JP7492887B2 - 吐出装置 - Google Patents

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Description

本開示は、噴流を噴射する吐出装置に関する。
浴室設備等の衛生設備に噴流を噴射する吐出装置を組み込む場合がある。近年、噴流がユーザに付与する刺激を多様化する試みがなされている。この一例として、特許文献1には、波状噴流を噴射する噴射流路を装置本体に形成した吐出装置が記載される。
特開平4-176461号公報
本願発明者は、検討を進めた結果、次の新たな認識を得るに至った。波状噴流の振動方向と平行な方向に延びる配管を介して噴射流路に液体を供給するように構成された吐出装置では、噴射流路において上記振動方向についての流れの対称性が大きく崩れてしまい、波状噴流の吐出が不安定になる場合がある。特許文献1の開示技術は、この観点から工夫を講じたものではなく、改良の余地があった。
本開示の目的の1つは、波状噴流を安定して発生させやすくする吐出装置を提供することにある。
本開示の吐出装置は、浴槽に固定され、波状噴流を噴射可能な噴射流路が形成される装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記波状噴流の振動方向と直交する方向から前記噴射流路に液体を供給する流入流路と、を備える吐出装置である。
第1実施形態の吐出システムを側方から見た模式的な構成図である。 第1実施形態の吐出装置を周辺構造とともに示す模式的な正面図である。 第1実施形態の吐出装置の側面断面図である。 第1実施形態の吐出装置の斜視図である。 図3のA-A断面図である。 運動噴流を噴射している状態を示す図である。 図3のB-B断面図である。 第1流れ状態を示す図である。 第2流れ状態を示す図である。 第2実施形態の吐出装置の側面断面図である。 第3実施形態の吐出装置の断面斜視図である。 第3実施形態の吐出装置における噴射流路の流路中心線に平行な方向の断面図である。 参考実施形態の吐出装置の下流端出口近傍の流れ状態の模式図である。 第3実施形態の吐出装置の下流端出口近傍の流れ状態の模式図である。
以下、実施形態の一例を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素の一部を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
(第1実施形態)図1、図2を参照する。吐出装置10は浴室設備14に用いられる。本実施形態の浴室設備14は、浴槽16と、浴室空間を区画する浴室壁部17とを備える。浴室設備14は、この他にも、洗い場床等を備える。吐出装置10は、浴槽16に固定される。浴槽16は、吐出装置10から吐出される噴流J及び膜状流Fdを受けることができる槽体の一例となる。
吐出装置10は、吐出システム18に用いられる。吐出システム18は、噴射対象の液体Wを貯留する貯留槽20と、貯留槽20から吐出装置10に液体Wを供給する給液路22と、給液路22の途中に設けられるポンプ24と、ポンプ24を制御する制御部26と、を備える。本実施形態の貯留槽20は、噴射対象の液体Wとして浴槽水を貯留する浴槽16である。ポンプ24は、制御部26による制御のもと、貯留槽20から吸引した液体Wを圧送することによって、給液路22を通して吐出装置10の噴射流路32aや吐出流路32bに液体Wを供給する。制御部26は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアとソフトウェアを組み合わせたコンピュータである。
本実施形態の吐出装置10は、噴射流路32aから運動噴流Jを噴射し、吐出流路32bから膜状流Fdを吐出する。運動噴流J及び膜状流Fdは、ユーザ8の身体、特に、浴槽16内において座位姿勢にあるユーザ8の首、肩、背中等に背面側から当てることができる。これにより、ユーザ8にマッサージ効果を付与できる。
吐出装置10は、浴槽16に固定される装置本体28を備える。装置本体28は、浴室設備14に設けられる壁状のベース30に取り付けられる。本実施形態のベース30は、浴槽16の上端開口の周縁部を構成するフランジ部31である。
吐出装置10は、装置本体28内に、給液路22から液体Wがそれぞれ供給される噴射流路32a及び吐出流路32bと、を備える。本実施形態の噴射流路32a及び吐出流路32bには、給液路22からそれぞれ上向きに液体Wが供給される。噴射流路32aの下流側端部には噴射孔38aが形成される。吐出流路32bの下流側端部には吐出孔38bが形成される。本明細書では、吐出装置10の吐出方向に沿った方向を前後方向A(図3参照)といい、前後方向Aに直交する水平方向を左右方向Bという。前後方向Aの両側のうち、噴射流路32aの噴射方向を前側といい、それとは反対側を後側という。
噴射孔38aは、装置本体28の前面部に開口する。本実施形態の吐出装置10は、複数(図2の例は2つ)の噴射流路32aを備える。複数の噴射流路32aの噴射孔38aは、正面視において、左右方向Bに間隔を空けた位置に設けられる。吐出流路32bの吐出孔38bは、装置本体28の前面部に開口する。吐出孔38bは、左右方向Bに延びるスリット状をなす。ここでの「正面視」とは、前後方向Aの前側から見ることであり、例えば、図2の視点から見ることと同義である。
噴射孔38aは、正面視において、吐出孔38bより下方に設けられる。本実施形態の噴射孔38aは、正面視において、吐出孔38bと上下に重なる位置に設けられる。本実施形態の噴射孔38aは、正面視において、吐出孔38bの設けられる左右方向Bでの範囲の内側に収まる位置に設けられる。噴射孔38aは、この範囲の外側にはみ出る位置に設けられないということである。
噴射流路32aは、給液路22から流入流路34を介して供給される液体Wを運動噴流Jとして噴射する。噴射流路32aには、装置本体28に設けられた流入流路34が下方から接続される。各図では運動噴流Jの噴射範囲を示す。噴射流路32aは、運動噴流Jを噴射孔38aから前方に噴射可能である。ここでの運動噴流Jとは、噴射流路32aから外部に出るときの進行方向が、周期的、つまり、時間的に変化する噴流をいう。噴射流路32aは、噴流の噴射方向Daを時間的に変化させることによって、運動噴流Jを噴射孔38aから噴射可能である。本実施形態の噴射流路32aは、噴流の噴射方向Da(図6参照)を平面内で振動させることによって、運動噴流Jとして波状噴流を放射状に噴射する。この「噴射方向Da」は、噴射流路32aから外部に噴流が出るときを基準とする。「波状」とは、噴射流路32aから離れるに連れて、運動噴流Jがなす噴流軌跡JTの軌跡中心Ct(図6参照)と直交する方向に周期的にうねる形状をいう。この「波状」には、物理的に厳密な波としての条件を満たす形状の他に、その形状に似た形状も含まれる。本実施形態の噴射流路32aは、空気中において運動噴流Jを噴射する。装置本体28は、静止した状態のまま運動噴流Jを噴射する流体素子を構成する。
吐出流路32bは、給液路22から供給される液体Wを膜状流Fdとして吐出可能である。各図では膜状流Fdの吐出範囲を示す。吐出流路32bは、運動噴流Jの上方を通る膜状流Fdを吐出孔38bから前方に吐出可能である。
膜状流Fdは、運動噴流Jの飛沫の流れを遮ることで、その飛沫の飛散範囲を制限可能である。本実施形態では、波状噴流Jとユーザ8等の物体との衝突により飛沫が生じる。本実施形態において、吐出流路32bはユーザ8の首に当たるように膜状流Fdを吐出し、噴射流路32aはユーザ8の首より下方にてユーザ8の肩に当たるように運動噴流Jを噴射する。これにより、膜状流Fdより上方への運動噴流Jの飛沫の飛散を制限でき、膜状流Fdより上方でのユーザ8の顔への飛沫の飛散を防止できる。
膜状流Fdは、流れ方向に直交する断面において有端膜状をなす。図2のハッチングは、吐出流路32bを飛び出るときの流れ方向に直交する膜状流Fdの断面を示す。ここでの「有端膜状」とは、流れ方向に直交する断面において、両端部が離れた箇所に設けられる膜状を意味する。膜状流Fdは、この断面において、非環状をなすともいえる。この条件は、吐出流路32bを飛び出るときの流れ方向に直交する断面において、少なくとも満たされていればよい。本実施形態の膜状流Fdは、このような断面において、直線状を描く有端膜状をなすが、円弧状等の曲線状でもよいし、その具体的な形状は特に限られない。
図3~図7を参照する。噴射流路32aは、運動噴流Jを誘起する誘起流路36と、誘起流路36が誘起した運動噴流Jを外部に噴射する噴射孔38aとを備える。誘起流路36の流路中心線CL1に沿った中心線方向をX方向という。本実施形態のX方向は前後方向Aと一致する。この流路中心線CL1は、誘起流路36の幾何学的な重心を連ねた重心線上に位置する。この「重心」とは、本実施形態の誘起流路36のように、複数の中間流路42A、42B(後述する)に分かれる箇所においては、複数の中間流路42A、42B全体の重心をいう。流路中心線CL1は、誘起流路36の下流端36aよりも下流側において、その下流端36aを通る重心線の接線方向に沿って直線状に延びるとする。
流路中心線CL1に直交し、互いに直交するY方向及びZ方向のそれぞれを幅方向及び高さ方向という。本実施形態のY方向は、波状噴流Jの振動方向Pでもある。この振動方向Pは、流路中心線CL1に直交する平面において、噴射流路32aから外部に波状噴流Jが出るときに波状噴流Jのなす波が振動する方向をいう。本実施形態のY方向は左右方向Bと一致する。
本実施形態の誘起流路36は、X方向に直交する断面において、Y方向に沿った内幅寸法Lyよりも、Z方向に沿った高さ寸法Lzが小さい矩形状をなす。誘起流路36は、X方向から見て(図7の視点から見て)、その流路中心線CL1に対してZ方向に対称な断面形状を持つ。誘起流路36は、Z方向から見て(図5の視点から見て)、誘起流路36の流路中心線CL1を対称軸としてY方向に対称な断面形状を持つ。本実施形態において、この条件は噴射孔38aも満たす。
誘起流路36は、給液路22から流入流路34を介して液体が流入する貯留室40と、貯留室40から液体が流入する一対の中間流路42A、42Bと、一対の中間流路42A、42Bのそれぞれから流入する液体が合流する合流室44とを備える。貯留室40は、波状噴流Jの振動方向Pと直交する方向(本実施形態では貯留室40の下方)から流入流路34に接続される。貯留室40には、流入流路34の下流端出口35cから液体Wが流入する。第1流路部35aの中心軸線CL2に直交する方向における貯留室40の断面の断面積(図5の視点から見た貯留室40の面積)は、上記直交する方向における流入流路34の下流端出口35cの断面の断面積(図5の視点から見た下流端出口35cの面積)よりも大きい。
本実施形態の流入流路34は、噴射流路32aに対して、波状噴流Jの振動方向Pと直交する方向(本実施形態では下方)に位置付けられ、噴射流路32aの下方から液体Wを供給する。流入流路34は、流入流路34の下流側端部に設けられる第1流路部35aと、第1流路部35aに対して上流側に連続する第2流路部35bとを備える。第2流路部35bは、第1流路部35aに対して噴射流路32aの下流側(前側)に位置する。第1流路部35aの中心軸線CL2は、第2流路部35bの中心軸線CL3よりも噴射流路32aの下流側(前側)に位置するともいえる。流入流路34の下流端出口35cは、貯留室40に接続される。
誘起流路36内には、貯留室40内にて下流側に向かう液体の流れを遮る第1壁部46が設けられる。一対の中間流路42A、42Bは、第1壁部46に対してY方向の両側に設けられる。一対の中間流路42A、42Bは、Y方向の片側に設けられる左側中間流路42A(第1中間流路)と、その反対側に設けられる右側中間流路42B(第2中間流路)とを含む。誘起流路36には、合流室44内にて下流側に向かう液体の流れを遮る第2壁部48が設けられる。第2壁部48は、誘起流路36の内部空間と装置本体28の外部空間を隔てており、噴射孔38aは第2壁部48をX方向に貫通している。
噴射孔38aは、噴射流路32aの下流側端部に形成される。噴射孔38aは、装置本体28の外面部に開口する。本実施形態の噴射孔38aは装置本体28の前面部に開口し、装置本体28は前方に運動噴流Jを噴射する。噴射孔38aは、誘起流路36内の液体の流れを絞る形状である。これを実現するため、本実施形態の噴射孔38aの内幅寸法は、噴射流路32aの上流側に向かう途中で、誘起流路36の内幅寸法より小さくなるように設定される。噴射孔38aは、前側に向かうに連れて、X方向と直交する方向(本実施形態ではY方向)に連続的に広がるように形成される。
本実施形態の噴射流路32aの動作を説明する。図8、図9を参照する。本図では、主な液体の流れ方向に矢印を付して示す。
貯留室40の下方に設けられた流入流路34を介して貯留室40内に流入した液体は、一対の中間流路42A、42Bを介して合流室44内に流入する。一対の中間流路42A、42Bは、貯留室40において流路中心線CL1に関して対称的な位置に配置される。そのため、後述の揺らぎの影響を考慮しない場合、一対の中間流路42A、42Bには、基本的には流路中心線CL1に関して対称性のある水流が流入する。左側中間流路42Aは、合流室44に左側内部噴流F1(第1内部噴流)を噴射する。右側中間流路42Bは、合流室44に右側内部噴流F2(第2内部噴流)を噴射する。これら噴流F1、F2は、液体のランダム性に起因する揺らぎの影響を受けて、いずれか一方が他方よりも勢いの強い支配的な流れ(以下、支配流という)となる。図8は、左側内部噴流F1が支配流となる第1流れ状態を示す。図9は、右側内部噴流F2が支配流となる第2流れ状態を示す。
図8に示すように、第1流れ状態にあるとき、右側内部噴流F2は、左側内部噴流F1との衝突によって流れを阻害される。これに対して、左側内部噴流F1は、第2壁部48に衝突するまで勢いを持って流れる。この左側内部噴流F1は、合流室44内で折り返して右側内部噴流F2と合流し、右側内部噴流F2の勢いを増幅する。この結果、右側内部噴流F2が支配流となる第2流れ状態に切り替わる。
図9に示すように、第2流れ状態にあるとき、左側内部噴流F1は、右側内部噴流F2との衝突によって流れを阻害される。これに対して、右側内部噴流F2は、第2壁部48に衝突するまで勢いを持って流れる。この右側内部噴流F2は、合流室44内で折り返して左側内部噴流F1と合流し、左側内部噴流F1の勢いを増幅する。この結果、左側内部噴流F1が支配流となる第1流れ状態に切り替わる。
以上の結果、第1流れ状態と第2流れ状態とが周期的に切り替わる。第1流れ状態にあるとき、左側内部噴流F1は、噴射孔38aを通り抜ける液流F3を形成する。この液流F3は、Y方向の一方側(図中右側)かつ前側に向かう速度ベクトルを持つ。第2流れ状態にあるとき、右側内部噴流F2は、噴射孔38aを通り抜ける液流F4を形成する。この液流F4は、Y方向の他方側(図中左側)かつ前側に向かう速度ベクトルを持つ。これらの流れ状態が周期的に切り替わることで、噴射孔38aを通り抜ける液流F3、F4は、Y方向での速度ベクトルの大きさ(ベクトル量)が周期的に増減する。この結果、噴流Jの噴射方向Daが平面内で振動することによって、前述の波状噴流Jが噴射される。
このように波状噴流J(運動噴流J)を噴射するうえで、誘起流路36は、運動噴流Jを誘起する誘起流を内部で生成する。この「誘起流」は、本実施形態では内部噴流F1、F2である。噴射孔38aは、このように誘起流路36が誘起した運動噴流Jを外部に噴射する。
(A)以上の吐出装置10の効果を説明する。仮に流入流路34が波状噴流Jの振動方向Pと平行な方向から噴射流路32aに接続され、液体Wが波状噴流Jの振動方向Pと平行な方向から噴射流路32aに供給される場合を考える。例として、流入流路34が中間流路42A側から噴射流路32aに接続され、Y方向において中間流路42A側から液体Wが供給されるものとする。Y方向から流入した液体Wの大部分は、貯留室40をY方向に直進して貯留室40の中間流路42B側の壁部と衝突して中間流路42Bに向けて方向を変える。そのため、中間流路42Bには、貯留室40を流通してきた比較的勢いの強い液体Wの流れが流入する。一方で、中間流路42Aには、貯留室40をY方向に直進せずに逸れた比較的勢いの弱い液体Wの流れが流入する。そのため、誘起流路36において振動方向Pについての流れの対称性が大きく崩れてしまう。その結果、波状噴流Jの噴射が不安定になる場合がある。
この点、本実施形態の流入流路34は、波状噴流Jの振動方向Pと直交する方向から噴射流路32aに液体Wを供給する(図3参照)。本実施形態によると、誘起流路36において振動方向Pについての流れの対称性が大きく崩れてしまうことが抑制されるため、波状噴流Jを安定して発生させやすくなる。
(B)本実施形態の吐出流路は、噴射された波状噴流の上方を通る膜状流を吐出可能である。この膜状流は、流れ方向に直交する断面において有端膜状をなす。本構成によると、波状噴流Jの飛沫が飛散し易い状況のもとでも、膜状流Fdにより波状噴流Jの飛沫を遮ることができ、その飛散を効果的に防止できる。特に、波状噴流Jは流れ方向が時間的に変化するため、その流れ方向が時間的に一定の場合と比べ、噴射範囲が広くなる。このように噴射範囲が広くなる場合でも、膜状流Fdを有端膜状とすることで、膜状流Fdとの合流を避けられ、運動噴流Jを直接に浴びられる範囲をより広くできる。
(C)仮に上述したような流入流路34が波状噴流Jの振動方向Pと平行な方向から噴射流路32aに接続される吐出装置を浴槽16のフランジ部31に設置する場合を考える。この場合、流入流路34の配管が浴槽16のフランジ部31上に配置される。そのため、流入流路34の配管がフランジ部31で露出してデザイン性が損なわれるおそれがある。この点、本実施形態の流入流路34は、噴射流路32aの下方から液体Wを供給する。本構成によると、吐出装置10を浴槽16のフランジ部31に設置する場合であっても、流入流路34の配管を浴槽16のフランジ部31に露出させずに浴槽16の裏側に隠すことができる。そのため、デザイン性を損ないにくくすることができる。加えて、ポンプ24の停止時に、流入流路34の配管の液体Wが流下するサイホン効果が発生する。これにより、噴射流路32a内の残水を流入流路34側に引き戻すことができる。その結果、噴射流路32a内の水垢汚れの発生を抑制することが可能となる。
(D)波状噴流Jの振動方向Pと直交する方向から噴射流路32aに流速を低下させずに液体Wを流入させる場合を考える。このとき、流入流路34内を液体Wが流れる過程でその流れが乱れた場合に、その流れが乱れた状態の液体Wが噴射孔38aに供給されると波状噴流Jが不安定になる場合がある。一方で、本実施形態の噴射流路32aは、流入流路34の下流端出口35cから液体Wが流入する貯留室40を備える。本構成によると、流路中心線CL1に平行な方向の流路断面積が比較的小さい下流端出口35cからこの流路断面積が比較的大きい貯留室40に液体Wを流入させることができる。そのため、流入流路34の下流端出口35cから流入する液体Wの流速を貯留室40で低下させることが可能となる。その結果、貯留室40内で液体Wの流れを整流することができるため、波状噴流Jを安定的に噴射することが可能となる。
(E)吐出装置10を浴槽16のフランジ部31上に設置する場合、噴射流路32aに対して浴槽16の裏側から流入流路34が給液路22を介してポンプ24に接続される。このとき、仮に流入流路34の第1流路部35aの中心軸線CL2と第2流路部35bの中心軸線CL3とが同軸線上にある場合を考える。この場合、流入流路34が噴射流路32aの上流側端部から浴槽16の裏側においてフランジ部31の浴室壁部17寄りの部分を通って下方に直線状に延びる。そのため、流入流路34の配管と浴室壁部17との間の隙間が小さくなる。その結果、流入流路34の配管をナットなどで締め付けて固定するのが困難になるなど、浴槽16の裏側での施工性が悪化するおそれがある。浴槽裏の空間の限られたユニットバスなどに施工することを考えると、流入流路34は浴槽16のフランジ部31の図1の紙面左右方向での中央付近にある方が施工のしやすさの観点から好ましい。
本実施形態の流入流路34は、流入流路34の下流側端部に設けられる第1流路部35aと、第1流路部35aに対して上流側に連続する第2流路部35bとを備える。第2流路部35bは、第1流路部35aに対して噴射流路32aの下流側に位置する。本構成によると、第2流路部35bが第1流路部35aに対して噴射流路32aの下流側に位置する分だけ、流入流路34が浴槽16のフランジ部31の図1の紙面左右方向での中央に寄る。そのため、流入流路34の第2流路部35bの部分の配管と浴室壁部17との間の隙間が大きくなる。その結果、浴槽16の裏側での施工性を損ないにくくすることができる。
(第2実施形態)以下、本開示の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。後述の第3実施形態でも同様に適宜省略する。
図10を参照する。本実施形態は、貯留室40が貯留室40の上方から流入流路34に接続される点で第1実施形態と異なる。その結果、本実施形態の流入流路34は、噴射流路32aの上方から液体Wを供給する。本構成によると、ポンプ24の停止時に、流入流路34の配管の液体Wが流下するサイホン効果が発生する。これにより、噴射流路32a内の残水が噴射孔38aから流れ出る。その結果、噴射流路32a内の水垢汚れの発生を抑制することが可能となる。加えて、本実施形態においても、前述の(A)、(B)、(D)、(E)で説明した効果が得られる。
(第3実施形態)図11、図12を参照する。本実施形態の流入流路34は、寸法変化部35dを備える。寸法変化部35dは、噴射流路32aに接続される。寸法変化部35dにおける波状噴流Jの振動方向Pの寸法は、下流側に向かって大きくなる。本実施形態の第1流路部35aにおける波状噴流Jの振動方向Pの寸法は、第2流路部35bにおける波状噴流Jの振動方向Pの寸法よりも大きい。寸法変化部35dの波状噴流Jの振動方向Pの寸法は、寸法変化部35dの流路中心線CL1の方向の寸法よりも大きい。本実施形態の寸法変化部35dは、第1流路部35a及び第2流路部35bにより形成される。
本実施形態の吐出装置10の効果を説明する。図13を参照する。仮に、流入流路34が寸法変化部35dを有さない場合を考える。この場合、流入流路34の下流側端部における波状噴流Jの振動方向Pの寸法D1は、下流側に向かって変化しない(すなわち、上流側と下流側で上記寸法が等しい)。流入流路34から貯留室40に流入した液流W1は、下方から貯留室40の上面に向かってZ方向に流れて貯留室40の上面と衝突して、左右の中間流路42A、42Bに向けて流れる。この衝突により、貯留室40の上面近傍と下面近傍ではY方向の流速に大きな違いが生まれる。その結果、発生する渦流Vが中間流路42A、42Bを通って流れていき、波状噴流Jの噴射を不安定にする。
図14を参照する。この点、本実施形態の流入流路34は、寸法変化部35dを有する。寸法変化部35dにおける振動方向Pの寸法は下流側に向かって大きくなる。図14では、第1流路部35aにおける波状噴流Jの振動方向Pの寸法D2は、第2流路部35bにおける波状噴流Jの振動方向Pの寸法D3よりも大きい。本構成によると、液流W2が寸法変化部35dを通って貯留室40に流入する際に、液流W2において振動方向Pに向かう速度ベクトル成分が徐々に大きくなる。その結果、液流W2は振動方向Pに向かう速度ベクトル成分を持ちつつ貯留室40の上面に衝突するため、貯留室40の上面近傍と下面近傍のY方向の流速に違いが生まれにくくなる。そのため、下流端出口35c近傍での渦流の発生が抑制され、波状噴流Jをより安定的に噴射させることが可能となる。
各構成要素の他の変形例を説明する。
浴室設備14は、少なくとも浴槽16を備えていればよく、浴室壁部、洗い場床等はなくともよい。
貯留槽20は、浴槽16に限定されない。例えば、貯留槽20は、浴槽16とは別に設けられてもよい。給液路22には、浴室設備14が設置される建物の外部に設けられる上水道等の給水設備から水を供給してもよい。この場合、吐出システム18は、給水設備から給水圧をかけた状態の水が給液路22に供給されるため、ポンプ24を備えなくともよい。
噴射対象の液体Wの具体例は、浴槽水に限定されない。液体Wは、例えば、液体洗剤等でもよい。
誘起流路36による波状噴流Jの誘起メカニズムは、特に限定されない。誘起流路36は、例えば、誘起流としてカルマン渦を生成して波状噴流を誘起してもよいし、コアンダ効果を利用して波状噴流を誘起してもよい。
吐出装置10は、波状噴流J及び膜状流Fdを吐出した。これに限定されない。吐出装置10は、波状噴流Jのみを噴射してもよい。
吐出流路32bは膜状流Fdを吐出した。これに限定されない。吐出装置10は、シャワー流やミスト流を吐出してもよい。
噴射流路32aは、貯留室40を備えた。これに限定されない。例えば、流路中心線CL1に平行な方向の流路断面積を等しく保ったまま、下流端出口35cから両側の中間流路42A、42Bに噴流を流入させるような流路が用いられてもよい。
第2流路部35bは、前記第1流路部35aに対して噴射流路32aの下流側に位置した。これに限定されない。例えば、流入流路34の第1流路部35aの中心軸線CL2と第2流路部35bの中心軸線CL3とが同軸線上にあるように流入流路34が構成されてもよい。
寸法変化部35dは、第2流路部35bから第1流路部35aにわたって段階的に振動方向Pの寸法が大きくなるように構成された。これに限定されない。寸法変化部35dは、第2流路部35bから第1流路部35aにわたって振動方向Pの寸法が徐々に大きくなるように構成されてもよい。この場合、寸法変化部35dの流路は、例えば、第2流路部35bから第1流路部35aにわたって振動方向Pの寸法が徐々に大きくなるような曲面状を成せばよい。
以上、実施形態及び変形例を説明した。以上の構成要素の任意の組み合わせも、実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想の態様として有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形例に対して実施形態及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
10…吐出装置、14…浴室設備、28…装置本体、32a…噴射流路、34…流入流路、35a…第1流路部、35b…第2流路部、35c…下流端出口、35d…寸法変化部36…誘起流路、38a…噴射孔。

Claims (6)

  1. 浴槽に固定され、波状噴流を噴射可能な噴射流路が形成される装置本体と、
    前記装置本体に設けられ、前記波状噴流の振動方向と直交する方向から前記噴射流路に液体を供給する流入流路と、
    を備え
    前記流入流路は、前記噴射流路に接続される寸法変化部を備え、
    前記寸法変化部における前記振動方向の寸法は、下流側に向かって大きくなる、吐出装置。
  2. 前記噴射された波状噴流の上方を通る膜状流を吐出可能な吐出流路を備え、
    前記膜状流は、流れ方向に直交する断面において有端膜状をなす、請求項1に記載の吐出装置。
  3. 前記流入流路は、前記流入流路の下方から前記液体の供給を受ける、請求項1又は2に記載の吐出装置。
  4. 前記流入流路は、前記流入流路の上方から前記液体の供給を受ける、請求項1又は2に記載の吐出装置。
  5. 前記噴射流路は、前記流入流路の下流端出口から液体が流入する貯留室を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出装置。
  6. 前記流入流路は、前記流入流路の下流側端部に設けられる第1流路部と、前記第1流路部に対して上流側に連続する第2流路部とを備え、
    前記第2流路部は、前記第1流路部に対して前記噴射流路の下流側に位置する、請求項1からのいずれか1項に記載の吐出装置。
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