JP7276128B2 - 光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体、転写用複層物、偏光板、並びに画像表示装置 - Google Patents

光学異方性層及びその製造方法、光学異方性積層体、転写用複層物、偏光板、並びに画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学異方性層及びその製造方法;前記の光学異方性層を備えた光学異方性積層体;並びに、前記の光学異方性層を備えた転写用複層物、偏光板及び画像表示装置;に関する。
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置には、様々な光学フィルムが設けられる。以下、「有機エレクトロルミネッセンス」のことを、適宜「有機EL」ということがある。このような光学フィルムに係る技術については、従来から検討がなされている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2015-14712号公報 特開2015-57646号公報(対応公報:米国特許出願公開第2015/041051号明細書)
画像表示装置の表示面には、円偏光板が設けられることがある。前記の円偏光板としては、通常、直線偏光子と、光学異方性層とを備える光学フィルムが用いられる。画像表示装置の表示面に円偏光板を設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
上に述べた円偏光板の効果は、表示面を傾斜方向から見た場合には損なわれる場合がある。表示面を傾斜方向から見た場合の効果を高めるため、円偏光板と組み合わせてポジティブCフィルムを設けることが考えられる。このような用途に用いるポジティブCフィルムは、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すフィルムであることが好ましい。そのようなポジティブCフィルムは、例えば特許文献1及び2に記載されるもののように、液晶化合物を用いた製造方法により製造することが考えられる。
ところが、従来の技術では、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCフィルムを製造することは、容易ではなかった。例えば、特許文献1及び2に記載の液晶化合物を用いた製造方法のように、配向膜を用いる方法では、配向膜と液晶化合物との相性を調整することが求められるので、その調整が煩雑である。さらに、配向膜を基材上に塗工する工程が増えるため、配向膜の使用は、コストの上昇を招く可能性がある。加えて、画像表示装置に用いられる光学フィルムには、波長分散性以外にも様々な特性が求められる。例えば、光学フィルムには、高い耐久性及び良好な色調が求められる。従来技術における逆波長分散性Rthを有するポジティブCフィルムは、そのような耐久性及び色調において劣ることがある。例えば、一般に光学フィルムは高温の環境中での長期間の使用による劣化が少ないことが求められるところ、従来技術における逆波長分散性Rthを有するポジティブCフィルムは、高温の環境中での長期間の使用の結果ヘイズが上昇し白濁する等の不具合が生じやすい。また、一般に光学フィルムは、光の波長による透過率及び反射率の偏りが無く色調が無色に近いことが求められるところ、従来技術における逆波長分散性Rthを有するポジティブCフィルムはまた、その色調が、無色ではなく、黄色等の色調を帯びていることがある。
従って、本発明の目的は、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートにおいて耐久性が高く、良好な色調を有する光学異方性層および、前記光学異方性層を備えた転写用複層物、その製造方法、並びにかかる光学異方性層を備える光学異方性積層体、転写用複層物、偏光板、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、下記のとおりである。
〔1〕 ポジC重合体と、メソゲン化合物と、メソゲン化合物の重合物とを含む光学異方性層であって、
前記ポジC重合体は、前記ポジC重合体の溶液を用いた塗工法により前記ポジC重合体の膜を形成した場合に、前記膜が、式(1)を満たす重合体であり、
前記メソゲン化合物は、メソゲン骨格およびアクリレート構造を有する化合物であり、
前記光学異方性層は、式(2)及び式(3)を満たす、光学異方性層:
nz(P)>nx(P)≧ny(P) 式(1)
nz(A)>nx(A)≧ny(A) 式(2)
0.073<AC-H/AC=O(メソゲン化合物)<0.125 式(3)
但し、
nx(P)、ny(P)及びnz(P)は、前記膜の主屈折率であり、
nx(A)、ny(A)及びnz(A)は、前記光学異方性層の主屈折率であり、
C-Hは、前記光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造が有するC-H結合の面外変角振動にかかる赤外吸収であり、
C=O(メソゲン化合物)は、前記光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造が有するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収と、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収との和である。
〔2〕 前記メソゲン化合物が、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す化合物である、〔1〕に記載の光学異方性層。
〔3〕 式(4)及び式(5)を満たす、〔1〕又は〔2〕に記載の光学異方性層:
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 式(4)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 式(5)
但し、
Rth(A450)は、前記光学異方性層の波長450nmにおける厚み方向のレターデーションであり、
Rth(A550)は、前記光学異方性層の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションであり、
Rth(A650)は、前記光学異方性層の波長650nmにおける厚み方向のレターデーションである。
〔4〕 前記メソゲン化合物が、下記式(I)で表される、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の光学異方性層:
Figure 0007276128000001
(前記式(I)において、
~Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、-C(=O)-R、-SO-R、-C(=S)NH-R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、フェニル基、又は、4-メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5~20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
mおよびnは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
但し、Z-Y-及び-Y-Zの一方又は両方は、アクリロイルオキシ基である。)
〔5〕 前記メソゲン化合物が、その分子構造中に、ベンゾチアゾール環、並びに、シクロヘキシル環及びフェニル環の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の光学異方性層。
〔6〕 前記ポジC重合体が、ポリビニルカルバゾール、ポリフマル酸エステル及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合体である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の光学異方性層。
〔7〕 前記光学異方性層の全固形分における前記メソゲン化合物及びその重合物の比率が、20重量%以上60重量%以下である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の光学異方性層。
〔8〕 式(6)及び式(7)を満たす、〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の光学異方性層:
Re(A590)≦10nm 式(6)
-200nm≦Rth(A590)≦-10nm 式(7)
但し、
Re(A590)は、前記光学異方性層の波長590nmにおける面内レターデーションであり、
Rth(A590)は、前記光学異方性層の波長590nmにおける厚み方向のレターデーションである。
〔9〕 基材と、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の光学異方性層とを備えた、転写用複層物。
〔10〕 〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の光学異方性層と、位相差層とを備え、
前記位相差層は、式(8)を満たす、光学異方性積層体:
nx(B)>ny(B)≧nz(B) 式(8)
但し、nx(B)、ny(B)及びnz(B)は、前記位相差層の主屈折率である。
〔11〕 前記位相差層が、式(9)及び式(10)を満たす、〔10〕記載の光学異方性積層体:
0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 式(9)
1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 式(10)
但し、
Re(B450)は、前記位相差層の波長450nmにおける面内レターデーションであり、
Re(B550)は、前記位相差層の波長550nmにおける面内レターデーションであり、
Re(B650)は、前記位相差層の波長650nmにおける面内レターデーションである。
〔12〕 前記位相差層が、下記式(II)で表される位相差層用液晶化合物を含む、〔11〕に記載の光学異方性積層体:
Figure 0007276128000002
(前記式(II)において、
~Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、-C(=O)-R、-SO-R、-C(=S)NH-R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、フェニル基、又は、4-メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5~20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
mおよびnは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
〔13〕 直線偏光子と、
〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の光学異方性層、〔9〕記載の転写用複層物、又は、〔10〕~〔12〕のいずれか1項に記載の光学異方性積層体と、を備える、偏光板。
〔14〕 〔13〕記載の偏光板を備える、画像表示装置。
〔15〕 〔10〕~〔12〕のいずれか1項に記載の光学異方性積層体と、
直線偏光子と、
画像表示素子と、を、この順に備え、
前記画像表示素子が、液晶セル又は有機エレクトロルミネッセンス素子である、画像表示装置。
〔16〕 〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の光学異方性層の製造方法であって、
ポジC重合体、メソゲン化合物、溶媒、光重合開始剤、および架橋剤を含む塗工液を用意する工程と、
前記塗工液を支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と、
前記塗工液層への光の照射を行い、前記塗工液層を硬化させる工程と、を含む製造方法。
〔17〕 前記塗工液における、前記メソゲン化合物100重量部に対する前記光重合開始剤の比率が1重量部~10重量部であり、
前記メソゲン化合物100重量部に対する前記架橋剤の比率が1重量部~10重量部である、〔16〕に記載の光学異方性層の製造方法。
〔18〕 照射する前記光の積算光量が600mJ/cm~5000mJ/cmである、〔16〕又は〔17〕に記載の製造方法。
本発明によれば、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートにおいて、耐久性が高く、良好な色調を有する光学異方性層および、前記光学異方性層を備えた転写用複層物、その製造方法、並びにかかる光学異方性層を備える光学異方性積層体、転写用複層物、偏光板、及び画像表示装置が提供される。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある面の正面方向とは、別に断らない限り、当該面の法線方向を意味し、具体的には前記面の極角0°且つ方位角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の傾斜方向とは、別に断らない限り、当該面に平行でも垂直でもない方向を意味し、具体的には前記面の極角が0°より大きく90°より小さい範囲の方向を指す。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層の面内レターデーションReは、Re=(nx-ny)×dで表される値を示し、また、ある層の厚み方向のレターデーションRthとは、Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]×dで表される値を示す。ここで、nxは、層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、nzは、層の厚み方向の屈折率を表し、dは、層の厚みを表す。また、面内方向とは、厚み方向に垂直な方向を示す。
以下の説明において、別に断らない限り、屈折率の測定波長は、590nmである。
以下の説明において、「長尺」の部材とは、幅に対して、通常5倍以上の長さを有する部材をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有する部材をいう。長尺の部材の長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」、「メタクリル」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、正の固有複屈折値を有する樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、負の固有複屈折値を有する樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層又は膜の主屈折率とは、当該層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx、当該層の面内方向であって前記nxを与える方向に垂直な方向の屈折率ny、及び当該層の厚み方向の屈折率nzをいう。本願においては、これらnx、ny及びnzに対応する屈折率を、それぞれ、文字列「nx」、「ny」及び「nz」を含む記号にて表す。例えば、光学異方性層の主屈折率nx(A)、ny(A)及びnz(A)のうち、nx(A)は、光学異方性層の面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率であり、ny(A)は、光学異方性層の面内方向であってnx(A)を与える方向に垂直な方向の屈折率であり、nz(A)は、光学異方性層の厚み方向の屈折率である。
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReが逆波長分散性を示す、とは、当該層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)/Re(550)<1.00を満たすことをいう。Reが逆波長分散性を有する層は、好ましくはさらに、当該層の波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(550)及びRe(650)が、Re(550)/Re(650)<1.00を満たす。
ある層の厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す、とは、当該層の波長450nm及び550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(450)及びRth(550)が、Rth(450)/Rth(550)<1.00を満たすことをいう。Rthが逆波長分散性を有する層は、好ましくはさらに、当該層の波長550nm及び650nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)及びRth(650)が、Rth(550)/Rth(650)<1.00を満たす。
〔1.光学異方性層〕
本発明の光学異方性層は、ポジC重合体と、メソゲン化合物と、メソゲン化合物の重合物とを含み、特定の光学特性を有する。
〔1.1.ポジC重合体〕
ポジC重合体は、重合体であって、当該重合体の溶液を用いた塗工法により重合体の膜を形成した場合に、かかる膜が、式(1)を満たすものである。
nz(P)>nx(P)≧ny(P) 式(1)
但し、nx(P)、ny(P)及びnz(P)は、かかる膜の主屈折率である。このようなポジC重合体を、メソゲン化合物と組み合わせて用いることにより、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCフィルムとして用いられる光学異方性層を実現できる。
ある重合体が、ポジC重合体に該当するか否かは、下記の方法によって確認できる。
まず、試料としての重合体を、メチルエチルケトン(MEK)、1,3-ジオキソラン、N-メチルピロリドン(NMP)等の溶媒に、重合体の濃度が10重量%~20重量%になるように加え、室温にて溶解させて、重合体溶液を得る。
この重合体溶液を、樹脂からなる未延伸フィルム上に、アプリケーターを用いて塗工して、重合体溶液の層を形成する。その後、85℃オーブンで10分ほど乾燥させて、溶媒を蒸発させることにより、厚み10μm程度の重合体膜を得る。
そして、この重合体膜の屈折率nx(P)、屈折率ny(P)及び屈折率nz(P)が、式(1)を満たすか否かを評価し、満たす場合に、その試料としての重合体は、ポジC重合体に該当すると判定できる。
中でも、前記の屈折率nx(P)と屈折率ny(P)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率nx(P)と屈折率ny(P)の差nx(P)-ny(P)は、好ましくは0.00000~0.00100、より好ましくは0.00000~0.00050、特に好ましくは0.00000~0.00020である。屈折率差nx(P)-ny(P)が前記の範囲に収まることにより、本発明の光学異方性層を容易に得ることができる。
ポジC重合体としては、当該ポジC重合体の溶液を用いた塗工法によりポジC重合体の膜を形成した場合に、かかる膜が前記の式(1)を満たす屈折率を有する任意の重合体を用いうる。中でも、ポジC重合体としては、ポリビニルカルバゾール、ポリフマル酸エステル及びセルロース誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の重合体が好ましい。これらの重合体をポジC重合体として用いることにより、塗工によって厚み方向のレターデーションRthが大きい光学異方性層を、容易に得ることができる。
ポリビニルカルバゾールの例としては、9-ビニルカルバゾールが重合してなる重合単位を含む重合体が挙げられる。
ポリフマル酸エステルの例としては、フマル酸ジイソプロピルとアクリル酸3-エチル-3-オキセタニルメチルとの共重合体;及びフマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルとの共重合体が挙げられる。
ポジC重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
光学異方性層の全固形分におけるポジC重合体の比率は、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは35重量%以上、最も好ましくは40重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。ポジC重合体の比率が、前記範囲の下限値以上であることにより、光学異方性層において、メソゲン化合物を均一に分散させたり、光学異方性層の機械的強度を高くしたりでき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散性を逆分散性に近づけ易くできる。ここで、ある層の固形分とは、その層を乾燥した場合に残留する成分のことをいう。
〔1.2.メソゲン化合物〕
本願において、メソゲン化合物は、メソゲン骨格およびアクリレート構造を有する化合物である。
メソゲン化合物が有するメソゲン骨格とは、その引力及び斥力的相互作用の異方性によって、低分子量又は高分子量の物質中で、液晶相の発生に本質的に寄与する分子骨格を意味する。メソゲン骨格を含有するメソゲン化合物は、それ自身では、必ずしも液晶相への相転移を生じうる液晶性を有していなくてもよい。よって、メソゲン化合物は、単独で液晶相への相転移を生じうる液晶化合物であってもよく、単独では液晶相への相転移を生じない非液晶化合物であってもよい。メソゲン骨格の例としては、剛直な棒状又は円盤状の形状のユニットが挙げられる。メソゲン骨格については、Pure Appl.Chem.2001、73巻(5号)、888頁およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340~6368頁を参照しうる。
光学異方性層において、メソゲン化合物は、その配向状態が固定されていてもよい。例えば、メソゲン化合物は、重合によって、当該メソゲン化合物の配向状態が固定されていてもよい。通常、重合により、メソゲン化合物は、そのメソゲン化合物の配向状態を維持したまま重合体となりうるので、前記の重合により、メソゲン化合物の配向状態が固定される。よって、用語「配向状態が固定されたメソゲン化合物」には、メソゲン化合物の重合体が包含される。したがって、メソゲン化合物が液晶性を有する液晶化合物である場合、この液晶化合物は、光学異方性層において、液晶相を呈していてもよく、配向状態が固定化されることによって液晶相を呈していなくてもよい。
前記のメソゲン化合物としては、逆波長分散液晶化合物、逆波長メソゲン化合物、又はこれらの組み合わせを用いうる。
ここで、逆波長分散液晶化合物とは、下記の要件(i)及び(ii)を全て満たす化合物を意味する。
(i)逆波長分散液晶化合物は、液晶性を示す。
(ii)逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す。
また、逆波長メソゲン化合物とは、下記の要件(iii)、要件(iv)及び要件(v)を全て満たす化合物を意味する。
(iii)逆波長メソゲン化合物は、単独では液晶性を示さない。
(iv)逆波長メソゲン化合物を含む特定の評価用混合物が、液晶性を示す。
(v)前記評価用混合物がホモジニアス配向した場合に、逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示す。
前記の評価用混合物とは、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す評価用液晶化合物に、前記の逆波長メソゲン化合物を、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して30重量部~70重量部の少なくともいずれかの割合で混合した混合物である。
このようなメソゲン化合物を、ポジC重合体と組み合わせて用いることにより、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCフィルムとして用いられる光学異方性層を実現できる。
以下、逆波長分散液晶化合物について説明する。
逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示す。ここで、液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。液晶化合物が配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格を含む場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが配向する方向が、前記の配向方向となる。液晶化合物がホモジニアス配向しているか否か、及びその配向方向は、AxoScan(Axometrics社製)に代表されるような位相差計を用いた遅相軸方向の測定と、遅相軸方向における入射角毎のレターデーション分布の測定とにより確認しうる。
逆波長分散液晶化合物を含む液晶層を形成し、その液晶層における液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記液晶層の面に平行なある一の方向に配向させた場合には、その液晶層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(L450)及びRe(L550)は、通常、Re(L450)/Re(L550)<1.00を満たす。
さらに、波長450nm、550nm及び650nmにおける前記の液晶層の面内レターデーションRe(L450)、Re(L550)及びRe(L650)は、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、Re(L450)<Re(L550)≦Re(L650)を満たすことがより好ましい。
逆波長分散液晶化合物としては、例えば、当該逆波長分散液晶化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む化合物を用いうる。主鎖メソゲン骨格及び側鎖メソゲン骨格を含む前記の逆波長分散液晶化合物は、当該逆波長分散液晶化合物が配向した状態において、側鎖メソゲン骨格が主鎖メソゲン骨格と異なる方向に配向しうる。このような場合、複屈折は主鎖メソゲン骨格に対応する屈折率と側鎖メソゲン骨格に対応する屈折率との差として発現するので、結果として、逆波長分散液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示すことができる。
例えば主鎖メソゲン骨格及び側鎖メソゲン骨格を有する前記化合物のように、逆波長分散液晶化合物は、通常、一般的な順波長分散液晶化合物の立体形状とは異なる特異的な立体形状を有する。ここで、「順波長分散液晶化合物」とは、ホモジニアス配向した場合に、順波長分散性の面内レターデーションを示しうる液晶化合物をいう。また、順波長分散性の面内レターデーションとは、測定波長が大きいほど面内レターデーションが小さくなる面内レターデーションを表す。逆波長分散液晶化合物がこのように特異的な立体形状を有することが、本発明の効果が得られる一因になっているものと推察される。
逆波長分散液晶化合物のCN点は、好ましくは25℃以上、より好ましくは45℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、特に好ましくは100℃以下である。ここで、「CN点」とは、結晶-ネマチック相転移温度のことをいう。前記の範囲にCN点を有する逆波長分散液晶化合物を用いることにより、光学異方性層を容易に製造することが可能である。
逆波長分散液晶化合物の分子量は、単量体である場合は、好ましくは300以上、より好ましくは700以上、特に好ましくは1000以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。逆波長分散液晶化合物が前記のような分子量を有することにより、光学異方性層を形成するための塗工液の塗工性を特に良好にできる。
前記の逆波長分散液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆波長分散液晶化合物としては、例えば特開2014-123134号公報に記載されたものが挙げられる。また、逆波長分散液晶化合物としては、例えば、下記式(Ia)で表される化合物のうち、液晶性を示す化合物が挙げられる。以下の説明において、式(Ia)で表される化合物を、適宜「化合物(Ia)」ということがある。
Figure 0007276128000003
前記式(Ia)において、A1aは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基を置換基として有する芳香族炭化水素環基;または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1~67の有機基を置換基として有する芳香族複素環基;を表す。
1aの具体例としては、式:-RC(=N-N(R)R)、あるいは式:-RC(=N-N=C(Rg1)R)で表される基で置換されたフェニレン基;1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-(2-ブチル)-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4,6-ジメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;6-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4,6,7-トリメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4,5,6-トリメチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-プロピル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;7-プロピル-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-フルオロ-1-ベンゾフラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;フェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;チオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;チオフェン-3-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-メチルチオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-クロロチオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;チエノ[3,2-b]チオフェン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;2-ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;1-フェニルエチレン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;4-ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;2-フリル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;ナフト[1,2-b]フラン-2-イル基で置換されたベンゾチアゾール-4,7-ジイル基;5-メトキシ-2-ベンゾチアゾリル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基;フェニル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基;4-ニトロフェニル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基;または、2-チアゾリル基で置換された1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン-4,7-ジイル基;等が挙げられる。ここで、Rは、後述するQと同じ意味を表す。RおよびRg1は、それぞれ独立して、後述するAと同じ意味を表し、Rは、後述するAと同じ意味を表す。
前記式(Ia)において、Y1a~Y8aは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
前記式(Ia)において、G1a及びG2aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
前記式(Ia)において、Z1a及びZ2aは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
前記式(Ia)において、A2a及びA3aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
前記式(Ia)において、A4a及びA5aは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
前記式(Ia)において、k及びlは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
但し、前記式(Ia)において、Z1a-Y7a-及び-Y8a-Z2aの一方又は両方は、アクリロイルオキシ基である。
逆波長分散液晶化合物の特に好適な具体例としては、下記式(I)で表される化合物のうち、液晶性を示す化合物が挙げられる。以下の説明において、式(I)で表される化合物を、適宜「化合物(I)」ということがある。
Figure 0007276128000004
化合物(I)は、通常、下記式で表すように、基-Y-A-Y-(A-Y-A-(Y-A-Y-A-Y-からなる主鎖メソゲン骨格1a、及び、基>A-C(Q)=N-N(A)Aからなる側鎖メソゲン骨格1bの2つのメソゲン骨格を含む。また、これらの主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bは、互いに交差している。上記の主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bをあわせて1つのメソゲン骨格とすることもできるが、本発明では、2つのメソゲン骨格に分けて表記する。
Figure 0007276128000005
主鎖メソゲン骨格1aの長軸方向における屈折率をn1、側鎖メソゲン骨格1bの長軸方向における屈折率をn2とする。この際、屈折率n1の絶対値及び波長分散性は、通常、主鎖メソゲン骨格1aの分子構造に依存する。また、屈折率n2の絶対値及び波長分散性は、通常、側鎖メソゲン骨格1bの分子構造に依存する。ここで、液晶相において化合物(I)は、通常、主鎖メソゲン骨格1aの長軸方向を回転軸として回転運動を行うので、ここでいう屈折率n1及びn2とは、回転体としての屈折率を表している。
主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bの分子構造に由来して、屈折率n1の絶対値は屈折率n2の絶対値より大きい。さらに、屈折率n1及びn2は、通常、順波長分散性を示す。ここで、順波長分散性の屈折率とは、測定波長が大きいほど当該屈折率の絶対値が小さくなる屈折率を表す。主鎖メソゲン骨格1aの屈折率n1は、小さい程度の順波長分散性を示す。よって、長波長で測定した屈折率n1は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。これに対し、側鎖メソゲン骨格1bの屈折率n2は、大きな程度の順波長分散性を示す。よって、長波長で測定した屈折率n2は、短波長で測定した屈折率n2よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。そのため、測定波長が短いと屈折率n1と屈折率n2との差Δnは小さく、測定波長が長いと屈折率n1と屈折率n2との差Δnが大きくなる。このようにして、主鎖メソゲン骨格1a及び側鎖メソゲン骨格1bに由来して、化合物(I)は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散性の面内レターデーションを示しうる。
前記式(I)において、Y~Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
前記式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
前記式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
前記式(I)において、Aは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。「芳香環」は、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、及びチオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
前記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。前記芳香族複素環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、フタラジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、オキサゾロピリジン環、チアゾロピラジン環、オキサゾロピラジン環、チアゾロピリダジン環、オキサゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、オキサゾロピリミジン環等の縮合環の芳香族複素環;が挙げられる。
前記式(I)において、Aは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、-C(=O)-R、-SO-R、-C(=S)NH-R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、フェニル基、又は、4-メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5~20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
前記式(I)において、Aは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
前記式(I)において、Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を示す。
前記式(I)において、mおよびnは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
但し、前記式(I)において、Z-Y-及び-Y-Zの一方又は両方は、アクリロイルオキシ基である。
化合物(I)の具体例としては、国際公開第2016/171169号、国際公開第2017/057005号、及び国際公開第2016/190435号に記載される化合物が挙げられる。また、化合物(I)の製造は、これらの文献に記載される方法により行いうる。
次に、逆波長メソゲン化合物について説明する。
逆波長メソゲン化合物は、単独では液晶性を示さず、評価用液晶化合物と特定の混合割合で混合した評価用混合物が液晶性を示す化合物である。評価用液晶化合物としては、ホモジニアス配向した場合に順波長分散性の面内レターデーションを示す液晶化合物である順波長分散液晶化合物を用いる。評価用液晶化合物として順波長分散液晶化合物を用いることにより、評価用混合物をホモジニアス配向させた場合の逆波長メソゲン化合物の面内レターデーションの波長分散性の評価を容易に行うことができる。中でも、評価用液晶化合物としては、100℃において液晶相となりうる棒状構造を有する液晶化合物が好ましい。特に好ましい評価用液晶化合物の具体例としては、下記式(E1)に示す構造を有する順波長分散液晶化合物(Paliocolor(登録商標) LC242(BASF社製))、下記式(E2)に示す構造を有する順波長分散液晶化合物等が挙げられる。下記の式において、Meはメチル基を表す。
Figure 0007276128000006
Figure 0007276128000007
また、前記の評価用混合物を得るために評価用液晶化合物と混合する逆波長メソゲン化合物の混合割合は、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して、通常、30重量部~70重量部の少なくともいずれかである。よって、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して逆波長メソゲン化合物を30重量部~70重量部の範囲に含まれる少なくとも一の混合割合で混合して、液晶性を示す評価用混合物が得られる限り、評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物の合計100重量部に対して逆波長メソゲン化合物を30重量部~70重量部の範囲に含まれる別の混合割合で混合して得た混合物が、液晶性を示さなくてもよい。
評価用混合物が液晶性を示すことは、下記の方法によって確認しうる。
基材上に評価用混合物を塗布及び乾燥させて、基材及び評価用混合物の層を備えるサンプルフィルムを得る。このサンプルフィルムをホットステージ上に設置する。偏光顕微鏡によってサンプルフィルムを観察しながら、サンプルフィルムを昇温させる。評価用混合物の層の液晶相への相転移が観察された場合、評価用混合物が液晶性を示すと判定できる。
また、前記の評価用混合物をホモジニアス配向させた場合に、その評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物は、逆波長分散性の面内レターデーションを示す。ここで、評価用混合物をホモジニアス配向させる、とは、当該評価用混合物の層を形成し、その層における評価用液晶化合物をホモジニアス配向させることをいう。よって、ホモジニアス配向した評価用混合物において、評価用液晶化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向は、通常、前記層の面に平行なある一の方向に配向している。
また、ホモジニアス配向した評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示す、とは、評価用混合物に含まれる逆波長メソゲン化合物の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)/Re(550)<1.00を満たすことをいう。
ただし、評価用混合物の層において、逆波長メソゲン化合物の面内レターデーションだけを選択的に測定することは、難しい。そこで、評価用液晶化合物が順波長分散液晶化合物であることを利用して、下記の確認方法により、評価用混合物中の逆波長メソゲン化合物が逆波長分散性の面内レターデーションを示すことを確認しうる。
順波長分散液晶化合物としての評価用液晶化合物を含む液晶層を形成し、その液晶層において評価用液晶化合物をホモジニアス配向させる。そして、その液晶層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(X450)及びRe(X550)の比Re(X450)/Re(X550)を測定する。
また、前記の評価用液晶化合物及び逆波長メソゲン化合物を含む評価用混合物の層を形成し、その評価用混合物の層において評価用混合物をホモジニアス配向させる。そして、その評価用混合物の層の波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(Y450)及びRe(Y550)の比Re(Y450)/Re(Y550)を測定する。
測定の結果、逆波長メソゲン化合物を含まない液晶層のレターデーション比Re(X450)/Re(X550)よりも、逆波長メソゲン化合物を含む評価用混合物の層のレターデーション比Re(Y450)/Re(Y550)が小さい場合、その逆波長メソゲン化合物は、逆波長分散性の面内レターデーションを示すと判定できる。
また、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、前記の確認方法において、液晶層の波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(X550)及びRe(X650)の比Re(X650)/Re(X550)よりも、評価用混合物の層の波長550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(Y550)及びRe(Y650)の比Re(Y650)/Re(Y550)の方が、大きいことが好ましい。
逆波長メソゲン化合物としては、例えば、当該逆波長メソゲン化合物の分子中に、主鎖メソゲン骨格と、前記主鎖メソゲン骨格に結合した側鎖メソゲン骨格とを含む化合物を用いうる。
さらに、逆波長メソゲン化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、逆波長メソゲン化合物は、重合性基を有することが好ましい。このように重合性を有する逆波長メソゲン化合物を用いれば、重合によって逆波長メソゲン化合物の配向状態を容易に固定することが可能である。そのため、安定な光学特性を有する光学異方性層を容易に得ることができる。
逆波長メソゲン化合物の分子量は、単量体である場合は、好ましくは300以上、より好ましくは700以上、特に好ましくは1000以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。逆波長メソゲン化合物が前記のような分子量を有することにより、光学異方性層を形成するための塗工液の塗工性を特に良好にできる。
前記の逆波長メソゲン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆波長メソゲン化合物としては、例えば、前記式(Ia)で表される化合物のうち、液晶性を示さない化合物が挙げられる。逆波長メソゲン化合物の好ましい例としては、前記式(I)で表される化合物のうち、液晶性を示さない化合物が挙げられる。中でも特に好ましい逆波長メソゲン化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007276128000008
上述したメソゲン化合物の中でも、本発明の所望の効果をより良好に発現させる観点から、当該メソゲン化合物の分子中に、ベンゾチアゾール環(下記式(10A)の環);並びに、シクロヘキシル環(下記式(10B)の環)及びフェニル環(下記式(10C)の環)の組み合わせ;からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましい。
Figure 0007276128000009
メソゲン化合物を重合させることにより、メソゲン化合物の重合物を得うる。重合の具体的な方法は、特に限定されず、任意の方法としうる。具体的には、メソゲン化合物を含む塗工液に光を照射することにより行いうる。かかる方法の詳細は後述する。
光学異方性層は、ポジC重合体及びメソゲン化合物の重合物に組み合わせて、メソゲン化合物を含む。具体的には、光学異方性層は、メソゲン化合物の重合物に加えて、重合せず残存した未反応のメソゲン化合物を含みうる。メソゲン化合物の割合は、硬化度Aが本願において規定する特定の範囲となる割合である。
光学異方性層の全固形分におけるメソゲン化合物及びその重合物の比率は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは45重量%以下である。メソゲン化合物及びその重合物の比率が、前記範囲の下限値以上であることにより、光学異方性層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散性を逆分散性に近づけ易くでき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、光学異方性層において、メソゲン化合物の重合物を均一に分散させたり、光学異方性層の機械的強度を高くしたりできる。
〔1.3.任意の成分〕
光学異方性層は、ポジC重合体、メソゲン化合物及びメソゲン化合物の重合物に組み合わせて、更に、任意の成分を含みうる。
光学異方性層は、可塑剤を含みうる。光学異方性層が、ポジC重合体としてセルロース誘導体を含む場合、光学異方性層は、セルロース誘導体と組み合わせて、可塑剤を含むことが特に好ましい。可塑剤の例としては、キシリトールペンタアセテート、キシリトールペンタプロピオネート、アラビトールペンタプロピオネート、トリフェニルホスフェート、コハク酸残基とジエチレングリコール残基とを含むポリエステル、およびアジピン酸残基とジエチレングリコール残基とを含むポリエステルが挙げられる。可塑剤の割合は、ポジC重合体及び可塑剤の合計100重量%中、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
〔1.4.光学異方性層の特性:屈折率〕
光学異方性層は、式(2)を満たす。
nz(A)>nx(A)≧ny(A) 式(2)
nx(A)、ny(A)及びnz(A)は、光学異方性層の主屈折率である。このような屈折率nx(A)、ny(A)及びnz(A)を有する光学異方性層は、ポジティブCフィルムとして用いうる。そのため、この光学異方性層を円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常、視野角を広げることができる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を高めることができる。
中でも、光学異方性層の屈折率nx(A)と屈折率ny(A)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率nx(A)と屈折率ny(A)の差nx(A)-ny(A)は、好ましくは0.00000~0.00100、より好ましくは0.00000~0.00050、特に好ましくは0.00000~0.00020である。屈折率差nx(A)-ny(A)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性層を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができ、かつ他の位相差フィルムとの貼合時に貼り合せ方向の調整を不要にできる。
〔1.5.光学異方性層の特性:硬化度〕
本発明の光学異方性層は、式(3)を満たす。
0.073<AC-H/AC=O(メソゲン化合物)<0.125 式(3)
式(3)において、AC-Hは、光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、メソゲン化合物のアクリレート構造が有するC-H結合の面外変角振動にかかる赤外吸収であり、AC=O(メソゲン化合物)は、光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、メソゲン化合物のアクリレート構造が有するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収とメソゲン化合物のアクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収との和である。本願において、A=AC-H/AC=O(メソゲン化合物)で表される値Aを、メソゲン化合物の硬化度Aという場合がある。
硬化度Aは、光学異方性層に含まれる、未反応であるアクリレート構造の量に依存して定まる値であり、重合の反応の進行が不十分な場合硬化度Aは大きい値となり、重合の反応が高度に進行した場合硬化度Aは小さい値となる。硬化度Aは、好ましくは0.073より大きく、更に好ましくは0.076より大きく、最も好ましくは0.079より大きい。また、好ましくは0.125より小さく、更に好ましくは0.122より小さく、最も好ましくは0.119より小さい。光学異方性層における硬化度Aが前記下限値以上であることにより、光学異方性層の良好な色調を実現できる。一方、光学異方性層における硬化度Aが前記上限値以下であることにより、光学異方性層の高い耐久性を実現できる。
光学異方性層の赤外吸収スペクトルは、例えば、全反射測定法(ATR法)により測定することができる。
測定装置としては、Thermo Fisher SCIENTIFIC製「Nicolet iS 5N」を使用し得る。赤外吸収スペクトルは、波数と吸光度との関係を表すグラフとして得られる。
メソゲン化合物のアクリレートが重合すると、アクリレート構造が有するビニル基はエチレン基に変換され、ビニル基に結合するカルボニル基は、エチレン基に結合するカルボニル基となる。「メソゲン化合物のアクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合」とは、アクリレートが重合した結果出現する、エチレン基に結合するカルボニル基のC=O結合を意味する。説明の便宜のため、以下において、「メソゲン化合物のアクリレート構造が有するC-H結合」をC-Hと略称し、「メソゲン化合物のアクリレート構造が有するC=O結合」をC=Oと略称し、「メソゲン化合物のアクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合」をC=OMDと略称することがある。
C=Oの伸縮振動にかかるピークと、C=OMDの伸縮振動にかかるピークとが分離せず単一のピークとなっている場合は、かかる単一のピークの赤外吸収を、C=Oの伸縮振動にかかる赤外吸収とC=OMDの伸縮振動にかかる赤外吸収との和としてよい。
C-H/AC=O(メソゲン化合物)の値としては、C-Hの面外変角振動にかかるピークの面積(areaC-H)を、C=Oの伸縮振動にかかるピークの面積及びC=OMDの伸縮振動にかかるピークの面積の和(areaC=O)で除した値(areaC-H/areaC=O)を用いうる。
赤外吸収スペクトルにおいて、C-Hの面外変角振動にかかるピークは、通常810cm-1付近に現れる。また、C=Oの伸縮振動にかかるピーク及びC=OMDの伸縮振動にかかるピークは、通常どちらも1720cm-1付近に現れる。
光学異方性層の成分が、C=OMD以外に、それに類似するC=O結合を有する場合、赤外吸収スペクトルにおいて、それらが区別できない場合がある。その場合、成分の割合が異なる複数の光学異方性層を作製し、各成分の割合が赤外吸収に与える影響の程度を把握することにより、類似するC=O結合の影響を排除した定量を行いうる。
かかる定量の具体的な例として、ポジC重合体が、C=OMDに類似するC=O結合を有する場合について説明する。
この例において、光学異方性層の赤外吸収スペクトルを測定すると、かかるスペクトルにおけるC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収AC=Oは、以下のものの和として得られる。
C=O(重合体):ポジC重合体のC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収。
C=O(メソゲン化合物):未反応のC=Oの伸縮振動にかかる赤外吸収と、メソゲン化合物の重合物のC=O結合(即ちC=OMD)の伸縮振動にかかる赤外吸収との和。
即ち、下記式(A1)が成立する。
C=O=AC=O(重合体)+AC=O(メソゲン化合物) 式(A1)
C=O(重合体)の値、及びAC=O(メソゲン化合物)の値は、光学異方性層中のこれらの重量比に比例すると考えられる。したがって、光学異方性層における各成分の割合及びC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収については、下記式(A2)が成立する。
C=O=W(重合体)×aC=O(重合体)+W(メソゲン化合物)×aC=O(メソゲン化合物) (A2)
式中:
W(重合体)は、光学異方性層中におけるポジC重合体の重量とメソゲン化合物及びその重合物の重量の合計に対するポジC重合体の重量比率である。
W(メソゲン化合物)は、光学異方性層中におけるポジC重合体の重量とメソゲン化合物及びその重合物の重量の合計に対する、メソゲン化合物及びその重合物の重量比率である。即ち、W(重合体)+W(メソゲン化合物)=1である。
C=O(重合体)は、係数であり、ポジC重合体の単位重量比率あたりの、C=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収である。
C=O(メソゲン化合物)は、係数であり、メソゲン化合物及びその重合物の単位重量比率あたりの、アクリレート構造が有するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収と、アクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収との和である。
C=O(重合体)及びaC=O(メソゲン化合物)の値は、ポジC重合体の重量とメソゲン化合物及びその重合物の重量との比率の異なる、複数の光学異方性層を作製し、それぞれについて赤外吸収スペクトルを測定することにより求めうる。具体的には、W(重合体)及びW(メソゲン化合物)の異なる複数の光学異方性層のそれぞれについて、AC=Oを測定する。これにより、複数の例においてW(重合体)、W(メソゲン化合物)及びAC=Oの値が既知となる。これらの値及び式(A2)から、最小二乗法によりAC=Oの実測値と理論値の差が最も小さくなるようなaC=O(重合体)とaC=O(メソゲン化合物)を算出する。算出したaC=O(メソゲン化合物)及び既知のW(メソゲン化合物)から、AC=O(メソゲン化合物)を求めることができる。
硬化度Aの値は、光学異方性層の製造過程において、照射する活性エネルギー線の照射強度及び時間を調整することにより制御し得る。
〔1.6.光学異方性層の特性:その他〕
光学異方性層は、通常、式(4)及び式(5)を満たす。
0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 式(4)
1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 式(5)
但し、Rth(A450)は、光学異方性層の波長450nmにおける厚み方向のレターデーションであり、Rth(A550)は、光学異方性層の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションであり、Rth(A650)は、光学異方性層の波長650nmにおける厚み方向のレターデーションである。
前記式(4)を詳細に説明すると、Rth(A450)/Rth(A550)は、通常0.50より大きく、好ましくは0.60より大きく、より好ましくは0.65より大きく、また、通常1.00未満、好ましくは0.90未満、より好ましくは0.85未満である。
さらに、前記式(5)を詳細に説明すると、Rth(A650)/Rth(A550)は、通常1.00以上、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上であり、通常1.25未満、好ましくは1.15未満、より好ましくは1.10未満である。
前記の式(4)及び式(5)を満たす厚み方向のレターデーションRth(A450)、Rth(A550)及びRth(A650)を有する光学異方性層は、その厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す。このように厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示す光学異方性層は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりする機能を、広い波長範囲において発揮できる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常、視野角を効果的に広げることができる。そのため、表示面に表示される画像の視認性を、特に効果的に向上させることができる。
光学異方性層は、式(6)を満たすことが好ましい。
Re(A590)≦10nm 式(6)
但し、Re(A590)は、光学異方性層の波長590nmにおける面内レターデーションである。
前記式(6)を詳細に説明すると、Re(A590)は、好ましくは0nm~10nm、より好ましくは0nm~5nm、特に好ましくは0nm~2nmである。Re(A590)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性層を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができ、かつ、他の位相差フィルムとの貼合時に貼り合せ方向の調整を不要にできる。
光学異方性層は、式(7)を満たすことが好ましい。
-200nm≦Rth(A590)≦-10nm 式(7)
但し、Rth(A590)は、光学異方性層の波長590nmにおける厚み方向のレターデーションである。
前記式(7)を詳細に説明すると、Rth(A590)は、好ましくは-200nm以上、より好ましくは-130nm以上、特に好ましくは-100nm以上であり、好ましくは-10nm以下、より好ましくは-30nm以下、特に好ましくは-50nm以下である。このようなRth(A590)を有する光学異方性層は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制し、反射光の色味変化を小さくできたり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできる。さらに、画像表示装置が液晶表示装置である場合には、通常は、視野角を広げることができる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を高めることができる。
光学異方性層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm~700nmの範囲で測定しうる。
光学異方性層のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。ヘイズは、JIS K 7136:2000に従い、ヘイズメーター(例えば東洋精機製作所製「ヘイズガードII」)により測定しうる。
光学異方性は、その硬化度等の要件を満たすことにより、加熱によるヘイズの変化が小さいものとしうる。具体的には、85℃、500時間といった加熱の前後のヘイズの変化比(加熱後ヘイズ値/初期ヘイズ値)が小さいものとしうる。このヘイズ変化比は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下としうる。加熱によるヘイズの変化は、通常はヘイズが増加する変化であるが、ヘイズが減少する場合もある。ヘイズ変化比の下限は、0.3以上、0.4以上、又は0.5以上としうる。
光学異方性層は、その硬化度等の要件を満たすことにより、無色又はそれに近い色調としうる。具体的には、従来技術における逆波長分散性Rthを有するポジティブCフィルムは黄色の色調を帯びることが多い一方、本発明の光学異方性層はそのような黄色の色調が低いものとしうる。より具体的には、本発明の光学異方性層は、L表色系におけるb値が、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.0以下としうる。b値の下限は、理想的にはゼロである。b値は、光学異方性層を分光光度計(例えば日本分光社製「V-550」)により測定することにより観察しうる。
光学異方性層の厚みは、所望のレターデーションが得られるように、適切に調整しうる。光学異方性層の具体的な厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは3.0μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
〔1.7.光学異方性層の製造方法〕
光学異方性層は、
工程(a):ポジC重合体、メソゲン化合物、及び溶媒を含む塗工液を用意する工程と;
工程(b):塗工液を支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と;
工程(c):塗工液層への光の照射を行い、塗工液層を硬化させる工程と
を含む製造方法によって、製造しうる。以下において、この製造方法を、本発明の光学異方性層の製造方法として説明する。
〔1.7.1.工程(a):塗工液の用意〕
塗工液を用意する工程は、ポジC重合体、メソゲン化合物及び溶媒を混合することにより行いうる。塗工液の全固形分におけるポジC重合体の比率、及び塗工液の全固形分におけるメソゲン化合物の比率は、それぞれ、光学異方性層におけるポジC重合体の比率及び光学異方性層におけるメソゲン化合物の比率と同じ範囲に調整しうる。本発明の製造方法を行った場合、塗工液中のメソゲン化合物の一部は、重合せず未反応のまま光学異方性層中に残存しうる。しかしながら、硬化度Aが本願に規定する範囲内である場合は、かかる未反応のメソゲン化合物の割合は僅かである。
溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。かかる有機溶媒の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、60℃~250℃であることが好ましく、60℃~150℃であることがより好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の量は、塗工液の固形分濃度を所望の範囲にできるように調整することが好ましい。塗工液の固形分濃度は、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。塗工液の固形分濃度を前記の範囲に収めることにより、所望の光学特性を有する光学異方性層を容易に形成できる。
光学異方性層を形成するための塗工液は、ポジC重合体、メソゲン化合物及び溶媒に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
塗工液は、任意の成分として、重合開始剤を含みうる。重合開始剤の種類は、塗工液中の重合性化合物が有する重合性基の種類に応じて適宜選択しうる。ここで、重合性化合物とは、重合性を有する化合物の総称である。中でも、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが挙げられる。市販の光重合開始剤の具体的な例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、商品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure379、商品名:Irgacure379EG、商品名:Irgacure OXE02、及び商品名:Irgacure OXE04;ADEKA社製の、商品名:アデカオプトマーN1919等が挙げられる。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
塗工液における、光重合開始剤等の重合開始剤の量は、所望の硬化度Aが得られるよう調整しうる。塗工液における、メソゲン化合物100重量部に対する重合開始剤の比率は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。
塗工液は、任意の成分として、架橋剤を含みうる。重合開始剤の種類は、塗工液中の重合性化合物の種類に応じて適宜選択しうる。架橋剤の例としては、商品名:A-TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
塗工液における、架橋剤の量は、所望の物性の光学異方性層が得られるよう調整しうる。塗工液における、メソゲン化合物100重量部に対する架橋剤の比率は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは2重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。
塗工液は、任意の成分として、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の任意の添加剤を含みうる。かかる任意の添加剤の割合は、ポジC重合体100重量部に対し、好ましくは、各々0.1重量部~20重量部である。
塗工液は、液晶性を示さないことが好ましい。液晶性を示さない塗工液を用いることにより、光学異方性層においてポジC重合体及びメソゲン化合物の分散を良好にできる。また、液晶性を有さない塗工液を用いることにより、乾燥風等の空気の揺らぎの影響による、メソゲン化合物の配向ムラの発生を抑制できる。
〔1.7.2.工程(b):塗工〕
塗工液を支持面上に塗工して塗工液層を得る工程において、支持面としては、塗工液層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、光学異方性層の面状態を良好にする観点から、通常、凹部及び凸部の無い平坦面を用いる。前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。長尺の基材を用いる場合、連続的に搬送される基材上に、塗工液を連続的に塗工することが可能である。よって、長尺の基材を用いることにより、光学異方性層を連続的に製造できるので、生産性を向上させることが可能である。
基材としては、通常、基材フィルムを用いうる。基材フィルムとしては、光学的な積層体の基材として用いうるフィルムを、適切に選択して用いうる。中でも、基材フィルム及び光学異方性層を備える複層フィルムを光学フィルムとして利用可能にして、基材フィルムからの光学異方性層の剥離を不要にする観点から、基材フィルムとしては透明なフィルムが好ましい。具体的には、基材フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
基材フィルムの材料は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体であり、通常は非晶質の重合体である。脂環式構造含有重合体としては、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いうる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、特に好ましくは6個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されうるが、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位を前記のように多くすることにより、基材フィルムの耐熱性を高くできる。
脂環式構造含有重合体は、例えば、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン重合体がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、特開2002-321302号公報に開示されるもの等の公知の重合体から選択しうる。
基材フィルムの材質として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いた場合の、基材フィルムの厚みは、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、好ましくは1μm~1000μm、より好ましくは5μm~300μm、特に好ましくは30μm~100μmである。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでもよい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」、「ゼオノア1420R」を挙げうる。
塗工液の塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗工される塗工液の厚みは、光学異方性層に求められる所望の厚さに応じて適切に設定しうる。
〔1.7.3.乾燥〕
工程(b)の後工程(c)の前に、必要に応じて、塗工液層を乾燥させる工程を行いる。乾燥により、塗工液層から溶媒が除去されて、塗工液の固形分の配向を安定した状態とすることができる。その結果、塗工液の固形分が安定した状態で工程(c)を行うことができる。乾燥の具体的な方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥、自然乾燥など、任意の方法を採用しうる。
本発明の光学異方性層の製造方法は、ポジC重合体及びメソゲン化合物を組み合わせて含む塗工液を塗工し、硬化するというシンプルな操作によって、光学異方性層を製造できる。そのため、特許文献1に記載のような配向膜が不要である。したがって、逆波長分散液晶と配向膜との相性の調整、配向膜の形成、といった操作が必要ないので、光学異方性層を容易に製造できる。
さらに、ポジC重合体及びメソゲン化合物を組み合わせて含む塗工液は、乾燥の際、空気の揺らぎの影響による、メソゲン化合物の配向ムラの発生を抑制できる。そのため、面内方向の広い範囲において配向状態が均一な光学異方性層を容易に得ることができるので、面状態に優れる光学異方性層を得やすい。よって、光学異方性層の配向ムラによる白濁を抑制することが可能である。
〔1.7.4.工程(c):光照射〕
光照射の工程を行うことにより、メソゲン化合物のアクリレート構造の一部が重合し、メソゲン化合物の重合物となる。かかる重合により、ポジC重合体とメソゲン化合物の重合物とを含む光学異方性層が形成されうる。塗工液層への光の照射は、重合性化合物及び重合開始剤等の、塗工液が含む成分の性質に適合した方法を適切に選択しうる。照射される光には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。
紫外線照射強度は、好ましくは0.1mW/cm~1000mW/cmの範囲、より好ましくは0.5mW/cm~600mW/cmの範囲である。紫外線照射時間は、好ましくは1秒~300秒の範囲、より好ましくは3秒~100秒の範囲である。紫外線積算光量(mJ/cm)は、紫外線照射強度(mW/cm)×照射時間(秒)で求められる。好ましい積算光量は、600mJ/cm~5000mJ/cmである。紫外線照射光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、低圧水銀灯を用いることができる。工程(c)は、窒素雰囲気下等の不活性ガス雰囲気下で行うことが、残留モノマー割合が低減される傾向にあるので、好ましい。
光学異方性層の製造方法は、上に述べた工程以外の任意の工程を含みうる。例えば、光学異方性層を基材から剥離する工程を含みうる。
〔2.転写用複層物〕
本発明の転写用複層物は、基材と、上述した光学異方性層とを備える。ここで、転写用複層物とは、複数の層を含む部材であって、かかる複数の層のうち一部の層を転写して、かかる一部の層を含む製品の製造に供するものである。本発明の転写用複層物においては、光学異方性層が、前記の製品の製造に供される。
基材としては、光学異方性層の製造方法において説明した基材と同じものを用いうる。中でも、基材としては、剥離可能なものが好ましい。このような基材を備える転写用複層物は、基材を用いた前記の光学異方性層の製造方法を行うことにより、製造しうる。
転写用複層物は、光学フィルムの製造に用いうる。例えば、転写用複層物の光学異方性層と樹脂フィルムとを貼り合わせた後、基材を剥離することにより、光学異方性層及び樹脂フィルムを備えた光学フィルムを製造できる。
〔3.光学異方性積層体〕
本発明の光学異方性積層体は、上述した光学異方性層と、位相差層とを備える。
〔3.1.光学異方性積層体における光学異方性層〕
光学異方性積層体の光学異方性層としては、上述したものを用いる。ただし、光学異方性積層体における光学異方性層は、下記式(12)及び式(13)を満たすことが好ましい。
Re(A590)≦10nm 式(12)
-110nm≦Rth(A590)≦-20nm 式(13)
Re(A590)及びRth(A590)の定義は、上に述べた通りである。
前記式(12)を詳細に説明すると、Re(A590)は、好ましくは0nm~10nm、より好ましくは0nm~5nm、特に好ましくは0nm~2nmである。Re(A590)が前記の範囲に収まることにより、光学異方性積層体を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができる。
また、前記式(13)を詳細に説明すると、Rth(A590)は、好ましくは-110nm以上、より好ましくは-100nm以上であり、好ましくは-20nm以下、より好ましくは-40nm以下、特に好ましくは-50nm以下である。このようなRth(A590)を有する光学異方性層を備えた光学異方性積層体は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の傾斜方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過させたりする機能を、効果的に発揮できる。そのため、画像表示装置の表示面を傾斜方向から見た場合に、画像の視認性を効果的に高めることができる。
〔3.2.光学異方性積層体における位相差層〕
〔3.2.1.位相差層の光学特性〕
位相差層は、式(8)を満たす層である。
nx(B)>ny(B)≧nz(B) 式(8)
但し、nx(B)、ny(B)及びnz(B)は、前記位相差層の主屈折率である。このような位相差層を備える光学異方性積層体は、直線偏光子と組み合わせることによって円偏光板を製造できる。この円偏光板は、画像表示装置の表示面に設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
中でも、位相差層の屈折率ny(B)と屈折率nz(B)とは、値が同じであるか近いことが好ましい。具体的には、屈折率ny(B)と屈折率nz(B)の差の絶対値|ny(B)-nz(B)|は、好ましくは0.00000~0.00100、より好ましくは0.00000~0.00050、特に好ましくは0.00000~0.00020である。屈折率差の絶対値|ny(B)-nz(B)|が前記の範囲に収まることにより、光学異方性積層体を画像表示装置に設ける場合の光学設計をシンプルにすることができる。
位相差層は、式(11)を満たすことが好ましい。
110nm≦Re(B590)≦170nm 式(11)
但し、Re(B590)は波長590nmにおける位相差層の面内レターデーションである。
前記式(11)を詳細に説明すると、Re(B590)は、好ましくは110nm以上、より好ましくは120nm以上、特に好ましくは130nm以上であり、好ましくは170nm以下、より好ましくは160nm以下、特に好ましくは150nm以下である。このようなRe(B590)を有する位相差層を備えた光学異方性積層体は、直線偏光子と組み合わせて円偏光板を得ることができる。この円偏光板を画像表示装置の表示面に設けることにより、表示面を正面方向から見た場合に、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過できるようにしたりできるので、画像の視認性を高めることが可能である。
位相差層は、式(9)及び式(10)を満たすことが好ましい。
0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 式(9)
1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 式(10)
但し、Re(B450)は、前記位相差層の波長450nmにおける面内レターデーションであり、Re(B550)は、前記位相差層の波長550nmにおける面内レターデーションであり、Re(B650)は、前記位相差層の波長650nmにおける面内レターデーションである。
前記式(9)を詳細に説明すると、Re(B450)/Re(B550)は、好ましくは0.75より大きく、より好ましくは0.78より大きく、特に好ましくは0.80より大きく、また、好ましくは1.00未満、より好ましくは0.95未満、特に好ましくは0.90未満である。
前記式(10)を詳細に説明すると、Re(B650)/Re(B550)は、好ましくは1.01より大きく、好ましくは1.02より大きく、特に好ましくは1.04より大きく、また、好ましくは1.25未満、より好ましくは1.22未満、特に好ましくは1.19未満である。
前記の式(9)及び式(10)を満たす面内レターデーションRe(B450)、Re(B550)及びRe(B650)を有する位相差層は、その面内レターデーションReが逆波長分散性を示す。このように面内レターデーションReが逆波長分散性を示す位相差層を備える光学異方性積層体は、円偏光板に組み込んで画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置の表示面の正面方向において、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光に偏光サングラスを透過させたりする機能を、広い波長範囲において発揮できる。そのため、表示面に表示される画像の視認性を、特に効果的に向上させることができる。
位相差層の面内の遅相軸方向は、任意であり、光学異方性積層体の用途に応じて任意に設定しうる。中でも、光学異方性積層体が長尺のフィルムである場合、位相差層の遅相軸とフィルム幅方向とがなす角度は、0°超90°未満であることが好ましい。また、ある態様において、位相差層の面内の遅相軸とフィルム幅方向とがなす角度は、好ましくは15°±5°、22.5°±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、長尺の直線偏光子に光学異方性積層体をロールツーロールで貼り合わせて、円偏光板の効率的な製造が可能となる。
位相差層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。また、位相差層のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。
〔3.2.2.位相差層としての延伸フィルム層〕
前記のような位相差層としては、延伸フィルム層を用いうる。位相差層として延伸フィルム層を用いる場合、当該延伸フィルム層は、光学異方性層の製造方法において説明した基材フィルムの材料である樹脂を含みうる。このような樹脂を含むフィルム層は、延伸処理を施すことにより、レターデーション等の光学特性を発現しうる。中でも、前記の延伸フィルム層は、脂環式構造含有重合体を含むことが好ましい。
延伸フィルム層の延伸方向は、任意である。よって、延伸方向は、長手方向でもよく、幅方向でもよく、斜め方向でもよい。さらに、これらの延伸方向のうち、2以上の方向に延伸が施されていてもよい。ここで、斜め方向とは、フィルムの面内方向であって、長手方向及び幅方向のいずれとも非平行な方向をいう。
中でも、延伸フィルム層は、斜め延伸フィルム層であることが好ましい。すなわち、延伸フィルム層は、長尺のフィルムであり、且つフィルムの長手方向及び幅方向のいずれとも非平行な方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。斜め延伸フィルム層である場合の、フィルム幅方向と延伸方向とがなす角度は、具体的には0°超90°未満としうる。このような斜め延伸フィルム層を位相差層として用いることにより、長尺の直線偏光子に光学異方性積層体をロールツーロールで貼り合わせて、円偏光板の効率的な製造が可能となる。
延伸方向とフィルム幅方向とがなす角度は、好ましくは15°±5°、22.5±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
さらに、前記の延伸フィルム層は、複数の層を含む複層構造を有することが好ましい。複層構造を有する延伸フィルム層は、延伸フィルム層に含まれる各層の機能の組み合わせによって、多様な特性を発揮できる。例えば、延伸フィルム層は、重合体を含む樹脂からなる第一外側層、重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂からなる中間層、及び、重合体を含む樹脂からなる第二外側層を、この順に備えることが好ましい。この際、各層に含まれる重合体は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。このような第一外側層、中間層及び第二外側層を備える延伸フィルム層は、紫外線の透過を抑制できる。また、中間層の両側に第一外側層及び第二外側層が設けられているので、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
中間層に含まれる樹脂における紫外線吸収剤の量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは16重量%以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる延伸フィルム層の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、延伸フィルム層の可視光に対する透明性を高めることができる。
中間層の厚みは、「中間層の厚み」/「延伸フィルム層全体の厚み」で表される比が、特定の範囲に収まるように設定することが好ましい。前記の特定の範囲は、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上であり、好ましくは80/82以下、より好ましくは79/82以下、特に好ましくは78/82以下である。前記の比が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる延伸フィルム層の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、延伸フィルム層の厚みを薄くできる。
位相差層としての延伸フィルム層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは13μm以上、特に好ましくは15μm以上であり、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下、特に好ましくは55μm以下である。延伸フィルム層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより所望のレターデーションの発現ができ、また、前記範囲の上限値以下であることにより薄膜化ができる。
延伸フィルム層は、例えば、延伸前フィルム層を用意する工程と、用意した延伸前フィルム層を延伸する工程と、を含む方法により、製造しうる。
延伸前フィルム層は、例えば、適切な成形方法によって延伸フィルム層の材料となる樹脂を成形することにより、製造しうる。成形方法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶媒を使用しない溶融押出法が、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境及び作業環境の観点、並びに製造効率に優れる観点から好ましい。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法などが挙げられ、中でも生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
複層構造を有する延伸フィルム層を製造する場合、通常は、延伸前フィルム層として、複層構造を有するものを用意する。このように複層構造を有する延伸前フィルム層は、例えば、共押出法及び共流延法などの成形方法によって、複層構造に含まれる各層に対応する樹脂を成形することで製造しうる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、フィルム中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。共押出法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
前記のように樹脂を成形することにより、長尺の延伸前フィルムが得られる。この延伸前フィルムを延伸することにより、延伸フィルム層が得られる。延伸は、通常、延伸前フィルムを長手方向に搬送しながら、連続的に行う。この際、延伸方向は、フィルムの長手方向でもよく、幅方向でもよいが、斜め方向であることが好ましい。また、延伸は、延伸方向以外に拘束力の加わらない自由一軸延伸であってもよく、延伸方向以外にも拘束力が加わる延伸であってもよい。これらの延伸は、ロール延伸機、テンター延伸機等の任意の延伸機を用いて行いうる。
延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.15倍以上、特に好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは3.0倍以下、より好ましくは2.8倍以下、特に好ましくは2.6倍以下である。延伸倍率を前記範囲の下限値以上にすることにより、延伸方向の屈折率を大きくできる。また、上限値以下にすることにより、延伸フィルム層の遅相軸方向を容易に制御することができる。
延伸温度は、好ましくはTg-5℃以上、より好ましくはTg-2℃以上、特に好ましくはTg℃以上であり、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+35℃以下、特に好ましくはTg+30℃以下である。ここで「Tg」は、延伸前フィルム層に含まれる重合体のガラス転移温度のうち、最も高い温度を表す。延伸温度を前記の範囲にすることにより、延伸前フィルム層に含まれる分子を確実に配向させることができるので、所望の光学特性を有する位相差層として機能できる延伸フィルム層を、容易に得ることができる。
〔3.2.3.位相差層としての液晶層〕
前記のような位相差層としては、配向状態が固定されていてもよい液晶化合物(以下、適宜「位相差層用液晶化合物」ということがある。)を含む液晶層を用いうる。この際、位相差層用液晶化合物としては、ホモジニアス配向した前記の逆波長分散液晶化合物を用いることが好ましい。これにより、光学異方性層の項において説明したのと同じ利点を、位相差層においても得ることができる。中でも、位相差層としての液晶層は、配向状態が固定されていてもよい下記式(II)で表される液晶化合物を含むことが、特に好ましい。
Figure 0007276128000010
前記式(II)において、Y~Y、G、G、Z、Z、A、A、A~A、Q、m及びnは、式(I)における意味と同じ意味を表す。よって、式(II)で表される液晶化合物は、式(I)で表される液晶化合物と同じ化合物を表す。
但し、式(I)においては、Z-Y-及び-Y-Zの一方又は両方はアクリロイルオキシ基である一方、式(II)においては、これらの両方が、アクリロイルオキシ基以外の基であってもよい。
位相差層としての液晶層の厚みは、特に限定されず、レターデーションなどの特性を所望の範囲とできるように適切に調整しうる。液晶層の具体的な厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
位相差層としての液晶層は、例えば、位相差層用液晶化合物を含む液晶組成物を用意する工程;支持体上に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を得る工程;及び、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させる工程;を含む方法によって、製造しうる。
液晶組成物を用意する工程では、通常、位相差層用液晶化合物と、必要に応じて用いられる任意の成分とを混合して、液晶組成物を得る。
液晶組成物は、任意の成分として、重合性モノマーを含みうる。「重合性モノマー」とは、重合能を有しモノマーとして働きうる化合物のうち、特に、上述した位相差層用液晶化合物以外の化合物をいう。重合性モノマーとしては、例えば、1分子当たり1以上の重合性基を有するものを用いうる。重合性モノマーが1分子当たり2以上の重合性基を有する架橋性モノマーである場合、架橋的な重合を達成することができる。かかる重合性基の例としては、化合物(I)中の基Z-Y-及びZ-Y-またはその一部分と同じ基を挙げることができ、より具体的には例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基を挙げることができる。また、重合性モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、重合性モノマーの割合は、位相差層用液晶化合物100重量部に対し、好ましくは1重量部~100重量部、より好ましくは5重量部~50重量部である。
液晶組成物は、任意の成分として、光重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、例えば、光学異方性層の製造のための塗工液が含みうる重合開始剤と同じものが挙げられる。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、重合開始剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは0.1重量部~30重量部、より好ましくは0.5重量部~10重量部である。
液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含みうる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いうる。例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤を用いうる。これらの界面活性剤の具体例としては、OMNOVA社PolyFoxの「PF-151N」、「PF-636」、「PF-6320」、「PF-656」、「PF-6520」、「PF-3320」、「PF-651」、「PF-652」;ネオス社フタージェントの「FTX-209F」、「FTX-208G」、「FTX-204D」、「601AD」;セイミケミカル社サーフロンの「KH-40」、「S-420」等を用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、界面活性剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは0.01重量部~10重量部、より好ましくは0.1重量部~2重量部である。
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含みうる。溶媒としては、例えば、光学異方性層の製造のための塗工液が含みうる溶媒と同じものが挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物において、溶媒の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは100重量部~1000重量部である。
液晶組成物は、さらに、任意の成分として、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の添加剤を含みうる。かかる添加剤の割合は、重合性化合物100重量部に対し、好ましくは、各々0.1重量部~20重量部である。
前記のような液晶組成物を用意した後で、この液晶組成物を、支持体上に塗工して、液晶組成物の層を得る工程を行う。支持体としては、長尺の支持体を用いることが好ましい。長尺の支持体を用いる場合、連続的に搬送される支持体上に、液晶組成物を連続的に塗工することが可能である。よって、長尺の支持体を用いることにより、位相差層としての液晶層を連続的に製造できるので、生産性を向上させることが可能である。
液晶組成物を支持体上に塗工する場合、支持体に適度の張力(通常、100N/m~500N/m)を掛けて、支持体の搬送ばたつきを少なくし、平面性を維持したまま塗布することが好ましい。平面性とは、支持体の幅方向および搬送方向に垂直な上下方向の振れ量であり、理想的には0mmであるが、通常、1mm以下である。
支持体としては、通常、支持体フィルムを用いる。支持体フィルムとしては、光学的な積層体の支持体として用いうるフィルムを、適切に選択して用いうる。中でも、支持体フィルム、位相差層及び光学異方性層を備える光学異方性積層体を光学フィルムとして利用可能にして、支持体フィルムの剥離を不要にする観点から、支持体フィルムとしては透明なフィルムが好ましい。具体的には、支持体フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。
支持体フィルムの材料は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、光学異方性層の形成に用いうる基材の材料として説明した重合体を含む樹脂が挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、樹脂が含む重合体としては、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
支持体としては、配向規制力を有するものを用いうる。支持体の配向規制力とは、支持体の上に塗工された液晶組成物中の位相差層用液晶化合物を配向させうる、支持体の性質をいう。
配向規制力は、支持体の材料となるフィルム等の部材に、配向規制力を付与する処理を施すことにより付与しうる。かかる処理の例としては、延伸処理及びラビング処理が挙げられる。
好ましい態様において、支持体は延伸フィルムである。かかる延伸フィルムとすることにより、延伸方向に応じた配向規制力を有する支持体としうる。
延伸フィルムの延伸方向は、任意である。よって、延伸方向は、長手方向でもよく、幅方向でもよく、斜め方向でもよい。さらに、これらの延伸方向のうち、2以上の方向に延伸が施されていてもよい。延伸倍率は、支持体の表面に配向規制力が生じる範囲で適宜設定しうる。支持体の材料が正の固有複屈折値を有する樹脂である場合、延伸方向に分子が配向して延伸方向に遅相軸が発現する。延伸は、テンター延伸機などの既知の延伸機を用いて行いうる。
更に好ましい態様において、支持体は斜め延伸フィルムである。支持体が斜め延伸フィルムである場合の、延伸方向と延伸フィルムの幅方向とがなす角度は、具体的には0°超90°未満としうる。このような斜め延伸フィルムを支持体として用いることにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
また、ある態様において、延伸方向と延伸フィルムの幅方向とがなす角度を、好ましくは15°±5°、22.5±5°、45°±5°、又は75°±5°、より好ましくは15°±4°、22.5°±4°、45°±4°、又は75°±4°、さらにより好ましくは15°±3°、22.5°±3°、45°±3°、又は75°±3°といった特定の範囲としうる。このような角度関係を有することにより、光学異方性積層体を、円偏光板の効率的な製造を可能にする材料とすることができる。
液晶組成物の塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗工される液晶組成物の層の厚みは、位相差層としての液晶層に求められる所望の厚さに応じて適切に設定しうる。
支持体上に液晶組成物を塗工して液晶組成物の層を得た後で、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させる工程を行う。これにより、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物は、支持体の配向規制力に応じた配向方向に配向する。例えば、支持体として延伸フィルムを用いた場合、延伸フィルムの延伸方向と平行に、液晶組成物の層に含まれる位相差層用液晶化合物が配向する。
位相差層用液晶化合物の配向は、塗工により直ちに達成される場合もありえるが、必要に応じて、塗工の後に、加温などの配向処理を施すことにより達成される場合もありえる。配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適宜設定しうるが、例えば、50℃~160℃の温度条件において30秒間~5分間処理する条件としうる。
上述したように液晶組成物の層において位相差層用液晶化合物を配向させることで、液晶組成物の層において所望の光学特性が発現するので、位相差層として機能しうる液晶層が得られる。
上述した位相差層としての液晶層の製造方法は、更に、任意の工程を含みうる。液晶層の製造方法は、例えば、液晶組成物の層又は液晶層を乾燥させる工程を行なってもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。
また、位相差層としての液晶層の製造方法は、例えば、液晶組成物に含まれる位相差層用液晶化合物を配向させた後で、位相差層用液晶化合物の配向状態を固定する工程を行ってもよい。この工程では、通常、位相差層用液晶化合物を重合させることにより、位相差層用液晶化合物の配向状態を固定する。また、位相差層用液晶化合物を重合させることにより、液晶層の剛性を高めて、機械的強度を向上させることができる。
位相差層用液晶化合物の重合は、液晶組成物の成分の性質に適合した方法を適切に選択しうる。例えば、光を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線照射強度、紫外線照射時間、紫外線積算光量、及び、紫外線照射光源などの照射条件は、光学異方性層の製造方法における照射条件と同じ範囲に調整しうる。
重合の際、位相差層用液晶化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、重合前の液晶組成物に含まれていた位相差層用液晶化合物の配向方向と平行な方向に配向した位相差層用液晶化合物の重合体を含む液晶層が得られる。したがって、例えば、支持体として延伸フィルムを用いた場合には、延伸フィルムの延伸方向と平行な配向方向を有する液晶層を得ることができる。ここで平行とは、延伸フィルムの延伸方向と位相差層用液晶化合物の重合体の配向方向のズレが、通常±3°、好ましくは±1°、理想的には0°をいう。
上述した製造方法で製造された位相差層としての液晶層において、位相差層用液晶化合物から得られた重合体の分子は、好ましくは、支持体フィルムに対して水平配向した配向規則性を有する。例えば、支持体フィルムとして配向規制力を有するものを用いた場合、液晶層において位相差層用液晶化合物の重合体の分子を水平配向させることができる。ここで、位相差層用液晶化合物の重合体の分子が支持体フィルムに対して「水平配向」するとは、重合体が含む位相差層用液晶化合物由来の構造単位のメソゲン骨格の長軸方向の平均方向が、フィルム面と平行又は平行に近い(例えばフィルム面となす角度が5°以内)、ある一の方向に配向することをいう。位相差層用液晶化合物として式(II)で表される化合物を用いた場合のように、液晶層中に、配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格が存在する場合は、通常、それらのうち最も長い種類のメソゲン骨格の長軸方向が配向する方向が、当該配向方向となる。
さらに、位相差層としての液晶層の製造方法は、液晶層を得た後で、支持体を剥離する工程を含んでいてもよい。
〔3.3.光学異方性積層体における任意の層〕
光学異方性積層体は、光学異方性層及び位相差層に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。任意の層としては、例えば、接着層、ハードコート層等が挙げられる。
〔3.4.光学異方性積層体の製造方法〕
光学異方性積層体は、例えば、下記の製造方法1又は2によって製造しうる。
・製造方法1:
位相差層を製造する工程と、
前記位相差層を基材として用いて、上述した光学異方性層の製造方法を行うことにより、位相差層上に光学異方性層を形成して、光学異方性積層体を得る工程と、を含む、製造方法。
製造方法1のように位相差層上に塗工液を塗工した場合は、塗工液層の乾燥によって、位相差層上に光学異方性層が形成されて、光学異方性積層体が得られる。
・製造方法2:
位相差層を製造する工程と、
転写用複層物を製造する工程と、
転写用複層物の光学異方性層と、位相差層とを、貼り合わせて、光学異方性積層体を得る工程と、
転写用複層物の基材を剥離する工程と、を含む、製造方法。
製造方法2のように、光学異方性層と位相差層とを貼り合わせて光学異方性積層体を製造する場合、貼り合わせには、適切な接着剤を用いうる。この接着剤としては、例えば、後述する偏光板において用いるのと同じ接着剤を用いうる。
また、前記の光学異方性積層体の製造方法は、上述した工程に加えて、任意の工程を含んでいてもよい。例えば、前記の製造方法は、ハードコート層等の任意の層を設ける工程、を含んでいてもよい。
〔4.偏光板〕
本発明の偏光板は、直線偏光子と、上述した光学異方性層、転写用複層物又は光学異方性積層体と、を備える。このような偏光板は、画像表示装置に設けることにより、画像表示装置を傾斜方向から見た場合の画像の視認性を高めることができる。
直線偏光子としては、液晶表示装置、及びその他の光学装置等の装置に用いられている既知の直線偏光子を用いうる。直線偏光子の例としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm~80μmである。
偏光板は、更に、直線偏光子と、光学異方性層、転写用複層物又は光学異方性積層体とを貼り合わせるための、接着層を備えていてもよい。接着層としては、硬化性接着剤を硬化させてなる層を用いうる。硬化性接着剤としては、熱硬化性接着剤を用いてもよいが、光硬化性接着剤を用いることが好ましい。光硬化性接着剤としては、重合体又は反応性の単量体を含んだものを用いうる。また、接着剤は、必要に応じて溶媒、光重合開始剤、その他の添加剤等を含みうる。
光硬化性接着剤は、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光を照射すると硬化しうる接着剤である。中でも、操作が簡便なことから、紫外線で硬化しうる接着剤が好ましい。
接着層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。接着層の厚みを前記範囲内とすることにより、光学異方性層の光学的性質を損ねずに、良好な接着を達成しうる。
また、偏光板が光学異方性積層体を備える場合、その偏光板は、円偏光板として機能しうる。ここで、用語「円偏光板」には、狭義の円偏光板だけでなく、楕円偏光板も含む。このような円偏光板は、直線偏光子、光学異方性層及び位相差層を、この順で備えていてもよい。また、このような円偏光板は、直線偏光子、位相差層及び光学異方性層を、この順で備えていてもよい。
前記のような円偏光板において、直線偏光子の偏光吸収軸に対して位相差層の遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
上述した偏光板は、更に、任意の層を含みうる。任意の層としては、例えば、偏光子保護フィルム層が挙げられる。偏光子保護フィルム層としては、任意の透明フィルム層を用いうる。中でも、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れる樹脂のフィルム層が好ましい。そのような樹脂としては、トリアセチルセルロース等のアセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、鎖状オレフィン樹脂、環式オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。さらに、偏光板が含みうる任意の層としては、例えば、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、フィルムの滑り性を良くするマット層、反射抑制層、防汚層等が挙げられる。これらの任意の層は、1層だけを設けてもよく、2層以上を設けてもよい。
偏光板は、直線偏光子と、光学異方性層、転写用複層物又は光学異方性積層体とを、必要に応じて接着剤を用いて、貼り合わせることによって、製造しうる。
〔5.画像表示装置〕
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の偏光板を備える。本発明の画像表示装置はまた、通常、画像表示素子を備える。画像表示装置において、偏光板は、通常、画像表示素子の視認側に設けられる。この際、偏光板の向きは、その偏光板の用途に応じて任意に設定しうる。よって、画像表示装置は、光学異方性層、転写用複層物又は光学異方性積層体と;偏光子と;画像表示素子と;を、この順に備えていてもよい。また、画像表示装置は、偏光子と;光学異方性層、転写用複層物又は光学異方性積層体と;画像表示素子と;を、この順に備えていてもよい。
画像表示装置としては、画像表示素子の種類に応じて様々なものがあるが、代表的な例としては、画像表示素子として液晶セルを備える液晶表示装置、及び、画像表示素子として有機EL素子を備える有機EL表示装置が挙げられる。
本発明の画像表示装置は、本発明の光学異方性層を構成要素として含み、これにより、外光の反射を抑制したり、画像を表示する光が偏光サングラスを透過しうるようにしたりすることができる。さらに、そのような効果を有しながら、且つ、耐久性が高く、良好な色調を有する表示装置とすることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
〔評価方法〕
〔フィルムの光学的性質〕
あるフィルム(基材フィルム等)上に形成された試料層(光学異方性層、位相差層等)の光学的性質(位相差、レターデーション、及び逆波長分散特性)は、下記の方法で測定した。
評価対象となる試料層を、粘着剤付スライドガラス(粘着剤は、日東電工社製「CS9621T」)に貼り合せた。その後、フィルムを剥離し、スライドガラス及び試料層を備えるサンプルを得た。このサンプルを、位相差計(Axometrics社製)のステージに設置して、試料層の面内レターデーションReの波長分散を測定した。ここで、面内レターデーションReの波長分散とは、波長毎の面内レターデーションReを表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を面内レターデーションReとした座標においてグラフとして示される。こうして得られた試料層の面内レターデーションReの波長分散から、波長450nm、550nm、590nm及び650nmにおける試料層の面内レターデーションRe(450)、Re(550)、Re(590)及びRe(650)を求めた。
また、試料層の遅相軸を回転軸として、ステージを40°傾けて、試料層の厚み方向に対して40°の角度をなす傾斜方向での試料層のレターデーションRe40の波長分散を測定した。ここで、レターデーションRe40の波長分散とは、波長毎のレターデーションRe40を表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を面内レターデーションRe40とした座標においてグラフとして示される。
さらに、プリズムカプラ(Metricon社製)を用いて、試料層の、面内方向であって最大の屈折率を与える方向の屈折率nx、前記面内方向であって前記nxの方向に垂直な方向の屈折率ny、及び、厚み方向の屈折率nzを、波長407nm、532nm及び633nmで測定し、コーシーフィッティングすることにより、屈折率nx、ny及びnzの波長分散を得た。ここで、屈折率の波長分散とは、波長毎の屈折率を表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を屈折率とした座標においてグラフとして示される。
その後、レターデーションRe40及び屈折率の波長分散のデータを基に、試料層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散を計算した。ここで、厚み方向のレターデーションRthの波長分散とは、波長毎の厚み方向のレターデーションRthを表すグラフであり、例えば、横軸を波長、縦軸を厚み方向のレターデーションRthとした座標においてグラフとして示される。そして、こうして求められた試料層の厚み方向のレターデーションRthの波長分散から、波長450nm、550nm、590nm及び650nmにおける試料層の厚み方向のレターデーションRth(450)、Rth(550)、Rth(590)及びRth(650)を求めた。
〔厚み〕
あるフィルム(基材フィルム;支持体フィルム;支持体フィルム及び位相差層からなる複層フィルム;等)上に形成された試料層(光学異方性層、位相差層等)の厚みは、膜厚測定装置(フィルメトリクス社製「フィルメトリクス」)を用いて、測定した。
〔ヘイズ変化比〕
光学粘着剤(日東電工社製CS9621)付きの平板ガラスを用意した。この平板ガラスに、転写用複層物の光学異方性層を転写し、ヘイズ測定用積層体を調製した。このヘイズ測定用積層体を用いて、光学異方性層のヘイズを、ヘイズメーター(東洋精機製作所製「ヘイズガードII」、以下において同じ)により、JIS K 7136:2000に従ったヘイズ測定を行い、初期ヘイズ値を得た。
続いて、ヘイズ測定用積層体を、オーブン内に載置して加熱した。加熱温度は85℃、加熱時間は100時間とした。加熱終了後、再びヘイズメーターにてヘイズを測定し、加熱後ヘイズ値を得た。初期ヘイズ値及び加熱後ヘイズ値から、ヘイズ変化比(加熱後ヘイズ値/初期ヘイズ値)を計算した。
〔硬化度〕
基材から光学異方性層を剥離することで、硬化度測定用光学異方性層を調製した。
硬化度測定用光学異方性層における光学異方性層の赤外吸収スペクトルを、ATR法により測定した。具体的には、ATR測定装置(機種名「Thermo Fisher SCIENTIFIC製「Nicolet iS 5N)により、プリズムとしてZeSeを用いて1回反射の条件で、硬化度測定用積層体の表面に露出した光学異方性層の赤外吸収スペクトルを測定した。赤外吸収スペクトルは、波数と吸光度の関係として求めた。AC-Hとして810cm-1付近に現れたピークの面積、及びAC=Oとして1720cm-1付近に現れたピークの面積を測定した。本願実施例及び比較例において、ポジC重合体は、C=OMDに類似するC=O結合を有するため、類似するC=O結合の影響を排除した定量を行った(参考例3)。これらの測定結果から、AC-H/AC=O(メソゲン化合物)の値を得た。
〔b
ヘイズ測定用積層体の調製と同じ操作により、転写用複層物の光学異方性層を平板ガラスに転写し、色相測定用積層体を調製した。この色相測定用積層体の可視領域(380nmから780nmまで)の透過率を1.0nm間隔で分光光度計(日本分光社製「V-550」)により測定した。得られた測定結果をもとに、色相bを計算した。この時の観測条件は、視野2°、光源D65、データ間隔2nmとした。
〔実施例1〕
1,3-ジオキソラン(DOL)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)を混合し、溶媒を調製した。DOL及びMIBKの混合比(DOL/MIBK、重量比)は、80/20とした。
下記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物(CN点は96℃)55重量部、ポジC重合体としてのフマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体45重量部、重合開始剤(商品名「Irgacure Oxe04」、BASF社製)1.65重量部、及び架橋剤(商品名「A-TMPT」、トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業株式会社製)1.65重量部を、固形分濃度が12%となるように溶媒に溶解させて、塗工液を調製した。
Figure 0007276128000011
塗工液の調製に用いた、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体は、下記式(P1)で表される繰り返し単位及び下記式(P2)で表される繰り返し単位を有するポリフマル酸エステル(重量平均分子量72,000)であった。また、下記の式(P1)及び式(P2)において、Rはイソプロピル基を表し、繰り返し単位の数m及びnの比率は、m:n=85:15であった。
Figure 0007276128000012
Figure 0007276128000013
基材フィルムとして、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製、樹脂のガラス転移温度(Tg)163℃、厚み100μm)を用意した。前記の基材フィルムの面上に、塗工液を、塗工ブレードを用いて塗工して、塗工液層を形成した。塗工液層の厚みは、得られる光学異方性層の厚みが10μm程度になるように調整した。
その後、塗工液層を、85℃オーブンで5分間乾燥させて、塗工液層中の溶媒を蒸発させ、(乾燥塗工液層)/(基材フィルム)の層構成を有する複層物を得た。
さらに、乾燥塗工液層に紫外線照射を行った。紫外線照射は、高圧水銀光源を備えた照射装置を用いて、照度300mW/cm、積算光量600mJ/cmの条件にて、光源から、前記複層物の乾燥塗工液層側の面に紫外線を照射することにより行った。かかる紫外線照射により、乾燥塗工液層を硬化させて、光学異方性層を形成し、(光学異方性層)/(基材フィルム)の層構成を有する転写用複層物を得た。得られた転写用複層物の光学異方性層について、光学的性質を測定し、nx(A)、ny(A)、nz(A)、Rth(A450)/Rth(A550)、Rth(A650)/Rth(A550)、Re(A590)、及びRth(A590)を求めた。さらに、光学異方性層の硬化度A、b、及びヘイズ変化比を測定した。
〔実施例2~4及び比較例1~4〕
積算光量を、表1に示す値に変更した他は、実施例1と同じ操作により、転写用複層物を得て評価した。
実施例及び比較例の結果を、表1及び表2にまとめて示す。
Figure 0007276128000014
Figure 0007276128000015
実施例及び比較例の結果から明らかな通り、本願に規定する特定の硬化度Aを有する実施例の光学異方性層は、加熱によるヘイズの上昇が少なく、従って耐久性が高いものであることが分かる。実施例の光学異方性層はまた、b値が2.2以下と良好な色調を有することが分かる。
〔参考例1:前記式(B1)で表される逆波長分散液晶化合物の波長分散性の確認〕
前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物100重量部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure379EG」)3重量部、及び、界面活性剤(DIC社製「メガファックF-562」)0.3重量部を混合し、更に、希釈溶媒としてシクロペンタノン及び1,3-ジオキソランの混合溶媒(重量比シクロペンタノン:1,3-ジオキソラン=4:6)を、固形分が22重量%になるように加え、50℃に加温し溶解させた。得られた混合物を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、液晶組成物を得た。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」)を用意した。この未延伸フィルムにラビング処理を施すことにより、配向基材を用意した。
前記の配向基材上に、液晶組成物をバーコーターで塗工し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層の厚みは、硬化後に得られる光学異方性層の厚みが2.3μm程度になるように調整した。
その後、液晶組成物の層を、110℃オーブンで4分ほど乾燥させて、液晶組成物中の溶媒を蒸発させると同時に、液晶組成物に含まれる逆波長分散液晶化合物をホモジニアス配向させた。
その後、液晶組成物の層に、紫外線照射装置を用いて、紫外線を照射した。この紫外線の照射は、窒素雰囲気下において、SUS板に配向基材をテープで固定した状態で行った。紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させて、光学異方性層及び配向基材を備える試料フィルムを得た。
この試料フィルムについて、位相差計(Axometrics社製)により、面内レターデーションの波長分散を測定した。配向基材は、面内レターデーションを有さないので、前記の測定によって得られる面内レターデーションは、光学異方性層の面内レターデーションを示す。測定の結果、波長450nm、550nm及び650nmにおける面内レターデーションRe(450)、Re(550)及びRe(650)は、Re(450)<Re(550)<Re(650)を満たしていた。よって、前記式(B1)で表される光重合性の逆波長分散液晶化合物が、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示すものであることが確認された。
〔参考例2:フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体がポジC重合体に該当することの確認〕
フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体を、N-メチルピロリドンに、固形分濃度が12重量%となるように加え、室温にて溶解させて、重合体溶液を得た。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる未延伸フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」)を用意した。この未延伸フィルム上に、前記の重合体溶液を、アプリケーターを用いて塗工して、重合体溶液の層を形成した。その後、85℃オーブンで10分ほど乾燥させて、溶媒を蒸発させることにより、厚み10μm程度の重合体膜と未延伸フィルムとを備える試料フィルムを得た。
この試料フィルムを位相差計(Axometrics社製)のステージに設置し、測定波長590nmにおいて試料フィルムの面内レターデーションRe0を測定した。未延伸フィルムは光学的に等方性のフィルムであるので、測定される面内レターデーションRe0は、重合体膜の面内レターデーションRe0を表す。測定の結果、面内レターデーションRe0はRe0≦1nmであったので、nx(P)≧ny(P)であり、且つこれらは値が同じであるか近い値であることを確認できた。
その後、重合体膜の遅相軸をステージの回転軸としてステージを40°傾けて、試料フィルムの厚み方向に対して40°の角度をなす傾斜方向でのレターデーションRe40を測定した。そして、この測定により、重合体膜の遅相軸方向を測定した。「遅相軸方向」が「ステージの回転軸」と垂直であれば、nz(P)>nx(P)であると判定でき、逆に、「遅相軸方向」が「ステージの回転軸」と平行であれば、ny(P)>nz(P)であると判定できる。測定の結果、遅相軸方向は、ステージの回転軸に垂直であったため、重合体膜の屈折率nx(P)及びnz(P)はnz(P)>nx(P)を満たすと判定できた。
したがって、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体は、この共重合体の溶液を用いた塗工法により重合体膜を形成した場合に、その重合体膜の屈折率がnz(P)>nx(P)≧ny(P)を満たすことが確認された。したがって、フマル酸ジイソプロピルとケイ皮酸エステルの共重合体は、ポジC重合体に該当することが確認された。
〔参考例3〕
塗工液におけるメソゲン化合物及びポジC重合体の量を変更した他は、実施例3と同じ操作を行い、複数の転写用複層物を得た。得られた転写用複層物のそれぞれの光学異方性層の赤外吸収スペクトルを、ATR法により測定した。得られた赤外吸収スペクトルの1720cm-1付近に現れたピークの面積をAC=Oとして求めた。その結果、表3に示す結果を得た。これらの値から、定数aC=O(メソゲン化合物)を、最小二乗法により算出した。その結果、aC=O(メソゲン化合物)=12.93、aC=O(重合体)=21.42の値を得た。これらの値を元に、実施例及び比較例におけるAC=O(メソゲン化合物)の値を求め、硬化度Aの計算に供した。
Figure 0007276128000016

Claims (16)

  1. ポジC重合体と、メソゲン化合物と、前記メソゲン化合物の重合物とを含む光学異方性層であって、
    前記メソゲン化合物が、ホモジニアス配向した場合に逆波長分散性の面内レターデーションを示す化合物であり、
    前記ポジC重合体は、ポリフマル酸エステルであり、前記ポジC重合体の溶液を用いた塗工法により前記ポジC重合体の膜を形成した場合に、前記膜が、式(1)を満たし、
    前記メソゲン化合物は、メソゲン骨格およびアクリレート構造を有する化合物であり、
    前記光学異方性層は、式(2)及び式(3)を満たす、光学異方性層:
    nz(P)>nx(P)≧ny(P) 式(1)
    nz(A)>nx(A)≧ny(A) 式(2)
    0.073<AC-H/AC=O(メソゲン化合物)<0.125 式(3)
    但し、
    nx(P)、ny(P)及びnz(P)は、前記膜の主屈折率であり、
    nx(A)、ny(A)及びnz(A)は、前記光学異方性層の主屈折率であり、
    C-Hは、前記光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造が有するC-H結合の面外変角振動にかかる赤外吸収であり、
    C=O(メソゲン化合物)は、前記光学異方性層の赤外吸収スペクトルにおける、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造が有するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収と、前記メソゲン化合物の前記アクリレート構造のC=O結合に由来するC=O結合の伸縮振動にかかる赤外吸収との和である。
  2. 式(4)及び式(5)を満たす、請求項1に記載の光学異方性層:
    0.50<Rth(A450)/Rth(A550)<1.00 式(4)
    1.00≦Rth(A650)/Rth(A550)<1.25 式(5)
    但し、
    Rth(A450)は、前記光学異方性層の波長450nmにおける厚み方向のレターデーションであり、
    Rth(A550)は、前記光学異方性層の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションであり、
    Rth(A650)は、前記光学異方性層の波長650nmにおける厚み方向のレターデーションである。
  3. 前記メソゲン化合物が、下記式(I)で表される、請求項1又は2に記載の光学異方性層:
    Figure 0007276128000017
    (前記式(I)において、
    ~Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
    は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
    は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、-C(=O)-R、-SO-R、-C(=S)NH-R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、フェニル基、又は、4-メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5~20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
    は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
    及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
    及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
    は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
    mおよびnは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
    但し、Z-Y-及び-Y-Zの一方又は両方は、アクリロイルオキシ基である。)
  4. 前記メソゲン化合物が、その分子構造中に、ベンゾチアゾール環、並びに、シクロヘキシル環及びフェニル環の組み合わせ、からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学異方性層。
  5. 前記光学異方性層の全固形分における前記メソゲン化合物及びその重合物の比率が、20重量%以上60重量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学異方性層。
  6. 式(6)及び式(7)を満たす、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学異方性層:
    Re(A590)≦10nm 式(6)
    -200nm≦Rth(A590)≦-10nm 式(7)
    但し、
    Re(A590)は、前記光学異方性層の波長590nmにおける面内レターデーションであり、
    Rth(A590)は、前記光学異方性層の波長590nmにおける厚み方向のレターデーションである。
  7. 基材と、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学異方性層とを備えた、転写用複層物。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光学異方性層と、位相差層とを備え、
    前記位相差層は、式(8)を満たす、光学異方性積層体:
    nx(B)>ny(B)≧nz(B) 式(8)
    但し、nx(B)、ny(B)及びnz(B)は、前記位相差層の主屈折率である。
  9. 前記位相差層が、式(9)及び式(10)を満たす、請求項8記載の光学異方性積層体:
    0.75<Re(B450)/Re(B550)<1.00 式(9)
    1.01<Re(B650)/Re(B550)<1.25 式(10)
    但し、
    Re(B450)は、前記位相差層の波長450nmにおける面内レターデーションであり、
    Re(B550)は、前記位相差層の波長550nmにおける面内レターデーションであり、
    Re(B650)は、前記位相差層の波長650nmにおける面内レターデーションである。
  10. 前記位相差層が、下記式(II)で表される位相差層用液晶化合物を含む、請求項9に記載の光学異方性積層体:
    Figure 0007276128000018
    (前記式(II)において、
    ~Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-O-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-NR-、-O-NR-、又は、-NR-O-を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1~20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。ただし、-O-又は-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基を表す。
    は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
    は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、-C(=O)-R、-SO-R、-C(=S)NH-R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、炭素数5~12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、フェニル基、又は、4-メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5~20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
    は、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
    及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
    及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の二価の芳香族基を表す。
    は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
    mおよびnは、それぞれ独立に、0又は1を表す。)
  11. 直線偏光子と、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の光学異方性層、請求項7記載の転写用複層物、又は、請求項8~10のいずれか1項に記載の光学異方性積層体と、を備える、偏光板。
  12. 請求項11記載の偏光板を備える、画像表示装置。
  13. 請求項8~10のいずれか1項に記載の光学異方性積層体と、
    直線偏光子と、
    画像表示素子と、を、この順に備え、
    前記画像表示素子が、液晶セル又は有機エレクトロルミネッセンス素子である、画像表示装置。
  14. 請求項1~6のいずれか1項に記載の光学異方性層の製造方法であって、
    ポジC重合体、メソゲン化合物、溶媒、光重合開始剤、および架橋剤を含む塗工液を用意する工程と、
    前記塗工液を支持面上に塗工して、塗工液層を得る工程と、
    前記塗工液層への光の照射を行い、前記塗工液層を硬化させる工程と、を含む製造方法。
  15. 前記塗工液における、前記メソゲン化合物100重量部に対する前記光重合開始剤の比率が1重量部~10重量部であり、
    前記メソゲン化合物100重量部に対する前記架橋剤の比率が1重量部~10重量部である、請求項14に記載の光学異方性層の製造方法。
  16. 照射する前記光の積算光量が600mJ/cm~5000mJ/cmである、請求項14又は15に記載の製造方法。
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