JP7274639B2 - 難燃材料 - Google Patents
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Description
本発明は、これに制限されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1) 難燃性無機粒子と繊維との複合体を含む難燃材。
(2) 前記繊維がセルロース繊維である、(1)に記載の難燃材。
(3) 難燃性無機粒子が、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトからなる群より選択される、(1)または(2)に記載の難燃材。
(4) シートの形態である、(1)~(3)のいずれかに記載の難燃材。
(5) 難燃性無機粒子と繊維との複合体シートを積層させた、(1)~(4)のいずれかに記載の難燃材。
(6) 難燃性無機粒子と繊維との複合体シートを基材に貼り合わせた、(1)~(5)のいずれかに記載の難燃材。
(7) 難燃性無機粒子の平均一次粒子径が1.5μm以下である、(1)~(6)のいずれかに記載の難燃材。
(8) 難燃性無機粒子と繊維の重量比が5/95~95/5である、(1)~(7)のいずれかに記載の難燃材。
本発明においては無機粒子と繊維の複合体を使用するところ、このような複合体は、繊維と無機粒子の双方の特徴を持ち合わせており、本発明によれば、優れた難燃性を備えた難燃材料を得ることが可能になる。また、無機粒子が繊維に付着している複合体を用いるため、難燃材の製造も容易であり、無機粒子の歩留り(灰分歩留り)も良好である。
繊維
本発明においては、セルロース繊維やアラミド繊維などの繊維と無機粒子とを複合体化する。複合体を構成する繊維は、セルロース繊維であることが好ましいが、例えば、天然のセルロース繊維はもちろん、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)や合成繊維などを制限なく使用することができる。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維
(木材パルプや非木材パルプ)、セルロースナノファイバー、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類などが例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。
。このセルロースナノファイバーを製造する際、セルロースを解繊及び/又は微細化する前及び/又は後に、任意の化合物をさらに添加してセルロースナノファイバーと反応させ、水酸基が修飾されたものにすることもできる。修飾する官能基としては、アセチル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセタール、ヘミアセタール、オキシム、イソニトリル、アレン、チオール基、ウレア基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、イミド基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2-ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、オキシル基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。これらの官能基を導入するために使用する化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、アルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン
性いずれを用いてもよい。セルロースを解繊及び/又は粉砕する前に上記の修飾を行った場合、解繊及び/又は粉砕後にこれらの官能基を脱離させ、元の水酸基に戻すこともできる。以上のような修飾を施すことで、セルロースナノファイバーの解繊を促進したり、セルロースナノファイバーを使用する際に種々の物質と混合しやすくしたりすることができる。
本発明においては、難燃性の無機粒子と繊維を複合化した複合体を用いて難燃材料とする。難燃性無機粒子としては、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカが挙げられるが、特に好ましくは、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ハイドロタルサイトなどである。
好ましい態様において本発明は、炭酸マグネシウムと繊維との複合体を難燃材料として用いる。本発明に係る複合体を構成する炭酸マグネシウム微粒子の平均粒径は好適には50μm未満であるが、平均粒径が30μm以下の炭酸マグネシウムとすることもできる。また、好ましい態様において、炭酸マグネシウム微粒子の平均一次粒子径は10nm~3μm程度とすることも可能である。
凝集塊を細かくすることもできる。粉砕の方法としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。
を存在させればよい。
本発明において、セルロース繊維などの繊維と硫酸バリウムの複合体を用いる場合、公知の方法で合成することができる。硫酸バリウムとは、BaSO4で表されるバリウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶性の化合物であり、板状あるいは柱状の形態であることが多く、水には難溶性である。純粋な硫酸バリウムは無色の結晶であるが、鉄、マンガン、ストロンチウム、カルシウムなどの不純物を含むと黄褐色または黒灰色を呈し、半透明となる。天然の鉱物としても得られるが、化学反応によって合成することもできる。特に、化学反応による合成品は医薬用(X線造影剤)に用いられるほか、化学的に安定な性質を応用して塗料、プラスチック、蓄電池等に広く使用されている。
好ましい態様において本発明は、水酸化アルミニウムと繊維との複合体を難燃材料として用いることができる。水酸化アルミニウムの合成法は種々あり、アルミニウム塩が含まれる物質にアルカリ溶液を添加することで合成できる。例えば、硫酸アルミニウムに水酸化ナトリウムを添加することで得ることができる。また、上記硫酸バリウムを合成する際の原料として硫酸アルミニウムを用いると、硫酸バリウムだけでなく水酸化アルミニウムも同時に合成することが可能である。
一般に、ハイドロタルサイトは、[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O](式中、M2+は2価の金属イオンを、M3+は3価の金属イオンを表し、An- x/nは層間陰イオンを表す。また0<x<1であり、nはAの価数、0≦m<1である)という一般式で示される。ここで、2価の金属イオンであるM2+は、例えば、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+、Ba2+、Cu2+、Mn2+など、3価の金属イオンであるM3+は、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ga3+など、層間陰イオンであるAn-は、例えば、OH-、Cl-、CO3 -、SO4 -などのn価の陰イオンを挙げることができ、xは一般に0.2~0.33の範囲である。結晶構造は、正の電荷をもつ正八面体のbrucite単位が並んだ二次元基本層と負の電荷を持つ中間層からなる積層構造をとっている。
を容易に得られ、触媒用途等に使用する例なども見られる。
ドロタルサイトと繊維との複合体の灰分は、JIS P 8251:2003に従って測定することができる。本発明において、ハイドロタルサイトと繊維との複合体の分灰分は10%以上とすることが可能であり、20%以上とすることもでき、好ましくは40%以
上とすることができる。また、本発明のハイドロタルサイトと繊維との複合体は、灰分中、マグネシウムまたは亜鉛を10%以上含むことが好ましく、40%以上含むことがより好ましい。灰分中のマグネシウムまたは亜鉛の含有量は、蛍光X線分析により定量することができる。
ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60-6619号公報)。
本発明の複合体は、一つの好ましい態様において、セルロース繊維などの繊維の存在下で無機粒子を合成することによって得ることができる。繊維表面が、無機粒子の析出における好適な場となるため、繊維と無機粒子の複合体を合成しやすいためである。
本発明に係る複合体を合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で硫酸バリウムを析出させることができる。本発明においてキャビテーションとは、流体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象であり、空洞現象とも言われる。キャビテーションによって生じる気泡(キャビテーション気泡)は、流体の中で圧力がごく短時間だけ飽和蒸気圧より低くなったとき、液体中に存在する100ミクロン以下のごく微小な「気泡核」を核として生じる。
また、容器内の圧力と噴射液の圧力との比は0.001~0.5の範囲が好ましい。
ザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等の篩、アウトワード型もしくはインワード型のスリットもしくは丸穴スクリーン、振動スクリーン、重量異物クリーナー、軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。
本発明においては、上述の複合体を用いて難燃材料を構成させる。例えば、本発明によって得られた複合体をシート化すると、高灰分のシートを容易に製造することができ、これを難燃材として使用することができる。また、得られたシートを貼り合せて積層体(多層シートや多層ボード)を難燃材料とすることもできる。シート製造に用いる抄紙機(抄造機)としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ、多層抄紙機、これらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機などが挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧、後段でカレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性や複合体シートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸や塗布により澱粉や各種ポリマー、顔料およびそれらの混合物を付与しても良い。
ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成
分歩留りシステムであってもよい。特に単独または組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上3000万ダルトン未満の上記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特には限定されない。
与しても良い。例えば、シート化したもの(積層したものやボード状のものも含む)に塗工(塗布)することによって所望の物質を表面に積層することが可能である。例えば、澱粉やPVAなどのバインダー、サイズ剤などの疎水化剤、有機もしくは無機の難燃剤などを塗工することができる。さらに、種々の物質をシート(積層したものやボード状のものも含む)に含浸することで、より機能を高めることも可能である。
(1)複合体の合成
以下に示す手順により、炭酸マグネシウムとパルプ繊維の複合体(サンプル1-1~1-3)およびハイドロタルサイトとパルプ繊維の複合体(サンプル2)を合成した。
水酸化マグネシウム350g(宇部マテリアルズ、UD653)とクラフトパルプ350g(LBKP/NBKP=1/1、CSF:370ml、平均繊維長:0.9mm)を水中に添加して水性懸濁液を準備した。
水酸化マグネシウムの仕込み量を1200g、用いるクラフトパルプの種類をLBKP(CSF=490mL、平均繊維長=0.75mm)、パルプの仕込み量を300g、水性懸濁液の総量を30Lとした以外は、サンプル1-1と同様にして複合体を合成した(無機粒子の平均一次粒径:0.8μm)。得られた複合体の灰分は70%であった。
反応時の装置の入口圧力を2MPa、出口圧力を0.2MPaとした以外は、サンプル1-1と同様に複合体を合成した(無機粒子の平均一次粒径:1μm)。得られた複合体の灰分は49%だった。
ハイドロタルサイト(HT)としてMg6Al2(OH)16CO3・4H2Oを合成するため、アルカリ溶液(A溶液)として、Na2CO3(和光純薬)およびNaOH(和光純薬)の混合水溶液、酸溶液(B溶液)として、MgCl2(和光純薬)およびAlCl3(和光純薬)の混合水溶液を調製した。
・アルカリ溶液(A溶液、Na2CO3濃度:0.05M、NaOH濃度:0.8M)
・酸溶液(B溶液、Mg系、MgCl2濃度:0.3M、AlCl3濃度:0.1M)
複合化する繊維として、セルロース繊維を使用した。具体的には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mlに調整したパルプ繊維を用いた(平均繊維長0.8mm)。
製造した複合体を以下の手順によりシート化した。また、参考のため、LBKP(CSF:370ml)を用いて、手抄きシートを製造した。各シートの坪量はJIS P 8124:1998、灰分はJIS P 8251:2003に基づいて測定した。
複合体(サンプル1-1~1-3)の水性スラリー(約0.5%)に、カチオン性歩留剤(ND300、ハイモ社製)を100ppm、アニオン性歩留剤(FA230、ハイモ社製)を100ppm添加し、500rpmにて撹拌して懸濁液を調成した。得られた懸濁液からJIS P 8222に基づいて角形手抄き器にて坪量が90~200g/m2の複合体シートを製造した。
複合体(サンプル2)の水性スラリーを0.5%に調成し、歩留剤を添加せずに、JIS P 8222に基づいて角形手抄き器にて坪量が450g/m2の複合体シートを製造した。
LBKP(CSF:370ml)を用いて、坪量が約130g/m2のシートを製造した。
シートの燃焼性を、JIS A 1322(JIS Z 2150)を基にして、以下の手順により評価した。
。加熱には、メッケルバーナー(高さ160mm、内径20mm)を用い、1次空気を混入しないでガスだけを送入して燃焼させた。燃料は液化石油ガス5号(ブタンおよびブチレンを主体とするもの、JIS K 2240)を用い、サンプルを取り付けない状態で、炎の長さが65mmになるように調整した。
・炭化長:試験体の加熱面の炭化部分(炭化して明らかに強度が変化)している部分について支持枠の長手方向の最大長さを測定する。
・残炎時間:加熱終了時から試験体が炎をあげて燃え続ける時間を測定する。
・残じん:加熱終了時から無炎燃焼している状態をいう。
・防火1級:炭化長5cm以下、残炎なし、残じんが1分後に存しない
・防火2級:炭化長10cm以下、残炎なし、残じんが1分後に存しない
・防火3級:炭化長15cm以下、残炎なし、残じんが1分後に存しない
(1)複合体の合成
(サンプル3-1:炭酸マグネシウムと繊維の複合体)
サンプル1-3と同様にして、炭酸マグネシウムと繊維の複合体を合成した(灰分:4
9%、無機粒子の平均一次粒径:1μm)。
水酸化マグネシウムの仕込み量を5250gとし、用いるクラフトパルプの種類をLBKP(CSF=500mL、平均繊維長=0.76mm)とし、パルプの仕込み量を3500gとし、水性懸濁液の総量を170Lとした以外はサンプル1-1と同様に合成した。得られた複合体の灰分は55%、無機粒子の平均一次粒径は0.8μmであった。
図5左に示すような反応装置を用いて、炭酸カルシウムと繊維の複合体を炭酸ガス法によって合成した。水酸化カルシウム(奥多摩工業、タマエースU)15kgとLBKP(CSF=500mL、平均繊維長=0.76mm)15kgの水性懸濁液1500Lに対し、ウルトラファインバブル発生装置(UFB発生装置、YJ-9、エンバイロビジョン社、図5右)を用いてポンプ流量80L/minで反応液を循環させた(ノズルからの噴射速度:125L/min・cm2)。ウルトラファインバブル発生装置の給気口から炭酸ガスを吹き込むことによって、炭酸ガスを含む大量の微細気泡(直径1μm以下、平均粒子径:137nm)を反応液中に発生させ、パルプ繊維上に炭酸カルシウム粒子を合成した。反応温度は20℃、炭酸ガスの吹き込み量は20L/minとして反応を行い、反応液のpHが約7になった段階で反応を停止し、サンプル3-3を得た(反応前のpHは約13)。得られた炭酸カルシウムとパルプ繊維の複合体の灰分は57%、無機粒子の平均一次粒径は50nmだった。
容器(マシンチェスト、容積:4m3)に2%のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、CSF=390mL、平均繊維長:約1.3mm、固形分25kg)と水酸化バリウム八水和物(日本化学工業、75kg)を投入して混合後、ペリスターポンプを用いて硫酸アルミニウム(硫酸バンド、98kg)を約500g/minで滴下した。滴下終了後、そのまま30分間撹拌を継続して複合体を得た。得られた複合体の灰分は75%、無機粒子の平均一時粒径は約100nmであった。
(シート3-1)
実験1と同様にして、複合体(サンプル3-1)から手抄きにてシートを製造した(シート3-1A:坪量600g/m2、シート3-1B:750g/m2)。
サンプル3-2のスラリーを濃度約1%に調整後、カチオン性の歩留剤(ND300、ハイモ)とアニオン性の歩留剤(FA230、ハイモ)を対固形分で100ppmずつ添加して紙料スラリーを調製した。次いで、長網抄紙機を用いて、抄速10m/minの条件でこの紙料スラリーからシートを製造した(坪量:約150g/m2、灰分:約46%)。
シート3-2と同様にして、長網抄紙機を用いてサンプル3-3をシート化した(坪量:約150g/m2、灰分:約45%)。
シート3-2と同様にして、長網抄紙機を用いてLBKP(CSF=500mL、平均繊維長=0.76mm)をシート化し、LBKPのみからなるシートを得た(坪量:約150g/m2、灰分:0%)。
サンプル3-4(濃度:1%)に、カチオン性の歩留剤(ND300、ハイモ)とアニオン性の歩留剤(FA230、ハイモ)を対固形分で100ppmずつ添加して紙料スラリーを調製した。次いで、長網抄紙機を用いて、抄速10m/minの条件でこの紙料スラリーからシートを製造した。得られたシートの坪量は180g/m2、灰分は約67%だった。
坪量を約190g/m2とした以外は、シート3-2と同様にして、サンプル3-2からシートを製造した(坪量:約190g/m2、灰分:約46%)。
(複合ボードA、坪量:約1700g/m2、図6A)
耐水性基紙(日本製紙製、坪量500g/m2、厚さ0.76mm、灰分11%)の表裏に、酢酸ビニル系バインダーを用いてシート3-1Aを1枚ずつ貼り合せた後、プレス機にて1回プレス(4.8MPa)して複合ボードを作製した。
シート3-1Aに代えてシート3-1Bを用いた以外は、複合ボードAと同様にして複合ボードを作製した。
耐水性基紙の片側のみにシート3-1Bを貼り合せた以外は、複合ボードBと同様にして複合ボードを作製した。
シート3-2を片面につき5枚ずつ使用した以外は、複合ボードAと同様にして複合ボードを作製した。
2枚の耐水性基紙(日本製紙製、坪量190g/m2、厚さ0.28mm、灰分11%)の間にシート3-2を2枚貼り合せ、さらに、耐水性基紙の外側にシート3-2を5枚ずつ貼り合わせて複合ボードを作製した。
シート3-2に代えてシート3-3を用いた以外は、複合ボードDと同様にして複合ボードを作製した。
シート3-2に代えてシート3-4を用いた以外は、複合ボードDと同様にして複合ボードを作製した。
3枚の耐水性基紙(日本製紙製、坪量750g/m2、厚さ1mm、灰分11%)を貼り合せて、貼り合せボードを作製した。
シート3-5を10枚、酢酸ビニル系バインダーで貼り合せて、複合ボードを作製した。
複合ボードIの表裏に、シート3-6を2枚ずつ貼り合せて、複合ボードを作製した。
Claims (8)
- 難燃性無機粒子がセルロース繊維表面に定着した複合体を含む難燃材であって、
前記複合体は、セルロース繊維表面の60%以上が難燃性無機粒子によって被覆されたものであり、難燃性無機粒子の平均一次粒子径が900nm以下であり、難燃性無機粒子が、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトからなる群より選択される、上記難燃材。 - 難燃性無機粒子の平均一次粒子径が200nm以下である、請求項1に記載の難燃材。
- 前記複合体が、硫酸バリウムおよび水酸化アルミニウムがセルロース繊維表面に定着した複合体である、請求項1または2に記載の難燃材。
- シートの形態である、請求項1~3のいずれかに記載の難燃材。
- 難燃性無機粒子と繊維との複合体シートを積層させた、請求項1~4のいずれかに記載の難燃材。
- 難燃性無機粒子と繊維との複合体シートを基材に貼り合わせた、請求項1~5のいずれかに記載の難燃材。
- 難燃性無機粒子と繊維の重量比が40/60~95/5である、請求項1~6のいずれかに記載の難燃材。
- 請求項1~7のいずれかに記載の難燃材を製造する方法であって、
セルロース繊維の存在下で難燃性無機粒子を溶液中で合成することを含む、上記方法。
Priority Applications (1)
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