図1は、本実施形態に係る伝送システム10の構成概略図である。伝送システム10は、データ信号を位相符号化し、位相符号化によって得られたデータ波形を送信する送信機12、及び、送信機12からデータ波形を微分信号の形で受信し、受信した微分信号の誤りを訂正する誤り訂正装置としての受信機14を含んで構成される。送信機12及び受信機14としては、以下に説明する機能を有している限りにおいてどのような装置であってもよい。
以下、送信機12について説明する。
符号化部20は、ICや周辺回路などのハードウェアと、当該IC上で動作するソフトウェアなどを含んで構成される。符号化部20は、受信機14に送信するデータ信号(送信信号)を位相符号化して、送信信号に対応するデータ波形を形成する。データ信号は、デジタルデータであり、各ビットが「0」又は「1」で表現されるビット列からなるものである。このように、本実施形態では、「ビット」という用語は、送信信号における1つのビットを意味する。
本実施形態では、符号化部20は、送信信号を差動マンチェスタ符号化するが、符号化部20は、送信信号をマンチェスタ符号化してもよい。つまり、本明細書における「位相符号化」には、マンチェスタ符号化及び差動マンチェスタ符号化が含まれる。図2に、送信信号、当該送信信号をマンチェスタ符号化して得られたマンチェスタ符号、及び、当該送信信号を差動マンチェスタ符号化して得られた差動マンチェスタ符号が示されている。
マンチェスタ符号は、ロー(L)からハイ(H)に立ち上がる波形で送信信号のデータ「0」を表し、HからLに立ち下がる波形で送信信号のデータ「1」を表すものである。差動マンチェスタ符号は、マンチェスタ符号と同様に、送信信号のデータ「0」及び「1」を立ち上がり波形又は立ち下り波形で表すものであるが、送信信号のデータが「0」のときは、1つ前のビットに対応する波形と同じ波形で表し、送信信号のデータが「1」のときは、1つ前のビットに対応する波形と異なる波形で表すものである。
本明細書では、送信信号を位相符号化して得られたデータ波形(マンチェスタ符号あるいは差動マンチェスタ符号含む)を符号化パターンと呼ぶ。また、送信機12から受信機14に送信された符号化パターンを送信パターンと呼ぶ場合もある。
なお、送信信号をマンチェスタ符号化した場合、例えば後述のように、送信パターンのハイ(H)ロー(L)が全て反転してしまった場合、すなわち位相反転が起きた場合に、これを検出することができない。1つ前のビットとの相対位相によって信号が決定される差動マンチェスタ符号であれば、位相反転が起きても、正しいパターンを取得することができる。
図2に示される通り、送信信号の1ビットのデータは、符号化パターンにおいては2個の符号化ビットで表現されるため、符号化パターンは、送信信号のビット数に対して2倍のビット数を有する。本明細書では、送信信号のビットと区別すべく、符号化パターンにおけるビットを「符号化ビット」と記載する。
送信部22は、例えば通信アンテナ結合器などを含んで構成される。送信部22は、符号化部20により位相符号化された符号化パターンを受信機14に送信する。本実施形態では、送信部22は、無線にて符号化パターンを受信機14に送信するが、有線で送信するようにしてもよい。送信部22からの送信方式は、どのような方式であってもよく、例えば、電磁界、電界、磁界、あるいは光を利用した送信方式であってよい。
以下、受信機14について説明する。
受信部24は、例えば通信アンテナ結合器などを含んで構成される。受信部24は、送信機12により送信された送信パターンを微分信号の形で受信する。具体的には、送信部22から受信部24までの信号伝達媒体(例えば空気、誘電体、あるいは磁性体など)は、分布定数回路で表される特性を有しており、矩形波である送信パターンが当該信号伝達媒体を介して伝送されることで、受信部24は微分信号の形で当該送信パターンを受信する。
図2に、送信部22が送信した差動マンチェスタ符号化された送信パターンに対応する、受信部24が受信する微分信号が示されている。微分信号においては、送信パターンの立ち上がりのタイミングで基準電位からプラス側に立ち上がる立ち上がりパルスが現れ、送信パターンの立ち下がりのタイミングで基準電位からマイナス側に立ち下がる立ち下がりパルスが現れる。
送信パターンが送信部22から受信部24に送信される際、あるいは、受信部24が微分信号を受信してから後述のコンパレータ26によって矩形波の受信パターンに変換される前に、微分信号に誤りが生じる場合がある。具体的には、図3(a)に示すように、受信部24で受信した微分信号において、本来有るはずの立ち上がりパルス又は立ち下がりパルス(以下、両パルスを総称して単に「パルス」と記載する)が消失してしまう場合がある。あるいは、パルスが反転してしまう場合もある。さらに、ノイズに起因して本来無いはずのパルス(エラーパルス)が付加されてしまうこともある。なお、送信部22から受信部24への伝送は、高周波の伝送となり、両者のインピーダンスのミスマッチにより信号が反射し、反転パルスが伝送される場合もある。反転パルスが伝送されると、図3(b)に示すように、微分信号におけるパルスは全て反転してしまう。
受信部24で受信された微分信号は、コンパレータ26及びパルスカウンタ28に入力される。なお、以下に説明するコンパレータ26、パルスカウンタ28、誤り訂正部34、及び復号部36は、ICや周辺回路などのハードウェアと、当該IC上で動作するソフトウェアなどを含んで構成される。
コンパレータ26は、ラッチ機能を有しており、微分信号の立ち上がりパルスをトリガとしてハイ(H)を出力しつつ、次に立ち下がりパルスが来るまでHの出力を維持する。また、コンパレータ26は、微分信号の立ち下がりパルスをトリガとしてロー(L)を出力しつつ、次に立ち上がりパルスが来るまでLの出力を維持する。これにより、受信部24が受信した微分信号が矩形波の受信パターンに変換される。
パルスカウンタ28は、微分信号に含まれるパルスを検出する機能を有しており、微分信号に含まれるパルスを検出する度に、出力値をハイ(H)とロー(L)の間で切り替える。具体的には、Lを出力しているときにパルス(立ち上がりパルスか立ち下がりパルスのいずれか)を検出したら出力値をHに切り替え、Hを出力しているときにパルス(立ち上がりパルスか立ち下がりパルスのいずれか)を検出したら出力値をLに切り替える。
記憶部30は、例えばROM、RAM、あるいはハードディスクなどを含んで構成される。記憶部30には、受信機14の各部を動作させる誤り訂正プログラムが記憶される。また、記憶部30には、エラーパターン対応情報32が記憶される。
エラーパターン対応情報32は、送信機12の符号化部20で位相符号化される送信データの連続する3ビット(「000」~「111」までの8パターン)を位相符号化することで得られ得る複数の(8個の)符号化パターンそれぞれに対して、微分信号のうち、当該3ビットのうちの真ん中のビットであり、誤り訂正の対象である誤り訂正対象ビットに対応する部分に誤りが生じた場合に得られる全てのエラーパターンが関連付けられたものである。
なお、本実施形態においては、連続する3ビットのうち、誤り訂正対象ビットのみにおいて誤りが生じる可能性があるものとする。これは、3ビットずつ順次誤り訂正処理を行っていくことから、誤り訂正対象ビットの1つ前のビットの誤りは、1つ前の誤り訂正処理で訂正されるし、誤り訂正対象ビットの1つ後のビットの誤りは、1つ後の誤り訂正処理で訂正されるからである。また、連続したビット誤りが起きる確率は極めて低く、仮に連続したビット誤りが起きるのであれば、そのような環境は、そもそも通信自体が困難な環境であると考えられるためである。
図4及び図5に、エラーパターン対応情報32の内容が示されている。まず、データ信号の連続する3ビットを位相符号化して得られる符号化パターンは、図4又は図5に示される8パターン、すなわち、データ信号「100」を位相符号化した「101010」、データ信号「101」を位相符号化した「101001」、データ信号「010」を位相符号化した「011010」、データ信号「011」を位相符号化した「011001」、データ信号「111」を位相符号化した「100110」、データ信号「110」を位相符号化した「100101」、データ信号「001」を位相符号化した「010110」、及び、データ信号「000」を位相符号化した「010101」である。なお、6個の符号化ビットのうち真ん中の2個の符号化ビットが、データ信号の誤り訂正対象ビットに対応している。
図4には、各符号化パターンに対して、6個の符号化ビットのうち真ん中の2個の符号化ビットが、「00」又は「11」となった場合のエラーパターンが関連付けられている様子が示されている。例えば、符号化パターン「101010」に対しては、エラーパターンとして、「100010」及び「101110」が関連付けられている。その他の符号化パターンにも、図4に示す通り、それぞれ2個のエラーパターンが関連付けられている。
図4に示すエラーパターンは、6個の符号化ビットのうち真ん中の2個の符号化ビットが「00」又は「11」となっており、このようなパターンは、正常な符号化パターンには有り得ないため、図4に示すエラーパターンの中には符号化パターンと一致するパターンは無い。
図4には、各符号化パターンに対応する誤りのない微分信号と、各エラーパターンを生じさせる誤りのある微分信号(の代表的なもの)が示されている。例えば、エラーパターン「100010」は、2個目と3個目の符号化ビットの間に有るべき立ち上がりパルスが消失してしまったために生じたものである。また、エラーパターン「101110」は、3個目と4個目の符号化ビットの間に有るべき立ち下がりパルスが消失してしまったために生じたものである。このように、エラーパターン対応情報32には、各パターンに対して、当該パターンを生じさせる(1又は複数の)微分信号が関連付けられている。
図5には、各符号化パターンに対して、6個の符号化ビットのうち真ん中の2個の符号化ビットが、「01」又は「10」となった場合のエラーパターンが関連付けられている様子が示されている。例えば、符号化パターン「101010」に対しては、エラーパターンとして、「100110」が関連付けられている。その他の符号化パターンにも、図4に示す通り、それぞれ1つずつエラーパターンが関連付けられている。
図5に示すエラーパターンは、6つの符号化ビットのうち真ん中の2個の符号化ビットが「01」又は「10」となっており、このようなパターンは、正常な符号化パターンにおいても有り得る。したがって、図5に示すエラーパターンの中には符号化パターンと一致するパターンが有る。例えば、符号化パターン「101010」のエラーパターン「100110」は、図5において上から5番目の符号化パターン「100110」と一致している。
図5においても、各符号化パターンに対応する誤りのない微分信号と、各エラーパターンを生じさせる誤りのある微分信号(の代表的なもの)が示されている。例えば、エラーパターン「100110」は、2個目と3個目の符号化ビットの間に有るべき立ち上がりパルスが消失し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間に有るべき立ち下がりパルスが反転して立ち上がりパルスになってしまったために生じたものである。
図4及び図5に示す通り、エラーパターン対応情報32において、8個の符号化パターンには、それぞれ、3個ずつのエラーパターンが関連付けられている。
エラーパターン対応情報32に含まれる8個の符号化パターンと、24個のエラーパターンの中には、他のパターンと重複しない唯一無二のパターンが存在する。図4及び図5において、(1)と記載されたパターンが唯一無二のパターンである。例えば、図4の一番上に示された、符号化パターン「101010」のエラーパターン「100010」は、他の符号化パターン及び他のエラーパターンのいずれとも重複しない。同様に、図5の一番上に示された符号化パターン「101010」は、他の符号化パターン及び他のエラーパターンとも重複しない。
一方において、エラーパターン対応情報32に含まれる8個の符号化パターンと、24個のエラーパターンの中には、他のパターンと重複するパターンも存在する。図4及び図5において、(2-英字)と記載されたパターンが他のパターンと重複するパターンである。重複先のパターンには、括弧内において同じ英字が付されている。例えば、図4に示された、符号化パターン「101010」のエラーパターン「101110」(2-A)は、符号化パターン「100110」のエラーパターン「101110」(2-A)と重複する。同様に、図5に示された、符号化パターン「101010」のエラーパターン「100110」(2-E)は、符号化パターンの1つである「100110」(2-E)と重複する。
望ましくは、エラーパターン対応情報32においては、さらに、各符号化パターン及び各エラーパターンに対して、当該パターンに対応する微分信号をパルスカウンタ28に入力したときのパルスカウンタ28の出力波形が関連付けられる。特に、他のパターンと重複する符号化パターン及びエラーパターン、つまり、図4及び5について(2-英字)と記載されたパターンに対して出力波形が関連付けられる。
図6は、図4において(2-A)と記載された各エラーパターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「101010」のエラーパターン「101110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号da1、又は、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号da2に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「101010」とエラーパターン「101110」の組に対して、さらに、微分信号da1~da2をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pa1~pa2が関連付けられる。
また、符号化パターン「100110」のエラーパターン「101110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち上がりパルスが付加された微分信号da3、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち上がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号da4に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「100110」とエラーパターン「101110」の組に対して、さらに、微分信号da3~da4をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pa3~pa4が関連付けられる。
出力波形pa1~pa4を比較して分かる通り、出力波形pa1~pa4は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
なお、上述のように、本実施形態では、データ信号における連続する3ビットのうち、真ん中のビットである誤り訂正対象ビットのみにおいて誤りが生じる可能性があるものとするため、微分信号において誤りが生じ得るのは、2個目と3個目の符号化ビットの間のパルスと、3個目と4個目の符号化ビットの間のパルスのみであるとする。
図7は、図4において(2-B)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「011001」のエラーパターン「010001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち下がりパルスが付加された微分信号db1、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち下がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号db2に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「011001」とエラーパターン「010001」の組に対して、さらに、微分信号db1~db2をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pb1~pb2が関連付けられる。
また、符号化パターン「010101」のエラーパターン「010001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号db3、又は、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号db4に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「010101」とエラーパターン「010001」の組に対して、さらに、微分信号db3~db4をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pb3~pb4が関連付けられる。
出力波形pb1~pb4を比較して分かる通り、出力波形pb1~pb4は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図8は、図4において(2-C)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「101001」のエラーパターン「100001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号dc1、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号dc2、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号dc3、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号dc4に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「101001」とエラーパターン「100001」の組に対して、さらに、微分信号dc1~dc4をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pc1~pc4が関連付けられる。
また、符号化パターン「100101」のエラーパターン「100001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号dc5、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号dc6、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち下がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号dc7、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち下がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号dc8に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「101001」とエラーパターン「100001」の組に対して、さらに、微分信号dc5~dc8をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pc5~pc8が関連付けられる。
出力波形pc1~pa8を比較して分かる通り、出力波形pc1~pc8は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図9は、図4において(2-D)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「011010」のエラーパターン「011110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号dd1、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号dd2、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち上がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号dd3、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち上がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号dd4に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「011010」とエラーパターン「011110」の組に対して、さらに、微分信号dd1~dd4をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pd1~pd4が関連付けられる。
また、符号化パターン「010110」のエラーパターン「011110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失した微分信号dd5、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号dd6、22個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号dd7、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失した微分信号dd8に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「010110」とエラーパターン「011110」の組に対して、さらに、微分信号dd5~dd8をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pd5~pd8が関連付けられる。
出力波形pd1~pd8を比較して分かる通り、出力波形pd1~pd8は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図10は、図5において(2-E)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「100110」は、対応する微分信号de1に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「100110」に対して、さらに、微分信号de1をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pe1が関連付けられる。
また、符号化パターン「101010」のエラーパターン「100110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが消失し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号de2、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号de3に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「101010」とエラーパターン「100110」の組に対して、さらに、微分信号de2~da3をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pe2~pe3が関連付けられる。
出力波形pe1~pe3を比較して分かる通り、出力波形pe1~pe3は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図11は、図5において(2-F)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「101001」は、対応する微分信号df1に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「101001」に対して、さらに、微分信号df1をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pf1が関連付けられる。
また、符号化パターン「100101」のエラーパターン「101001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち上がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号df2に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「100101」とエラーパターン「101001」の組に対して、さらに、微分信号df2をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pf2が関連付けられる。
出力波形pf1~pf2を比較して分かる通り、出力波形pf1~pf2は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図12は、図5において(2-G)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「010110」は、対応する微分信号dg1に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「010110」に対して、さらに、微分信号dg1をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pg1が関連付けられる。
また、符号化パターン「011010」のエラーパターン「010110」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間に立ち下がりパルスが付加され、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転した微分信号dg2に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「011010」とエラーパターン「010110」の組に対して、さらに、微分信号dg2をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形pg2が関連付けられる。
出力波形pg1~pg2を比較して分かる通り、出力波形pg1~pg2は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図13は、図5において(2-H)と記載された各パターンと、パルスカウンタ28の出力波形との関連付けを示す図である。符号化パターン「011001」は、対応する微分信号dh1に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「011001」に対して、さらに、微分信号dh1をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形ph1が関連付けられる。
また、符号化パターン「010101」のエラーパターン「011001」は、元の符号化パターンに対応する微分信号に対して、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが消失し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号dh2、又は、2個目と3個目の符号化ビットの間の立ち下がりパルスが反転し、かつ、3個目と4個目の符号化ビットの間の立ち上がりパルスが反転した微分信号dh3に基づいて得られるものである。したがって、エラーパターン対応情報32においては、符号化パターン「010101」とエラーパターン「011001」の組に対して、さらに、微分信号dh2~dh3をパルスカウンタ28に入力したときの出力波形ph2~ph3が関連付けられる。
出力波形ph1~ph3を比較して分かる通り、出力波形ph1~ph3は互いに異なるパターンとなっており、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しない。
図1に戻り、誤り訂正部34は、コンパレータ26が出力した、訂正対象パターンである受信パターンに誤りがある場合に、エラーパターン対応情報32に基づいて、当該誤りを訂正する。好適には、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32及びパルスカウンタ28の出力波形に基づいて、当該誤りを訂正する。以下、誤り訂正部34の具体的な処理について説明する。
まず、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32を参照し、受信パターンが、エラーパターン対応情報32において1つの符号化パターンに関連付けられたエラーパターンであり、かつ、エラーパターン対応情報32に記憶された8個の符号化パターンのいずれにも一致しないか否かを判定する。換言すれば、受信パターンがエラーパターン対応情報32に記憶された複数のパターン(符号化パターン及びエラーパターン)において唯一無二のパターン(以下、単に「唯一無二のパターン」と記載する)であるか否かを判定する。図4及び図5の記載に従えば、誤り訂正部34は、受信パターンが、図4及び図5において(1)と記載されたパターンであるか否かを判定する。
受信パターンが、エラーパターン対応情報32において1つの符号化パターンに関連付けられたエラーパターンであり、かつ、エラーパターン対応情報32に記憶された8個の符号化パターンのいずれにも一致しない場合、つまり、受信パターンが唯一無二のパターンである場合、誤り訂正部34は、当該エラーパターンに関連付けられた符号化パターンに受信パターンを訂正する。
例えば、受信パターンが「100010」であったとする。パターン「100010」は、図4の一番上のエラーパターンに示されており、当該エラーパターンには(1)と記載されており、つまり、当該エラーパターンは唯一無二のパターンである。したがって、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32においてエラーパターン「100010」に関連付けられた符号化パターン「101010」に受信パターン「100010」を訂正する。
なお、受信パターンが「101010」であった場合、パターン「101010」は、図5の一番上の符号化パターンに示されており、当該符号化パターンには(1)と記載されており、つまり、当該符号化パターンもエラーパターン対応情報32において唯一無二のパターンである。このように、受信パターンがエラーパターン対応情報32において唯一無二の符号化パターンである場合、誤り訂正部34は、受信パターン「101010」には誤りが無いと判定し、当該受信パターンに対しては誤り訂正処理を行わない。
受信パターンが、エラーパターン対応情報32において複数の符号化パターンに関連付けられたエラーパターンである場合、又は、受信パターンがエラーパターン対応情報32において1つの符号化パターンに関連付けられたエラーパターンであるが、エラーパターン対応情報32に記憶された8個の符号化パターンのいずれかに一致する場合、換言すれば、受信パターンが唯一無二のパターンでない場合、すなわち、図4及び図5の記載に従えば、受信パターンが図4及び図5において(2-英字)と記載されたパターンである場合、誤り訂正部34は、受信パターンに対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形と、エラーパターン対応情報32に記憶された出力波形とに基づいて、当該エラーパターンに関連付けられた符号化パターンに受信パターンを訂正する。
具体的には、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、受信パターンと一致するパターンに関連付けられた複数の出力波形の中から、受信パターンに対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形と同じ出力波形を特定する。そして、エラーパターン対応情報32において、特定した出力波形に関連付けられた符号化パターンを選択し、受信パターンを選択した符号化パターンに訂正する。
上述のように、エラーパターン対応情報32においては、同パターンに関連付けられた複数の出力波形の中には重複するパターンは存在しないから、受信パターンに対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形に基づけば、受信パターンがエラーパターン対応情報32において複数の符号化パターンに関連付けられたエラーパターンであっても、当該複数の符号化パターンの中から、正しい(真の)符号化パターンを特定することができる。
例えば、受信パターンが「101110」であったとする。パターン「101110」は、図4の上から2番目のエラーパターンに示されており、当該エラーパターンには(2-A)と記載されており、つまり、当該エラーパターンは唯一無二のパターンではない。この場合、誤りが起きる前のパターンとして、エラーパターン「101110」に関連付けられた2つの符号化パターン「101010」及び「100110」があり得る。
この場合、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32においてパターン「101110」に関連付けられた4つの出力波形pa1~pa4(図6参照)の中から、受信パターン「101110」に対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形と同じものを特定する。そして、出力波形pa1又はpa2が特定された場合には、誤り訂正部34は、出力波形pa1又はpa2に関連付けられた符号化パターン「101010」を選択し、受信パターン「101110」を符号化パターン「101010」に訂正する。出力波形pa3又はpa4が特定された場合には、誤り訂正部34は、出力波形pa3又はpa4に関連付けられた符号化パターン「100110」を選択し、受信パターン「101110」を符号化パターン「100110」に訂正する。
受信パターンが「100110」であった場合、パターン「100110」は、図5の一番上のエラーパターンに示されており、当該エラーパターンには(2-E)と記載されており、当該エラーパターンも唯一無二のパターンではない。この場合も同様に、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32においてパターン「100110」に関連付けられた3つの出力波形pe1~pe3(図10参照)の中から、受信パターン「100110」に対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形と同じものを特定する。ここで、出力波形pe1が特定された場合、特定された出力波形に関連付けられた符号化パターンと受信パターンが一致する。この場合は、誤り訂正部34は、受信パターン「100110」には誤りが無いと判定し、当該受信パターンに対しては誤り訂正処理を行わない。出力波形pe2又はpe3が特定された場合には、誤り訂正部34は、出力波形pe2又はpe3に関連付けられた符号化パターン「101010」を選択し、受信パターン「100110」を符号化パターン「101010」に訂正する。
受信パターンが唯一無二のパターンでない場合、誤り訂正部34は、受信パターンに対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形に拠らずに、エラーパターン対応情報32に記憶された、受信パターンと一致するパターンに対応する微分信号における、当該パターンに関連付けられた符号化パターンに対応する微分信号に対する誤りの数、誤りの種別、及び、誤りが生じた位置の少なくとも1つに基づいて、エラーパターン対応情報32に記憶された複数の符号化パターンの中から、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンを選択し、受信パターンを選択した符号化パターンに訂正するようにしてもよい。なお、この場合、受信機14にはパルスカウンタ28が設けられていなくてもよく、また、エラーパターン対応情報32において、各符号化パターン及び各エラーパターンに対して、当該パターンに対応する微分信号をパルスカウンタ28に入力したときのパルスカウンタ28の出力波形が関連付けられていなくてもよい。
誤りの数については、一般的に、誤りの数が少ない方がより発生しやすいと言える。
誤りの種別とは、例えば、パルスの消失、パルスの反転、及び、パルスの付加を含む概念である。一般的に、パルスの消失はパルスの反転よりも発生しやすく、パルスの反転はパルスの付加よりも発生しやすい。パルスの消失は、何らかの不具合でパルスがコンパレータ26のトリガ閾値未満となってしまう場合に生じ得る一方、パルスの付加は、特定のタイミングで、コンパレータ26のトリガ閾値以上の振幅を有するパルスが付加される必要があるからである。パルスの反転は両者の中間程度の発生しやすさと言える。
誤りの位置としては、例えば、伝送経路の特性などにより、3個目と4個目の符号化ビットの間よりも2個目と3個目の符号化ビットの間の方が誤りが発生しやすい、あるいは、2個目と3個目の符号化ビットの間よりも3個目と4個目の符号化ビットの間の方が誤りが発生しやすいと言える場合には、誤りの位置に応じて、誤りの発生しやすさを判定することができる。
したがって、エラーパターン対応情報32において、受信パターンに一致するパターンに関連付けられた複数の符号化パターンのうち、符号化パターンに対応する微分信号と、受信パターンに一致するパターンに対応する微分信号との比較において、より誤りの数が少ない符号化パターン、誤りの種別がより発生しやすい符号化パターン、あるいは、誤りが発生しやすい位置に誤りがある符号化パターンが、受信パターンが発生しやすい符号化パターンとなる。
なお、誤りの数、誤りの種別、及び誤りの位置の各条件に優先順位を付してもよい。例えば、まず、誤りの数を比較して差があれば、誤りの数が少ない方を受信パターンが発生しやすい符号化パターンを特定するようにしてもよい。誤りの数が同じである場合に、誤りの種別を判定し、誤りの種別に差が有れば、より生じやすい誤りの種別を有する方を受信パターンが発生しやすい符号化パターンを特定し、誤りの種別も同じである場合に、誤りを位置に基づいて受信パターンが発生しやすい符号化パターンを特定するようにしてもよい。
例えば、受信パターンが唯一無二のパターンでない「100110」(図5において(2-E))であったとする。この場合、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、パターン「100110」に関連付けられた2つの符号化パターン「101010」及び「100110」を特定し、各符号化パターンに対応する微分信号に対する、パターン「100110」に対応する微分信号の誤りの数、種別、及び位置を特定する。図10を参照して、パターン「100110」に対応する微分信号de1は符号化パターン「100110」の微分信号と一致するから、パターン「100110」に対応する微分信号の誤りの数は0である。一方、エラーパターン「100110」に対応する微分信号de2及びde3の誤りの数は2である。したがって、この場合、誤り訂正部34は、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンとして、誤りの数が一番少ない符号化パターン「100110」を選択する。この場合、選択された符号化パターンと受信パターンが一致するから、誤り訂正部34は、受信パターン「100110」には誤りが無いと判定し、当該受信パターンに対しては誤り訂正処理を行わない。
次に、受信パターンが唯一無二のパターンでない「101110」(図4において(2-A))であったとする。この場合、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、エラーパターン「101110」に関連付けられた2つの符号化パターン「101010」及び「100110」を特定し、各符号化パターンに対応する微分信号に対する、エラーパターン「100110」に対応する微分信号の誤りの数、種別、及び位置を特定する。図6を参照して、微分信号da1~da3の誤りの数は1であり、微分信号da4の誤りの数は2であるから、まず、微分信号da4は候補から除外する。次に、微分信号da1の誤りの種別はパルス消失であり、微分信号da2の誤りの種別はパルス反転であり、微分信号da3の誤りの種別はパルス付加である。したがって、誤り訂正部34は、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンとして、誤りの種別がパルス消失である微分信号da1に対応するエラーパターン「101110」に関連付けられた符号化パターン「101010」を選択する。そして、誤り訂正部34は、受信パターン「101110」を符号化パターン「101010」に訂正する。
さらに、受信パターンが唯一無二のパターンでない「100001」(図4において(2-C))であったとする。この場合、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、エラーパターン「100001」に関連付けられた2つの符号化パターン「101001」及び「100101」を特定し、各符号化パターンに対応する微分信号に対する、エラーパターン「100001」に対応する微分信号の誤りの数、種別、及び位置を特定する。図8を参照して、微分信号dc1、dc2、dc5、及びdc6の誤りの数は1であり、微分信号dc3~dc4及びdc7~dc8の誤りの数は2であるから、まず、微分信号dc3~dc4及びdc7~dc8は候補から除外する。次に、微分信号dc1及びdc5の誤りの種別はパルス消失であり、微分信号dc2及びdc6の誤りの種別はパルス反転であるから、微分信号dc2及びdc6は候補から除外する。
この場合、3個目と4個目の符号化ビットの間よりも2個目と3個目の符号化ビットの間の方が誤りが発生しやすいことが分かっている場合は、誤り訂正部34は、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンとして、誤りが2個目と3個目の符号化ビットの間にある微分信号dc1に対応するエラーパターン「100001」に関連付けられた符号化パターン「101001」を選択する。そして、誤り訂正部34は、受信パターン「100001」を符号化パターン「101001」に訂正する。
一方、2個目と3個目の符号化ビットの間よりも3個目と4個目の符号化ビットの間の方が誤りが発生しやすいことが分かっている場合は、誤り訂正部34は、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンとして、誤りが3個目と4個目の符号化ビットの間にある微分信号dc5に対応するエラーパターン「100001」に関連付けられた符号化パターン「100101」を選択する。そして、誤り訂正部34は、受信パターン「100001」を符号化パターン「100101」に訂正する。
誤り訂正部34が、エラーパターン対応情報32に記憶された複数の符号化パターンの中から、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンを選択できない場合が考えられる。例えば、誤りの位置によって誤りの発生しやすさに差がない場合であって受信パターンが「100001」である場合(上述の図8の例)である。この場合、符号化パターン「101010」からのエラーパターン「100001」(微分信号de1)の発生しやすさと、符号化パターン「100101」からのエラーパターン「100001」(微分信号de5)の発生しやすさとに差がなくなる。
このような場合は、伝送システム10として、符号化パターン「101010」及び符号化パターン「100101」のいずれかを使用しないように予め定めておくことができる。このようにすれば、例えば、符号化パターン「100101」を使用しない場合には、誤り訂正部34は、受信パターンが「100001」を符号化パターン「101010」に訂正することができるし、符号化パターン「101010」を使用しない場合には、誤り訂正部34は、受信パターンが「100001」を符号化パターン「100101」に訂正することができる。
図1に戻り、復号部36は、誤り訂正部34が誤りを訂正した受信パターンを復号して、データ信号を取得する。
本実施形態に係る伝送システム10の構成は以上の通りである。本実施形態によれば、誤り訂正部34がエラーパターン対応情報32に基づいて受信パターンを訂正するから、誤り訂正用の符号を送信パターンに付加することなく、受信パターンの誤りを訂正することができる。
上記実施形態では、送信機12の符号化部20がデータ信号を差動マンチェスタ符号化し、差動マンチェスタ符号化された符号化パターンが受信機14に送信されていた。差動マンチェスタ符号化は、上述のように、1つ前のビットとの相対位相によって信号が決定されるため、誤りが発生したビットの次のビットも誤ってしまう場合がある。例えば、図4に示された符号化パターン「101001」に対するエラーパターン「101111」などである。一方、マンチェスタ符号化された符号化パターンであれば、誤りが発生したビットの次のビットも誤ってしまうことはないが、マンチェスタ符号は、上述のように、位相反転を検出することができない。
そこで、符号化部20は、送信信号を一度マンチェスタ符号化し、マンチェスタ符号化されたパターンをさらに差動マンチェスタ符号化したものを符号化パターンとしてもよい。が、符号化部20は、送信信号をマンチェスタ符号化してもよい。図14に、送信信号、当該送信信号をマンチェスタ符号化したマンチェスタ符号、及び、マンチェスタ符号をさらに差動マンチェスタ符号化した符号化パターンが示されている。
これにより、位相反転を検出可能としつつ、誤りが発生したビットの次のビットも誤ってしまうことが防止される。
以下、図15に示されたフローチャートに従って、誤り訂正部34による誤り訂正処理の流れについて説明する。
ステップS10において、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32を参照し、受信パターンが唯一無二のパターンであるか否かを判定する。唯一無二のパターンである場合はステップS12に進む。この場合、ステップS12において、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、当該唯一無二のパターンに関連付けられた符号化パターンに受信パターンを訂正する。受信パターンが唯一無二のパターンでない場合はステップS14に進む。
ステップS14において、誤り訂正部34は、受信機14にパルスカウンタ28が設けられているか否かを判定する。パルスカウンタ28が設けられていない場合は、ステップS12に進む。この場合、ステップS12において、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32に記憶された複数の符号化パターンの中から、最も受信パターンが発生しやすいと類推される符号化パターンを選択し、受信パターンを選択した符号化パターンに訂正する。パルスカウンタ28が設けられている場合はステップS16に進む。
ステップS16において、誤り訂正部34は、エラーパターン対応情報32において、受信パターンと一致するパターンに関連付けられた複数の出力波形の中から、受信パターンに対応する微分信号が入力されたときのパルスカウンタ28の出力波形と同じ出力波形を特定する。そして、エラーパターン対応情報32において、特定した出力波形に関連付けられた符号化パターンを選択し、受信パターンを選択した符号化パターンに訂正する。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。