JP7281095B2 - 竹エキス抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、竹に含まれる有効成分を効率よく抽出するための竹エキス抽出方法に関する。
一般的に竹は、種々の用途、例えば建材、内装材、容器、結束材、工芸品、日用品、繊維などに用いられる工業材料、食品材料、生薬(漢方薬)若しくは医薬品等(医薬部外品や化粧品も含む)、バイオ燃料、界面活性剤、又は除菌、消臭、防虫、若しくは土壌改良剤などで用いられる。
そもそも竹は、日本や中国といった東アジア南部、東南アジア、南アメリカなどの熱帯若しくは温帯地域に分布する、イネ科タケ亜科に属する約40属600種で構成される大植物群である。竹については、例えば竹の葉などを漢方薬として用いた場合、昔から鎮静、鎮痛、鎮咳、解熱、消炎、止血に対する薬効成分などが知られている。しかしながら、昔は、具体的に竹の中にどのような成分が含まれているかが不明であった。
竹の成分については、例えば竹酢液の成分分析で知られるようになった。竹酢液とは、竹を炭化する際に出る煙を乾留した際に出る留分を言う。竹酢液の成分としては、約9割が水分、残りは、酢酸やギ酸等のカルボン酸、フェノール類、アルデヒド類、アルコール類、タールなどで構成される。しかしながら竹酢液については、先に述べたように、ギ酸やアルデヒド類、フェノール類といった、人体には有害な成分も含まれるため、除菌、消臭、防虫、若しくは土壌改良剤、界面活性剤又はバイオ燃料が主な用途であり、食品材料としてはそれらの有害成分を更に分離した燻煙剤としての使用、医薬品としても食品材料同様に有害成分を更に分離して使用しなくてはならない。
しかしこれらは、糖質を高温若しくは高圧により産生可能であり、温度や圧力により分離することが可能である。ここで、竹酢液に含まれるような、ギ酸やアルデヒド類、フェノール類といった、人体には有害な成分を最初から除いた成分(竹エキス)の分離抽出方法として、近年では竹の稈から竹エキスを水やアルコール等の極性溶媒で抽出する方法、同じく竹の稈を乾留若しくは水蒸気蒸留にて竹エキスを分離抽出する方法が開示されている。例えば、特公昭61-41543号公報(特許文献1)に、前述の方法で竹エキスを分離抽出したことが開示されている。
特許文献1に記載の発明は、マダケ属の若竹の稈から、極性溶媒による抽出、乾留若しくは水蒸気蒸留にて竹エキスを抽出し、当該竹エキスを食品添加物や調味料として使用するという発明である。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、水(80℃~90℃の熱水)以外の溶媒、即ち有機溶媒で抽出した場合は、抽出溶媒の留去が難しく、熱水の場合は約5~6時間の抽出時間を要し、目的の成分については有機溶媒で抽出するよりも半分の量しか抽出されない。また、特許文献1に記載の発明において、乾留若しくは水蒸気蒸留にて竹エキスの抽出を行う場合、装置の組み立てや不活性ガス雰囲気下で行う必要がありコストがかかるといったこと、不必要かつ人体に有害なガスを分離することが懸念される。
有機溶媒以外の竹エキス抽出方法について、本願発明者は長年孟宗竹の竹エキスに関して研究を続けており、先ず、95℃以上の熱水又はアルコール(エタノール)で竹エキスを抽出する方法並びにその竹エキスを用いた調味液及び該調味液の調製方法を、特開2001-95521号公報(特許文献2)に開示している。また、本願発明者は、特許文献2の知見を基にして、竹エキスを使用した飲料及び医薬、竹エキス含有竹塩、及び皮膚外用剤を、それぞれ順に国際特許公開第2005/079824号(特許文献3)、特許第5395997号公報(特許文献4)及び特許第5164454号公報(特許文献5)に開示している。
特公昭61-41543号公報 特開2001-95521号公報 国際特許公開第2005/079824号 特許第5395997号公報 特許第5164454号公報
本願発明者は長年の孟宗竹の竹エキスに関する研究を続けるにあたり、特許文献2乃至5の出願及び公開と並行して、抽出した該エキスの中にポリフェノール類、カロチン類、キサントフィル、タンパク質はもとより、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛といったミネラル類、ビタミンB群(B1、B2、B6)、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンC、ビタミンD、リンといった栄養素を豊富に含むことを確認している。また、近年の研究で該エキスの中には、アブシシン酸(アブシジン酸)、サイトカイニン(ゼアチン)、ジベレリンといった植物ホルモンや、セロトニン生成の中間物質であるトリプトファンが多く含まれていることが分かった。
こうして、本願発明者は、前述の栄養素や植物ホルモンに着目して、孟宗竹から熱水で抽出した竹エキスが、代謝の促進、免疫賦活効果、抗酸化作用を発揮することにより、糖尿病等の生活習慣病の改善(例えば特許文献3参照)、シミやそばかす等の細胞修復効果や消炎作用(例えば特許文献5参照)を見出している。
ここで、特許文献2乃至5においては、「竹エキスとして95~103℃の熱水で抽出した」抽出物(竹エキス)をほぼ共通して使用している。しかしながら、特許文献2乃至5において竹を伐採した時期によっては、先述した栄養素が十分に含まれていなかったり、抽出作業やその作業後に竹エキスの粗熱を採る作業においても、外気を気にせずに行っていたために一部該エキスの分解が起こってしまったりといったことが懸案事項となっていた。また、伐採から抽出作業まで特に期限に制限を設けていない、即ち何日以内でこの一連の作業を完了するということを特許文献2乃至5では記していないことから、例えば伐採から抽出作業まで10日以上かかってしまうと雑菌が繁殖するといったことがあった。
本発明は、上記の事情を鑑み、竹に含まれる有効成分を効率よく抽出するための竹エキス抽出方法を提供することにある。
本発明に係る竹エキス抽出方法の上記目的は、竹から95℃以上の熱水を用いて竹エキスを抽出する、竹エキス抽出方法であって、前記竹エキス抽出方法は、前記竹を伐採する伐採工程、前記伐採工程にて伐採した前記竹を、抽出用容器に入るように竹片として切り揃える切り揃え工程、前記切り揃え工程にて切り揃えた前記竹片を、更に3~5cmの幅に縦割りし、縦割りした前記竹片を20~30本の束にする束作成工程、前記束作成工程にて束にした前記竹片を前記抽出用容器の中に入れて、水を注ぎ浸漬する浸漬工程、前記浸漬工程後、前記抽出用容器を加熱して、水温を95~103℃までに加温し、前記水温が95~103℃になった時点で、前記水温を保持し、前記竹エキスを抽出する加温保持・抽出工程、前記保持・抽出工程後、前記水温を95~103℃に保持したまま、前記竹片を取り出し、得られた前記竹エキスを50℃以下に冷却する冷却工程、前記抽出・冷却工程後、前記竹エキスをろ過するろ過工程、前記ろ過工程にてろ過された前記竹エキスを脱気しながら容器に詰める容器詰め工程、及び前記容器詰め工程後、前記竹エキスを0~5℃で保存する保存工程を具備し、前記保持・抽出工程にて、前記水温の保持開始後、糖度計にて前記竹エキスの糖度をモニタリングし、前記糖度が0.6~1.0度になった時点で、次の前記冷却工程に移ることを特徴とすることによって達成される。
また、本発明に係る竹エキス抽出方法の上記目的は、前記竹は、孟宗竹であることにより、或いは前記竹は、前記伐採工程において、北半球の国では、10、11、12及び1月の4か月間且つ前記4か月間内で最低気温が5℃以下となった日の翌日以降の竹を伐採することにより、或いは前記浸漬工程において、前記水は、前記竹片の質量に対して0.5~1.5倍の質量であることにより、或いは前記竹エキス抽出方法は、前記伐採工程から前記保持・抽出工程までを1週間以内で行うことにより、或いは前記加温工程と同時に、更にスパイス及びハーブを加え、前記スパイス及びハーブの配合量は、それぞれ10%以下であることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る竹エキス抽出方法によれば、北半球で毎年10、11、12及び1月末までの4か月間且つ気温が5℃以下になった翌日以降の竹を伐採して使用するため、栄養分が十分に満足される竹エキスを得ることができる。
また、本発明に係る竹エキス抽出方法によれば、糖度が0.6~1.0度の間になるようにモニタリングすることにより、竹エキスの抽出時間を約30~1時間ほど短縮することが可能になった。
また、本発明に係る竹エキス抽出方法によって抽出された竹エキスを使用しているので、副作用の無い若しくは少ない食品組成物、化粧品、又は薬剤の作製が可能である。
本発明に係る竹エキス抽出方法の流れを示すフローチャートである。 実施例1に係る糖度と抽出時間の関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る竹エキス抽出方法について、図1に示すフローチャートを基に説明する。
先ず、竹を伐採する(ステップS0)。竹エキスを抽出する竹については、マダケ属であればマダケ、孟宗竹、ハチクなどが使用可能であるが、その中でも孟宗竹が望ましい。含まれている成分については大きく違いはないが、ミネラル分を多く含むためである。また、孟宗竹は、日本国内においても、南は九州沖縄から北は東北地方まで幅広い場所で生育伐採可能だからである。また、竹の伐採時期についてであるが、例えば日本のように北半球の国であれば、10、11、12及び1月の4か月間且つその4か月間内で最低気温が5℃以下となった日の翌日以降の竹を伐採するのが望ましい。その期間で所望のポリフェノール類、カロチン類、キサントフィル、タンパク質、トリプトファン等のα‐アミノ酸、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、若しくは亜鉛といったミネラル類、ビタミンB群(B1、B2、B6)、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンC、ビタミンD、リンといった栄養素、アブシシン酸(アブシジン酸)、サイトカイニン(ゼアチン)、ジベレリンといった植物ホルモンが十分に蓄えられ、それらの発酵や分解等が抑えられるからある。
ステップS0にて伐採した竹を、竹片として、抽出用容器に入るように切り揃える(ステップS1)。ここで、抽出用容器としては、四酸化三鉄(Fe)、ステンレス鋼、鉄等の熱伝導率が高い金属製のものが使用できる。ちなみに、当該容器の大きさに関しては、竹片が容器の中に入ればよいので、特に制限はない。
ステップS1で切り揃えた竹片を、更に3~5cmに縦割りし、前記縦割りした竹片について、20~30本の束にする(ステップS2)。この工程では、ステップS1にて切り揃えた竹片を更に縦割りして束にする。縦割りにする理由としては、竹エキスが抽出されやすくなるからである。また束にするのは、後述するステップS6にて竹片を取り出すときに取り出しやすくするためである。
ステップS2にて束にした竹片を抽出用容器の中に入れて水を注ぎ浸漬する(ステップS3)。この工程は、竹片を柔らかくしたり、竹片の中に水(熱水)を浸透させやすくするための工程である。浸漬時間については、特に制限はない。なお、使用する水であるが、抽出原料(この場合は竹片)の質量に対して0.5~1.5倍の質量が適当であり、好ましくは0.9~1.1倍量である。最も好ましくは、竹片:水=1:1の質量比である。
竹片を浸漬後、抽出用容器を加熱し、水温が95℃~103℃になった時点で、当該水温を保持し、竹エキスを抽出する(ステップS4)。ここで、水温の保持温度が95℃~103℃である理由であるが、95℃未満であると、竹の中に含まれるエキス(竹エキス)が、例え水温を長時間保持したとしても、十分に抽出されない、即ち後述する糖度が0.6未満で頭打ちになる。ここで、水温の保持温度103℃について、水の沸点は1気圧で通常約100℃であるが、竹エキスの中に種々の成分(例えばミネラル分)が含まれていることから、沸点上昇等の影響により1気圧で約103℃まで加温が可能になる。しかしながら水温の保持温度が103℃以上であると、竹エキス成分の中のサイトカイニン(ゼアチン)やトリプトファン等の成分が分解し始めるので好ましくない。
ステップS4にて、水温を95℃~103℃に保持開始直後、竹片の入った溶液の糖度を測定し、モニタリングする(ステップS5)。糖度を測定することによって、竹片から水へと竹エキスが抽出・移動がなされているかどうかを見積もることができる。ちなみに、モニタリングについては、保持開始直後以降、特に回数に制限はないが、糖度が0.6~1.0度の間になるまで水温を95℃~103℃に保持し続ける(ステップS51)。糖度が0.6度未満の場合、竹エキスに含まれる所望の成分が抽出されない。また糖度が1.0度よりも大きいと、不要な成分までも抽出されてしまうこと、水温が95℃~103℃に長時間保持されることになり水が蒸発してしまう可能性が大きくなる。ちなみに先述したが、水温の95℃未満であると、長時間抽出しても糖度が0.6度未満で頭打ちになる。
ここで、ステップS4、ステップS5、ステップS51において、水温を95℃~103℃を保持することを順守し、且つ糖度が0.6~1.0度の間になるまで水温を保持し続けることを順守した場合、例えば特許文献2乃至5の場合に竹エキスの抽出時間が約3時間(±15分)かかっていたところを、本発明では、約30分から1時間程度抽出時間を短縮することが可能である。
ステップS51にて糖度が0.6~1.0度の間になった時点で、水温を95℃~103℃に保持したまま、竹片を取り出し、竹エキスを50℃以下に冷却する(ステップS6)。ちなみに冷却に関しては、自然冷却でも、装置等を用いた冷却でも特に制限はない。また、冷却温度を50℃以下としたのは、次に記すろ過工程を速やかに行うためである。なお、冷却の下限については、室温(約20℃くらいまで)程度で良い。
ステップS6にて竹エキスを冷却後、濾過をする(ステップS7)。この濾過については、例えば目の細かい布や金網などで実施することができる。こうして得られた濾液(抽出液)を適当な濃縮操作、例えば減圧濃縮により濃縮して濃縮液を得ても良く、更に乾固物を得ても良い。或いは、噴霧乾燥、凍結乾燥といった適当な乾燥方法により粉末を得ることもできる。
ステップS7にて竹エキスを濾過後、脱気しながら容器詰めをする(ステップS8)。この工程は、空気或いは空気中の酸素に、竹エキスが接触するのを防止したり、細菌類の繁殖を防止するためである。なお、脱気の方法であるが、完全に脱気できれば良いので、例えば減圧濃縮により抽出液を濃縮する際にその減圧を利用して脱気をする、窒素等の不活性ガスをバブリングする等といった既知の技術で行えばよい。また、容器(瓶)であるが、紫外線による劣化を防ぐために、遮光加工が施されているものが好ましい。なお、容器の材質であるが、遮光加工が施されているものであればポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートといったプラスチック容器でも構わない。
ステップS8にて竹エキスを容器詰めしたのち、0~5℃で保存する(ステップS9)。
なお、ステップS0の竹の伐採からステップS5の竹エキス抽出工程までは1週間以内で行うのが望ましい。1週間以上かかってしまうと、細菌等が繁殖してしまうこと、竹エキスを消毒しなくてはならないこと、成分の変性(例えば分解等)が起こり得るからである。
以上述べた工程で、本発明は十分に構成や効果を達成できるが、或いは別の態様として、例えば飲料や調味液として竹エキスを使用する場合、上述のように図1のステップS7工程における濾過をして得た竹エキスを1ヶ月程度保持した後、ハーブ類、例えばローズマリー、フェンネル、タイム、スペアミント、レモングラス、マジョラム又は赤紫蘇(ペリエ)の葉、茎又は花から選ばれるハーブを3日~1週間程度、竹エキスに浸漬しても良い。具体例として、竹エキス100質量部に対して、2~10質量部くらいが望ましく、且つ3日~1週間程度浸漬することが好ましい。その後、竹エキスからハーブ類を引き上げ、例えば目の細かい布等で更に濾過をすれば良い。このようなハーブ類の浸漬操作は、竹特有の臭いを除くのに有用である。また、ハーブ類を入れることにより、竹エキスに含まれる成分(例えば鉄分)の補充も期待できる。
上述のようにして得たハーブ入り竹エキスに対して、95℃以上(約103℃を上限として)で約10分間殺菌した後、室温まで冷却させる殺菌工程を施しても良い。
また、本発明に係る竹エキス抽出方法で抽出した竹エキスは、更なる別の態様として、飲料として竹エキスを使用する場合、スパイスを添加してもよい。スパイスとしては、コリアンダー、シナモン、ゴマ、生姜、紫蘇、クミン、ハッカク、ハチミツ、アミノ酸群やミネラル分といった栄養素を含む天然物由来のものが望ましい。ちなみに、スパイスの配合量については、竹エキスに対し、0~10%までが好ましい。10%よりも多くなってしまうと、甘味や辛味が強すぎて、発酵によって、健康に害を及ぼす可能性がある。なお、スパイス又は甘味料の添加については、ステップS4の加温・温度保持工程とほぼ同時が望ましい。また、スパイスを入れることにより、竹エキスに含まれる成分(例えば炭水化物やビタミン類)の補充も期待できる。
この方法で抽出した竹エキスを主成分とした飲料は、カルシウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、リン等のミネラル類、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン(ビタミンB3)、カロチン等のビタミン類を含有しており、特にカルシウム、マグネシウム、亜鉛、カリウムを多く含む。
カルシウムは、骨、歯等の強度維持、血液凝固作用、筋肉の働き、神経伝達、心臓の鼓動調節等に作用する。カルシウムが不足すると、手足の麻痺、筋肉の痙攣、心臓の動悸、不眠症、骨粗鬆症、水腫等の原因となることが知られている。
マグネシウムは、炭水化物、脂質、たんぱく質、カルシウム、リン、カリウムの代謝で必要となるミネラルである。マグネシウムが不足すると、筋肉痛、情緒不安定、低血圧、神経過敏症、ヒステリー等の原因となることが知られている。
亜鉛は、ビタミンB群の働きと吸収するのに必要なミネラルである。亜鉛が不足すると、学習能力の低下、水腫、疲労、高コレステロール、食欲減退、嗅覚、味覚障害、血液の循環不良、けがの回復の遅れ、爪に白い斑点が出る等の原因となることが知られている。
カリウムは、ナトリウムと共に水分を引きつけて細胞の浸透圧を維持し、細胞の内外で物質のやりとりを行なうために必要なミネラルである。カリウムが不足すると、高血圧、脳卒中、無気力、不整脈、心不全、食欲不振、便秘症、排尿困難、筋肉が弱る、むくみ等の原因となることが知られている。
竹は天然の成分であり、また、安全に飲むことができることから、糖尿病、糖尿病による合併症、癌、肝機能障害、肩こり、アトピー、アレルギー、花粉症、生活習慣病、更年期障害、疲労回復、精力回復、リュウマチ、神経痛、不眠症、便秘、下痢、体臭、シミ、ソバカス、しわ、ふけ、水虫の痒み、アカギレ、育毛促進、四十肩、五十肩、腱鞘炎の疾病の改善に好適に用いることができる。
糖尿病は、生活習慣病の一つで、肥満、高脂肪、運動不足等が主な原因であり、インスリンの分泌能力の低下、または作用しなくなることによって発症する疾患である。
糖尿病は、一般に食事療法により治療する。食事療法による治療は、摂取カロリーを減らすために小食にせざるを得ない。したがって、必然的にミネラル、ビタミンが不足する傾向にある。また、糖尿病患者の体内の糖分は、尿で排出されると同時にマグネシウムと亜鉛も排出され、糖尿病患者の体内はマグネシウム、亜鉛が特に不足する。人間の体内にマグネシウムが不足すると、ビタミンB群や補酵素の働きを補助することができなくなる。特に、ATP(アデノシン三リン酸)に機能する酵素の働きを補助することができなくなり、糖尿病患者の体内にマグネシウムが不足すると、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、網膜症、脳梗塞等の糖尿病合併症を引き起こし易くなる。
また、人間の体内に亜鉛が不足すると、リンパ球のT細胞の機能が低下する。特にSOD(活性酸素消去酵素)の機能が低下し、糖尿病患者の体内に亜鉛が不足すると、感染症、潰瘍、網膜剥離、黄斑変性症、臭覚障害、味覚障害等の糖尿病合併症を引き起こし易くなる。
したがって、糖尿病患者が本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料を経口することにより、マグネシウム、亜鉛を効果的に摂取することができ、糖尿病合併症の改善、予防の効果を発揮することができる。
また、本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料を経口することにより、血糖値が減少したり、インスリンが分泌されたりする理由は判然としないが、以下のように考えることができる。
体内では、カルシウムはカルシウムイオンとなる。このカルシウムイオンが増加するとインスリンを含んだ分泌顆粒が細胞外に搬出される。本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には上述したように、カルシウムが多く含まれており、体内にカルシウムイオンが増加し、インスリンを含んだ分泌顆粒が細胞外に搬出されるものと考えられる。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料が、糖尿病以外に癌やコロナウイルス等のウイルス感染症も改善でき、理由は以下のように考えることができる。
癌細胞が体内で発生すると、まず、免疫系細胞が発動する前にNK(ナチュラルキラー)細胞が働く。NK細胞は、体内で他の細胞と直接接触することにより、感染した細胞または悪性の細胞(癌細胞)を発見、破壊する。
次に癌細胞を発見したマクロファージは、インターロイキン1を分泌し、さらにヘルパー/インデューサーT細胞に働きかけてインターロイキン2を分泌させる。インターロイキン2は、プラズマ細胞や腸の絨毛にのみ存在するT細胞からサイトキシックTリンパ球になる途中でスイッチオンにすることが必要となる。マクロファージの食残に主用組織適合複合体のMHC-1とMHC-2が付着し、細胞の表面に移動させる。細胞の表面に近づくとMHC-1に付着されたものはTリンパ球に接触する。Tリンパ球はキラー細胞であるサイト/トキシックT細胞を活性化させて増殖する。同時に、T細胞の抗体により、生産調整をするサプレッサーT細胞を生産する。初期の癌細胞は、このサイト/トキシックT細胞が捕食可能である。次に、プラズマ細胞は、インターロイキン2の影響を受けて免疫グロブリンIgGを生産し、免疫グロブリンIgGが癌細胞の膜を溶解し、癌細胞の中に白血球が入り、白血球が癌を捕食し、消滅させる。
しかし、ストレス、不規則な生活等によって、免疫機能が低下するとNK細胞の活動が停滞し、癌細胞の増殖速度が加速する。そして、免疫機能全体の能力が低下し、Tリンパ球に何らかの異常が生じ、プラズマ細胞や免疫グロブリンIgGを生成することができなくなる。免疫グロブリンIgGが生成されないと、癌細胞を消滅させることができなくなり癌細胞はさらに増殖し始める。また、癌細胞は増殖すると膜を形成し、白血球が癌細胞内に入りこむことができないため、白血球は癌細胞を消滅させることができず、癌細胞はさらに増殖し、癌細胞の周りにある臓器の機能を低下させる。そこで、竹(孟宗竹)エキスを飲むと、インターロイキン2があるので、プラズマ細胞が動き出し、そのことによりIgGの産生が始まり、癌が消滅する。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には、サイトカイニンという植物のみに存在する成長ホルモンが含まれる。このサイトカイニンは、植物組織培養の細胞増殖を促進する物質としてDNA(デオキシリボ核酸)の分解物から単離された生理活性物質であるカイネチン(6-フルフリルアミノプリン)と同様の作用を持つ物質の総称であり、カイネチンのプリン誘導体、尿素誘導体、アザ及びデアザプリン誘導体等多数のサイトカイニンが知られている。サイトカイニンは、植物に対しては各器官の生長調節作用という共通の作用を持っている。このサイトカイニンが癌患者の体内に入ると、サイトカイニンがインターロイキン1ないしインターロイキン2の役割を果たし、それがプラズマ細胞のスイッチをオンにすることにより、免疫グロブリンIgGを分泌させる。この免疫グロブリンIgGが癌細胞を覆っている膜を溶解する。膜がなくなったことにより、白血球が癌細胞に侵入することが可能となり、癌細胞を消滅させることができる。同様に、腸の絨毛にあるT細胞に対し、インターロイキン2がスイッチオンにすることにより、サイトキシックTリンパ球の産生により、コロナウイルス等を捕食することにより、コロナウイルス等のウイルス感染症を改善することが可能となる。
また、本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には、強い還元力を持つアブシジン酸が含まれている。このアブシジン酸及び細胞の歪みを修復させるジベレリンの作用により、癌細胞の存在により機能が低下していた臓器を回復させる。また、核酸の酸化により産生される尿酸が多くなると痛風や高尿酸血症になるが、アブシジン酸の効果により改善することができる。
また、本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には、α‐アミノ酸且つ必須アミノ酸の1つであるトリプトファンを多く含んでいることは先述の通りである。このトリプトファンは、太陽光を受けることによりセロトニンが得られる中間物質であることが知られており、竹エキスに含まれる他のアミノ酸若しくはタンパク質、ビタミンB6やナイアシンと相俟って、生体内でセロトニンやドーパミンの生成の手助けになることにより、例えばパーキンソン病や認知症の改善をすることができる。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料が、糖尿病、癌以外にアレルギー、アトピー、花粉症の疾病の改善をすることができる。
肥満細胞には、免疫グロブリンIgEのIgE受容体が存在している。免疫グロブリンIgEがIgE抗原よりも先にIgE受容体に付着するとアレルギー反応は起きないが、IgE抗原が免疫グロブリンIgEよりも先にIgE受容体に付着すると抗原抗体反応が起き、ヒスタミンやヘパリン等のアレルゲンと反応し、アレルギー反応を起こす。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には、上述したように、サイトカイニンが含まれており、このサイトカイニンがインターロイキン1ないしインターロイキン2を補給し、IgE抗原がIgE受容体に付着する前にサイトカイニンが付着することによって、アレルギーやアトピー反応を起こさなくなる。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料が、糖尿病、癌、アレルギー、アトピー以外に、更年期障害、疲労回復、精力回復、神経痛、シミ、ソバカス、しわ、育毛促進等の老化もしくはホルモンバランスの異常が原因である疾病も改善することができる。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料には、上述したように、サイトカイニンが細胞の老化に伴って起こる年齢に関連した形態学的変化の開始を遅延させることにより、老化が及ぼす不都合な作用を改善することができるものと考えられる。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料が、上述した疾病の他に肩こり、四十肩、五十肩、腱鞘炎、リュウマチ、便秘、下痢、アカギレ、体臭、ふけ、水虫の痒み等を改善する効果を奏する原因は、多くは過度な酸化によるものであり、アブシジン酸による還元力により改善される。
本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料は、経口で摂取するだけでなく、外用剤として患部に塗布することによっても、様々な疾病が改善される。例えば、肩こりを改善したい場合は、肩(患部)に本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料を直接塗布することにより、肩こりを改善することができる。なお、本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料にアロエクリームを配合させることにより、塗布しやすくすることも可能である。
また、胃の上部に本発明にかかる竹エキスを主成分とした飲料を塗布することにより、血液の流れ改善されると、満腹中枢が刺激され、自然に眠れるようになって熟睡することができる(不眠症の改善)。
さらに、本発明に係る竹エキスを主成分とした飲料に赤松エキスを配合させることにより、育毛効果をより向上させることができる。
保湿効果のあるヒアルロン酸ナトリウムを本発明にかかる竹エキスに配合させた外用剤組成物を調整し、これを塗布することによって肩こり、糖尿病、四十肩、五十肩、腱鞘炎等を効果的に改善することができる。この外用剤組成物は、本発明に係る竹エキスは、外用剤組成物全体で15~25%配合しているのが好ましく、ヒアルロン酸ナトリウムは、医薬品全体で0.2~2%配合しているのが好ましい。その他の成分として、防腐剤、アルコール等が挙げられ、1種で用いても良く、2種以上を用いても良い。
本発明に係る抽出方法で抽出された竹エキスは極めて毒性が低く、具体的には急性毒性が極めて低く、また、変異原性も認められない。
更に外用剤組成物、例えば皮膚外用剤としては、上記のようにして得た竹エキス(孟宗竹)抽出物を有効成分として含有し、付形化することにより利用が容易となる。このような血行促進剤は皮膚に適用する剤形で製剤化されることが望ましい。従って本発明は、竹エキスを含有することを特徴とする血行促進剤及び皮膚外用剤に向けられる。
本発明の皮膚外用剤は特に限定されず、具体的には薬用外用剤、薬用化粧料(医薬部外品)、化粧品などの通常の化粧料及びトイレタリー製品などを広く包含する。また、本発明の皮膚外用剤は種々の形態とすることができ、例えば化粧水、クリーム、乳液、パック、ファンデーション、美容液、化粧油、軟膏、ジェル、防臭消臭剤、養毛トニック、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアシャンプー、ヘアリンス、洗顔料、ボディソープ、クレンジングなどが挙げられる。中でも、ジェル及びクレンジングの形態が好ましい。
本発明の皮膚外用剤における竹エキスの配合量は、孟宗竹から上述のように熱水抽出して得られる抽出物を用いるとき、皮膚外用剤の全質量(100質量部)に対して0.01~50質量部が適当であり、好ましくは0.1~40質量部、より好ましくは3~35質量部である。
本発明の皮膚外用剤の製剤化にあたっては、その剤形、形態に応じて適宜、基剤や添加剤を使用することができる。
本発明の皮膚外用剤に使用する基剤及び添加剤としては、例えば動植物油、ワックス、脂肪酸、エステル油、動植物抽出物、アミノ酸類、ビタミン類などが挙げられ、本発明の効果即ち孟宗竹の熱水抽出物の有効成分を損なわない範囲で適宜配合することができる。
製剤化の際には、竹エキスに含まれるレシチンやサポニンなどの界面活性ホルモンの効果で有効成分が直ぐに浸透してしまうので、鉱物油や動植物油といった油系成分、中でも動植物油、例えば馬油などを配合し、表皮で有効成分が滞留するよう処方組みすることが望ましい。以下に基剤や添加剤の具体例を挙げる。
動植物油としてはスクワラン、スクワレン、オリーブ油、ツバキ油、小麦胚芽油、ホホバ油、アボカド油、カロット油、シア油、パーム油、硬化油、馬油、ラノリン類、卵黄油、丁子油、ローズヒップ油、ラベンダー油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油等がある。ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、蜜蝋等がある。
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等がある。脂肪アルコールとしてはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール等がある。エステル油(脂肪酸エステル)としてはトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、2-エチルへキサン酸セチル、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸セチル等がある。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル-β-アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N-アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコーン、ハロゲン化(塩化又は臭化)アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、レシチン(大豆又は卵黄)誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどがある。なお、これらの界面活性剤について、イオン(カチオン、アニオン)系或いは非イオン系を用いるかは、他の基剤や添加剤との関係によって自由に選択することができる。
動植物抽出物としては、プラセンタエキス、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解エラスチン、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス、芍薬エキス、紫蘇エキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、ホップエキス、セージエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、米糠発酵エキス、マツエキス、プルーンエキス、ヨクイニンエキス、グレープフルーツエキス、ダイズ発酵エキス、キュウリエキス、クロレラエキス、アルゲエキス、クチナシエキス、カッコンエキス、キウイエキス、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、ワインエキス、ウィキョウエキス、アロエベラエキスなどがある。なお、この動植物抽出物の中には、前述の保湿剤や竹エキス補助成分として用いられるものがある。
アミノ酸類としては、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-システイン、L-セリン、L-チロシン、L-プロリン、グリシンなどがある。
ビタミン類としては、ビタミンA、酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ビオチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、リン酸-L-アスコルビルマグネシウム、エルゴカルシフェロール、ビタミンE、酢酸トコフェロール等がある。
基剤や添加剤を溶解若しくは分散させるための溶剤には、精製水若しくは水を用いる。なお、必要に応じてエタノールやイソプロパノール等のアルコール類や、これらのアルコール類を精製水若しくは水に加えた混合溶剤を用いても良い。
以上、基剤及び添加剤として用いる化合物等の具体例を挙げたが、これらの化合物の組み合わせは、他の基剤や添加剤との関係によって自由に選択することができる。
また、竹エキスはカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれているが、鉄の含有量が比較的低いため、製剤化の際にはマツエキス、プルーンエキス、赤紫蘇エキスなど鉄分を多く含む植物エキスを追加することができる。
本発明の医薬(皮膚外用剤等)はその形態に応じて、常法に従って製造することができ、その製造過程の適宜の段階に、竹エキスを配合する。
以上に本発明に係る竹エキス抽出方法についての実施態様を述べたが、上記の態様の限りではなく、特許請求の範囲及び本明細書の記載の事項を逸脱しない範囲であれば、種々の態様が採用可能であることは言うまでもない。
上記の実施形態について、更に実施例(具体例)を説明する。なお、必要に応じて図1のフローチャートを基に説明する。
[実施例1]伐採時の最低温度と竹エキスの抽出時間及び温度との関係
上記実施形態等に記している、本願の竹エキス抽出方法の特徴を実証すべく、糖度、竹エキスの抽出時間(95~103℃の水温を保持するための保持時間)、及び伐採時の最低温度について検討をした。
先ず、伐採時の最低温度と竹エキスの抽出時間(95~103℃の水温を保持するための保持時間)の関係を検討した。用いた竹としては、10、11、12及び1月の4ヶ月の間で最低気温が5℃、10℃、15℃となった日の翌日、即ち伐採時の前日の最低気温が5℃、10℃、15℃となった日のものを使用し、図1のフローチャートに従って、竹エキスを製造した。なお竹エキスの糖度測定については、図1のフローチャートにおけるステップS4、S5、S51工程に則った。そして、糖度が0.6度になった保持時間を記録した。なお、水温は100℃で一定である。保持時間と伐採時の最低温度を表1として記す。
Figure 0007281095000001
上記表1より、5℃の場合は、抽出時間が2時間程度で糖度が0.6度となった。それに対して、10℃の場合は、抽出時間が8.5時間程度かかり、1.0度の場合に至っては10時間程度かかってしまった。このことから上記実施形態で述べたように、伐採時の前日の最低気温が5℃以下になることになり抽出時間が短縮されることが分かった。
次に、抽出温度を100℃に固定して、11、12及び1月で尚且つ最低気温が5℃以下になった翌日に伐採した竹に関して、糖度と抽出時間の関係をグラフ化した。そのグラフを図2として記す。ちなみに、12及び1月で尚且つ最低気温が5℃以下になった翌日に伐採した竹のエキスを90℃で抽出したものを比較対象例とした。
図2において、11、12及び1月に伐採した月の場合、いずれも2時間15分程度で糖度が0.6度になった。そして抽出時間3時間程度で、糖度がどの月も律速段階になった。一方、比較対象例とした抽出温度を90℃とした場合、糖度が5以下となり、抽出時間が3時間以上となってもそれ以上は上がらなかった。
以上のことにより、本願の竹エキス抽出方法においては、竹エキスの抽出時間が約30分~1時間程度短縮することが可能であるという示唆を得た。
[実施例2]竹エキス抽出液の製造
上記実施例1の知見を基に、本願の竹エキス抽出方法を用いて竹エキスを製造した。
先ず、11月で尚且つ最低気温が5℃以下になった翌日の孟宗竹を容器のサイズに合わせた長さに切り揃え、更に4cmの幅に縦割りした。このようにして、縦割りされた竹片を25本ずつ束ね、水を容器に入れ、孟宗竹を浸漬させた。なお、この時の水は孟宗竹の質量と同じ重さ、即ち水:孟宗竹の竹片=1:1の質量となるように用いた。
次に、竹を浸漬させた水を95℃以上100℃以下の温度に加熱し、糖度が0.6度になるまでモニタリングすると共に、該加熱温度に達してから更に3時間95℃以上100℃以下の温度で保持し、竹エキスを抽出した。なお、伐採からこの保持・抽出までを1週間以内で行った。
その後、95℃以上100℃以下の温度を保持したまま竹を容器から抜き取って、容器の中の竹エキスを50℃以下に冷却した。竹エキスを冷却後、布でろ過し、その濾過後に脱気しながら瓶詰めをして、更に瓶詰した竹エキスを0~5℃で冷却した。
[実施例3]実施例2で得た竹エキスの成分分析
次に実施例2で得た竹エキスについて成分分析を行った。次に表2として記す。
Figure 0007281095000002
上記の表より、リン、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛)、ナイアシン及びビタミンB6といったビタミン類、アブシジン酸といった所望の栄養素や植物ホルモンが、本願の竹エキス抽出方法で抽出した竹エキスにも含まれることが分かった。
[実施例4]実施例2で得た竹エキスの応用
実施例2で得られた竹エキスをパーキンソン病に罹患している患者5人に対して、毎朝起床後200mlを1週間飲用してもらったところ、5人とも動作緩慢、手足や体幹のこわばりといった筋強剛及び/又は振戦といった運動症状、抑うつや倦怠感や認知症症状といった精神症状などが改善された。竹エキスの飲用に関しては改善や臨床医学的見地の検討の余地はまだあるが、少なくとも運動症状には、表2に示されているようなアブシジン酸などの栄養素が、症状改善効果を発揮し、また精神症状には、トリプトファンから生成されたセロトニンが作用したものと思われる。
次に、実施例2で得られた竹エキスを、亀裂骨折した患者に対して、毎朝起床後200mlを1週間飲用してもらったところ、通常4週間治癒(骨修復)に係るところを2週間で、骨修復及び周囲の筋肉の損傷の治癒改善が確認された。上記同様竹エキスの飲用に関しては改善や臨床医学的見地の検討の余地はまだあるが、恐らく竹エキスに含まれるカルシウムやジベレリンなどが骨の修復や損傷した細胞の修復に大きく関与しているものと思われる。
次に、実施例2で得られた竹エキスを水で約3倍に希釈したものを、飛蚊症の患者に対して毎朝起床後に1週間点眼してもらったところ、飛蚊症が改善された。竹エキスの点眼に関しても臨床医学的見地の検討の余地はまだあるが、恐らく竹エキスに含まれるジベレリン損傷した視神経細胞の修復に大きく関与しているものと思われる。
本発明の竹エキス抽出方法で抽出した竹エキスについては、タンパク質(アミノ酸)、炭水化物、ビタミン、ミネラル等の栄養素が多く含まれ、且つ免疫抑制若しくは賦活効果を有する植物ホルモンを含み、毒性も低いため、特定保健用食品、栄養機能食品若しくは機能性表示食品といった保健機能食品、又は経口摂取薬としての応用が可能である。また、界面活性効果も有するため、皮膚外用剤、化粧料としての応用が可能である。

Claims (6)

  1. 竹から95℃以上の熱水を用いて竹エキスを抽出する、竹エキス抽出方法であって、
    前記竹エキス抽出方法は、
    前記竹を伐採する伐採工程、
    前記伐採工程にて伐採した前記竹を、抽出用容器に入るように竹片として切り揃える切り揃え工程、
    前記切り揃え工程にて切り揃えた前記竹片を、更に3~5cmの幅に縦割りし、縦割りした前記竹片を20~30本の束にする束作成工程、
    前記束作成工程にて束にした前記竹片を前記抽出用容器の中に入れて、水を注ぎ浸漬する浸漬工程、
    前記浸漬工程後、前記抽出用容器を加熱して、水温を95~103℃までに加温し、前記水温が95~103℃になった時点で、前記水温を保持し、前記竹エキスを抽出する加温保持・抽出工程、
    前記保持・抽出工程後、前記水温を95~103℃に保持したまま、前記竹片を取り出し、得られた前記竹エキスを50℃以下に冷却する冷却工程、
    前記抽出・冷却工程後、前記竹エキスをろ過するろ過工程、
    前記ろ過工程にてろ過された前記竹エキスを脱気しながら容器に詰める容器詰め工程、及び
    前記容器詰め工程後、前記竹エキスを0~5℃で保存する保存工程を具備し、
    前記保持・抽出工程にて、前記水温の保持開始後、糖度計にて前記竹エキスの糖度をモニタリングし、前記糖度が0.6~1.0度になった時点で、次の前記冷却工程に移ることを特徴とする竹エキス抽出方法。
  2. 前記竹は、孟宗竹である請求項1に記載の竹エキス抽出方法。
  3. 前記竹は、前記伐採工程において、北半球の国では、10、11、12及び1月の4か月間且つ前記4か月間内で最低気温が5℃以下となった日の翌日以降の竹を伐採する請求項1又は2に記載の竹エキス抽出方法。
  4. 前記浸漬工程において、前記水は、前記竹片の質量に対して0.5~1.5倍の質量である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の竹エキス抽出方法。
  5. 前記竹エキス抽出方法は、前記伐採工程から前記保持・抽出工程までを1週間以内で行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の竹エキス抽出方法。
  6. 前記加温工程と同時に、更にスパイス及びハーブを加え、前記スパイス及びハーブの配合量は、それぞれ10%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の竹エキス抽出方法。
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