JP7287230B2 - 電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法 - Google Patents

電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本明細書は、電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法を開示する。
従来、蓄電デバイス用の電極活物質としては、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸のリチウム塩(例えば、非特許文献1参照)や、ナトリウム塩(例えば、非特許文献2参照)のように、有機骨格の構造とアルカリ金属イオンとを組み合わせたものが提案されている。この金属有機構造体では、2つの水酸基及び2つのカルボン酸の4つにアルカリ金属イオンが結合した状態ではレドックス活性があり、その状態を中心に、Li基準で1.5V以下など低電位側での充放電と、Li基準で2.5V以上など高電位側での充放電と、を実現することができるとしている。
Nano Lett.2013,13,4404-4409. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2014,53(23):5892-5896.
しかしながら、上述の非特許文献1、2において、2つの水酸基及び2つのカルボン酸の4つにアルカリ金属イオンが結合した状態では、大気中で不安定なため、電極作製を含む全ての工程を不活性雰囲気下で行わなければならないことがあった。
本開示はこのような課題に鑑みなされたものであり、化学的に安定である新規な電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、水酸基とカルボキシ基とを2つずつ有し、例えば、ナフタレンなど2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有する有機骨格をアルカリ金属元素で結合した構造体を構成するものとすると、大気中で安定であり、大気中での取り扱いが可能になり、また、大気中で不安定なアルコキシドへは電極作成後に変換するものとして、負極活物質や正極活物質として利用することができることを見いだし、本開示の発明を完成するに至った。
即ち、本開示の電極材料は、
蓄電デバイスの電極に用いられる電極材料であって、
(1)~(4)式のうち1以上の化学構造を有するものである。
Figure 0007287230000001
本開示の蓄電デバイスは、
上述した電極材料を負極活物質及び/又は正極活物質とする電極と、
前記電極と接触しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
本開示では、化学的に安定である新規な金属有機構造体である電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、水酸基とカルボキシ基とを2つずつ有し、例えば、ナフタレンなど2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有する有機骨格をアルカリ金属元素で構造体を構成するものとすると、大気中で安定であるからである。このため、大気中での取り扱いが可能になり、大気中で不安定なアルコキシド基へは電極作成後に変換するものとして、負極活物質や正極活物質として利用することができる。
金属有機構造体の一例を示す説明図。 金属有機構造体の充放電活性化メカニズムの説明図。 蓄電デバイス20の一例を示す説明図。 3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸の合成スキーム。 中間体2の1H-NMR測定結果。 中間体3の1H-NMR測定結果。 中間体4の1H-NMR測定結果。 化合物1の1H-NMR測定結果。 原料及び実施例2の金属有機構造体の1H-NMR測定結果。 原料及び実施例2の金属有機構造体の13C-NMR測定結果。 実施例1のXRDパターン測定結果。 実施例2のXRDパターン測定結果。 実施例1の二極式セルの0.5-1.5Vでの放電曲線。 実施例1の二極式セルの3.5-1.8Vでの放電曲線。 実施例2の二極式セルの活性化前の3.5-1.8Vでの放電曲線。 実施例2の二極式セルの活性化後の0.5-1.5Vでの放電曲線。 実施例2の二極式セルの活性化後の3.5-1.8Vでの放電曲線。 実施例2の二極式セルのプレドープ後の0.5-1.5Vでの放電曲線。
(電極材料)
本開示の電極材料は、2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有しジヒドロキシ基(2つの水酸基)とジカルボキシ基(2つのカルボキシ基)とを含む有機骨格層と、有機骨格層のカルボキシ基にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を備え、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の1以上の水素がアルカリ金属イオンに置換されている金属有機構造体であるものとしてもよい。芳香族環構造は、例えば、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香環が縮合した縮合多環化合物により構成されるものとしてもよい。この芳香環は、五員環や六員環、八員環としてもよいが、六員環が好ましい。また、芳香環は、2以上5以下とするのが好ましい。芳香環が2以上では層状構造を形成しやすく、芳香環が5以下ではエネルギー密度をより高めることができる。このうち、芳香族環構造は、ナフタレンであることが好ましい。芳香族環構造に結合する基は、ヒドロキシ基(-OH)に代えて、その水素が引き抜かれたアルコキシ基(-O-)としてもよい。このヒドロキシ基やアルコキシ基は、芳香族環構造の対角位置にそれぞれ接続されている。ここで、対角位置とは、一方のアルコキシ基の結合位置から他方のアルコキシ基の結合位置までがより遠い位置としてもよく、例えば、ナフタレンであれば1,5位や3,7位などが挙げられる。芳香族環構造に結合する基は、カルボキシ基(-COOH)に代えて、カルボキシ基のヒドロキシ基から水素が引き抜かれたカルボン酸アニオン基(-COO-)としてもよい。このカルボキシ基やカルボン酸アニオン基は、芳香族環構造の対角位置にそれぞれ接続されている。対角位置とは、一方のカルボン酸の結合位置から他方のカルボン酸の結合位置までが最も遠い位置としてもよく、例えば、ナフタレンであれば2,6位などが挙げられる。ヒドロキシ基やアルコキシ基は、カルボン酸アニオン基が結合した炭素の隣の炭素に結合している。
この電極材料は、金属構造体になる前であり、ジヒドロキシ基とジカルボキシ基とが結合され、2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有する化合物としてもよい。この電極材料は、蓄電デバイスの電極に用いられる電極材料であって、式(1)~(4)のうち1以上の化学構造を有するものである。但し、式中のnは、0以上の整数であり、Mは、H,Li,Na及びKのうち1以上であり、それぞれが同じでもよいし異なってもよく、Aは、Li,Na及びKのうち1以上であり、それぞれが同じでもよいし異なってもよい。nは、3以下としてもよいし、1以下としてもよいし、0としてもよい。また、この電極材料において、化学構造は、式(5)~(9)のうち1以上であることが好ましい。また、式中のAは、Liであることが好ましい。この場合、例えば、キャリアイオンがリチウムイオンとなるため、蓄電デバイスのエネルギー密度的に好適である。
Figure 0007287230000002
Figure 0007287230000003
また、この電極材料は、2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有しジアルコキシ基とジカルボン酸アニオン基とを含む有機骨格層と、有機骨格層のカルボン酸アニオン基にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を備える金属有機構造体であり、式(10)~(13)のうち1以上の化学構造を有するものとしてもよい。この電極材料は、カルボン酸アニオンにアルカリ金属が配位して金属有機構造体を形成し、且つ水酸基を有するか、水酸基の水素がアルカリ金属元素に置換したものとしてもよい。水酸基を有するものとすれば、大気中で化学的に安定なものとすることができる。また、水酸基の水素がアルカリ金属元素に置換したアルコキシ基を有する場合は、電極を形成したのちに、アルカリ金属イオンを導入するものとしてもよい。図1は、金属有機構造体の一例を示す説明図である。図1では、有機骨格として1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アルカリ金属元素としてLiを有する金属有機構造体を一例として示した。この金属有機構造体は、カルボン酸アニオン基とアルコキシ基との酸素が関与した四面体構造のLiO4により、有機骨格が固定される構造を有する。
Figure 0007287230000004
(蓄電デバイス用電極の製造方法)
この製造方法は、式(14)及び/又は式(15)により、電極材料の水酸基にアルカリ金属イオンを導入し、レドックス活性化を図る活性化工程を含むものとしてもよい。この電極材料は、蓄電デバイスを構築後に、充電又は放電を伴う電気化学処理あるいはアルカリ金属イオンドープ処理を実行することによって、水酸基にアルカリ金属イオンを導入し、レドックス活性化を図ることができる。これによって、レドックス活性を有した電極材料は、正負極利用可能な電極活物質とすることができる。アルカリ金属がリチウムである場合を具体例として説明すると、3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸の場合は、水酸化リチウムをジメチルホルムアミド(DMF)水溶液中で反応させ、3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムとすることができる。これを更に電気化学処理又はプレドープ処理によりリチウムを更に導入し、3,7-ジアルコキシナフタレン-2,6-ジカルボン酸テトラリチウムとすることができる(式16)。また、1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸の場合は、水酸化リチウムをメタノール中で反応させ、1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムとすることができる。これを更に電気化学処理又はプレドープ処理によりリチウムを更に導入し、1,5-ジアルコキシナフタレン-2,6-ジカルボン酸テトラリチウムとすることができる(式17)。電気化学処理としては、電極材料を含む電極を作製し、リチウム基準電位で2V以下の範囲で充放電する処理が挙げられる。また、プレドープ処理としては、例えば、2以上の芳香環を有する還元状態の芳香族化合物とアルカリ金属とを含むプレドープ溶液に、電極を浸漬することによりアルカリ金属イオンを電極へプレドープする処理が挙げられる。プレドープ液としては、例えば、リチウムナフタリドのテトラヒドロフラン(THF)溶液などが挙げられる。
Figure 0007287230000005
Figure 0007287230000006
図2は、金属有機構造体の充放電活性化メカニズムの説明図である。図2では、1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムの金属有機構造体を一例とし、縦軸にリチウム基準の電位を示し、負極の電位範囲(0.5V~1.5V)、正極の電位範囲(2.3V~3.5V)を用いて説明する。この金属有機構造体では、化合物(c)~(e)がレドックス活性があり、化合物(d)を出発として化合物(c)との間で負極側、化合物(e)との間で正極側の酸化還元反応を行う。しかしながら、化合物(d)は、大気中で不安定であるため、不活性雰囲気下で取り扱う必要があり、利用しにくい問題がある。一方、ジヒドロキシ基を有する化合物(a)は、大気中で安定であり、化合物(d)に近い構造を有するが、直接的に還元もしくは酸化してレドックス活性のある化合物(d),(e)とすることはできない。本開示では、大気中で安定なジヒドロキシ基を有する化合物(a)を用い、電気化学処理又はプレドープ処理によりこのジヒドロキシ基にアルカリ金属イオンを導入することにより、化合物(b)を経てレドックス活性のある化合物へ移行させ、この金属有機構造体を簡便な処理で活物質として利用可能とすることができる。なお、有機骨格層は、式(1)~(4)の構造を有することにより、酸化還元での化合物(a)~(e)のような構造に移行することができる。
(蓄電デバイス)
本開示の蓄電デバイスは、正極と、負極と、正極と負極との間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体とを備える。この蓄電デバイスは、例えば、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池などとしてもよい。この蓄電デバイスの正極は、上述した金属有機構造体の電極材料を正極活物質として有するものとしてもよいし、上記電極材料を負極活物質として有するものとしてもよい。したがって、金属有機構造体の電極材料を正極活物質として有する正極に対しては、以下で説明する負極を用いてもよいし、金属有機構造体の電極材料を負極活物質として有する負極に対しては、以下で説明する正極を用いてもよい。
正極は、キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどに用いられている公知の正極を用いてもよい。正極は、例えば、正極活物質として炭素材料を含むものとしてもよい。炭素材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性炭類、コークス類、ガラス状炭素類、黒鉛類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維類、カーボンナノチューブ類、ポリアセン類などが挙げられる。このうち、高比表面積を示す活性炭類が好ましい。炭素材料としての活性炭は、比表面積が1000m2/g以上であることが好ましく、1500m2/g以上であることがより好ましい。比表面積が1000m2/g以上では、放電容量をより高めることができる。この活性炭の比表面積は、作製の容易性から3000m2/g以下であることが好ましく、2000m2/g以下であることがより好ましい。なお、正極では、イオン伝導媒体に含まれるアニオン及びカチオンの少なくとも一方を吸着・脱離して蓄電するものと考えられるが、さらに、イオン伝導媒体に含まれるアニオン及びカチオンの少なくとも一方を挿入・脱離して蓄電するものとしてもよい。
あるいは、正極は、一般的なリチウムイオン電池に用いられる正極としてもよい。この場合、正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(a+b+c=1)やLi(1-x)NiaCobMnc4(a+b+c=2)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をV25などとする遷移金属酸化物などを用いることができる。また、正極活物質は、リン酸鉄リチウムなどとしてもよい。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。
正極は、例えば上述した正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維などの炭素材料、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。正極は、正極合材全体のうち導電材を5質量%以上25質量%以下の範囲で含むことが好ましく、10質量%以上としてもよいし、15質量%以上としてもよい。5質量%以上であれば、電極に十分な導電性を持たせることができ、充放電特性の劣化を抑制できる。また、25質量%以下であれば、活物質や結着材が少なくなり過ぎないため、活物質や結着材の機能を十分に発揮できる。
結着材は、水溶性ポリマーを含むものとしてもよい。水溶性ポリマーは、カルボキシメチルセルロース(CMC)を少なくとも含み、ポリビニルアルコール(PVA)やスチレンブタジエン共重合体(SBR)、ポリエチレンオキシド(PEO)のうちいずれか1以上を含むものとしてもよい。また、結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等としてもよい。正極は、正極合材全体のうち結着材を5質量%以上25質量%以下の範囲で含むことが好ましく、20質量%以下としてもよいし、15質量%以下としてもよい。5質量%以上であれば、電極に十分な結着性を持たせることができ、充放電特性の劣化を抑制できる。また、25質量%以下であれば、活物質や導電材が少なくなり過ぎないため、活物質や導電材の機能を十分に発揮できる。
溶剤としては、水を用いてもよいし、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いてもよい。水溶性ポリマーを用いる場合は、溶剤として水を用いることが好適である。集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。このうち、集電体は、アルミニウム金属とすることがより好ましい。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1~500μmのものが用いられる。
負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。この負極は、負極活物質をより多く含むことが好ましく、負極合材全体のうち負極活物質が65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上としてもよい。また、負極活物質は、85質量%以下や75質量%以下の範囲としてもよい。負極活物質を85質量%以下の範囲で含むものでは、導電材や結着材の量が少なくなり過ぎないため、導電材や結着材の機能を十分に発揮できる。
イオン伝導媒体は、例えば、支持塩(支持電解質)と有機溶媒とを含む非水系電解液としてもよい。支持塩としては、例えば、正極のキャリアをリチウムイオンとした場合、公知のリチウム塩を含むものとしてもよい。このリチウム塩としては、例えば、LiPF6や、LiBF4、LiClO4,LiAsF6,Li(CF3SO22N,LiN(C25SO22などが挙げられ、このうちLiPF6や、LiBF4が好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、非プロトン性の有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル等が挙げられる。環状カーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等がある。鎖状カーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。環状エステルカーボネートとしては、例えばガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等がある。環状エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等がある。鎖状エーテルとしては、例えばジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等がある。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、非水系電解液としては、そのほかにアセトニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル系溶媒やイオン液体、ゲル電解質などを用いてもよい。
この蓄電デバイスは、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
この蓄電デバイスの形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図3は、蓄電デバイス20の一例を示す模式図である。この蓄電デバイス20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。この蓄電デバイス20は、正極22と負極23との間の空間にイオン伝導媒体27が満たされている。また、この正極22と負極23とのうち少なくとも一方には、上述した金属有機構造体を活物質として有する。
以上詳述した本開示では、化学的に安定である新規な電極材料、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、以下のように推察することができる。例えば、従来ある2,5-ジヒドロキシテレフタル酸のアルカリ金属塩の構造体では、例えば、式(16)や式(17)に示すように、水酸基とカルボキシ基との水素にアルカリ金属が配位した状態で、中立となり、正極側での充放電、又は負極側での充放電を行うことができる。しかしながら、この中立状態は化学的に安定ではなく、例えば、電極を作製する際などにも、大気中で作業できないなどの不都合があった。一方、本開示では、ジヒドロキシ基のままとし、カルボン酸アニオン基にアルカリ金属が配位され、例えば、ナフタレンなど2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有する有機骨格をアルカリ金属元素で結合した構造体を構成するものとすることができる。この構造体は、大気中で安定であるため、大気中での取り扱いが可能になり、大気中で不安定なアルコキシドへは電極作成後に変換するものとして、負極活物質や正極活物質として利用することができる。
Figure 0007287230000007
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本開示の電極材料及び蓄電デバイスを具体的に作製した例を実施例として説明する。
[化合物1の合成:中間体2の合成]
図4は、3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸(化合物1)の合成スキームである。図4に示すように、原料である1,5-ジブロモ-2,6-ジヒドロキシナフタレンを原料とし、中間体2~4を経て化合物1を合成した。
[中間体2の合成]
表1に示す試薬、仕込み量で、1,5-ジブロモ-2,6-ジヒドロキシナフタレンから中間体2を合成した。5Lの反応器に1,5-ジブロモ-2,6-ジヒドロキシナフタレン、酢酸、鉄、臭素を順次加えた。これをオイルバス150℃で加熱し合計5日間、加熱還流した。途中、臭素を150.8gずつ合計3回追加した。反応器を放冷後、水(3.3L)を加えると固体が析出し、これをろ過し、フィルタ上を水で洗浄した。得られた固体を減圧化で乾燥し、123gの粗体を得た。次に、1,4-ジオキサン(0.75L)にて再結晶を行い、48.3gの中間体2を得た(収率43%)。NMR(JEOL社製、ECA500,400MHz)にて分析を行った。図5は、中間体2の1H-NMR測定結果である。NMRは、溶媒としてCD3ODを用いて測定した。図5に示すように、中間体2のピークが得られた。
Figure 0007287230000008
Figure 0007287230000009
[中間体3の合成]
表2に示す試薬、仕込み量で、中間体2から中間体3を合成した。2Lの反応器に不活性ガス存在下、中間体2、酢酸、スズ、を加え、140℃での加熱還流下で3日間撹拌した。反応液を放冷後、水を加えると固体が析出した。これをろ過し、フィルタ上を水で洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、粗体を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィーにて精製した。これを更にジエチルエーテル/ヘキサンで再沈精製を行い、35.66gの中間体3を得た(収率110%)。NMRにて分析を行った(図6)。NMRは、溶媒としてCD3ODを用いて測定した。図6は、中間体3の1H-NMR測定結果である。図6に示すように、中間体3のピークが得られた。
Figure 0007287230000010
Figure 0007287230000011
[中間体4の合成]
表3に示す試薬、仕込み量で、中間体3から中間体4を合成した。20mLの反応容器に不活性ガス存在下、中間体3、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、クロロメチル=メチルエーテルを順次加えた。これを室温で17時間撹拌した。原料の消失を確認の後、反応液をジクロロメタンで3回抽出した。有機層は飽和重曹水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を集め、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液減圧化濃縮し、24.84gの中間体4を得た(収率68%)。得られた中間体4をNMRにて分析を行った。図7は、中間体4の1H-NMR測定結果である。NMRは、溶媒としてCDCl3を用いて測定した。図7に示すように、中間体4のピークが得られた。
Figure 0007287230000012
Figure 0007287230000013
[化合物1の合成]
表4に示す試薬、仕込み量で、中間体4から化合物1を合成した。2Lの反応器に不活性ガス存在下、中間体4をテトラヒドロフランに溶解した。-78℃での冷却化でブチルリチウムを滴下したのち、1時間撹拌を行い、二酸化炭素をバブリングし、3時間撹拌し、そのまま自然昇温した。次いで反応液に1N塩酸(555mL)を加えてクエンチし、80℃加熱還流下、6時間撹拌した。室温に冷却後、減圧濃縮し、テトラヒドロフランを留去した。残渣にノルマルブタノールを加え、1N塩酸で分液した。有機層は1N塩酸で2回、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄したのち、収集し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を減圧下濃縮した。濃縮残渣にノルマルヘプタンを加え、懸濁洗浄し、ろ過した。ろ取した固体を60℃で2日間終夜乾燥し16.8gの化合物1を得た。得られた化合物1をNMRにて分析を行った。図8は、3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸(化合物1)の1H-NMR測定結果である。NMRは、溶媒としてCD3ODを用いて測定した。図8に示すように、化合物1のピークが得られた。
Figure 0007287230000014
Figure 0007287230000015
(実施例1の作製)
表5に示す試薬、仕込み量で、化合物1から実施例1の3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムの金属有機構造体を合成した。200mLの反応器に水酸化リチウムと化合物1とをジメチルホルムアミドと水との混合溶媒に溶解させ、100℃加熱還流下で20時間撹拌し、そのまま自然降温した。その後、減圧化濃縮をした。濃縮残渣にメタノールを加え、懸濁洗浄し、ろ過した。ろ取した固体を120℃で1日間終夜乾燥し、0.4127gの化合物5(実施例1)の構造体の粉体を得た。
Figure 0007287230000016
Figure 0007287230000017
(実施例2の作製)
表6に示す試薬、仕込み量で、1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸から、実施例2の1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムの金属有機構造体を合成した。100mLの反応器に水酸化リチウムと1,5-ジヒドロナフタレン-1,4-ジカルボン酸をメタノールに溶解し、20時間撹拌した。その後、減圧化濃縮をした。得られた固体を120℃で11日間終夜乾燥し、5.2719gの1,5-ジヒドロナフタレン-1,4-ジカルボン酸リチウムを得た。原料である1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸、及び得られた実施例2をNMRにて分析を行った。図9は、原料(図9A)と実施例2(図9B)の1H-NMR測定結果である。図10は、原料及び実施例2の金属有機構造体の13C-NMR測定結果である。NMRは、原料の測定では溶媒として重ジメチルスルホキシド(d-DMSO)を用い、実施例2の測定ではD2Oを用いて測定した。図9に示すように、生成物である実施例2では、カルボン酸のプロトンが消失しており、このプロトンがリチウムと置換され、1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウムが生成したものと推察された。また、図10に示すように、生成物では、カルボン酸近傍の炭素(C2,C6)のケミカルシフトが確認され、カルボン酸(COOH)からカルボン酸リチウム(COOLi)へ変化したものと示唆された。
Figure 0007287230000018
Figure 0007287230000019
(実施例1,2のX線回折測定)
測定は放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用したX線回折装置(リガク製、Ultima IV)を用いて行った。X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定して測定を行った。また、測定は5°/分の走査速度で、2θ=5°~60°の角度範囲で記録した。図11は、実施例1のXRDパターン測定結果である。図12は、実施例2のXRDパターン測定結果である。実施例1,2共に、回折ピークが得られており、空間群や原子配列についてはまだ不明であるが、結晶構造を有することがわかった。
(電極の作製)
3,7-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウム(実施例1)を77.7質量%、粒子状炭素導電材としてカーボンブラック(東海カーボン、TB5500)を13.7質量%、水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム、CMCダイセル1120)を5.48質量%、スチレンブタジエンゴム(日本ゼオン、AX-A526)を3.1質量%秤量して混合し、水を適量添加しスラリー状合材とした。このスラリー状合材を20μm厚のアルミ箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。その後、真空下120℃で12時間、乾燥を行った。また、同様に、1,5-ジヒドロナフタレン-1,4-ジカルボン酸ジリチウム(実施例2)の電極も作製した。
(二極式セルの作製)
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で30:40:30の割合で混合した非水溶媒に、支持塩のLiPF6を1.0mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記作製した電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東レ東燃製)を挟んで二極式評価セルを作製した。
(Liプレドープ処理)
1,5-ジヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジリチウム電極に対して、リチウムプレドープを行った。溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)に対して、0.1mol/Lになるようにナフタレンを溶解させ、その後、0.1mol/L相当のリチウム金属を加えて撹拌し、濃緑色のLiプレドープ溶液を調製した。得られたLiプレドープ溶液に、上記作製した実施例2の電極を一晩浸漬させ、その後、溶液から電極を取出し、THFで洗浄を行い乾燥した。このLiプレドープを行った電極を用いて上記二極式セルを作製した。
(二極式セルの評価)
実施例1の二極式セルを用い、20℃の温度環境下、最初に0.1mAで0.5V~1.5Vの充放電を10サイクル行い、次に、0.1mAで3.5V~1.8Vの充放電を10サイクル行った。また、実施例2の二極式セルを用い、20℃の温度環境下、最初に0.1mAで3.5V~1.8Vの充放電を10サイクル行い、次に、0.1mAで0.5V~1.5Vの充放電を10サイクル行ったあと、0.1mAで3.5V~1.8Vの充放電を10サイクル行った。
(結果と考察)
表7に、電極の構成、作動電圧(V)、放電容量(mAh/g)、10サイクルの容量維持率(%)をまとめて示した。なお、初回サイクルでは、レドックス活性化に必要なエネルギーにより不可逆容量が存在することから、初期値は、2サイクル目として放電容量及び容量維持率を求めた。また、3.5V~1.8Vでの充放電では、3.5Vから1.8Vにかけての容量を放電容量とした。また、0.5V~1.5Vでの充放電では、0.5Vから1.5Vにかけての容量を放電容量とした。図13は、実施例1の二極式セルの0.5-1.5Vでの放電曲線である。図14は、実施例1の二極式セルの3.5-1.8Vでの放電曲線である。図15は、実施例2の二極式セルの活性化前の3.5-1.8Vでの放電曲線である。図16は、実施例2の二極式セルの活性化後の0.5-1.5Vでの放電曲線である。図17は、実施例2の二極式セルの活性化後の3.5-1.8Vでの放電曲線である。図18は、実施例2の二極式セルのプレドープ後の0.5-1.5Vでの放電曲線である。
例えば、実施例2のセルでは、図15に示すように、最初に3.5V-1.8Vで充放電を行っても、充放電活性はほとんど示さなかった。また、実施例1のセルでも同様であった。したがって、水酸基を2つ有する金属有機構造体では、大気中は安定であるが、高電位での充放電活性はないことがわかった。一方、実施例1,2のセルを0.5V-1.5Vで充放電すると、図13,16には図示しない大きな不可逆容量を示したのち、2サイクル目以降では、安定した充放電を行うことがわかった。ここでは、2つの水酸基の水素がレドックス活性化によりLiイオンと交換し、高いレドックス活性を有するものになると推察された。このように、実施例1,2の電極は、負極の電位範囲において充放電可能であることがわかった。図14,17に示すように、更にその後、3.5V-1.8Vで充放電を行うと、容量は、負極電位に比して小さいものの、充放電可能であることがわかった。即ち、実施例1,2の電極は、負極及び正極として利用可能であることが確認された。また、図18に示すように、Liプレドープを行い、電極活物質にLiをドープすることによっても、レドックス活性化を図ることができ、安定した充放電を行うことができることがわかった。
Figure 0007287230000020
本開示は、上記の実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本開示は、電池産業の分野に利用可能である。
20 蓄電デバイス、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 イオン伝導媒体。

Claims (6)

  1. 蓄電デバイスの電極に用いられる電極材料であって、
    式(1)~(4)のうち1以上の化学構造を有する、電極材料。
    Figure 0007287230000021
  2. 前記化学構造は、式(5)~(9)のうち1以上である、請求項1に記載の電極材料。
    Figure 0007287230000022
  3. 前記化学構造は、前記AがLiである、請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 2以上の芳香環が縮合した芳香族環構造を有しジアルコキシ基とジカルボン酸アニオン基とを含む有機骨格層と、前記有機骨格層のカルボン酸アニオン基にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を備える金属有機構造体であり、
    式(10)~(13)のうち1以上の化学構造を有する、電極材料。
    Figure 0007287230000023
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の電極材料を負極活物質及び/又は正極活物質とする電極と、
    前記電極と接触しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
    を備えた蓄電デバイス。
  6. 蓄電デバイス用電極の製造方法であって、
    式(14)及び/又は式(15)により、電極材料の水酸基にアルカリ金属イオンを導入し、レドックス活性化を図る活性化工程、を含む、蓄電デバイス用電極の製造方法。
    Figure 0007287230000024
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