JP7287614B2 - タケノコの皮の抽出物を含む皮膚改善用経口組成物 - Google Patents

タケノコの皮の抽出物を含む皮膚改善用経口組成物 Download PDF

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Description

本発明は、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物を有用成分とする皮膚改善用経口組成物に関する。
タケノコの皮の抽出物に関して、特許文献1には、タケノコの皮から水又は水と多価アルコールの混合溶媒で抽出した抽出物を有用成分とする肌荒れ改善又は老化防止用皮膚化粧料が記載されている。
一方、グルコシルセラミドの生理活性効果として、皮膚の保湿作用の向上やアトピー性皮膚炎症状の緩和、美白作用、大腸がん予防、ピロリ菌の胃定着抑制、LDLコレステロールの低下作用などが報告されている。例えば、特許文献2には、スフィンゴ脂質を含む皮膚バリア機能改善用経口組成物について記載されている。
特許第6246578号 特開2020-130056号
特許文献1には、タケノコの皮から水又は水と多価アルコールの混合溶媒で抽出した抽出物を有用成分とする肌荒れ改善又は老化防止用皮膚化粧料が記載されているが、あくまでも化粧料として用いた場合の効果を示しており、経口摂取した場合の効果は予測できないものであった。
また、特許文献2に示されるように、グルコシルセラミドの生理活性効果として、皮膚の保湿作用の向上やアトピー性皮膚炎症状の緩和等が知られているが、タケノコの皮にグルコシルセラミドが含有されていることは、知られていなかった。
一方、タケノコの皮は、可食部とはならないので、これまでその大部分が廃棄されていた。しかし、廃棄処分も大変であり、その有効利用が求められていた。
したがって、本発明の目的は、タケノコの皮の抽出物の新たな用途を提供し、タケノコの皮の有効利用を図ることにある。
本発明者らは、タケノコの皮の有効利用を図るため、鋭意研究した結果、タケノコの皮の抽出物に、グルコシルセラミドが含まれていることを見出し、その抽出物を経口投与することにより、皮膚改善効果があることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分とすることを特徴とする皮膚改善用経口組成物を提供するものである。
本発明の皮膚改善用経口組成物においては、前記タケノコの皮の抽出物が、アルコール濃度60%以上の含水アルコール又はアルコールによる抽出物であることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、グルコシルセラミドを乾燥固形分中0.01~50質量%含有することが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、アトピー性皮膚炎抑制のために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、アトピー性皮膚炎に起因する痒みを抑制するために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、皮膚の弾力性を改善するために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、皮膚の保湿性を改善するために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、皮膚の皮脂量を増加させるために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善経口組成物は、皮膚のしわを改善するために用いられることが好ましい。
本発明の皮膚改善用経口組成物によれば、後述の実施例に示されるように、経口摂取することにより、アトピー性皮膚炎の症状である痒みを抑制したり、皮膚の弾力性を改善させたり、皮膚の保湿性を高めたり、皮脂量を増加させたり、皮膚のしわを改善させたりするなどの作用効果をもたらすことができる。
タケノコの皮の抽出物を薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた分析結果を示す写真である。 試験例2において、マウスの皮膚に含まれる水分量の推移を示す図表である。 試験例2において、マウスの皮膚の皮脂量の推移を示す図表である。 試験例2において、マウスの皮膚の弾力度の推移を示す図表である。 試験例2において、マウスの皮膚の肌年齢の推移を示す図表である。 試験例2において、マウスの皮膚の表皮厚の推移を示す図表である。 試験例2において、マウスのしわのスコアの推移を示す図表である。 試験例2において、マウスの1分間当たりの掻痒行動回数を示す図表である。 試験例2において、マウスの1分間当たりの掻痒行動時間を示す図表である。 試験例2において、マウスのゲージに登った回数を示す図表である。
本発明において、タケノコとは、イネ科タケ亜科のタケの若芽を指す。イネ科タケ亜科のタケとしては、マダケ( Phyllostachys bambusoides ) 、モウソウチク( Phyllostachys pubescens)、ハチク( Phyllostachys nigra)、ホテイチク( Phyllostachys aurea) 、 キッコウチク( Phyllostachys heterocycla)、ホウライチク( Bambusa multiplex)、ナリヒラダケ( Semiarundinaria fastuosa)、チシマザサ(Sasa kurilensis)、トウチク( Sinobambusa tootsik)、シホウチク ( Chimonobambusa quadr angularis)、カンチク( Chimonobambusa marmorea)、ヤダケ ( Pseudosasa japonica)、メダケ(Pleioblastus simonii)、クロチク(Phyllostachys nigra)、クマザサ(Sasa veitchii)などが挙げられるが、本発明はこれらに限るものではない。
本発明において、タケノコの皮とは、生のタケノコの非可食部であり、タケノコの重量の50%を占める。年間4400トン生じるものであるが、一部堆肥化や飼料として利用されているものの、大部分が廃棄されている資源である。
原料とするタケノコの皮は、予め水洗いをして、これをそのまま、もしくは乾燥し、さらに必要ならば細断或いは粉砕して用いることが好ましい。乾燥は、例えば減圧乾燥機、温風乾燥機などを用いて、水分10質量%以下となるように行うことが好ましく、細断あるいは粉砕は、例えばスライサー、カッター、粉砕機などの装置を用いて行うことができる。
タケノコの皮の抽出物は、上記のようにして調整されたタケノコの皮又はその加工処理物に、抽出溶媒を添加して、例えば、浸漬法、向流抽出法、水蒸気蒸留法などの公知の方法で抽出することにより得ることができる。なお、本発明においては、超臨界抽出法を用いてもよい。
抽出溶媒は、グルコシルセラミド等の有効成分と反応して本発明の効果を損なうものでなければ、特に限定されないが、脂溶性溶媒を含むものが好ましく使用できる。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコールや、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、アセトン、ペンタン、アセトニトリル、酢酸エチルなどの有機溶媒や、アルコールと水との混合溶媒(含水アルコール)などが挙げられる。このうち、含水アルコール、アルコール、アセトン、ヘキサンが好ましく、アルコール濃度60容量%以上の含水アルコール又はアルコールがより好ましい。含水アルコールとしては、アルコール濃度70容量%以上のものがより好ましい。また、アルコールとしては、エタノールが好ましい。
抽出溶媒の添加量は、原料となるタケノコの皮又はその処理物の1質量部(乾燥物換算)に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは1~10質量部がよい。抽出溶媒の量が、タケノコの皮又はその処理物の1質量部に対して1質量部未満では、原料全体に抽出溶媒がいきわたりにくくなり、30質量部を超えると、抽出液中の有効成分の濃度が低くなり、後に乾燥工程等を行う場合の作業負担が大きくなる傾向がある。
抽出する温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは0~50℃、より好ましいのは15℃~35℃であり、最も好ましくは15~25℃である。抽出温度が0℃未満では、抽出効率が低下する傾向があり、50℃を超えると、溶媒の沸点を超えやすくなり、溶媒の選択の余地が狭められる。
抽出時間は、48時間以上が好ましく、1週間以上がより好ましく、2週間以上が更に好ましい。また、抽出時間の上限は、特に限定されないが、生産性の点から2箇月以内が好ましい。抽出期間中、定期的に攪拌することが好ましい。抽出時間が短いと、有効成分の抽出量が低下する傾向がある。なお、抽出後、必要に応じて抽出残渣を分離除去してもよい。抽出残渣の分離除去は、例えば、吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離機などを用いて行うことができる。
このようにして得られた抽出液はそのまま又は濃縮して液体として用いることができるが、乾燥工程を経て、粉末状の抽出物を得ることもできる。乾燥手段としては、例えば、凍結乾燥、減圧乾燥などが挙げられるが、減圧乾燥が最も好ましい。
次に、得られたタケノコの皮の抽出物の成分分析は、例えば薄層クロマトグラフ法で行うことができる。具体的には、試料をシリカゲル薄層プレートにスポイトした後、クロロホルム-メタノール系水溶液を用いて展開し、アニスアルデヒド-硫酸-エタノールの発色試薬を噴霧し、加熱する。そして、スポットの位置(移動度)を分析しようとする化合物の標準品と比較することによって、該化合物が含まれているかどうかを確認できる。また、得られたスポットの画像を、画像解析ソフト(例えば、商品名「NIH Image、ImageJ」、オープンソースのパブリックドメインの画像処理ソフトウェア)で解析をすることで、タケノコの皮の抽出物に含まれる上記化合物の含有量を算出することができる。そして、上記標準品として、グルコシルセラミドを用いることにより、グルコシルセラミドの含有量を算出することができる。なお、高速液体クロマトグラフ法、各種クロマトグラフ-マススペクトロメトリー法などの公知の方法を用いて分析定量することもできる。
本発明のタケノコの皮の抽出物は、乾燥固形分にグルコシルセラミドを0.01~50質量%含有していることが好ましく、0.1~ 30質量%含有していることがより好ましく、1~20質量%含有していることが更に好ましく、2~10質量%含有していることが最も好ましい。
本発明による経口投与のための形態としては、特に制限はなく、上記に説明したタケノコの皮の抽出物と、経口摂取用として許容される基材や担体、溶媒等を用いて、固体状物、液状物、乳化状物、ペースト状物、ゼリー状物等の形態とすることができる。また、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、カプセル剤等の形態とすることができる。また、上記に説明したタケノコの皮の抽出物を適当な担体、好ましくは脂肪酸トリグリセライドと混合し、液状のままソフトカプセル等に充填し、調製することもできる。
製剤化においては、必要に応じて、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、界面活性剤、溶解補助剤、還元剤、緩衝剤、吸着剤、流動化剤、帯電防止剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、遮光剤、着香剤、香料、芳香剤、コーティング剤、可塑剤等の製剤添加物の1種または2種以上を適宜選択して添加してもよい。
そのような製剤添加物としては、例えば、結晶セルロース、マルトデキストリン、乳糖、ソルビトール、無水ケイ酸 、ステアリン酸、コーンスターチなどのデンプン、アルファー化デンプンなどの加工デンプン、ゼラチン、デキストリン、クエン酸、アセスルファムカリウム 、アスパルテーム等を挙げることができる。
本発明による皮膚改善用経口組成物においては、上記に説明したタケノコの皮の抽出物を有効成分とし、更に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸、食物繊維等の他の成分を添加してもよい。
本発明による皮膚改善用経口組成物の使用形態としては、食品組成物の形態であってもよい。すなわち、上記のタケノコの皮の抽出物を飲食物に所定量配合することにより、所定の機能性を発揮させるための食品組成物と成すことができる。具体的には、例えば、固形状、粉末状、顆粒状のものとしては、ビスケット、クッキー、ケーキ 、スナック、煎餅などの各種の菓子類、パン、粉末飲料(粉末コーヒー、粉末ココアなど )、飴、キャラメル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、液状、乳化状、ペースト状、ゼリー状のものとしては、ドリンク、ゼリー、ムースなどの各種製品や薬用酒等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。さらに、これら飲食物に配合するために用いられる食品添加用の組成物の形態であってもよい 。
なお、本発明による皮膚改善用経口組成物はヒトを対象にしたものに限定されない。犬や猫をはじめとするペットや牛や豚などの家畜を対象にペット用食品や飲料、家畜用の試料などに添加してもよい。
上記のようにして得られたタケノコの皮の抽出物は、後述の実施例で示されるように、経口摂取することによって、皮膚の改善効果を示す。なお、「改善」とは、本発明による組成物を摂取しない場合に比べて、摂取した方が、皮膚の弾力性や保湿性を高め、皮脂量が増加し、皮膚のしわが減ることを意味するともに、日頃からそのようなより良い状態を崩さずに維持するための予防的適用を内包する意味である。また、タケノコの皮の抽出物は、後述の実施例で示されるようにアトピー性皮膚炎抑制効果に優れている。なお、「抑制」とは、本発明による組成物を適用しない場合に比べて、適用した方がアトピー性皮膚炎に起因する乾燥肌などの諸症状、及び掻痒感や痛みなどを緩和することを意味するとともに日頃からそのようなより良い状態を崩さずに維持するための予防的適用を内包する意味である。
本発明による皮膚改善用経口組成物の投与量は、年齢や体重によっても異なるが、成人1日当たりのグルコシルセラミドの摂取量換算で、0.1~200mgが好ましく、1~100mgがより好ましく、1~80mgが最も好ましい。
なお、タケノコの皮は、日常的に食されているタケノコの可食部を包む皮であり、可食部と一緒に茹でられることがある。そして、タケノコの可食部は、その茹汁が付いた状態で食されることもあったのであるから、タケノコの皮の抽出物の安全性については、これまでの食経験上、問題がないことが確認されている。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
<製造例>
タケノコの皮10kgを、エタノール濃度70%の含水エタノール60Lに5か月間漬け込み、45℃でエバポレーターを用い濃縮した。4Lになった段階で温度を60℃に変更し1Lまで濃縮した。その後茶瓶に充填し75℃、10分間にて殺菌後、打栓し冷蔵庫で10日間保管した。その後凍結乾燥機にて凍結乾燥を行い、粉砕機にて粉状にし、タケノコの皮の抽出物108gを得た。
上記で得られたタケノコの皮の抽出物を用いて、グルコシルセラミドが含有しているかの検証を行った。
〔分析方法〕
上記で得られたタケノコの皮の抽出物1mgを、1mlの溶媒に溶解した試料を、シリカプレートにスポットし、クロロホルム:メタノール:水=65:16:2の展開溶媒にて展開した。その後アニスアルデヒド:硫酸:エタノール=1:1:18の発色試薬を噴霧し80~120℃程度で加熱を行った。
上記操作をグルコシドセラミドの標準品を用いて同様に行い、(グルコシドセラミドは0μg、0.25mg、0.5mg、1mgと質量を変えて試験した。)試料を用いて得られるスポットと、標準品を用いて得られるスポットとを比較した。
その結果を、図1に示す。図1の左からグルコシドセラミド標準品0μg、0.25mg、0.5mg、1mgのスポット、右2個がタケノコ皮抽出スポットである。
この結果から、タケノコの皮の抽出物にはグルコースが含まれており、植物由来のセラミドにはグルコシルセラミドが多いことから、タケノコの皮の抽出物には、グルコシルセラミドが含まれていることがわかった。
また、得られたスポットの画像を、画像解析ソフト(商品名「NIH Image、ImageJ」、オープンソースのパブリックドメインの画像処理ソフトウェア)で解析をして、タケノコの皮の抽出物に含まれるグルコシルセラミドの含有量を算出したところ、上記タケノコの皮の抽出物には乾燥固形分中59.5mg/gのグルコシルセラミドが含まれていることがわかった。
<試験例1>
「実験動物を用いた評価」
〔試料〕
下記表1の組成からなる混合した飼料をバットに広げ、蒸留水を付加し、捏ねた。なお蒸留水の量は予備実験にて、飼料154.86g:蒸留水20mLの割合がちょうど良い粘度になるということがわかったため、700gに換算し、飼料700gに対し蒸留水90mLを入れて捏ね、バットに移し、凍結乾燥を行った。その後、粉砕機にて粉砕し、粉餌とした。粉餌として、対照群は614.62g、タケノコの皮の抽出物1%添加群は581.63g、タケノコの皮の抽出物5%添加群は638.09g得られた。
Figure 0007287614000001
〔動物試験〕
本試験ではHR-1へアレスマウス(4週齢 雄)を使用した。HR-1へアレスマウスは皮膚の研究に適した動物であり、毛を剃ることにより皮膚に傷を付けることがないという特徴を有している。また、食餌誘発アトピー性皮膚炎の発症に関与する遺伝的要因を探索するために遺伝背景の異なる5系統のマウス(HR-1,BALB/c,C57BL/6,ddY及びICR系マウス)を用いてHR-AD誘発AD症状の程度を比較した先行研究にて、HR-1が皮膚バリア機能障害と掻痒様行動を最も強く発現することが報告されている。その要因にはHR-1のみが表皮ケラチノサイトに発現するヘアレス遺伝子(Hr)に低形質変異を有することが挙げられている。従って本試験ではHR-1を使用した。
4週齢雄のHos:HR-1へアレスマウスを、プラスチックのケージにて群ごとに飼育した。動物室の室温は23±3℃、湿度は50±2%に保ち、明期08:00am~08:00pmで飼育した。11/12~11/16の5日間順化させた後に体重に偏りがないよう、対照群、実験群(試料1%添加)、実験群(試料5%添加)の3群に群分けを行った(各n=5)。
各群の摂餌量の推移を表2に示した。ただし、データは一個体あたりまた一日あたりに換算している。なお、1%添加群については、4週目からマウスの内1匹を個別飼育としたため、5週目以降は、群飼育の摂取量と、個別飼育の摂取量とに分けて記載している。
マウス個体識別(11/16)時の体重(g)を表3に示す。なお、この試験例における日付はいずれも令和2年の日付である。
また、個体識別はピクリン酸を用いることにより行ったが(11/16)、わずか2日で消えてしまったため、改めてイヤーパンチにて耳に穴を開けることにより、個体識別を行った(11/19)。マウス再個体識別(11/19)時の体重(g)を表4に示す。
各群の試料の組成は表1に示す通り、対照群に調製した高脂肪食を、試料1%添加群に試料を1%含む高脂肪食を、試料5%添加群に試料を5%含む高脂肪食を、6週間(42日間)与えた。順化期間は全てのマウスにF-2飼料を自由摂取で与えた。水もまた自由摂取とし、体重・摂餌量、表皮厚の測定、しわの評価を週1回(月曜日)実施した。また、皮膚の測定(水分量、皮脂量、弾性、肌年齢)は、生体あるいは外部の環境のわずかな変化が反映され、変動するため、木曜日と月曜日の週2回測定し平均値をその週の値とした(飼育開始3週目以降)。さらに、6週目にはマウスの掻痒行動を調べるために、8分間ビデオカメラにてマウスを撮影し、撮影時には皮膚のどのような部分を痒いと感じているのかのチェック、撮影後は8分間で何回掻いているのか、ケージによじ登った回数は何回か、それぞれ何秒ずつ行っているのかについて計測を行った。
Figure 0007287614000002
Figure 0007287614000003
Figure 0007287614000004
〔皮膚の測定方法〕
皮膚の状態の測定は、「マルチ皮膚測定システムCUTOMETER MPA580分析システム」(商品名、Courage+Khazaka社)を使用した。本機器では、皮膚の水分量、皮脂量、弾性、肌年齢を測定することができる。これらの値は一定したものではなく、生体あるいは外部の環境のわずかな変化も反映し、変動する。また皮表の水分は湿度の微妙な変化によっても動き、ちょっとした発汗でも大きな水分上昇がみられることから、測定は発汗の起こらない20℃前後、湿度30%~50%で行うことに注意した。各個体10回ずつ測定し、週2回の測定値の平均値をその個体のその週の測定値とした。
〔皮膚の厚さの測定方法〕
4週目以降、週1回、「デジマチックインジケーターID-C112X」(商品名、株式会社ミツトヨ製)を用いて背部皮膚の厚さ(二重の厚さ)を測定した。実験値から一重の厚さを求めて、皮膚全体の厚さとした。
〔しわの評価方法〕
しわの評価部位は背部皮膚とした。測定環境(温度、湿度、照明)が一定となる部屋を使用し、試験期間中は温度20~22℃、湿度50±5%とした。また、測定時の姿勢や体位等は試験開始時及び各測定ポイントにおいて一定にそろえるようにし、測定時刻も同一となるようにした。シワの評価は図2、表5に示したInomataらの目視判定基準に基づきグレード0~8で評価した。また、グレードに当てはまらない場合はその中間値や1/4値のスコア値(3.5や3.25等)の導入を行った。
Figure 0007287614000005
〔掻痒行動方法〕
飼育6週目にマウスを約8分間ビデオで撮影した。撮影したビデオ映像よりマウスが痒みを感じ掻く回数と、ケージによじ登る回数のカウント、そしてそれぞれの行動を何秒間行っているのかの測定を行った。
〔統計解析方法〕
結果は平均値±標準誤差で示した。群間や週の比較には一元配置による分散分析と平均値の差の検定を用いた。またp値0.05未満(p<0.05)又はp値0.01未満(p<0.01)を有意差ありとしそれぞれ*、**と示した。統計処理はMicrosoft Excel2019を用いた。
〔結果〕
〔皮膚の測定〕
各個体の皮膚の測定結果は表6~9に示す通りである。なお、1%添加群を1%群、5%添加群を5%群と示している。
Figure 0007287614000006
Figure 0007287614000007
Figure 0007287614000008
Figure 0007287614000009
表6~表9のデータを群ごとに平均値±標準誤差を求めた結果を表10~表13に示す。ただし異常値の除去に関する検定(Grubbs-Smirnovの棄却検定法)により、異常値の除去を行った。
Figure 0007287614000010
Figure 0007287614000011
Figure 0007287614000012
Figure 0007287614000013
各評価結果の平均値の推移を図2~5に示す。図2は皮膚に含まれる水分量の推移(単位:%)、図3は皮脂量の推移(単位:%)、図4は肌の弾性度の推移、図5は肌年齢の推移を示す。
〔皮膚の厚さの測定〕
各個体の表皮の厚さの測定データは表14の通りである。
Figure 0007287614000014
表皮の厚さについて、各群の平均値±標準誤差の値は表15に示す通りである。
Figure 0007287614000015
また表皮厚の推移を図6に示す。

〔しわ形成度の評価〕
各個体のしわ形成度の評価値を表16に示す。
Figure 0007287614000016
また、しわ評価について、各群の平均値±標準誤差の推移を表17と図7に示す。
Figure 0007287614000017
〔掻痒行動等〕
各個体における1分当たりの掻痒行動の回数と時間、1分当たりにマウスがケージに登った回数を表18に示す。なお、表18では、1%添加群を1%群、5%添加群を5%群と示している。
Figure 0007287614000018
各群の一分当たり掻痒行動回数等の平均±標準誤差を表19、図8~10に示す。なお表19では、1%添加群を1%群、5%添加群を5%群と示している。
Figure 0007287614000019
〔タケノコの皮の抽出物の効果〕
以上の結果に基づいて、タケノコの皮の抽出物の経口摂取による効果を考察した。
1.水分量
図3に示されるように、対照群では皮膚の水分量に変化が見られなかった一方、抽出物を添加した群では1%有意水準にて有意な差が得られたこと、また抽出物の添加量が多いほど皮膚の水分量も多くなったということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮膚の保湿効果があることが確認された。
2.皮脂量
図4に示されるように、皮脂量は抽出物を5%添加した群においてより有意に多くなったということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮脂量を増加させる効果があることが確認された。
3.弾性
図5に示されるように、皮膚の弾性は抽出物を添加した群にて濃度依存的に高くなっているということ、特に抽出物を5%添加した群では弾性が特に高いということが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物には皮膚の弾力性を向上する効果があることが確認された。
4.しわ
図23に示されるように、皮膚のしわは抽出物を添加した群において有意に改善していることから、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物にはしわを改善させる効果があることが確認された。
5.アトピー性皮膚炎
図24~26に示されるように、抽出物を5%添加した群ではアトピー性皮膚炎を食餌誘発したマウスの掻痒行動回数、掻痒行動時間が減少し、ゲージに登る回数が増加したことが確認された。すなわち、グルコシルセラミドを含むタケノコの皮の抽出物にはアトピー性皮膚炎の炎症を緩和し、痒みを抑制する効果があることが確認された。

Claims (8)

  1. グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、アトピー性皮膚炎抑制用に用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
  2. アトピー性皮膚炎に起因する痒みを抑制するために用いられるものである、請求項1記載の皮膚改善用経口組成物。
  3. グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚の弾力性を改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
  4. グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚の保湿性を改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
  5. グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮脂量を増加させるために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
  6. グルコシルセラミドを含有するタケノコの皮の抽出物を有効成分として含有し、皮膚のしわを改善するために用いられるものであることを特徴とする皮膚改善用経口組成物。
  7. 前記タケノコの皮の抽出物が、アルコール濃度60容量%以上の含水アルコール又はアルコールによる抽出物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚改善用経口組成物。
  8. 前記グルコシルセラミドを乾燥固形分中0.01~50質量%含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚改善用経口組成物。
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