以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。実施形態において、X軸及びY軸は水平方向に沿っており、Z軸は鉛直方向に沿っており、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、例えば、カラー複合機である。
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成ユニット10、給送部30、搬送部40、定着部50、及び、排出部60を備える。
給送部30は、シートPを搬送部40へ供給する。搬送部40は、シートPを画像形成ユニット10、及び定着部50を経由して排出部60まで搬送する。画像形成ユニット10は、シートPに画像を形成する。定着部50は、シートPを加熱、及び加圧し、シートPに形成された画像をシートPに定着する。排出部60は、シートPを画像形成装置100の外部へ排出する。
次に、画像形成ユニット10の構成について説明する。画像形成ユニット10は、複数の画像形成部11、露光部13、及び転写部12を備える。
複数の画像形成部11には、それぞれ、互いに異なる色の複数のトナーが供給される。トナーは多数のトナーを含む。複数の画像形成部11の各々は感光体ドラム101を含む。例えば、複数の画像形成部11は、シアン色のトナーが供給される画像形成部11c、マゼンタ色のトナーが供給される画像形成部11m、イエロー色のトナーが供給される画像形成部11y、及び、ブラック色のトナーが供給される画像形成部11kを含む。画像形成部11c、画像形成部11m、画像形成部11y及び画像形成部11kの構成は、互いに略同一である。
露光部13は、感光体ドラム101の表面を露光する。具体的には、露光部13は、画像データに基づいて、複数の感光体ドラム101の各々に光を照射する。その結果、複数の感光体ドラム101の各々に静電潜像が形成される。露光部13は、例えば、光源、ポリゴンミラー、反射ミラー、及び偏向ミラーを有する。
そして、複数の画像形成部11の各々は、感光体ドラム101に形成された静電潜像を現像して、感光体ドラム101にトナー像を形成する。その結果、複数の感光体ドラム101に、それぞれ、互いに異なる複数色のトナー像が形成される。
転写部12は、中間転写ベルト12aと駆動ローラー12bと濃度検知部104とを備える。中間転写ベルト12aは、駆動ローラー12bによって回転方向RAに回転駆動される。複数の画像形成部11が、中間転写ベルト12a上に、互いに異なる複数色のトナー像を転写する。複数色のトナー像が中間転写ベルト12a上で重畳されることで、中間転写ベルト12a上にトナー像(具体的にはカラー画像)が形成される。転写部12は、中間転写ベルト12a上に形成されたトナー像をシートP上に転写する。その結果、シートPに画像が形成される。
濃度検知部104は、中間転写ベルト12aに転写されたトナー像の濃度を検知する。本実施形態では、トナー像の濃度は、単位面積当たりのトナー像を形成するトナーの質量を示す。トナー像の濃度は、例えば、トナー像の厚みに基づいて算出される。よって、濃度検知部104は、所定面積のトナー像の厚みを検知する。詳細には、濃度検知部104は、トナー像との間の距離を測定して、トナー像の厚みを検知する。
濃度検知部104は、例えば、レーザー変位センサーである。レーザー変位センサーは、半導体レーザーとリニアイメージセンサー(Linear Image Sensor)とを備え、三角測距を用いて距離を測定する。そして、濃度検知部104は、トナー像の濃度を示す検知信号を出力する。検知信号は、例えば、電圧信号である。
次に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る画像形成部11の構成について説明する。図2は、画像形成部11の構成の一例を示す断面図である。
図2に示すように、画像形成部11は、感光体ドラム101に加えて、クリーニング部103と、現像部110、及び帯電部102を更に備える。
感光体ドラム101は、略円柱形状または略円筒形状を有する。感光体ドラム101は、感光体ドラム101の回転軸線AXを中心として回転方向RBに回転する。感光体ドラム101は、例えばアモルファスシリコン(α-Si)感光体ドラム101または有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)ドラムである。
帯電部102は、感光体ドラム101の表面を所定電位に帯電させる。帯電部102は、例えば、帯電ローラーを含む。帯電部102が感光体ドラム101の表面を所定電位に帯電させた後、露光部13が感光体ドラム101の所定領域に露光することで、感光体ドラム101の所定領域に静電潜像が形成される。
現像部110は、トナーによってトナー像を感光体ドラム101に形成する。具体的には、現像部110は、回転する感光体ドラム101にトナー像を形成する。例えば、現像部110は、第2回転速度で回転する感光体ドラム101に形成された静電潜像をトナーによって現像し、感光体ドラム101にトナー像を形成する。
現像部110は、現像ハウジング111と、現像ローラー112と、第1スクリューフィーダー113と、第2スクリューフィーダー114と、規制ブレード115と、吸引ファン(不図示)とを備える。
現像ハウジング111は2成分現像剤を収容する。現像ハウジング111は、第1搬送部131と第2搬送部132とを含む。第1搬送部131では、2成分現像剤が現像ローラー112の軸方向の一端側から他端側に向かう第1搬送方向に搬送される。第2搬送部132では、現像ローラー112の軸方向の両端部において第1搬送部131に連通される。第2搬送部132では、第1搬送方向とは逆の第2搬送方向に2成分現像剤が搬送される。
具体的には、第2搬送部132は第2スクリューフィーダー114を含む。第2スクリューフィーダー114は、回転方向REに回転され、2成分現像剤を第2搬送方向に搬送する。第1搬送部131は第1スクリューフィーダー113を含む。第1スクリューフィーダー113は、回転方向RDに回転され、2成分現像剤を第1搬送方向に搬送する。第1スクリューフィーダー113は、2成分現像剤を第1搬送方向に搬送しながら、現像ローラー112に2成分現像剤を供給する。
2成分現像剤は、複数のトナー(具体的には多数のトナー)と、複数のキャリア(具体的には多数のキャリア)を含む。複数のトナーは粉体であり、複数のキャリアは粉体である。トナーは、例えば正帯電性トナーである。正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。キャリアは、磁性を有する。キャリアは、例えば、樹脂被覆型のキャリアである。樹脂被覆型のキャリアのコアは、例えば、フェライトまたはマグネタイトである。
現像ローラー112は、トナーを担持する。現像ローラー112は、感光体ドラム101に対向して配置される。現像ローラー112は、スリーブ112Sと磁石112Mとを備える。現像ローラー112は、所定の速度で回転する。
スリーブ112Sは、非磁性の筒体(例えば、アルミニウムパイプ)である。スリーブ112Sは、例えばモーターによって駆動されて、磁石112Mの周りを回転方向RCに回転する。
磁石112Mは、スリーブ112Sの内部に配置されている。磁石112Mは、キャリアを磁石112Mの磁力により引き付ける。その結果、キャリアによる磁気ブラシがスリーブ112Sの表面に形成される。トナーはキャリアの表面に担持される。すなわち、トナーは磁気ブラシに担持された状態で現像ローラー112の表面に担持される。
規制ブレード115は、現像ローラー112に対して所定間隔をおいて配置される。規制ブレード115は、現像ローラー112の表面に形成された磁気ブラシの長さを規制する。
吸引ファンは、感光体ドラム101と現像ローラー112との間で浮遊するトナーを吸引する。
クリーニング部103は、感光体ドラム101の表面に付着しているトナーを除去する。クリーニング部103は、クリーニングブレード103aを含む。
クリーニングブレード103aは、感光体ドラム101の表面と摺接する。感光体ドラム101の表面とクリーニングブレード103aの先端とが摺接することで、感光体ドラム101の表面に残留するトナーが除去される。
また、クリーニング部103は、感光体ドラム101の表面を研磨する。具体的には、クリーニング部103のクリーニングブレード103aは、感光体ドラム101の表面に形成された矩形状のトナー像を感光体ドラム101の表面に押し付け、トナー像を構成するトナーを移動させる。この結果、感光体ドラム101の表面を研磨できる。
引き続き、図2を参照して制御基板CBと高圧電源基板PSBとを説明する。制御基板CBは、マイクロコンピューター20を有する。マイクロコンピューター20は、「コンピューター」の一例に相当する。
マイクロコンピューター20は、画像形成ユニット10、給送部30、搬送部40、定着部50、排出部60のような画像形成装置100の各要素を制御する。マイクロコンピューター20は、CPU(Central Processing Unit)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなプロセッサー、及び記憶部を含む。
マイクロコンピューター20は、規定の入力レンジを有し、検知信号SG1が入力される。検知信号SG1は、例えば、電圧信号である。
記憶部は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部は、半導体メモリーのような主記憶装置、並びに、半導体メモリー及び/またはハードディスクドライブのような補助記憶装置を含む。記憶部は、リムーバルメディアを含んでもよい。記憶部が記憶するデータは、トナー像の主走査方向の長さ、トナー像の副走査方向の長さ、トナー像の面積、トナー像の濃度、感光体ドラム101の周速度、及び、トナー像の電流値を含む。
高圧電源基板PSBは、高圧電源23と、電流検知回路70と、シフト回路24とを有する。
高圧電源23は、現像ローラー112に現像バイアス(所定の電圧)を印加する。現像ローラー112に現像バイアスを印加することで高圧電源23は、感光体ドラム101と現像ローラー112との間に電位差を付与する。
現像ローラー112に現像バイアスが印加されて、感光体ドラム101と現像ローラー112との間が所定の電位差になると、現像ローラー112に担持されたトナーが、電気的に引き付けられる。そして、トナーが現像ローラー112から感光体ドラム101の静電潜像に向かって飛翔し、現像ローラー112から感光体ドラム101に向けてトナーが移動する。この結果、感光体ドラム101の表面にトナー像が形成される。
電流検知回路70は、感光体ドラム101と現像部110との間に流れる電流を検知する。具体的には、電流検知回路70は、トナー像が形成されるときの感光体ドラム101と現像部110との間に流れる現像電流を検知して、現像電流の電流値を示す検知信号SG1を出力する。検知信号SG1は、電圧信号である。電流検知回路70が出力した検知信号SG1は、マイクロコンピューター20に送信される。
また、電流検知回路70は、入力される電流に比例する電圧を出力する。この場合、比例定数は負の値を示す。したがって、電流検知回路70は、入力される電流値が小さくなればなるほど、大きな電圧値を出力する。一方、電流検知回路70は、入力される電流値が大きくなればなるほど、小さな電圧値を出力する。例えば、電流検知回路70は、電流検知用抵抗素子を含み、電流検知用抵抗素子を流れる電流に比例する電圧を出力する。
シフト回路24は、コンピューターが出力したシフト信号SG2にしたがって、電流検知回路70が検知可能な現像電流の検知レンジをシフトする。電流検知回路70の検知レンジは、電流検知回路70から出力される検知信号SG1のレベルが、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジを超えない範囲で設定される。
シフト回路24は、例えば、シフト信号SG2が入力されるトランジスタ、オペアンプ、複数の抵抗素子を含む。トランジスタは、オペアンプの出力電圧値をオンオフして制御する。また、オペアンプの出力電圧値は、電流検知回路70の初期出力電圧に設定される。
本実施形態のマイクロコンピューター20は、トナー像に起因する物理量に基づいて、シフト信号SG2を生成する。トナー像に起因する物理量は、現像電流の電流値に相関のある物理量である。
トナー像に起因する物理量に基づいて、現像電流の電流値を予測できる。予測した電流値に基づいて、マイクロコンピューター20はシフト信号SG2を出力できる。そして、シフト回路24は、現像電流の電流値に応じた検知レンジに検知レンジをシフトできる。したがって、比較的大きな現像電流が流れた場合であっても、精度良く現像電流の電流値を検知できる。この結果、電流検知回路70の精度を維持しつつ、比較的大きな現像電流を検知できる。
例えば、トナー像のサイズが「現像電流の電流値に相関のある物理量」の一例に相当する場合、マイクロコンピューター20は、トナー像に起因する物理量に基づいて、シフト信号SG2を生成する。トナー像のサイズは、トナー像の長さ、またはトナー像の面積を示す。
例えば、マイクロコンピューター20が第1トナー像を感光体ドラム101に形成すること決定している場合、マイクロコンピューター20は、第1トナー像に起因する物理量に基づいて、シフト信号SG2を生成する。第1トナー像に起因する物理量は、例えば、第1トナー像の長さである。第1トナー像は、矩形状のソリッド画像である。第1トナー像の長さは、感光体ドラム101の軸方向の長さの半分以下である。第1トナー像の長さは、例えば、100mmである。
マイクロコンピューター20は、記憶部から第1トナー像のサイズに対応する現像電流の電流値を取得する。第1トナー像の電流値は、例えば、「2μA」である。そして、マイクロコンピューター20は、取得した電流値に基づいて、第1トナー像の電流値を検知可能な検知レンジに検知レンジをシフトするシフト信号SG2を生成する。更に、シフト回路24は、マイクロコンピューター20が出力したシフト信号SG2にしたがって、第1トナー像の電流値を検知可能な検知レンジに検知レンジをシフトする。第1トナー像の電流値を検知可能な検知レンジは、例えば、最小電流値「1.2μA」~最大電流値「2.4μA」である。
また、マイクロコンピューター20が第2トナー像を感光体ドラム101に形成すること決定している場合、マイクロコンピューター20は、第2トナー像に起因する物理量に基づいて、シフト信号SG2を生成する。第2トナー像に起因する物理量は、例えば、第2トナー像のサイズである。第2トナー像は、矩形状のソリッド画像である。第2トナー像の長さは、感光体ドラム101の軸方向の長さに相当する。第2トナー像の長さは、例えば、「200mm」である。
マイクロコンピューター20は、記憶部から第2トナー像の長さに対応する現像電流の電流値を取得する。第2トナー像の電流値は、例えば、「4μA」である。そして、マイクロコンピューター20は、取得した電流値に基づいて、第2トナー像の電流値を検知可能な検知レンジに検知レンジをシフトするシフト信号SG2を生成する。更に、シフト回路24は、マイクロコンピューター20が出力したシフト信号SG2にしたがって、第2トナー像の電流値を検知可能な検知レンジに検知レンジをシフトする。第2トナー像の電流値を検知可能な検知レンジは、例えば、最小電流値「2.4μA」~最大電流値「4.8μA」である。
現像電流の電流値に応じた検知レンジに検知レンジをシフトできるため、比較的大きな現像電流が流れた場合であっても、精度良く現像電流の電流値を検知できる。この結果、電流検知回路70の精度を維持しつつ、比較的大きな現像電流を検知できる。
なお、マイクロコンピューター20は電流検知回路70の検知レンジの情報を取得し、検知レンジを変更するか否かを判定してもよい。マイクロコンピューター20は、検知レンジを変更する場合、シフト信号SG2を生成する。また、マイクロコンピューター20は、検知レンジを変更する必要がない場合、シフト信号SG2を生成しない。
また、本実施形態の物理量は、1以上の物理量である。1以上の物理量は、トナー像のサイズとトナー像の濃度と感光体ドラム101の周速度とのうちの少なくとも1つを含む。
複数の物理量に基づいて現像電流の電流値を予測するため、電流値の予測の精度が良くなる。したがって、マイクロコンピューター20は、精度の良い予測に基づいて、シフト信号SG2をシフト回路24に出力できる。この結果、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジに適合する検知信号SG1を出力できる。
また、本実施形態の電流検知回路70の検知レンジは、第1検知レンジIRAと第2検知レンジIRBとを含む。第1検知レンジIRAは、物理量が所定の値未満のときの検知レンジである。第2検知レンジIRBは、物理量が所定の値以上のときの検知レンジである。
シフト回路24は、マイクロコンピューター20が出力したシフト信号SG2にしたがって、電流検知回路70の検知レンジを第1検知レンジIRAと第2検知レンジIRBとの間で切り替える。また、第1検知レンジIRAの検知精度と第2検知レンジIRBの検知精度とは、等しい。
検知信号SG1のレベルがマイクロコンピューター20の規定の入力レンジに適合しない場合、マイクロコンピューター20は、シフト回路24にシフト信号SG2を送信する。そして、シフト回路24は、マイクロコンピューター20が出力したシフト信号SG2にしたがって、電流検知回路70が検知可能な現像電流の検知レンジを第1検知レンジIRAと第2検知レンジIRBとの間でシフトする。
したがって、電流検知回路70が出力する検知信号SG1のレベルが、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジに適合する。この結果、比較的大きな現像電流が流れた場合であっても、電流検知回路70の精度を維持しつつ、精度良く現像電流の電流値を検知できる。
次に、図3と図4を参照して、参考例の検知レンジについて説明する。図3は、第1参考検知レンジR1における電流値に対応する電圧値を示す図である。第1参考検知レンジR1は、電流値0(μA)以上電流値Ia(μA)以下に設定される。第1参考検知レンジR1の最小電流値と最大電流値とは固定値である。図3では、電流値に対応する電圧値は、直線G1で表される。直線G1は、第1参考検知レンジR1における電流値と電圧値との特性を示す直線である。図3において、横軸は電流値(I)を示し、縦軸は電圧値(V)を示す。
横軸には、電流値0と電流値IAと電流値Iaと電流値IBとが表される。電流値0は、第1参考検知レンジR1の最小電流値を示す。電流値IAは、第1トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。電流値Iaは、第1参考検知レンジR1の最大電流値を示す。電流値IBは、第2トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。電流値IAは、第1参考検知レンジR1に含まれる。電流値IBは、第1参考検知レンジR1を超える。
縦軸には、電圧値0と電圧値Vuと電圧値VPAとが表される。電圧値0は、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最小電圧値である。電圧値VPAは、電流値IAに対応する電圧値を示す。電圧値Vuは、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最大電圧値である。
図4は、第2参考検知レンジR2における電流値に対応する電圧値を示す図である。第2参考検知レンジR2は、電流値0(μA)以上電流値Ib(μA)以下に設定される。第2参考検知レンジR2の最小電流値と最大電流値とは固定値である。図4では、電流値に対応する電圧値は、直線G2で表される。直線G2は、第2参考検知レンジR2における電流値と電圧値との特性を示す直線である。
図4において、横軸は電流値(I)を示し、縦軸は電圧値(V)を示す。横軸には、電流値0と電流値IAと電流値IBと電流値Ibとが表される。電流値0は、第2参考検知レンジR2の最小電流値を示す。電流値IAは、第1トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。図4に示す電流値IAは、図3に示す電流値IAと同じ電流値を示す。電流値IBは、第2トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。図4に示す電流値IBは、図3に示す電流値IBと同じ電流値を示す。電流値Ibは、第2参考検知レンジR2の最大電流値を示す。図4に示す電流値Ibは、図3に示す電流値Iaより大きい。電流値IAと電流値IBとは、第2参考検知レンジR2に含まれる。
縦軸には、電圧値0と電圧値Vuと電圧値VPAと電圧値VPBとが表される。電圧値0は、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最小電圧値である。電圧値Vuは、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最大電圧値である。図4に示す電圧値Vuは、図3に示す電圧値Vuと等しい。電圧値VPAは、電流値IAに対応する電圧値を示す。図4に示す電圧値VPAは、図3に示す電圧値VPAより大きい電圧値を示す。電圧値VPBは、電流値IBに対応する電圧値を示す。
図4の直線G2の傾きは、図3に示す直線G1の傾きと異なる。例えば、図4に示す電流値IAが「1μA」の場合、電流値IAに対応する電圧値VPAは「2.5V」である。図3に示す電流値IAが「0.5μA」の場合、電流値IAに対応する電圧値VPAは「2.5V」である。したがって、直線の傾斜が大きいほど、電流値の検知精度が良くなる。
現像電流は小さいため、現像電流を精度良く検知する必要がある。したがって、電流の検知幅を狭めることで、現像電流を精度良く検知できる。しかし、図3に示す電流値IBのように検知信号SG1のレベルが第1参考検知レンジR1を超える場合、マイクロコンピューター20の入力レンジを超える。したがって、マイクロコンピューター20は電流値IBを電圧値に変換できない。図3に示す第1参考検知レンジR1では、広い検知レンジで現像電流を検知できない。
一方、図4に示す第2参考検知レンジR2ように、電流の検知幅を大きくすることで電流値IBを検知できるが、現像電流の検知精度が低下する。したがって、第2参考検知レンジR2のように電流の検知幅を大きくする場合、精度の良い現像電流を検知できない。
次に、図5を参照して、本実施形態の検知レンジのシフト処理について説明する。本実施形態では、シフト信号SG2によって、検知レンジは第1検知レンジIRAと第2検知レンジIRBとの間で切り替えられる。
図5は、第1検知レンジIRAと第2検知レンジIRBとを示す図である。図5において、横軸は電流値(I)を示し、縦軸は電圧値(V)を示す。
横軸には、電流値0と電流値IAと電流値IM1と電流値IBと電流値IM2が表される。
電流値0は、第1検知レンジIRAの最小電流値を示す。電流値IAは、第1トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。電流値IM1は、第1検知レンジIRAの最大電流値を示す。第1検知レンジIRAは、電流値0(μA)以上電流値IM1(μA)以下に設定される。電流値IAは、第1検知レンジIRAに含まれる。
また、電流値IM1は、第2検知レンジIRBの最小電流値を示す。電流値IBは、第2トナー像が形成されるときの現像電流の電流値を示す。電流値IM2は、第2検知レンジIRBの最大電流値を示す。第2検知レンジIRBは、電流値IM1(μA)以上電流値IM2(μA)以下に設定される。電流値IBは、第2検知レンジIRBに含まれる。
縦軸には、電圧値0と電圧値Vuと電圧値VP1と電圧値VP2とが表される。電圧値0は、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最小電圧値である。電圧値Vuは、マイクロコンピューター20の規定の入力レンジの最大電圧値である。電圧値VP1は、電流値IAに対応する電圧値を示す。電圧値VP2は、電流値IBに対応する電圧値を示す。
図5では、第1検知レンジIRAの電流値に対応する電圧値は、直線G3で表される。直線G3は、第1検知レンジIRAにおける電流値と電圧値との特性を示す直線である。また、第2検知レンジIRBの電流値に対応する電圧値は、直線G4で表される。直線G4は、第2検知レンジIRBにおける電流値と電圧値との特性を示す直線である。
本実施形態では、検知レンジを第1検知レンジIRAにシフトする場合、シフト回路24は、シフト信号SG2に基づいて電流検知回路70の初期出力電圧を制御する。例えば、第1レベル(例えば0V)のシフト信号SG2がマイクロコンピューター20からシフト回路24に入力されると、シフト回路24は、電流検知回路70の初期出力電圧を電圧値V1になるように、電流検知回路70を制御する。第1検知レンジIRAの初期出力電圧V1は、電流値0(μA)に対応する電圧の電圧値を示す。具体的には、図5に示すように、電流値0(μA)のときの電圧値は、電圧値Vuになる。この結果、電流検知回路70の検知レンジが、電流値0(μA)以上電流値IM1(μA)以下に設定される。
また、検知レンジを第2検知レンジIRBにシフトする場合、シフト回路24は、シフト信号SG2に基づいて電流検知回路70の初期出力電圧を制御する。例えば、第2レベル(例えばVa>0V)のシフト信号SG2がマイクロコンピューター20からシフト回路24に入力されると、シフト回路24は、電流検知回路70の初期出力電圧を電圧値V2になるように、電流検知回路70を制御する。第2検知レンジIRBの初期出力電圧V2は、電流値IM1(μA)に対応する電圧の電圧値を示す。第2検知レンジIRBの初期出力電圧は、第1検知レンジIRAの初期出力電圧よりも大きい。
本実施形態の第2検知レンジIRBの初期出力電圧V2は、V2=2×V1、である。したがって、電流検知回路70の検知レンジが、電流値IM1(μA)以上電流値IM2(μA)以下に設定される。電流値IM2は、IM2=2×IM1、である。電流値が電流値IM1のとき、電流検知回路70の出力電圧は、V2/2(=V1)であり、電流値が電流値IM2のとき、出力電圧は、「0V」である。具体的には、図5に示すように、電流値IM1(μA)のときの電圧値は、電圧値Vuになる。この結果、電流検知回路70の検知レンジが、電流値IM1(μA)以上電流値IM2(μA)以下に設定される。
また、本実施形態の電流検知回路70は、電流検知用抵抗素子に流れる電流に比例する電圧を出力する。したがって、直線G3と直線G4との傾きは一致する。つまり、シフト前の検知精度とシフト後の検知精度は同じである。この結果、電流の検知範囲を拡大しつつ、電流を精度良く検知できる。
なお、電流検知回路70は、電流検知回路70の出力電圧の最大値を設定する電圧制限回路を有してもよい。電圧制限回路は、例えば、ツェナーダイオードを含む。したがって、マイクロコンピューター20の入力レンジの最大電圧値である電圧値Vuを超える検知信号SG1がマイクロコンピューター20に入力されない。したがって、マイクロコンピューター20が保護される。
また、本実施形態のマイクロコンピューター20は、予め定められた変換式に基づいて検知信号SG1を電流値に変換する。そして、マイクロコンピューター20は、電流値に基づいて、帯電量を算出する。更に、マイクロコンピューター20は、帯電量に基づいて、シートPに画像を形成する条件を設定する。
したがって、精度良く検知した電流値から精度の良い帯電量を算出できる。そして、精度良く算出した帯電量からシートPに画像を形成するときの条件を設定できる。この結果、品質の高い画像をシートPに形成できる。
例えば、第1トナー像の検知信号SG1を変換した電流値から帯電量を算出する場合、マイクロコンピューター20は、第1トナー像のトナーの量と、検知信号SG1とに基づいて、トナーの帯電量QPMを算出する。
例えば、帯電量QPMを算出する場合、マイクロコンピューター20は、感光体ドラム101から中間転写ベルト121に転写された第1トナー像の濃度を、濃度検知部104から受信する。そして、マイクロコンピューター20は、第1トナー像の濃度に基づいて、第1トナー像を形成しているトナーの量Mを算出する。トナーの量Mは、第1トナー像を形成しているトナーの質量を示す。なお、第1トナー像の形状が予め定められた形状の場合、第1トナー像の濃度は記憶部に記憶されてもよい。マイクロコンピューター20は、記憶部に記憶された第1トナー像の濃度に基づいて、第1トナー像を形成しているトナーの量Mを算出してもよい。
更に、マイクロコンピューター20は、第1トナー像の検知信号SG1を、電流検知回路70から受信する。そして、マイクロコンピューター20は、検知信号SG1を電流値に変換する。更に、マイクロコンピューター20は、変換した電流値に基づいて、第1トナー像を形成しているトナーの電荷量Qを算出する。
更に、マイクロコンピューター20は、トナーの量Mとトナーの電荷量Qとに基づいて、トナーの帯電量QPMを算出する。具体的には、トナーの帯電量QPMは、QPM=Q/M、によって表される。よって、トナーの帯電量QPMは、単位質量当たりのトナーの電荷量を示す。
また、本実施形態のマイクロコンピューター20は、帯電量QPMに基づいて、現像部110から感光体ドラム101に供給されるトナーの量と、現像部110の現像ローラー112の回転速度と、現像ローラー112に印加する現像バイアスと、感光体ドラム101の表面電位と、吸引ファンの出力とのうちの少なくとも1つを調整する。
したがって、トナーの帯電量QPMの変化からシートPに画像を形成するときの条件を設定できる。この結果、画像濃度の低下、かぶりの発生、トナー飛散の増加を抑制し、適切な条件でシートPに画像を形成できる。
例えば、マイクロコンピューター20は、トナーの帯電量QPMに基づいて、帯電部102が感光体ドラム101の表面を所定電位に帯電させる際の電位を調整する。この結果、画像濃度の低下を抑制できる。例えば、マイクロコンピューター20は、トナーの帯電量QPMに基づいて、高圧電源23が現像ローラー112に現像バイアスを印加する際の現像バイアスを調整する。この結果、画像濃度の低下とかぶりの悪化を抑制できる。例えば、マイクロコンピューター20は、トナーの帯電量QPMに基づいて、現像ローラー112の回転速度を調整する。この結果、画像濃度の低下を抑制しつつ、かぶりの悪化を抑制できる。
次に、図6を参照して、マイクロコンピューター20が実行する処理を説明する。図6は、マイクロコンピューター20が実行する処理のフローチャートを示す図である。マイクロコンピューター20が実行する処理は、ステップS201からステップS216を含む。
ステップS201において、マイクロコンピューター20は、感光体ドラム101に形成するトナー像のサイズを決定する。処理は、ステップS202に進む。
ステップS202において、マイクロコンピューター20は、トナー像に起因し、現像電流の電流値に相関のある物理量を取得する。なお、物理量は、1以上の物理量であってもよい。処理は、ステップS203に進む。
ステップS203において、マイクロコンピューター20は、取得した物理量に基づいて、シフト信号SG2を生成するか否かを判定する。シフト信号SG2を生成しない場合(ステップS203においてNo)、処理はステップS211に進む。シフト信号SG2を生成する場合(ステップS203においてYes)、処理はステップS204に進む。
ステップS203でYesの場合、ステップS204において、マイクロコンピューター20は、シフト信号SG2をシフト回路24に出力する。処理は、ステップS205に進む。
ステップS205において、マイクロコンピューター20は、露光部13が感光体ドラム101に静電潜像を形成するように、露光部13を制御する。処理は、ステップS206に進む。
ステップS206において、マイクロコンピューター20は、現像部110が感光体ドラム101に形成された静電潜像を現像してトナー像を感光体ドラム101に形成するように、現像部110を制御する。処理は、ステップS207に進む。
ステップS207において、マイクロコンピューター20は、電流検知回路70の検知信号SG1を受信する。処理は、ステップS208に進む。
ステップS208において、マイクロコンピューター20は、予め定められた変換式に基づいて、検知信号SG1を電流値に変換する。処理は、ステップS209に進む。
ステップS209において、マイクロコンピューター20は、濃度検知部104が検知したトナー像の濃度と電流検知回路70が検知した電流値とに基づいて、帯電量を算出する。処理は、ステップS210に進む。
ステップS210において、マイクロコンピューター20は、帯電量に基づいて、シートPに画像を形成する条件を設定する。処理は終了する。
ステップS203でNoの場合、ステップS211において、マイクロコンピューター20は、露光部13が感光体ドラム101に静電潜像を形成するように、露光部13を制御する。処理は、ステップS212に進む。
ステップS212において、マイクロコンピューター20は、現像部110が感光体ドラム101に形成された静電潜像を現像してトナー像を感光体ドラム101に形成するように、現像部110を制御する。処理は、ステップS213に進む。
ステップS213において、マイクロコンピューター20は、検知部の検知信号SG1を受信する。処理は、ステップS214に進む。
ステップS214において、マイクロコンピューター20は、予め定められた変換式に基づいて、検知信号SG1を電流値に変換する。処理は、ステップS215に進む。
ステップS215において、マイクロコンピューター20は、濃度検知部104が検知したトナー像の濃度と電流検知回路70が検知した電流値とに基づいて、帯電量を算出する。処理は、ステップS216に進む。
ステップS216において、マイクロコンピューター20は、帯電量に基づいて、シートPに画像を形成する条件を設定する。処理は終了する。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。