以下に添付図面を参照して、この発明に係る制御システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部を開閉するドアの開閉制御を行う制御システムに関するものである。
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁等)において入り口を設置するために形成された開口部である。また、「ドア」とは、自動ドアの構成要素の一部であって、建物の開口部の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味する。また、ドアの開閉方向は任意であり、例えば左右方向等を含む概念である。また、ドアの取り付け位置や用途は任意であるが、例えば玄関に設置される「玄関ドア」、あるいは建物内部に設置される「室内ドア」等を含む。また、ドアの開閉構造は任意であり、例えば、引分式の戸、片引式の戸、二重引分式の戸、又は二重片引式の戸として構成することができる。また、「ドアの開閉制御」とは、ドアを開閉移動させるための制御を意味する。また、「ドアの開閉状態」とは、例えば、ドアによって開口部を全閉した「全閉状態」と、ドアによって開口部を全開した「全開状態」と、全閉状態とも全開状態とも異なる「非全開閉状態」とを含む概念である。また、「非全開閉状態」とは、例えば、開閉移動を停止しているドアによって、開口部の一部を開いて、当該開口部の他の一部を閉じている状態である「半開状態」と、ドアの開放方向に向けてドアが開放移動している状態である「開放移動状態」と、ドアの閉鎖方向に向けてドアが閉鎖移動している状態である「閉鎖移動状態」とを含む概念である。なお、全開状態におけるドアの位置を「全開位置」と称し、全閉状態におけるドアの位置を「全閉位置」と称し、半開状態におけるドアの位置を「半開位置」と称する。以下、実施の形態では、自動ドアのドアが、集合住宅の如き建物の玄関に設けられた左右開閉式且つ片引式の戸である場合について説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
最初に、実施の形態に係る制御システムが適用される自動ドアの構成について説明する。以下の説明では、図1のX方向を自動ドアの左右方向(-X方向を自動ドアの左方向、+X方向を自動ドアの右方向)、図2のY方向を自動ドアの前後方向(+Y方向を自動ドアの前方向(建物の屋外側の方向)、-Y方向を自動ドアの後方向(建物の屋内側の方向))、図1のZ方向を自動ドアの上下方向(+Z方向を自動ドアの上方向、-Z方向を自動ドアの下方向)と称する。
図1、図2に示すように、この自動ドア1は、概略的に、ドア枠10、嵌殺戸20、ドア40、駆動部50、電力供給部51、切替部(図示省略)、及び制御システム60を備えている。この自動ドア1は、上述のように建物の玄関に設置される自動ドアであり、図1に示すように、建物の躯体2(具体的には、壁)に形成された開口部3にはドア枠10が設けられており、ドア枠10の後述する左縦枠11に設けられた嵌殺戸20における建物の屋内側にはドア40が設けられている。このため、ドア40は、開口部3を、当該開口部3の開口面内ではなく当該開口部3の開口面よりも建物の屋内側において開閉することになるが、このような開閉であっても、開口部3を介した後述する物体の出入りを制限するための開閉を行う点において同様であるため、「開口部3を開閉する」ものとして説明する。なお、自動ドア1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
(構成-ドア枠)
図1に戻り、ドア枠10は、嵌殺戸20及びドア40の剛性を主として担うものである。このドア枠10は、複数の枠材を相互に組み合わせることによって構成されている。具体的には、複数の枠材は、左縦枠11、右縦枠12、無目30、及び下横枠13から構成されている。そして、これら左縦枠11、右縦枠12、無目30、及び下横枠13は、それぞれ開口部3の周縁における建物の躯体2に対して公知の方法で直接的に固定されている。
ここで、無目30は、自動ドア1の各部を収納するためのものである。この無目30は、左右方向に略沿って長尺な中空体であり、建物の躯体2に取り付けられている。また、この無目30の内部には、駆動部50、後述する制御システム60の開閉状態検知部、及び後述する制御システム60の制御ユニット70が収納されている(ただし、これに限られず、例えば、これに加えて、制御システム60の操作部が収納されてもよい)。なお、この無目30は、任意の方法で製造することができ、例えば、折り曲げ成形された複数のスチール製の板状体を、ビスや取付ネジ等の取付具によって相互に接続して形成することができる。また、この無目30と建物の床面の各々には、ガイドレール(図示省略)が設けられている。ガイドレールは、ドア40を開口部3の開閉方向(実施の形態においては、左右方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレールは、Y-Z平面に沿った断面の形状が略凸状(又は略U字状)となるように形成された長尺体であり、無目30の下面又は建物の床面において、当該ガイドレールの長手方向が左右方向に略沿うように配置され、無目30又は建物の床面に対して固定具等によって固定されている。
(構成-嵌殺戸)
嵌殺戸20は、開閉移動しない固定された戸であり、開口部3の左側に設けられている。これら嵌殺戸20は、例えば、公知の自動ドア用の嵌殺戸等を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、ガラス部材23と、ガラス部材23の上下方向の両端部を覆う框部24と、ガラス部材23の左右方向の両端部に設けられた方立25とを備えている。また、これら嵌殺戸20の固定方法については任意であるが、例えば、ガラス部材23又は框部24を、無目30、ドア枠10の左縦枠11、建物の床面、及び、方立25に対して固定具等によって固定する。
(構成-ドア)
ドア40は、駆動部50によって開閉方向(左右方向)に略沿って移動させることで、全開状態、全閉状態、あるいは非全開閉状態とするものである。このドア40は、例えば公知の自動ドア用の片引式のドア等を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、ガラス部材43と、ガラス部材43の周囲を覆う框部44とを備えている。また、ドア41の固定方法については任意であるが、例えば、まず、框部44の上側部分に図示しない被ガイド部材(例えば、ガイドローラ等)を取り付け、この被ガイド部材を無目30側に設けられた略凸状のガイドレール上に摺動可能に設けることで、ドア41を当該ガイドレールに対して吊らせる。次に、上記框部44の下側部分に図示しない被ガイド部材(例えば、スライダ等)を取り付け、この被ガイド部材を建物の床面側に設けられたガイドレールのU字状の開放端部を介して当該ガイドレールの内部に挿入することで、無目30側及び建物の床面側に設けられたガイドレールに嵌め込む。これにより、ドア40を、左右方向においてはガイドレールの内部をスライド移動させることができ、かつ、前後方向においてはガイドレールの外部に脱落しないように規制することができる。なお、これらドア40を特に区別する必要のないときは、単に「ドア40」と総称する。
また、このドア40には、施錠装置(図示省略)が設けられている。施錠装置は、ドア40を施錠するための装置である。この施錠装置は、例えば公知の自動ドア用の電気錠(一例として、後述する駆動部50の駆動プーリをロック可能な電気錠)等を用いて構成されており、無目30の内部において駆動部50の近傍に設けられている。
(構成-駆動部)
駆動部50は、ドア40を電動で開閉移動させるための駆動手段である。この駆動部50は、例えば公知の自動ドア用の駆動部を用いて構成されており、具体的には、ドア40と連結された無端ベルトと、無端ベルトを回転させるために当該無端ベルトの内部に配置された駆動プーリ及び従動プーリと、駆動プーリを回転させるためのモータとを備えており(いずれも図示省略)、このモータによって駆動プーリを回転させることにより、ドア40を開閉移動させることができる。
(構成-電力供給部)
電力供給部51は、建物が停電している状態(以下、「停電状態」と称する)において、制御システム60の各部に対して電力を供給する電力供給手段である。この電力供給部51は、例えば公知の予備電源装置(一例として、バッテリ)等を用いて構成されており、無目30の内部に設けられている。このような電力供給部51により、停電状態において制御システム60の各部に対して電力を供給することができ、停電状態でも制御システム60を確実に作動させることが可能となる。
(構成-切替部)
切替部は、制御システム60に対する電力の供給元を切り替える切替手段である。この切替部は、例えば公知の切替装置等を用いて構成されており、無目30の内部に設けられており、具体的には、電力の供給元である図示しない商用電源及び電力供給部51と電線を介して接続されていると共に、電力の供給先である制御システム60及び駆動部50と電線を介して接続されている。
また、この切替部の切替動作については任意であるが、例えば、建物が停電していない状態(以下、「非停電状態」と称する)では、電力の供給元を商用電源に自動的に切り替えて、当該商用電源から供給される電力を制御システム60及び駆動部50を配線4を介して送ると共に、非停電状態である旨を示す非停電状態情報を含む信号を出力する。また、停電状態では、電力の供給元を電力供給部51に自動的に切り替えて、当該電力供給部51から供給される電力を制御システム60及び駆動部50を配線4を介して送るものの、上記非停電状態情報を含む信号を出力しない。
(構成-制御システム)
制御システム60は、ドア40の開閉制御を行う制御システムであり、図1に示すように、図示しない操作部、第1検知部61、第2検知部62、第3検知部(図示省略)、開閉状態検知部(図示省略)、及び制御ユニット70を備えている。
(構成-制御システム-操作部)
操作部は、制御システム60に対する操作入力を受け付ける操作手段であり、無目30の内部(又は無目30の外部において開口部3の近傍位置)に設けられている。この操作部は、例えば公知の自動ドア用の操作部を用いて構成されており、実施の形態では、制御システム60又は駆動部50の起動を指示したり、又は駆動部50の起動状態の停止を指示するための電源スイッチ(図示省略)を備えている(ただし、これに限らず、例えば、電源スイッチ以外の他のスイッチ(一例として、各種検知部の起動状態を切り替えるスイッチ等)を備えてもよい))。なお、この電源スイッチによって制御システム60の起動が停止している状態については任意であるが、例えば、火災信号の入力の有無に基づいて制御モードを変更可能とし(いわゆる、スリープ状態とする)、火災信号の入力が受け付けられた場合には、制御システム60及び駆動部50を起動させると共に、後述の火災モード処理(SA3)を起動させる状態に設定されることが望ましい。
(構成-制御システム-第1検知部)
第1検知部61は、第1領域E1に物体(図示省略)が進入したか否かを検知する検知手段である。ここで、「第1領域E1」とは、通行対象(図示省略)が通行のために進入する可能性がある領域であり、実施の形態では、図1、図2に示すように、ドア40よりも建物の屋外側において開口部3に対する見込方向(前後方向)の近傍に位置する領域、及びドア40よりも建物の屋内側において開口部3に対する見込方向(前後方向)の近傍に位置する領域として説明する。また、「近傍」とは、開口部3から離れた位置の範囲であって、当該位置の範囲に物体が存在した場合には、物体が開口部3を通過する確率が高くなると推定される位置の範囲であり、実施の形態では、開口部3から見込方向(前後方向)に向けて所定距離(例えば、1m等)離れた位置までの位置の範囲を「近傍」として説明する。また、「物体」とは、開口部3を通過しようとするもの、開口部3を通過中のもの、及び開口部3を通過しようとしないものを意味し、例えば人、動物、物等を含む概念である。
この第1検知部61は、例えば公知の検知センサ(一例として、量子型の赤外線センサ等)を用いて構成されており、図1に示すように、無目30における建物の屋外側の側部のうち右側部分、及び無目30における建物の屋内側の側部のうち右側部分にそれぞれ設けられており、無目30に対して固定具等によって固定されている。
また、この第1検知部61が量子型の赤外線センサである場合の検知動作については任意であるが、例えば、第1検知部61から送信された赤外線が建物の床面によって反射され、当該反射された赤外線が第1検知部61によって受信された場合には、第1領域E1に物体が進入していない旨を示す第1検知情報を含む信号を出力する。一方、第1検知部61から送信された赤外線が物体によって反射され、当該反射された赤外線が第1検知部61によって受信された場合には、第1領域E1に物体が進入した旨を示す第1検知情報を含む信号を出力する。なお、第1領域E1に物体が進入した旨を示す第1検知情報を含む信号の出力については、物体によって反射された赤外線が第1検知部61によって受信されている状態が所定時間経過するまで継続されるものの、所定時間経過すると初期状態(すなわち、第1領域E1に物体が進入していない旨を示す第1検知情報を含む信号を出力している状態)に切り替わる(なお、第3検知部の検知動作についても同様とする)。
(構成-制御システム-第2検知部)
図1に戻り、第2検知部62は、ドア40によって物体が挟まれることを回避するために、第2領域E2に物体が進入したか否かを検知する検知手段である。ここで、「第2領域E2」とは、第1領域とは異なる領域であってドア40によって物体が挟まれる可能性がある領域であり、実施の形態では、図1、図2に示すように、ドア40よりも建物の屋外側において右縦枠12と方立25との相互間に位置する領域、及びドア40よりも建物の屋内側において右縦枠12と左縦枠11との相互間に位置する領域として説明する。この第2検知部62は、例えば公知の検知センサ(一例として、透過型の光電センサ等)を用いて構成されており、具体的には、検知光を照射する送光部62aと、送光部62aから照射された検知光を受光する受光部62bとを備えている。
ここで、第2検知部62の設置方法については任意であるが、実施の形態では、図1、図2に示すように、ドア40の近傍位置であって、ドア40よりも建物の屋外側の位置と、ドア40よりも建物の屋内側の位置とにそれぞれ設けられていると共に、各第2検知部62の検知光が、左右方向のいずれか一方からいずれか他方に至るように照射されるように設けられている。具体的には、図1、図2に示すように、建物の屋外側に位置する第2検知部62については、送光部62aが、右縦枠12における左右方向の内側の端部において相互に間隔を隔てて2つ設けられており、右縦枠12に対して固定具等によって固定されている(又は、右縦枠12内に埋め込まれてもよい)。また、受光部62bが、方立25における左右方向の内側の端部おいて各送光部62aと対応する位置に2つ設けられており、方立25に対して固定具等によって固定されている(又は、方立25内に埋め込まれてもよい)。また、建物の屋内側に位置する第2検知部62については、送光部62aが、右縦枠12における左右方向の内側の端部において相互に間隔を隔てて2つ設けられており、右縦枠12に対して固定具等によって固定されている(又は、右縦枠12内に埋め込まれてもよい)。また、受光部62bが、左縦枠11における左右方向の内側の端部おいて各送光部62aと対応する位置に2つ設けられており、左縦枠11に対して固定具等によって固定されている(又は、左縦枠11内に埋め込まれてもよい)。
また、この第2検知部62が透過型の光電センサである場合の検知動作については任意であるが、例えば、送光部62aから照射された検知光が受光部62bによって受光された場合には、受光部62bは第2領域E2に物体が進入していない旨を示す第2検知情報を含む信号を出力する。一方、送光部62aから照射された検知光が物体に遮られることにより、この検知光が受光部62bによって受光されなかった場合には、受光部62bは第2領域E2に物体が進入した旨を示す第2検知情報を含む信号を出力する。なお、第2領域E2に物体が進入した旨を示す第2検知情報を含む信号の出力については、物体の安全性を確保できるように、受光部62bによって検知光が受光されていない状態では受光部62bによって検知光が受光されるまで継続される。
(構成-制御システム-第3検知部)
第3検知部は、ドア40によって物体が挟まれることを回避するために、駆動部50が過負荷状態であるか否かを検知する検知手段である。この第3検知部は、例えば公知の検知センサ(一例として、過負荷検知装置等)を用いて構成されており、無目30の内部において駆動部50の近傍に設けられている。
また、この第3検知部が過負荷検知装置である場合の検知動作については任意であるが、例えば、駆動部50のモータの電流値が所定方法で設定された閾値以上である場合には、駆動部50が過負荷状態である旨を示す第3検知情報を含む信号を出力する。一方、駆動部50のモータの電流値が所定方法で設定された閾値未満である場合には、駆動部50が過負荷状態でない旨を示す第3検知情報を含む信号を出力する。
(構成-制御システム-開閉状態検知部)
開閉状態検知部は、ドア40の開閉状態を検知する開閉状態検知手段である。この開閉状態検知部は、例えば公知の検知センサ(一例として、ロータリーエンコーダー等)を用いて構成されており、無目30の内部において駆動部50の近傍位置に設置されている。
また、この開閉状態検知部がロータリーエンコーダーである場合の検知動作については、例えば、駆動部50のモータの回転軸の回転に応じて出力されるパルス数を開閉状態検知部のカウント手段(図示省略)にて原点位置(実施の形態では、全閉状態時のドア40の位置)からカウントし、当該カウントされたカウント値を示す開閉状態検知情報を含む信号を出力する。
(構成-制御システム-制御ユニット)
制御ユニット70は、制御システム60を制御するためのユニットであり、図3に示すように、入力部71、出力部72、電源部73、制御部74、及びデータ記録部75を備えて構成されている。
(構成-制御システム-制御ユニット-入力部)
入力部71は、火災信号等の各種の信号の入力を受け付ける入力手段である。この入力部71は、例えば公知の入力端子等を用いて構成されており、防災盤(図示省略)、第1検知部61、第2検知部62、第3検知部、開閉状態検知部、及び切替部の各々と配線4を介して接続されている。なお、「火災信号」とは、火災を報知する信号であり、防災盤から出力される。
(構成-制御システム-制御ユニット-出力部)
出力部72は、信号を施錠装置及び駆動部50に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されており、配線4を介して施錠装置及び駆動部50の各々と接続されている。
(構成-制御システム-制御ユニット-電源部)
電源部73は、商用電源又は電力供給部51から供給された電力を、配線4を介して制御システム60の各部に供給すると共に、配線4を介して施錠装置及び駆動部50にも供給する電源手段である。
(構成-制御システム-制御ユニット-制御部)
制御部74は、制御システム60の各部を制御する制御手段である。この制御部74は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
また、この制御部74は、図3に示すように、機能概念的に、第1判定部74a、第2判定部74b、第3判定部74c、開閉状態判定部74d、及び開閉制御部74eを備えている。
このうち、第1判定部74aは、第1領域E1に物体が進入したか否かを判定する判定手段である。
また、第2判定部74bは、第2領域E2に物体が進入したか否かを判定する判定手段である。
また、第3判定部74cは、駆動部50が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段である。
また、開閉状態判定部74dは、ドア40の開閉状態を判定する開閉状態判定手段である。
また、開閉制御部74eは、入力部71による火災信号の入力の有無に応じて制御モードを設定し、当該設定した制御モードに基づいてドア40の開閉制御を行う開閉制御手段である。
なお、上述した「第1検知部61」、「第2検知部62」、「第1判定部74a」、及び「第2判定部74b」とは、特許請求の範囲における「第1判定手段」に対応し、上述した「第3検知部」及び「第3判定部74c」とは、特許請求の範囲における「第2判定手段」に対応する。また、この制御部74によって実行される処理の詳細については後述する。
(構成-制御システム-制御ユニット-データ記録部)
データ記録部75は、制御システム60の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
また、このデータ記録部75は、図3に示すように、第1制御情報テーブル75a、第2制御情報テーブル75b、及び第3制御情報テーブル75cを備えている。
(構成-制御システム-制御ユニット-データ記録部-第1制御情報テーブル)
第1制御情報テーブル75aは、第1制御情報を格納する第1制御情報格納手段である。ここで、「第1制御情報」とは、制御システム60の制御モード(以下、単に「制御モード」と称する)が後述する通常モードに設定されており、且つ非停電状態である場合に、ドア40に関する制御内容を特定する情報である。
図4に示すように、この第1制御情報テーブル75aは、項目「制御番号」、項目「ドアの開閉状態」、項目「検知状態」、及び項目「第1開閉制御情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。また、項目「検知状態」は、さらに、各種検知部の検知状態に関する項目として、項目「第1検知部」、項目「第2検知部」、項目「第3検知部」等を含んで構成されている。ここで、項目「制御番号」に対応する情報は、後述する第1開閉制御情報を一意に識別するための識別情報である。また、項目「ドアの開閉状態」に対応する情報は、開閉状態情報である。ここで、「開閉状態情報」とは、ドア40の開閉状態を特定する情報である。また、項目「検知状態」に対応する情報は、各種検知部の検知状態を特定する検知状態情報である。なお、図4では、検知状態情報のうち、検知している状態である旨を「○」という記号で表示され、検知していない状態である旨を「×」という記号で表示され、検知状態を無視する旨を「-」という記号で表示されている。このうち、項目「第1検知部」に対応する情報は、第1検知情報である。また、項目「第2検知部」に対応する情報は、第2検知情報である。また、項目「第3検知部」に対応する情報は、第3検知情報である。また、項目「第1開閉制御情報」に対応する情報は、第1開閉制御情報である。ここで、「第1開閉制御情報」とは、制御モードが後述する通常モードに設定されており、且つ非停電状態である場合に、ドア40の開閉制御に関する制御内容を特定する情報である。
また、図4に示す「第1開閉制御情報」に含まれる具体的なドアの制御内容については任意であるが、実施の形態では、状態継続制御、第1開放制御、第2開放制御、閉鎖制御、及び停止制御が含まれる。このうち、「状態継続制御」とは、ドア40の開閉状態を継続させる制御であり、例えば、ドア40の開閉状態が全閉状態、全開状態、又は半開状態である場合には、当該態を継続するためにドア40の開閉移動の停止を継続し、ドア40の開閉状態が開放移動状態又は閉鎖移動状態である場合には、当該態を継続するためにドア40の開閉移動を継続させる。また、「第1開放制御」とは、ドア40の開閉状態が全開状態になるまで、ドア40の開放方向(図1では、左方)に向けてドア40を電動で開放移動(より詳細には、全開状態になる直前の移動速度がそれより前の移動速度よりも遅くなる開放移動)させる制御である。また、「第2開放制御」とは、ドア40の開閉状態が通行可能状態になるまで、ドア40の開放方向に向けてドア40を電動で開放移動させる制御(より詳細には、通行可能状態になる直前の移動速度がそれより前の移動速度よりも遅くなる開放移動)である。ここで、「通行可能状態」とは、ドア40の開閉状態のうち、通行対象(例えば、人、動物、物等)の通行を行うことが可能な状態を意味し、例えば、全開状態又は半開状態(具体的には、開口部3の開放幅が通行対象の通行を行うことが可能な長さ(例えば、500mm以上等)を有する半開状態)等を含む概念であるが、実施の形態では、全開状態として説明する。また、第2開放制御の移動速度については、実施の形態では、制御モードが通常モードに設定されている場合にのみ第1開放制御が行われ、制御モードが火災モードに設定されている場合にのみ第2開放制御が行われることから、後述するように、第1開放制御の移動速度よりも遅く設定されている。また、「閉鎖制御」とは、ドア40の開閉状態が全閉状態になるまで、ドア40の閉鎖方向(図1では、右方)に向けてドア40を電動で閉鎖移動(より詳細には、全閉状態になる直前の移動速度がそれより前の移動速度よりも遅くなる閉鎖移動)させる制御である。また、「停止制御」とは、ドア40の開閉移動を停止させる制御である(なお、第2開閉制御情報、及び第3開閉制御情報についても同様とする)。
(構成-制御システム-制御ユニット-データ記録部-第2制御情報テーブル)
第2制御情報テーブル75bは、第2制御情報を格納する第2制御情報格納手段である。ここで、「第2制御情報」とは、制御モードが後述する火災モードに設定されており、且つ非停電状態である場合に、ドア40に関する制御内容を特定する情報である。
図5に示すように、この第2制御情報テーブル75bは、項目「制御番号」、項目「ドアの開閉状態」、項目「手動操作」、項目「第3検知部の検知状態」、及び項目「第2開閉制御情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「制御番号」に対応する情報は、後述する第2開閉制御情報を一意に識別するための識別情報である。また、項目「ドアの開閉状態」に対応する情報は、開閉状態情報である。また、項目「手動操作」に対応する情報は、ドア40の手動操作が行われたか否かを示す手動操作情報である。なお、図5では、手動操作情報のうち、ドア40の手動操作が行われた旨を「○」という記号で表示され、ドア40の手動操作が行われていない旨を「×」という記号で表示され、ドア40の手動操作を無視する旨を「-」という記号で表示されている。また、項目「第3検知部の検知状態」に対応する情報は、検知状態情報である。また、項目「第2開閉制御情報」に対応する情報は、第2開閉制御情報である。ここで、「第2開閉制御情報」とは、制御モードが後述する火災モードに設定されており、且つ非停電状態である場合に、ドア40の開閉制御に関する制御内容を特定する情報である。
(構成-制御システム-制御ユニット-データ記録部-第3制御情報テーブル)
第3制御情報テーブル75cは、第3制御情報を格納する第3制御情報格納手段である。ここで、「第3制御情報」とは、制御モードが後述する火災モードに設定されており、且つ停電状態である場合に、ドア40に関する制御内容を特定する情報である。
図6に示すように、この第3制御情報テーブル75cは、項目「制御番号」、項目「ドアの開閉状態」、項目「手動操作」、項目「第3検知部の検知状態」、及び項目「第3開閉制御情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「制御番号」に対応する情報は、後述する第3開閉制御情報を一意に識別するための識別情報である。また、項目「ドアの開閉状態」に対応する情報は、開閉状態情報である。また、項目「手動操作」に対応する情報は、手動操作情報である。また、項目「第3検知部の検知状態」に対応する情報は、検知状態情報である。また、項目「第3開閉制御情報」に対応する情報は、第3開閉制御情報である。ここで、「第3開閉制御情報」とは、制御モードが後述する火災モードに設定されており、且つ停電状態である場合に、ドア40の開閉制御に関する制御内容を特定する情報である。
なお、実施の形態では、第3開閉制御情報のうち、制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報については、以下の通りに特定される。すなわち、図6に示すように、非停電状態の通常モードから停電状態の火災モードに切り替えられた場合、又は火災モードにおいて非停電状態から停電状態になった場合には、制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報は、停止制御を示す情報として特定される。また、停電状態の通常モードから停電状態の火災モードに切り替えられた場合、又は後述する開閉処理において停電状態の火災モードが継続している場合には、制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報は、状態継続制御を示す情報(図6では、括弧書きで示す)として特定される。
(開閉処理)
次に、このように構成された制御システム60によって実行される開閉処理について説明する。以下の説明では、図7から図9に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
開閉処理は、ドア40の開閉制御を行うための処理である。この開閉処理においては、概略的には、制御モードに基づいてドア40を開閉移動させるために、駆動部50を電動駆動させる処理が行われる。また、この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、駆動部50及び制御システム60の電源が操作部の電源スイッチを介して投入されてから準備処理の終了後に起動されるものとして説明する。ここで、「準備処理」とは、開閉処理の処理前に実行される処理であり、例えば、ドア40を比較的遅い速度で開閉移動させることにより、制御部74が全閉位置(制御の起点位置)及び全開位置を正しく判断できるようにするための学習処理等を含む概念である。また、開閉処理の前提としては、具体的には、ドア40の開閉状態が全閉状態であり、電力の供給元が商用電源であるものとして説明する。
開閉処理が起動されると、図7に示すように、SA1において開閉制御部74eは、入力部71によって火災信号の入力が受け付けられているか否かを判定する。
この火災信号の入力が受け付けられているか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、火災信号の入力が継続して受け付けられているか否か(又は、火災信号の入力が受け付けられた後に復旧信号が受け付けられたか否か)に基づいて判定する。ここで、火災信号の入力が継続して受け付けられている場合(又は、火災信号の入力が受け付けられた後に復旧信号が受け付けられていない場合)には、火災信号の入力が受け付けられていると判定し、火災信号の入力が継続して受け付けられていない場合(又は、火災信号の入力が受け付けられた後に復旧信号が受け付けられた場合)には、火災信号の入力が受け付けられていないと判定する。なお、「復旧信号」とは、制御モードを火災モードから通常モードに復旧させるための信号である。
そして、開閉制御部74eは、火災信号の入力が受け付けられていないと判定された場合(SA1、No)には、制御モードを通常モードに設定して通常モード処理(SA2)を起動させ、通常モード処理(SA2)の終了後にSA1に移行する。また、火災信号の入力が受け付けられていると判定された場合(SA1、Yes)には、制御モードを火災モードに設定して火災モード処理(SA3)を起動させ、火災モード処理(SA3)の終了後にSA1に移行し、以降同様にSA1からSA3の処理を繰り返す。ここで、「通常モード」とは、制御モードのうち、火災信号の入力が受け付けられていない場合のモードを意味する。また、「火災モード」とは、制御モードのうち、火災信号の入力が受け付けられている場合のモードを意味する。
(開閉処理-通常モード処理)
次に、図7のSA2の通常モード処理について説明する。通常モード処理は、制御モードが通常モードに設定されている場合のドア40の開閉制御を行うための処理である。
通常モード処理が起動されると、図8に示すように、まず、SB1において制御部74は、非停電状態であるか否かを判定する。
この非停電状態であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって非停電状態情報を含む信号の入力が受け付けられているか否かに基づいて判定し、上記信号の入力が受け付けられている場合には非停電状態であると判定し、上記信号の入力が受け付けられていない場合には停電状態であると判定する(なお、後述するSC4の処理についても同様とする)。
そして、制御部74は、非停電状態であると判定された場合(SB1、Yes)にはSB2に移行し、非停電状態でないと判定された場合(SB1、No)にはSB6に移行する。
SB2において開閉状態判定部74dは、入力部71を介して開閉状態検知情報を含む信号の入力を受け付け、当該受け付けた信号に含まれる開閉状態検知情報に基づいてドア40の開閉状態を判定し、当該判定した状態を現時点のドア40の開閉状態として特定する。
このドア40の開閉状態の特定方法については任意であるが、実施の形態では、上記受け付けた開閉状態検知情報に含まれるカウント値が、データ記録部75にあらかじめ格納された設定値であって、ドア40の開閉状態に対応する設定値のいずれかと一致するか否かを判定し、この判定結果に基づいてドア40の開閉状態を特定する(なお、後述するSC1の処理についても同様とする)。具体的には、上記カウント値が全閉状態時に「0」となり、全開状態時に「100」となり、再度の全閉状態時に「0」となるようにカウントされる場合において、上記カウント値が、全閉状態に対応する設定値(以下、「第1設定値」と称する。例えば、第1設定値=0。)と一致すると判定された場合には、ドア40の開閉状態を全閉状態として特定する。また、上記カウント値が、全開状態に対応する設定値(以下、「第2設定値」と称する。例えば、第2設定値=100。)と一致すると判定された場合には、ドア40の開閉状態を全開状態として特定する。また、上記カウント値が、第1設定値と第2設定値との間の値(例えば、1から99までの値)であり、当該カウント値よりも所定時間前(例えば、0.5秒前等)のカウント値と同一の値と一致すると判定された場合には、ドア40の開閉状態を半開状態として特定する。また、上記カウント値が、第1設定値と第2設定値との間の値であり、且つ、当該カウント値よりも所定時間前のカウント値に比べて増大している値と一致すると判定された場合には、ドア40の開閉状態を開放移動状態として特定する。また、このカウント値が、第1設定値と第2設定値との間の値であり、且つ、当該カウント値よりも所定時間前のカウント値に比べて減少している値と一致すると判定された場合には、ドア40の開閉状態を閉鎖移動状態として特定する。
SB3において第1判定部74a、第2判定部74b、及び第3判定部74cは、入力部71を介して第1検知情報を含む信号、第2検知情報を含む信号、及び第3検知情報を含む信号の入力を受け付け、当該受け付けた信号に含まれる第1検知情報及び第2検知情報に基づいて物体が第1領域E1又は第2領域E2に進入したか否かを判定すると共に、当該受け付けた信号に含まれる第3検知情報に基づいて駆動部50が過負荷状態である否かを判定し、これらの判定結果に基づいて第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部の検知状態を特定する。
ここで、第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部の検知状態の特定方法については任意であるが、例えば、第1検知部61の検知状態については、第1判定部74aは、上記受け付けた第1検知情報が第1領域E1に物体が進入した旨を示す情報であるか否かを判定し、上記物体が進入した旨を示す情報であると判定された場合には第1検知部61が検知している状態であると特定し、上記物体が進入していない旨を示す情報であると判定された場合には第1検知部61が検知していない状態であると特定する。また、第2検知部62の検知状態については、第2判定部74bは、第1検知部61の検知状態の特定と略同様に特定する。また、第3検知部の検知状態については、第3判定部74cは、上記受け付けた第3検知情報が過負荷状態である旨を示す情報であるか否かを判定し、上記過負荷状態である旨を示す情報であると判定された場合には第3検知部が検知している状態であると特定し、上記過負荷状態でない旨を示す情報であると判定された場合には第3検知部が検知していない状態であると特定する(なお、後述するSC2の処理についても同様とする)。
SB4において開閉制御部74eは、SB2にて特定されたドア40の開閉状態、及びSB3にて特定された第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部の検知状態に基づいて、第1開閉制御情報を特定する。具体的には、第1制御情報テーブル75aに格納されている第1開閉制御情報の中から、SB2にて特定されたドア40の開閉状態、及びSB3にて特定された第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部の検知状態に対応する第1開閉制御情報を抽出し、当該抽出された情報を後述するSB5の処理に用いられる第1開閉制御情報として特定する。
SB5において開閉制御部74eは、SB4にて特定された第1開閉制御情報に基づいてドア40の開閉制御(以下、「第1開閉制御」と称する)を行い、その後通常モード処理を終了し、図7の開閉処理に戻る。
この第1開閉制御の具体的な制御内容については、実施の形態では以下に示す通りとなる。なお、以下のドア40の開閉制御では、開閉制御部74eが、ドア40の開閉状態が全閉状態である場合に施錠装置の状態を施錠した状態とし、ドア40を開放移動又は閉鎖移動させるタイミングで施錠装置の状態を解錠した状態にするものとする。
例えば、ドア40の開閉状態が全閉状態において、通行対象が開口部3を通過するために、当該通行対象が第1領域E1に進入している場合において、他の通行対象が第2領域E2に進入していない場合には、以下に示すドア40の開閉制御(以下では、「通常開閉制御」と称する)が行われる。すなわち、まず、SB2にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態=○(検知している状態)、第2検知部62の検知状態=×(検知していない状態)が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=第1開放制御(制御番号=A13に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40を開放移動させる。次いで、ドア40の開放移動中において、SB3にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態=○、第2検知部62の検知状態及び第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=D14に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開放移動を継続させる。次に、ドア40の開閉状態が全開状態になった後に第1領域E1から退出することで、SB2にてドア40の開閉状態=全開状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SB2にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第1開閉制御により、通行対象が開口部3を通過することが可能となる。
また、例えば、ドア40の開閉状態が全閉状態において、通行対象が開口部3を通過するために、当該通行対象が第1領域E1に進入している場合において、他の通行対象が第2領域E2に進入している場合には、以下に示すドア40の開閉制御が行われる。すなわち、まず、SB2にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=○が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=第1開放制御(制御番号=A14に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40を開放移動させる。次に、ドア40の開閉状態が開放移動状態において、他の通行対象がドア40によって挟まれることで、SB2にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SB3にて第1検知部61、第2検知部62の検知状態、及び第3検知部の検知状態=○が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=停止制御(制御番号=C18に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開放移動を停止させる。次いで、ドア40の開閉状態が半開状態において、通行対象が第1領域E1から退出し、且つ他の通行対象がドア40によって挟まれた状態から抜け出すことで、SB2にてドア40の開閉状態=半開状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=C11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SB2にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第1開閉制御により、ドア40の開閉状態が開放移動状態において、他の通行対象とドア40とが衝突した際の衝撃力を低減できる。
また、例えば、ドア40の開閉状態が半開状態において、通行対象が開口部3を通過するために、当該通行対象が第1領域E1に進入している場合において、他の通行対象が第2領域E2に進入していない場合には、以下に示すドア40の開閉制御が行われる。すなわち、まず、SB2にてドア40の開閉状態=半開状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態=○、第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=C13に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。次に、ドア40の開閉状態が半開状態において、通行対象が第1領域E1から退出することで、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=C11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。次いで、ドア40の開閉状態が閉鎖移動状態において、通行対象が第1領域E1に再び進入することで、SB2にてドア40の開閉状態=閉鎖移動状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態=○、第2検知部62の検知状態及び第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=停止制御後に第1開放制御(制御番号=E14に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の閉鎖移動を停止させた後にドア40を開放移動させる。次に、ドア40の開閉状態が全開状態になった後に、通行対象が第1領域E1を退出することで、SB2にてドア40の開閉状態=全開状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40を閉鎖移動させる。次いで、ドア40の開閉状態が閉鎖移動状態において、通行対象がドア40によって挟まれることで、SB2にてドア40の開閉状態=閉鎖移動状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第3検知部の検知状態=〇、第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=停止制御した後に第1開放制御(制御番号=E16に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の閉鎖移動を停止させた後にドア40を開放移動させる。続いて、通行対象がドア40によって挟まれた状態から抜け出した後にドア40の開閉状態が全開状態になることで、SB2にてドア40の開閉状態=全開状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40を閉鎖移動させる。その後、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SB2にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SB3にて第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態=×が特定されることにより、SB4にて第1開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A11に対応する第1開閉制御情報)が特定された場合には、SB5にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第1開閉制御により、閉鎖移動状態において通行対象がドア40によって挟まれた場合にドア40の開閉移動を停止させることができ、当該通行対象の安全を確保しやすくなる。
また、上述したように、SA1にて非停電状態でないと判定された場合には、SB6において開閉制御部74eは、停電処理を実行し、その後通常モード処理を終了し、図7の開閉処理に戻る。ここで、「停電処理」とは、停電状態において制御モードが通常モードに設定されている場合の処理を意味する。
この停電処理の具体的な処理内容については任意であるが、実施の形態では、電力の供給元を電力供給部51に切り替える(なお、上述したように、この切り替えは切替部によって自動的に行われる)。また、施錠装置の状態を解錠した状態にする。また、第1判定部74aの判定結果、第2判定部74bの判定結果、及び第3判定部74cの判定結果に基づいたドア40の開閉制御は行わずに、ドア40を手動操作で開閉移動を可能な状態にする(いわゆる、ドア40をフリーにする)。このような処理により、停電状態において制御モードが通常モードに設定されている場合に、電力供給部51の電力消費を抑制しながら、手動操作でドア40を確実に開閉移動させることができる。ただし、これに限らず、例えば、電力供給部51の蓄電量が比較的多い場合には、第1判定部74aの判定結果、第2判定部74bの判定結果、及び第3判定部74cの判定結果に基づいたドア40の開閉制御を行ってもよい。
以上のような通常モード処理により、非停電状態ではドア40を電動で開閉移動することができ、且つ停電状態ではドア40を手動で開閉移動することができ、開口部3を介して通行対象を確実に通行させることが可能となる。また、第3判定部74cの判定結果に基づいてドア40の開閉制御を行うことができ、通行対象の安全性を確保することが可能となる。
(開閉処理-火災モード処理)
次に、図7のSA3の火災モード処理について説明する。火災モード処理は、制御モードが火災モードに設定されている場合のドア40の開閉制御を行うための処理である。
火災モード処理が起動されると、図9に示すように、まず、SC1において開閉状態判定部74dは、入力部71を介して開閉状態検知情報を含む信号の入力を受け付け、当該受け付けた信号に含まれる開閉状態検知情報に基づいてドア40の開閉状態を判定し、当該判定した状態を現時点のドア40の開閉状態として特定する。
SC2において第3判定部74cは、入力部71を介して第3検知情報を含む信号の入力を受け付け、当該受け付けた信号に含まれる第3検知情報に基づいて駆動部50が過負荷状態である否かを判定し、これらの判定結果に基づいて第3検知部の検知状態を特定する。
SC3において開閉制御部74eは、入力部71を介して開閉状態検知情報を含む信号の入力を受け付け、当該受け付けた信号に含まれる開閉状態検知情報に基づいて、ドア40を開放方向(図1では、左方)に所定距離移動させる手動操作が行われたか否かを特定する。ここで、「所定距離」の設定方法については任意であるが、実施の形態では、ドア枠10(具体的には、右縦枠12)に設けられた図2の呑み込み部15であって、ドア40の戸先側の端部を納めるための呑み込み部15の呑み込み深さDよりも小さく設定している。これにより、所定距離を呑み込み深さDよりも大きくした場合に比べて、全閉状態において所定距離未満のドア40の手動操作が行われることで半開状態のまま放置されることを回避でき、ドア40とドア枠10との相互間に生じた隙間を介して火災の炎等が流入出することを防止できる。
また、上記手動操作が行われたか否かの特定方法については任意であるが、実施の形態では、SC1が処理されてから所定時間内にSC3にて受け付けられた上記開閉状態検知情報のカウント値が、SC1にて受け付けられた開閉状態検知情報のカウント値よりも所定値(具体的には、上記所定距離に対応する値)以上であるか否かに基づいて特定し、上記所定値以上である場合には上記手動操作が行われたものとして特定し、上記所定値以上でない場合には上記手動操作が行われていないものとして特定する。
図9に戻り、SC4において制御部74は、非停電状態であるか否かを判定する。そして、制御部74は、非停電状態であると判定された場合(SC4、Yes)にはSC5に移行し、非停電状態でないと判定された場合(SC4、No)にはSC7に移行する。
SC5において開閉制御部74eは、SC1にて特定されたドア40の開閉状態、SC2にて特定された第3検知部の検知状態、及びSC3にて特定された手動操作の有無に基づいて、第2開閉制御情報を特定する。具体的には、第2制御情報テーブル75bに格納されている第2開閉制御情報の中から、SC1にて特定されたドア40の開閉状態、SC2にて特定された第3検知部の検知状態、及びSC3にて特定された手動操作の有無に対応する第2開閉制御情報を抽出し、当該抽出された情報を後述するSC6の処理に用いられる第2開閉制御情報として特定する。
ここで、SC5において、第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態に関わらず(つまり、第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態を考慮せずに)、上述のように第2開閉制御情報を特定する理由については、以下に示す通りとなる。すなわち、全開状態において建物で火災が発生している場合に、第1検知部61又は第2検知部62が煙を通行対象として誤検知することによりドア40を開放移動させると、開口部3を介して火災の熱又は炎等が流入出するおそれがあることから、このような問題が生じることを回避するためである(なお、SC7における第3開閉制御情報の特定についても同様とする)。
また、SC5において、SC3にて特定された手動操作の有無に基づいて第2開閉制御情報を特定する理由については、以下に示す通りとなる。すなわち、上述したように、火災モード処理では、第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態を考慮せずに第2開閉制御を行うので、第1検知部61の検知状態又は第2検知部62の検知状態をトリガとして第2開閉制御を行うことができないことから、その代替として手動操作の有無をトリガとして第2開閉制御を行うためである(特に、実施の形態では、上述した図5の第2制御情報テーブル75bに示すように、ドア40の開閉状態が全閉状態である場合に第2開放制御を行うためのトリガとなる。なお、SC7における第3開閉制御情報の特定についても同様とする)。
SC6において開閉制御部74eは、SC5にて特定された第2開閉制御情報に基づいてドア40の開閉制御(以下、「第2開閉制御」と称する)を行い、その後火災モード処理を終了し、図7の開閉処理に戻る。
この第2開閉制御の具体的な制御内容については、実施の形態では以下に示す通りとなる。なお、以下の第2開閉制御では、開閉制御部74eが、施錠装置の状態を解錠した状態にするものとする。また、第2開閉制御が行われている場合のドア40の開閉移動時の移動速度の設定方法については任意であるが、実施の形態では、通常モード処理におけるドア40の開閉移動時の移動速度よりも遅く設定している。これにより、通常モードが設定されている場合のドア40の開閉移動時の移動速度と同一である場合に比べて、通行対象がドア40と衝突することを低減し、又は通行対象がドア40と衝突した際の衝撃力を低減することができ、建物で火災が発生している場合に第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bの判定結果を用いずに第2開閉制御を行う場合でも通行対象の安全性を確保しやすくなる。
例えば、ドア40の開閉状態が全閉状態において、通行対象が第1領域E1に進入している場合には、以下に示す第2開閉制御が行われる。すなわち、まず、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。次に、通行対象によってドア40の手動操作が行われることにより、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=〇が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=第2開放制御(制御番号=A22に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40を開放移動させる。次いで、ドア40の開閉状態が全開状態になった後に、通行対象が開口部3を通行することで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第2開閉制御により、火災モードが設定されている場合に、ドア40が手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bに関わらず、通行可能状態になるまでドア40を電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、全閉状態になるまでドア40を電動で閉鎖移動させることができる。よって、非停電状態において建物で火災が発生している場合にドア40を簡易且つ迅速に開放移動させることができ、ドア40を避難路として機能させることが可能となる。特に、通行可能状態が全開状態であるので、建物で火災が発生している場合にドア40が手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、全開状態になるまでドア40を電動で開放移動させることができ、通行対象を確実に通行させることが可能となる。
また、例えば、SA2の通常モード処理によるドア40の開放移動中にSA3の火災モード処理が起動したことでドア40の開閉状態が開放移動状態である場合において、通行対象が第1領域E1に進入している場合には、以下に示す第2開閉制御が行われる。すなわち、まず、SC1にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=D21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40の開放移動を継続させる(具体的には、上述したように、通常モード処理時のドア40の開放移動時の移動速度よりも遅くしてドア40の開放移動を継続させる)。次に、ドア40の開閉状態が全開状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。次に、ドア40の開閉状態が閉鎖移動状態において通行対象がドア40によって挟まれることで、SC1にてドア40の開閉状態=閉鎖移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=〇が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=停止制御後に第2開放制御(制御番号=E22に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40の閉鎖移動を停止させた後にドア40を開放移動させる。その後、ドア40の開閉状態が全開状態になり、且つ通行対象がドア40によって挟まれた状態から抜け出すことで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にて所定時間経過後にドア40を再び閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC5にて第2開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A21に対応する第2開閉制御情報)が特定された場合には、SC6にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第2開閉制御により、非停電状態においてドア40を確実に全閉状態にすることができ、ドア40を防火戸として機能させることが可能となる。また、閉鎖移動状態において通行対象がドア40によって挟まれた場合にドア40の閉鎖移動を停止させ、且つドア40を開放移動させることができ、当該通行対象の安全を確保しやすくなる。
SC7において開閉制御部74eは、SC1にて特定されたドア40の開閉状態、SC2にて特定された第3検知部の検知状態、及びSC3にて特定された手動操作の有無に基づいて、第3開閉制御情報を特定する。具体的には、第3制御情報テーブル75cに格納されている第3開閉制御情報の中から、SC1にて特定されたドア40の開閉状態、SC2にて特定された第3検知部の検知状態、及びSC3にて特定された手動操作の有無に対応する第3開閉制御情報を抽出し、当該抽出された情報を後述するSC7の処理に用いられる第3開閉制御情報として特定する。
SC8において開閉制御部74eは、SC7にて特定された第3開閉制御情報に基づいてドア40の開閉制御(以下、「第3開閉制御」と称する)を行い、その後火災モード処理を終了し、図7の開閉処理に戻る。
この第3開閉制御の具体的な制御内容については、実施の形態では以下に示す通りとなる。なお、以下の第3開閉制御では、開閉制御部74eが、施錠装置の状態を解錠した状態にするものとする。また、第3開閉制御が行われている場合のドア40の開閉移動時の移動速度の設定方法については任意であるが、実施の形態では、通常モード処理におけるドア40の開閉移動時の移動速度よりも遅く、且つSC6のドア40の開閉移動時の移動速度よりも遅く設定しており、例えば、第3開閉制御が上記学習処理として実行される場合には、学習処理におけるドア40の開閉移動時の移動速度と略同一に設定してもよい(ただし、これに限らず、例えば、第3開閉制御が上記学習処理として実行されない場合には、SC6のドア40の開閉移動時の移動速度と同一に設定してもよい)。
例えば、停電状態の火災モード処理が継続して実行されている場合に、ドア40の開閉状態が全閉状態において、通行対象が第1領域E1に進入している場合には、以下に示す第3開閉制御が行われる。すなわち、まず、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。次に、通行対象によってドア40の手動操作が行われることにより、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=〇が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=第2開放制御(制御番号=A32に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40を開放移動させる(ここでは、上述したように、停電状態の火災モード処理が継続して実行されているので、SC1にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報)が特定されるため、SC8にてドア40の開放移動が継続される)。次いで、ドア40の開閉状態が全開状態になった後に、通行対象が開口部3を通行することで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第3開閉制御により、火災モードが設定されている場合に、ドア40が手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bに関わらず、通行可能状態になるまでドア40を電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、全閉状態になるまでドア40を電動で閉鎖移動させることができる。よって、停電状態において建物で火災が発生している場合にドア40を簡易且つ迅速に開放移動させることができ、ドア40を避難路として機能させることが可能となる(ただし、電力供給部51に電力が蓄電されている場合に限る)。
また、例えば、非停電状態でのSA2の通常モード処理にてドア40の開放移動が行われている途中でSA3の火災モード処理が起動し、且つ停電状態になった場合において、通行対象が第1領域E1に進入している場合には、以下に示す第3開閉制御が行われる。すなわち、まず、SC1にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=停止制御(制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合(ここでは、上述したように、非停電状態の通常モード処理から停電状態の火災モード処理に切り替わっているので、SC7にて第3開閉制御情報=停止制御が特定される)には、SC7にてドア40の開放移動を停止させる。次に、通行対象が第1領域E1に進入したまま、ドア40の開閉状態が半開状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=半開状態が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=C31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。次いで、ドア40の開閉状態が全閉状態になった後に、通行対象によってドア40の手動操作が行われることで、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=〇が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=第2開放制御(制御番号=A32に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40を開放移動させる(ここでは、停電状態の火災モード処理が継続して実行されているので、SC1にてドア40の開閉状態=開放移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=D31に対応する第3開閉制御情報)が特定されるため、SC8にてドア40の開放移動が継続される)。次いで、ドア40の開閉状態が全開状態になった後に、通行対象が開口部3を通行することで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にて所定時間経過後にドア40を閉鎖移動させる。次に、ドア40が閉鎖移動している際に通行対象がドア40によって挟まれることで、SC1にてドア40の開閉状態=閉鎖移動状態が特定され、SC2にて第3検知部の検知状態=〇が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=停止制御後に第2開放制御(制御番号=E32に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40の閉鎖移動を停止させた後にドア40を再び開放移動させる(ここでも、停電状態の火災モード処理が継続して実行されているので、上述のように、ドア40の開放移動が継続される)。その後、ドア40の開閉状態が全開状態になり、且つ通行対象がドア40によって挟まれた状態から抜け出すことで、SC1にてドア40の開閉状態=全開状態が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御(制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にて所定時間経過後にドア40を再び閉鎖移動させる。そして、ドア40の開閉状態が全閉状態になることで、SC1にてドア40の開閉状態=全閉状態が特定され、SC3にて手動操作=×が特定されることにより、SC7にて第3開閉制御情報=状態継続制御(制御番号=A31に対応する第3開閉制御情報)が特定された場合には、SC8にてドア40の開閉移動の停止を継続させる。このような第3開閉制御により、停電状態においてドア40を確実に全閉状態にすることができ、ドア40を防火戸として機能させることが可能となる。また、閉鎖移動状態において通行対象がドア40によって挟まれた場合にドア40の閉鎖移動を停止させた後にドア40を開放移動させることができ、当該通行対象の安全を確保しやすくなる。
以上のような火災モード処理により、従来技術(機械式自動閉鎖装置を用いるシステム)に比べて、制御モードに関わらず開閉制御部74eによってドア40の開閉制御を行うことができ、例えばドア40に開戸機構を別途設ける必要がなくなるため、ドア40の設置コストを低減することが可能となる。また、第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bの判定結果に基づいてドア40を開閉移動させる場合に比べて、第1判定部74a及び第2判定部74bによって煙を通行対象として誤検知してドア40を開放移動させることを防止でき、ドア40を防火戸として機能させることができる。また、上述したように、火災モード処理では、第1検知部61の検知状態及び第2検知部62の検知状態を無視してドア40の開閉制御を行うことになるが、このドア40の開放移動を行うためのトリガとして、別途設けられた専用の開放スイッチの操作ではなく、ドア40の手動操作としているので、自動ドア1の設置コストを低減しながら、ドア40を簡易且つ迅速に開放移動することが可能となる。
(効果)
このように実施の形態によれば、入力部71による火災信号の入力の有無に応じて制御モードを設定し、当該設定した制御モードに基づいてドア40の開閉制御を行う開閉制御部74eを備えるので、従来技術(機械式自動閉鎖装置を用いるシステム)に比べて、制御モードに関わらず開閉制御部74eによってドア40の開閉制御を行うことができ、例えばドア40等に開戸機構を別途設ける必要がなくなるため、ドア40の設置コストを低減することが可能となる。また、開閉制御部74eが、火災モードが設定されている場合に、ドア40が手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、少なくとも第1判定手段の判定結果に関わらず、ドア40の開閉状態が通行可能状態になるまでドア40を電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると全閉状態になるまでドア40を電動で閉鎖移動させるので、火災時にドア40を開放するための専用の開放スイッチを別途設ける必要がなく、建物で火災が発生している場合にドア40を簡易且つ迅速に開放移動させることができ、ドア40を避難路として機能させることが可能となる。さらに、第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bの判定結果に基づいてドア40を開閉移動させる場合に比べて、第1判定部74a及び第2判定部74bによって煙を通行対象として誤検知してドア40を開放移動させることを防止でき、ドア40を防火戸として機能させることができる。
また、通行可能状態が全開状態であるので、建物で火災が発生している場合にドア40が手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、全開状態になるまでドア40を電動で開放移動させることができ、通行対象を確実に通行させることが可能となる。
また、所定距離を、開口部3の周縁に設けられたドア枠10に設けられた呑み込み部15の呑み込み深さDよりも小さくしたので、所定距離を呑み込み深さDよりも大きくした場合に比べて、全閉状態において所定距離未満のドア40の手動操作が行われることで半開状態のまま放置されることを回避でき、ドア40とドア枠10との相互間に生じた隙間を介して火災の炎等が流入出することを防止できる。
また、開閉制御部74eが、火災モードが設定されている場合におけるドア40の開閉移動時の移動速度を通常モードが設定されている場合におけるドア40の開閉移動時の移動速度よりも遅くしたので、通常モードが設定されている場合のドア40の開閉移動時の移動速度と同一である場合に比べて、通行対象がドア40と衝突することを低減し、又は通行対象がドア40と衝突した際の衝撃力を低減することができ、建物で火災が発生している場合に第1判定手段の判定結果を用いずにドア40の開閉制御を行う場合でも通行対象の安全性を確保しやすくなる。
また、停電状態において、当該制御システム60の各部に対して電力を供給する電力供給部51を備えるので、停電状態において制御システム60の各部に対して電力を供給することができ、停電状態でも制御システム60を確実に作動させることが可能となる。
また、開閉制御部74eが、火災モードが設定されており、且つドア40が開放移動している場合において、非停電状態では、通行可能状態になるまでドア40を電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、全閉状態になるまでドア40を電動で閉鎖移動させて停止させ、停電状態になると、全閉状態になるまでドア40を電動で閉鎖移動させて停止させるので、非停電状態及び停電状態においてドア40を確実に全閉状態にすることができ、ドア40を防火戸として機能させることが可能となる。
また、開閉制御部74eが、制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第2判定手段の判定結果に基づいてドア40の開閉制御を行うので、制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第2判定手段の判定結果に基づいてドア40の開閉制御を行うことができ、通行対象の安全性を確保しやすくなる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、制御システム60の制御ユニット70を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部74を設けると共に、これら複数の装置の他の一部にデータ記録部75を設けてもよい。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(自動ドアについて)
上記実施の形態では、自動ドア1が、切替部及び電力供給部51を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、切替部及び電力供給部51を省略してもよい。この場合には、例えば、通常モード処理のSB1、SB6、及び火災モード処理のSC4、SC7、SC8を省略してもよい。
(ドアについて)
上記実施の形態では、ドア40が片引式の戸であると説明したが、これに限られず、例えば、図10の引分式の戸であってもよい。この場合において、図10の自動ドア100は、例えば、ドア枠10、嵌殺戸21、22、無目30、ドア41、42、駆動部50、及び制御システム60を備えてもよい。また、この制御システム60の各種検知部における第1領域E1及び第2領域E2については、実施の形態に係る第1領域E1及び第2領域E2と略同様に設定される。また、火災モード処理のSC3においてドア40の手動操作で開放移動させる際の所定距離については、ドア41に隣接する他のドアであるドア42に設けられた図11の呑み込み部15の呑み込み深さDよりも小さく設定してもよく、一例として、ドア41、42が両方開閉移動可能であるので、呑み込み深さDの半分以下に設定することが望ましい。
(第1検知部、第2検知部、第3検知部について)
上記実施の形態では、自動ドア1には第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部が設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第1検知部61又は第2検知部62のいずれか一方、又は第3検知部を省略してもよい。この場合には、設けられる検知部に対応する判定部のみが設けられてもよく、一例として、第1検知部61のみが設けられる場合には、第1判定部74aのみが設けられてもよい。また、第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部に加えて(あるいは、第1検知部61、第2検知部62、又は第3検知部のいずれかに代えて)、ドア40又はドア枠10に設けられるタッチセンサ、床面に設けられるフットセンサが設けられてもよい。この場合には、例えば、制御モードが火災モードである場合に、第1判定部74aの判定結果及び第2判定部74bの判定結果に加えて、これらタッチセンサ又はフットセンサの検知状態を判定する判定手段の判定結果に関わらず、第2開閉制御又は第3開閉制御を行ってもよい。
また、上記実施の形態では、第1検知部61は、量子型の赤外線センサであると説明したが、これに限らない。例えば、第1領域E1に物体が進入したか否かを検知できるもの(具体的には、熱型の赤外線センサ、超音波センサ、又は建物の床面のうち、第1領域E1に対応する部分に設けられたフットスイッチ等)であってもよい。
また、上記実施の形態では、第2検知部62は、透過型の光電センサであると説明したが、これに限らない。例えば、反射型の光電センサ(一例として、回帰反射型、拡散反射型の光電センサ等)であってもよい。
(第1制御情報テーブル、第2制御情報テーブル、第3制御情報テーブルについて)
上記実施の形態では、第2制御情報テーブル75bの第2開閉制御情報が、第3制御情報テーブル75cの第3開閉制御情報と完全に一致していないと説明したが、これに限らず、例えば、第3制御情報テーブル75cの第3開閉制御情報と完全に一致してもよい(すなわち、SC6の第2開閉制御とSC8第3開閉制御とが同一になる)。
また、上記実施の形態では、第2制御情報テーブル75bでは、開閉状態情報=半開状態を示す情報である場合には、手動操作情報の内容に関わらず、第2開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御を示す情報のみが格納されていると説明したが、これに限らない。例えば、開閉状態情報=半開状態を示す情報において、手動操作情報=ドア40の手動操作が行われていない旨を示す場合には、第2開閉制御情報=所定時間経過後に閉鎖制御を示す情報が関連付けて格納され、手動操作情報=ドア40の手動操作が行われている旨を示す場合には、第2開閉制御情報=第2開放制御を示す情報が関連付けて格納されてもよい(なお、第3制御情報テーブル75cについても同様とする)。
また、上記実施の形態では、第1制御情報テーブル75a、第2制御情報テーブル75b、及び第3制御情報テーブル75cに格納されている各種の開閉制御情報に示される所定時間の設定方法については任意であるが、例えば、以下に示す通りに設定してもよい。
すなわち、第1開閉制御情報に示される所定時間の設定方法については、通常モード処理のSB4において、制御番号=D12に対応する第1開閉制御情報が特定された後に、次順のサイクルの通常モード処理のSB4において、制御番号=C11に対応する第1開閉制御情報が特定された場合には、制御番号=C11に対応する第1開閉制御情報に示される所定時間を、制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報に示される所定時間と略同一に設定してもよく、又は異なるように設定してもよい(一例として、制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報に示される所定時間よりも長く設定してもよい)。
また、第2開閉制御情報に示される所定時間の設定方法については、火災モード処理のSC5において、制御番号=D22に対応する第2開閉制御情報が特定された後に、次順のサイクルの火災モード処理のSC5において、制御番号=C21に対応する第2開閉制御情報が特定された場合には、制御番号=C21に対応する第2開閉制御情報に示される所定時間を、制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報に示される所定時間と略同一に設定してもよく、又は異なるように設定してもよい(一例として、制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報に示される所定時間よりも長く設定してもよい)。
また、第3開閉制御情報に示される所定時間の設定方法については、火災モード処理のSC7において、制御番号=D32に対応する第3開閉制御情報が特定された後に、次順のサイクルの火災モード処理のSC7において、制御番号=C31に対応する第3開閉制御情報が特定された場合には、制御番号=C31に対応する第3開閉制御情報に示される所定時間を、制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報に示される所定時間と略同一に設定してもよく、又は異なるように設定してもよい(一例として、制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報に示される所定時間よりも長く設定してもよい)。
また、制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報に示される所定時間、制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報に示される所定時間、及び制御番号=B31に対応する第3開閉制御情報に示される所定時間の設定方法については、例えば、これらの所定時間を同一に設定してもよく、又はこれらの所定時間の少なくとも一部が異なるように設定してもよい(一例として、制御番号=B21に対応する第2開閉制御情報に示される所定時間及び制御番号=B31に対応する第3開閉制御情に示される所定時間を、制御番号=B11に対応する第1開閉制御情報に示される所定時間よりも長く設定してもよい)。
(開閉処理について)
上記実施の形態では、SA1においてのみ、火災信号の入力が受け付けられているか否かを判定すると説明したが、これに限らない。例えば、通常モード処理(SA2)の実行中に火災信号の入力が受け付けられているか否かを判定し、火災信号の入力が受け付けられた場合には火災モード処理(SA3)を起動してもよい。また、火災モード処理(SA3)の実行中に火災信号の入力が受け付けられているか否かを判定し、火災信号の入力が受け付けられなくなった場合には通常モード処理(SA2)を起動してもよい。
また、上記実施の形態では、SC3においてドア40の手動操作で移動させる所定距離については、呑み込み部15の呑み込み深さDよりも小さく設定していると説明したが、これに限らず、例えば、呑み込み深さDと同一又はそれよりも大きく設定してもよい。
また、上記実施の形態では、火災モードが設定されている場合におけるドア40の開閉移動時の移動速度については、通常モードが設定されている場合におけるドア40の開閉移動時の移動速度よりも遅く設定していると説明したが、これに限らず、例えば、通常モードが設定されている場合におけるドア40の開閉移動時の移動速度と略同一に設定してもよい。
また、上記実施の形態では、開閉制御部74eが、制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第3判定部74cの判定結果に基づいてドア40の開閉制御を行うと説明したが、これに限らない。例えば、制御モードが火災モードに設定されている場合には、第3判定部74cの判定結果に基づいたドア40の開閉制御を行わないようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、開閉制御部74eが、制御モードが通常モード及び火災モードにおいて、ドア40の開閉状態=全開状態、半開状態、又は全閉状態において、第3検知部の検知状態に関わらずドア40の開閉制御を行うと説明したが、これに限らない。例えば、ドア40の開閉状態に関わらず、第3検知部の検知状態に基づいてドア40の開閉制御を行ってもよい(すなわち、ドア40の開閉状態且つ制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第2判定手段の判定結果に基づいてドア40の開閉制御を行ってもよい)。
(通行可能状態について)
上記実施の形態では、通行可能状態が全開状態であると説明したが、これに限らず、例えば、半開状態であってもよい。この場合において、半開状態時の開口部3の開放幅については、通行対象が通行可能な長さ以上(一例として、500mm以上等)に設定されてもよい。また、火災モード処理のSC6、SC8において、全閉状態又は半開状態において通行対象によってドア40の手動操作が行わることで通行可能状態になるまでドア40を開放移動させた後、更に手動操作された場合には全開状態までドア40を開放移動させてもよい。
(付記)
付記1の制御システムは、建物の開口部を開閉するドアの開閉制御を行う制御システムであって、前記開口部又は前記開口部に対する見込方向の近傍に位置する第1領域、又は前記第1領域とは異なる領域であって前記ドアによって物体が挟まれる可能性がある領域である第2領域に、前記物体が進入したか否かを判定する第1判定手段と、火災を報知する火災信号の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段による前記火災信号の入力の有無に応じて制御モードを設定し、当該設定した制御モードに基づいて前記ドアの開閉制御を行う開閉制御手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記入力手段によって前記火災信号の入力が受け付けられた場合には、前記制御モードを火災モードに設定し、前記火災モードが設定されている場合に、前記ドアが手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、少なくとも前記第1判定手段の判定結果に関わらず、前記ドアの開閉状態が通行対象の通行を行うことが可能な通行可能状態になるまで前記ドアを電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、前記ドアによって前記開口部を全閉した全閉状態になるまで前記ドアを電動で閉鎖移動させる。
付記2の制御システムは、付記1に記載の制御システムにおいて、前記通行可能状態は、前記ドアによって前記開口部を全開した全開状態である。
付記3の制御システムは、付記1又は2に記載の制御システムにおいて、前記所定距離を、前記開口部の周縁に設けられたドア枠又は前記ドアに隣接する他のドアに設けられた呑み込み部であって、前記ドアの戸先側の端部を納めるための呑み込み部の呑み込み深さよりも小さくした。
付記4の制御システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記入力手段によって前記火災信号の入力が受け付けられていない場合には、前記制御モードを通常モードに設定し、前記火災モードが設定されている場合における前記ドアの開閉移動時の移動速度を前記通常モードが設定されている場合における前記ドアの開閉移動時の移動速度よりも遅くした。
付記5の制御システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記建物が停電している停電状態において、当該制御システムの各部に対して電力を供給する電力供給手段を備える。
付記6の制御システムは、付記5に記載の制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記火災モードが設定されており、且つ前記ドアが開放移動している場合において、前記建物が停電していない非停電状態では、前記通行可能状態になるまで前記ドアを電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、前記全閉状態になるまで前記ドアを電動で閉鎖移動させて停止させ、前記停電状態になると、前記全閉状態になるまで前記ドアを電動で閉鎖移動させて停止させる。
付記7の制御システムは、付記1から6のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記ドアを電動で開閉移動させるための駆動手段が過負荷状態であるか否かを判定する第2判定手段を備え、前記開閉制御手段は、前記制御モードが前記火災モードに設定されているか否かに関わらず、前記第2判定手段の判定結果に基づいて前記ドアの開閉制御を行う。
(付記の効果)
付記1に記載の制御システムによれば、入力手段による火災信号の入力の有無に応じて制御モードを設定し、当該設定した制御モードに基づいてドアの開閉制御を行う開閉制御手段を備えるので、従来技術(機械式自動閉鎖装置を用いるシステム)に比べて、制御モードに関わらず開閉制御手段によってドアの開閉制御を行うことができ、例えばドア等に開戸機構を別途設ける必要がなくなるため、ドアの設置コストを低減することが可能となる。また、開閉制御手段が、火災モードが設定されている場合に、ドアが手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、少なくとも第1判定手段の判定結果に関わらず、ドアの開閉状態が通行可能状態になるまでドアを電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると全閉状態になるまでドアを電動で閉鎖移動させるので、火災時にドアを開放するための専用の開放スイッチを別途設ける必要がなく、建物で火災が発生している場合にドアを簡易且つ迅速に開放移動させることができ、ドアを避難路として機能させることが可能となる。さらに、第1判定手段の判定結果に基づいてドアを開閉移動させる場合に比べて、第1判定手段によって煙を通行対象として誤検知してドアを開放移動させることを防止でき、ドアを防火戸として機能させることができる。
付記2に記載の制御システムによれば、通行可能状態が全開状態であるので、建物で火災が発生している場合にドアが手動操作によって開放方向に所定距離移動された場合には、全開状態になるまでドアを電動で開放移動させることができ、通行対象を確実に通行させることが可能となる。
付記3に記載の制御システムによれば、所定距離を、開口部の周縁に設けられたドア枠又はドアに隣接する他のドアに設けられた呑み込み部の呑み込み深さよりも小さくしたので、所定距離を呑み込み深さよりも大きくした場合に比べて、全閉状態において所定距離未満のドアの手動操作が行われることで半開状態のまま放置されることを回避でき、ドアとドア枠との相互間又はドア同士の相互間に生じた隙間を介して火災の炎等が流入出することを防止できる。
付記4に記載の制御システムによれば、開閉制御手段が、火災モードが設定されている場合におけるドアの開閉移動時の移動速度を通常モードが設定されている場合におけるドアの開閉移動時の移動速度よりも遅くしたので、通常モードが設定されている場合のドアの開閉移動時の移動速度と同一である場合に比べて、通行対象がドアと衝突することを低減し、又は通行対象がドアと衝突した際の衝撃力を低減することができ、建物で火災が発生している場合に第1判定手段の判定結果を用いずにドアの開閉制御を行う場合でも通行対象の安全性を確保しやすくなる。
付記5に記載の制御システムによれば、停電状態において、当該制御システムの各部に対して電力を供給する電力供給手段を備えるので、停電状態において制御システムの各部に対して電力を供給することができ、停電状態でも制御システムを確実に作動させることが可能となる。
付記6に記載の制御システムによれば、開閉制御手段が、火災モードが設定されており、且つドアが開放移動している場合において、非停電状態では、通行可能状態になるまでドアを電動で開放移動させ、その後所定時間経過すると、全閉状態になるまでドアを電動で閉鎖移動させて停止させ、停電状態になると、全閉状態になるまでドアを電動で閉鎖移動させて停止させるので、非停電状態及び停電状態においてドアを確実に全閉状態にすることができ、ドアを防火戸として機能させることが可能となる。
付記7に記載の制御システムによれば、開閉制御手段が、制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第2判定手段の判定結果に基づいてドアの開閉制御を行うので、制御モードが火災モードに設定されているか否かに関わらず、第2判定手段の判定結果に基づいてドアの開閉制御を行うことができ、通行対象の安全性を確保しやすくなる。