JP2003300714A - カーボンナノチューブの精製方法 - Google Patents
カーボンナノチューブの精製方法Info
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Abstract
コストで確実に分離する。 【解決手段】 カーボンナノチューブと超臨界流体とを
反応させてカーボンナノチューブ中の不純物を酸化・除
去する。超臨界流体として、好適には水、アンモニア、
二酸化炭素、メタノール、エタノールを利用する。 【効果】 超臨界流体の高い輸送特性と反応性によ
り、カーボン不純物を含まない高品質なカーボンナノチ
ューブを短時間かつ低コストで得ることができる。
Description
ーブに対して、特に超臨界流体の高い拡散性や超臨界メ
タノールなどのマイルドな酸化反応を利用したカーボン
ナノチューブの精製方法に関するものである。
して、アーク放電法、CVD法、レーザーアプレーショ
ン法等があるが、いずれの手法においても、その粗生成
物にはカーボンナノ微粒子などの大量の不純物が存在し
ている。さらに触媒を使用する方法であれば、金属超微
粒子も多数残留することになる。このカーボンナノチュ
ーブは半導体デバイス、SPMの探針、電界放出ディス
プレイ、電極材料、水素等のガス吸蔵材等、広範囲な工
学的応用が期待されており、その為にも、上記した微粒
子不純物の分離・精製が必要とされている。カーボンナ
ノチューブは、ナノメートルサイズの円筒状のグラファ
イトであり、アーク放電法によるフラーレン合成時に、
はじめてその存在が確認された。フラーレン類(C60
等)は、トルエン等のある特定の有機溶剤に溶解する。
その溶液を利用して、クロマトグラフィ等により99%
以上の純度まで精製され市販されている。その一方、カ
ーボンナノチューブは溶剤に溶解しないために、クロマ
トグラフィのような従来の技術を利用することが出来
ず、前記不純物の分離・精製が困難なものとなってい
る。
精製法を挙げる。 1)カーボンナノチューブを超音波洗浄機などで分散さ
せ、クロマトグラフィで分離する(特開平06−228
824号公報)。 2)遠心法による液中の沈降速度の差による分離(板東
ら:Appl.Phys.A67,p.23(199
8)、特開平07−48111号公報)。 3)グラファイト片ないしカーボンナノ微粒子と、カー
ボンナノチューブの耐酸化能力の差を利用して、気相中
での加熱による酸化反応の利用(Ebbesenら:N
ature.367.p.519(1994)、特開平
07−48110号公報、特開平08−91815号公
報、特開2000−290008号公報、特開2001
−31410号公報)。
中に分散させ、加熱・撹拌して酸化除去する。(Adv
ancec Materials.10.p.611
(1998)、特開平08−19861号公報、特開2
001−20072号公報)。 5)帯電させて、金属タイプと絶縁タイプのカーボンナ
ノチューブを分離(特開平08−231210号公
報)。 6)電気泳動による分離・回収(特開2000−724
22号公報)。 7)溶媒に分散させている、メンブレンフィルタで濾過
する。等が報告されている。
れているが、同時に、そもそも精製工程を必要としな
い、100%近い高純度品を直接合成する方法の研究開
発も成されている。精製方法としては未だ決定的なもの
が報告されてないが、多層カーボンナノチューブでは、
CVD法による、ほとんど精製工程を必要としない高純
度品の合成が報告されている。しかし、アーク放電法に
よる合成は不純物が多い一方、直線的な形状すなわち欠
陥が少ないという利点を有するので、よく利用されてお
り、また単層カーボンナノチューブでは、高純度品の効
果的な合成が見出されていないので、精製工程が必須で
ある。
カーボンナノチューブと不純物の密度の差(カーボンナ
ノチューブ(単層:約1.4g/cc、多層:2g/c
c)は、グラファイト(2.25g/cc)よりも密度
が小さい)、及び物体の形状による流体抵抗の差によ
る、液中の沈降速度の違いを利用して分離する(特開平
05−212270号公報)。1998年、板東らは、
アーク放電により得られていた単層カーボンナノチュー
ブを、0.1%陽イオン界面活性剤水溶液に超音波を用
いて均一に分散させ、遠心分離機(r≒8cm)による
単層カーボンナノチューブの分離を試み、回転数150
00rpmで40wt%以上の純度を得ている。
応は不純物だけでなくカーボンナノチューブでも発生す
る。燃焼は欠陥などの歪みが大きいところから始まり、
チューブでは端から始まり中心へと進んでいく。カーボ
ンナノチューブの直径は、1〜数十nmと非常に小さい
が、長さは1〜数十ミクロンと非常に長いので、燃え尽
きてしまう時間が不純物(主にカーボンナノ微粒子)よ
りも長い。即ち、適当な時間で反応を止めれば、カーボ
ンナノチューブだけが後に残る。しかし、この手法は収
率が低く、1994年のEbbesenらによる気相法
(750℃の空気中で30分間熱処理)では、反応前の
1%のカーボンナノチューブしか残らなかった。
ある(Advancec Materials.10.
p.611(1998))。これは、カーボンナノチュ
ーブ粗生成物を濃硝酸に分散させ、高温で環流させて炭
素不純物を酸化除去するものである。この手法は、同じ
酸化法でも気相中における熱処理のように、反応が不均
一になることがない。日浦らは、硫酸にマンガン酸カリ
ウムを徐々に加えて5時間環流させることにより、精製
後40%を回収している。
超音波を用いて分散させ、その分散液を目が数ナノ〜数
百ナノ程度の限外濾過膜で濾過する。不純物であるカー
ボンナノ粒子は、粒径が数十nm程度なので濾過する。
単層ナノチューブの直径は、1〜2nm(多層の場合は
数十nm)と、カーボンナノ粒子より小さいが、長さが
1〜数十ミクロンにも及び、限外濾過膜(メンブレンフ
ィルタ)を、簡単に通り抜けることは出来ない。これに
より、カーボンナノ粒子だけは除去できる。ただし、濾
過されなかった不純物は、他の方法で除去する必要があ
る。
では、以下に示すような問題がある。
の、カーボンナノチューブ本体や粗生成物の特性が実験
装置および条件によって異なり、複雑な手法となり収率
も低い。
に偏りが発生しやすく、均一な処理にならないことが多
い。また、カーボンナノチューブと不純物であるナノカ
ーボン微粒子との酸化反応速度にはあまり違いがないの
で、不純物を除去する際には、カーボンナノチューブ本
体への酸化のダメージも大きくなる。また、不純物の割
合が高いときは酸化処理時間が長くなるので、ダメージ
は一層大きくなり、カーボンナノチューブの収率はより
低くなる。
同様、カーボンナノチューブの表面にダメージを与える
ために、高品質のカーボンナノチューブを得ることが出
来ない。また、実際使用する段には、この後に、分離・
洗浄・乾燥工程を設ける必要があり、結果として工程数
が多くなってしまうという欠点がある。さらに、液相法
では、流体の拡散性が小さいので、カーボンナノチュー
ブ間に付着したナノカーボン微粒子を除去することが困
難で、残留することが多い。
う制約がある。また、ナノ微粒子の分離は可能である
が、それ以外の不純物の分離は出来ない。いずれの方法
でも総じて、仮に収率が高くても処理に時間を要するの
でカーボンナノチューブ本体へのダメージも大きくな
る。また、条件が細かく作業が煩雑になることもあり、
決定的な手法はないので複数の処理を組み合わせるのが
実際的である。
ものであり、精製工程におけるより高い収率の達成、処
理の要する時間の短縮化によるコストの低減及びカーボ
ンナノチューブ本体へのダメージの低減による最終処理
生成物の高品質化等、気相の酸化法と液相の酸化法の優
れた点を合わせ、カーボンナノチューブの粗生成物か
ら、主にグラファイトや非晶質カーボンなどの炭素系不
純物を簡単かつ迅速な方法で分離・除去できる精製方法
を提供する。
本発明のカーボンナノチューブの精製方法のうち請求項
1記載の発明は、カーボンナノチューブと超臨界流体と
を反応させてカーボンナノチューブ中の不純物を酸化・
除去することを特徴とする。
製方法は、請求項1記載の発明において、超臨界流体と
して、水、アンモニア、二酸化炭素、メタノール、エタ
ノールのいずれかまたは混合物を利用することを特徴と
する。
製方法は、請求項1または2に記載の発明において、前
記反応時の温度領域が、臨界温度−20℃〜臨界温度+
100℃、臨界圧力−2MPa〜臨界圧力+10MPa
の、亜臨界領域を含む領域にあることを特徴とする。
製方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明におい
て、前記反応に際し添加物として、高圧ガスを使用する
ことを特徴とする。
製方法は、請求項4記載の発明において、前記高圧ガス
が、二酸化炭素、過酸化水素、酸素、オゾンのいずれか
または混合物であることを特徴とする。
製方法は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明におい
て、前記反応の時間が30分〜3時間であることを特徴
とする。
い拡散性と反応性を利用して、カーボンナノチューブの
不純物を酸化・除去する。超臨界流体の密度は温度と圧
力条件により大きく変わる。即ち、連続的に酸化力を変
化させることが出来る。また、気体に比べて、液体に近
い高い密度であるが粘度が小さく、その上、拡散係数は
液体の数百倍近いという性質をもっている(気体に近
い、非常に優れた輸送特性である)。さらに、高温高圧
であるため、非常に分子運動が激しい。
にも容易に浸透しやすく、大きな運動エネルギーを有し
ているために、特異的な化学反応を発生させる反応媒体
として利用できる。本発明は、このような超臨界流体の
もつ、低粘性、高拡散特性による優れた輸送特性と大き
な反応速度を利用して、カーボンナノチューブ粗生成物
の中の炭素系ナノ不純物を短時間で除去する事を日的と
するものである。また、拡散性が高いので、硝酸などを
利用した液相法では除去できない、カーボンナノチュー
ブ表面に付着したナノ粒子の除去に効果がある。
ューブには、常法により製造した物を使用可能であり、
本発明としては特に製造方法が限定されるものではな
い。好適な製造方法例としてには、アーク放電法による
合成法が挙げられる。この方法は、前記したように欠陥
が少なく、不純物が多いという点に関しては本発明法の
採用により問題を解消できる。
界温度:512.6K、臨界圧力:8.1MPa)、エ
タノール(516.2K、6.1MPa)、アンモニア
(405.6K、11.4MPa)、二酸化炭素(30
4.15K、7.38MPa)が適している。アンモニ
アや二酸化炭素は、単独では酸化力が小さいので、高圧
酸素などを混入して、酸化力を高めるのが望ましい。処
理方法としては、従来の超臨界処理装置同様、バッチ式
と連続式の両方が適用できる。
ボンナノチューブを設置し、適当なガス雰囲気下で臨界
温度以上に加熱、そこに予備加熱した高圧流体を注入、
指定時間後、ガスを回収して大気圧に戻し、容器の中か
らカーボンナノチューブを回収する。または、カーボン
ナノチューブが分散したアルコールをリアクターの中で
超臨界状態にした後、温度を一定のまま圧力を低下さ
せ、流体を(液化させずに)ガスとして除去し、カーボ
ンナノチューブと分離、カーボンナノチューブを回収す
る。また、カーボンナノチューブスラリーを利用した連
続処理をする場合は、カーボンナノチューブ分散流体を
予備加熱・圧縮し、指定の温度まで加熱されたチャンバ
ー内に噴霧する。このとき、流体の反応力を制御するた
めに、高温高圧ガスを適量注入する。
臨界流体とを反応容器内で反応させた後、超臨界状態か
ら脱してガス状の状態の流体を反応容器内から排除する
ことにより、超微粒不純物を含んだ流体とカーボンナノ
チューブとを容易に分離できる。
は、図1に示すように、安定な6員環から構成され、キ
ャップの部分はフラーレンと同じ構造で反応しやすい5
員環が存在する。酸化反応によってこの5員環が反応
し、チューブのキャップが除去されることになる。ま
た、ナノカーボン微粒子の構造も5員環なので、酸化処
理によって優先的に除去される。
て、連続的に変化させることができる。即ち、連続的に
反応性を変化させることが出来る。また、気体に比べて
液体に近い密度である割に粘度が小さく、その上拡散係
数は液体の数百倍近いという性質をもっている(気体に
近い、非常に優れた輸送特性)。(表1)このように超
臨界流体の高い拡散性と低粘性による、優れた輸送特
性、溶媒和特性を利用して、不純物を効果的に酸化・除
去する。
電法によって合成された、多層カーボンナノチューブ粗
生成品0.5gを20mlのメタノールと混合し、30
分超音波洗浄器にかけてカーボンナノチューブを分散さ
せた。この分散液を大気雰囲気中でSUS316製反応
器に充填・密閉し、高温・高圧で反応を行った。このと
き、反応温度は573K、反応圧力は14.5MPa、
反応時間は60分間、昇温速度はおよそ20℃/分でP
ID制御した。処理終了後、容器内を臨界温度以上に保
持したまま、リークバルブを開いて圧力を低下させ、メ
タノールだけを液相に戻すことなく、分離・回収した。
上記の相変化を図2に示す。
自然冷却して乾燥カーボンナノチューブを回収した。取
り出したカーボンナノチューブ粗生成物中の不純物の変
化を、電子顕微鏡観察(倍率10,000倍)により確
認した。処理前、処理後の像を、それぞれ図3、4に示
す。図3ではチューブに不純物が付着して、見かけ上の
チューブの太さがまちまちであるが、処理後は均質なウ
ィスカー状を呈したものが多く、カーボンナノチューブ
に付着していた不純物が除去されたことが分かる。
超臨界流体の高い輸送特性と反応性により、カーボン不
純物を含まない高品質なカーボンナノチューブを、比較
的容易な操作により得ることが出来る。また、連続的に
反応性を容易に制御することができるので最適化が容易
であり、反応時間も短く工程数も減らすことができるの
で時間の短縮化も達成できる。さらに、装置が閉鎖系な
ので有機溶媒などによる二次汚染の心配がない。すなわ
ち、微細領域の不純物処理、大きな反応量、容易な分離
・乾燥処理、比較的低温で短時間の処理が可能となり、
従来品より高品質なCNTを低コストで得ることができ
る。よって、本発明は、能力的・コスト的にも非常に有
用なものである。
る。
化を示す図である。
電子顕微鏡写真である。
電子顕微鏡写真である。
Claims (6)
- 【請求項1】 カーボンナノチューブと超臨界流体とを
反応させてカーボンナノチューブ中の不純物を酸化・除
去することを特徴とするカーボンナノチューブの精製方
法。 - 【請求項2】 超臨界流体として、水、アンモニア、二
酸化炭素、メタノール、エタノールのいずれか、または
混合物を利用することを特徴とする請求項1記載のカー
ボンナノチューブの精製方法。 - 【請求項3】 前記反応時の温度領域が、臨界温度−2
0℃〜臨界温度+100℃、臨界圧力−2MPa〜臨界
圧力+10MPaの、亜臨界領域を含む領域にあること
を特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチ
ューブの精製方法。 - 【請求項4】 前記反応に際し添加物として、高圧ガス
を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載のカーボンナノチューブの精製方法。 - 【請求項5】 前記高圧ガスが、二酸化炭素、過酸化水
素、酸素、オゾンのいずれかまたは混合物であることを
特徴とする請求項4記載のカーボンナノチューブの精製
方法。 - 【請求項6】 前記反応の時間が30分〜3時間である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカー
ボンナノチューブの精製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002106243A JP3718775B2 (ja) | 2002-04-09 | 2002-04-09 | カーボンナノチューブの精製方法 |
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