JP7274171B2 - 希土類元素の吸着剤、及び希土類元素の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類元素を吸着する吸着剤、希土類元素の吸着剤を用いる希土類元素の分離方法、複数の希土類元素を含む溶液から希土類元素を相互に分離する方法に関する。
近年、希土類元素の回収・リサイクルの重要性が一層増加している。希土類元素を元素毎に高純度回収できれば、金属価値を著しく向上させることができる。しかしながら、希土類元素間では化学的性質が類似しているため、その相互分離は極めて困難であり、種々の方法が検討されている。
希土類元素の分離法としては、沈殿分離、電解分離、抽出分離、吸着分離が挙げられる。連続式の分離法としては、溶媒抽出法、吸着法による相互分離が検討されており、現在、工業的に広く用いられているのは溶媒抽出法である。溶媒抽出法では、希土類元素イオンの相互分離係数は十分ではなく、複雑な分離工程、分離設備の大規模化、有機溶剤の大量使用等の問題がある。
吸着法による希土類元素の分離方法としては、イオン交換樹脂と錯化剤を用いる方法が一般的である(例えば、特許文献1および2参照。)。上記のイオン交換樹脂を用いた方法においても、希土類元素の相互分離係数は十分ではないといえる。そのため、分離カラムが長大化し、処理時間およびイオン交換樹脂使用量が大きくなる。その上、回収した希土類元素に不純物として錯化剤がついているため、さらに精製プロセスが必要となり、また、錯化剤の再利用が困難であるため、希土類元素の相互分離にかかるコストの上昇につながる。そのため、工業的な利用には、吸着剤の性能の向上が求められている。
そこで、特許文献3には、希土類元素を含む水溶液に対して、希土類元素を吸着、回収するための吸着剤として、ジグリコールアミド酸を基材に導入したものが開示されている。基材の表面にジグリコールアミド酸を化学結合により導入しているため、吸着速度が大きく繰り返しの使用が可能である。このような吸着剤を用いることにより、簡便かつ安価で、希土類元素が希薄な水溶液からでも希土類元素を回収することができる。
特許文献4には、2種類以上の希土類元素イオンが溶解した溶液に、アミド基と複素環窒素の両者を有する多座配位子化合物を加えることで、特定のイオンサイズを境にそれより原子番号の小さい元素と大きい元素とで異なる2種の希土類錯体を形成させ、そこに酸素原子又は窒素原子を配位原子とする単座配位子化合物を加えることで2種の希土類錯体のうち一方のみ分離回収する方法が開示されている。
特公昭62-37701号公報 特公平7-25543号公報 特許第6103611号公報 特開2018-168424号公報
特許文献4に開示された方法は隣接する希土類元素の分離に有効であるが、沈殿分離を利用する方法である。沈殿分離は連続操業に不適であり、コストが高くなる傾向にある。
上記に鑑み、本発明は、希土類元素の相互分離を小規模、低コストで実現できる新規な希土類元素の吸着剤を提供することを課題とする。さらに、希土類元素の吸着剤を用いる希土類元素の相互分離方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、基材にフェナントロリン骨格がアミド結合を介して導入された、フェナントロリンアミド(PTA)型吸着剤を用いることにより、希土類元素を効率良く吸着できるという知見を得て、本発明を完成させた。そして、PTA型吸着剤を用いることにより、精度良く高効率で希土類元素の相互分離を可能とする方法を見出した。さらに、希土類元素含有溶液に特定の添加剤を加えることにより、希土類元素間の相互分離性を制御できることを見出した。
本発明は以下の具体的態様等を提供する。
<1> 希土類元素を含む溶液と接触して希土類元素を吸着する吸着剤であって、
基材とフェナントロリン骨格を含み、
前記基材にフェナントロリン骨格がアミド結合を介して導入されていることを特徴とする希土類元素の吸着剤。
<2> 下記式(1)で表される、<1>に記載の希土類元素の吸着剤。
Figure 0007274171000001
式中、Rは水素、置換若しくは無置換の炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。
<3> 下記式(2)で表される、<2>に記載の希土類元素の吸着剤。
Figure 0007274171000002
式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。<4> 前記Rが、水素、アミノ基及びフェナントロリンアミド基から選ばれる基で置換された若しくは無置換の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である、<2>又は<3>に記載の希土類元素の吸着剤。
<5> 前記Rが炭素数1~10のアルキレン基である、<3>又は<4>に記載の希土類元素の吸着剤。
<6> 前記基材が、シリカである、<1>~<5>の何れかに記載の希土類元素の吸着剤。
<7> <1>~<6>の何れかに記載の希土類元素の吸着剤に希土類元素を含む溶液を接触させて、希土類元素を前記希土類元素の吸着剤に吸着させる吸着工程、を含む希土類元素の分離方法。
<8> 前記吸着工程において、アミン化合物を添加する、<7>に記載の希土類元素の分離方法。
<9> 前記吸着工程において、前記希土類元素を含む溶液がpH0以上5.5以下であ
る、<7>又は<8>に記載の希土類元素の分離方法。
<10> 前記希土類元素を含む溶液が2種以上の希土類元素を含み、前記2種以上の希土類元素を相互に分離する方法である、<7>~<9>の何れかに記載の希土類元素の分離方法。
本発明によれば、希土類元素の相互分離を小規模、低コストで実現できる新規な希土類元素の吸着剤が提供される。さらに、希土類元素の吸着剤を用いる希土類元素の相互分離方法が提供される。
実施例1の吸着試験結果を示した図である。 実施例2の吸着試験結果を示した図である。 実施例3の吸着試験結果を示した図である。 実施例4の吸着試験結果を示した図である。 実施例5の吸着試験結果を示した図である。 実施例6の吸着試験結果を示した図である。 実施例7~11の吸着試験結果を示した図である。
以下、本発明を実施する好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
1.希土類元素の吸着剤
本発明の一実施形態は、希土類元素を含む溶液と接触して希土類元素を吸着する吸着剤であって、基材とフェナントロリン骨格を含み、前記基材にフェナントロリン骨格がアミド結合を介して導入(固定)されていることを特徴とする。
本発明者らは、イオンサイズの極めて類似した原子番号が近接する希土類元素イオンに対し、高い相互分離係数を発揮する分離試薬及び分離プロセスを開発するために、目的物質の「形」を識別して相互作用する分子鋳型の概念に着目した。精密に形状識別する鋳型の概念を金属イオンの分離技術に適応できれば、目的金属を完全分離できる究極の分離法になり得る。本実施形態では、金属イオンとの錯形成で特徴的な形状の錯体を形成する有機配位子として、フェナントロリン骨格にアミド結合が結合しているフェナントロリンアミド(PTA)を用いる。フェナントロリン骨格としては、1,10-フェナントロリン骨格が好ましく、下記式に示すように、1,10-フェナントロリン骨格の2位に結合されたアミド結合を介して基材に導入されている態様が好ましい。
フェナントロリン骨格には、置換基を有するフェナントロリン骨格が含まれる。フェナントロリン骨格の有する置換基は特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基やt-ブチル基等の炭素数が1~8のアルキル基、メトキシ基やエトキシ基等の炭素数が1~8のアルコキシ基及びフェニル基等が挙げられる。これらの置換基としては、炭素数1~8のアルキル基及び炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~5のアルキル基及び炭素数1~5のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1~5のアルキル基がさらに好ましい。なお、これらの置換基は、さらに別の置換基を有していてもよい。フェナントロリン骨格が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常6以下、好ましくは4以下である。また、1,10-フェナントロリン骨格が置換基を有する場合は、少なくとも3,4,7,8位のいずれかに置換基を有することが好ましい。
Figure 0007274171000003
上記式中、Xは1価の基である。Xとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、例えば、水素、置換若しくは無置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
(基材)
本実施形態において、基材は、機械的強度、耐酸性、水溶液への不溶性を備えれば、材質、形状は特に限定されない。吸着剤設計において、配位子の導入、すなわち固定化は、物理的な固定と化学的な固定に大別できる。本実施形態では実用の観点から、繰り返しの利用が期待できる化学的な固定化方法を採用した。以下、配位子を固定化する担体となる基材について詳細に説明する。
基材の材質としては、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、キトサンなどの第一級アミン又は/及び第二級アミンを有するポリマーのアミンの残基が挙げられる。また、前記基材がポリスチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンを含む態様も好ましい。また、汎用性の観点から、前記基材がシリカゲルを含む態様も好ましい。
基材の形状は、具体的には粒子状、板状、棒状、管状、繊維状、膜状等が挙げられる。取扱い性、分離性能の観点から、球状粒子が好ましい。
(吸着剤の好ましい態様)
本実施形態の希土類元素の吸着剤としては、合成容易性の観点から、式(1)で表される吸着材が好ましい。
Figure 0007274171000004
上記式中、Rは水素、置換若しくは無置換の炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表す。
(R)
Rは水素、置換若しくは無置換の炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表す。
無置換の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、1-ペプチニル基、1-ヘ
キセニル基、1-ヘプテニル基、1-オクテニル基、2-メチル-1-プロペニル基等のアルケニル基;プロパルギル基等のアルキニル基;等が挙げられる。
炭素数6~12の無置換の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;アミノ基;フェナントロリンアミド基(-NHCO(phen));メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等の炭素数3~4のシクロアルキル基;等が挙げられる。
なお、炭素数1~10の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基が置換基としてアルキル基又はシクロアルキル基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
本実施形態においては、吸着効率、分離性能の観点から、式(2)で表される吸着材がより好ましい。
Figure 0007274171000005
は直接結合または炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基である。
が2価の脂肪族炭化水素基である場合、炭素数は、2~15であることが好ましく、2~10であることがより好ましく2~8であることがさらに好ましい。また、前記2価の脂肪族炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。また、鎖状である場合、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。前記2価の脂肪族炭化水素基として具体的には、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基等の直鎖状アルキレン基;2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等の分岐鎖状アルキレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン、シクロペプチレン、シクロオクチレン、シクロノニレン、シクロデシレン等の環状アルキレン(シクロアルキレン)基等が挙げられる。中でも、Rとしては、炭素数2~10の直鎖状アルキレン基であることが好ましく、炭素数2~8の直鎖状アルキレン基であることがより好ましく、炭素数3~8の直鎖状アルキレン基であることがさらに好ましい。
また、本実施形態において、式(1)及び(2)中、前記Rが、水素、アミノ基及びフェナントロリンアミド基から選ばれる基で置換された若しくは無置換の炭素数1~4の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である態様が好ましい。特に、軽希土類元素の相互分離の観点から、前記Rが、水素、メチル基、2-アミノエチル基、-CHCHNHCO(phen)が好ましい。また、重希土類元素の相互分離の観点から、前記Rが、置換若しくは無置換の芳香族基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
(希土類元素の吸着剤の製造方法)
希土類元素の吸着剤の製造方法としては、基材にフェナントロリン骨格がアミド結合を介して導入されればよく、従来公知の有機合成の手法を用いて製造することができる。以下、基材としてシリカゲルを用いる場合の、吸着剤の製造方法を説明する。
基材としてシリカゲルを用いる場合、シリカゲルにアミノ基含有シランカップリング剤を反応させ、アミノ基を導入し、その後フェナントロリン酸クロリド体と反応させる方法が挙げられる。この方法では、アミノ基の窒素原子が有する炭化水素基を制御することで、希土類元素の吸着性能を制御することが可能である。例えば、アミノ基の窒素原子が芳香族炭化水素基を有する場合、未反応のアミノ基の存在が希土類元素の吸着に影響し、重希土類の希土類元素の相互分離を可能とする。以下に、アミノ基含有シランカップリング剤とシリカゲルから、本実施形態の吸着剤を製造するスキームの例を示す。
Figure 0007274171000006
上記式中、Rは式(1)のRと同様である。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩が挙げられる。アミノ基含有シランカップリング剤は公知の有機合成法を用いて製造してもよいし、市販品を用いてもよい。上記のアミノ基含有シランカップリング剤は、信越化学株式会社から、製品名KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-575で販売されている。
アミノシリカゲルはシリカゲル粒子とアミノ基を有するシランカップリング剤を反応させることで製造することもできるし、市販品を用いることもできる。市販品としては、3-Aminopropyl Silica Gel(東京化成工業株式会社製)、3-(Ethylenediamino)propyl Silica Gel(東京化成工業株式会社)、スカベンジャー NH SILICA(富士シリシア化学株式会社)、スカベンジャー DIAMINE SILICA(富士シリシア化学株式会社)、3-(Ethylenediamino)propyl-functionalized silica gel(Aldrich)、3-(Diethylenetriamino)propyl-functionalized silica gel(Aldrich)等
が挙げられる。
また、以下のスキームのように、アミノ基含有シランカップリング剤とフェナントロリン誘導体を反応させ、その後シリカゲルにシランカップリングで導入する方法により、吸着剤を製造することもできる。この方法は、基材に、吸着部位となるフェナントロリンアミドを多く導入出来る傾向にあり、希土類元素の吸着量の増加の観点から好ましい。
Figure 0007274171000007
上記式中、Rは式(1)のRと同様である。
2.希土類元素の分離方法
上記の希土類元素の吸着剤に希土類元素を含む溶液を接触させて、希土類元素を前記希土類元素の吸着剤に吸着させる吸着工程、を含む希土類元素の分離方法も本発明の一実施形態である。
希土類元素イオンを含む溶液を吸着剤に接触させる方法としては、希土類元素イオンを含む溶液が吸着剤に接触すれば特に限定されず、例えば、吸着剤を備えるカラムに、希土類元素イオンを含む溶液を通液させる方法、希土類元素イオンを含む溶液に吸着剤を投入する方法等が挙げられる。
本実施形態において、希土類元素を含む溶液は希土類元素イオンが水溶液又は低級アルコール等の親水性有機溶媒に溶解しているものであれば特に限定されないが、被対象溶液に含まれる希土類元素イオンが、原子番号57~71のランタノイドイオン及びイットリウムイオンからなる群より選択された2種以上のイオンであることをことが好ましく、プラセオジウムイオン、ネオジムイオン及びサマリウムイオンからなる群より選択された2種以上であることがより好ましい。また、分離の目的とする希土類元素イオンは一種類の元素に限定されるものではなく、同時に複数の希土類元素イオンを分離してもよい。尚、希土類元素イオン以外の金属イオンが含まれていてもよい。
(添加剤)
本発明の一実施形態においては、吸着工程において、添加剤を加えることにより、希土類元素の吸着挙動を制御することが可能である。添加剤は、希土類元素とフェナントロリンアミドとの錯体を識別して、当該錯体と相互作用する化合物であれば特に限定されないが、隣接希土類元素の吸着率の差が大きくできることから、アミン化合物が好ましく挙げ
られる。アミン化合物としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1-プロピルアミン、2-プロピルアミン、1-ブチルアミン、2-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ビス(3-プロピルアミノ)アミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、ピリジン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、4-ジメチルアミノピリジン、2-メチルピラジン、ビピリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、アニリン等の水溶性アミンが好ましく、アンモニア、1-プロピルアミン、ビス(3-プロピルアミノ)アミンがより好ましい。一方、吸着率が低下するような添加剤は、マスキング剤として作用する。このように、添加剤による協同効果発現により、希土類元素の相互分離性向上が期待できる。
(温度)
本工程を実施する温度は、通常5℃以上80℃以下であり、10℃以上70℃以下が好ましい。
(pH)
吸着工程のpHは特に限定されないが、分離効率の観点から、pH0以上5.5以下であることが好ましい。
(相互分離)
本発明の一実施形態としては、希土類元素を含む溶液が2種以上の希土類元素を含み、前記2種以上の希土類元素を相互に分離する方法が挙げられる。本実施形態によると、吸着剤のアミド位の窒素の置換基や、吸着工程の条件により、分離挙動を制御することができ、各種の希土類元素を効率よく分離することが可能である。
(脱離工程)
本実施形態において、吸着工程で得られた希土類元素の吸着剤に吸着した希土類元素は、酸によって脱離させることができる。コストの観点から塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、より好ましくは塩酸である。この場合、酸濃度は好ましくは0.001M以上2M以下、より好ましくは0.01M以上1M以下である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1~5]
(吸着剤1~5の作製)
2-carboxy-1,10-phenanthroline塩酸塩に塩化チオニル(20.0eq)を加え、85°Cで4.5時間反応させ、その後、過剰の塩化チオニルを減圧留去し、フェナントロリン酸クロリド体を得た。作製したフェナントロリン酸クロリド体(2.9eq)をジクロロメタン(25mL/g)に加え,真空乾燥させたアミノシリカゲルおよびトリエチルアミン(4.8eq)を加え、室温で反応させた。一昼夜反応させた後、メタノールでクエンチし、反応物をろ別し、メタノール、水、アセトン、ク
ロロホルムで順次洗浄し、40°Cで減圧真空乾燥を行ない、吸着剤1~5を得た。吸着剤1~5の修飾率を表1に示す。なお、修飾率換算は回収した吸着剤量と仕込みアミノシリカゲル量の差から概算した。
Figure 0007274171000008
Figure 0007274171000009
(吸着試験)
プロメチウムを除く14種類のランタノイドイオン(ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,サマリウム,ユウロピウム,ガドリニウム,テルビウム,ジスプロシウム,ホルミウム,エルビウム,ツリウム,イッテルビウム,ルテチウム)各0.1mM、初期pH3.0、4.0、5.4にそれぞれ調整した吸着試験水溶液5mLに作製した吸着剤1~5を100mg加え、振とうしながら25℃で吸着試験を行なった。3日後、溶液を採取し、0.20μmのメンブレンフィルターでろ過し、ICP発光分析装置により水溶液中の金属イオン濃度を測定し、マスバランスから金属イオンの吸着率を算出した。結果を図1~5に示す。
図1~5に示されるように、フェナントロリンアミドのアミド位の窒素の側鎖の違いにより希土類元素の吸着量に大きな違いが発現することが確認された。吸着の傾向としては
、軽希土類元素において隣接した希土類元素間で吸着率に差が確認できた。さらに、フェニル基を有する吸着剤5において、従来の吸着剤ではあまり見られない傾向、すなわち一連の希土類元素吸着プロファイルにおいてユウロピウム、ガドリニウム付近に吸着率の最大値が見られた。このように、アミド位の窒素への官能基置換により吸着挙動を制御できる可能性を見出した。
[実施例6]
(吸着剤6の作製)
Figure 0007274171000010
上記に示すスキームの通り、アミノ基含有シランカップリング剤とフェナントロリン誘導体を反応させ、その後シリカゲルにシランカップリングで導入する方法で、吸着剤6を作製した。
(吸着試験)
プロメチウムを除く14種類のランタノイドイオン(ランタン,セリウム,プラセオジム,ネオジム,サマリウム,ユウロピウム,ガドリニウム,テルビウム,ジスプロシウム,ホルミウム,エルビウム,ツリウム,イッテルビウム,ルテチウム)各0.1mM、初期pH3.0、4.0にそれぞれ調整した吸着試験水溶液5mLに作製した吸着剤6を100mg加え、振とうしながら25℃で吸着試験を行なった。3日後、溶液を採取し、0.20μmのメンブレンフィルターでろ過し、ICP発光分析装置により水溶液中の金属イオン濃度を測定し、マスバランスから金属イオンの吸着率を算出した。結果を図6に示す。
図6より、吸着剤5の試験結果と比較し、吸着量が飛躍的に増加したことがわかる。これは修飾率が19%から30%に上昇し、導入されたフェナントロリンアミド基が1.5倍になったことに起因していると考えられる。一方、吸着剤5の時に確認された特異的なプロファイルが見られなくなった。吸着剤5の系では、シリカゲル上に未反応のアミノ基が多く存在し、希土類元素吸着に関与していることが推定される。このことから、アミンを吸着剤6と共存させることで、協同効果が発現することが期待できる。
[実施例7~11]
協同効果現象発現によりさらなる相互分離効果を得るため、カルボン酸系、アミン系配位子を中心に検討を行った。
酢酸(0.5M)、イタコン酸(10mM)、アンモニア(10mM)、プロピルアミン(10mM)もしくはビス(3-プロピルアミノ)アミン(10mM)にプラセオジム、ネオジムおよびサマリウムがそれぞれ1mMとなるよう調製し、初期pH3.0、4.0にそれぞれ調整した水溶液を吸着試験溶液とした。吸着試験溶液5mLに吸着剤6を100mg加え、振とうしながら25°Cで吸着試験を行なった。3日後、溶液を採取し、0.20μmのメンブレンフィルターでろ過し、ICP発光分析装置により水溶液中の金属イオン濃度を測定し、マスバランスから各金属イオンの吸着率を算出した。結果を図7に示す。なお、図中のpHは、吸着後の平衡pH(pHeq)である。
カルボン酸系化合物を添加したところ、希土類元素の吸着挙動に影響は見られなかった。一方で、アミン化合物を添加すると希土類元素の吸着率が変化し,隣接希土類元素の吸着率の差が大きくなることが明らかとなった。この協同効果発現により、希土類元素の相互分離性向上が期待できる。
本発明の吸着剤を用いると、希土類元素を有する溶液から、分離効率よく希土類元素を分離できる。簡便な工程で、また、小規模設備で、分離が可能であり、設備投資・ランニングコストが抑えられるので、工業的利用価値が大きい。

Claims (8)

  1. 希土類元素を含む溶液と接触して希土類元素を吸着する、下記式(1)で表される希土類元素の吸着剤。
    Figure 0007274171000011

    式中、Rは水素、フェナントロリンアミド基で置換された若しくは無置換の炭素数1~4の1価の脂肪族炭化水素基、又は無置換のフェニル基を表す。
  2. 下記式(2)で表される、請求項に記載の希土類元素の吸着剤。
    Figure 0007274171000012

    式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
  3. 前記Rが炭素数2~10の直鎖のアルキレン基である、請求項に記載の希土類元素の吸着剤。
  4. 前記基材が、シリカである、請求項1~の何れか1項に記載の希土類元素の吸着剤。
  5. 請求項1~の何れか1項に記載の希土類元素の吸着剤に希土類元素を含む溶液を接触させて、希土類元素を前記希土類元素の吸着剤に吸着させる吸着工程、を含む希土類元素の分離方法。
  6. 前記吸着工程において、アミン化合物を添加する、請求項に記載の希土類元素の分離方法。
  7. 前記吸着工程において、前記希土類元素を含む溶液がpH0以上5.5以下である、請求項5又は6に記載の希土類元素の分離方法。
  8. 前記希土類元素を含む溶液が2種以上の希土類元素を含み、前記2種以上の希土類元素を相互に分離する方法である、請求項5~7の何れか1項に記載の希土類元素の分離方法。
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