JP7287841B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関する。
基板等の固定対象物に対して固定可能に構成される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して変位可能に構成される可動ハウジングと、端子と、を備えるコネクタであって、インサート成形により固定ハウジング及び可動ハウジングに端子を保持させたコネクタが公知である(例えば特許文献1)。
このコネクタでは、端子は、インサート成形により固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、インサート成形により可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、固定側被保持部と可動側被保持部との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部と、を有する。中間弾性部が弾性変形することで、可動側被保持部が固定側被保持部に対して変位する。
特開2018-78079号公報
上記のような構成のコネクタにおいては、ハウジングを成形するための金型の性質上、端子の固定側被保持部が、固定ハウジングの面に沿って延在する部分(以下「面沿い部」という。)を含んで構成される場合がある。固定側被保持部の面沿い部は、固定ハウジングから露出する面を有することとなる。
ここで、面沿い部が中間弾性部に隣接していると、可動側被保持部が固定側被保持部に対して変位し、中間弾性部が弾性変形するときに、固定ハウジングにおける面沿い部を保持している部分に負荷が加わる。その結果、面沿い部が固定ハウジングから剥離してしまう懸念がある。
そして、上記懸念は、面沿い部を含んで構成される被保持部が固定側被保持部ではなく、可動側被保持部等の他の被保持部(ハウジングに保持される部分)である場合にも想定される。また、上記懸念は、面沿い部に隣接する弾性部が、固定側被保持部と可動側被保持部との間に位置する中間弾性部ではなく、接続対象物と接触する接触部を相対変位させるための先端弾性部等の他の弾性部である場合にも想定される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、弾性部を有する端子をインサート成形によりハウジングに保持させる構造のコネクタにおいて、弾性部と隣接する面沿い部を含んで被保持部(ハウジングに保持される部分)が構成される場合に、面沿い部がハウジングから剥離することを抑制することである。
第1の態様に係るコネクタは、ハウジングと、端子と、を備えるコネクタであって、前記端子は、インサート成形により前記ハウジングに保持される被保持部と、前記被保持部に対して変位可能に構成される変位部と、前記被保持部と前記変位部との間に位置する弾性変形可能な弾性部と、を有し、前記被保持部は、前記ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、前記面沿い部は、前記弾性部に隣接すると共に、前記ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する。
この態様では、コネクタが、ハウジングと、端子と、を備える。端子は、インサート成形によりハウジングに保持される被保持部と、被保持部に対して変位可能に構成される変位部と、被保持部と変位部との間に位置する弾性変形可能な弾性部と、を有する。
また、被保持部は、面沿い部を含んで構成される。面沿い部とは、ハウジングの面に沿って延在する部分であって、ハウジングから露出する面を有する部分を意味する。
ここで、被保持部の面沿い部が弾性部に隣接していると、変位部が被保持部に対して変位して弾性部が弾性変形するときに、ハウジングのうち、面沿い部が保持されている部分に負荷が加わり、被保持部の面沿い部がハウジングから剥離してしまう懸念がある。
そこで、この態様では、弾性部に隣接する面沿い部が、剥離方向被覆面を有する。剥離方向被覆面とは、ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面を意味する。
このため、面沿い部を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力)が面沿い部に加わったときに、面沿い部の剥離方向被覆面が、ハウジングからの垂直抗力として、剥離方向と反対方向成分を有する力を受ける。その結果、面沿い部がハウジングから剥離することが抑制される。
第2の態様に係るコネクタは、固定対象物に対して固定可能に構成される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して変位可能に構成される可動ハウジングと、端子と、を備えるコネクタであって、前記端子は、インサート成形により前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、前記固定側被保持部に対して変位可能に構成され、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、前記固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部と、を有し、前記固定側被保持部は、前記固定ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記固定ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、前記面沿い部は、前記中間弾性部に隣接すると共に、前記固定ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する。
この態様では、コネクタが、基板等の固定対象物に対して固定可能に構成される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して変位可能に構成される可動ハウジングと、端子と、を備える。端子は、固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、固定側被保持部と可動側被保持部との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部と、を有する。中間弾性部が弾性変形することで、可動側被保持部は、固定側被保持部に対して変位する。
また、固定側被保持部は、面沿い部を含んで構成される。面沿い部とは、固定ハウジングの面に沿って延在する部分であって、固定ハウジングから露出する面を有する部分を意味する。
ここで、固定側被保持部の面沿い部が中間弾性部に隣接していると、可動側被保持部が固定側被保持部に対して変位して中間弾性部が弾性変形するときに、固定ハウジングのうち、面沿い部が保持されている部分に負荷が加わり、固定側被保持部の面沿い部が固定ハウジングから剥離してしまう懸念がある。
そこで、この態様では、中間弾性部に隣接する面沿い部が、剥離方向被覆面を有する。剥離方向被覆面とは、固定ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面を意味する。
このため、面沿い部を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力)が面沿い部に加わったときに、面沿い部の剥離方向被覆面が、固定ハウジングからの垂直抗力として、剥離方向とは反対方向成分を有する力を受ける。その結果、面沿い部が固定ハウジングから剥離することが抑制される。
第3の態様に係るコネクタは、第2の態様において、前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、前記固定側被保持部は、前記面沿い部のみから構成される。
この態様では、固定ハウジングは、固定側被保持部を保持すると共に、可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有する。
そして、面沿い部は、端子保持壁の内側面(収容空間に面する面)に沿って延在し、固定側被保持部は、この面沿い部のみから構成される。つまり、固定側被保持部は、端子保持壁の内側面に沿って延在する面沿い部のみから構成される。
このため、端子保持壁の内側面付近の部分のみが、固定側被保持部の保持を担っている。したがって、固定側被保持部の保持力を確保したまま、端子保持壁の壁厚を小さくすることができる。
第4の態様に係るコネクタは、第2又は第3の態様において、前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、前記端子は、前記固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部と、前記水平部と前記面沿い部とを接続する曲部と、を有する。
この態様では、固定ハウジングは、固定側被保持部を保持すると共に、可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有する。
そして、面沿い部は、端子保持壁の内側面(収容空間に面する面)に沿って延在し、固定側被保持部は、この面沿い部のみから構成される。つまり、固定側被保持部は、端子保持壁の内側面に沿って延在する面沿い部のみから構成される。
更に、端子は、固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部と、水平部と面沿い部とを接続する曲部と、を有する。
このため、端子の水平部及び曲部は、基板の面に接触又は近接することとなり、基板への半田付けに用いることができる。そして、端子の曲部は、平面視で(基板に垂直な方向から見て)、端子保持壁の内側面付近に形成されることとなるので、収容空間の近くまで端子を基板に半田付けすることが可能となる。その結果、コネクタの実装強度を向上させることができる。
第5の態様に係るコネクタは、第2~第4の何れかの態様において、前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、前記固定側被保持部は、前記面沿い部のみから構成され、前記端子は、前記固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部と、前記水平部と前記面沿い部とを接続する曲部と、を有し、前記水平部の一部は、前記基板に垂直な方向から見て、前記端子保持壁に対して前記収容空間とは反対側にはみ出している。
この態様では、水平部の一部は、基板に垂直な方向から見て、端子保持壁に対して収容空間とは反対側にはみ出している。
このため、コネクタが適切に実装されたか否かを確認することが容易である。
第6の態様に係るコネクタは、第2~第5の何れかの態様において、前記中間弾性部は、前記固定対象物としての基板から離れる方向に延びる第1延在部と、前記基板に近づく方向に延びる第2延在部と、前記第1延在部と前記第2延在部とを接続する折返部と、を有し、前記第1延在部及び前記面沿い部は、共に前記基板に垂直な方向に直線状に延在し、互いに直線的に接続される。
この態様では、中間弾性部は、固定対象物としての基板から離れる方向に延びる第1延在部と、基板に近づく方向に延びる第2延在部と、第1延在部と第2延在部とを接続する折返部と、を有する。
そして、第1延在部及び面沿い部は、共に基板に垂直な方向に直線状に延在し、互いに直線的に接続される。
このため、小型化が要求されるコネクタにおいては限られたスペースに端子の中間弾性部を配置する必要があるところ、端子の中間弾性部(の一部である第1延在部や折返部)を、固定ハウジングにおける固定側被保持部を保持する部分の上方のスペースを利用して、効率的に配置できる。
但し、固定側被保持部の面沿い部と、中間弾性部の折返部との間に、端子が曲げられた部分が存在しないこととなるため、中間弾性部が弾性変形した場合、面沿い部が保持される部分に対し大きな負荷が加わりやすくなる。しかし、この態様では、第1の態様の説明で述べたとおり、面沿い部が剥離方向被覆面を有するので、面沿い部の剥離が抑制される。
第7の態様に係るコネクタは、第2~第6の何れかの態様において、前記可動側被保持部は、インサート成形により前記可動ハウジングに保持され、前記可動側被保持部は、前記可動ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記可動ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、前記可動側被保持部の前記面沿い部は、前記中間弾性部に隣接すると共に、前記可動ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する。
この態様では、可動側被保持部も、固定側被保持部と同様に、インサート成形によって可動ハウジングに保持され、面沿い部を含んで構成される。面沿い部とは、可動ハウジングの面に沿って延在する部分であって、可動ハウジングから露出する面を有する部分を意味する。
ここで、可動側被保持部の面沿い部が中間弾性部に隣接していると、可動側被保持部が固定側被保持部に対して変位して中間弾性部が弾性変形するときに、可動ハウジングのうち、面沿い部が保持されている部分に負荷が加わり、可動側被保持部の面沿い部が可動ハウジングから剥離してしまう懸念がある。
そこで、この態様では、可動側被保持部の面沿い部が、剥離方向被覆面を有する。剥離方向被覆面とは、可動ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面を意味する。
このため、面沿い部を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力)が面沿い部に加わったときに、面沿い部の剥離方向被覆面が、可動ハウジングからの垂直抗力として、剥離方向とは反対方向成分を有する力を受ける。その結果、可動側被保持部の面沿い部が可動ハウジングから剥離することが抑制される。
第8の態様に係るコネクタは、第7の態様において、前記固定ハウジング及び前記可動ハウジングは、互いに当接することで前記固定ハウジングに対する前記可動ハウジングの前記固定対象物としての基板に沿った可動域を制限する一対の水平方向当接面を有し、前記固定側被保持部の前記面沿い部は、前記固定ハウジングの前記水平方向当接面に露出し、前記可動側被保持部の前記面沿い部は、前記可動ハウジングの前記水平方向当接面に露出する。
この態様では、固定ハウジング及び可動ハウジングは、互いに当接することで固定ハウジングに対する可動ハウジングの固定対象物としての基板に沿った可動域を制限する一対の水平方向当接面を有する。
固定側被保持部の面沿い部は、固定ハウジングの水平方向当接面に露出し、可動側被保持部の面沿い部は、可動ハウジングの水平方向当接面に露出する。
このため、固定側被保持部の面沿い部と、可動側被保持部の面沿い部とが当接する位置まで、固定ハウジングに対して可動ハウジングが変位することが可能となり、一対の水平方向当接面が対向する方向の可動域を大きく確保することができる。
本発明によれば、弾性部を有する端子をインサート成形によりハウジングに保持させる構造のコネクタにおいて、弾性部と隣接する面沿い部を含んで被保持部(ハウジングに保持される部分)が構成される場合に、面沿い部がハウジングから剥離することを抑制することができる。
インサート品である補強金具及び端子の斜視図である。 インサート成形により製造された仕掛品の斜視図である。 第2可動ハウジングの斜視図である。 コネクタの斜視図である。 相手コネクタの斜視図である。 嵌合状態のコネクタと相手コネクタ(つまり嵌合状態のコネクタ組立体)を示す斜視図である。 列間方向に対向する一対の端子の斜視図である。 第1可動ハウジングの斜視図である。 第1可動ハウジングの断面斜視図である。 第2可動ハウジングの断面斜視図である。 コネクタの断面斜視図である。 仕掛品の断面図である。 コネクタの断面図である。 相手コネクタの断面図である。 コネクタの断面図(列間方向中央における断面図)である。 第1可動ハウジングの平面図である。 補強金具の斜視図である。 補強金具の斜視図である。 補強金具の正面図である。 補強金具の側面図である。 補強金具の平面図である。 固定側部材の断面斜視図(列間方向中央位置における断面図)である。 固定側部材の断面斜視図(列間方向中央位置からずれた位置における断面図)である。 固定側部材のピッチ方向壁を拡大して示す斜視図である。 固定側部材の断面斜視図(上下方向に直交する断面図)である。 インサート成形における金型を示す模式的な断面図である。 コネクタの断面図(上下方向中間位置における断面図)である。 端子の固定側被保持部の拡大斜視図である。 端子の可動側被保持部の拡大斜視図である。 図13の30-30線断面図である。 第2可動ハウジングの下方から見た斜視図である。 第1可動ハウジングの下方から見た斜視図である。 可動ハウジングの下方から見た斜視図である。 コネクタの下方から見た斜視図である。 変形例に係る端子の斜視図である。 変形例に係る構造の断面図(図30に対応する断面図)である。 素材に対する打ち抜き加工によって形成される破断面を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、各図に示す矢印X方向を列間方向一方側、矢印Y方向をピッチ方向一方側、矢印Z方向をコネクタ上方向として説明する。また、特記なく上下という語を用いる場合は、コネクタ上下方向の上下を示すものとする。
また、-Z方向を嵌合方向、+Z方向を反嵌合方向ということがある。
(コネクタの製造方法)
まず、本実施形態のコネクタ100(図4)の製造方法について簡単に説明する。
コネクタ100の製造方法は、仕掛品100A(図2)を製造する仕掛品製造工程と、仕掛品100Aに対し第2可動ハウジング60(図3)を組付ける組付工程と、を備える。
仕掛品製造工程では、図1、図2に示すように、1回のインサート成形により、端子30及び補強金具40をインサート品として、固定ハウジング20及び第1可動ハウジング50を成形し、仕掛品100Aを作る。なお、図2では、第1可動ハウジング50が固定ハウジング20や端子30によって隠れて見えていない(図12参照)。
なお、インサート成形の際には、端子30及び補強金具40は、図示しないそれぞれのキャリアと接続された状態(素材から切り離されていない状態)とされる。インサート成形の後、端子30及び補強金具40は、それぞれのキャリアから切り離される。
組付け工程では、図2~図4に示すように、仕掛品100Aに対し、第2可動ハウジング60を上方から組み付ける。具体的には、仕掛品100Aの第1可動ハウジング50に第2可動ハウジング60を取り付けることで、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60とを一体化させる。
第1可動ハウジング50に第2可動ハウジング60を取り付ける態様としては、例えば、レーザ溶着、超音波溶着などの溶着、接着剤による接着が挙げられる。また、第1可動ハウジング50及び第2可動ハウジング60に、結合のための機械的な構造を設けることで、両者を結合してもよい。結合のための機械的な構造としては、例えば、第1可動ハウジング50又は第2可動ハウジング60の一方又は両方に弾性的な係合部(ロックバネ)を形成して両者を係合する構造や、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60とを金属製部材等の第3の部材により結合する構造が考えられる。
次に、コネクタ100の構成について説明する。
図4、図11、図13に示すように、コネクタ100は、複数の端子30と、固定ハウジング20と、固定ハウジング20を補強する一対の補強金具40と、固定ハウジング20に対し相対移動可能に構成される可動ハウジング50,60と、を備える。可動ハウジング50,60は、第1可動ハウジング50と、第2可動ハウジング60と、を備える。
(端子)
複数の端子30は、列間方向に対向するように配置される一対の端子30A,30B(図7)を含んで構成される。この一対の端子30A,30Bが、図1に示すように、ピッチ方向に多数配列される。一対の端子30A,30Bのうち列間方向一方側(+X側)に配置されたものを第1端子30Aといい、列間方向他方側(-X側)に配置されたものを第2端子30Bという。
第1端子30Aと第2端子30Bとは、同一の構造とされる。以下、両者を区別しないで説明するときは、単に端子30と呼ぶ。
端子30は、板材に対し、打抜き加工と曲げ加工とを施すことで製造される。図7に示すように、端子30は、板材が曲げられた部分を複数有するが、端子30の板厚方向は、端子30の全ての部分において、ピッチ方向に直交する平面内(ZX平面内)の方向を向く。
図7、図13に示すように、端子30は、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部32と、第1可動ハウジング50に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する中間弾性部33と、を有する。
固定側被保持部32は、インサート成形により固定ハウジング20に保持される。
図13に示すように、固定側被保持部32は、曲部(板材が曲げられた部分)を含んで構成されない。つまり、固定側被保持部32は、直線状に延びる部分のみが樹脂に埋没した状態で固定ハウジング20に保持される。具体的には、固定側被保持部32は、上方へ延びる上方部32Aのみから構成される。
図13、図30に示すように、固定側被保持部32の上方部32Aは、その列間方向内側の面(露出面37A)が樹脂から露出し、その他の面(列間方向外側とピッチ方向両側との三方向の面)が樹脂に被覆されるように、固定ハウジング20に保持される。
可動側被保持部34は、インサート成形により第1可動ハウジング50に保持される。
図13に示すように、可動側被保持部34は、曲部34Bを含んで構成される。つまり、可動側被保持部34は、その曲部34Bが第1可動ハウジング50に埋没した状態で第1可動ハウジング50に保持される。具体的には、可動側被保持部34は、下方へ延びる下方部34Aと、下方部34Aの下側を列間方向内側へ曲げる曲部34Bと、曲部34Bから列間方向内側へ延びる内方部34Cと、をこの順に有する。
可動側被保持部34の曲部34B及び内方部34Cは、その全周(四方向の面)が樹脂に被覆されるように、第1可動ハウジング50に保持される。一方、可動側被保持部34の下方部34Aは、図30に示すように、その列間方向外側の面(露出面37A)が樹脂から露出し、その他の面(列間方向内側とピッチ方向両側との三方向の面)が樹脂に被覆されるように、第1可動ハウジング50に保持される。
中間弾性部33は、弾性変形可能に構成される。これにより、固定ハウジング20に対する可動ハウジング50,60の変位が許容される。
具体的には、図12に示すように、中間弾性部33は、固定側被保持部32から上方向へ延びる第1直線部33Aと、上方が凸となるように曲げられた第1曲部33Bと、下方かつ列間方向内側の斜め方向へ延びる第2直線部33Cと、第2直線部33Cよりも他端30S側を下方へ曲げる第2曲部33Dと、をこの順に有する。
また、端子30は、コネクタ上方から挿入される相手コネクタ10(図5、図14)の相手端子70と接触する接触部36を有する。接触部36は、可動側被保持部34よりも他端30S側に位置する。接触部36は、列間方向内側に凸の湾曲形状とされ、この湾曲形状の凸の部分で相手コネクタ10に接触する。
また、端子30は、接触部36を可動ハウジング50,60に対して変位可能とするための先端弾性部35を有する。
先端弾性部35は、接触部36に相手コネクタ10が接触することで弾性変形する。先端弾性部35は、可動側被保持部34と接触部36との間に位置する。先端弾性部35は、一端30K側から他端30S側へ向けて、まず列間方向内側へ延び、次に略上方(上方かつ列間方向内側の斜め方向)へ延びている。
また、端子30は、接触部36と先端弾性部35との間に、接触部36を列間方向内側へ突出させる曲部36Mを有する。
(固定側部材)
樹脂により形成される固定ハウジング20と補強金具とにより、固定側部材20,40が構成される。
図2に示すように、固定側部材20,40は、周壁21,22を有する。
周壁21,22は、ピッチ方向両側に位置する一対のピッチ方向壁22と、列間方向両側に位置する一対の列間方向壁21と、から構成される。
周壁21,22の内側には、周壁21,22に囲まれるように、可動ハウジング50,60の一部が収容される収容空間26が形成される(図24参照)。可動ハウジング50,60の一部が、固定側部材20,40の収容空間26内に拘束されることで、可動ハウジング50,60のXY方向(コネクタ水平方向、基板に沿う方向)の可動域が規定される。収容空間26は、下方向に開放されている。
図12、図13、図30に示すように、列間方向壁21には、端子30の固定側被保持部32が埋没した状態で保持される。
列間方向壁21の下部21Lは、列間方向壁21の上部21Uに対して列間方向内側に突出するように厚みが増大されている。そして、列間方向壁21の下部21Lに、端子30の固定側被保持部32が保持される。これにより、端子30の中間弾性部33の第1直線部33Aの下部は、列間方向壁21の上部21Uの列間方向内側に位置する。
列間方向壁21の上端は、中間弾性部33の上端(第1曲部33B)よりも下方に形成される。これにより、可動ハウジング50,60が列間方向に変位して端子30の中間弾性部33が変形したときに、中間弾性部33が列間方向壁21と干渉することが抑制される。
ピッチ方向壁22の上端は、列間方向壁21の上端よりも上方に形成される。ピッチ方向壁22が高く形成されることで、固定ハウジング20の強度が向上する。
ピッチ方向壁22の上端は、端子30の中間弾性部33の上端(第1曲部33B)よりも下方に形成される。これにより、中間弾性部33の長さが確保されつつ、固定ハウジング20の上下寸法の拡大が抑制される。
図2に示すように、ピッチ方向壁22のピッチ方向外側の面には、上下方向に延びる上下溝23が形成される。上下溝23は、ピッチ方向内側を深さ方向として形成される。ピッチ方向壁22の上下溝23が形成された部分から補強金具40の一部が露出する。上下溝23の幅(列間方向の寸法)は、後述するキャリア切断部46の幅(列間方向寸法)よりも大きい。
図1に示すように、補強金具40は、1つのコネクタ100に対して2つ設けられる。一方の補強金具40は、固定ハウジング20のピッチ方向一方側に位置し、他方の補強金具40は、固定ハウジング20のピッチ方向他方側に位置する。2つの補強金具40は、互いに同一の構造とされる。
補強金具40は、板材に対し打抜き加工と曲げ加工とを施すことで製造され、平板状の部分と曲げられた部分(曲部)とを含んで構成される。
具体的には、図17、図18に示すように、補強金具40は、何れも平板状の第1平板部40A、第2平板部40B、第3平板部40C及び第4平板部40Dと、各平板部40A,40B,40C,40Dを接続する第1曲部41A、第2曲部41B及び第3曲部41Cと、を有する。各曲部41A,41B,41Cは、何れも、板厚方向に略90度曲がった部分とされる。
第1平板部40Aは、固定側部材20,40のピッチ方向壁22の一部を構成する。第1平板部40Aは、その板厚方向をピッチ方向に向ける。第1平板部40Aは、列間方向を長手方向、上下方向を短手方向とする略長方形状とされる。
図24に示すように、第1平板部40Aのピッチ方向内側の面40A2(他方の面)は、第1平板部40Aの幅方向(列間方向)の両端部44(図17~図19参照)を除いて、固定ハウジング20から露出する。第1平板部40Aの幅方向の両端部44は、固定ハウジング20に埋没し、両面を含む全面が固定ハウジング20に覆われる。以下、第1平板部40Aのうち、露出したピッチ方向内側の面40A2に対応する部分を露出部43という。
図22、図23、図24に示すように、第1平板部40Aの露出部43における幅方向中央部かつ上端部では、ピッチ方向外側の面40A1(一方の面)が固定ハウジング20から露出する。そのため、露出部43における幅方向中央部かつ上端部は、ピッチ方向両側の面が固定ハウジング20から露出した両面露出部43Rとなっている。
具体的には、固定側部材20,40のピッチ方向壁22には、下方へ窪んだ凹部24が形成される。この凹部24によって、第1平板部40Aの一部において、ピッチ方向外側の面40A1が固定ハウジング20から露出する。図26に示すように、凹部24には、インサート成形時、金型(成形用治具)が配置される。なお、図26では、金型の上型、下型等を区別せずに図示している。
また、図15に示すように、凹部24には、傾斜面24Aが形成される。傾斜面24Aは、凹部24の底であって補強金具40に隣接する側(ピッチ方向内側)に形成される。傾斜面24Aは、補強金具40に隣接する側(ピッチ方向内側)に進むに従い、上方に向かう面である。
一方、露出部43のうち両面露出部43R以外の部分は、ピッチ方向外側の面40A1(一方の面)が固定ハウジング20に被覆されると共にピッチ方向内側の面40A2(他方の面)が固定ハウジング20から露出した部分である片面露出部43Kとなっている。
図24に示すように、両面露出部43Rの上側の板端面43R3は、固定ハウジング20から露出する。インサート成形時、第1平板部40Aの上側の板端面43R3に、金型が接触する(図26参照)。
第2平板部40Bは、第1平板部40Aの下方の第1曲部41Aを介して、第1平板部40Aと接続する。第1曲部41Aは、列間方向に直線状に延在する。第1曲部41Aの長さ(列間方向の長さ)は、第1平板部40Aの下端の長さ(列間方向の長さ)と同一とされる。第1曲部41Aは、ピッチ方向外側へ向けて曲がっており、第2平板部40Bは、第1平板部40Aに対し、ピッチ方向外側に位置する。
図22、図23に示すように、第1曲部41Aは、全体が固定ハウジング20に覆われる。露出部43の他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)と、当該他方の面40A2の下側に形成された固定ハウジング20の面20A2とは、同一平面上に位置する。つまり、固定ハウジング20のうち、第1平板部40Aの下側に位置する固定ハウジング20の面20A2は、露出部43の他方の面40A2と共に、ピッチ方向内側を法線方向とする平面(ピッチ方向当接面20Y)を形成する。ピッチ方向当接面は、可動ハウジング50,60のピッチ方向当接面60Y(図27)に当接可能とされる。
ピッチ方向当接面の列間方向外側には、ピッチ方向内側に盛り上がった膨出部25が一対形成される。膨出部25によって、第1平板部40Aの幅方向の両端部44が固定ハウジング20に埋没して両面から覆われる。
第2平板部40Bは、固定側部材20,40のピッチ方向壁22の一部を構成する。第2平板部40Bは、その板厚方向をコネクタ上下方向に向ける。第2平板部40Bは、第1曲部41Aからピッチ方向外側へ向けて延びている。第2平板部40Bの幅(列間方向寸法)は、第1平板部40Aの幅と略同一とされる。
第2平板部40Bは、その幅方向の位置によって、長さ(ピッチ方向外側へ延びる長さ)が異なっている。具体的には、図21に示すように、第2平板部40Bは、一般部45Aと、一般部45Aと比較して短い短部45Bと、一般部45Aと比較して長い長部45Cと、から構成される。
短部45Bは、第2平板部40Bの幅方向中央に形成される。長部45Cは、第2平板部40Bの幅方向中央を挟んで一対形成される。一般部45Aは、第2平板部40Bのうち短部45B及び長部45C以外の部分に形成される。具体的には、一般部45Aは、短部45Bと一対の長部45Cとの間の位置に一対形成されると共に、一対の長部45Cの幅方向外側(列間方向外側)の位置にも一対形成される。
図23等に示すように、第2平板部40Bのうち長部45Cの先端側の一部は、固定側部材20,40の固定ハウジング20から露出し、それ以外の部分は、固定ハウジング20に埋没する。長部45Cの先端(ピッチ方向外側の端)は、後述するキャリア切断部46である。
第3平板部40Cは、第1平板部40Aの幅方向(列間方向)外側に形成された一対の第2曲部41Bを介して、第1平板部40Aと接続する。第2曲部41Bは、コネクタ上下方向に延在する。第2曲部41Bの長さ(上下方向寸法)は、第1平板部40Aの上下方向寸法よりも短い。第2曲部41Bは、第1平板部40Aの下部と接続し、第1平板部40Aの上部とは接続しない。第2曲部41Bは、ピッチ方向内側に向けて曲がっており、第3平板部40Cは、第1平板部40Aに対し、ピッチ方向内側に位置する。
第3平板部40Cは、固定側部材20,40のピッチ方向壁22及び列間方向壁21の一部を構成する。第3平板部40Cは、その板厚方向を列間方向に向ける。第3平板部40Cの全体が固定ハウジング20に埋没し、固定ハウジング20から露出しない。
第3平板部40Cの幅(ピッチ方向寸法)は、その下端において、第3平板部40Cのピッチ方向外側の端部がピッチ方向外側に位置するように拡大されている。このため、第3平板部40Cの幅(ピッチ方向寸法)は、第2曲部41Bと同じ高さでの幅よりも、下端での幅の方が大きい。図20に示すように、第3平板部40Cの下端におけるピッチ方向外側端は、第1平板部40Aのピッチ方向外側の面40A1よりもピッチ方向外側に位置する。
第4平板部40Dは、第3平板部40Cの下側に形成された第3曲部41Cを介して、第3平板部40Cと接続する。第3曲部41Cは、ピッチ方向に延在する。第3曲部41Cの長さ(ピッチ方向寸法)は、第3平板部40Cの下端の幅(ピッチ方向寸法)と同一とされる。
図24に示すように、第4平板部40Dは、固定側部材20,40の固定ハウジング20に埋没せず、全体が固定ハウジング20から露出する。第4平板部40Dは、その板厚方向をコネクタ上下方向に向ける。第4平板部40Dは、ピッチ方向を長手方向、列間方向を短手方向とする長方形状とされる。第4平板部40Dの幅(ピッチ方向の寸法)は、第3曲部41Cの幅、及び、第3平板部40Cの下端の幅と同一とされる。第4平板部40Dは、基板の表面に配置され、基板に対して半田付けされる。
図25は、第1平板部40Aの下部に対応する高さにおける断面図である。図25に示すように、第1平板部40Aの下部と、第2曲部41Bと、第3平板部40Cとによって、上下方向に直交する断面形状が略C字状となるC字状部47が形成される。つまり、図25に示すように、補強金具40は、上下方向に直交する断面形状が略C字状となるC字状部47を有するといえる。
また、補強金具40は、C字状部47からコネクタ上方へ延長された延長部48を有する。延長部48は、上下方向に直交する断面形状が略直線状となる。延長部48は、C字状部47のうち第1平板部40Aの下部が上方に延長されて形成される。つまり、延長部48は、第1平板部40Aの上部である。
C字状部47の上端の高さは、固定側部材20,40の列間方向壁21の高さよりも低いが、延長部48の上端の高さは、固定側部材20,40の列間方向壁21の高さよりも高い。
補強金具40は、インサート成形により固定ハウジング20と一体化されるので、固定ハウジング20に圧入されるための手段(圧入のための突起)を有しない。
インサート成形時、補強金具40はキャリアと接続された状態(換言すると、補強金具40が素材から切り離されていない状態)であり、インサート成形後に補強金具40はキャリアと分離される。
具体的には、補強金具40の第2平板部40Bの長部45Cの先端は、キャリアと接続していた部分である。つまり、長部45Cの先端は、キャリア切断部46である。キャリア切断部46とは、インサート成形後に補強金具40とキャリアとを繋いだ部分を切断した際にできる部分をいう。
キャリア切断部46は、1つの補強金具40に対し、2つ形成される。2つのキャリア切断部46は、補強金具の幅方向中央(列間方向中央)に対し前後対称の位置に形成される。
(可動ハウジング)
図13に示すように、可動ハウジング50,60は、相手コネクタ10が挿入される被挿入部66を有する。被挿入部66は、上方側に開口する空間であり、相手コネクタ10が上方から挿入される。
(第1可動ハウジング)
第1可動ハウジング50は、樹脂により形成される。
図8に示すように、第1可動ハウジング50は、列間方向一方側の複数の第1端子30Aを保持する第1端子保持部51Aと、列間方向他方側の複数の第2端子30Bを保持する第2端子保持部51Bと、を有する。
第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bは、共に、ピッチ方向に直線状に延在する。第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとは、列間方向で対向して配置され、両者の間に空間を形成する。この空間に、端子30の一部(先端弾性部35)が位置する(図13)。
図8、図16に示すように、第1可動ハウジング50は、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとを連結する連結部52を有する。連結部52としては、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのピッチ方向一方側同士を連結する一方側連結部52Aと、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのピッチ方向他方側同士を連結する他方側連結部52Bと、が設けられる。第1可動ハウジング50は、一対の端子保持部51A,51B及び一対の連結部52A,52Bによって、平面視で略矩形の枠状とされる。
第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとは、互いの向きが異なるものの、同一の構造とされる。両者を区別しないで説明するときは、単に端子保持部51と呼ぶ。また、一方側連結部52Aと他方側連結部52Bは、互いの向きが異なるものの、同一の構造とされる。両者を区別しないで説明するときは、単に連結部52と呼ぶ。
図12に示すように、端子保持部51の断面形状(ピッチ方向に直交する断面形状)は、略矩形とされる。図8に示すように、端子保持部51は、上方を向く上面51K、下方を向く下面51L、列間方向外側を向く列間方向外側面51M及び列間方向内側を向く列間方向内側面51Nを有する。
図12に示すように、端子30は、略L字状の部分(可動側被保持部34)において、第1可動ハウジング50の端子保持部51に保持される。端子保持部51の列間方向外側面51Mと、可動側被保持部34の下方部34Aの列間方向外側の面とは、面一の関係となる。一方、可動側被保持部34の曲部34B及び内方部34Cは、その全周(四方向の面)が端子保持部51の樹脂に被覆される。
可動側被保持部34の内方部34Cの全体は、上下方向で、端子保持部51の上面51Kと下面51Lとの中間位置よりも下側に位置する。これにより、端子保持部51における可動側被保持部34が保持されている上下範囲の割合が大きくされ、端子30の保持力が効果的に高められる。
図8、図9に示すように、端子保持部51には、端子保持部51の上面51Kに対して上方へ膨出する膨出部51Xが形成される。膨出部51Xは、可動側被保持部34の下方部34Aの上端を保持する。
連結部52は、第1可動ハウジング50のピッチ方向外側の端を構成するピッチ方向外側面52Mを有する。
ピッチ方向外側面52Mは、法線方向をピッチ方向外側に向けた平面とされる。ピッチ方向外側面52Mは、列間方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする長方形状とされる。ピッチ方向外側面52Mの列間方向の寸法は、第1可動ハウジング50全体の列間方向の寸法よりも小さく形成される。ピッチ方向外側面52Mが形成される範囲は、第1可動ハウジング50の列間方向中央の範囲とされる。
図8、図16に示すように、ピッチ方向外側面52Mに対し列間方向外側には、ピッチ方向外側面52Mよりもピッチ方向内側に窪んだ窪み面52Xが形成される。これにより、第1可動ハウジング50のピッチ方向の寸法は、列間方向中央(ピッチ方向外側面52Mが形成された範囲)で最大とされ、列間方向外側(窪み面52Xが形成された範囲)で小さくされている。
図16、図32に示すように、窪み面52Xは、縦面52X2と横面52X3とを有する。
縦面52X2は、ピッチ方向外側面52Mと接続する面であり、ピッチ方向内側へ延びている。縦面52X2の法線方向は、列間方向外側である。縦面52X2は、端子保持部51の列間方向内側面51Nよりも列間方向内側に位置する。
横面52X3は、縦面52X2と接続する面であり、列間方向外側へ延びている。横面52X3の法線方向は、ピッチ方向外側である。横面52X3の列間方向外側の端は、端子保持部51の列間方向外側面51Mと列間方向で一致する。
窪み面52Xが形成されることで、第1可動ハウジング50のピッチ方向外側における列間方向中央の範囲に、ピッチ方向外側へ突出する突出部59が形成されるとも言える。この突出部59の列間方向の寸法は、一対の端子保持部51の互いに対向する列間方向内側面51N同士の距離よりも大きくされる。
図8に示すように、連結部52は、端子保持部51の上面51Kと面一とされた上面52Kを有する。
連結部52は、その上面52Kに対し、下方(嵌合方向)へ窪んだ凹部52Yを有する。
凹部52Yには、相手コネクタ10との接続状態で、相手コネクタ10の一部が配置される。つまり、凹部52Yは、可動ハウジング50,60の被挿入部66の一部を構成する(図13)。凹部52Yは、上方だけでなく、ピッチ方向内側にも開放される。
凹部52Yは、連結部52の列間方向中央かつピッチ方向内側の所定の範囲に形成される。図9に示すように、凹部52Yには、上方を向く底面52Y1と、ピッチ方向内側を向くピッチ方向面52Y2と、列間方向に対向する一対の列間方向面52Y3と、が形成される。ピッチ方向面52Y2及び一対の列間方向面52Y3と、連結部52の上面52Kとの間には、傾斜面52Y4が形成される。
図16に示すように、凹部52Yの列間方向の寸法は、一対の連結部52同士の列間方向の距離よりも小さい。
凹部52Yの深さ(本実施形態では、連結部52の上面52Kから凹部52Yの底面52Y1までの上下寸法)は、連結部52の上面52Kから下面52Lまでの寸法の1/2よりも大きくされ、コネクタ100に対して相手コネクタ10を深く挿入できるようにされている。
凹部52Yのピッチ方向の寸法(本実施形態では、凹部52Yの底面52Y1のピッチ方向の寸法)は、連結部52のピッチ方向の寸法の2/5よりも大きくされ、コネクタ100全体のピッチ方向の寸法に対する被挿入部66のピッチ方向の拡大が図られている。
端子保持部51の列間方向外側面51Mは、第1可動ハウジング50全体の列間方向外側の端を構成し、端子保持部51の下面51Lは、第1可動ハウジング50全体の下側の端を構成する。また、端子保持部51の下面51Lと、連結部52の下面52Lとは、面一の関係とされる。
(第2可動ハウジング)
第2可動ハウジング60は、樹脂により形成される。
図10に示すように、第2可動ハウジング60は、被挿入部66の一部を形成する。すなわち、第2可動ハウジング60は、被挿入部66を形成する壁面66X,66Yを有する。被挿入部66を形成する列間方向に対向する一対の壁面66Xは、共に、法線方向を列間方向内側に向ける平面とされ、被挿入部66を形成するピッチ方向に対向する一対の壁面66Yは、共に、法線方向をピッチ方向内側に向ける平面とされる。
被挿入部66を形成する列間方向に対向する一対の壁面66Xには、複数の端子30の一部が配置されるための複数の端子配置溝66X1が形成される。図13に示すように、端子30の自由状態において、端子30の先端(他端30S)は、被挿入部66の外部(具体的には、端子配置溝66X1の内部)に配置される。一方、端子30の接触部36は、被挿入部66の内部に配置される。
図10に示すように、第2可動ハウジング60は、被挿入部66を形成するピッチ方向に対向する一対の壁面66Yがそれぞれ形成された一対のピッチ方向外側壁61を有する。ピッチ方向外側壁61は、第1可動ハウジング50の連結部52の上側に配置される(図15)。
図3に示すように、ピッチ方向外側壁61は、その列間方向中央を構成する中央部61Lと、中央部61Lに対し列間方向外側を構成する一対の外側部61Kと、を有する。
ピッチ方向外側壁61の中央部61Lのピッチ方向外側の面は、法線方向をピッチ方向外側へ向けた平面とされ、他の部材(本実施形態では固定側部材20,40)に当接することで、可動ハウジング50,60のピッチ方向の可動域を規定するピッチ方向当接面60Yとして機能する。
ピッチ方向外側壁61の外側部61Kのピッチ方向外側の面は、中央部61Lのピッチ方向外側の面(ピッチ方向当接面60Y)よりもピッチ方向内側に位置する。これにより、ピッチ方向当接面60Yの列間方向の両外側には、ピッチ方向当接面60Yに対してピッチ方向内側に凹んだ凹み部が形成される。この凹み部は、可動ハウジング50,60がコネクタ水平方向に変位しても、固定ハウジング20の膨出部25に当接しないような大きさ及び形状とされる。
図10に示すように、第2可動ハウジング60は、ピッチ方向で隣り合う端子30同士の間に配置される複数の介在壁62を有する。
介在壁62は、ピッチ方向を壁厚方向とする壁であり、ピッチ方向に等間隔に複数配置される。複数の介在壁62は、複数の第1端子30Aに対応する列間方向一方側の複数の第1介在壁62と、複数の第2端子30Bに対応する列間方向他方側の複数の第2介在壁62と、から構成される。第1介在壁62と第2介在壁62とは、分離されている。
複数の第1介在壁62及び複数の第2介在壁62それぞれの列間方向内側の端面が、上述した、被挿入部66を形成する列間方向に対向する一対の壁面66Xとなっている。そして、隣り合う介在壁62同士の間の空間が、上述した端子配置溝66X1となっている。
図13に示すように、介在壁62は、一部(中間介在部)において、複数の端子30の中間弾性部33の間に介在し、他の一部(先端介在部)において、複数の端子30の先端弾性部35や接触部36の間に介在する。
第2可動ハウジング60は、列間方向において、端子30の中間弾性部33と接触部36との間に配置されると共に略上下方向に延在する上下延在部63を有する。
上下延在部63は、第2可動ハウジング60の一対のピッチ方向外側壁61同士をピッチ方向に連結するように機能すると共に、複数の介在壁62をピッチ方向に連結するようにも機能し、第2可動ハウジング60の強度を向上させる。
上下延在部63の下端は、ピッチ方向外側壁61の下端及び介在壁62の下端と上下方向で略一致し、第2可動ハウジング60の下側の端を構成する。
図13に示すように、上下延在部63は、上下方向に延びる下部63Lと、上方に向かって列間方向外側に傾斜する上部63Uと、から構成される。
上下延在部63の下部63Lと端子30の中間弾性部33の第2曲部33Dとは、近接し、上下延在部63の上部63Uと端子30の中間弾性部33の第2直線部33Cとは、中間弾性部33を変位可能とする間隔を開ける。上下延在部63の上部63Uの列間方向の外側端は、上方に向かうに従って列間方向外側へ傾斜しており、中間弾性部33の第2直線部33Cと上下方向で重なる位置に形成されると共に、中間弾性部33の第2直線部33Cと列間方向で重なる位置に形成される。
なお、本開示において、端子30の各部の配置について説明するときは、特に断らない限り、端子30が自由状態にあるときを前提としている。
上下延在部63の上部63Uには、列間方向外側に窪む凹部63Aが形成される。凹部63Aは、上下延在部63の下部63Lの列間方向の内側端よりも列間方向で外側に位置する。端子30の先端弾性部35が変形し、接触部36が変位したときに、端子30の一部(他端30S)が逃げることができる空間が、凹部63Aにより形成される。
列間方向に対向する一対の上下延在部63の下部63L同士の列間方向の距離は、第1可動ハウジング50の一対の端子保持部51同士の列間方向の距離と同一とされる。そのため、上下延在部63の下部63Lの列間方向の内側端と、端子保持部51の列間方向内側面51Nとは、列間方向で一致する。
第2可動ハウジング60は、被挿入部66が上方に向けて開口した開口縁においてピッチ方向に延在する開口縁ピッチ方向延在部64を有する。開口縁ピッチ方向延在部64は、一対のピッチ方向外側壁61同士をピッチ方向に連結するように機能すると共に、複数の介在壁62をピッチ方向に連結するようにも機能し、可動ハウジング50,60の強度を向上させる。
第2可動ハウジング60は、可動ハウジング50,60の上部を構成する上部67を有する。第2可動ハウジング60の上部67は、固定側部材20,40が形成する収容空間26の外部(収容空間26よりも上側)に配置される。上部67は、平面視で、ピッチ方向を長手方向とする長方形状とされる。
図3に示すように、上部67は、列間方向外側に張り出す列間方向張出部67Xを有する。
列間方向張出部67Xは、第2可動ハウジング60の上部67のピッチ方向一方側から他方側までの全体に形成される。図13に示すように、列間方向張出部67Xは、端子30の中間弾性部33を上方から覆う。列間方向張出部67Xの列間方向外側の端は、端子30の中間弾性部33よりも列間方向外側に位置する。列間方向張出部67Xは、上下延在部63と接続される。
図3に示すように、上部67は、ピッチ方向当接面60Yよりもピッチ方向外側に張り出すピッチ方向張出部67Yを有する。ピッチ方向張出部67Yは、第2可動ハウジング60の上部67の列間方向一方側から他方側までの全体に形成される。
図15に示すように、ピッチ方向張出部67Yは、可動ハウジング50,60が下方へ移動することで、固定側部材20,40のピッチ方向壁22に当接する。すなわち、ピッチ方向張出部67Yが固定側部材20,40のピッチ方向壁22に上方から当接することで、可動ハウジング50,60の下方向の可動域が制限される。
図10に示すように、ピッチ方向張出部67Yの下面67Y1は、法線方向を下方向に向けた平面とされ、列間方向張出部67Xの下面67X1よりも上下方向で下方に位置する。これにより、図13に示すように、列間方向張出部67Xの下方に配置された、端子30の中間弾性部33は、その一部がピッチ方向張出部67Yの下面67Y1よりも上方に位置する。また、これにより、上部67は、ピッチ方向張出部67Yにおいて上下寸法が拡大され、第2可動ハウジング60の強度が向上されている。
図10に示すように、第2可動ハウジング60の上部67は、接続される相手コネクタ10に接触して相手コネクタ10を被挿入部66に案内する機能を有する。換言すると、上部67は、略上方を向く面であって、接続される相手コネクタ10に接触して相手コネクタ10を被挿入部66に案内するための案内面68を有する。
案内面68は、被挿入部66の開口縁に位置する第1傾斜面68Aと、第1傾斜面68Aと接続する第1水平面68Bと、を有する。また、案内面68は、第1水平面68Bよりも上方の第2水平面68Dと、第1水平面68Bと第2水平面68Dとを接続する第2傾斜面68Cと、を有する。
また、案内面68は、第3傾斜面68Eを有する。第3傾斜面68Eは、案内面68における第2水平面68Dよりも外側に接続され、第2水平面68Dから離れるに従い下方へ降りる傾斜面とされる。
第1傾斜面68A及び第1水平面68Bは、平面視で被挿入部66を囲うように、被挿入部66の周りを全周に亘って連続して形成される。一方、第2傾斜面68C、第2水平面68D及び第3傾斜面68Eは、案内面68のうちピッチ方向中央の一部を除いた部分に形成される。
第2傾斜面68Cは、案内面68におけるピッチ方向両側に位置し、列間方向に直線状に延びるピッチ方向部68CYと、案内面68における列間方向両側に位置し、ピッチ方向に直線状に延びる列間方向部68CXと、を有する。図15に示すように、第2傾斜面68Cのピッチ方向部68CYの全体は、ピッチ方向当接面60Yよりもピッチ方向外側に位置する。
ピッチ方向外側壁61の中央部61Lには、下方に向けて延長された延長部69が形成される。延長部69は、中央部61Lにおける列間方向両側の一対に形成される。一対の延長部69の列間方向の距離は、第1可動ハウジング50の突出部59の列間方向の寸法を略同一とされる。図33に示すように、一対の延長部69の間に、第1可動ハウジング50の突出部59が配置される。延長部69の上下寸法と、突出部59の上下寸法は、同一とされる。これにより、第1可動ハウジング50の連結部52と第2可動ハウジング60の延長部69とは、互いの下面が上下方向で略一致する。
図34に示すように、列間方向一方側の延長部69は、第1可動ハウジング50の突出部59と列間方向で隣接すると共に、連結部52(のうち列間方向一方側部分)とピッチ方向で隣接する。また、列間方向他方側の延長部69も、第1可動ハウジング50の突出部59と列間方向で隣接すると共に、連結部52(のうち列間方向他方側部分)とピッチ方向で隣接する。
図31に示すように、介在壁62の下端には、第1可動ハウジング50とのピッチ方向の位置決めをする位置決め部62Aが形成されている。位置決め部62Aでは、下方へ向けて介在壁62の壁厚(ピッチ方向寸法)が次第に薄くされている。位置決め部62Aは、第1可動ハウジング50の端子保持部51の複数の膨出部51X(図32)の間に配置される(図33)。
(被保持部の具体的構成)
次に、固定側被保持部32及び可動側被保持部34について、詳細に説明する。
図27は、図13の27-27線断面図である。図30は、図27の一部拡大図である。
図27に示すように、固定ハウジング20(固定側部材20,40)の列間方向壁21の内側面21Nと、第1可動ハウジング50の端子保持部51の列間方向外側面51Mとは、列間方向に対向し、可動ハウジング50,60が固定ハウジング20に対して列間方向に変位したときに互いに当接するようになっている。したがって、固定ハウジング20の列間方向壁21の内側面21Nと、第1可動ハウジング50の端子保持部51の列間方向外側面51Mとは、互いに当接することで固定ハウジング20に対する可動ハウジング50,60の列間方向の可動域を制限する一対の列間方向当接面20X,50Xとして機能する。
図30に示すように、固定側被保持部32の上方部32Aは、固定ハウジング20の列間方向壁21の内側面21N(列間方向当接面20X)から露出する面(露出面37A)を有する。
具体的には、固定ハウジング20の列間方向壁21の内側面21Nは、ピッチ方向及びコネクタ上下方向に延在する。固定側被保持部32の上方部32Aは、列間方向壁21の内側面21Nに沿うように、上方へ向けて延在する。固定側被保持部32の上方部32Aの列間方向内側の面が露出面37Aとされる。
すなわち、固定側被保持部32の上方部32Aは、固定ハウジング20の面に沿って延在する「面沿い部」であり、固定ハウジング20から露出する面(露出面37A)を有する。
図28は、固定側被保持部32の拡大斜視図である。
図28に示すように、端子30には、板幅方向(ピッチ方向)で外側に突出する一対の凸部(固定側凸部32K)が形成される。
一対の固定側凸部32Kは、一端30K側から他端30S側へ延びる端子30において、一端30Kから他端30Sまでを全区間と見たときの一部の区間に形成される。一対の固定側凸部32Kが形成されることで、その形成された区間において、端子30の板幅が拡大される。固定側凸部32Kが形成された区間は、固定側被保持部32の途中から中間弾性部33の途中までの区間とされ、固定側被保持部32と中間弾性部33とを跨る。なお、図28に示す二点鎖線は、固定側被保持部32の始点と終点とを示す。
固定側凸部32Kは、露出面37Aと接続された傾斜面32K4を有する。
傾斜面32K4は、法線方向をピッチ方向に対して列間方向内側へ傾けた方向に向ける。つまり、傾斜面32K4の法線は、列間方向内側(上方部32Aが剥離する方向)の成分がプラスである。本実施形態では、この傾斜面32K4の一部が、固定ハウジング20に被覆され、「剥離方向被覆面」(剥離方向被覆面37B)に相当する。
更に具体的には、固定側凸部32Kは、図28に示すように、一端側面32K1と、他端側面32K2と、板幅方向面32K3と、傾斜面32K4と、を有する。一端側面32K1は、固定側凸部32Kにおける一端30K側に形成され、端子30の延在方向一端側を向く。他端側面32K2は、固定側凸部32Kにおける他端30S側に形成され、端子30の延在方向他端側を向く。板幅方向面32K3は、端子30の板幅方向外側を向き、露出面37Aとの間に傾斜面32K4が形成される。固定側凸部32Kの一端側面32K1は、固定ハウジング20に被覆されるが、他端側面32K2は、固定ハウジング20に被覆されない。
図30に示すように、可動側被保持部34の下方部34Aは、第1可動ハウジング50の端子保持部51の列間方向外側面51M(列間方向当接面50X)から露出する面(露出面37A)を有する。
具体的には、第1可動ハウジング50の端子保持部51の列間方向外側面51Mは、ピッチ方向及びコネクタ上下方向に延在する。可動側被保持部34の下方部34Aは、端子保持部51の列間方向外側面51Mに沿うように、下方へ向けて延在する。可動側被保持部34の下方部34Aの列間方向外側の面が露出面37Aとされる。
すなわち、可動側被保持部34の下方部34Aは、第1可動ハウジング50の面に沿って延在する「面沿い部」であり、第1可動ハウジング50から露出する面(37A)を有する。
図29は、可動側被保持部34の拡大斜視図である。
図29に示すように、端子30には、板幅方向(ピッチ方向)で外側に突出する一対の凸部(可動側凸部34K)が形成される。
一対の可動側凸部34Kは、一端30K側から他端30S側へ延びる端子30において、一端30Kから他端30Sまでを全区間と見たときの一部の区間に形成される。一対の可動側凸部34Kが形成されることで、この形成された区間において、端子30の板幅が拡大される。可動側凸部34Kが形成された区間は、可動側被保持部34の始点から可動側被保持部34の途中までの区間とされる。なお、図29に示す二点鎖線は、可動側被保持部34の始点と終点とを示す。
可動側凸部34Kは、露出面37Aと接続された傾斜面34K4を有する。
傾斜面34K4は、法線方向をピッチ方向に対して列間方向外側へ傾けた方向に向ける。つまり、傾斜面34K4の法線は、列間方向外側(下方部34Aが剥離する方向)の成分がプラスである。本実施形態では、この傾斜面34K4が「剥離方向被覆面」(剥離方向被覆面37B)に相当する。
更に具体的には、可動側凸部34Kは、図29に示すように、一端側面34K1と、他端側面34K2と、板幅方向面34K3と、傾斜面34K4と、を有する。一端側面34K1は、可動側凸部34Kにおける一端30K側に形成され、端子30の延在方向一端側を向く。他端側面34K2は、可動側凸部34Kにおける他端30S側に形成され、端子30の延在方向他端側を向く。板幅方向面34K3は、端子30の板幅方向外側を向く。可動側凸部34Kの他端側面34K2は、第1可動ハウジング50に被覆されるが、可動側凸部34Kの一端側面34K1は、第1可動ハウジング50に被覆されない。露出面37Aと板幅方向面34K3との間に傾斜面34K4が形成される。
なお、本実施形態の端子30の寸法は小さい。そのため、実際に作られる端子30は、上で説明した構造が正確に反映されたものとなるわけではない。
(相手コネクタ)
図5、図14は、「接続対象物」としての相手コネクタ10を示す。
図4~図6に示すように、「接続対象物」としての相手コネクタ10は、コネクタ100に嵌合する。図14に示すように、相手コネクタ10は、複数の相手端子70と、相手ハウジング80と、を備える。
相手ハウジング80は、図示しない相手基板に沿って配置される基部81と、基部81からコネクタ100側に突出した挿入部82と、を備える。挿入部82は、第2可動ハウジング60の被挿入部66に挿入される。挿入部82の列間方向一方側と列間方向他方側には、相手端子70の接触部73が配置される配置溝(図示省略)が形成される。配置溝は、コネクタ上下方向に直線状に延在する。
相手端子70は、一端側から他端側に向けて、実装部71と、第1埋没部72と、接触部73と、第2埋没部74と、を有する。
実装部71は、相手基板の表面に半田付けにより固定される。実装部71は、一端側から他端側に向けて、列間方向内側に直線状に延びる。
第1埋没部72は、相手ハウジング80に埋没する。実装部71と第1埋没部72との間には、第1曲部75Aが形成される。第1埋没部72は、第2曲部75Bと第3曲部75Cとを含んで構成される。第1埋没部72は、相手ハウジング80の基部81を上下方向で貫通する。
接触部73は、相手ハウジング80から露出する。接触部73は、板厚方向を列間方向に向け、かつ板幅方向をピッチ方向に向けて、コネクタ下方に向けて直線状に延びる。接触部73の列間方向外側の面が、コネクタ100の端子30の接触部36に接触する。
第2埋没部74は、相手ハウジング80に埋没する。接触部73と第2埋没部74との間には、第4曲部75Dが形成される。第4曲部75Dでは、露出部43においてコネクタ下方である延在方向が、列間方向内側に曲がっている。第2埋没部74は、第5曲部75Eを含んで構成される。第5曲部75Eは、その全体が相手ハウジング80に埋没する。第5曲部75Eでは、列間方向内側の延在方向が、コネクタ下方に向けて曲がっている。第2埋没部74の先端面(板材が切断されて形成された面)は、相手ハウジング80からコネクタ下方に向けて露出する。
複数の相手端子70と相手ハウジング80とは、インサート成形によって一体化される。そのため、相手端子70は、当該相手端子70を相手ハウジング80に圧入するための手段(圧入のための突起)を有しない。
相手端子70は、板材に対し、打抜き加工と曲げ加工とを施すことで作られる。相手端子70は、板材が曲げられた部分を複数有するが、相手端子70の板厚方向は、相手端子70の全ての部分において、ピッチ方向に直交する平面内(ZX平面内)の方向を向く。
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、図11、図13に示すように、コネクタ100が、「ハウジング」としての固定ハウジング20と、端子30と、を備える。端子30は、インサート成形によりハウジング(固定ハウジング20)に保持される「被保持部」としての固定側被保持部32と、被保持部(固定側被保持部32)に対して変位可能に構成される「変位部」としての可動側被保持部34と、被保持部(固定側被保持部32)と変位部(可動側被保持部34)との間に位置する弾性変形可能な「弾性部」としての中間弾性部33と、を有する。
また、被保持部(固定側被保持部32)は、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)を含んで構成される。「面沿い部」とは、ハウジングの面に沿って延在する部分であって、ハウジングから露出する面を有する部分を意味する。
ここで、被保持部(固定側被保持部32)の面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が弾性部(中間弾性部33)に隣接していると、変位部(可動側被保持部34)が被保持部(固定側被保持部32)に対して変位し、弾性部(中間弾性部33)が弾性変形するときに、ハウジング(固定ハウジング20)のうち、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が保持されている部分に負荷が加わり、被保持部(固定側被保持部32)の面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)がハウジング(固定ハウジング20)から剥離してしまう懸念がある。
そこで、本実施形態では、図30に示すように、弾性部(中間弾性部33)に隣接する面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が、剥離方向被覆面37Bを有する。「剥離方向被覆面」とは、ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面を意味する。
このため、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力、本実施形態では列間方向内側への力)が面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)に加わったときに、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)の剥離方向被覆面37Bが、ハウジング(固定ハウジング20)からの垂直抗力として、剥離方向と反対方向成分を有する力を受ける。その結果、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)がハウジング(固定ハウジング20)から剥離することが抑制される。
なお、剥離を抑制する観点からは、沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)の幅W1に対する露出面37Aの幅W2の比率は、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
また、本実施形態では、コネクタ100が、「ハウジング」としての可動ハウジング50,60と、端子30と、を備える。端子30は、インサート成形によりハウジング(可動ハウジング50,60)に保持される「被保持部」としての可動側被保持部34と、被保持部(可動側被保持部34)に対して変位可能に構成される「変位部」としての固定側被保持部32と、被保持部(可動側被保持部34)と変位部(固定側被保持部32)との間に位置する弾性変形可能な「弾性部」としての中間弾性部33と、を有する。
また、被保持部(可動側被保持部34)は、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)を含んで構成される。「面沿い部」とは、ハウジングの面に沿って延在する部分であって、ハウジングから露出する面を有する部分を意味する。
ここで、被保持部(可動側被保持部34)の面沿い部(下方部34A)が弾性部(中間弾性部33)に隣接していると、変位部(固定側被保持部32)が被保持部(可動側被保持部34)に対して変位し、弾性部(中間弾性部33)が弾性変形するときに、ハウジング(可動ハウジング50,60)のうち、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)が保持されている部分に負荷が加わり、被保持部(可動側被保持部34)の面沿い部(下方部34A)がハウジング(可動ハウジング50,60)から剥離してしまう懸念がある。
そこで、本実施形態では、弾性部(中間弾性部33)に隣接する面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)が、剥離方向被覆面37Bを有する。「剥離方向被覆面」とは、ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面を意味する。
このため、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力、本実施形態では列間方向外側への力)が面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)に加わったときに、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)の剥離方向被覆面37Bが、ハウジング(可動ハウジング50,60)からの垂直抗力として、剥離方向と反対方向成分を有する力を受ける。その結果、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)がハウジング(可動ハウジング50,60)から剥離することが抑制される。
また、本実施形態では、コネクタ100が、基板等の固定対象物に対して固定可能に構成される固定ハウジング20と、固定ハウジング20に対して変位可能に構成される可動ハウジング50,60と、端子30と、を備える。端子30は、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部32と、可動ハウジング50,60に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部33と、を有する。中間弾性部33が弾性変形することで、可動側被保持部34は、固定側被保持部32に対して変位する。
また、固定側被保持部32は、面沿い部(上方部32A)を含んで構成される。
ここで、固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)が中間弾性部33に隣接していると、可動側被保持部34が固定側被保持部32に対して変位し、中間弾性部33が弾性変形するときに、固定ハウジング20のうち面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)を保持している部分に負荷が加わり、固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)が固定ハウジング20から剥離してしまう懸念がある。
そこで、本実施形態では、中間弾性部33に隣接する面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が、剥離方向被覆面37Bを有する。
このため、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力、本実施形態では列間方向内側への力)が面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)に加わったときに、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)の剥離方向被覆面37Bが、固定ハウジング20からの垂直抗力として、剥離方向とは反対方向成分を有する力を受ける。その結果、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が固定ハウジング20から剥離することが抑制される。
また、本実施形態では、図13に示すように、固定ハウジング20は、固定側被保持部32を保持すると共に、可動ハウジング50,60の全部又は一部が収容される収容空間26を形成する壁である端子保持壁(列間方向壁21)を有する。
そして、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)は、端子保持壁(列間方向壁21)の内側面21N(収容空間26に面する面)に沿って延在し、固定側被保持部32は、この面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)のみから構成される。つまり、固定側被保持部32は、端子保持壁(列間方向壁21)の内側面21Nに沿って延在する面沿い部(上方部32A)のみから構成される。
このため、端子保持壁(列間方向壁21)の内側面21N付近の部分のみが、固定側被保持部32の保持を担っている。したがって、固定側被保持部32の保持力を確保したまま、端子保持壁(列間方向壁21)の壁厚(図13における左右寸法)を小さくすることができる。
また、本実施形態では、端子30は、固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部31Aと、水平部31Aと面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)とを接続する曲部31Bと、を有する。
このため、端子30の水平部31A及び曲部31Bは、基板の面に接触又は近接することとなり、基板への半田付けに用いることができる。つまり、水平部31A及び曲部31Bにより半田固定部31が形成される。そして、端子30の曲部31Bは、平面視で(基板に垂直な方向から見て)、端子保持壁(列間方向壁21)の内側面21N付近に形成されることとなるので、収容空間26の近くまで端子30を基板に半田付けすることが可能となる。その結果、コネクタ100の実装強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、図13に示すように、水平部31Aの一部(本実施形態では先端部)は、基板に垂直な方向から見て、端子保持壁(列間方向壁21)に対して収容空間26とは反対側にはみ出している。このため、コネクタ100が適切に実装されたか否かを確認することが容易である。
また、本実施形態では、図13に示すように、中間弾性部33は、固定対象物としての基板から離れる方向(+Z方向)に延びる第1延在部(第1直線部33A)と、基板に近づく方向(-Z方向)に延びる第2延在部(第2直線部33Cと第2曲部33D)と、第1延在部(第1直線部33A)と第2延在部(第2直線部33Cと第2曲部33D)とを接続する折返部(第1曲部33B)と、を有する。
そして、第1延在部(第1直線部33A)及び固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)は、共に基板に垂直な方向に直線状に延在し、互いに直線的に接続される。
このため、小型化が要求されるコネクタ100においては限られたスペースに端子30の中間弾性部33を配置する必要があるところ、端子30の中間弾性部33(の一部である第1延在部(第1直線部33A)や折返部(第1曲部33B))を、固定ハウジング20における固定側被保持部32を保持する部分(端子保持壁、列間方向壁21)の上方のスペースを利用して、効率的に配置できる。
但し、固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)と、中間弾性部33の折返部(第1曲部33B)との間に、端子30が曲げられた部分が存在しないこととなるため、中間弾性部33が弾性変形した場合、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が保持される部分に対し大きな負荷が加わりやすくなる。しかし、本実施形態では、上の説明で述べたとおり、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)が剥離方向被覆面37Bを有するので、面沿い部(固定側被保持部32の上方部32A)の剥離が抑制される。
また、本実施形態では、可動側被保持部34も、インサート成形によって可動ハウジング50,60に保持され、面沿い部(下方部34A)を含んで構成される。
ここで、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)が中間弾性部33に隣接していると、可動側被保持部34が固定側被保持部32に対して変位し、中間弾性部33が弾性変形するときに、可動ハウジング50,60のうち面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)を保持している部分に負荷が加わり、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)が可動ハウジング50,60から剥離してしまう懸念がある。
そこで、本実施形態では、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)が、剥離方向被覆面37Bを有する。
このため、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)を剥離させるような力(すなわち、剥離方向の力、本実施形態では列間方向外側への力)が面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)に加わったときに、面沿い部(可動側被保持部34の下方部34A)の剥離方向被覆面37Bが、可動ハウジング50,60からの垂直抗力として、剥離方向とは反対方向成分を有する力を受ける。その結果、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)が可動ハウジング50,60から剥離することが抑制される。
また、本実施形態では、固定ハウジング20及び可動ハウジング50,60は、互いに当接することで固定ハウジング20に対する可動ハウジング50,60の固定対象物としての基板に沿った可動域を制限する一対の「水平方向当接面」としての列間方向当接面20X,50Xを有する。
固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)は、固定ハウジング20の水平方向当接面(列間方向当接面20X)に露出し、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)は、可動ハウジング50,60の水平方向当接面(列間方向当接面50X)に露出する。
このため、固定側被保持部32の面沿い部(上方部32A)と、可動側被保持部34の面沿い部(下方部34A)とが当接する位置まで、固定ハウジング20に対して可動ハウジング50,60が変位することが可能となり、一対の水平方向当接面(列間方向当接面20X,50X)が対向する方向の可動域を大きく確保することができる。
<他の作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について、別の観点から説明する。
本実施形態では、図11に示すように、コネクタ100は、端子30と、「固定側部材」としての固定側部材20,40に対して相対移動可能に構成される可動ハウジング50,60と、を備える。端子30は、固定側部材に保持される固定側被保持部32と、可動ハウジング50,60に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部33と、相手コネクタ10と接触する接触部36と、を有する。このため、端子30の中間弾性部33が弾性変形することで、固定側部材に対する可動ハウジング50,60の相対移動が許容される。
更に、可動ハウジング50,60は、端子30の可動側被保持部34を保持する端子保持部51を有する第1可動ハウジング50と、第1可動ハウジング50と一体化される第2可動ハウジング60と、を有する。
このため、第2可動ハウジング60を、端子30を保持する第1可動ハウジング50とは別に、形成することができる。したがって、第2可動ハウジング60の形状について自由度が向上する。その結果、可動ハウジング50,60の設計自由度が向上する。
なお、上記実施形態では、固定ハウジング20及び補強金具40により構成された固定側部材20,40が「固定側部材」に相当したが、「固定側部材」は、これに限定されず、例えば基板であってもよいし、他の端子であってもよい。
また、本実施形態では、端子30の可動側被保持部34に対する第1可動ハウジング50の端子保持部51の保持は、インサート成形により行われる。このため、コネクタ100の製造に際し、第1可動ハウジング50に端子30を圧入する工程が不要となる。
なお、端子30を保持する第1可動ハウジング50とは別に、第2可動ハウジング60を形成することができることは、インサート成形により可動ハウジング50,60に端子30を保持させる場合に特に有益である。
なぜなら、端子とハウジングとをインサート成形により一体成形する場合、端子のうちハウジングに保持されない部分が配置されるための空間を形成しつつ、ハウジングを成形しなければならないので、ハウジングや端子の設計自由度を確保することが難しい。特に、本実施形態のような端子30を可動ハウジングの全体と一体成形する場合、インサート成形の際、端子30のうち先端弾性部35や中間弾性部33の変位を許容するための空間を形成しつつ可動ハウジングを成形しなければならないため、可動ハウジングや端子の設計自由度を確保することが難しい。
しかし、本実施形態によれば、第2可動ハウジング60を、第1可動ハウジング50や端子30とは別に成形することができるので、第2可動ハウジング60の設計自由度を確保することができ、可動ハウジングの形状の自由度が大幅に向上する。したがって、例えば本実施形態のように、複数の端子30を備えるコネクタ100において、ピッチ方向に隣り合う端子30の中間弾性部33や先端弾性部35の間に介在する介在壁62を可動ハウジング50,60の一部である第2可動ハウジング60に形成することが容易となる。また、介在壁62と端子30の間のピッチ方向の隙間を小さくすることが容易となる。その結果、介在壁62を備えつつも、ピッチ方向に小型化されたコネクタとすることが容易となる。
なお、インサート成形は、成形金型内に端子(の一部)を配置してから、溶融樹脂を金型内に充填することで行われる。
また、本実施形態では、第2可動ハウジング60は、複数の端子30の中間弾性部33の間に介在する「中間介在部」としての介在壁62を有する。
このため、例えば、複数の端子30の中間弾性部33同士が接触することが抑制される。
また、本実施形態では、可動ハウジング50,60は、相手コネクタ10が挿入される被挿入部66を有する。そして、被挿入部66の開口縁は、開口縁ピッチ方向延在部64として第2可動ハウジング60に形成される。
このため、被挿入部66の開口縁を、端子30を保持する第1可動ハウジング50とは別に、形成することができる。
また、本実施形態では、図13に示すように、第1可動ハウジング50は、可動ハウジング50,60の下部を構成し、被挿入部66は、第1可動ハウジング50と嵌合方向で重なる位置まで形成される。
すなわち、本実施形態では、相手コネクタ10を、可動ハウジング50,60の下部を構成する第1可動ハウジング50と嵌合方向で重なる位置まで挿入できる。
このため、低背化を図りつつ、有効嵌合長を確保しやすいコネクタ100とすることができる。
また、本実施形態では、図13に示すように、端子30は、接触部36を可動ハウジング50,60に対して変位可能とするための先端弾性部35を有する。このため、接触部36は、相手コネクタ10に対し、弾性的に接触する。
更に、第2可動ハウジング60は、接触部36を変位可能に収容する「収容部」としての被挿入部66及び端子配置溝66X1を有する。このため、第2可動ハウジング60によって、端子30の接触部36が保護される。
また、本実施形態では、可動ハウジング50,60は、複数の端子30の先端弾性部35又は接触部36の間に介在する「先端介在部」としての介在壁62を有する。このため、例えば、複数の端子30の先端弾性部35や接触部36同士が接触することが抑制される。
また、本実施形態では、複数の端子30は、ピッチ方向に並んで複数配置される複数の第1端子30Aと、ピッチ方向に並んで複数配置され、複数の第1端子との間に相手コネクタ10を挟持するように配置される複数の第2端子30Bと、を含んで構成される。
更に、図8に示すように、第1可動ハウジング50は、複数の第1端子30Aを保持する第1端子保持部51Aと、複数の第2端子30Bを保持する第2端子保持部51Bと、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとを連結する連結部52と、を有する。
このため、連結部52により、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとの相対位置関係が維持されるので、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとが分離されている態様と比較して、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60との一体化が容易となる。
更に、本実施形態では、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとは、列間方向に空間を開けて配置される。また、連結部52は、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのピッチ方向一方側の端部を連結する一方側連結部52Aと、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのピッチ方向他方側の端部を連結する他方側連結部52Bと、を有する。そして、相手コネクタ10が、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとの間の空間にまで挿入可能とされる。
このため、低背化を図りつつ、有効嵌合長を確保しやすいコネクタ100とすることができる。また、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのうち、一方側連結部52A及び他方側連結部52Bが連結する部分が、第1端子保持部51A及び第2端子保持部51Bのピッチ方向一方側と他方側の端部であるので、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとの間の空間(であって相手コネクタ10が挿入可能とされる空間)のピッチ方向の寸法が大きくなる。
また、本実施形態では、第1可動ハウジング50は、当該第1可動ハウジング50の連結部52において第2可動ハウジング60と結合(溶着、接着など)されている。つまり、連結部52は、一対の端子保持部51を連結する機能に加えて、第2可動ハウジング60との結合の機能を有する。このため、端子保持部51においてのみ第2可動ハウジング60と結合される態様と比較して、結合力を確保しやすい。また、結合力を確保できるため、端子保持部51を大型化する必要性が減少する。
また、第1可動ハウジング50の連結部52においてのみ第2可動ハウジング60と結合し、端子保持部51において結合させないことで、結合力を確保しつつも、結合作業(溶着作業、接着作業)を容易にできる。
また、本実施形態では、一方側連結部52Aと他方側連結部52Bの両方に、相手コネクタ10の一部が配置されるための嵌合方向へ窪んだ凹部52Yが形成される。
このため、第1可動ハウジング50の強度を確保しつつ、有効嵌合長を長くすることができる。
また、本実施形態では、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとの間の空間に、先端弾性部35の一部が位置する。
このため、第1端子保持部51Aと第2端子保持部51Bとの間の空間を利用して、端子30の先端弾性部35を容易に配置することができる。
また、本実施形態では、第1可動ハウジング50は、「第1隣接部」としての連結部52を有し、第2可動ハウジング60は、「第2隣接部」としての延長部69を有し、連結部52と延長部69とは、互いに、嵌合方向に直交する方向に隣接する。すなわち、第1可動ハウジング50の一部(第1隣接部)と、第2可動ハウジング60の一部(第2隣接部)とが、嵌合方向に直交する方向に隣接する。そして、第1隣接部と第2隣接部との境界部X1(図34参照)は、嵌合方向を向く。
このため、嵌合方向に露出する境界部X1に対し、嵌合方向(下方)から一体化作業(例えばレーザを照射することによるレーザ溶着作業)を行うことができる。
また、本実施形態では、図34に示すように、第1隣接部(連結部52)と第2隣接部(延長部69)との境界部X1は、固定側部材20,40によって嵌合方向から覆われない。収容空間26(図24参照)が下方にも開放されているためである。このため、第1可動ハウジング50と固定ハウジング20とが既に一体化された状態でも、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60との一体化作業を容易に行うことができる。このため、インサート成形により、端子30をインサート品として、固定ハウジング20と第1可動ハウジング50とを成形した後に、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60とを一体化しやすい。
また、本実施形態では、一対の延長部69(第2隣接部)は、第1可動ハウジング50の突出部59(第1隣接部)を、列間方向(嵌合方向に直交する方向)から挟み込むように配置される。このため、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60との列間方向(嵌合方向に直交する方向)での位置決めを行うことができる。
また、第2可動ハウジング60のピッチ方向一方側の部分(上記例ではピッチ方向外側壁61)に形成された延長部69と、第2可動ハウジング60のピッチ方向他方側の部分(上記例ではピッチ方向外側壁61)に形成された延長部69とは、第1可動ハウジング50を、ピッチ方向(嵌合方向に直交する方向)から挟み込むように配置される。このため、第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60とのピッチ方向(嵌合方向に直交する方向)での位置決めを行うことができる。
また、本実施形態では、第1可動ハウジング50及び第2可動ハウジング60のうち、第2可動ハウジング60に、第1可動ハウジング50側(上記変形例では下方)に向けて延長された延長部69が形成される例を説明したが、本開示の「延長部」はこれに限定されない。例えば、第1可動ハウジング50及び第2可動ハウジング60のうち、第1可動ハウジング50に、第2可動ハウジング60側(例えば上方)に向けて延長された延長部69が形成されてもよい。
<他の作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について、更に別の観点から説明する。
本実施形態では、コネクタ100は、基板に固定される固定側部材20,40と、固定側部材20,40に対して相対変位可能に構成される可動ハウジング50,60と、固定側部材20,40と可動ハウジング50,60とを架け渡す端子30と、を備える。可動ハウジング50,60の可動域は、当該可動ハウジング50,60が固定側部材20,40に当接することで規定される。
また、固定側部材20,40は、樹脂で形成された固定ハウジング20と、固定ハウジング20と一体化された補強金具40と、を備える。固定ハウジング20と補強金具40とが一体化されることで、固定側部材20,40の強度が確保される。
また、補強金具40と固定ハウジング20との一体化は、インサート成形により行われる。このため、圧入により一体化される態様と比較して、製造の際、圧入工程が不要となる。
更に、補強金具40は、一方の面(ピッチ方向外側の面40A1)が固定ハウジング20に被覆されると共に他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)が固定ハウジング20から露出した部分(「片面露出部43K」)を含んで構成される。このため、補強金具40の当該部分を固定側部材20,40の強度向上に寄与させると共に、補強金具40が変形したままで樹脂が硬化することを抑制することができる。
すなわち、補強金具40の片面露出部43Kの一方の面(ピッチ方向外側の面40A1)が固定ハウジング20に被覆されるので、両方の面が樹脂部から露出する部分と比較して、当該部分(片面露出部43K)を固定ハウジングの強度向上に効果的に寄与させることができる。
また、インサート成形をする際、補強金具40の片面露出部43Kの他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)に金型を接触させることで、補強金具40を支持することができる。補強金具40を支持することで、溶融樹脂が補強金具40を押して補強金具40が変形することを抑制することができる。
また、本実施形態では、固定側部材20,40は、周壁21,22を有する。周壁21,22は、可動ハウジングが収容される収容空間26を形成する。そして、片面露出部43Kの他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)は、収容空間26に露出する。
このため、図26に示すように、可動ハウジング50,60が収容される収容空間26を形成するために用いる金型によって、片面露出部43Kの他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)を支持することができる。したがって、金型を複雑化しなくともよく、製造しやすいコネクタ100とすることができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、平板状の第1平板部40Aを含んで構成される。第1平板部40Aは、周壁21,22の一部を構成し、当該周壁21,22の壁厚方向と同じ方向を板厚方向として配置される。そして、片面露出部43Kは、第1平板部40Aの一部である。
このため、周壁21,22の壁厚方向と同じ方向を板厚方向とする第1平板部40Aによって、固定側部材20,40の周壁21,22を効果的に補強することができる。更に、第1平板部40Aを支持した状態でインサート成形をすることができるので、高温環境下での周壁21,22の変形を抑制することができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、キャリア切断部46を有する。キャリア切断部46とは、インサート成形後に補強金具40とキャリアとを繋いだ部分を切除した際にできる部分をいう。更に、補強金具40は、片面露出部43Kとキャリア切断部46とを連結し、固定ハウジング20に少なくとも一部が埋没した連結部(第1曲部41A及び第2平板部40B)を有する。そして、キャリア切断部46は、周壁21,22の外の空間である外部空間に露出する。このため、固定側部材20,40の周壁21,22の限られた厚みの中で、片面露出部43Kとキャリア切断部46とを連結する連結部(第1曲部41A、第2平板部40B)を大きく形成することができる。
また、本実施形態では、補強金具40は、一方の面(ピッチ方向外側の面40A1)と他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)との両面が固定ハウジング20から露出した部分であって、片面露出部43Kと隣接する部分である両面露出部43Rを含んで構成される。
このため、図26に示すように、固定ハウジング20と補強金具40とをインサート成形する際、補強金具40の片面露出部43Kと両面露出部43Rの他方の面(ピッチ方向内側の面40A2)に金型を接触させると共に、両面露出部43Rの一方の面(ピッチ方向外側の面40A1)にも金型を接触させることで、補強金具40を支持することができる。補強金具40の両面露出部43Rを両面から支持することで、溶融樹脂に補強金具40が押されて補強金具40が変形することをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、図19に示すように、固定ハウジング20は、補強金具40よりもコネクタ上方に位置する上方部20Uを含んで構成される。上方部20Uは、コネクタ下方に変位する可動ハウジング50,60に当接可能に構成される。このため、可動ハウジング50,60がコネクタ下方に移動しても、可動ハウジング50,60が固定ハウジング20に当接し、補強金具40に当接しない。
特に、本実施形態では、補強金具40の上端において、補強金具40がその破断面(板端面43R3、図24参照)を上方に向けているところ、固定ハウジング20の上方部20Uによって、この破断面と可動ハウジング50,60との当接が防止されている。このため、可動ハウジング50,60の破損などが抑制される。
次に、本実施形態の作用効果についてまた別の観点から説明する。
本実施形態では、コネクタ100は、基板に固定される固定側部材20,40と、固定側部材20,40に対して相対変位可能に構成される可動ハウジング50,60と、端子30と、を備える。端子30は、固定側部材20,40に保持される固定側被保持部32と、可動ハウジング50,60に保持される可動側被保持部34と、固定側被保持部32と可動側被保持部34との間に位置する中間弾性部33と、を有する。
固定側部材20,40に対して可動ハウジング50,60が相対変位すると、端子30の中間弾性部33が変形する。
また、端子30の固定側被保持部32の保持は、固定側部材20,40と端子30との一体成形により行われている。このため、保持が圧入により行われる態様と比較して、固定側部材20,40に残る応力が抑制される。
仮に、固定側部材20,40に応力が残っていると、高温環境下(特にリフロー半田付け時)に置かれた場合に、固定側部材20,40が変形しやすい。特に、小型のコネクタにおいては固定ハウジングの樹脂壁が薄くなるため大きく変形しやすい。
本実施形態では、固定側部材20,40に残る応力が抑制されるので、コネクタを小型化しやすい。
また、本実施形態では、相手コネクタ10を抜去する際の抜去力は、端子30の中間弾性部33の弾性範囲における最大弾性力よりも小さい。これと関連し、本実施形態では、コネクタ100は、可動ハウジング50,60に当接することで当該可動ハウジング50,60の抜去方向(コネクタ上方向)の可動域を規定する手段を備えない。このため、当該手段を設けるスペースが不要であり、コネクタ100を小型化することができる。
<変形例>
次に、変形例に係る端子130について説明する。
図35は、変形例に係る一対の端子130の斜視図である。
変形例の端子130は、固定側被保持部32及び可動側被保持部34付近の構造が、上記実施形態の端子30と相違する。
図35に示すように、端子130には、板幅方向(ピッチ方向)で外側に突出する一対の凸部(固定側凸部32K)が形成される。固定側凸部32Kは、一端30K側から他端30S側へ延びる端子30において、一端30Kから他端30Sまでを全区間と見たときの一部の区間に形成される。固定側凸部32Kが形成されることで、その形成された区間において、端子30の板幅が拡大される。固定側凸部32Kが形成された区間は、固定側被保持部32の途中から中間弾性部33の途中までの区間とされ、固定側被保持部32と中間弾性部33とを跨る。
端子30のうち、固定側凸部32Kが形成された区間(つまり板幅が拡大された区間)が固定側拡大幅部32Lとされる。
固定側拡大幅部32Lの列間方向内側の面には、列間方向外側へ窪んだ凹部32Mが形成される。凹部32Mは、固定側拡大幅部32Lのうち、延在方向中央部かつ列間方向外側部分に一対形成される。一対の凹部32Mは、それぞれ略直方体状の空間とされる。
図36は、上記実施形態における図30に対応する断面図である。
図36に示すように、固定側拡大幅部32Lの列間方向内側の面のうち、凹部32Mが形成された部分は、固定ハウジング20に被覆され、凹部32Mが形成されていない部分は、固定ハウジング20から露出する。
凹部32Mには、法線方向をピッチ方向内側に向けた面(剥離方向被覆面37B)が形成される。本変形例では、この面が「剥離方向被覆面」に相当する。
図36に示すように、固定側被保持部32の列間方向外側の面には、固定側被保持部32の凹部32Mに対応するように、列間方向外側に突出する凸部32Nが形成される。
固定側凸部32Kの一端側面32K1(図35)は、固定ハウジング20に被覆されるが、他端側面32K2は、固定ハウジング20に被覆されない。
また、端子30には、板幅方向(ピッチ方向)で外側に突出する一対の凸部(可動側凸部34K)が形成される。可動側凸部34Kは、一端30K側から他端30S側へ延びる端子30において、一端30Kから他端30Sまでを全区間と見たときの一部の区間に形成される。可動側凸部34Kが形成されることで、その形成された区間において、端子30の板幅が拡大される。可動側凸部34Kが形成された区間は、可動側被保持部34の始点から可動側被保持部34の途中までの区間とされる。端子30のうち可動側凸部34Kが形成された区間(つまり板幅が拡大された区間)が可動側拡大幅部34Lとされる。
可動側拡大幅部34Lの列間方向外側の面には、列間方向内側へ窪んだ凹部34Mが形成される。凹部34Mは、可動側拡大幅部34Lのうち、延在方向中央部かつ列間方向外側部分に一対形成される。一対の凹部34Mは、それぞれ略直方体状の空間とされる。
図35に示すように、可動側拡大幅部34Lの列間方向外側の面のうち、凹部34Mが形成された部分は、第1可動ハウジング50に被覆され、凹部32Mが形成されていない部分は、第1可動ハウジング50から露出する。
図36に示すように、凹部34Mには、法線方向をピッチ方向外側に向けた面(剥離方向被覆面37B)が形成される。本変形例では、この面が「剥離方向被覆面」に相当する。
可動側被保持部34の列間方向内側の面には、可動側被保持部34の凹部34Mに対応するように、列間方向内側に突出する凸部34Nが形成される。
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、コネクタの製造工程は、上記実施形態で説明した工程から変更してもよい。例えば、固定ハウジングと端子との一体化は、圧入により行われてもよい。
また、上記実施形態では、端子30が多数配列されたコネクタを説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コネクタが備える端子は、1つであってもよい。
また、上記実施形態では、補強金具40が、固定側部材20,40を基板に固定するための固定金具としても機能している例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、補強金具は、固定金具としての機能を有しなくてもよい。
また、上記実施形態では、第1可動ハウジング50や第2可動ハウジング60が樹脂成形体のみで構成される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、可動ハウジングを、樹脂成形体と、この樹脂成形体と一体化された金具と、で構成してもよい。
また、上記実施形態では、収容空間26が、コネクタ上下方向に開放された例を説明したが、本開示の収容空間はこれに限定されない。例えば、固定側部材20,40が底壁を有し、収容空間の下側が、当該底壁によって閉塞されていてもよい。
また、上記実施形態では、可動ハウジング50,60の下方向の可動域が、第2可動ハウジング60のピッチ方向張出部67Yが固定ハウジング20のピッチ方向壁22に当接することで規定される例を説明したが、本開示はこれに限定されない。第1可動ハウジング50の下面が基板に当接することで、可動ハウジング50,60の下方向の可動域が規定されるように変更してもよい。
また、上記実施形態では、端子30の可動側被保持部34に対する第1可動ハウジング50の端子保持部51の保持が、端子30と第1可動ハウジング50との一体成形により行われる。しかし、本開示はこれに限定されない。端子30の可動側被保持部34に対する第1可動ハウジング50の端子保持部51の保持は、圧入によって行われてもよい。インサート成形による保持だけでなく、例えば圧入による保持を可動ハウジングにより行う場合でも、可動ハウジングの設計自由度が減少する。このため、端子を圧入により保持する第1可動ハウジングとは別の第2可動ハウジングに、可動ハウジングの一部を構成されることにより、可動ハウジングの設計自由度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、コネクタ100が備える全ての端子30が第1可動ハウジング50に保持され、第2可動ハウジング60は、1つの端子をも保持しない。しかし、本開示の第2可動ハウジングは、これに限定されない。例えば、コネクタが複数の端子を備え、そのうち一部の端子を第2可動ハウジングに保持させてもよい。この場合、複数の端子のうち、第2可動ハウジングに保持されず、第1可動ハウジングに保持される端子が本開示の「端子」に相当する。
また、上記実施形態では、「端子」としての端子30が、第1可動ハウジング50に保持される一方で、第2可動ハウジング60には保持されない。このため、第2可動ハウジング60の形成に際し、端子30を保持する機能を考慮しなくてよい。
しかし、本開示の「端子」はこれに限定されない。例えば、端子は、第1可動ハウジングに保持されると共に、第2可動ハウジングにも保持されるものであってもよい。つまり、端子を保持する機能の一部を第2可動ハウジングが担っていてもよい。このような態様であっても、端子を保持する機能の全部を第2可動ハウジングが担う態様と比較して、第2可動ハウジングの形状についての自由度が向上し、その結果、可動ハウジングの設計自由度が向上する。
また、本実施形態では、端子の接触部36が、可動側被保持部34とは別の部分に形成された例を説明したが、本開示の接触部は、可動側被保持部の一部として形成されてもよい。
また、上記実施形態では、図13に示すように、端子30の固定側被保持部32と可動側被保持部34とが、上下方向で重なる位置に形成されている。これにより、端子30の中間弾性部33の長さが確保されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。例えば、端子30の可動側被保持部34は、固定側被保持部32よりも上下方向上側の位置に形成されてもよい。これにより、例えば、第1可動ハウジング50の下面を基板に対して高い位置に形成することができ、第1可動ハウジング50と基板との接触を抑制することができる。
また、上記実施形態では、仕掛品製造工程で、1回のインサート成形により、固定ハウジング20及び第1可動ハウジング50を成形する例を説明した。しかし、本開示の仕掛品製造工程におけるインサート成形は、これに限定されない。例えば、仕掛品製造工程におけるインサート成形は、固定ハウジング20を成形するためのインサート成形と、第1可動ハウジング50を成形するためのインサート成形との2回に分けて実施されてもよい。
また、上記実施形態では、可動ハウジング50,60が、別々に成形された第1可動ハウジング50と第2可動ハウジング60とにより構成される例を説明したが、本開示の「可動ハウジング」はこれに限定されない。本開示の可動ハウジングは、全体として一体に成形されたものであってもよい。
また、固定側被保持部32及び可動側被保持部34の剥離方向被覆面37Bの構造、形状等について、上記実施形態及び上記比較例のものを説明したが、本開示の「剥離方向被覆面」はこれに限定されない。
例えば、端子30を作成する際、素材に対する打ち抜き加工によって形成される破断面(図37参照)を「剥離方向被覆面」として機能させてもよい。
また、上記実施形態では、端子30の先端弾性部35と、可動側被保持部34の下方部34A(面沿い部)との間に、可動側被保持部34の曲部34Bや内方部34Cが位置しているため、先端弾性部35は、下方部34A(面沿い部)に「隣接」していない。そのため、先端弾性部35が弾性変形しても、下方部34A(面沿い部)を保持する部分に大きな負荷は加わらない。そのため、上記実施形態の先端弾性部35は、本開示の「面沿い部に隣接した弾性部」に相当しない。
しかし、本開示の「面沿い部に隣接した弾性部」は中間弾性部33に限定されない。接続対象物と接触する接触部を相対変位させるための先端弾性部も、面沿い部に隣接するものであれば、本開示の「面沿い部に隣接した弾性部」に相当し得る。
100 コネクタ
10 相手コネクタ(接続対象物)
20,40 固定側部材
20 固定ハウジング
20X,50X 列間方向当接面(水平方向当接面)
21 列間方向壁(端子保持壁)
21N 内側面(収容空間に面する面)
26 収容空間
30 端子
31 半田固定部
31A 水平部
31B 曲部
32 固定側被保持部(被保持部)
32A 上方部(面沿い部)
33 中間弾性部(弾性部)
33A 第1直線部(第1延在部)
33B 第1曲部(折返部)
33C 第2直線部(第2延在部)
33D 第2曲部(第2延在部)
34 可動側被保持部(被保持部)
34A 下方部(面沿い部)
37A 露出面(ハウジングから露出する面)
37B 剥離方向被覆面
50,60 可動ハウジング

Claims (10)

  1. ハウジングと、
    端子と、を備えるコネクタであって、
    前記端子は、
    インサート成形により前記ハウジングに保持される被保持部と、
    前記被保持部に対して変位可能に構成される変位部と、
    前記被保持部と前記変位部との間に位置する弾性変形可能な弾性部と、を有し、
    前記被保持部は、前記ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、
    前記面沿い部は、
    前記弾性部に隣接すると共に、
    前記ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する、
    コネクタ。
  2. 固定対象物に対して固定可能に構成される固定ハウジングと、
    前記固定ハウジングに対して変位可能に構成される可動ハウジングと、
    端子と、を備えるコネクタであって、
    前記端子は、
    インサート成形により前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、
    前記固定側被保持部に対して変位可能に構成され、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、
    前記固定側被保持部と前記可動側被保持部との間に位置する弾性変形可能な中間弾性部と、を有し、
    前記固定側被保持部は、前記固定ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記固定ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、
    前記面沿い部は、
    前記中間弾性部に隣接すると共に、
    前記固定ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する、
    コネクタ。
  3. 前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、
    前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、
    前記固定側被保持部は、前記面沿い部のみから構成される、
    請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、
    前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、
    前記端子は、
    前記固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部と、
    前記水平部と前記面沿い部とを接続する曲部と、を有する、
    請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
  5. 前記固定ハウジングは、前記固定側被保持部を保持すると共に、前記可動ハウジングの全部又は一部が収容される収容空間を形成する壁である端子保持壁を有し、
    前記面沿い部は、前記端子保持壁の前記収容空間に面する面である内側面に沿って延在し、
    前記固定側被保持部は、前記面沿い部のみから構成され、
    前記端子は、
    前記固定対象物としての基板に沿うように構成された水平部と、
    前記水平部と前記面沿い部とを接続する曲部と、を有し、
    前記水平部の一部は、前記基板に垂直な方向から見て、前記端子保持壁に対して前記収容空間とは反対側にはみ出している、
    請求項2~請求項4の何れか1項に記載のコネクタ。
  6. 前記中間弾性部は、
    前記固定対象物としての基板から離れる方向に延びる第1延在部と、
    前記基板に近づく方向に延びる第2延在部と、
    前記第1延在部と前記第2延在部とを接続する折返部と、を有し、
    前記第1延在部及び前記面沿い部は、共に前記基板に垂直な方向に直線状に延在し、互いに直線的に接続される、
    請求項2~請求項5の何れか1項に記載のコネクタ。
  7. 前記可動側被保持部は、インサート成形により前記可動ハウジングに保持され、
    前記可動側被保持部は、前記可動ハウジングの面に沿って延在する部分であって、前記可動ハウジングから露出する面を有する面沿い部を含んで構成され、
    前記可動側被保持部の前記面沿い部は、
    前記中間弾性部に隣接すると共に、
    前記可動ハウジングに被覆された面であって、当該面の法線の剥離方向成分がプラスの面である剥離方向被覆面を有する、
    請求項2~請求項6の何れか1項に記載のコネクタ。
  8. 前記固定ハウジング及び前記可動ハウジングは、互いに当接することで前記固定ハウジングに対する前記可動ハウジングの前記固定対象物としての基板に沿った可動域を制限する一対の水平方向当接面を有し、
    前記固定側被保持部の前記面沿い部は、前記固定ハウジングの前記水平方向当接面に露出し、前記可動側被保持部の前記面沿い部は、前記可動ハウジングの前記水平方向当接面に露出する、
    請求項7に記載のコネクタ。
  9. 前記面沿い部の前記ハウジングから露出する前記面である露出面は、前記ハウジングの前記面と面一の関係である、
    請求項1に記載のコネクタ。
  10. 前記面沿い部の前記固定ハウジングから露出する前記面である露出面は、前記固定ハウジングの前記面と面一の関係である、
    請求項2~請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
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