JP7278545B2 - 地中熱利用システム、制御装置、制御方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
このため、地中熱利用システムは、クッションタンクで負荷流量の変動を吸収できることに加え、クッションタンク内の水位変動を抑制できる。
したがって、地中熱利用システムは、熱交換器へ供給される水の流量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、クッションタンク内の温水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、複数の温水井戸のうちいずれかの温水井戸からの温水の供給量に変動や制限があっても、クッションタンクから流出する温水を他の温水井戸で補償できる。
したがって、地中熱利用システムは、クッションタンク内の温水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、クッションタンク内の冷水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、複数の冷水井戸のうちいずれかの冷水井戸からの冷水の供給量に変動や制限があっても、クッションタンクから流出する冷水を他の冷水井戸で補償できる。
したがって、地中熱利用システムは、クッションタンク内の冷水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、クッションタンク内の水位の異常を抑制できる。
このため、クッションタンクから熱交換器へ水が供給されやすい。
このため、制御装置は、クッションタンク内の水位変動を抑制できる。
したがって、制御装置は、熱交換器へ供給される水の流量の変動を抑制できる。
このため、制御方法は、クッションタンク内の水位変動を抑制できる。
したがって、制御方法は、熱交換器へ供給される水の流量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システムは、熱交換器に接続されているクッションタンク内の水位変動を抑制できる。
したがって、地中熱利用システムは、熱交換器へ供給される水の流量の変動を抑制できる。
本発明に係る地中熱利用システムの第一実施形態について、図1~図6を参照して説明する。
地中熱利用システム10は、帯水層LYに蓄熱する。
地中熱利用システム10は、帯水層LYから水を揚水し、熱媒と熱交換された水を帯水層LYに環水するように構成されている。
図1に示すように、地中熱利用システム10は、クッションタンク20と、熱交換器30と、温水ポンプ40と、冷水ポンプ50と、負荷配管60Lと、負荷流量計70Lと、制御装置80と、を備える。
例えば、地中熱利用システム10は、温水井戸WLHと、冷水井戸WLCと、温水配管60Hと、冷水配管60Cと、温水流量計70Hと、冷水流量計70Cと、温水側弁90Hと、冷水側弁90Cと、負荷ポンプ95と、をさらに備えてもよい。
地中熱利用システム10は、熱源機Rの熱媒体と熱交換を行う。例えば、熱源機Rは、建物内の暖房設備や冷房設備である。
地中熱利用システム10は、温水井戸WLHから水を揚水し、熱媒と熱交換された水を、冷水井戸WLCに環水するように構成されてもよい。
地中熱利用システム10は、冷水井戸WLCから水を揚水し、熱媒と熱交換された水を、温水井戸WLHに環水するように構成されてもよい。
クッションタンク20、負荷配管60L、温水配管60H、及び冷水配管60Cの各内部は、大気圧以上に維持されていてもよい。
温水井戸WLHは、地上から地下に向かって、帯水層LY内に延びる井戸である。
例えば、温水井戸WLHは、地表SGから帯水層LY内に至る地下に向かって掘削された掘削孔に埋め込まれているケーシングCSを備える。
ケーシングCSは、帯水層LY内において開口HOLを有する。
開口HOLにより、地中熱利用システム10は、帯水層LYに貯まっている水をケーシングCSの内部に取り込んだり、ケーシングCSの内部から帯水層LYへ水を戻したりできるように構成されている。
地中熱利用システム10は、ケーシングCS内と帯水層LY内との間で水を行き来させることができる。
例えば、地中熱利用システム10は、地表SGに沿って複数の温水井戸WLHを備えてもよい。
冷水井戸WLCは、地上から地下に向かって、帯水層LY内に延びる井戸である。
温水井戸WLHと冷水井戸WLCとは、地表SGに沿う方向について離れた位置に設けられている。
例えば、温水井戸WLHと冷水井戸WLCとの距離は、帯水層LYに貯められた冷水と温水とが干渉しない程度に遠い距離であって、帯水層LYからの揚水による地盤沈下が起きない程度近い距離に設定される。
例えば、冷水井戸WLCも、温水井戸WLHと同様なケーシングCSを備える。
これにより、地中熱利用システム10は、帯水層LYに貯まっている水をケーシングCSの内部に取り込んだり、ケーシングCSの内部から帯水層LYへ水を戻したりできるように構成されている。
例えば、地中熱利用システム10は、ケーシングCS内と帯水層LY内との間で冷水を行き来させることができる。
例えば、地中熱利用システム10は、地表SGに沿って複数の冷水井戸WLCを備えてもよい。
クッションタンク20は、温水井戸WLHと冷水井戸WLCとに接続されている。
本実施形態では、クッションタンク20は、温度成層型蓄熱槽である。すなわち、クッションタンク20内において、温度境界層BLの上側に温水が、温度境界層BLの下側に冷水熱源が貯められている。クッションタンク20において、温度境界層BLは、温水と冷水の境界であり、温水が増えて冷水が減ると上昇し、冷水が減り温水が増えると下降する。
例えば、クッションタンク20は、温水が流入出する温水口20aと、冷水が流入出する冷水口20bを備えてもよい。
例えば、帯水層の水の初期地中温度は18℃である。
例えば、地中熱利用システム10は、初年度を除いて、温水井戸WLH周辺の帯水層LYに23℃の温水を貯め、冷水井戸WLC周辺の帯水層LYに13℃の冷水を貯めている。
その際、温水配管60Hにより、温水井戸WLH内に揚水した温水を、クッションタンク20内へ送ることができる。
また、温水配管60Hにより、クッションタンク20内部の温水を、温水井戸WLH内へ送ることができる。
地中熱利用システム10が温水井戸WLHを複数備える場合、クッションタンク20から各温水井戸WLHに向かって、温水配管60Hは分岐され、複数の温水井戸WLHと接続していてもよい。
その際、冷水配管60Cにより、冷水井戸WLC内に揚水した冷水を、クッションタンク20内へ送ることができる。
また、冷水配管60Cにより、クッションタンク20内部の冷水を、冷水井戸WLC内へ送ることができる。
地中熱利用システム10が冷水井戸WLCを複数備える場合、クッションタンク20から各冷水井戸WLCに向かって、温水配管60Hは分岐され、複数の温水井戸WLHと接続していてもよい。
その際、温度計21は、クッションタンク内の所定の水位における水の温度を計測する。
さらに、クッションタンク内の高水位、中水位、及び低水位の3つの水位の各水位に温度計21が設けられてもよい。
熱交換器30は、クッションタンク20に接続されている。
熱交換器30は、一次側に一次側配管30aと、二次側に二次側配管30bと、を備える。
熱交換器30は、一次側配管30aを流れる水と、二次側配管30bを流れる熱源機Rの熱媒体との間で熱交換を行う。
本実施形態では、熱交換器30は、一次側に流れてくる水を初期地中温度(=18℃)に対して、+5℃、又は-5℃の温度差を付けて戻す。
例えば、熱源機Rが暖房を行う場合、熱交換器30は、クッションタンク20から流れてくる23℃の温水を熱交換により13℃の冷水にして、クッションタンク20に戻す。
例えば、熱源機Rが冷房を行う場合、熱交換器30は、クッションタンク20から流れてくる13℃の冷水を熱交換により23℃の温水にして、クッションタンク20に戻す。
例えば、地中熱利用システム10は、複数の熱交換器30を備えてもよい。
例えば、熱交換器30とクッションタンク20とを、負荷配管60Lが接続してもよい。
負荷配管60Lは、温水口20aから延びて、冷水口20bに戻る配管である。
本実施形態において、負荷配管60Lは、温水口20aから温水口20aにいちばん近い分岐点60aに向かって延び、分岐点60aから各熱交換器30に向かって分岐して延びている。
また、負荷配管60Lは、冷水口20bから冷水口20bにいちばん近い分岐点60bに向かって延び、分岐点60bから各熱交換器30に向かって分岐して延びている。
例えば、各熱交換器30の一次側(一次側配管30a)は、分岐点60aから各熱交換器30に向かって分岐して延びて、分岐点60bに戻る負荷配管60Lの途中に接続されていてもよい。
図1には、温水井戸WLH及び冷水井戸WLCと、各熱交換器30との間に、クッションタンク20を介さないバイパスがなく、クッションタンク20を通る経路のみが示されているが、例えば、温水井戸WLH及び冷水井戸WLCと、各熱交換器30との間に、クッションタンク20を介さないバイパスが設けられてもよい。
温水ポンプ40は、制御装置80からの第一指令C1に基づいて、温水井戸WLHから揚水可能である。
温水ポンプ40は、各温水井戸WLHに設けられている。
温水ポンプ40を作動させると、温水井戸WLHは負圧となり、開口HOLを介して帯水層LYに貯まっている水がケーシングCSの内部に取り込まれる。
温水ポンプ40は、インバータ等を備え、入力される第一指令C1に応じてポンプ出力が制御される。これにより、温水ポンプ40は、第一指令C1に応じたポンプ出力で、温水井戸WLHのケーシングCSを介して、帯水層LYから温水を揚水することができる。
冷水ポンプ50は、制御装置80からの第一指令C1に基づいて、冷水井戸WLCから揚水可能である。
冷水ポンプ50は、各冷水井戸WLCに設けられている。
冷水ポンプ50を作動させると、冷水井戸WLCは負圧となり、開口HOLを介して帯水層LYに貯まっている水がケーシングCSの内部に取り込まれる。
冷水ポンプ50は、インバータ等を備え、入力される第一指令C1に応じてポンプ出力が制御される。これにより、冷水ポンプ50は、第一指令C1に応じたポンプ出力で、冷水井戸WLCのケーシングCSを介して、帯水層LYから冷水を揚水することができる。
負荷流量計70Lは、負荷配管60Lに流れる水の流量である負荷流量FLを計測する。
例えば、負荷流量計70Lが、負荷配管60Lのうち、温水口20aから分岐点60aの間に設けられ、温水口20aから分岐点60aの間における負荷配管60Lに流れる水の流量を計測してもよい。ここで、クッションタンク20から流出した水は、負荷配管60Lを循環し、再びクッションタンク20に流入する。このため、負荷流量計70Lで計測される負荷流量FLは、分岐点60bと冷水口20bからとの間における負荷配管60Lを流れる水の流量にも相当する。
温水流量計70Hは、温水配管60Hに流れる温水の流量である温水流量FHを計測する。
図1では、温水流量計70Hは、温水配管60Hのうち、複数の温水井戸WLHからの分岐が全て合流し、クッションタンク20に向かう配管に設けられる。
これにより、温水流量計70Hは、複数の温水井戸WLHからクッションタンク20に流入する温水の総流量FSHを計測できる。
冷水流量計70Cは、冷水配管60Cに流れる冷水の流量である冷水流量FCを計測する。
図1では、冷水流量計70Cは、冷水配管60Cのうち、複数の冷水井戸WLCからの分岐が全て合流し、クッションタンク20に向かう配管に設けられる。
これにより、冷水流量計70Cは、複数の冷水井戸WLCからクッションタンク20に流入する冷水の総流量FSCを計測できる。
図2に示すように、制御装置80は、Central Processing Unit(以下、「CPU」という。)100を備える。
CPU100は、負荷流量取得部81と、第一特定部82と、第一指令部83と、を機能的に備える。
CPU100は、温水流量取得部84と、冷水流量取得部85と、をさらに機能的に備える。
CPU100は、温度取得部86と、第二特定部87と、第二指令部88と、をさらに機能的に備える。
第一特定部82は、負荷流量FLに基づいて、第一指令C1を特定する。
第一指令部83は、温水ポンプ40又は冷水ポンプ50に第一指令C1を送る。
その際、第一特定部82は、負荷流量FLと温水流量FHとに基づいて、第一指令C1を特定し、第一指令部83は、温水ポンプ40に第一指令C1を送る。
さらに、第一特定部82は、負荷流量FLと、温水配管60Hに流れる水の総流量FSHと、が釣り合うように、第一指令C1を特定してもよい。
この場合、負荷流量取得部81が、負荷流量FLとして、クッションタンク20から流出する温水の流量の時間平均を算出してもよい。
その際、第一特定部82は、(時間平均である)負荷流量FLと、総流量FSHの時間平均と、が釣り合うように、第一指令C1を特定してもよい。
その際、第一特定部82は、負荷流量FLと冷水流量FCとに基づいて、第一指令C1を特定し、第一指令部83は、冷水ポンプ50に第一指令C1を送る。
さらに、第一特定部82は、負荷流量FLと、冷水配管60Cに流れる水の総流量FSCと、が釣り合うように、第一指令C1を特定してもよい。
この場合、負荷流量取得部81が、負荷流量FLとして、クッションタンク20から流入する温水の流量の時間平均を算出してもよい。
その際、第一特定部82は、(時間平均である)負荷流量FLと、総流量FSCの時間平均と、が釣り合うように、第一指令C1を特定してもよい。
本実施形態の場合、温水流量計70Hで計測される温水流量FHが、総流量FSHに相当するので、温水流量取得部84は、総流量FSHとして、温水流量FHを取得する。
本実施形態の場合、冷水流量計70Cで計測される冷水流量FCが、総流量FSCに相当するので、冷水流量取得部85は、総流量FSCとして、冷水流量FCを取得する。
例えば、温度取得部86は、高水位、中水位、及び低水位の3つの水位のうち、各水位に設けられた温度計21で計測された温度TPを取得してもよい。
例えば、第二特定部87は、クッションタンク20内の高水位、中水位、及び低水位の3つの水位のうち、高水位(又は中水位)に設けられた温度計21から、設定される温水の温度(例えば23℃)より低い温度が検出されたとする。この場合、クッションタンク20内の温度境界層BLが異常に上昇して可能性があるので、第二特定部87は、温水ポンプ40に対し、ポンプ出力を可能な限り大きくする指令を、第二指令C2として特定する。
例えば、第二特定部87は、クッションタンク20内の高水位、中水位、及び低水位の3つの水位のうち、低水位(又は中水位)に設けられた温度計21から、設定される冷水の温度(例えば13℃)より高い温度が検出されたとする。この場合、クッションタンク20内の温度境界層BLが異常に下降して可能性があるので、第二特定部87は、冷水ポンプ50に対し、ポンプ出力を可能な限り大きくする指令を、第二指令C2として特定する。
温水井戸WLH側において、温水側弁90Hは、温水配管60Hと温水ポンプ40との接続箇所に設けられる。
温水側弁90Hは、温水ポンプ40で吸い上げたケーシングCS内の水を温水配管60Hに向かって流すように構成されている。
また、温水側弁90Hは、温水配管60Hから温水井戸WLHに向かって流れてきた水をケーシングCS内へ開放するように、構成されている。
例えば、図3に示すように、温水側弁90Hは、注水弁である三方弁VL1と、逆止弁VL2と、の組み合わせで構成することができる。逆止弁VL2は、温水ポンプ40から温水配管60Hに向かって水が流れ、温水配管60Hから温水ポンプ40に向かって水が流れないように設けられている。また、三方弁VL1は、温水配管60H内の圧力が設定圧力よりも大きくなると、温水配管60HからケーシングCSに向かって温水配管60H内の水を開放する。
冷水井戸WLC側において、冷水側弁90Cは、冷水配管60Cと冷水ポンプ50との接続箇所に設けられる。
冷水側弁90Cは、冷水ポンプ50で吸い上げたケーシングCS内の水を冷水配管60Cに向かって流すように構成されている。
また、冷水側弁90Cは、冷水配管60Cから冷水井戸WLCに向かって流れてきた水をケーシングCS内へ開放するように、構成されている。
例えば、図3に示すように、冷水側弁90Cは、注水弁である三方弁VL1と、逆止弁VL2と、の組み合わせで構成することができる。逆止弁VL2は、冷水ポンプ50から冷水配管60Cに向かって水が流れ、冷水配管60Cから冷水ポンプ50に向かって水が流れないように設けられている。また、三方弁VL1は、冷水配管60C内の圧力が設定圧力よりも大きくなると、冷水配管60CからケーシングCSに向かって冷水配管60C内の水を開放する。
熱交換器30は、負荷ポンプ95を介して負荷配管60Lに接続されている。
負荷ポンプ95は、負荷配管60L内の水を熱交換器30に向かって吸い上げる。
逆に負荷ポンプ95は、熱交換器30の一次側配管30aの水を負荷配管60Lに向かって吸い上げる。
例えば、負荷配管60Lが複数の熱交換器30に接続されている場合、各熱交換器30に関連して負荷ポンプ95が設けられてもよい。
例えば、熱源機Rが主に暖房を行う場合の地中熱利用システム10の動作について図4に沿って説明する。
なお、図4において、矢印は、各部分における熱媒体及び水の流れを示す。
また、図4において、白塗の矢印は冷水を示し、黒塗の矢印は温水を示す。
これにより、クッションタンク20から負荷配管60Lに向かって温水が供給される。
負荷配管60Lに向かって温水が供給されると、温水ポンプ40により帯水層LYから、温水配管60Hを通じて、クッションタンク20内の温度境界層BLの上側に水が供給される。
ここで地中熱利用システム10は、始動し始めて最初の年において、初期地中温度の水をクッションタンク20に供給することとなるが、2年目以降は、温水をクッションタンク20に供給することとなる。
図4の場合、負荷流量取得部81が、負荷流量FLとして、クッションタンク20から負荷配管60Lへ流出する温水の流量を、負荷流量計70Lから取得する。
例えば、第一特定部82は、負荷流量FLと、温水配管60Hに流れる水の総流量FSHと、が釣り合うように、第一指令C1を特定する。
図4の場合、温水流量計70Hは、複数の温水井戸WLHからクッションタンク20に流入する温水の総流量FSHを計測できるので、第一特定部82は、負荷流量FLと、温水流量計70Hから取得した温水流量FHと、が釣り合うように、第一指令C1を特定する。
例えば、負荷流量FLが温水流量FH(総流量FSH)より大きい場合、第一特定部82は、第一指令C1として、ポンプ出力(温水ポンプ40の出力)を大きくする指令を特定する。
例えば、負荷流量FLが温水流量FH(総流量FSH)より小さい場合、第一特定部82は、第一指令C1として、ポンプ出力(温水ポンプ40の出力)を小さくする指令を特定する。
図4の場合、第一指令部83は、温水ポンプ40に第一指令C1を送る。
ST03を実施した後、フィードバック制御を行うために、制御装置80は、ST02に戻ってもよい。
例えば、熱源機Rが主に冷房を行う場合の地中熱利用システム10の動作について図6に沿って説明する。
これにより、クッションタンク20から負荷配管60Lに向かって冷水が供給される。
負荷配管60Lに向かって冷水が供給されると、冷水ポンプ50により帯水層LYから、冷水配管60Cを通じて、クッションタンク20内の温度境界層BLの下側に水が供給される。
ここで地中熱利用システム10は、始動し始めて最初の年において、初期地中温度の水をクッションタンク20に供給することとなるが、2年目以降は、冷水をクッションタンク20に供給することとなる。
この時、制御装置80は、図5に示すように動作する。本動作は、地中熱利用システム10の制御方法に相当する。
図6では、負荷流量取得部81が、負荷流量FLとして、クッションタンク20から負荷配管60Lへ流入する温水の流量を、負荷流量計70Lから取得する。
例えば、第一特定部82は、負荷流量FLと、冷水配管60Cに流れる水の総流量FSHと、が釣り合うように、第一指令C1を特定する。
図6の場合、冷水流量計70Cは、複数の冷水井戸WLCからクッションタンク20に流入する冷水の総流量FSHを計測できるので、第一特定部82は、負荷流量FLと、冷水流量計70Cから取得した冷水流量FCと、が釣り合うように、第一指令C1を特定する。
例えば、負荷流量FLが冷水流量FC(総流量FSC)より大きい場合、第一特定部82は、第一指令C1として、ポンプ出力(冷水ポンプ50の出力)を大きくする指令を特定する。
例えば、負荷流量FLが温水流量FH(総流量FSH)より小さい場合、第一特定部82は、第一指令C1として、ポンプ出力(冷水ポンプ50の出力)を小さくするよう指令を特定する。
図6の場合、第一指令部83は、冷水ポンプ50に第一指令C1を送る。
ST03を実施した後、フィードバック制御を行うために、制御装置80は、ST02に戻ってもよい。
本実施形態によれば、温水井戸WLHと冷水井戸WLCとに接続されているクッションタンク20の負荷流量FLに基づいて、温水ポンプ40又は冷水ポンプ50が制御される。
このため、地中熱利用システム10は、熱交換器30に接続されているクッションタンク20内の水位変動を抑制できる。
したがって、地中熱利用システム10は、熱交換器30へ供給される水の流量の変動を抑制できる。
クッションタンク20が、本実施形態のような温度成層型蓄熱槽である場合、クッションタンク20の温水の量が減ると、温度境界層BLが上昇し、クッションタンク20内の水位が変動する。
これに対し、本実施形態では、負荷流量FLに基づいて、温水ポンプ40が制御されるため、クッションタンク20内の水位変動を抑制できる。
クッションタンク20が、本実施形態のような温度成層型蓄熱槽である場合、クッションタンク20の冷水の量が減ると、温度境界層BLが下降し、クッションタンク20内の水位が変動する。
これに対し、本実施形態では、負荷流量FLに基づいて、冷水ポンプ50が制御されるため、クッションタンク20内の水位変動を抑制できる。
このため、クッションタンク20の負荷流量FLを確保できるため、個々の井戸の流量配分を変更することも可能となる。
同様に、クッションタンク20の負荷流量FLを確保できるなら、複数の冷水井戸WLCの冷水ポンプ50のうち、一部の冷水ポンプ50を停止することも可能である。
このため、地中熱利用システム10の利用中において、一部の井戸の利用を停止し、停止した井戸のメンテナンスを行うことが可能である。
同様に、クッションタンク20の負荷流量FLを確保できるなら、複数の冷水井戸WLCの冷水ポンプ50を交互に作動させるなど、各冷水井戸WLCからの揚水流量を変動させることが可能である。
このため、揚水流量を変動させることが可能であるため、地中熱利用システム10は、井戸の目詰まりにつながりやすい連続一定流量の運転を回避することも可能である。
このため、地中熱利用システム10は、クッションタンク20で負荷流量の変動を吸収できることに加え、クッションタンク20内の水位変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システム10は、複数の温水井戸WLHのうちいずれかの温水井戸WLHからの温水の供給量に変動や制限があっても、クッションタンク20から流出する温水を他の温水井戸WLHで補償できる。
例えば、複数の温水井戸WLHのうちいずれかの温水井戸WLHの利用を停止してメンテナンスを行う場合や、井戸の目詰まり回避のため各温水井戸WLHからの揚水流量を変動させる場合でも、クッションタンク20から流出する温水を他の温水井戸WLHで補償できる。
したがって、地中熱利用システム10は、クッションタンク20内の温水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システム10は、クッションタンク20内の冷水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システム10は、複数の冷水井戸WLCのうちいずれかの冷水井戸WLCからの冷水の供給量に変動や制限があっても、クッションタンク20から流出する冷水を他の冷水井戸WLCで補償できる。
例えば、複数の冷水井戸WLCのうちいずれかの冷水井戸WLCの利用を停止してメンテナンスを行う場合や、井戸の目詰まり回避のため各冷水井戸WLCからの揚水流量を変動させる場合でも、クッションタンク20から流出する冷水を他の冷水井戸WLCで補償できる。
したがって、地中熱利用システム10は、クッションタンク20内の冷水量の変動を抑制できる。
このため、地中熱利用システム10は、クッションタンク20内の水位の異常を抑制できる。
本実施形態では、温水流量計70Hが、温水配管60Hのうち、複数の温水井戸WLHからの分岐が全て合流し、クッションタンク20に向かう配管に設けられることにより、温水流量取得部84が、総流量FSHを取得しているが、総流量FSHを取得できるならどのような構成であってもよい。
変形例として、温水流量取得部84が、温水配管60Hのうち、複数の温水井戸WLHへの分岐先の配管において計測された各流量を取得し、各流量の総和を算出することにより、総流量FSHを取得してもよい。
変形例として、冷水流量取得部85が、冷水配管60Cのうち、複数の冷水井戸WLCへの分岐先の配管において計測された各流量を取得し、各流量の総和を算出することにより、総流量FSHを取得してもよい。
変形例として、第一特定部82は、以下の式(1)を満たすように、第一指令C1を特定してもよい。
変形例として、第一特定部82は、以下の式(2)を満たすように、第一指令C1を特定してもよい。
変形例として、負荷流量計70Lは、負荷配管60Lのうち、冷水口20bから分岐点60bの間に設けられてもよい。
変形例として、温水側弁90Hは、温水ポンプ40駆動時に温水ポンプ40から温水配管60Hに向かってのみ流通させ、温水ポンプ40停止時に温水配管60HからケーシングCSに向かってのみ流通させる制御を行う電磁弁であってもよい。
変形例として、冷水側弁90Cは、冷水ポンプ50駆動時に冷水ポンプ50から冷水配管60Cに向かってのみ流通させ、冷水ポンプ50停止時に冷水配管60CからケーシングCSに向かってのみ流通させる制御を行う電磁弁であってもよい。
他の変形例として、温水ポンプ40が複数である場合、制御装置80は、第一指令C1又は第二指令C2として、複数の温水ポンプ40のうち、一部の温水ポンプ40にのみ第一指令C1又は第二指令C2を送ってもよい。
他の変形例として、冷水ポンプ50が複数である場合、制御装置80は、第一指令C1又は第二指令C2として、複数の冷水ポンプ50のうち、一部の冷水ポンプ50にのみ第一指令C1又は第二指令C2を送ってもよい。
変形例として、地中熱利用システム10は、総流量FSH又は総流量FSCを使わず、第一指令C1を特定してもよい。
例えば、第一特定部82は、第一指令C1として、負荷流量FLに相当する流量の水を供給できる温水ポンプ40又は冷水ポンプ50のポンプ出力を特定してもよい。
その際、制御装置80には、温水ポンプ40及び冷水ポンプ50の各ポンプのポンプ出力と、各ポンプからクッションタンク20への水の流量と、の関係があらかじめ記憶されていてもよい。
本発明に係る地中熱利用システムの第二実施形態について、図7を参照して説明する。
図7の地中熱利用システム10’は、第一実施形態の構成に加え、クッションタンク20を複数備えている。
本実施形態によれば、熱交換器30へ供給すべき水の供給源を複数のクッションタンク20に分担することができる。
このため、クッションタンク20から熱交換器へ水が供給されやすい。
本発明に係る地中熱利用システムの第三実施形態について、図8を参照して説明する。
図8に示す地中熱利用システム110は、第一実施形態の構成に加え、温水井戸WLH及び冷水井戸WLCと、各熱交換器30との間に、クッションタンク20を介さないバイパス配管60Bが設けられている。
地中熱利用システム110において、バイパス配管60B、負荷配管60L、温水配管60H、及び冷水配管60Cは、共通する経路において、配管を共有している。
図8において、地中熱利用システム110は、バイパス配管60Bにより、冷水井戸WLCから、クッションタンク20を介さず直接、熱交換器30へ冷水を送る。さらに、地中熱利用システム110は、冷水配管60Cにより、冷水井戸WLCからクッションタンク20へ冷水を送っている。
他方、地中熱利用システム110は、バイパス配管60Bにより、熱交換器30で熱交換されて温められた温水を、クッションタンク20を介さず直接、温水井戸WLHへ送る。さらに、地中熱利用システム110は、温水配管60Hにより、クッションタンク20内の温水を温水井戸WLHへ送る。
制御装置80は、負荷流量FLに基づいて、第一指令C1を特定し、冷水ポンプ50に第一指令C1を送る。
例えば、制御装置80は、初期設定として中水位に位置している温度境界層BLの水位を維持するため、第一特定部82により、以下式(3)を満たすように、第一指令C1を特定し、冷水ポンプ50を制御してもよい。
本発明に係る地中熱利用システムの第四実施形態について、図9を参照して説明する。
図9に示す地中熱利用システム210は、第一実施形態の構成に加え、温水井戸WLH及び冷水井戸WLCと、各熱交換器30との間に、クッションタンク20を介さないバイパス配管60Bが設けられている。
地中熱利用システム210において、バイパス配管60B、負荷配管60L、温水配管60H、及び冷水配管60Cは、共通する経路において、配管を共有している。
例えば、地中熱利用システム210において、各熱交換器30は、負荷ポンプ95に加え、ブリッジバルブ97を介して負荷配管60Lに接続されてもよい。
ブリッジバルブ97には、絞りバルブ96が、ひし形に組まれた各流路に設けられている。
例えば、熱源機Rが主に暖房を行う場合、地中熱利用システム210は、図10に示すように、温水井戸WLHから温水を揚水し、熱交換器30で熱交換された冷水を、冷水井戸WLCに環水する。
本発明に係る地中熱利用システムの第五実施形態について、図11を参照して説明する。
図11に示す地中熱利用システム310は、第一実施形態において、温水井戸WLH及び冷水井戸WLCと、各熱交換器30との間に、クッションタンク20を介さないバイパスがなく、クッションタンク20を通る経路のみを有する。
例えば、地中熱利用システム310において、各熱交換器30は、負荷ポンプ95に加え、ブリッジバルブ97を介して負荷配管60Lに接続されてもよい。
ブリッジバルブ97には、絞りバルブ96が、ひし形に組まれた各流路に設けられている。
例えば、熱源機Rが主に暖房を行う場合、地中熱利用システム310は、図12に示すように、温水井戸WLHから温水を揚水し、熱交換器30で熱交換された冷水を、冷水井戸WLCに環水する。
記憶/再生装置102は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置である。
IO I/F103は、制御装置80と他の装置との間で情報等の入出力を行うためのインタフェースである。
通信I/F104は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、他の装置との間で通信を行うインタフェースである。
10’ 地中熱利用システム
20 クッションタンク
20a 温水口
20b 冷水口
21 温度計
30 熱交換器
30a 一次側配管
30b 二次側配管
40 温水ポンプ
50 冷水ポンプ
60a 分岐点
60b 分岐点
60B バイパス配管
60C 冷水配管
60H 温水配管
60L 負荷配管
70C 冷水流量計
70H 温水流量計
70L 負荷流量計
80 制御装置
81 負荷流量取得部
82 第一特定部
83 第一指令部
84 温水流量取得部
85 冷水流量取得部
86 温度取得部
87 第二特定部
88 第二指令部
90C 冷水側弁
90H 温水側弁
95 負荷ポンプ
96 絞りバルブ
97 ブリッジバルブ
100 CPU
101 メモリ
102 記憶/再生装置
103 IO I/F
104 通信I/F
110 地中熱利用システム
210 地中熱利用システム
310 地中熱利用システム
BL 温度境界層
C1 第一指令
C2 第二指令
CS ケーシング
FC 冷水流量
FH 温水流量
FL 負荷流量
FSC 総流量
FSH 総流量
HOL 開口
LY 帯水層
R 熱源機
SG 地表
TP 温度
VL1 三方弁
VL2 逆止弁
WLC 冷水井戸
WLH 温水井戸
Claims (10)
- 温水井戸と冷水井戸とに接続されているクッションタンクと、
前記クッションタンクに接続され、熱源機の熱媒体と熱交換を行う熱交換器と、
第一指令に基づいて、前記温水井戸から揚水可能な温水ポンプと、
前記第一指令に基づいて、前記冷水井戸から揚水可能な冷水ポンプと、
前記クッションタンクと前記熱交換器との間を接続している負荷配管と、
前記負荷配管に流れる水の流量である負荷流量を計測する負荷流量計と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置が、
計測された前記負荷流量を取得する負荷流量取得部と、
前記負荷流量に基づいて、前記第一指令を特定する第一特定部と、
前記温水ポンプ又は前記冷水ポンプに前記第一指令を送る第一指令部と、を備える地中熱利用システム。 - 前記クッションタンクと前記温水井戸とを接続している温水配管と、
前記温水配管に流れる温水の流量である温水流量を計測する温水流量計と、をさらに備え、
前記負荷流量取得部が、前記負荷流量として、前記クッションタンクから前記負荷配管に流出する温水の流量、又は前記負荷配管から前記クッションタンクに流入する冷水の流量を取得し、
前記第一特定部が、前記負荷流量と前記温水流量とに基づいて、前記第一指令を特定し、
前記第一指令部が、前記温水ポンプに前記第一指令を送る請求項1に記載の地中熱利用システム。 - 前記温水配管が、複数の前記温水井戸に接続され、
前記第一特定部が、前記負荷流量と、前記温水配管に流れる前記温水の総流量と、が釣り合うように、前記第一指令を特定する請求項2に記載の地中熱利用システム。 - 前記クッションタンクと前記冷水井戸とを接続している冷水配管と、
前記冷水配管に流れる冷水の流量である冷水流量を計測する冷水流量計と、をさらに備え、
前記負荷流量取得部が、前記負荷流量として、前記クッションタンクから流出する冷水の流量、又は前記クッションタンクに流入する温水の流量を取得し、
前記第一特定部が、前記負荷流量と前記冷水流量とに基づいて、前記第一指令を特定し、
前記第一指令部が、前記冷水ポンプに前記第一指令を送る請求項1に記載の地中熱利用システム。 - 前記冷水配管が、複数の前記冷水井戸に接続されており、
前記第一特定部が、前記負荷流量と、前記冷水配管に流れる前記冷水の総流量と、が釣り合うように、前記第一指令を特定する請求項4に記載の地中熱利用システム。 - 前記クッションタンクが、前記クッションタンク内の所定の水位における水の温度を計測する温度計を備え、
前記制御装置が、
計測された前記温度に基づき、第二指令を特定する第二特定部と、
前記温水ポンプ又は前記冷水ポンプに前記第二指令を送る第二指令部と、をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の地中熱利用システム。 - 複数の前記クッションタンクを備える請求項1から6のいずれか一項に記載の地中熱利用システム。
- 温水井戸と冷水井戸とに接続されているクッションタンクと、
前記クッションタンクに接続され、熱源機の熱媒体と熱交換を行う熱交換器と、
第一指令に基づいて、前記温水井戸から揚水可能な温水ポンプと、
前記第一指令に基づいて、前記冷水井戸から揚水可能な冷水ポンプと、
前記クッションタンクと前記熱交換器との間を接続している負荷配管と、
前記負荷配管に流れる水の流量である負荷流量を計測する負荷流量計と、を備える地中熱利用システムで計測された前記負荷流量を取得する負荷流量取得部と、
前記負荷流量に基づいて、前記第一指令を特定する第一特定部と、
前記温水ポンプ又は前記冷水ポンプに前記第一指令を送る第一指令部と、を備える制御装置。 - 温水井戸と冷水井戸とに接続されているクッションタンクと、
前記クッションタンクに接続され、熱源機の熱媒体と熱交換を行う熱交換器と、
第一指令に基づいて、前記温水井戸から揚水可能な温水ポンプと、
前記第一指令に基づいて、前記冷水井戸から揚水可能な冷水ポンプと、
前記クッションタンクと前記熱交換器との間を接続している負荷配管と、
前記負荷配管に流れる水の流量である負荷流量を計測する負荷流量計と、を備える地中熱利用システムで計測された前記負荷流量を取得するステップと、
前記負荷流量に基づいて、前記第一指令を特定するステップと、
前記温水ポンプ又は前記冷水ポンプに前記第一指令を送るステップと、を備える制御方法。 - 温水井戸と冷水井戸とに接続されているクッションタンクと、
前記クッションタンクに接続され、熱源機の熱媒体と熱交換を行う熱交換器と、
第一指令に基づいて、前記温水井戸から揚水可能な温水ポンプと、
前記第一指令に基づいて、前記冷水井戸から揚水可能な冷水ポンプと、
前記クッションタンクと前記熱交換器との間を接続している負荷配管と、
前記負荷配管に流れる水の流量である負荷流量を計測する負荷流量計と、を備える地中熱利用システムのコンピュータに、
計測された前記負荷流量を取得するステップと、
前記負荷流量に基づいて、前記第一指令を特定するステップと、
前記温水ポンプ又は前記冷水ポンプに前記第一指令を送るステップと、を実行させるためのプログラム。
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