次に、添付図面を参照して本発明の一実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。
図1乃至図4は、本発明の第1実施形態による浴槽循環型吐水装置を浴槽に適用した状態を示す斜視図、平面図、全断面図、及び側面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による浴槽循環型吐水装置1は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等の浴槽2に適用され、浴槽2の上端近傍に配置される。浴槽2は、浴槽水としての湯水(湯又は水)を貯留する。
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、入浴している使用者の背中が接する縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、浴槽内に座って入浴している使用者の上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。さらに、浴槽2には、外部の給水源及び給湯装置等から湯水を浴槽2内に給水できる給水装置(図示せず)が設けられている。
浴槽循環型吐水装置1は、供給された湯水を左右方向に幅広形状に形成された吐水孔4aから吐出させる吐水部4と、浴槽2内の湯水を吐水部4に供給する送水装置を備えている。吐水部4は浴槽2の上端部2c上に配置され、その吐水孔4aから左右方向に幅広の水を、座って入浴している状態の使用者の首や肩付近に向けて吐水させる肩湯吐水を行うようになっている。即ち、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1は、浴槽2内の湯水を取り込み、取り込んだ湯水を浴槽2の水面よりも上方から浴槽2内へ吐出させる。幅広形状の吐水孔4aは、使用者の肩幅程度の幅の帯状の吐水をすることができる。吐水孔4aの左右方向は、吐水孔の吐水方向に対して左右方向であり、浴槽2の使用者の背中が接する縦壁2bの左右方向である。
図3及び図4に示すように、浴槽循環型吐水装置1は、さらに、浴槽2の側壁2dに形成された第1取水口6から延びる第1流路8と、第1流路8上に設けられ且つ浴槽2内の水を吸引して下流側に圧送する加圧ポンプであるポンプ10と、第1流路8の下流端で水の流れを制御する三方弁12と、三方弁12から吐水孔4a側に延びる第2流路14と、三方弁12から第2流路14と別に延びる第3流路16と、第3流路16から供給された水を浴槽2の上下方向の中央よりわずかに下方から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部18と、第2流路14の下流部分に設けられるジェットポンプユニット20と、浴槽2の側壁に形成された第2取水口22からジェットポンプユニット20まで延びる接続管である第4流路24と、ジェットポンプユニット20から垂直上方に延びるスロート管である上昇管26と、ポンプ10及び三方弁12を制御する制御部28と、使用者が操作する操作部30と、を備えている。本実施形態においては、ポンプ10、ジェットポンプユニット20、第4流路24、及び上昇管26が、浴槽2内の湯水を吐水部4に送り込む送水装置として機能する。
第1流路8は、第1取水口6からポンプ10を介して三方弁12まで延びる流路を形成している。ポンプ10は、浴槽2内の湯水を、第1取水口6を介して吸引し、圧送するように構成されている。ポンプ10は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って水を吸引し且つ下流側に圧送する。ポンプ10は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により駆動制御されるようになっている。
三方弁12は、第1流路8から供給される水を、第2流路14、及び第3流路16のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。第2流路14及び第3流路16を同時に開放している場合には、三方弁12は、流量の分配割合を自由に変更することができる。三方弁12は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により電気的に開閉制御されるようになっている。三方弁12は、吐水部4への湯水の供給と、ブロー吐水部18への湯水の供給との両方又はいずれか一方を選択的に実行できる。
第2流路14は、三方弁12からジェットポンプユニット20まで延びる流路を形成している。第3流路16は、三方弁12からブロー吐水部18まで延びる流路を形成している。
ブロー吐水部18は、浴槽2の吐水孔4a側の縦壁2bにおいて2つ設けられている。ブロー吐水部18は、その内部の流路の径を、上流側の流路の径よりも絞るように形成されている。ブロー吐水部18は、水平に近い横向きに取付けられており、ブロー吐水部18から横向きに高速のブロー吐水を吐水する。ブロー吐水部18は、ポンプ10から第3流路16を介して圧送された水流を直接噴出する。従って、ブロー吐水部18は、ポンプ10の圧送する送出水量に応じた比較的小流量且つ高速の吐水流を形成する。ブロー吐水部18から吐水されたブロー吐水が使用者の腰や背中に衝突することにより、使用者の腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。
制御部28は、ポンプ10、三方弁12、操作部30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御部28は、操作部30からの操作信号を受けて又は記憶されたプログラム等に従って各機器の制御を行う。制御部28は、浴槽循環型吐水装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。制御部28は、浴室の壁面(図示せず)の裏側に取付けられている。
操作部30は、使用者が希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の壁面に取付けられている。使用者Hが操作部30を操作した情報が電気信号により操作部30から制御部28に送られる。
次に、図5乃至図7を参照して、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1において、浴槽2内の湯水を吐水部4に送り込む送水装置の構成を詳細に説明する。
図5は、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1の主要部を抜き出して示した斜視図である。図6は送水装置に備えられているジェットポンプユニット20の側面断面図であり、図7はジェットポンプユニット20の平面断面図である。
図5に示すように、ジェットポンプユニット20には、上方に向けて鉛直に延びるスロート管である上昇管26と、加圧ポンプであるポンプ10によって加圧された湯水が送り込まれる第2流路14と、浴槽2の第2取水口22に連通した接続管である第4流路24が接続されている。
ジェットポンプユニット20から上昇管26を介して送り出された湯水は、吐水部4に流入し、その幅広の吐水孔4aから滝状に吐出される。吐水孔4aから吐出された湯水は、浴槽2の水面よりも上方から浴槽2内に流下し、入浴中の使用者の肩や首筋にあたる。これにより、使用者を心地よくマッサージする効果が得られる。
一方、ジェットポンプユニット20の下面に接続されている第4流路24は、浴槽2内で水没している第2取水口22に連通している。また、ジェットポンプユニット20は、湯を張った浴槽2の一般的な水面の高さよりも低い位置に設けられているため、浴槽2内の湯水は、湯水の水頭圧により、第2取水口22、第4流路24を介してジェットポンプユニット20内に流入する。
さらに、ジェットポンプユニット20の下面に接続されている第2流路14は、ポンプ10に接続されている。このため、ポンプ10によって第1取水口6を介して吸引された浴槽2内の湯水は、第2流路14を通って高い流速でジェットポンプユニット20に流入する。
第2流路14から高い流速でジェットポンプユニット20内に送り込まれた湯水は、第4流路24からジェットポンプユニット20に流入した湯水をジェットポンプ作用によって巻き込みながら上昇管26内を上昇する。これにより、上昇管26内には大流量の湯水が流れ込み、吐水部4の吐水孔4aから滝状に吐出される。
次に、図6及び図7を参照して、ジェットポンプユニット20の内部構造を説明する。
図6に示すように、ジェットポンプユニット20の内部には、箱形の水溜室32が形成されている。水溜室32は、概ね直方体状の空間を構成しており、その下壁面(床面)の一端部には第4流路24が接続され、他端部には第2流路14が接続されている。即ち、水溜室32の下壁面には開口が形成され、この開口に接続された第4流路24の下流端が、水溜室流入口32aを構成している。また、第4流路24の下流側の端部には、所定の長さの直線部24aが設けられている。この直線部24aは、円形の水溜室流入口32aの中心の垂直線Cと平行に向けられている。
一方、第2流路14の下流側端部は流路断面積が縮小され、上方に向けて水溜室32の下壁面に接続されている。水溜室32(ジェットポンプユニット20)と第2流路14の間の接続部には、噴射ノズル34が上方に向けて取り付けられている。噴射ノズル34は、概ね円筒状の部材であり、内部に構成された流路が先端に向けて先細になるようにテーパしている。また、噴射ノズル34の先端は、水溜室32の下壁面から上方に突出するように配置されている。
これにより、ポンプ10によって加圧された湯水は、第2流路14から噴射ノズル34に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル34先端の噴射口34aから上方に向けて噴射される。
さらに、水溜室32の上壁面(天井面)の、噴射ノズル34に対向する位置には、上昇管26が接続されている。上昇管26の上流端は、水溜室32の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔26aを形成している。従って、スロート孔26aは水溜室32の上壁面に設けられ、水溜室32の下壁面と対向している。このスロート孔26aの縁部には、上昇管26への流入抵抗を減少させるため、比較的大きなRがつけられている。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管26の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル34の噴射口34aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射ノズル34は、上昇管26の上流端のスロート孔26aに向けて配置されている。これら上昇管26及び噴射口34aの中心軸線は、噴射ノズル34から噴射された湯水が上昇管26に流れ込む通水経路Jと一致している。
さらに、図7に示すように、噴射ノズル34及びスロート孔26aは、上面視において、水溜室32の短辺方向の中央に配置されている。また、第4流路24の下流端である水溜室流入口32aも、水溜室32の短辺方向の中央に配置されている。さらに、図7に示すように、スロート孔26aと水溜室流入口32aは、上面視において重複しない位置に形成されている。また、本実施形態において、水溜室流入口32aは、上昇管26の流路断面積の2倍以上の流路断面積を有する。
次に、本発明の第1実施形態による浴槽循環型吐水装置1の作用を説明する。
まず、浴槽2に湯水が張られた状態においては、浴槽2の側壁2dに設けられた第1取水口6及び第2取水口22は水没した状態にある。このため、第4流路24を介して第2取水口22と連通した水溜室32の内部にも湯水が満たされた状態となっている。一方、第1流路8を介して第1取水口6と連通したポンプ10の内部にも湯水が満たされている。
入浴中の使用者が、ブロー吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28が三方弁12に信号を送り、これを第1流路8と第3流路16が連通する状態に切り替えると共に、ポンプ10に信号を送り、これを作動させる。これにより、浴槽2内の湯水が第1流路8から取り込まれ、第1流路8、ポンプ10、三方弁12、及び第3流路16を介してブロー吐水部18から吐出される。ブロー吐水部18から浴槽2内に吐出される湯水の流れにより、使用者の腰部等を心地よくマッサージすることができる。
入浴中の使用者が、吐水部4からの吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28が三方弁12に信号を送り、これを第1流路8と第2流路14が連通する状態に切り替えると共に、ポンプ10に信号を送り、これを作動させる。この状態でポンプ10が作動されると、浴槽2内の湯水が第1流路8から取り込まれ、第1流路8、ポンプ10、三方弁12、及び第2流路14を介して、噴射ノズル34から湯水が噴射される。噴射ノズル34は、湯水が満たされている水溜室32の内部に湯水を噴射するので、噴射口34aから噴出された噴流は、水溜室32内の通水経路J周辺に満たされていた湯水を引き込みながら上方に流れ、噴射ノズル34に対向して設けられたスロート孔26aに流入する。
これにより、上昇管26には、噴射ノズル34によって噴射された流量よりも大きい流量の湯水が流れ込み、大流量の湯水が上昇管26の上端に接続された吐水部4の吐水孔4aから吐出される。吐水孔4aは幅広に形成されているため、幅の広い滝状の湯水が、浴槽2の水面よりも上方から浴槽2の中に流下する。この滝状の吐水が、入浴中の使用者にあたるので、使用者の肩や首筋を心地よくマッサージすることができる。
一方、噴射口34aから噴出された噴流は、水溜室32内に滞留していた湯水を巻き込みスロート孔26aから流出させるが、流出分の湯水は、第4流路24から水溜室流入口32aを介して水溜室32内に流入し、補充される。従って、噴射口34aから湯水が噴射されている間は、水溜室流入口32aを介して水溜室32内に湯水が連続的に流入し、水溜室32内は常に湯水が貯留された状態となっている。
この水溜室流入口32aを介して水溜室32内に流入する湯水の流れは、第4流路24の下流端(水溜室流入口32a)から上方に向かい、水溜室流入口32aに対向して設けられた水溜室32の上壁面32b(天井面)に衝突する。上壁面32bに衝突した湯水の流れは水溜室32内で分散され、水溜室32内における大きな流速分布の偏りが抑制される。即ち、図6及び図7に矢印で示すように、水溜室流入口32aから流入した湯水が持っていた流れの速度ベクトルは、水溜室32の上壁面32bに衝突することで失われ、湯水は均一な速度分布に近づきながら噴射ノズル34の方へ流れる。即ち、図7に示すように、噴射ノズル34へ向かう湯水の流速は、噴射ノズル34を挟んで、その両側で(図7において噴射ノズル34の上側と下側で)ほぼ対称となる。これにより、水溜室32内の通水経路J周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路J周辺における渦の発生が抑制される。
従って、水溜室流入口32aに対向して設けられた水溜室32の上壁面32bは、通水経路において渦流が発生して、スロート孔26aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。この渦流発生抑制手段として機能する上壁面32bは、図6に示すように、通水経路Jに隣接して設けられた壁面である。ここで、本実施形態において、第4流路24の内壁面と上昇管26の内壁面の間の最も近い距離dは、約54mmである。
通水経路J周辺における速度分布が均一化されることにより、噴射ノズル34からの噴流によってスロート孔26aの中に引き込まれる湯水の速度分布が、通水経路Jを中心軸とした軸対称に近くなる。これにより、スロート孔26aから上昇管26に流入した湯水の流れが滑らかになり、湯水は過大な流路抵抗を受けることなく上昇管26の中を上昇する。このように、上昇管26内を流れる湯水の流路抵抗が小さくなることにより、同一の流速、流量の噴流によって吐水部4へ圧送することができる湯水の流量が、流路抵抗が大きい場合よりも多くなる。これにより、小型のポンプ10を使用しても十分な流量の湯水を吐水孔4aから吐出させることが可能になる。
ここで、水溜室の比較例として図17を示す。図17は比較例の水溜室の平面断面図である。
図17に示す比較例の水溜室40は概ね直方体状に構成されており、その一方の側壁面に接続管42(本実施形態の第4流路24に対応)が接続されている。また、噴射ノズル44は、水溜室40の他端側に設けられており、対向して設けられたスロート孔46aに向けて湯水を噴射するように構成されている。さらに、接続管42の下流端が接続される水溜室流入口40aは、水溜室40の1つの側壁面の一端部に形成されている。
このように構成された比較例においては、水溜室流入口40aから流入する湯水の流れのベクトルが、噴射ノズル44の噴射軸線上の通水経路周辺においても残留している。このため、比較例においては、通水経路周辺における湯水の流速分布に大きな偏りが生じている(図17において、噴射ノズル44の下側では流速が高く、上側では流速が低くなる)。通水経路周辺において、このような流速分布が生じていると、噴射ノズル44からの噴流によってスロート孔46aの中に引き込まれる湯水の流れにも流速分布が生じる。図17に示す比較例では、上昇管46(上昇管26に対応)内部の流れに、噴射ノズル44の中心軸線付近を中心とした渦が発生する。上昇管46内の流れに大きな渦が生じていると、上昇管46内を流れる湯水は上昇管46の管壁に衝突しながら流れるため、上昇管46を通過する際の流れ抵抗が大きくなる。
このため、噴射ノズル44からの噴流によって与えられたエネルギーがスロート管の流路抵抗によって失われ、水溜室40から吐水部(図17には図示せず)へ圧送することができる流量が減少してしまう。これに対し、本実施形態における水溜室32(図6及び図7)では、通水経路J周辺における湯水の流速分布に大きな偏りがないため、上昇管26における流路抵抗を低減することができ、大流量で湯水を吐水部4に圧送することができる。
本発明の第1実施形態の浴槽循環型吐水装置1によれば、水溜室32内に渦流発生抑制手段として上壁面32bが設けられているので(図6)、水溜室流入口32aから流入した湯水の流れがここで分散され、水溜室32内の通水経路Jにおいて渦流を生成させて上昇管26内の流れに渦が発生するのを抑制することができる。このため、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1によれば、ポンプ10によって与えられたエネルギーを有効に活用することが可能になり、小型のポンプ10を使用しながら十分な大流量を得ることができる。
また、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1によれば、接続管である第4流路24の端部に、水溜室流入口32aの中心の垂直線Cと平行に延びる直線部24aが設けられているので、水溜室流入口32aから流入する湯水の流速の分布に大きな偏りが生じることがない。このように、流速の分布に大きな偏りがないので、水溜室32内に渦が誘発されにくく、上昇管26内の渦流をより効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態の浴槽循環型吐水装置1によれば、噴射ノズル34が、スロート孔26aと対向する水溜室32の下壁面から突出するように設けられているので、水溜室32の容積を大きく確保しながら、スロート孔26aの近くに噴射ノズル34を配置することができ、渦流を効果的に抑制しながら大流量を得ることができる。
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。図8は本発明の第2実施形態における水溜室の平面断面図であり、図9は水溜室の側面断面図である。
本実施形態における浴槽循環型吐水装置は、ジェットポンプユニットの構成のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図8及び図9に示すように、ジェットポンプユニット120の内部には、箱形の水溜室132が形成されている。水溜室132は、概ね直方体状の空間を構成しており、その短辺を為す一方の側壁面には第4流路124が接続され、他端部の下壁面(床面)には第2流路114が接続されている。即ち、水溜室132の側壁面には開口が形成され、この開口に接続された第4流路124の下流端が、水溜室流入口132aを構成している。また、第4流路124の下流側の端部には、所定の長さの直線部124aが設けられている。この直線部124aは、円形の水溜室流入口132aの中心の垂直線Cと平行に向けられている。
一方、第2流路114の下流側端部は流路断面積が縮小され、上方に向けて水溜室132の下壁面に接続されている。第2流路114の先端には噴射ノズル134が上方に向けて取り付けられ、これが水溜室132(ジェットポンプユニット120)の内部に延びている。噴射ノズル134は、概ね円筒状の部材であり、内部に構成された流路が先端に向けて先細になるようにテーパしている。また、噴射ノズル134の先端は、水溜室132の下壁面から上方に突出するように配置されている。
これにより、ポンプによって加圧された湯水は、第2流路114から噴射ノズル134に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル134先端の噴射口134aから上方に向けて噴射される。
さらに、水溜室132の上壁面(天井面)の、噴射ノズル134に対向する位置には、上昇管126が接続されている。上昇管126の上流端は、水溜室132の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔126aを形成している。従って、スロート孔126aは水溜室132の上壁面に設けられ、水溜室132の下壁面と対向している。このスロート孔126aの縁部には、上昇管126への流入抵抗を減少させるため、比較的大きなRがつけられている。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管126の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル134の噴射口134aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射ノズル134は、上昇管126の上流端のスロート孔126aに向けて配置されている。これら上昇管126及び噴射口134aの中心軸線は、噴射ノズル134から噴射された湯水が上昇管126に流れ込む通水経路Jと一致している。
さらに、図9に示すように、噴射ノズル134及びスロート孔126aは、上面視において、水溜室132の短辺方向の中央に配置されている。また、第4流路124の下流端である水溜室流入口132aも、水溜室132の短辺方向の中央に配置されている。
また、図9に示すように、水溜室流入口132aと噴射ノズル134の間には、衝突板136が設けられている。この衝突板136は、水溜室132の上壁面132bから鉛直下方に垂下するように設けられた平らな壁面であり、水溜室流入口132aの中心の垂直線Cに対して直交する方向に向けられている。このように、衝突板136は、噴射ノズル134から噴射された湯水が上昇管126に流れ込む通水経路Jに隣接して設けられている。
なお、本実施形態において、水溜室流入口132aの流路断面積、水溜室内132の衝突板136の上流側の流路断面積、衝突板136の下側の流路断面積、及び衝突板136の下流側の流路断面積は、何れも上昇管126の流路断面積の2倍以上に構成されている。
この構成により、水溜室流入口132aを介して水溜室132内に流入した湯水は、まず第4流路124の下流端(水溜室流入口132a)から側方に流れ、水溜室流入口132aに対向して設けられた衝突板136に衝突する。衝突板136に衝突した湯水の流れは水溜室132内で分散され、水溜室132内における大きな流速分布の偏りが抑制される。即ち、図8及び図9に矢印で示すように、水溜室流入口132aから流入した湯水が持っていた流れの速度ベクトルは、水溜室132内の衝突板136に衝突することで失われ、湯水は均一な速度分布に近づきながら水溜室132の下方に流れる。さらに、衝突板136の下側の流路を通って噴射ノズル134の方へ流れる。即ち、図8に示すように、噴射ノズル134へ向かう湯水の流速は、噴射ノズル134を挟んで、その両側で(図8において噴射ノズル134の上側と下側で)ほぼ対称となる。これにより、水溜室132内の通水経路J周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路J周辺における渦の発生が抑制される。
従って、水溜室流入口132aに対向して設けられた水溜室132内の衝突板136は、通水経路において渦流が発生して、スロート孔126aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。この渦流発生抑制手段として機能する衝突板136は、図9に示すように、通水経路Jに隣接して設けられた壁面である。
本発明の第2実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室132内に渦流発生抑制手段として衝突壁136が設けられているので(図9)、水溜室流入口132aから流入した湯水の流れがここで分散され、水溜室132内の通水経路Jにおいて渦流を生成させて上昇管126内の流れに渦が発生するのを抑制することができる。
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第3実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。図10は本発明の第3実施形態における水溜室の平面断面図であり、図11は水溜室の側面断面図である。
本実施形態における浴槽循環型吐水装置は、ジェットポンプユニットの構成のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図10及び図11に示すように、ジェットポンプユニット220の内部には、概ね楕円形断面の筒形の水溜室232が形成されている。楕円形断面の水溜室232の両側の端部には2本の第4流路224が夫々接続され、これら第4流路224の間の下壁面(床面)には第2流路214が接続されている。即ち、水溜室232の両側の下壁面には開口が夫々形成され、これらの開口に接続された各第4流路224の下流端が、夫々水溜室流入口232aを構成している。なお、これら各第4流路224の流路断面積は同一であり、水溜室232内には両側からほぼ同一流量の湯水が流入する。なお、本明細書において、各第4流路から流入する湯水の流量の差が、各第4流路から流入する湯水の流量の10%以下、より好ましくは5%以下であること意味する。また、第4流路224の下流側の端部には、所定の長さの直線部224aが設けられている。これらの直線部224aは、円形の各水溜室流入口232aの中心の垂直線Cと夫々平行に向けられている。
一方、第2流路214の下流側端部は流路断面積が縮小され、上方に向けて水溜室232の下壁面に接続されている。第2流路214の先端には噴射ノズル234が上方に向けて取り付けられ、これが水溜室232(ジェットポンプユニット220)の内部に延びている。噴射ノズル234は、概ね円筒状の部材であり、内部に構成された流路が先端に向けて先細になるようにテーパしている。また、噴射ノズル234の先端は、水溜室232の下壁面から上方に突出するように配置されている。
これにより、ポンプによって加圧された湯水は、第2流路214から噴射ノズル234に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル234先端の噴射口234aから上方に向けて噴射される。
さらに、水溜室232の上壁面(天井面)の、噴射ノズル234に対向する位置には、上昇管226が接続されている。上昇管226の上流端は、水溜室232の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔226aを形成している。従って、スロート孔226aは水溜室232の上壁面に設けられ、水溜室232の下壁面と対向している。このスロート孔226aの縁部には、上昇管226への流入抵抗を減少させるため、比較的大きなRがつけられている。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管226の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル234の噴射口234aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射ノズル234は、上昇管226の上流端のスロート孔226aに向けて配置されている。これら上昇管226及び噴射口234aの中心軸線は、噴射ノズル234から噴射された湯水が上昇管226に流れ込む通水経路Jと一致している。
さらに、図10に示すように、噴射ノズル234及びスロート孔226aは、上面視において、水溜室232の単軸方向の中央に配置されている。また、各第4流路224の下流端である水溜室流入口232aも、水溜室232の単軸方向の中央に配置されている。さらに、図10に示すように、各水溜室流入口232aはスロート孔226aを挟んで両側に配置され、スロート孔226aと各水溜室流入口232aは、上面視において重複しない位置に形成されている。また、本実施形態において、各水溜室流入口232aの流路断面積、及び水溜室232内を横方向に向かう流路の断面積は、何れも上昇管226の流路断面積以上の面積に構成されている。
また、図11に示すように、各水溜室流入口232aは、水溜室232の上壁面232bに夫々対向するように設けられ、水溜室232の上壁面232bは各水溜室流入口232aの中心の垂直線Cに対して直交する方向に向けられている。さらに、各水溜室流入口232aから流入した湯水が夫々衝突する水溜室232の上壁面232bは、噴射ノズル234から噴射された湯水が上昇管226に流れ込む通水経路Jに隣接して設けられている。
この構成により、各水溜室流入口232aを介して水溜室232内に流入した湯水は、まず各第4流路224の下流端(水溜室流入口232a)から上方に流れ、対向して設けられた水溜室232の上壁面232bに夫々衝突する。上壁面232bに夫々衝突した湯水の流れは水溜室232内で分散され、水溜室232内における大きな流速分布の偏りが抑制される。さらに、図11の矢印に示すように、水溜室232の両端部で上壁面232bに夫々衝突した湯水は、両側から水溜室232の中央に向かって流れる。ここで、2つの水溜室流入口232aは同一の寸法、形状に構成されているので、水溜室232の両端部から中央に向かう湯水の流れも左右対称となっている。このため、噴射ノズル234付近で合流する左右両側からの流れの速度ベクトルは打ち消し合い、水溜室232の中央部では流速が遅くなると共に、流速の分布もほぼ一様になる。これにより、水溜室232内の通水経路J周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路J周辺における渦の発生が抑制される。
従って、水溜室流入口232aに対向して設けられた水溜室232の上壁面232b、及び複数の水溜室流入口232aをスロート孔226aを挟んで両側に対称に設けた構成は、スロート孔226aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。この渦流発生抑制手段として機能する上壁面232bは、図11に示すように、通水経路Jに隣接して設けられた壁面である。
本発明の第3実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、複数の水溜室流入口232aがスロート孔226aを挟んで両側に設けられているので(図11)、各水溜室流入口232aから流入した湯水の流れがぶつかって流速が相殺されるので、上昇管226内で大きな渦が発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、複数の水溜室流入口232aは、スロート孔226aの両側から略同一流量の湯水を流入させるので、スロート孔226aの両側から水溜室232内に流入した湯水の流速が効果的に相殺される。これにより、水溜室232内の湯水の流速が低下し、上昇管226内における渦の発生を効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、複数の水溜室流入口232aが水溜室232の下壁面に設けられ、これらに対向して水溜室232の上壁面232bが設けられているので、各水溜室流入口232aから流入した湯水は水溜室232の上壁面232bに衝突して流速が低下すると共に、分散される。これにより、上昇管226内における渦の発生を抑制することができる。また、各水溜室流入口232aが水溜室232の下壁面に設けられているので、浴槽2内の水位が低下した場合には、水溜室232内の湯水は各水溜室流入口を通って浴槽2内に排出され、水溜室232に残水が生じるのを防止することができる。
次に、図12を参照して、本発明の第4実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。図12は本発明の第4実施形態における水溜室の平面断面図である。
本実施形態における浴槽循環型吐水装置は、ジェットポンプユニットの構成のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図12に示すように、ジェットポンプユニット320の内部には、概ね円筒形の水溜室332が形成されている。円筒形の水溜室332の下壁面(床面)には第4流路及び第2流路が接続されている(図示せず)。この下壁面に接続された第4流路の下流端は、流路断面がドーナツ型に形成され、円筒形の水溜室332と第4流路は、ドーナツ型断面の水溜室流入口332aによって連通されている。このように、水溜室流入口332aは、円筒形の水溜室332の中心軸線に対して軸対称に形成されており、水溜室332内には周囲からほぼ同一流量の湯水が流入する。
一方、第2流路は、水溜室332の下壁面の中央に、上方に向けて接続されている。第2流路の先端には噴射ノズル334が上方に向けて取り付けられ、これが水溜室332(ジェットポンプユニット320)の内部に延びている。噴射ノズル334は、概ね円筒状の部材であり、内部に構成された流路が先端に向けて先細になるようにテーパしている。また、噴射ノズル334の先端は、水溜室332の下壁面から上方に突出するように配置されている。
さらに、水溜室332の上壁面(天井面)中央の、噴射ノズル334に対向する位置には、上昇管326が接続されている。上昇管326の上流端は、水溜室332の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔326aを形成している。従って、スロート孔326aは水溜室332の上壁面に設けられ、水溜室332の下壁面と対向している。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管326の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル334の噴射口334aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射ノズル334は、上昇管326の上流端のスロート孔326aに向けて配置されている。これら上昇管326及び噴射口334aの中心軸線は、噴射ノズル334から噴射された湯水が上昇管326に流れ込む通水経路と一致している。
さらに、図12に示すように、噴射ノズル334、スロート孔326a、及び水溜室流入口332aは、上面視において同心円上に配置されている。また、図12に示すように、水溜室流入口332aはスロート孔326aを取り囲むように配置され、スロート孔326aと水溜室流入口332aは、上面視において重複しない位置に形成されている。即ち、水溜室流入口332aは単一穴で通水経路を囲い込むように形成されている。また、例えば、水溜室流入口332aはC字形の断面形状を有していても良い。また、本実施形態において、水溜室流入口332aの流路断面積は、上昇管326の流路断面積の2倍以上に構成されている。
また、水溜室流入口332aは、水溜室332の上壁面に対向するように設けられ、水溜室332の上壁面は水溜室流入口332aの中心軸線に対して直交する方向に向けられている。さらに、水溜室流入口332aから流入した湯水が衝突する水溜室332の上壁面は、噴射ノズル334から噴射された湯水が上昇管326に流れ込む通水経路に隣接して設けられている。
この構成により、ドーナツ型の水溜室流入口332aを介して水溜室332内に流入した湯水は、まず水溜室流入口332aから上方に流れ、対向して設けられた水溜室332の上壁面に衝突する。上壁面に衝突した湯水の流れは水溜室332内で分散され、水溜室332内における大きな流速分布の偏りが抑制される。さらに、図12の矢印に示すように、水溜室332の周辺部で上壁面に衝突した湯水は、周囲から水溜室332の中央に向かって流れる。ここで、水溜室流入口332aは、水溜室332の中心軸線に対して軸対称に構成されているので、水溜室332の周辺部から中央に向かう湯水の流れも軸対称となっている。このため、噴射ノズル334付近に集まる周囲からの流れの速度ベクトルは打ち消し合い、水溜室332の中央部では流速が遅くなると共に、流速の分布もほぼ一様になる。これにより、水溜室332内の通水経路周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路周辺における渦の発生が抑制される。
従って、水溜室流入口332aに対向して設けられた水溜室332の上壁面、及びスロート孔326aの中心軸線を通る通水経路に対して水溜室流入口332aを軸対称に設けた構成は、スロート孔326aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。この渦流発生抑制手段として機能する上壁面は、通水経路に隣接して設けられた壁面である。
本発明の第4実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室332に開口した水溜室流入口332aが通水経路に対して概ね軸対称に形成されているので、水溜室332内の通水経路周辺の流れは、通水経路に対して軸対称となり、通水経路を経てスロート孔326aへ流入する流れも概ね軸対称となり、上昇管326内における渦の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室流入口332aが水溜室332の下壁面に設けられ、水溜室流入口332aに対向して水溜室332の上壁面が設けられているので、軸対称の水溜室流入口332aから流入した湯水は水溜室332の上壁面に衝突して流速が低下すると共に、分散される。これにより、スロート孔326aの周囲から均等に湯水を流入させることができ、上昇管326内における渦の発生を抑制することができる。また、水溜室流入口332aが水溜室332の下壁面に設けられているので、浴槽2内の水位が低下した場合には、水溜室332内の湯水は水溜室流入口332aを通って浴槽内に排出され、水溜室332に残水が生じるのを防止することができる。
次に、図13及び図14を参照して、本発明の第5実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。図13は本発明の第5実施形態における水溜室の平面断面図であり、図14は水溜室の側面断面図である。
本実施形態における浴槽循環型吐水装置は、ジェットポンプユニットの構成のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図13及び図14に示すように、ジェットポンプユニット420の内部には、概ね円筒形の水溜室432が形成されている。円筒形の水溜室432の下端には第4流路424が接続され、水溜室432の側壁には第2流路414が接続されている。ここで、円筒形の水溜室432の断面と、これに接続された第4流路424の流路断面はほぼ同一寸法の円形であり、第4流路424の下流端が、ほぼ連続して水溜室432の水溜室流入口432aを構成している。換言すれば、水溜室432の下端のほぼ全面が水溜室流入口432aを構成している。
一方、第2流路414の下流側端部は流路断面積が縮小され、水溜室432の側壁面に接続されている。第2流路414の先端には噴射ノズル434が取り付けられ、これが水溜室432(ジェットポンプユニット420)の内部に延びている。噴射ノズル434は、側壁面から水溜室432内にほぼ水平に延びた後、水溜室432の中央で上方に向けて直角に折り曲げられている。この噴射ノズル434の内部に構成された流路は、その鉛直部分において先端に向けて先細になるようにテーパしている。
これにより、ポンプによって加圧された湯水は、第2流路414から噴射ノズル434に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル434先端の噴射口434aから鉛直上方に向けて噴射される。
さらに、水溜室432の上壁面(天井面)の、噴射ノズル434の先端に対向する位置には、上昇管426が接続されている。上昇管426の上流端は、水溜室432の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔426aを形成している。従って、スロート孔426aは水溜室432の上壁面に設けられ、水溜室432下端の水溜室流入口432aと対向している。このスロート孔426aの縁部には、上昇管426への流入抵抗を減少させるため、比較的大きなRがつけられている。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管426の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル434の噴射口434aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射口434aは、上昇管426の上流端のスロート孔426aに向けて配置されている。これら上昇管426及び噴射口434aの中心軸線は、噴射ノズル434から噴射された湯水が上昇管426に流れ込む通水経路Jと一致している。
さらに、図13に示すように、噴射ノズル434の噴射口434a及びスロート孔426aは、上面視において、円筒形の水溜室432の中心軸線上に配置されている。また、第4流路424の下流端である水溜室流入口432aも、水溜室432の中心軸線上に配置されている。さらに、本実施形態において、水溜室流入口432aの流路断面積は、上昇管426の流路断面積の2倍以上に構成されている。
また、図14に示すように、水溜室流入口432aの中心の垂直線Cは、噴射ノズル434から噴射された湯水が上昇管426に流れ込む通水経路Jと同一直線上に設けられると共に、スロート孔426aの中心軸線と重なっている。
この構成により、水溜室流入口432aを介して水溜室432内に流入した湯水は上方に流れ、水溜室432の中心に配置された噴射ノズル434の鉛直部分の周囲に至る。このため、水溜室流入口432aから流入した湯水は、噴射ノズル434の鉛直部分(通水経路J)に対して概ね軸対称の流速分布となり、水溜室432内における大きな流速分布の偏りが抑制される。即ち、水溜室432内の通水経路J周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路J周辺における渦の発生が抑制される。
従って、水溜室432の下面ほぼ全体に亘って水溜室流入口432aを設けた構成、水溜室流入口432aとスロート孔426aを同一軸線上に設けた構成、及び水溜室流入口432aを通水経路Jに対して軸対称に設けた構成は、スロート孔426aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。なお、本明細書において、ほぼ全体に亘って水溜室流入口を設けるとは、水溜室流入口を設ける壁面の75%以上、より好ましくは85%以上に水溜室流入口を設けることを意味する。また、水溜室流入口432aとスロート孔426aの各中心軸線は概ね重なっていれば渦流発生抑制手段として機能し、「概ね重なる」とは、水溜室流入口432aの中心軸線がスロート孔426aの投影面の内側に位置することを意味する。
本発明の第5実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室流入口432aが、水溜室432を形成する1つの壁面(下壁面)のほぼ全体に亘って形成されているので、水溜室432内の流速分布に大きな偏りが発生しにくく、水溜室432内における渦の発生を抑制することができる。
本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室流入口432aの開口面積が、スロート孔426aの開口面積以上の大きさに形成されているので、水溜室流入口432aから流入した湯水の流速に基づいて、スロート孔426aに流入する流速が局所的に高められることがない。これにより、スロート孔426aに概ね均等に湯水を送り込むことができ、上昇管426内における渦の発生を抑制することができる。
次に、図15及び図16を参照して、本発明の第6実施形態による浴槽循環型吐水装置を説明する。図15は本発明の第6実施形態における水溜室の平面断面図であり、図16は水溜室の側面断面図である。
本実施形態における浴槽循環型吐水装置は、ジェットポンプユニットの構成のみが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図15及び図16に示すように、ジェットポンプユニット520の内部には、箱形の水溜室532が形成されている。水溜室532は、概ね直方体状の空間を構成しており、その短辺を為す一方の側壁面には第4流路524が接続され、他端部の下壁面(床面)には第2流路514が接続されている。即ち、水溜室532の側壁面には開口が形成され、この開口に接続された第4流路524の下流端が、水溜室流入口532aを構成している。また、第4流路524の下流側の端部には、所定の長さの直線部524aが設けられている。この直線部524aは、円形の水溜室流入口532aの中心の垂直線Cと平行に向けられている。
一方、第2流路514の下流側端部は流路断面積が縮小され、上方に向けて水溜室532の下壁面に接続されている。第2流路514の先端には噴射ノズル534が上方に向けて取り付けられ、これが水溜室532(ジェットポンプユニット520)の内部に延びている。噴射ノズル534は、概ね円筒状の部材であり、内部に構成された流路が先端に向けて先細になるようにテーパしている。また、噴射ノズル534の先端は、水溜室532の下壁面から上方に突出するように配置されている。
これにより、ポンプによって加圧された湯水は、第2流路514から噴射ノズル534に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル534先端の噴射口534aから上方に向けて噴射される。
さらに、水溜室532の上壁面(天井面)の、噴射ノズル534に対向する位置には、上昇管526が接続されている。上昇管526の上流端は、水溜室532の上壁面に形成された開口部に接続されており、スロート孔526aを形成している。従って、スロート孔526aは水溜室532の上壁面に設けられ、水溜室532の下壁面と対向している。このスロート孔526aの縁部には、上昇管526への流入抵抗を減少させるため、比較的大きなRがつけられている。
また、本実施形態においては、円形の流路断面を有する上昇管526の中心軸線と、円形の流路断面を有する噴射ノズル534の噴射口534aの中心軸線が一致するように構成されている。このように、噴射ノズル534は、上昇管526の上流端のスロート孔526aに向けて配置されている。これら上昇管526及び噴射口534aの中心軸線は、噴射ノズル534から噴射された湯水が上昇管526に流れ込む通水経路Jと一致している。また、水溜室532の側壁面に開口した水溜室流入口532aは、直接、通水経路Jに向けられている。
さらに、図15に示すように、噴射ノズル534及びスロート孔526aは、上面視において、水溜室532の短辺方向の中央に配置されている。また、第4流路524の下流端である水溜室流入口532aも、水溜室532の短辺方向の中央に配置されている。このため、水溜室流入口532aの中心軸線は、スロート孔526aの中心軸線と交差する。さらに、本実施形態において、水溜室流入口532aの流路断面積は、上昇管526の流路断面積の2倍以上に構成されている。
この構成により、水溜室流入口532aを介して水溜室532内に流入した湯水は、まず第4流路524の下流端(水溜室流入口532a)から側方に流れ、噴射ノズル534の方へ向かう。ここで、水溜室流入口532aに接続される第4流路524は湾曲されているが、その下流側端部には、所定長さの直線部524aが設けられている。好ましくは、直線部524aの長さは10mm以上とする。この直線部524aの中心軸線Cは、水溜室流入口532aの中心の垂直線と平行に延びていると共に、水溜室流入口532aと直交している。このため、第4流路524内における流速の分布が、第4流路524の湾曲により不均一になっていたとしても、直線部524aを流れることにより、流速分布が概ね均一にされる。加えて、図15に示すように、水溜室流入口532aを通って噴射ノズル534へ向かう湯水の流速は、噴射ノズル534を挟んで、その両側で(図15において噴射ノズル534の上側と下側で)ほぼ対称となる。これにより、水溜室532内の通水経路J周辺では、速度分布の偏りが十分に抑制され、通水経路J周辺における渦の発生が抑制される。
このように、スロート孔526a及び噴射口534aの中心軸線が一致し、水溜室532の側壁面に開口した水溜室流入口532aが、直接、通水経路Jに向けられた構成はスロート孔526aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。また、水溜室流入口532aの中心軸線がスロート孔526aの中心軸線とほぼ交差する構成、及び水溜室流入口532aに接続される第4流路524の下流側端部に所定長さの直線部524aを設けた構成も、スロート孔526aから流出する流れに渦が発生するのを抑制する渦流発生抑制手段として機能する。なお、本明細書において「ほぼ交差」とは、水溜室流入口532aの中心軸線とスロート孔526aの中心軸線の間の距離が10mm以内であることを意味する。
本発明の第6実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室532の側壁面に開口した水溜室流入口532aが通水経路Jに向けられているので、水溜室流入口532aから流入した湯水が水溜室532内で渦流を生成する前に、通水経路Jからスロート孔526aに送り込まれるので、上昇管526内における渦の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室流入口532aの中心の垂直線(軸線Cと一致)がスロート孔526aの中心軸線(軸線Jと一致)とほぼ交差しているので、水溜室流入口532aから流入した湯水が、スロート孔526aの中心軸線に対して対称に流れる。このため、スロート孔526aから流入する湯水の流速分布に偏りが生じにくく、上昇管526内における渦の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態の浴槽循環型吐水装置によれば、水溜室流入口532aの開口面積が、スロート孔526aの開口面積以上の大きさに形成されているので、水溜室流入口532aから流入した湯水の流速に基づいて、スロート孔526aに流入する流速が局所的に高められることがない。これにより、スロート孔526aに概ね均等に湯水を送り込むことができ、上昇管内における渦の発生を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した各実施形態に備えられている特徴部を適宜組み合わせて本発明を構成することもできる。