未装着の状態か否かを判定する。乗員保護処理部304は、キャビン10の窓が開いている、或いは、シートベルトが未装着である場合、ステップS1010Bに進み、キャビン10の窓が閉じられ、且つ、シートベルトが装着されている場合、ステップS1012Bに進む。
ステップS1010B,S1012Bの処理は、図10AのステップS1006A,S1008Aと同じであるため、説明を省略する。
本例では、安全装備が使用されていないとき(窓が開放されている、或いは、シートベルトが未装着であるとき)に限定して、使用確認通知が行われるため、上述の如く、不要な使用確認通知を抑制すると共に、不要な使用確認通知が行われることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
<第2動作制限処理の具体例>
図11(図11A、図11B)は、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第2動作制限処理の具体例を示すフローチャートである。
まず、図11Aは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第2動作制限処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS1102A~S1108の処理は、図10BのステップS1002B~S1008Bと同じであるため、説明を省略する。
ステップS1108Aにて、キャビン10の窓が開いている、或いは、シートベルトが未装着であると判定された場合、ステップS1110Aにて、乗員保護処理部304は、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作を制限し、今回の処理を終了する。
一方、ステップS1108Aにて、キャビン10の窓が閉じており、且つ、シートベルトが装着されていると判定された場合、ステップS1112Aにて、乗員保護処理部304は、下部走行体1の動作制限を行わず、既に、下部走行体1の動作制限が行われている場合、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作制限を解除し、今回の処理を終了する。
本例では、安全装備が使用されていない場合、下部走行体1の動作が制限される。これにより、下部走行体1の傾斜地の下り方向への急激な動作や走行速度が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制し、安全装備を使用していないオペレータの安全確保を図ることができる。
尚、図8AのステップS806Aの場合と同様、ステップS1110Aにて、乗員保護処理部304は、下部走行体1に代えて、或いは、加えて、上部旋回体3やアタッチメントの動作を制限してもよい。つまり、ステップS1110Aにて、乗員保護処理部304は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの動作を制限してもよい。
続いて、図11Bは、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第1例に対応するコントローラ30による第2動作制限処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
ステップS1102B,S1104Bの処理は、図7AのステップS702A,S704Aの処理と同じであるため、説明を省略する。
ステップS1104Bにて、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行していると判定された場合、ステップS1106Bにて、乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の出力(使用確認通知の開始)からステップS1104Bの条件に相当する状態が継続しているか否かを判定する。つまり、乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の開始から下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続しているか否かを判定する。例えば、乗員保護処理部304は、使用確認通知が開始された後、ステップS1104Bの処理で判定条件が成立すると、フラグをインクリメントし、一方、判定条件が成立しないと、フラグを初期化する(ゼロにする)。これにより、乗員保護処理部304は、当該フラグの値に基づき、直近の使用確認通知の開始から下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続しているか否かを判定できる。乗員保護処理部304は、当該条件を満足する場合、ステップS1108Bに進み、当該条件を満足しない場合、ステップS1120Bに進む。
ステップS1108Bにて、乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の出力(使用確認通知の開始)から所定時間T21(>0)以上経過したか否かを判定する。乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の開始から所定時間T21以上経過している場合、ステップS1110Bに進み、それ以外の場合、ステップS1120Bに進む。
ステップS1110B,S1112Bの処理は、図10BのステップS1006B,S1008Bと同じであるため、説明を省略する。
ステップS1112Bにて、キャビン10の窓が開いている、或いは、シートベルトが未装着であると判定された場合、ステップS1114Bにて、乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の出力(使用確認通知の開始)から所定時間T22(>T21)以上経過したか否かを判定する。乗員保護処理部304は、直近の使用確認通知の出力から所定時間T22以上経過している場合、ステップS1116Bに進み、それ以外の場合、ステップS1118Bに進む。
ステップS1116Bにて、乗員保護処理部304は、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作を停止させて、今回の処理を終了する。
一方、ステップS1118Bにて、乗員保護処理部304は、減圧弁54に制限指令を出力することにより、下部走行体1の動作を制限し、その動作を緩やかに(緩慢化)し、今回の処理を終了する。
尚、図8AのステップS806Aの場合と同様、ステップS1116B,S1118Bにて、乗員保護処理部304は、下部走行体1に代えて、或いは、加えて、上部旋回体3やアタッチメントの動作を制限或いは停止してもよい。つまり、ステップS1116B,S1118Bにて、乗員保護処理部304は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントの少なくとも一つの動作を制限或いは停止してもよい。この場合、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントのうち、ステップS1116Bの動作停止対象の動作要素と、ステップS1118Bの動作制限対象の動作要素とは、同じであってよい。
他方、ステップS1104B,S1106B,S1108B,S1112Bの判定条件が成立しなかった場合、ステップS1120Bにて、乗員保護処理部304は、下部走行体1の動作制限を行わず、既に、下部走行体1の動作制限(動作の緩慢化或いは動作停止)が行われている場合、減圧弁54に制御指令を出力することにより、下部走行体1の動作制限を解除し、今回の処理を終了する。
本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続している状況で、使用確認通知が行われたにも関わらず、安全装備が使用されないときに、下部走行体1の動作が制限される。これにより、上述の如く、使用確認通知によりオペレータに安全装備の使用を促しつつ、それでも、安全装備が使用されないときに限定して、下部走行体1の動作を制限することができる。そのため、安全装備を使用していないオペレータの安全確保を図りつつ、下部走行体1の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。
また、本例では、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している状態が継続する状況で、安全装備が使用されないまま、使用確認通知が出力されてから所定時間T21以上経過すると、下部走行体1の動作が制限される。そして、そのまま、使用確認通知が出力されてから所定時間T22以上経過すると、下部走行体1の動作が停止される。つまり、使用確認通知の開始からの時間経過に応じて、段階的に下部走行体1の制限度合いが高くなり、最終的に、停止される。これにより、上述の如く、下部走行体1の動作を緩やかにする態様で制限することで、窓を閉めたり、シートベルトを装着したりする時間的猶予を付与しつつ、それでも、安全装備が使用されない場合、最終的に、下部走行体1の動作を停止させ、安全確保を図ることができる。
<作用>
このように、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、ショベル500の下り方向への転倒に対する注意を促す警告を出力する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、ショベル500が傾斜地を下り方向に走行する場合の下り方向への転倒に対する注意を促すことができる。そのため、ショベル500の傾斜地の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、警告を出力する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、現在のショベル500の姿勢が安定姿勢から逸脱していることを認識させることができる。従って、オペレータに対して、ショベル500の不安定姿勢の改善を促し、より確実に、ショベル500の転倒を回避させることができる。また、ショベル500が不安定姿勢であるときに限定して、ショベル500の下り方向への転倒に対する注意を促す警告が出力されるため、ショベル500が不安定姿勢でない転倒しにくい状況で、警告が出力されることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、下部走行体1の動作を制限する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、下部走行体1の傾斜地の下り方向への急激な動作や走行速度が抑制されるため、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、警告が出力されてから所定時間T11以上経過し、且つ、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある状態が継続している場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、下部走行体1の動作を制限する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、不安定姿勢のショベル500の転倒を抑制しつつ、不安定姿勢でないショベル500、つまり、転倒しにくい姿勢状態のショベルの下部走行体1の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、ショベル500の転倒を抑制する安定姿勢をオペレータに教示する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、ショベル500の安定姿勢を実現させる操作を促すことができる。従って、ショベル500が下部走行体1により傾斜地を下り方向に走行する場合に、オペレータによる操作に応じて、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、ショベル500が不安定姿勢であるときに、安定姿勢をオペレータに教示する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、不安定姿勢にあるショベル500を安定姿勢に近づける、アタッチメントや上部旋回体3の操作を促しつつ、既に安定姿勢にあるショベル500のオペレータに対する不要な安定姿勢の教示を抑制することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、バケット6が相対的に地面に近くなるように、アタッチメントの操作をオペレータに促すことにより、安定姿勢を教示する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、ショベル500の安定姿勢を実現するためのアタッチメントの具体的な操作方法を教示することができる。また、バケット6が相対的に地面に近くなるように、アタッチメントが操作されることにより、上述の如く、仮に、ショベル500が傾斜地の下り方向に転倒しそうになっても、バケット6が地面に接地し、具体的に、ショベル500の転倒を回避させることができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、上部旋回体3におけるアタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差が小さくなるように、上部旋回体3の操作をオペレータに促すことにより、安定姿勢を教示する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、ショベル500の安定姿勢を実現するための上部旋回体3の具体的な操作方法を教示することができる。また、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差を小さくするように、上部旋回体3が旋回操作されることにより、下部走行体1の走行方向側の地面に対して、バケット6を確実に接地させることができる。その結果、アタッチメントが下部走行体1の走行方向側でしっかりと突っ張ることができる。従って、より確実に、ショベル500の転倒を回避させることができる。
また、本例では、安定姿勢は、バケット6と地面との間の高さがキャビン10の高さ方向の寸法を基準として規定される閾値Hth2以下である、アタッチメントの姿勢状態に対応する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、安定姿勢として、バケット6が比較的地面に近くなるようなアタッチメントの姿勢状態を、オペレータに対して、具体的に教示することができる。
また、本例では、安定姿勢は、平面視で見たときの上部旋回体3におけるアタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との角度差が、平面視で見たときのバケット6と下部走行体1との幅方向の位置関係を基準として規定される閾値θth2以下である、上部旋回体3の旋回状態に対応する。
これにより、安定姿勢として、アタッチメントの姿勢状態に加えて、アタッチメントの向きと下部走行体1の走行方向との差が極力小さくなるような上部旋回体3の旋回状態を、オペレータに対して、具体的に教示することができる。
また、本例では、姿勢安定化処理部303は、安定姿勢に対応するショベル500の画像(例えば、ショベル画像601)を表示装置50に表示させることにより、安定姿勢をオペレータに教示する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、オペレータに対して、直感的に、ショベル500の安定姿勢を把握させることができる。
また、本例では、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、キャビンの窓を閉めるように促す通知、又は、シートベルトの装着を促す通知をオペレータに向けて出力する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、シートベルトの装着やキャビン10の閉窓等、安全装備の適切な使用をオペレータに促すことができる。そのため、仮に、ショベル500が傾斜地の下り方向に転倒してしまった場合であっても、オペレータのキャビン10の外部への放出を抑制することができる。
また、本例では、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、窓が閉じられていない、或いは、シートベルトが装着されていないときに、通知をオペレータに向けて出力する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、窓が閉じられ、シートベルト装着されているような場合に、使用確認通知を行わないため、不要な使用確認通知を抑制することができる。従って、不要な使用確認通知が行われることによるオペレータの煩わしさを抑制することができる。
また、本例では、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある場合、窓が閉じられていない、或いは、シートベルトが装着されていないときに、下部走行体1の動作を制限する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、下部走行体1の傾斜地の下り方向への急激な動作や走行速度を抑制することができる。従って、ショベル500の下り方向への転倒を抑制し、窓を開放している、或いは、シートベルトを装着していないオペレータの安全確保を図ることができる。
また、本例では、乗員保護処理部304は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、乗員保護処理部304により通知が出力されてから所定時間T21以上経過し、且つ、下部走行体1が傾斜地を下り方向に走行している、或いは、走行する可能性がある状態が継続している場合、窓が閉じられていない、或いは、シートベルトが装着されていないときに、下部走行体1の動作を制限する。
これにより、ショベル500(姿勢安定化制御装置200)は、使用確認通知によりオペレータに窓を閉じることやシートベルトの装着を促しつつ、それでも、改善されないときに限定して、下部走行体1の動作を制限することができる。そのため、窓を開放している、或いは、シートベルトを装着していないオペレータの安全確保を図りつつ、下部走行体1の動作が制限されることによるオペレータの違和感や作業性の低下等を抑制することができる。
尚、本例において、姿勢安定化処理部303や乗員保護処理部304は、当然の如く、下部走行体1が傾斜地の下り方向に走行している、或いは、下り方向に走行する可能性がある場合に代えて、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行うようにしてもよい。ショベル500が傾斜地で作業する場合、下部走行体1の走行の有無に依らず、例えば、上部旋回体3やアタッチメントの動作に応じて、傾斜地の下り方向への転倒が生じうるからである。また、ショベル500が傾斜地で作業する場合、最終的には、作業を終了し、傾斜地の下り方向に下部走行体1が走行する可能性が高いからである。この場合、条件判定部301は、例えば、上述のステップS704A,S704B,S804A,S804B,S904,S1004A,S1004B,S1104A,S1104Bにおいて、ショベル500が傾斜地にいること、或いは、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があることの何れかに該当するか否かを判定してよい。また、本例では、姿勢安定化処理部303による各種処理(警告出力処理、第1動作制限処理、安定姿勢教示処理等)と併せて、乗員保護処理部304による使用確認通知処理や第2動作制限処理が実行されるが、乗員保護処理部304による使用確認通知処理及び第2動作制限処理の少なくとも一方だけが実行されてもよい。以下、後述する姿勢安定化制御装置200の第2例、第3例についても同様である。
また、本例について、更に以下を開示する。
(1)
走行体と、
旋回自在に前記走行体に搭載される旋回体と、
前記旋回体に取り付けられ、ブーム、アーム、及びバケットを含むアタッチメントと、を備えるショベルであって、
当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、当該ショベルの前記下り方向への転倒に対する注意をオペレータに促す警告を出力する警告出力部を更に備える、
ショベル。
(2)
前記警告出力部は、当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、当該ショベルが前記転倒を助長する不安定姿勢であるときに、前記警告を出力する、
(1)に記載のショベル。
(3)
当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、当該ショベルが前記転倒を助長する不安定姿勢であるときに、前記走行体の動作を制限する第1動作制限部を更に備える、
(1)又は(2)に記載のショベル。
(4)
前記第1動作制限部は、当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記警告出力部により前記警告が出力されてから所定時間以上経過し、且つ、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある状態が継続している場合、当該ショベルが前記転倒を助長する不安定姿勢であるときに、前記走行体の動作を制限する、
(3)に記載のショベル。
(5)
当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、当該ショベルの前記転倒を抑制する安定姿勢をオペレータに教示する教示部を更に備える、
(1)乃至(4)の何れか一項に記載のショベル。
(6)
前記教示部は、当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、当該ショベルが前記転倒を助長する不安定姿勢であるときに、前記安定姿勢をオペレータに教示する、
(5)に記載のショベル。
(7)
前記教示部は、前記バケットが相対的に地面に近くなるように、前記アタッチメントの操作をオペレータに促すことにより、前記安定姿勢を教示する、
(5)又は(6)に記載のショベル。
(8)
前記教示部は、平面視で見たときの前記旋回体における前記アタッチメントの延出方向と前記走行体の走行方向との差が小さくなるように、前記旋回体の操作をオペレータに促すことにより、前記安定姿勢を教示する、
(7)に記載のショベル。
(9)
前記安定姿勢は、前記バケットと地面との間の高さがキャビンの高さ方向の寸法を基準として規定される第1閾値以下である、前記アタッチメントの姿勢状態に対応する、
(5)乃至(8)の何れか一項に記載のショベル。
(10)
前記安定姿勢は、平面視で見たときの前記旋回体における前記アタッチメントの延出方向と前記走行体の走行方向との角度差が、平面視で見たときの前記バケットと前記走行体との幅方向の位置関係を基準として規定される第2閾値以下である、前記旋回体の旋回状態に対応する、
(9)に記載のショベル。
(11)
キャビン内に設けられる表示装置を更に備え、
前記教示部は、前記安定姿勢に対応するショベルの画像を前記表示装置に表示させることにより、前記安定姿勢をオペレータに教示する、
(5)乃至(10)の何れか一項に記載のショベル。
(12)
当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、キャビンの窓を閉めるように促す通知、又は、シートベルトの装着を促す通知をオペレータに向けて出力する通知出力部を更に備える、
(1)乃至(11)の何れか一項に記載のショベル。
(13)
前記通知出力部は、当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、前記窓が閉じられていない、又は、前記シートベルトが装着されていないときに、前記通知をオペレータに向けて出力する、
(12)に記載のショベル。
(14)
当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある場合、前記窓が閉じられていない、又は、前記シートベルトが装着されていないときに、前記走行体の動作を制限する第2動作制限部を更に備える、
(12)又は(13)に記載のショベル。
(15)
前記第2動作制限部は、当該ショベルが傾斜地にいる状況で、前記通知出力部により前記通知が出力されてから所定時間以上経過し、且つ、前記走行体が傾斜地を下り方向に走行している、又は、走行する可能性がある状態が継続している場合、前記窓が閉じられていない、又は、前記シートベルトが装着されていないときに、前記走行体の動作を制限する、
(14)に記載のショベル。
[姿勢安定化制御装置の第2例に関する動作の詳細]
次に、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第2例の具体的な動作について説明する。
本例では、コントローラ30は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回している場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、条件判定部301は、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回しているか否かを判定する。アタッチメントが下り傾斜方向に近づくと、アタッチメントの自重によるショベル500を傾斜地の下り方向に転倒させようとする転倒モーメントが相対的に大きくなり、ショベル500が下り方向に転倒する可能性があるからである。また、アタッチメントが下り傾斜方向に近づくと、アタッチメントの動作に伴い、アタッチメントから機体(上部旋回体3)に作用する反力が、ショベル500を傾斜地の下り方向に転倒させようとする転倒モーメントとして作用し、ショベル500が下り方向に転倒する可能性があるからである。
具体的には、条件判定部301は、圧力センサ29、傾斜センサ40、及び、旋回角度センサ46等のそれぞれから入力される、上部旋回体3の操作状態に対応するパイロット圧、傾斜角、及び旋回角度等の測定値に基づき、上部旋回体3が、アタッチメントの向きが下り傾斜方向に向かうように、旋回しているか否かを判定することができる。より具体的には、条件判定部301は、上部旋回体3を基準とする2軸における作業面の傾斜角の測定値に基づき、作業面の傾斜角Θを算出することにより、ショベル500が傾斜地にいるか否かを判定できる。そして、条件判定部301は、上部旋回体3を基準とする作業面の傾斜角Θ、上部旋回体3の旋回角度の測定値、及び上部旋回体3の操作状態に対応するパイロット圧の測定値等に基づき、上部旋回体3が、アタッチメントの向きが下り傾斜方向に向かうように、旋回しているか否かを判定することができる。
以下、条件判定部301により、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回していると判定された場合のことを、単に、「上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回している場合」と称する場合がある。
また、コントローラ30は、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性がある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行ってもよい。つまり、条件判定部301は、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性があるか否かを判定してもよい。これにより、コントローラ30は、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する前に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を開始させることができるため、ショベル500の姿勢安定化や乗員保護の実現性を高め、ショベル500の安全性を更に向上させることができる。このとき、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性がある場合には、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があり、且つ、ショベル500が侵入後に、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性がある場合が含まれうる。
例えば、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、オペレータが操縦席に着座し、且つ、作業が所定時間以上停止しており、且つ、アタッチメントの向きが下り方向でない場合、傾斜地での作業を終了し、傾斜地を下り方向に走行する前に、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、上部旋回体3が旋回する可能性があると判定することができる。
以下、条件判定部301により、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性があると判定された場合のことを、単に、「上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性がある場合」と称する場合がある。
このように、本例では、姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)は、上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回している、或いは、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性がある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、制御適用条件には、"上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回している、或いは、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性があること"が含まれる。
本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による姿勢安定化制御に関する処理の詳細は、上述した図7A、図7B、図8A、図8B、図9のフローチャートにおいて、ステップS704A,S704B,S804A,S804B,S904の処理が、"上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回しているか否か"を判定する処理に置換されることにより実現される。また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による姿勢安定化制御に関する処理の詳細は、上述した図7A、図7B、図8A、図8B、図9のフローチャートにおいて、ステップS704A,S704B,S804A,S804B,S904の処理が、"アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性があるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現されてもよい。
これにより、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、上部旋回体3が旋回している、或いは、その可能性がある状況で、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による乗員保護制御に関する処理の詳細は、上述した図10A、図10B、図11A、図11Bのフローチャートにおいて、ステップS1004A,S1004B,S1104A,S1104Bの処理が、"上部旋回体3が、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回しているか否か"を判定する処理に置換されることにより実現される。また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による乗員保護制御に関する処理の詳細は、上述した図10A、図10B、図11A、図11Bのフローチャートにおいて、ステップS1004A,S1004B,S1104A,S1104Bの処理が、"アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、旋回する可能性があるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現されてもよい。
これにより、アタッチメントの向きを下り傾斜方向に向かわせるように、上部旋回体3が旋回している、或いは、その可能性がある状況で、安全装備の使用をオペレータに促したり、安全装備を未使用の乗員の安全を確保したりすることができる。
[姿勢安定化制御装置の第3例に関する動作の詳細]
次に、本実施形態に係る姿勢安定化制御装置200の第3例の具体的な動作について説明する。
本例では、コントローラ30は、ショベル500が傾斜地にいる状況で、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態にある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否かを判定する。例えば、アタッチメントの向きが傾斜地の下り方向に向いていなくても、バケット6の高さが相対的に高いアタッチメントの姿勢状態、或いは、バケット6の高さを相対的に高くするようなアタッチメントの動作状態が成立していると、その後、そのままの姿勢状態或いは動作状態で、上部旋回体3が旋回操作され、アタッチメントが下り方向に向いてしまった場合に、ショベル500が下り方向に転倒する可能性があるからである。
具体的には、条件判定部301は、圧力センサ29、傾斜センサ40、及び、旋回角度センサ46のそれぞれから入力される、下部走行体1やアタッチメントの操作状態に対応するパイロット圧、傾斜角の測定値等に基づき、ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否かを判定することができる。より具体的には、条件判定部301は、上部旋回体3を基準とする2軸における作業面の傾斜角の測定値に基づき、作業面の傾斜角Θを算出することにより、ショベル500が傾斜地にいるか否かを判定できる。また、条件判定部301は、姿勢取得部302により取得される姿勢情報を利用することにより、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否かを判定することができる。
以下、条件判定部301により、ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であると判定された場合のことを、単に、「ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態である場合」と称する場合がある。
また、コントローラ30は、ショベル500が傾斜地に進入する可能性がある状況で、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態にある場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行ってもよい。つまり、条件判定部301は、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否かを判定してもよい。これにより、コントローラ30は、ショベル500が傾斜地に実際に進入する前に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を開始させることができるため、ショベル500の姿勢安定化や乗員保護の実現性を高め、ショベル500の安全性を更に向上させることができる。
具体的には、条件判定部301は、不揮発性の内部メモリ等に予め登録される作業現場の地形情報やショベル500に搭載される空間認識装置の検出情報等と、下部走行体1の動作状態に対応するパイロット圧の測定値に基づき、ショベル500が傾斜地に進入する可能性があるか否かを判定することができる。
このように、本例では、姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)は、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性があり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態である場合に、姿勢安定化制御や乗員保護制御を行う。つまり、制御適用条件には、"ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性があり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であること"が含まれる。
本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による姿勢安定化制御に関する処理の詳細は、上述した図7A、図7B、図8A、図8B、図9のフローチャートにおいて、ステップS704A,S704B,S804A,S804B,S904の処理が、"ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現される。また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による姿勢安定化制御に関する処理の詳細は、上述した図7A、図7B、図8A、図8B、図9のフローチャートにおいて、ステップS704A,S704B,S804A,S804B,S904の処理が、"ショベル500が傾斜地に進入する可能性があり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現されてもよい。
これにより、アタッチメントが下り方向に向いてしまうと、ショベル500が不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態になってしまうような状況で、ショベル500の下り方向への転倒を抑制することができる。
また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による乗員保護制御に関する処理の詳細は、上述した図10A、図10B、図11A、図11Bのフローチャートにおいて、ステップS1004A,S1004B,S1104A,S1104Bの処理が、"ショベル500が傾斜地におり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現される。また、本例の姿勢安定化制御装置200(コントローラ30)による乗員保護制御に関する処理の詳細は、上述した図10A、図10B、図11A、図11Bのフローチャートにおいて、ステップS1004A,S1004B,S1104A,S1104Bの処理が、"ショベル500が傾斜地に進入する可能性があり、且つ、アタッチメントが、傾斜地の下り方向に向いていると仮定したときにショベル500の不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態であるか否か"を判定する処理に置換されることにより実現されてもよい。
これにより、アタッチメントが下り方向に向いてしまうと、ショベル500が不安定姿勢に対応する姿勢状態或いは不安定動作に対応する動作状態になってしまうような状況で、安全装備の使用をオペレータに促したり、安全装備を未使用の乗員の安全を確保したりすることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ショベル500は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性があることを前提として、使用確認通知が出力されるが、当該態様には、限定されない。例えば、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合か否かに依らず、窓を開放している、或いは、シートベルトを装着していないとき等、安全装備が使用されていないとき(つまり、安全装備未使用条件が成立しているとき)、使用確認通知が出力されてもよい。これにより、ショベル500が傾斜地にいる或いは傾斜地に進入する可能性があるような状況以外でも、安全装備を未使用のオペレータ等の乗員に対して、安全装備の使用を促すことができる。
また、同様に、上述した実施形態及び変形例では、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性があることを前提として、窓を開放している、或いは、シートベルトを装着していないときに、下部走行体1等の動作が制限されるが、当該態様には、限定されない。具体的には、ショベル500が傾斜地にいる、或いは、傾斜地に進入する可能性がある場合か否かに依らず、窓を開放している、或いは、シートベルトを装着していないとき等、安全装備が使用されていないとき(つまり、安全装備未使用条件が成立しているとき)、に、下部走行体1等の動作が制限されてもよい。これにより、ショベル500が傾斜地にいる或いは傾斜地に進入する可能性があるような状況以外でも、安全装備を使用していないオペレータの安全確保を図ることができる。
最後に、本願は、2017年9月7日に出願した日本国特許出願2017-172433号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。