JP7281265B2 - 消費電力量演算装置、空調システム、消費電力量演算方法およびプログラム - Google Patents

消費電力量演算装置、空調システム、消費電力量演算方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、消費電力量演算装置、空調システム、消費電力量演算方法およびプログラムに関する。
目標消費電力量の許容範囲内で、経済性と快適性の何れかを重視して空気調和機を運転する制御方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の制御方法では、設定温度と予想気温に基づいて1日毎、1時間毎の目標消費電力量を演算し、その目標消費電力量に従って空気調和機の運転を行う。この制御を成功させるためには、室温を設定温度に制御するために必要な実際の消費電力量と目標消費電力量の乖離を小さくする必要がある。空気調和機による消費電力量の推定について、特許文献2には、月当たりのビル空調設備の消費電力量を推定する技術が開示されている。
特開2016-38131号公報 特開2009-204195号公報
特許文献1に記載の制御では、予想気温に基づいて目標消費電力量を演算しているが、気温が同じでも消費電力量が異なる場合があり、予想気温だけでは空気調和機の目標消費電力量を精度よく推測することは困難な場合がある。目標消費電力量の推定精度が低いと、上記制御によって経済性や快適性を所望の範囲に制御できなくなる可能性がある。
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる消費電力量演算装置、空調システム、消費電力量演算方法およびプログラムを提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、消費電力量演算装置は、空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、を有し、前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する
本発明の一態様によれば、前記消費電力量演算装置は、冷房時には前記予想気温に予想最高気温を用い、暖房時には前記予想気温に予想最低気温を用いる。
本発明の一態様によれば、前記空調負荷条件は、時間帯ごとの前記建物が有する熱量である。
本発明の一態様によれば、前記空調負荷条件は、前記建物の使用形態である。
本発明の一態様によれば、前記空調負荷条件は、前記建物の立地環境である。
本発明の一態様によれば、空調システムは、空気調和機と、前記空気調和機を制御する制御装置と、上記の何れかに記載の消費電力量演算装置と、を備え、前記制御装置は、前記消費電力量演算装置が演算する前記時間帯ごとの前記消費電力量の推定値を目標消費電力量として前記空気調和機の運転を行う。
本発明の一態様によれば、消費電力量演算方法は、空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算するステップ、を有し、前記演算するステップでは、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する。
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータを、空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、として機能させ、前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する。
本発明によれば、時間帯ごとの空気調和機による消費電力量を精度よく推定することができる。
本発明の一実施形態に係る空調システムの全体構成を示した図である。 本発明の一実施形態に係る消費電力量制御部の概略構成を示した図である。 本発明の一実施形態に係る各月ごとに設定された係数の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る月ごとの目標消費電力量の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る時間ごとの目標消費電力量の演算方法を説明する第一の図である。 本発明の一実施形態に係る時間ごとの目標消費電力量の演算方法を説明する第二の図である。 本発明の一実施形態に係る消費電力量制御処理を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る消費電力量制御処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るイニシャル処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るループ処理を構成する各処理の処理周期の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る破たん回避処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る集中監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る空調システムについて図1~図13を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システムの全体構成を示した図である。
空調システム1は、空気調和機3と、空気調和機3を制御する集中監視装置8とを備えている。本実施形態において、空気調和機3は、ビル用パッケージエアコンであり、1台の室外機4と複数台の室内機5とを備える。室外機4と各室内機5とは、冷媒配管6を介して接続される。図1に示される室外機4と室内機5の台数は一例であり、図示する台数に限定されない。また、集中監視装置8によって監視制御される空気調和機3は複数台あってもよい。この場合、1つの空気調和機3が備える室外機及び室内機の台数は、他の空気調和機3が備える室外機及び室内機の台数と異なっていてもよい。
空気調和機3は、例えば、ビル2に設けられ、室外機4が屋上等に設置され、室内機5が各階における部屋の天井内部などに設置されている。
各室外機4及び各室内機5は、それぞれマイクロコンピュータなどのコントローラ(制御部)を内蔵している。室外機4、室内機5、及び集中監視装置8との間は、コントローラによる制御指令値等を通信するための空調制御ネットワーク9で接続されている。例えば、空調制御ネットワーク9で用いる通信規格には、空気調和機メーカごとの独自の専用通信プロトコルが用いられている。
集中監視装置8は、消費電力量制御部10と、消費電力量制御部10によって生成される消費電力上限値を超えないように空気調和機3を制御する運転制御部30と、外部との通信を行うための通信部40等を備えている。通信部40は、空気調和機3との間で空調制御ネットワーク9を介した通信を行う機能およびインターネットを介して外部のサーバとの間で通信を行う機能などを備えている。集中監視装置8は、コンピュータで構成されている。
図2は、本発明の一実施形態に係る消費電力量制御部の概略構成を示した図である。
図2に示すように、消費電力量制御部10は、入力情報取得部11と、記憶部12と、設定部13と、第1判定部15と、第2判定部16と、電力上限値調整部17と、修正部18と、破たん回避部20とを備えている。
入力情報取得部11は、ユーザからの入力指令を受け付ける。例えば、入力情報取得部11は、ユーザによって入力された年間目標消費電力量や、快適性重視モード及び経済性重視モードの何れかを指定する運転モードの選択情報を受け付ける。ユーザは、集中監視装置8が備えるキーボード等の入力部を用いてこれらの情報を入力してもよいし、遠隔地に設置された入力部からネットワーク、通信部40を介して入力情報取得部11へ入力してもよい。
記憶部12には、後述する設定部13が、月ごと、日ごと、1時間ごとの目標消費電力量を設定する際に参照される各種データ、及び設定部13によって設定された月ごと、日ごと、1時間ごとの目標消費電力量及び消費電力上限値等が格納される。
例えば、記憶部12には、図3に示すように、各月ごとに設定された係数ax(x=1~12)が格納されている。係数a1~a12は、それらを合計した値が1(a1+a2+・・・+a12=1)になるように設定される。係数a1~a12は、年間の気温変化、過去の消費電力量の実績値などに基づいて予め設定されている。係数ax(x=1~12)は、例えば、年間の月ごとの気温変化及び過去の消費電力量の実績値の月ごとの変化に基づいて、消費電力量が多いほど大きな値となるように設定される。
また、この係数axは、空気調和機3が設置されているビル2の構造的要因等によって調整されてもよい。例えば、日射熱取得率の高いガラス張りの構造の場合、日光が大量に室内に差し込むことから、夏場の室温は50℃近くになることが予想される。したがって、このような場合には、例えば、6月から8月の係数を他の月よりも大きめに調整するとよい。また逆に、断熱性の高い構造の場合には、夏期と冬期の室内の環境が他の月に比べて劇的に変化しないため、夏期、冬期の係数と他の月(例えば、春、秋)の係数との差を通常よりも少なめに設定することとしてもよい。
また、係数axは、延床面積、階層、形状、建物の向き、種類(オフィス、マンション、店舗、ホテル、学校、病院など)、屋上緑化、築年数などを考慮して調整されてもよい。この係数aは、所定の期間(例えば、1年ごと)に更新されることとしてもよい。
記憶部12には、図4(a)、(b)に例示する、日ごと又は時間ごとの目標消費電力量を設定するために用いられる冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性が格納されている。
図4(a)に示す冷房評価係数特性は、例えば、過去の最高気温と1日における消費電力量との関係から導出された関数の一例であり、最高気温が高いほど冷房評価係数α_coolが大きな値に設定されている。
図4(b)に示す暖房評価係数特性は、例えば、過去の最低気温と1日における消費電力量との関係から導出される関数の一例であり、最低気温が低いほど暖房評価係数α_heatが大きな値に設定されている。
図4(a)に示す冷房評価係数特性、図4(b)に示す暖房評価係数特性は、1時間ごとの消費電力量を設定するために用いられてもよい。あるいは、過去の最高気温や最低気温と1時間における消費電力量との関係から導出された関数が用意されていてもよい。以下、図4(a)、図4(b)に示す関数を用いる場合を例に説明を行う。
また、記憶部12には、上記の各種データを用いて、月ごと、日ごと、1時間ごとの目標消費電力量を設定するための演算式が格納されている。
設定部13は、記憶部12に格納されている各種データ(係数a1~a12、冷房評価係数α_cool、暖房評価係数α_heat等)及び演算式及び入力情報取得部11が取得した年間目標消費電力量Porg_yに基づいて、月ごと、日ごと、1時間ごとの目標消費電力量を演算する。以下、設定部13による目標消費電力量の演算手順について説明する。
〔月ごとの目標消費電力量Porg_mについて〕
設定部13は、図3に示した係数a1~a12を年間目標消費電力量Porg_yに乗じることにより、各月の目標消費電力量Porg_mを演算する。図5に、各月の目標消費電力量Porg_mの一例を示す。図5は、本発明の一実施形態に係る月ごとの目標消費電力量の一例を示す図である。図示するように、例えば、冷房による消費電力量が増加する7~8月には多くの消費電力量が割り当てられ、冷暖房の必要が少ない月には、少ない消費電力量が割り当てられる。
〔日ごとの目標消費電力量Porg_dについて〕
設定部13は、年間の日ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データ、図4に示した冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性、各月の目標消費電力量Porg_mを用いて、一日ごとの目標消費電力量Porg_dを演算する。
年間の日ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データは、例えば、通信部40を介してインターネット上にある所定のサーバ等から取得可能である。
設定部13は、冷房期間(例えば、5月から10月)については、図4(a)に示す冷房評価係数特性における予想最高気温に対応する冷房評価係数α_coolを取得する。 より具体的には、1日ごとの予想最高気温データを外部のサーバ等から取得して、図4(a)に示す冷房評価係数特性のグラフの横軸の値が、取得した予想最高気温に対応する点の冷房評価係数α_coolを対象月の全ての日について取得する。
そして、取得した日ごとの冷房評価係数α_cool(i)、その月の目標消費電力量Porg_m、その月の冷房評価係数の総和Σα_coolを以下の式(1)に代入することにより、その月の日ごとの目標消費電力量Porg_dを設定する。
Porg_d=Porg_m×(α_cool(i)/Σα_cool)
・・・(1)
式(1)において、(i)は演算対象日、Porg_mは演算対象日が属する月の目標消費電力量、α_cool(i)は演算対象日の冷房評価係数、Σα_coolは演算対象日が属する月の冷房評価係数の総和である。
なお、上記冷房評価係数α_coolに、ビル2における空調稼働率に応じた係数を乗じることにより冷房評価係数α_coolを補正し、補正後の冷房評価係数α_coolを用いて、日ごとの目標消費電力量Porg_dを演算してもよい。
例えば、オフィスなどの場合には、平日に比べて、土曜日、日曜日、及び祝日における空調稼働率が低下する。したがって、この場合には、それらの曜日の冷房評価係数α_coolに1未満の係数(例えば、1/4)を乗じて、冷房評価係数α_coolを補正する。
設定部13は、暖房期間(例えば、11月から4月)については、図4(b)に示した暖房評価係数特性に基づいて、外部のサーバ等から取得した日ごとの予想最低気温に対応する暖房評価係数α_heatを取得する。
そして、取得した日ごとの暖房評価係数α_heat(i)、その月の目標消費電力量Porg_m、その月の冷房評価係数の総和Σα_heatを以下の式(2)に代入することにより、その月の日ごとの目標消費電力量Porg_dを設定する。
Porg_d=Porg_m×(α_heat(i)/Σα_heat)
・・・(2)
式(2)において、(i)は演算対象日、Porg_mは演算対象日が属する月の目標消費電力量、α_heat(i)は演算対象日の暖房評価係数、Σα_heatは演算対象日が属する月の暖房評価係数の総和である。
また、暖房期間については、冷房期間と同様に、空調稼働率を用いて暖房評価係数α_heatを補正し、補正後の暖房評価係数α_heatを用いて、日ごとの目標消費電力量を演算してもよい。
なお、上述したような予想気温データが取得できない場合には、各月の目標消費電力量Porg_mをその月の日数で割った値を日毎の目標消費電力量Porg_dとして設定してもよい。または、過去における年間の日ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データを代用してもよい。また、この場合において、各曜日における稼働率を加味してもよい。
〔1時間ごとの目標消費電力量Porg_hについて〕
設定部13は、年間の1時間ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データ、図4に示した冷房評価係数特性及び暖房評価係数特性、日ごとの目標消費電力量Porg_dを用いて、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを演算する。
年間の1時間ごとの予想最高気温データ及び予想最低気温データは、例えば、通信部40を介して外部のサーバ等から取得可能である。
設定部13は、冷房期間については、図4(a)に示す冷房評価係数特性における1時間ごとの予想最高気温に対応する冷房評価係数α_cool(k)を取得する。例えば、6:00の予想最高気温がX1℃であれば、X1℃に対応する冷房評価係数α_coolを、6:00の冷房評価係数α_coolとして取得する。同様にして、設定部13は、24時間分(24個)の冷房評価係数α_cool(k)を取得する。kは、1~24の整数である。
ここで、日ごとの目標消費電力量Porg_dを演算した式(1)、(2)と同様の下の式(1´)、(2´)で1時間ごとの目標消費電力量を定めたときの推定精度について説明する。
(冷房期間)
Porg_h´=Porg_d×(α_cool(k)/Σα_cool)
・・・(1´)
(暖房期間)
Porg_h´=Porg_d×(α_heat(k)/Σα_heat)
・・・(2´)
図6は、本発明の一実施形態に係る時間ごとの目標消費電力量の演算方法を説明する第一の図である。図6に式(1´)を用いて演算したPorg_h´(j)の24時間分の値(目標消費電力量)と、同じ設定温度で空気調和機3を運転したときの実際の消費電力量を示す。図中、四角の印でプロットした点が目標消費電力量、菱形の印でプロットした点が実際の消費電力量である。図6のグラフを参照すると、6:00~9:00において、実際の消費電力量が目標消費電力量を大きく上回っている。この例の場合は、6:00前に空気調和機3が稼働しておらず、ビル2全体の温度が高くなっていた。その結果、ビル2が有する熱量が大きかったために稼働開始後の消費電力量が目標消費電力量を大きく上回ることとなった。もし、明け方まで空気調和機3が稼働していれば、実際の消費電力量は目標消費電力量に近づいていたと考えられる。
同様に、冬期に暖房を開始する6:00は、建物全体の温度が低くなる傾向にある。すると、6:00の予想最低気温に基づいて上記の式(2´)を用いて演算した目標消費電力量は、同じ時間の実際の消費電力量を下回る可能性がある。このように予想気温に基づいて演算した目標消費電力量は、実際の消費電力量と乖離する可能性がある。そこで、本実施形態では、時間帯ごとの予想気温に加え、時間帯ごとに想定される空調負荷条件(例えば、建物が有する熱量)を考慮して、時間ごとの目標消費電力量を演算する。例えば、夏期には建物全体の温度が温まり、冬期には建物全体の温度が冷えやすい朝方の時間帯には、時間ごとの目標消費力量を多く割り当てる。
図7は、本発明の一実施形態に係る時間ごとの目標消費電力量の演算方法を説明する第二の図である。図7に時間帯ごとに設定できる空調負荷係数の一例を示す。例えば、冷房期間の空調負荷係数b1,b2、b3は、それぞれ6:00~9:00、9:00~24:00、24:00~5:00に対して設定され、例えば、b1>b2>b3を満たすような値が設定される。同様に暖房期間の空調負荷係数b4,b5、b6は、それぞれ6:00~9:00、9:00~24:00、24:00~5:00に対して設定され、例えば、b4>b6>b5を満たすような値が設定される。
ここで、空調負荷係数b1~b6は、建物の使用形態に応じて定められてもよい。例えば、ビル2がオフィスビルの場合、夜間には空調が停止している。従って、朝方の時間帯の空調負荷係数b1及びb4に比較的大きな値を設定する。例えば、ビル2が、病院や24時間営業の店舗等の場合、夜間でも空調が稼働している。従って、朝方の時間帯の空調負荷係数b1及びb4に比較的小さな値を設定する。このように設定することにより、ビル2が有する熱量が多くなる時間帯に多くの消費電力量を割り当てることができ、空調の快適性を損なうことなく空気調和機3の運転を行うことができる。また、他の例では、ビル2の立地環境や建物の構造的特性に応じて、空調負荷係数b1等を設定してもよい。例えば、ビル2がオフィスビルであってビルが密集して熱がこもりやすい立地環境に存在したり、窓の数や壁材の特性等により熱を放出しない特性を有していたりする場合、空調負荷係数b1にさらに大きな値を設定してもよい。また、ビル2が、朝方の冷え込みが激しい地域に存在したり、断熱性の低い建物であったりする場合、空調負荷係数b4にさらに大きな値を設定してもよい。あるいは、コンピュータが数多く設置されたデータセンターなど放熱する機器が多い建物では、夜間の空調負荷係数b6についても比較的大きな値を設定してもよい。
なお、図7に例示する空調負荷係数b1~b6、各係数に対応する時間帯は一例である。例えば、空調負荷係数b1等を1時間ごとに設定してもよいし、朝方の時間帯(6:00~9:00)とその他の時間帯の2つの時間帯に分類して空調負荷係数b1等を設定してもよい。また、図7の例では、朝方の時間帯を6:00~9:00としたが、例えば、季節や地域(緯度経度)に応じて変化する日の出時刻に合わせて他の時間帯(例えば、4:00~7:00)を設定してもよい。なお、図7に例示する空調負荷係数の設定テーブルは、記憶部12に格納されている。
次に時間ごとの目標消費電力量の具体的な演算方法を説明する。まず、設定部13は、図4(a)に示す冷房評価係数特性と時間ごとの最高予想気温に基づいて、α_cool(k)を取得する。次に設定部13は、図7に示す設定テーブルに基づいて、空調負荷係数β_cool(k)を取得する。そして、設定部13は、時間ごとの冷房評価係数α_cool(k)、時間ごとの空調負荷係数β_cool(k)、その日の目標消費電力量Porg_d、その日の時間ごとの冷房評価係数に空調負荷係数を乗じた値の総和Σ(α_cool×β_cool)を以下の式(3)に代入することにより、その日の時間ごとの目標消費電力量Porg_hを設定する。
Porg_h=Porg_d×(α_cool(k)×β_cool(k))/Σ(α_cool×β_cool) ・・・(3)
式(3)において、(k)は演算対象時間、Porg_dは演算対象時間が属する日の目標消費電力量である。
同様に設定部13は、暖房期間については、図4(b)に示した暖房評価係数特性に基づいて、外部のサーバ等から取得した時間ごとの予想最低気温に対応する暖房評価係数α_heat(k)を取得する。また、設定部13は、図7に示す設定テーブルに基づいて、空調負荷係数β_heat(k)を取得する。
そして、取得した時間ごとの暖房評価係数α_heat(k)、時間ごとの空調負荷係数β_heat(k)、その日の目標消費電力量Porg_d、その日の時間ごとの暖房評価係数に空調負荷係数を乗じた値の総和Σ(α_heat×β_heat)を以下の式(4)に代入することにより、その日の時間ごとの目標消費電力量Porg_hを設定する。
Porg_h=Porg_d×(α_heat(k)×β_heat(k))/Σ(α_heat×β_heat) ・・・(4)
〔30分ごとの目標消費電力量Porg_jについて〕
設定部13は、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを2分割し、30分ごとの目標消費電力量Porg_jを設定する。
〔消費電力上限値の設定について〕
設定部13は、例えば、30分ごとの目標消費電力量Porg_jを空調制御のサンプリング周期で割ることにより、1サンプリング周期あたりの消費電力上限値(瞬時消費電力上限値)を設定する。消費電力上限値は、この消費電力上限値で空調運転を行った場合に、30分間における消費電力量がその30分間に対応付けられている目標消費電力量以下となるように設定される。
設定部13は、月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]、日ごとの目標消費電力量Porg_d[Wh]、1時間ごとの目標消費電力量Porg_h[Wh]、30分ごとの目標消費電力量Porg_j[Wh]、及び30分間隔(30分単位)で設定された消費電力上限値Pt[W]を、記憶部12に格納する。
第1判定部15は、冷房期間において、所定の判定周期で、室内温度Taから設定温度Tsを引いた値(以下、「温度差ΔT_cool」という)が冷房偏差閾値Tt_cool以上であるか否かを判定する。ここで、室内温度Taは、例えば、室内機5の室内吸込温度が用いられる。
上記の判定周期は、設定部13が設定する最小区間の消費電力量の周期、すなわち、30分よりも短い時間(例えば、5分)に設定される。本実施形態では、判定周期は5分に設定されているが、この例に限られず、例えば、10分、15分であってもよい。
設定温度Tsは、例えば、集中監視装置8が空調スケジュールに基づいて空気調和機3の運転制御を行う場合であれば、空調スケジュールから取得した値が用いられる。また、このような空調スケジュールに基づく運転制御が行われない場合には、例えば、リモートコントローラにおいてユーザによって設定された値であってもよい。このように、設定温度Tsの取得方法については限定されない。
冷房偏差閾値Tt_coolは、初期値として3℃が設定されている。この値は、例えば、ユーザが快適でないと感じ始める室内温度と設定温度との温度差に基づいて予め決められる値である。また、この冷房偏差閾値Tt_coolは、後述する経済性調整部22によって変更可能とされている。
第2判定部16は、暖房期間において、所定の判定周期で、設定温度Tsから室内温度Taを引いた値(以下「温度差ΔT_heat」という)が暖房偏差閾値Tt_heat以上であるか否かを判定する。判定周期及び設定温度Ts等については、上述した第1判定部15と同様である。
暖房偏差閾値Tt_heatは、例えば、初期値が3℃に設定されている。この暖房偏差閾値Tt_heatは、後述する経済性調整部22により変更可能とされている。また、暖房偏差閾値Tt_heatと冷房偏差閾値Tt_coolとは、異なる値に設定されていてもよい。
電力上限値調整部17は、冷房期間において第1判定部15が、温度差ΔT_coolが冷房偏差閾値Tt_cool以上であると判定すると、次の判定周期(例えば、次の5分間)における消費電力上限値Ptを所定量増加させる。
同様に、電力上限値調整部17は、暖房期間において第2判定部16が、温度差ΔT_heatが暖房偏差閾値Tt_heat以上であると判定すると、次の判定周期(例えば、次の5分間)における消費電力上限値Ptを所定量増加させる。
次に図8を用いて、本実施形態の消費電力量制御処理について説明する。図8に冷房期間のある日の9:50から11:05における設定温度Ts、室内温度Ta、実消費電力Pr、及び消費電力上限値Ptとの関係の一例を示す。例えば、時刻10:30、10:35において、設定温度Tsと室内温度Taとの温度差ΔT_coolが冷房偏差閾値Tt_cool以上になっている。このため、10:30及び10:35における消費電力上限値Ptは所定量増加されている。なお、図8における白丸は、30分ごとの目標消費電力量Porg_jに基づいて設定された消費電力上限値Ptであって、電力上限値調整部17による電力増加が行われる前の消費電力上限値Ptを示している。
修正部18は、第1修正部25、第2修正部26、第3修正部27、第4修正部28を有している。
第1修正部25は、1時間における前半30分の実消費電力量[Wh]と目標消費電力量Porg_j[Wh]との差分を演算し、この差分をその時間における後半30分の目標消費電力量に加算することによって、目標消費電力量Porg_j[Wh]を修正する。
第2修正部26は、過去1時間の実消費電力量[Wh]と目標消費電力量Porg_h[Wh]とを比較し、その差分を以降の同日1時間ごとの目標消費電力量Porg_h[Wh]に等分加算することにより、同日1時間ごとの目標消費電力量Porg_h[Wh]を修正する。
第3修正部27は、過去1日間の実消費電力量[Wh]と目標消費電力量Porg_d[Wh]とを比較し、その差分を同月の翌日以降の目標消費電力量Porg_d[Wh]に等分加算することにより、同月の日ごとの目標消費電力量Porg_d[Wh]を修正する。
第4修正部28は、過去1ヶ月間の実消費電力量と目標消費電力量Porg_m[Wh]とを比較し、その差分を同年の翌月以降の目標消費電力量Porg_m[Wh]に等分加算することにより、同年の月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]を修正する。
破たん回避部20は、モード判定部21、経済性調整部22、及び快適性調整部23を備えている。
例えば、厳しい年間目標消費電力量がユーザによって設定された場合や、予想外の気象異常等で実消費電力量が例年に比べてかなり増加している場合などには、実消費電力量が設定部13によって設定された月々の目標消費電力量Porg_m[Wh]を大幅に上回るおそれがある。このような場合、修正部18、例えば、第4修正部28による月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]の修正により、そのしわ寄せが翌月以降の目標消費電力量Porg_m[Wh]に重くのしかかり、消費電力量制御が破たんするおそれがある。破たん回避部20は、このような場合において、消費電力量の制御が破たんすることを回避するための調整を行うものである。以下、具体的に説明する。
まず、モード判定部21は、ユーザによって選択された運転モード、すなわち、経済性重視モードが選択されているのか、快適性重視モードが選択されているのかを判定する。
〔経済性重視モードについて〕
経済性調整部22は、第4修正部28によって修正される前の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_mの総和ΣPorg_m[Wh]に対する、第4修正部28によって修正された後の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_m´[Wh]の総和ΣPorg_m´[Wh]の比(ΣPorg_m´/ΣPorg_m)が、予め定められた経済性基準値Ke(0<Ke<1)以下である場合に、冷房偏差閾値Tt_cool及び暖房偏差閾値Tt_heatを増加させる。
一例としては、以下の式(5)、式(6)を用いてこれらを調整する。
Tt_cool´=Tt_cool×c (5)
Tt_heat´=Tt_heat×d (6)
式(5)、式(6)において、Tt_cool´、Tt_heat´は変更後の値であり、係数c、dは、1よりも大きな値に設定された係数である。
例えば、c、dは、比(ΣPorg_m´/ΣPorg_m)に反比例するような値に設定されており、比が小さいほど、c、dが大きな値をとるように設定されている。例えば、このような特性を有する関数またはテーブルを予め用意しておき、この関数またはテーブルを用いて、比に応じた係数c、dを用いて冷房偏差閾値Tt_cool及び暖房偏差閾値Tt_heatを調整する。
例えば、経済性基準値Keが1/3であり、ΣPorg_m´/ΣPorg_mが1/3以下である場合は、冷房偏差閾値を2℃増加させるものとし、経済性基準値Keが2/3であり、ΣPorg_m´/ΣPorg_mが2/3以下、1/3以上である場合は、冷房偏差閾値を1℃増加させるものとし、経済性基準値に応じて冷房偏差閾値を調整する。冷房偏差閾値は、多くの場合、3℃程度とされているため、上記例においては、冷房偏差閾値Tt_coolは3℃から5℃の間で変化する。
このようにして、冷房偏差閾値Tt_cool及び暖房偏差閾値Tt_heatが調整された場合には、第1判定部15、第2判定部16は、調整後の冷房偏差閾値Tt_cool´及び調整後の暖房偏差閾値Tt_cool´を用いて、上記判定を行う。
経済性重視モードでは、経済性重視の観点から目標消費電力量を増加させることができないので、経済性調整部22は、冷房(暖房)偏差閾値を大きくする方向に調整する。これにより、快適性を多少犠牲にしても経済性を確保することができる。
〔快適性重視モードについて〕
快適性調整部23は、本年における前月までの月ごとの目標消費電力量の総和ΣPorg_mに対する本年における前月までの月ごとの実消費電力量の総和ΣPr_mの比(ΣPr_m/ΣPorg_m)が、予め定められた快適性基準値Kc(Kc>1)以上である場合に、今月以降の各月の目標消費電力量Porg_mをγ倍(γ>1)する。
例えば、快適性基準値Kcが1.2であり、(ΣPr_m/ΣPorg_m)が1.2以上である場合は、γを1.1とし、今月以降の目標消費電力量Porg_mを1.1倍して、目標消費電力量を緩和する。
ここで、快適性重視モードにおいては、各月の目標消費電力量Porg_mを調整する回数の上限を決めておき、この上限を超えた場合には、上記条件を満たしている場合でも、それ以上の目標消費電力量Porg_mの調整を行わないようにしてもよい。
例えば、上限を2回までとし、3回目以降は目標消費電力量Porg_mの調整を行わないようにしてもよい。
このように、快適性重視モードの場合には、快適性重視の観点から冷房(暖房)偏差閾値を大きくすることができないので、快適性調整部23は、目標消費電力量を引き上げる。これにより、目標消費電力量の制約が緩和され、制御破綻を回避し、快適性を確保することができる。
次に、上述した構成を有する消費電力量制御部10によって実行される消費電力量制御処理の手順について図9~図12を参照して説明する。
図9に示すように、消費電力量制御処理は、イニシャル処理とループ処理とを有している。イニシャル処理は、例えば、ユーザによって年間目標消費電力量が入力されたとき、または入力された年間目標消費電力量が変更された場合に実行される処理であり、主に、設定部13によって行われる。以下、イニシャル処理について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の一実施形態に係るイニシャル処理の一例を示すフローチャートである。
まず、入力情報取得部11が、年間目標消費電力量Porg_yが受け付け(ステップS1)、受け付けた年間目標消費電力量Porg_yを記憶部12に格納する(ステップS2)。
次に、設定部13が、年間目標消費電力量Porg_yから月ごとの目標消費電力量Porg_mを設定する(ステップS3)。次に設定部13は、目標消費電力量Porg_m等を用いて、一日ごとの目標消費電力量Porg_dを設定する(ステップS4)。次に設定部13は、一日ごとの目標消費電力量Porg_d等を用いて1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを設定する(ステップS5)。上記のとおり、設定部13は、時間帯別の空調負荷条件β_cool又はβ_heatと時間ごとの予想気温に基づいて、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを演算する。次に設定部13は、1時間ごとの目標消費電力量Porg_hを用いて30分ごとの目標消費電力量Porg_jを設定する(ステップS6)。
更に、設定部13は、30分ごとの目標消費電力量Porg_jから消費電力上限値Pt[W]を30分単位で設定する(ステップS7)。
設定部13は、このようにして設定した、月ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]、日ごとの目標消費電力量Porg_d[Wh]、1時間ごとの目標消費電力量Porg_h[Wh]、30分ごとの目標消費電力量Porg_j[Wh]、及び30分単位で設定された消費電力上限値Pt[W]を、記憶部12に格納する(ステップS8)。
記憶部12に各目標消費電力量や消費電力上限値Pt[W]が格納されると、以降においては、記憶部12に格納された最新の目標電力量等に基づいて空気調和機3の監視制御が行われる。具体的には、運転制御部30が、消費電力量制御部10によって設定された30分単位の消費電力上限値Ptを取得し、瞬時消費電力が取得した消費電力上限値Pt以下となるように空気調和機3の制御を行う。
次に、消費電力量制御処理におけるループ処理について説明する。
ループ処理では、図11に示すように、5分間隔で電力上限値調整部17が、電力上限値調整処理を実行する。第1修正部25が、各時間の前半30分経過時(例えば、0時30分、1時30分等)に第1修正処理を実行し、第2修正部26が、1時間間隔(例えば、毎時55分)で第2修正処理を実行する。また、第3修正部27が、1日間隔(例えば、毎日23時55分)で第3修正処理を実行し、第4修正部28が、1月間隔(例えば、毎月最終日の23時55分)で第4修正処理を実行する。また、第4修正処理が終了すると、破たん回避部20が、破たん回避処理を実行する。以下、各処理について、冷房期間を例に具体的に説明する。
電力上限値調整処理では、冷房期間においては、第1判定部15が、所定の判定周期(5分間隔)で、室内温度Taと設定温度Tsとの温度差ΔT_coolを演算する。温度差ΔT_coolが冷房偏差閾値Tt_cool以上である場合、電力上限値調整部17は、次の判定周期(5分間隔)における消費電力上限値Pt[W]を所定量増加する(図8の時刻10:30、10:35を参照)。
第1修正処理では、第1修正部25が、前半30分の実電力消費量ΣPr[Wh]とその30分における目標電力消費量Porg_jとの差分を演算する。第1修正部25は、その差分を、その時間の後半30分の目標電力消費量Porg_jに加算する。例えば、ある1時間において、前半30分の実電力消費量P_j[Wh]がその時間の目標電力消費量Porg_jよりも大きければ、後半30分の目標電力消費量Porg_jは、その差分だけ小さな値とされ、変更後の目標電力消費電力量Porg_jに基づいて後半30分の消費電力上限値Pr[W]が再設定される。
例えば、図8の例においては、第1修正部25は、9:55から10:25までの実消費電力量Pr_jを演算し、この実消費電力量Pr_jと、9:55から10:25までの30分における目標消費電力量Porg_jとの差分を演算する。そして、第1修正部25は、この差分を、10:25から10:55までの30分間における目標消費電力量Porg_jに加算する。図8の例では、9:55から10:25までの30分間における実消費電力量Pr_jは、目標消費電力量Porg_jよりも大きいため、その差分(図8におけるハッチング領域)が10:25から10:55までの30分における目標消費電力量Porg_jに反映されることとなり、目標消費電力量Porg_jが当初の値よりも小さい値に修正される。なお、図8では、第1修正処理による修正後の目標消費電力量に基づく消費電力上限値が白丸として表されている。
第2修正処理では、第2修正部26が、過去1時間の目標消費電力量Porg_hと、実消費電力量Pr_h[Wh]との差分を演算し、その差分を以降の同日1時間ごとの目標消費電力量Porg_hに等分加算し、修正後の目標消費電力量Porg_hを記憶部12に格納する。これにより、過去1時間における実消費電力量Pr_h[Wh]が目標消費電力量Porg_h未満であれば、以降の同日1時間ごとの目標消費電力量Porg_hが増加する。反対に、過去1時間における実消費電力量Pr_h[Wh]が目標消費電力量Porg_hを上回っていた場合には、以降の同日1時間ごとの目標消費電力量Porg_hが減少する。
第3修正処理では、第3修正部27が、過去1日の目標消費電力量Porg_dと、実消費電力量P_d[Wh]との差分を演算し、その差分を以降の同月の1日ごとの目標消費電力量Porg_dに等分加算し、修正後の日ごとの目標消費電力量Porg_dを記憶部12に格納する。これにより、過去1日における実消費電力量P_d[Wh]がその日の目標消費電力量Porg_d未満であれば、以降の同月の日ごとの目標消費電力量Porg_dが増加する。反対に、目標消費電力量Porg_dを上回っていた場合には、以降の同月の日ごとの目標消費電力量Porg_dが減少する。
第4修正処理は、第4修正部28が、過去1ヶ月の目標消費電力量Porg_mと、実消費電力量P_m[Wh]との差分を演算し、その差分を以降の同年の月ごとの目標消費電力量Porg_mに等分加算し、修正後の月ごとの目標消費電力量Porg_mを記憶部12に格納する。これにより、過去1ヶ月における実消費電力量P_m[Wh]がその月の目標消費電力量Porg_m未満であれば、以降の同年の月ごとの目標消費電力量Porg_mが増加する。反対に、目標消費電力量Porg_mを上回っていた場合には、以降の同年の月ごとの目標消費電力量Porg_mが減少する。
破たん回避処理では、図12に示すように、破たん回避部20が、ユーザによって経済性重視モードが選択されているか否かを判定する(ステップS11)。経済性重視モードが選択された場合(ステップS11;YES)、破たん回避部20は、経済性重視モードの回避処理条件を満たすか否かを判定する。具体的には、破たん回避部20は、第4修正部28によって修正される直前の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_mの総和ΣPorg_m[Wh]に対する、第4修正部28によって修正された後の本年における翌月以降の各月の目標消費電力量Porg_m´[Wh]の総和ΣPorg_m´[Wh]の比(ΣPorg_m´/ΣPorg_m)が、予め定められた経済性基準値Ke(0<Ke<1)以下であるか否を判定する(ステップS12)。
上記比が経済性基準値Ke以下である場合(ステップS12;YES)、破たん回避部20は、その比に応じて冷房温度偏差ΔTt_cool及び暖房温度偏差ΔTt_heatを変更し(ステップS13)、変更後の値を記憶部12に格納する。格納した値は、以降の処理で用いられる。
一方、ステップS11において、快適性重視モードが選択されていた場合(ステップS11;NO)、破たん回避部20は、快適性重視の回避処理条件を満たすか否かを判定する。具体的には、破たん回避部20は、本年における前月までの月ごとの目標消費電力量の総和ΣPorg_mに対する、本年における前月までの月ごとの実消費電力量の総和ΣPr_mの比率(ΣPr_m/ΣPorg_m)が快適性基準値Kc(Kc>1)以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
上記比率が快適性基準値Kc以上である場合(ステップS14;YES)、破たん回避部20は、目標消費電力量の修正回数が上限値に達しているか否かを判定する(ステップS15)。上限値に達していなければ(ステップS15;YES)、破たん回避部20は、記憶部12に格納されている各月の最新の目標消費電力量Porg_mをγ倍(γ>1)する(ステップS16)。
ステップS12において経済性重視モードの回避処理条件を満たさなかった場合(ステップS12;NO)、ステップS14において快適性重視モードの回避処理条件を満たさなかった場合(ステップS14;NO)、またはステップS15において修正回数が既に上限値に達していた場合(ステップS15;NO)、そのまま処理を終了する。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る消費電力量制御部10によれば、年間目標消費電力量Porg_y[Wh]に基づいて、月ごと、日ごと、1時間ごと、30分ごとの目標消費電力量Porg_m[Wh]、Porg_d[Wh]、Porg_h[Wh]、Porg_j[Wh]を設定し、30分ごとの目標消費電力量Porg_j[Wh]から消費電力上限値Pt[W]設定する。そして、瞬時電力がこの消費電力上限値Pt[W]を上回らないような制御が行われる。また同時に、所定の判定周期(例えば、5分)で、設定温度Tsと室内温度Taとの差が演算され、これらの差が所定の温度偏差閾値以上である場合には、次の判定周期における消費電力上限値が増加する方向に調整される。
このように、設定温度と室内温度との関係に応じて、消費電力上限値を調整することにより、消費電力量を目標消費電力量に抑制する制御を行いつつ、快適性をある程度保つことが可能となる。特に時間ごとの予想気温と時間帯に応じた空調負荷条件を考慮することにより、精度よく時間ごとの目標消費電力量を推定することができるので、快適性の低下を抑制することができる。
図13は、本発明の一実施形態に係る集中監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の集中監視装置8は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
なお、集中監視装置8の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。なお、集中監視装置8は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。
また、消費電力量制御部10は、集中監視装置8とは独立した装置として、別のコンピュータ900に実装され、消費電力量制御装置として存在することも可能である。この場合、例えば、集中監視装置8と消費電力量制御装置とは相互通信が可能な構成とされ、通信を介して上記の各種処理を実現することとなる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
なお、β_cool(k)およびβ_heat(k)は第一係数の一例、α_cool(k)およびα_heat(k)は第二係数の一例、消費電力量制御部10(設定部13)は消費電力量演算装置の一例である。運転制御部30は制御装置の一例である。目標消費電力量Porg_hは消費電力量の推定値の一例である。
1・・・空調システム
3・・・空気調和機
4・・・室外機
5・・・室内機
8・・・集中監視装置
10・・・消費電力量制御部
11・・・入力情報取得部
12・・・記憶部
13・・・設定部
15・・・第1判定部
16・・・第2判定部
17・・・電力上限値調整部
18・・・修正部
20・・・破たん回避部
21・・・モード判定部
22・・・経済性調整部
23・・・快適性調整部
25・・・第1修正部
26・・・第2修正部
27・・・第3修正部
28・・・第4修正部
30・・・運転制御部
40・・・通信部

Claims (8)

  1. 空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、を有し、
    前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
    消費電力量演算装置。
  2. 前記演算する手段は、冷房時には前記予想気温に予想最高気温を用い、暖房時には前記予想気温に予想最低気温を用いる、
    請求項1に記載の消費電力量演算装置。
  3. 前記空調負荷条件は、時間帯ごとの前記建物が有する熱量である、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。
  4. 前記空調負荷条件は、前記建物の使用形態である、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。
  5. 前記空調負荷条件は、前記建物の立地環境である、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の消費電力量演算装置。
  6. 空気調和機と、
    前記空気調和機を制御する制御装置と、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の消費電力量演算装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記消費電力量演算装置が演算する前記時間帯ごとの前記消費電力量の推定値を目標消費電力量として前記空気調和機の運転を行う、
    空調システム。
  7. 空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算するステップ、を有し、
    前記演算するステップでは、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
    消費電力量演算方法。
  8. コンピュータを、
    空調対象の建物の時間帯ごとの空調負荷条件と、前記時間帯における予想気温と、に基づいて前記時間帯における空気調和機による消費電力量の推定値を演算する手段、
    として機能させ
    前記演算する手段は、1日の目標消費電力量を、1日のうちの時間帯ごとの前記空調負荷条件に基づく第一係数および前記時間帯における予想気温に基づく第二係数に基づいて按分することにより、前記時間帯における前記消費電力量の推定値を演算する、
    プログラム。
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