従来のジャケット構造体においては、格点部において鋼管を溶接する際、鋼管の外側からのみ溶接すること(片側溶接)が一般的であった。
しかしながら、風車を洋上に配置(洋上風車)する場合、洋上風車は厳しい疲労環境下に置かれる。このため、上述の片側溶接では、溶接部に十分な疲労強度を持たせることが不可能であった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、接続部に十分な疲労強度を確保することができる洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る洋上風車用ジャケット構造物は、円筒状の部材である第1斜めブレースと、円筒状の部材であり、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、洋上風車が設置され、且つ、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持される台と、を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点は、両面溶接されることを特徴とする。
この発明によれば、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの接続部に十分な疲労強度を確保することができる。
また、前記交点には、K形開先が設けられていることを特徴としてもよい。
この発明によれば、交点には、K形開先が設けられている。これにより、両面溶接を行うことが可能となる。よって、交点に十分な疲労強度を担保することができる。
また、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第1近傍部分とし、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第1遠隔部分とし、前記第1近傍部分の外径は、前記第1遠隔部分の外径よりも大きく、前記第1近傍部分の内径は、前記第1遠隔部分の内径以下であることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1近傍部分の外径は、第1遠隔部分の外径よりも大きく、第1近傍部分の内径は、第1遠隔部分の内径以下である。よって、第1近傍部分の板厚は、第1遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第1斜めブレースにおける交点の強度を確保することができる。また、第1遠隔部分の板厚を第1近傍部分よりも小さくすることで、第1近傍部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1斜めブレースの外周面において、第1近傍部分が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第1斜めブレースの外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。これに対し、洋上風車に必要とされる耐用年数(例えば、25年)は、ガスプラント等に必要とされる耐用年数(例えば、50年)よりも短い。よって、上述のような防錆用の構成を必要とせず、防錆塗装等によって対応可能である。また、洋上風車用ジャケット構造物は、厳しい疲労環境下に置かれる。このため、防錆性能よりも疲労強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1近傍部分の外径を第2斜めブレースの外径よりも大きくすることができる。ここで、第1近傍部分の外径と第2斜めブレースの外径とが等しい場合と、第1近傍部分の外径が第2斜めブレースの外径よりも大きい場合とについて、以下比較する。すなわち、第1近傍部分の外周面と第2斜めブレースの端部との接続部について比較する。
第1近傍部分の外径と第2斜めブレースの外径とが等しい場合、接続部を第1近傍部分の軸方向から見た時、第1近傍部分の径方向の端部と、第2斜めブレースの径方向の端部とは一致する。これに対し、第1近傍部分の外径が第2斜めブレースの外径よりも大きい場合、接続部を第1近傍部分の軸方向から見た時、第2斜めブレースの径方向の端部が、第1近傍部分の径方向の端部よりも、第1近傍部分の軸中心に近い側に位置することとなる。
すると、第1近傍部分の軸方向から接続部を見た時、第2斜めブレースの径方向の端部と、第1近傍部分の外周面とのなす角度が、交点における第2斜めブレースの外径と第1近傍部分の外径が等しい場合よりも直角に近い状態となる。よって、第2斜めブレースの外径と第1近傍部分の外径が等しい場合と比較して、第2斜めブレースの端部に両側開先又はK形開先を設け易くなる。よって、より容易に第2斜めブレースを第1近傍部分に両面溶接することができ、更に溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第1近傍部分とし、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第1遠隔部分とし、前記第1近傍部分の外周面は、前記第1遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、前記第1近傍部分の内周面は、前記第1遠隔部分の内周面と面一である、又は、前記第1遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置することを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1近傍部分の外周面は、第1遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、第1近傍部分の内周面は、第1遠隔部分の内周面と面一である、又は、第1遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、第1近傍部分の外径は第1遠隔部分の外径よりも大きい。また、第1近傍部分の内径は、第1遠隔部分の内径と等しい、又は第1遠隔部分の内径より小さい。
よって、第1近傍部分の板厚は、第1遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第1近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第1近傍部分の外径を大きくすることで、上述のように第2斜めブレースの両面溶接を可能にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第1近傍部分とし、前記第1斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第1遠隔部分とし、前記第1斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面に前記第1近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面に前記第1遠隔部分を投影した際の正射影を覆うことを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面に第1近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面に第1遠隔部分を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第1斜めブレースの軸方向から見て、第1遠隔部分の断面は、第1近傍部分の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面における第1近傍部分の断面積は、第1遠隔部分の断面積よりも大きい。また、第1近傍部分の板厚は、第1遠隔部分の板厚よりも大きい。よって、上述のように第1近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第1近傍部分の外径を大きくすることで、上述のように第2斜めブレースの両面溶接を容易にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記第1近傍部分の外側面と前記第1遠隔部分の外側面との間に設けられる第1テーパー部分を更に備えることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1近傍部分の外側面と第1遠隔部分の外側面との間に設けられる第1テーパー部分を備える。これにより、第1近傍部分と第1遠隔部分との間で連続的に断面を変化させて、第1近傍部分と第1遠隔部分とを接続することができる。よって、第1近傍部分と第1遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、前記第1テーパー部分と前記第1遠隔部分とは、前記第1斜めブレースの外側から片面溶接されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1テーパー部分と第1遠隔部分とは、第1斜めブレースの外側から片面溶接される。ここで、第1テーパー部分と第1遠隔部分との境目は、第1斜めブレースの外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第1斜めブレースの外側から片面溶接することで、ルート部分を第1斜めブレースの内側に配置することができる。したがって、第1テーパー部分と第1遠隔部分との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、前記第1テーパー部分の外側面と前記第1遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1テーパー部分の外側面と第1遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられる。これにより、第1テーパー部分と第1遠隔部分との境目である応力集中部における溶接の品質を担保し、前記境目の強度を向上することができる。
また、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、前記第2近傍部分の外径は、前記第2遠隔部分の外径以上であり、前記第2近傍部分の内径は、前記第2遠隔部分の内径以下であることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2近傍部分の外径は、第2遠隔部分の外径以上であり、第2近傍部分の内径は、第2遠隔部分の内径以下である。よって、第2近傍部分の板厚は、少なくとも第2遠隔部分と同じか、第2遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第2斜めブレースにおける交点の強度を確保することができる。また、第2近傍部分の板厚を大きくした場合は、第1近傍部分との交点において第2近傍部分を容易に両面溶接することができる。これにより疲労強度を向上することができる。
また、第2遠隔部分の板厚を第2近傍部分よりも小さくすることで、第2近傍部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第2斜めブレースの外周面において、第2近傍部分が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第2斜めブレースの外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。上述のように、洋上風車用ジャケット構造物は、防錆性能よりも疲労強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、前記第2近傍部分の外周面は、前記第2遠隔部分の外周面と面一である、又は、前記第2遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、前記第2近傍部分の内周面は、前記第2遠隔部分の内周面と面一である、又は、前記第2遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置することを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2近傍部分の外周面は、第2遠隔部分の外周面と面一である、又は、第2遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、第2近傍部分の内周面は、第2遠隔部分の内周面と面一である、又は、第2遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、第2近傍部分の外径は第2遠隔部分の外径と等しい、又は第2遠隔部分の外径よりも大きい。また、第2近傍部分の内径は、第2遠隔部分の内径と等しい、又は第2遠隔部分の内径より小さい。
よって、第2近傍部分の板厚は、少なくとも第2遠隔部分の板厚以上になる。よって、第2近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第2近傍部分の板厚を大きくすることで、上述のように第1斜めブレースとの両面溶接を容易にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、前記第2斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面に前記第2近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面に前記第2遠隔部分を投影した際の正射影を覆うことを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面に第2近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面に第2遠隔部分を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第2斜めブレースの軸方向から見て、第2遠隔部分の断面は、第2近傍部分の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレースの長手方向の軸と直交する平面における第2近傍部分の断面積は、第2遠隔部分の断面積よりも大きい。また、第2近傍部分の板厚は、第2遠隔部分の板厚よりも大きい。よって、上述のように第2近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第2近傍部分の板厚を大きくすることで、上述のように第1斜めブレースとの両面溶接を可能にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記第2近傍部分の外側面と前記第2遠隔部分の外側面との間に設けられる第2テーパー部分を更に備えることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2近傍部分の外側面と第2遠隔部分の外側面との間に設けられる第2テーパー部分を備える。これにより、第2近傍部分と第2遠隔部分との間を連続的に変化させることで第2近傍部分と第2遠隔部分とを接続することができる。よって、第2近傍部分と第2遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、前記第2テーパー部分と前記第2遠隔部分とは、前記第2斜めブレースの外側から片面溶接されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2テーパー部分と第2遠隔部分とは、第2斜めブレースの外側から片面溶接される。ここで、第2テーパー部分と第2遠隔部分との境目は、第2斜めブレースの外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレースの外側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレースの内側に配置することができる。したがって、第2テーパー部分と第2遠隔部分との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、前記第2テーパー部分の外側面と前記第2遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2テーパー部分の外側面と第2遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられる。これにより、第2テーパー部分と第2遠隔部分との境目である応力集中部における溶接の品質を担保することができる。よって、前記応力集中部の強度を向上することができる。
また、前記第2斜めブレースは2つの円筒状部材を備え、前記円筒状部材のそれぞれは、前記交点において、前記第1斜めブレースに両面溶接により接合されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第2斜めブレースの備える2つの円筒状部材のそれぞれは、交点において、第1斜めブレースに両面溶接により接合される。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとによってX字状の構造を形成することができる。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとによって、洋上風車用ジャケット構造物を確実に補強する構造とすることができる。
また、複数の円筒状のレグ、を更に備え、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースの一方と、前記レグのうちの1つと、の交点は、両面溶接されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方と、レグのうちの1つと、の交点は、両面溶接される。これにより、レグと第1斜めブレース及び第2斜めブレースとの接続部において十分な溶接強度を確保することができる。よって、洋上風車用ジャケット構造物の疲労強度を向上することができる。
また、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分をレグ近傍部分とし、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分をレグ遠隔部分とし、前記レグ近傍部分の外径は、前記レグ遠隔部分よりも大きく、前記レグ近傍部分の内径は、前記レグ遠隔部分の内径以下であることを特徴としてもよい。
この発明によれば、レグ近傍部分の外径は、レグ遠隔部分の外径よりも大きく、レグ近傍部分の内径は、レグ遠隔部分の内径以下である。よって、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方とレグの1つとの交点の強度を確保することができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、レグの1つとの交点においてレグ近傍部分を容易に両面溶接することができる。また、溶接強度を向上することができる。
また、レグ遠隔部分の板厚をレグ近傍部分よりも小さくすることで、レグ近傍部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の外周面において、レグ近傍部分が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。上述のように、洋上風車用ジャケット構造物は、防錆性能よりも構造物としての強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分をレグ近傍部分とし、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分をレグ遠隔部分とし、前記レグ近傍部分の外周面は、前記レグ遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、前記レグ近傍部分の内周面は、前記レグ遠隔部分の内周面と面一である、又は、前記レグ遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置することを特徴としてもよい。
この発明によれば、レグ近傍部分の外周面は、レグ遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、レグ近傍部分の内周面は、レグ遠隔部分の内周面と面一である、又は、レグ遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、レグ近傍部分の外径はレグ遠隔部分の外径よりも大きい。また、レグ近傍部分の内径は、レグ遠隔部分の内径と等しい、又はレグ遠隔部分の内径より小さい。
よって、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分よりも大きくなる。よって、レグ近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、レグの1つへの両面溶接を容易にし、更に溶接強度を向上することができる。
また、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分をレグ近傍部分とし、前記一方の円筒状部分であって、前記レグ近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分をレグ遠隔部分とし、前記一方の長手方向の軸と直交する平面に前記レグ近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面に前記レグ遠隔部分を投影した際の正射影を覆うことを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の長手方向の軸と直交する平面にレグ近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面にレグ遠隔部分を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の軸方向から見て、レグ遠隔部分の断面は、レグ近傍部分の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の長手方向の軸と直交する平面におけるレグ近傍部分の断面積は、レグ遠隔部分の断面積よりも大きい。また、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分の板厚よりも大きい。よって、上述のようにレグ近傍部分に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、上述のようにレグの1つへの両面溶接を容易にすることができる。
また、前記レグ近傍部分の外側面と前記レグ遠隔部分の外側面との間に設けられるレグテーパー部分を更に備えることを特徴としてもよい。
この発明によれば、レグ近傍部分の外側面とレグ遠隔部分の外側面との間に設けられるレグテーパー部分を備える。これにより、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を連続的に変化させることで、レグ近傍部分とレグ遠隔部分とを接続することができる。よって、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、前記レグテーパー部分と前記レグ遠隔部分とは、前記一方の外側から片面溶接されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、レグテーパー部分とレグ遠隔部分とは、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の外側から片面溶接される。ここで、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目は、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の外側面において応力集中が発生しやすい。これに対し、レグテーパー部分を第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方の外側から片側溶接することで、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目である応力集中部における溶接品質を高くすることができる。よって、前記境目である応力集中部における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、前記レグテーパー部分の外側面と前記レグ遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられることを特徴としてもよい。
この発明によれば、レグテーパー部分の外側面とレグ遠隔部分の外側面との間には、レ形開先又はV形開先が設けられる。これにより、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目における溶接の品質を担保し、前記境目の強度を向上することができる。
また、本発明に係る洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法は、複数の円筒状のレグと、円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、を備える洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースの一方と前記レグの1つとの交点と、を両面溶接する両面溶接工程と、前記両面溶接工程の後、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と他方との交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記他方との交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、の間を片面溶接するとともに、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、前記一方の円筒状部分であって、前記一方と前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、の間を片面溶接する片面溶接工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、両面溶接工程の後に片面溶接工程を行う。ここで、第1斜めブレースが一体の円筒状の部材である場合に、第1斜めブレースの両端部をレグに両面溶接することは、溶接作業後に第1斜めブレースの内部に作業者が取り残されることとなり、不可能である。第2斜めブレースの備える円筒状部材が一体である場合に、片側の端部とレグとを両面溶接し、且つ、反対側の端部と第1斜めブレースとを両面溶接しようとした場合も同様である。
これに対し、まず、両面溶接工程において、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方とレグの1つとの交点と、を予め両面溶接する。その後に、片面溶接工程において、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を片面溶接する。これにより、作業者が内部に取り残されることを避けつつ、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第1斜めブレース及び第2斜めブレースの一方とレグの1つとの交点とを両面溶接することができる。よって、両面溶接されたそれぞれの交点の溶接強度を確保することができる。
本発明によれば、接続部に十分な疲労強度を確保することができる洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法を提供することができる。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100及び洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法を説明する。
洋上風車用ジャケット構造物100は、海底等の地盤に打設された杭Lを介して、洋上に設置される。図1に示すように、洋上風車用ジャケット構造物100は、洋上風車200を支持するために用いる。
(洋上風車用ジャケット構造物100について)
図1に示すように、洋上風車用ジャケット構造物100は、第1斜めブレース10と、第2斜めブレース20と、台30と、レグ40と、スカートスリーブ50と、を備える。
第1斜めブレース10は、円筒状の部材である。第1斜めブレース10には、例えば、鋼管が好適に用いられる。第1斜めブレース10は、第1近傍部分11と、第1遠隔部分12と、第1テーパー部分13と、第1レグ近傍部分14と、第1レグ遠隔部分15と、第1レグテーパー部分16と、を含む(図2、図5参照)。
図2に示すように、第1近傍部分11は、第1斜めブレース10の円筒状部分であって、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第1斜めブレース10の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲は、第1近傍部分11の外径の1.5~2.5倍程度であることが好ましい。
第1遠隔部分12は、第1斜めブレース10の円筒状部分であって、第1近傍部分11より交点から遠い円筒状部分である。
第1近傍部分11及び第1遠隔部分12のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第1近傍部分11の外周面は、第1遠隔部分12の外周面よりも径方向の外側に位置する。つまり、第1近傍部分11の外径は第1遠隔部分12の外径よりも大きい。
また、第1近傍部分11の内径は、少なくとも第1遠隔部分12の内径以下である。第1近傍部分11の内周面は、第1遠隔部分12の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第1斜めブレース10の径方向において、第1近傍部分11の内周面が、第1遠隔部分12の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第1遠隔部分12の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第1近傍部分11の内径が第1遠隔部分12の内径と等しいことを意味する。第1近傍部分11の内周面は、第1遠隔部分12の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
上述の関係を有することにより、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面に第1近傍部分11を投影した際の正射影は、平面に第1遠隔部分12を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図3に示すように、第1斜めブレース10の軸方向から見て、第1遠隔部分12の断面は、第1近傍部分11の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面における第1近傍部分11の断面積は、第1遠隔部分12の断面積よりも大きい。また、第1近傍部分11の板厚は、第1遠隔部分12の板厚よりも大きい。
第1テーパー部分13は、図2に示すように、第1近傍部分11の外側面と第1遠隔部分12の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。第1テーパー部分13は、第1近傍部分11と第1遠隔部分12との間を連続的に変化させて、第1近傍部分11と第1遠隔部分12とを接続する。
本実施形態において、第1テーパー部分13は、第1近傍部分11と一体に形成される。第1近傍部分11と第1遠隔部分12とは、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12とを溶接することで接続される。なお、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12とは、第1斜めブレース10の外側から片面溶接される。また、図4に示すように、第1テーパー部分13の外側面と第1遠隔部分12の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第1近傍部分11の板厚と第1遠隔部分12の板厚との差が小さい場合、第1近傍部分11と第1遠隔部分12とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部を第1テーパー部分13としてもよい。
図5に示すように、第1レグ近傍部分14は、第1斜めブレース10の円筒状部分であって、第1斜めブレース10とレグ40の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第1斜めブレース10の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、1.5m以下とすることが好ましい。
第1レグ遠隔部分15は、第1斜めブレース10の円筒状部分であって、第1斜めブレース10とレグ40の1つとの交点から第1レグ近傍部分14より遠い円筒状部分である。
第1レグ近傍部分14及び第1レグ遠隔部分15のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第1レグ近傍部分14の外周面は、第1レグ遠隔部分15の外周面よりも径方向の外側に位置する。つまり、第1レグ近傍部分14の外径は第1レグ遠隔部分15の外径よりも大きい。
また、第1レグ近傍部分14の内径は、少なくとも第1レグ遠隔部分15の内径以下である。第1レグ近傍部分14の内周面は、第1レグ遠隔部分15の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第1斜めブレース10の径方向において、第1レグ近傍部分14の内周面が、第1レグ遠隔部分15の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第1レグ遠隔部分15の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第1レグ近傍部分14の内径が第1レグ遠隔部分15の内径と等しいことを意味する。第1レグ近傍部分14の内周面は、第1レグ遠隔部分15の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
上述の関係を有することにより、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面に第1レグ近傍部分14を投影した際の正射影は、平面に第1レグ遠隔部分15を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第1斜めブレース10の軸方向から見て、第1レグ遠隔部分15の断面は、第1レグ近傍部分14の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面における第1レグ近傍部分14の断面積は、第1レグ遠隔部分15の断面積よりも大きい。また、第1レグ近傍部分14の板厚は、第1レグ遠隔部分15の板厚よりも大きい。
第1レグテーパー部分16は、図5に示すように、第1レグ近傍部分14の外側面と第1レグ遠隔部分15の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。第1レグテーパー部分16は、第1レグ近傍部分14と第1レグ遠隔部分15との間を連続的に変化させて、第1レグ近傍部分14と第1レグ遠隔部分15とを接続する。
本実施形態において、第1レグテーパー部分16は、第1レグ近傍部分14と一体に形成される。第1レグ近傍部分14と第1レグ遠隔部分15とは、第1レグテーパー部分16と第1レグ遠隔部分15とを溶接することで接続される。なお、第1レグテーパー部分16と第1レグ遠隔部分15とは、第1斜めブレース10の外側から片面溶接される。また、図4に示すように、第1レグテーパー部分16の外側面と第1レグ遠隔部分15の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第1レグ近傍部分14の板厚と第1レグ遠隔部分15の板厚との差が小さい場合、第1レグ近傍部分14と第1レグ遠隔部分15とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部を第1レグテーパー部分16としてもよい。
第2斜めブレース20は、円筒状の部材であり、且つ、第1斜めブレース10と交わる。第2斜めブレース20には、例えば、鋼管が好適に用いられる。図1に示すように、第2斜めブレース20は2つの円筒状部材を備える。言い換えれば、第2斜めブレース20は、2つに分断されている。第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点は、両面溶接される。より具体的には、第2斜めブレース20の備える円筒状部材のそれぞれは、交点において、第1斜めブレース10に両面溶接により接合される。
第2斜めブレース20は、第2近傍部分21と、第2遠隔部分22と、第2テーパー部分23と、第2レグ近傍部分24と、第2レグ遠隔部分25と、第2レグテーパー部分26と、を含む(図2、図5参照)。
第2近傍部分21は、第2斜めブレース20の円筒状部分であって、第2斜めブレース20と第1斜めブレース10との交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第2斜めブレース20の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、2.0m以下とすることが好ましく、1.5m以下とすることがより好ましい。
第2遠隔部分22は、第2斜めブレース20の円筒状部分であって、第2近傍部分21より交点から遠い円筒状部分である。
第2近傍部分21及び第2遠隔部分22のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第2近傍部分21の外径は第2遠隔部分22の外径と等しい、又は第2遠隔部分22の外径よりも大きい。第2近傍部分21の外周面は、第2遠隔部分22の外周面と面一である、又は、第2遠隔部分22の外周面よりも径方向の外側に位置する。ここで、面一であるとは、第2近傍部分21の外周面が、第2遠隔部分22の外周面よりも外側に位置せず、且つ、第2遠隔部分22の外周面よりも内側に位置しないことを意味する。
また、第2近傍部分21の内径は、少なくとも第2遠隔部分22の内径以下である。第2近傍部分21の内周面は、第2遠隔部分22の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第2斜めブレース20の径方向において、第2近傍部分21の内周面が、第2遠隔部分22の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第2遠隔部分22の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第2近傍部分21の内径が第2遠隔部分22の内径と等しいことを意味する。第2近傍部分21の内周面は、第2遠隔部分22の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
上述の関係を有することにより、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面に第2近傍部分21を投影した際の正射影は、平面に第2遠隔部分22を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図3に示すように、第2斜めブレース20の軸方向から見て、第2遠隔部分22の断面は、第2近傍部分21の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面における第2近傍部分21の断面積は、第2遠隔部分22の断面積よりも大きい。また、第2近傍部分21の板厚は、第2遠隔部分22の板厚よりも大きい。
第2テーパー部分23は、図2に示すように、第2近傍部分21の外側面と第2遠隔部分22の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。第2テーパー部分23は、第2近傍部分21と第2遠隔部分22との間を連続的に変化させて、第2近傍部分21と第2遠隔部分22とを接続する。
本実施形態において、第2テーパー部分23は、第2近傍部分21と一体に形成される。第2近傍部分21と第2遠隔部分22とは、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22とを溶接することで接続される。なお、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22とは、第2斜めブレース20の外側から片面溶接される。また、図4に示すように、第2テーパー部分23の外側面と第2遠隔部分22の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第2近傍部分21の板厚と第2遠隔部分22の板厚との差が小さい場合、第2近傍部分21と第2遠隔部分22とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部を第2テーパー部分23としてもよい。
第2レグ近傍部分24は、第2斜めブレース20の円筒状部分であって、第2斜めブレース20とレグ40の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第2斜めブレース20の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、1.5m以下とすることが好ましい。
第2レグ遠隔部分25は、第2斜めブレース20の円筒状部分であって、第2斜めブレース20とレグ40の1つとの交点から第2レグ近傍部分24より遠い円筒状部分である。
第2レグ近傍部分24及び第2レグ遠隔部分25のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第2レグ近傍部分24の外周面は、第2レグ遠隔部分25の外周面よりも径方向の外側に位置する。つまり、第2レグ近傍部分24の外径は第2レグ遠隔部分25の外径よりも大きい。
また、第2レグ近傍部分24の内径は、少なくとも第2レグ遠隔部分25の内径以下である。第2レグ近傍部分24の内周面は、第2レグ遠隔部分25の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第2斜めブレース20の径方向において、第2レグ近傍部分24の内周面が、第2レグ遠隔部分25の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第2レグ遠隔部分25の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第2レグ近傍部分24の内径が第2レグ遠隔部分25の内径と等しいことを意味する。第2レグ近傍部分24の内周面は、第2レグ遠隔部分25の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
上述の関係を有することにより、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面に第2レグ近傍部分24を投影した際の正射影は、平面に第2レグ遠隔部分25を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図3に示すように、第2斜めブレース20の軸方向から見て、第2レグ遠隔部分25の断面は、第2レグ近傍部分24の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面における第2レグ近傍部分24の断面積は、第2レグ遠隔部分25の断面積よりも大きい。また、第2レグ近傍部分24の板厚は、第2レグ遠隔部分25の板厚よりも大きい。
第2レグテーパー部分26は、図5に示すように、第2レグ近傍部分24の外側面と第2レグ遠隔部分25の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。第2レグテーパー部分26は、第2レグ近傍部分24と第2レグ遠隔部分25との間を連続的に変化させて、第2レグ近傍部分24と第2レグ遠隔部分25とを接続する。
本実施形態において、第2レグテーパー部分26は、第2レグ近傍部分24と一体に形成される。第2レグ近傍部分24と第2レグ遠隔部分25とは、第2レグテーパー部分26と第2レグ遠隔部分25とを溶接することで接続される。なお、第2レグテーパー部分26と第2レグ遠隔部分25とは、第2斜めブレース20の外側から片面溶接される。また、図4に示すように、第2レグテーパー部分26の外側面と第2レグ遠隔部分25の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第2レグ近傍部分24の板厚と第2レグ遠隔部分25の板厚との差が小さい場合、第2レグ近傍部分24と第2レグ遠隔部分25とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部を第2レグテーパー部分26としてもよい。
上述のように、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との接続部に十分な強度を確保する。このとき、図6に示すように、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点には、両側開先又はK形開先Kが設けられている。
また、図2に示すように、第1斜めブレース10の第1近傍部分11の外径は、第2斜めブレース20の第2近傍部分21の外径よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、第2近傍部分21を第1近傍部分11の側面に合わせた時、図7に示すように、第1近傍部分11の軸方向から見て、第2斜めブレース20の径方向(すなわち、紙面上下方向)の端部が、第1近傍部分11の径方向の端部よりも、第1近傍部分11の軸中心に近い側に位置することとなる。
すると、第2斜めブレース20の軸方向及び第1近傍部分11の軸方向の両方に直交する方向において、第2斜めブレース20の径方向の端部と、第1近傍部分11の外周面とのなす角度が、交点における第2斜めブレース20の外径と第1近傍部分11の外径が等しい場合よりも直角に近い状態となる。このような態様とすることで、第2斜めブレース20の端部に両側開先又はK形開先Kを設け易くする。
台30は、図1に示すように、洋上風車200が設置される。且つ、台30は、レグ40、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20に支持される。台30は、海洋構造物として用いられる公知のジャケット構造体における、いわゆるトランジションピースである。
レグ40は、洋上風車用ジャケット構造物100において複数設けられる。レグ40には、例えば、鋼管が好適に用いられる。レグ40には、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20が接続される。この時、第1斜めブレース10とレグ40との交点及び第2斜めブレース20とレグ40との交点は、両面溶接される。
本実施形態において、レグ40の個数は4である。レグ40は、図5に示すように、拡径部41と、直管部42と、傾斜部43と、を含む。
拡径部41は、レグ40の円筒状部分であって、レグ40と第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20との交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、レグ40の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は任意に設定可能である。例えば、前記所定範囲の寸法は、拡径部41に接続される第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の数に合わせて適宜決定される。前記所定範囲の寸法は、例えば、拡径部41の外径の3~4倍程度であることが好ましい。
直管部42は、レグ40の円筒状部分であって、拡径部41より交点から遠い円筒状部分である。
拡径部41及び直管部42のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、拡径部41の外周面は、直管部42の外周面よりも径方向の外側に位置する。つまり、拡径部41の外径は直管部42の外径よりも大きい。
また、拡径部41の内径は、少なくとも直管部42の内径以下である。拡径部41の内周面は、直管部42の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、レグ40の径方向において、拡径部41の内周面が、直管部42の内周面よりも内側に位置せず、且つ、直管部42の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、拡径部41の内径が直管部42の内径と等しいことを意味する。拡径部41の内周面は、直管部42の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
上述の関係を有することにより、レグ40の長手方向の軸と直交する平面に拡径部41を投影した際の正射影は、平面に直管部42を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図3に示すように、レグ40の軸方向から見て、直管部42の断面は、拡径部41の断面の内部に位置する。このため、レグ40の長手方向の軸と直交する平面における拡径部41の断面積は、直管部42の断面積よりも大きい。また、拡径部41の板厚は、直管部42の板厚よりも大きい。
このような形状とすることで、拡径部41に十分な強度を確保しつつ、レグ40全体の重量が必要以上に増加することを防ぐ。また、拡径部41の外径を大きくすることで、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の両面溶接を容易にし(後述する)、疲労強度を向上する。
また、上述のような形状とすることで、レグ40の外周面において、拡径部41が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、レグ40の外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。これに対し、洋上風車に必要とされる耐用年数(例えば、25年)は、ガスプラント等に必要とされる耐用年数(例えば、50年)よりも短い。よって、上述のような防錆用の構成を必要とせず、防錆塗装等によって対応可能である。また、洋上風車用ジャケット構造物100は、厳しい疲労環境下に置かれる。このため、防錆性能よりも構造物としての疲労強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物100に用いることで、洋上風車用ジャケット構造物100の強度向上に寄与する。
傾斜部43は、図5に示すように、拡径部41の外側面と直管部42の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。傾斜部43は、拡径部41と直管部42との間を連続的に、拡径部41と直管部42とを接続する。
本実施形態において、傾斜部43は、拡径部41と一体に形成される。拡径部41と直管部42とは、傾斜部43と直管部42とを溶接することで接続される。なお、傾斜部43と直管部42とは、レグ40の外側から片面溶接される。また、図4に示すように、傾斜部43の外側面と直管部42の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。拡径部41の板厚と直管部42の板厚との差が小さい場合、拡径部41と直管部42とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部を傾斜部43としてもよい。
上述のように、第1斜めブレース10とレグ40との交点及び第2斜めブレース20とレグ40との交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20とレグ40との接続部に十分な疲労強度を確保する。このとき、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20とレグ40との交点には、両側開先又はK形開先Kが設けられている。
また、レグ40の拡径部41の外径は、第1斜めブレース10の第1レグ近傍部分14及び第2斜めブレース20の第2レグ近傍部分24の外径よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、第1レグ近傍部分14又は第2レグ近傍部分24をレグ40の側面に合わせた時、拡径部41の軸方向から見て、第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の径方向の端部が、レグ40の径方向の端部よりも、レグ40の軸中心に近い側に位置することとなる。
すると、第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の軸方向及び拡径部41の軸方向の両方に直交する方向において、第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の径方向の端部と、拡径部41の外周面とのなす角度が、交点における第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の外径と拡径部41の外径が等しい場合よりも直角に近い状態となる。このような態様とすることで、第1斜めブレース10又は第2斜めブレース20の端部に両側開先又はK形開先Kを設け易くする。
スカートスリーブ50は、レグ40の下端に設けられ、レグ40と杭Lとを接続するために用いられる部位である。これにより、洋上風車用ジャケット構造物100を、海底等の地盤に打設された杭Lを介して洋上に設置する。
上記各構成により、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100を構成する。
(洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法について)
次に、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法について説明する。
以下において、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の円筒状部分であって、一方と他方との交点を含む所定範囲内の円筒状部分をブレース近傍部分と呼称する。つまり、第1近傍部分11及び第2近傍部分21を区別しない場合に、ブレース近傍部分と呼称する。
第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の円筒状部分であって、一方と他方との交点からブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分をブレース遠隔部分と呼称する。つまり、第1遠隔部分12及び第2遠隔部分22を区別しない場合に、ブレース遠隔部分と呼称する。
第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の円筒状部分であって、一方と複数のレグ40の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を、レグ近傍部分と呼称する。つまり、第1レグ近傍部分14及び第2レグ近傍部分24を区別しない場合に、レグ近傍部分と呼称する。
第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の円筒状部分であって、一方と複数のレグ40の1つとの交点からレグ近傍部分より遠い円筒状部分を、レグ遠隔部分と呼称する。つまり、第1レグ遠隔部分15及び第2レグ遠隔部分25を区別しない場合に、レグ遠隔部分と呼称する。
本実施形態に係る溶接方法は、両面溶接工程と、片面溶接工程と、を備える。
両面溶接工程では、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点を両面溶接する。また、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方とレグ40の1つとの交点を両面溶接する。
片面溶接工程は、両面溶接工程の後に行う。片面溶接工程は、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間を片面溶接する。また、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を片面溶接する。
上記工程により、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100を構成する。
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100によれば、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との接続部に十分な疲労強度を確保することができる。
また、交点には、K形開先Kが設けられている。これにより、両面溶接を行うことが可能となる。よって、交点に十分な疲労強度を担保することができる。
また、第1近傍部分11の外径は、第1遠隔部分12の外径よりも大きく、第1近傍部分11の内径は、第1遠隔部分12の内径以下である。よって、第1近傍部分11の板厚は、第1遠隔部分12よりも大きくなる。これにより、第1斜めブレース10における交点の強度を確保することができる。また、第1遠隔部分12の板厚を第1近傍部分11よりも小さくすることで、第1近傍部分11に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース10全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1斜めブレース10の外周面において、第1近傍部分11が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第1斜めブレース10の外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。これに対し、洋上風車に必要とされる耐用年数(例えば、25年)は、ガスプラント等に必要とされる耐用年数(例えば、50年)よりも短い。よって、上述のような防錆用の構成を必要とせず、防錆塗装等によって対応可能である。また、洋上風車用ジャケット構造物100は、厳しい疲労環境下に置かれる。このため、防錆性能よりも疲労強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物100に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1近傍部分11の外径を第2斜めブレース20の外径よりも大きくすることができる。ここで、第1近傍部分11の外径と第2斜めブレース20の外径とが等しい場合と、第1近傍部分11の外径が第2斜めブレース20の外径よりも大きい場合とについて、以下比較する。すなわち、第1近傍部分11の外周面と第2斜めブレース20の端部との接続部について比較する。
第1近傍部分11の外径と第2斜めブレース20の外径とが等しい場合、接続部を第1近傍部分11の軸方向から見た時、第1近傍部分11の径方向の端部と、第2斜めブレース20の径方向の端部とは一致する。これに対し、第1近傍部分11の外径が第2斜めブレース20の外径よりも大きい場合、接続部を第1近傍部分11の軸方向から見た時、第2斜めブレース20の径方向の端部が、第1近傍部分11の径方向の端部よりも、第1近傍部分11の軸中心に近い側に位置することとなる。
すると、第1近傍部分11の軸方向から接続部を見た時、第2斜めブレース20の径方向の端部と、第1近傍部分11の外周面とのなす角度が、交点における第2斜めブレース20の外径と第1近傍部分11の外径が等しい場合よりも直角に近い状態となる。よって、第2斜めブレース20の外径と第1近傍部分11の外径が等しい場合と比較して、第2斜めブレース20の端部に両側開先又はK形開先Kを設け易くなる。よって、より容易に第2斜めブレース20を第1近傍部分11に両面溶接することができ、更に溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、第1近傍部分11の外周面は、第1遠隔部分12の外周面よりも径方向の外側に位置し、第1近傍部分11の内周面は、第1遠隔部分12の内周面と面一である、又は、第1遠隔部分12の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、第1近傍部分11の外径は第1遠隔部分12の外径よりも大きい。また、第1近傍部分11の内径は、第1遠隔部分12の内径と等しい、又は第1遠隔部分12の内径より小さい。
よって、第1近傍部分11の板厚は、第1遠隔部分12よりも大きくなる。これにより、第1近傍部分11に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース10全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第1近傍部分11の外径を大きくすることで、上述のように第2斜めブレース20の両面溶接を可能にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面に第1近傍部分11を投影した際の正射影は、前記平面に第1遠隔部分12を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第1斜めブレース10の軸方向から見て、第1遠隔部分12の断面は、第1近傍部分11の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレース10の長手方向の軸と直交する平面における第1近傍部分11の断面積は、第1遠隔部分12の断面積よりも大きい。また、第1近傍部分11の板厚は、第1遠隔部分12の板厚よりも大きい。よって、上述のように第1近傍部分11に十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース10全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第1近傍部分11の外径を大きくすることで、上述のように第2斜めブレース20の両面溶接を容易にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、第1近傍部分11の外側面と第1遠隔部分12の外側面との間に設けられる第1テーパー部分13を備える。これにより、第1近傍部分11と第1遠隔部分12との間で連続的に断面を変化させて、第1近傍部分11と第1遠隔部分12とを接続することができる。よって、第1近傍部分11と第1遠隔部分12との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12とは、第1斜めブレース10の外側から片面溶接される。ここで、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12との境目は、第1斜めブレース10の外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第1斜めブレース10の外側から片面溶接することで、ルート部分を第1斜めブレース10の内側に配置することができる。したがって、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、第1テーパー部分13の外側面と第1遠隔部分12の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。これにより、第1テーパー部分13と第1遠隔部分12との境目である応力集中部における溶接の品質を担保し、前記境目の強度を向上することができる。
また、第2近傍部分21の外径は、第2遠隔部分22の外径以上であり、第2近傍部分21の内径は、第2遠隔部分22の内径以下である。よって、第2近傍部分21の板厚は、少なくとも第2遠隔部分22と同じか、第2遠隔部分22よりも大きくなる。これにより、第2斜めブレース20における交点の強度を確保することができる。また、第2近傍部分21の板厚を大きくした場合は、第1近傍部分11との交点において第2近傍部分21を容易に両面溶接することができる。これにより疲労強度を向上することができる。
また、第2遠隔部分22の板厚を第2近傍部分21よりも小さくすることで、第2近傍部分21に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース20全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第2斜めブレース20の外周面において、第2近傍部分21が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第2斜めブレース20の外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。上述のように、洋上風車用ジャケット構造物100は、防錆性能よりも疲労強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物100に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、第2近傍部分21の外周面は、第2遠隔部分22の外周面と面一である、又は、第2遠隔部分22の外周面よりも径方向の外側に位置し、第2近傍部分21の内周面は、第2遠隔部分22の内周面と面一である、又は、第2遠隔部分22の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、第2近傍部分21の外径は第2遠隔部分22の外径と等しい、又は第2遠隔部分22の外径よりも大きい。また、第2近傍部分21の内径は、第2遠隔部分22の内径と等しい、又は第2遠隔部分22の内径より小さい。
よって、第2近傍部分21の板厚は、少なくとも第2遠隔部分22の板厚以上になる。よって、第2近傍部分21に十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース20全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第2近傍部分21の板厚を大きくすることで、上述のように第1斜めブレース10との両面溶接を容易にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面に第2近傍部分21を投影した際の正射影は、前記平面に第2遠隔部分22を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第2斜めブレース20の軸方向から見て、第2遠隔部分22の断面は、第2近傍部分21の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレース20の長手方向の軸と直交する平面における第2近傍部分21の断面積は、第2遠隔部分22の断面積よりも大きい。また、第2近傍部分21の板厚は、第2遠隔部分22の板厚よりも大きい。よって、上述のように第2近傍部分21に十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース20全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、第2近傍部分21の板厚を大きくすることで、上述のように第1斜めブレース10との両面溶接を可能にすることができる。更に、溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、第2近傍部分21の外側面と第2遠隔部分22の外側面との間に設けられる第2テーパー部分23を備える。これにより、第2近傍部分21と第2遠隔部分22との間を連続的に変化させることで第2近傍部分21と第2遠隔部分22とを接続することができる。よって、第2近傍部分21と第2遠隔部分22との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22とは、第2斜めブレース20の外側から片面溶接される。ここで、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22との境目は、第2斜めブレース20の外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレース20の外側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレース20の内側に配置することができる。したがって、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、第2テーパー部分23の外側面と第2遠隔部分22の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。これにより、第2テーパー部分23と第2遠隔部分22との境目である応力集中部における溶接の品質を担保することができる。よって、前記応力集中部の強度を向上することができる。
また、第2斜めブレース20の備える2つの円筒状部材のそれぞれは、交点において、第1斜めブレース10に両面溶接により接合される。これにより、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20とによってX字状の構造を形成することができる。これにより、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20とによって、洋上風車用ジャケット構造物100を確実に補強する構造とすることができる。
また、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方と、レグ40のうちの1つと、の交点は、両面溶接される。これにより、レグ40と第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20との接続部において十分な溶接強度を確保することができる。よって、洋上風車用ジャケット構造物100の疲労強度を向上することができる。
また、レグ近傍部分の外径は、レグ遠隔部分の外径よりも大きく、レグ近傍部分の内径は、レグ遠隔部分の内径以下である。よって、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方とレグ40の1つとの交点の強度を確保することができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、レグ40の1つとの交点においてレグ近傍部分を容易に両面溶接することができる。また、溶接強度を向上することができる。
また、レグ遠隔部分の板厚をレグ近傍部分よりも小さくすることで、レグ近傍部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
また、上述のような形状とすることで、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の外周面において、レグ近傍部分が径方向の外側に突出したような形状となる。このような形状とすると、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の外周面に、公知の洋上ジャケット構造物に用いられる防錆用の構成(例えば、ステンレス板)を設けることが難しくなる。上述のように、洋上風車用ジャケット構造物100は、防錆性能よりも構造物としての強度が優先される。このため、上記構造を洋上風車用ジャケット構造物100に用いることで、特に顕著な作用効果をもたらすことができる。
また、レグ近傍部分の外周面は、レグ遠隔部分の外周面よりも径方向の外側に位置し、レグ近傍部分の内周面は、レグ遠隔部分の内周面と面一である、又は、レグ遠隔部分の内周面よりも径方向の内側に位置する。つまり、レグ近傍部分の外径はレグ遠隔部分の外径よりも大きい。また、レグ近傍部分の内径は、レグ遠隔部分の内径と等しい、又はレグ遠隔部分の内径より小さい。
よって、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分よりも大きくなる。よって、レグ近傍部分に十分な強度を確保しつつ、レグ40全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、レグ40の1つへの両面溶接を容易にし、更に溶接強度を向上することができる。
また、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の長手方向の軸と直交する平面にレグ近傍部分を投影した際の正射影は、前記平面にレグ遠隔部分を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の軸方向から見て、レグ遠隔部分の断面は、レグ近傍部分の断面の内部に位置する。このため、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の長手方向の軸と直交する平面におけるレグ近傍部分の断面積は、レグ遠隔部分の断面積よりも大きい。また、レグ近傍部分の板厚は、レグ遠隔部分の板厚よりも大きい。よって、上述のようにレグ近傍部分に十分な強度を確保しつつ、レグ40全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。また、レグ近傍部分の板厚を大きくすることで、上述のようにレグ40の1つへの両面溶接を容易にすることができる。
また、レグ近傍部分の外側面とレグ遠隔部分の外側面との間に設けられるレグテーパー部分を備える。これにより、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を連続的に変化させることで、レグ近傍部分とレグ遠隔部分とを接続することができる。よって、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
また、レグテーパー部分とレグ遠隔部分とは、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の外側から片面溶接される。ここで、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目は、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の外側面において応力集中が発生しやすい。これに対し、レグテーパー部分を第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方の外側から片側溶接することで、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目である応力集中部における溶接品質を高くすることができる。よって、前記境目である応力集中部における疲労寿命の低下を抑えることができる。
また、レグテーパー部分の外側面とレグ遠隔部分の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。これにより、レグテーパー部分とレグ遠隔部分との境目における溶接の品質を担保し、前記境目の強度を向上することができる。
また、両面溶接工程の後に片面溶接工程を行う。ここで、第1斜めブレース10が一体の円筒状の部材である場合に、第1斜めブレース10の両端部をレグ40に両面溶接することは、溶接作業後に第1斜めブレース10の内部に作業者が取り残されることとなり、不可能である。第2斜めブレース20の備える円筒状部材が一体である場合に、片側の端部とレグ40とを両面溶接し、且つ、反対側の端部と第1斜めブレース10とを両面溶接しようとした場合も同様である。
これに対し、まず、両面溶接工程において、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点と、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方とレグ40の1つとの交点と、を予め両面溶接する。その後に、片面溶接工程において、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を片面溶接する。これにより、作業者が内部に取り残されることを避けつつ、第1斜めブレース10と第2斜めブレース20との交点と、第1斜めブレース10及び第2斜めブレース20の一方とレグ40の1つとの交点とを両面溶接することができる。よって、両面溶接されたそれぞれの交点の溶接強度を確保することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1斜めブレース10、第2斜めブレース20及びレグ40は円筒状であるとして説明したがこれに限らない。例えば、角筒状であってもよい。
また、両面溶接に両側開先又はK形開先Kを設けるとして説明したが、例えば、当該部位にX字開先を用いてもよい。
また、レグ40と杭Lとは、スカートスリーブ50によらずに接続されてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。