JP7276625B2 - 窒化ホウ素ナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化ホウ素ナノチューブの製造方法に関する。
たとえば、特許文献1に記載されるように、窒化ホウ素ナノチューブは、酸化マグネシウム、酸化鉄(II)(FeO)及びホウ素粉末の混合物を1100~1700℃でアンモニアガスと反応させることにより得られる。得られた窒化ホウ素ナノチューブは硝酸で処理することにより、触媒として使用したマグネシウムや鉄が除去される。この方法により、直径が20~50nmの均一な窒化ホウ素ナノチューブを製造することができる。得られた窒化ホウ素ナノチューブを高分子であるポリ[m-フェニレンビニレン-co-(2,5-ジオクトキシ-p-フェニレンビニレン)]をクロロホルム等の有機溶媒に溶解させた有機溶媒溶液に窒化ホウ素ナノチューブを添加して、窒化ホウ素ナノチューブを上記ポリマーで被覆し、即ち、ポリマーラッピングすることで、均一で透明な窒化ホウ素ナノチューブ分散液とすることが開示されている。また、この時、室温で2時間超音波処理と遠心分離処理により不溶物を除去し均一透明な分散液を製造し、この分散液から有機溶媒を蒸発させ、さらに、PmPVを熱分解により除去することで、直径の均一な窒化ホウ素ナノチューブを得る精製方法が開示されている。なお、以下の説明において、ポリ[m-フェニレンビニレン-co-(2,5-ジオクトキシ-p-フェニレンビニレン)]を略してPmPVと表示する。
近年、特許文献2に示されるように、触媒としての金属を使用する必要なく、大気圧において、もしくは大気圧周辺で、非常に効率的に、細く(直径10nm以下)、適度に純粋なBNNTを、継続的に高収率で製造可能である。具体的には、0.6atm超、且つ、2atm未満の圧力下にあるプラズマ内にホウ素,窒素及び水素の反応混合物を形成するため、1,000-10,000Kの範囲のプラズマ温度における安定な誘導プラズマにホウ素,窒素及び水素の1以上のソースを提供するステップと、BNNTを形成するため前記反応混合物を冷却するステップと、を含み、前記1以上のホウ素ソースは、元素ホウ素,窒化ホウ素,ボラン,アンモニアボラン,ボラジン,又はこれらのいずれの混合物を含む、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を製造する方法が開示されている。
これを用いて、特許文献3には、窒化ホウ素ナノチューブと、窒化ホウ素フラーレン中空粒子とを含み、前記窒化ホウ素フラーレン中空粒子が前記窒化ホウ素ナノチューブの間に分散され、前記窒化ホウ素ナノチューブの間に前記窒化ホウ素フラーレン中空粒子が接触して介在している窒化硼素ナノチューブを含んでいることを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブ材料が開示されている。これは、例えば特許文献2などで得られた窒化ホウ素ナノチューブにおいて、酸化熱処理によりホウ素を酸化ホウ素(B)へ変換した後、酸化ホウ素が溶解するエタノールやメタノール、水、等により洗浄除去する方法が開示されている。
特開2007-230830号公報 特表2016-521240号公報 国際公開第2020/031883号
特許文献1及び特許文献2の製造方法で合成された生成物には、窒化ホウ素フラーレンや、窒化ホウ素薄片など、窒化ホウ素ナノチューブに比べてアスペクト比が小さく、金属やセラミックスなどと複合化した場合の強化効果が小さい副生成物が高い割合で含まれていることが課題である。窒化ホウ素ナノチューブと、窒化ホウ素フラーレン及び窒化ホウ素薄片などの副生成物と、は結晶構造が類似しており、合成過程で生成されやすい。そのため、特許文献1では、それら副生成物の割合を低減する精製方法が開示されているが、窒化ホウ素ナノチューブの収率が低下することが課題であった。さらに、特許文献2及び特許文献3に記載の熱酸化処理による窒化ホウ素ナノチューブと、副生成物と、の固着による窒化ホウ素ナノチューブの分散性の低下も課題であった。
本発明の目的は、窒化ホウ素フラーレンや窒化ホウ素薄片などの強化効果の小さい副生成物の割合を低減し、同時に収率を高められ、さらに熱酸化処理の必要ない窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供することである。
本発明は、窒化ホウ素ナノチューブを含む原料と、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤と、有機溶媒と、を混合し、懸濁液を得る工程と、得られた懸濁液を遠心分離し、原料に含まれる副生成物を除去し、窒化ホウ素ナノチューブを含む分散液を得る工程と、を有することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法である。
好ましくは、ポリマー分散剤が、セルロース系ポリマー又はビニル系ポリマーを含むことを特徴とする。
である。
本発明は、窒化ホウ素フラーレンや窒化ホウ素薄片などの強化効果の小さい副生成物の割合を低減し、同時に収率を高められ、さらに熱酸化処理の必要ない窒化ホウ素ナノチューブの製造方法を提供できる。
回収したBNNT生成物の低倍率のTEM像。 実施例1のBNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像。 実施例1のBNNT分散液から溶媒を除去した試料の高分解能TEM像。 実施例1のBNNT分散液を乾燥後、大気中において500℃で1hr間加熱処理した試料の高分解能TEM像。 実施例2のBNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像。 比較例1のBNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像。 比較例2のBNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像。
以下、本発明の実施形態である窒化ホウ素ナノチューブの製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では窒化ホウ素ナノチューブをBNNTと省略することもある。
まず、水分を除去した合成後の生成物、すなわち窒化ホウ素ナノチューブを含む原料と、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤と、有機溶媒と、を混合し、懸濁液を得る工程を説明する。このうち、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤を有機溶媒に溶解させ、事前に均一な溶液としておくことは、ポリマー分散剤で窒化ホウ素ナノチューブを均一に被覆するために好ましい。この溶液に、合成後の生成物を添加し、ホモジナイザー等により超音波分散させることにより、窒化ホウ素ナノチューブを前記ポリマー分散剤により均一に被覆する。超音波分散中の液温上昇防止のため、冷却しながら処理することが好ましい。
なお、本発明において、「合成後の生成物」とは、合成した直後の状態の生成物のみではなく、BNNTを合成した後であって、本発明にかかる工程よりも前に、他の処理を施したものを含む。すなわち、窒化ホウ素ナノチューブを含む原料としては、合成したままの生成物に限らず、合成したままの生成物に含まれる副生成物を他の処理等によりある程度除去した窒化ホウ素ナノチューブ生成物も含む。したがって、以下の説明において、「合成後の生成物」は、後述する本発明にかかるBNNTの製造工程に用いられる窒化ホウ素ナノチューブを含む原料を全て含むものとする。
sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤としては、置換可能な2、3、6位の水酸基のうち、少なくとも一か所がアルキルエーテルである置換グルコース構造を繰り返し単位に有し、1、4位で連結した高分子であるエチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセチルセルロース、等のセルロース系ポリマー、または、少なくとも一つ以上のメチレン基と、少なくとも一つ以上の置換メチレン基を繰り返し単位に有する高分子であるポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルポリマー、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルメチルケトン、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系ポリマーを用いることが好ましい。これは、窒化ホウ素ナノチューブのπ軌道の対称性が低いため、特許文献1で適用されているポリマーのように、窒化ホウ素ナノチューブとπ/π相互作用するポリマーよりも、窒化ホウ素ナノチューブとCH/π相互作用するポリマーの方が窒化ホウ素ナノチューブと結合し易い。また、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマーの主鎖は、特許文献1で適用されているポリマーのsp2結合性の主鎖よりも柔軟性があるため、細径の窒化ホウ素ナノチューブに巻き付き易い。このため、特に、特許文献2や特許文献3で得られる細径の窒化ホウ素ナノチューブに対して、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤を用いることで、被覆され易いと考えられる。
なお、カーボンナノチューブ(CNT)のポリマー分散剤として広く適用されるカルボキシメチルセルロース(CMC)は、sp3結合性のCH基を有するイオン性ポリマーであり、水系溶媒が用いられる。このCMCを細径のBNNTの分散剤として適用した場合、BNNT周辺にミセルが形成され、ミセルによって形成される疎水性空間にBNNTが内包されることでBNNTが可溶化する。しかし、ミセルのサイズが物質の形状に追従し、形状によらず可溶化するため、BNNT以外の副生成物も可溶化する。このため、CMCは、細径のBNNTのみを選択的に可溶化させにくいと考えられる。一方、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマーの場合、有機溶媒を使用するため、BNNT周辺にミセルは形成されない。このため、BNNTと不純物(BNNT以外の副生成物)の形状やサイズの差異により、それぞれへの分散剤の吸着性および、これらの可溶化性に差異が生じ、BNNTと不純物を分離しやすく、選択的にBNNTを分散できると考えられる。
有機溶媒としては、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、N-メチルピロリドン、N.N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、乳酸エチル、乳酸ブチル、エチレングリコールジメチルエーテル等を用いればよい。
原料と分散剤と有機溶媒とを混合したのちに、たとえば、超音波ホモジナイザーなどで撹拌しても良い。撹拌の条件としては、所定の撹拌条件により撹拌後、後述する分離工程を行い、上澄み液や残渣のSEM像等を確認して、副生成物の分離性やBNNTの破壊防止効果に応じて設定される。例えば、複数条件で撹拌を行い、分離後のそれぞれの画像から、相対的に上澄み液において副生成物の量が少なくなり、BNNTの破壊・破断の目立たない条件や、残渣において破断したBNNTの量が目立たないような条件で設定される。例えば、周波数20kHz、超音波の振幅40~80μm、撹拌時間20~40分間程度が好ましく、窒化ホウ素ナノチューブが破壊されにくく、窒化ホウ素ナノチューブを分散させやすい。以上の操作により懸濁液を得られる。
合成後の生成物、すなわち窒化ホウ素ナノチューブを含む原料と、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤と、有機溶媒と、を混合し、得られた懸濁液の組成としては、たとえば、窒化ホウ素ナノチューブを含む原料を1質量部と、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤を1~2000質量部と、前記有機溶媒200~100000質量部とすればよい。分散剤の添加量の下限は、例えば、後述する分離工程を行い、上澄み液や残渣のSEM像等を確認し、副生成物の分離性に応じて設定される。例えば、複数条件で分散剤の添加量を変えて、分離後のそれぞれの画像から、相対的に上澄み液におけるBNNTの量が多く、かつBNNTがバンドル化していない条件や、残渣においてBNNTの量が目立たないような条件で設定される。また、分散剤の添加量の上限は、例えば、後述する分離工程後の分散液の紫外域における光吸収特性を確認して、最大吸収量と添加量との関係から、添加量の増加に伴い光吸収量の増加が略飽和した条件で設定される。このように、分散剤及び溶媒の範囲について、上限以下であることで、無駄なく、経済的であるため好ましく、下限以上であることで、BNNTの分散性が良くなるため好ましい。なお、BNNTのバンドル化の有無の判断は、例えばSEM画像などにおいて、原料中のBNNTに対して、分散後のBNNTが太くなっている場合には、分散時に数本から数十本のBNNTがバンドル化したものと判断される。
次に、得られた懸濁液を遠心分離する工程を説明する。この操作により、副生成物を除去する。ここで、副生成物とは上記溶液中に含まれているボロン粒子をコアとしたBNフラーレンやh-BN薄片などを指している。これらの副生成物を分離する遠心分離の条件としては、分離工程後の上澄み液や残渣のSEM像等を確認し、副生成物の分離性に応じて設定される。例えば、複数条件(時間、遠心力)を変えて、分離後のそれぞれの画像から、相対的に上澄み液における副生成物量が少なく、残渣において分散剤ポリマー(副生成物を全体的に被覆した膜状物質)の量が多くなる条件で設定される。例えば、遠心加速度は30000G以上、処理時間は1時間以上、液温:25℃とすればよい。
最後に得られた懸濁液を遠心分離し、原料に含まれる副生成物を除去し、窒化ホウ素ナノチューブを含む分散液を得る工程について説明する。懸濁液からの副生成物の除去は、例えば高速冷却遠心機などで行えばよい。原料に含まれる副生成物を除去することにより、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマーで被覆されたBNNTが、有機溶媒に分散したBNNT分散液を得ることができる。
さらに、BNNT分散液から、BNNTを得る方法を説明する。最初に、上記のBNNT分散液から有機溶媒を蒸発させる。この工程でBNNTは固体状のポリマー分散剤で被覆された状態となる。次に、上記分散剤で被覆されたBNNTを、大気中で300℃以上900℃以下の温度に加熱することにより、分散剤を熱分解させて除去する。これにより、分散液に含まれているBNNTを高純度に精製することができる。300℃以上であれば、分散剤が十分熱分解しやすいため好ましい。一方、900℃以下であれば、BNNTが燃焼消失せず残留することができるため好ましく、650℃未満であれば、ホウ素粒子の熱酸化処理の温度より低いため、窒化ホウ素ナノチューブと、副生成物と、の固着を避け、窒化ホウ素ナノチューブが分散しやすいため好ましい。
次に、実施例を説明する。
まず、評価に用いられる窒化ホウ素ナノチューブ分散液を下記の方法で準備した。まず、小型プラズマ装置(TEKNA Plasma Systems inc.製 TekNanо―15)を用い、以下の要領で副生成物を含有するBNNT生成物、すなわち窒化ホウ素ナノチューブを含む原料を合成した。始めに、反応容器内をアルゴンガスでパージした。次に、中央領域にアルゴンガス(流速:10L/min)を流し、アルゴン(30L/min)と水素(2.5L/min)の混合ガスを流すことにより、プラズマを閉じ込める管の外周にシースガスを流す。窒素ガスは、トーチノズル(10L/min)と反応容器を取り囲むポーラスウォール(47L/min)の両方を通して流される。プラズマ着火から数分後、反応容器とサイクロンの間に設置した熱電対の温度が一定になった時点で、素原料のh-BN粉末(平均粒径:5μm)をプラズマトーチの上部に設置したフィーダから、アルゴン(2.5L/min)をキャリアガスとして連続供給した。供給速度は0.5g/min、運転時間は2hr、反応チャンバ内圧力は1atmとした。合成が終了した後、装置を分解して、プラズマトーチ、リアクタ、サイクロン及びフィルター部に付着した生成物を回収した。
回収した合成後の生成物について顕微鏡観察を行った。図1は、得られた生成物についての低倍率の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)像である。生成物はBNNT101と、BNフラーレン102およびh-BN薄片103を有している。BNフラーレン102とは、B原子とN原子が交互に結合したグラフェン構造を有し、球状または長球状に閉じた構造を有する物質である。また、h-BN薄片103とは、結晶性のh-BNからなるシート状の物質である。なお、BNフラーレン102の中にはホウ素粒子(黒色コントラスト部)が取り込まれている。なお、生成物の合成方法としては、他の合成方法でもよい。
次に、合成後の生成物を用いて、実施例1として下記の方法により各処理を行った。分散剤として東京化成工業社製のエチルセルロース(EC)を25mgと、有機溶媒としてベンジルアルコールを20cmと、を混合した後、この溶液に、上記で合成した生成物を15mg添加した。すなわち、合成後の生成物、すなわち窒化ホウ素ナノチューブを含む原料を1質量部に対し、sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤を1.7質量部と、前記有機溶媒1333質量部とした。この混合物を室温で超音波ホモジナイザーにより20分間分散処理した。引き続き、遠心加速度30000Gで3時間遠心分離し、原料に含まれる副生成物を除去し、BNNT分散液を得た。
図2は前記BNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像である。図1で示した合成後の生成物に含まれていたBNフラーレンやh-BN薄片が除去されていることが確認された。このことから、窒化ホウ素フラーレンやh-BN薄片などの強化効果の小さい副生成物の割合が低減されていることが分かった。
図3は図2の試料の高分解能TEM像である。BNNT301表面はエチルセルロースと思われる非晶質物質302で覆われていた。
次に、BNNT表面に付着しているエチルセルロースを熱分解除去するため、前記BNNT分散液を乾燥後、大気中において500℃で1hr間加熱処理した。特許文献2においては、熱酸化処理として650℃乃至850℃の範囲内の温度で大気空気酸化するステップを必要とするが、実施例1では、そのステップを行わなかった。
図4は大気中熱処理したBNNTをイソプロピルアルコール中に添加し、超音波処理したBNNT分散液を炭素膜で被覆した銅グリッドに滴下して作製した試料の高分解能TEM像である。BNNT表面の非晶質層が消失しているとともに、BNNT401の側壁が明瞭に観察され、BNNTは完全な結晶状態を保持していることが確認された。
実施例2として、分散剤をビニル系ポリマーであるポリビニルブチラール(PVB)としたこと以外は、実施例1と同様にしてBNNTを得た。図5は前記BNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像である。実施例1と同様に、窒化ホウ素フラーレンやh-BN薄片などの強化効果の小さい副生成物の割合が低減していることが分かった。
比較例1
比較例1として、分散剤をsp2結合性のCH基を有する非イオン性ポリマーであるポリ[m-フェニレンビニレン-co-(2,5-ジオクトキシ-p-フェニレンビニレン)](PmPV)としたこと以外は、実施例1と同様にしてBNNTを得た。図6は前記BNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像である。窒化ホウ素フラーレンやh-BN薄片などの強化効果の小さい副生成物の割合が低減していることが分かった。
比較例2
比較例2として、分散剤をsp3結合性のCH基を有するイオン性ポリマーであるCMC(カルボキシメチルセルロースは)とし、溶媒として水を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてBNNTを得た。図7は前記BNNT分散液から溶媒を除去した試料の低倍率のTEM像である。窒化ホウ素フラーレンやh-BN薄片などの強化効果の小さい副生成物が多数残存していることが分かった。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2において、BNNT分散液から溶媒を除去した試料のTEM像から、残留している副生成物(BNフラーレンやh-BN薄片)量は、概ね、実施例2が最も少なく、次いで、実施例1と比較例1が少なく、比較例2は、最も副生成物量が多いことがわかった。これは、比較例2は分散剤がイオン性ポリマーであり、溶媒として水を用いたため、前述したように、BNNTの周囲にミセルが生成され、比較的粗大な副生成物(BNフラーレンやh-BN薄片)も、BNNTと同様に可溶化し、BNNTの選択的な分散性が劣ったためと考えられる。
また、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2について、それぞれ、以下の式にて、分散したBNNTの収率を求めた。

収率(%)={([合成後の生成物質量]―[遠心分離後の残渣の質量])/[合成後の生成物質量]}×100

その結果、実施例1(55%)>実施例2(51%)>比較例1(32%)>比較例2(20%)の順で、収率が高いことが分かった。
比較例1の分散液は、sp2結合性の主鎖を持つため、sp3結合性の主鎖を有するEC、PVBと比較して剛直であり、特に細径のBNNTに巻き付きにくく、分散性が劣ったものと考えられる。
これらの結果より、本発明の分散剤を適用した場合、比較例の分散剤を適用した場合に比べて、副生成物の残量が少なく(BNNTの純度が高く)、かつ、BNNTの収率が高くなることがわかった。
本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、分散液の製造に用いる超音波や遠心分離の条件は、BNNT、分散剤、溶媒の質量の混合比率に応じて適宜に選定すればよい。
101、301、401・・・BNNT
102・・・BNフラーレン
103・・・h-BN薄片
302・・・エチルセルロース

Claims (2)

  1. 窒化ホウ素ナノチューブを含む原料と、
    sp3結合性のCH基を有する非イオン性ポリマー分散剤と、
    有機溶媒と、を混合し、懸濁液を得る工程と、
    得られた懸濁液を遠心分離し、原料に含まれる副生成物を除去し、窒化ホウ素ナノチューブを含む分散液を得る工程と、
    を有することを特徴とする窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
  2. 前記ポリマー分散剤が、セルロース系ポリマー又はビニル系ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化ホウ素ナノチューブの製造方法。
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