JP7279720B2 - 着雪氷防止剤、着雪氷防止構造体、着雪氷防止構造体の製造方法 - Google Patents

着雪氷防止剤、着雪氷防止構造体、着雪氷防止構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、着雪氷防止剤、着雪氷防止構造体、及び着雪氷防止構造体の製造方法に関する。
積雪寒冷地城においては、対象構造物表面に雪及び氷が付着したままとなる着雪氷の問題がある。付着した雪及び氷は対象構造物の機能低下だけでなく、対象構造物の破断、倒壊等を引き起こす虞がある。また、付着した雪及び氷が落下することによる事故も想定される。
このような着雪氷への対策のため、着雪防止塗料が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、フッ素系の粉末をフッ素樹脂等と混合した着雪防止塗料が開示されている。
特開平8-3479号公報
本発明は、対象物の被処理面に優れた着雪氷防止性を付与することができる、新規な着雪氷防止剤を提供することを目的とする。本発明はまた、当該着雪氷防止剤を用いた着雪氷防止構造体及び着雪氷防止構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、分子内に反応性基(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基)を有するポリシロキサン化合物を含む液状組成物を用いて得られる着雪氷防止剤において、優れた着雪氷防止性が発現されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する液状組成物を含む、着雪氷防止剤を提供する。このような着雪氷防止剤によれば、対象物の被処理面に優れた着雪氷防止性を付与することができる。また、上記着雪氷防止剤から形成される着雪氷防止部は、被処理面との密着性にも優れる。
上記加水分解性の官能基がアルコキシ基である場合、上記ポリシロキサン化合物としては、下記式(B)で表される化合物が挙げられる。これにより、更に優れた着雪氷防止性及び密着性を達成することができる。
Figure 0007279720000001
[式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1~50の整数を示す。]
上記着雪氷防止剤において、液状組成物が、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマー、及び、該加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を更に含有していてもよい。これにより、更に優れた着雪氷防止性と密着性とを達成することができる。
上記着雪氷防止剤において、液状組成物が、エアロゲル粒子を更に含有していてもよい。これにより、着雪氷防止性がより向上する。
上記着雪氷防止剤は、対象物の被処理面に着雪氷防止部を形成するために用いられてもよい。このような着雪氷防止部を形成することにより、更に優れた着雪氷防止性を達成することができる。この際、着雪氷防止部はエアロゲルを含んでいてもよい。
本発明はまた、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、前記橋かけ部が下記式(2)で表される化合物を含む着雪氷防止成分、を含有する着雪氷防止剤を提供する。このような着雪氷防止剤は、ラダー型構造に起因する優れた着雪氷防止性及び耐久性を有している。
Figure 0007279720000002
[式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1~50の整数を示す。]
なお、ラダー型構造を有する化合物としては、下記式(3)で表される構造を有する化合物が挙げられる。これにより、更に優れた着雪氷防止性及び耐久性を達成することができる。
Figure 0007279720000003
[式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1~3000の整数を示し、bは1~50の整数を示す。]
上記着雪氷防止部はエアロゲルを含んでいてもよい。また、上記着雪氷防止成分はエアロゲルであってもよい。これにより、更に優れた着雪氷防止性を達成することができる。
本発明はまた、対象物と、対象物の被処理面上に着雪氷防止部と、を備え、着雪氷防止部が、上記着雪氷防止剤の乾燥物(反応物)を含む、着雪氷防止構造体を提供する。当該着雪氷防止構造体は、上記着雪氷防止剤の乾燥物を含む着雪氷防止部を有することにより、着雪氷防止性に優れると共に、被処理面と、着雪氷防止部との密着性に優れる。
本発明はまた、上記着雪氷防止剤を対象物の被処理面に塗布する工程を備える、着雪氷防止構造体の製造方法を提供する。
本発明によれば、対象物の被処理面に優れた着雪氷防止性を付与することができる新規な着雪氷防止剤を提供することができる。また、本発明によれば、当該着雪氷防止剤を用いた着雪氷防止構造体及び着雪氷防止構造体の製造方法を提供することができる。
本発明の着雪氷防止剤は、例えば、橋桁、鉄塔、ビル、住宅、船舶、車両、航空機、電気通信施設、道路交通標識、信号機、電線、流雪溝、パイプライン等の構造物に対して適用することができ、これらの構造物への雪及び氷の付着を防止することができる。
粒子の二軸平均一次粒子径の算出方法を示す図である。 DD/MAS法を用いて測定された、着雪氷防止剤12に含有される着雪氷防止成分の固体29Si-NMRスペクトルを示す図である。 本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体を模式的に表す図である。 本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体を模式的に表す図である。 本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体を模式的に表す図である。 着氷力試験の試験方法を模式的に表す図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<定義>
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
<着雪氷防止剤>
本実施形態の着雪氷防止剤としては、例えば、下記第一~第四の態様が挙げられる。各々の態様を採用することで、各々の態様に応じた着雪氷防止性及び密着性を得ることができる。
(第一の態様)
一実施形態の着雪氷防止剤は、(分子内に)加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「ポリシロキサン化合物群」という)を含有する液状組成物を含む(着雪氷防止剤が当該液状組成物であってもよい)。着雪氷防止剤は、また、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する液状組成物の縮合物を含んでいてもよい。このような着雪氷防止剤によれば、対象物の被処理面に優れた着雪氷防止性を付与することができる。上記着雪氷防止剤は、対象物の被処理面に着雪氷防止部を形成するために用いられてもよい。上記着雪氷防止剤から形成される着雪氷防止部は、優れた着雪氷防止性を有すると共に、被処理面との密着性にも優れる。上記着雪氷防止部は、例えば、膜状の着雪氷防止部(以下、「着雪氷防止膜」ともいう)及び粒子状の着雪氷防止部(以下、「着雪氷防止粒子」ともいう)の少なくとも一方を含む形態であってもよい。すなわち、本実施形態に係る着雪氷防止剤は、対象物の被処理面に着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子を形成するものであってもよい。
例えば、特許文献1のようなフッ素系材料から形成される着雪氷防止膜は、対象との密着性が低いことから、このような着雪氷防止膜の密着性を高めるためには、被処理面に密着層(例えば、酸化被膜及び水酸基を有する被膜)を形成する必要があると考えられる。一方で、本実施形態の着雪氷防止剤は、対象との密着性が高いことから、このような密着層は必ずしも必要ではない。また、本実施形態の着雪氷防止剤は、密着性及び接着性に優れることから、着雪氷防止機能を長期間維持することができる。
さらに、本実施形態の着雪氷防止剤から形成される着雪氷防止部は、親水性の汚れが付着し難く、かつ、このような汚れを除去し易いと考えられる。したがって、上記着雪氷防止剤は、親水性の汚れが付着し易い用途への適用も容易であると考えられる。
従来のフッ素系材料を用いた着雪氷防止膜は、接着性及び耐薬品性はあるものの、膜硬度が低く柔らかいため傷がつき易いと考えられる。また、このような着雪氷防止膜は、硬化させるための温度が数百度以上であるために、適用する箇所及び基材が限定されると考えられる。一方で、本実施形態の着雪氷防止剤から形成される着雪氷防止部は、接着性及び耐薬品性に優れると共に、傷がつき難く、適用する箇所及び基材が限定されにくいと考えられる。
ここで、本発明者らは、本実施形態の着雪氷防止剤が優れた着雪氷防止性を発揮する理由を、以下のように推測している。本実施形態の着雪氷防止剤は、ポリシロキサン化合物群を含有していることから、基材表面を疎水化することができると考えられる。滑雪が開始する条件として雪と基材の界面に水膜が生じることが考えられるが、疎水化された基材表面では水膜が生じた後の水の滑り性が高いため、着氷力が低減すると推定される。以上により、優れた着雪氷防止性を発揮すると考えられる。
加水分解性の官能基としては、例えば、アルコキシ基が挙げられる。縮合性の官能基(加水分解性の官能基に該当する官能基を除く)としては、水酸基、シラノール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。水酸基は、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基に含まれていてもよい。なお、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。反応性基としては、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基等が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。これらの官能基及び反応性基を有するポリシロキサン化合物は単独で、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。これらの官能基及び反応性基のうち、アルコキシ基、シラノール基、及びヒドロキシアルキル基は、着雪氷防止剤の相容性を向上することができ、層分離を抑制することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性向上の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は、例えば、1~6であってもよい。
ヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(A)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0007279720000004
式(A)中、R1aはヒドロキシアルキル基を示し、R2aはアルキレン基を示し、R3a及びR4aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(A)中、2個のR1aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR2aは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(A)中、2個以上のR3aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR4aは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物を含有する着雪氷防止剤を用いることにより、優れた着雪氷防止性と密着性とを更に得易くなる。このような観点から、式(A)中、R1aとしては、炭素数が1~6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(A)中、R2aとしては、炭素数が1~6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(A)中、R3a及びR4aとしては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(A)中、nは、例えば、2~30であってもよく、5~20であってもよい。
上記式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X-22-160AS、KF-6001、KF-6002、KF-6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42-B0970、XF42-C5277、Fluid OFOH 702-4%等の化合物(いずれも、モメンティブ社製)などが挙げられる。
アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(B)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0007279720000005
式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(B)中、2個のR1bは各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR2bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR3bは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(B)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR4bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR5bも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有する着雪氷防止剤を用いることにより、優れた着雪氷防止性と密着性とを更に得易くなる。このような観点から、式(B)中、R1bとしては炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としては、メチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R2b及びR3bとしては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R4b及びR5bとしては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。式(B)中、mは、例えば、2~30であってもよく、5~20であってもよい。
上記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、例えば、特開2000-26609号公報、特開2012-233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物は液状組成物中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物とは混在していてもよい。また、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これら、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の着雪氷防止剤は、着雪氷防止性と密着性とが更に向上する観点から、シリカ粒子を更に含有していてもよい。すなわち、液状組成物は、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有していてもよい。このような着雪氷防止剤において、着雪氷防止性が向上する理由としては、着雪氷防止剤がシリカ粒子を含有すると、着雪氷防止部を構成する化合物において、後述のQ+T:Dを制御し易く、かつ、上記化合物における水酸基の量を低減し易いこと等が考えられる。
シリカ粒子としては、特に制限なく用いることができ、例えば非晶質シリカ粒子が挙げられる。非晶質シリカ粒子としては、例えば、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカ粒子は、単分散性が高く、着雪氷防止剤中での凝集を抑制し易い。
シリカ粒子の形状は特に制限されず、球状、繭型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子として球状の粒子を用いることにより、着雪氷防止剤中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子の平均一次粒子径は、適度な硬度の着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子を得易くなり、熱衝撃及び傷に対する耐久性が向上し易くなる観点から、例えば、1nm以上であってもよく、5nm以上であってもよく、20nm以上であってもよい。シリカ粒子の平均一次粒子径は、透明な着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子を得易くなる観点から、例えば、200nm以下であってもよく、150nm以下であってもよく、100nm以下であってもよい。これらの観点から、シリカ粒子の平均一次粒子径は、例えば、1~200nmであってもよく、5~150nmであってもよく、20~100nmであってもよい。また、シリカ粒子は、中空構造、多孔質構造等を有する粒子であってもよい。
なお、シリカ粒子の平均粒子径は、原料から測定することができる。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常水に分散している固形分濃度が5~40質量%のコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液に、パターン配線付きウエハを2cm角に切って得られたチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。この際、選択したシリカ粒子が図1に示すような形状であった場合、シリカ粒子Pに外接し、その長辺が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形L)を導く。そして、その外接長方形Lの長辺をX、短辺をYとして、(X+Y)/2として二軸平均一次粒子径を算出し、その粒子の粒子径とする。
上記シリカ粒子の1g当りのシラノール基数は、良好な反応性を有すると共に、低温、短時間で優れた着雪氷防止性と密着性とを付与し易い観点から、例えば、10×1018個/g以上であってもよく、50×1018個/g以上であってもよく、100×1018個/g以上であってもよい。上記シリカ粒子の1g当りのシラノール基数は、着雪氷防止処理時の急なゲル化を抑制し易く、均質な着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子を得易い観点から、例えば、1000×1018個/g以下であってもよく、800×1018個/g以下であってもよく、700×1018個/g以下であってもよい。これらの観点から、上記シリカ粒子の1g当りのシラノール基数は、例えば、10×1018~1000×1018個/gであってもよく、50×1018~800×1018個/gであってもよく、100×1018~700×1018個/gであってもよい。
シリカ粒子の含有量は、着雪氷防止剤の反応性が向上する観点、及び、低温、短時間で優れた着雪氷防止性と密着性とを付与し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01質量部以上であってもよく、0.1質量部以上であってもよく、0.5質量部以上であってもよい。上記シリカ粒子の含有量は、適度な硬度の着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子が得られ易く、熱衝撃及び傷に対する耐久性が向上し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよく、10質量部以下であってもよい。これらの観点から、上記シリカ粒子の含有量は、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01~30質量部であってもよく、0.1~20質量部であってもよく、0.5~10質量部であってもよい。
液状組成物は、例えば、着雪氷防止性と密着性とを更に向上させる観点から、ポリシロキサン化合物以外の(ポリシロキサン化合物を除く)ケイ素化合物を更に含んでいてもよい。すなわち、液状組成物は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマー、及び、加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「シランモノマー群」という)を更に含有していてもよい。シランモノマーにおける分子内のケイ素数は1~6とすることができる。
加水分解性の官能基を有するシランモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アルキルケイ素アルコキシドが挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドの中でも、加水分解性の官能基の数が3個以下のものは耐水性をより向上することができる。このようなアルキルケイ素アルコキシドとしては、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン等が挙げられ、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
縮合性の官能基を有するシランモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n-プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール、トリフルオロプロピルシラントリオール等が挙げられる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマーは、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる、上述の反応性基を更に有していてもよい。
加水分解性の官能基の数が3個以下であり、反応性基を有するシランモノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
また、縮合性の官能基を有し、反応性基を有するシランモノマーとして、ビニルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルシラントリオール、3-グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3-メタクリロキシプロピルシラントリオール、3-メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3-アクリロキシプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルシラントリオール、3-メルカプトプロピルメチルシランジオール、N-フェニル-3-アミノプロピルシラントリオール、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルシランジオール等も用いることができる。
また、分子末端の加水分解性の官能基の数が3個以下のシランモノマーであるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等も用いることができる。
これら、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマー、及び、加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、アルコキシ基等の加水分解性の官能基は加水分解するため、加水分解性の官能基を有するシランモノマーは液状組成物中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、加水分解性の官能基を有するシランモノマーとその加水分解生成物とは混在していてもよい。また、加水分解性の官能基を有するシランモノマーにおいて、分子中の加水分解性の官能基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
ポリシロキサン化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物の含有量の総和)は、着雪氷防止性が更に向上し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01質量部以上であってもよく、0.1質量部以上であってもよく、0.5質量部以上であってもよい。ポリシロキサン化合物群の前記含有量は、適度な硬度の着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子が得られ易く、熱衝撃及び傷に対する耐久性が向上し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、50質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよく、10質量部以下であってもよい。これらの観点から、ポリシロキサン化合物群の前記含有量は、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01~50質量部であってもよく、0.1~30質量部であってもよく、0.5~10質量部であってもよい。
本実施形態の着雪氷防止剤が、液状組成物中にシランモノマー群を更に含有する場合、ポリシロキサン化合物群の含有量と、シランモノマー群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマーの含有量、及び、加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物の含有量の総和)との比は、着雪氷防止性が更に向上し易い観点及び良好な相溶性が得られ易い観点から、例えば、1:0.1以上であってもよく、1:1以上であってもよい。これらの化合物の含有量の比は、適度な硬度の着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子が得られ易く、熱衝撃及び傷に対する耐久性が向上し易い観点から、例えば、1:10以下であってもよく、1:5以下であってもよい。これらの観点から、ポリシロキサン化合物群の含有量と、シランモノマー群の含有量との比は、例えば、1:0.1~1:10であってもよく、1:1~1:5であってもよい。
ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の含有量の総和は、着雪氷防止性が更に向上し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01質量部以上であってもよく、0.1質量部以上であってもよく、0.5質量部以上であってもよい。当該含有量の総和は、適度な硬度の着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子が得られ易く、熱衝撃及び傷に対する耐久性が向上し易い観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、60質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよく、10質量部以下であってもよい。これらの観点から、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の含有量の総和は、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.01~60質量部であってもよく、0.01~30質量部であってもよく、0.1~20質量部であってもよく、0.5~10質量部であってもよい。この際、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の含有量の比は上記範囲内とすることができる。
本実施形態の着雪氷防止剤は、着雪氷防止性が向上する観点から、エアロゲル粒子を含んでいてもよい。すなわち、液状組成物は、エアロゲル粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有していてもよい。エアロゲルは、ナノメートルサイズの微細孔を有する多孔質体である。エアロゲル粒子は、その表面の水酸基が少ないこと、微細孔に水が入り込み難いことから、優れた着雪氷防止性を発揮すると考えられる。
エアロゲル粒子としては、従来公知のエアロゲル粒子を特に制限なく用いることができるが、液状組成物中に含まれるポリシロキサン化合物、シランモノマー等を原料として形成されるエアロゲル粒子であってもよい。なお、そのようなエアロゲル(粒子)は、ポリシロキサン化合物等を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを乾燥することで得ることができる。
エアロゲル粒子の平均一次粒子径は、良好な着雪氷防止性が得られ易いという観点から、例えば、0.1~10000nmであってもよく、1~1000nmであってもよく、2~100nmであってもよい。
エアロゲル粒子の含有量は、良好な分散性が得られ易いという観点から、液状組成物の総量100質量部に対し、例えば、0.1~10質量部であってもよく、0.5~5質量部であってもよく、0.8~3質量部であってもよい。
他の実施形態に係る着雪氷防止剤は、着雪氷防止成分を含む態様であってもよい。着雪氷防止成分は、例えば、これまで述べてきた液状組成物の縮合物であってもよい。本実施形態に係る着雪氷防止成分の形状は、例えば、粒子状であってもよい。以下、第二~第四の態様として、着雪氷防止成分を含む着雪氷防止剤の具体的態様について説明する。
(第二の態様)
本実施形態の着雪氷防止剤は、シロキサン結合(Si-O-Si)を含む主鎖を有するポリシロキサンを含有する着雪氷防止成分を含むことかできる。当該着雪氷防止成分は、構造単位として、下記M単位、D単位、T単位又はQ単位を有することができる。
Figure 0007279720000006
上記式中、Rは、ケイ素原子に結合している原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。M単位は、ケイ素原子が1個の酸素原子と結合した一価の基からなる単位である。D単位は、ケイ素原子が2個の酸素原子と結合した二価の基からなる単位である。T単位は、ケイ素原子が3個の酸素原子と結合した三価の基からなる単位である。Q単位は、ケイ素原子が4個の酸素原子と結合した四価の基からなる単位である。これらの単位の含有量に関する情報は、Si-NMRにより得ることができる。
本実施形態の着雪氷防止剤は、DD/MAS法を用いて測定された固体29Si-NMRスペクトルにおいて、含ケイ素結合単位Q、T及びDを以下の通り規定したとき、Q及びTに由来するシグナル面積と、Dに由来するシグナル面積との比Q+T:Dが1:0.01~1:0.70である着雪氷防止成分、を含有していてもよい。
Q:1個のケイ素原子に結合した酸素原子が4個の含ケイ素結合単位。
T:1個のケイ素原子に結合した酸素原子が3個と水素原子又は1価の有機基が1個の含ケイ素結合単位。
D:1個のケイ素原子に結合した酸素原子が2個と水素原子又は1価の有機基が2個の含ケイ素結合単位。
ただし、前記有機基とはケイ素原子に結合する原子が炭素原子である1価の有機基である。
このような着雪氷防止剤は、着雪氷防止性と密着性とに優れる。
Q及びTに由来するシグナル面積と、Dに由来するシグナル面積との比Q+T:Dは、例えば、1:0.01~1:0.50であってもよく、1:0.01~1:0.30であってもよく、1:0.02~1:0.20であってもよく、1:0.03~1:0.10であってもよい。シグナル面積比を1:0.01以上とすることにより、より優れた着雪氷防止性を得易い傾向があり、1:0.50以下とすることにより、より密着性を得易い傾向がある。
下記Q、T及びDにおける「酸素原子」とは、主として2個のケイ素原子間を結合する酸素原子であるが、例えばケイ素原子に結合した水酸基が有する酸素原子である場合も考えられる。「有機基」とはケイ素原子に結合する原子が炭素原子である1価の有機基であり、例えば、炭素数が1~10の非置換又は置換の1価の有機基が挙げられる。非置換の1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基が挙げられる。置換の1価の有機基としては、これら炭化水素基の水素原子がハロゲン原子、所定の官能基、所定の官能基含有有機基等で置換された炭化水素基(置換有機基)、あるいは特にシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の環の水素原子がアルキル基で置換された炭化水素基、などが挙げられる。上記ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子等(すなわち、クロロアルキル基、ポリフルオロアルキル基等のハロゲン原子置換有機基となる)が挙げられる。上記官能基としては、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。上記官能基含有有機基としては、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、N-アミノアルキル置換アミノアルキル基等が挙げられる。
シグナル面積比は、固体29Si-NMRスペクトルにより確認することができる。一般的に固体29Si-NMRの測定手法は特に限定されず、例えば、CP/MAS法とDD/MAS法が挙げられるが、本実施形態においては定量性の点からDD/MAS法を採用している。
固体29Si-NMRスペクトルにおける含ケイ素結合単位Q、T及びDの化学シフトは、Q単位:-90~-120ppm、T単位:-45~-80ppm、D単位:0~-40ppmの範囲にそれぞれ観察されるため、含ケイ素結合単位Q、T及びDのシグナルを分離し、各単位に由来するシグナル面積を計算することが可能である。なお、スペクトル解析に際しては、解析精度向上の点から、Window関数として指数関数を採用し、なおかつLine Broadening係数を0~50Hzの範囲に設定することができる。
例えば、図2は、DD/MAS法を用いて測定された、着雪氷防止剤12に含有される着雪氷防止成分の固体29Si-NMRスペクトルを示す図である。図2が示すように、DD/MAS法を用いた固体29Si-NMRにより、含ケイ素結合単位Q、T及びDのシグナルの分離は可能である。
ここで、図2を用いて、シグナル面積比の計算方法を説明する。例えば、図2においては、-90~-120ppmの化学シフト範囲において、シリカ由来のQ単位シグナルが観測されている。また、-45~-80ppmの化学シフト範囲において、ポリシロキサン化合物及びトリメトキシシラン反応物に由来するT単位のシグナルが観測されている。さらに、0~-40ppmの化学シフト範囲において、ポリシロキサン化合物及びジメチルジメトキシシラン反応物に由来するD単位のシグナルが観測されている。シグナル面積(積分値)は、それぞれの化学シフト範囲において、シグナルを積分することにより得られる。Q単位及びT単位の和のシグナル面積を1とした場合、図2のシグナル面積比Q+T:Dは、1:0.15と計算される。なお、シグナル面積は一般的なスペクトル解析ソフト(例えば、ブルカー社製のNMRソフトウェア「TopSpin」(TopSpinは登録商標))を用いて算出されるものである。
(第三の態様)
本実施形態の着雪氷防止剤は、下記式(1)で表される構造を有する化合物を含む着雪氷防止成分を含有していてもよい。本実施形態に係る着雪氷防止成分は、式(1)で表される構造を含む構造として、下記式(1a)で表される構造を有する化合物を含むことができる。例えば、上記式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を含む液状組成物の縮合物には、式(1)及び式(1a)で表される構造を骨格中に有する化合物を含む着雪氷防止成分が含まれ得る。
Figure 0007279720000007
Figure 0007279720000008
式(1)及び式(1a)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。pは1~50の整数を示す。式(1a)中、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。式(1a)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
着雪氷防止剤が、上記式(1)又は式(1a)で表される構造を有する化合物を含む着雪氷防止成分を含有すると、着雪氷防止性と密着性とが更に向上する。このような観点から、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。式(1a)中、例えば、pは2~30であってもよく、5~20であってもよい。
(第四の態様)
本実施形態の着雪氷防止剤は、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、前記橋かけ部が下記式(2)で表される化合物、を含む着雪氷防止成分、を含有していてもよい。着雪氷防止成分が、骨格中にこのようなラダー型構造を有する化合物を含むことにより、着雪氷防止性を更に向上させると共に、機械的強度を向上させることができる。すなわち、本実施形態の着雪氷防止剤は、ラダー型構造に起因する優れた着雪氷防止性及び耐久性を有している。例えば、上記式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を含む液状組成物の縮合物には、式(2)で表される橋かけ部を有するラダー型構造を骨格中有する化合物を含む着雪氷防止成分が含まれ得る。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、ラダー型構造は、化合物の一部に含まれる態様であってもよい。
Figure 0007279720000009
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、着雪氷防止性、機械的強度及び耐久性を更に向上させる観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表されるラダー型構造が挙げられる。
Figure 0007279720000010
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1~3000の整数を示し、bは1~50の整数を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、更に優れた着雪氷防止性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としては、それぞれ独立に炭素数が1~6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に、例えば、6~2000であってもよく、10~1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、例えば、2~30であってもよく、5~20であってもよい。
着雪氷防止剤が含有する着雪氷防止成分は、着雪氷防止性が向上する観点からエアロゲルから構成されていてもよい。エアロゲルは、空隙率が大きいため、エアロゲルから構成される着雪氷防止成分(並びにそれにより形成される着雪氷防止膜及び着雪氷防止粒子)は、屈折率が小さく、透明性が高いものであると考えられる。
<着雪氷防止構造体>
次に、上記着雪氷防止剤を用いて得られる着雪氷防止構造体について説明する。本実施形態の着雪氷防止構造体は、被処理面に着雪氷防止部が形成されており、着雪氷防止部が、上記着雪氷防止剤の乾燥物を含む。なお、着雪氷防止剤が上記の液状組成物の縮合物を含む場合であれば、着雪氷防止部が形成される際に縮合反応がさらに進むと考えられ、また着雪氷防止剤が上記の液状組成物そのものである場合であれば、着雪氷防止部が形成される際に縮合反応が生じると考えられる。そのため、着雪氷防止部は着雪氷防止剤の反応物を含むと言うこともできる。
着雪氷防止部は、着雪氷防止膜及び着雪氷防止粒子の少なくとも一方を含む形態であってもよい。本実施形態の着雪氷防止構造体は、本実施形態の着雪氷防止剤の乾燥物を含む着雪氷防止部を有することにより、着雪氷防止性に優れると共に、被処理面と、着雪氷防止部との密着性にも優れる。また、このような着雪氷防止構造体は、耐久性にも優れる。本実施形態の着雪氷防止構造体は、例えば、上述した着雪氷防止剤により、被処理面に着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子を形成してなるものであってもよい。ここで、被処理面に形成される着雪氷防止部(着雪氷防止粒子等)の好ましい形態は、例えば、上述の着雪氷防止成分と同様であってもよい。
被処理面に形成される着雪氷防止部(着雪氷防止膜、着雪氷防止粒子等)は、着雪氷防止性が更に向上する観点から、エアロゲルを含んでいてもよい。すなわち、例えば、被処理面に形成される着雪氷防止膜及び着雪氷防止粒子は、それぞれエアロゲルを含む膜及びエアロゲルを含む粒子であってもよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体を模式的に表す図である。図3に示す着雪氷防止構造体100は、着雪氷防止処理対象物2の被処理面2aに、着雪氷防止膜1からなる着雪氷防止部10が形成された構造を有する。ここで、着雪氷防止部10は、本実施形態の着雪氷防止剤の乾燥物を含むものである。当該着雪氷防止構造体100は、被処理面2a上に、着雪氷防止膜1からなる着雪氷防止部10を備えることにより、着雪氷防止膜の化学的特性である着雪氷防止性が付与されたものになると考えられる。ここで、本態様における着雪氷防止部は、モノリシックな膜ではなく、微小の着雪氷防止粒子(着雪氷防止成分)が堆積して膜状になったものであると言うことができる。
図4は、本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体を模式的に表す図である。図4に示す着雪氷防止構造体200は、着雪氷防止処理対象物2の被処理面2aに、着雪氷防止粒子3からなる着雪氷防止部10が形成された構造を有する。ここで、着雪氷防止部10は、本実施形態の着雪氷防止剤の乾燥物を含むものである。当該着雪氷防止構造体200は、被処理面2a上に、着雪氷防止粒子3からなる着雪氷防止部10を備えることにより、着雪氷防止粒子の物理的特性である微細凹凸形状によるロータス効果が得られ、高い着雪氷防止性が付与されたものになると考えられる。ここで、本態様における着雪氷防止部は、ある程度大きなサイズにまで成長した着雪氷防止粒子(着雪氷防止成分)が被処理面に付着して形成されたものと言うことができる。
図5は、本発明の一実施形態に係る着雪氷防止構造体の模式的に表す図である。図5に示す着雪氷防止構造体300は、着雪氷防止処理対象物2の被処理面2aに、着雪氷防止膜1及び着雪氷防止粒子3を含む着雪氷防止部10が形成された構造を有する。ここで、着雪氷防止部10は、本実施形態の着雪氷防止剤の乾燥物を含むものである。当該着雪氷防止構造体300は、被処理面2a上に、着雪氷防止膜1及び着雪氷防止粒子3を含む着雪氷防止部10を備えることにより、着雪氷防止粒子の化学的特性である着雪氷防止性が付与されると共に、着雪氷防止粒子の物理的特性である微細凹凸形状によるロータス効果が得られることから、更に優れた着雪氷防止性が付与されたものになると考えられる。
上記のとおり、着雪氷防止剤から形成される粒子の大きさにより、種々の態様を有する着雪氷防止部を得ることができる。すなわち、着雪氷防止粒子が微小である場合には所定の厚さ堆積した膜状外観の態様、着雪氷防止粒子がある程度大きければ平面状に個別に並んだ粒子状外観の態様、両者が共存する場合には複合化外観の態様となって、それぞれ着雪氷防止部が形成される。
なお、このように着雪氷防止構造体の着雪氷防止部がいわゆるモノリシックなエアロゲル膜ではないという事情から、本実施形態の着雪氷防止構造体の熱伝導率は対象物と同等の熱伝導率を示す。例えば、熱伝導率1.0W/(m・K)程度の対象物を用いた本実施形態の着雪氷防止構造体の熱伝導率は、対象物と同等の1.0W/(m・K)程度である。
本実施形態の着雪氷防止構造体において、着雪氷防止膜の厚さは、例えば、1~500nmであってもよく、20~200nmであってもよい。当該厚さを、1nm以上とすることにより、更に優れた着雪氷防止性を達成することができ、500nm以下とすることにより、更に優れた密着性を達成することができる。
本実施形態の着雪氷防止構造体において、着雪氷防止粒子の大きさは、例えば、0.1~10000nmであってもよく、1~1000nmであってもよい。着雪氷防止粒子の大きさを、0.1nm以上とすることにより、更に優れた着雪氷防止性を達成することができ、10000nm以下とすることにより、更に優れた密着性を達成することができる。
本実施形態の着雪氷防止構造体において、被処理面に付着する着雪氷防止粒子の数は、更に優れた着雪氷防止性を達成する観点から、1mm四方あたり、例えば、1個以上であってもよい。被処理面に付着する着雪氷防止粒子の数は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて算出することができる。例えば、平均粒径100nmの着雪氷防止粒子の場合、平均粒径の100倍の長さ(1.0×10-2mm)を1辺とする正方形の面積A(1.0×10-4mm)を設定する。その正方形の中にある粒子の数B(個)を測定し、B/Aを算出する。これを10回繰り返し、得られたB/Aの平均値を粒子の付着量とする。
以上のことから、本実施形態の着雪氷防止構造体において、着雪氷防止部の厚さは、例えば、1~10000nmであってもよく、20~1000nmであってもよい。
<着雪氷防止剤の製造方法>
次に、着雪氷防止剤の製造方法について説明する。着雪氷防止剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
本実施形態の着雪氷防止剤は、例えば、配合工程と、必要に応じ縮合反応工程とを主に備える製造方法により製造することができる。
以下、本実施形態の着雪氷防止剤の製造方法の各工程について説明する。
(配合工程)
配合工程は、上記のポリシロキサン化合物、及び必要に応じシリカ粒子、シランモノマー、溶媒等を混合する工程である。この工程により、ポリシロキサン化合物等のケイ素化合物の加水分解反応を行うことができる。なお、シリカ粒子は、溶媒に分散された分散液の状態で混合してもよい。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中に更に酸触媒を添加してもよい。また、溶媒中に界面活性剤を添加することもできる。縮合性の官能基を有するケイ素化合物を用いる場合、加水分解反応は必ずしも必須ではない。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコール類の混合液を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。アルコール類は、被処理面との界面張力を低減させる観点から、例えば、表面張力が低くかつ沸点の低いものであってもよい。表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸類;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩類;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸類などが挙げられる。これらの中でも、環境汚染を配慮し、加水分解反応を促進できる酸触媒としては有機カルボン酸類が挙げられる。当該有機カルボン酸類としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、ポリシロキサン化合物及びシランモノマーの加水分解反応を促進させて、より短時間で加水分解溶液を得ることができる。
酸触媒の添加量は、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の総量100質量部に対し、例えば、0.001~600.0質量部であってもよい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物、ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物などを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物としては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、配合工程において、溶媒中のポリシロキサン化合物、及び場合によりシリカ粒子、シランモノマー等の分散性を向上する作用を有すると考えられる。また、これらの界面活性剤は、後述する縮合反応工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、分散性を向上させる作用を有すると考えられる。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはポリシロキサン化合物及びシランモノマーの種類並びに量にも左右されるが、例えば、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の総量100質量部に対し、1~100質量部であってもよく、5~60質量部であってもよい。
配合工程の加水分解は、混合液中のポリシロキサン化合物、シランモノマー、シリカ粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば、20~60℃の温度環境下で10分~24時間行ってもよく、50~60℃の温度環境下で5分~8時間行ってもよい。これにより、ポリシロキサン化合物及びシランモノマー中の加水分解性官能基が充分に加水分解され、ポリシロキサン化合物の加水分解生成物及びシランモノマーの加水分解生成物をより確実に得ることができる。
配合工程により、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する液状組成物を含む、着雪氷防止剤を得ることができる。
(縮合反応工程)
必要に応じ、縮合反応工程により、縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及びシランモノマー、配合工程で得られた加水分解反応物等の縮合反応を行うことができる。本工程では、縮合反応を促進させるため、塩基触媒を用いることができる。また、本工程において、熱加水分解により塩基触媒を発生する熱加水分解性化合物を添加することもできる。
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸銅(II)、炭酸鉄(II)、炭酸銀(I)等の炭酸塩類;炭酸水素カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩類;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3-メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N-メチルモルホリン、2-メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、取扱い上の安全性及び臭気の観点から、炭酸塩、又は炭酸水素塩が好ましく、経済性の観点から炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムがより好ましい。上記の塩基触媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、加水分解溶液中のポリシロキサン化合物群、シランモノマー群及びシリカ粒子の、脱水縮合反応、脱アルコール縮合反応、又はそれら両者の反応を促進することができ、より短時間で着雪氷防止剤を得ることができる。
塩基触媒の添加量は、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の総量100質量部に対し、例えば、0.1~500質量部であってもよく、1.0~200質量部であってもよい。塩基触媒の上記添加量を、0.1質量部以上とすることにより、縮合反応をより短時間で行うことができ、500質量部以下とすることにより、層分離を抑制し易い。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、縮合反応を促進すると考えられる。よって、この熱加水分解性化合物としては、熱加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られ易い。
熱加水分解性化合物の添加量は、縮合反応を充分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、ポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群の総量100質量部に対して、1~200質量部であってもよく、2~150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性をさらに得易くなり、また、200質量部以下とすることにより、層分離を抑制し易い。
縮合反応工程における反応は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。反応温度は、例えば、20~90℃であってもよく、40~80℃であってもよい。反応温度を20℃以上とすることにより、縮合反応をより短時間に行うことができる。また、反応温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、層分離を抑えながら縮合反応することができる。
縮合反応時間は、ポリシロキサン化合物群、シランモノマー群等の種類及び反応温度にも左右されるが、例えば、2~480時間であってもよく、6~120時間であってもよい。反応時間を2時間以上とすることにより、より優れた着雪氷防止性と密着性を達成することができ、480時間以下にすることにより、層分離を抑制し易い。
また、加水分解溶液中にシリカ粒子が含まれている場合、縮合反応時間を更に短縮することができる。この理由は、加水分解溶液中のポリシロキサン化合物群及びシランモノマー群が有する、シラノール基、反応性基、又はそれら両者が、シリカ粒子のシラノール基と水素結合、化学結合、又はそれらの結合の組合せを形成するためであると推察する。この場合、縮合反応時間は、例えば、10分~24時間であってもよく、30分~12時間であってもよい。反応時間を10分間以上とすることにより、より優れた着雪氷防止性と密着性を達成することができ、24時間以下とすることにより、層分離を抑制し易い。
縮合反応工程により、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する液状組成物の縮合物を含む、着雪氷防止剤を得ることができる。また、本工程により、上述の着雪氷防止成分を含有する着雪氷防止剤を得ることができる。
なお、例えば縮合反応時間、シリカ粒子の大きさ、エアロゲル粒子の大きさ等を変更することにより、着雪氷防止粒子のサイズを調整することができる。これにより所望の着雪氷防止構造体を得ることができる。
<着雪氷防止構造体の製造方法>
次に、着雪氷防止構造体の製造方法について説明する。着雪氷防止構造体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
本実施形態の着雪氷防止構造体は、例えば、上記着雪氷防止剤を被処理面に塗布する工程(以下、「塗布工程」ともいう)を備える製造方法により製造することができる。本実施形態の着雪氷防止構造体の製造方法は、例えば、塗布工程と、乾燥工程(エージング工程)とを備えていてもよく、塗布工程と、洗浄工程と、乾燥工程(予備乾燥工程及びエージング工程)とを備えていてもよい。
以下、実施形態に係る着雪氷防止構造体の製造方法の各工程について説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、例えば、上記着雪氷防止剤を被処理面に塗布する工程である。また、場合により、塗布後に被処理面を乾燥して溶媒を揮発させてもよい。例えば、本工程によって、被処理面に着雪氷防止部(着雪氷防止膜及び/又は着雪氷防止粒子)を形成することができる。着雪氷防止剤は、被処理面全体に塗布してもよく、被処理面の一部に選択的に塗布してもよい。
塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、フローコート法、バーコート法及びグラビアコート法が挙げられる。特に、スプレーコート法は、凹凸のある被処理面にも、均一な厚さの着雪氷防止膜を形成し易い観点、生産性が高く、着雪氷防止剤の使用効率が高い観点から、好ましい。これらの方法は、単独で、又は2種類以上を併用してもよい。
着雪氷防止剤をあらかじめ他のフィルム、布等に塗布又は含浸させたものを被処理面に接触させることにより、着雪氷防止剤を被処理面に塗布してもよい。塗布方法は、着雪氷防止剤の使用量、被処理面の面積、特性等に応じて自由に選択することができる。
塗布工程で用いる着雪氷防止剤の温度は、例えば、20~80℃であってもよく、40~60℃であってもよい。上記温度を、20℃以上とすることにより、着雪氷防止性と密着性とが更に向上する傾向にあり、上記温度を、80℃以下とすることにより、着雪氷防止部の透明性が得られ易い傾向にある。着雪氷防止剤による処理時間は、例えば0.5~4時間とすることができる。
被処理面を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、及びこれらを組合せた材料(複合材料、積層材料等)が挙げられる。本実施形態の着雪氷防止剤は、紙、繊維、布、不織布、ゴム、皮等にも適用できる。着雪氷防止剤を塗布した後に、被処理面を乾燥して溶媒を揮発させる場合、被処理面を構成する材料は、例えば、水溶性有機化合物及び水溶性無機化合物であってもよい。これらのうちでも、被処理面を構成する材料は、ガラス、プラスチック等の透明な材料であることが好ましい。
金属としては、例えば、ステンレス、アルミ、銅、亜鉛めっき鋼板及び鉄が挙げられる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、チタン酸バリウム、窒化ホウ素及び窒化珪素が挙げられる。ガラスとしては、例えば、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス及びアルミノシリケートガラスが挙げられる。プラスチックスとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリフェニレンカーボネート等の芳香族ポリカーボネート系樹脂、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。
水溶性有機化合物としては、例えば、グルコース、スクロース、でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、及びメチルセルロースが挙げられる。水溶性無機化合物としては、例えば、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム及び硫酸化合物が挙げられる。
着雪氷防止剤を塗布した後、得られた構造体を乾燥して溶媒を揮発させることにより、着雪氷防止部の密着性を更に向上させることができる。この際の乾燥温度は、特に制限されず、被処理面の耐熱温度によっても異なるが、例えば、20~250℃であってもよく、60~250℃であってもよく、120~180℃であってもよい。なお、上記温度を60℃以上とすることにより、より優れた密着性を達成することができ、250℃以下とすることにより、熱による劣化を抑制することができる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、例えば、塗布工程で得られた構造体を洗浄する工程である。本工程を施すことにより、着雪氷防止部中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高い着雪氷防止部を得ることができる。
洗浄工程は、例えば、水及び/又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。上記の有機溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、水で洗浄した後に、有機溶媒を用いて洗浄する場合は、水に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が好ましい。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れており好ましい。
洗浄工程に使用される水及び/又は有機溶媒の量は、着雪氷防止部の総質量に対して、例えば、3~10倍の量であってもよい。洗浄は、被処理面の含水率が、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄温度は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、20~60℃程度であってもよい。加温することにより洗浄効率を向上させることもできる。洗浄時間は、例えば3~30分間とすることができる。
(乾燥工程:予備乾燥工程)
予備乾燥工程は、例えば、洗浄工程により洗浄された構造体を予備乾燥させる工程である。
乾燥の手法としては、特に制限されないが、例えば、大気圧下における公知の乾燥方法を用いることができる。乾燥温度は、被処理面の耐熱温度及び洗浄溶媒の種類により異なる。溶媒の蒸発速度が充分に速く、着雪氷防止部の劣化を防止し易い観点から、乾燥温度は、例えば、20~250℃であってもよく、60~180℃であってもよい。乾燥時間は、着雪氷防止部の質量及び乾燥温度により異なるが、例えば、1~24時間であってもよい。
(乾燥工程:エージング工程)
エージング工程は、例えば、予備乾燥工程により乾燥された着雪氷防止部をエージング(加熱エージング等)する工程である。これにより、最終的な着雪氷防止構造体を得ることができる。エージング工程を施すことにより、着雪氷防止構造体の着雪氷防止性と密着性とが更に向上する。なお、洗浄工程及び予備乾燥工程を省略する場合には、例えば、塗布工程で形成された着雪氷防止部をエージングすればよい。
本工程は、例えば、予備乾燥工程後の追加乾燥として行ってもよい。エージングをすることにより、着雪氷防止部中の親水基が減少し、着雪氷防止性が更に向上すると考えられる。また、着雪氷防止部が、予備乾燥工程で体積収縮を起こし、透明性が低下している場合は、スプリングバックにより体積復元することにより、透明性を向上させてもよい。
エージング温度は、被処理面の耐熱温度により異なるが、例えば、100~250℃であってもよく、120~180℃であってもよい。エージング温度を、100℃以上とすることにより、より優れた着雪氷防止性と密着性を達成することができ、250℃以下とすることにより、熱による劣化を抑制することができる。
エージング時間は、着雪氷防止部の質量及びエージング温度により異なるが、例えば、1~10時間であってもよく、2~6時間であってもよい。エージング時間を、1時間以上とすることにより、より優れた着雪氷防止性と密着性を達成し易く、10時間以下とすることにより、生産性が低下し難い。
以上、本実施形態に係る着雪氷防止剤及び着雪氷防止構造体の製造方法の一例について説明したが、着雪氷防止剤及び着雪氷防止構造体の製造方法はこれに限定されるものではない。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
(ポリシロキサン化合物Aの調製)
攪拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン「XC96-723」(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt-ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
(着雪氷防止剤の調製)
100mM 酢酸イソプロピルアルコール溶液15mLに、メチルトリメトキシシランKBM-13(信越化学工業株式会社製、製品名)を0.45mL、ジメチルジメトキシシランKBM-22(信越化学工業株式会社製、製品名)を0.15mL、ポリシロキサン化合物Aを0.15mL添加し、60分間撹拌した。これに純水を420mL滴下し、60分間撹拌し、着雪氷防止剤を得た。
(着雪氷防止構造体の作製)
上記にて得られた着雪氷防止剤に、スライドグラスS7213(松波硝子工業株式会社製、製品名)をディップした後、室温で30分間乾燥することで、着雪氷防止構造体を得た。
(着氷力試験)
図6は、着氷力試験の試験方法を模式的に表す図である。着氷力試験は以下のようにして行った。
(1)荷重測定装置をセットした恒温槽を-9℃に設定した。
(2)恒温槽内に、試料及びステンレスリングをセットし、2時間静置した。
(3)ステンレスリング内に水を注入し、30分間静置した。これにより、図6に示すように、試料23上に置かれたステンレスリング21内に氷22を形成した。
(4)ステンレスリングの外側から荷重Sをかけ、最大荷重点を測定した。
(5)最大荷重を単位面積当たりで換算し、着氷力(N/cm)を得た。なお、ステンレスリング内径は2.5cm、着氷面積は4.9cmであった。
試料として上記にて得られた着雪氷防止構造体を用いた場合、着氷力は約19N/cmであった。一方、試料としてスライドグラスS7213を用いた場合、着氷力は約36N/cmであった。着雪氷防止剤を用いることで着氷力が大幅に低減された。
また、空調用のアルミフィンに対して、上記と同様にして着氷力試験を実施した。着雪氷防止剤による処理を行わない場合は一定の着氷が観察されたが、処理を行った場合は着氷が観察されなかった。
以上より、本発明の着雪氷防止剤によれば、被処理面に優れた着雪氷防止性を付与することができることがわかる。
L…外接長方形、P…シリカ粒子、1…着雪氷防止膜、2…着雪氷防止処理対象物、2a…被処理面、3…着雪氷防止粒子、10…着雪氷防止部、21…ステンレスリング、22…氷、23…試料、100,200,300…着雪氷防止構造体。

Claims (10)

  1. 加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する液状組成物を含
    前記ポリシロキサン化合物が、下記式(B)で表される化合物を含む、着雪氷防止剤
    Figure 0007279720000011

    [式(B)中、R 1b はアルキル基又はアルコキシ基を示し、R 2b 及びR 3b はそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R 4b 及びR 5b はそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1~50の整数を示す。]
  2. 前記液状組成物が、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するシランモノマー、及び、該加水分解性の官能基を有するシランモノマーの加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を更に含有する、請求項に記載の着雪氷防止剤。
  3. 前記液状組成物がエアロゲル粒子を更に含有する、請求項1又は2に記載の着雪氷防止剤。
  4. 対象物の被処理面に着雪氷防止部を形成するために用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の着雪氷防止剤。
  5. 前記着雪氷防止部がエアロゲルを含む、請求項に記載の着雪氷防止剤。
  6. 前記液状組成物の縮合物をさらに含み、前記縮合物が、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、前記橋かけ部が下記式(2)で表される化合物を含む着雪氷防止成分、を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の着雪氷防止剤。
    Figure 0007279720000012

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1~50の整数を示す。]
  7. 下記式(3)で表される構造を有する化合物を含む前記着雪氷防止成分、を含有する、請求項に記載の着雪氷防止剤。
    Figure 0007279720000013

    [式(3)中、R 及び それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、 及びR はそれぞれ独立にアルキル基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1~3000の整数を示し、bは1~50の整数を示す。]
  8. 前記着雪氷防止成分がエアロゲルである、請求項6又は7に記載の着雪氷防止剤。
  9. 対象物と、該対象物の被処理面上に着雪氷防止部と、を備え、
    前記着雪氷防止部が、請求項1~のいずれか一項に記載の着雪氷防止剤の乾燥物を含む、着雪氷防止構造体。
  10. 請求項1~のいずれか一項に記載の着雪氷防止剤を対象物の被処理面に塗布する工程を備える、着雪氷防止構造体の製造方法。
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