JP7281706B2 - 音処理装置、車両および音処理方法 - Google Patents

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Description

本開示は、車両に搭載される音処理装置、音処理装置を搭載した車両および音処理方法に関する。
電気自動車およびハイブリッド自動車は低騒音であるため、自車ロードノイズが小さい低速走行時には歩行者等が車両の接近に気づき難いという問題がある。このため、電気自動車およびハイブリッド自動車等の低騒音車には、走行時に車両の走行状態を想起させる音(報知音とも呼ぶ)を出力することで車両の接近を歩行者等に警告する車両近接報知装置が備えられている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、電気自動車およびハイブリッド自動車は低騒音であるため、走行時の加速音が小さく搭乗者が車両との一体感を得ることができないという問題もある。このため、車両の加減速を検出し、加減速量に応じた効果音(加速音)を車室内に発生させて演出効果を高める効果音発生装置が開示されている(例えば、特許文献3)。
特開平10-290499号公報 特開平7-322403号公報 特開2006-301598号公報
このような車両近接報知装置によって車外に対して報知音を出力すると、報知音は車室内にも入り込む。このとき、車室内に対して加速音を出力すると、漏れてきた報知音と加速音とが混ざって、不協和音のような音が発生することがあり、搭乗者へ不快感を与えることがある。
そこで、本開示は、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる音処理装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る音処理装置は、車両に搭載された車室外用の第1スピーカおよび車室内用の第2スピーカに対して、共通の音信号を出力する音源と、前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の接近を報知する報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力する報知音制御部と、前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の加速音に対応する信号を前記第2スピーカに出力する加速音制御部と、所定の周波数帯域を通過させるフィルタと、を備え、前記報知音制御部は、前記音源から出力され前記フィルタを通過した前記音信号に基づいて前記報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力する
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示によれば、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる。
実施の形態に係る音処理装置を備える車両の模式図である。 実施の形態に係る音処理装置の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態に係る音処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態に係る第1スピーカおよび第2スピーカから出力される報知音および加速音の周波数特性の一例を示すグラフである。 比較例に係る車両の車室内での報知音の音圧、加速音の音圧およびこれらを合算した音圧と、車速との関係を示すグラフである。 実施の形態に係る車両の車室内での報知音の音圧、加速音の音圧およびこれらを合算した音圧と、車速との関係を示すグラフである。
(本開示の基礎となった知見)
従来は、車両近接報知装置と、電気自動車およびハイブリッド自動車などの低騒音である車室内で心地よい加速音を再生するシステムとが別々に搭載されており、それぞれの音色または周波数が異なるため、車室内に漏れてくる報知音と、車室内に出力された加速音とが混ざって不協和音のような音(例えばビート音)が発生することがあり、搭乗者へ不快感を与えることがある。例えば、搭乗者へ不快感を与えないように、報知音を出力している間は、加速音を出力しないといった対策がなされているが、この対策では、搭乗者は、報知音が出力されている間、加速音による演出効果を受けられないという問題がある。
以下の実施の形態では、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる音処理装置等について説明する。
本開示の一態様に係る音処理装置は、車両に搭載された車室外用の第1スピーカおよび車室内用の第2スピーカに対して、共通の音信号を出力する音源と、前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の接近を報知する報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力する報知音制御部と、前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の加速音に対応する信号を前記第2スピーカに出力する加速音制御部と、を備える。
これによれば、1つの音源から出力された共通の音信号から報知音および加速音が生成されるため、報知音と加速音とが同時に出力されて車室内で混ざった場合であっても、それぞれ元々は共通の音信号であったことから、不協和音のような音が発生することを抑制できる。言い換えると、報知音と加速音とを調和させることができる。このため、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる。
また、前記音処理装置は、さらに、所定の周波数帯域を通過させるフィルタを備え、前記報知音制御部は、前記音源から出力され前記フィルタを通過した前記音信号に基づいて前記報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力してもよい。
これによれば、加速音に対応する成分および報知音に対応する成分を含む音信号から、フィルタによって報知音に対応する成分を通過させることで、共通の音信号からの報知音および加速音の生成が容易となる。
また、前記報知音制御部および前記加速音制御部は、前記車両の加速に応じて前記報知音および前記加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、前記車両の減速に応じて前記報知音および前記加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、それぞれ前記音源から出力された前記音信号を処理してもよい。
通常、車両の加速とともにエンジン音等のピッチが上がるため、出力される加速音のピッチも実際のエンジン音等に似せるために上げられる。一方で、報知音についても、車両の加速とともにピッチが上げられる場合がある。このとき、報知音および加速音のピッチの車速に対する上昇率または下降率がそれぞれ異なっている場合、ピッチの異なる報知音および加速音が混ざって不協和音のような音が発生する場合がある。そこで、車両の加速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、車両の減速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、音源から出力された音信号を処理する。これにより、車速に応じて報知音および加速音のピッチを変化させる場合でも不協和音のような音が発生することを抑制できる。
また、前記加速音制御部は、前記車室内に漏れる前記報知音の音圧と前記車室内に出力される前記加速音の音圧とを合算した音圧が前記車両の加速に応じて単調増加し、前記合算した音圧が前記車両の減速に応じて単調減少するように、前記音源から出力された前記音信号を処理してもよい。
一般的に、車速が速くなると、車両から発生するロードノイズ(タイヤパターンノイズ等)も大きくなるため、報知音を車外に向けて報知しなくても、ロードノイズによって車両の接近を報知することができる。言い換えると、車速が遅い場合に、ロードノイズが小さいので報知音を車外に向けて報知している。このため、車速が遅い状態から速くなると、報知音をフェードアウトしながら出力することが多く、車速が速い状態から遅くなると、報知音をフェードインしながら出力することが多い。これにより、車室内では、車速が速くなると漏れてきた報知音は小さくなっていき、車速が遅くなると漏れてきた報知音は大きくなっていく。このとき、車室内に漏れる報知音の音圧と車室内に出力される加速音の音圧とを合算した音圧は、報知音のフェードアウトによって一時的に小さくなり、また、報知音のフェードインによって一時的に大きくなり、搭乗者は車室内で聞こえていた音が急に小さく、または、大きくなったように聴こえる。このため、搭乗者は、違和感を覚えることとなる。そこで、合算した音圧が車両の加速に応じて単調増加し、または、合算した音圧が車両の減速に応じて単調減少するように音源から出力された音信号を処理することで、報知音がフェードアウトまたはフェードインしても、搭乗者に対しては音圧の上昇率または下降率が一定の音が聴こえるため、搭乗者に違和感を与えないようにすることができる。
また、前記音処理装置は、さらに、前記第1スピーカの故障を検知する故障検知部を備え、前記加速音制御部は、前記第1スピーカの故障が検知された場合、前記第1スピーカが故障したことを示す音信号を前記第2スピーカに出力してもよい。
これによれば、報知音を出力する第1スピーカが故障したことを、加速音を出力する第2スピーカによって車室内の搭乗者に知らせることができる。
本開示の一態様に係る車両は、上記の音処理装置と、前記第1スピーカと、前記第2スピーカと、を備える。
これによれば、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる車両を提供できる。
本開示の一態様に係る音処理方法は、車両に搭載された車室外用の第1スピーカおよび車室内用の第2スピーカに対して、共通の音信号を出力し、出力された前記音信号に基づいて前記車両の接近を報知する報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力し、出力された前記音信号に基づいて前記車両の加速音に対応する信号を前記第2スピーカに出力する。
これによれば、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる音処理方法を提供できる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
実施の形態では、車両に搭載される音処理装置について説明する。
図1は、実施の形態に係る音処理装置100を備える車両200の模式図である。図1は、車両200の天井を透明にした上面透視図であり、車両200の車室内が示されている。
図1に示すように、車両200は、音処理装置100と、第1スピーカ51と、第2スピーカ52とを備える。車両200は、具体的には自動車であるが、特に限定されない。車両200では、第1スピーカ51から出力される報知音を車外にいる歩行者等に向けて発生するので、第1スピーカ51は例えば車外に設置される。また、車両200では、第2スピーカ52から出力される加速音を車両200の車室内にいる搭乗者に向けて発生するので、第2スピーカ52は例えば車室内に配置される。ここでは、車両200の車室内の前方と後方とにそれぞれ第2スピーカ52が配置されているが、車室内で第2スピーカ52が配置される数および位置については特に限定されない。なお、車両200は、第1スピーカ51の他にも、報知音を出力するスピーカを備えていてもよいし、第2スピーカ52の他にも、加速音を出力するスピーカを備えていてもよい。
次に、本実施の形態に係る音処理装置100の構成を説明する。
図2は、本実施の形態に係る音処理装置100の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、音処理装置100は、情報処理部10と、音源20と、フィルタ30と、第1アンプ41と、第2アンプ42とを備える。情報処理部10は、報知音制御部11および加速音制御部12を備える。なお、図2には、車両200が備える第1スピーカ51および第2スピーカ52も示している。
音処理装置100は、車両200に搭載された第1スピーカ51を用いて車両200の接近を報知し、また、第2スピーカ52を用いて車室内に加速音を発生させて演出効果を高めるための装置である。音処理装置100は、第1スピーカ51に、車外にいる歩行者等に向けて報知音(例えば警告音)を出力させることで、車両200の接近を報知する。また、音処理装置100は、第2スピーカ52に、車室内にいる搭乗者に向けて加速音を出力させることで、車室内の演出効果を高める。
音源20は、車両200に搭載された車室外用の第1スピーカ51および車室内用の第2スピーカ52に対して、共通の音信号を出力する。音源20から出力される音信号は、加速音に対応する成分および報知音に対応する成分を含む。本実施の形態では、音源20からフィルタ30、報知音制御部11および第1アンプ41を経由して第1スピーカ51に至る第1経路と、音源20から加速音制御部12および第2アンプ42を経由して第2スピーカ52に至る第2経路とが設けられており、音源20から第1経路および第2経路のそれぞれに音信号が出力される。音源20は、例えば、図示しない記憶装置によって実現されてもよい。
フィルタ30は、第経路において音源20と報知音制御部11との間に設けられ、所定の周波数帯域(例えば報知音に対応する周波数帯域)を通過させるフィルタである。なお、フィルタ30は、報知音に対応する周波数帯域を通過させるフィルタであれば、バンドパスフィルタであってもよいし、ローパスフィルタであってもよいし、ハイパスフィルタであってもよい。本実施の形態では、フィルタ30は、例えばローパスフィルタである。加速音に対応する成分および報知音に対応する成分を含む音信号から、フィルタ30によって報知音に対応する成分を通過させることで、報知音の生成が容易となる。なお、音処理装置100は、フィルタ30を備えていなくてもよい。
第1アンプ41は、報知音制御部11と第1スピーカ51との間に接続される。第1アンプ41は、音源20から出力され報知音制御部11で処理された音信号を、所定の増幅度で増幅して第1スピーカ51に出力する。第1アンプ41は、第1スピーカ51の故障を検知する故障検知部61を備える。故障検知部61は、第1スピーカ51の故障を検知した場合、その旨を示す信号を情報処理部10に通知する。
第2アンプ42は、加速音制御部12と第2スピーカ52との間に接続される。第2アンプ42は、音源20から出力され加速音制御部12で処理された音信号を、所定の増幅度で増幅して第2スピーカ52に出力する。このときの増幅度は、第1アンプ41の増幅度と同一であってもよいし異なっていてもよい。図示していないが、第2アンプ42は、第2スピーカ52の故障を検知する故障検知部を備えていてもよい。当該故障検知部は、第2スピーカ52の故障を検知した場合、その旨を示す信号を情報処理部10に通知する。
なお、第1アンプ41および第2アンプ42は、アナログアンプであってもよいし、デジタルアンプであってもよい。
第1スピーカ51および第2スピーカ52は、電気信号を機械振動に変換する機能を有し、電気信号に基づいた音を出力する。第1スピーカ51は、車両200に搭載された車室外用のスピーカであり、車両200の接近を報知する報知音を車両200の外部に出力する。第2スピーカ52は、車室内用のスピーカであり、車両200の車室内での演出効果を高める加速音を車室内に出力する。報知音および加速音は、例えば、エンジン音である。この場合、音源20は、疑似エンジン音または電子音を使用することが多く、例えば、300Hz~700Hzの低音部と1kHz~3kHzの周波数成分で構成されている。
情報処理部10は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)により実現される。マイコンは、プログラムが格納されたROM、RAM、プログラムを実行するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等を有する半導体集積回路等である。例えば、プロセッサが上記プログラムを実行することにより報知音制御部11および加速音制御部12が実現される。報知音制御部11および加速音制御部12の詳細について、音処理装置100の動作の説明とともに図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る音処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
音源20は、第1スピーカ51および第2スピーカ52に対して、共通の音信号を出力する(ステップS11)。具体的には、音源20は、音信号を、フィルタ30、情報処理部10(報知音制御部11)および第1アンプ41を介して第1スピーカ51に出力し、情報処理部10(加速音制御部12)および第2アンプ42を介して第2スピーカ52に出力する。第1スピーカ51から出力される音(報知音)および第2スピーカ52から出力される音(加速音)の発生源は共通の音源20となっている。
報知音制御部11は、音源20から出力された音信号に基づいて車両200の接近を報知する報知音に対応する信号を第1スピーカ51に出力する(ステップS12)。本実施の形態では、音処理装置100は、例えば、フィルタ30を備えるため、報知音制御部11は、音源20から出力されフィルタ30を通過した音信号に基づいて報知音に対応する信号を第1スピーカ51に出力する。
加速音制御部12は、音源20から出力された音信号に基づいて車両200の加速音に対応する信号を第2スピーカ52に出力する(ステップS13)。
このように、1つの音源20から出力された共通の音信号から報知音および加速音が生成されるため、報知音と加速音とが同時に出力されて車室内で混ざった場合であっても、それぞれ元々は共通の音信号であったことから、不協和音のような音(例えばビート音)が発生することを抑制できる。言い換えると、報知音と加速音とを調和させることができる。このため、車外に対して報知音を出力し、かつ、車室内に対して加速音を出力したときに搭乗者へ与える不快感を低減できる。ここで、第1スピーカ51から出力される報知音および第2スピーカ52から出力される加速音の周波数特性について、図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係る第1スピーカ51および第2スピーカ52から出力される報知音および加速音の周波数特性の一例を示すグラフである。
図4に示すように、加速音の周波数特性には、報知音の周波数特性における基本周波数の整数倍の周波数の成分が含まれていることがわかる。これは、報知音と加速音とが元々は共通の音信号であったためである。したがって、車室内に出力された加速音に対して車外から報知音が漏れてきて、報知音と加速音とが混ざった場合であっても、不協和音のような音が発生することを抑制できる。また、図4に示すように、報知音の周波数特性は、加速音の周波数特性における約1.5kHz以上の周波数帯域がフィルタ30によって遮断された特性となっており、フィルタ30を用いることで共通の音信号からの報知音および加速音の生成が容易となっていることがわかる。
なお、ステップS12での処理とステップS13での処理は、同時に行われてもよいし、ステップS13での処理が行われてからステップS12での処理が行われてもよい。
また、ステップS12およびステップS13において、情報処理部10(報知音制御部11および加速音制御部12)は、例えば、車両200の加速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、車両200の減速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、それぞれ音源20から出力された音信号を処理してもよい。情報処理部10は、車両200の速度を、例えばECU(Electronic Control Unit)等から取得することで、車両200の加減速に応じた処理が可能となる。
通常、車両200の加速とともにエンジン音等のピッチが上がるため、出力される加速音のピッチも実際のエンジン音等に似せるために上げられる。一方で、報知音についても、車両200の加速とともにピッチが上げられる場合がある。このとき、報知音および加速音のピッチの車速に対する上昇率または下降率がそれぞれ異なっている場合、ピッチの異なる報知音および加速音が混ざって不協和音のような音が発生する場合がある。そこで、車両200の加速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、車両200の減速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、音源20から出力された音信号を処理する。これにより、車速に応じて報知音および加速音のピッチを変化させる場合でも不協和音のような音が発生することを抑制できる。
また、ステップS13において、加速音制御部12は、車室内に漏れる報知音の音圧と車室内に出力される加速音の音圧とを合算した音圧が車両200の加速に応じて単調増加し、合算した音圧が車両200の減速に応じて単調減少するように、音源20から出力された音信号を処理してもよい。これについて、図5Aおよび図5Bを用いて説明する。
図5Aは、比較例に係る車両200の車室内での報知音の音圧、加速音の音圧およびこれらを合算した音圧と、車速との関係を示すグラフである。
図5Bは、実施の形態に係る車両200の車室内での報知音の音圧、加速音の音圧およびこれらを合算した音圧と、車速との関係を示すグラフである。
一般的に、車速が速くなると、車両から発生するロードノイズ(タイヤパターンノイズ等)も大きくなるため、報知音を車外に向けて報知しなくても、ロードノイズによって車両の接近を報知することができる。言い換えると、車速が遅い場合に、ロードノイズが小さいので報知音を車外に向けて報知している。このため、図5Aに示すように、車速が遅い状態(車速がv1以下の状態)から速くなると、v1からv2間のように報知音をフェードアウトしながら出力することが多い。同じように、図示していないが、車速が速い状態から遅くなると、報知音をフェードインしながら出力することが多い。これにより、車室内では、車速が速くなると漏れてきた報知音は小さくなっていき、車速が遅くなると漏れてきた報知音は大きくなっていく。このとき、車室内に漏れる報知音の音圧と車室内に出力される加速音の音圧とを合算した音圧は、図5Aに示すように、報知音のフェードアウトによって一時的に小さくなる。同じように、図示していないが、当該合算した音圧は、報知音のフェードインによって一時的に大きくなる。このため、搭乗者は車室内で聞こえていた音が急に小さく、または、大きくなったように聴こえ、違和感を覚えることとなる。
そこで、加速音制御部12は、図5Bに示すように、合算した音圧が車両200の加速に応じて単調増加するように、音源20から出力された音信号を処理する。具体的には、加速音制御部12は、報知音が小さくなった分を補うように、加速音の音圧を大きくする。これにより、合算した音圧が車両200の加速に応じて単調増加する。同じように、加速音制御部12は、図示していないが、合算した音圧が車両200の減速に応じて単調減少するように、音源20から出力された音信号を処理する。具体的には、加速音制御部12は、報知音が大きくなった分、加速音の音圧を小さくする。これにより、合算した音圧が車両200の減速に応じて単調減少する。このように、報知音がフェードアウトまたはフェードインしても、搭乗者に対しては音圧の上昇率または下降率が一定の音が聴こえるため、搭乗者に違和感を与えないようにすることができる。
なお、加速音制御部12が車両200の加減速に応じて加速音のための音信号を処理する方法については限定されない。例えば、車両200の車室内にマイクが設けられ、当該マイクに収音された、漏れてきた報知音および車室内で出力された加速音のそれぞれの音圧に基づいて、上記合算した音圧が単調増加または単調減少するように、加速音のための音信号を処理してもよい。また、例えば、図示しない記憶装置に車両の速度と、合算した音圧が単調増加または単調減少するときの加速音の音圧との予め定められた対応関係を示すデータが記憶されていてもよく、加速音制御部12は、当該対応関係を参照することで、車両200の速度に応じて合算した音圧が単調増加または単調減少するように、加速音のための音信号を処理してもよい。
また、加速音制御部12は、故障検知部61によって第1スピーカ51の故障が検知された場合、第1スピーカ51が故障したことを示す音信号を第2スピーカ52に出力してもよい。本実施の形態では、第1スピーカ51による報知音の出力と、第2スピーカ52による加速音の出力とが連携しているため、報知音を出力する第1スピーカ51が故障したことを、加速音を出力する第2スピーカ52によって車室内の搭乗者に知らせることができる。例えば、第2スピーカ52から第1スピーカ51が故障したことを示す警告音または音声ガイダンスが出力される。
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態に係る音処理装置および音処理装置を搭載した車両について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、報知音制御部11および加速音制御部12は、車両200の加速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、車両200の減速に応じて報知音および加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、それぞれ音源20から出力された音信号を処理するとしたが、当該処理をしなくてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、加速音制御部12は、車室内に漏れる報知音の音圧と車室内に出力される加速音の音圧とを合算した音圧が車両200の加速に応じて単調増加し、当該合算した音圧が車両200の減速に応じて単調減少するように、音源20から出力された音信号を処理するとしたが、当該処理をしなくてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、故障検知部61が第1アンプ41に備えられたが、音処理装置100における他の構成要素に備えられていてもよい。また、音処理装置100は、故障検知部61を備えていなくてもよい。
なお、本開示は、音処理装置として実現できるだけでなく、音処理装置を構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む音処理方法として実現できる。
具体的には、図3に示すように、音処理方法では、車両200に搭載された車室外用の第1スピーカ51および車室内用の第2スピーカ52に対して、共通の音信号を出力し(ステップS11)、出力された音信号に基づいて車両200の接近を報知する報知音に対応する信号を第1スピーカ51に出力し(ステップS12)、出力された音信号に基づいて車両200の加速音に対応する信号を第2スピーカ52に出力する(ステップS13)。
例えば、音処理方法におけるステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本開示は、音処理方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。
さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
また、上記実施の形態の音処理装置に含まれる各構成要素は、専用または汎用の回路として実現されてもよい。
また、上記実施の形態の音処理装置に含まれる各構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、音処理装置に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示は、電気自動車およびハイブリッド自動車等の低騒音車等に搭載される音処理装置に適用できる。
10 情報処理部
11 報知音制御部
12 加速音制御部
20 音源
30 フィルタ
41 第1アンプ
42 第2アンプ
51 第1スピーカ
52 第2スピーカ
61 故障検知部
100 音処理装置
200 車両

Claims (6)

  1. 車両に搭載された車室外用の第1スピーカおよび車室内用の第2スピーカに対して、共通の音信号を出力する音源と、
    前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の接近を報知する報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力する報知音制御部と、
    前記音源から出力された前記音信号に基づいて前記車両の加速音に対応する信号を前記第2スピーカに出力する加速音制御部と、
    所定の周波数帯域を通過させるフィルタと、を備え
    前記報知音制御部は、前記音源から出力され前記フィルタを通過した前記音信号に基づいて前記報知音に対応する信号を前記第1スピーカに出力する
    音処理装置。
  2. 前記報知音制御部および前記加速音制御部は、前記車両の加速に応じて前記報知音および前記加速音のピッチがそれぞれ同じ上昇率で変化し、前記車両の減速に応じて前記報知音および前記加速音のピッチがそれぞれ同じ下降率で変化するように、それぞれ前記音源から出力された前記音信号を処理する
    請求項1に記載の音処理装置。
  3. 前記加速音制御部は、前記車室内に漏れる前記報知音の音圧と前記車室内に出力される前記加速音の音圧とを合算した音圧が前記車両の加速に応じて単調増加し、前記合算した音圧が前記車両の減速に応じて単調減少するように、前記音源から出力された前記音信号を処理する
    請求項1または2に記載の音処理装置。
  4. 前記音処理装置は、さらに、前記第1スピーカの故障を検知する故障検知部を備え、
    前記加速音制御部は、前記第1スピーカの故障が検知された場合、前記第1スピーカが故障したことを示す音信号を前記第2スピーカに出力する
    請求項1~のいずれか1項に記載の音処理装置。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の音処理装置と、
    前記第1スピーカと、
    前記第2スピーカと、を備える
    車両。
  6. 車両に搭載された車室外用の第1スピーカおよび車室内用の第2スピーカに対して、共通の音信号を出力し、
    出力された前記音信号に基づいて前記車両の接近を報知する報知音に対応する信号を、所定の周波数帯域を通過させるフィルタを通過させて前記第1スピーカに出力し、
    出力された前記音信号に基づいて前記車両の加速音に対応する信号を前記第2スピーカに出力する
    音処理方法。
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