JP7251992B2 - 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ - Google Patents
古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ Download PDFInfo
- Publication number
- JP7251992B2 JP7251992B2 JP2019014662A JP2019014662A JP7251992B2 JP 7251992 B2 JP7251992 B2 JP 7251992B2 JP 2019014662 A JP2019014662 A JP 2019014662A JP 2019014662 A JP2019014662 A JP 2019014662A JP 7251992 B2 JP7251992 B2 JP 7251992B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- waste paper
- paper pulp
- gypsum
- residue
- slurry
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/64—Paper recycling
Landscapes
- Paper (AREA)
Description
石膏分を含む古紙を0.1~10質量%含有する古紙パルプ原料を混合させて、スラリを調整する離解工程と、
前記スラリに含まれる重異物を比重差で分離して第1残分を得る粗選工程と、
前記第1残分に含まれる大異物を大きさ基準で分離して第2残分を得る精選工程を備え、
前記離解工程では、イオン封鎖剤を添加させて50℃未満の温度で混合し、
前記第2残分を古紙パルプとする、
ことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
前記古紙パルプ原料の乾燥固形分濃度が3~18質量%である、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
前記粗選工程では50℃以上の温度で分離する、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
前記粗選工程が、下部に向かうに従い細まる円錐形状の分離装置を備えた工程であり、
前記分離装置は、
投入された前記スラリを旋回流させつつ比重差で分離し、下部に備わる排出部から前記重異物を排出し、上部に備わる回収部から前記第1残分を得るものであり、
前記分離装置の上部に、前記スラリの投入部が備わり、
前記投入部の投入方向が旋回流の流れ方向に沿って配されるものである、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
前記精選工程では50℃以上の温度で分離する、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
前記石膏分を含む古紙は、この石膏分を含む古紙から発生する塵分を除去したものである、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
石膏分を含む古紙を0.1~10質量%含有する古紙パルプ原料に、イオン封鎖剤を添加して混合させたスラリを原料とし、
フリーネスが400ml~580mlであり、
比破裂強度が14(N・cm2)×100/(g/m2)~30(N・cm2)×100/(g/m2)であり、
比リング強度が132N・m2/g・100~206N・m2/g・100であり、
灰分が10.0%~25.0%であり、
6カット残渣が0.1%~6.0%である、
ことを特徴とする古紙パルプ。
(1)石膏分を含む古紙10が含有された古紙パルプ原料11の、パルパー12による離解工程
(2)分離装置13による粗選工程
(3)スクリーンによる精選工程
(4)脱水工程
を有するものである。
一般的に石膏ボードは次記のとおりに製造される。二水石膏を焼いて脱水されたもの(焼石膏)が、結晶化するための結晶水を含むことで結晶化される。この結晶化された石膏には微細な針状が無数に存在し、結晶相互が密に絡み合う。この石膏と石膏以外の材料とでボード状に加工し、ボード表面に原紙を貼ることで、針状の石膏が原紙の繊維に絡み、密着して石膏ボードが形成される。この石膏ボードから剥離した紙を「石膏ボードの剥離紙」という。一般的に使用される石膏ボードに含有される石膏分は、75%以下であると有用性に富み、特に5~70%であるとより好ましく、さらに40~65%であると好適である。
古紙パルプ原料11には、前述の石膏分を含む古紙10を含むほか、例えば、雑誌、新聞用紙、中質紙、上質紙、塗工紙、微塗工紙、PPC用紙(トナー印刷用紙)、段ボール、白板紙、所謂古紙禁忌品に相当する感熱記録紙、ノーカーボン紙、帳票、色上質紙、紙器、シール・ラベルが含まれてもよく、光沢のある印刷物やOPニスやUVクリアコート等の表面加工処理した印刷物が含まれてもよい。
離解工程は、パルパー(離解機)12に乾燥固形分濃度で0.1~10質量%の石膏分を含む古紙10が含有された古紙パルプ原料11を水と共に投入し混合水とし、離解処理を行う工程である。離解処理することで古紙パルプ原料11がスラリ化される。特に乾燥固形分濃度で4~8質量%の石膏分を含む古紙10を含有する古紙パルプ原料11であると好適である。この混合水に対して古紙パルプ原料11を5~18質量%(乾燥固形分濃度)とするとよい。0.1質量%未満だと、石膏分を含む古紙10の離解効率が低く、10質量%を超えると石膏の遊離物が古紙パルプ原料に付着するおそれがあったり、パルパー12を摩耗させたりする原因となる。
図2は、常温常圧で水100gに対する硫酸カルシウム無水和物の溶解度31を測定した結果を示すグラフである。同図の横軸は温度(℃)、縦軸は溶解度(%)を示す。
前述の離解工程でイオン封鎖剤を添加して離解処理を行うこともできる。イオン封鎖剤を添加することで、石膏ボードが離解処理されて水に溶け出すカルシウムイオンの濃度を低減化することができる。カルシウムイオンが、離解処理されたスラリに含まれると、後の工程でカルシウムイオンがスケール化し、古紙パルプの製造設備や古紙パルプにスケールが付着し、製造設備の摩耗や製造製品の品質の低下を招く原因となる。ここで、スケールとは、一例として、処理工程の水に含まれる炭酸カルシウムや硫酸カルシウム等が固化して析出されたものをいう。
(化1)
CaSO4・2H2O → Ca2++SO4 2-+2H2O ・・・式(1)
(化2)
Ca2++H3PO4 → Ca(H2PO4)2↓ +2H+・・・式(2)
離解工程で使用されるパルパー12ではパルパー12に備わる刃により古紙パルプ原料11がせん断される。この離解工程で離解処理を行う時間(離解時間)は15~30分、より好ましくは15~25分である。30分を超えると、パルパー12内での攪拌、離解で石膏分の破片化が促進され、石膏の残渣が微細化される。石膏は、比重が2.2g/cm3程度であり、次工程の粗選工程や精選工程において分離装置で除去可能であるが、石膏の微細化が進行しすぎると、分離装置での除去効率の低下を招くおそれがある。離解時間が15分より短いと、石膏分を含む古紙10以外の古紙パルプ原料11が十分に離解されないおそれがある。
離解工程で行う離解処理時の混合水のpHは6~10とするとよい。また、pHが6~7であると好ましく、pHが6~6.8であるとより好ましい。この範囲のpHでは石膏の溶解度はほとんど変動しない。pHが6よりも酸性側であると、pH調整剤等の薬品を多量に添加する必要がある場合がある。この薬品が古紙パルプの製造工程に内在する炭酸カルシウムを溶解させ、結果、硫酸カルシウム等が発生し、スケールの原因となる。一方、pHが10より大きいアルカリ性側であると、古紙パルプの製造設備、例えば、配管等にアルカリ由来のスケールが発生することがある。このスケールの発生原因は明らかではないが、おそらくアルカリ性溶液で溶解された石膏が、その後のpHの変化等で析出されたことによるものと考えられる。
石膏分を含む古紙10が含有された古紙パルプ原料11はパルパー12に投入され離解される。パルパー12の構造は限定されず、例えば、パルパー12に備わるタブ内に古紙パルプ原料と水を投入し混合水とし、タブ下部や側面に設けられるロータの回転で混合水が攪拌されて離解される。パルパー12は特に制限なく使用でき、低濃度パルパー、中濃度パルパー、高濃度パルパーのいずれでもよい。およそ低濃度パルパーは古紙パルプ原料を3~5質量%(乾燥固形分濃度)で離解し、中濃度パルパーは5~13質量%(乾燥固形分濃度)で離解し、高濃度パルパーは13~18質量%(乾燥固形分濃度)で離解できる。混合水に対して古紙パルプ原料11を3~18質量%(乾燥固形分濃度)となるようパルパー12に投入するとよく、この古紙パルプ原料11の乾燥固形分濃度に応じて適宜のパルパー12を用いることができる。しかしながら、この範囲に限るものではない。
石膏を含む古紙は、離解工程に直接投入されてもよいが、離解工程に投入される前に、溶解し易いよう破砕等して適宜細かなサイズへ調整後に投入されてもよい。破砕などする際、石膏を含む古紙から塵分が発生する。そこで、集塵装置25(例えば電気集塵機や排風ダクト、ドラフトチャンバ等)を用いて、塵分を除塵して除去するとよい。石膏を含む古紙を離解工程に投入する前に同石膏を含む古紙から発生する塵分をあらかじめ除くことで、微細なカルシウム分がスラリに溶け込んだり、製造される古紙パルプに付着するのを低減でき、灰分を低減でき良質な古紙パルプを得ることができる。
離解工程で離解処理された古紙パルプ原料11はスラリとして次工程である粗選工程に送られる。しかしながら、スラリは粗選工程を経ずに精選工程に送られてもよい。離解工程で石膏分を含む古紙10に含まれる石膏分の破片化・微細化が促進されると精選工程において、石膏分がスクリーンを通過し、回収されない。そうすると、製造される古紙パルプが石膏分やカルシウム分を含むものとなり、品質の良いものとならないおそれがある。
分離装置13は高濃度分離装置を1台又は複数台設置してもよいし、中濃度分離装置を1台又は複数台設置してもよい。また高濃度分離装置と中濃度分離装置を組み合わせて設置してもよい。一例に高濃度分離装置で第1粗選処理してその残分を、中濃度分離装置で第2粗選処理してもよい。また、中濃度分離装置で第1粗選処理してその残分を、高濃度分離装置で第2粗選処理してもよい。高濃度分離装置と中濃度分離装置を組み合わせて粗選処理すると次の利点があり好適である。第1粗選処理で石膏分が除去された残分に微細化された石膏分が含まれる場合がある。この残分について第2粗選処理をすることでより石膏分が除去されることになり、古紙パルプの品質の向上化が図られる。
十分な粗選処理がされる限り、分離装置13の処理時間は特に限定されず、例えば作業性等を考慮して適宜調節できる。一例としては、分離装置13を複数台設置して直列的にスラリを処理する場合は、第1粗選処理の処理時間を相対的に短く調節して古紙パルプに対して比重の大きいもの(比重差の相対的に大きいもの)を中心に除去し、第2粗選処理の処理時間を相対的に長く調節して、古紙パルプに対して比重のわずかに大きいもの(比重差の相対的に小さいもの)を中心に除去するよう調節することができる。
粗選工程では、イオン封鎖剤を添加して粗選処理を行うことができる。スラリが含まれる混合水(白水)中には、カルシウムイオンが含まれる。このカルシウムイオンとイオン封鎖剤との反応で水難溶性のリン酸カルシウムやシュウ酸カルシウムが生成され、固体として析出する。カルシウム分が固体化されるので、カルシウム分を古紙パルプの製造工程の系外に排出し易くなる。カルシウムイオン分が抄紙工程に存在すると、サイズ剤や紙力剤等の薬剤と反応し、薬剤効果を低下させる原因となる。また、白水中でピッチ状物質を発生させる原因ともなる。
分離装置13で処理された残分の品質を均一にするため分離装置13の下流にタンク14を設けることができる。このタンク14においてもイオン封鎖剤を添加してカルシウム分を析出させるとよい。
粗選工程で行う被処理物(スラリや白水、希釈に使用される水、循環に使用される水等)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さいため好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。このように50℃以上でスラリを処理することで、スラリを含む被処理物の液分(例えば、水分)に溶解されていたカルシウムイオンの一部と硫酸イオンの一部が結合して硫酸カルシウムとして析出される。析出された硫酸カルシウムが分離装置13やスクリーン、次工程で除去される。また、被処理物の液分のカルシウムイオン濃度が低下するのでスケールの発生が抑制される。
粗選工程を経た残分を精選工程に投入するに先立ち、除塵工程を挿入してもよい。同残分に古紙パルプ以外の異物が混入されている場合にこの異物を除塵工程で除去できる。除塵工程では公知の各種スクリーン設備を用いることができる。
スクリーンを用いることできる。
精選工程は、大きさ基準で第1残分32に含まれる大異物を分離除去して第2残分を得る工程である。具体的には粗選工程により重異物が除去された第1残分32は次工程である精選工程に投入される。精選工程ではスクリーン設備が設けられ、同残分をスクリーン設備を通過させて、通過しなかった大異物と通過した第2残分(通過物)に分離する工程である。同大異物は製造フローの系外に除去される。除去される大異物は主に粗い未溶解古紙等の未溶解原料や分離装置13で除去しきれなかった軽量異物等である。
スクリーン設備の一例として、貫通した丸穴形状を多数有するホールスクリーンを提示できる。同丸穴の径が1.2~2mmであると好ましく、1.7~2mmであるとより好ましい。スクリーン設備を通過させる被通過物(前述した第1残分32)は乾燥固形分濃度3質量%以下とするとよい。この濃度より高いとスクリーン設備の閉塞をきたすおそれがある。このスクリーン設備を通過した第2残分(通過物)は、次工程である脱水工程に導かれる。スクリーン設備で通過されなかった大異物は製造フローの系外に除去される。
精選工程で行う被処理物(スラリや白水、希釈に使用される水、循環に使用される水等)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さく、カルシウム分が析出され好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。
精選工程でスクリーン設備を通過した精選物(第2残分)は、次工程である脱水工程に導入される。脱水工程は同精選物に含まれる水分量を減らす工程である。脱水工程には、脱水設備20による脱水処理と、予備脱水装置を設ける場合は同予備脱水装置による脱水処理と、が含まれる。脱水工程では、特に精選物が乾燥固形分濃度に限定されずに脱水処理される。一例に0.1~2質量%程度の精選物が5~25質量%程度まで脱水されるとよい。この範囲内に脱水することで、精選物に含まれる水分中のカルシウムイオンや微細な石膏を確実に除去することができる。
脱水工程に用いる脱水設備20の一例に、ディスクエキスト、ディスクシックナー等のパルプマットを用いる濾過脱水装置やスクリーンプレート(エキストラクションプレート)、SPフィルタ、トロンメル等のフィルタ、脱水エレメントを用いた自然脱水装置を提示できる。
脱水設備20及び後述の予備脱水装置で精選物(第2残分)を脱水する時間は、特に限定されない。古紙パルプ原料11の物性や精選物(第2残分)の乾燥固形分濃度により適宜調節するとよい。
精選物(第2残分)を前述の脱水設備20に導入するに先立ち、予備脱水装置を備えてもよい。予備脱水装置では、乾燥固形分濃度1%程度の精選物(第2残分)を脱水して乾燥固形分濃度3%以上にすることができる。カルシウムイオンや微細な石膏を予備脱水装置で所定量除去された精選物(第2残分)を脱水設備20に導入して処理することで、よりカルシウム分や微細な石膏の除去効率が向上する。
脱水工程で行う精選物(第2残分)の処理は常温で行うことができる。また50℃以上、より好ましくは55℃以上で処理すると硫酸カルシウム無水和物の溶解度31が相対的に小さくカルシウム分が析出され好適である。作業上の安全性、諸設備の摩耗防止の観点から同処理の温度の上限を80℃にするとよい。
精選物を脱水工程に導入する際、凝集剤や凝結剤を添加することができる。添加は、例えば、精選物(第2残分)を脱水設備20に導入する直前、又は/及び予備脱水装置を設ける場合は精選物(第2残分)を予備脱水装置に導入する直前、に行うことができる。
前述の離解工程、粗選工程、精選工程の少なくともいずれかの一工程以上の工程を経た処理物(例えば、スラリ、第1残分32(分離装置13からの回収分)、精選物(第2残分)等)に対して、適宜洗浄する洗浄工程を挿入することもできる。
離解工程、粗選工程、精選工程、脱水工程での除去物には水分が含まれる。この水分を離解工程、粗選工程、精選工程のうちの少なくともいずれか一工程以上の工程に再度循環水として流入させることで、古紙パルプの製造フローから系外に排出される水分量を低減できる。再度循環水を流入させる場合、除去物中の水分に含まれるカルシウム分を除去した後に流入させるとよい。カルシウム分の除去手法としてイオン封鎖剤を添加して析出させる手法を一例に挙げることができる。
脱水工程で脱水された脱水物、すなわち古紙パルプは、紙の製造に送られる。紙の製造の進捗状況に応じて、同脱水物が一時貯留されるタンク21、22、23を順に脱水工程の下流側に設けることができる。タンク21は脱水工程を経た脱水物を一時貯留するタンクである。タンク22は、前述脱水物ならなる古紙パルプを、抄紙工程に所定の間隔で送るために古紙パルプを一時的に貯留するタンクである。タンク23は、抄紙工程の原料を貯蔵するタンクである。同原料には古紙パルプのみならず、各種の原料が配合されたパルプも混在する。種箱24は抄紙工程に抄紙の原料を安定供給するための装置である。
本実施形態の製造フローを経て得られた、石膏分を含む古紙パルプは後述する物性値を満たすことで、紙原料に用いることができ、好適には、板紙、ダンボール原紙、中芯原紙等の厚紙で強度が必要な紙の原料に用いることができる。
本実施形態の製造フローを経て得られた脱水物(古紙パルプ)を用いて紙が製造される。紙の製造のうちの抄紙工程は、公知の手法を採用することができ、特に限定されない。本発明ではこれまで困難とされてきた石膏分を含む古紙10を含有する古紙パルプ原料11を用いて古紙パルプの製造を行っている。本発明によれば石膏分を含む古紙10に付着される石膏分が確実に除去される。よって、紙の抄造する場合や加工する場合、紙を長期保管した場合に斑点の発生や異物の付着が効果的に抑制される。このことからも本発明は、従来は廃棄処分されていた石膏分を含む古紙10を有効活用でき資源の再利用化の観点からも極めて有用性の高いものである。
(1)離解工程
タブ式低濃度パルパーに石膏ボード石膏分を含む古紙10500kg(風乾)と段ボール古紙を含む古紙パルプ原料、イオン封鎖剤を投入し、これに水を加え、離解温度20~60℃、処理濃度5.0質量%で表1に示す条件にて離解処理を行った。
(2)粗選工程
上記(1)のタブ式低濃度パルパーで処理されたスラリに水を加え、高濃度分離装置(処理濃度:4.0質量%)で処理した。
(3)精選工程
上記(2)の粗選工程を経た残分をホールスクリーン(口径:2.0mm、丸穴形状)に通過させ通過されなかった未溶解原料及び軽量異物を除去し、通過物についてスリットスクリーン(スリット幅:0.25mm)を通過させ、通過されなかった微小石膏分を除去し、通過物(精選物)を脱水工程に導いた。
(4)脱水工程
上記(3)で得られた精選物を、表2に示す脱水濃度(乾燥固形分濃度)となるまで脱水濃縮設備で脱水濃縮し、古紙パルプを得た。
<品質評価>
(a)灰分
JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ-灰分試験方法-525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した。
(b)パルプスラリのpH
サンプルスラリを濾紙(C5、ADVANTEC社製)にて約250mL濾過し、濾液のpHをガラス電極式水素イオン濃度計(形式:D-13、(株)堀場製作所製)にて測定した。
(c)カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)
JIS P 8121-2「パルプのろ水度試験方法」に記載の方法に準拠し、カナディアンスタンダードフリーネステスター(型番:カナダ標準濾水度計、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
(d)比破裂強度
JIS P 8222「試験用手抄き紙の調整方法」に記載の方法に準拠して作成したパルプシートを、JIS P 8223「試験用手抄き紙-物理的特性の試験方法」に規定されている、JIS P 8112「紙及び板紙のミューレン低圧破裂試験機による破裂強さ試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(e)比リング強度
JIS P 8222「試験用手抄き紙の調整方法」に記載の方法に準拠して作成したパルプシートを、JIS P 8223「試験用手抄き紙-物理的特性の試験方法」に規定されている、JIS P 8126「紙及び板紙-圧縮強さ試験方法-リングクラッシュ法」に記載の方法に準拠して測定した。
(f)6カット残渣
平成18年10月17日付け印刷用粘着紙メーカー会により発布された「リサイクル対応型シール(全離解可能粘着紙)の暫定業界基準と運用について」に記載される1.1)評価試験方法に準拠して測定した。
測定条件及び測定結果を表1及び表2に示す。
本実施形態の各工程で使用される水は、特に限定されないが、一例に水道水、イオン交換水、純水、蒸留水、下水二次処理水、下水高度処理水、工業用水、アルカリイオン水、バナジウム水、水素水、還元水、温泉水、海洋深層水、炭酸水、蒸留水、シリカ水、酸素水、物質が混入された水、薬品や試薬などが溶解された水、その他の水を使用できる。これらの水には、通常カルシウムイオンに代表されるカルシウム分が含有される。カルシウム分とは、一例としてCa2+が溶解されている溶液、析出されたカルシウム塩をいうが、これらに限定されない。
11 古紙パルプ原料
13 分離装置
13a 投入部
13f 排出部
Claims (6)
- 石膏分を含む古紙を0.1~10質量%含有する古紙パルプ原料を混合させて、スラリを調整する離解工程と、
前記スラリに含まれる重異物を比重差で分離して第1残分を得る粗選工程と、
前記第1残分に含まれる大異物を大きさ基準で分離して第2残分を得る精選工程を備え、
前記離解工程では、イオン封鎖剤を添加させて50℃未満の温度で混合し、
前記第2残分を古紙パルプとする、
ことを特徴とする古紙パルプの製造方法。 - 前記古紙パルプ原料の乾燥固形分濃度が3~18質量%である、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。 - 前記粗選工程では50℃以上の温度で分離する、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。 - 前記粗選工程が、下部に向かうに従い細まる円錐形状の分離装置を備えた工程であり、
前記分離装置は、
投入された前記スラリを旋回流させつつ比重差で分離し、下部に備わる排出部から前記重異物を排出し、上部に備わる回収部から前記第1残分を得るものであり、
前記分離装置の上部に、前記スラリの投入部が備わり、
前記投入部の投入方向が旋回流の流れ方向に沿って配されるものである、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。 - 前記精選工程では50℃以上の温度で分離する、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。 - 前記石膏分を含む古紙は、この石膏分を含む古紙から発生する塵分を除去したものである、
請求項1に記載の古紙パルプの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019014662A JP7251992B2 (ja) | 2019-01-30 | 2019-01-30 | 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019014662A JP7251992B2 (ja) | 2019-01-30 | 2019-01-30 | 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020122238A JP2020122238A (ja) | 2020-08-13 |
JP2020122238A5 JP2020122238A5 (ja) | 2022-02-01 |
JP7251992B2 true JP7251992B2 (ja) | 2023-04-04 |
Family
ID=71992329
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019014662A Active JP7251992B2 (ja) | 2019-01-30 | 2019-01-30 | 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7251992B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009057667A (ja) | 2007-09-03 | 2009-03-19 | Daio Paper Corp | 新聞用紙 |
JP2009057645A (ja) | 2007-08-30 | 2009-03-19 | Daio Paper Corp | 古紙パルプ及びその製造方法 |
JP2013159865A (ja) | 2012-02-01 | 2013-08-19 | Oji Holdings Corp | 古紙パルプの製造方法 |
-
2019
- 2019-01-30 JP JP2019014662A patent/JP7251992B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009057645A (ja) | 2007-08-30 | 2009-03-19 | Daio Paper Corp | 古紙パルプ及びその製造方法 |
JP2009057667A (ja) | 2007-09-03 | 2009-03-19 | Daio Paper Corp | 新聞用紙 |
JP2013159865A (ja) | 2012-02-01 | 2013-08-19 | Oji Holdings Corp | 古紙パルプの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020122238A (ja) | 2020-08-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6285479B2 (ja) | 紙の製造方法 | |
FI120463B (fi) | Menetelmä paperin valmistamiseksi ja paperi | |
US10519598B2 (en) | Method for suppressing pitch formation | |
JPH09111681A (ja) | 故紙処理方法 | |
JP2007046180A (ja) | 製紙方法 | |
US20070025904A1 (en) | Preparation of a composition comprising an alkaline earth metal oxide and a substrate having a reduced amount of grit | |
JP7251992B2 (ja) | 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ | |
US20020079075A1 (en) | Treatment of solid containing material derived from effluent | |
JP7272812B2 (ja) | 古紙パルプの製造方法及び古紙パルプ | |
JP4299354B2 (ja) | 古紙パルプの製造方法 | |
EP2231922B1 (en) | Removal of stickies from a pulp suspension, reduction of calcium compounds in reject and use of carbon dioxide in papermaking | |
AU4868799A (en) | A microparticle system in the paper making process | |
US7449086B2 (en) | Use of synthetic metal silicates for decreasing the deposition of contaminants during a papermaking process | |
JP2020122238A5 (ja) | ||
US11447914B2 (en) | Removal of stickies in the recycling of paper and paperboard | |
EP1246965B1 (en) | Method for eliminating detrimental substances in a process liquid | |
JP2000129589A (ja) | ペ―パ―ウェブ及びその製造方法 | |
US6425973B1 (en) | Treatment of solid containing material derived from effluent | |
JP2009150046A (ja) | 古紙パルプ | |
JP2005206979A (ja) | 古紙パルプの製造方法 | |
EP0032364B1 (en) | Use of polyalkylene oxides for the separation of cellulose fibres | |
Banerjee | Decontamination of Process Streams Through Electrohydraulic Discharge | |
CA2061940A1 (en) | Aluminum hydroxychloride as pitch control agent | |
Korepta | Comparative Study of Flotation and Sidehill Washing Stages in Deinking Coated Magazine Stock | |
EP3017113A1 (en) | Production of cpcc with different crystal forms |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220124 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220124 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221223 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230106 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230127 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230303 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230323 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7251992 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |