JP7272260B2 - 物体検知装置、物体検知方法、および物体検知プログラム - Google Patents
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Description
本発明は、移動体の周囲の物体を検知する、物体検知装置および物体検知方法に関する。また、本発明は、かかる物体検知装置にて実行される物体検知プログラムに関する。
特許文献1は、超音波ソナーの一例を開示する。超音波ソナーは、超音波振動子から超音波を送信するとともに、障害物により反射した超音波を当該超音波振動子にて受信して障害物検出を行う。特許文献1に記載の超音波ソナーは、超音波送信停止後の残響時間と周波数解析の結果とに基づいて、異常を検出する。
残響信号の解析すなわち残響周波数の計測は、泥等の異物付着を含む異常の検出、送信周波数の補正、等に用いられ得る。このため、残響信号の解析を可能な限り精度良く行うことが求められている。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、残響信号の解析を可及的に精度良く行うことが可能な、装置構成、方法、およびプログラムを提供する。
物体検知装置(1)は、移動体(V)に搭載されることで、当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成されている。
請求項1に記載の物体検知装置は、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号の周波数である残響周波数を計測する、残響計測部(591)と、
前記残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する、特定区間検出部(57)と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響計測部により前記残響周波数を計測する計測区間を設定する、計測区間設定部(58)と、
を備えている。
請求項14に記載の物体検知方法は、
移動体(V)の周囲の物体(B)を検知する物体検知方法であって、以下の処理あるいは手順を含む:
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出し、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定し、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する。
請求項15に記載の物体検知プログラムは、
移動体(V)に搭載されることで当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(1)にて実行されるプログラムであって、
前記物体検知装置により実行される処理は、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する処理と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定する処理と、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する処理と、
を含む。
請求項1に記載の物体検知装置は、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号の周波数である残響周波数を計測する、残響計測部(591)と、
前記残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する、特定区間検出部(57)と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響計測部により前記残響周波数を計測する計測区間を設定する、計測区間設定部(58)と、
を備えている。
請求項14に記載の物体検知方法は、
移動体(V)の周囲の物体(B)を検知する物体検知方法であって、以下の処理あるいは手順を含む:
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出し、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定し、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する。
請求項15に記載の物体検知プログラムは、
移動体(V)に搭載されることで当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(1)にて実行されるプログラムであって、
前記物体検知装置により実行される処理は、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する処理と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定する処理と、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する処理と、
を含む。
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の単なる一例を示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(構成)
図1を参照すると、物体検知装置1は、移動体としての車両Vに搭載されることで、当該車両Vの周囲すなわち外部の物体Bを検知するように構成されている。物体検知装置1が車両Vに搭載された状態を、以下「車載状態」と称する。また、本実施形態に係る物体検知装置1を搭載する車両Vを、以下「自車両」と称する。
図1を参照すると、物体検知装置1は、移動体としての車両Vに搭載されることで、当該車両Vの周囲すなわち外部の物体Bを検知するように構成されている。物体検知装置1が車両Vに搭載された状態を、以下「車載状態」と称する。また、本実施形態に係る物体検知装置1を搭載する車両Vを、以下「自車両」と称する。
物体検知装置1は、いわゆる超音波センサとしての構成を有している。具体的には、物体検知装置1は、超音波の送受信により、周囲の物体Bを検知するとともに当該物体Bに対応する測距情報を取得するように構成されている。物体検知装置1は、車載ネットワーク回線を介して、外部装置、例えば、自車両における物体検知動作およびこれに伴う報知等の各種動作を制御する不図示の障害物検知ECUと情報通信可能に接続されている。ECUはElectronic Control Unitの略である。
物体検知装置1は、送受信器2と、駆動信号生成部3と、受信信号処理部4と、制御部5とを備えている。物体検知装置1は、送受信器2、駆動信号生成部3、受信信号処理部4、および制御部5を、一個のセンサ筐体により収容しつつ支持した構成を有している。
送受信器2は、超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに、送信波の物体Bによる反射波を受信するように構成されている。本実施形態においては、物体検知装置1は、送受信一体型の構成を有している。すなわち、物体検知装置1は、一個の送受信器2を備えることで、当該送受信器2にて送受信機能を奏するように構成されている。
送受信器2は、トランスデューサ21と送受信回路22とを有している。電気-機械変換機能を有するトランスデューサ21は、略円筒形状のマイクロフォン筐体に電気-機械エネルギー変換素子を内蔵した、超音波マイクロフォンとして構成されている。トランスデューサ21は、入力された電気信号に応じた超音波の送信波を出力し、逆に入力された超音波の受信波に応じた電気信号を出力するようになっている。本実施形態においては、トランスデューサ21は、電気-機械エネルギー変換素子として、圧電素子を備えている。車載状態にて、トランスデューサ21は、自車両の外表面に面する位置に配置されることで、送信波を自車両の外部に送信可能および反射波を自車両の外部から受信可能に設けられている。
具体的には、トランスデューサ21は、車載状態にて、自車両における外板部材V1に形成された貫通孔である装着孔V2から送受信面23が自車両の外部空間に露出するように、外板部材V1に装着されている。外板部材V1は、例えば、バンパーまたはボディパネルであって、合成樹脂または金属製の板材によって形成されている。送受信面23は、トランスデューサ21における上記のマイクロフォン筐体の外表面であって、送信波の送信面および受信波の受信面として機能するように設けられている。なお、トランスデューサ21の機能および構成は、本願の出願時点において、すでに公知あるいは周知となっている。したがって、トランスデューサ21の機能および構成についての、これ以上の詳細は、本明細書においては説明を省略する。
送受信器2は、トランスデューサ21と送受信回路22とを、それぞれ一個ずつ備えている。トランスデューサ21は、送受信回路22と電気接続されている。送受信回路22は、デジタル/アナログ変換回路、増幅回路、アナログ/デジタル変換回路、等を有している。
送受信回路22は、入力された駆動信号に基づいてトランスデューサ21を駆動することで、トランスデューサ21にて駆動信号の周波数に対応する周波数の送信波を発信させるように構成されている。駆動信号は、送受信器2を駆動してトランスデューサ21から送信波を送信させるための信号であって、例えば超音波帯域内の周波数を有するパルス状信号である。駆動信号の周波数を、以下「駆動周波数」と称する。
また、送受信回路22は、素子出力信号に対してアナログ/デジタル変換処理等を施すことで、受信信号を生成して受信信号処理部4に出力するように構成されている。素子出力信号は、受信波の受信等により送受信面23が励振された際に、送受信面23の振動によりトランスデューサ21にて発生および出力する交流電圧信号である。「受信信号」には、受信波の受信だけではなく、駆動信号遮断後に送受信器2にて発生する残響により発生するものも含まれる。残響により発生する受信信号を、以下「残響信号」と称する。なお、送受信回路22の機能および構成は、本願の出願時点において、すでに公知あるいは周知となっている。したがって、送受信回路22の機能および構成についての、これ以上の詳細は、本明細書においては説明を省略する。
駆動信号生成部3は、制御部5から受信した制御信号に基づいて、駆動信号を生成して送受信器2すなわち送受信回路22に向けて出力するように設けられている。制御信号は、駆動信号生成部3から送受信器2への駆動信号の出力を制御するための信号である。
駆動信号生成部3は、波形パターンに応じて符号化される送信波における、当該波形パターンに対応する駆動信号を、生成および出力するように設けられている。具体的には、駆動信号生成部3は、送信波がチャープ波となるようなチャープ駆動信号と、送信波がCW波となるようなCW駆動信号とを選択的に生成および出力するように構成されている。チャープ波は、時間経過とともに周波数が上昇または低下する波である。CW波は、周波数が一定の波である。CWはcontinuous waveformの略である。CW波はCF波とも称される。CFはcontinuous frequencyの略である。チャープ波はFM波の一種である。FMはfrequency modulationの略である。
受信信号処理部4は、受信信号に対して各種の信号処理を施すことで、振幅信号と周波数信号とを生成するように構成されている。振幅信号は、受信信号の振幅に対応する信号である。周波数信号は、受信信号の周波数に対応する信号である。すなわち、周波数信号は、受信信号における、符号化に関連する波形パターンに対応する信号である。具体的には、受信信号処理部4は、フィルタ処理部41と、振幅信号生成部42と、周波数信号生成部43とを備えている。
フィルタ処理部41は、受信信号からノイズを除去するためのフィルタ処理を実行するように設けられている。振幅信号生成部42は、フィルタ処理部41によるフィルタ処理後の受信信号に基づいて、振幅信号を生成および出力するように設けられている。周波数信号生成部43は、フィルタ処理部41によるフィルタ処理後の受信信号に基づいて、周波数信号を生成および出力するように設けられている。
なお、フィルタ処理部41、振幅信号生成部42、および周波数信号生成部43の機能および構成は、本願の出願時点において、すでに公知あるいは周知となっている。したがって、フィルタ処理部41、振幅信号生成部42、および周波数信号生成部43の機能および構成についての、これ以上の詳細は、本明細書においては説明を省略する。
制御部5は、物体検知装置1の全体の動作を制御するように設けられている。具体的には、本実施形態においては、制御部5は、周知のマイクロコンピュータであって、CPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えている。CPUはCentral Processing Unitの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気記録媒体、等である。EPROMはErasable Programmable Read Only Memoryの略である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read Only Memoryの略である。RAMはRandom access memoryの略である。ROM、不揮発性リライタブルメモリ、およびRAMは、非遷移的実体的記憶媒体である。ROMおよび/または不揮発性リライタブルメモリは、本実施形態に係る物体検知プログラムを記憶する記憶媒体に相当するものである。
制御部5は、ROMまたは不揮発性リライタブルメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種処理を実行するように構成されている。具体的には、制御部5は、送受信器2における送信波の送信を制御するとともに、送受信器2にて受信された受信波に基づいて物体Bを検知するように構成されている。すなわち、制御部5は、超音波センサに内蔵されたECUとしての構成を有している。
制御部5は、マイクロコンピュータ上にて実現される機能構成として、以下の機能要素を有している。すなわち、制御部5は、送信制御部51と、回路特性設定部52と、フィルタ特性設定部53と、振幅信号取得部54と、周波数信号取得部55と、ディレイ補正部56と、特定区間検出部57と、計測区間設定部58と、受信判定部59とを有している。
送信制御部51は、駆動信号生成部3に制御信号を出力することで、送受信器2からの送信波の発信状態を制御するように設けられている。具体的には、送信制御部51は、駆動信号生成部3にて生成および出力される駆動信号における、駆動周波数、波形パターン、および出力タイミング等を、制御信号により設定するようになっている。また、送信制御部51は、駆動電流および駆動電圧を、制御信号により設定するようになっている。駆動電流および駆動電圧は、トランスデューサ21に印加される電流および電圧である。
送受信器2における送信特性および/または受信特性を設定する特性設定部としての送信制御部51は、送信波の送信特性を制御あるいは設定するように設けられている。すなわち、送信制御部51は、パルス数、駆動電流、駆動電圧、デューティ比、等の送信出力特性を用いて、送信波の音圧を制御するように構成されている。本実施形態においては、送信制御部51は、メイン駆動とプレ駆動とで、異なる送信出力特性(例えばパルス数)を設定するようになっている。メイン駆動とは、物体Bの検知のための測距情報の取得であるメイン計測の際の、送受信器2への駆動信号の印加すなわち出力である。プレ駆動とは、メイン計測に先立つ残響周波数計測であるプレ計測の際の、送受信器2への駆動信号の印加すなわち出力である。残響周波数は、残響信号の周波数である。以下、明細書における記載の冗長化を避けるため、本明細書において、「送受信特性」を、送信特性および/または受信特性という意味で使用する。
送信制御部51は、プレ駆動の際に、メイン駆動の際よりも、送信特性を低下させるように構成されている。具体的には、送信制御部51は、プレ駆動の際に、メイン駆動の際よりも、低いパルス数を用いることで送信波の音圧を低下させるようになっている。また、送信制御部51は、メイン駆動の際に送信波をチャープ波として周波数変調させる一方、プレ計測の際には送信波をCW波として周波数変調させないように、送受信器2における送信波の送信を制御するようになっている。
送信制御部51は、プレ計測による、送受信器2の残響周波数の計測結果に基づいて、駆動周波数を補正するように設けられている。このとき、送信制御部51は、残響周波数の計測結果に基づいて決定される、駆動周波数の補正値を、規定範囲内とするようになっている。
送受信器2における送受信特性を設定する特性設定部としての回路特性設定部52は、送受信器2における回路特性を設定するように設けられている。本実施形態においては、回路特性設定部52は、プレ駆動による残響周波数計測であるプレ計測の際と、メイン駆動による物体Bの検知であるメイン計測の際とで、異なる回路特性に設定するように構成されている。具体的には、回路特性設定部52は、プレ計測の際とメイン計測の際とで、送受信回路22にてトランスデューサ21と並列接続される抵抗の並列接続状態を異なる状態に設定するようになっている。また、回路特性設定部52は、プレ駆動の際に、メイン駆動の際よりも、受信特性を低下させるように構成されている。
図2は、送受信回路22における、トランスデューサ21との接続部分である二次側の部分を、トランスデューサ21の等価回路とともに示す。図2において、インダクタンスLTおよび抵抗RTは、送受信回路22に設けられたトランスにおける二次側巻線に対応するものである。かかるトランスにおける一次側巻線を含む、送受信回路22における一次側の部分については、図示および説明を省略する。
容量C1、インダクタンスL1、および抵抗R1は、トランスデューサ21における機械振動を、等価回路として示したものである。容量C1と、インダクタンスL1と、抵抗R1との直列接続によって、直列共振回路RCsが構成されている。容量C2は、圧電素子の電極間距離、電極面積、圧電体誘電率、等によって規定される、圧電素子における容量成分であって、等価回路において直列共振回路RCsと並列接続されている。
送受信回路22に設けられたトランスにおける二次側巻線と、トランスデューサ21における容量C2と、コンデンサC3と、抵抗R2とによって、並列共振回路RCpが構成されている。コンデンサC3は、送受信器2における温度特性の調整、および、並列共振回路RCpにおける共振周波数の調整のために、トランスデューサ21と並列接続されている。抵抗R2は、残響時間および増幅率を調整するために、トランスデューサ21およびコンデンサC3と並列接続されている。
また、並列共振回路RCpには、抵抗R3およびスイッチSWが設けられている。抵抗R3は、増幅率を低下させるアッテネータとして機能するとともに、Q値を下げることで残響周波数特性の適合を図るように設けられている。抵抗R3は、スイッチSWを介して、トランスデューサ21、抵抗R2、およびコンデンサC3と並列接続されている。スイッチSWは、いわゆる半導体スイッチであって、制御部5すなわち回路特性設定部52によってオンオフされるように設けられている。回路特性設定部52は、プレ計測の際にスイッチSWをオンする一方で、プレ駆動、メイン駆動、およびメイン計測の際にスイッチSWをオフするようになっている。
再び図1を参照すると、フィルタ特性設定部53は、フィルタ処理部41におけるフィルタリング周波数条件を設定するように設けられている。すなわち、フィルタ特性設定部53は、送受信面23における異物付着等によって生じる送信周波数変化に応じて、フィルタ処理部41を通過する信号の周波数帯域を調整するようになっている。「送信周波数」は、送信波の周波数である。具体的には、フィルタ特性設定部53は、残響周波数の計測結果に基づいて、かかる周波数帯域を調整するようになっている。
振幅信号取得部54は、振幅信号生成部42から振幅信号を取得するように設けられている。周波数信号取得部55は、周波数信号生成部43から周波数信号を取得するように設けられている。ディレイ補正部56は、振幅信号と周波数信号との間に生じるディレイ時間を補正するように設けられている。
特定区間検出部57は、特定区間を検出するように設けられている。特定区間は、発生区間または非発生区間である。発生区間は、残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる時間区間である。残響信号における唸りとは、複数の残響周波数成分の偏移により発生する過渡現象であって、比較的大きな周波数変化、および/または、比較的大きな振幅割れを伴うものである。かかる発生区間にて残響周波数を計測すると、計測精度が大きく低下する。これに対し、非発生区間は、かかる唸りの発生がほとんど認められない時間区間である。かかる非発生区間にて残響周波数を計測すると、計測精度が良好となる。
そこで、本実施形態においては、特定区間検出部57は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に波形割れが発生している残響割れ区間を、発生区間すなわち特定区間として検出するようになっている。具体的には、特定区間検出部57は、振幅信号が収束するように低下する裾野部よりも前の時間区間における、振幅信号が残響割れ判定閾値未満である部分を、発生区間として検出するようになっている。また、特定区間検出部57は、ディレイ補正部56による補正結果に基づいて、特定区間を検出するようになっている。
また、計測区間設定部58は、特定区間検出部57による特定区間の検出結果に基づいて、非発生区間に計測区間を設定するように設けられている。本実施形態においては、計測区間は、プレ計測にて残響周波数を計測すなわち算出する時間区間である。具体的には、計測区間設定部58は、プレ計測を実行する時間区間から発生区間を除外することで、非発生区間を特定するようになっている。そして、計測区間設定部58は、特定した非発生区間に、計測区間を設定するようになっている。より詳細には、計測区間設定部58は、特定した非発生区間を、計測区間として設定するようになっている。
受信判定部59は、振幅信号取得部54にて取得した振幅信号と、周波数信号取得部55にて取得した周波数信号とに基づいて、受信信号に関する判定、診断、検知等の各種動作を実行するように設けられている。具体的には、受信判定部59は、残響計測部591と、診断部592と、符号判定部593と、物体検知部594とを有している。
残響計測部591は、計測区間設定部58により設定された計測区間にて、残響周波数を計測すなわち算出するように設けられている。受信判定部59は、残響計測部591による残響周波数の計測結果を、送信制御部51に受け渡すようになっている。また、受信判定部59は、残響計測部591による残響周波数の計測結果を、フィルタ特性設定部53にて実行されるフィルタリング周波数帯域調整に供するために、フィルタ特性設定部53に受け渡すようになっている。
診断部592は、残響信号における振幅信号および周波数信号に基づいて、送受信器2における異常発生の有無を判定するように設けられている。具体的には、診断部592は、残響計測部591による残響周波数の計測結果に基づいて、断線、凍結、異物付着、等の発生を判定するようになっている。具体的には、診断部592は、残響周波数の計測結果が事前に計測等により設定した正常範囲外の場合に、送受信器2の異常が発生したと判定するようになっている。そして、診断部592は、正常範囲からの外れ量に応じて、異物付着状態、凍結状態、断線状態のどれかの異常状態に分類し、分類結果を出力するようになっている。なお、このような、残響信号の解析結果に基づく異常判定については、例えば、本願の出願時点においてすでに公知あるいは周知となっているものが利用可能である。したがって、異常判定の詳細については、本明細書においては説明を省略する。
符号判定部593は、受信波における周波数変調態様に対応する符号を判定するように設けられている。具体的には、符号判定部593は、周波数信号取得部55にて取得した周波数信号と、あらかじめ格納された所定の参照信号とに基づいて、受信波が正規波であるか否かを判定するようになっている。「正規波」は、送受信器2が自身の送信した送信波の反射波を受信した場合の受信波である。これに対し、他装置からの送信波に起因する受信波を、以下「非正規波」と称する。「他装置」には、自車両に搭載された他の送受信器2も含まれる。具体的には、符号判定部593は、周波数信号の波形と参照信号の波形とのパターンマッチングを実行することで、受信波が正規波であるか否かを判定するようになっている。
物体検知部594は、受信波すなわち受信信号に基づいて、物体Bを検知するように設けられている。すなわち、物体検知部594は、符号判定部593による符号判定結果に基づいて、物体Bを検知するように構成されている。具体的には、物体検知部594は、受信波が正規波である場合に、振幅信号取得部54により取得された振幅信号等に基づいて、物体Bの存在およびトランスデューサ21と物体Bとの距離を検知するようになっている。
(動作概要)
本実施形態に係る物体検知装置1、ならびに、これにより実行される物体検知方法および物体検知プログラムを、以下単に「本実施形態」と称する。以下、本実施形態による動作の概要について、本実施形態により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る物体検知装置1、ならびに、これにより実行される物体検知方法および物体検知プログラムを、以下単に「本実施形態」と称する。以下、本実施形態による動作の概要について、本実施形態により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
所定の物体検知条件が成立すると、物体検知装置1は、物体検知動作を開始する。物体検知条件は、例えば、自車両の走行速度が所定範囲内であること、自車両のシフトポジションが後退を含む走行ポジションであること、等を含む。物体検知条件が不成立となると、物体検知装置1は、物体検知動作を終了する。
物体検知動作中、送信制御部51は、所定周期で送信処理開始タイミングの到来を判定する。所定周期は、例えば、数百ミリ秒周期である。送信処理開始タイミングの到来判定は、制御部5に設けられたタイマ等の計時手段を用いて実行される。送信処理開始タイミングが到来すると、送信制御部51は、制御信号を駆動信号生成部3に向けて出力する。これにより、送信処理が実行される。
具体的には、駆動信号生成部3は、制御信号が入力されると、駆動信号を生成して送受信器2すなわち送受信回路22に向けて出力する。駆動信号は、送信処理開始タイミングから送信処理終了タイミングまで出力される。
送受信回路22は、入力された駆動信号に基づいて、トランスデューサ21を駆動する。すると、トランスデューサ21は、駆動信号の周波数に対応する周波数の超音波である送信波を、自車両の外部に向けて送信する。このようにして、物体検知装置1は、物体検知動作中、送信波を所定周期で繰り返し送信する。このため、上記の所定周期は「送信周期」とも称される。
送信処理終了タイミングが到来すると、送受信器2は、交流電圧信号である受信信号を出力する。送信処理終了タイミングの直後においては、送受信器2には、残響が発生している。このため、送受信器2は、残響信号を出力する。
物体検知動作中における所定の受信可能期間にて、送受信器2は、受信動作を実行する。受信可能期間は、送受信一体型である本実施形態の構成においては、今回の送信処理における送信処理終了タイミングとその次の回の送信処理における送信処理開始タイミングとの間の期間のうち、残響等の影響による不感帯を除いた期間である。送受信器2は、受信可能期間にて、受信波の振幅および周波数に応じた交流電圧信号である受信信号を出力する。
受信信号処理部4は、受信信号に対して各種の信号処理を施すことで、振幅信号と周波数信号とを生成する。具体的には、フィルタ処理部41は、受信信号にフィルタ処理を実行することで、受信信号からノイズを除去する。振幅信号生成部42は、フィルタ処理部41によるフィルタ処理後の受信信号に基づいて、振幅信号を生成する。周波数信号生成部43は、フィルタ処理部41によるフィルタ処理後の受信信号に基づいて、周波数信号を生成する。受信信号処理部4は、生成した振幅信号および周波数信号を、制御部5に出力する。
制御部5において、振幅信号取得部54は、振幅信号生成部42から振幅信号を取得する。周波数信号取得部55は、周波数信号生成部43から周波数信号を取得する。受信判定部59は、振幅信号取得部54にて取得した振幅信号と、周波数信号取得部55にて取得した周波数信号とに基づいて、受信信号に関する判定、診断、検知等の各種動作を実行する。
具体的には、残響計測部591は、残響周波数を計測する。診断部592は、残響計測部591による残響周波数の計測結果に基づいて、送受信器2における異常発生の有無を判定する。診断部592は、異常発生を判定した場合、判定した異常の態様に応じた処理を実行する。例えば、診断部592は、送受信面23における異物の付着を判定した場合、付着判定信号を不図示の外部装置に送信する。これにより、超音波センサに泥、雪、等の異物が付着した旨の警報が、自車両の乗員に向けて発せられる。
符号判定部593は、物体Bの検知の際に、受信波における周波数変調態様に対応する符号を判定する。すなわち、符号判定部593は、周波数信号取得部55にて取得した周波数信号と、あらかじめ格納された所定の参照信号とに基づいて、受信波が正規波であるか否かを判定する。物体検知部594は、受信波が正規波である場合に、振幅信号取得部54により取得された振幅信号等に基づいて、物体Bの存在およびトランスデューサ21と物体Bとの距離を検知する。
トランスデューサ21における送受信面23は、車載状態にて、自車両の外部空間に曝される。このため、送受信面23には、泥、雪、等の異物が付着することがある。送受信面23に異物が付着すると、送受信器2における共振周波数が変化する。それにもかかわらず、異物付着前の駆動周波数をそのまま適用すると、送信波の強度が不用意に低下するなど、送受信特性が低下する。また、送信波をチャープ符号化する場合、送信波における周波数の変調態様すなわち変化態様が、所定態様からずれる。すると、符号の認識率が低下する。
この点、異物付着による共振周波数変化に伴い、残響周波数も変化する。そこで、送信制御部51は、送受信器2の残響周波数の計測結果に基づいて、駆動周波数を補正する。また、フィルタ特性設定部53は、補正した駆動周波数に適合するように、フィルタ処理部41を通過する信号の周波数帯域を調整する。これにより、超音波センサに泥、雪、等の異物が付着しやすい環境下であっても、良好な送受信特性および符号認識率が達成され得る。
なお、残響周波数の計測結果には、所定の誤差が生じ得る。特に、電気ノイズ等の瞬間的な事象により、比較的大きな誤差が生じ得る。このため、残響周波数の計測結果に基づく駆動周波数の補正において、不適切あるいは過剰な補正が行われる懸念がある。この点、送信制御部51は、残響周波数の計測結果に基づいて決定される、駆動周波数の補正値を、ガード値によりガードすなわち制限する。すなわち、例えば、送信制御部51は、駆動周波数の補正値あるいはその変化量を規定範囲内とする。具体的には、例えば、送信制御部51は、補正値あるいはその変化量の絶対値を、規定値以下に制限し得る。これにより、不適切あるいは過剰な補正が、良好に抑制され得る。
周知の通り、物体Bが近距離範囲に存在する場合、反射波の受信タイミングが残響発生中に生じ得る。また、図2に示されているように、送受信器2においては、トランスデューサ21に起因する直列共振回路RCsの他に、トランスデューサ21と送受信回路22との接続に起因する並列共振回路RCpが形成される。このため、残響周波数は、直列共振回路RCsによる直列共振周波数に加えて、並列共振回路RCpによる並列共振周波数の影響を受ける。異物付着により、直列共振回路RCsにおける回路定数が変化する一方、並列共振回路RCpにおける回路定数は変化しない。よって、並列共振周波数の影響が大きくなる送受信条件では、残響周波数の計測結果に基づく異常判定および駆動周波数補正の精度が、必ずしも良好ではなくなる懸念がある。
そこで、本実施形態は、物体Bの検知のためのメイン駆動およびメイン計測に先立って、送受信特性を低下させたプレ駆動およびプレ計測を実行する。具体的には、送受信器2における送受信特性を設定する特性設定部としての送信制御部51および/または回路特性設定部52は、残響計測部591による残響周波数の計測の際に、物体検知部594による物体Bの検知の際よりも送受信特性を低下させる。
図3は、プレ計測期間Tpにて実行されるプレ駆動およびプレ計測、ならびに、その後のメイン計測期間Tmにて実行されるメイン駆動およびメイン計測の概要を示す。図3において、縦軸Sは受信信号を示し、横軸Tは時刻を示す。また、Dpはプレ駆動における駆動信号を示し、Dmはメイン駆動における駆動信号を示す。SZpはプレ計測における残響信号を示し、SRpはプレ計測における反射波の受信信号を示す。SZmはメイン計測における残響信号を示し、SRmはメイン計測における反射波の受信信号を示す。Tzは残響周波数計測のための計測区間である。
プレ駆動は、物体検知条件が成立した直後に最初に実行される、駆動信号の出力である。すなわち、物体検知装置1は、物体検知条件が成立すると、まずプレ駆動およびプレ計測を実行し、その後に、プレ計測の結果を用いてメイン駆動およびメイン計測を実行する。
送信制御部51は、残響計測部591による残響周波数の計測であるプレ計測のためのプレ駆動の際に、物体検知部594による物体Bの検知のためのメイン駆動の際よりも、音圧を低下させる。すなわち、送信制御部51は、プレ駆動を、メイン駆動よりも出力を絞った条件で実行する。具体的には、送信制御部51は、プレ駆動におけるパルス数を、メイン駆動におけるパルス数よりも小さく設定する。
これにより、残響周波数の計測に際しての、並列共振回路RCpの影響が、可及的に低減され得る。すなわち、パルス数の低減により、唸りの発生が良好に抑制され得る。また、プレ駆動がメイン駆動およびメイン計測に与える影響が、可及的に抑制され得る。さらに、残響周波数の計測に際しての、近距離範囲に存在する物体Bによる反射波の影響が、可及的に低減され得る。したがって、残響周波数の計測と、計測された残響周波数に基づく異常判定および駆動周波数補正とが、高い精度で行われ得る。また、プレ計測期間Tpを可及的に短縮することができる。
本実施形態においては、送信制御部51は、物体検知部594による物体Bの検知の際に、送信波をチャープ波として周波数変調させる。これにより、正規波と非正規波との識別精度が向上する。特に、送信波を複数ビットで符号化することで、識別精度をよりいっそう向上することが可能となる。
一方、駆動周波数を周波数変調すると、残響周波数が駆動周波数の影響を受けることで、精度よく安定的な残響周波数計測が困難となる。そこで、送信制御部51は、残響計測部591による残響周波数の計測の際に送信波を周波数変調させないように、送受信器2における送信波の送信を制御する。すなわち、プレ駆動における駆動信号は、単一周波数のCW駆動信号とされる。かかる単一周波数としては、例えば、直列共振周波数の設計値が用いられ得る。これにより、精度よく安定的な残響周波数計測が可能となる。
回路特性設定部52は、残響計測部591による残響周波数の計測であるプレ計測の際と、物体検知部594による物体Bの検知のためのメイン計測の際とで、送受信回路22を異なる回路特性に設定する。具体的には、回路特性設定部52は、プレ計測とメイン計測とで、送受信回路22における並列共振回路RCpにて異なる抵抗の並列接続状態に設定する。より詳細には、回路特性設定部52は、図2に示されたスイッチSWを、プレ計測にてオンする一方、メイン計測にてオフする。
図4Aは、スイッチSWをオンした状態の、送受信器2における送受信感度の周波数特性を示す。図4Bは、スイッチSWをオフした状態の、送受信器2における送受信感度の周波数特性を示す。
図2に示されているように、送受信器2は、等価回路上、直列共振回路RCsと並列共振回路RCpとを有している。このため、直列共振周波数とほぼ等しい駆動周波数を前提とした場合、スイッチSWをオフした状態での送受信感度の周波数特性は、図4Bにおいて実線で示されているように、かかる駆動周波数を挟んだ2つのピークを有する態様となる。かかる2つのピークに対応する周波数は、直列共振と並列共振との合成あるいは相互作用によって生じるものであって、直列共振周波数とも並列共振周波数とも異なる。なお、スイッチSWをオフした状態にて並列共振回路RCpにおける抵抗値等の回路定数を最適化しても、図4Bにおいて破線で示されているように、2つのピークがほぼ水平につながった周波数特性となるに留まる。
一方、スイッチSWをオンすることで、抵抗R2と抵抗R3とが並列接続された状態が実現される。かかる状態は、抵抗R2の抵抗値を下げることと、ほぼ等価となる。かかる状態においては、図4Aに示されているように、上記の2つのピークにおける周波数差が小さくなり、典型的にはピークが1つと同視できるような状態となる。この状態においては、残響における唸りが軽減される。また、送受信器2における、共振周波数と残響周波数との差が小さくなり、計測した残響周波数と共振周波数との対応付けの精度が向上する。したがって、残響周波数の計測と、計測された残響周波数に基づく異常判定および駆動周波数補正とが、高い精度で行われ得る。
図5Aおよび図5Bは、残響信号の一例を示す。図5Bは、図5Aにて破線の四角で囲まれた領域の拡大図である。図5Aおよび図5Bにおいて、横軸Tは時刻を示し、Sは残響信号波形を示す。図5Aにおいて、Tvは駆動信号の印加区間である送信区間を示し、SAは残響信号に対応する振幅信号を示し、fは周波数信号を示す。THrは、残響時間判定閾値である。送信区間Tv終了後に振幅信号が残響時間判定閾値THrまで低下した基準時刻Trから所定時間遡った時刻を、残響が発生している時間区間である残響時間の始点として特定することができる。
上記のように、残響周波数は、直列共振回路RCsによる直列共振周波数に加えて、並列共振回路RCpによる並列共振周波数の影響を受ける。このように複数の残響周波数成分が発生することに起因して、残響信号に唸りが発生する。残響信号に発生した唸りは、図5Aおよび図5Bにて破線の楕円により囲まれた部分にて示されているように、残響信号およびその振幅に対応する振幅信号にて、波形割れとして現れる。
図5Aにおける時間区間Tg1およびTg2のように、唸りあるいは波形割れを含む時間区間においては、送受信器2の周波数特性から大きく外れたピーク状の残響周波数が観測される。このため、このような時間区間にて残響周波数を計測すると、計測精度が大きく低下する。一方、時間区間Tn1およびTn2のように、波形割れが発生していない時間区間においては、残響周波数の変化幅が小さくなる。このような時間区間においては、良好な残響周波数の計測精度が得られる。
そこで、特定区間検出部57は、残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する。そして、計測区間設定部58は、特定区間の検出結果に基づいて、非発生区間に、残響計測部591により残響周波数を計測するための計測区間を設定する。
具体的には、本実施形態においては、特定区間検出部57は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に波形割れが発生している残響割れ区間を、発生区間として検出する。図5Aの例においては、特定区間検出部57は、残響における振幅信号が収束するように低下する裾野部よりも前の時間区間における、振幅信号が残響割れ判定閾値THd未満である部分を、発生区間として検出する。検出された特定区間である発生区間は、図5Aの例においては、第一発生区間Tg1および第二発生区間Tg2である。裾野部は、時刻Tr近辺の所定範囲の時間区間である。
検出した発生区間に基づいて、非発生区間を特定することができる。すなわち、残響時間から発生区間を除外することで、非発生区間が特定可能である。具体的には、図5Aの例においては、基準時刻Trにより特定された残響時間から、第一発生区間Tg1および第二発生区間Tg2を除外することで、第一非発生区間Tn1および第二非発生区間Tn2が特定される。第一非発生区間Tn1は、裾野部よりも前の時間区間における非発生区間である中間非唸り区間とも称され得る。第二非発生区間Tn2は、裾野部を含む。
そして、計測区間設定部58は、発生区間を除外した時間区間である非発生区間に、計測区間を設定する。具体的には、図5Aの例においては、計測区間設定部58は、中間非唸り区間である第一非発生区間Tn1と、裾野部を含む第二非発生区間Tn2との各々に、計測区間を設定する。すなわち、計測区間設定部58は、第一非発生区間Tn1および第二非発生区間Tn2を、計測区間Tzとして設定する。
本実施形態は、唸りの発生がほとんど認められない非発生区間にて、残響周波数を計測する。特に、裾野部においては、図5Aに示された第二非発生区間Tn2における残響周波数変化の様子から明らかなように、残響周波数が一定値に収束する傾向を示す。したがって、残響周波数の計測精度が向上する。また、計測された残響周波数に基づく異常判定および駆動周波数補正が、高い精度で行われ得る。
ところで、振幅信号と周波数信号との間には、振幅信号生成部42と周波数信号生成部43との間の処理時間差によるディレイ時間が生じ得る。具体的には、振幅信号生成部42において振幅信号を生成するために、フィルタ処理が必要である。このため、周波数信号生成部43にてゼロクロス法等により周波数信号を生成した場合に、比較的大きなディレイ時間が生じる。
そこで、ディレイ補正部56は、残響信号の振幅に対応する振幅信号と、残響周波数に対応する周波数信号との間に生じるディレイ時間を補正する。そして、特定区間検出部57は、ディレイ補正部56による補正結果に基づいて、特定区間を検出する。これにより、計測区間の設定が、適切に行われ得る。
本実施形態においては、診断部592は、上記のようにして良好な精度で計測された残響周波数に基づいて、送受信器2における異常発生の有無を判定する。具体的には、図5Aの例においては、第一非発生区間Tn1における残響周波数は、直列共振と並列共振との双方に起因するものとなる。第二非発生区間Tn2における残響周波数は、主として直列共振すなわちトランスデューサ21の機械振動特性に起因するものとなる。このように、複数の非発生区間の各々における残響周波数には、異なる情報が含まれ得る。
そこで、計測区間設定部58は、複数の非発生区間の各々に、計測区間Tzを設定する。具体的には、図5Aの例においては、裾野部より前の第一非発生区間Tn1と、裾野部を含む第二非発生区間Tn2との各々に、計測区間Tzが設定される。そして、診断部592は、複数の計測区間Tzの各々における残響周波数の計測結果に基づいて、送受信器2の異常を診断する。
すなわち、例えば、診断部592は、裾野部に対応する時間区間である第二非発生区間Tn2における残響周波数の計測結果に基づいて、異物付着の有無を診断する。これにより、精度の高い異物付着判定が可能となる。また、例えば、診断部592は、裾野部に対応する時間区間である第二非発生区間Tn2に加えて、裾野部よりも前の時間区間である第一非発生区間Tn1における残響周波数の計測結果に基づいて、送受信器2における異常発生の有無を判定する。したがって、本実施形態によれば、精度の高い異常判定が可能となる。
本実施形態においては、送信制御部51は、上記のようにして良好な精度で計測された残響周波数に基づいて、送受信器2の駆動周波数を補正する。これにより、良好な送受信特性が達成され得る。特に、送信波をチャープ符号化する場合において、良好な符号認識率が達成され得る。
以上詳述したように、本実施形態によれば、残響信号の解析を可及的に精度良く行うことが可能となる。また、本実施形態によれば、精度良い残響信号の解析結果に基づいて、送信周波数補正および異常検知等の各種動作が適切に行われ得る。特に、残響周波数計測において、高速フーリエ変換(すなわちFFT)ではなく、計算負荷を低減するために、瞬時値を用いるゼロクロス法あるいは直交検波等の計測方法を用いた場合、唸りによる精度悪化が顕著となることが懸念される。この点、本実施形態によれば、ゼロクロス法等でも、計算負荷を低減しつつ良好な計測精度で残響周波数計測結果を得ることが可能となる。
(動作例)
以下、本実施形態における具体的な動作あるいは処理の一例について、図6~図8に示されたフローチャートを用いて説明する。なお、図面中において、「ステップ」を単に「S」と略記する。
以下、本実施形態における具体的な動作あるいは処理の一例について、図6~図8に示されたフローチャートを用いて説明する。なお、図面中において、「ステップ」を単に「S」と略記する。
物体検知装置1、すなわち、制御部5におけるCPUは、物体検知条件が成立すると、図6のフローチャートにより示された物体検知動作を開始する。物体検知動作が開始すると、まず、ステップ601にて、物体検知装置1は、プレ駆動を実行する。具体的には、物体検知装置1は、所定の少ないパルス数のCW駆動信号を用いてトランスデューサ21を駆動することで、低出力のプレ計測用の送信波を送信する。なお、パルス数が1または2の場合、駆動周波数パターンの変更処理を行わなくても、駆動信号は必然的にCW駆動信号となる。すなわち、プレ駆動においては、メイン駆動用すなわちチャープ波のための駆動周波数パターンを用いても、パルス数を少なくするだけで、CW波状の駆動信号および送信波が実現され得る。
次に、ステップ602にて、物体検知装置1は、プレ計測を実行する。プレ計測は、プレ駆動区間の終了直後、あるいは、プレ駆動区間終了後の所定タイミングで開始される。プレ計測において、物体検知装置1は、残響信号における振幅信号および周波数信号に基づいて、残響周波数を計測する。
続いて、ステップ603にて、物体検知装置1は、計測した残響周波数に基づいて、送受信器2における異常発生の有無を判定する。すなわち、物体検知装置1は、計測した残響周波数と所定の基準値とに基づいて、異常発生の有無および異常種別を判定する。残響周波数の基準値としては、例えば、設計値、物体検知装置1の工場出荷時における測定値、等が用いられ得る。
送受信器2に何らかの異常が発生した場合(すなわちステップ603=NO)、物体検知装置1は、ステップ604に処理を進行させる。ステップ604にて、物体検知装置1は、判定あるいは検知した異常が、物体検知動作を続行可能な種別のもの、例えば、異物付着、氷結、等であるか否かを判定する。
物体検知動作を続行不可能な異常である場合(すなわちステップ604=NO)、物体検知装置1は、ステップ605の処理を実行した後、物体検知動作を終了する。物体検知動作を続行不可能な異常は、例えば、断線等である。
ステップ605にて、物体検知装置1は、物体検知動作を続行不可能な異常が発生した場合の各種処理を実行する。具体的には、例えば、物体検知装置1は、自車両の乗員および/またはサービス工場等に送受信器2の異常発生を報知するための必要な処理を実行する。
物体検知動作を続行可能な異常である場合(すなわちステップ604=YES)、物体検知装置1は、ステップ606の処理を実行した後、ステップ607に処理を進行させる。ステップ606にて、物体検知装置1は、送受信器2に異物付着または氷結が発生したことを自車両の乗員に報知するための必要な処理を実行する。また、送受信器2が正常である場合(すなわちステップ603=YES)、物体検知装置1は、ステップ607に処理を進行させる。
ステップ607にて、物体検知装置1は、周波数シフトΔfを算出する。本動作例においては、周波数シフトΔfは、送受信器2における共振周波数のズレ量である。ステップ607による、周波数シフトΔfの算出処理の詳細については、図7のフローチャートを用いて後述する。その後、物体検知装置1は、ステップ608に処理を進行させる。
ステップ608にて、物体検知装置1は、周波数シフトΔfが閾値Δf_th未満であるか否かを判定する。周波数シフトΔfが閾値Δf_th以上である場合(すなわちステップ608=NO)、物体検知装置1は、ステップ609の処理を実行した後、ステップ610以降に処理を進行させる。これに対し、周波数シフトΔfが閾値Δf_th未満である場合(すなわちステップ608=YES)、物体検知装置1は、ステップ609の処理をスキップして、ステップ610以降に処理を進行させる。
ステップ609にて、物体検知装置1は、メイン駆動周波数の補正処理を実行する。メイン駆動周波数は、メイン駆動における駆動周波数である。ステップ609による、メイン駆動周波数の補正処理の詳細については、図8のフローチャートを用いて後述する。
物体検知装置1は、ステップ610~ステップ614の処理を、順に実行する。まず、ステップ610にて、物体検知装置1は、メイン駆動を実行する。具体的には、物体検知装置1は、チャープ駆動信号を用いてトランスデューサ21を駆動することで、周波数変調態様に対応した符号が付与されたメイン計測用の送信波を送信する。
次に、ステップ611にて、物体検知装置1は、メイン計測を実行する。続いて、ステップ612にて、物体検知装置1は、メイン計測結果、すなわち、メイン計測における振幅信号および周波数信号を、制御部5にて取得する。そして、ステップ613にて、物体検知装置1は、取得したメイン計測結果に基づいて、物体Bを検知する。
ステップ614にて、物体検知装置1は、物体検知動作を終了するか否かを判定する。物体検知動作は、例えば、物体検知条件が成立から不成立に転じた場合に終了する。あるいは、物体検知動作は、例えば、自車両の乗員等により所定の終了操作が行われた場合に終了する。
物体検知動作を続行する場合(すなわちステップ614=NO)、物体検知装置1は、処理をステップ610に戻し、ステップ610~ステップ614の処理を再度実行する。一方、物体検知動作を終了する場合(すなわちステップ614=YES)、物体検知装置1は、物体検知動作を終了する。
図7は、図6に示されたフローチャートにおけるステップ607による、周波数シフトΔfの算出処理の一例を示す。周波数シフトΔfの算出処理において、物体検知装置1は、ステップ701~ステップ703の処理を順に実行する。
ステップ701にて、物体検知装置1は、残響周波数の基準値を取得する。具体的には、制御部5におけるCPUは、残響周波数の基準値fr_refを、ROMまたは不揮発性リライタブルメモリから読み出す。
ステップ702にて、物体検知装置1は、送受信器2における共振周波数のズレ量である周波数シフトΔfを、残響周波数frの計測結果に基づいて算出する。具体的には、周波数シフトΔfは、計測した残響周波数frの基準値fr_refとの差分である。
このように、本具体例は、送受信器2における共振周波数のズレ量である周波数シフトΔfを、残響周波数frの基準値fr_refからのズレ量に基づいて算出している。
図8は、図6に示されたフローチャートにおけるステップ609による、メイン駆動周波数の補正処理の一例を示す。メイン駆動周波数の補正処理において、物体検知装置1は、まず、ステップ801~ステップ804の処理を順に実行する。
ステップ801にて、物体検知装置1は、周波数シフトΔfに基づいて、暫定補正値Meを取得あるいは算出する。暫定補正値Meは、例えば、周波数シフトΔfと所定の計算式とを用いて算出され得る。具体的には、例えば、暫定補正値Meは、周波数シフトΔfと、温度補正等に対応する値fcとの和あるいは積によって算出され得る。あるいは、暫定補正値Meは、例えば、少なくとも周波数シフトΔfをパラメータとする、マップあるいはルックアップテーブルを用いて取得され得る。
ステップ802にて、物体検知装置1は、前回補正値Mpを取得する。前回補正値Mpは、図6に示されたフローチャートにおけるステップ609が前回実行された際の補正値Mである。具体的には、制御部5におけるCPUは、前回補正値Mpを不揮発性リライタブルメモリから読み出す。
ステップ803にて、物体検知装置1は、補正値差分ΔMを算出する。補正値差分ΔMは、今回ステップ801にて取得あるいは算出した暫定補正値Meと前回補正値Mpとの差分である。ステップ804にて、物体検知装置1は、補正値差分ΔMの絶対値が所定値K未満であるか否かを判定する。所定値Kは、正数であって、駆動周波数の補正値Mに対するガード値の絶対値に相当する。
補正値差分ΔMの絶対値が所定値K未満である場合(すなわちステップ804=YES)、物体検知装置1は、ステップ805の処理を実行した後、メイン駆動周波数の補正処理を終了する。ステップ805にて、物体検知装置1は、暫定補正値Meを、今回の補正値Mとして設定する。設定された補正値は、時系列で所定時間分、RAM等に格納される。
補正値差分ΔMの絶対値が所定値K以上である場合(すなわちステップ804=NO)、物体検知装置1は、ステップ806の処理を実行した後、メイン駆動周波数の補正処理を終了する。ステップ806にて、物体検知装置1は、所定値Kと暫定補正値Meとの積を暫定補正値Meの絶対値で除した値を前回補正値Mpに加算した値を、今回の補正値Mとして設定する。これにより、今回の補正値Mは、Kまたは-Kによりガードされる。設定された補正値Mは、時系列で所定時間分、不揮発性リライタブルメモリに格納される。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。例えば、物体検知装置1は、車載構成、すなわち、車両Vに搭載される構成に限定されない。よって、具体的には、例えば、物体検知装置1は、船舶あるいは飛行体にも搭載され得る。
物体検知装置1は、図1に示されているような、送受信器2および駆動信号生成部3をそれぞれ一個ずつ備えた構成に限定されない。すなわち、物体検知装置1は、送受信器2を複数個備えていてもよい。この場合、駆動信号生成部3は、送受信器2と同数設けられ得る。
並列共振回路RCpの構成要素のうち、コンデンサC3、抵抗R2、インダクタンスLTに対応するトランス二次側巻線のうちの、少なくともいずれか1つは、省略され得る。具体的には、例えば、トランスデューサにおける容量C2およびトランス二次側巻線のインダクタンスLTにより並列共振が形成できる場合は、コンデンサC3は無くて良い。インバータ駆動する構成の場合、トランスは不要である。抵抗R3はメイン計測で高感度を得たい用途では無い構成とすることがあるが、この場合でも本発明は有効である。
トランスデューサ21に備えられる電気-機械エネルギー変換素子は、圧電素子に限定されない。すなわち、例えば、かかる電気-機械エネルギー変換素子として、容量型素子が用いられ得る。
複数個のトランスデューサ21を用いた三角測量により、物体Bの自車両に対する二次元位置を検知する場合があり得る。この場合、例えば、自車両に搭載された複数個のトランスデューサ21の各々から、同一の周波数特性すなわち符号を有する送信波が発信され得る。このとき、「正規波」は、自車両から送信した送信波の反射波を自車両にて受信した場合の受信波となる。これに対し、「非正規波」は、他車両から送信した送信波の反射波を自車両にて受信した場合の受信波となる。これにより、複数車両間の混信による影響が、良好に抑制され得る。
あるいは、例えば、自車両に搭載された複数個のトランスデューサ21の各々から、異なる周波数特性すなわち符号配列を有する送信波が発信され得る。これにより、送信側のトランスデューサ21と受信側のトランスデューサ21との両者が同一の直接波と、両者が互いに異なる間接波との峻別が容易化され、以て多重反射等の影響による誤認識が良好に抑制され得る。
物体検知装置1は、送受信器2、駆動信号生成部3、受信信号処理部4、および制御部5を、一個のセンサ筐体により支持した構成に限定されない。例えば、駆動信号生成部3、受信信号処理部4、および制御部5に設けられた各機能構成における、全部または少なくとも一部は、超音波センサにおけるセンサ筐体の外部に設けられていてもよい。
駆動信号生成部3、受信信号処理部4、および制御部5のうちの一部構成要素は、上記の外部装置に設けられていてもよい。具体的には、例えば、送信制御部51~受信判定部59のうちの一部は、外部装置に設けられていてもよい。
駆動信号生成部3、および/または受信信号処理部4は、制御部5に設けられていてもよい。具体的には、例えば、振幅信号生成部42と振幅信号取得部54とは、一体化され得る。あるいは、周波数信号生成部43と周波数信号取得部55とは、一体化され得る。
本実施形態においては、上記の各機能構成および方法は、専用コンピュータにより実現されている。かかる専用コンピュータは、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされた、プロセッサおよびメモリを構成することによって提供される。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、制御部5は、CPU等を備えた周知のマイクロコンピュータに限定されない。
具体的には、例えば、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。すなわち、制御部5の全部または一部は、上記のような機能を実現可能に構成されたデジタル回路、例えばゲートアレイ等のASICあるいはFPGAであってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。
また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、本発明に係る装置あるいは方法は、上記の各機能あるいは方法を実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
上記実施形態において、制御部5には、本発明の特徴を構成する機能構成要素が設けられている。このため、本発明に係る装置は、物体検知制御装置としての制御部5であるものと評価することが可能である。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、本発明に係る装置は、送受信器2等を含んだ物体検知装置1であるものと評価することも可能である。あるいは、例えば、送信制御部51~受信判定部59のうちの一部を外部装置に設けた場合、本発明に係る装置は、物体検知装置1および/または外部装置であるものと評価することも可能である。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な動作態様および処理態様に限定されない。例えば、上記具体例においては、プレ計測は、1トリップ中にて、物体検知条件が成立する毎に実行されるようになっている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、プレ計測は、1トリップ中に1回実行されればよい。具体的には、例えば、プレ計測は、1トリップ中にて最初に物体検知条件が成立した時点で実行されれば、その後にイグニッションスイッチがオフされるまでの間実行されなくてもよい。
駆動信号における符号あるいは符号配列には、特段の限定はない。すなわち、例えば、アップチャープを「1」、CWを「0」、ダウンチャープを「-1」とした場合、駆動信号には、「1」および「-1」のうちの少なくともいずれか一方を含む1桁以上の符号が付与され得る。具体的には、例えば、「1,0」、「-1,0」、「1,1,0」、「1,0,-1」、「1,1,0,-1」等の符号配列が適用可能である。また、アップチャープおよびダウンチャープとして、いわゆるV字チャープが用いられても良い。さらに、駆動信号における符号あるいは符号配列は、変更可能であってもよいし、変更不能であってもよい。
識別精度向上のために符号あるいは符号配列が複雑化するほど、かえって、異物付着等による送信周波数変化による識別精度低下が懸念される。また、上記の通り、従来の残響周波数の計測技術においては、並列共振回路RCpによる影響の関係で、精度よい残響周波数の計測が困難であった。この点、本発明によれば、精度よく安定的な残響周波数計測の結果に基づいて、駆動周波数すなわち送信周波数が良好に補正され得る。したがって、本発明によれば、符号あるいは符号配列を複雑化させることによる、識別精度の向上が、より確実に達成され得る。
プレ駆動およびプレ計測と、メイン駆動およびメイン計測との間の、送受信特性の切り替えは、送信特性のみで行われてもよいし、受信特性のみで行われてもよい。あるいは、かかる切り替えは、送信制御部51と回路特性設定部52とのうちのいずれか一方のみで行われてもよい。かかる切り替えを送信制御部51のみで行う場合、回路特性設定部52は省略され得る。
プレ駆動の際に、低パルス数に代えて、あるいはこれとともに、以下の少なくともいずれか1つが用いられ得る。
(M1)駆動周波数を送受信器2の共振周波数から偏移させる。
(M2)駆動電流をメイン駆動時よりも下げる。
(M3)駆動電圧をメイン駆動時よりも下げる。
(M4)デューティ比をメイン駆動時よりも下げる。
(M5)スイッチSWをオンする。
(M1)駆動周波数を送受信器2の共振周波数から偏移させる。
(M2)駆動電流をメイン駆動時よりも下げる。
(M3)駆動電圧をメイン駆動時よりも下げる。
(M4)デューティ比をメイン駆動時よりも下げる。
(M5)スイッチSWをオンする。
上記(M1)の場合、プレ駆動の際の駆動周波数は、所定の送受信周波数帯域における中央値から離れた値に設定される。具体的には、例えば、かかる駆動周波数は、送受信周波数帯域における上限値あるいは下限値の近傍値に設定され得る。なお、「所定の送受信周波数帯域」は、出力あるいは感度をSiとし、共振周波数f0にてSi=0[dB]とした場合の、Si=0~Sib[dB]となる範囲である。Sibは、典型的には、例えば、-3[dB]である。感度は、トランスデューサ21を受信器として用いた場合の感度である。なお、このような送受信周波数帯域は、「共振帯」、「-3dB帯域」、あるいは「3dB帯域」とも称され得る。
上記(M5)のように、回路特性設定部52は、プレ計測時だけでなく、プレ駆動時にもスイッチSWをオンしてもよい。これにより、プレ駆動における駆動信号の出力が、不要な反射波の受信を抑制しつつ残響信号解析に必要な程度に抑えられ得る。
残響周波数を精度よく計測するという目的が達成されれば、プレ計測は必ずしも実施する必要はない。すなわち、プレ計測を実施せず、メイン計測における駆動直後の残響発生期間に残響周波数を計測する態様においても、本発明により計測精度向上の効果を得ることができる。具体的には、例えば、残響周波数計測区間にてスイッチSWをオンすることで、残響周波数を精度よく計測することが可能となる。
回路特性設定部52により変更される回路特性は、抵抗成分に限定されない。すなわち、例えば、抵抗成分に代えて、あるいはこれとともに、容量成分および/またはインダクタンス成分も変更され得る。
例えば、並列共振回路RCpの特性を変える方法として、トランスにおける二次側巻線LTまたはコンデンサC3をスイッチにより切り離すという方法もある。二次側巻線LTまたはコンデンサC3を切り離すことで、並列共振周波数がずれるため、唸りを低減する効果が得られる。
送受信器2における共振周波数のズレ量の算出方法についても、上記具体例に限定されない。すなわち、例えば、周波数シフトΔfは、残響周波数シフトΔfrに基づいて算出され得る。残響周波数シフトΔfrは、計測した残響周波数frとの基準値fr_refとの差分である。具体的には、周波数シフトΔfは、例えば、残響周波数シフトΔfrと所定の計算式とを用いて算出され得る。あるいは、周波数シフトΔfは、例えば、残響周波数シフトΔfrをパラメータとする、マップあるいはルックアップテーブルを用いて取得され得る。あるいは、例えば、周波数シフトΔfに代えて、周波数変化率Rfが用いられ得る。この場合、上記具体例に即して説明すれば、周波数変化率Rfは、計測した残響周波数frと基準値fr_refとを用いて、Rf=fr/fr_refにより算出され得る。
駆動信号の補正値Mは、暫定補正値Meと前回補正値Mpとの差で求めることに限定されない。具体的には、例えば、上記の周波数変化率Rfを用いる場合、補正値Mは、暫定補正値Meと前回補正値Mpとの比でもよい。この場合、補正後の駆動信号は、補正値Mで乗算あるいは除算して求める。すなわち、補正値Mは、残響周波数の計測値frと基準周波数fr_refとの差で求めることに限定されない。具体的には、補正値Mは、残響周波数の計測値frと基準周波数fr_refとの比で求めてもよい。
駆動信号の補正値Mは、前回補正値Mpとの比較で求めることに限定しない。具体的には、正常に測定した初期値との比較でもよい。
補正値Mの制限すなわちガードの手法も、上記の具体例に限定されない。すなわち、例えば、補正値Mに上限値と下限値とを設けてもよい。補正値Mの上限値と下限値とで、絶対値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、例えば、補正値Mは、前回補正値Mpとの比に基づいて制限しても良い。具体的には、例えば、暫定補正値Me=Rf・Rcとする。Rcは温度補正等に対応する値である。また、補正値比RMe=Me/Mpとする。この場合、RMe<KLであれば、補正値M=KL・Mpとする。一方、RMe>KHであれば、補正値M=KH・Mpとする。また、KL≦RMe≦KHであれば、補正値M=Meとする。あるいは、例えば、残響周波数の計測値frを過去の履歴から移動平均した結果により、補正値Mを算出しても良い、これにより、補正値Mを制限する効果を得ることができる。
上記実施形態において、特定区間検出部57は、特定区間としての発生区間を検出している。これにより、非発生区間が特定可能となる。よって、特定区間検出部57は、第一種の特定区間としての発生区間を直接的に検出することで、第一種とは異なる第二種の特定区間としての非発生区間を間接的に検出していると評価され得る。具体的には、図5Aの例においては、特定区間検出部57は、第一発生区間Tg1および第二発生区間Tg2を検出することで、第一非発生区間Tn1および第二非発生区間Tn2をも検出していると評価され得る。
しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、特定区間検出部57は、特定区間としての非発生区間を直接的に検出するようになっていてもよい。具体的には、特定区間検出部57は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に基づいて、裾野部を特定区間として検出してもよい。
図9は、裾野部に対応する裾野区間Tsの検出手法の一例を示す。なお、図9は、スイッチSWがオンの状態で取得された受信信号による、振幅信号および周波数信号を示す。図9において、THsは、裾野区間Tsの検出のための裾野判定閾値を示す。本例においては、裾野判定閾値THsは、振幅収束判定をよりいっそう確実化するため、残響時間判定閾値THrよりも低い値に設定されている。
図9を参照すると、特定区間検出部57は、裾野基準時刻Tsrを終了時刻とする所定時間区間を、裾野区間Tsとして検出する。裾野基準時刻Tsrは、基準時刻Trから所定時間遡った時間区間により特定される残響時間Trev内において、振幅信号が裾野判定閾値THsまで低下した時刻である。なお、残響時間判定閾値THrを低閾値側に設けることで、残響時間判定閾値THrと裾野判定閾値THsとを同一値にしてもよい。なお、残響時間は、異常判定のために、周波数情報と合わせ使われる。
図10は、裾野区間Tsの検出手法の他の一例を示す。なお、図10は、スイッチSWがオフの状態で取得された受信信号による、振幅信号および周波数信号を示す。図9と図10との対比から、スイッチSWをオンすることによる唸りの軽減および残響周波数計測精度の向上の効果を読み取ることができる。
また、図10において、σは、残響周波数の平均二乗誤差を示す。σthは、裾野区間Ts検出用の閾値である。特定区間検出部57は、残響時間内において、残響周波数の平均二乗誤差σが閾値σth未満となる周波数波形の乱れが少ない区間を、裾野区間Tsとして検出する。
裾野区間Tsの検出手法は、上記の各例に限定されない。すなわち、例えば、裾野区間Tsは、振幅信号波形と、裾野部検出用の参照波形とのマッチング結果に基づいて検出され得る。参照波形は、正常時に計測した波形を用いても良い。あるいは、参照波形は、マイクおよび回路の回路特性から計算で導き出した波形でも良い。
計測区間設定部58は、1つの非発生区間のうちの全体を計測区間として設定してもよいし、その一部を計測区間として設定してもよい。すなわち、例えば、図5Aを参照すると、計測区間設定部58は、第二非発生区間Tn2のうち、裾野部であることが確実な後半の所定部分のみを、計測区間Tzに設定してもよい。
残響周波数の計測を複数回実行して統計処理することで、残響周波数の計測精度がより高まる。統計処理としては、例えば、平均値算出、重みづけ平均値算出、中央値抽出、なまし処理、等を用いることが可能である。統計処理においては、所定の異常値あるいは「外れ値」の除外処理も適用され得る。
「取得」、「検出」、「算出」、「演算」、「推定」等の、互いに概念が類似する表現同士は、技術的矛盾が生じない限り、互いに入れ替え可能である。また、各判定処理における不等号は、等号付きであってもよいし、等号無しであってもよい。すなわち、例えば、「閾値以上」は、「閾値を超える」に変更され得る。同様に、「閾値以下」は、「閾値未満」に変更され得る。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
(方法・プログラム)
本開示に係る物体検知方法を構成する各手順あるいは各処理は、上記の実施形態、変形例、および、図6~図8に示されたフローチャートにより示された、各手順あるいは各処理に対応する。また、図6~図8に示されたフローチャートに対応するプログラムは、本実施形態に係る物体検知プログラムに相当する。
本開示に係る物体検知方法を構成する各手順あるいは各処理は、上記の実施形態、変形例、および、図6~図8に示されたフローチャートにより示された、各手順あるいは各処理に対応する。また、図6~図8に示されたフローチャートに対応するプログラムは、本実施形態に係る物体検知プログラムに相当する。
よって、上記実施形態および変形例によって示された本開示は、方法およびプログラムに関する以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
第1の観点によれば、移動体(V)の周囲の物体(B)を検知する物体検知方法は、以下の処理を含む。また、物体検知プログラムは、移動体(V)に搭載されることで当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(1)により実行される、以下の処理を含む。なお、「処理」は、「手順」、「工程」、あるいは「行為」とも言い換えられ得る。
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに送信波の物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する処理と、
特定区間の検出結果に基づいて、非発生区間に、残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定する処理と、
設定した計測区間にて、残響周波数を計測する処理。
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに送信波の物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する処理と、
特定区間の検出結果に基づいて、非発生区間に、残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定する処理と、
設定した計測区間にて、残響周波数を計測する処理。
第2の観点によれば、
特定区間を検出する処理は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に波形割れが発生している残響割れ区間を、発生区間として検出する処理を含み、
計測区間を設定する処理は、発生区間を除外した時間区間である非発生区間に、計測区間を設定する処理を含む。
特定区間を検出する処理は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に波形割れが発生している残響割れ区間を、発生区間として検出する処理を含み、
計測区間を設定する処理は、発生区間を除外した時間区間である非発生区間に、計測区間を設定する処理を含む。
第3の観点によれば、特定区間を検出する処理は、振幅信号が収束するように低下する裾野部よりも前の時間区間における、振幅信号が残響割れ判定閾値未満である部分を、発生区間として検出する処理を含む。
第4の観点は、
残響信号の振幅に対応する振幅信号と残響周波数に対応する周波数信号との間に生じるディレイ時間を補正する処理をさらに含み、
特定区間を検出する処理は、ディレイ時間を補正する処理による補正結果に基づいて、特定区間を検出する処理を含む。
残響信号の振幅に対応する振幅信号と残響周波数に対応する周波数信号との間に生じるディレイ時間を補正する処理をさらに含み、
特定区間を検出する処理は、ディレイ時間を補正する処理による補正結果に基づいて、特定区間を検出する処理を含む。
第5の観点によれば、計測区間を設定する処理は、残響信号の振幅に対応する振幅信号が収束するように低下する非発生区間である裾野部に、計測区間を設定する処理を含む。
第6の観点によれば、特定区間を検出する処理は、残響信号の振幅に対応する振幅信号に基づいて、裾野部を特定区間として検出する処理を含む。
第7の観点によれば、計測区間を設定する処理は、裾野部よりも前の時間区間における非発生区間である中間非唸り区間と裾野部との各々に、計測区間を設定する処理を含む。
第8の観点は、
受信波に基づいて物体を検知する処理と、
送受信器における送信特性および/または受信特性を設定する処理と、
をさらに含み、
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、残響周波数の計測の際に、物体の検知の際よりも送信特性および/または受信特性を低下させる処理を含む。
受信波に基づいて物体を検知する処理と、
送受信器における送信特性および/または受信特性を設定する処理と、
をさらに含み、
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、残響周波数の計測の際に、物体の検知の際よりも送信特性および/または受信特性を低下させる処理を含む。
第9の観点によれば、
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、送信波の送信特性を制御する処理を含み、
送信波の送信特性を制御する処理は、残響周波数の計測の際に、物体の検知の際よりも音圧を低下させる処理を含む。
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、送信波の送信特性を制御する処理を含み、
送信波の送信特性を制御する処理は、残響周波数の計測の際に、物体の検知の際よりも音圧を低下させる処理を含む。
第10の観点によれば、
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、送受信器における回路特性を設定する処理を含み、
回路特性を設定する処理は、物体の検知の際と、残響周波数の計測の際とで、送受信器を異なる回路特性に設定する処理を含む。
送信特性および/または受信特性を設定する処理は、送受信器における回路特性を設定する処理を含み、
回路特性を設定する処理は、物体の検知の際と、残響周波数の計測の際とで、送受信器を異なる回路特性に設定する処理を含む。
第11の観点によれば、
送受信器は、電気-機械変換機能を有するトランスデューサ(21)と、当該トランスデューサに電気接続された送受信回路(22)とを有し、
送受信回路は、トランスデューサと並列接続されることで並列共振回路(RC2)を構成するコンデンサ(C3)および抵抗(R2,R3)を有し、
回路特性を設定する処理は、物体の検知の際と、残響周波数の計測の際とで、異なる抵抗の並列接続状態に設定する処理を含む。
送受信器は、電気-機械変換機能を有するトランスデューサ(21)と、当該トランスデューサに電気接続された送受信回路(22)とを有し、
送受信回路は、トランスデューサと並列接続されることで並列共振回路(RC2)を構成するコンデンサ(C3)および抵抗(R2,R3)を有し、
回路特性を設定する処理は、物体の検知の際と、残響周波数の計測の際とで、異なる抵抗の並列接続状態に設定する処理を含む。
第12の観点は、
受信波における周波数変調態様に対応する符号を判定する処理と、
符号判定結果に基づいて物体を検知する処理と、
をさらに含み、
送信波の送信特性を制御する処理は、物体の検知の際に送信波を周波数変調させる一方、残響周波数の計測の際に送信波を周波数変調させないように、送受信器における送信波の送信を制御する処理を含む。
受信波における周波数変調態様に対応する符号を判定する処理と、
符号判定結果に基づいて物体を検知する処理と、
をさらに含み、
送信波の送信特性を制御する処理は、物体の検知の際に送信波を周波数変調させる一方、残響周波数の計測の際に送信波を周波数変調させないように、送受信器における送信波の送信を制御する処理を含む。
第13の観点は、残響周波数の計測結果に基づいて、送受信器における異常発生の有無を判定する処理をさらに含む。
1 物体検知装置
2 送受信器
52 回路特性設定部
53 フィルタ特性設定部
56 ディレイ補正部
57 特定区間検出部
58 計測区間設定部
591 残響計測部
593 符号判定部
594 物体検知部
2 送受信器
52 回路特性設定部
53 フィルタ特性設定部
56 ディレイ補正部
57 特定区間検出部
58 計測区間設定部
591 残響計測部
593 符号判定部
594 物体検知部
Claims (15)
- 移動体(V)に搭載されることで当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(1)であって、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号の周波数である残響周波数を計測する、残響計測部(591)と、
前記残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する、特定区間検出部(57)と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響計測部により前記残響周波数を計測する計測区間を設定する、計測区間設定部(58)と、
を備えた物体検知装置。 - 前記特定区間検出部は、前記残響信号の振幅に対応する振幅信号に波形割れが発生している残響割れ区間を、前記発生区間として検出し、
前記計測区間設定部は、前記発生区間を除外した時間区間である前記非発生区間に、前記計測区間を設定する、
請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記特定区間検出部は、前記振幅信号が収束するように低下する裾野部よりも前の時間区間における、前記振幅信号が残響割れ判定閾値未満である部分を、前記発生区間として検出する、
請求項2に記載の物体検知装置。 - 前記残響信号の振幅に対応する振幅信号と前記残響周波数に対応する周波数信号との間に生じるディレイ時間を補正するディレイ補正部(56)をさらに備え、
前記特定区間検出部は、前記ディレイ補正部による補正結果に基づいて、前記特定区間を検出する、
請求項1~3のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記計測区間設定部は、前記残響信号の振幅に対応する振幅信号が収束するように低下する前記非発生区間である裾野部に、前記計測区間を設定する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記特定区間検出部は、前記残響信号の振幅に対応する振幅信号に基づいて、前記裾野部を前記特定区間として検出する、
請求項5に記載の物体検知装置。 - 前記計測区間設定部は、前記裾野部よりも前の時間区間における前記非発生区間である中間非唸り区間と前記裾野部との各々に、前記計測区間を設定する、
請求項5または6に記載の物体検知装置。 - 前記受信波に基づいて前記物体を検知する、物体検知部(594)と、
前記送受信器における送信特性および/または受信特性を設定する、特性設定部(51,52)と、
をさらに備え、
前記特性設定部は、前記残響計測部による前記残響周波数の計測の際に、前記物体検知部による前記物体の検知の際よりも前記送信特性および/または前記受信特性を低下させる、
請求項1~7のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記特性設定部は、前記送信波の音圧を制御する送信制御部(51)を有し、
前記送信制御部は、前記残響計測部による前記残響周波数の計測の際に、前記物体検知部による前記物体の検知の際よりも前記音圧を低下させる、
請求項8に記載の物体検知装置。 - 前記特性設定部は、前記送受信器における回路特性を設定する回路特性設定部(52)を有し、
前記回路特性設定部は、前記物体検知部による前記物体の検知の際と、前記残響計測部による前記残響周波数の計測の際とで、前記送受信器を異なる前記回路特性に設定する、
請求項8または9に記載の物体検知装置。 - 前記送受信器は、電気-機械変換機能を有するトランスデューサ(21)と、当該トランスデューサに電気接続された送受信回路(22)とを有し、
前記送受信回路は、前記トランスデューサと並列接続されることで並列共振回路(RC2)を構成するコンデンサ(C3)および抵抗(R2,R3)を有し、
前記回路特性設定部は、前記物体検知部による前記物体の検知の際と、前記残響計測部による前記残響周波数の計測の際とで、異なる前記抵抗の並列接続状態に設定する、
請求項10に記載の物体検知装置。 - 前記受信波における周波数変調態様に対応する符号を判定する、符号判定部(593)と、
前記符号判定部による符号判定結果に基づいて前記物体を検知する、物体検知部(594)と、
をさらに備え、
前記送信制御部は、前記物体検知部による前記物体の検知の際に前記送信波を周波数変調させる一方、前記残響計測部による前記残響周波数の計測の際に前記送信波を周波数変調させないように、前記送受信器における前記送信波の送信を制御する、
請求項1~11のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 前記残響計測部による前記残響周波数の計測結果に基づいて、前記送受信器における異常発生の有無を判定する、診断部(592)をさらに備えた、
請求項1~12のいずれか1つに記載の物体検知装置。 - 移動体(V)の周囲の物体(B)を検知する物体検知方法であって、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出し、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定し、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する、
物体検知方法。 - 移動体(V)に搭載されることで当該移動体の周囲の物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(1)にて実行される、物体検知プログラムであって、
前記物体検知装置により実行される処理は、
超音波である送信波を外部に向けて送信するとともに前記送信波の前記物体による反射波を含む受信波を受信する送受信器(2)にて発生する残響信号にて複数の残響周波数成分に起因する唸りの発生が認められる発生区間、または、かかる唸りの発生がほとんど認められない非発生区間である、特定区間を検出する処理と、
前記特定区間の検出結果に基づいて、前記非発生区間に、前記残響信号の周波数である残響周波数を計測する計測区間を設定する処理と、
設定した前記計測区間にて、前記残響周波数を計測する処理と、
を含む、物体検知プログラム。
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