JP7281265B2 - 消費電力量演算装置、空調システム、消費電力量演算方法およびプログラム - Google Patents
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Description
以下、本発明の一実施形態に係る空調システムについて図1~図13を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システムの全体構成を示した図である。
空調システム1は、空気調和機3と、空気調和機3を制御する集中監視装置8とを備えている。本実施形態において、空気調和機3は、ビル用パッケージエアコンであり、1台の室外機4と複数台の室内機5とを備える。室外機4と各室内機5とは、冷媒配管6を介して接続される。図1に示される室外機4と室内機5の台数は一例であり、図示する台数に限定されない。また、集中監視装置8によって監視制御される空気調和機3は複数台あってもよい。この場合、1つの空気調和機3が備える室外機及び室内機の台数は、他の空気調和機3が備える室外機及び室内機の台数と異なっていてもよい。
各室外機4及び各室内機5は、それぞれマイクロコンピュータなどのコントローラ(制御部)を内蔵している。室外機4、室内機5、及び集中監視装置8との間は、コントローラによる制御指令値等を通信するための空調制御ネットワーク9で接続されている。例えば、空調制御ネットワーク9で用いる通信規格には、空気調和機メーカごとの独自の専用通信プロトコルが用いられている。
図2に示すように、消費電力量制御部10は、入力情報取得部11と、記憶部12と、設定部13と、第1判定部15と、第2判定部16と、電力上限値調整部17と、修正部18と、破たん回避部20とを備えている。
例えば、記憶部12には、図3に示すように、各月ごとに設定された係数ax(x=1~12)が格納されている。係数a1~a12は、それらを合計した値が1(a1+a2+・・・+a12=1)になるように設定される。係数a1~a12は、年間の気温変化、過去の消費電力量の実績値などに基づいて予め設定されている。係数ax(x=1~12)は、例えば、年間の月ごとの気温変化及び過去の消費電力量の実績値の月ごとの変化に基づいて、消費電力量が多いほど大きな値となるように設定される。
また、係数axは、延床面積、階層、形状、建物の向き、種類(オフィス、マンション、店舗、ホテル、学校、病院など)、屋上緑化、築年数などを考慮して調整されてもよい。この係数aは、所定の期間(例えば、1年ごと)に更新されることとしてもよい。
図4(a)に示す冷房評価係数特性は、例えば、過去の最高気温と1日における消費電力量との関係から導出された関数の一例であり、最高気温が高いほど冷房評価係数α_coolが大きな値に設定されている。
図4(b)に示す暖房評価係数特性は、例えば、過去の最低気温と1日における消費電力量との関係から導出される関数の一例であり、最低気温が低いほど暖房評価係数α_heatが大きな値に設定されている。
設定部13は、図3に示した係数a1~a12を年間目標消費電力量Porg_yに乗じることにより、各月の目標消費電力量Porg_mを演算する。図5に、各月の目標消費電力量Porg_mの一例を示す。図5は、本発明の一実施形態に係る月ごとの目標消費電力量の一例を示す図である。図示するように、例えば、冷房による消費電力量が増加する7~8月には多くの消費電力量が割り当てられ、冷暖房の必要が少ない月には、少ない消費電力量が割り当てられる。
設定部13は、年間の日ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データ、図4に示した冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性、各月の目標消費電力量Porg_mを用いて、一日ごとの目標消費電力量Porg_dを演算する。
年間の日ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データは、例えば、通信部40を介してインターネット上にある所定のサーバ等から取得可能である。
設定部13は、冷房期間(例えば、5月から10月)については、図4(a)に示す冷房評価係数特性における予想最高気温に対応する冷房評価係数α_coolを取得する。 より具体的には、1日ごとの予想最高気温データを外部のサーバ等から取得して、図4(a)に示す冷房評価係数特性のグラフの横軸の値が、取得した予想最高気温に対応する点の冷房評価係数α_coolを対象月の全ての日について取得する。
・・・(1)
例えば、オフィスなどの場合には、平日に比べて、土曜日、日曜日、及び祝日における空調稼働率が低下する。したがって、この場合には、それらの曜日の冷房評価係数α_coolに1未満の係数(例えば、1/4)を乗じて、冷房評価係数α_coolを補正する。
・・・(2)
設定部13は、年間の1時間ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データ、図4に示した冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性、日ごとの目標消費電力量Porg_dを用いて、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを演算する。
設定部13は、冷房期間については、図4(a)に示す冷房評価係数特性における1時間ごとの予想最高気温に対応する冷房評価係数α_cool(k)を取得する。例えば、6:00の予想最高気温がX1℃であれば、X1℃に対応する冷房評価係数α_coolを、6:00の冷房評価係数α_coolとして取得する。同様にして、設定部13は、24時間分(24個)の冷房評価係数α_cool(k)を取得する。kは、1~24の整数である。
(冷房期間)
Porg_h´=Porg_d×(α_cool(k)/Σα_cool)
・・・(1´)
(暖房期間)
Porg_h´=Porg_d×(α_heat(k)/Σα_heat)
・・・(2´)
設定部13は、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを2分割し、30分ごとの目標消費電力量Porg_jを設定する。
設定部13は、例えば、30分ごとの目標消費電力量Porg_jを空調制御のサンプリング周期で割ることにより、1サンプリング周期あたりの消費電力上限値(瞬時消費電力上限値)を設定する。消費電力上限値は、この消費電力上限値で空調運転を行った場合に、30分間における消費電力量がその30分間に対応付けられている目標消費電力量以下となるように設定される。
設定温度Tsは、例えば、集中監視装置8が空調スケジュールに基づいて空気調和機3の運転制御を行う場合であれば、空調スケジュールから取得した値が用いられる。また、このような空調スケジュールに基づく運転制御が行われない場合には、例えば、リモートコントローラにおいてユーザによって設定された値であってもよい。このように、設定温度Tsの取得方法については限定されない。
暖房偏差閾値Tt_heatは、例えば、初期値が3℃に設定されている。この暖房偏差閾値Tt_heatは、後述する経済性調整部22により変更可能とされている。また、暖房偏差閾値Tt_heatと冷房偏差閾値Tt_coolとは、異なる値に設定されていてもよい。
同様に、電力上限値調整部17は、暖房期間において第2判定部16が、温度差ΔT_heatが暖房偏差閾値Tt_heat以上であると判定すると、次の判定周期(例えば、次の5分間)における消費電力上限値Ptを所定量増加させる。
第1修正部25は、1時間における前半30分の実消費電力量[Wh]と目標消費電力量Porg_j[Wh]との差分を演算し、この差分をその時間における後半30分の目標消費電力量に加算することによって、目標消費電力量Porg_j[Wh]を修正する。
例えば、厳しい年間目標消費電力量がユーザによって設定された場合や、予想外の気象異常等で実消費電力量が例年に比べてかなり増加している場合などには、実消費電力量が設定部13によって設定された月々の目標消費電力量Porg_m[Wh]を大幅に上回るおそれがある。このような場合、修正部18、例えば、第4修正部28による月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]の修正により、そのしわ寄せが翌月以降の目標消費電力量Porg_m[Wh]に重くのしかかり、消費電力量制御が破たんするおそれがある。破たん回避部20は、このような場合において、消費電力量の制御が破たんすることを回避するための調整を行うものである。以下、具体的に説明する。
経済性調整部22は、第4修正部28によって修正される前の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_mの総和ΣPorg_m[Wh]に対する、第4修正部28によって修正された後の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_m´[Wh]の総和ΣPorg_m´[Wh]の比(ΣPorg_m´/ΣPorg_m)が、予め定められた経済性基準値Ke(0<Ke<1)以下である場合に、冷房偏差閾値Tt_cool及び暖房偏差閾値Tt_heatを増加させる。
一例としては、以下の式(5)、式(6)を用いてこれらを調整する。
Tt_heat´=Tt_heat×d (6)
例えば、c、dは、比(ΣPorg_m´/ΣPorg_m)に反比例するような値に設定されており、比が小さいほど、c、dが大きな値をとるように設定されている。例えば、このような特性を有する関数またはテーブルを予め用意しておき、この関数またはテーブルを用いて、比に応じた係数c、dを用いて冷房偏差閾値Tt_cool及び暖房偏差閾値Tt_heatを調整する。
快適性調整部23は、本年における前月までの月ごとの目標消費電力量の総和ΣPorg_mに対する本年における前月までの月ごとの実消費電力量の総和ΣPr_mの比(ΣPr_m/ΣPorg_m)が、予め定められた快適性基準値Kc(Kc>1)以上である場合に、今月以降の各月の目標消費電力量Porg_mをγ倍(γ>1)する。
例えば、快適性基準値Kcが1.2であり、(ΣPr_m/ΣPorg_m)が1.2以上である場合は、γを1.1とし、今月以降の目標消費電力量Porg_mを1.1倍して、目標消費電力量を緩和する。
例えば、上限を2回までとし、3回目以降は目標消費電力量Porg_mの調整を行わないようにしてもよい。
このように、快適性重視モードの場合には、快適性重視の観点から冷房(暖房)偏差閾値を大きくすることができないので、快適性調整部23は、目標消費電力量を引き上げる。これにより、目標消費電力量の制約が緩和され、制御破綻を回避し、快適性を確保することができる。
図9に示すように、消費電力量制御処理は、イニシャル処理とループ処理とを有している。イニシャル処理は、例えば、ユーザによって年間目標消費電力量が入力されたとき、または入力された年間目標消費電力量が変更された場合に実行される処理であり、主に、設定部13によって行われる。以下、イニシャル処理について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の一実施形態に係るイニシャル処理の一例を示すフローチャートである。
設定部13は、このようにして設定した、月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]、日ごとの目標消費電力量Porg_d[Wh]、1時間ごとの目標消費電力量Porg_h[Wh]、30分ごとの目標消費電力量Porg_j[Wh]、及び30分単位で設定された消費電力上限値Pt[W]を、記憶部12に格納する(ステップS8)。
ループ処理では、図11に示すように、5分間隔で電力上限値調整部17が、電力上限値調整処理を実行する。第1修正部25が、各時間の前半30分経過時(例えば、0時30分、1時30分等)に第1修正処理を実行し、第2修正部26が、1時間間隔(例えば、毎時55分)で第2修正処理を実行する。また、第3修正部27が、1日間隔(例えば、毎日23時55分)で第3修正処理を実行し、第4修正部28が、1月間隔(例えば、毎月最終日の23時55分)で第4修正処理を実行する。また、第4修正処理が終了すると、破たん回避部20が、破たん回避処理を実行する。以下、各処理について、冷房期間を例に具体的に説明する。
このように、設定温度と室内温度との関係に応じて、消費電力上限値を調整することにより、消費電力量を目標消費電力量に抑制する制御を行いつつ、快適性をある程度保つことが可能となる。特に時間ごとの予想気温と時間帯に応じた空調負荷条件を考慮することにより、精度よく時間ごとの目標消費電力量を推定することができるので、快適性の低下を抑制することができる。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の集中監視装置8は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
また、消費電力量制御部10は、集中監視装置8とは独立した装置として、別のコンピュータ900に実装され、消費電力量制御装置として存在することも可能である。この場合、例えば、集中監視装置8と消費電力量制御装置とは相互通信が可能な構成とされ、通信を介して上記の各種処理を実現することとなる。
なお、β_cool(k)およびβ_heat(k)は第一係数の一例、α_cool(k)およびα_heat(k)は第二係数の一例、消費電力量制御部10(設定部13)は消費電力量演算装置の一例である。運転制御部30は制御装置の一例である。目標消費電力量Porg_hは消費電力量の推定値の一例である。
3・・・空気調和機
4・・・室外機
5・・・室内機
8・・・集中監視装置
10・・・消費電力量制御部
11・・・入力情報取得部
12・・・記憶部
13・・・設定部
15・・・第1判定部
16・・・第2判定部
17・・・電力上限値調整部
18・・・修正部
20・・・破たん回避部
21・・・モード判定部
22・・・経済性調整部
23・・・快適性調整部
25・・・第1修正部
26・・・第2修正部
27・・・第3修正部
28・・・第4修正部
30・・・運転制御部
40・・・通信部
Claims (8)
- 空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、を有し、
前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
消費電力量演算装置。 - 前記演算する手段は、冷房時には前記予想気温に予想最高気温を用い、暖房時には前記予想気温に予想最低気温を用いる、
請求項1に記載の消費電力量演算装置。 - 前記空調負荷条件は、時間帯ごとの前記建物が有する熱量である、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。 - 前記空調負荷条件は、前記建物の使用形態である、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。 - 前記空調負荷条件は、前記建物の立地環境である、
請求項1から請求項2の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。 - 空気調和機と、
前記空気調和機を制御する制御装置と、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の消費電力量演算装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記消費電力量演算装置が演算する前記時間帯ごとの前記消費電力量の推定値を目標消費電力量として前記空気調和機の運転を行う、
空調システム。 - 空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算するステップ、を有し、
前記演算するステップでは、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
消費電力量演算方法。 - コンピュータを、
空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、
として機能させ、
前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
プログラム。
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