(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る電力変換システム200は、図3A及び図3Bに示すように、電力変換部6を備える。また電力変換システム200は、第1端子710(図1参照)と、第2端子720(図1参照)と、器体(筐体2の本体部20:図1、図2A及び図2B参照)と、を更に備える。ここでは一例として、電力変換システム200は、少なくとも電力変換装置1(電気機器A1)を備える。そして、電力変換部6、第1端子710、第2端子720、及び本体部20は、電力変換装置1に設けられているものとする。電力変換システム200は、図2Aに示すように、電力変換装置1以外に、1つ以上の太陽光発電モジュールS1等を備えてもよい。電力変換部6は、少なくとも直流電力を交流電力に変換する。
第1端子710には、直流電源P1(図3A参照:例えば太陽光発電モジュールS1等)と電気的に接続される第1電線W1(図1参照)が接続される。第2端子720には、第2電線W2(図1参照)が接続される。電力変換部6は、少なくとも第1端子710を介して直流電源P1から入力される直流電力を交流電力に変換して第2端子720を介して交流電力を出力する。
器体(筐体2の本体部20)は、電力変換部6、第1端子710、及び第2端子720を収容する。なお、図1は、電力変換装置1を図6のX3-X3で示す位置で切った断面図である。図4は、電力変換装置1を図1のX1-X1で示す位置で切った断面斜視図である。図6は、電力変換装置1を図1のX2-X2で示す位置で切った断面図である。
本実施形態では、第1端子710及び第2端子720は、図1に示すように、第1端子710に対する第1電線W1の接続方向F1が器体内において第2端子720に対する第2電線W2の接続方向F2と交差するように配置される。
この構成によれば、第1端子710及び第2端子720は、接続方向F1が接続方向F2と交差するように配置される。そのため、特許文献1に記載の電力変換装置に比べて、例えば、施工者が配線作業時に第1電線W1を誤って第2端子720に接続したり第2電線W2を誤って第1端子710に接続したりする可能性が低減される。その結果、本実施形態に係る電力変換システム200は、誤結線の発生の抑制を図ることができる。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る電力変換システム200及び電力変換装置1の全体構成について、図1~図7Bを参照して詳しく説明する。以下の説明において、図2AにおいてX軸に沿った方向を左右方向とし、X軸の正の向きを右側と規定する。またY軸に沿った方向を前後方向とし、Y軸の正の向きを前側と規定する。さらにZ軸に沿った方向を上下方向とし、Z軸の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、電力変換装置1(電気機器A1)の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
電力変換装置1は、図1、図2A、図2B及び図4に示すように、筐体2、ヒートシンクである放熱部4、基板5(メイン基板)、及び電力変換部6(図3A及び図3B参照)を備えている。また電力変換装置1は、端子ブロック7(図1参照)、第1サブ基板SB1(図6参照)、第2サブ基板SB2(図6参照)、及び機能部9(図7A及び図7B)等を更に備えている。
筐体2(本体部20)の設置場所は、例えば住宅等の施設の壁300(図2A及び図2B参照)等である。本体部20は、例えば、壁300に固定された取付部材を介して、壁300に取り付けられる。ここでは一例として、壁300は、屋内の壁である。
本実施形態に係る電力変換装置1は、図3Aに示すように、例えば電力変換システム200に適用され得る。電力変換システム200は、電力変換装置1、1つ以上の太陽光発電モジュールS1、蓄電池ユニットS6、リモートコントローラS2、及び分電盤S3を備えている。
電力変換装置1は、直流電源P1(太陽光発電モジュールS1及び蓄電池ユニットS6の少なくとも一方)から出力される直流電力を、交流電力に変換して、分電盤S3を介して負荷機器S5(照明器具、空調機器、テレビジョン等)に電力を供給する。電力変換装置1が出力する電力は、分電盤S3を介して、商用交流電源S4(系統電源)から受電しているときは系統に連系し、商用交流電源S4が停電しているときには自立端子722(図1参照)から負荷機器S5に出力される。さらに、商用交流電源S4、太陽光発電モジュールS1に由来する電力は、蓄電池ユニットS6の充電に用いられることも可能である。電力変換装置1が出力する交流電力のうち、負荷機器S5で使用されなかった交流電力は商用交流電源S4に逆潮流される。以下では、太陽光発電モジュールS1が、直流電源P1に相当するものとするが、例えば、蓄電池ユニットS6も直流電源P1に相当し得る。
電力変換装置1は、リモートコントローラS2と電気的に接続されており、リモートコントローラS2を用いて電力変換装置1の駆動条件の設定、及び太陽光発電モジュールS1の発電量の確認等を行うことができる。なお、電力変換装置1は、太陽光発電モジュールS1と組み合わせられるものに限定されず、燃料電池システム、風力発電システム等の発電システムによって発電される直流電力を交流電力に電力変換するものでもよい。
(2.2)電力変換部及び端子ブロック
電力変換部6は、複数のスイッチング素子を駆動することにより、入力電力を所定の電力に変換して出力するように構成される。電力変換部6は、少なくとも直流電力を交流電力に(ここでは双方向に)変換するインバータ回路を含む。また電力変換部6は、直流電力をDC-DC変換するDC-DCコンバータを含む。複数のスイッチング素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。複数のスイッチング素子は、後述するIPM(Intelligent Power Module)60に集約される。
具体的には、電力変換部6は、図3Bに示すように、モジュール化されたIPM60、DCノイズフィルタ回路61、ACノイズフィルタ回路62、DC(直流)リアクトル63、AC(交流)リアクトル64、及び制御回路65を有している。また電力変換部6は、連系運転用のリレー66、及び自立運転用のリレー67等を更に有している。電力変換部6を構成する複数の電子部品3のうち、IPM60、リレー66及び67、並びに、フィルタ回路61及び62等を構成する電子部品3(フィルムコンデンサ、コモンチョークコイル、電解コンデンサ等)は、基板5に実装されている。特にIPM60は、基板5における放熱部4と対向する背面52に実装されている(図6参照)。IPM60以外の電子部品3の多く(特にコンデンサ及びコモンチョークコイル等の背高部品)は、基板5の前面51に実装されている。IPM60は、基板5上に実装された第1発熱部品B11(発熱部品B1)に相当する。IPM60は、前後方向において扁平な矩形の箱状のモジュールである。
DCリアクトル63及びACリアクトル64は、基板5とは異なる位置に配置されている。詳細には、電力変換部6を構成する複数の電子部品3のうちのDCリアクトル63及びACリアクトル64は、図1に示すように、本体部20内の空間において、放熱部4の左横に配置されている。一方、基板5は、放熱部4の前方に配置されている。DCリアクトル63及びACリアクトル64は、基板5上に実装されていない第2発熱部品B12に相当する。
端子ブロック7は、図1に示すように、第1端子台71(直流用端子台)と、第2端子台72(交流用端子台)と、アース線用の端子とを含む。
第1端子台71は、図1に示すように、一対の第1端子710(直流端子)を有している。第1端子710は、例えばねじ端子である。一対の第1端子710の一方は正極側の端子であり、他方は負極側の端子である。一対の第1端子710の一次側には、直流電源P1(ここでは太陽光発電モジュールS1)と電気的に繋がっている一対の第1電線W1が、それぞれ接続され得る。一対の第1端子710の二次側には、バー状の一対の導電部M1が、それぞれ接続されている。すなわち、電力変換装置1は、一対の導電部M1を更に備えている。一対の第1端子710は、一対の導電部M1を介して、基板5に電気的に接続される。導電部M1は、銅又は銅合金等によって帯板状に形成された導電バーである。電力変換部6は、一対の第1端子710を介して直流電源P1から入力される直流電力を受け取る。なお、電力変換装置1が、太陽光発電モジュールS1に加えて、蓄電池ユニットS6にも接続される場合、第1端子台71は、上記一対の第1端子710に加えて、更に別の一対の第1端子710を有してもよい。
第2端子台72は、図1に示すように、複数の第2端子720(交流端子)を有している。複数の第2端子720は、例えば、3つの系統端子721(ここでは単相3線式)と、一対の自立端子722とを含む。系統端子721は、例えばねじ端子である。自立端子722は、例えばいわゆる速結端子(ねじなし端子)である。
各系統端子721の一次側(交流電力が、系統端子721から外部に出力される場合の一次側)は、電線によって、基板5に電気的に接続される。各系統端子721の二次側には、例えば商用交流電源S4(系統電源)と電気的に繋がっている第2電線W2が接続され得る。各自立端子722の一次側(交流電力が、自立端子722から外部に出力される場合の一次側)は、電線によって、基板5に電気的に接続される。また各自立端子722の二次側には、負荷機器S5と電気的に繋がっている第2電線W2が接続され得る。電力変換部6は、第2電線W2が接続されるこれらの第2端子720を介して、変換した交流電力を出力する。
上述した一対の第1電線W1及び複数の第2電線W2は、筐体2の本体部20の挿入口27から本体部20内に入線される。なお、挿入口27に対する第1端子710及び第2端子720の配置関係については、後の「(2.6)端子の向き」の欄で詳しく説明する。
例えば、第1端子台71から入力された太陽光発電モジュールS1からの直流電力は、DCノイズフィルタ回路61及びDCリアクトル63を通り、IPM60にて交流電力に変換される。変換された交流電力は、ACリアクトル64及びACノイズフィルタ回路62を通り、リレー66及び67の開閉状態に応じて、第2端子台72から商用交流電源S4へ逆潮流され、あるいは負荷機器S5に供給される。
(2.3)メイン基板及びサブ基板
基板5(メイン基板)及び2枚のサブ基板(第1サブ基板SB1及び第2サブ基板SB2)は、導体のパターン配線が施されたプリント基板である。
基板5は、制御回路65、DCリアクトル63、及びACリアクトル64以外の、電力変換部6(主にインバータ回路)を構成する複数の電子部品3が実装される。すなわち、基板5は、電力を送るパワー基板である。基板5は、図5に示すように、平面視において、後述する配線空間26(図1参照)を避けるように右下の領域が切り欠かれていて、全体として略L字形の板状となっている。基板5は、その厚み方向が前後方向に向けた状態で、放熱部4の前方に配置されている。基板5は、放熱部4の前面の略全体を覆う程度の大きさの表面積を有している。上述の通り、IPM60は、基板5の背面52に実装され、フィルムコンデンサ、コモンチョークコイル、電解コンデンサ等の電子部品3は、基板5の前面51に実装されている。基板5は、後述する筐体2の遮蔽板H1に固定される。なお、図1では、基板5の前面51の裏側(背面52)にあるIPM60の外周縁のみを破線で図示する。
第1サブ基板SB1は、制御回路65を構成する複数の電子部品3が実装される制御系の基板である。すなわち、第1サブ基板SB1は、弱電基板といえる。第1サブ基板SB1は、基板5(メイン基板)と電気的に接続されている。第1サブ基板SB1は、図1に示すように、平面視において、左右方向に長尺の矩形の板状となっている(図1では、第1サブ基板SB1の外周縁のみを二点鎖線で図示する)。第1サブ基板SB1は、その厚み方向が前後方向に向けた状態で、基板5よりも前方に配置されている(図6参照)。第1サブ基板SB1は、左右方向に沿って見てその一部(上部)がクランク形状となっている固定板10(図6参照)にねじ止めされている。固定板10は、1枚の板金に曲げ加工及び抜き加工等を施すことによって形成されている。固定板10は、筐体2にねじ止めされている。
ここで制御回路65は、IPM60、機能部9、リレー66及び67等を制御するように構成される。制御回路65は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路65は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御回路65として機能する。プログラムは、ここではメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第2サブ基板SB2は、設定部9Aを有した機能部9が実装される基板である。設定部9Aは、外部からの操作を受け付けて制御回路65に対して、電力会社等が定める整定値の設定を行う。なお、機能部9については後述する。第2サブ基板SB2は、弱電基板である。第2サブ基板SB2は、第1サブ基板SB1と電気的に接続されている。第2サブ基板SB2は、図7Aに示すように、平面視において、左右方向に長尺の矩形の板状となっている。第2サブ基板SB2は、その厚み方向が前後方向に向けた状態で、第1サブ基板SB1よりも前方に配置されている(図6参照)。具体的には、固定板10は、図6に示すように、第1サブ基板SB1が固定されている第1部位11と、第2サブ基板SB2が固定されている第2部位12と、を有している。第1部位11と第2部位12との間には段差が設けられていて、第2部位12は、第1部位11よりも手前に位置する。第2サブ基板SB2は、第1サブ基板SB1と同様に、固定板10にねじ止めされている。
(2.4)放熱部
放熱部4は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い材料から形成されているヒートシンクである。放熱部4は、前後方向から見て略矩形の板状の基台41と、基台41の背面から後方に突出する複数のフィン42と、を有している。基台41と複数のフィン42とは一体となって形成されている。
放熱部4は、筐体2の背壁(後述する第5壁205)にねじ止めされている。なお、筐体2の遮蔽板H1は、放熱部4にねじ止めされている。そして、基板5が、遮蔽板H1にねじ止めされている。要するに基板5は、放熱部4及び遮蔽板H1を介して、筐体2の本体部20に安定的に固定されている。
基板5は、その背面52が基台41の前面と対向するように配置されている。ただし、基板5の背面52と基台41の前面との間に、遮蔽板H1の(後述する)第1遮断部21が介在する。
放熱部4は、主として、基板5上に実装された第1発熱部品B11(発熱部品B1)に相当するIPM60からの発熱を放熱する。言い換えると、基板5上に実装されている複数の電子部品3は、放熱部4と熱的に結合される特定部品3Aを含んでいて、ここではIPM60が、その特定部品3Aに相当する。IPM60(特定部品3A)は、遮蔽板H1の第1遮断部21の窓孔210(図5参照)に挿入された状態で、放熱部4と熱的に結合される。ここではIPM60の背面が、基台41の前面に対して概ね面接触していて、それにより、熱的な結合が達成されている。
(2.5)筐体
筐体2は、本体部20(器体に相当)と、遮蔽板H1とを備えている。
本体部20は、全体として左右方向に長尺の矩形の箱状となっている。本体部20は、例えばアルミ鋼板によって形成されている。本体部20は、放熱部4、基板5、電力変換部6、端子ブロック7、第1サブ基板SB1、第2サブ基板SB2、遮蔽板H1、及び機能部9等を、その内部に収容する。
本体部20は、図2A及び図2Bに示すように、前面が開放された矩形の箱状のケース20Aと、ケース20Aの前面を覆うカバー20Bと、を有している。カバー20Bは、ケース20Aに対して着脱可能に取り付けられている。
ケース20Aは、第1壁201(上壁)と、第2壁202(下壁)と、第3壁203(左側壁)と、第4壁204(右側壁)と、第5壁205(背壁)とから構成される。第1壁201及び第2壁202は、図6に示すように、放熱部4と基板5とが並ぶ並び方向D1(前後方向)と交差する方向における両側(上下の両側)に位置する。
本体部20は、その内部の右下隅に、第1端子台71に接続される第1電線W1、並びに第2端子台72に接続される第2電線W2等の電線が通る配線空間26(図1参照)を有している。第1端子台71は、配線空間26の左縁近傍に配置され、第2端子台72は、配線空間26の上縁近傍に配置される。第5壁205における配線空間26と対向する領域には、上記第1電線W1及び第2電線W2が配線空間26内に挿入されるための挿入口27(図1参照)が設けられている。
遮蔽板H1は、金属板により構成されている。遮蔽板H1は、例えばアルミ鋼板によって形成されている。すなわち、ここでは一例として、遮蔽板H1は、本体部20と同じ材料によって形成されているが、本体部20とは異なる材料によって形成されてもよい。遮蔽板H1は、例えば1枚の板金に対して曲げ加工及び抜き加工等を施すことにより、上下方向に沿って見て略L字形の板状となっている。L字形の遮蔽板H1は、図5に示すように、第1遮断部21(遮断部)と第2遮断部22と固定片25とから構成される。
第1遮断部21は、放熱部4と基板5との間に配置されて、放熱部4から基板5への輻射熱を遮断する。第1遮断部21は、基板5と同様に、配線空間26を避けるように右下の領域が切り欠かれていて、平面視において略L字形の板状となっている。第1遮断部21は、その厚み方向が前後方向に向くように配置される。第1遮断部21は、前後方向に沿ってみて、基板5と略同形状であり、基板5よりもやや大きい面積を有している。ここでは第1遮断部21の後ろから見て、基板5は、その外周縁が第1遮断部21によって隠れるように配置されている。また前後方向に沿ってみて、第1遮断部21における略正方形の領域221(図5参照)は、放熱部4の基台41と略同形状である。ここでは第1遮断部21の前から見て、基台41は、その外周縁が第1遮断部21によって隠れるように配置されている。端子ブロック7は、第1遮断部21の前面における右隅、すなわちL字状の領域223(図5参照)にねじ止めされている。
第1遮断部21の上端は、僅かに前方へ折り返されていて、その折り返し部位が第1壁201と当接するように配置される(図6参照)。同様に第1遮断部21の下端は、僅かに前方へ折り返されていて、その折り返し部位が第2壁202と当接するように配置される(図6参照)。要するに、第1遮断部21は、第1壁201から第2壁202までわたって延びている。
第1遮断部21は、図5に示すように、放熱部4と基板5とが並ぶ並び方向D1に貫通した窓孔210を有している。窓孔210は、第1遮断部21の領域221における略中央に配置される。窓孔210は、矩形の開口を有していて、基板5上に実装されているIPM60が挿入可能となっている。なお、放熱部4の上下方向における寸法は、第1壁201及び第2壁202間の距離よりも僅かに小さい。
固定片25は、第1遮断部21の右端より後方に突出している。固定片25は、第4壁204(右側壁)の近傍に配置され、筐体2の第5壁205(背壁)にねじ止め固定される。固定片25は、第1遮断部21と一体となっている。
第2遮断部22は、放熱部4の左横に配置されるDCリアクトル63及びACリアクトル64(第2発熱部品B12)からの発熱を、基板5に対して遮断する。第2遮断部22は、略矩形の板状となっている。第2遮断部22は、その厚み方向が左右方向に向くように、第1遮断部21の左縁から前方に突出している。第2遮断部22は、第1遮断部21と一体となっている。第2遮断部22の上端は、第1壁201の近傍に位置する(第1壁201に当接してもよい)。第2遮断部22の下端は、第2壁202の近傍に位置する(第2壁202に当接してもよい)。要するに、第2遮断部22は、概ね第1壁201から第2壁202までわたって延びている。第2遮断部22の左端面は、前後方向に沿ってみて、放熱部4の左端面と略面一となっている。
以下、本体部20の内部空間(すなわち第1壁201と第2壁202との間の空間)において、第2遮断部22よりも右側で、かつ第1遮断部21よりも放熱部4の側における空間を、第1空間SP1と呼ぶ(図6参照)。また、本体部20の内部空間において、第2遮断部22よりも右側で、かつ第1遮断部21よりも基板5の側における空間を、第2空間SP2と呼ぶ(図6参照)。つまり、本体部20の内部空間は、第1空間SP1と第2空間SP2とを含む。本体部20の内部空間は、第2遮断部22よりも左側で、DCリアクトル63及びACリアクトル64が収容されている第3空間SP3(収容空間)を更に含む(図1参照)。第3空間SP3は、本体部20の内部空間において、第2遮断部22よりも左側の空間である。第3空間SP3は、図1に示すように、基板5の正面から見て、基板5の横(ここでは左横)に配置される。第3空間SP3は、第1空間SP1及び第2空間SP2に対して、第2遮断部22によって隔離されている。ただし、第2遮断部22には、DCリアクトル63及びACリアクトル64の各々を、基板5に電気的に接続するための配線が通る孔が設けられている。
そして、第1壁201及び第2壁202の両方は、第1空間SP1と対向する領域に、気体が第1空間SP1を上下方向に通り抜け可能な通風孔23(図2A及び図2B参照)を有している。通風孔23は、各々が前後方向に長尺のスリット状の複数の貫通孔から構成される。放熱部4は、第1空間SP1内に収容されているため、放熱部4の熱は、熱気として、第1壁201及び第2壁202に設けられている通風孔23から、本体部20の外部に放出され得る。
また第1壁201は、第2空間SP2と対向する領域に、孔部24(図2A参照)を有している。孔部24は、多数の貫通孔から構成される。基板5は、第2空間SP2内に収容されているため、基板5及び基板5上に実装されている複数の電子部品3の熱は、熱気として、孔部24から、本体部20の外部に放出され得る。つまり、孔部24は、第2空間SP2の熱を本体部20の外部に放出可能である。
また第1壁201は、第1空間SP1と対向する、右隅近くの領域に、通風孔250(図2A参照)を有していて、第1空間SP1内の熱気は、通風孔250からも外部に放出され得る。また第4壁204は、第1空間SP1と対向する領域に、通風孔251(図2A参照)を有していて、第1空間SP1内の熱気は、通風孔251からも外部に放出され得る。さらに第5壁205は、放熱部4のフィン42を部分的に外部に露出する窓孔を有していて、放熱部4の周囲の熱気は、当該窓孔からも外部に放出され得る。
さらに第1壁201は、第3空間SP3と対向する領域に、孔部252(図2A参照)を有している。同様に、第2壁202も、第3空間SP3と対向する領域に、孔部252(図2B参照)を有している。DCリアクトル63及びACリアクトル64は、第3空間SP3内に収容されているため、これらの熱は、熱気として、第1壁201及び第2壁202孔部252を通じて、本体部20の外部に放出され得る。
このように第1遮断部21が設けられていることで、放熱部4からの輻射熱による基板5の温度上昇が抑制される。
また第2遮断部22が設けられていることで、第1発熱部品B11(IPM60)とは別に、第2発熱部品B12(DCリアクトル63及びACリアクトル64)が存在する場合であっても、基板5に対する放熱性の低下の抑制を図ることができる。
ところで、放熱部4と第1遮断部21との間には、図1に示すように、隙間G1が設けられている。具体的には、例えば4本のスペーサJ1(例えば六角スペーサ)の雄ネジが放熱部4の基台41の上下左右の四隅近傍に設けられているねじ穴に螺合されている。また4本のねじJ2を、第1遮断部21の領域221の上下左右の四隅近傍に設けられている貫通孔に前面側から挿入して、4本のスペーサJ1の雌ネジに螺合されている。その結果、前後方向に対して、各スペーサJ1の長手寸法に応じた、一定間隔の隙間G1が形成されている。隙間G1が設けられていることで、放熱部4からの輻射熱による基板5の温度上昇が更に抑制され、基板5に対する放熱性の低下がより抑制される。
ここで第1遮断部21の上記貫通孔の周辺部位222(図5参照)は、放熱部4に向かって凹むように湾曲していて、ねじJ2の頭部は、その周辺部位222内に収まる。したがって、電力変換装置1は、基板5とねじJ2と(言い換えれば、基板5と第1遮断部21と)における一定の電気絶縁性を保つ構造となっている。
また基板5と第1遮断部21との間にも、図1に示すように、隙間G2が設けられている。基板5と第1遮断部21とは、複数のスペーサJ3(例えば円筒スペーサ)を介して、ねじ止めされている。その結果、前後方向に対して、各スペーサJ3の長手寸法に応じた、一定間隔の隙間G2が形成されている。電力変換装置1は、隙間G2が設けられていることで、基板5と第1遮断部21とにおける一定の電気絶縁性を保つ構造となっている。さらに隙間G2が設けられていることで、放熱部4からの輻射熱による基板5の温度上昇が更に抑制され、基板5に対する放熱性の低下がより抑制される。
なお、図6に示すように、上部がクランク形状となっている固定板10は、第1壁201の孔部24と対向するように配置された平板部13を有している。平板部13は、第1壁201と概ね平行である。したがって、第2空間SP2の熱が孔部24に向かって流れる流路K1(図6では模式的に矢印で示す)は、第1壁201と第2壁202とが並ぶ並び方向D2に対して、クランク状に形成されている。そのため、第2空間SP2の熱は、孔部24から放出される一方で、仮に異物(湯気や水滴等も含む)が孔部24から内部に進入しても平板部13に当たる。つまり、異物が基板5に直接的に当たる可能性が低い。したがって、基板5への異物の進入をより抑制しつつ、放熱性の向上を図ることができる。なお、第1サブ基板SB1及び第2サブ基板SB2も、平板部13の下側に配置されているため、異物がこれらの基板に直接的に当たる可能性も低い。
(2.6)端子の向き
以下、第1端子台71の一対の第1端子710、及び第2端子台72の複数の第2端子720の向き(配置)について詳しく説明する。本実施形態では、一対の第1端子710及び複数の第2端子720は、図1に示すように、筐体2の本体部20内において、接続方向F1が接続方向F2と交差するように配置される。ここでは、接続方向F1は、接続方向F2と略直交する。接続方向F1は、各第1端子710に対する第1電線W1の接続方向であり、左方向に一致する。接続方向F2は、各第2端子720に対する第2電線W2の接続方向であり、上方向に一致する。
言い換えると、本開示でいう「接続方向F1」は、配線空間26の正面から見て、第1端子710と配線空間26とが並ぶ並び方向(左右方向)に平行である。また本開示でいう「接続方向F2」は、配線空間26の正面から見て、第2端子720と配線空間26とが並ぶ並び方向(上下方向)に平行である。
具体的には、一対の第1端子710及び複数の第2端子720は、挿入口27を正面から見て、(同じ1つの)挿入口27の縁に沿って配置される。ここでは、一対の第1端子710は、図1に示すように、挿入口27の左縁に沿うように上下方向に並んでいる。また複数の第2端子720は、挿入口27の上縁に沿うように左右方向に並んでいる。
このように接続方向F1が接続方向F2と交差するような向きで配置された第1端子710及び第2端子720においては、例えば、電力変換装置1を壁300に設置する施工者は、配線作業時に、接続方向の違いを念頭に入れながら結線を行うことになる。直流側の電線(第1電線W1)を、挿入口27から入線後、配線空間26から左方向に延ばして配線空間26の左側にある端子(第1端子710)に接続する必要がある、という意識を施工者に働きかける。また交流側の電線(第2電線W2)を、挿入口27から入線後、配線空間26から上方向に延ばして配線空間26の上側にある端子(第2端子720)に接続する必要がある、という意識を施工者に働きかける。要するに、施工者は、直流側の電線と交流側の電線とでは、端子に対する接続方向に違いがある点を意識しながら、配線作業を行うことになる。
したがって、特許文献1に記載の電力変換装置に比べて、例えば、施工者が配線作業時に第1電線W1を誤って第2端子720に接続したり第2電線W2を誤って第1端子710に接続したりする可能性が低減される。その結果、本実施形態に係る電力変換システム200は、誤結線の発生の抑制を図ることができる。
特に本実施形態では、第1端子710及び第2端子720は、第1電線W1及び第2電線W2が同じ1つの挿入口27から入線される配置構造となっている。つまり、単に誤結線の発生の抑制を図るだけであれば、直流側の電線と交流側の電線とで、入線される挿入口を別々に設ければよい。しかし、この場合、配線作業に関する作業性が悪くなる可能性がある。この点で、第1電線W1及び第2電線W2が同じ1つの挿入口27から入線されるため、配線作業に関する作業性を向上しつつ、誤結線の発生の抑制を図ることができる。また本実施形態では、挿入口27は、筐体2の本体部20内における隅(ここでは一例として右下の隅)に配置される。そのため、配線作業に関する作業性がより向上される。
ところで電力変換装置において、直流電源から入力される直流電流の最大値(許容値)に関する増加の要望がある。このような直流電流の許容値の増加に伴って、電力変換装置における電力の経路(特に直流電力の電路)における発熱量の増加が懸念される。
そこで、本実施形態では、第1端子710及び第2端子720は、電路L0(図1参照)が基板5上において最短となる向きで配置される。電路L0とは、第1端子710から電力変換部6を経由した第2端子720までである。なお、電路L0は、第1端子710及び第2端子720の配置構造の理解を容易にするために模式的に図示された電路である。以下、電路L0を第1電路L1及び第2電路L2(図1のドットハッチングで示す矢印)の2つに分けて説明する。
第1電路L1は、直流電力の電路に相当し、第1端子710から始まり、DCリアクトル63を経由して、IPM60まで延びている。第2電路L2は、交流電力の電路に相当し、IPM60から始まり、ACリアクトル64を経由して、第2端子720まで延びている。
DCリアクトル63及びACリアクトル64は、上述の通り、第3空間SP3に収容されていて、第3空間SP3の熱は、第1壁201及び第2壁202孔部252を通じて、本体部20の外部に放出される。そして、第1端子710及び第2端子720は、基板5の正面から見て、基板5に対して第3空間SP3とは反対側に配置される。そのため、許容値の増加に伴う発熱量の増加を抑制することができ、電気的な安定性が向上される。
本実施形態では一例として、上述した第3空間SP3と基板5上のIPM60との配置関係に対して、特に直流電力の電路における発熱量の増加に着目し、第1端子710が、第1電路L1を最短にするように配置されている。すなわち、第1端子710は、配線空間26の周囲においてDCリアクトル63に対して最も近い距離に位置し、かつ略一直線で向かうように配置される。したがって、例えば、第1端子710が配線空間26の上側で第2端子720と共に並んでいる場合に比べて、第1電路L1が短縮され得る。
一方、ACリアクトル64は、DCリアクトル63の上に配置され、第2端子720は、配線空間26の周囲においてACリアクトル64に対して最も近い距離に位置し、かつ略一直線で向かうように配置される。
このように第1端子710及び第2端子720は、電路L0(図1参照)が基板5上において最短となる向きで配置されるため、発熱量の増加を抑制することができ、電気的な安定性が向上される。また第1端子710及び第2端子720は、同一の基板5に電気的に接続されるため、第1端子710から第2端子720までの電路L0が短くなる可能性が高くなり、電気的な安定性がより向上される。さらに第1端子710は、導電部M1によって、基板5に対して、直接的にかつ最短で接続されているため、電路としての安定性がより向上される。
(2.7)機能部
以下、機能部9について、図7A及び図7Bを参照しながら説明する。機能部9は、第2サブ基板SB2に実装される。
機能部9は、設定部9Aを有している。設定部9Aは、例えば電力変換装置1を設置する施工者からの操作を受け付けて、制御回路65に対して整定値を設定可能に構成される。設定部9Aは、整定値の数値を入力するための複数(ここでは4つ)の操作部91を含む。4つの操作部91は、例えば押し釦であり、第2サブ基板SB2に実装される。4つの操作部91は、左から順に「ESC釦」、「DOWN釦」、「UP釦」及び「ENT釦」である。
整定値は、例えば電力会社等によって定められた値である。制御回路65は、設定部9Aに対する操作に応じて入力された整定値を自身のメモリに記憶する。制御回路65は、電力変換装置1から商用交流電源S4への出力電圧を監視し、出力電圧が設定された整定値を超えたことを検出すると、出力電圧の上昇を抑制するように動作する。要するに、設定部9Aは、電力変換部6から出力される電力の増加を抑制するための整定値の設定に関する操作を受け付ける。
機能部9は、例えば樹脂成型品の本体部90(樹脂製のカバー部に相当)と、整定値等を表示する表示部92と、電力変換部6の動作状態を表示する作動灯93と、電力変換装置1の運転及び停止を切り替える切替部94と、カバー95と、を更に有している。
本体部90は、左右方向に長尺で矩形の板状の第1板部901と、第1板部901の上縁に一体となって形成されている第2板部902と、を有している。また本体部90は、第1板部901の周縁に沿って前方に突出する枠状のガード部903と、第2板部902の周縁に沿って前方に突出する枠状のガード部904と、を更に有している。本体部90は、その背面側に後方へ突出する係合爪を有している。本体部90は、係合爪が第2サブ基板SB2に形成されている係合孔に引っ掛けられて固定される。
第1板部901は、作動灯93の4つの光源930(例えばLED:Light Emitting Diode)から放出される光をそれぞれ外部に導出するための4つのガイド孔905を有している。第1板部901は、その裏側において、各光源930に向かって突出する筒状のリブを有し、ガイド孔905は、当該リブを貫通するように設けられている。作動灯93の各光源930は、第2サブ基板SB2に実装されていて、制御回路65の制御下で電力変換装置1の運転状態(電力変換部6の動作状態)に応じて点灯する。また第1板部901は、第2サブ基板SB2に実装された表示部92を露出するための孔906を有している。表示部92は、制御回路65の制御下で、整定値、及び(電力変換装置1が運転中であれば)現在の出力電力等を表示する。また第1板部901は、第2サブ基板SB2に実装された切替部94を露出するための孔907を有している。
カバー95は、透光性を有している。カバー95は、第1板部901の前面において、表示部92及び作動灯93を覆うように、ガード部903の内側に嵌め込まれている。カバー95は、切替部94を露出するための孔を有している。
第2板部902は、第2サブ基板SB2に実装された4つの操作部91をそれぞれ露出するための4つの釦孔908を有している。
なお、筐体2のカバー20Bは、図2A及び図2Bに示すように、機能部9のうち設定部9A以外の部分を外部に露出するための窓孔255を有している。そのため、カバー20Bがケース20Aに取り付けられた状態でも、切替部94を操作可能であり、また表示部92及び作動灯93を視認可能である。そして、設定部9Aは、カバー20Bをケース20Aから取り外すことで露出され、施工者は、この状態で整定値の設定作業を行える。
施工者が設定部9Aを用いて整定値の設定作業中において、表示部92は、4つの操作部91のうち「UP釦」又は「DOWN釦」への押し操作に応じて変動する整定値を表示する。「UP釦」を押せば表示部92に表示される整定値が増加し、「DOWN釦」を押せば表示部92に表示される整定値が減少する。要するに、施工者は、表示部92に表示される整定値を見ながら設定が可能である。施工者が「ENT釦」を押すことで、表示部92に表示中の整定値が制御回路65のメモリに登録される。施工者が「ESC釦」を押すことで整定値の設定がキャンセルされる。
ここで本実施形態では、樹脂製の本体部90が、設定部9Aを囲むように設けられているため、施工者が設定部9Aを用いて整定値の設定作業中において、指等が設定部9Aの周辺にある部位(ここでは第2サブ基板SB2)に接触してしまう可能性を抑制できる。つまり、施工者の指等が第2サブ基板SB2に接触すると、第2サブ基板SB2が静電気等の影響を受けて故障の原因となり得るが、本体部90によって、そのような接触を抑制できる。特に、枠状のガード部904が、設定部9Aを囲むように第2板部902の周縁に沿って設けられているため、そのような接触をより抑制できる。
また本体部90は、設定部9Aだけでなく、表示部92及び作動灯93も囲むように設けられているため、施工者の指等が、表示部92、作動灯93及び第2サブ基板SB2に接触してしまう可能性も抑制できる。特に、枠状のガード部903が、表示部92及び作動灯93を囲むように第1板部901の周縁に沿って設けられているため、そのような接触をより抑制できる。特に、本体部90が、指等の接触を抑制する機能だけでなく、作動灯93の光をガイドする機能も有しているため、部材の共通化を図ることができる。
ところで、本実施形態の筐体2は、図7Aに示すように、本体部90の周縁の少なくとも一部に沿うように配置される保護板28(図7Aではドットハッチングで示す)を更に有している。図7Aは、カバー20Bが外された状態の正面図である。保護板28は、金属板である。保護板28は、例えばアルミ鋼板により形成されている。保護板28は、1枚の板金に曲げ加工及び抜き加工等を施すことによって形成されている。保護板28は、その正面から見て、基板5、第1サブ基板SB1及び第2サブ基板SB2を全て覆い隠すように構成される。ただし、保護板28は、少なくとも機能部9を避けるように切り欠かれた形状となっている。要するに、保護板28は、その正面から見て、本体部90の外郭に沿うように凹んでいる。したがって、施工者が設定部9Aを用いて整定値の設定作業中において、指等が基板5、第1サブ基板SB1及び第2サブ基板SB2に接触してしまう可能性をより抑制できる。また保護板28(金属板)が接地されていれば、設定部9A及びその周辺における静電気除去にも寄与する。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
基本例では、第1壁201が、第2空間SP2と対向する領域に、孔部24を有している一方で、第2壁202は、第2空間SP2と対向する領域が塞がれている。しかし、逆に第1壁201は、第2空間SP2と対向する領域が塞がれていて、第2壁202が孔部24を有してもよいし、これらの両方が塞がっていてもよい。この場合、基板5への異物(湯気や水滴等も含む)の進入が更に抑制される。
また例えば第1壁201及び第2壁202の両方が、孔部24を有してもよい。この場合、遮蔽板H1が、第1壁201及び第2壁202のいずれか一方の孔部24を塞ぐ第3遮断部を有してもよい。第3遮断部は、例えば、第1遮断部21の上端又は下端から前方に突出してもよい。
基本例では、第1遮断部21(遮断部)が金属板(板金)により構成されている。しかし、第1遮断部21は、例えば樹脂板により構成されてもよい。同様に、第2遮断部22も、樹脂板により構成されてもよい。ただし、耐熱性の点を考慮すると、基本例のように第1遮断部21及び第2遮断部22が板金により構成される方が好ましい。
基本例では、第1端子710(直流端子)が、導電部M1を介して基板5に電気的に接続されている。しかし、同様に、第2端子720(交流端子)も、別の導電部を介して、基板5に電気的に接続されてもよい。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る電力変換システム(200)は、電力変換部(6)と、第1端子(710)と、第2端子(720)と、器体(本体部20)と、を備える。第1端子(710)には、直流電源(P1)と電気的に接続される第1電線(W1)が接続される。第2端子(720)には、第2電線(W2)が接続される。電力変換部(6)は、少なくとも第1端子(710)を介して直流電源(P1)から入力される直流電力を交流電力に変換して第2端子(720)を介して交流電力を出力する。器体(本体部20)は、電力変換部(6)、第1端子(710)、及び第2端子(720)を収容する。第1端子(710)及び第2端子(720)は、第1端子(710)に対する第1電線(W1)の接続方向(F1)が器体(本体部20)内において第2端子(720)に対する第2電線(W2)の接続方向(F2)と交差するように配置される。第1の態様によれば、誤結線の発生の抑制を図ることができる。
第2の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第1の態様において、器体(本体部20)は、第1電線(W1)及び第2電線(W2)が器体内に入線される挿入口(27)を有する。第1端子(710)及び第2端子(720)は、挿入口(27)を正面から見て、挿入口(27)の縁に沿って配置される。第2の態様によれば、配線作業に関する作業性を向上しつつ、誤結線の発生の抑制を図ることができる。
第3の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第2の態様において、挿入口(27)は、器体(本体部20)内における隅に配置される。第3の態様によれば、配線作業に関する作業性がより向上される。
第4の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、電力変換部(6)を構成する複数の電子部品(3)の少なくとも一部が実装されて、器体(本体部20)内に収容される基板(5)を更に備える。第4の態様によれば、基板(5)を備えた電力変換システム(200)における誤結線の発生の抑制を図ることができる。
第5の態様に係る電力変換システム(200)は、第4の態様において、バー状の導電部(M1)を更に備える。第1端子(710)及び第2端子(720)の少なくとも一方は、導電部(M1)を介して、基板(5)に電気的に接続される。第5の態様によれば、電路としての安定性が向上される。
第6の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第4の態様又は第5の態様において、第1端子(710)及び第2端子(720)は、同一の基板(5)に電気的に接続される。第6の態様によれば、第1端子(710)から第2端子(720)までの電路が短くなる可能性が高くなり、電気的な安定性が向上される。
第7の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第4~第6の態様のいずれか1つにおいて、第1端子(710)及び第2端子(720)は、電路が基板(5)上において最短となる向きで配置される。電路とは、第1端子(710)から電力変換部(6)を経由した第2端子(720)までである。第7の態様によれば、電気的な安定性が向上される。
第8の態様に係る電力変換システム(200)に関して、第4~第7の態様のいずれか1つにおいて、電力変換部(6)を構成する複数の電子部品(3)は、直流リアクトル(63)と交流リアクトル(64)とを含む。器体(本体部20)は、基板(5)の横に、直流リアクトル(63)及び交流リアクトル(64)を収容する収容空間(第3空間SP3)を有する。第1端子(710)及び第2端子(720)は、基板(5)の正面から見て、基板(5)に対して収容空間とは反対側に配置される。第8の態様によれば、第1端子(710)及び第2端子(720)が、基板(5)に対して収容空間とは反対側に配置される構成において、電気的な安定性が向上される。
第9の態様に係る電力変換システム(200)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、設定部(9A)と、樹脂製のカバー部(本体部90)と、を更に備える。設定部(9A)は、電力変換部(6)から出力される電力の増加を抑制するための整定値の設定に関する操作を受け付ける。カバー部(本体部90)は、設定部(9A)を囲むように設けられる。第9の態様によれば、例えば、設定部(9A)の操作時に人の指等が設定部(9A)の周辺にある部位に接触する可能性を低減できる。
第10の態様に係る電力変換システム(200)は、第9の態様において、電力変換部(6)の動作状態を表示する作動灯(93)を更に備える。カバー部(本体部90)は、作動灯(93)から放射される光を導出するガイド孔(905)を有する。第10の態様によれば、カバー部が、指等の接触を抑制する機能だけでなく、作動灯(93)の光をガイドする機能も有いているため、部材の共通化を図ることができる。
第11の態様に係る電力変換システム(200)は、第9の態様又は第10の態様において、カバー部(本体部90)の周縁の少なくとも一部に沿うように配置される金属板(保護板28)を更に備える。第11の態様によれば、指等の接触を抑制する機能がさらに向上される。また金属板(保護板28)が接地されていれば、設定部(9A)及びその周辺における静電気除去にも寄与する。
第2~11の態様に係る構成については、電力変換システム(200)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。