JP7285425B2 - 高圧酸浸出処理を行うオートクレーブ装置 - Google Patents
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Description
先ず、本発明の実施形態に係るオートクレーブ装置を用いて行われる浸出工程を有するニッケル酸化鉱石の湿式製錬法について図1を参照しながら説明する。この図1に示す湿式製錬方法は、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S1と、該浸出工程S1で生成した浸出液及び浸出残渣からなる浸出スラリーを好適には直列に接続された複数基のシックナーで固液分離することで、ニッケル及びコバルトの有価金属に加えて鉄等の不純物イオンを含む浸出液を浸出残渣から分離する固液分離工程S2と、該浸出液にpH調整剤を添加することで鉄を含む殿物を生成し、これを殿物スラリーの形態で分離除去してニッケル回収用の母液を得る脱鉄工程S3と、該母液に硫化水素等の硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成した後、固液分離により該混合硫化物を回収する硫化工程S4と、該混合硫化物の固液分離時に液相側に排出される貧液を中和処理する最終中和処理工程S5とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。
浸出工程S1では、先ず原料のニッケル酸化鉱石を粉砕機及びスクリーンに装入して粉粒体にした後、水を加えて湿式で分級することで所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーを篩下側に回収する。この鉱石スラリーを内部が隔壁(堰)により複数の区画室に区画され、複数の撹拌機が該複数の区画室にそれぞれ設けられた横型円筒形状の反応容器からなるオートクレーブ装置に硫酸と共に装入し、圧力3~4.5MPaG程度、温度220~280℃程度の高温高圧条件下で浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じさせ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化とを行い、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成する。
上記浸出工程S1で得られる浸出スラリーは、次に固液分離工程S2において固液分離により浸出残渣が除去され、ニッケル及びコバルトに加えて鉄等の不純物イオンを含む浸出液が得られる。この固液分離には、直列に連結した複数基のシックナーに上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入することによって、多段洗浄しながら重力沈降分離を行うCCD(Counter Current Decantation)法とも称する向流洗浄法を採用するのが好ましい。これにより、より少ない量の洗浄液で効率よく浸出液を回収することが可能になる。なお、上記洗浄液にはpH1.0~3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程の中和処理工程S5から排出される上記条件を満たす中和終液を上記洗浄液として用いるのが好ましい。
上記固液分離工程S2で得られる浸出液は、次に脱鉄工程S3において炭酸カルシウム等のpH調整剤が添加され、好適にはpHを2.0~4.0程度に調整することによって、該浸出液に含まれる不純物イオンのうち主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンから含鉄殿物が生成される。上記の含鉄殿物を含むスラリーは、好適にはシックナーで沈降分離を行うことでシックナーの底部から該含鉄殿物が濃縮スラリーの形態で排出され、一方、シックナーの上端部からはオーバーフローにより有価金属としてのニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用の母液が抜き出される。上記のシックナー底部から排出される含鉄殿物スラリーは、必要に応じて一部が抜き取られて固液分離工程S2に繰り返され、残りは無害化処理等を経て系外に排出される。
上記脱鉄工程S3で得られるニッケル回収用の母液は、次に硫化工程S4において加圧下の硫化反応槽に装入され、ここに硫化水素ガス等の硫化剤を添加することによって、硫化反応を生じさせてニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成させる。この混合硫化物はフィルタープレスなどの固液分離装置により回収され、その際、液相側に硫酸水溶液からなる貧液が排出される。なお、上記の母液に亜鉛が含まれている場合は、上記の混合硫化物の生成前に該母液を微加圧された脱亜鉛反応槽に導入し、その気相中に硫化水素ガスを吹き込むことでニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化し、これにより生成される亜鉛硫化物を分離除去するのが好ましい。
上記硫化処理S4において固液分離装置から排出される貧液は、最終中和処理工程S5において石灰石等の中和剤の添加によって中和処理され、これにより該貧液中に不純物金属イオンとして含まれる鉄、マグネシウム、マンガン等の残留金属イオンから中和殿物が生成され、この中和殿物を固液分離で除去することにより無害化された中和終液が得られる。
次に、上記浸出工程S1において鉱石スラリーの高圧酸浸出を行う本発明の実施形態のオートクレーブ装置について図2を参照しながら説明する。この図2に示す本発明の実施形態のオートクレーブ装置1は、両端部に略半球状又は略皿型の鏡板が設けられた横型円筒形状の反応容器10からなり、その内部は該反応容器10の中心軸に対して垂直な面を有する5枚の隔壁(堰)11a~11eによって6つの区画室12a~12fに区分されている。これら6つの区画室12a~12fには、6台の撹拌機20a~20fがそれぞれ設置されている。
S2 固液分離工程
S3 脱鉄工程
S4 硫化工程
S5 最終中和処理工程
1 オートクレーブ装置
10 反応容器
11a~11e 隔壁
12a~12f 区画室
13 鉱石スラリー供給配管
14 硫酸供給配管
15 抜出配管
20a~20f 撹拌機
21a~21f 電動機
22a~22f インバータ
26 撹拌機電流
27 撹拌機周波数
28 出力電力回転数制御ループ
29 出力電流回転数制御ループ
30 演算計器
Claims (2)
- 隔壁によって複数の区画室に内部が区画され、該複数の区画室にそれぞれ複数の撹拌機が設けられた横型円筒形状の反応容器からなるオートクレーブ装置であって、前記撹拌機及びその電動機は全て同一の仕様からなり、各々の撹拌機の回転数は、インバータによって、出力電力回転数制御ループの出力が出力電流回転数制御ループの設定値として入力されるカスケード制御により制御されることを特徴とするオートクレーブ装置。
- 高温高圧の鉱石スラリーが硫酸と共に前記複数の区画室のうち最も上流側の区画室に導入され、前記隔壁をオーバーフローすることで隣接する下流側の区画室に順次移送された後、最も下流側の区画室から抜き出されることを特徴とする、請求項1に記載のオートクレーブ装置。
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JP2019093899A JP7285425B2 (ja) | 2019-05-17 | 2019-05-17 | 高圧酸浸出処理を行うオートクレーブ装置 |
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JP2019093899A JP7285425B2 (ja) | 2019-05-17 | 2019-05-17 | 高圧酸浸出処理を行うオートクレーブ装置 |
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