以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面においては、発明を理解し易いように、実際の寸法、形状、それらの比率とは異なる場合がある。
1.構成
1.1.荷物搬送システム1の構成
図1は、実施形態に係る荷物搬送システム1の一例を示す図である。荷物搬送システム1は、宅配ボックス10に預けられた荷物を搬送ロボット20が搬送先に搬送して置き配する自動搬送サービスを提供する。ここでいう「置き配」とは、玄関先等の予め決められた場所に荷物を運び置くことで配送が完了することをいう。荷物搬送システム1は、宅配ボックス10と、搬送ロボット20と、サーバ装置30と、ユーザ端末40とを備える。これらの装置は、ネットワーク50を介して接続されている。ネットワーク50は、例えば無線LAN(Local Area Network)とインターネットとを含む。
宅配ボックス10は、例えば集合住宅の出入口付近に設置される電気式の宅配ボックスである。ただし、宅配ボックス10の設置場所は集合住宅に限定されず、オフィスビルの出入口付近であってもよいし、コンビニエンスストアやショッピングセンター等の店舗の前にある屋外の場所であってもよい。
搬送ロボット20は、宅配ボックス10に収容された荷物を搬送先に置き配する自律走行型のロボットである。搬送ロボット20は、走行中に荷物を保持する第1形態と、宅配ボックス10から荷物を受け取る第2形態と、荷物を搬送先に降ろす第3形態とを有する。
サーバ装置30は、例えば自動搬送サービスを提供する事業者により運用及び管理される。サーバ装置30は、宅配ボックス10及び搬送ロボット20の動作を遠隔制御する。サーバ装置30は、本発明に係る「情報処理装置」の一例である。
ユーザ端末40は、受取人により使用され、各種情報の入出力を行う。ユーザ端末40は、例えばスマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、ウェアラブル端末、及びパーソナルコンピュータを含む。
1.2.宅配ボックス10の構成
図2は、宅配ボックス10の構成の一例を示す図である。宅配ボックス10は、制御部11と、通信部12と、入出力部13と、複数の可動棚14と、搬送台15と、センサ部16とを備える。宅配ボックス10の各部は、有線又は無線で接続されている。
制御部11は、宅配ボックス10の各部を制御する。制御部11の機能は、例えば回路等のハードウェア資源により実現されてもよいし、ソフトウェア資源とハードウェア資源とが協働することにより実現されてもよい。例えば制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリとを有し、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより制御部11の機能が実現される。通信部12は、ネットワーク50を介して接続されたサーバ装置30と通信を行い、サーバ装置30から各種の指示を受信する。通信部12は、例えばLANアダプタを含む。入出力部13は、各種の情報の入出力に用いられる。例えば入出力部13は、タッチパネルと読取装置とを含む。読取装置は、配送伝票に付されたバーコード等のコードを読み取る。
可動棚14は、荷物を収容する移動式の棚である。搬送台15は、可動棚14に収容された荷物を搬送ロボット20が受け取る場所に搬送する。センサ部16は、宅配ボックス10の制御に用いられる各種のセンサを含む。センサ部16には、可動棚14の位置を検知して位置情報を出力する位置センサが含まれる。位置センサは、本発明に係る「検知部」の一例である。
図3は、宅配ボックス10の外観の一例を示す正面図である。図4は、宅配ボックス10の内部構成の一例を示す正面図である。図5は、宅配ボックス10を図4中の矢視A-A方向から見た断面図である。図6は、宅配ボックス10を図4中の矢視B-B方向から見た断面図である。図4では、筐体100の前面を取り外した状態が示されている。なお、以下の説明では、宅配ボックス10については、人又は搬送ロボット20が荷物の出し入れをする側を前方という。宅配ボックス10を前方から見た場合の右側を右方といい、左側を左方という。前後方向と左右方向とに直交する方向を上下方向という。図3~図6中のX軸方向は右方、Z軸方向は上方、Y軸方向は後方を示す。また、宅配ボックス10の左右方向の位置は、左端から順にX1~X6という位置情報により示される。宅配ボックス10の上下方向の位置は、上端から順にZ1~Z5という位置情報により示される。
宅配ボックス10の筐体100は、略直方体形状の箱体であり、制御部11と、通信部12と、入出力部13と、複数の可動棚14と、搬送台15と、センサ部16とを収容する。筐体100は、前面と、後面と、右側面と、左側面と、上面と、底面とにより構成される。図4~図6に示される例では、筐体100には5つの可動棚14が収容される。これらの可動棚14は、左右方向に並べて配置される。筐体100は、6つ分の可動棚14を収容し得る左右方向の長さを有する。したがって、筐体100内には、5つの可動棚14のうちいずれか1つの可動棚14と隣り合う他の可動棚14との間に1つ分の可動棚14が収まる大きさの上下方向に延びる空間が形成される。この空間は、搬送台15が上下方向に移動する垂直通路107となる。この垂直通路107は、本発明に係る「第2通路」の一例である。
図3に示されるように、筐体100の前面には、荷物の出し入れに用いられる複数の開口部が形成される。複数の開口部には、搬送ロボット20が荷物を受け取る複数の第1開口部101と、人が荷物を出し入れする複数の第2開口部102とが含まれる。複数の開口部はマトリックス状に配置される。このマトリックスを構成する複数の列は、それぞれ、5つの可動棚14及び垂直通路107に対向し左右方向に並ぶ複数の領域である。
図3に示される例では、筐体100は3つの第1開口部101を有する。これらの第1開口部101は、搬送ロボット20に荷物を受渡し可能な高さの位置に1列おきに形成される。各第1開口部101には、第1開口部101を開閉するシャッター103が設けられる。シャッター103は、駆動装置(図示せず)により開閉される。シャッター103は、本発明に係る「第1開閉体」の一例である。各第2開口部102には、第2開口部102を開閉する扉104が設けられる。扉104は、電気錠(図示せぬ)により解錠又は施錠される。扉104は、本発明に係る「第2開閉体」の一例である。また、筐体100の前面には入出力部13が設けられる。
図4及び図5に示されるように、筐体100の底面には、左右方向に延びる2本の水平レール105が設けられる。筐体100の上面において底面と対向する側にも、左右方向に延びる2本の水平レール105が設けられる。また、筐体100の底面上には、2本の水平レール105の間に、左右方向に延びる2本の水平レール106が設けられる。
図4及び図5に示されるように、各可動棚14は、5つの棚板141と、天板142と、底板143と、4つの支柱144と、8つの車輪145と、4本の垂直レール146とを有する。5つの棚板141は、上下方向に所定の間隔で配置される。天板142は、5つの棚板141の上方に配置される。底板143は、5つの棚板141の下方に配置される。棚板141、天板142、及び底板143はいずれも矩形形状を有する。4つの支柱144は、5つの棚板141、天板142、及び底板143の角部を支持する。
上下に隣り合う棚板141の間には、荷物を収容する収容空間が形成される。各可動棚14には、5つの収容空間が上下方向に並べて形成される。また、各棚板141には、ベルトコンベア147が設けられる。このベルトコンベア147は、収容空間に収容された荷物を搬送台15に送り出す機構として機能する。ベルトコンベア147は回転し、収容空間に収容された荷物を右側又は左側に移動させる。底板143と筐体100の底面との間には、搬送台15が収まる大きさの左右方向に延びる間隙がある。この間隙は、搬送台15が左右方向に移動する水平通路108となる。この水平通路108は、収容空間の位置より下方に形成される。この水平通路108は、本発明に係る「第1通路」の一例である。
8つの車輪145のうち4つの車輪145は、底板143において筐体100の底面の水平レール105と対向する位置に回転可能に設けられる。残りの4つの車輪145は、天板142において筐体100の上面の水平レール105と対向する位置に回転可能に設けられる。これらの車輪145は、可動棚14用の駆動装置(図示せず)により回転される。車輪145が水平レール105上を転動することにより、可動棚14は水平レール105に沿って左右方向に移動する。この左右方向は、略水平方向であり、本発明に係る「第1方向」の一例である。ここでいう「略水平」とは、完全に水平でなくてもよく、宅配ボックス10の設置面に沿った方向であればよい。各収容空間は第2開口部102を介して外部に連通する。また、垂直通路107は、可動棚14の移動によりいずれかの第1開口部101を介して外部に連通する。
4本の垂直レール146は可動棚14の左右側面に2本ずつ設けられる。各垂直レール146は上下方向に延びる。垂直レール146は、例えばラックギアである。
図4及び図6に示されるように、搬送台15は、本体部151と、4つの車輪152と、4つのアーム153と、4つの歯車154と、ベルトコンベア155とを有する。搬送台15は、垂直通路107及び水平通路108に収まる上下方向、左右方向、及び前後方向の長さを有する。本体部151は矩形形状を有する。4つの車輪152は、本体部151の底面において筐体100の底面の水平レール106と対向する位置に回転可能に設けられる。車輪152は、搬送台15の走行用の駆動装置(図示せず)により回転される。車輪152が水平レール106上を転動することにより、搬送台15は水平通路108を通って左右方向に移動する。4つのアーム153は、本体部151に固定され、4つの車輪152をそれぞれ支持する。アーム153は伸縮する。アーム153が伸張することにより、搬送台15は上方向に所定の距離だけ移動する。反対に、アーム153が収縮することにより、搬送台15は下方向に所定の距離だけ移動する。
4つの歯車154は、垂直レール146と協働して搬送台15を昇降させる。図4に示されるように、これらの歯車154は、搬送台15が垂直通路107に位置するときに、本体部151から垂直レール146側に突出するように設けられる。アーム153が伸張して搬送台15が所定の距離だけ上方向に移動すると、歯車154は垂直レール146と噛み合う。歯車154は、搬送台15の昇降用の駆動装置(図示せず)により回転される。歯車154が垂直レール146と噛み合って回転することにより、搬送台15は垂直通路107を通って上下方向に移動する。この上下方向は、略鉛直方向であり、本発明に係る「第2方向」の一例である。ここでいう「略鉛直」とは、完全に鉛直でなくてもよく、収容空間の並び方向に沿った方向であればよい。
ベルトコンベア155は、第1開口部101を介して搬送ロボット20に荷物を送り出す機構として機能する。ベルトコンベア155は本体部151に設けられる。ベルトコンベア155は回転し、ベルトコンベア155上の荷物を後ろ側から前側に移動させる。
1.3.搬送ロボット20の構成
図7は、搬送ロボット20の後方斜視図である。なお、図7中のY軸方向は前方、-Y軸方向は後方、X軸方向は右方、-X軸方向は左方、Z軸方向は上方、-Z軸方向は下方を示す。
搬送ロボット20は、筐体201を有する。筐体201は、搬送ロボット20の前後左右及び上方を覆う。筐体201の下方は開口する。筐体201の後端面には、開口部202が形成される。開口部202には、開口部202を開閉するシャッター203が設けられる。
図8は、搬送ロボット20の構成の一例を示す図である。搬送ロボット20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、電源部24と、センサ部25と、走行部26と、積載部27と、駆動部28とを備える。搬送ロボット20の各部は、有線又は無線で接続されている。
制御部21は、搬送ロボット20の各部を制御する。制御部21は、例えばCPU等のプロセッサとRAM(Random Access Memory)等のメインメモリとを含む。制御部21の機能は、例えばプロセッサが記憶部22に記憶されたプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより実現される。記憶部22は、制御部21の機能を実現するためのプログラムと、地図データを含む各種のデータとを記憶する。地図データは、LiDAR(Light Detection and Ranging)技術を利用して予め作成された集合住宅の3次元の地図を示す。記憶部22は、例えばROM(Read Only Memory)を含む。通信部23は、ネットワーク50を介して接続されたサーバ装置30と無線で通信を行い、サーバ装置30から各種の指示を受信する。通信部23は、例えば無線LANアダプタを含む。電源部24は、搬送ロボット20の各部に電力を供給する。電源部24は、例えば電池と電源回路を含む。
センサ部25は、搬送ロボット20の制御に用いられる各種のセンサを含む。センサ部25は、例えばLiDARセンサと、カメラと、荷物センサとを含む。LiDARセンサは、例えば搬送ロボット20の周囲の空間を認識するとともに、搬送ロボット20の現在位置を測定するのに用いられる。カメラは、例えば搬送ロボット20の周囲を撮影し、撮影した画像に基づいて対象物までの距離を測定するのに用いられる。荷物センサは、積載部27への荷物の積載を検知する。
走行部26は、制御部21の制御の下、現在位置から目的地に移動する。この現在位置は、例えばセンサ部25に含まれるLiDARセンサを用いて測定される。目的地は、サーバ装置30から指示される。目的地には、例えば宅配ボックス10及び荷物の搬送先が含まれる。積載部27は、荷物を載せる。積載部27は、制御部21の制御の下、走行部26の走行中に荷物を保持する第1位置と、宅配ボックス10から荷物を受け取る第2位置と、荷物を搬送先に降ろす第3位置とに移動する。駆動部28は、積載部27を第1位置、第2位置、及び第3位置のいずれかに移動させる。
図9は、搬送ロボット20の内部構成の一例を示す前方斜視図である。図9では、筐体201を取り外した状態が示されている。なお、図9では、制御部21、記憶部22、通信部23、電源部24、及びセンサ部25の図示が省略されている。走行部26は、無限軌道方式で構成されている。走行部26は、基台261と、一対の前輪262と、一対の後輪263と、モータ264と、ベルト265とを有する。一対の前輪262は、基台261の前方の左右両端部に回転可能に設けられる。一対の後輪263は、基台261の後方の左右両端部に回転可能に設けられる。後輪263は、第1位置、第2位置、及び第3位置の間を移動する積載部27と接触しない大きさを有する。後輪263の外径は前輪262の外径より小さい。モータ264は、前輪262を回転させる。なお、モータ264は、前輪262と後輪263を両方とも回転させてもよい。ベルト265は、無端ベルトであり、右側の前輪262と右側の後輪263、左側の前輪262と左側の後輪263のそれぞれに掛け渡たされる。上述したように後輪263の外径は前輪262の外径より小さいため、ベルト265の上面は側方から見たときに前輪262及び後輪263が接する走行面Gに対して傾斜した状態になる。走行面Gは、例えば集合住宅内の通路の路面である。前輪262が回転されると、この回転に伴ってベルト265が回転移動する。ベルト265の回転に伴って後輪263も回転する。
なお、搬送ロボット20については、同一の側面側の前輪262と後輪263の並び方向を前後方向という。一対の前輪262又は後輪263の並び方向を左右方向という。前後方向及び左右方向に直交する方向を上下方向という。
積載部27は、枠体271と、ベルトコンベア272とを有する。枠体271は、後方が開口する略直方体形状を有する。枠体271は、前面と、上面と、左側面と、右側面と、底面とにより構成される。枠体271の後端面には開口部273が形成される。ベルトコンベア272は、枠体271の底面上に設けられる。ベルトコンベア272は、回転してベルトコンベア272上に置かれた荷物を前後方向に移動させる。
駆動部28は、ボールねじ281と、モータ282と、二軸のガイドレール283と、可動部284と、連結軸285と、一対のアーム286とを有する。ボールねじ281は、基台261の中央部にねじ軸方向が前後方向となるように設けられる。モータ282は、ボールねじ281を回転させる。ガイドレール283は、前後方向に延び、可動部284を案内する。ガイドレール283は、前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜する。可動部284は、ボールねじ281の回転に伴ってガイドレール283に沿って前後方向に移動する。
連結軸285は、積載部27の前方側の端部を支持し、可動部284と積載部27とを連結する。連結軸285は棒形状を有する。連結軸285の一端は、枠体271の前面の上方中央部に固定される。連結軸285の他端は、可動部284により回転軸287を中心に回転可能に支持される。連結軸285は、可動部284の移動に伴って前後方向に移動する。また、連結軸285は、積載部27の後方への移動に伴って回転軸287を中心に図中の時計回りに回転する。連結軸285の回転により、積載部27は、走行面Gに対して底面が傾斜した姿勢になる。
一対のアーム286は、積載部27の後方側の左右側端部を回転可能に支持する。アーム286は棒形状を有する。アーム286の一端は、基台261の後方の側端部により回転軸288を中心に回転可能に支持される。アーム286の他端は、積載部27の左右側面の後上方の角部を回転軸289を中心に回転可能に支持する。アーム286は、積載部27の移動に伴って回転軸288を中心に回転する。積載部27は、連結軸285及びアーム286により上端部が支持されているが、下端部は自由端になっている。
図10は、搬送ロボット20の第1形態の一例を示す図である。なお、図10中のY軸方向は前方、-Y軸方向は後方、Z軸方向は上方、-Z軸方向は下方を示す。図10においては搬送ロボット20の左側の構成のみが示されているが、右側も同様の構成になっている。第1形態において、可動部284はガイドレール283の前方側の一端に位置する。可動部284がガイドレール283の一端に位置する場合、積載部27は基台261上の第1位置にある。第1位置にある場合、積載部27は、連結軸285及びアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gと略平行になるように支持される。これにより、第1位置において、積載部27は荷物を略水平に保持することができる。なお、ここでいう「略平行」とは、完全に平行でなくてもよい。例えば積載部27は、荷物を保持することができる程度に走行面Gに対して傾斜していてもよい。
図11は、搬送ロボット20の第2形態の一例を示す図である。なお、図10と同様に、図11中のY軸方向は前方、-Y軸方向は後方、Z軸方向は上方、-Z軸方向は下方を示す。図11においては搬送ロボット20の左側の構成のみが示されているが、右側も同様の構成になっている。搬送ロボット20が第1形態から第2形態になる場合、モータ282はボールねじ281を回転させて、可動部284をガイドレール283に沿ってその前方側の一端から距離L1だけ後方に離隔した位置に移動させる。可動部284と枠体271とは連結軸285により連結されているため、可動部284が移動すると積載部27も距離L1だけ後方に移動する。これにより、積載部27は、基台261から後方に突出する第2位置に到達する。上述したように、ガイドレール283は前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜しているため、第2位置は第1位置よりも後下方にある。
積載部27が第2位置に移動すると、積載部27が第1位置にあるときの連結軸285を基準軸R1とすると、アーム286は回転軸288を中心に基準軸R1から図中の時計回りに角度θ1だけ回転する。アーム286の回転により、積載部27の底面がアーム286から後方に突出する。ここで、宅配ボックス10の第1開口部101は、搬送ロボット20が第1開口部101の前に移動して第2形態になったときに積載部27の開口部273と対向する位置に設けられている。したがって、搬送ロボット20が第1開口部101の前に移動して第2形態になると、積載部27は第1開口部101側に突出する。このとき、積載部27の底面は第1開口部101の下端に接触してもよいし、積載部27の底面の一部が第1開口部101に挿入されてもよい。或いは、積載部27の底面が第1開口部101の下端に接近してもよい。ここでいう「接近」とは、荷物を受け取ることが可能な位置まで近づくことをいう。積載部27の底面と第1開口部101の下端との間には間隙があってもよい。
また、第2位置にある場合、積載部27は、連結軸285とアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gと略平行になるように支持される。これにより、第2位置において、積載部27は荷物を略水平に保持することができる。なお、搬送ロボット20が第2形態から第1形態になる場合、駆動部28及び積載部27は、搬送ロボット20が第1形態から第2形態になる場合と反対の動きをする。
図12は、搬送ロボット20の第3形態の一例を示す図である。なお、図10と同様に、図12中のY軸方向は前方、-Y軸方向は後方、Z軸方向は上方、-Z軸方向は下方を示す。図12においては搬送ロボット20の左側の構成のみが示されているが、右側も同様の構成になっている。搬送ロボット20が第1形態から第3形態になる場合、モータ282はボールねじ281を回転させて、可動部284をガイドレール283に沿って後方側の他端に移動させる。可動部284と枠体271とは連結軸285により連結されているため、可動部284が移動すると積載部27も後方に移動する。これにより、積載部27は第2位置よりもさらに基台261から後方に突出する第3位置に到達する。上述したように、ガイドレール283は前方側の一端より後方側の他端が走行面Gに近づくように走行面Gに対して傾斜しているため、第3位置は第1位置及び第2位置よりも後下方にある。
積載部27が第3位置に移動すると、アーム286は回転軸288を中心に基準軸R1から図中の時計回りに角度θ2だけ回転する。この角度θ2は、角度θ1より大きい。この回転に伴って、連結軸285は、積載部27が第1位置にあるときのアーム286を基準軸R2とすると、回転軸287を中心に基準軸R2に対して図中の時計回りに角度θ3だけ回転する。第3位置にある場合、積載部27は、連結軸285とアーム286の長さ及び角度によりその底面が走行面Gに対して傾斜し、底面の後方側の端部が走行面Gに接する姿勢になるように支持される。これにより、第3位置において、積載部27は、傾斜して荷物を降ろすことができる。なお、搬送ロボット20が第3形態から第1形態になる場合、駆動部28及び積載部27は、搬送ロボット20が第1形態から第3形態になる場合と反対の動きをする。
1.4.サーバ装置30の構成
図13は、サーバ装置30の構成の一例を示す図である。サーバ装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33とを備える。サーバ装置30の各部は、バスを介して接続されている。制御部31は、サーバ装置30の各部を制御する。制御部31は、例えばCPU等のプロセッサとRAM等のメインメモリとを含む。記憶部32は、制御部31の機能を実現するためのプログラムと、管理テーブル321を含む各種のデータとを記憶する。管理テーブル321は、宅配ボックス10に収容された荷物を管理する情報である。記憶部32は、例えばROM、HHD(hard disk drive)、及びSSD(Solid State Drive)を含む。通信部33は、ネットワーク50を介して接続された宅配ボックス10及び搬送ロボット20と通信を行い、各種の指示を送信する。通信部33は、例えばネットワークアダプタを含む。
サーバ装置30は、決定部311と、更新部312と、通知部313と、開閉制御部314と、棚制御部315と、ロボット制御部316として機能する。これらの機能は、例えば制御部31のプロセッサが記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
決定部311は、複数の収容空間の中から荷物が収容される収容空間を決定する。更新部312は、新たな荷物が宅配ボックス10に収容されると、管理テーブル321を更新してこの荷物を管理する情報を管理テーブル321に格納する。通知部313は、新たな荷物が宅配ボックス10に収容されると、その荷物の受取人に荷物の到着を通知する。
開閉制御部314は、シャッター103又は扉104の開閉を制御する。例えば受取人により搬送ロボット20に荷物を搬送させる自動搬送要求が行われた場合、開閉制御部314は、搬送ロボット20がその荷物を受け取る第1開口部101のシャッター103を開くよう制御する。この自動搬送要求は、本発明の第1要求の一例である。一方、受取人により受取人自身が宅配ボックス10に荷物を受け取りに行く自己受け取り要求が行われた場合、開閉制御部314は、受取人がその荷物を受け取る第2開口部102の扉104を開くよう制御する。この自己受け取り要求は、本発明の第2要求の一例である。受取人により自己受け取り要求が行われた場合、開閉制御部314は、荷物に付された配送伝票番号が受取人により入力されたことを契機に扉104を開くよう制御してもよい。
棚制御部315は、可動棚14及び搬送台15の動作を制御する。例えば受取人から搬送ロボット20による荷物の自動搬送が要求された場合、棚制御部315は、この荷物の収容空間の隣に垂直通路107が形成されるよう可動棚14を移動させる。続いて、棚制御部315は、垂直通路107内の収容空間と隣り合う位置に搬送台15を移動させた後、収容空間から受け取った荷物が第1開口部101と対向する位置に搬送台15を移動させる。
ロボット制御部316は、搬送ロボット20の動作を制御する。例えば受取人により自動搬送要求が行われた場合、ロボット制御部316は、宅配ボックス10の第1開口部101から荷物を受け取ってその荷物の搬送先に置き配するよう搬送ロボット20を制御する。
図14は、管理テーブル321の一例を示す図である。管理テーブル321は、宅配ボックスIDと、配送伝票番号と、ユーザIDと、受取方法と、初期の収納位置情報と、第1開口部101の位置情報と、第2開口部102の位置情報とを格納する。宅配ボックスIDは、宅配ボックス10を一意に識別する情報である。配送伝票番号は、荷物を一意に識別する情報である。配送伝票番号は、配達業者により荷物に付される。ユーザIDは、受取人を一意に識別する情報である。ユーザIDは、自動搬送サービスを利用する前に予め行われる利用者登録において受取人に付与される。ユーザIDは、受取人の住居の部屋番号であってもよい。受取方法は、受取人が宅配ボックス10に収容された荷物を受け取る方法である。受取方法は、搬送ロボット20に荷物を搬送させる自動搬送と、受取人自身が宅配ボックス10に荷物を受け取りに行く自己受け取りの中から受取人により選択される。初期の収容位置情報は、荷物が収容された時点の収容空間の位置を示す情報である。第1開口部101の位置情報は、搬送ロボット20が荷物を受け取る第1開口部101の位置を示す情報である。第2開口部102の位置情報は、受取人が荷物を受け取る第2開口部102の位置を示す情報である。
2.動作
2.1.荷物を預ける際の動作
図15は、宅配ボックス10に荷物を預ける際の動作の一例を示すシーケンスチャートである。宅配ボックス10に荷物を預ける場合、配達員は宅配ボックス10の入出力部13を用いて配送情報を入力する。配送情報には、配送会社名、配送伝票番号、荷物のサイズ、受取人の住居の部屋番号、対面での受け取り希望の有無、及び配達時間帯を指定する時間指定情報が含まれる。配送伝票番号は、例えば配送伝票に付されたバーコードを入出力部13の読取装置で読み取ることにより入力される。配送情報が入力されると、ステップS101において宅配ボックス10の制御部11は、この配送情報と予め定められた宅配ボックス10の宅配ボックスIDとをサーバ装置30に送信する。
配送情報を受信すると、ステップS102においてサーバ装置30の決定部311は、荷物を収容する収容空間を決定する。例えば決定部311は、空いている収容空間のいずれかを決定する。収容空間の大きさが異なる場合、決定部311は、配送情報に含まれる荷物の大きさに基づいて、その荷物を収容し得る大きさの収容空間を決定してもよい。ステップS103においてサーバ装置30の開閉制御部314は、決定部311により決定された収容空間に対応する扉104の開放指示を宅配ボックス10に送信する。開放指示を受信すると、ステップS104において宅配ボックス10は、開放指示に従って扉104を解錠し開放させる。例えば図3に示される(X3、Z2)という位置にある収容空間が決定された場合、宅配ボックス10の制御部11は、電気錠(図示せず)の駆動を制御してこの位置にある扉104を解錠し開放させる。(X3、Z2)という位置にある扉104が開くと、配達員は第2開口部102を介して収容空間に荷物を入れて扉104を閉める。扉104が閉まると、電気錠(図示せず)により扉104が施錠される。
図15に戻り、ステップS105においてサーバ装置30の更新部312は、配送情報及びステップS102において決定された収容空間に基づいて、管理テーブル321を更新する。ここでは、配送情報に付された宅配ボックスIDが「1」であり、配送情報に含まれる配送伝票番号が「12345」、受取人の住居の部屋番号が「001」であるものとする。例えば図3に示される(X3、Z2)という位置にある収容空間に荷物が収容された場合、初期の収容位置情報は(X3、Z2)になる。また、(X3、Z2)という位置にある収容空間に収容された荷物は、可動棚14及び搬送台15の移動により、(X2、Z4)という位置にある第1開口部101から搬送ロボット20が受け取ることが可能であるため、第1開口部101の位置情報は(X2、Z4)になる。さらに、(X3、Z2)という位置にある収容空間に収容された荷物は、(X3、Z2)という位置にある第2開口部102に加えて、可動棚14の移動により(X2、Z2)という位置にある第2開口部102からも受け取ることが可能であるため、第2開口部102の位置情報は(X2、Z2)及び(X3、Z2)となる。この場合、図14に示されるように、宅配ボックスID「1」と、配送伝票番号「12345」と、ユーザID「001」と、初期の収容位置情報(X3、Z2)と、第1開口部101の位置情報(X2、Z4)と、第2開口部102の位置情報(X2、Z2)及び(X3、Z2)とが関連付けて管理テーブル321に格納される。
図15に戻り、ステップS106においてサーバ装置30の通知部313は、受取人のユーザ端末40に宅配ボックス10に荷物が到着したことを知らせる到着通知を送信する。この到着通知には、例えば荷物の配送伝票番号が含まれる。到着通知を受信すると、ステップS107においてユーザ端末40は、宅配ボックス10に荷物が到着したことを知らせる到着通知画面を表示する。この到着通知画面には、例えば荷物の配送伝票番号が含まれる。この到着通知画面は、荷物の受取方法を選択する操作を受け付ける。受取人は、ユーザ端末40に到着通知画面が表示されると、ユーザ端末40を用いて到着通知画面上で荷物の受取方法を選択する操作を行う。
2.2.受取人が自分で荷物を受け取りに行く場合の動作
図16は、受取人が宅配ボックス10に自分で荷物を受け取りに行く場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、受取人がユーザ端末40を用いて到着通知画面上で荷物の受取方法として自己受け取りを選択する操作を行ったことを契機に開始される。この操作が行われると、ステップS201においてユーザ端末40は、サーバ装置30に自己受け取り要求を送信する。この自己受け取り要求には、例えば配送伝票番号が含まれる。自己受け取り要求を受信すると、ステップS202においてサーバ装置30の更新部312は、自己受け取り要求に応じて管理テーブル321を更新する。例えば自己受け取り要求に含まれる配送伝票番号が「12345」である場合、管理テーブル321には、配送伝票番号「12345」と関連付けて「自己受け取り」という受取方法が格納される。
続いて、受取人は、宅配ボックス10の前に移動して、入出力部13を用いて識別情報を入力する操作を行う。この識別情報は、到着通知画面に含まれる配送伝票番号であってもよいし、部屋番号等のユーザIDであってもよい。この操作が行われると、ステップS203において宅配ボックス10の制御部11は、サーバ装置30にこの識別情報を送信する。ステップS204においてサーバ装置30の開閉制御部314は、宅配ボックス10から可動棚14の現在の位置情報を取得する。具体的には開閉制御部314は、宅配ボックス10に可動棚14の現在の位置情報の取得要求を送信する。宅配ボックス10の制御部11は、この取得要求に応じてセンサ部16の位置センサから出力された位置情報をサーバ装置30に送信する。開閉制御部314はこの位置情報を受信する。可動棚14の現在の位置情報を取得すると、ステップS205において開閉制御部314は、管理テーブル321と取得された位置情報とに基づいて、受取人が荷物を受け取る第2開口部102を選択する。
図17は、可動棚14の移動の一例を示す図である。図17では、図4と同様に、筐体100の前面を取り外した状態が示されている。ここでは、可動棚14が図17(a)に示される位置にあるときに、(X3、Z2)という位置にある収容空間に荷物が収容されたものとする。この荷物を受け取る場合、受取人により例えば「12345」という配送伝票番号が入力される。図14に示される例では、管理テーブル321には、この配送伝票番号と関連付けて(X2、Z2)、(X3、Z2)という2つの第2開口部102の位置情報が格納されている。この場合、(X2、Z2)という位置にある第2開口部102と、(X3、Z2)という位置にある第2開口部102とが選択の候補となる。可動棚14の位置情報により示される可動棚14の現在位置が図17(b)に示される位置である場合、荷物の収容空間は(X2、Z2)という位置にある。この場合、(X2、Z2)という位置にある第2開口部102がこの収容空間から荷物を出し入れし得る位置にあるため、2つの選択候補から(X2、Z2)という位置にある第2開口部102が選択される。
図16に戻り、ステップS206においてサーバ装置30の開閉制御部314は、選択された第2開口部102の扉104の開放指示を宅配ボックス10に送信する。この開放指示を受信すると、ステップS207において宅配ボックス10は、この開放指示に従って扉104を解錠し開放させる。例えば図17(b)に示される(X2、Z2)という位置にある第2開口部102が選択された場合、宅配ボックス10の制御部11は、電子錠(図示せず)の駆動を制御して、この位置にある扉104を解錠し開放させる。(X2、Z2)という位置にある扉104が開くと、受取人は第2開口部102を介して収容空間から荷物を取り出す。荷物を取り出すと受取人は扉104を閉める。扉104が閉まると、電気錠(図示せず)により扉104が施錠される。
2.3.搬送ロボット20が荷物を置き配する場合の動作
図18は、搬送ロボット20が荷物を置き配する場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、受取人がユーザ端末40を用いて到着通知画面上で荷物の受取方法として自動搬送を選択する操作を行ったことを契機に開始される。この操作が行われると、ステップS301においてユーザ端末40は、サーバ装置30に自動搬送要求を送信する。この自動搬送要求には、例えば荷物の配送伝票番号が含まれる。自動搬送要求を受信すると、ステップS302においてサーバ装置30の更新部312は、自動搬送要求に応じて管理テーブル321を更新する。例えば自動搬送要求に含まれる配送伝票番号が「12345」である場合、管理テーブル321には、図14に示されるように、配送伝票番号「12345」と関連付けて「自動搬送」という受取方法が格納される。
ステップS303においてサーバ装置30の棚制御部315は、管理テーブル321を参照して、搬送ロボット20が荷物を受け取る第1開口部101を特定する。ここでは、自動搬送要求に「12345」という配送伝票番号が含まれるものとする。図14に示される例では、管理テーブル321には、この配送伝票番号と関連付けて(X2、Z4)という第1開口部101の位置情報が格納されている。この場合、(X2、Z4)という位置にある第1開口部101が特定される。
ステップS304においてサーバ装置30の棚制御部315は、特定された第1開口部101に荷物を搬送するための可動棚14及び搬送台15の移動指示を宅配ボックス10に送信する。この移動指示には、(X3、Z2)という初期の収容位置情報と、(X2、Z4)という第1開口部101の位置情報とが含まれる。移動指示を受信すると、ステップS305において宅配ボックス10は、この移動指示に従ってまず可動棚14を移動させる。例えば宅配ボックス10の制御部11は、可動棚14用の駆動装置(図示せず)の駆動を制御して、荷物の収容空間の隣に垂直通路107となる空間が形成されるように可動棚14を移動させる。
図19及び図20は、可動棚14及び搬送台15の移動の一例を示す図である。図19及び図20では、図4と同様に、筐体100の前面を取り外した状態が示されている。ただし、図20(c)及び図20(d)は、宅配ボックス10を図20(b)中の矢視C-C方向から見た断面図である。なお、図19(a)に示される例では、図17に示される例と同様に、荷物が収容された時点で(X3、Z2)という位置にあった収容空間は、可動棚14の移動により(X2、Z2)に移動している。この収容空間の移動は、例えばセンサ部16の位置センサから出力された可動棚14の位置情報により認識される。可動棚14が図19(a)に示される位置にある場合、制御部11は、図19(b)に示されるように、左から2番目の可動棚14及び3番目の可動棚14を右側に移動させる。これにより、荷物の収容空間は、(X3、Z2)という位置に移動し、この収容空間の左隣に垂直通路107が形成される。
可動棚14の移動が完了すると、ステップS306において宅配ボックス10は、移動指示に従って搬送台15を移動させる。例えば宅配ボックス10の制御部11は、搬送台15の走行用の駆動装置(図示せず)の駆動を制御して、搬送台15を筐体100内の水平通路108を通って図19(b)に示されるように「X2」という位置まで左方に移動させる。この位置に到着すると、搬送台15は、アーム153が伸張して上方向に所定の距離だけ移動する。これにより、歯車154と垂直レール146とが噛み合う。続いて制御部11は、搬送台15の昇降用の駆動装置(図示せず)の駆動を制御して、図19(c)に示されるように、搬送台15を筐体100内の垂直通路107を通って(X2、Z2)という位置まで上方に移動させる。
この位置に到着すると、ステップS307において宅配ボックス10は、収容空間に収容された荷物を搬送台15の上に載せる。例えば宅配ボックス10の制御部11は、(X3、Z2)という位置の収容空間のベルトコンベア147の駆動を制御し、このベルトコンベア147を回転させる。このベルトコンベア147の回転により、収容空間に収容された荷物が搬送台15側に移動される。これにより、図20(a)に示されるように、搬送台15の上に荷物が載せられる。
荷物の積載が完了すると、ステップS308において宅配ボックス10は、移動指示に従って搬送台15を荷物が第1開口部101に対向する位置に移動させる。例えば宅配ボックス10の制御部11は、搬送台15の昇降用の駆動装置(図示せず)の駆動を制御して、図20(b)に示されるように、搬送台15を(X2、Z4)という位置まで下方に移動する。
ステップS309においてサーバ装置30の開閉制御部314は、上述したステップS303において特定された第1開口部101のシャッター103の開放指示を宅配ボックス10に送信する。この開放指示を受信すると、ステップS310において宅配ボックス10はこの開放指示に従ってシャッター103を開ける。例えば宅配ボックス10の制御部11は、図20(c)及び図20(d)に示されるように、シャッター103用の駆動装置(図示せず)の駆動を制御して、(X2、Z4)という位置にあるシャッター103を開ける。
ステップS311においてサーバ装置30のロボット制御部316は、ステップS303において特定された第1開口部101の前に移動して荷物を受け取り、この荷物を配送先に置き配する搬送指示を搬送ロボット20に送信する。この搬送指示には、第1開口部101の位置情報と、搬送先の位置情報とが含まれる。なお、搬送先の位置情報は、例えば利用者登録時に定められ、ユーザIDと関連付けて記憶部32に記憶される。この搬送指示を受信すると、ステップS312において搬送ロボット20は搬送処理を行う。
図21は、搬送処理の一例を示すフローチャートである。ステップS321において、搬送ロボット20は、搬送指示に従って宅配ボックス10の第1開口部101の前に移動する。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶された地図データと第1開口部101の位置情報とに基づいて、走行部26が現在位置から宅配ボックス10の第1開口部101に走行するよう制御する。第1開口部101の前に移動すると、ステップS322において搬送ロボット20はシャッター203を開ける。シャッター203が開くと、ステップS323において搬送ロボット20は第2形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動させてボールねじ281を回転させ、積載部27を第2位置に移動させる。図11に示されるように、第2位置において積載部27は第1開口部101側に突出する。なお、このとき、搬送ロボット20の位置は、センサ部25のカメラにより撮影された搬送ロボット20の後方の画像に基づいて、積載部27の底面が第1開口部101の下端と接触するように微調整されてもよい。
第2形態になると、ステップS324において搬送ロボット20はベルトコンベア272を駆動して第1開口部101から荷物を受け取る。ここで、サーバ装置30の棚制御部315は、搬送ロボット20の制御部21から荷物の受け取りの準備が完了したことを知らせる通知を受信すると、ベルトコンベア155を回転させて第1開口部101から搬送ロボット20に荷物を送り出すよう搬送台15を制御する送り出し指示を宅配ボックス10に送信する。この送り出し指示を受信すると、宅配ボックス10の制御部11は、この送り出し指示に従って搬送台15のベルトコンベア155を図11中の反時計回りに回転させる。ベルトコンベア155の回転により、第1開口部101から積載部27に荷物が送り出される。搬送ロボット20の制御部21は、ベルトコンベア272を図11中の反時計回りに回転させる。これにより、第1開口部101から送り出された荷物がベルトコンベア272により前方向に移動し、積載部27内に収容される。なお、積載部27内に荷物が収容されると、センサ部25の荷物センサにより積載部27への荷物の積載が検知される。これにより、積載部27への荷物の積載の完了が認識される。
荷物の積載が完了すると、ステップS325において搬送ロボット20は第1形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動してボールねじ281を回転させ、積載部27を第1位置に移動させる。図10に示されるように、第1位置において積載部27は基台261上に位置する。第1形態になると、ステップS326において搬送ロボット20は搬送先に移動する。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶された地図データと配送先の位置情報とに基づいて、走行部26が現在位置から搬送先に走行するよう制御する。この搬送先は、例えば集合住宅において受取人の住宅の玄関前である。
搬送先に到着すると、ステップS327において搬送ロボット20は第3形態に変化する。具体的には、制御部21は、モータ282を駆動してボールねじ281を回転させ、積載部27を第3位置に移動させる。図12に示されるように、第3位置において、積載部27は基台261の後方に突出するとともに、その底面が走行面Gに対して傾斜し、底面の後方側の端部が走行面Gに接する姿勢になる。第3形態になると、ステップS328において搬送ロボット20は、ベルトコンベア272を駆動して荷物を搬送先に降ろす。具体的には、制御部21は、ベルトコンベア272を図12中の時計回りに回転させる。これにより、積載部27に載せられた荷物が後方向に移動し、搬送先の走行面Gに降ろされる。搬送先の走行面Gに荷物が降ろされると、搬送先への置き配が完了する。
上述した実施形態によれば、受取人により自動搬送が要求されると、サーバ装置30の制御に従って搬送ロボット20が宅配ボックス10において荷物が搬送される第1開口部101の前に移動するため、人による搬送ロボット20の操作を要さずに、宅配ボックス10に収容された荷物を搬送ロボット20が受け取ることができる。また、宅配ボックス10の可動棚14及び搬送台15が移動して宅配ボックス10の収容空間に収容された荷物が第1開口部101に搬送されるため、宅配ボックス10において搬送ロボット20が届かない収容空間に荷物が収容された場合でも、搬送ロボット20が第1開口部101を介して宅配ボックス10からこの物品を受け取ることができる。さらに、搬送ロボット20が宅配ボックス10に預けられた荷物を搬送先に置き配するため、宅配ボックス10に預けられた荷物を人手を介さずに搬送先に置き運ぶことができる。これにより、受取人は宅配ボックス10に荷物を取りに行かなくても、非対面で荷物を受け取ることができる。
特に大規模な集合住宅では、配達員が個々の住宅を周って荷物を配達すると、配達に多くの時間を要する。例えば配達員が集合住宅に配達する全ての荷物を宅配ボックス10に預け、搬送ロボット20がこれらの荷物を個々の住宅の前に置き配すると、配達員が配達に要する時間が削減される。また、中山間地域では、配達員により荷物が配達される場所が自宅から離れている場合がある。例えば配達員が配達する荷物を宅配ボックス10に預け、搬送ロボット20が宅配ボックス10に預けられた荷物を住宅の前に置き配をすると、受取人が配達員により荷物が配達される場所から自宅まで荷物を運ぶ手間が省ける。
さらに、受取人により自己受け取りが要求されると、サーバ装置30の制御に従って可動棚14の現在位置において荷物の収容空間を外部に連通する第2開口部102の扉104が開くため、受取人は迅速に荷物を受け取ることができる。さらに、受取人による配送伝票番号や部屋番号等の識別情報の入力に応じて扉104が開くため、他人が受取人になりすまして荷物を受け取ることを防ぐことができる。さらに、配達員が荷物を宅配ボックス10に預ける際に、荷物の大きさに基づいて収容空間が決定される場合には、荷物の大きさに適した収容空間に荷物を収容することができる。
3.変形例
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明はこの実施形態に限定されない。上述した実施形態は以下の変形例のように変形されてもよい。また、以下の2以上の変形例が組み合わせて実施されてもよい。
上述した実施形態において、水平通路108は、筐体100内において収容空間の位置より上方に形成されてもよい。例えば、可動棚14の天板142と筐体100の上面との間に左右方向に延びる水平通路108が形成されてもよい。この構成であっても、搬送台15が左右方向に移動することができる。
上述した実施形態において、搬送台15は複数設けられてもよい。搬送台15が複数設けられる場合、搬送台15と同じ数の垂直通路107が形成されるのが好ましい。例えば宅配ボックス10内に収容された荷物を第1開口部101の前に搬送する際の許容時間に基づいて、搬送台15の数が決定されてもよい。この許容時間が短いほど、搬送台15の数は多くなる。この変形例によれば、搬送台15が荷物を第1開口部101の前に搬送するまでの時間が短縮される。
上述した実施形態において、搬送台15が上下方向に移動する機構は実施形態で説明した機構に限定されない。例えば搬送台15は、昇降機を有し、この昇降機の伸縮により上下方向に移動してもよい。搬送台15は上下方向及び左右方向に移動するものであればどのような機構を有してもよい。同様に、可動棚14も、左右方向に移動するものであればどのような機構を有してもよい。また、宅配ボックス10は、必ずしも左右に移動する可動棚14と搬送台15とを備えなくてもよい。宅配ボックス10は、収容空間に収容された荷物を第1開口部101に搬送するものであれば、どのような構造であってもよい。
上述した実施形態において、宅配ボックス10の荷物の送り出し機構は、ベルトコンベア155に限定されない。例えば棒状の押し出し部材を用いて搬送台15の後ろ側から前側に荷物を押し出す機構であってもよいし、搬送台15の後ろ側から前側に荷物を滑らせて移動させるべく、搬送台15を後ろ側が前側より高くなるように傾斜させる機構であってもよい。この構成であっても、宅配ボックス10から第1開口部101を介して搬送ロボット20に荷物を送り出すことができる。
上述した実施形態において、必ずしも第2開口部102は設けられなくてもよい。この場合、自己受け取りの際にも、荷物は第1開口部101の前に搬送される。受取人は、第1開口部101から荷物を受け取る。この変形例によれば、宅配ボックス10は受取人の手が届かない場所に収容空間を有していてもよい。例えば宅配ボックス10において受取人の手が届かない上方や地下に収納空間を設けることにより、宅配ボックス10の収容量を増やすことができる。
上述した実施形態において、宅配ボックス10から荷物を受け取る機構は、ベルトコンベア272に限定されない。例えば搬送ロボット20は、第1開口部101から荷物を取り出すアームを有してもよい。或いは、搬送ロボット20は、荷物を吸引する吸引装置を有し、吸引装置により荷物を吸引して取り出してもよい。この変形例によれば、宅配ボックス10は荷物を送り出す機構を有さなくても、搬送ロボット20は宅配ボックス10から荷物を受け取ることができる。
上述した実施形態において、宅配ボックス10の第1開口部101は、搬送ロボット20より高い位置に設けられ、搬送ロボット20は昇降機構を有してもよい。搬送ロボット20は、昇降機構により第1開口部101の高さまで上方に移動してから荷物を受け取り、荷物の受け取りが完了すると下方に移動する。この変形例によれば、宅配ボックス10の第1開口部101が搬送ロボット20より高い位置に設けられている場合でも、搬送ロボット20は第1開口部101から荷物を受け取ることができる。
上述した実施形態において、受取人は、置き配に代えて、搬送ロボット20から直接荷物を受け取ってもよい。この変形例では、上述した自動搬送要求及び搬送指示には、置き配と引き渡しの中から選択された受取方法が含まれる。例えば受取人が搬送ロボット20から直接で荷物を受け取りたい場合、自動搬送要求及び搬送指示には引き渡しを示す受取方法が含まれる。搬送指示に引き渡しを示す受取方法が含まれる場合、搬送ロボット20は搬送先に到着すると、第3形態に変化せずに、受取人が積載部27から荷物を取り出すまで待機する。受取人が積載部27から荷物を取り出すと、荷物の搬送が完了する。この変形例によれば、受取人は、搬送ロボット20から直接で荷物を受け取ることができる。
上述した実施形態において、サーバ装置30の決定部311は、AI(artificial intelligence)を用いて、各受取人の荷物の受取方法や受取時間の傾向から荷物を収容するのに最適な収容空間を決定してもよい。例えば決定部311は、受取人毎に荷物の受取方法及び受取時間を機械学習して、荷物が収容される収容空間を決定する。決定部311は、自動搬送を利用する可能性が高い受取人の荷物については、第1開口部101の近傍の収容空間を決定してもよい。ここでいう「近傍」とは、第1開口部101への移動が容易な位置をいう。例えば第1開口部101の近傍の収容空間は、第1開口部101から所定距離内の収容空間である。反対に、決定部311は、自己受け取りの可能性が高い受取人の荷物については、第1開口部101から遠い収容空間を決定してもよい。ここでいう「遠い」とは、第1開口部101の前に搬送ロボット20が位置していても受け取り可能な第1開口部101をいう。例えば第1開口部101から遠い収容空間は、第1開口部101から所定距離より離隔した収容空間である。また、決定部311は、時間指定情報により指定された時間が午前中である荷物については、第1開口部101の近傍の収容空間を決定してもよい。この変形例によれば、宅配ボックス10に収容された荷物を効率よく取り出すことができる。
上述した実施形態において、受取人により自動搬送の時間が指定されてもよい。この変形例では、受取人は、ユーザ端末40を用いて到着通知画面上で荷物の受取方法として自動搬送を選択する操作及び自動搬送の時間を指定する操作を行う。自動搬送要求には、指定された時間を示す時間指定情報が含まれる。サーバ装置30のロボット制御部316は、時間指定情報により示された時間が到来すると、搬送ロボット20に搬送指示を送信する。この搬送指示に応じて、搬送ロボット20は搬送処理を行う。この変形例によれば、受取人は、所望の時間に搬送ロボット20に荷物を置き配させることができる。
上述した実施形態において、サーバ装置30は配送業者のサーバ装置と連携して処理を行ってもよい。サーバ装置30は、ネットワーク50を介して配送業者のサーバ装置に接続される。例えばサーバ装置30から配送業者のサーバ装置から配送情報を取得してもよい。この変形例によれば、配送員は宅配ボックス10に荷物を預ける際に、例えば配送伝票のバーコードを読取装置で読み取るだけでよく、配送情報を入力する操作を行わなくてもよい。この変形例によれば、配送員が宅配ボックス10に荷物を預ける際の手間が削減される。
上述した実施形態において、図1~図14に示される荷物搬送システム1の構成は一例であり、これに限定されない。一の装置の機能を複数の装置が分散して有してもよいし、複数の装置の機能を一の装置がまとめて有していてもよい。例えば宅配ボックス10の制御部11は、サーバ装置30の決定部311、更新部312、通知部313、開閉制御部314、棚制御部315、及びロボット制御部316を有してもよい。この場合、制御部11は、本発明に係る「情報処理装置」となる。サーバ装置30は、初期時に宅配ボックス10に管理テーブル321を送信する。上述した管理テーブル321には、複数の宅配ボックス10の情報が格納されているが、送信先の宅配ボックスIDと関連付けられた部分だけが送信されてもよい。宅配ボックス10はメモリに管理テーブル321を記憶する。
上述した実施形態において、荷物搬送システム1、宅配ボックス10、搬送ロボット20、及びサーバ装置30の動作は上述した例に限定されない。荷物搬送システム1、宅配ボックス10、搬送ロボット20、及びサーバ装置30の処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、荷物搬送システム1、宅配ボックス10、搬送ロボット20、及びサーバ装置30の一部の処理手順が省略されてもよい。
上述した実施形態において、図7~図12に示される搬送ロボット20の構造は一例であり、これに限定されない。例えば走行部26は、必ずしも無限軌道方式で構成されなくてもよく、ベルト265を設けずに前輪262と後輪263で走行してもよい。また、車輪の数は限定されず、例えば六輪であってもよい。要するに、走行部26は、走行する機能を有するものであれば、どのような構造を有していてもよい。また、駆動部28は、ボールねじ281に代えて、リニアガイドウェイ、リニアアクチュエータ、又はリニアモータが用いられてもよい。駆動部28は、積載部27を第1位置、第2位置、及び第3位置に移動させるものであれば、どのような構造を有してもよい。
上述した実施形態において、宅配ボックス10の制御部11又は搬送ロボット20の制御部21の機能の少なくとも一部は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路により実現されてもよい。
本発明の別の形態は、荷物搬送システム1、宅配ボックス10、搬送ロボット20、又はサーバ装置30において行われる処理のステップを有する方法を提供してもよい。また、本発明のさらに別の形態は、宅配ボックス10、搬送ロボット20、又はサーバ装置30において実行されるプログラムを提供してもよい。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネット等を介したダウンロードによって提供されてもよい。