JP7287614B2 - タケノコの皮の抽出物を含む皮膚改善用経口組成物 - Google Patents
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Description
タケノコの皮10kgを、エタノール濃度70%の含水エタノール60Lに5か月間漬け込み、45℃でエバポレーターを用い濃縮した。4Lになった段階で温度を60℃に変更し1Lまで濃縮した。その後茶瓶に充填し75℃、10分間にて殺菌後、打栓し冷蔵庫で10日間保管した。その後凍結乾燥機にて凍結乾燥を行い、粉砕機にて粉状にし、タケノコの皮の抽出物108gを得た。
上記で得られたタケノコの皮の抽出物1mgを、1mlの溶媒に溶解した試料を、シリカプレートにスポットし、クロロホルム:メタノール:水=65:16:2の展開溶媒にて展開した。その後アニスアルデヒド:硫酸:エタノール=1:1:18の発色試薬を噴霧し80~120℃程度で加熱を行った。
「実験動物を用いた評価」
〔試料〕
下記表1の組成からなる混合した飼料をバットに広げ、蒸留水を付加し、捏ねた。なお蒸留水の量は予備実験にて、飼料154.86g:蒸留水20mLの割合がちょうど良い粘度になるということがわかったため、700gに換算し、飼料700gに対し蒸留水90mLを入れて捏ね、バットに移し、凍結乾燥を行った。その後、粉砕機にて粉砕し、粉餌とした。粉餌として、対照群は614.62g、タケノコの皮の抽出物1%添加群は581.63g、タケノコの皮の抽出物5%添加群は638.09g得られた。
本試験ではHR-1へアレスマウス(4週齢 雄)を使用した。HR-1へアレスマウスは皮膚の研究に適した動物であり、毛を剃ることにより皮膚に傷を付けることがないという特徴を有している。また、食餌誘発アトピー性皮膚炎の発症に関与する遺伝的要因を探索するために遺伝背景の異なる5系統のマウス(HR-1,BALB/c,C57BL/6,ddY及びICR系マウス)を用いてHR-AD誘発AD症状の程度を比較した先行研究にて、HR-1が皮膚バリア機能障害と掻痒様行動を最も強く発現することが報告されている。その要因にはHR-1のみが表皮ケラチノサイトに発現するヘアレス遺伝子(Hr)に低形質変異を有することが挙げられている。従って本試験ではHR-1を使用した。
皮膚の状態の測定は、「マルチ皮膚測定システムCUTOMETER MPA580分析システム」(商品名、Courage+Khazaka社)を使用した。本機器では、皮膚の水分量、皮脂量、弾性、肌年齢を測定することができる。これらの値は一定したものではなく、生体あるいは外部の環境のわずかな変化も反映し、変動する。また皮表の水分は湿度の微妙な変化によっても動き、ちょっとした発汗でも大きな水分上昇がみられることから、測定は発汗の起こらない20℃前後、湿度30%~50%で行うことに注意した。各個体10回ずつ測定し、週2回の測定値の平均値をその個体のその週の測定値とした。
4週目以降、週1回、「デジマチックインジケーターID-C112X」(商品名、株式会社ミツトヨ製)を用いて背部皮膚の厚さ(二重の厚さ)を測定した。実験値から一重の厚さを求めて、皮膚全体の厚さとした。
しわの評価部位は背部皮膚とした。測定環境(温度、湿度、照明)が一定となる部屋を使用し、試験期間中は温度20~22℃、湿度50±5%とした。また、測定時の姿勢や体位等は試験開始時及び各測定ポイントにおいて一定にそろえるようにし、測定時刻も同一となるようにした。シワの評価は図2、表5に示したInomataらの目視判定基準に基づきグレード0~8で評価した。また、グレードに当てはまらない場合はその中間値や1/4値のスコア値(3.5や3.25等)の導入を行った。
飼育6週目にマウスを約8分間ビデオで撮影した。撮影したビデオ映像よりマウスが痒みを感じ掻く回数と、ケージによじ登る回数のカウント、そしてそれぞれの行動を何秒間行っているのかの測定を行った。
結果は平均値±標準誤差で示した。群間や週の比較には一元配置による分散分析と平均値の差の検定を用いた。またp値0.05未満(p<0.05)又はp値0.01未満(p<0.01)を有意差ありとしそれぞれ*、**と示した。統計処理はMicrosoft Excel2019を用いた。
〔皮膚の測定〕
各個体の皮膚の測定結果は表6~9に示す通りである。なお、1%添加群を1%群、5%添加群を5%群と示している。
〔皮膚の厚さの測定〕
各個体の表皮の厚さの測定データは表14の通りである。
各個体における1分当たりの掻痒行動の回数と時間、1分当たりにマウスがケージに登った回数を表18に示す。なお、表18では、1%添加群を1%群、5%添加群を5%群と示している。
図3に示されるように、対照群では皮膚の水分量に変化が見られなかった一方、抽出物を添加した群では1%有意水準にて有意な差が得られたこと、また抽出物の添加量が多いほど皮膚の水分量も多くなったということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮膚の保湿効果があることが確認された。
図4に示されるように、皮脂量は抽出物を5%添加した群においてより有意に多くなったということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮脂量を増加させる効果があることが確認された。
図5に示されるように、皮膚の弾性は抽出物を添加した群にて濃度依存的に高くなっているということ、特に抽出物を5%添加した群では弾性が特に高いということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮膚の弾力性を向上する効果があることが確認された。
図23に示されるように、皮膚のしわは抽出物を添加した群において有意に改善していることから、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物にはしわを改善させる効果があることが確認された。
図24~26に示されるように、抽出物を5%添加した群ではアトピー性皮膚炎を食餌誘発したマウスの掻痒行動回数、掻痒行動時間が減少し、ゲージに登る回数が増加したことが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物にはアトピー性皮膚炎の炎症を緩和し、痒みを抑制する効果があることが確認された。
Claims (8)
- グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、アトピー性皮膚炎抑制用に用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
- アトピー性皮膚炎に起因する痒みを抑制するために用いられるものである、請求項1記載の皮膚改善用経口組成物。
- グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚の弾力性を改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
- グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚の保湿性を改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
- グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮脂量を増加させるために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
- グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚のしわを改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
- 前記タケノコの皮の抽出物が、アルコール濃度60容量%以上の含水アルコール又はアルコールによる抽出物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚改善用経口組成物。
- 前記グルコシルセラミドを乾燥固形分中0.01~50質量%含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚改善用経口組成物。
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