JP7274705B2 - 掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法 - Google Patents

掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法 Download PDF

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本発明は、掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法に関する。
ケーソン工法は、地上において製作された例えば鉄筋コンクリート製の筒状もしくは箱状の構造物を、地中に沈設していく工法であり、底蓋を有する構造物を沈設させていくニューマチックケーソン工法と、底蓋の無い中空の構造物を沈設させていくオープンケーソン工法がある。その中で、オープンケーソン工法は、沈設するケーソン躯体の下方の先端部周辺の地盤を掘削して緩めることにより、ケーソン躯体をその自重によって沈設させたり、必要に応じて、さらに圧入装置による圧入力を付加することにより沈設させる工法である(後者の方法は、圧入式オープンケーソン工法と称される)。また、鋼製もしくは鉄筋コンクリート製のセグメントを周方向に組み付けてリングを形成し、複数のリングを順次積層させながら圧入していく、アーバンリング工法などもある。尚、以下、アーバンリング工法もオープンケーソン工法に含めるものとして説明する。
上記するケーソン躯体の先端の刃口は、地盤抵抗(もしくは地山抵抗)を低減させるべく、一般にテーパー形状になっており、刃口の周辺の地盤を掘削にて緩めることにより、緩められた地盤内に刃口が進入していき、ケーソン躯体が徐々に沈設される。ケーソン躯体の沈設に伴い、ケーソン躯体内の地盤は例えばバケット式掘削機等により掘削される。そして、地盤が掘削されたケーソン躯体の内部には水が貯留され、刃口周辺の地盤の掘削による緩めと、ケーソン躯体の沈設、及びケーソン躯体内部の地盤の水中掘削(泥水中掘削)により、ケーソン躯体の沈設が進められる。
上記するように、ケーソン躯体の刃口の周辺の地盤が掘削により緩められ、その結果としてケーソン躯体が沈設していくことから、ケーソン躯体の刃口周辺の地盤面の形状、より詳細には、ケーソン躯体の周方向に亘る刃口周辺の地盤面の三次元形状を精度よく特定することはケーソン工法にとって極めて重要である。すなわち、特定されたケーソン躯体の周方向に亘る刃口周辺の地盤面の三次元形状に基づいて、ケーソン躯体の周方向に亘り刃口周辺の地盤を可及的均等に緩めることができ、このことにより、ケーソン躯体を高い鉛直精度の下で、かつ効率的に沈設施工することが可能になる。
そこで、ケーソン躯体の周方向に亘る刃口周辺の地盤面の三次元形状を特定する方法として、潜水士により測定する方法が挙げられるが、潜水士による測定では時間と労力がかかる。また、ケーソン躯体内の貯水は濁った泥水であることから、濁りで視界が不良になり易く、潜水士の測定位置(二次元的な平面位置と深度とによる三次元位置)の特定精度が低くならざるを得ない。そして、このことに起因して、潜水士による掘削地盤面の形状特定精度も低下することになる。さらに、潜水士による測定では、ケーソン躯体の深度が大深度になるにつれて測定そのものが困難になる。
ここで、掘削孔の内部において、超音波距離検出器を水平方向に360度回転させることにより、掘削孔の孔壁形状を測定する装置が提案されている。より具体的には、ウインチによって掘削孔内に昇降自在に吊り下げられる超音波距離検出器と、超音波距離検出器の回転角度を検出する回転角検出器と、超音波距離検出器のウインチによる昇降量を検出する昇降量検出器とを設けて、コンピュータが各検出器の出力にもとづき掘削孔の孔壁全周の形状を演算し、演算結果に基づいてディスプレイ及びプリンタにその孔壁形状を表示及び印刷させる、掘削孔の孔壁形状測定装置である(例えば、特許文献1参照))。
特開平8-68620号公報
特許文献1に記載の掘削孔の孔壁形状測定装置によれば、超音波距離検出器を水平方向に360度回転させ、超音波距離検出器の回転角度に関するデータと、ウインチによる昇降量に関するデータ、及び超音波距離検出器による掘削孔までの超音波距離に関するデータに基づいて掘削孔の孔壁形状を測定することにより、大深度であっても可及的に高い精度で掘削孔の孔壁形状を測定することが可能になる。
しかしながら、特許文献1に記載の掘削孔の孔壁形状測定装置では、掘削孔の孔壁形状を測定することはできるものの、上記するように、ケーソン躯体の周方向に亘る刃口周辺やケーソン躯体の内部における掘削地盤面の形状を測定することはできない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ケーソン躯体内に存在する汚泥水により視界が不良な環境下においても、あるいは、大深度においても、ケーソン躯体の刃口周辺や内部における掘削地盤面の形状を高い精度で特定することのできる、掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による掘削地盤面の形状特定装置の一態様は、
オープンケーソンの施工に際して、掘削地盤面の凹凸形状と該凹凸形状の三次元的位置を特定する、掘削地盤面の形状特定装置であって、
地上にある重機からワイヤにより垂下される、フレーム枠と、
コントローラと、
前記フレーム枠に取り付けられている、横方向軸の周りを回転自在なソナーと、
傾斜計と、を有し、
前記コントローラは、
前記重機により吊り下げられる前記ワイヤの吊り下げデータと、該ワイヤの平面座標を特定する検尺手段による平面座標データと、により形成される該フレーム枠の三次元位置データを取得し、
前記傾斜計による前記フレーム枠の水平方向からの傾斜角度データを取得し、
前記横方向軸を中心に前記ソナーを回転させて前記掘削地盤面の凹凸形状を特定し、この際に、前記傾斜角度データが水平方向に相当する0度ではない場合に、該傾斜角度データに応じて前記凹凸形状を補正することを特徴とする。
本態様によれば、横方向軸の周りを回転するソナーを有し、超音波を掘削地盤面に照射し、反射波を受信することで掘削地盤面の凹凸形状を特定し、横方向軸が傾斜している場合は傾斜角度に応じて凹凸形状を補正することにより、ケーソン躯体内に存在する汚泥水による視界不良な環境下においても、高い精度で掘削地盤面の凹凸形状を特定することができる。ここで、クローラクレーン等の重機はGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等を備えており、重機の三次元位置を特定することができる。また、クレーン等のブームの先端にもGPSを搭載しておくことにより、ブームの先端の三次元位置が特定され、ブームの先端から垂下されるワイヤの吊り下げ量に関するデータに基づき、ワイヤにより垂下されるフレーム枠の三次元位置が特定される。
ここで、フレーム枠に取り付けられている、横方向軸の周りを回転自在なソナー(超音波探知装置)に関し、「横方向軸」とは、水平方向に延びる水平軸の他、水平面から±40度程度の範囲で鉛直方向に傾斜した方向に延びる軸を含んでいる。横方向軸が水平軸の場合は、横方向軸を中心に回転するソナーにより測定される掘削地盤面の凹凸形状は、補正の必要なく採用することができる。一方、横方向軸が水平面から傾斜した傾斜軸の場合は、傾斜計により計測される傾斜角度データに基づき、ソナーにより測定される掘削地盤面の凹凸形状を補正し、補正後の凹凸形状を採用する。
傾斜計により、フレーム枠の傾斜角度(水平からの角度)が検知され、同様に横方向軸の傾斜角度が検知される。また、フレーム枠には、制御ボックスが搭載されていてもよく、この制御ボックスが例えば地上にあるコントローラとの間で信号の送受信を行い、ソナーを回転させるアクチュエータの駆動制御等を実行する形態であってもよい。
また、「ワイヤの平面座標を特定する検尺手段」とは、上記するようにブームの先端に搭載したGPSの他、作業員がケーソン躯体の所定位置から検尺棒にてワイヤの位置を測定するマニュアルによる検尺形態が含まれる。マニュアルにより検尺されたデータは、作業員の所持する携帯端末等を介してコントローラに送信される。ここで、この携帯端末には、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどが含まれる。
コントローラは、ソナーからのデータの送受信や、ソナーを回転させるアクチュエータ(モータ等)の回転の動作を、同期させながら制御することができる。
また、本態様の形状特定装置では、ソナーが横方向軸の周りを回転自在に取り付けられているとともに、さらに、縦方向軸の周りを回転自在に取り付けられている形態であってもよい。例えば、ソナーを横方向軸の周りに回転させるモータ等のアクチュエータに加えて、このモータ及びソナーのユニットを縦方向軸の周りに回転させる別途のモータ等のアクチュエータが装備されていてもよい。ここで、「縦方向軸」とは、横方向軸と鉛直方向軸により形成される鉛直面内において、横方向軸と直交する方向に延設する軸のことである。従って、横方向軸が水平軸から傾斜している場合は、縦方向軸も鉛直軸から同様に傾斜している。
尚、ソナーが当該ソナーの外側にあるモータ等のアクチュエータにより回転する形態の他に、ソナー自身が回転機構を有していて、自身で回転する形態であってもよい。
その他、ソナーが回転自在な横方向軸が、相互に直交する二軸(例えば、X方向軸とY方向軸)の周りを回転する形態であってもよい。この形態では、ソナーをX方向軸周りに回転させるモータ等のアクチュエータと、これらソナー及びモータをY方向軸周りに回転もしくは回動させる別途のモータ等のアクチュエータが装備される。ソナーは、少なくとも掘削地盤面の凹凸形状を特定できればよいことから、ソナーがY方向軸周りを回動する際には、鉛直下方から時計周り及び反時計周りにそれぞれ、45度乃至90度の範囲まで回動できるように構成されていればよい。
横方向軸を中心にソナーが回転する過程において、ソナーが掘削地盤面に超音波を照射する場合のみ、当該掘削地盤面からの反射波を受信することができ、反射波を受信するまでの時間と超音波の速度に基づきソナーから掘削地盤面までの距離が測定される。上記するようにフレーム枠の三次元位置は特定されており、フレーム枠におけるソナーの設置位置も予め特定されていることから、ソナーにより測定される掘削地盤面までの距離により、掘削地盤面の測定点における三次元情報が特定される。
尚、コントローラは、例えば地上の管理棟に収容されているコンピュータにより形成される。重機の三次元位置データやブーム先端の三次元位置データ(ブーム先端から垂下されるワイヤまでのマニュアル検尺による位置データを含む)、ワイヤの吊り下げデータ、横方向軸周りをソナーが回転する過程で掘削地盤面までの距離を計測する超音波計測データ、傾斜計によるフレーム枠の水平方向からの傾斜角度データ等がコントローラに取得される。ここで、「取得」とは、コントローラにデータが無線もしくは有線にて送信されることや、データが入力されること等により、コントローラにデータが格納されることを意味している。
コントローラでは、これらのデータを随時格納し、演算部において、これらのデータに基づいて掘削地盤面の凹凸形状を特定する。また、特定された掘削地盤面の凹凸形状は、コントローラの表示部に表示されるとともに、掘削地盤面の各位置における三次元情報に基づき、掘削地盤面の不陸の程度が特定され、例えば、他の場所に比べて掘削が不十分な刃口周辺部位において掘削を再度行うことにより、ケーソン躯体の周方向に亘る刃口周辺の掘削地盤面を可及的均等に緩めることができ、このことにより、ケーソン躯体を高い鉛直精度の下で、かつ効率的に沈設施工することが可能になる。
また、横方向軸を例えば鉛直軸に設定し、鉛直軸周りにソナーを回転させながらケーソン躯体の壁面に超音波を照射することにより、ケーソン躯体の壁面の三次元位置情報を得ることも可能である。このようにして得られたケーソン躯体の壁面の三次元位置情報により、ケーソン躯体の鉛直の程度(鉛直精度)を特定することが可能になり、必要に応じて、ケーソン躯体の沈設方向の修正を行うことができる。
この際、横方向軸が、X方向軸とこれに直交するY方向軸の二軸を有していて、双方の軸周りをソナーが回転もしくは回動できる形態であると、ケーソン躯体の壁面や掘削地盤面の三次元形状を、余すところなく特定することが可能になる。
また、本発明による掘削地盤面の形状特定装置の他の態様において、
前記フレーム枠は、ジャッキ本体からジャッキシリンダが縦方向に伸縮する、複数のシリンダ機構と、複数の該シリンダ機構の上端同士を繋ぐ上部フレームとを有し
少なくとも一つのシリンダ機構の前記ジャッキシリンダが前記掘削地盤面に接地し、他のシリンダ機構の前記ジャッキシリンダが前記掘削地盤面に接地していない場合に、該少なくとも一つのシリンダ機構の前記ジャッキシリンダから該他のシリンダ機構へ作動油を押し出し、該他のシリンダ機構の前記ジャッキシリンダを伸長させて前記掘削地盤面に接地させ、前記フレーム枠の姿勢変更が行われることを特徴とする。
本態様によれば、例えば、フレーム枠を吊るワイヤを緩めること等により、その自重にて、凹凸形状を有する掘削地盤面に対して順次着底する各ジャッキシリンダの着底の順番に応じて、各シリンダ機構の間で作動油を移動させる。このことにより、各ジャッキシリンダを伸縮させ、この各ジャッキシリンダの伸縮により、フレーム枠の姿勢を所望の姿勢に変更することが可能になる。例えば、このフレーム枠の姿勢変更により、横方向軸を水平軸に調整することができる。これらの作用は、ソナーを含むフレーム枠の重量に基づいて自然に行われる。この機構によれば、横方向軸をより水平軸に近く接地することが可能になる。また、水平軸との間の傾斜角度が大きな場合は、再度、ワイヤによる持ち上げと降下を行うことにより、水平により近い状態を形成することができる。尚、アクチュエータ等を装備し、さらにアクチュエータも作動させることによりフレーム枠の姿勢変更が実行されてもよい。
また、本発明による掘削地盤面の形状特定装置の他の態様において、
前記フレーム枠は、前記オープンケーソンの壁面に当接される複数の第一縦桟と、前記第一縦桟に対して横桟を介して取り付けられている第二縦桟と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、オープンケーソンの壁面に複数の第一縦桟を当接させた状態で、横方向軸の周りをソナーが回転しながら掘削地盤面を測定することにより、沈設施工の過程で三次元位置情報が特定されているケーソン躯体における所定の壁面に沿ってフレーム枠を位置決めすることができる。そのため、フレーム枠の三次元位置情報を高精度に特定することができ、掘削地盤面の凹凸形状の高精度な特定に繋がる。
本態様のフレーム枠を有する形状特定装置では、重機のブームから主ワイヤと補助ワイヤを垂下させ、例えば、主ワイヤにて第一縦桟もしくは横桟を垂下し、補助ワイヤにて第二縦桟を垂下するものとし、第一縦桟の下端をケーソン躯体の壁面に当接させ、第一縦桟に比べて第二縦桟を下方に傾斜させた姿勢でフレーム枠を吊り下ろす。この吊り下ろし方法により、第一縦桟の下端をケーソン躯体の壁面に沿って移動させることができ、第二縦桟の下端を掘削地盤面よりも上方の所定レベルにおいて位置決めした後、例えばクレーンのブームを縮めて傾斜姿勢のフレーム枠を持ち上げることにより、第一縦桟の上端もケーソン躯体の壁面に当接させることができる。そして、第一縦桟の上端及び下端がケーソン躯体の壁面の所定位置に安定的に当接された状態の下で、横方向軸の周りでソナーを回転させながら掘削地盤面を測定することができる。

また、本発明による掘削地盤面の形状特定方法の一態様は、
オープンケーソンの施工に際して、掘削地盤面の凹凸形状と該凹凸形状の三次元的位置を特定する、掘削地盤面の形状特定方法であって、
横方向軸の周りを回転自在なソナーが取り付けられているフレーム枠を、地上にある重機から垂下し、前記掘削地盤面に向かって吊り下ろしていき、
前記重機により吊り下げられるワイヤの吊り下げデータと、該ワイヤの平面座標を特定する検尺手段による平面座標データと、により形成される該フレーム枠の三次元位置データに基づいて、該フレーム枠の三次元位置を特定し、前記横方向軸を中心に前記ソナーを回転させて前記掘削地盤面の凹凸形状を測定し、この際、該横方向軸の水平からの傾斜角度を特定しておき、該傾斜角度が水平方向に相当する0度ではない場合に、該傾斜角度に応じて前記凹凸形状を補正することを特徴とする。
本態様によれば、横方向軸の周りでソナーを回転させながら超音波を掘削地盤面に照射し、反射波を受信することで掘削地盤面の凹凸形状を特定し、横方向軸が傾斜している場合は傾斜角度に応じて凹凸形状を補正することにより、ケーソン躯体内に存在する汚泥水による視界不良な環境下においても、高い精度で掘削地盤面の凹凸形状を特定することができる。
本発明の掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法によれば、ケーソン躯体内に存在する汚泥水により視界が不良な環境下においても、あるいは、大深度においても、ケーソン躯体の刃口周辺や内部における掘削地盤面の形状を高い精度で特定することができる。
ケーソン躯体を地盤内に沈設する方法の一例を示す縦断面図である。 第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置の一例を示す模式図である。 第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置を構成する、フレーム枠とフレーム枠に取り付けられている各種構成要素を示す斜視図である。 掘削地盤面の形状特定装置を構成するコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。 コントローラの機能構成の一例を示す図である。 フレーム枠を構成する複数のシリンダ機構による動作を説明する縦断面図である。 図6に続いて、フレーム枠を構成する複数のシリンダ機構による動作を説明する縦断面図である。 第2実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置を構成する、フレーム枠とフレーム枠に取り付けられている各種構成要素を示す斜視図であって、吊り下げ態様を共に示す図である。 図8に続いて、フレーム枠がケーソン躯体の壁面に設置されている状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態]
<沈設対象のケーソン躯体とケーソン躯体の沈設方法>
はじめに、図1を参照して、沈設対象のケーソン躯体の一例と、地盤内におけるケーソン躯体の沈設方法の一例について説明する。ここで、図1は、ケーソン躯体を地盤内に沈設する方法の一例を示す縦断面図である。
図1に示すように、沈設対象であるケーソン躯体200は、オープンケーソン工法により沈設される、鉄筋コンクリート製の円筒体であり、その先端の刃口210の壁面がテーパー面220となっている。尚、ケーソン躯体の平面視形状は、円形以外にも、楕円形、正方形や長方形等の矩形、矩形以外の多角形であってもよい。尚、ケーソン躯体200は、アーバンリング工法のように、鋼製もしくは鉄筋コンクリート製のセグメントを周方向に組み付けてリングを形成し、複数のリングを順次積層させながら圧入される形態であってもよい。
例えば、原地盤Gにおいて、表層から所定深度までは、バケット式掘削機の爪の差し込みに支障のない硬度の軟質地盤G1が広がり、その下方には、バケット式掘削機の爪が差し込み難い硬質地盤G2がある。ケーソン躯体200は、この硬質地盤G2の所定深度まで沈設される。尚、軟質地盤、硬質地盤の概念は、具体的な物性値で規定してもよく、例えばN値10乃至30の間の所定値を軟質地盤と硬質地盤の境界値に設定してもよい。また、硬質地盤G2は、支持層と称することもできる。
地上にて製作されたケーソン躯体200は、施工エリアの地表に設置される。そして、その刃口周辺の軟質地盤G1を掘削することにより、ケーソン躯体200の自重によって刃口210が軟質地盤G1内に進入し、ケーソン躯体200が沈設される。また、ケーソン躯体200の自重の他に、必要に応じて圧入装置による圧入力を付加することにより、ケーソン躯体200の沈設が行われる。このケーソン躯体200の沈設に応じて、ケーソン躯体200の内部の軟質地盤G1もバケット式掘削機等により掘削し、ケーソン躯体200の内部に水Wが導入され、貯水される。この施工を繰り返しながら、軟質地盤G1内においてケーソン躯体200を沈設していき、バケット式掘削機の爪が差し込み難い硬質地盤G2まで到達させる。
図1に示すケーソン躯体200の沈設過程で造成される掘削地盤面において、刃口210の周辺は刃口周辺領域A1であり、その内側が内部領域A2である。図示する軟質地盤G1,硬質地盤G2におけるケーソン躯体200の沈設においては、特に、ケーソン躯体200の周方向に亘る刃口周辺領域A1の地盤面の三次元形状を精度よく特定することが極めて重要になる。すなわち、特定されたケーソン躯体200の周方向に亘る刃口周辺領域A1の地盤面の三次元形状に基づいて、ケーソン躯体200の周方向に亘り刃口210周辺の地盤を可及的均等に緩めることができ、このことにより、ケーソン躯体200を高い鉛直精度の下で、かつ効率的に沈設施工することが可能になる。
そこで、以下、掘削地盤面の形状を特定する装置と方法について説明する。
<第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法>
次に、図2乃至図7を参照して、第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法の一例について説明する。ここで、図2は、第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置の一例を示す模式図であり、図3は、第1実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置を構成する、フレーム枠とフレーム枠に取り付けられている各種構成要素を示す斜視図である。
掘削地盤面の形状特定装置100は、地上にあるクローラクレーン等の重機10と、重機10からワイヤにより垂下されるフレーム枠20と、フレーム枠20に取り付けられているアクチュエータ30の回転軸32の延設方向に延びる横方向軸37の周り、及び、アクチュエータ28の回転軸の延設方向に延びる縦方向軸29の周りを回転自在なソナー40と、傾斜計26と、コントローラ60とを有する。
クローラクレーン10は、図1に示すケーソン躯体200の沈設の過程で、ケーソン躯体200の側方の地表面に位置し、ワイヤ13の下端のフック14に垂下されているフレーム枠20をケーソン躯体200の内部に吊り下ろす。この際、ブームの傾斜角度を変更したり、ブームを伸縮したり、クローラクレーン10自体がケーソン躯体200の周囲を移動することにより、ケーソン躯体200の内部の掘削地盤面の全域にフレーム枠20を吊り下ろすことができる。
クローラクレーン10の操作室にはGPS11が搭載されており、図示例においては、ブームの先端にも別途のGPS12(検尺手段の一例)が搭載されている。GPS12により、ブーム先端の三次元位置情報が得られる。このGPS12による三次元位置情報と、ブームの先端からのワイヤ13の吊り下げ量により、フレーム枠20の三次元位置情報が得られる。そして、フレーム枠20におけるソナー40の取り付け位置も予め特定されており、従って、GPS12による三次元位置情報とブームの先端からのワイヤ13の吊り下げ量により、ソナー40の三次元位置情報が得られる。尚、検尺手段としては、図示例の他、作業員がケーソン躯体200の所定位置から検尺棒にてワイヤ13の位置を測定する、マニュアルによる検尺であってもよい。
フレーム枠20は、図3に詳細に示すように、上部フレーム24と、上部フレーム24の脚部を形成する複数(図示例は三つ)のシリンダ機構50とを有する。上部フレーム24は、複数本(図示例は三本)の縦桟21と、各縦桟21の上端と途中位置が固定される複数本(図示例は二本)の環状の横桟22と、上方の横桟22の環状内に配設されている横格子23とを有する。
横格子23の下端には制御ボックス25が固定され、制御ボックス25の内部には傾斜計26が内蔵されている。一方、制御ボックス25の下方には、縦方向軸29の周りに回転軸(図示せず)がX2方向に回転するアクチュエータであるモータ28が装備されており、モータ28の上方にはロータリーエンコーダ27が搭載され、モータ28の回転量や回転位置(回転角度)が測定されるようになっている。
そして、モータ28の下方には、別途のアクチュエータであるモータ30が、モータ28に対して回転自在に固定されている。モータ30の背面にはロータリーエンコーダ35が搭載され、モータ30の回転軸32の回転量や回転位置(回転角度)が測定されるようになっている。尚、図示を省略するが、形状特定装置100がモータ30を備えず、ソナー40が自身で回転する形態であってもよい。
モータ30の回転軸32にはソナー40が取り付けられている。上記するように、回転軸32の延設方向に延びる横方向軸37の周りをソナー40がX1方向に回転できるようになっている。ここで、ソナー40の仕様の一例として、発信周波数600kHz乃至1Mhz(5khzピッチに可変)、照射ビーム形状が2.4度乃至1.4度のペンシルビーム、測定可能半径が1m乃至100mを挙げることができる。
図3においては、水平面を規定するX-Y座標軸と、X-Y座標軸に直交するZ座標軸を示しているが、例えばフレーム枠20が掘削地盤面に対して傾斜した姿勢で載置された場合、横方向軸35の水平面からの傾斜角度θは傾斜計26により計測される。横方向軸35が水平軸である場合は、傾斜角度θは0度となる。
三本の縦桟21の下端にはそれぞれ、シリンダ機構50A,50B,50Cが取り付けられており、各シリンダ機構50を含めてフレーム枠20が構成される。
シリンダ機構50は、ジャッキ本体51と、ジャッキ本体51から縦方向であるY1方向に伸縮するジャッキシリンダ52とを有する。ジャッキシリンダ52の有する下端フランジ52bが凹凸形状の掘削地盤面に着底される。
フレーム枠20が掘削地盤面に着底した後、モータ30を駆動して横方向軸37の周りでソナー40をX1方向に回転させることにより、ソナー40からX3方向に照射された超音波が掘削地盤面にて反射され、反射波がX4方向に反射してソナー40にて受信されることにより、ソナー40から掘削地盤面までの距離が測定される。そして、上記するように、ソナー40の三次元位置情報は特定されていることから、このソナー40の三次元位置情報と、ソナー40にて受信された掘削地盤面までの距離情報に基づき、掘削地盤面の所定位置における三次元情報が得られる。
例えば、凹凸形状の掘削地盤面に最初に着底したシリンダ機構50は、以下で説明するように、そのジャッキシリンダ52を短縮させ、以降、ジャッキ本体51の圧縮された作動油は他のシリンダ機構50に向かって流れ、当該他のジャッキ本体51のジャッキシリンダ52が押し下げられるようになっている。そして、その後、既に着底している二基のシリンダ機構50の作動油は最後のシリンダ機構50に流れ、当該最後のシリンダ機構50のジャッキシリンダ52が押し下げられて着底される。
図2に示すコントローラ60はコンピュータにより構成され、例えば、地上にある管理棟K内に収容されている。ここで、図4及び図5を参照して、コントローラの一例について説明する。図4は、掘削地盤面の形状特定装置を構成するコントローラのハードウェア構成の一例を示す図であり、図5は、コントローラの機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、コントローラ60は、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63、通信装置64、表示装置65、及び入力装置66を有し、それらがシステムバス67にてデータ通信可能に接続されている。
ROM63には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM62は、ROM63に記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU61は、RAM62にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。例えば、GPS12から送信されるブーム先端の三次元位置データ、ワイヤ13の吊り下げ量に関する吊り下げデータ、ロータリーエンコーダ35により測定されるソナー40の照射角度データ(ソナー40の照射部の例えば鉛直方向からの角度等)、ソナー40にて測定されるソナー40から掘削地盤面までの距離を計測する超音波計測データ、傾斜計26による横方向軸37の水平方向(水平面)からの傾斜角度データ等を用いて、掘削地盤面の三次元位置データを生成し、生成結果を表示する制御を実行する。尚、その他、コントローラ60にインストールされたプログラム等を記憶する補助記憶装置(図示せず)を有していてもよい。
表示装置65は、液晶ディスプレイ等からなり、たとえばタッチパネルの表示機能を担う。入力装置66は、表示装置65に対する接触体の接触を検出するセンサを有する電子部品である。接触体の接触の検出方式としては、静電方式や抵抗膜方式、光学方式などがある。この接触体として、オペレータ等の指や専用ペン等が挙げられる。通信装置64は、有線LANや無線LAN、もしくは移動体通信網等において通信を行う際に必要となる、アンテナ等の電子部品である。尚、通信装置が水中内にある場合は、有線LANが適用されるのがよい。
コントローラ60は、CPU302による制御により、図5に示す送受信部610、生成部620、補正部630、表示部640、及び格納部650として機能する。
送受信部610は、GPS12から送信されるブーム先端の三次元位置データを受信する。また、ワイヤ13の吊り下げ量に関する吊り下げデータを受信する。
そして、フレーム枠20が掘削地盤面の所定位置に着底された後、横方向軸37の水平方向からの傾斜角度が傾斜計26により測定され、この傾斜角度データが例えば制御ボックス25を介して送受信部610に送信される。
格納部650には、上記するブーム先端の三次元位置データやワイヤ13の吊り下げデータ、及び傾斜角度データが格納される。
そして、送受信部610から制御ボックス25に対して、モータ28,30の駆動信号が送信され、駆動信号を受信した制御ボックス25にてモータ28,30が駆動されることにより、縦方向軸29周りにモータ30がX2方向に回転され、横方向軸37の周りでソナー40がX1方向に回転される。このモータ30とソナー40が回転する過程で掘削地盤面までの距離が計測され、ソナー40の照射角度データとソナー40から掘削地盤面までの超音波計測データが例えば制御ボックス25を介して送受信部610に送信される。格納部650には、これら照射角度データ及び超音波計測データも格納される。
生成部620は、格納部650に格納されている、ブーム先端の三次元位置データとワイヤ13の吊り下げデータ、照射角度データ、及び超音波計測データに基づいて、掘削地盤面の所定位置における三次元位置データを生成する。
この際、格納部650に格納されている傾斜角度データが0度である場合は、生成部620にて生成された掘削地盤面の所定位置における三次元位置データがそのまま採用され、格納部650に格納される。
これに対して、傾斜角度データが0度でない場合、すなわち、横方向軸37が水平軸でなく、水平面に対して傾斜角度θを有している場合は、生成部620にて作成された、掘削地盤面の所定位置における三次元位置データを補正部630にて補正し、補正後の掘削地盤面の所定位置における三次元位置データが格納部650に格納される。
例えば一例を挙げると、横方向軸37が水平面から角度θ傾斜している場合であって、測定された掘削地盤面までの距離がtである場合、高さデータはt×cosθに補正され、横方向軸37を含む鉛直面内における平面データは、t×sinθに補正される。
クローラクレーン10のブームの傾斜角度を変更したり、ブームを伸縮等することにより、例えばフレーム枠20をケーソン躯体200の壁面に沿って周回させることができ、この過程で掘削地盤面における各位置の三次元情報データを得る。そして、得られた各位置の三次元情報データが随時格納部650に格納される。
例えば、ケーソン躯体200の周方向に亘る刃口210周辺の掘削地盤面の三次元情報データが得られた段階で、表示部640では、この三次元情報データに基づいて、ケーソン躯体200の周方向に亘る刃口210周辺の掘削地盤面の凹凸形状が表示される。そして、表示部640には、例えば、この周方向に亘る刃口210周辺の掘削地盤面の凹凸形状に基づき、地盤面の平均レベルに対して掘削量が足りない位置(掘削地盤面の高さが平均レベルに対して高い位置)を特定し、この上方を表示するとともに管理者に通知する。
管理者は、この表示内容に基づき、掘削地盤面においてさらに掘削するべき箇所を特定し、当該箇所を掘削することにより、ケーソン躯体200の周方向に亘る刃口210周辺の掘削地盤面を可及的に均等なレベルに調整することができる。ケーソン躯体200の周方向に亘る刃口210周辺の掘削地盤面が可及的に均等なレベルに調整されることにより、ケーソン躯体を高い鉛直精度の下で、かつ効率的に沈設施工することが可能になる。
また、形状特定装置100とこの形状特定装置100を適用した形状特定方法によれば、ケーソン躯体200内に存在する汚泥水により視界が不良な環境下においても、あるいは、大深度においても、ケーソン躯体200の刃口210周辺や内部における掘削地盤面の形状を高い精度で特定することが可能になる。
次に、図6及び図7を参照して、凹凸形状のある掘削地盤面において、同時に着底できない各シリンダ機構50A、50B,50Cの有するジャッキシリンダ52の伸縮動作の一例について説明する。ここで、図6及び図7は順に、フレーム枠を構成する複数のシリンダ機構による動作を説明する縦断面図である。
図6に示すように、各シリンダ機構50A、50B,50Cともに、ジャッキ本体51の内部には、押し出し室51Aと戻し室51Bがあり、双方の室がジャッキシリンダ52の上端フランジ52aにより隔離されている。
押し出し室51Aと戻し室51Bには作動油53が充填されており、押し出し室51Aには押し出しポート51aが設けられ、戻し室51Bには戻しポート51bが設けられており、各シリンダ機構50A,50B,50Cの押し出しポート51aに対して押し出し管55が連通しており、各シリンダ機構50A,50B,50Cの戻しポート51bに対して戻し管56が連通している。
図6に示すように、各シリンダ機構50A、50B,50Cの有する各ジャッキシリンダ52の下端フランジ52bが同レベルに位置合わせされた状態で、フレーム枠20が接合されている。
図6に示すように掘削地盤面に段差がある場合、シリンダ機構50Aの有するジャッキシリンダ52の下端フランジ52bが段差上に最初に着底し、この際、他のシリンダ機構50B,50Cの有するジャッキシリンダ52の下端フランジ52bは着底していない。
そこで、図7に示すように、地盤から着底時の圧力を受けたシリンダ機構50Aでは、ジャッキシリンダ52を上方へY1'方向に押し込み、この押し込みにより、シリンダ機構50Aの押し出し室51Aから作動油53が押し出し管55にY3方向に押し出され、押し出し管55を介してシリンダ機構50B,50Cの各押し出し室51Aに作動油53がY4方向に流入する。
シリンダ機構50B,50Cでは、この流入した作動油53によりジャッキシリンダ52の上端フランジ52aが下方へ押し込まれ、ジャッキシリンダ52が下方へY1"方向に押し出される。このように下方へ押し出されたシリンダ機構50B,50Cの各ジャッキシリンダ52の下端フランジ52bが地盤に着底し、同時に、シリンダ機構50B,50Cの戻し室51BからY5方向に押し出された作動油53は、戻し管56を介してシリンダ機構50Aの戻し室51BにY6方向に戻される。この結果、シリンダ機構50B,50Cの各ジャッキシリンダ52が下方へ押し出されと同時に、シリンダ機構50Aのジャッキシリンダ52がジャッキ本体51内に収容され、各シリンダ機構50A,50B,50Cの有する各ジャッキシリンダ52の下端フランジ52bが全て、段差のある掘削地盤面に着底する。
尚、図7に示す着底状態において、傾斜計26がフレーム枠20の傾斜角度を計測した結果、水平面に対して横方向軸37が傾斜角度θを有している場合は、傾斜角度θが0度により近い角度となるようにワイヤ13を持ち上げ、各シリンダ機構50A,50B,50Cの制御が再度実行されてもよい。
<第2実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法>
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置及び形状特定方法の一例について説明する。ここで、図8は、第2実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置を構成する、フレーム枠とフレーム枠に取り付けられている各種構成要素を示す斜視図であって、吊り下げ態様を共に示す図であり、図9は、図8に続いて、フレーム枠がケーソン躯体の壁面に設置されている状態を示す図である。
第2実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置100Aは、フレーム枠の構成が相違する点以外は、第1実施形態に係る形状特定装置100と同様の構成を有している。従って、ここでは、形状特定装置100と相違するフレーム枠の構成とその吊り下げ方向に関して説明する。
図8に示す形状特定装置100Aの有するフレーム枠70は、オープンケーソン200の壁面に当接される複数(図示例は二つ)の第一縦桟71と、第一縦桟71に対して横桟72を介して取り付けられている第二縦桟73とを有している。そして、第二縦桟73の下端において、アクチュエータであるモータ30,33が固定され、モータ30,33の背面にはそれぞれロータリーエンコーダ35、34が搭載されている。モータ30の回転軸32にはソナー40が取り付けられており、回転軸32の延設方向に延びる横方向軸37の周りをソナー40がX1方向に回転できるようになっている。
より具体的には、複数の縦桟21'、各縦桟21'を繋ぐ環状の横桟22'、上方の横桟22'の内部にある横格子23'によりフレーム24'が構成され、横格子23'に制御ボックス25と傾斜計26が固定される。そして、フレーム24'に一方のモータ33が固定され、他方のモータ30がモータ33の回転軸36に固定されている。
モータ33の回転軸36は第二横方向軸39に沿って延設しており、回転軸36の先端に別途のモータ30が取り付けられている。そして、モータ30の回転軸32は、第二横方向軸39と平面内で直交する第一横方向軸37に沿って延設している。例えば、第一横方向軸37がX方向軸であり、第二横方向軸39がY方向軸の関係にある。
モータ30が駆動することにより、ソナー40は第一横方向軸37の周りをX1方向に360度回転し、モータ33が駆動することにより、モータ30は第二横方向軸39の周りを、鉛直下方から時計周りもしくは反時計周りにX5方向に回動する。この回動角度範囲は、例えば、鉛直下方から45度乃至90度の範囲に設定される。
例えば、ソナー40が第一横方向軸37の周りをX1方向に360度回転して掘削地盤面の凹凸形状を測定し、次いで、モータ30が、第二横方向軸39の周りを時計周りもしくは反時計周りに所定の微小角度だけ回動して停止する。そして、この停止位置において、ソナー40が第一横方向軸37の周りをX1方向に360度回転して掘削地盤面の凹凸形状を再度測定する。このような測定がシーケンシャルに実行されることにより、掘削地盤面の三次元形状の他、ケーソン躯体等の構造物の壁面の三次元形状等を、余すところなく測定し、それらを高精度に特定することが可能になる。
形状特定装置100Aでは、クローラクレーン10のブームから主ワイヤ13Aと補助ワイヤ13Bを垂下させ、例えば、主ワイヤ13Aの主フック14にて横桟72を垂下し、補助ワイヤ13Bの補助フック15にて第二縦桟73を垂下するものとし、第一縦桟71の下端をケーソン躯体200の壁面に当接させ、第一縦桟71に比べて第二縦桟73を下方にZ1方向に傾斜させた姿勢でフレーム枠70を吊り下ろす。
この吊り下ろし方法により、第一縦桟71の下端71aをケーソン躯体200の壁面に沿って移動させることができ、第二縦桟73の下端73aを掘削地盤面よりも上方の所定レベルにおいて位置決めした後、図9に示すように、補助ワイヤ13Bを上方であるZ2方向に吊り上げて傾斜姿勢のフレーム枠70をZ3方向に持ち上げることにより、図9に示すように、第一縦桟71の上端71bもケーソン躯体200の壁面205に当接させることができる。そして、第一縦桟71の上端71b及び下端71aがケーソン躯体200の壁面205の所定位置に安定的に当接された状態の下で、第二縦桟73に取り付けられている第一横方向軸37及び第二横方向軸39の周りでソナー40を回転もしくは回動させながら掘削地盤面を測定することができる。
従来、オープンケーソン等の掘削地盤面やケーソン躯体の壁面の形状管理は、泥濁水等の内部において進められてきている。そのため、淡水や海水に比べて、泥濁水により発生する伝搬速度の変化や減衰が大きいなどを理由として、計測精度が低くならざるを得なかった。しかしながら、上記する形状特定装置100,100Aを適用することにより、泥濁水等の内部においても、掘削地盤面等の三次元形状を高精度に特定することが可能になる。
また、特定された三次元形状データ(座標値)の内、形状寸法が既知の構造物の座標値に基づき、校正値を求めることができる。例えば、構造物であるケーソン躯体の内径は設計規定値を有しており、変化が少ないことから、このようなケーソン躯体の内径を適宜利用するのがよい。例えば、対比値(構造値データ/計測データ)を、校正値とすることができる。また、濁水での誤反射や雑反射をシンプルデータ状況で排除したり、フィルター加工する等、真値を求めるプロセスを付加することにより、掘削地盤面等の三次元形状をより一層高精度に特定することが可能になる。
ところで、上記する内径距離の対比値(構造値データ/計測データ)は、音速の対比に等しい。この音速の変化を濃度の変化分として濃度を明らかにする計測機器として、超音波濃度計がある。ケーソン躯体内には上記するように泥濁水(もしくは濁水)が存在しているが、この濁水の濁りの程度を表す指標として、濁度と濃度がある。双方は定義が異なるものの、水の汚濁状況の指標としては共通している。そこで、濁水内における掘削地盤面の凹凸形状の特定においては、超音波濃度計を適用し、濁水の濁度(もしくは濃度)を利用する形態であってもよい。尚、上記する音速に関しては、温度依存性が高いことも明らかになっている。そこで、温度計によって濁水の温度を測定し、この測定データに基づいて濁水中の音速を補正し、補正後の濁水の濃度を利用することにより、掘削地盤面等の三次元形状のより一層高精度な特定が可能になる。この観点から、超音波濃度計を適用する場合は、傾斜計26の近傍に温度計(図示せず)を設けておくのが好ましい。
<第3実施形態と第4実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置>
次に、第3実施形態と第4実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置の一例について説明する。尚、第3実施形態と第4実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装の図示は省略するが、図3及び図8を適宜参照しながら説明するものとする。
第3実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置は、図8に示す構成のうち、フレーム枠70以外の構成のみからなる装置、すなわち、第二縦桟73の下端に備えてある構成のみからなる構成である。具体的には、フレーム24'と、制御ボックス25と、傾斜計26の他、モータ30,33と、ロータリーエンコーダ35、34と、ソナー40からなる装置である。尚、第3実施形態に係る形状特定装置を形成する複数の縦桟21'がそれぞれ、図3に示すシリンダ機構50を備えていてもよい。
一方、第4実施形態に係る掘削地盤面の形状特定装置は、図3に示す構成からシリンダ機構50が省略された構成が、図8に示すフレーム枠70の第二縦桟73の下端に取り付けられている装置である。フレーム枠70は、原則的には着底を前提としていないことから、シリンダ機構50は不要となる。
このように、図3に示す装置構成の一部と、図8に示す装置構成の一部を相互に組み替えることにより、様々な形態の形状特定装置が形成できる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:重機(クローラクレーン)
11,12:GPS
13:ワイヤ
13A:主ワイヤ
13B:補助ワイヤ
14:フック(主フック)
15:補助フック
20:フレーム枠
21,21':縦桟
22,22':横桟
23,23':横格子
24:上部フレーム
24':フレーム
25:制御ボックス
26:傾斜計
27:ロータリーエンコーダ
28:アクチュエータ(モータ)
29:縦方向軸
30:アクチュエータ(モータ)
33:アクチュエータ(モータ)
34:ロータリーエンコーダ
35:ロータリーエンコーダ
37:横方向軸(第一横方向軸)
39:第二横方向軸
40:ソナー
50,50A,50B,50C:シリンダ機構
51:ジャッキ本体
51A:押し出し室
51B:戻し室
51a:押し出しポート
51b:戻しポート
52:ジャッキシリンダ
53:作動油
55:押し出し管
56:戻し管
60:コントローラ
70:フレーム枠
71:第一縦桟
71a:下端
71b:上端
72:横桟
73:第二縦桟
100,100A:掘削地盤面の形状特定装置(形状特定装置)
200:ケーソン躯体
210:刃口
K:管理棟
G:原地盤
G1:軟質地盤
G2:硬質地盤
A1:刃口周辺領域
A2:内部領域

Claims (4)

  1. オープンケーソンの施工に際して、掘削地盤面の凹凸形状と該凹凸形状の三次元的位置を特定する、掘削地盤面の形状特定装置であって、
    地上にある重機からワイヤにより垂下される、フレーム枠と、
    コントローラと、
    前記フレーム枠に取り付けられている、横方向軸の周りを回転自在なソナーと、
    傾斜計と、を有し、
    前記コントローラは、
    前記重機により吊り下げられる前記ワイヤの吊り下げデータと、該ワイヤの平面座標を特定する検尺手段による平面座標データと、により形成される該フレーム枠の三次元位置データを取得し、
    前記傾斜計による前記フレーム枠の水平方向からの傾斜角度データを取得し、
    前記横方向軸を中心に前記ソナーを回転させて前記掘削地盤面の凹凸形状を特定し、この際に、前記傾斜角度データが水平方向に相当する0度ではない場合に、該傾斜角度データに応じて前記凹凸形状を補正することを特徴とする、掘削地盤面の形状特定装置。
  2. 前記フレーム枠は、ジャッキ本体からジャッキシリンダが縦方向に伸縮する、複数のシリンダ機構と、複数の該シリンダ機構の上端同士を繋ぐ上部フレームとを有し
    少なくとも一つのシリンダ機構の前記ジャッキシリンダが前記掘削地盤面に接地し、他のシリンダ機構の前記ジャッキシリンダが前記掘削地盤面に接地していない場合に、該少なくとも一つのシリンダ機構の前記ジャッキシリンダから該他のシリンダ機構へ作動油を押し出し、該他のシリンダ機構の前記ジャッキシリンダを伸長させて前記掘削地盤面に接地させ、前記フレーム枠の姿勢変更が行われることを特徴とする、請求項1に記載の掘削地盤面の形状特定装置。
  3. 前記フレーム枠は、前記オープンケーソンの壁面に当接される複数の第一縦桟と、前記第一縦桟に対して横桟を介して取り付けられている第二縦桟と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の掘削地盤面の形状特定装置。
  4. オープンケーソンの施工に際して、掘削地盤面の凹凸形状と該凹凸形状の三次元的位置を特定する、掘削地盤面の形状特定方法であって、
    横方向軸の周りを回転自在なソナーが取り付けられているフレーム枠を、地上にある重機から垂下し、前記掘削地盤面に向かって吊り下ろしていき、
    前記重機により吊り下げられるワイヤの吊り下げデータと、該ワイヤの平面座標を特定する検尺手段による平面座標データと、により形成される該フレーム枠の三次元位置データに基づいて、該フレーム枠の三次元位置を特定し、前記横方向軸を中心に前記ソナーを回転させて前記掘削地盤面の凹凸形状を測定し、この際、該横方向軸の水平からの傾斜角度を特定しておき、該傾斜角度が水平方向に相当する0度ではない場合に、該傾斜角度に応じて前記凹凸形状を補正することを特徴とする、掘削地盤面の形状特定方法。
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