JP7272812B2 - 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ - Google Patents

古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ Download PDF

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Description

本発明は、古紙パルプの製造方法及び古紙パルプに関するものである。
近年、環境保護、特に資源リサイクルの観点より古紙パルプの再利用化が重要視されてきている。古紙パルプの原料としては新聞紙、チラシ、雑誌、情報記録紙等の古紙が従来から主に使用されている。
これらの古紙のうち、公益財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格に規定される禁忌品と評価される、いわゆる難処理性古紙は、再利用される古紙パルプの品質の低下や抄紙工程での断紙等のトラブルを招くため、古紙パルプの主な原料とされてこなかった。
難処理性古紙のうちでも特に石膏分を含む古紙(石膏含有古紙)や粘着物を有する古紙(粘着紙)は、石膏由来のカルシウム分や粘着物が古紙パルプに混じると紙面に斑点が形成されたり、紙相互の粘着を来したりすることから、古紙パルプの原料として有用とされてこなかった。
そのため、石膏含有古紙や粘着紙等の難処理性古紙は主に産業廃棄物として処分されてきた。
近年の有用古紙の再資源化の推進と紙中回収古紙の有効利用のため、これらの古紙を古紙パルプ原料としてリサイクルする技術開発が望まれている。
このような背景を踏まえ、特許文献1では難処理性古紙、特に粘着紙に含まれる粘着物を除去する発明が開示されている。この発明は、古紙を再生する処理工程に粘着物除去剤を添加して粘着物の粘着性を低下させ、粘着物を効率よく除去して高品質の古紙パルプを製造するものであるが、粘着物除去剤に起因する泡の発生による操業性の低下や得られる紙製品の品質低下を引き起こす懸念を有する。
特開2003-20584号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、石膏を含む古紙及び粘着物を含む古紙を含有するパルプ原料から古紙パルプを製造する方法及び古紙パルプを提供することにある。
第1の態様
古紙パルプ原料から古紙パルプを製造する方法であって、
石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とが混合された古紙パルプ原料を離解させてパルプ混濁液とする離解工程と、
前記パルプ混濁液から粘着物が付着した石膏分を分離除去して残分を得る分離工程と、
を備え、
前記残分を古紙パルプとする、
ことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
離解工程で石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とが混合された古紙パルプ原料を離解させると、石膏分を含む古紙から石膏分が遊離される。また、粘着物を含む古紙から遊離された粘着物が、パルプ混濁液中で微細化されて多数存在した状態になる。原因は定かではないがこの微細化された粘着物が遊離された石膏分に付着する。そして、多数の微細化された粘着物がこの石膏分に付着した粘着物に付着されていき、粘着物が増粒化される。次いで分離工程では、この粘着物が付着されて増粒化した石膏分を分離除去して、残分を得て、この残分から古紙パルプを得る。これにより、難処理性古紙とされてきた両古紙、すなわち、石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とから古紙パルプを製造できるという効果を有する。
第2の態様
前記古紙パルプ原料は、石膏分を含む古紙を0.1~10質量%、粘着物を含む古紙を0.1~5質量%含有するものである、
第1の態様の古紙パルプの製造方法。
古紙パルプ原料が、石膏分を含む古紙を0.1~10質量%、粘着物を含む古紙を0.1~5質量%含有すると、離解により石膏分を含む古紙から石膏分が効率よく遊離される。また、粘着物を含む古紙から粘着物が効率よく遊離される。そして、遊離された石膏分と粘着分相互が付着されやすいという効果を有する。
第3の態様
前記離解工程及び前記分離工程の少なくともいずれか一方にイオン封鎖剤を添加する、
第1の態様又は第2の態様の古紙パルプの製造方法。
カルシウムイオンが多量にパルプ混濁液に溶解していると、古紙パルプの製造工程でカルシウム分がスケール化して、製造設備に付着するなどして、製造設備の操業に悪影響を及ぼす。また、製造された紙を長期保管した場合に、紙製品に斑点が発生したり、紙製品に異物が付着してしまう原因となる。イオン封鎖剤を添加することで、パルプ混濁液に溶解するカルシウムイオンの濃度が所定以上に高くならないようにできる。結果、スケール化を抑制でき、紙に発生する斑点や異物の付着を抑制できる、という効果を有する。
第4の態様
前記石膏分を含む古紙は、紙が付着した石膏を破砕して得たものであり、
前記石膏の破砕に際して発生した微細な石膏を前記離解工程及び前記分離工程の少なくともいずれか一方に投入する、
第1の態様第3の態様のいずれか古紙パルプの製造方法。
紙が付着された石膏とは、特に限定されないが、建材に使用されていた紙付き石膏や石膏ボードを一例とすることができる。これら紙が付着された石膏を破砕すると微細な石膏が発生する。この微細な石膏には、粉体状や粒体状の石膏分が含まれ、この微細な石膏を離解工程及び分離工程の少なくとも一方に投入することでパルプ混濁液(白水)に含まれる石膏分の総量を増加でき、パルプ混濁液中で粘着物が付着された石膏分がより多く生成される。結果、分離工程で石膏分と粘着物がより多く分離除去される、との効果を有する。
第5の態様
石膏分を含む古紙0.1~10質量%と粘着物を含む古紙0.1~5質量%とを混合させた古紙パルプ原料からなるパルプ混濁液を原料とし、
前記石膏分が、吸油量30mL/100g以上である、
ことを特徴とする古紙パルプ。
石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とのそれぞれの濃度(質量%)を、これらの範囲で古紙パルプ原料に混合させ、前記石膏分が、吸油量30mL/100g以上とすることで、パルプ混濁液中に遊離した石膏分に粘着物が付着される。この粘着物が付着した石膏分は容易に製造フローの系外に除くことができるので、良質の古紙パルプとなる、との効果を有する。
第6の態様
フリーネスが360mL~580mLであり、
比破裂強度が14(N・cm)×100/(g/m)~30(N・cm)×100/(g/m)であり、
比リング強度が132N・m/g・100~206N・m/g・100であり、
灰分が10.0%~25.0%であり、
6カット残渣が0.1%~6.0%である、
第5の態様の古紙パルプ。
本発明の古紙パルプは、石膏分が除去された良質のものとなる。
本発明によると、石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とが含有される古紙パルプ原料から古紙パルプを製造することができ、また石膏分や粘着物を効率的に除去した良質のパルプとなる。
古紙パルプの製造方法のフロー図である。 硫酸カルシウムの溶解度の図である。 クリーナの平面図である。 図3のA-A線断面図である。 図3のB―B線断面図である。
本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。
本発明は、従来禁忌品として再資源化が困難であった粘着紙及び石膏含有古紙の再資源化を目指すものである。従来より粘着紙や石膏含有古紙は、公益財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格に規定される禁忌品と評価される、いわゆる難処理性古紙に該当し、そのままでは再資源化されなかった。本発明では、古紙パルプの製造工程に石膏含有古紙と粘着紙とを混在させて処理する。そうすると、石膏含有古紙から石膏分が遊離される。また、粘着紙から粘着物が遊離される。粘着紙から遊離された粘着物が、石膏含有古紙から遊離された粒子状の石膏分に付着し、この粘着物が付着した石膏分を同製造工程から除去することで同石膏分に付着された粘着物も容易に除去することができる。本発明によれば、粘着紙と石膏含有古紙を古紙パルプとして再資源化でき、資源の有効活用が図られる。
(粘着紙)
本発明で問題とする粘着紙は、紙の印刷、加工、包装段階などで使用される粘着物や接着剤が付着された紙である。粘着物の例を挙げると、感圧接着紙(いわゆるタック紙)に付着される感圧接着剤や粘着テープなどの感圧接着剤、封筒や紙袋の糊、帳票類の背糊等を挙げることができる。古紙パルプの製造において、製造機器・製造装置や製造製品に付着した粘着物の大部分は、これらに由来する。
パルパーと呼ばれる離解装置で古紙パルプの原料が離解されるときに、粘着紙が混在すると、粘着紙に付着されている粘着物が遊離され、微細化された粘着物となる。この遊離した微細な粘着物は、互いに凝集し粒子径が大きい粘着物となり、当該粘着物が混在された状態で古紙パルプ化を図ると、粘着物を含有した古紙パルプが製造される。この古紙パルプを抄紙原料として紙製品を製造すると、紙製品に塵等の外観上の欠陥が生じたり、紙製品の製造工程で抄紙原料が抄紙機や乾燥機に付着して、紙の局部的な剥がれや破断が生じたりする。さらには、ドライヤー、プレスロール、毛布等が汚れる等の問題を多発するおそれがある。
産業用紙向けの再生パルプを得る古紙のパルプ化の一例の手法は、主に古紙パルプ原料を離解してパルプ懸濁液を得る離解工程と、この工程に続く、パルプ懸濁液中の異物を分離する分離工程(第1分離工程及び第2分離工程)で構成される。分離工程においてスクリーンやクリーナ等の除塵設備によりパルプ懸濁液に含まれる夾雑物の大半が除去されるが、粘着物の一部は除去されず、古紙パルプ中に残留する。これは、粘着物の比重が相対的に小さく、比重差で異物の分離を行うクリーナによる分離では、粘着物がパルプ懸濁液から十分に除去されないからである。このように、古紙パルプ原料に粘着紙が混在している場合には、既存の除塵設備では、パルプ懸濁液中に混在する粘着紙から遊離された粘着物を確実に取り除くことができないのが現状である。
(石膏含有古紙)
本発明の実施の形態では、古紙パルプの原料を機械的に離解してパルプ懸濁液とする離解工程で、古紙パルプの原料に石膏含有古紙10と粘着紙9を混合させることを特徴とする。ここで、石膏含有古紙10とは、石膏を含んだ紙をいい、一例に、建材に使用される石膏に貼付された紙や石膏ボードから剥離された紙等の石膏含有古紙を挙げることができる。この石膏含有古紙10由来の石膏は針状や多孔質の石膏片からなり、本発明で使用する石膏含有古紙10に貼り付いた石膏の主成分は硫酸カルシウムである。この硫酸カルシウムは吸油性および吸水性を有する。
石膏に粘着物がどのように付着するのかは、明らかではないがおそらく次のように考えられる。石膏含有古紙10に含まれる石膏は、針状で多くの細孔を持った構造体である。一例に、石膏ボードから石膏含有古紙10を得る過程で石膏ボードの粉砕を行っても、この細孔を有する構造体が維持される。粘着紙9の離解工程において、この構造体に、微細化された粘着物が素早く付着されると共に、水が吸収され、粘着物が付着された硫酸カルシウムの粒子が生じる。また、水に溶解しているカルシウムイオンが、粘着物として主に使用されるアクリル系樹脂粘着物の粘着性を阻害する。例えば、顕濁液中に遊離する微細な粘着物が凝集する前に石膏に付着し、更に粘着物を構成するアクリル系樹脂の分子鎖に存在するカルボキシル基等が水中の炭酸カルシウムや硫酸カルシウムのカルシウム分と反応して架橋される等して粘着性が阻害されるメカニズムを有するものと考えられる。
これにより、粘着物が付着された石膏を、固形分として製造フローの系外に容易に除去可能となることを発明者は見出した。
石膏の主成分である硫酸カルシウム粒子の吸油量(JIS K5101-13-1に規定される吸油量)は、30mL/100g以上であることが好ましく、60~120mL/100gであるとより好ましい。この硫酸カルシウムの吸油量は、石膏含有古紙10に含まれる石膏分の吸油量を意味する。
前述の範囲の吸油量とすると、粘着物の除去効率や粘着性が低下する度合が、当該範囲外の吸油量よりもよくなるという効果を有する。この理由は明らかではないが、本発明者らは次のように推測している。まず、粘着紙に付着する粘着物が、パルパー等の機械的作用を受けて粘着紙から遊離される。遊離し微細化されて細粒状となった粘着物が、パルプ懸濁液、すなわち、パルプ混濁液中に分散される。この細粒状の粘着物が石膏に付着し、増粒化される。石膏は、水分を吸収する性質を有し、水分を吸収して自身の体積を増すので、クリ-ナ-等の除塵機で分離され易くなる。結果、この粘着物が付着された石膏は製造フローの系外へ排出され易くなる。さらに、硫酸カルシウムから溶解されたカルシウムイオンにより粘着物の粘着性が阻害される。また、硫酸カルシウムは、非親油性の性質を有するが、多くの細孔を持った構造体を備えると、親油性(疎水性)である粘着物と良好に付着する、と推測される。
吸油量が30mL/100gを下回る石膏を使用した場合は、石膏への粘着物の付着量が少なく、粘着物の増粒化が促進されず、粘着物を製造フローの系外へ排出し難くなる。また粘着物の粘着性が阻害され難くなる。
本実施形態で使用される石膏含有古紙に付着する石膏片の平均粒子径が0.5~5mmの範囲に、好ましくは1~4mmの範囲に予め調整されることが好ましい。一般に、粘着物の粘着性を低下させる目的で使用されるピッチコントロール用タルクには、例えばイメリススペシャリティーズジャパン製のミクロコントロール(平均粒子系:2.6μm)等、この範囲よりも小さい無機粒子(タルク)が使用されるが、このようなタルクでは本発明の目的を効果的に達成することができない。平均粒子径が0.5mmに満たない石膏片に粘着物を付着させようとしても、その粘着物の増粒を期待するこができない。平均粒子径が5mmを超える石膏片だと、大きいが故に粘着物を付着させる効果が損なわれ、粘着性を十分に阻害できないおそれがある。
本発明では、石膏分の添加率が、粘着紙の固形分質量の0.1~5質量%で、好ましくは0.3~5質量%で、より好ましくは0.5~2質量%で用いられるとよい。添加率が0.1質量%に満たない場合は、本発明の所望の効果を得ることができない。一方、添加率が5質量%を越えると、過剰に添加された石膏分によりパルプ懸濁液(白水)中の汚れを誘発して脱液工程や洗浄工程、脱墨工程の操業を乱すおそれがある。また、脱墨度合が低下し、製造される古紙パルプの品質低下を招くうえ、製造コストを逼迫し、経済的ではない。
紙が付着された石膏のうちの、例えば、石膏ボードは次記のとおりに製造される。二水石膏を焼いて脱水されたもの(焼石膏)が、結晶化するための結晶水を含むことで結晶化される。この結晶化された石膏には微細な針状が無数に存在し、結晶相互が密に絡み合う。この石膏と石膏以外の材料とでボード状に加工し、ボード表面に原紙を貼ることで、針状の石膏が原紙の繊維に絡み、密着して石膏ボードが形成される。この石膏ボードから剥離した紙を「石膏ボードの石膏含有古紙」という。一般的に使用される石膏ボードに含有される石膏分は、75%以下であると有用性に富み、特に5~70%であるとより好ましく、さらに40~65%であると好適である。石膏ボードは、家屋等の建築材料その他の材料として利用され、安定性、耐水性、耐熱性、断熱性、防音性、加工容易性等に優れ幅広い利用用途を有する。
(古紙パルプの原料)
古紙パルプ原料11には、前述の石膏含有古紙10を含むほか、例えば、雑誌、新聞用紙、中質紙、上質紙、塗工紙、微塗工紙、PPC用紙(トナー印刷用紙)、段ボール、白板紙、所謂古紙禁忌品に相当する感熱記録紙、ノーカーボン紙、帳票、色上質紙、紙器、シール・ラベルが含まれてもよく、光沢のある印刷物やOPニスやUVクリアコート等の表面加工処理した印刷物が含まれてもよい。
石膏含有古紙10及び粘着紙9を含む古紙パルプ原料11から古紙パルプを製造するフロー(製造フロー)の一例を図1に示してある。この図1に従って処理の概要を説明する。
この製造フローに示す実施の形態を要すれば次のとおりである。
(1)パルパー12による離解工程。
(2)分離工程。分離工程は、さらにクリーナ13による第1分離工程(粗選工程)と、スクリーンによる第2分離工程(精選工程)とに細分される。しかしながら、分離工程は、第1分離工程(粗選工程)のみであってもよいし、第2分離工程(精選工程)のみであってもよい。
(3)脱液工程
を有するものである。
(破砕)
石膏含有古紙10は、離解工程に投入されるに先立ち、例えば紙が付着された石膏を破砕して得られる。破砕された石膏含有古紙10は、直接に、又は古紙パルプ原料11と共に、パルパー(離解機)12に投入される。紙が付着された石膏の破砕時には、微細な石膏や石膏の粉体が発生する。この微細な石膏や石膏の粉体は、例えば、紙が付着された石膏を破砕する場所に備えた集塵機8で集塵することができる。そして、集塵された石膏分を離解工程に投入すると、この石膏分に粘着物が付着し、粘着物が付着した石膏分を容易に製造フローの系外に除去できるため好ましい。また、集塵された石膏分は、離解工程だけではなく、第1分離工程や第2分離工程の少なくとも一方に投入されてもよい。なお、集塵機8は設けなくてもよい。
別の実施形態として、紙が付着された石膏を破砕する場所と離解工程で使用されるパルパー12との間にダクトを配置し、微細な石膏や石膏の粉体をダクト内を通過させてパルパー12に投入するようにしてもよい。
<離解工程>
離解工程は、パルパー(離解機)12に乾燥固形分濃度で0.1~10質量%の石膏含有古紙10と0.1~10質量%の粘着紙とが含有された古紙パルプ原料11を水と共に投入し混合水とし、離解処理を行う工程である。離解処理することで古紙パルプ原料11がパルプ混濁液化される。特に石膏含有古紙10を4~8質量%とすると好適である。また、粘着紙9を1~4質量%とすると好適である。石膏含有古紙と粘着古紙の割合を前述の範囲とすることで、石膏分が多くなり、粘着異物を吸着し易くし、古紙パルプの品質に関して影響が少なくすることができる。石膏含有古紙10が0.1質量%未満だと、離解効率が低く、10質量%を超えると石膏の遊離物が古紙パルプ原料11に付着するおそれがあったり、パルパー12を摩耗させたりする原因となる。また、粘着紙9が0.1質量%未満だと、粘着紙9の投入量が少なすぎ、粘着紙9から製造される古紙パルプの製造効率が低く、また、後述する粘着物の効率的な増粒化がなされない。10質量%を超えるとパルプ混濁液(白水)に粘着紙9から遊離した粘着物の濃度が高くなり過ぎ、粘着物が古紙パルプ原料に付着したり、パルパー12に付着して摩耗させたりする原因となる。この混合水に対して古紙パルプ原料11が4~20質量%(乾燥固形分濃度)となるよう投入するとよい。
石膏含有古紙10に含まれる石膏片は、離解工程前、離解工程、第1分離工程、第2分離工程、脱液工程のどの工程においても添加することができる。例えば、離解工程で離解装置により古紙パルプの原料11が離解される前に石膏片を添加することができる。また、粘着紙9を含む古紙パルプ原料11の離解処理後のパルプ懸濁液に石膏片を添加してもよい。
石膏含有古紙10から得られる古紙パルプにはカルシウム分が多く含まれ、このカルシウム分が抄紙工程でのスケールや設備磨耗、抄紙薬品の効果阻害を招く懸念があると、発明者らは知見している。よって、本実施形態では離解工程、第1分離工程、第2分離工程、脱液工程の少なくとも一工程でイオン封鎖剤を添加してカルシウムイオン濃度を低減するとよい。しかしながら、カルシウム分(石膏片やカルシウムイオン)が少ないと、微細化された粘着物が石膏片に付着し難くなるため、イオン封鎖剤を添加しなくてもよい。
(水温)
離解処理中の水温は50℃未満とすると好ましい。また45℃未満とするとより好ましい。石膏分の成分には硫酸カルシウムが支配的に含まれる。ここで硫酸カルシウムは硫酸カルシウム無水和物、硫酸カルシウム水和物(例えば、CaSO・2HO、CaSO・1/2HO等)を含む概念である。離解処理中の水温を50℃以上にすると、水に対する硫酸カルシウムの溶解度が相対的に小さくなる。石膏片が相対的に水に溶けにくくなり、結果、石膏片と石膏含有古紙10との分離性能の低下を招く。
(溶解度)
図2は、常温常圧で水100gに対する硫酸カルシウム無水和物の溶解度31を測定した結果を示すグラフである。同図の横軸は温度(℃)、縦軸は溶解度(%)を示す。
(イオン封鎖剤)
イオン封鎖剤は離解工程で添加することができる。イオン封鎖剤を添加することで、石膏含有古紙10が離解処理されて水に溶け出すカルシウムイオンの濃度を低減化することができる。カルシウムイオンが離解処理されたパルプ混濁液に含まれると、後の工程でカルシウムイオンがスケール化し、古紙パルプの製造設備や古紙パルプにスケールが付着し、製造設備の摩耗や製造製品の品質の低下を招く原因となる。ここで、スケールとは、一例として、処理工程の水に含まれる炭酸カルシウムや硫酸カルシウム等が固化して析出されたものをいう。
イオン封鎖剤は、混合水に含まれるイオン封鎖剤の濃度が4.0~20.0kg/パルプ100kgとなるように添加するとよい。4.0kg/パルプ1000kgよりも低いとカルシウム分を析出させる効果が弱い。一方20.0kg/パルプ1000kgよりも高いと錯体等の副生成物が生成したりイオン封鎖剤自身が固化して製造設備に付着したりする等、古紙パルプの製造に不具合を生じさせる原因となる場合がある。
イオン封鎖剤を添加すると石膏片の溶解でイオン化されるカルシウムイオンが固体化され、カルシウム分の析出が促進される。また、後の工程でなされる石膏の除去を効果的に行うことができる。さらに、後の工程で使用される紙力増強剤やサイズ剤等の抄紙薬品の使用量を低減できる。結果、製造製品の原単位を低く抑えることができ好適である。
水に溶解されるカルシウムイオンとイオン封鎖剤との化学反応の一例は次記のとおりである。石膏含有古紙10の主な構成要素である二水石膏(CaSO・2HO)が水に溶けるとカルシウムイオン(Ca2+)が生成される(式(1))。このカルシウムイオン(Ca2+)を含む水にイオン封鎖剤(一例として、HPO)を添加すると、水に難溶性のリン酸カルシウムが生成される(式(2))。なお、式(2)では生成されるリン酸カルシウムの例として、リン酸二水素カルシウムを挙げるが、このほか、リン酸二水素カルシウム水和物、リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素カルシウム水和物等、リン酸とカルシウムイオンを含んでなる生成物が生成される。
[化1]
CaSO・2HO → Ca2++SO 2-+2HO ・・・式(1)
[化2]
Ca2++HPO → Ca(HPO↓ +2H・・・式(2)
なお、離解工程後にパルプ混濁液を一時貯留するタンクを設け、このタンクに貯留されるパルプ混濁液にイオン封鎖剤を添加してもよい。この場合、離解工程でイオン封鎖剤を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
本実施形態で用いられるイオン封鎖剤としては、水中のカルシウムイオンと化学反応して水難溶性の沈殿物を生成するものであればよく、特に限定されない。一例にリン酸、リン酸塩類、シュウ酸、シュウ酸塩類等を挙げることができる。これらのイオン封鎖剤を添加することで、石膏に含まれる硫酸カルシウムの水への溶解を抑制できる。そして、イオン封鎖剤を添加後の製造工程で、石膏分を容易に系外に除去することができる。リン酸及びリン酸塩類としては、オルトリン酸、アルカリ金属の第一、第二、第三リン酸塩、ピロリン酸、トリポリリン酸等の縮合リン酸、ピロリン酸のアルカリ金属塩、トリポリリン酸等の縮合リン酸のアルカリ金属塩、バインダーとして使用される第一リン酸金属塩を例示できるが、これらに限るものではない。
(離解時間)
離解工程で使用されるパルパー12ではパルパー12に備わる離解刃により古紙パルプ原料11がせん断される。この離解工程で離解処理を行う時間(離解時間)は15~30分、より好ましくは15~25分である。30分を超えると、パルパー12内での攪拌、離解で石膏分の破片化が促進され、石膏の残渣が微細化される。石膏は、比重が2.2g/cm程度であり、次工程の第1分離工程や第2分離工程においてクリーナで除去可能であるが、石膏の微細化が進行しすぎると、クリーナでの除去効率の低下を招くおそれがある。また、石膏含有古紙10に含まれる石膏分が過度に微細化されると第2分離工程において、石膏分がスクリーンを通過し、回収されない。また、過度に微細化された石膏分には粘着物が付着しづらく、粘着物の増粒化が促進されないので石膏分の除去が効果的になされない。そうすると、製造される古紙パルプが石膏分やカルシウム分を含むものとなり、品質の良いものとならないおそれがある。離解時間が15分より短いと、石膏含有古紙10以外の古紙パルプ原料11が十分に離解されないおそれがある。
(pH)
離解工程で行う離解処理時の混合水のpHは6~10とするとよい。また、pHが6~7であると好ましく、pHが6~6.8であるとより好ましい。この範囲のpHでは石膏の溶解度はほとんど変動しない。pHが6よりも酸性側であると、pH調整剤等の薬品を多量に添加する必要がある場合がある。この薬品を多量に添加すると古紙パルプの製造工程に内在する炭酸カルシウムを溶解させ、結果、硫酸カルシウム等が発生し、スケールの原因となる。一方、pHが10より大きいアルカリ性側であると、古紙パルプの製造設備、例えば、配管等にアルカリ由来のスケールが発生することがある。このスケールの発生原因は明らかではないが、おそらくアルカリ性溶液で溶解された石膏が、その後のpHの変化等で析出されたことによるものと考えられる。
(パルパー)
離解工程では粘着紙9及び石膏含有古紙10が含有された古紙パルプ原料11がパルパー12に投入され離解される。パルパー12の構造は限定されず、例えば、パルパー12に備わるタブ内に古紙パルプ原料11と水を投入し混合水とし、タブ下部や側面に設けられるロータの回転で混合水が攪拌されて離解される。パルパー12は特に制限なく使用でき、低濃度パルパー、中濃度パルパー、高濃度パルパーのいずれでもよい。およそ低濃度パルパーは古紙パルプ原料を3~5質量%(乾燥固形分濃度)で離解し、中濃度パルパーは5~13質量%(乾燥固形分濃度)で離解し、高濃度パルパーは13~18質量%(乾燥固形分濃度)で離解できる。混合水に対して古紙パルプ原料11を3~18質量%(乾燥固形分濃度)となるようパルパー12に投入するとよく、この古紙パルプ原料11の乾燥固形分濃度に応じて適宜のパルパー12を用いることができる。しかしながら、この範囲に限るものではない。
古紙パルプ原料11の乾燥固形分濃度の高低がパルパー12で攪拌される古紙パルプ原料11のせん断力に影響を与える。乾燥固形分濃度が3質量%より低い濃度だと、石膏含有古紙10から溶解されるカルシウムイオンの濃度が相対的に低くイオン封鎖剤を添加する利点が乏しい。また、パルパー12に備わる離解刃や攪拌羽の回転で古紙パルプ原料11が機械的なせん断力を受ける。結果、石膏含有古紙10に付着された石膏分が細分化され、その後の工程、例えば、クリーナ13による重力差で分離され難くなる。一方、18質量%より高い濃度だとイオン封鎖剤も多く添加する必要が生じる。イオン封鎖剤の多量添加は、前述したとおり好ましくない。また、混合水の流れで古紙パルプ原料11相互の繊維間の摩擦力が支配的に働き、石膏分が分散し破片化がなされクリーナ13を摩耗させる原因となる。
石膏含有古紙10が含有された古紙パルプ原料を離解するパルパー12として、タブ式パルバー、ドラム式パルパー等を例示できる。また、パルパーの稼働はバッチ式であっても連続式であってもよい。
<分離工程>
分離工程は、パルプ混濁液から石膏分を分離除去して残分を得る分離工程である。分離工程は例えば、クリーナ13による第1分離工程(粗選工程)と、スクリーンによる第2分離工程(精選工程)とに細分されてもよい。この場合、第1分離工程(粗選工程)では比重の違いによりパルプ混濁液中の重量物を分離除去して第1残分(粗選物)が得られる。第2分離工程(精選工程)では、大きさ基準でこの第1残分(粗選物)を分離除去して第2残分(精選物)が得られる。また、分離工程は、第1分離工程(粗選工程)のみとしてもよいし、第2分離工程(精選工程)のみとしてもよい。
<第1分離工程>
古紙パルプの原料11は離解工程で離解処理され、パルプ混濁液として次工程である第1分離工程に送られる。しかしながら、パルプ混濁液は第1分離工程を経ずに第2分離工程に送られてもよい。
第1分離工程は粗選設備(クリーナ13)を用いて比重差で重異物とそれ以外の残分に分離を行う工程である。この粗選設備に加え、後述する、除塵するためのスクリーン設備や比重差の相対的に小さい異物を除去するためのスクリーン設備や、第1残分を一時貯留するタンク14等を設ける場合は、当該設備及びタンク14を含めて第1分離工程としてもよい。第1分離工程は、第1粗選処理のみの工程としてもよいし、第1粗選処理後の第1残分に第2粗選処理を行う工程としてもよい。クリーナ13にパルプ混濁液が投入され、適宜、水が注入された状態でクリーナ13内で旋回流を起こす。パルプ混濁液に含まれる重異物が旋回流で遠心力を受けて分離し、除去(排出)され、第1残分が回収される。クリーナ13は例えば、被処理物の乾燥固形分濃度3~5質量%に使用される高濃度クリーナや乾燥固形分濃度1~3質量%に使用される中濃度クリーナを使用できる。クリーナ13は1台又は複数台設けてもよく、複数台設ける場合は、クリーナ13を直列又は並列に配置してパルプ混濁液をクリーナ13各々に対し、直列又は並列に投入させてもよい。クリーナ13による処理ではパルプ混濁液に適宜水を注入して、石膏分のさらなる微細化を抑えつつ石膏分を除去するとよい。ここで、重異物には、金属類(例えば、鉄、銅、アルミニウムその他の金属)の他、石膏や砂分等を含んでよい。
(クリーナ)
クリーナ13は高濃度クリーナを1台又は複数台設置してもよいし、中濃度クリーナを1台又は複数台設置してもよい。また高濃度クリーナと中濃度クリーナを組み合わせて設置してもよい。一例に高濃度クリーナで第1粗選処理してその第1残分を、中濃度クリーナで第2粗選処理してもよい。また、中濃度クリーナで第1粗選処理してその第1残分を、高濃度クリーナで第2粗選処理してもよい。高濃度クリーナと中濃度クリーナを組み合わせて粗選処理すると次の利点があり好適である。第1粗選処理で石膏分が除去された残分に微細化された石膏分が含まれる場合がある。この第1残分について第2粗選処理をすることでより石膏分が除去されることになり、古紙パルプの品質の向上化が図られる。
クリーナ13はクリーナ13内に内容物(例えば、パルプ混濁液)を投入し、旋回流を発生させ、パルプ混濁液に遠心力を与え、比重差で分離して第1残分を得るものである。図3~図5を参照しつつ説明すると、クリーナ13は下部に向かうに従い細まる円錐形状の装置であり、クリーナ13上部は平面視ほぼ円形になっている。クリーナ13本体の上部には、同クリーナ13の壁面を貫通してパルプ混濁液を投入する投入部13aが備わる。この投入部13aを通じてクリーナ13外部からクリーナ13内にパルプ混濁液が投入される。そして、投入部13aから投入されたパルプ混濁液が、投入直後において旋回流に沿って流れるように、投入方向13cを定めるとよい。投入部13aは筒状やチューブ状とすることができる。パルプ混濁液が投入部13aを通じてクリーナ13内に流れ込む投入方向13cとクリーナ13本体の軸心13bとのなす角度θは鋭角とするとよい。なお、同角度θとは、同投入方向13cとクリーナ13本体の軸心13bがねじれの位置関係にあるが、軸心13bと投入方向13cとが交わる位置関係に、投入方向13cを平行移動させたときの角度をいう。換言すると、軸心13bを通り、同投入方向13cに平行に切断した断面(すなわち、図4に示す紙面)において、軸心13bと投入方向13cとのなす角度θ)をいう。クリーナ13の下部に備わる排出部13fから重異物33が排出され、上端中央に備わる回収部13dから第1残分32が回収される。投入部13aから投入されたパルプ混濁液のうちの重異物33が旋回流に沿ってらせん状に旋回しつつ重力で落下する。同角度θを鋭角とすることで、パルプ混濁液がクリーナ13内に投入された直後から、旋回流に沿って旋回し、大きな遠心力を得ることになる。結果、比重差の違いにより高い分離能をもって内容物が分離される。なお、パルプ混濁液の投入方向13cと旋回流の方向は、クリーナ13内部における投入部13aの先端においてほぼ一致している。ここで、同角度θは10°~80°であると好ましく、20°~70°であるとより好ましく、30°~60°であると好適である。角度θが10°を下回ると、パルプ混濁液が遠心力を得にくくなり、角度が80°を上回るとパルプ混濁液を投入しづらくなる。
石膏の比重は、2.3g/cmであり、古紙パルプ原料11に含まれる他の異物、例えば、鉄や銅、アルミニウムの比重よりも小さく、クリーナ13による十分な分離が行えない場合がある。前述の角度θでパルプ混濁液を投入すると、パルプ混濁液が大きな遠心力を得ることになる。結果、古紙パルプとの比重差が相対的に小さい石膏分においても大きな遠心力を得ることができ、石膏分の大部分が重異物33として排出可能となる、ことを発明者は知見している。
クリーナ13で粗選処理する場合のパルプ混濁液(乾燥固形分濃度)は、2.0~5.5質量%にするとよく、2.5~5.0質量%にするとより好ましい。2.0質量%を下回ると生産性の低下を招き、5.5質量%を上回るとカルシウムイオン濃度が高濃度となり、その後の工程に悪影響を及ぼしたり、比重差による分離が好適になされなかったりする原因となる。2.0~5.5質量%で粗選処理するために第1分離工程に先立ち、適宜、パルプ混濁液を希釈したり、脱水して濃縮したりする濃度調整工程を設けてもよい。
例えば、パルプ混濁液に石膏分のほか、例えば、鉄、銅、アルミニウム等、砂分が含有される場合、クリーナ13を2台直列に配置し、第1クリーナ13で重量異物を除去し、残分を続く第2クリーナ13に流入させ、石膏を除去する手法を採ることもできる。クリーナ13のパルプ混濁液投入圧、軽量物の出口圧、重異物の出口圧、注入水の水圧、パルプ混濁液13の濃度等の条件を適宜調節することで、軽量物と重異物の分離性能が変わる。これら条件を調節することで、所望の大きさの石膏分をパルプ混濁液から分離することができる。なお、比重(g/cm)は鉄7.8、銅8.5、アルミニウム2.7、石膏2.3である。
(処理時間)
十分な粗選処理がされる限り、クリーナ13の処理時間は特に限定されず、例えば作業性等を考慮して適宜調節できる。一例としては、クリーナ13を複数台設置して直列的にパルプ混濁液を処理する場合は、第1粗選処理の処理時間を相対的に短く調節して古紙パルプに対して比重の大きいもの(比重差の相対的に大きいもの)を中心に除去し、第2粗選処理の処理時間を相対的に長く調節して、古紙パルプに対して比重のわずかに大きいもの(比重差の相対的に小さいもの)を中心に除去するよう調節することができる。
(イオン封鎖剤)
第1分離工程では、イオン封鎖剤を添加して粗選処理を行うことができる。パルプ混濁液中には、カルシウムイオンが含まれる。このカルシウムイオンとイオン封鎖剤との反応で水難溶性のリン酸カルシウムやシュウ酸カルシウムが生成され、固体として析出する。カルシウム分が固体化されるので、カルシウム分を古紙パルプの製造工程の系外に排出し易くなる。カルシウムイオン分が抄紙工程に存在すると、サイズ剤や紙力剤等の薬剤と反応し、薬剤効果を低下させる原因となる。また、白水中でピッチ状物質を発生させる原因ともなる。
(タンク)
クリーナ13で処理された残分の品質を均一にするためクリーナ13の下流にタンク14を設けることができる。このタンク14においてもイオン封鎖剤を添加してカルシウム分を析出させるとよい。
(温度)
第1分離工程で行う被処理物(パルプ混濁液や白水、希釈に使用される水、循環に使用される液体等)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さいため好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。このように50℃以上でパルプ混濁液を処理することで、パルプ混濁液を含む被処理物の液分(例えば、水分)に溶解されていたカルシウムイオンの一部と硫酸イオンの一部が結合して硫酸カルシウムとして析出される。析出された硫酸カルシウムがクリーナ13やスクリーン、次工程で除去される。また、被処理物の液分のカルシウムイオン濃度が低下するのでスケールの発生が抑制される。なお、析出された硫酸カルシウムに、被処理物中の微細化された粘着物が付着し増粒化されて、析出物の体積が大きくなるので、第1分離工程での析出物の除去が容易になる。
しかしながら、硫酸カルシウムの溶解度は低温度でも低下する傾向にある(図2参照)。例えば、25℃以下、より好ましくは20℃以下で処理するのも同様の理由から好ましい。しかしながら、イオン封鎖剤や凝結剤、凝集剤、粘着物等の活性温度、設備機器の安定稼働を考慮し、処理温度の下限を10℃にするとよい。
(除塵工程)
第1分離工程を経た残分を第2分離工程に投入するに先立ち、除塵工程を挿入してもよい。同残分に古紙パルプ以外の異物が混入されている場合にこの異物を除塵工程で除去できる。除塵工程では公知の各種スクリーン設備を用いることができる。
前述したように金属類や砂分、石膏等は古紙パルプとの比重差を利用したクリーナ13で除去することができるが、古紙パルプとの比重差の相対的に小さい異物はクリーナ13で除去することが困難である。このような異物を除去するために公知の各種スクリーン設備を設けるとよい。このスクリーン設備はクリーナ13の下流側に設けると好ましい。このスクリーン設備を設ける場合は、このスクリーンの被通過物に適宜、水を加えて希釈させることができる。
<第2分離工程>
第2分離工程は、第1残分32に含まれる大異物を大きさ基準で分離除去して第2残分を得る工程である。具体的には第1分離工程により重異物が除去された第1残分32は次工程である第2分離工程に投入される。第2分離工程ではスクリーン設備が設けられ、同残分をスクリーン設備を通過させて、通過しなかった大異物と通過した第2残分(通過物)に分離する工程である。同大異物は製造フローの系外に除去される。除去される大異物は主に粗い未溶解古紙等の未溶解原料やクリーナ13で除去しきれなかった軽量異物等である。また、析出された硫酸カルシウムに、被処理物中の微細化された粘着物が付着し増粒化されて、析出物の体積が大きくなるので、この析出物も第2分離工程で容易に除去される。
(スクリーン設備)
スクリーン設備の一例として、貫通した丸穴形状を多数有するホールスクリーンを提示できる。同丸穴の径が1.2~2mmであると好ましく、1.7~2mmであるとより好ましい。スクリーン設備を通過させる被通過物(前述した第1残分32)は乾燥固形分濃度3質量%以下とするとよい。この濃度より高いとスクリーン設備の閉塞をきたすおそれがある。このスクリーン設備を通過した第2残分(通過物)は、次工程である脱液工程に導かれる。スクリーン設備で通過されなかった大異物は製造フローの系外に除去される。
前述の残分を効率よく処理するためスクリーン設備を複数台設けて並列して処理することができる。
また、異なる径からなる2種類又は3種類以上のスクリーン設備を備え、直列に配置して処理することができる。2種類のスクリーン設備を設ける場合、例えば、始めのスクリーン設備の通過物を、さらに別のスクリーン設備に通過させるとよい。別のスクリーン設備の一例として、スリット幅が0.25~0.4mm、さらには0.25~0.3mmのスリットスクリーンを提示できる。このスクリーン設備でスリット幅より大きい石膏分や未溶解分、粘着物が付着された異物を除去でき好ましい。
さらに、スクリーン設備の変形例として、図1に示す配置を提示できる。前述の第1残分32を2台のスクリーン設備(15、16)で並列に処理し、同スクリーン(15、16)の通過物が次工程に送られる。また、同2台のスクリーン設備(15、16)で通過されなかった大異物がタンク17に回収される。タンク17内でこの異物が離解を促され、その後スクリーン設備18に送られる。スクリーン設備18の通過物(第2残分)が次工程に送られ、スクリーン設備18で通過されなかった大異物が例えば、タンク19に回収され製造フローの系外に除去される。
(温度)
第2分離工程で行う被処理物(パルプ混濁液や白水、希釈に使用される水、循環に使用される水等)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さく、カルシウム分が析出され好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。
しかしながら、硫酸カルシウムの溶解度は低温度でも低下する傾向にある。例えば、25℃以下、より好ましくは20℃以下で処理するのも同様の理由から好ましい。しかしながら、イオン封鎖剤や凝結剤、凝集剤等の活性温度、設備機器の安定稼働を考慮し、処理温度の下限を10℃にするとよい。
<脱液工程>
第2分離工程でスクリーン設備を通過した精選物(第2残分)は、次工程である脱液工程に導入される。脱液工程は同精選物に含まれる液分量を減らす工程である。脱液工程には、脱液設備20による脱水処理と、予備脱水装置を設ける場合は同予備脱水装置による脱水処理と、が含まれる。脱液工程では、特に精選物が乾燥固形分濃度に限定されずに脱液処理される。一例に0.1~2質量%程度の精選物が5~25質量%程度まで脱液されるとよい。この範囲内に脱液することで、精選物に含まれる液分中のカルシウムイオンや微細な石膏を確実に除去することができる。
(脱液設備)
脱液工程に用いる脱液設備20の一例に、ディスクエキスト、ディスクシックナー等のパルプマットを用いる濾過脱水装置やスクリーンプレート(エキストラクションプレート)、SPフィルタ、トロンメル等のフィルタ、脱水エレメントを用いた自然脱液装置を提示できる。
(脱液時間)
脱液設備20及び後述の予備脱液装置で精選物(第2残分)を脱液する時間は、特に限定されない。古紙パルプ原料11の物性や精選物(第2残分)の乾燥固形分濃度により適宜調節するとよい。
(予備脱液装置)
精選物(第2残分)を前述の脱液設備20に導入するに先立ち、予備脱液装置を備えてもよい。予備脱液装置では、乾燥固形分濃度1%程度の精選物(第2残分)を脱液して乾燥固形分濃度3%以上にすることができる。カルシウムイオンや微細な石膏を予備脱液装置で所定量除去された精選物(第2残分)を脱液設備20に導入して処理することで、よりカルシウム分や微細な石膏の除去効率が向上する。
(温度)
脱液工程で行う精選物(第2残分)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さくカルシウム分が析出され好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。
(凝集剤等)
精選物を脱液工程に導入する際、凝集剤や凝結剤を添加することができる。添加は、例えば、精選物(第2残分)を脱液設備20に導入する直前、又は/及び予備脱液装置を設ける場合は精選物(第2残分)を予備脱液装置に導入する直前、に行うことができる。
凝集剤や凝結剤の添加率は、設備の構造等によるが精選物(第2残分)に対して乾燥固形分濃度0.005~0.05質量%にするとよく、0.01~0.04質量%にするとより好ましい。添加率が0.005質量%よりも低いと、精選物(繊維凝集体)への無機分の取り込みが不十分となり凝集効果、凝結効果が小さい。添加率が0.05質量%よりも高いと、精選物のパルプ繊維が極端に凝集され地合いの悪化を招き、凝集剤・凝結剤のコストも嵩み実用的ではない。
本実施形態において用いられる凝集剤の成分としては、従来から歩留り向上剤として使用されてきた高分子凝集剤、無機凝集剤のいずれをも使用することができる。高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリアミン(PAm)、ポリエチレンオキシド(PEO)等の有機高分子系凝集剤を一例に挙げることができる。特に、PAM及びPAmの少なくとも1種を用いることが好ましい。凝結剤としては、例えば、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリダドマック、PDADMAC)、ポリアミン(PAm)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、メタクリル酸等の有機高分子系凝結剤や、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝結剤を一例に挙げることができる。
(洗浄工程)
前述の離解工程、第1分離工程、第2分離工程の少なくともいずれかの一工程以上の工程を経た処理物(例えば、パルプ混濁液、第1残分32(クリーナ13からの回収分)、精選物(第2残分)等)に対して、適宜洗浄する洗浄工程を挿入することもできる。
(循環液)
離解工程、第1分離工程、第2分離工程、脱液工程での除去物には液分が含まれる。この液分を離解工程、第1分離工程、第2分離工程のうちの少なくともいずれか一工程以上の工程に再度循環液41として送ることで、古紙パルプの製造フローから系外に排出される液分量を低減できる。再度循環液41を送る場合、除去物中の液分に含まれるカルシウム分を除去した後に流入させるとよい。カルシウム分の除去手法としてイオン封鎖剤を添加して析出させる手法を一例に挙げることができる。また、同液分にはイオン封鎖剤が含まれているので、液分を循環液41として利用することで、一連の製造工程においてイオン封鎖剤の総添加量を低減でき、経済的である。
(その他設備)
脱液工程で脱液された脱液物、すなわち古紙パルプは、紙の製造に送られる。紙の製造の進捗状況に応じて、同脱液物が一時貯留されるタンク21、22、23を順に脱液工程の下流側に設けることができる。タンク21は脱液工程を経た脱液物を一時貯留するタンクである。タンク22は、前述脱液物ならなる古紙パルプを、抄紙工程に所定の間隔で送るために古紙パルプを一時的に貯留するタンクである。タンク23は、抄紙工程の原料を貯蔵するタンクである。同原料には古紙パルプのみならず、各種の原料が配合されたパルプも混在する。種箱24は抄紙工程に抄紙の原料を安定供給するための装置である。
(古紙パルプの物性)
本実施形態の製造フローを経て得られた、石膏分を含む古紙パルプは後述する物性値を満たすことで、紙原料に用いることができ、好適には、板紙、ダンボール原紙、中芯原紙等の厚紙で強度が必要な紙の原料に用いることができる。
カナディアンスタンダードフリーネス(以下、単に「フリーネス」ともいう。)は、360mL~580mLが好ましく、450mL~520mL以下がさらに好ましい。この範囲とすることで、板紙、ダンボール原紙、中芯原紙等のような厚紙の紙原料とした際、脱水が良好となり抄紙し易く、得られる用紙の各強度と伸びが最適なものとなる。
比破裂強度は、14(N・cm)×100/(g/m)~30(N・cm)×100/(g/m)が好ましく、18(N・cm)×100/(g/m)~22(N・cm)×100/(g/m)がさらに好ましい。この範囲とすることで、板紙、ダンボール原紙、中芯原紙等の厚紙で強度が必要な紙の原料として適切である。
比リング強度は、132N・m/g・100~206N・m/g・100が好ましく、160N・m/g・100~190N・m/g・100がさらに好ましい。この範囲とすることで、板紙、ダンボール原紙、中芯原紙等の厚紙で強度が必要な紙の原料として適切である。
灰分は、10.0%~25.0%以下が好ましく、12.0%~15.0%がさらに好ましい。この範囲とすることで、得られる用紙が灰分(填料)の影響により、サイズ度の低下を低減でき、さらに剛直性を付与できる。これは、上記灰分中の石膏が填料としての機能をはたしているためと推測される。10.0%を下回ると石膏分由来の填料としての効果が得られないものとなる。また、25.0%を超えると無機塩等の無機物質の含有割合が高くパルプの強度が十分でないものとなる。
6カット残渣は0.1%~6.0%が好ましく、0.6%~2.0%であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、得られる用紙の各強度と伸びが最適なものとなる。0.1%を下回ると、石膏が填料としての機能を十分にはたさなくなる。6.0%を上回るとパルプ繊維が結束されている可能性があり、パルプの強度が十分でないものとなる。
(紙の製造)
本実施形態の製造フローを経て得られた脱液物(古紙パルプ)を用いて紙が製造される。紙の製造のうちの抄紙工程は、公知の手法を採用することができ、特に限定されない。本発明ではこれまで困難とされてきた粘着紙9及び石膏含有古紙10を含有する古紙パルプ原料11を用いて古紙パルプの製造を行っている。本発明によれば粘着紙9に付着される粘着物や石膏含有古紙10に付着される石膏分が確実に除去される。よって、紙の抄造する場合や加工する場合、紙を長期保管した場合に斑点の発生や異物の付着、粘着物による貼り付きが効果的に抑制される。このことからも本発明は、従来は廃棄処分されていた粘着紙9及び石膏含有古紙10を同時に有効活用でき資源の再利用化の観点からも極めて有用性の高いものである。
抄紙工程に使用される原料は、本実施形態により得られた古紙パルプとすることができる。しかしながら、古紙パルプに限らず他のパルプを本実施形態により得られた古紙パルプに任意の比率で配合した原料を抄紙工程に使用することができる。ここで他のパルプとしては、以下のものを用いることができる。
例えば、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹または広葉樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、針葉樹または広葉樹を用いた機械パルプ、例えば、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等、段ボールを離解した古紙パルプ、塗工紙や塗工原紙、その他の紙を含む損紙を離解してなるコートブローク、及び、これらのパルプの2種以上の混合物を併用して抄紙してもよい。
また本発明においては、紙を抄造する際に薬品や填料を添加してもよい。添加する薬品としては、ロジンエマルションや中性ロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン/アクリル共重合体などのサイズ剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性のポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸を含む樹脂、グアーガムなどの乾燥紙力増強剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性の変性澱粉、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン、カルボキシメチルセルロースなどの湿潤紙力増強剤、濾水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料、凝結剤、嵩高剤、歩留剤などが挙げられる。また、填料としては、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子であれば良く、特に限定はない。具体的には、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する再生填料が好ましく使用される。
以下に具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる以下の例に限定されるものではない。図1の製造フローに従って古紙パルプを製造した。
(1)離解工程
タブ式低濃度パルパーに粘着紙9及び石膏含有古紙10と段ボール古紙を含む古紙パルプ原料11、イオン封鎖剤を添加し、これに水を加え、処理濃度5.0質量%で表1に示す条件にて離解処理を行った。
(2)第1分離工程
上記(1)のタブ式低濃度パルパーで処理されたパルプ混濁液に水を加え、高濃度クリーナ(処理濃度:4.0質量%)で処理した。
(3)第2分離工程
上記(2)の第1分離工程を経た残分をホールスクリーン(口径:2.0mm、丸穴形状)に通過させ通過されなかった未溶解原料及び軽量異物を除去し、通過物についてスリットスクリーン(スリット幅:0.25mm)を通過させ、通過されなかった微小石膏分等異物を除去し、通過物(精選物)を脱液工程に導いた。
(4)脱液工程
上記(3)で得られた精選物を、表2に示す脱液濃度(乾燥固形分濃度)となるまで脱液濃縮設備で脱液濃縮し、古紙パルプを得た。
得られた古紙パルプについて、以下の方法にて各特性(物性)を測定した。
<品質評価>
(a)灰分
JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ-灰分試験方法-525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した。
(b)6カット残渣
平成18年10月17日付け印刷用粘着紙メーカー会により発布された「リサイクル対応型シール(全離解可能粘着紙)の暫定業界基準と運用について」に記載される1.1)評価試験方法に準拠して測定した。
(c)カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)
JIS P 8251「パルプのろ水度試験方法」に記載の方法に準拠し、カナディアンスタンダードフリーネステスター(型番:カナダ標準濾水度計、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
(d)比破裂強度
JIS P 8222「試験用手抄き紙の調整方法」に記載の方法に準拠して作成したパルプシートを、JIS P 8223「試験用手抄き紙-物理的特性の試験方法」に規定されている、JIS P 8112「紙及び板紙のミューレン低圧破裂試験機による破裂強さ試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(e)比リング強度
JIS P 8222「試験用手抄き紙の調整方法」に記載の方法に準拠して作成したパルプシートを、JIS P 8223「試験用手抄き紙-物理的特性の試験方法」に規定されている、JIS P 8126「紙及び板紙-圧縮強さ試験方法-リングクラッシュ法」に記載の方法に準拠して測定した。
測定条件及び測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 0007272812000001
Figure 0007272812000002
結果から、本発明の実施形態に係る製造方法にて得られた古紙パルプは、灰分が比較的少なく、かつ良好な品質を具備したものであることがわかる。
(その他)
本実施形態の各工程で使用される水は、特に限定されないが、一例に水道水、イオン交換水、純水、蒸留水、下水二次処理水、下水高度処理水、工業用水、アルカリイオン水、バナジウム水、水素水、還元水、温泉水、海洋深層水、炭酸水、蒸留水、シリカ水、酸素水、物質が混入された水、薬品や試薬などが溶解された水、その他の水を使用できる。これらの水には、通常カルシウムイオンに代表されるカルシウム分が含有される。カルシウム分とは、一例としてCa2が溶解されている溶液、析出されたカルシウム塩をいうが、これらに限定されない。
本明細書に記載される平均粒子径はJIS Z8825:2013に規定される測定方法で測定されたものである。
本発明で製造された古紙パルプは、特に限定されないが、石膏ボード用紙としてリサイクルでき、また、板紙やクラフト紙等の産業用紙として適用可能である。 例えば板紙に代表される産業用紙の具体例としては、高級白板紙・特殊白板紙・白ボール等を含む白板紙、ライナー、中芯原紙、紙管原紙、建材用原紙、紙器用原紙等を挙げることができる。
9 粘着紙
10 石膏含有古紙
11 古紙パルプ原料
13 クリーナ
13a 投入部
13f 排出部

Claims (7)

  1. 古紙パルプ原料から古紙パルプを製造する方法であって、
    石膏分を含む古紙と粘着物を含む古紙とが混合された古紙パルプ原料を50℃未満で離解させてパルプ混濁液とする離解工程と、
    前記パルプ混濁液から粘着物が付着した石膏分を分離除去して残分を得る分離工程と、
    を備え、
    前記古紙パルプ原料は、前記石膏分を含む古紙を0.1~10質量%、前記粘着物を含む古紙を0.1~10質量%含有するものであり、
    前記離解工程及び前記分離工程の少なくともいずれか一方にイオン封鎖剤を添加するものである、
    ことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
  2. 前記分離工程は、前記パルプ混濁液中の石膏分を含む重量物を比重差で分離除去して前記残分を得るものである、
    請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
  3. 前記分離工程は、50℃以上で行うものである、
    請求項1又は請求項2に記載の古紙パルプの製造方法。
  4. 前記石膏分を含む古紙は、紙が付着した石膏を破砕して得たものであり、
    前記石膏の破砕に際して発生した微細な石膏を前記離解工程及び前記分離工程の少なくともいずれか一方に投入する、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の古紙パルプの製造方法。
  5. 前記残分に含まれる液分量を減らす脱液工程を備える、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の古紙パルプの製造方法。
  6. 製造された前記古紙パルプは、灰分が10.0%~25.0%となるものである、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の古紙パルプの製造方法。
  7. 前記イオン封鎖剤の濃度が4.0~20.0kg/パルプ1000kgである、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の古紙パルプの製造方法。
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