しかし、上記特許文献1の気体溶解器では、気泡通過部及び排出口はともに気体溶解器の下部に設けられており、これらの間の間隔も小さい。このため、余剰気体としての気泡の径が小さい場合は浮力も小さく、気体溶解液の流れにのって気泡の一部も排出口から排出されてしまう。このように、気泡の混じった気体溶解液が気泡発生器に送られてしまうと、気泡発生器で発生する微細気泡に混じって未溶解気泡が浴槽内に噴射され、入浴者の快適感を損ねる原因となってしまうという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気液分離機能を備えた気体溶解器において、余剰気体と気体溶解液との分離を確実に行うことにある。
上記目的を達成するために、第1の発明に係る気体溶解器は、上部に流入口(50)が形成され、該流入口(50)から内部に流入した気液混合流体が液層と気層とに分離されるタンク(41)を備えた気体溶解器であって、上記タンク(41)は少なくとも、上記気液混合流体中の気体を液体に溶解させて気体溶解液とする気体溶解部(24)が内側に形成された内筒(23)と、上記内筒(23)の外側に設けられ、該内筒(23)との間に上記気体溶解液から余剰気体を分離する気液分離部(25)が形成された外筒(21)とで構成され、上記流入口(50)からタンク(41)内に流入する気液混合流体を上記気体溶解部(24)の液層内に噴射して気泡を発生させる噴射ノズル(44)と、上記タンク(41)内の内筒(23)及び外筒(21)の上端部間に、上記気体溶解部(24)及び気液分離部(25)と連通するように設けられ、上記気体溶解液及び余剰気体を上記気体溶解部(24)から気液分離部(25)に向かって通過させる第1通過部(30)と、上記タンク(41)内の上部に配設されて気液分離部(25)の気層の余剰気体をタンク(41)外に排出する排気口(32)と、上記外筒(21)の下部に設けられ、上記第1通過部(30)を通過して気体溶解部(24)を下降移動した気体溶解液をタンク(41)外に流出させる流出口(51)とを備えている。
上記の構成によると、流入口(50)から流入した気液混合流体は、噴射ノズル(44)から、内筒(23)の内側に形成された気体溶解部(24)の液層に噴射される。噴射された気液混合流体は、液層内に多数の気泡を発生させ、これらの気泡が液層内の液体と接触して溶解する。そして、気体溶解部(24)の液層内を対流する間に気体が溶けた気体溶解液と、液体に溶けなかった余剰気体としての気泡とは、内筒(23)の上端部の第1通過部(30)を通り、気泡の一部が排気口(32)から排出される一方、残りの気泡及び気体溶解液は、内筒(23)と外筒(21)との間に形成された気液分離部(25)に流入する。
第1通過部(30)を通過した気泡は、気液分離部(25)の気層に溜まり、気液分離部(25)の上部に設けられた排気口(32)から排出される。一方、気液分離部(25)に流入した気体溶解液は、気液分離部(25)を下降移動して外筒(21)の下部に設けられた流出口(51)から流出する。第1通過部(30)を通過する際に、排気口(32)から排出されずに気体溶解液の流れに乗って気液分離部(25)に流入した気泡は、気体溶解液が気液分離部(25)を下降移動する際に浮力により上昇して気層に溜まり、排気口(32)から排出される。このように、気体溶解部(24)において気体が液体に溶解するとともに、気液分離部(25)において余剰気体と気体溶解液とが分離される。
第2の発明に係る気体溶解器は、上記第1の発明に係る気体溶解器において、上記内筒(23)の内側に設けられ、上記タンク(41)の底壁(22)との間に隙間を空けて第2通過部(33)を形成するとともに、上記内筒(23)との間に上記気液混合流体を上記第2通過部(33)から上記第1通過部(30)に向かって上昇移動させる案内部(27)を形成する案内筒(26)をさらに備えている。
上記の構成によると、気体溶解部(24)の液層内で気体が溶けた気体溶解液と余剰気体としての気泡とは、案内筒(26)の下端と底壁(22)との間に設けられた第2通過部(33)を通り、案内筒(26)と内筒(23)との間に形成された案内部(27)を上昇移動する。第2通過部(33)は気体溶解部(24)の下部に設けられているため、浮力により上昇しようとする気泡は第2通過部(33)を通過しにくく、気泡が気体溶解部(24)内を対流する時間が長くなる。
そして、第2通過部(33)を通過した気体溶解液と気泡とは案内部(27)を上昇移動し、第1通過部(30)を通過する。この第1通過部(30)を通過する際に、気泡は排気口(32)から排出される。一方、気液分離部(25)に流入した気体溶解液は気液分離部(25)を下降して流出口(51)から流出する。
第3の発明に係る気体溶解器は、上記第1または第2の発明に係る気体溶解器において、上記排気口(32)は、上記気液分離部(25)の液層の液面以上の高さ位置に配設されている。
上記の構成によると、第1通過部(30)を通過した気泡は気層に溜まり、この気層から、気液分離部(25)の液面以上の高さに配設された排気口(32)を介して余剰気体が排出される。
第4の発明に係る気体溶解器は、上記第1または第2の発明に係る気体溶解器において、上記内筒(23)の上端は、上記気液分離部(25)の液層の液面よりも低い高さ位置に配設されている。
上記の構成によると、気液分離部(25)の液面が内筒(23)の上端よりも高く、第1通過部(30)を通過する気体溶解液及び気泡の流路が確保される。
第5の発明に係る気体溶解器は、上記第1または第2の発明に係る気体溶解器において、上記タンク(41)の底壁(22)には、上記気体溶解部(24)及び気体分離部(25)の少なくとも一方に対応して、該タンク(41)内に残留した液体を排出するための排出孔(22a,22b)が形成されている。
加圧された気液混合流体が流入する気体溶解器(14)では、微細気泡発生装置(10)の運転が停止すると、気体が大気圧まで減圧されて膨張するため、タンク(41)の気体溶解部(24)内の液体は内筒(23)を乗り越えて流出口(51)からタンク(41)外へ流出されるが、該タンク(41)の構造などによって、気体溶解部(24)や気体分離部(25)内に液体が残留してしまう場合がある。
これに対し、上記構成にすることで、微細気泡発生装置(10)の運転が停止した後に、タンク(41)内の気体溶解部(24)や気液分離部(25)に残留した液体を、該タンク(41)の底壁(22)に形成された排出孔(22a,22b)から排出することができるため、タンク(41)内に液体が残留するのを防止することができる。
第6の発明に係る気体溶解器は、上記第5の発明に係る気体溶解器において、上記排出孔(22a,22b)は、液体を排出するための排出配管(71)と連通していて、上記排出配管(71)上には、開閉弁(72)が設けられている。これにより、配管(71)上の開閉弁(72)を開閉させることで、排気孔(22a,22b)からの液体の排出を自在にコントロールすることができる。
第7の発明に係る気体溶解器は、上記第1または第2の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は複数の噴射口(55)を有している。
上記の構成によると、流入口(50)から流入した気液混合流体は、噴射ノズル(44)の複数の噴射口(55)に分配されることで流速が増して気体溶解部(24)内に噴射される。各噴射口(55)から噴射された気液混合流体は、液層内に多数の気泡を発生させるので、これらの気泡が液層内の液体と接触して溶解する。液層内に多数の気泡を発生させることによって、気液混合流体における体積当たりの気体(気泡)の表面積が増大するので、気液界面面積が増大し、気体の液体への溶解が促進される。
第8の発明に係る気体溶解器は、上記第7の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、各噴射口(55)が上記気体溶解部(24)の気層に臨むように設けられている。
上記の構成によると、噴射ノズル(44)の各噴射口(55)から気液混合流体が気層に噴射されるので、気液混合流体が流速を増した状態を維持したまま液層に噴射されて液層内に多数の気泡が発生するとともに、液層内が攪拌されて気体の液体への溶解が促進される。
第9の発明に係る気体溶解器は、上記第7の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、上流側面部(57)に上記流入口(50)に連通する連通孔(54)を中央部に有する一方、下流側面部(58)の周辺部に上記各噴射口(55)が設けられている。
ここで、噴射口(55)が、流入口(50)と連通する連通孔(54)に対応する中央部にも設けられているとすると、中央部の噴射口から噴射される気液混合流体と、その周辺部に設けられている噴射口(55)から噴射される気液混合流体とは噴射状態が異なると考えられるので、気泡の発生が不十分になるとともに、液層全体を効率よく攪拌することができない。
これに対し、上記第9の発明の構成によると、噴射口(55)が連通孔(54)に対応する中央部を除く部分に設けられているので、連通孔(54)から流入した気液混合流体が分配されて各噴射口(55)から噴射され、各噴射口(55)における気液混合流体の噴射状態がほぼ一様となり、気泡が充分に発生するとともに、液層の広い部分に気液混合流体が噴射されて充分に液層が攪拌される。
第10の発明に係る気体溶解器は、上記第8の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、上記噴射口(55)から気液混合流体が気層において互いに干渉しない方向に噴射されるように構成されている。
上記の構成によると、各噴射口(55)から噴射される気液混合流体が気層において互いに干渉しないので、気液混合流体は流速が増した状態のまま液層に噴射されて、気泡が充分に発生する。
第11の発明に係る気体溶解器は、上記第8の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、上記噴射口(55)から気液混合流体が上記気体溶解部(24)の液層に向かって鉛直下方向に噴射されるように構成されている。
上記の構成によると、流速が増した気液混合流体が液層に向かって真下に噴射されるので、噴射された気液混合流体が内筒(23)に衝突せずに気体溶解部(24)内の下部まで到達しやすく、液層が全体的に攪拌される。これにより、気泡が液層内を対流して拡散するので、気体の液体への溶解が促進される。
第12の発明に係る気体溶解器は、上記第8の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、上記噴射口(55)から気液混合流体が互いに等しい流速で噴射されるように構成されている。
上記の構成によると、各噴射口(55)から噴射される気液混合流体の流速が互いに等しいので、液層が全体的に攪拌される。
第13の発明に係る気体溶解器は、上記第8の発明に係る気体溶解器において、上記噴射ノズル(44)は、上記噴射口(55)から気液混合流体が上記気体溶解部(24)の液層の液面周辺部に向かって噴射されるように構成されている。
上記の構成によると、気体溶解部(24)内の液層の液面周辺部に気液混合流体が噴射されて、液層が全体的に攪拌される。
したがって、本発明によれば、気体溶解部(24)で気体を液体に溶解させた後、この気体溶解液と余剰気体としての気泡が第1通過部(30)を通過し、気体溶解液は気液分離部(25)を下降移動して流出口(51)から流出する一方、気泡は気液分離部(25)の気層に溜まり、排気口(32)から排出される。内筒(23)の上端に設けられた第1通過部(30)を通過する際に気泡は気層に移動して排気口(32)から排出され、気液分離部(25)に流入した気泡も、気体溶解液が気液分離部(25)を下降移動する際に浮力により上昇して気層に溜まるので、余剰気体と気体溶解液との分離を確実に行うことができる。
また、タンク(41)は、外筒(21)の内側に内筒(23)を配置しただけの構成であるので、簡単な構造で気液分離機能を有する気体溶解器(14)を提供することができる。
上記第2の発明によれば、気体溶解液と余剰気体とを案内筒(26)の下端と底壁(22)との間に設けた第2通過部(33)を通過させ、案内部(27)を上昇させた後に第1通過部(30)を通過させるようにした。余剰気体としての気泡は浮力により上昇しようとするので、気体溶解部(24)の下部に設けられた第2通過部(33)を通過しにくく、案内筒(26)の内側の気体溶解部(24)における対流時間が長くなり、気体の液体への溶解効率を向上させることができる。
また、第2通過部(33)を通過した気泡は第1通過部(30)を通過する際に気液分離部(25)の気層に溜まって排気口(32)から排出される。気泡が第2通過部(33)を通過しにくいので、第1通過部(30)を通過する気泡が減少するとともに、第1通過部(30)を通過した気泡は排気口(32)から排出されるので、より確実に余剰気体と気体溶解液との分離を行うことができる。
上記第3の発明によれば、排気口(32)を気液分離部(25)の液層の液面以上の高さに配設したので、気層に溜まった余剰気体が排出されやすくなり、余剰気体と気体溶解液との分離をより一層確実に行うことができる。
上記第4の発明によれば、内筒(23)の上端が気液分離部(25)の液層の液面よりも下方に位置するようにしたので、第1通過部(30)を通過する余剰気体と気体溶解液との流路が確保され、第1通過部(30)を通過した気体溶解液は気液分離部(25)を下降して流出口(51)から流出し、余剰気体は排気口(32)から排出されるので、余剰気体と気体溶解液とをより一層確実に分離することができる。
上記第5の発明によれば、タンク(41)の気体溶解部(24)や気液分離部(25)に対応して排出孔(22a,22b)を設けたので、該タンク(41)内に残留した液体を排出することができ、長期間運転停止した状態であっても該タンク(41)内に雑菌等が発生するのを防止できる。
上記第6の発明によれば、排出孔(22a,22b)に連通する排出配管(71)上に開閉弁(72)を設けたので、該排出孔(22a,22b)からの液体の排出を自在にコントロールすることができる。
上記第7の発明によれば、複数の噴射口(55)から気液混合流体を噴射して液層内に気泡を発生させて、気液界面面積を増大させたので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、タンク(41)内に噴射ノズル(44)を設けただけなので、気体溶解器(14)が大型化せず、これを備えた微細気泡発生装置(1)の大型化も抑制することができる。
上記第8の発明によれば、噴射ノズル(44)を気層に臨むように設けたので、流速を増した状態のまま勢いよく気液混合流体を液層に向かって噴射させることができ、多数の気泡を液層内に発生させて気液界面面積を増大させることができるとともに、液層を攪拌するので液体への気体の溶解効率をさらに向上させることができる。
上記第9の発明によれば、各噴射口(55)を流入口(50)に対応する連通孔(54)を除く周辺部分に設けたので、気液混合流体が流入口(50)から連通孔(54)を通って分配され、各噴射口(55)から噴射される気液混合流体の状態がほぼ一様になり、気泡を充分に発生させることができるとともに、液層の周辺部分に気液混合流体を噴射して液層を攪拌するので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
上記第10の発明によれば、気液混合流体を気層において互いに干渉しないように各噴射口(55)から噴射したので、気液混合流体が流速が増した状態のまま液層に噴射されて、気泡が充分に発生し、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
上記第11の発明によれば、気液混合流体を液層に向かって鉛直下方に噴射するので、液層全体が攪拌されて気泡が液層内に充満し、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
上記第12の発明によれば、気液混合流体を各噴射口(55)から互いに等しい流速で噴射するので、液層が全体的に攪拌されて気泡が液層内に充満し、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
上記第13の発明によれば、気液混合流体を液層の液面周辺部に噴射するので、液層が全体的に攪拌されて気泡が液層内に拡散されるので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1に示すように、本実施形態1の気体溶解器(14)を備えた微細気泡発生装置(10)は、微細気泡を含んだ水(液体)を浴槽等の水槽(5)に供給するものである。
上記微細気泡発生装置(10)は、入口側及び出口側がそれぞれ水槽(5)に接続され、水が循環する循環流路(11)を備えている。この循環流路(11)には、上流側から下流側に向かって順に、気体導入器(12)と、ポンプ機構(13)と、気体溶解器(14)と、気泡発生器(16)が設けられている。
上記気体導入器(12)は、循環流路(11)内へ気泡源となる空気(気体)を外部から導入するものである。この気体導入器(12)は、その内部の水流によって発生する負圧を利用して空気を吸入するものである。
上記ポンプ機構(13)は、水槽(5)の水を循環流路(11)内で循環させるためのものである。このポンプ機構(13)は、気体導入器(12)側から吸い込んだ水を気体溶解器(14)側へ吐出するように構成されている。このポンプ機構(13)によって吐出される際に、水は加圧される。つまり、本実施形態において、上記ポンプ機構(13)は循環流路(11)における水の加圧手段を構成している。
上記気体溶解器(14)は、気体導入器(12)によって導入された空気を水に溶解させる、または水に対する空気の溶解を促進させた後、未溶解の余剰気体と気体溶解液とを分離させるものである。
上記気体溶解器(14)は、図2に示すように、縦長の円筒状に形成されたタンク(41)を備えている。このタンク(41)は、鉛直方向に縦長となるように循環流路(11)に接続され、タンク(41)内では気液混合流体が液層と気層とに分離されている。
上記タンク(41)は、中央に流入口(50)が設けられる円形状の上壁(20)と、側面下部に流出口(51)が設けられている円筒状の外筒(21)と、円形状の底壁(22)とを備えている。上記流入口(50)には流入管(42)が接続されている一方、流出口(51)には流出管(43)が接続されていて、これらの流入管(42)および流出管(43)は、上記循環流路(11)に接続されると共に、タンク(41)の内部に連通している。
また、上記タンク(41)は、外筒(21)の内側に円筒状の内筒(23)をさらに備えている。この内筒(23)は、その下端が上記底壁(22)に接続され、かつ、上壁(20)との間に所定の間隔を空けるように、設けられている。
そして、上記タンク(41)内において、上記内筒(23)の内側の空間が、流入口(50)からタンク(41)内に流入する気液混合流体中の気体を液体に溶解させて気体溶解液とする気体溶解部(24)として構成されている。一方、内筒(23)と外筒(21)との間の空間は、上記気体溶解液及び余剰気体を分離する気液分離部(25)として構成されている。
上記流入口(50)には、流入管(42)に連通し、かつタンク(41)内に突設する有底円筒状の噴射ノズル(44)が接続されている。この噴射ノズル(44)は、流入管(42)と連通する連絡管(53)を介して流入口(50)に連通するように設けられている。噴射ノズル(44)の上流側面部(57)における平面視中心部には、連絡管(53)[流入口(50)]と連通する連通孔(54)が形成されている。
一方、上記噴射ノズル(44)の下流側面部(58)には、図3に示すように、複数(図では24個)の噴射口(55)が設けられている。これらの噴射口(55)は、上記連通孔(54)に対応する中央部を除く、下流側面部(58)の平面視周辺部分に設けられている。また、噴射ノズル(44)は、内筒(23)の径よりも小さい外径を有する円筒状に形成されており、平面視で気体溶解部(24)の内側に位置するように配設されている。
上記噴射口(55)は、具体的には、図3(a)に示すように、等間隔に配置された6個の噴射口(55)を一組として、4組が周方向に等間隔に配置されている。また、図3(b)に示すように、径方向に並んだ2個の噴射口(55)を一組として、12組が周方向に等間隔に配置されていてもよい。
すなわち、上記噴射口(55)は、噴射ノズル(44)の下流側面部(58)に、該下流側面部(58)の中心に対して互いに対称に配置されるとともに、流入口(50)から流入した気液混合流体が連通孔(54)を通って各噴射口(55)に分配され、噴射口(55)から気液混合流体が互いに等しい流速で噴射されるように、設けられている。
また、上記噴射ノズル(44)は、流入管(42)から流入した水を気体溶解部(24)の液層に向かって鉛直下方に噴射し、各噴射口(55)から噴射された水が互いに気体溶解部(24)の気層で干渉しないように、設けられている。
以上の構成により、上記タンク(41)内では、噴射ノズル(44)の各噴射口(55)から水が気体溶解部(24)の液面に向かって噴射され、気体溶解部(24)内の水中に気泡が発生すると共にその気泡が撹拌される。これにより、気体溶解部(24)において気泡(空気)が水に溶け込む。
上記気体溶解器(14)は、タンク(41)内の液層の液面高さが常に一定に維持されるように流入管(42)および流出管(43)の流入出量が設定されている。具体的には、該流入管(42)および流出管(43)の流入出量は、タンク(41)内の液面高さが、噴射ノズル(44)の下流側面部(58)よりも下方でかつ、内筒(23)の上端部よりも上方に維持されるように、設定されている。つまり、噴射ノズル(44)の噴射口(55)は、気体溶解部(24)内の気層に臨むように設けられている。
上記内筒(23)の上端部は、液層の液面よりも下方に位置しており、この内筒(23)の上方に、気体溶解部(24)と気液分離部(25)とを連通させ、気体溶解部(24)の流体を気液分離部(25)に向かって通過させる第1通過部(30)が構成されている。この第1通過部(30)は、気体溶解部(24)で気体が液体に溶解した気体溶解液と、液体に溶けなかった余剰気体としての気泡とが通過するように構成されている。
また、上記タンク(41)の上壁(20)には、平面視で内筒(23)および外筒(21)の間、すなわち気液分離部(25)の上方に、排気筒(31)が貫通するように設けられている。この排気筒(31)の上壁(20)よりも上側部分には排気弁(図示せず)が設けられている。一方、上記排気筒(31)の下端[タンク(41)内側端]には、気液分離部(25)の液面に接触する排気口(32)が開口している。この排気口(32)は、第1通過部(30)を通過して気液分離部(25)の気層に溜まった余剰気体をタンク(41)の外部へ排出するように設けられている。また、第1通過部(30)を通過する際に排気口(32)から排出されなかった気泡も、気液分離部(25)を気体溶解液が下降する際に浮力によって上昇して排気口(32)から排出されるようになっている。すなわち、気液分離部(25)において、余剰気体と気体溶解液とが分離されるようになっている。
上記気泡発生器(16)は、図4に示すように、円柱状の本体(61)を備えている。本体(61)には、入口側(図4の左側)から出口側(図4の右側)へ順に、入口流路(62)、分配流路(64)および出口流路(65)が形成されている。入口流路(62)には、気体溶解器(14)から流出した水(空気が溶存した水)が流入する。入口流路(62)の出口側は、流路が狭くなる流路絞り部(63)となっており、分配流路(64)に繋がっている。水は流路絞り部(63)を通過する際に減圧される。それにより、水中に溶存していた空気が析出し、微細な気泡(マイクロバブル)となる。分配流路(64)は、流路絞り部(63)よりも流路が拡大されており、複数(本実施形態では、6つ)の出口流路(65)に繋がっている。つまり、分配流路(64)に流入した水は各出口流路(65)に分流する。各出口流路(65)は、図5にも示すように、本体(61)の軸心周りに等間隔に形成されている。出口流路(65)の終端は、水槽(5)の水中に開口している。なお、水槽(5)の水は、吸入口(17)から循環流路(11)に吸入されて、再び気体導入器(12)へ流れる。
ここで、上記図1に示すように、上記循環流路(11)には、気体導入器(12)の上流側に流量計(18)が設けられている。この流量計(18)は、循環流路(11)を循環する水の流量を計測する流量計測手段を構成している。また、循環流路(11)には、吸入口(17)と流量計(18)との間に流量調節バルブ(15)が設けられている。この流量調節バルブ(15)は、開度を変更して循環流路(11)の流量を調節する流量調節手段を構成している。
−微細気泡発生装置の運転動作−
次に、上記微細気泡発生装置(10)の運転動作について説明する。この微細気泡発生装置(10)では、ポンプ機構(13)を起動させると、水槽(5)の水が吸入口(17)へ吸い込まれて循環流路(11)の出口へ向かって流通する。
なお、ポンプ機構(13)は、循環流路(11)の流量が例えば10〜15リットル/分になるように調節される。この状態では、気体溶解器(14)のタンク(41)内が0.3MPa程度に加圧される。また、運転中は、流量計(18)によって計測された流量に基づいて流量調節バルブ(15)の開度が調節される。
循環流路(11)の入口から流入した水槽(5)の水は、気体導入器(12)に流入する。気体導入器(12)では、吸い込まれた空気が水に混入される。この気液混合流体は、気体導入器(12)から流出し、ポンプ機構(13)を介して気体溶解器(14)に流入する。
気体溶解器(14)では、流入管(42)を通って流入口(50)から気液混合流体が流入し、噴射ノズル(44)からタンク(41)内の気体溶解部(24)に噴射される。詳しくは、この噴射ノズル(44)の内部では、連絡管(53)を通って連通孔(54)から流入した気液混合流体が各噴射口(55)に分配され、該噴射口(55)から流速を増した状態で噴射される。気液混合流体は、気層に臨む各噴射口(55)から流速を増した状態のまま鉛直下方に向かい、かつ気層において互いに干渉しないように噴射される。噴射された気液混合流体によって気体溶解部(24)の液層内が攪拌されるとともに、多量の気泡が液層内に充満(拡散)する。
そして、多量の気泡が液体に接触して溶解する。この空気が溶解した気体溶解液、および、水に溶けなかった余剰気体としての気泡は、気体溶解部(24)内の液層を循環した後、第1通過部(30)を通過する際に一部の気泡が排気口(32)から排出される一方、残りの気泡や気体溶解液は気液分離部(25)に流入する。この第1通過部(30)を通過した気泡は、気液分離部(25)の気層に溜まり、気液分離部(25)の上部に設けられている排気筒(31)の排気口(32)から気体溶解器(14)の外部に排気される。
一方、空気が溶解した気体溶解液は、気液分離部(25)を下降し、流出口(51)から流出管(43)を通って気体溶解器(14)を流出し、気泡発生器(16)へ流入する。第1通過部(30)を通過する際に排気口(32)から排気されず気体溶解液の流れに乗って気液分離部(25)に流入した気泡は、気体溶解液とともに気液分離部(25)を下降する際に浮力によって上昇し、排気口(32)から排気される。このようにして、気液分離部(25)で気体溶解液と余剰気体とが分離される。
気泡発生器(16)へ流入した気体溶解液は、流路絞り部(63)を通過する際に減圧される。それにより、水中に溶解した空気が析出し、水中で微細な気泡が発生する。その後、気泡を含む水は、分配流路(64)および出口流路(65)を流れて水槽(5)内へ噴出される。これにより、水槽(5)の水中に多数の微細気泡が浮遊し、水が白濁状態となる。
−実施形態1の効果−
本実施形態1の気体溶解器(14)によれば、気体溶解液及び余剰気体としての気泡が内筒(23)の上端に設けられた第1通過部(30)を通過する際に、気泡の一部は気層に移動して排気口(32)から排出されるとともに、気体溶解液は気液分離部(25)を下降して流出口(51)から流出し、上記第1通過部(30)を気体溶解液とともに通過した気泡は気液分離部(25)の気層に溜まり、排気口(32)から排出される。すなわち、上述の構成により、上記第1通過部(30)を通過する際に気泡の一部を気体溶解液から分離できるだけでなく、気液分離部(25)に流入した気泡も気体溶解液が気液分離部(25)を下降する際に浮力により上昇して気層に溜まるので、余剰気体と気体溶解液との分離を確実に行うことができる。
また、排気口(32)を気液分離部(25)の液層の液面に接触するような位置に設けたので、気層に余剰気体が溜まって液面が押し下げられた場合に、上記排気口(32)から余剰気体が排出されやすくなり、余剰気体と気体溶解液との分離をより一層確実に行うことができる。
また、内筒(23)を、その上端が気液分離部(25)の液層の液面よりも下方に位置するように設けたので、第1通過部(30)を通過する余剰気体及び気体溶解液の流路を確保することができ、第1通過部(30)を通過した気体溶解液は気液分離部(25)を下降させて流出口(51)から流出させる一方、余剰気体は排気口(32)から排出させることが可能となり、余剰気体と気体溶解液とをより一層確実に分離することができる。
しかも、本実施形態1によれば、タンク(41)が外筒(21)の内側に内筒(23)を配設した構造であるため、簡単な構造で気液分離機能を有する気体溶解器(14)を提供することができる。
また、流入口(50)から流入した気液混合流体を噴射ノズル(44)の複数の噴射口(55)に分配することで流速が増し、この気液混合流体を液層に向かって噴射することで、液層内に多数の気泡が発生して気液界面面積が増大するので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、タンク(41)内に噴射ノズル(44)を設けただけなので、気体溶解器(14)が大型化せず、これを備えた微細気泡発生装置(10)の大型化も抑制することができる。
また、噴射ノズル(44)を気層に臨むように設けたので、気液混合流体を流速が増した状態のまま勢いよく液層に向かって噴射させることができ、多数の気泡を液層内に発生させて気液界面面積を増大させることができる。しかも、上記噴射ノズル(44)から噴射された気液混合流体によって液層を攪拌することができるので、液体への気体の溶解効率をさらに向上させることができる。
また、各噴射口(55)を流入口(50)に対応する中央部を除く部分に設けたので、各噴射口(55)から噴射される気液混合流体の状態をほぼ一様にして、気泡を充分に発生させることができる。加えて、液層の周辺部分から気液混合流体を噴射して液層を攪拌するので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、各噴射口(55)を、気液混合流体を気層で互いに干渉せずに噴射可能なように設けたので、気液混合流体が流速が増した状態のまま液層に噴射することができ、液層内で十分に気泡を発生させて液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、気液混合流体を液層に向かって鉛直に噴射するので、縦長に形成されたタンク(41)の気体溶解部(24)下部まで噴射された気液混合流体が届きやすく、液層全体が攪拌されて気泡が液層内に充満するので、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、気液混合流体を各噴射口(55)から互いに等しい流速で噴射するので、液層が全体的に攪拌されて気泡が液層内に充満し、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
また、気液混合流体を液層の液面周辺部に噴射するので、液層が全体的に攪拌されて気泡が液層内に充満し、液体への気体の溶解効率を向上させることができる。
≪発明の実施形態2≫
次に、本発明の実施形態2に係る気体溶解器(14)について説明する。この気体溶解器(14)以外の微細気泡発生装置(10)の構成は上記実施形態1と同じであり、気体溶解器(14)について、同じ構成要素は同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
本発明の実施形態2に係る気体溶解器(14)は、気体溶解部(24)の内筒(23)の内側に案内筒(26)をさらに備えている点で上記実施形態1の気体溶解器(14)と異なる。
具体的には、上記案内筒(26)は、内筒(23)の内方、かつ、噴射ノズル(44)の外方に配設され、円筒状に形成されている。案内筒(26)は、その上端が上壁(20)に接続され、上記タンク(41)の底壁(22)との間に所定の隙間を空けるように設けられている。そして、この案内筒(26)と底壁(22)との間の隙間が第2通過部(33)として構成されている。
また、上記案内筒(26)と内筒(23)との間の空間は、上記気液混合流体を第2通過部(33)から第1通過部(30)に向かって上昇移動させる案内部(27)として構成されている。
したがって、上記案内筒(26)の内周側の気体溶解部(24)で気体が溶けた気体溶解液、および、余剰気体としての気泡は、上記第2通過部(33)を通過して案内部(27)を上昇する。この第2通過部(33)はタンク(41)の底壁(22)と案内筒(26)の下端との間に設けられているため、浮力により上昇しようとする気泡は、この第2通過部(33)を通過しにくい。そのため、気泡が案内筒(26)の内側の気体溶解部(24)を対流する時間が長くなっている。
上記案内部(27)を上昇して第2通過部(33)から第1通過部(30)に到達した気泡は、上記実施形態1と同様、該第1通過部(30)を通過する際や気液分離部(25)に流入した後に、気層に溜まり排気口(32)から排出される。一方、第1通過部(30)を通過した気体溶解液は、気液分離部(25)を下降して流出口(51)から流出する。このようにして、気液分離部(25)で気体溶解液と余剰気体とが分離される。
−実施形態2の効果−
本実施形態2の気体溶解器(14)によれば、気体溶解液と余剰気体とを案内筒(26)の下端と底壁(22)との間に設けた第2通過部(33)を通過させ、案内部(27)を上昇させた後に第1通過部(30)を通過させるような構成にしたため、余剰気体としての気泡は浮力により上昇しようとするので、気体溶解部(24)の下部に設けられた第2通過部(33)を通過しにくく、案内筒(26)の内側の気体溶解部(24)での対流時間が長くなり、気体の液体への溶解効率を向上させることができる。
また、上述のように気泡が第2通過部(33)を通過しにくい構成なので、実施形態1の構成に比べて第1通過部(30)を通過する気泡を減少させることができ、そのうえ、第1通過部(30)及び気液分離部(25)によって気泡は気層に溜まって排気口(32)から排出されるので、より確実に余剰気体と気体溶解液との分離を行うことができる。
《その他の実施形態》
以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
上記各実施形態では、排気筒(31)を、排気口(32)が気液分離部(25)の液層の液面に接触するような位置に配設したが、必ずしも液面に接触しなくてもよく、排気口(32)が液面以上の高さに位置するように配設されていればよい。
また、上記各実施形態では、気体溶解器(14)内の液体を流出口(51)及び流出管(43)のみを介して流出させるようにしているが、この限りではなく、微細気泡発生装置(10)が運転停止したときに、上記気体溶解器内に残留している液体を外部へ排出する排水機構を設けてもよい。
具体的には、図7に示すように、気体溶解器(14)のタンク(41)の底壁(22)には、気体溶解部(24)に対応して第1排水孔(22a)(排出孔)が、気液分離部(25)に対応して第2排水孔(22b)(排出孔)が、それぞれ形成されている。これらの排水孔(22a,22b)には、排水管(71)(排出配管)の分岐した一端側がそれぞれ接続されていて、該排水管(71)は、上記気体溶解部(24)および気液分離部(25)内の液体を外部へ排出するように構成されている。なお、この排水管(71)には、合流した配管部分に開閉弁(72)が設けられている。この開閉弁(72)は、手動により、若しくは微細気泡発生装置(10)の運転停止の際に自動的に開いて上記気体溶解部(24)および気液分離部(25)内の液体を外部へ排水するように構成されている。
これにより、上記微細気泡発生装置(10)の運転停止後にタンク(41)内に、液体が残留するのを確実に防止することができる。すなわち、上記微細気泡発生装置(10)の運転停止の際には、タンク(41)内の空気が加圧状態から大気圧まで減圧して膨張するため、該タンク(41)内の液体は内筒(23)を乗り越えて流出管(43)から排出されるが、このときにタンク(41)内から排出されない液体を上記排水孔(22a,22b)を介して排水管(71)から排水することができる。したがって、上記微細気泡発生装置(10)の運転停止後に、長時間放置した場合でも、タンク(41)内に残留した液体に起因して雑菌が発生するのを防止でき、該タンク(41)内の清浄度を保つことができる。
なお、上記図7において、上記排水孔(22a,22b)は、それぞれ、平面視で気体溶解部(24)の中心及び気液分離部(25)の幅方向(径方向)中央部分に設けられているが、この限りではなく、上記気体溶解部(24)や気液分離部(25)で液体が最後まで残りやすい部分に設けてもよい。また、上記排水孔(22a,22b)を、それぞれ、複数、設けてもよい。
さらに、上記図7では、実施形態2の構成について排水機構を設けているが、この限りではなく、実施形態1の構成について排水機構を設けてもよい。