JP7274195B2 - 過負荷保護機構を備えた動力伝達機構 - Google Patents

過負荷保護機構を備えた動力伝達機構 Download PDF

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Description

本発明は、過負荷保護機構を備えた動力伝達機構に関し、特に波動歯車装置等、高減速比の減速装置を備えた動力伝達機構に好適な過負荷保護機構に関するものである。
例えば、産業用ロボットや人間型歩行ロボットの関節を駆動するためには、アクチュエータの回転速度を高減速比で減速し、減速比に比例したトルクを出力する減速装置が必要である。このような減速装置として、小型で高減速比が得られ、高精度の制御を実現できる波動歯車減速装置を備えた関節構造が広く採用されている。
波動歯車減速装置は、楕円と真円の差動を利用とした減速装置であり、基本構成パーツとしては、剛性内歯歯車、可撓性外歯歯車、波動発生器とで構成されている。
剛性内歯歯車は剛性を有する円筒状形状をしており、内側に歯車の歯が形成されている。可撓性外歯歯車は可撓性を有する薄肉円筒状形状をしており、外側に歯車の歯が形成されている。波動発生装置は楕円状形状をしており、可撓性外歯歯車の内側に嵌め、可撓性外歯歯車を楕円形に撓めている。撓められた可撓性外歯歯車が部分的に剛性内歯歯車に噛み合わされた状態を形成することで高減速比を実現し、小型軽量で、高精度、ノンバックラッシュという優れた特性を備えている。
しかし、動力伝達系に過大な負荷が発生した場合、部分的に噛み合っている剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車の間に、歯の噛み合いがずれるラチェッティングが発生するおそれがある。
特にロボットの関節駆動では、アクチュエータとしてのモータを作動している際、急な加減速等に伴い、モータ自体が大トルクを発生した場合、あるいは、ロボットと環境との接触、人間型歩行ロボットの転倒等により、アームや脚などからモータに対し大きなトルクが逆入力された場合、ラチェッティングが発生することがある。
ラチェッティングが1度でも発生すると、歯車の歯が摩耗破損し、ラチェッティングトルクが低下し、ラチェッティングが再発し易くなるばかりでなく、最悪、薄肉状の可撓性外歯歯車に亀裂破損が発生し、波動歯車減速装置等、高価な減速機の交換を余儀なくされる。
仮に、ラチェッティングや亀裂破損に至らなくても、負荷側からの逆入力によりモータが発電機として作用し、発生した逆起電力によるロボット電源の瞬停を招き、ロボットの信頼性を損なうことにつながる。
こうしたことから、動力伝達系に作用し得る過大な負荷は、ロボットの普及を阻む一因となっている。
こうした過大な負荷に対する対策として、急な加減速を伴うトルクや瞬間的にモータが大トルクを発生した場合については、モータが発生する最大トルクを考慮してラチェッティングトルクに余裕のある波動歯車減速装置を選定することが考えられる。これにより、ラチェッティングトルクを超えることなく、モータの発生最大トルクまで能動的な作動が可能になるが、波動歯車減速装置の大型化、高コスト化を招く。
さらに、ロボットが環境と接触したり、転倒した場合については、アームや脚などから、想定外の衝撃的な大トルクがモータに対して逆入力トルクが減速装置に作用することになる。このため、ラチェッティングトルクに余裕のある波動歯車減速装置を採用した場合においても、想定外の衝撃的な大トルクは、ラチェッティングトルクを大きく上回ることが想定される。
特許文献1には、波動歯車減速装置の剛性内歯歯車とハウジングの間に非固定部材を導入し、通常運転時は摩擦力でハウジングと剛性内歯歯車を固定し、過負荷トルクが作用した場合に、波動歯車減速装置の剛性内歯歯車をハウジングに対して回転方向にすべることでラチェッティングを抑制する波動歯車減速装置が開示されている。
また、特許文献2、3には、波動歯車減速装置の波動発生器と入力シャフトの間に非固定部材を導入し、通常運転時(過負荷トルク以下での運転時)は摩擦力で波動発生器と入力シャフトを固定し、過負荷トルクが作用した場合に、波動発生器と入力シャフトの間に回転方向に滑りが生じることでラチェッティングを抑制する波動歯車減速装置が開示されている。
特開2005-054981号公報 特開2009-030739号公報 特開2012-072912号公報
上記の先行技術文献に記載された過負荷トルク防止装置では、いずれも、摩擦力を介して回転トルクを伝達し、この回転トルクが上限を上回った場合に滑りを発生させることで過負荷保護機能を実現している。
しかし、摩擦力を利用することから、動力伝達効率が低下するとともに、摩擦力は、摩擦面の状態、運転時間や気温や湿度などの影響を大きく受けるため、安全率を高めるためには、伝達される回転トルクに大幅な制限を加えざるを得ず、モータの出力特性を最大限活かした、適切な過負荷保護を実現することが困難である。
そこで、本発明の目的は、動力伝達系に過大な回転トルクが発生した場合、予め弾性係数が定められたバネの反発力に抗して、入力軸側と出力軸側を軸方向に離隔させ、これにより伝達される回転トルクを制限することにより、摩擦面の状況や環境等に左右されることなく、回転トルクの上限を正確に設定可能とすることにある。
上記課題の課題を解決するため、本発明の動力伝達機構は、減速機の入力軸と出力軸の間に介装される動力伝達機構であって、周方向に動径方向等高曲面が形成された第1部材と、第1部材に形成された動径方向等高曲面に対し予め定められた押圧力で接触する第2部材を備え、入力軸と出力軸の間に伝達される回転トルクに応じて、第1部材に対する前記第2部材の回転方向相対位置を押圧力に抗して変化させることにより、第1部に形成された動径方向等高曲面に沿って、第1部材と第2部材の軸方向相対位置を回転トルクに一対一に対応するように変化させるようにした。
本発明によれば、動力伝達系に過大な回転トルクが発生した場合、回転トルクに応じて、第2部材を第1部材の動径方向等高曲面に沿って周方向に追随させることにより、第1部材と第2部材の軸方向相対位置を回転トルクに一対一に対応するように変化させることができるので、摩擦面の状況や環境等に左右されることなく、回転トルクの上限を正確に設定することが可能となる。
図1は、本発明の実施例1に基づく過負荷保護装置を減速装置に適用した関節構造の外観を示す斜視図である。 図2は、図1に示される関節構造の分解図である。 図3は、図2とは逆方向から見た図1に示される関節構造の分解図である。 図4は、図1に示される関節構造に適用した減速装置の正面図である。 図5は、図4におけるA-A断面図である。 図6は図5中、点線で囲った部分の拡大図であり、減速装置が無負荷状態にあるとき様子を示すものである。 図7は、図5中、点線で囲った部分の拡大図であり、減速装置に負荷トルクが作用したときの様子を示すものである。 図8は、過負保護装置の相対回転移動量に基づいてアクチュエータの出力制御を行うためのブロック図である。 図9は、横軸に過負保護装置の係合するクラウンギヤの相対変位角、縦軸に出力トルクの関係をプロットした変位-トルク特性である。 図10は、本発明の実施例2に基づく過負荷保護装置を減速装置に適用した関節構造の断面図である。 図11は、実施例2の過負荷保護装置を示す図である。 図12は、減速装置が無負荷状態にある時の図11におけるB-B断面図である。 図13は、減速装置に負荷トルクが作用したときの図11におけるB-B断面図である。 図14は、図13と逆向きの負荷トルクが作用したときの図11におけるB-B断面図である。 図15は、実施例2のカムのカム曲線を設計するために用いたパラメータを説明する図である。
[実施例1]
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。
実施例1は、減速機として波動歯車装置を利用したロボット関節構造1に適用したもので、図1は関節構造の外観を示す斜視図であり、図2、図3はその表裏からみた分解図である。
電動モータ等のアクチュエータ101からの出力は、タイミングベルト104、従動プーリ103を介して入力シャフト51に伝達される。入力シャフト51の回転は、減速装置2として、剛性内歯歯車22、可撓性外歯歯車23、波動発生器24からなる波動歯車装置21により減速され、本実施例における過負荷保護機構である過負荷保護装置31、出力部14を介してロボットの関節構造を駆動する出力部14に伝達される。
波動歯車装置21は、ケース本体41、蓋カバー42、底カバー43からなるケース部12内に、波動歯車装置21の出力軸ならびに入力軸(入力シャフト51の回転軸)回りに相対回転自在に収納されている。このケース部12内に、波動歯車装置21側の第1クラウンギヤ32、中央側の第2クラウンギヤ33、ケース部12のケース本体41側に配置された弾圧部材34とで構成された過負荷保護装置31が配置されている。
アクチュエータ101とケース部12は、ロボットの胴体など、図示しないベースフレームYに固定されており、両者の相対位置関係は、アクチュエータ101の作動にかかわらず不変である。
なお、アクチュエータ101の回転駆動軸の他端部には、駆動プーリ102が固定されている。
また、波動歯車装置21の入力軸となる入力シャフト51の一端部に、従動プーリ103が固定されており、入力シャフト51の他端部には、波動歯車装置21の波動発生器24が固定されている。
図1-図3に示すように、ベルト伝達機構は、駆動プーリ102、従動プーリ103、タイミングベルト104とで構成され、駆動プーリ102と従動プーリ103の両プーリにタイミングベルト104が巻き掛けられている。
この構造により、ベルト伝達機構は、動力の伝達元と伝達先となるアクチュエータ101の回転駆動軸と入力シャフト51の回転軸が平行となり、タイミングベルト104を駆動プーリ102と従動プーリ103の両プーリに巻き掛ける簡易な構造で、アクチュエータ101の回転駆動力を波動歯車装置21の入力シャフト51に伝達することができる。
なお、実施例では、アクチュエータ101の回転駆動力を減速装置2の入力シャフト51に伝達する手段として、ベルト伝達機構を用いたが、平歯車を用いた伝達機構でもよく、アクチュエータ101の回転駆動軸を直接、入力シャフト51に締結した伝達機構でもよい。
一般的な波動歯車装置21では、剛性内歯歯車22と、この内側に配置された可撓性外歯歯車23と、この内側に嵌合させた波動発生器24を主要部品とするもので、典型的な波動発生器24は楕円形の輪郭をしており、可撓性外歯歯車23を楕円形に撓めて剛性内歯歯車22に部分的に噛み合わせた状態を形成している。
波動発生器24は、ベルト伝達機構を介してアクチュエータ101の回転トルクあるいは負荷トルク(以下、単に回転トルクという。)が伝達されている入力シャフト51と締結されており、アクチュエータ101を回転するとそれに応じて波動発生器24も回転する。波動発生器24が高速回転すると、剛性内歯歯車22と可撓性外歯歯車23の両歯車の噛み合い位置が円周方向に移動して、両歯車の歯数差に応じた相対回転運動が両歯車の間に発生する。
通常、剛性内歯歯車22は、ベースフレームYあるいは波動歯車装置21のケース部12に固定され、波動歯車装置21のケース部12がベースフレームYに固定されている。
これにより、波動発生器24から入力した回転が、可撓性外歯歯車23を介して減速された状態で、ロボットアームなどに出力されることになる。
これに対し、本実施例の波動歯車装置21では、剛性内歯歯車22が過負荷保護装置31を介して、ベースフレームYあるいは波動歯車装置21のケース部12に固定し、また、波動歯車装置21のケース部12がベースフレームYに固定されている。
過負荷保護装置31を構成する、第1部材としての第1クラウンギヤ32、第2部材としての第2クラウンギヤ33は、略円板形状で、一方の面に形成された動径方向等高曲面を有する山谷状歯が互いに対向するように配置されている。そして、第1クラウンギヤ32の他方の面は剛性内歯歯車22に固定され、第2クラウンギヤ33の他方の面は弾圧部材34の一端に固定され、弾圧部材34の他端は、波動歯車装置21のケース部12に固定され、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33に形成された山谷状歯が互いに線接触もしくは面接触するよう、第2クラウンギヤ33を第1クラウンギヤ32に向けて所定の弾圧力で弾圧している。
なお、動径方向等高曲面とは、円筒座標系(回転軸からの半径:r,径方向の角度:θ,円筒軸方向の高さ:zで座標位置を表した座標系)で曲面を表した場合、z=関数(θ)且つr>0で与えられる曲面を意味している。
ケース本体41と蓋カバー42は、波動歯車装置21の回転軸と同軸上にあるベアリング71の外径側を保持しており、剛性内歯歯車22、第1クラウンギヤ32、ベアリング補助部品75が、それぞれが相対変位することなく、ベアリング71の内径側に接するように固定されている。
これにより、剛性内歯歯車22と第1クラウンギヤ32は、ケース部12に対して、軸方向には不動であるが、回転軸周りには回転可能に軸支される。
なお、ケース本体41には、第2クラウンギヤ33の外径と同径もしくは微小なクリアランスを形成する径を備えた内壁が形成されており、この内壁により、第2クラウンギヤ33が半径方向に変動することなく、軸方向の移動を可能にしている。
図4は、ケース部12の蓋カバー42側からみた正面図であり、図5は、図4のA-A断面における傾斜図、図6、図7は、それぞれ、無負荷時、回転トルク作用時における過負荷保護装置31の拡大図をそれぞれ示しているである。
アクチュエータ101が作動する前の無負荷トルク状態では、図6に示すように、弾圧部材34により第2クラウンギヤ33が第1クラウンギヤ32に向けて所定の弾圧力で弾圧されており、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33が軸方向に最接近し、両者が完全に噛み合った状態にある。
一方、アクチュエータ101からの回転トルクが増大すると、図7に示すように、過負荷保護装置31の第1クラウンギヤ32が対向する山谷状歯で係合している第2クラウンギヤ33に対し、円周方向に相対回転を起こす。これにより、第2クラウンギヤ33を弾圧部材34に向けて軸方向に押し出し、これにより、第2クラウンギヤ33が弾圧部材34に向けて軸方向に並進移動を行い、弾圧部材34を圧縮する。
弾圧部材34の弾圧力と釣り合った時点で第1クラウンギヤ32の相対回転が停止し、見かけ上、第1クラウンギヤ32に固定された剛性内歯歯車22がベースフレームYあるいはケース部12に固定された状態となり、波動発生器24から入力した回転が、可撓性外歯歯車23を介して減速回転出力が得られる。
回転トルクが解除されると弾圧部材34の圧縮も解除され、第2クラウンギヤ33の軸方向位置も元の位置に復帰し、第1クラウンギヤ32の円周方向位置も元の位置に復帰する。
一方、過大な回転トルクが発生すると、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の軸方向離隔量が両山谷状歯間でのトルク伝達可能範囲を越え、第1クラウンギヤ32が空転し始める。第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の軸方向離隔量がトルク伝達可能範囲を越える瞬間に、弾圧部材34の圧縮量が最も圧縮された状態となり、この時の弾圧力と釣り合うトルクがロボット関節構造1の最大回転トルクとなる。これにより、負荷側からの逆入力トルクに対してもこの最大回転トルク以上のトルクがロボット関節構造1の系に作用しない構造になっている。
このように、本実施例では、一般的な波動歯車装置21とは異なり、波動発生器24から入力回転が加えられると、負荷トルクに応じて、剛性内歯歯車22と可撓性外歯歯車23が相対回転運動を発生させ、過負荷保護装置31による抗力トルクと負荷トルクが釣り合った時点で、剛性内歯歯車22の回転運動が停止し、可撓性外歯歯車23から減速した減速回転出力を得ることができる。
ここで、第1クラウンギヤ32、第2クラウンギヤ33の対向面に形成された山谷状歯は、動径方向等高曲面を形成しており、互いの山谷状歯が線接触もしくは面接触するようにしている。これにより、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の間で作用する、負荷トルクに抗するための力が一点に集中することなく分散させ、早期の摩耗や損傷の招来を防止することができる。
以上の説明では、減速装置2として波動歯車装置を採用したが、要は、減速装置用ケース内において、回転トルク入力側と出力側の間を動径方向等高曲面を形成する山谷状歯で対向させ、伝達される回転トルクに1対1対応する軸方向移動量を実現すればよく、サイクロイド減速機(RV減速機)、クラウン減速機などにも適用できる。
また、実施例では、弾圧部材34により第2クラウンギヤ33を第1クラウンギヤ32に向けて弾圧したが、第1クラウンギヤ32を第2クラウンギヤ33に向けて弾圧するようにしてもよい。
さらに、剛性内歯歯車22と可撓性外歯歯車23との相対回転移動量に基づいて、アクチュエータ101の出力を制御するようにしてもよい。
すなわち、図2、図3に示すように、アクチュエータ101の回転駆動軸の一端部に、アクチュエータ101の回転角度を検出する第1角度センサ105が設置されており、ケース部12もしくはベースフレームYに対する出力部14の出力角度を検出する第2角度センサ106が設置されている。
第2角度センサ106は、波動歯車装置21の出力軸に対する直交面を挟むケース部12と出力部14のそれぞれに対面するように配置される読取ヘッド106hと読取リング106rにより構成されている。第2角度センサ106の読取リング106rは、波動歯車装置21の出力軸周りに位置するようにリング形状に形成されて出力部14(出力リンク61)に設置される一方、読取ヘッド106hは、ケース部12の底カバー43に位置してその読取リング106rの回転位置を検出するように配置されている。この第2角度センサ106は、読取ヘッド106hにセンサケーブル106cが接続されており、そのセンサケーブル106cは、その第1角度センサ105のセンサケーブル105cなどと同様に、ベースフレームYに設置した制御部110に接続される。
図8は、アクチュエータ101の出力制御を行うためのブロック図である。
制御部110と電源109は電源ケーブル110cで接続されており、制御部110への電源供給は電源109より行われている。また、電源109とリレー部108は上流側電源ケーブル107uで接続され、リレー部108とアクチュエータ(モータ)101を駆動するアクチュエータドライバ107は下流側電源ケーブル107dで接続されている。
リレー部108と制御部110は信号ケーブル108cで接続されており、制御部110からの指令に基づき、アクチュエータドライバ107への電源供給のOn/Off(以下、リレーOn/Off)の制御を行っている。すなわち、リレー部108がリレーOn状態にある状態時は電源109からアクチュエータドライバ107に電源供給が行われ、アクチュエータ101の駆動を行い、リレー部108がリレーOff状態にある状態時は電源109からアクチュエータドライバ107に電源供給が停止され、アクチュエータ101の駆動を停止する。
この制御部110は、メモリ111内に予め格納されている制御部プログラムを実行して各種設定パラメータや各種センサ検出情報などに基づいて、リレー部108をリレーOn状態にする指令値を信号ケーブル108cを介してリレー部108に送り、またアクチュエータドライバ107に接続している信号ケーブル107cを介してアクチュエータドライバ107に指令値を送り、アクチュエータドライバ107はアクチュエータ101の電源ケーブル101cを通電することでアクチュエータ101を駆動させ、最終的には出力部14が可動する。
ここで、駆動プーリ102と従動プーリ103とタイミングベルト104からなる平行軸型伝達機構Zの減速比をR1、波動歯車装置21の波動発生器24(もしくは、入力シャフト51)の回転角度θw、第1角度センサ105の検出値をθ1としたときに、次式で得られる。
(波動発生器24の回転角度θw)
=1÷(平行軸型伝達機構Zの減速比R1)×(第1角度センサ105の検出値θ1)
・・・・・・ (1)
一方、波動歯車装置21の減速比をR2としたとき、通常、波動歯車装置21の剛性内歯歯車22の歯数は、可撓性外歯歯車23の歯数よりも2枚多く、可撓性外歯歯車23の歯数をZfとしたとき、波動歯車装置21の減速比R2は、次式で定義される。
(波動歯車装置21の減速比R2)=(可撓性外歯歯車23の歯数Zf)÷2
・・・・・・ (2)
一方、波動歯車装置21の波動発生器24の回転角度θw、剛性内歯歯車22の回転角度θc、可撓性外歯歯車23の回転角度θfの関係は、次式で表される。
(波動発生器24の回転角度θw)
=-R2×(可撓性外歯歯車23の回転角度θf)
+(R2+1)×(剛性内歯歯車22の回転角度θc) ・・・・・・ (3)
式(3)を変形すると、次式となる。
(剛性内歯歯車22の回転角度θc)
=1÷(R2+1)×(波動発生器24の回転角度θw)
+R2÷(R2+1)×(可撓性外歯歯車23の回転角度θf)
・・・・・・ (3)’
加えて、可撓性外歯歯車23の回転角度θfは、第2角度センサ106の検出値θ2である。
(可撓性外歯歯車23の回転角度θf)=(第2角度センサ106の検出値θ2)
・・・・・・ (4)
以上より、剛性内歯歯車22の回転角度θcは、第1角度センサ105と第2角度センサ106の検出値から算出することが可能である。具体的には、次式から剛性内歯歯車22の回転角度θcを算出することが可能である。
(剛性内歯歯車22の回転角度θc)
=1÷(R2+1)÷(平行軸型伝達機構Zの減速比R1)
×(第1角度センサ105の検出値θ1)
+R2÷(R2+1)×(第2角度センサ106の検出値θ2)
・・・・・・ (5)
ところで、過負荷保護装置31の係合する第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角は、剛性内歯歯車22の回転角度θcであり、言い換えると、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角は、第1角度センサ105と第2角度センサ106の検出値から算出することが可能である。具体的には、次式から第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角を算出することが可能である。

(第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角)
=1÷(R2+1)÷(平行軸型伝達機構Zの減速比R1)
×(第1角度センサ105の検出値θ1)
+R2÷(R2+1)×(第2角度センサ106の検出値θ2)
・・・・・・ (5)’
加えて、本実施例では、過負荷保護装置31の係合する第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角と、出力部14の出力トルクの関係である変位-トルク特性を計測しておき(図9参照)、この変位-トルク特性を、制御部110のメモリ111内に予め格納している。そのため、第1角度センサ105と第2角度センサ106の検出値と、予め測定した変位-トルク特性を用いることで、回転トルクを算出することが可能である。
なお、本実施例では、過負荷保護装置31の係合する第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角を、第1角度センサ105と第2角度センサ106を用いて算出をしているが、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角を直接検出センサを導入してもよい。
また、本実施例では、算出した出力トルクがある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、言い換えると、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角がある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、制御部110よりリレー部108をリレーOff状態にする指令値を信号ケーブル108cを介してリレー部108に送り、アクチュエータドライバ107への電源供給を断つように構成している。
このような構成により、例えば、ロボットと環境との接触、人間型歩行ロボットの転倒等によりアームや脚などからモータに対し大きなトルクが逆入力された場合のように、過大な負荷トルクが負荷側(出力側)からロボット関節構造1に作用した場合、逆入力で発生した逆起電力はリレー部108がリレーOff状態に切り替えられているため、電源109に帰還されることなく、電源109の瞬停を回避することが可能になる。
また、リレー部108がリレーOff状態で、電源ケーブル101cが接続されたモータ101の端子が開放状態となるため、過大な負荷トルクが負荷側(出力側)からロボット関節構造1に作用した場合において、過負荷保護装置31の第1クラウンギヤ32が第2クラウンギヤ33を乗り越えて回転することなく、アクチュエータ101(波動歯車装置21の波動発生器24)が回転する。これにより、リレーOn状態で非常に大きな過負荷トルクが逆入力された際に、過負荷保護装置31の第1クラウンギヤ32が第2クラウンギヤ33を乗り越えて回転する事態を抑制することも可能になり、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の山谷状歯の消耗を抑制することも可能になる。
加えて、算出した出力トルクがある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、言い換えると、第1クラウンギヤ32と第2クラウンギヤ33の相対変位角がある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、制御部110よりアクチュエータ101の出力を低減するための指令値を信号ケーブル107cを介してアクチュエータドライバ107に送ることで、アクチュエータ101自身が発生する過大トルクによるラチェッティングを防止することが可能になる。
このように、本実施例では、過負荷なトルクが作用した際に、過負荷保護装置31でハードウェア的に保護を実現するとともに、検出した出力トルクに基づいた制御部110によるソフトウェア的な保護も実現している。
[実施例2]
以下、図面を参照して、本発明の実施例2について説明する。
実施例2は、実施例1と同様、減速機として波動歯車装置を利用したロボット関節構造1に適用したもので、実施例2との主な相違は、実施例1では、過負荷保護装置31が第1クラウンギヤ32、第2クラウンギヤ33と弾圧部材34から構成されているのに対し、実施例2では、図10に示されているように、過負荷保護装置31’が、波動歯車装置21の剛性内歯歯車22外周に相対変位不動に固定された、第1部材としてのカム35と、カム35の両面に対向するよう配置された、油圧シリンダ36a、36bの可動部位であるピストン38a、38bの先端に取り付けられた、第2部材としてのカムフォロア39a、39bを主要部品とする過負荷保護装置31’a、31’bとで構成されている点である。
以下、実施例1と共通する部分の記載は省略し、実施例2に関わる過負荷保護装置31’の構成を中心に説明する。
図11に示されているように、ケース部12(ケース本体41)に対して、カム35が回転可能に取り付けられている。カム35は、ケース部12(本体41)の内側に回転自在に配置されシール76の外径側に接しているシール部35a、シール部35aの外周から半径方向外方に延びる底面部35b、底面部35bの外周端から剛性内歯歯車22に向けて入力シャフト51に対し平行に延び、剛性内歯歯車22の外周と一体的に結合される円筒部35c、円筒部35cの端部から、図11における剛性内歯歯車22の左側側面と同一平面を形成するよう、半径方向外方に延びる外縁部35dとから構成されている。
外縁部35dの半径方向外方には、円周方向に沿ってカムプロフィル35eが形成されおり、その両面のそれぞれに対向するように、シリンダケース37a、37bがケース部12(本体41)に対して相対変位不動に固定されている。シリンダケース37a、37bには、ピストン38a、38bの外径と同径を形成する径を備えたシリンダライナがそれぞれ形成されており、ピストン38a、38bが半径方向に変動することなく、軸方向の移動を可能にしている。
この内壁とピストン38a、38bとで形成される内壁空間に、ベースフレームYに固定されている油圧ポンプP(図示せず)により送られる作動油が流入することで、ピストン38a、38bを作動させる。
なお、この実施例では、シリンダケース37aに形成されたシリンダライナと、シリンダケース37bに形成されたシリンダライナが、同一軸上に配置されているが、必ずしも同一軸上に配置する必要はない。
無負荷時における図11のB-B断面図である図12に示されるように、ピストン38a、38bの外端には、カムプロフィル35eの両面のそれぞれに対向し、実施例1と同様、動径方向等価曲面となる曲面を備えたカムプロフィル35eに追随するよう、入力シャフト51に直交する軸を中心に回転自在なカムフォロア39a、39bが装着されている。
なお、図12において、過負荷保護装置31’a、31’bの下方には、直径方向に対向するよう、シリンダケース37c、37d、ピストン38c、38d、カムフォロア39c、39dを主要部品とする過負荷保護装置31’c、31’dが設けられており、過負荷保護装置31’a、31’bと同期して作動を行う。
ケース本体41は、波動歯車装置21の回転軸と同軸上にあるベアリング71の外径側を保持しており、剛性内歯歯車22とカム35の円筒部35cが、それぞれが相対変位することなく、ベアリング71の内径側に接するように固定されている。
これにより、剛性内歯歯車22とカム35は、ケース部12に対して、軸方向には不動であるが、回転軸周りには回転可能に軸支される。
図12と同様、図13、図14も、図11のB-B断面における拡大断面図であり、図13は回転トルク作用時、図14は、図13とは逆方向の回転トルク作用時における過負荷保護装置31’の拡大断面図をそれぞれ示している。
アクチュエータからの回転トルクが増大すると、図13に示すように、過負荷保護装置のカム35が減速装置2の軸周りに回転運動を起こす。これにより、ピストン38aとピストン38bが軸方向に並進移動を行い、カム曲線に応じて、カム35を元の位置に戻そうとする復元力が拮抗力として発生する。
負荷トルクと復元力が釣り合った時点でカム35の回転が停止し、見かけ上、カム35に固定された剛性内歯歯車22がベースフレームYあるいはケース部12に固定された状態となり、波動発生器24から入力した回転が、可撓性外歯歯車23を介して減速回転出力として得られる。回転トルクが解除されると、カム35の円周方向位置も元の位置に復帰する。
本実施例では、カム曲線の形状により、カム35の回転量(変位)と拮抗トルク(復元力)の関係を規定することが可能である。
ここで、カム曲線の具体的な設計について、図15を用いて説明する。
カムフォロア39を介してピストン38がカム35を押す力をfとする。また、カム35が回転した際、カム35とカムフォロアとの相対変位をs(円筒座標系において、半径:rを一定とし、径方向の角度:θとすると、s=rθ)とする。加えて、カムフォロア39の回転中心が通る軌跡をg(s)とする。更に、カム35を回転軸周りに回転させようとしている力の成分をftとする。
この時、fとftとg(s)とsの間には、次式の関係が成立する。
dg(s)/ds=ft/f ・・・・・・ (6)
この式(6)を用いることで、カム35の回転量(変位)と拮抗トルク(復元力)の関係を規定することが可能である。
カム35の回転量(変位)と拮抗トルク(復元力)の関係として線形関係(バネ係数:K)を持たせるためには、
ft1-ft2=Ks ・・・・・・ (7)
より、
g1(s)=(1/4)・Ks+C1
但し、C1は定数
・・・・・・ (8)
が求まり、カム曲線としては変位sを変数とした2次関数とすればよいことが分かる。
以上の説明では、減速装置として波動歯車装置を採用したが、要は、減速装置用ケース外周において、回転トルク入力側と出力側の間を動径方向等高曲面を形成するカム35にピストンによりカムフォロア39を接触させ、伝達される回転トルクに1対1対応するカム35の回転量(変位)を実現すればよく、実施例2においても、サイクロイド減速機(RV減速機)、クラウン減速機などにも適用できる。
さらに、実施例1と同様、カム35による剛性内歯歯車22と可撓性外歯歯車23との相対回転移動量に基づいて、アクチュエータ101の出力を制御するようにしてもよい。
実施例2においても、実施例1と同様に、過負荷保護装置31’のカム35とケース部12の相対変位角を、第1角度センサ105と第2角度センサ106を用いて算出することも可能であるが、図10に示すように、過負荷保護装置31’のカム35とケース部12の相対変位角を直接検出センサとして、第3角度センサ112を配置している。
第3角度センサ112は、波動歯車装置21の剛性内歯歯車22の回転軸に対する直交面を挟むケース部12とカム35(剛性内歯歯車22)のそれぞれに対面するように配置される読取ヘッド112hと読取リング112rにより構成されている。第3角度センサ112の読取リング112rは、波動歯車装置21の剛性内歯歯車22(カム35)と回転不動の位置に設置される一方、読取ヘッド112hは、ケース部12に位置してその読取リング112rの回転位置を検出するように配置されている。この第3角度センサ112は、読取ヘッド112hにセンサケーブル112cが接続されており、そのセンサケーブル112cは、その第1角度センサ105のセンサケーブル105cなどと同様に、ベースフレームYに設置した制御部110に接続される。
実施例2においても、実施例1と同様、過負荷保護装置31’のカム35とケース部12の相対変位角と、出力部14の出力トルクの関係である変位-トルク特性を計測しておき(図9参照)、この変位-トルク特性を、制御部110のメモリ111内に予め格納している。そのため、第1角度センサ105と第2角度センサ106の検出値と、予め測定した変位-トルク特性を用いることで、回転トルクを算出することが可能である。なお、第3角度センサ112の検出値と、予め測定した変位-トルク特性を用いることでも、回転トルクを算出することが可能であることはいうまでもない。
また、実施例2では、変位-トルク特性は、カム35に設けたカム曲線の形状により規定されるため、カム曲線の設計データより変位-トルク特性を求めることも可能である。
例えば、線形特性となるようにカム35を設計しておけば、変位-トルク特性を参照せずに、カム35の回転量のみから回転トルクを算出することが可能である。
また、実施例2でも、算出した出力トルクがある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、言い換えると、カム35とケース部12の相対変位角がある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、実施例1と同様に、制御部110よりリレー部108をリレーOff状態にする指令値を信号ケーブル108cを介してリレー部108に送り、アクチュエータドライバ107への電源供給を断つように構成すればよい。
このような構成により、例えば、ロボットと環境との接触、人間型歩行ロボットの転倒等によりアームや脚などからモータに対し大きなトルクが逆入力された場合のように、過大な負荷トルクが負荷側(出力側)からロボット関節構造1に作用した場合、逆入力で発生した逆起電力はリレー部108がリレーOff状態に切り替えられているため、電源109に帰還されることなく、電源109の瞬停を回避することが可能になる。
加えて、実施例2でも、算出した出力トルクがある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、言い換えると、カム35とケース部12の相対変位角がある閾値以上もしくは閾値以下になった場合に、実施例1と同様に、制御部110よりアクチュエータ101の出力を低減するための指令値を信号ケーブル107cを介してアクチュエータドライバ107に送ることで、アクチュエータ101自身が発生する過大トルクによるラチェッティングを防止することが可能になる。
このように、本実施例では、過負荷なトルクが作用した際に、過負荷保護装置31’でハードウェア的に保護を実現するとともに、検出した出力トルクに基づいた制御部110によるソフトウェア的な保護も実現している。
1;ロボット関節構造 12;ケース部 14;出力部
21;波動歯車装置 22;剛性内歯歯車 23;可撓性外歯歯車
24;波動発生器 31;過負荷保護装置 32;第1クラウンギヤ
33;第2クラウンギヤ 34;弾圧部材 35;カム
35a;シール部35a 35b;底面部 35c;円筒部
35d;外縁部 35e;カムプロフィル 36;油圧シリンダ
37;シリンダケース 38;ピストン 39;カムフォロア39
41;ケース本体 42;蓋カバー 43;底カバー
51;入力シャフト 71;ベアリング
75;ベアリング補助部品 76;シール 101;アクチュエータ
101c;電源ケーブル 102;駆動プーリ 103;従動プーリ
104;タイミングベルト 105;第1角度センサ 105c;センサケーブル
106;第2角度センサ 106h;読取ヘッド 106r;読取用リング
106c;センサケーブル 107;アクチュエータドライバ
107c;信号ケーブル 107d;下流側電源ケーブル
107u;上流側電源ケーブル
108;リレー部 108c;信号ケーブル 109;電源
110;制御部 110c;電源ケーブル 111;メモリ
112;第3角度センサ 112h;読取ヘッド 112r;読取用リング
112c;センサケーブル

Claims (5)

  1. 剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車と波動発生器を含む波動歯車減速機の入力軸と出力軸の間に介装される動力伝達機構であって、
    前記波動発生器は前記入力軸に固定され、
    前記可撓性外歯歯車は前記出力軸に固定され、
    前記剛性内歯歯車が固定され、周方向に動径方向等高曲面が形成された第1部材と、
    前記第1部材に形成された動径方向等高曲面に対し予め定められた押圧力で接触し、前記入力軸と前記出力軸の間に伝達される回転トルクに応じて、前記第1部材に対する回転方向相対位置を前記押圧力に抗して変化させることにより、前記第1部材に形成された動径方向等高曲面に沿って、前記第1部材に対する軸方向相対位置を前記回転トルクに一対一に対応するように変化させる第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材の相対変位角に応じて前記回転トルクを算出し、算出された前記回転トルクが閾値以上になった場合に、前記入力軸に連結されたアクチュエータの出力を低減させ、若しくは前記アクチュエータへの電源供給を断つ制御部を備えた動力伝達機構。
  2. 前記第1部材及び第2部材が、前記入力軸と前記出力軸の対向端部に配置された、軸方向に対し直交する動径方向等高曲面を備えたクラウンギヤからなり、一方のクラウンギヤは軸方向に固定され、他方のクラウンギヤは、軸方向に圧縮変形可能な弾圧部材を介して取り付けられており、前記入力軸と前記出力軸の間に伝達される回転トルクに応じて、他方のクラウンギヤが一方のクラウンギヤに対し、線接触あるいは面接触を維持しながら前記動径方向等高曲面に沿って軸方向に離隔して回転方向の位相をずらすようにしたことを特徴とする請求項1に記載された動力伝達機構。
  3. 前記第1部材が周方向に動径方向等高曲面を有するカム、前記第2部材が前記減速機の本体側に設けられた油圧装置により予め定められた押圧力で前記カムに接触するカムフォロアからなり、前記入力軸と前記出力軸の間に伝達される回転トルクに応じて、前記カムフォロアが前記カムに形成されたカムプロフィルに追随することにより、両者が軸方向に離隔して回転方向の位相をずらすようにしたことを特徴とする請求項1に記載された動力伝達機構。
  4. 前記カムに対する前記カムフォロアの相対変位をs、相対変位sにおける前記カムフォロアの回転中心が通る軌跡をg(s)としたとき、前記カムの回転位相のずれと、カムに作用する拮抗トルクの関係が、g(s)のsに関する勾配となるようg(s)が選定されていることを特徴とする請求項3に記載された動力伝達機構。
  5. 前記カムに対する前記カムフォロアの相対変位をs、相対変位sにおける前記カムフォロアの回転中心が通る軌跡をg(s)としたとき、g(s)を相対変位sを変数とした2次関数とすることで、前記カムの回転位相のずれと、カムに作用する拮抗トルクの関係が線形関係となるよう、前記2次関数が選定されていることを特徴とする請求項4に記載された動力伝達機構。
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