以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
<1.実施形態の詳細>
本発明の実施形態の詳細について説明する。
(1-1.システムの概要)
まず、本発明の実施形態に係る侵入検知システムの構成例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る侵入検知システムの概要を説明するための図である。図1に示されるように、本発明の実施形態に係る侵入検知システムは、可搬型センサユニット10を有する。可搬型センサユニット10は、周囲をセンシング可能な可搬型のセンサである。図1を参照すると、可搬型センサユニット10によってセンシング可能な範囲が観測エリアR1として示されている。すなわち、可搬型センサユニット10は、観測エリアR1の状態を観測し得る。
本発明の実施形態では、観測エリアR1が工事現場(例えば、建設または土木などの工事現場)である場合を想定する。しかし、観測エリアR1は、工事現場に限定されない。そして、観測エリアR1には、検知エリアR2が設定される。検知エリアR2に物体が侵入すると、検知エリアR2への物体の侵入が、後に説明する侵入検知装置によって検知される。
本発明の実施形態では、重機J1による作業エリアが危険であるとして立ち入り禁止エリア(複数のロードコーンによって囲まれているエリア)に指定されており、立ち入り禁止エリアが検知エリアR2として設定される場合を想定する。これによって、立ち入り禁止エリアへの人物P1の侵入が検知されるため、工事現場での安全管理および作業効率化が図られる。しかし、検知エリアR2は、立ち入り禁止エリア以外の監視対象領域であってもよい。
可搬型センサユニット10は、観測エリアR1を連続的にセンシングすることによってセンサ観測情報を得る。可搬型センサユニット10によって得られたセンサ観測情報は、後に説明する侵入検知装置に提供される。本発明の実施形態では、可搬型センサユニット10が、LiDAR(Light Detection and Ranging)11とカメラ12とを含む場合を主に想定する。しかし、可搬型センサユニット10に含まれるセンサの種類は限定されない。
例えば、可搬型センサユニット10は、観測エリアR1に存在する物体(例えば、人物P1および重機J1など)の動き(すなわち、動物体の動き)を非接触により検知可能なセンサであればよい。以下では、動物体の例として人物P1を例に挙げて主に説明する。例えば、可搬型センサユニット10は、デプスセンサを含んでもよいし、レーダ測距センサを含んでもよい。また、本発明の実施形態では、可搬型センサユニット10が1台設置される場合を主に想定する。しかし、可搬型センサユニット10は、2台以上設置されてもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る侵入検知システムの構成例を示す図である。図2に示されるように、本発明の実施形態に係る侵入検知システム1は、可搬型センサユニット10の他、侵入検知装置20を有する。
ここでは、図2に示されるように、可搬型センサユニット10と侵入検知装置20とが、ネットワーク30を介して通信可能である場合を想定する。しかし、可搬型センサユニット10と侵入検知装置20とは、ネットワーク30を介さずに直接接続されていてもよい。また、本発明の実施形態においては、可搬型センサユニット10と侵入検知装置20とが、有線による通信を行う場合を主に想定する。しかし、可搬型センサユニット10と侵入検知装置20とは、無線による通信を行ってもよい。
ここで、可搬型センサユニット10の設置作業が行われるのは一度だけとは限らない。例えば、工事現場においては、可搬型センサユニット10の設置作業および撤収作業が頻繁に発生し得る。一例として、工事開始時の機器の設置と工事終了時の機器の撤収とが毎日行われる。しかし、一般的には可搬型センサユニット10を設置するたびに検知エリアR2を最初から設定する必要があるため、検知エリアR2の設定が煩雑である。
したがって、本発明の実施形態では、検知エリアR2の設定をより効率良く行う技術について主に提案する。
なお、以下では、可搬型センサユニット10が過去に設置された場合と新たに設置される場合とにおいて、可搬型センサユニット10の設置位置および設置向きが変化され得る(図1に示された例では、水平方向の位置(xy座標)およびセンサの軸(z軸)周りの回転角が変化され得る)場合を主に想定する。しかし、後にも説明するように、可搬型センサユニット10の設置位置および設置向きの変化は、かかる場合に限定されない。
また、以下では、過去に設置された可搬型センサユニット10と新たに設置される可搬型センサユニット10とが同一である場合を主に想定する。しかし、過去に設置された可搬型センサユニット10と新たに設置される可搬型センサユニット10とは、異なってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る侵入検知システム1の構成例について説明した。
(1-2.侵入検知装置の機能構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20の機能構成例について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20の機能構成例を示すブロック図である。図3に示されるように、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20は、制御部210、操作部220、記憶部230、通信部240および出力部250を備える。
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部230により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、制御部210は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
ここで、図3に示されるように、制御部210は、情報取得部211、エリア設定部212および侵入検知部216を備える。また、エリア設定部212は、候補提示部213、候補修正部214および検知エリア設定部215を有する。制御部210が有する、これらの各機能部の詳細については、後に説明する。
操作部220は、後に説明する利用者による操作を受け付ける。また、操作部220は、後に説明する登録者による操作を受け付ける。本実施形態では、利用者と登録者とが別の人物である場合を想定するが、利用者と登録者とは同一の人物であってもよい。また、本発明の実施形態では、操作部220がタッチパネルである場合を主に想定する。しかし、操作部220の種類は限定されない。例えば、操作部220は、マウスであってもよいし、電子ペンであってもよいし、他の入力装置であってもよい。
なお、操作部220が設けられる位置は限定されない。例えば、操作部220は、所定のプログラムが実行される端末に存在してもよい。端末の種類は限定されない。例えば、端末は、スマートフォンであってもよいし、タブレット端末であってもよいし、PC(Personal Computer)であってもよい。このとき、利用者による操作を受け付ける操作部220は、利用者の端末に存在し、登録者による操作を受け付ける操作部220は、登録者の端末に存在してもよい。
記憶部230は、制御部210を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部230は、制御部210の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。例えば、記憶部230は、各種データの例として、履歴情報を記憶し得る。
図4は、記憶部230によって記憶される履歴情報の例を示す図である。図4に示されたように、記憶部230は、履歴情報として、「エリア名」と「センサ観測情報」と「検知エリア情報」とが対応付けられた情報を記憶し得る。なお、本発明の実施形態では、履歴情報が侵入検知装置20の記憶部230によって記憶される場合を主に想定する。しかし、履歴情報は、侵入検知装置20の外部の記憶部(例えば、サーバ装置の記憶部)によって記憶されてもよい。また、履歴情報は、他の情報を含んでもよく、例えば、検知エリアの設定日時、履歴情報の登録者の名前などを含んでもよい。
サーバ装置の記憶部によって履歴情報が記憶されれば、サーバ装置の記憶部によって記憶される履歴情報が、複数の侵入検知装置20によって共用され得る。また、サーバ装置の記憶部によって履歴情報が記憶されれば、複数の侵入検知装置20それぞれから異なる履歴情報が登録されるため、より多くの履歴情報が集中して蓄積され得る。これによって、履歴情報が機械学習に利用される場合などには、より多くの履歴情報が機械学習に利用されやすくなる。
かかる履歴情報は、登録者による入力操作に基づいて検知エリアが設定された場合に、自動的に登録されてよい。例えば、検知エリアは、可搬型センサユニット10によって得られたセンサ観測情報が表示された画面に対する入力操作に基づいて設定されてよい。入力操作は、フリーハンドによる操作であってもよいし、あらかじめ用意された図形(例えば、線分など)をつなぎ合わせる操作であってもよい。あるいは、検知エリアは、センサ観測情報に写る物体の位置、物体の特徴(例えば、サイズおよび形状など)の解析結果に基づいて設定されてもよいし、機械学習によって獲得されたモデルとセンサ観測情報とに基づいて設定されてもよい。
図4に示された例において、「エリア名」は、検知エリアが設定されたエリアの名称(例えば、A地区など)である。「エリア名」は、あらかじめ登録されたエリア名候補から登録者によって選択された名称であってもよいし、登録者による文字入力によって生成された名称であってもよい。あるいは、「エリア名」は、登録者の位置情報(すなわち、登録者の端末の位置情報)に基づいて自動的に選択された名称であってもよい。
「センサ観測情報」は、可搬型センサユニット10または可搬型センサユニット10とは異なるセンサによって得られたセンサ観測情報である。典型的には、「センサ観測情報」は、上記した検知エリア情報の設定時に表示されたセンサ観測情報そのものであってよい。しかし、「センサ観測情報」は、検知エリア情報の設定時に表示されたセンサ観測情報とは、センシング時刻が異なるセンサ観測情報であってもよい。
「検知エリア情報」は、検知エリアを示す情報である。本発明の実施形態では、「検知エリア情報」が3次元データである場合を想定する。しかし、「検知エリア情報」は、2次元データなどであってもよい。例えば、「検知エリア情報」は、検知エリアの輪郭を示す情報(例えば、検知エリアの輪郭が通過する複数点の座標の集合)であってよいが、検知エリア情報の表現形式は、かかる例に限定されない。一例として、検知エリアの形状が球状である場合には、「検知エリア情報」は、球の中心および半径によって表現されてもよい。
図3に戻って説明を続ける。通信部240は、通信インタフェースによって構成され、可搬型センサユニット10とネットワーク30を介して通信を行う。なお、上記したように、通信部240は、可搬型センサユニット10とネットワーク30を介さずに直接通信可能であってもよい。また、本発明の実施形態においては、通信部240が、可搬型センサユニット10と有線による通信を行う場合を主に想定する。しかし、通信部240は、可搬型センサユニット10と無線による通信を行ってもよい。
出力部250は、制御部210による制御に従って出力を行う機能を有する。例えば、出力部250は、可搬型センサユニット10によって得られたセンサ観測情報に基づく画面を表示することが可能である。ここで、出力部250の形態は特に限定されない。例えば、出力部250は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置であってもよいし、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよいし、ランプなどの表示装置であってもよい。
なお、出力部250が設けられる位置は限定されない。例えば、操作部220と同様に、出力部250は、端末に存在してもよい。端末の種類は限定されない。例えば、端末は、スマートフォンであってもよいし、タブレット端末であってもよいし、PC(Personal Computer)であってもよい。このとき、利用者に対して出力を行う出力部250は、利用者の端末に存在し、登録者に対して出力を行う出力部250は、登録者の端末に存在してもよい。
以上、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20の機能構成例について説明した。
(1-3.侵入検知システムの機能詳細例)
続いて、本発明の実施形態に係る侵入検知システム1の機能詳細例について説明する。上記のようにして履歴情報が記憶部230に登録されると、履歴情報に含まれる検知エリア情報に対応する検知エリアに動体物が侵入した場合には、侵入検知部216によって検知エリアへの動体物の侵入が検知される。続いて、設置された可搬型センサユニット10が停止されて撤収され、可搬型センサユニット10が再度設置される場合を想定する。可搬型センサユニット10は、再度起動される。
可搬型センサユニット10が起動され、可搬型センサユニット10によってセンサ観測情報(新たなセンサ観測情報)が検出されると、可搬型センサユニット10は、センサ観測情報を侵入検知装置20に出力する。侵入検知装置20において、情報取得部211は、可搬型センサユニット10から、可搬型センサユニット10によって検出されたセンサ観測情報を、通信部240を介して取得する。上記したように、本発明の実施形態では、可搬型センサユニット10は、LiDAR11とカメラ12とを含む場合を想定する。したがって、情報取得部211は、カメラ12によって撮影されたカメラ画像(センサ観測情報)とLiDAR11によって計測されたLiDAR計測データ(センサ観測情報)とが統合された情報をセンサ観測情報として取得する。
検知エリア設定部215は、情報取得部211によって取得されたセンサ観測情報に対応する観測エリア内に検知エリア(新たな検知エリア)を設定する。検知エリア設定部215は、新たな検知エリア情報およびセンサ観測情報で過去の検知エリア情報およびセンサ観測情報を更新してもよいし、新たな検知エリア(およびセンサ観測情報)を過去の検知エリア情報情報(およびセンサ観測情報)とは別に追加登録してもよい。そして、侵入検知部216は、検知エリア設定部215によって設定された検知エリアに動物体が侵入した場合、検知エリアへの動物体の侵入を検知する。
ここで、検知エリア設定部215による検知エリアの設定に際して、利用者が履歴情報の利用を指示する操作を入力した場合を想定する。かかる場合には、検知エリア設定部215は、記憶部230によって記憶されている履歴情報を利用して検知エリアを設定する。より具体的に、検知エリア設定部215は、情報取得部211によって取得されたセンサ観測情報と履歴情報に含まれるセンサ観測情報(過去のセンサ観測情報)との比較と、履歴情報に含まれる検知エリア情報(過去の検知エリア情報)とに基づいて、検知エリアを設定する。これによって、検知エリアの設定がより効率良く行われ得る。なお、利用者は履歴情報を利用しないことを指示する操作を入力可能であってもよい。
履歴情報には、複数のエリア名が登録され得る。したがって、検知エリア設定部215は、どのエリア名に対応するセンサ観測情報および検知エリア情報を利用するかを特定してもよい。例えば、利用者は、履歴情報の利用を指示する操作を入力するに際して、エリア名を入力可能であってもよい。かかる場合には、検知エリア設定部215は、利用者によって入力されたエリア名に対応するセンサ観測情報および検知エリア情報を利用すると特定すればよい。あるいは、検知エリア設定部215は、利用者の位置情報(すなわち、利用者の端末の位置情報)に基づいてエリア名を特定してもよい。
また、検知エリア候補が利用者に提示され、利用者によって検知エリア候補が選択された場合に、検知エリア候補が検知エリアとして設定されるのがよい。すなわち、候補提示部213は、情報取得部211によって取得されたセンサ観測情報と履歴情報に含まれるセンサ観測情報との比較と、履歴情報に含まれる検知エリア情報とに基づいて、検知エリア候補を生成し、生成した検知エリア候補が利用者に提示されるように出力部250を制御するのがよい。そして、検知エリア設定部215は、検知エリア候補が利用者によって選択された場合に検知エリア候補を検知エリアとして設定するのがよい。
このとき、検知エリア候補は、利用者によって修正可能であるのがよい。すなわち、候補修正部214は、利用者によって修正操作が入力された場合、利用者によって入力された修正操作に基づいて検知エリア候補を修正するのがよい。候補修正部214によって検知エリア候補が修正された場合には、検知エリア設定部215は、修正後の検知エリア候補を検知エリアとして設定すればよい。修正操作は、検知エリア候補の輪郭が通過する複数点の座標の一部または全部を移動させる操作(例えば、ドラッグ操作など)であってもよい。
検知エリアの設定は、具体的にどのように行われてもよい。以下では、検知エリア設定部215が、情報取得部211によって取得されたセンサ観測情報と履歴情報に含まれるセンサ観測情報との比較に基づいて、可搬型センサユニット10の設置情報の変化を認識する場合を想定する。そして、検知エリア設定部215が、可搬型センサユニット10の設置情報の変化に基づいて、検知エリアを設定する場合を想定する。
ここで、可搬型センサユニット10の設置情報の変化は、可搬型センサユニット10の設置位置の変化を含んでもよい。すなわち、検知エリア設定部215は、可搬型センサユニット10の設置情報の変化として可搬型センサユニット10の設置位置の変化を認識し、可搬型センサユニット10の設置位置の変化に基づいて、履歴情報に含まれる検知エリア情報に対応する検知エリア(過去の検知エリア)を移動させて得られる検知エリアを、検知エリアとして設定してもよい。
あるいは、可搬型センサユニット10の設置情報の変化は、可搬型センサユニット10の設置向きの変化を含んでもよい。すなわち、検知エリア設定部215は、可搬型センサユニット10の設置情報の変化として可搬型センサユニット10の設置向きの変化を認識し、可搬型センサユニット10の設置向きの変化に基づいて、履歴情報に含まれる検知エリア情報に対応する検知エリアを回転させて得られる検知エリアを、検知エリアとして設定してもよい。
あるいは、可搬型センサユニット10の設置情報の変化は、可搬型センサユニット10の設置位置の変化、および、可搬型センサユニット10の設置向きのうち、一方のみではなく、双方を含んでもよい。以下では、可搬型センサユニット10の設置位置の変化が、可搬型センサユニット10の水平方向の位置(xy座標)の変化である場合を主に想定する。一方、可搬型センサユニット10の設置向きの変化は、可搬型センサユニット10の軸(z軸)周りの回転角の変化である場合を主に想定する。
(検知エリア設定部の動作例)
以下、検知エリア設定部215の動作例について詳細に説明する。
図5は、カメラ12によって撮影されたカメラ画像(センサ観測情報)に基づく検知エリア設定について説明するための図である。図5に示された例では、カメラ12の種類が全方位カメラ(全方位を撮影可能なカメラ)である場合、かつ、カメラ12が下向きに設置されている場合を想定する。図5を参照すると、記憶部230によって記憶されている履歴情報に含まれるセンサ観測情報G1(過去のセンサ観測情報G1)が示されている。また、図5を参照すると、情報取得部211によってカメラ12から取得されたセンサ観測情報G2(新たなセンサ観測情報G2)が示されている。
さらに、図5を参照すると、記憶部230によって記憶されている履歴情報に含まれる検知エリア情報(過去の検知エリア情報)に対応する検知エリアR21が示されている。このとき、検知エリア設定部215は、過去のセンサ観測情報G1と新たなセンサ観測情報G2との比較と、(過去の検知エリアR21に対応する)過去の検知エリア情報とに基づいて、新たな検知エリアR22を設定する。
具体的に、検知エリア設定部215は、過去のセンサ観測情報G1と新たなセンサ観測情報G2とを比較することによって、カメラ12の設置向きが、可搬型センサユニット10の軸(z軸)を中心として、反時計回りに90度回転されたことを特定する。そして、検知エリア設定部215は、カメラ12の設置向きの回転と反対の回転(すなわち、逆回転かつ同じ回転量=時計回りに90度)に従って、過去の検知エリアR21を、センサの軸(z軸)周りに回転させることによって、新たな検知エリアR22を設定すればよい。
なお、ここでは、カメラ12の種類が全方位カメラである場合、かつ、カメラ12が下向きに設置されている場合を想定した。しかし、カメラ12の種類は、全方位カメラに限定されない。また、カメラ12の向きは、下向きに限定されない。例えば、カメラ12の種類が全方位カメラである場合、かつ、複数のカメラ12が横向きに設置されている場合も想定される。かかる場合には、検知エリア設定部215は、複数のカメラ12それぞれによって撮影されたセンサ観測情報に基づく射影変換によって、歪みの低減された横向き撮影のセンサ観測情報を生成し、当該横向き撮影のセンサ観測情報に基づく射影変換によって、下向き撮影のセンサ観測情報を生成してもよい。
また、ここでは、カメラ12の設置向きが変化する場合を想定した。しかし、カメラ12の設置位置が変化する場合も想定される。かかる場合には、検知エリア設定部215は、カメラ12の設置位置の移動と反対の移動(すなわち、逆向きかつ同じ移動量)に従って、過去の検知エリアを、水平方向(xy平面に平行な方向)に移動させることによって、新たな検知エリアを設定すればよい。このとき、1つのカメラによって撮影されたカメラ画像に基づいてカメラの設置位置の移動量を認識するのが困難な場合には、複数のカメラそれぞれによって撮影されたカメラ画像に基づいてカメラの設置位置の移動量が認識されればよい。
図6~図10は、LiDAR11によって計測されたLiDAR計測データに基づく検知エリア設定について説明するための図である。図6~図10に示された例では、LiDAR11の種類が3次元LiDAR(3次元データを計測可能なLiDAR)である場合を想定する。図6には、過去のセンサ観測情報に対応する物体位置関係を示す斜視図が示されている。一方、図7には、過去のセンサ観測情報に対応する物体位置関係を示す上面図が示されている。図6および図7を参照すると、過去のある時点において、物体B1、物体B2およびLiDAR11が空間に存在している。物体B1および物体B2は、LiDAR11によって計測される。
検知エリアR23が設定された場合、検知エリアR23に対応する検知エリア情報(過去の検知エリア情報)と、物体B1および物体B2が写る(LiDAR11によって計測された)センサ観測情報(過去のセンサ観測情報)と、(エリア名と)を含んだ履歴情報が、記憶部230によって記憶される。なお、ここでは、LiDAR11によって計測された観測情報に、2つの物体が写る場合を想定する。しかし、LiDAR11によって計測された観測情報には、少なくとも1つの物体が写っていればよい。
続いて、設置された可搬型センサユニットが停止されて撤収され、可搬型センサユニットが再度設置される。可搬型センサユニットが再度起動されると、LiDAR11によってセンサ観測情報(新たなセンサ観測情報)が計測され、侵入検知装置20に出力される。図8には、新たなセンサ観測情報に対応する物体位置関係を示す斜視図が示されている。一方、図9には、新たなセンサ観測情報に対応する物体位置関係を示す上面図が示されている。図8および図9を参照すると、図7および図8に示された例と比較して、LiDAR11の設置位置が移動している。物体B1および物体B2は、LiDAR11によって再度計測される。物体B1および物体B2が写る新たなセンサ観測情報は、情報取得部211によって取得される。
検知エリア設定部215は、過去のセンサ観測情報と新たなセンサ観測情報との比較と、過去の検知エリア情報とに基づいて、新たな検知エリアを設定する。このとき、検知エリア設定部215は、過去のセンサ観測情報に基づいて、物体B1および物体B2それぞれの3次元位置および特徴(例えば、サイズ、形状など)を認識する。一方、検知エリア設定部215は、新たなセンサ観測情報に基づいて、物体B1および物体B2それぞれの3次元位置および特徴(例えば、サイズ、形状など)を認識する。
検知エリア設定部215は、過去のセンサ観測情報に基づいて認識された各物体の特徴と、新たなセンサ観測情報に基づいて認識された各物体の特徴とに基づいて、過去のセンサ観測情報に写る物体B1および物体B2と、新たなセンサ観測情報に写る物体B1および物体B2との間で、同一と推定される物体の3次元位置同士を紐づける。ここでは、過去のセンサ観測情報に写る物体B1の3次元位置と、新たなセンサ観測情報に写る物体B1の3次元位置とが紐づけられ、過去のセンサ観測情報に写る物体B2の3次元位置と、新たなセンサ観測情報に写る物体B2の3次元位置とが紐づけられる。
検知エリア設定部215は、新たなセンサ観測情報から認識される物体B1および物体B2それぞれの3次元位置と、過去のセンサ観測情報から認識される物体B1および物体B2それぞれの3次元位置とに基づいて、物体B1および物体B2それぞれの3次元位置の変化を認識する。そして、検知エリア設定部215は、物体B1および物体B2それぞれの3次元位置の変化に基づいて、LiDAR11の設置情報の例としての設置位置の変化を認識する。
図8および図9に示された例において、検知エリア設定部215は、図6および図7に示された例と比較して、物体B1および物体B2が奥側かつ左側に変化したことを認識する。すなわち、検知エリア設定部215は、LiDAR11が手前側かつ右側に移動したことを認識する。したがって、図10に示されたように、検知エリア設定部215は、LiDAR11の移動とは反対の移動(すなわち、逆向きかつ同じ移動量)に従って、過去の検知エリアR23を、水平方向(xy平面に平行な方向)に移動させることによって、新たな検知エリアR24を設定する。
また、ここでは、LiDAR11の設置位置が変化している場合を想定した。しかし、LiDAR11の設置向きが変化している場合も想定される。かかる場合には、検知エリア設定部215は、LiDAR11の設置向きの回転と反対の回転(すなわち、逆回転かつ同じ回転量)に従って、過去の検知エリアを、センサの軸(z軸)周りに回転させることによって、新たな検知エリアを設定すればよい。
以下、検知エリア設定部215の動作例について詳細に説明した。
(侵入検知部の動作例)
以下、侵入検知部216の動作例について説明する。
図11~図13は、カメラ12によって撮影されたカメラ画像(センサ観測情報)に基づく侵入検知について説明するための図である。図11を参照すると、空間に人物P1が存在している。カメラ12によって空間のカメラ画像が撮影されると、侵入検知部216は、かかるカメラ画像から人物を検出し、カメラ画像における人物の接地位置(2次元座標)を検出する。例えば、カメラ画像における人物の接地位置は、カメラ画像における人物の最下位置であってよい。
例えば、カメラパラメータ(カメラ12の画角、高さ、向きなど)と道路平面式(空間における道路平面の3次元式)とがあらかじめ登録されている場合を想定する。かかる場合には、侵入検知部216は、人物が道路平面に接地しているという仮定の下、カメラ画像における人物の接地位置(2次元座標)とカメラパラメータとに基づいて、人物P1が存在する3次元方向を算出する。図12を参照すると、鉛直平面におけるカメラ12の画角A1が示されている。また、人物P1が存在する3次元方向の鉛直平面における方向A2が示されている。
そして、侵入検知部216は、人物P1が存在する3次元方向と道路平面式とに基づいて、空間における人物P1の接地位置の3次元位置を算出する。図12を参照すると、カメラ12から空間における人物P1の接地位置までの3次元的な水平距離D1が示されている。
図13を参照すると、水平平面におけるカメラ12の画角A3が示されている。また、人物P1が存在する3次元方向の水平平面における方向A4が示されている。また、図13を参照すると、検知エリア設定部215によって設定された検知エリアR24が示されている。例えば、侵入検知部216は、検知エリアR24の範囲内に人物P1の3次元位置(例えば、人物P1の接地位置の3次元位置)が侵入した場合、検知エリアR24への人物P1の侵入を検知する。
なお、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合、所定の警告を出力すればよい。警告は、少なくとも検知エリアR24に侵入した人物P1が知覚可能なように出力されればよい。一例として、警告は、聴覚によって知覚可能なようにスピーカによって音声出力されてもよいし、視覚によって知覚可能なように警告灯によって表示(例えば、点滅表示)されてもよい。あるいは、出力部250は、検知エリアR24に侵入した人物P1に危険を報告できるよう、人物P1が写るカメラ画像を保存してもよい。
また、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合だけでなく、他の条件も満たされた場合に、所定の警告を出力してもよい。例えば、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合、かつ、人物P1が検知エリアR24に向かっている場合に、警告を出力してもよい。
あるいは、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合であっても、他の条件が満たされた場合には、所定の警告を出力しなくてもよい。例えば、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合、かつ、人物P1の装着するヘルメットの色が所定の色(例えば、赤など)である場合には、(人物P1が作業者であると推定して)警告を出力しなくてもよい。
図14および図15は、LiDAR11によって計測されたLiDAR計測データ(センサ観測情報)に基づく侵入検知について説明するための図である。図14を参照すると、空間に人物P1が存在している。LiDAR11によって空間のLiDAR計測データが計測されると、侵入検知部216は、かかるLiDAR計測データから人物P1を検出し、人物P1の3次元位置E1を検出する。図15に示されるように、侵入検知部216は、検知エリアR24の範囲内に人物P1の3次元位置E1が侵入した場合、検知エリアR24への人物P1の侵入を検知する。
なお、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合、所定の警告を出力すればよい。警告は、少なくとも検知エリアR24に侵入した人物P1が知覚可能なように出力されればよい。一例として、警告は、聴覚によって知覚可能なようにスピーカによって音声出力されてもよいし、視覚によって知覚可能なように警告灯によって表示(例えば、点滅表示)されてもよい。あるいは、出力部250は、検知エリアR24に侵入した人物P1に危険を報告できるよう、人物P1が写るカメラ画像を保存してもよい。
また、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合だけでなく、他の条件も満たされた場合に、所定の警告を出力してもよい。例えば、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合、かつ、人物P1が検知エリアR24に向かっている場合に、警告を出力してもよい。
あるいは、出力部250は、侵入検知部216によって検知エリアR24への人物P1の侵入が検知された場合であっても、他の条件が満たされた場合には、所定の警告を出力しなくてもよい。
以下、侵入検知部216の動作例について詳細に説明した。また、本発明の実施形態に係る侵入検知システム1の機能詳細例について説明した。
<2.ハードウェア構成例>
続いて、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20のハードウェア構成例について説明する。以下では、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、侵入検知装置20のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、侵入検知装置20のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
図16は、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
以上、本発明の実施形態に係る侵入検知装置20のハードウェア構成例について説明した。
<3.まとめ>
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、可搬型センサユニットと、前記可搬型センサユニットから、前記可搬型センサユニットによって検出された新たなセンサ観測情報を取得する情報取得部と、前記新たなセンサ観測情報に対応する観測エリア内に新たな検知エリアを設定するエリア設定部と、前記新たな検知エリアへの動物体の侵入を検知する侵入検知部と、を備え、前記エリア設定部は、前記新たなセンサ観測情報と過去のセンサ観測情報との比較と、過去の検知エリア情報とに基づいて、前記新たな検知エリアを設定する、侵入検知装置が提供される。
かかる構成によれば、検知エリアの設定をより効率良く行うことが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、可搬型センサユニット10は、所定の場所に置かれてセンシングを行ってもよいし、ドローン等の自ら移動可能な筐体に設けられてセンシングを行ってもよい。例えば、可搬型センサユニット10がドローンに設けられる場合、検知エリア設定部215は、ドローンの高さ、および、ドローンの向きを容易に変化させることが可能である。したがって、上記した例では、可搬型センサユニット10の水平方向の位置(xy座標)およびセンサの軸(z軸)周りの回転角が変化される場合について主に説明したが、検知エリア設定部215は、可搬型センサユニット10の設置位置として、高さ方向の位置も含めた可搬型センサユニット10の3次元位置を変化させてもよいし、可搬型センサユニット10の設置向きとして、可搬型センサユニット10の3軸周りの回転角を変化させてもよい。
上記では、制御部210が有する各機能ブロックの全部が、侵入検知装置20に組み込まれる場合を主に説明した。しかし、制御部210が有する各機能ブロックは、複数の装置に分散されて存在してもよい。例えば、侵入検知部216は、侵入検知装置20に組み込まれ、情報取得部211およびエリア設定部212は、侵入検知装置20とは異なる、図示しないエリア設定装置に組み込まれてもよい。このとき、コンピュータを、図示しないエリア設定装置として機能させるためのプログラムが提供されてもよいし、コンピュータを、図示しないエリア設定装置として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。
本発明の実施形態に係る技術では、空間に対してセンサが固定される(ドローンにセンサが設けられる場合であっても、空間にセンサが固定された上でセンシングが行われる)。そして、空間に対するセンサの設置位置および設置向きの変化に応じて、検知エリアの位置および向きが変化する。すなわち、本発明の実施形態に係る技術は、検知エリアが空間に対して固定して設定される。一方、移動体にセンサが固定される技術では、移動体の移動に追従してセンサも移動し、センサの移動に伴って検知エリアも変化する。すなわち、検知エリアが移動体に対して固定される。このように、本発明の実施形態に係る技術は、移動体にセンサが固定される技術とは異なる。