JP7289233B2 - ポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents
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Description
[1]ポリビニルアルコール系ポリマーと活性炭粒子とを含有するポリビニルアルコール系繊維であって、前記ポリビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して前記活性炭粒子が10~900質量部含有し、結晶化度が60%以下である、ポリビニルアルコール系繊維。
[2]前記活性炭粒子の比表面積が300~3000m2/gである、前記[1]に記載のポリビニルアルコール系繊維。
[3]前記活性炭粒子の粒子径が0.1~100μmである、前記[1]または[2]に記載のポリビニルアルコール系繊維。
[4]前記ポリビニルアルコール系ポリマーの重合度が1200~20000である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のポリビニルアルコール系繊維。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載のポリビニルアルコール系繊維を少なくとも一部に含む繊維構造体。
本発明のPVA系繊維を構成するPVA系ポリマーは、ビニルアルコールユニットを主成分とするものであれば特に限定されず、他の構成単位を有していてもかまわない。このような構造単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン類;アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアミド類;ポリアルキレンオキシドを側鎖に有するアリルエーテル類;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;マレイン酸およびその塩またはその無水物やそのエステル等の不飽和ジカルボン酸等がある。このような変性ユニットの導入法は共重合による方法でも、後反応による方法でもよい。
本発明のPVA系繊維を構成する活性炭粒子は、目的に応じて必要な性能を有する活性炭であればよく、その種類、製法等は特に限定されない。活性炭はその原料から分類されることがあるが、例えば、木炭、竹、ヤシガラ、石炭チャート、植物性繊維質、木材、褐炭、泥炭、モミガラ、亜炭、ヤシ殻灰、低温乾留灰などの含炭素物質を原料とする活性炭などが具体例として挙げられる。
本発明のPVA系繊維の結晶化度は、60%以下であることが必要である。結晶化度が上記上限値を超える場合は、処理媒体の繊維内部への浸透性が低下し、吸着性が低下するためである。結晶化度の下限値については特に制限はないが、処理液中で溶解するおそれがあるため、好ましくは30%以上である。また、繊維強度および耐水性の観点から、結晶化度は40~60%であることが好ましく、特に50~60%であることが好ましい。なお、ここで言う「結晶化度」とは、後述の式(1)を用いて算出される繊維の結晶化度のことを言う。
<ポリビニルアルコール系繊維の作製>
平均重合度2400、けん化度99モル%のポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名「PVA-124」)100質量部と、平均粒子径6μmの活性炭粒子((株)クラレ製、商品名「クラレコール」(登録商標))150質量部とを、800質量部のDMSO中に分散させ、120℃の不活性ガス雰囲気下にてPVAを溶解し、紡糸原液を作製した。
実施例で使用した活性炭粒子の比表面積は、JIS Z 8830に準じて、BET法により測定した。以上の結果を表1に示す。
作製した繊維の結晶化度を示差走査熱量測定装置(島津製作所製示差走査熱量計「DSC-60」)を用いて評価した。より具体的には、窒素雰囲気下、50~300℃の温度範囲において20℃/分で昇温しながら結晶の融解ピークにおける吸熱量ΔH(J/g)を測定し、式(1)に示す通り、ポリビニルアルコールの完全結晶融解熱である174.5J/gに対する割合を結晶化度とした。以上の結果を表1に示す。
[数1]
結晶化度(%)=ΔH(J/g)/174.5(J/g)×100 (1)
紡糸性を、以下の評価基準に従って評価した。以上の結果を表1に示す。
○:乾湿式紡糸の際に、2時間連続して繊維が採取できた
×:乾湿式紡糸の際に、2時間連続して繊維が採取できなかった
吸着性の指標として、作製した繊維のメチレンブルーの吸着量を評価した。より具体的には、調製した400ppmのメチレンブルー水溶液に対し、0.3質量%となるように繊維を添加して、25℃にて3時間繊維を振とうした。そして、処理後の上澄み液を採取し、分光光度計を用いて波長665nmにおける光の吸光度を測定した。そして、以下の式(2)を用いて、作製した繊維1gあたりの吸着量を算出した。濃度の算出は0.5、1.0、5.0、10.0ppmのメチレンブルー水溶液を調製し、それぞれの吸光度を測定後、得られる検量線を用いて実施した。以上の結果を表1に示す。なお、上記吸着量が20mg/g以下の場合は、重量あたりの吸着性能に乏しいために、処理の際に大量の繊維を用いる必要があり、実用的では無い。
[数2]
メチレンブルーの吸着量(mg/g)=(未処理のメチレンブルー濃度(ppm)-処理後のメチレンブルー濃度(ppm))×0.03(L)/試験に用いた繊維質量0.1(g) (2)
活性炭粒子を850質量部に変更した以外は、実施例1と同様にPVA系繊維を作製した。得られた繊維を捲縮・カットし、カーディングを行ってシート状物(ウェブ)を形成した後、ニードルパンチ処理を行った。加工性は良好であり、柔軟な不織布が得られた。
そして、上述の実施例1と同様にして、結晶化度の測定、紡糸性および評価、吸着性の評価、結晶化度の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
活性炭粒子を30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にPVA系繊維を作製した。得られた繊維を捲縮・カットし、カーディングを行ってシート状物(ウェブ)を形成した後、ニードルパンチ処理を行った。加工性は良好であり、柔軟な不織布が得られた。
そして、上述の実施例1と同様にして、結晶化度の測定、紡糸性および評価、吸着性の評価、結晶化度の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
微量の硫酸を加え、pHを4にした水にホウ酸とポタジウムラウリルサルフェートを加え溶解し、ついで平均粒子径6μmの活性炭粒子((株)クラレ製、商品名「クラレコール」(登録商標))30質量部を少しずつ加えて攪拌し、活性炭を十分に分散させた後、平均重合度2400、けん化度99モル%のポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名「PVA-124」)100質量部を加え、加熱溶解し、紡糸原液とし、該原液を、孔径0.15mm、ホール数40のノズルを通して水酸化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを含む水よりなる固化浴中に湿式紡糸し、さらに乾燥、乾熱延伸した繊維を得た。そして、上述の実施例1と同様にして、結晶化度の測定、紡糸性および吸着性の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系ポリマーと活性炭粒子とを含有するポリビニルアルコール系繊維であって、前記ポリビニルアルコール系ポリマー100質量部に対して前記活性炭粒子が10~900質量部含有し、結晶化度が60%以下であり、前記活性炭粒子の比表面積が300~3000m 2 /gである、ポリビニルアルコール系繊維。
- 前記活性炭粒子の粒子径が0.1~100μmである、請求項1に記載のポリビニルアルコール系繊維。
- 前記ポリビニルアルコール系ポリマーの重合度が1200~20000である、請求項1または請求項2に記載のポリビニルアルコール系繊維。
- 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール系繊維を少なくとも一部に含む繊維構造体。
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