以下、本発明の実施形態の一例を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、その寸法を適宜拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差や製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も含まれる。
図1を参照する。本実施形態の吐出装置10は水回り設備12に用いられる。本実施形態の水回り設備12は浴室設備である。水回り設備12は、吐出装置10の他に、吐出装置10から吐出される液体が内側に流れ込む槽体14とを備える。本実施形態の槽体14は浴槽である。本実施形態の吐出装置10は、槽体14内でユーザの身体、特に、座位姿勢にあるユーザの首や肩に当たるように波状流W1(後述する)を吐出する。これにより、ユーザにリラックス効果を付与できる。
本実施形態の吐出装置10は吐出システム16に用いられる。吐出システム16は、液体W2を貯留する貯留槽18と、貯留槽18から吐出装置10の吐出路30(後述する)に液体W2を供給する液体供給路20と、液体供給路20の途中に設けられるポンプ22と、ポンプ22を制御する制御装置24と、を備える。
本実施形態の貯留槽18は、液体W2として水を貯留する槽体14である。吐出装置10には液体供給路20を通して槽体14内の水が供給されることになる。液体供給路20は、配管等の複数の流路形成部材の内側に形成される。ポンプ22は、貯留槽18から吸引した液体W2を圧送することで、液体供給路20を通して吐出装置10に液体W2を供給する。制御装置24は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアとソフトウェアを組み合わせたコンピュータである。制御装置24は、ポンプ22の動作の制御を通じて、吐出装置10の動作を制御する。
図2を参照する。吐出装置10は、装置本体26を備える。装置本体26の内部には、液体供給路20から液体W2が供給される中継流路28と、液体供給路20から中継流路28を介して液体W2が供給される吐出路30とが形成される。本実施形態では、液体供給路20から中継流路28に鉛直方向の下側から液体が供給され、中継流路28から吐出路30に上向きに液体が供給される。
本実施形態の装置本体26は、水回り設備12に設けられるベース32に固定される。本実施形態の吐出装置10は、不図示の固定構造を用いてベース32に固定される。この固定構造とは、たとえば、ねじ構造、爪と爪受け等である。本実施形態のベース32は槽体14の上面開口部の周縁部に設けられる槽体14のフランジ部が構成する。本実施形態の装置本体26は、吐出路30が内部に形成される第1本体部材34と、第1本体部材34と一体化される第2本体部材36とを備える。
図3、図4を参照する。吐出路30は、吐出路30の下流側端部に形成される吐出孔38を有する。吐出路30は、詳細は後述するが、上流側から流入した液体W2を波状の液流(波状流W1)として放射状に吐出可能である。ここでの「波状」とは、吐出孔38の中心線CL1に沿った中心線方向Xで液流W1の進行方向に向かうにつれて、その中心線方向Xと直交する水平方向Yに周期的にうねる形状をいう。この「波状」には、物理的に厳密な波としての条件を満たす形状の他に、その形状に似た形状も含まれる。以下、この波状流W1がなす波状形状のうねる方向Yを波状流W1の振動方向Yという。また、ここでの「放射状」とは、波状流W1の進行方向に向かうにつれて波状流W1の振動方向Yに広がる形状をいう。図4では波状流W1が通過する範囲S1を示す。
以下、吐出路30に関する構成を説明するとき、吐出孔38の中心線方向Xを前後方向Xともいい、波状流W1の振動方向Yを左右方向Yともいう。また、前後方向X及び左右方向Yと直交する方向を高さ方向Z(図2参照)という。この前後方向Xで波状流W1の進行方向を前側といい、それとは反対側を後側という。
吐出路30は、上流側から液体W2が流入する入口流路40と、入口流路40から液体W2が流入する一対の中間流路42L、42Rとを備える。また、吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから流入する液体W2が合流する合流室46と、合流室46内の液体W2を外部に吐出する吐出孔38と、を備える。
図3、図5を参照する。吐出路30は、鉛直方向に対向する内上面48及び内下面50と、左右方向Yに対向する一対の内側面52とを備える。吐出路30は、前後方向Xに直交する断面において矩形状をなす。この断面において、一対の内側面52間の寸法を吐出路30の内幅寸法Waといい、内上面48と内下面50の間の寸法を吐出路30の高さ寸法Haという。吐出路30は、入口流路40や合流室46において、内幅寸法Waより高さ寸法Haが小さい矩形状をなす。吐出路30の高さ寸法Haは、少なくとも入口流路40、中間流路42L、42R、合流室46を含む範囲で同じである。本実施形態では吐出孔38を含む範囲でも同じである。
吐出路30は、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1を対称軸として左右対称な形状を持つ。また、吐出路30は、前後方向Xから見て、吐出孔38の中心線CL1に対して高さ方向Zに対称な形状を持つ。これらの条件は、吐出路30の入口流路40、合流室46において、少なくとも満たされる。本実施形態では、吐出路30の中間流路42L、42Rや吐出孔38においても満たされる。ここでの「高さ方向Zから見て」とは、図3の視点から見ることと同義であり、「前後方向Xから見て」とは、図5の視点から見ることと同義である。
入口流路40は、前後方向Xで吐出路30の後側の部分に設けられ、合流室46は入口流路40より前後方向Xの前側に設けられる。入口流路40の内面には中継流路28の出口となる流入口28aが開口しており、流入口28aから入口流路40内に液体が流入する。本実施形態の流入口28aは、入口流路40において吐出路30の内下面50に開口している。
入口流路40には拡散促進部54が設けられる。本実施形態の拡散促進部54は、高さ方向Zから見て、流入口28aを中心として取り囲むように等角度間隔を空けて複数設けられる。拡散促進部54の高さ方向Zに直交する断面形状は流線形状であり、本実施形態では円形状である。拡散促進部54は、入口流路40内に流入した液体が衝突することで、その液体の拡散を促進する。これにより、入口流路40内で前後方向Xで前側に向かう液体の左右方向Yでの流量分布の均一化を図れる。
吐出路30には、入口流路40内にて前後方向Xで前側(下流側)に流れる液体W2が衝突する衝突部56が設けられる。本実施形態の衝突部56は入口流路40と合流室46を前後方向Xに隔てる壁状をなす。
一対の中間流路42L、42Rは、吐出路30の衝突部56に対して左右方向Yの両側に設けられる。一対の中間流路42L、42Rには、左右方向Yの左側(一方側)に設けられる左側中間流路42L(第1中間流路)と、左右方向Yの右側(他方側)に設けられる右側中間流路42R(第2中間流路)とが含まれる。中間流路42L、42Rは、衝突部56の左右方向Yの側面56aと吐出路30の内側面52とが形成する。本実施形態の中間流路42L、42Rは入口流路40内から流入する液体W2を合流室46に噴射可能な形状である。本実施形態の中間流路42L、42Rの中心軸線CL2は、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1を左右方向Yに横切るように設けられる。
本実施形態の合流室46には、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから噴射される液体の噴流が衝突する一対の衝突面58L、58Rが設けられる。各衝突面58L、58Rは、合流室46の下流側(前側)に位置する下流側面46aに設けられる。一対の衝突面58L、58Rには、左側中間流路42Lに対応する右側衝突面58R(第1衝突面)と、右側中間流路42Rに対応する左側衝突面58L(第2衝突面)とが含まれる。各衝突面58L、58Rは、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1に対して対応する中間流路42L、42Rとは左右方向Yで反対側に設けられる。
本実施形態の合流室46には、一対の衝突面58L、58Rのそれぞれに衝突した液体W2の噴流を前後方向Xで吐出孔38とは反対側(後側)に折り返すように誘導する一対の誘導面62L、62Rが設けられる。一対の誘導面62L、62Rには、右側衝突面58Rに対応する右側誘導面62Rと、左側衝突面58Lに対応する左側誘導面62Lとが含まれる。各誘導面62L、62Rは、合流室46内において一対の内側面52のそれぞれに設けられる。
吐出孔38は、合流室46の下流側面46aに開口する入口38aを有する。吐出孔38の入口38aの内幅寸法は、前後方向Xで前側に向かう途中で、上流側の流路(合流室46)の内幅寸法より小さくなるように設定される。これにより、吐出孔38は、その上流側の流路内の液体W2を噴射するように吐出可能となる。吐出孔38は、前後方向Xで前側に向かうにつれて内幅寸法が連続的に広がるように形成される。ここでの内幅寸法とは、高さ方向Zから見たときの左右方向Yに沿った寸法をいう。吐出孔38は、装置本体26の外面部に開口する出口38bを有する。本実施形態の出口38bは装置本体26の前面部26aに開口する。
以上の吐出装置10の動作を説明する。
図6を参照する。吐出路30内での主な液体の流れ方向には矢印を付して示す。入口流路40内には上流側となる中継流路28から流入口28aを通して液体W2が流入する。入口流路40内に流入した液体W2は、その流入箇所から拡散しつつ前後方向Xで前側に向けて流れる。この過程で入口流路40内には液体W2が溜められる。本実施形態では入口流路40内が液体W2で満たされる。
入口流路40内で前側に流れる液体W2の一部は衝突部56に衝突することで左右方向Yに分かれたうえで一対の中間流路42L、42R内に流入する液流Faを形成する。入口流路40内の液体W2は一対の中間流路42L、42Rを介して合流室46内に流入する。この過程で合流室46内には液体W2が溜められる。
図7、図8を参照する。合流室46内には一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから液体の噴流FbL、FbRが噴射される。本実施形態では一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから噴射される噴流FbL、FbRが合流室46内で衝突する。以下、左側中間流路42Lが噴射する噴流を左側噴流FbLといい、右側中間流路42Rが噴射する噴流を右側噴流FbRという。
これら噴流FbL、FbRは、流体のランダム性に起因する揺らぎの影響を受けて、いずれか一方が他方より勢いの強い支配的な流れとなる。たとえば、図7の例では、右側噴流FbRが左側噴流FbLより勢いの強い支配的な流れとなっている第1流れ状態を示す。
図7に示すように、この支配的な右側噴流FbRは、合流室46の下流側面46a(左側衝突面58L)に衝突するまで勢いを持って流れ易い。一方で、左側噴流FbLは、支配的な右側噴流FbRと衝突することで流れを阻害され(範囲Sa参照)、合流室46の下流側面46a(右側衝突面58R)に衝突するまで勢いを持って流れ難い。合流室46の下流側面46aに衝突した右側噴流FbRは、その左側誘導面62Lにより前後方向Xで折り返すように誘導される液流Fcを形成し、左側噴流FbLと合流する(範囲Sb参照)。この結果、左側噴流FbLの勢いが増幅され、図8に示すように、左側噴流FbLが右側噴流FbRより勢いの強い支配的な流れとなる第2流れ状態に切り替わる。
支配的な左側噴流FbLは、合流室46の下流側面46a(右側衝突面58R)に衝突するまで勢いを持って流れ易い。一方で、右側噴流FbRは、支配的な左側噴流FbLと衝突することで流れを阻害され(範囲Sc参照)、合流室46の下流側面46a(左側衝突面58L)に衝突するまで勢いを持って流れ難い。合流室46の下流側面46aに衝突した左側噴流FbLは、その右側誘導面62Rにより前後方向Xで折り返すように誘導される液流Fdを形成し、右側噴流FbRと合流する(範囲Sd参照)。この結果、右側噴流FbRの勢いが増幅され、図7に示すように、右側噴流FbRが左側噴流FbLより勢いの強い支配的な流れとなる第1流れ状態に切り替わる。
以上の結果、流体のランダム性に起因する揺らぎの影響を受けて、右側噴流FbRが支配的な流れになる第1流れ状態と、左側噴流FbLが支配的な流れになる第2流れ状態とが周期的に切り替わる。図7に示すように、第1流れ状態にあるとき、支配的な右側噴流FbRの一部は、合流室46の下流側面46aに衝突せずに吐出孔38を通り抜ける液流Feを形成する。この液流Feは、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで左側に向かう速度ベクトルを持つ。図8に示すように、第2流れ状態にあるとき、支配的な左側噴流FbLの一部は、合流室46の下流側面46aに衝突せずに吐出孔38を通り抜ける液流Ffを形成する。この液流Ffは、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで右側に向かう速度ベクトルを持つ。
第1流れ状態と第2流れ状態が周期的に切り替わることで、吐出孔38を通り抜ける液流Fe、Ffの左右方向Yでの速度ベクトルの向きが周期的に切り替わることになる。この過程で、この液流Fe、Ffの左右方向Yでの速度ベクトルは、その向きの切り替えを伴いベクトル量が周期的に増減する。この結果、吐出孔38からは、波状の液流、つまり、前述の波状流W1が吐出されることになる。吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから合流室46内に液流を流入させることで、吐出孔38から吐出される液流Fe、Ffの進行方向を左右方向Yに揺動可能であり、その進行方向を揺動させることで波状流W1を吐出可能であることになる。
このように、吐出路30は、入口流路40から一対の中間流路42L、42Rのそれぞれを介して合流室46内に液体W2を流入させることで吐出孔38から波状流を放射状に吐出可能である。このように一対の中間流路42L、42Rから合流室46内に流入する複数の液体の流れ(液流)を利用して波状流W1を吐出するタイプを合流タイプという。本実施形態では、このような合流タイプの吐出路30として、流体の揺らぎを利用した揺らぎタイプの吐出路30を説明した。この合流タイプの吐出路30としては、この他にも、後述するカルマン渦を利用するカルマン渦タイプの吐出路30がある。
図4、図9を参照する。図4は、吐出路30内にエアAが残存していない状態を示し、図9は、吐出孔38より上流側において吐出路30内にエアAが残存した状態を示す。本発明者は、波状流W1を吐出可能な吐出装置に関して、実験的な検討を進めた。
この結果、吐出孔38より上流側において、吐出路30内で吐出孔38側に流れ続ける液体W2によりエアAが封じ込められることで、吐出路30内にエアAが残存し易いという知見を得た。特に、合流タイプの吐出路30では、その合流室46内から吐出孔38に流れ続ける液体W2により、合流室46にエアAが残存し易いという知見を得た。
また、吐出孔38より上流側において、このように吐出路30内にエアAが残存したままであると、その残存エアAに起因して波状流W1の形状が変化することがあるという知見を得た。この現象には、吐出路30内の残存エアAのうち、合流室46内の残存エアAが大きく影響しているという知見を得た。この原因は明らかではないが、吐出路30内の残存エアAが吐出路30内での液体W2の流れに何らかの影響を及ぼすためと推察される。また、この現象は、吐出路30内の残存エアAが多くなるほど顕在化し易くなるという知見も得た。
また、揺らぎタイプやカルマン渦タイプの吐出路30では、吐出路30に流入する液体W2の流量が小さい場合、合流室46内の残存エアAに起因して、波状流W1の振幅が大幅に小さくなる、または、波状ではなく直線状の液流が吐出されることがあった。また、揺らぎタイプやカルマン渦タイプの吐出路30では、特に、合流室46内のエア溜まり領域72(後述する)にエアAが残存し易いという知見も得た。
図10、図11を参照する。本発明者は更なる実験的な検討を進めた。この結果、吐出孔38より上流側において、吐出路30の内面に開口するエア抜き流路64を装置本体26に形成し、吐出路30内にある残存エアAをエア抜き流路64を通して外部に排気することが有効であるとの知見を得た。図10では、説明の便宜のため、後述するエア抜き流路64の導入口64aを黒塗りして示す。
以下、このような知見のもとでなされた吐出装置10の詳細を更に説明する。エア抜き流路64は、吐出孔38より上流側において、吐出路30の内面に開口する導入口64aを有する。本実施形態の導入口64aは合流室46の内面に開口する。
エア抜き流路64は、吐出路30の吐出孔38より上流側の空間と、大気に開放されている開放空間68とを連通する。本実施形態において、この開放空間68は装置本体26の外部の外部空間である。これにより、吐出路30内の残存エアAを吐出路30内に溜められる液体W2により押し出すことで、吐出路30内の残存エアAをエア抜き流路64を通して開放空間68に排気できる。
エア抜き流路64の流路断面積は、吐出路30内の残存エアAを排気しつつ吐出路30内の液体W2の流れを阻害できる大きさに設定される。この条件を満たすうえで、エア抜き流路64の流路断面積は、吐出路30の前後方向Xに直交する断面での断面積より十分に小さい大きさに設定される。このエア抜き流路64の流路断面積は、たとえば、0.2mm2以上3.0mm2以下の大きさである。この下限値以上であれば、出願時点における加工技術の水準から容易に実現できる。この上限値以下であれば、吐出路30内の液体W2の一部がエア抜き流路64から外部に漏れ出たとしても、その漏れ出る量を抑えられ、見栄えの低下を避けられる。
(A)これにより、波状流W1を吐出孔38から吐出する場合に、吐出孔38より上流側において吐出路30内に残存するエアAをエア抜き流路64を通して外部に排気できる。これに伴い、吐出路30にエア抜き流路64がない場合と比べ、吐出路30内の残存エアAを減らすことができ、残存エアAに起因する波状流W1の形状の変化を抑えられる。
吐出路30内の残存エアAに対する他の対策として、吐出路30に流入する液体W2の大流量化も考えられる。これにより、吐出路30内に流入する液体W2が吐出路30内の残存エアAを巻き込み易くなり、吐出路30内の残存エアAを減らし易くなる。しかしながら、この対策を採る場合、波状流W1の振動周期が過度に速くなってしまう問題があるとの知見を本発明者は得た。水回り設備12で吐出装置10を用いる場合、波状流W1の見栄えを良好にする観点から、その振動周期を遅くすることで、ゆったり感をユーザに与えることが望まれる。本実施形態によれば、吐出路30内の残存エアAを減らしつつ、吐出路30に流入する液体の流量を小さくできる。これに伴い、波状流W1の振動周期を遅くすることで、その見栄えを良好にできる利点がある。また、吐出装置10から吐出した波状流W1をユーザの身体に当てて用いる場合、波状流W1の振動周期を遅くすることで、ゆったりとしたマッサージ感をユーザに与えられる利点もある。
本実施形態のエア抜き流路64は合流室46の内面に開口している。よって、波状流W1の形状の変化に対する影響が大きい合流室46内の残存エアAを減らすことができ、波状流W1の形状の変化を効果的に抑えられる。
揺らぎタイプの吐出路30の場合、エア抜き流路64の導入口64aは、次に説明するエア溜まり領域72に開口していると好ましい。中間流路42L、42Rの中心軸線CL2に沿った方向を軸線方向Daという。高さ方向Zから見て、中間流路42L、42Rからその軸線方向Daに直線的に延びる領域を液流通過領域70という。液流通過領域70は、中間流路42L、42Rから直線的に液流(噴流FbL、FbR)が合流室46内に流入した場合に、その液流の通過が想定される領域である。本実施形態の中間流路42L、42Rは、高さ方向Zから見て、合流室46側に向かうにつれて、中間流路42L、42Rの軸線方向Daに直交する方向での内幅寸法が連続的に変化する。この場合、中間流路42L、42Rの内幅寸法が最も狭い箇所から中間流路42L、42Rの軸線方向Daに直線的に伸びる領域を液流通過領域70とする。揺らぎタイプの吐出路30において、一対の液流通過領域70は、高さ方向Zから見て、合流室46内で交わるように設けられる。
液流通過領域70に対して吐出孔38とは反対側(上流側)において、一対の中間流路42L、42Rそれぞれの液流通過領域70と合流室46の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域72という。このエア溜まり領域72を形成する合流室46の内面とは、本実施形態では、合流室46の上流側(後側)に位置する上流側面46bである。このエア溜まり領域72は、合流室46内に液体W2が満たされるまで溜められる過程でエアAが残存し易い領域である。これは、このエア溜まり領域72では、一対の中間流路42L、42Rから合流室46内に流入する液流(噴流FbL、FbR)により吐出孔38側にエアAが逃げ難くなるためと考えられる。
導入口64aは、合流室46内においてエア溜まり領域72に開口していると好ましい。導入口64aは、少なくとも一部において、エア溜まり領域72に開口していればよい。本実施形態の導入口64aは、エア溜まり領域72にのみ開口している。
(B)これにより、揺らぎタイプの吐出路30においてエアAが残存し易いエア溜まり領域72からエア抜き流路64を通して残存エアAを外部に排気し易くなる。この結果、揺らぎタイプの吐出路30において、波状流W1の振幅を効果的に大きくできる。また、吐出路30に流入する液体W2の流量を小さくすることで、波状流W1の振幅を確保しつつも振動周期を遅くでき、その見栄えをより良好にできる。これらの効果は実験的な検討により得られたものである。この他にも、揺らぎタイプの吐出路30において、合流室46内のエアAを早期に排気できる。
このエア溜まり領域72から残存エアAを排気し易くする観点から、導入口64aは、高さ方向Zから見て、エア溜まり領域72において、吐出孔38の中心線CL1と重なる位置に開口していると好ましい。別の観点からみると、導入口64aは、エア溜まり領域72において、合流室46の左右方向Yでの中央部に開口していると好ましい。また、導入口64aは、高さ方向Zから見て、エア溜まり領域72において、合流室46の内面(上流側面46b)から離れた箇所に開口していると好ましい。これは、エア溜まり領域72において合流室46の内面には液体W2が伝わり易く、その内面に連なる箇所ではエアAが残存し難いためである。
本実施形態の導入口64aは、吐出路30の内上面48に開口する。より詳しくは、合流室46において内上面48に開口する。これにより、吐出路30内で上方に浮き上がる残存エアAがエア抜き流路64に入り易くなり、吐出路30内の多くの残存エアAを外部に排気し易くなる。
エア抜き流路64は、吐出路30から取り込んだエアAを排出する排出口64bを有する。吐出装置10が波状流W1を吐出している状態にあるとき、吐出路30内の液体W2の一部がエア抜き流路64を通して排出口64bから漏れ出る液漏れが発生し得る。このエア抜き流路64から漏れ出た液体W2が吐出装置10の外部で広い範囲に伝わり落ちると見栄えの低下を招く。
この対策として、本実施形態の排出口64bは、排出口64bから排出する液体W2を波状流W1に合流させることが可能な位置に開口する。詳しくは、本実施形態の排出口64bは、吐出孔38より上側にて装置本体26の前面部26aに開口する。これにより、吐出孔38において排出口64bから排出された液体W2が方向Bに流れ落ちることで、その液体W2を波状流W1と合流させることができる。これに伴い、排出口64bから漏れ出た液体W2が吐出装置10の外部で広い範囲に伝わり落ちる事態を避けられ、良好な見栄えを得られる。
なお、同様の効果を得るうえで、排出口64bの開口位置はこれに限定されない。たとえば、排出口64bは、吐出孔38の内面に開口していてもよい。この場合、エア抜き流路64によって吐出孔38より上流側の空間と開放空間68とを連通させるために、排出口64bは、波状流W1によって常時塞がれていない箇所にて吐出孔38の内面に開口していればよい。
本実施形態のエア抜き流路64は、エア抜き流路64の導入口64aから高さ方向Zに延びる第1流路部64cと、第1流路部64cから前後方向Xに延びる第2流路部64dとを有する。第1流路部64cは第1本体部材34に形成される閉断面形状の孔部が構成する。第2流路部64dは、第1本体部材34に形成される開断面形状の溝部と、その溝部の開口部を覆い塞ぐ第2本体部材36の壁面とが構成する。このように、エア抜き流路64は複数の本体部材34、36を組み合わせて構成してもよいし、単数の本体部材により構成してもよい。
(第2実施形態)
図12を参照する。本実施形態の吐出装置10は、第1実施形態と比べて、エア抜き流路64を閉塞する閉塞部材74を備える点で相違する。本実施形態の閉塞部材74はエア抜き流路64の内部に配置され、その内部でエア抜き流路64を閉塞している。この他にも、エア抜き流路64の外部に配置され、エア抜き流路64を覆い塞ぐことで、エア抜き流路64を閉塞してもよい。
閉塞部材74は、吐出路30内のガスに対して透過性を持つとともに、吐出路30内に流入する液体W2に対して不透過性を持つ。本実施形態の閉塞部材74は、このような条件を満たす素材を用いて構成される。この素材は、たとえば、ポリエチレン製不織布等である。これにより、吐出路30内からエア抜き流路64を通り抜けようとするガスの流れを許容しつつ、吐出路30内からエア抜き流路64を通り抜けようとする液体W2の流れを阻害できる。
以上の構成により、吐出路30内の残存エアAをエア抜き流路64を通して排出しつつ、エア抜き流路64から流れ出ようとする吐出路30内の液体Wを閉塞部材74により堰き止められる。これに伴い、吐出路30内の液体W2がエア抜き流路64から外部に漏れ出る液漏れの発生を抑えられる。特に、吐出装置10の外部での液漏れの発生を抑えることで、その液体W2が広い範囲に伝わり落ちる事態を避けられ、良好な見栄えを得られる。
(第3実施形態)
本実施形態では、合流タイプの吐出路30として、カルマン渦を利用するカルマン渦タイプの吐出路30を説明する。
図13を参照する。本図は、図3と同じ視点から第3実施形態の吐出装置10を見た断面図である。吐出路30は、第1実施形態と同様、上流側から液体W2が流入する入口流路40と、入口流路40から液体W2が流入する一対の中間流路42L、42Rとを備える。また、吐出路30は、第1実施形態と同様、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから流入する液体W2が合流する合流室46と、合流室46内の液体W2を外部に吐出する吐出孔38と、を備える。本実施形態の吐出路30も、図示はしないが、前後方向Xに直交する断面において矩形状をなす。吐出路30には、入口流路40内にて前後方向Xで前側(下流側)に流れる液体W2が衝突する衝突部56が設けられる。
以上の吐出装置10の動作を説明する。
図14を参照する。入口流路40内には中継流路28から流入口28aを通して液体W2が流入する。入口流路40内に流入した液体W2は、その流入箇所から拡散しつつ前後方向Xで前側に向けて流れる。入口流路40内で前側に流れる液体W2の一部は衝突部56に衝突することで、一対の中間流路42L、42Rを交互に通り抜けるカルマン渦100を形成する。この結果、合流室46内に複数のカルマン渦100からなる左右で一対の渦列102L、102Rが形成される。
カルマン渦100は、合流室46内で成長しながら合流室46の下流側面46aに衝突し、その衝突により流れ方向を変えつつ吐出孔38を通り抜ける液流を形成する。左側のカルマン渦100は、吐出孔38を通り抜ける液流として、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで右側に向かう速度ベクトルを持つ液流を形成する。右側のカルマン渦100は、吐出孔38を通り抜ける液流として、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで左側に向かう速度ベクトルを持つ液流を形成する。
このように、一対の渦列102L、102Rそれぞれのカルマン渦100が形成する液流の左右方向Yでの速度ベクトルの向きは周期的に切り替わる。この結果、吐出孔38からは、波状の液流、つまり、前述の波状流W1が吐出される。吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから合流室46内に液流を流入させることで、吐出孔38から吐出される液流の進行方向を左右方向Yに揺動可能であり、その進行方向を揺動させることで波状流W1を吐出可能であることになる。
図15を参照する。本実施形態の装置本体26にも、吐出孔38より上流側において、吐出路30の内面に開口するエア抜き流路64が形成される。カルマン渦タイプの吐出路30の場合、エア抜き流路64の導入口64aは、次に説明するエア溜まり領域72に開口していると好ましい。本実施形態においても、第1実施形態で説明した液流通過領域70を用いてエア溜まり領域72を定義する。カルマン渦タイプの吐出路30において、一対の液流通過領域70は、高さ方向Zから見て、合流室46内で交わらないように設けられる。
高さ方向Zから見て、合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域であって、一対の中間流路42L、42Rそれぞれの液流通過領域70と合流室46の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域72という。この「合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域」とは、吐出孔38の中心線CL1上での合流室46のX方向での寸法Laを二等分する位置Paより、合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域をいう。このエア溜まり領域72は、第1実施形態と同様、合流室46内に液体W2が満たされるまで溜められる過程でエアAが残存し易い領域である。
エア抜き流路64の導入口64aは、合流室46内においてエア溜まり領域72に開口していると好ましい。これにより、前述の(B)で説明した効果をカルマン渦タイプの吐出路30においても得られる。つまり、カルマン渦タイプの吐出路30においてエアAが残存し易いエア溜まり領域72からエア抜き流路64を通して残存エアAを外部に排気し易くなる。この結果、カルマン渦タイプの吐出路30において、波状流W1の振幅を効果的に大きくできる。また、カルマン渦タイプの吐出路30において、合流室46内のエアAを早期に排気できる。
このように、吐出路30は、上流側から流入した液体W2を吐出孔38から波状流W1として放射状に吐出可能であればよい。また、吐出路30の具体例は合流タイプに限られない。
各構成要素の他の変形例を説明する。
水回り設備12の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチン設備、洗面設備、トイレ設備等でもよい。水回り設備12の槽体14の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチンシンク、手洗シンク等のシンクでもよい。
吐出システム16の貯留槽18は、水回り設備12の槽体14に限定されず、たとえば、槽体14とは別に設けられていてもよい。
吐出装置10の具体例は特に限定されず、たとえば、シャワー装置、水栓装置等でもよい。吐出装置10が吐出する液体W2は水に限定されず、たとえば、洗剤を含有する洗剤液でもよい。
吐出路30内での流入口28aの開口位置は特に限定されない。流入口28aは、たとえば、吐出路30の内側面52に開口してもよいし、前後方向Xの最も後側に設けられる吐出路30の奥底面に開口してもよい。
エア抜き流路64は、吐出孔38より上流側において、吐出路30の内面に開口していればよい。これにより、その程度の差異はあるものの、前述の(A)に記載のような、残存エアAに起因する波状流の形状の変化を抑えられる。また、合流タイプの吐出装置10であれば、カルマン渦タイプの吐出装置10でも、吐出路30の合流室46の内面に開口していれば、波状流W1の形状の変化を効果的に抑えられる。また、エア抜き流路64は、吐出路30の内下面50に開口していてもよいし、その内側面52に開口していてよい。
開放空間68は、大気に開放されていればよく、その具体例は特に限定されない。たとえば、開放空間68は、吐出装置10の内部の他の空間でもよい。
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
また、以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。たとえば、第3実施形態のエア抜き流路64の構造と第2実施形態の閉塞部材74を組み合わせてもよい。
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の吐出装置は、第1態様において、前記吐出路は、上流側から液体が流入する入口流路と、前記入口流路から液体が流入する一対の中間流路と、前記一対の中間流路のそれぞれから流入する液体が合流する合流室と、前記合流室内の液体を外部に吐出する前記吐出孔と、を有し、前記吐出路は、前記入口流路から前記一対の中間流路のそれぞれを介して前記合流室内に液体を流入させることで前記吐出孔から波状流を放射状に吐出可能であり、前記エア抜き流路は、前記合流室の内面に開口してもよい。この態様によれば、波状流の形状の変化に対する影響が大きい合流室内の残存エアを減らすことができ、波状流の形状の変化を効果的に抑えられる。
第3態様の吐出装置は、第2態様において、前記吐出孔の中心線方向と前記波状流がなす波状形状の振動方向に直交する高さ方向から見て、前記中間流路から前記中間流路の軸線方向に直線的に延びる領域を液流通過領域としたとき、前記一対の中間流路それぞれの前記液流通過領域は、前記高さ方向から見て、前記合流室内で交わるように設けられ、前記高さ方向から見て、前記液流通過領域に対して前記吐出孔とは反対側において前記一対の中間流路それぞれの前記液流通過領域と前記合流室の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域としたとき、前記エア抜き流路は、前記エア溜まり領域に開口してもよい。この態様によれば、揺らぎタイプの吐出路において、エア溜まり領域からエア抜き流路を通して残存エアを外部に排気し易くなり、波状流の振幅を効果的に大きくできる。
第4態様の吐出装置は、第2態様において、前記吐出孔の中心線方向と前記波状流がなす波状形状の振動方向に直交する高さ方向から見て、前記中間流路から前記中間流路の軸線方向に直線的に延びる領域を液流通過領域としたとき、前記一対の中間流路それぞれの前記液流通過領域は、前記高さ方向から見て、前記合流室内で交わらないように設けられ、前記高さ方向から見て、前記合流室内において前記吐出孔とは前記中心線方向の反対側の領域であって、前記一対の中間流路それぞれの前記液流通過領域と前記合流室の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域としたとき、前記エア抜き流路は、前記エア溜まり領域に開口してもよい。この態様によれば、カルマン渦タイプの吐出路において、エア溜まり領域からエア抜き流路を通して残存エアを外部に排気し易くなり、波状流の振幅を効果的に大きくできる。
第5態様の吐出装置は、第1から第4態様のいずれかにおいて、前記吐出路は、鉛直方向に対向する内上面及び内下面を有し、前記エア抜き流路は、前記内上面に開口してもよい。この態様によれば、吐出路内で上方に浮き上がる残存エアがエア抜き流路に入り易くなり、吐出路内の多くの残存エアを外部に排気し易くなる。
第6態様の吐出装置は、第1から第5態様のいずれかにおいて、前記エア抜き流路は、前記吐出路から取り込んだエアを排出する排出口を有し、前記排出口は、前記排出口から排出する液体を前記波状流に合流させることが可能な位置に開口してもよい。この態様によれば、排出口から漏れ出た液体が吐出装置の外部で広い範囲に伝わり落ちる事態を避けられ、良好な見栄えを得られる。
第7態様の吐出装置は、第1から第6態様のいずれかにおいて、前記エア抜き流路を閉塞する閉塞部材を備え、前記閉塞部材は、ガスに対して透過性を持つとともに前記液体に対して不透過性を持ってもよい。この態様によれば、吐出路内の液体がエア抜き流路から外部に漏れ出る液漏れの発生を抑えられる。