はじめに、半導体装置の一例について述べる。
図1は半導体装置の一例について説明する図である。図1には、半導体装置の一例の要部斜視図を模式的に示している。図1には、半導体装置の検査時及び動作時の入出力の一例を併せて模式的に示している。
図1に示す半導体装置100は、基板110と、基板110上に設けられた回路素子120とを備える。基板110は、例えば、シリコン(Si)等の各種半導体材料、或いはガリウムナイトライド(GaN)等の各種化合物半導体材料が用いられた基板である。回路素子120は、例えば、トランジスタ等の半導体素子、或いは増幅等の所定の機能を持たせた集積回路である。回路素子120は、例えば、基板110の一方の面(表面)110aに形成される。
半導体装置100は更に、基板110上に設けられ回路素子120に接続された伝送線路130を備える。例えば、伝送線路130の一端は、回路素子120の入力端子(トランジスタのゲート端子等)に接続される。一端が回路素子120に接続された伝送線路130の他端には、端子131が設けられる。回路素子120と端子131とを繋ぐ伝送線路130の途中には、容量140(キャパシタ)が設けられる。容量140は、伝送線路130の一部の下に設けられた誘電体142と、誘電体142の下に設けられた、図1では図示されない導体層(後述する図18(A)の導体層143)と、その導体層から伝送線路130の側方(伝送線路130の延在方向と交差する方向)に引き出された端子141とを含む。伝送線路130及びその端子131、並びに容量140の導体層及びその端子141には、各種導体材料、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。容量140の誘電体142には、各種誘電体材料、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、シリコンカーバイド(SiC)等の誘電体材料が用いられる。容量140は、例えば、伝送線路130の一部が上部電極とされ、端子141の繋がる導体層が下部電極とされ、それらの間に誘電体142が挟まれた、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造を持つMIM容量とされる。
半導体装置100は更に、基板110上に設けられ回路素子120に接続された伝送線路150を備える。例えば、伝送線路150の一端は、回路素子120の出力端子(トランジスタのドレイン端子等)に接続される。一端が回路素子120に接続された伝送線路150の他端には、端子151が設けられる。回路素子120と端子151とを繋ぐ伝送線路150の途中には、容量160(キャパシタ)が設けられる。容量160は、伝送線路150の一部の下に設けられた誘電体162と、誘電体162の下に設けられた導体層(図1では図示されず)と、その導体層から伝送線路150の側方(伝送線路150の延在方向と交差する方向)に引き出された端子161とを含む。伝送線路150及びその端子151、並びに容量160の導体層及びその端子161には、各種導体材料、例えば、Cu、Al等の金属材料が用いられる。容量160の誘電体162には、各種誘電体材料、例えば、SiO、SiN、SiC等の誘電体材料が用いられる。容量160は、例えば、伝送線路150の一部が上部電極とされ、端子161の繋がる導体層が下部電極とされ、それらの間に誘電体162が挟まれたMIM容量とされる。
半導体装置100では、回路素子120が形成された基板110上に、回路素子120に接続された配線やビア等の導体部とそれを覆う絶縁部とを有する配線層が形成される。上記の伝送線路130及びその端子131、容量140の導体層(下部電極)及びその端子141、伝送線路150及びその端子151、容量160の導体層(下部電極)及びその端子161は、配線層の導体部の一例である。上記の容量140の誘電体142、容量160の誘電体162は、配線層の絶縁部の一例である。配線層においては、例えば、端子131及び端子141並びに端子151及び端子161の形成される層上に、誘電体142及び誘電体162の形成される層を介して、伝送線路130及び伝送線路150の形成される層が設けられる。端子131及び端子151と、伝送線路130及び伝送線路150とは、例えば、それらが形成される層間に設けられるビア(ここでは伝送線路130及び伝送線路150の一部として図示)で接続される。尚、端子131及び端子151は、伝送線路130及び伝送線路150の形成される層と同じ層内に設けられてもよい。
上記のような構成を有する半導体装置100は更に、1つ又は複数、或いは他の半導体装置やコンデンサ等の電子部品と共に、樹脂層内に埋め込まれ、その上に、半導体装置100等に接続された再配線を有する再配線層が設けられたパッケージとされてもよい。このようなパッケージは、WLP(Wafer Level Package)、或いは半導体装置100の面積超の領域に再配線を引き出すFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)として知られている。ここでは、このようなパッケージとすることを、「モジュール化」とも称し、このようなパッケージとされたもの、即ちモジュール化されたものを、「半導体モジュール」又は「モジュール」とも称する。
例えば、半導体装置100の形成後、形成された半導体装置100を上記のようにモジュール化する前には、半導体装置100が適正に動作するか否かの検査が行われる。形成された半導体装置100のうち、適合品を検査によって選別することで、モジュール化する後続のプロセスへの不適合品の混入及びそれによる歩留まりの低下が抑えられる。
モジュール化前の半導体装置100の検査では、例えば、図1に示すように、回路素子120の入力側に接続された伝送線路130の端子131に、交流信号及び直流電圧が入力される(図1に点線太矢印で図示)。例えば、伝送線路130の端子131には、交流信号として、回路素子120の動作に用いる高周波(無線周波数(Radio Frequency;RF))信号が入力され、直流電圧として、回路素子120の動作に用いるDC(Direct Current)バイアスが入力される。直流電圧と共に端子131から入力された交流信号は、伝送線路130を通じて回路素子120に伝送され、それに応じた動作によって得られる回路素子120の出力信号は、その出力側に接続された伝送線路150を通じて端子151から出力される(図1に点線太矢印で図示)。検査において、回路素子120への所定の入力信号に対し、回路素子120から所定の出力信号が得られる半導体装置100が、適合品と判定される。
このように、半導体装置100の検査時には、回路素子120に繋がる入力側の伝送線路130の端子131と、出力側の伝送線路150の端子151とが用いられる。そして、入力側の伝送線路130の端子131に、入力信号である交流信号及び直流電圧が一括で入力され、出力側の伝送線路150の端子151から、回路素子120の出力信号が出力される。これにより、検査で使用する端子数が少なく抑えられ、検査で使用するプローブの構造やその接触工程の簡素化、検査の効率化が図られる。
検査で適合品と判定された半導体装置100は、例えば、前述のような、WLPやFOWLPといったモジュール化の後続のプロセス(WLPプロセス)に送られる。モジュール化によって得られるWLP等の半導体モジュールには、その再配線層内に、半導体装置100の伝送線路130の端子131及び容量140の端子141、並びに伝送線路150の端子151及び容量160の端子161に繋がる再配線(図示せず)が設けられる。
モジュール化後の半導体装置100、即ちWLP等を動作させる際には、再配線層内に設けられる再配線が用いられ、その外部から、伝送線路130の端子131に直流電圧が入力され(図1に実線太矢印で図示)、容量140の端子141に交流信号が入力される(図1に実線太矢印で図示)。端子141に入力された交流信号は、容量140を介し、伝送線路130を通じて、回路素子120に伝送され、それに応じた動作によって得られる回路素子120の出力信号は、伝送線路150を通じ、容量160を介して、端子161から出力される(図1に実線太矢印で図示)。
このように、モジュール化された半導体装置100では、入力信号(交流信号)が容量140を介して回路素子120に入力され、出力信号(交流信号)が回路素子120から容量160を介して出力される。これにより、回路素子120の内外に伝達されてノイズとなり得る直流成分がカットされる。
モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置100において、伝送線路130及び伝送線路150は、回路素子120に直流的に接続された伝送線路と言え、それらの端子131及び端子151は、回路素子120に直流的に接続された端子と言える。また、モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置100において、容量140の端子141及び容量160の端子161は、回路素子120に交流的に接続された端子と言える。
半導体装置100では、検査時の交流信号及び直流電圧の入力とそれによって得られる出力の取り出し、検査の効率化等のために、回路素子120に直流的に接続された伝送線路130の端子131及び伝送線路150の端子151が設けられる。その一方、半導体装置100では、モジュール化後の動作時にはノイズとなり得る直流成分の伝送を抑えて交流信号の入出力を行うために、回路素子120に交流的に接続された容量140の端子141及び容量160の端子161も設けられる。
このように半導体装置100には、複数種の端子が設けられる場合がある。但し、それらを設けることで、一部の端子と、グランド(GND)電位とされる導体(GND導体)との間に生じる寄生成分のために、伝送線路130,150のインピーダンスが設定値から変化することが起こり得る。例えば、図1に示す半導体装置100では、容量140の端子141が伝送線路130の側方に引き出され、容量160の端子161が伝送線路150の側方に引き出されたレイアウトとされる。しかし、このレイアウトでは、端子141,161と、GND導体との間に生じる寄生成分によって伝送線路130,150のインピーダンスが設定値から変化し、回路素子120及びそれを備える半導体装置100について適正な入出力を行えないことが起こり得る。この点について、図2を参照して説明する。
図2は半導体装置で起こり得る状況の一例について説明する図である。図2には、半導体装置の一例の要部斜視図を模式的に示している。図2には、半導体装置の検査時の入出力の一例を併せて模式的に示している。
上記のように、半導体装置100の検査時には、例えば、回路素子120に直流的に接続された伝送線路130の端子131に、入力信号である交流信号及び直流電圧が入力される(図2に点線太矢印で図示)。回路素子120の出力信号は、回路素子120に直流的に接続された伝送線路150の端子151から出力される(図2に点線太矢印で図示)。
ここで、半導体装置100には、基板110の、回路素子120等が設けられる表面110a側とは反対の面(裏面)110b側に、GND電位とされるGNDプレーン層やGND配線といったGND導体200が設けられる場合がある。この場合、回路素子120に至る入力側の伝送線路130及びその端子131と、GND導体200との間には、それらのサイズや介在される基板110の厚み等に応じた容量成分が生じる。端子131から回路素子120に至る伝送線路130については、GND導体200との間に生じる容量成分を加味して、そのインピーダンスが所定の値(設定値)に調整される。例えば、回路素子120側とのインピーダンス整合のため、50Ωを設定値として調整される。しかし、図2に示すように、伝送線路130に、交流信号の入力や直流成分のカットのために容量140を設け、その下部電極となる導体層(上部電極となる伝送線路130と対向する部位)から伝送線路130の側方に引き出された端子141(上部電極となる伝送線路130と対向する位置からはみ出た部位)を設けると、次のようなことが起こる。
即ち、端子131から回路素子120に至る伝送線路130とGND導体200との間には、上記のような容量成分が生じる。容量140の部分では、上部電極の伝送線路130の電気信号が比較的薄い誘電体142を介して容量的、交流的に下部電極の導体層に伝わるため、下部電極の導体層とGND導体200との間には、伝送線路130とGND導体200との間におけるのと同等の容量成分が生じる。そのため、端子131から回路素子120に至る伝送線路130では、容量140の下部電極の導体層が設けられても、伝送線路130及び容量140の下部電極の導体層とGND導体200との間の容量成分の変化は抑えられ、そのインピーダンスの設定値からの変化は抑えられる。ところが、容量140の、上部電極の伝送線路130の電気信号が容量的、交流的に伝わる下部電極の導体層に繋がり、伝送線路130の側方に引き出された端子141と、GND導体200との間には、寄生成分、例えば、図2に示すような寄生容量成分210が生じる。端子131から回路素子120に至る伝送線路130では、伝送線路130及び下部電極の導体層とGND導体200との間の容量成分に、下部電極の導体層から引き出された端子141とGND導体200との間の寄生容量成分210が加わる。このような引き出された端子141とGND導体200との間の寄生容量成分210が加わると、端子131から回路素子120に至る伝送線路130のインピーダンスが設定値から変化してしまう。インピーダンスが設定値から変化すると、端子131に入力された入力信号が、伝送線路130を伝送される間に変化し、回路素子120に適正な値の入力信号が伝送されないことが起こり得る。例えば、伝送線路130からそれと容量的に接続されたGND導体200へと流れる交流成分の割合が変化したり、伝送信号の位相が変化したりすることで、端子131に入力された入力信号が、回路素子120に適正な値で伝送されないことが起こり得る。
同様に、半導体装置100では、回路素子120から端子151に至る伝送線路150について、伝送線路150及び容量160の下部電極の導体層とGND導体200との間に、上記のような容量成分が生じる。伝送線路150に設けられる容量160の、下部電極となる導体層から伝送線路150の側方に引き出された端子161と、GND導体200との間には、寄生成分、例えば、図2に示すような寄生容量成分210が生じる。入力側の伝送線路130について述べたのと同様、出力側の伝送線路150についても、このような寄生成分が、伝送線路150及び容量160の下部電極の導体層とGND導体200との間に生じる容量成分に加わる。それにより、回路素子120から端子151に至る伝送線路150のインピーダンスが設定値から変化し、回路素子120から出力された出力信号が、伝送線路150を伝送される間に変化し、端子151から適正な値の出力信号が取り出せないことが起こり得る。
このように、半導体装置100の検査では、回路素子120に直流的に接続された伝送線路130及び端子131並びに伝送線路150及び端子151が用いられる。しかし、その検査時には、後の動作時に用いられる、回路素子120に交流的に接続された端子141及び端子161に起因した寄生成分の影響によって、適正な信号伝送、即ち入出力が行われないことが起こり得る。検査時に適正な入出力が行えないと、回路素子120の適正な特性評価を行うことが難しくなる。
尚、モジュール化された半導体装置100の動作時にも、これと同様のことが起こり得る。即ち、モジュール化された半導体装置100に対しては、上記のように、容量140の端子141に交流信号が入力される。しかし、容量140の端子141に起因した寄生成分の影響によって、容量140の部分(下部電極となる導体層、誘電体142及び上部電極)から回路素子120に至る伝送線路130のインピーダンスが設定値から変化すると、回路素子120に適正な入力信号が伝送されないことが起こり得る。更に、容量160の端子161に起因した寄生成分の影響によって、回路素子120から容量160の部分(下部電極となる導体層、誘電体162及び上部電極)に至る伝送線路150のインピーダンスが設定値から変化すると、端子161から適正な出力信号が取り出せないことが起こり得る。このように、半導体装置100では、検査後の動作時においても、回路素子120に交流的に接続された端子141及び端子161に起因した寄生成分の影響によって、適正な入出力が行われないことが起こり得る。動作時に適正な入出力が行えないと、回路素子120を適正に動作させることが難しくなる。
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として例示するような構成を採用し、寄生成分の影響を抑え、適正な入出力を行うことのできる半導体装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図3及び図4は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図3には、半導体装置の一例の要部斜視図を模式的に示している。図4には、図3のIV-IV断面図を模式的に示している。
図3及び図4に示す半導体装置1は、基板10と、基板10上に設けられた回路素子20とを備える。基板10は、例えば、その全部又は一部に、Si等の各種半導体材料、或いはGaN、SiC、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)等の各種化合物半導体材料、或いはサファイア等の絶縁材料が用いられた基板である。回路素子20は、例えば、トランジスタ等の半導体素子、或いは増幅等の所定の機能を持たせた集積回路である。回路素子20は、例えば、基板10の一方の面(表面)10aに形成される。
尚、回路素子20の構成例については後述する(図5及び図6)。
半導体装置1は更に、図3及び図4に示すように、基板10上に設けられ回路素子20に接続された伝送線路30を備える。例えば、伝送線路30の一端は、回路素子20の入力端子(トランジスタのゲート端子等)に接続される。一端が回路素子20に接続された伝送線路30の他端には、端子31が設けられる。回路素子20と端子31との間を繋ぐ伝送線路30の途中には、容量40(キャパシタ)が設けられる。容量40は、伝送線路30の一部の上に設けられた誘電体42と、誘電体42の上に設けられた端子41とを含む。伝送線路30及びその端子31、並びに容量40の端子41には、各種導体材料、例えば、Cu、Al等の金属材料が用いられる。容量40の誘電体42には、各種誘電体材料、例えば、SiO、SiN、SiC等の誘電体材料が用いられる。このほか、容量40の誘電体42には、チタン酸バリウム(BaTiO3;BTO)、BTOにストロンチウム(Sr)を添加したチタン酸バリウムストロンチウム(BaxSr1-xTiO3;BSTO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3;STO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3;PZT)、ランタン(La)を添加したPZT(PLZT)等の高誘電体材料が用いられてもよい。
容量40は、例えば、伝送線路30の一部が下部電極とされ、端子41が上部電極とされ、それらの間に誘電体42が挟まれた、MIM容量とされる。容量40の上部電極となる端子41は、基板10の表面10a側から見て、下部電極となる伝送線路30からはみ出さない幅で設けられる。
半導体装置1は更に、図3及び図4に示すように、基板10上に設けられ回路素子20に接続された伝送線路50を備える。例えば、伝送線路50の一端は、回路素子20の出力端子(トランジスタのドレイン端子等)に接続される。一端が回路素子20に接続された伝送線路50の他端には、端子51が設けられる。回路素子20と端子51との間を繋ぐ伝送線路50の途中には、容量60(キャパシタ)が設けられる。容量60は、伝送線路50の一部の上に設けられた誘電体62と、誘電体62の上に設けられた端子61とを含む。伝送線路50及びその端子51、並びに容量60の端子61には、各種導体材料、例えば、Cu、Al等の金属材料が用いられる。容量60の誘電体62には、各種誘電体材料、例えば、SiO、SiN、SiC等の誘電体材料が用いられる。このほか、容量60の誘電体62には、BTO、BSTO、STO、PZT、PLZT等の高誘電体材料が用いられてもよい。
容量60は、例えば、伝送線路50の一部が下部電極とされ、端子61が上部電極とされ、それらの間に誘電体62が挟まれた、MIM容量とされる。容量60の上部電極となる端子61は、基板10の表面10a側から見て、下部電極となる伝送線路50からはみ出さない幅で設けられる。
半導体装置1では、回路素子20が形成された基板10の表面10a上に、回路素子20に接続された配線やビア等の導体部とそれを覆う絶縁部とを有する配線層が形成される。上記の伝送線路30及びその端子31、容量40の端子41、伝送線路50及びその端子51、容量60の端子61は、配線層の導体部の一例である。上記の容量40の誘電体42、容量60の誘電体62は、配線層の絶縁部の一例である。配線層においては、例えば、伝送線路30及び端子31並びに伝送線路50及び端子51の形成される層上に、誘電体42及び誘電体62の形成される層を介して、端子41及び端子61の形成される層が設けられる。このほか、端子31及び端子51は、端子41及び端子61の形成される層と同じ層内に設けられてもよく、その場合は、その層内に形成される端子31及び端子51と、その層よりも下層に形成される伝送線路30及び伝送線路50との間が、それぞれビアで接続される。
尚、伝送線路30及び容量40並びに伝送線路50及び容量60の構成例については後述する(図7~図11)。
ここで、上記半導体装置1に設けられる回路素子20の構成例について、図5及び図6を参照して説明する。
図5及び図6は第1の実施の形態に係る半導体装置に設けられる回路素子の構成例を示す図である。図5には、トランジスタの一例の要部断面図を模式的に示している。図6には、集積回路の一例の要部平面図を模式的に示している。
半導体装置1には、回路素子20として、例えば、図5に示すようなトランジスタ20A、図6に示すような集積回路20B等が設けられる。
図5には、トランジスタ20Aの一例として、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)を図示している。トランジスタ20Aは、基板21、バッファ層22、チャネル層23、バリア層24、ゲート電極25(G)、ソース電極26(S)及びドレイン電極27(D)を有する。
基板21には、SiC、GaN、サファイア等の基板が用いられる。バッファ層22は、基板21上に設けられる。バッファ層22には、アルミニウムナイトライド(AlN)やアルミニウムガリウムナイトライド(Al1-xGaxN)等が用いられる。チャネル層23は、バッファ層22上に設けられる。チャネル層23には、窒化物半導体材料、例えば、GaNが用いられる。チャネル層23は、電子走行層とも称される。バリア層24は、チャネル層23上に設けられる。バリア層24には、チャネル層23とは異なる窒化物半導体材料、例えば、AlGaNが用いられる。バリア層24は、電子供給層とも称される。トランジスタ20Aでは、チャネル層23内の、バリア層24との接合界面近傍に、二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)28が生成される。チャネル層23及びバリア層24には、このような2DEG28が生成されるような組み合わせの窒化物半導体材料が用いられる。
例えば、上記基板10として、或いは上記基板10の一部として、これらの基板21、バッファ層22、チャネル層23及びバリア層24の積層構造が用いられる。
ゲート電極25は、バリア層24上に設けられる。ゲート電極25には、金属材料、例えば、ニッケル(Ni)及び金(Au)が用いられる。ゲート電極25とバリア層24との間には、GaN等のキャップ層や酸化物等の絶縁層が介在されてもよい。ゲート電極25は、ショットキー電極として機能するように、バリア層24上に設けられる。ソース電極26及びドレイン電極27は、バリア層24を貫通し、チャネル層23上に設けられる。ソース電極26及びドレイン電極27には、金属材料、例えば、タンタル(Ta)及びAlが用いられる。ソース電極26及びドレイン電極27は、オーミック電極として機能するように、チャネル層23上に設けられる。尚、ソース電極26及びドレイン電極27は、オーミック電極として機能すれば、バリア層24上に設けられてもよい。
上記のような構成を有するトランジスタ20Aでは、ゲート電極25に高周波信号が入力される(図5に点線太矢印で図示)。そして、GND電位とされるソース電極26と、所定の電位とされるドレイン電極27との間に、ゲート電極25への入力に伴う2DEG28の電子キャリアの移動によって流れる電流が、ドレイン電極27から出力として取り出される(図5に点線太矢印で図示)。トランジスタ20Aは、例えば、増幅に利用される。
また、図6には、集積回路20Bの一例として、上記図5に示したトランジスタ20Aが複数(この例では4つ)集積されたものを図示している。
集積回路20Bは、櫛歯状に分岐された4本のゲートフィンガー25aを持つゲート電極25(G)を有し、各ゲートフィンガー25aを挟むようにソース電極26(S)及びドレイン電極27(D)が交互に配置された構成を有する。2箇所に配置されたドレイン電極27は、1本に集約され、3箇所に配置されたソース電極26は、間に配置されるゲートフィンガー25a及びドレイン電極27を跨ぐように上層でブリッジされる。このようなゲート電極25、ソース電極26及びドレイン電極27が、上記図5に示したような基板21、バッファ層22、チャネル層23及びバリア層24の積層構造(上記基板10又はその一部)の上に、設けられる。図6に示すゲート電極25における1本のゲートフィンガー25aと、それを挟んで配置されるソース電極26及びドレイン電極27の対が、上記図5に示したトランジスタ20Aのゲート電極25、ソース電極26及びドレイン電極27に相当する。集積回路20Bでは、各ゲートフィンガー25aとそれを挟むソース電極26及びドレイン電極27の対の部位で、上記トランジスタ20Aの機能が実現される。集積回路20Bは、例えば、増幅の機能を有する増幅回路に利用される。
例えば、上記のような構成を有する集積回路20Bのゲート電極25に高周波信号が入力される(図6に点線太矢印で図示)。そして、それに伴い、ゲート電極25の各ゲートフィンガー25a両側の、GND電位とされるソース電極26と、所定の電位とされるドレイン電極27との間に流れる電流が、ドレイン電極27から出力として取り出される(図6に点線太矢印で図示)。
ここでは、回路素子20に用いるトランジスタ及び集積回路として、HEMTの一例であるトランジスタ20A(図5)及びそれを複数集積した集積回路20B(図6)を例示したが、回路素子20に用いるトランジスタ及び集積回路は、このようなものに限定されない。回路素子20には、上記のようなトランジスタ20Aに限らず、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等、各種トランジスタが用いられてもよく、各種トランジスタが集積された集積回路が用いられてもよい。また、回路素子20に用いる集積回路には、トランジスタに限らず、抵抗、容量、コイル等の各種電子素子が集積されてもよい。
次に、上記半導体装置1に設けられる伝送線路30及び容量40並びに伝送線路50及び容量60の構成例について、それらの形成方法と共に、図7~図11を参照して説明する。
図7~図10は第1の実施の形態に係る半導体装置に設けられる伝送線路及び容量の形成方法の一例を示す図である。図7(A)には、伝送線路形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、図7(B)には、図7(A)のVII-VII断面図を模式的に示している。図8(A)には、絶縁部形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、図8(B)には、図8(A)のVIII-VIII断面図を模式的に示している。図9(A)には、誘電体形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、図9(B)には、図9(A)のIX-IX断面図を模式的に示している。図10(A)には、端子形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、図10(B)には、図10(A)のX-X断面図を模式的に示している。
ここでは、回路素子20の入力側に設けられる伝送線路30及び容量40を例にして説明する。
図7(A)及び図7(B)に示すように、回路素子20が形成された基板10上に、所定の幅W1で、伝送線路30が形成される。伝送線路30は、フォトリソグラフィ技術、及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、メッキ法等の堆積技術を用いて、Cu等の導体材料を基板10上に形成することで、得られる。伝送線路30は、その一端が回路素子20の入力端子、例えば、上記のようなトランジスタ20Aや集積回路20Bのゲート電極25(図5及び図6)に接続されるように、基板10上に形成される。
次いで、図8(A)及び図8(B)に示すように、伝送線路30が形成された基板10上に、絶縁部70が形成される。絶縁部70は、CVD法、スパッタ法等の堆積技術を用いて、SiO等の絶縁材料を基板10上に形成することで、得られる。絶縁部70には、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、伝送線路30の端子31及び容量40が形成される領域にそれぞれ、伝送線路30に通じる開口71及び開口72が形成される。開口71及び開口72のうち、少なくとも容量40が形成される領域に設けられる開口72は、平面視で伝送線路30からはみ出さない幅(<幅W1)とされる。
次いで、図9(A)及び図9(B)に示すように、開口71及び開口72が形成された絶縁部70上に、誘電体42が形成される。誘電体42は、CVD法、スパッタ法等の堆積技術を用いて、SiOやBTO等の誘電体材料を絶縁部70上に形成することで、得られる。誘電体42には、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、伝送線路30の端子31が形成される領域に、伝送線路30に通じる開口42aが形成される。誘電体42は、絶縁部70の上面及び開口72の内面に形成される。
次いで、図10(A)及び図10(B)に示すように、誘電体42が形成された絶縁部70上に、伝送線路30の端子31及び容量40の端子41が形成される。端子31及び端子41は、フォトリソグラフィ技術、及びCVD法、スパッタ法、メッキ法等の堆積技術を用いて、Cu等の導体材料を基板10上に形成することで、得られる。端子31は、絶縁部70の開口71内及び絶縁部70上に設けられ、伝送線路30と接触する。端子31は、絶縁部70上に設けられる部位と下層の伝送線路30との間を繋ぐビア31aを含む。端子41は、絶縁部70の開口72内に設けられた誘電体42上に設けられ、伝送線路30とは非接触となる。端子41は、平面視で、その幅W2(最大部分の幅)が、伝送線路30からはみ出さない幅(<W1)とされる。
例えば、このような方法により、基板10上に、図10(A)及び図10(B)に示すような伝送線路30及び容量40が形成される。伝送線路30は、一端が回路素子20に接続され、他端に端子31が設けられた構成を有する。容量40は、伝送線路30の一部を下部電極とし、その上に誘電体42を介して設けられた端子41を上部電極とし、その端子41が、平面視で伝送線路30からはみ出さない構成を有する。半導体装置1には、例えば、この図10(A)及び図10(B)に示すような構成を有する伝送線路30及び容量40が設けられる。
ここでは、回路素子20の入力側に設けられる伝送線路30及び容量40を例にして説明したが、回路素子20の出力側に設けられる伝送線路50及び容量60も、図7~図10に示したような方法によって形成することができる。例えば、伝送線路30と同じ工程で伝送線路50が形成され、絶縁部70と同じ工程で端子51及び容量60を形成する領域に開口を有する絶縁部が形成され、誘電体42と同じ工程で誘電体62が形成され、端子31,41と同じ工程で端子51,61が形成される。
また、図11は第1の実施の形態に係る半導体装置に設けられる伝送線路及び容量の別の構成例を示す図である。図11(A)及び図11(B)にはそれぞれ、半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
ここでは、回路素子20の入力側に設けられる伝送線路30及び容量40を例にして説明する。
上記の例では、絶縁部70の開口71及び誘電体42の開口42aから露出する伝送線路30上に端子31を形成する場合について述べた(図9及び図10)。このほか、このような端子31の形成を省略し、図11(A)に示すように、伝送線路30の、絶縁部70の開口71及び誘電体42の開口42aから露出する部位を、端子31として用いることもできる。半導体装置1には、この図11(A)に示すような構成を有する伝送線路30及び容量40が設けられてもよい。
また、上記の例では、単層構造の伝送線路30を形成する場合について述べた(図7~図10)。このほか、図11(B)に示すように、下層の導体層30a上に上層の導体層30bを設け、2層構造とした伝送線路30を設けることもできる。このような2層構造の伝送線路30を形成する場合は、上記図7(A)及び図7(B)の例に従い、下層の導体層30aを形成し、上記図8(A)及び図8(B)の例に従い、開口71及び開口72を有する絶縁部70を形成する。この時、開口71を、容量40のための開口72を形成する領域を除いて、下層の導体層30aと重複するように設ける。その後、上記図9(A)及び図9(B)の例に従い、容量40を形成する領域に誘電体42を形成し、上記図10(A)及び図10(B)の例に従い、Cu等の導体材料を形成し、開口72に容量40の端子41を形成すると共に、開口71に上層の導体層30bを形成する。これにより、図11(B)に示すような、下層の導体層30aと上層の導体層30bとの2層構造を有する伝送線路30が形成される。半導体装置1には、この図11(B)に示すような構成を有する伝送線路30及び容量40が設けられてもよい。
ここでは、回路素子20の入力側に設けられる伝送線路30及び容量40を例にして説明したが、回路素子20の出力側に設けられる伝送線路50及び容量60も、図11(A)又は図11(B)に示したような構成とすることができる。
上記のような構成を含み得る半導体装置1について、更に説明する。
図12は第1の実施の形態に係る半導体装置の検査について説明する図である。図12には、半導体装置の一例の要部斜視図を模式的に示している。図12には、半導体装置の検査時の入出力の一例を併せて模式的に示している。
半導体装置1は、例えば、その形成後に、それが適正に動作するか否かの検査が行われる場合がある。形成された半導体装置1のうち、適合品を検査によって選別することで、半導体装置1を用いたパッケージやデバイスを形成する際の後続のプロセスへの不適合品の混入及びそれによる歩留まりの低下、或いは不適合品の出荷や流通が抑えられる。
半導体装置1の検査では、例えば、図12に示すように、回路素子20の入力側に接続された伝送線路30の端子31に、交流信号及び直流電圧が入力される(図12に実線矢印で図示)。例えば、伝送線路30の端子31には、交流信号として、回路素子20の動作に用いる高周波信号が入力され、直流電圧として、回路素子20の動作に用いるDCバイアスが入力される。直流電圧と共に端子31から入力された交流信号は、伝送線路30を通じて回路素子20に伝送される(図12に実線矢印で図示)。回路素子20は、伝送された入力信号に応じた所定の動作を実行する。動作によって得られる回路素子20の出力信号は、その出力側に接続された伝送線路50を伝送され(図12に実線矢印で図示)、その端子51から出力される(図12に実線矢印で図示)。検査において、回路素子20への所定の入力信号に対し、回路素子20から所定の出力信号が得られる半導体装置1が、適合品と判定される。
このように半導体装置1の検査時には、回路素子20に繋がる入力側の伝送線路30の端子31と、出力側の伝送線路50の端子51とが用いられる。そして、入力側の伝送線路30の端子31に、交流信号及び直流電圧が一括で入力され、出力側の伝送線路50の端子51から、回路素子20の出力信号が出力される。これにより、検査で使用する端子数が少なく抑えられ、検査で使用するプローブの構造やその接触工程の簡素化、検査の効率化が図られる。
上記のような検査で適合品と判定された半導体装置1が、出荷され、或いは後続のプロセスに送られてパッケージやデバイスとされる。一例として、検査で適合品と判定された半導体装置1が、後続のプロセスに送られてパッケージとされる場合について、以下に説明する。
例えば、半導体装置1は、1つ又は複数、或いは他の半導体装置やコンデンサ等の電子部品と共に、樹脂層内に埋め込まれ、その上に、半導体装置1等に接続された再配線を有する再配線層が設けられたパッケージとされる。このようなパッケージは、WLP、或いは半導体装置1の面積超の領域に再配線を引き出すFOWLPとして知られている。ここでは、このようなパッケージとすることを、「モジュール化」とも称し、このようなパッケージとされたもの、即ちモジュール化されたものを、「半導体モジュール」又は「モジュール」とも称する。
図13及び図14は第1の実施の形態に係る半導体モジュールの一例について説明する図である。図13には、半導体モジュールの一例の要部斜視図を模式的に示している。図14には、図13のXIV-XIV断面図を模式的に示している。
図13及び図14に示す半導体モジュール2は、上記図3及び図4に示したような構成を含む半導体装置1と、半導体装置1が埋め込まれた樹脂層80と、半導体装置1及び樹脂層80の上に設けられた再配線層90とを備える。図13及び図14には、樹脂層80内に1つの半導体装置1が埋め込まれた半導体モジュール2を図示するが、樹脂層80内には、複数の半導体装置1が埋め込まれてもよい。また、樹脂層80内には、1つ又は複数の半導体装置1と共に、他の半導体装置やコンデンサ等の電子部品が埋め込まれてもよい。ここでは、樹脂層80内に1つの半導体装置1が埋め込まれた半導体モジュール2を例にして説明する。
樹脂層80には、各種樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられる。樹脂層80の樹脂材料には、SiO等の絶縁性のフィラーが含有されてもよい。
再配線層90は、樹脂層80内に埋め込まれた半導体装置1に接続される配線やビア等の導体部(再配線)とそれを覆う絶縁部95とを有する。再配線層90は、半導体装置1に接続される再配線として、伝送線路30の端子31に接続されるビア91a及び配線91b、並びに容量40の端子41に接続されるビア92a及び配線92bを有する。再配線層90は更に、半導体装置1に接続される再配線として、伝送線路50の端子51に接続されるビア93a及び配線93b、並びに容量60の端子61に接続されるビア94a及び配線94bを有する。ビア91a,92a,93a,94a及び配線91b,92b,93b,94bには、各種導体材料、例えば、Cu、Al等の金属材料が用いられる。これらの再配線を覆う絶縁部95には、各種樹脂材料、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等の樹脂材料が用いられる。
ここで、ビア91aは、伝送線路30の端子31の上面から上方に向かって延びるように設けられ、配線91bは、ビア91aの上端に、少なくとも一部が外部に露出するように設けられる。ビア92aは、容量40の端子41の上面から上方に向かって延びるように設けられ、配線92bは、ビア92aの上端に、少なくとも一部が外部に露出するように設けられる。ビア93aは、伝送線路50の端子51の上面から上方に向かって延びるように設けられ、配線93bは、ビア93aの上端に、少なくとも一部が外部に露出するように設けられる。ビア94aは、容量60の端子61の上面から上方に向かって延びるように設けられ、配線94bは、ビア94aの上端に、少なくとも一部が外部に露出するように設けられる。
尚、ビア91a,92a,93a,94aはそれぞれ、端子31,41,51,61及び配線91b,92b,93b,94bの、対応するもの同士を接続できれば、上方に向かって複数の導体層が積層された多層構造であってもよい。また、配線91b,92b,93b,94bの形状は、図13及び図14に示すようなものには限定されず、例えば、配線91b,93bを、半導体装置1の面積超の領域まで引き出してもよい(FOWLP)。
図15は第1の実施の形態に係る半導体モジュールの形成方法の一例について説明する図である。図15(A)~図15(E)にはそれぞれ、半導体モジュールの形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
例えば、検査で適合品と判定された半導体装置1が、WLPプロセスでモジュール化され、半導体モジュール2が形成される。
WLPプロセスでは、図15(A)に示すように、1つ又は複数の半導体装置1、この例では断面視で2つの半導体装置1が、所定の支持体300上に、回路素子20等が設けられた表面10a側を支持体300側に向けて、配置される。
次いで、図15(B)に示すように、支持体300上の半導体装置1が、モールド法を用いて、樹脂層80内に埋め込まれる。半導体装置1は、モールド法により全体が樹脂層80で封止された後、回路素子20等が設けられた表面10aとは反対側の面(裏面)10bが露出するように樹脂層80がバックグラインドされることで、図15(B)に示すように裏面10bが露出した状態で樹脂層80内に埋め込まれる。
次いで、図15(C)に示すように、樹脂層80及びそれに埋め込まれた半導体装置1から支持体300が分離され、樹脂層80及び半導体装置1の、支持体300が分離された面上に、再配線層90の絶縁部95が形成される。例えば、樹脂層80及び半導体装置1の上に、塗布法を用いて、感光性の樹脂材料が形成され、その露光及び現像によるパターニングが行われ、半導体装置1の端子31,41,51,61にそれぞれ通じる開口95a群が形成される。これにより、図15(C)に示すような、所定の箇所に開口95a群が設けられた絶縁部95が形成される。
次いで、図15(D)に示すように、絶縁部95の開口95a群の箇所にそれぞれ、再配線層90の再配線96、即ち、上記のビア91a及び配線91b、ビア92a及び配線92b、ビア93a及び配線93b、ビア94a及び配線94bが形成される。例えば、フォトリソグラフィ技術、及びCVD法、スパッタ法、メッキ法等の堆積技術を用いて、Cu等の導体材料が形成され、再配線96が形成される。
その後、例えば、図15(E)に点線で示したような位置2a(この例では断面視で3箇所)でダイシングが行われる。これにより、樹脂層80内に断面視で1つの半導体装置1が埋め込まれ、それに接続される再配線層90が設けられた、個々の半導体モジュール2が形成される。
例えば、このような方法により、上記図13及び図14に示したような構成を有する半導体モジュール2が得られる。
尚、例えば、図15(E)に鎖線で示したような位置2b(この例では断面視で2箇所)でダイシングを行えば、樹脂層80内に断面視で2つの半導体装置1が埋め込まれ、それらに接続される再配線層90が設けられた、半導体モジュール2を得ることができる。
図16は第1の実施の形態に係る半導体モジュールの動作について説明する図である。図16には、半導体モジュールの一例の要部斜視図を模式的に示している。図16には、半導体モジュールの動作時の入出力の一例を併せて模式的に示している。
得られた半導体モジュール2の動作時には、例えば、図16に示すように、伝送線路30の端子31に、再配線層90の配線91bからビア91aを通じて、直流電圧が入力される(図16に実線矢印で図示)。更に、容量40の端子41に、再配線層90の配線92bからビア92aを通じて、交流信号が入力される(図16に実線矢印で図示)。端子41に入力された交流信号は、容量40を介して、端子31に直流電圧が入力された伝送線路30を伝送され、回路素子20に入力される(図16に実線矢印で図示)。回路素子20は、伝送された入力信号に応じた所定の動作を実行する。動作によって得られる回路素子20の出力信号は、伝送線路50を伝送され(図16に実線矢印で図示)、容量60を介して、その端子61、更に再配線層90のビア94aを通じて、配線94bから出力される(図16に実線矢印で図示)。
このように半導体モジュール2では、入力信号(交流信号)が容量40を介して回路素子20に入力され、出力信号(交流信号)が回路素子20から容量60を介して出力される。これにより、回路素子20の内外に伝達されてノイズとなり得る直流成分がカットされ、回路素子20及びこれを備える半導体装置1の動作、半導体装置1を備える半導体モジュール2の適正な動作が可能になる。
尚、半導体装置1及びこれをモジュール化して得られる半導体モジュール2において、伝送線路30及び伝送線路50は、回路素子20に直流的に接続された伝送線路と言え、それらの端子31及び端子51は、回路素子20に直流的に接続された端子と言える。また、半導体装置1及びこれをモジュール化して得られる半導体モジュール2において、容量40の端子41及び容量60の端子61は、回路素子20に交流的に接続された端子と言える。
図17は第1の実施の形態に係る半導体装置及び半導体モジュールの入出力について説明する図である。図17には、半導体モジュールの一例の要部斜視図を模式的に示している。図17では便宜上、半導体装置が埋め込まれる樹脂層及びその上に設けられる再配線層の絶縁部の図示を省略している。図17には、半導体装置の検査時及び半導体モジュールの動作時の入出力の一例を併せて模式的に図示している。
半導体装置1では、検査時の交流信号及び直流電圧の入力とそれによって得られる出力の取り出し、検査の効率化等のために、回路素子20に直流的に接続された伝送線路30の端子31及び伝送線路50の端子51が設けられる。その一方、半導体装置1では、モジュール化後の動作時にはノイズとなり得る直流成分の伝送を抑えて交流信号の入出力を行うために、回路素子20に交流的に接続された容量40の端子41及び容量60の端子61も設けられる。
上記のように、モジュール化される前の半導体装置1の検査時には、交流信号が、直流電圧と共に、回路素子20に直流的に接続された伝送線路30の端子31に入力される(図17に点線太矢印で図示)。そして、回路素子20の出力が、回路素子20に直流的に接続された伝送線路50の端子51から出力される(図17に点線太矢印で図示)。これにより、半導体装置1の検査で使用する端子数が少なく抑えられ、プローブの構造やその接触工程が簡素化され、検査の効率化が図られる。
検査後の半導体装置1をモジュール化して得られる半導体モジュール2の動作時には、直流電圧が、配線91bからビア91aを通じて、半導体装置1の、回路素子20に直流的に接続された伝送線路30の端子31に入力される(図17に実線太矢印で図示)。更に、交流信号が、配線92bからビア92aを通じて、回路素子20に交流的に接続された容量40の端子41に入力される(図17に実線太矢印で図示)。そして、回路素子20の出力が、伝送線路50上の、回路素子20に交流的に接続された容量60を介して、その端子61からビア94aを通じて配線94bに伝送され、配線94bから出力される(図17に実線太矢印で図示)。これにより、回路素子20の内外に伝達されてノイズとなり得る直流成分がカットされて、半導体モジュール2(その半導体装置1)が動作される。
このように半導体装置1には、回路素子20の入力側に、それに直流的に接続された端子31と交流的に接続された端子41の2種類の端子が設けられる。回路素子20の出力側には、それに直流的に接続された端子51と交流的に接続された端子61の2種類の端子が設けられる。
ここで、モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置1には、伝送線路30の一部を下部電極とし、その上に誘電体42を介して設けられる端子41を上部電極とする容量40が設けられる。そして、その上部電極の端子41が、下部電極の伝送線路30からはみ出さない幅とされる。同様に、モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置1には、伝送線路50の一部を下部電極とし、その上に誘電体62を介して設けられる端子61を上部電極とする容量60が設けられる。そして、その上部電極の端子61が、下部電極の伝送線路50からはみ出さない幅とされる。
モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置1では、図17に示すように、基板10の裏面10b側に、GND導体200が設けられる場合がある。例えば、半導体装置1の基板10の裏面10bには、GNDプレーン層やGND配線といった導体200が形成される場合がある。
モジュール化前及びモジュール化後の半導体装置1では、このように基板10の裏面10b側にGND導体200が設けられる場合でも、上記の容量40及び容量60により、GND導体200に起因した寄生成分、それによるインピーダンスの変化が抑えられる。この点について、次の図18及び図19を参照して説明する。
図18及び図19は寄生成分の抑制効果について説明する図である。
図18(A)には、比較のため、上記図2に示した半導体装置100のXVIIIa-XVIIIa断面図を模式的に示している。図18(B)には、上記図3に示した半導体装置1のXVIIIb-XVIIIb断面図を模式的に示している。尚、図18(B)には、図18(A)と同様に、基板裏面のGND導体を追加して図示している。
上記図2に示したような構成を有する半導体装置100では、図18(A)に示すように、伝送線路130の一部が上部電極として機能し、その下に誘電体142を介して設けられる導体層143が下部電極として機能する容量140が設けられる。半導体装置100の容量140には、その導体層143から伝送線路130の側方に引き出された端子141が設けられる。
ここで、半導体装置100では、上記図2に示すように、基板110の裏面110bに、GND導体200が設けられる。回路素子120に至る入力側の伝送線路130及びその端子131と、GND導体200との間には、それらのサイズや介在される基板110の厚み等に応じた容量成分が生じる。端子131から回路素子120に至る伝送線路130については、GND導体200との間に生じる容量成分を加味して、そのインピーダンスが所定の設定値(例えば50Ω)に調整される。しかし、図2及び図18(A)に示すように、伝送線路130に、交流信号の入力や直流成分のカットのために容量140を設け、その下部電極となる導体層143(上部電極となる伝送線路130と対向する部位)から伝送線路130の側方に引き出された端子141(上部電極となる伝送線路130と対向する位置からはみ出た部位)を設けると、次のようなことが起こる。
即ち、端子131から回路素子120に至る伝送線路130とGND導体200との間には、上記のような容量成分が生じる。容量140の部分では、上部電極の伝送線路130の電気信号が比較的薄い誘電体142を介して容量的、交流的に下部電極の導体層143に伝わるため、下部電極の導体層143とGND導体200との間には、伝送線路130とGND導体200との間におけるのと同等の容量成分が生じる。図18(A)では、伝送線路130及び下部電極の導体層143とGND導体200との間に生じる容量成分を、容量成分220として表している。端子131から回路素子120に至る伝送線路130では、容量140の下部電極の導体層143が設けられても、伝送線路130及び下部電極の導体層143とGND導体200との間の容量成分220の変化は抑えられ、そのインピーダンスの設定値からの変化は抑えられる。ところが、容量140の、上部電極の伝送線路130の電気信号が容量的、交流的に伝わる下部電極の導体層143に繋がり、伝送線路130の側方に引き出された端子141と、GND導体200との間には、寄生成分、例えば、図18(A)に示すような寄生容量成分210が生じる。端子131から回路素子120に至る伝送線路130では、伝送線路130及び下部電極の導体層143とGND導体200との間の容量成分220に、下部電極の導体層143から引き出された端子141とGND導体200との間の寄生容量成分210が加わる。容量成分220に、このような引き出された端子141とGND導体200との間の寄生容量成分210が加わると、容量成分220が加味されて調整された、端子131から回路素子120に至る伝送線路130のインピーダンスが、設定値から変化してしまう。インピーダンスが設定値から変化すると、検査時に端子131に入力される入力信号が、伝送線路130を伝送される間に変化し、回路素子120に適正な値の入力信号が伝送されないことが起こり得る。例えば、伝送線路130からそれと容量的に接続されたGND導体200へと流れる交流成分の割合が変化したり、伝送信号の位相が変化したりすることで、端子131に入力された入力信号が、回路素子120に適正な値で伝送されないことが起こり得る。
半導体装置100では、出力側でも同様に、回路素子120から端子151に至る伝送線路150について、伝送線路150及び容量160の下部電極の導体層とGND導体200との間に、上記のような容量成分220が生じる。容量160の下部電極の導体層に繋がる端子161と、GND導体200との間には、上記寄生容量成分210のような寄生成分が生じる。入力側の伝送線路130について述べたのと同様、出力側の伝送線路150についても、このような寄生成分が、伝送線路150及び容量160の下部電極の導体層とGND導体200との間に生じる容量成分に加わる。それにより、回路素子120から端子151に至る伝送線路150のインピーダンスが設定値から変化し、検査時に回路素子120から出力される出力信号が、伝送線路150を伝送される間に変化し、端子151から適正な値の出力信号が取り出せないことが起こり得る。
このように、半導体装置100では、検査では使用されないが、検査後の動作時に交流信号の入出力を行うために設けられる上記のような端子141及び端子161が、検査時の信号伝送に影響を及ぼし、適正な入出力を阻害してしまう場合がある。
これに対し、上記図3に示したような構成を有する半導体装置1では、図18(B)に示すように、伝送線路30の一部が下部電極として機能し、その上に誘電体42を介して設けられる端子41が上部電極として機能する容量40が設けられる。容量40の上部電極の端子41は、一部が下部電極となる伝送線路30からはみ出さない幅で設けられる。このように半導体装置1では、容量40の端子41の下に伝送線路30が設けられ、且つ、端子41が伝送線路30からはみ出さない幅とされている。
半導体装置1でも、上記半導体装置100と同様、図18(B)に示すように、基板10の裏面10bにGND導体200が設けられる場合、伝送線路30とGND導体200との間に、容量成分220が生じる。伝送線路30は、このようなGND導体200との間に生じる容量成分220を加味して、上記図3に示したような、端子31から回路素子20に至る伝送線路30の、そのインピーダンスが所定の設定値(例えば50Ω)に調整される。
半導体装置1では、図18(B)に示すように、基板10の裏面10bにGND導体200が設けられる場合でも、GND導体200と端子41との間に、端子41がはみ出さない幅の伝送線路30が配置される。伝送線路30は、誘電体42を介して端子41と容量的に接続され、基板10を介してGND導体200と容量的に接続される。一方、端子41は、伝送線路30からはみ出さない幅とされるため、伝送線路30を介さずにGND導体200と対向することがない。伝送線路30の電気信号が容量的、交流的に伝わる端子41の状態が、GND導体200によって影響を受けることが抑えられる。端子41とGND導体200との間の、寄生成分が生じるような容量的な接続、即ち、上記図18(A)に示した寄生容量成分210が生じるような電気的な結合は、これらの間に介在される伝送線路30によって抑えられる。端子41とGND導体200との間に、容量40及び容量成分220を除く、余分な寄生成分が生じることが抑えられる。
容量40の端子41は、モジュール化後の動作時にノイズとなり得る直流成分の伝送を抑えて交流信号の入力を行うために設けられる。端子31から回路素子20に至る伝送線路30では、GND導体200との間に生じる容量成分220に、そのような端子41に起因した寄生成分が加わることが抑えられる。端子31から回路素子20に至る伝送線路30において、GND導体200との間の容量成分220に、更に寄生成分が加わることが抑えられるため、容量成分220が加味されて所定の設定値に調整されるインピーダンスの、その設定値からの変化が抑えられる。
このように、半導体装置1では、検査時に直流電圧が印加されて交流信号が伝送される伝送線路30のインピーダンスが、容量40の端子41及びGND導体200によって設定値から変化してしまうことが抑えられる。従って、半導体装置1の検査時には、伝送線路30を通じて回路素子20に適正な入力信号を伝送することが可能になり、これにより、回路素子20の特性を適正に評価することが可能になる。
半導体装置1では、出力側の伝送線路50についても同様に、GND導体200と、容量60の端子61との間に、端子61がはみ出さない幅の伝送線路50が配置され、GND導体200と端子61との間に寄生成分が生じることが抑えられる。半導体装置1では、回路素子20の出力信号が伝送される伝送線路50のインピーダンスが、容量60の端子61及びGND導体200によって設定値から変化してしまうことが抑えられる。従って、半導体装置1の検査時には、伝送線路50を通じて回路素子20の出力信号を適正に取り出すことが可能になり、これにより、回路素子20の特性を適正に評価することが可能になる。
図18(A)に示した構成を有する容量140及び同様の構成を有する容量160を備えた上記半導体装置100では、その回路素子120の検査時において、インピーダンスが、所定の周波数において、数%~数十%変化する場合がある。一例として、端子131から回路素子120に至る伝送線路130(誘電体142、下部電極及び端子141を含まない)のインピーダンスに対し、その伝送線路130の一部に誘電体142を介して下部電極の導体層143及びそこから引き出された端子141を設けた場合のインピーダンスは、周波数28GHzで約5%、56GHzで約30%、変化する。回路素子120から端子151に至る伝送線路150(誘電体162、下部電極及び端子161を含まない)のインピーダンスに対し、その伝送線路150の一部に誘電体162を介して下部電極の導体層及びそこから引き出された端子161を設けた場合のインピーダンスは、周波数28GHzで約5%、56GHzで約30%、変化する。半導体装置100では、端子141が設けられることによる影響、即ち、端子141とGND導体200との間に生じる寄生成分の影響が、周波数が高くなるほど大きく現れるようになる。
これに対し、図18(B)に示した構成を有する容量40及び同様の構成を有する容量60を備えた上記半導体装置1では、その回路素子20の検査時において、インピーダンスの変化が、所定の周波数において効果的に抑えられる。一例として、端子31から回路素子20に至る伝送線路30(誘電体42及び端子41を含まない)のインピーダンスに対し、その伝送線路30の一部に誘電体42を介して上部電極の端子41を設けた場合のインピーダンスの変化は、周波数28GHzでも56GHzでも、0.01%以下に抑えられる。回路素子20から端子31に至る伝送線路50(誘電体62及び端子61を含まない)のインピーダンスに対し、その伝送線路50の一部に誘電体62を介して上部電極の端子61を設けた場合のインピーダンスの変化は、周波数28GHzでも56GHzでも、0.01%以下に抑えられる。半導体装置1では、端子41とGND導体200との間に生じる寄生成分が抑えられ、インピーダンスの変化が周波数によらず効果的に抑えられるようになる。
このように、半導体装置1では、検査では使用されないが、検査後の動作時に交流信号の入出力を行うために設けられる端子41及び端子61が、検査時の信号伝送に影響を及ぼして適正な入出力を阻害してしまうことが、効果的に抑えられる。
また、図19(A)には、半導体装置1の容量40の端子41に再配線が接続された状態の一例の要部断面図を模式的に示し、図19(B)には、半導体装置1の容量40の端子41に再配線が接続された状態の一例の要部平面図を模式的に示している。尚、図19(A)は、図19(B)のXIX-XIX断面図である。
半導体装置1のモジュール化によって得られる半導体モジュール2では、図19(A)及び図19(B)に示すように、半導体装置1の容量40の、上部電極となる端子41上に、再配線であるビア92a及び配線92bが設けられる。ビア92aは、図19(A)及び図19(B)に示すように、容量40の端子41からはみ出さない幅(径)で設けられる。
半導体モジュール2の動作時には、伝送線路30に直流電圧が印加され、容量40の端子41に、配線92bからビア92aを通じて交流信号が入力される。容量40の部分から回路素子20までの伝送線路30には、直流電圧が印加されて交流信号が伝送される。半導体モジュール2では、基板10の裏面10bにGND導体200が設けられる場合でも、伝送線路30上に、伝送線路30からはみ出さない幅で端子41が設けられていることで、GND導体200と端子41との間に生じる寄生成分が抑えられる。
更に、半導体モジュール2では、伝送線路30からはみ出さない幅で設けられた端子41の直上に、端子41からはみ出さない幅のビア92aが設けられることで、GND導体200とビア92aとの間に生じる寄生成分も抑えられる。ビア92a上の配線92bを、図19(A)及び図19(B)に示すように、端子41からはみ出さない幅で設けるか、或いは伝送線路30からはみ出さない幅で設けると、GND導体200と配線92bとの間に生じる寄生成分も、同様に抑えられる。
半導体モジュール2では、動作時に直流電圧が印加されて交流信号が伝送される伝送線路30のインピーダンスが、容量40の端子41及びGND導体200によって変化してしまうことが抑えられる。従って、半導体モジュール2の動作時には、伝送線路30を通じて回路素子20に適正な入力信号を伝送することが可能になり、これにより、回路素子20を適正に動作させることが可能になる。
半導体モジュール2では、出力側の伝送線路50についても同様に、GND導体200と、伝送線路50からはみ出さない幅で設けられた端子61との間に生じる寄生成分が抑えられる。半導体モジュール2では、このように伝送線路50からはみ出さない幅で設けられた端子61の直上に、端子61からはみ出さない幅のビア94aが設けられることで、GND導体200とビア94aとの間に生じる寄生成分も抑えられる。ビア94a上の配線94bの幅を、端子61からはみ出さない幅で設ける等、適当に設定すれば、GND導体200と配線94bとの間に生じる寄生成分も、同様に抑えられる。半導体モジュール2では、回路素子20の出力信号が伝送される伝送線路50のインピーダンスが、容量60の端子61及びGND導体200によって変化してしまうことが抑えられる。従って、半導体モジュール2の動作時には、伝送線路50を通じて回路素子20の出力信号を適正に取り出すことが可能になる。
一方、上記18(A)等に示した半導体装置100の場合には、交流信号が端子141に入力され、端子161から出力される。しかし、端子141とGND導体200との間に生じる寄生容量成分210よって、容量140の部分(下部電極、誘電体142及び上部電極)から回路素子120に至る伝送線路130のインピーダンスが設定値から変化する。同様に、端子161とGND導体200との間に生じる寄生容量成分210よって、回路素子120から容量160の部分(下部電極、誘電体162及び上部電極)に至る伝送線路150のインピーダンスが設定値から変化する。このように、端子141,161とGND導体200との間に生じる寄生成分の影響により、動作時に適正な入出力が行われないことが起こり得る。
以上、第1の実施の形態として述べたような半導体装置1及び半導体モジュール2によれば、内部の回路素子20について、寄生成分の影響を抑えた適正な信号伝送、入出力が実現される。これにより、回路素子20の特性の適正な評価、回路素子20の適正な動作が実現される。
尚、以上の説明では、検査後の半導体装置1を、WLP等にモジュール化して動作させる例を示したが、勿論、WLP等にモジュール化せずに動作させることもできる。例えば、検査後の半導体装置1を、半田バンプ等を用いて回路基板や他の半導体装置等の電子部品上に実装し、動作させてもよい。その際は、半導体装置1の伝送線路30の端子31に直流電圧を入力し、伝送線路30上の容量40の端子41に交流信号を入力し、回路素子20からの出力を伝送線路50上の容量60の端子61から取り出す。このような場合でも、検査時及びその後の動作時において、上記同様の効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1及びそれを用いた半導体モジュール2は、例えば、信号の送信又は受信を行う無線通信機(送信機又は受信機)に適用することができる。ここでは、上記のような半導体装置1及び半導体モジュール2を、送信機に適用する例を、第2の実施の形態として説明する。
図20~図22は第2の実施の形態に係る送信機の一例について説明する図である。図20には、送信機の要部外観図及びその一部拡大図を模式的に示している。図21には、送信機に用いられる増幅モジュールの構成例を示している。図22には、送信機の回路の一例を示している。
図20に示す送信機400は、例えば、ミリ波帯や準ミリ波帯の長距離(1km超)無線通信に用いられる送信機である。送信機400は、アレイ状に配列された複数のアンテナ411を含むフェーズドアレイアンテナ410(「アンテナ基板」とも称される)と、個々の又は数個単位のアンテナ411に接続された複数の増幅器420とを備える。増幅器420には、GaN系の窒化物半導体材料が用いられたHEMT、所謂GaN-HEMTを増幅回路に含む半導体装置(半導体チップ)が用いられる。フェーズドアレイアンテナ410及び増幅器420は、アンテナ411から無線信号430を送信することができるように、送信機400の筐体440に搭載される。
複数の増幅器420は、例えば、一定数がWLPプロセスによって1つにモジュール化されて、送信機400に搭載される。このように一定数の増幅器420がモジュール化されたもの(「増幅モジュール」と言う)の一例を、図21に示す。
図21に示す増幅モジュール450は、4個の増幅器420及びこれらに接続される1個の移相器460を含む。移相器460には、半導体装置(半導体チップ)が用いられる。例えば、これらの増幅器420及び移相器460が、上記図15に示したようなWLPプロセスの例に従い、1つの増幅モジュール450にモジュール化される。
ここで、増幅器420は、上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1の一形態である。増幅器420には、例えば、その内部に設けられる回路素子、伝送線路及び容量に対し、上記第1の実施の形態において回路素子20、伝送線路30,50及び容量40,60として説明したような構成が採用される。尚、増幅器420と同様に、移相器460にも、上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1の構成が採用されてよい。また、増幅器420のモジュール化によって得られる増幅モジュール450は、上記第1の実施の形態で述べたような半導体モジュール2の一形態である。増幅モジュール450には、例えば、その樹脂層及び再配線層に対し、上記第1の実施の形態において樹脂層80及び再配線層90として説明したような構成が採用される。
図21に示すように、増幅モジュール450において、移相器460の出力端子462は、増幅器420の内部の回路素子(上記回路素子20に相当)の、その入力側に接続される伝送線路(上記伝送線路30に相当)上の容量(上記容量40に相当)の端子422(上記端子41に相当)に接続される。増幅器420の内部の回路素子(上記回路素子20に相当)の、その出力側に接続される伝送線路(上記伝送線路50に相当)上の容量(上記容量60に相当)の端子423(上記端子61に相当)には、アンテナ411が接続される。
図21に示すような増幅モジュール450を形成する場合には、4個の増幅器420及び1個の移相器460を一組として、1つ又は複数の組が、図15(A)の例に従い、支持体上に配置され、図15(B)の例に従い、樹脂層内に埋め込まれる。そして、支持体分離後の面上に、図15(C)及び図15(D)の例に従い、一組分の4個の増幅器420と1個の移相器460との間を接続する再配線、及び4個の増幅器420を1つ又は複数のアンテナ411に接続するための再配線を含む再配線層が形成される。その後、図15(E)の例に従い、所定の位置でダイシングが行われ、一組分の4個の増幅器420及び1個の移相器460を含む、個々の増幅モジュール450が形成される。
上記のような複数の増幅器420を含む増幅モジュール450、及び複数のアンテナ411を含むフェーズドアレイアンテナ410が搭載される送信機400の回路の一例を、図22に示す。
送信機400は、例えば、図22に示すように、ベースバンド回路401、アップコンバータ402、発振器403、増幅モジュール450、及びフェーズドアレイアンテナ410のアンテナ411を備える。増幅モジュール450は、複数の増幅器420、及び移相器460を含む。移相器460は、例えば、複数の増幅器420にそれぞれ対応して設けられた複数の移相器ユニット461を含む。
ベースバンド回路401は、送信するデータDI(ディジタル信号)が入力されると、そのデータDIを基にベースバンド信号(アナログ信号)を生成する。アップコンバータ402は、発振器403が生成する発振信号を、ベースバンド回路401で生成されたベースバンド信号に乗算し、そのベースバンド信号を所定の周波数の信号に変換(アップコンバート)する。アップコンバータ402で変換された信号は、増幅モジュール450に入力され、移相器460の複数の移相器ユニット461にそれぞれ分配される。各移相器ユニット461は、入力された信号に対して位相を調整し、位相が一定の角度でシフトした信号を出力する。各移相器ユニット461から出力される信号は、対応する各増幅器420に入力される。各増幅器420は、入力される信号を増幅し、対応する各アンテナ411(又はアンテナ411群)に出力する。アンテナ411に入力された信号は、アンテナ411から空間に放射され、ビームフォーミングされた無線信号430(図20)として送信される。
送信機400では、増幅モジュール450内の複数の増幅器420にそれぞれ、上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1の構成が採用される。これにより、複数の増幅器420のモジュール化前の検査では、各増幅器420の内部の回路素子(上記回路素子20に相当)について、寄生成分の影響を抑えた適正な信号伝送、入出力を行うことが可能になり、回路素子の特性を適正に評価することが可能になる。また、このような複数の増幅器420をモジュール化して得られる増幅モジュール450では、増幅器420(その内部の回路素子)について、寄生成分の影響を抑えた適正な信号伝送、入出力を行うことが可能になり、増幅器420を適正に動作させることが可能になる。尚、移相器460に上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1の構成が採用される場合には、その移相器460について、及び増幅モジュール450内の移相器460について、上記同様の効果が得られる。
従って、高性能及び高品質の増幅器420及びそれを用いた増幅モジュール450が実現され、更に、そのような増幅モジュール450が用いられた、高性能及び高品質の送信機400が実現される。
尚、増幅モジュール450は、その増幅器420にアンテナ411を接続して一体化し、1つのモジュール(「アンテナ一体型増幅器」等とも称される)として形成されてもよく、このようなモジュールが送信機400に搭載されてもよい。
また、ここでは、上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1及び半導体モジュール2を、送信機に適用する例を示したが、半導体装置1及び半導体モジュール2は、受信機に適用することも可能である。この場合は、外部からの無線信号を受信するアンテナが、モジュール化された増幅器の内部の回路素子(上記回路素子20に相当)の、その入力側に接続される伝送線路(上記伝送線路30に相当)上の容量(上記容量40に相当)の端子(上記端子41に相当)に、接続される。アンテナで受信された信号(アナログ信号)は、低雑音増幅器等の増幅器に入力されて増幅され、増幅器で増幅された信号は、ダウンコンバータによって所定の周波数の信号に変換(ダウンコンバート)され、データ(ディジタル信号)に変換される。受信機においても、上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1及び半導体モジュール2の構成を有する増幅器及び増幅モジュールが用いられることで、適正な特性評価及び動作が可能になり、高性能及び高品質の受信機が実現される。
上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1及びそれを用いた半導体モジュール2において、半導体装置1の内部に設けられる回路素子20は、増幅の機能に代えて、或いは増幅の機能と共に、スイッチングや発振等の機能を有してもよい。半導体装置1及び半導体モジュール2は、第2の実施の形態で述べたような構成を有する送信機や受信機に限らず、各種電子機器、例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置といった各種電子機器に適用することが可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板の第1面側に設けられた回路素子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第1伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第1伝送線路の他端に接続され、検査用の第1直流電圧及び第1交流信号、又は動作用の第2直流電圧が入力される第1端子と、
前記第1伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第1誘電体と、
前記第1誘電体の、前記第1伝送線路とは反対側に、平面視で前記第1伝送線路からはみ出さないように設けられ、動作用の第2交流信号が入力される第2端子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第2伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第2伝送線路の他端に接続され、前記第1端子に前記第1直流電圧及び前記第1交流信号が入力された時の前記回路素子の第1出力信号が出力される第3端子と、
前記第2伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第2誘電体と、
前記第2誘電体の、前記第2伝送線路とは反対側に、平面視で前記第2伝送線路からはみ出さないように設けられ、前記第1端子に前記第2直流電圧が入力され、且つ、前記第2端子に前記第2交流信号が入力された時の前記回路素子の第2出力信号が出力される第4端子と、
前記基板の、前記第1面とは反対の第2面側に設けられ、グランド電位とされる導体と
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記回路素子は、半導体素子又は集積回路であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 樹脂層と、
前記樹脂層内に埋め込まれた半導体装置と、
前記樹脂層及び前記半導体装置の表面に設けられた再配線層と
を含み、
前記半導体装置は、
基板と、
前記基板の第1面側に設けられた回路素子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第1伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第1伝送線路の他端に接続され、検査用の第1直流電圧及び第1交流信号、又は動作用の第2直流電圧が入力される第1端子と、
前記第1伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第1誘電体と、
前記第1誘電体の、前記第1伝送線路とは反対側に、平面視で前記第1伝送線路からはみ出さないように設けられ、動作用の第2交流信号が入力される第2端子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第2伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第2伝送線路の他端に接続され、前記第1端子に前記第1直流電圧及び前記第1交流信号が入力された時の前記回路素子の第1出力信号が出力される第3端子と、
前記第2伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第2誘電体と、
前記第2誘電体の、前記第2伝送線路とは反対側に、平面視で前記第2伝送線路からはみ出さないように設けられ、前記第1端子に前記第2直流電圧が入力され、且つ、前記第2端子に前記第2交流信号が入力された時の前記回路素子の第2出力信号が出力される第4端子と、
前記基板の、前記第1面とは反対の第2面側に設けられ、グランド電位とされる導体と
を含み、
前記再配線層は、
前記第1端子に接続された第1導体部と、
前記第2端子に接続された第2導体部と、
前記第3端子に接続された第3導体部と、
前記第4端子に接続された第4導体部と
を含むことを特徴とする半導体モジュール。
(付記4) 前記第2導体部は、平面視で前記第2端子からはみ出さないビアを有し、
前記第4導体部は、平面視で前記第4端子からはみ出さないビアを有する
ことを特徴とする付記3に記載の半導体モジュール。
(付記5) 前記第2端子に接続されたアンテナを含むことを特徴とする付記3又は4に記載の半導体モジュール。
(付記6) 基板と、
前記基板の第1面側に設けられた回路素子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第1伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第1伝送線路の他端に接続され、検査用の第1直流電圧及び第1交流信号、又は動作用の第2直流電圧が入力される第1端子と、
前記第1伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第1誘電体と、
前記第1誘電体の、前記第1伝送線路とは反対側に、平面視で前記第1伝送線路からはみ出さないように設けられ、動作用の第2交流信号が入力される第2端子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第2伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第2伝送線路の他端に接続され、前記第1端子に前記第1直流電圧及び前記第1交流信号が入力された時の前記回路素子の第1出力信号が出力される第3端子と、
前記第2伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第2誘電体と、
前記第2誘電体の、前記第2伝送線路とは反対側に、平面視で前記第2伝送線路からはみ出さないように設けられ、前記第1端子に前記第2直流電圧が入力され、且つ、前記第2端子に前記第2交流信号が入力された時の前記回路素子の第2出力信号が出力される第4端子と、
前記基板の、前記第1面とは反対の第2面側に設けられ、グランド電位とされる導体と
を含む半導体装置の動作方法であって、
前記半導体装置の検査時は、前記第1端子に前記第1直流電圧及び前記第1交流信号を入力し、前記回路素子の前記第1出力信号を前記第3端子から取り出し、
前記検査後の動作時は、前記第1端子に前記第2直流電圧を入力し、且つ、前記第2端子に前記第2交流信号を入力し、前記回路素子の前記第2出力信号を前記第4端子から取り出す
ことを特徴とする半導体装置の動作方法。
(付記7) 基板と、
前記基板の第1面側に設けられた回路素子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第1伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第1伝送線路の他端に接続され、検査用の第1直流電圧及び第1交流信号、又は動作用の第2直流電圧が入力される第1端子と、
前記第1伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第1誘電体と、
前記第1誘電体の、前記第1伝送線路とは反対側に、平面視で前記第1伝送線路からはみ出さないように設けられ、動作用の第2交流信号が入力される第2端子と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、一端が前記回路素子に接続された第2伝送線路と、
前記基板の前記第1面側に設けられ、前記第2伝送線路の他端に接続され、前記第1端子に前記第1直流電圧及び前記第1交流信号が入力された時の前記回路素子の第1出力信号が出力される第3端子と、
前記第2伝送線路の、前記基板とは反対側の一部に設けられた第2誘電体と、
前記第2誘電体の、前記第2伝送線路とは反対側に、平面視で前記第2伝送線路からはみ出さないように設けられ、前記第1端子に前記第2直流電圧が入力され、且つ、前記第2端子に前記第2交流信号が入力された時の前記回路素子の第2出力信号が出力される第4端子と、
前記基板の、前記第1面とは反対の第2面側に設けられ、グランド電位とされる導体と
を含む半導体装置と、
前記半導体装置の前記第2端子に接続されたアンテナと
を備えることを特徴とする通信機。