JP7278748B2 - エアゾール型の油中水型デオドラントスプレー - Google Patents
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Description
処方中のほとんどは噴射剤と粉体であるパウダースプレーでは、噴射剤に溶解性を持たないシクロデキストリン類を配合しても、単に分散状態になるだけであり、十分な消臭効果が発揮されない。しかも夏場では多量の発汗によって溶解され、そのまま流されてしまう。そのため、デオドラント効果を目的としたパウダースプレーで、充分に消臭効果を得られるまでシクロデキストリン類を配合するという試みは知られていない。加えて、油中水型組成物にシクロデキストリン類を配合して消臭効果を求めたものも知られていない。
このようなエアゾール型製品の不都合を解消し、デオドラント効果の持続性を高めるために様々な試みが行われている。
しかしこの場合のデオドラント効果は、汗を原因として発生するであろう臭いを対象とする防臭用の組成物であり、既に悪臭物質が生産されていた場合にはほとんど効果が無い。あくまでも臭いがない状態での使用に限られ、日常的に遭遇するデオドラント剤で必要される、既にできてしまった悪臭成分を消臭する製品ではないので、望まれているデオドラント製品とは言いがたい。
シリコーン皮膜形成剤を配合することだけで、塗布膜の強度が向上しデオドラント効果の持続性が向上する旨が開示されている。
しかしながら、水-アルコール系で処方化した場合には、油性成分が分離して耐水性シリコーン系皮膜形成剤が乾燥時に不均一化しやすく、多量のシリコーン系皮膜形成剤を配合しても非水系の処方に比べて持続性が劣っている(表2実施例8 防臭効果の持続性)。
また、特許文献2には、界面活性剤を任意に配合可能な成分としているものの、「界面活性剤の配合は、塗布後に汗により再乳化が起こり、耐汗性が低下し、本発明の効果を奏しないことがある。特にシリコーン界面活性剤を含む場合、(A)成分との親和性に優れ、再乳化が生じることで耐汗制が低下し易いため配合しないことが、望ましい」と述べられており、界面活性剤との併用、特にシリコーン界面活性剤との併用が適さない旨が開示されている。
しかしながら特許文献3の組成物をエアゾールタイプのスプレーの原液に用いた場合、多量の噴射剤で希釈された低粘度の状態になるため充分な分離安定性が確保できない。また、表面張力を低下させる効果が高いシリコーン系界面活性剤を配合していないため、内水相は充分に微粒子化されることはなく、不均一な噴射状態になってしまうなどの再分散性の問題は残る。
以上の試みでもわかるように現在市販されているデオドラント製品は、あらかじめ塗布することで、制汗、抗菌効果により時間がたっても臭いが気にならないという防臭効果が目的であり、臭いの無い状態で使用することが前提である。実際の使用シーンでは、既に臭いが気になることはよくあることであり、この状態で単に香料などでマスキングしても充分な効果を持つデオドラント製品とはならない。
防臭効果に加えて、気になる臭いを消臭することで、更に市場にマッチした製品になると考える。
(A):制汗成分及び/または抗菌成分から選択される1種以上
(B):シリコーン系界面活性剤
(C):シクロデキストリン及び/またはその誘導体から選択される1種以上
(D):油剤
(E):水
〔2〕第2発明としては、前記成分(B)が、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンの中から選択される1種以上を含有する第1発明に記載のデオドラントスプレー
〔3〕第3発明としては、前記成分(C)が、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β―シクロデキストリンの中から選択される1種以上を含有する第1発明又は第2発明に記載のデオドラントスプレー
〔4〕第4発明としては、前記原液がさらに成分(G)油系ゲル化剤として、部分架橋型メチルポリシロキサン、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、有機変性粘土鉱物、デキストリン脂肪酸エステル、煙霧状シリカ、多孔質シリル化シリカの中から選択される1種以上を含有する第1発明乃至第3発明いずれかに記載のデオドラントスプレー
〔5〕第5発明としては、前記原液がさらに成分(H)として、無機紛体及び/又は有粉体の1種以上を含有する第1発明乃至第4発明いずれかに記載のデオドラントスプレー
〔6〕第6発明としては、前5記成分(E)水の量が、前記成分(A)および(C)に該当する成分中、配合量が最大量である成分の質量比3~50倍であり、かつ、原液中の10~50質量%である第1発明乃至第5発明いずれかに記載のデオドラントスプレー。
本発明で言う防臭効果は、原液に含まれる制汗剤と抗菌剤によって、汗や皮脂が菌の繁殖で悪臭化するのを防ぐ働きを指す。
本発明に用いられる成分(A)制汗成分、抗菌成分は特に限定されない。各種の制汗成分、抗菌成分が使用できる。単独で配合しても良いし、複数の成分を併用しても良い。
制汗成分は、目的に応じて公知の制汗成分から選択することができる。例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、β-ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウムアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、ミョウバン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウムなどが挙げられる。
これらの中でもクロルヒドロキシアルミニウム、ミョウバン、フェノールスルホン酸亜鉛が好適に使用可能である。制汗剤は、市販品を用いてもよい。本発明においては、他の成分との混合原料の形態の市販品を用いてもよい。
前記制汗成分は、水またはエタノールに溶解されており油中水型の原液において内相中に含まれることが好ましい。
抗菌成分も、水または、エタノールに溶解されて、油中水型の原液において内相中に含まれることが好ましい。
この範囲であれば、塗布時に充分な制汗効果が得られる。さらに肌に対する刺激がなく、使用時のベタツキが感じられない。また、配合された水に対する溶解性が確保されるため、制汗成分がゲル化や結晶化をおこさずスプレー時のツマリが発生しない。
さらにシリコーン系界面活性剤の中でも低HLBのものが好ましい。好適なHLBとしては、8以下、さらに好適には7以下のものが選択される。
なお、本明細書中のHLB(親水性―親油性のバランス<Hydrophilic-Lypophilic Balance>)の記載に関しては、該当成分の原料カタログに記載された数値を採用している。カタログに記載がない場合は川上法(数1)によりHLBを算出する。
また、直鎖型のポリオキシアルキレン変性シリコーンも好適な例として挙げられる。例えばポリオキシアルキレン鎖と、オルガノポリシロキサン鎖が両末端で交互に結合した直鎖状のブロック共重合体(ABnタイプ)が挙げられる。
また、上記ポリオキシアルキレン・アルキル変性シリコーンにおいて、オルガノポリシロキサン主骨格は、別のオルガノポリシロキサン鎖を側鎖に有していてもよい。
本発明で言う消臭効果とは、発生してしまった悪臭を物理的又は化学的な方法で無臭、低臭化する働きを言う。
具体的には、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β―シクロデキストリン等から選択される1種以上を用いることができる。
中でも、水への溶解性が比較的良好なものが、スプレーの噴射パターンの不均一化やノズルのツマリが起りにくく好適である。例えば水への溶解度が10g/100ml以上のα-シクロデキストリンが好適である。誘導体としては、β-シクロデキストリンにプロピレンオキサイドを反応させヒドロキシプロピル化することで、さらに水への溶解度が向上して100g/100ml以上となったヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは安定性上で特に好適である。
溶解性に問題がない配合量であれば、2g/100ml程度と比較的溶解度の低いβ-シクロデキストリンを併用することもできる。併用することで、さらに多種の悪臭成分に対応することが可能になる。
なお、水への溶解度に関しては、25℃の水100mlに対する最大溶解量で示している。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、イソパラフィン、イソドデカン、パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、ワセリン等が挙げられる。
エステル油としては、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12―ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、(2-ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、ラウリン酸エチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、トリイソパルミチン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クエン酸トリエチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、デカメチルテトラシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリアルキルシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン等が挙げられる。
動植物油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、アルガン油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、グレープシード油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、月見草油、カカオ脂、ヤシ油、モクロウ核油、牛脚脂、硬化ヤシ油、硬化パーム油、硬化ヒマシ油、ミツロウ綿ロウ、ベイベリーロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、セラックロウ等が挙げられる。
さらに原液は油中水型であり、エアゾールスプレーのように大量の噴射剤を配合しても内水相の粒子状態を安定に維持できる配合量であることが好ましい。もっとも、噴射剤が配合された状態では、均一な乳化状態である必要は無く、多量の噴射剤に希釈された油相中で、内水相が分散相となり、乳化粒子が底部に沈降しているような状態でもよい。軽く振とうする程度で、均一に分散する状態が望ましい。
さらに、エアゾール缶に充填する前の原液の保管安定性のためにも油性ゲル化剤は有用である。具体的には、原液の作成後、原液の品質を管理する、充填場所が異なるため輸送するなどの理由で一週間から1ヵ月程度、原液状態で保管されることがある。その間の分離安定性を強くしておくと、簡単な設備で混合するだけで充填できるため充填工程が簡略化できる。噴射剤を混合する時も安定な油中水型のほうが、混合性が良い。
(G)油系ゲル化剤は、必要に応じてその1種以上を用いることができる。
これらの中でも(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/PEG-10/15)クロスポリマー、デキストリン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物、煙霧状シリカが好適に使用可能である。
無機粉体としては、タルク、マイカ、セリサイト、窒化ホウ素などの板状粉体、球状シリカ、球状多孔質シリカや、それらの表面を疎水化処理したものなどが挙げられる。有機粉体としては、PTFEなどの不定形粒子粉体、ラウロイルリジンなどの板状粉体、ポリアクリル酸エステルやその共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、シリコーンパウダーなどの球状粉体、さらにこれらの球状粉体を多孔質になるように製造したものが挙げられる。これらの中でもPMMA,ナイロン、シリカ、シリコーンパウダーの球状粉体は、特になめらかでべたつき感が低減されサラサラとした感触が得られる。さらに球状多孔質のPMMA粉体やシリカを配合した場合は、サラサラ感が持続する良好な使用感であり好適に使用できる。
比重の低い有機粉体を選択すると再分散性が向上する。
表1に示す配合にて、(I)油相,(II)水相,(III)エタノール相をグループごとにそれぞれを均一に混合しておく。
(I)を攪拌しながら(II)、(III)を順次加える。
ディスパーミキサーで2000rpmにて1分間処理し原液とする。
エアゾール試験瓶100mlに、原液を量り取り、密栓した後、(IV)噴射剤(LPG 0.15MPa)を充填して、エアゾール組成物のサンプルとした。(原液と噴射剤の合計が40gになるように、それぞれを充填した)
各サンプルをパネラー20名で評価をおこなった。一人のパネラーに対し、一方の足を「防臭効果」確認に、他方の足を「消臭効果」確認に用いた。
「防臭効果」
朝、外出前に片足裏に適量噴霧して、靴を履いたままの状態で過ごし、噴霧約12時間後、夜の入浴前に足の臭いに関して評価をおこなった。
「消臭効果」
朝、外出前に片足にデオドラント剤を使用せずに、靴を履いたままの状態で過ごし、約12時間後、夜の入浴前に片足裏に、デオドラント剤を適量噴霧し、5分後の臭いに対して評価をおこなった。
「使用中の官能評価」
「足のムレ」「サラサラ感の持続」を評価した。
なお、各項目の評価基準を以下に示す。
「防臭効果」
◎:15名以上が、足の臭いが気にならない。と回答した。
○:8~14名が、足の臭いが気にならない。と回答した。
△:4~7名が、足の臭いが気にならない。と回答した。
×:3名以下が、足の臭いが気にならない。と回答した。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
「消臭効果」
◎:15名以上が、足の臭いが気にならない。と回答した。
○:8~14名が、足の臭いが気にならない。と回答した。
△:4~7名が、足の臭いが気にならない。と回答した。
×:3名以下が、足の臭いが気にならない。と回答した。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
「足のムレ」
◎:15名以上が、使用中に足のムレを感じないと回答した。
○:8~14名が、使用中に足のムレを感じないと回答した。
△:4~7名が、使用中に足のムレを感じないと回答した。
×:3名以下が、使用中に足のムレを感じないと回答した。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
「サラサラ感の持続」
◎:15名以上が、サラサラ感が持続すると回答した。
○:8~14名が、サラサラ感が持続すると回答した。
△:4~7名が、サラサラ感が持続すると回答した。
×:3名以下が、サラサラ感が持続すると回答した。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
「原液の状態」
原液を作成後、室温で24時間静置した後の状態を評価した。
◎:良好な乳化状態が維持されていた。
○:上部にわずかに透明の分離が見られるが、軽く攪拌することで均一な乳化状態になった。
△:上部にはっきりと透明の分離がみられる。攪拌してもなかなか均一な乳化状態にならない。
-:完全に分離し、攪拌しても均一な乳化状態にはならない。
「1ヶ月後の再分散性」
エアゾール試験瓶(透明ガラス製)に原液と噴射剤を充填したサンプルを各3本ずつ作成し均一になるまで振り混ぜた後、40℃、フリーザー、0℃/40℃サイクル試験の3条件で1ヵ月静置保管する。上下逆さまにひっくり返して再分散性を評価する。
(分散状態確認)
◎:下層が凝集やゲル化がない状態で3、4回ひっくり返すと均一な分散状態になる。
○:下層でわずかに凝集や不均一なゲル化が見られるが、10回ひっくり返した後は、均一な分散状態になる。
△:下層で凝集や不均一なゲル化がある。10回ひっくり返しても凝集、ゲル化がなくならない。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
(噴射状態確認)
その後、黒い画用紙に20cmの距離から噴射して、噴射パターンに問題がないか確認した。
◎:均一に広がった、細かい粒子の噴射パターンである
○:噴射パターンの所々にやや大きな粒子が見られる
△:噴射状態が悪くなり、噴射パターンのムラが激しく均一に塗布できない
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
「1ヵ月後の低温噴射試験」
40℃、フリーザー、0℃/40℃サイクル試験の3条件で1ヵ月静置保管した後、5℃のインキュベーターに6時間以上保管し、よく振り混ぜた後、噴射する。
◎:均一に広がった、細かい粒子の噴射パターンである
○:噴射パターンの所々にやや大きな粒子が見られる
△:噴射状態が悪くなり噴射パターンのムラが激しく均一に塗布できない
×:使用性に問題あり。噴射量が少なく弱くなり、目的の場所にわずかしか届かなくなる。
-:原液、噴射剤を充填直後、振り混ぜても均一な分散状態にならず評価できない
結果を表1(実施例1、2比較例1,2)に示す。
実施例1、実施例2では、シクロデキストリンおよびその誘導体を配合することで高い防臭効果を夕方まで実感することができた。加えて一日デオドラント剤を使用しなかった足に噴霧した場合にも、多くの人で消臭効果があるという評価だった。
比較例1に関しては、ほとんど防臭、消臭効果を感じることはできなかった。
さらに、一般的に高い消臭効果を持つことが知られ、さらに各種有効性が確認されている茶乾留液と柿タンニン水溶液を配合した比較例2でも、夕方になると臭いが気になり大多数の人で防臭効果が実感できていない結果だった。デオドラント剤を使用しなかった足に対して若干の消臭効果が見られたが、有効であると言う評価は少なかった。
本組成物おいては、消臭成分の中でも特にシクロデキストリンおよびその誘導体を配合することが防臭効果にも、消臭効果にも有効であることが示されている。
実施例1、2及び比較例1、2について、原液の状態では良好な乳化状態であった。
ただしエアゾール試験瓶に噴射剤と一緒に充填後、1ヵ月たつと乳化物が下部に沈みわずかに乳化粒子の凝集が見られたが、10回ひっくり返した後は、キレイな分散状態になる。さらに噴射状態は良好であった。
油性ゲル化剤として(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを配合した実施例3は、1ヵ月後の再分散性(分散状態)で、粒子径の細かい乳化物が沈んだ状態であった。そのため油性ゲル化剤を配合していないもの半分以下の回数である3、4回ひっくり返した程度で均一に分散される、特に使用性の簡便なものであった。
実施例4は、シリコーンパウダーの球状粉体であるポリメチルシルセスキオキサンパウダー(平均粒子径6μm)を配合することでサラサラ感が向上し、さらに足のムレも少なく感じられるようになった。再分散性は良好だった。
比較例3は、ポリエーテル変性シリコーンの代わりに代表的な親油性乳化剤であるセスキオレイン酸ソルビタンを用いている。作成直後の原液の乳化は均一だったが、乳化粒子が多きため白さの少ない外観だった。エアゾール組成物にして噴霧すると、すぐにベタツキが感じられたためサラサラ感の持続の評価が低かった。1ヵ月後の再分散性については、分散状態が悪く凝集や不均一なゲル化物が混ざって沈降していた。噴射状態は、噴射パターンの所々にやや大きな粒子が見られるが、とりあえず使用可能なレベルだった。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いた比較例4、乳化剤を配合しない比較例5では、原液が乳化できなかった。さらにエアゾール試験瓶中でも噴射剤と均一に混合されずに不均一な状態だったため評価ができなかった。
実施例5、実施例6、実施例7は、粉体が配合されているのでサラサラとして油膜感が少ない良好な使用感だった。また油性ゲル化剤が配合されているので、1ヵ月後の3条件とも軽く振り混ぜただけで均一に分散する使用性の良い組成物だった。加えて原液状態で1ヵ月後も分離せず、エアゾール試験瓶へ充填する時は、攪拌による均一化の必要がなかった。
制汗剤や抗菌剤、消臭剤は、同じ有効性を確保するためには、エアゾール組成物全体に対する配合量を変えない。そのため比較例6では、噴射剤を多くしすぎて原液量が少なくなっているので、有効成分(α―シクロデキストリン、フェノールスルホン酸亜鉛などは一定量のため)を充分安定に溶解できる溶媒量が確保できない。そのため1ヵ月保管で、3条件ともエアゾール試験瓶の下部に凝集、ゲル化がみられ、10回ひっくり返してもキレイな分散にはならなかった。低温噴射試験では噴射パターンが悪化し、噴射ムラが大きく均一に塗布するのが難しかった。
また、噴射剤が少ない比較例7では、室温で噴射しても明らかに噴射力が弱い。さらに低温噴射試験では、噴射圧力が著しく下がり、弱々しくしか噴射されない。噴射量が少なく、塗布したい場所に届かないなど使用性が悪い。
比較例8は、作成直後に原液が分離してしまい油中水型の組成物にならなった。そのためエアゾール試験瓶中で噴射剤と混合した時に不均一な状態になってしまい評価できなかった。
腋臭防止用スプレー
成分名
1:パルミチン酸デキストリン 0.5質量%
2:ジステアルジモニウムヘクトライト 0.5質量%
3:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン 0.5質量%
4:(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー(40%)/メチルトリメチコン(60%)溶解物 2.0質量%
5:デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0質量%
6:エチルヘキサノイン 2.0質量%
7:多孔質球状シリカ(平均粒子径 3μm) 1.0質量%
8:精製水 12.379質量%
9:クエン酸 0.01質量%
10:EDTA-2Na 0.001質量%
11:グリチルリチン酸2K 0.05質量%
12:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン 1.0質量%
13:ブチレングリコール 1.5質量%
14:ヒアルロン酸Na 0.01質量%
15:茶乾留液エタノール溶液(チャ乾留液含有量4%) 1.0質量%
16:柿タンニン水溶液(カキタンニン含有量2.2%) 1.0質量%
17:クロルヒドロキシアルミニウム 3.0質量%
18:フェノキシエタノール 0.5質量%
19:香料 0.05質量%
20:LPG(0.15MPa) 70.0質量%
製造方法:LPG以外の成分をあらかじめ常法で製造し、アルミ製エアゾール容器に充填した後、LPGを充填し振り混ぜて腋臭防止用スプレーのサンプルを作成した。
脇にスプレーすることで長時間防臭効果と制汗効果が感じられた。
さらに臭いが気になった時にスプレーすることで消臭効果が実感された。
保管安定性も良好であった。
実施例9
成分名
1:煙霧状シリカ(ジメチルシリル化シリカ) 0.3質量%
2:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン 0.3質量%
3:モノイソステアリン酸ジグリセリル 0.2質量%
4:イソドデカン 4.8質量%
5:多孔質球状PMMA(平均粒子径 8μm) 0.1質量%
6:精製水 2.749質量%
7:EDTA-2Na 0.001質量%
8:グリチルリチン酸2K 0.05質量%
9:α-シクロデキストリン 0.2質量%
10:ジプロピレングリコール 1.0質量%
11:ココイルアルギニンエチルPCA 0.05質量%
12:ミョウバン 0.2質量%
13:香料 0.05質量%
14:LPG(0.15MPa) 90.0質量%
製造方法:LPG以外の成分をあらかじめ常法で製造し、50mlアルミ製エアゾール容器に充填した後、LPGを充填し振り混ぜて携帯用防臭、消臭剤サンプルを作成した。
朝から靴を履いて外出して夕刻臭いが気になるときに、外出先で足にスプレーした。すぐに臭いが気にならなくなり、帰るまで防臭効果が続く組成物だった。
長期保管しても軽く振り混ぜるだけで細かい霧でスプレーすることができる保管安定性が良好なサンプルであった。
実施例10
成分名
1:(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー(24.168%ジメチコン分散物) 3.0質量%
2:PEG-10ジメチコン 2.0質量%
3:ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.0質量%
4:トリメチルシロキシケイ酸(50%)/デカメチルシクロペンタシロキサン(50%)溶解液 1.0質量%
5:デカメチルシクロペンタシロキサン 4.0質量%
6:メチコン処理タルク(平均粒子径 7μm) 6.0質量%
7:精製水 15.39質量%
8:クエン酸 0.05質量%
9:EDTA-2Na 0.01質量%
10:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン 3.0質量%
11:フェノキシエタノール 0.5質量%
12:エタノール 4.0質量%
13:香料 0.05質量%
14:DME 60.0質量%
製造方法:メチコン処理タルクとDME以外で、あらかじめ常法により原液を製造し、アルミ製エアゾール容器に充填した後、メチコン処理タルクおよび噴射剤であるDMEを充填し振り混ぜてサンプルを作成した。
靴にスプレーした直後でも白さが目立たない。あらかじめ靴にスプレーしておくことで、靴を使用したときに充分な防臭効果を持つ組成物であった。さらに夕方まで使用した靴にスプレーしてもすぐに消臭効果が感じられた。長期間保管後も数回間を上下に振ることで良好なスプレー状態だった。
Claims (3)
- 以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含有する油中水型の原液と、(F)噴射剤を全組成物の60~90質量%含むエアゾール型デオドラントスプレー。
(A):水又はエタノールに溶解する、制汗成分及び/または抗菌成分から選択される1種以上
(B):ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンの中から選択される1種以上
(C):α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの中から選択される1種以上
(D):油剤
(E):水 - 前記原液が、さらに成分(G)油系ゲル化剤として、部分架橋型メチルポリシロキサン、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、有機変性粘土鉱物、デキストリン脂肪酸エステル、煙霧状シリカ、多孔質シリル化シリカの中から選択される1種以上を含有する請求項1に記載のデオドラントスプレー。
- 前記原液が、さらに成分(H)として、前記成分(A)を除く無機紛体及び/又は有機粉体の1種以上を含有する請求項1または請求項2に記載のデオドラントスプレー。
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