[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態であるカセット10を正面側すなわち上面から示す斜視図である。本実施形態の説明では、図1の上側をカセット10の前側とし、下側をカセット10の後側とし、右側をカセット10の左側とし、左側をカセット10の右側とし、左上側をカセット10の上側とし、右下側をカセット10の下側とする。図2は、カセット10を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。図3は、第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16、および第4ケース部材18を分離させて、カセット10のケースおよび内部構成を説明する斜視図である。カセット10は、ラミネートタイプであって、全体として直方体状を成し、後述の図20に示す印刷装置102のカセット装着部104に着脱可能に装着される。カセット10は、第1ケース部材12および第2ケース部材14から構成されるテープケース20と、第3ケース部材16および第4ケース部材18から構成されるリボンケース21とを備えている。リボンケース21は、テープケース20に対して上下方向の一方側である下側に位置する。テープケース20は、内部に形成された第1空間S1に被印刷媒体である印刷テープロール26を備える。リボンケース21は、内部に形成された第2空間S2にインクリボンロール72及び貼合せテープロール64を備える。インクリボンロール72は、帯状の印刷テープ22への印刷に使用される、帯状のインクリボン68が供給スプール70に巻回されている。貼合せテープロール64は、印刷された印刷テープ22に貼り合わされる帯状の貼合せテープ60が、貼合せテープ60の幅方向が上下方向となるように貼合せスプール62に巻回されている。すなわち、貼合せテープロール64の径方向は前後方向及び左右方向を含む、上下方向に対して垂直な方向である。換言すると、径方向に直交する直交方向は上下方向である。第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16および第4ケース部材18は、上下方向に相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪27と固定爪28との係合と位置決め突起29による位置決めとによって相互に固定されている。なお、本実施形態において、各ケース部材12~18の上側の面を上面もしくは正面と称し、下側の面を下面もしくは裏面と称す場合がある。第1空間S1を形成するテープケース20は、カセット10の第1層に対応し、第2空間S2を形成するリボンケース21は、カセット10の第2層に対応している。
図2に示すように、カセット10の第4ケース部材18の下面には、上下方向に貫通する巻取スプール支持穴94が設けられている。また、第3ケース部材16および第4ケース部材18の前側の面、すなわち、リボンケース21の前側の面には、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部99が形成されている。
図4は、第1ケース部材12の上面側を示す正面図であり、図5は第1ケース部材12の下面側を示す斜視図である。図6は、第2ケース部材14の上面側を印刷テープロール26とともに示す正面図である。なお、図6では、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22の記載は省略されている。図7は、図1のカセット10を、第1ケース部材12を取り除いて示す斜視図である。図8、図9、図10、図11は、印刷テープがテープケース20内からリボンケース21内へ移行する状態を示す、図6の断面図である。
第1ケース部材12と第2ケース部材14との間には、第1空間S1が形成されている。第1空間S1には、印刷テープロール26が上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容されている。印刷テープロール26は、印刷テープ22が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール24に巻回されて構成される。第1ケース部材12および第2ケース部材14は長方形状であって、第1回転中心線C1は、第1ケース部材12および第2ケース部材14における、左右方向の中央略右寄り、且つ、前後方向の略中央付近に位置している。なお、第1回転中心線C1は、印刷テープロール26の回転中心であるとともに、印刷テープスプール24の回転中心でもある。印刷テープ22は、印刷ヘッド106によって印刷される被印刷媒体である。印刷テープ22は、たとえば図18に示すように、剥離テープ22cが被印刷テープ22aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤22bを介して積層されることにより構成されたものである。
図3及び図5に示すように、第1ケース部材12の下面側には、円筒状の第1支持突起30と、第1円周壁34とが設けられる。第1支持突起30は、円筒状の印刷テープスプール24に挿入され印刷テープロール26を回転可能に支持する。第1ケース部材12は、短辺部44aと長辺部44bを有する外周壁44を備える。第1円周壁34は、印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。第1支持突起30と第1円周壁34は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第1ケース部材12の下面側から下向きに突設されている。図6及び図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、円筒状の第2支持突起32と、第2円周壁36とが設けられる。第2支持突起32は、円筒状の印刷テープスプール24に挿入され印刷テープロール26を回転可能に支持する。第2円周壁36は、印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。第2支持突起32と第2円周壁36は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第2ケース部材14の上面側から上向きに突設されている。印刷テープロール26は、印刷テープロール26の外径と略同じ外径を有する円形のスペーサフィルム38を印刷テープロール26の上下にそれぞれ介在させた状態で第1ケース部材12と第2ケース部材14との間に配設されている。スペーサフィルム38は、印刷テープロール26を円滑に回転させるためのものであり、たとえば4フッ化エチレン樹脂シートから構成されたものである。
第1ケース部材12の下面側および第2ケース部材14の上面側には、図5および図6に示すように、印刷テープロール26から印刷テープ22を一定の位置から引き出すために第1円周壁34および第2円周壁36の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート40、42が形成されている。図6および図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を一定の方向に案内するために、印刷テープゲート42の左端から左側へ伸びる案内壁50が形成されている。
図6に示すように、印刷テープゲート42の左端から左側へ伸びる案内壁50は、外周壁46の短辺部46aに到達する前に長辺部46b側すなわち後方へ曲がり、第2円周壁36に沿って延設されて長辺部46bへ接続されている。また、第2ケースは、矩形の底板14aと底板14aの外周を囲む外周壁14bとを備えている。
図6、図12に示すように、第2ケース部材14の底板14aには、案内壁50と外周壁46の長辺部46bとに沿って前後方向及び左右方向に延びる正面視略L字状の貫通孔52が形成されている。底板14aには、第2円周壁36のうち案内壁50および長辺部46bに対向する部分と貫通孔52との間において複数の案内リブ54が形成されている。複数の案内リブ54は、印刷テープロール26から巻き出され且つ印刷テープゲート40および42を通して送り出された印刷テープ22を貫通孔52内へ案内する。図7は、第1ケース部材12を取り除いたカセット10を示す。印刷テープロール26から巻き出された印刷テープ22が、貫通孔52を通して第3ケース部材16と第4ケース部材18との間の第2空間内S2へ導かれている状態を示している。印刷テープ22は、第1空間S1と第2空間内S2とを区画する板材として機能する底板14aに形成された貫通孔52を通して、テープケース20とリボンケース21とに架け渡される。第3ケース部材16の下面には、貫通穴58の内周側に沿って外面が連続する案内壁93が設けられている。この案内壁93の内側には、貼合せロール64、インクリボンロール72が配設されている。
図8、図9、図10、図11は、印刷テープ22が、テープケース20内の印刷テープロール26から貫通穴52を通して印刷テープ22が露出するヘッド空間すなわち後述の印刷ヘッド106が挿入されるリボンケース21の凹部99までの、搬送経路HKを示している。図8は、図6のVIII-VIII視断面図であって、印刷テープ22が印刷テープロール26のから巻き出されてリボンケース21の移行が開始される状態を示している。図9は、図6のIX-IX視断面図であって、印刷テープ22がテープケース20内からリボンケース21内へ斜めに架け渡される状態を示している。図10は、図6のX-X視断面図であって、印刷テープ22のリボンケース21への移行途中状態を示している。図11は、図6のXI-XI視断面図であって、印刷テープ22の移行完了後から印刷テープ22が露出するヘッド空間すなわち後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部99までの状態を示している。
カセット10は、図6に示すように、平面視において印刷テープロール26の回転方向の順に4つの角部K1、K2、K3、およびK4を有する直方体であって、図2に示すようにK1とK4との間に後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部99を備えている。印刷テープ22が印刷テープロール26から離れる位置である搬送開始位置PSは、図6に示す位置である。印刷テープ22が下方向に下がり始める移行開始位置ISは、図6に示す位置である。
印刷テープ22が下方向に下がり終わる移行終了位置IFは、図6、図10及び図17に示すように、最も下降してインクリボン68と平行となる位置である。図8、図9、図10は、角部K1とK2との間、角部K2とK3との間、および角部K3とK4との間の印刷テープ22の移行状態に対応しており、それら図8、図9、図10は移行経路IKを示している。この移行経路IKは、図6の平面視では、角部K1から角部K4のうちの角部K2、K3、及びK4を経由する移行経路IKに対応しており、印刷テープロール26の第1回転中心線C1まわりに、移行角度θiで示される。移行角度θiは、約270°であり、搬送経路HKに対応する搬送角度θh(約320°)よりも小さい。
移行経路IKの移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット10の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側であり、また、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側に位置している。移行経路IKの移行終了位置IFは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット10の中心位置Mに対して、リボンケース21のヘッド空間(凹部99)がある側と反対側であり、また、ヘッド空間における前記印刷テープの厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット10の中心位置Mよりも、リボンケース21のヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。
図12は、第2ケース部材14の下面側を示している。図12に示すように、第2ケース部材14の底板14aの裏面には、貫通穴52が開口しており、貫通穴52に沿って案内壁56が上下方向に立設されている。図13は、第3ケース部材16の上面側を示している。第3ケース部材16の天井板16eには、貫通穴58と、貼合せテープロール支持穴66と、インクリボン支持穴74と、巻取スプール支持穴78と、ローラ支持穴82とが、形成されている。貫通穴58は、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を第2空間S2へ通すために、第2ケース部材14の貫通穴52に対応する位置に形成されている。つまり、貫通孔52の一部と貫通孔58の一部は上下方向において互いに重複している。
貼合せテープロール支持穴66は、貼合せテープ60が巻回された貼合せスプール62の一端を嵌め入れて貼合せテープロール64を第1回転中心線C1と平行な第2回転中心線C2まわりに回転可能に支持する。なお、第2回転中心線C2は、貼合せテープロール64の回転中心であるとともに、貼合せテープスプール62の回転中心でもある。貼合せテープ60は、図18に示すように、印刷テープ22の印刷面を保護するためにたとえば外側の一面に粘着剤60bが塗布された透明な媒体である透明フィルム60aから成る。インクリボン支持穴74は、インクリボン68が巻回された供給スプール70の一端を嵌め入れてインクリボンロール72を第1回転中心線C1と平行な第3回転中心線C3まわりに回転可能に支持する。なお、第3回転中心線C3は、インクリボンロール72の回転中心であるとともに、供給スプール70の回転中心でもある。巻取スプール支持穴78は、インクリボンロール72から巻き出されたインクリボン68を巻き取る巻取スプール76の一端を嵌め入れて巻取スプール76を第1回転中心線C1と平行な第4回転中心線C4まわりに回転可能に支持する。ローラ支持穴82は、印刷テープ22の印刷面と貼合せテープ60の接着面とを圧着するために印刷テープ22と貼合せテープ60とを印刷装置102側のローラとの間で挟圧するローラ80の一端を嵌め入れてローラ80を第1回転中心線C1と平行な第5回転中心線C5まわりに回転可能に支持する。
図14に示すように、第3ケース部材16の下面には、貼合せテープロール保持壁84と、インクリボンロール保持壁86と、円筒状突起88と、円弧状壁92とが、形成されている。貼合せテープロール保持壁84および円弧状壁92は、貼合せテープロール64の配置位置を規定するために貼合せテープロール支持穴66の周囲に貼合せテープロール支持穴66を中心とする円弧状に形成されている。インクリボンロール保持壁86は、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68のインクリボンロールの配置位置を規定するために巻取スプール支持穴78の周囲に巻取スプール支持穴78を中心とする円弧状に形成されている。円筒状突起88は、インクリボン支持穴74の周囲から下方に突設され且つ先端面に周方向に並ぶ凹凸が形成されている。円筒状突起88は、供給スプール70の一端を嵌め入れて供給スプール70を回転可能に支持する。
図3に示されるように、インクリボン68が巻回された供給スプール70の他端には、クラッチばねを収容したクラッチばねホルダ90が嵌め付けられており、供給スプール70がクラッチばねホルダ90内のクラッチばねによってインクリボンロール72には適度の回転抵抗が付与されるようになっている。
図14に示すように、第3ケース部材16の下面には、貫通穴58の内周側に沿って外面が連続する案内壁93が設けられている。この案内壁93の内側には、貼合せロール64、インクリボンロール72が配設されている。円弧状部材92は、巻取スプール76に巻き取られる使用済のインクリボン68が貼合せロール64に接触することから回避させるものである。
図15および図16は、第4ケース部材18の上面および下面を示している。第4ケース部材18には、巻取スプール76の他端を嵌め入れて巻取スプール76を回転可能に支持する巻取スプール支持穴94が上下方向に貫通して形成されている。巻取スプール76の他端側の端面に形成された連結穴96が、図2に示すように巻取スプール支持穴94を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。カセット10が印刷装置102に装着されたとき、後述の印刷装置102の巻取スプール駆動軸108が連結穴96内に挿入されて巻取スプール76に連結され、巻取スプール76が巻取スプール駆動軸108により回転駆動される。また、第4ケース部材18には、供給スプール70の他端を嵌め入れて供給スプール70を回転可能に支持する円筒状の支持突起97が形成されている。
第4ケース部材18には、第3ケース部材16に形成されたローラ支持穴82に対応する位置に、ローラ80の軸端を露出させるローラ露出穴98が設けられている。ローラ80の第4ケース部材18側の端部に形成された連結部80aが、図2に示すようにローラ露出穴98を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。カセット10が印刷装置102に装着されたとき、後述の印刷装置102のローラ駆動軸110が連結部80aと連結され、ローラ80がローラ駆動軸110により回転駆動される。
図2、図14、図15に示すように、第3ケース部材16および第4ケース部材18から構成されるリボンケース21には、カセット10が図20に示すカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に立設された印刷ヘッド106を保持するヘッド保持板114を収容するための凹部99が形成されている。図14に示すように、第3ケース部材16の外周壁の一部には、前後方向に伸びる第1側壁16aと、左右方向に伸びる第2側壁(アーム壁)16bと、凹部99を囲むU字状の凹部壁16cとが、形成されている。第4ケース部材18には、図15に示すように、凹部壁16cに対応するU字状の切欠き18aが形成されている。これら凹部壁16cおよび切欠き18aによって、凹部99が形成されている。
図17は、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたときの、第3ケース部材16の下面を示す図である。前述の通り、印刷テープ22は、印刷テープロール26から引き出され、貫通孔52および貫通孔58を介してテープケース20内の第1空間S1からリボンケース21内の第2空間S2に斜めに架け渡される。そのため、第3ケース部材16を示す図17において印刷テープ22は、第3ケース部材16の後方の貫通孔58から描画されている。図17に示すように、印刷テープ22および貼合せテープ60は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118とに挟圧され、ローラ80の駆動によって、各々印刷テープロール26および貼合せテープロール64から引き出される。インクリボン68は、巻取スプール76の駆動によってインクリボンロール72から引き出され、巻取スプール76に巻き取られる。印刷テープ22は二点鎖線で、貼合せテープ60は破線で、インクリボン68は一点鎖線で示されている。
図17に示すように、印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pにおいて、印刷テープ22はインクリボン68を介して印刷ヘッド106に押しつけられる。この状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱することで、インクリボン68の一面に設けられたインク68aのうち一部が印刷テープ22に転写されて、印刷テープ22に文字、記号などが印刷される。印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン68は巻取スプール76に巻き取られる。印刷場所Pを通過した印刷テープ22の印刷面は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118により透明な貼合せテープ60が狭圧されて接着される。これにより、印刷テープ22の印刷面は貼合せテープ60により保護される。
図18は、カセット10から送り出された印刷テープ22および貼合せテープ60の積層体を模式的に示している。印刷テープ22の被印刷テープ22a側すなわち印刷面側に、一面に粘着剤60bが塗布された透明フィルム60aから構成された貼合せテープ60が、貼り着けられている。これにより、印刷テープ22の印刷面に転写されたインク68aが保護される。なお、図18に描かれた積層体の各部材22a~22c,60a,60b,68aの大きさや寸法比等は必ずしも正確ではない。
図19は、第3ケース部材16の下面を示す図である。第3ケース部材16と第4ケース部材18との間の第2空間S2内すなわちリボンケース21内には、貼合せテープロール64、インクリボンロール72、巻取スプール76、およびローラ80が配置される。上述したように、リボンケース21は、テープケース20に対して下方に重ねて配置されている。テープケース20内に収容された印刷テープロール26およびスペーサフィルム38を第2空間S2内で前後方向および左右方向に広がる投影面上に対し上下方向に投影した場合、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の投影位置は図16の一点差線で示される。なお、スペーサフィルム38は印刷テープロール26と略同じ直径を有するので、図19では印刷テープロール26を表す一点鎖線のみを記載する。図19に示すように、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76は、印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されている。貼合せテープロール64の少なくとも一部及び貼合せスプール62の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。より詳細には、貼合せテープロール64の一部及び貼合せスプール62の一部は、それぞれ印刷テープスプール24及び印刷テープスプール24に巻回された印刷テープ22と上下方向に重なっている。
図19に示されるように、印刷テープロール26の径は、貼合せテープロール64の径よりも大きく、貼合せテープロール64の径はインクリボンロール72の径よりも大きく、インクリボンロール72の径は巻取スプール76の径よりも大きい。前後方向および左右方向における印刷テープロール26の大きさ(径寸法d)、すなわち印刷テープロール26の直径は、前後方向および左右方向の各方向におけるカセット10の大きさの半分の大きさよりも大きい。換言すると、印刷テープロール26の左右方向の寸法は、カセット10の左右方向の寸法の半分の寸法Lよりも大きく、印刷テープロール26の前後方向の寸法は、カセット10の前後方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。
図19において、印刷テープロール26およびそれと同径のスペーサフィルム38は、貼合せテープロール64の少なくとも一部およびその第2回転中心線C2、インクリボンロール72の少なくとも一部およびその第3回転中心線C3、巻取スプール76の少なくとも一部およびその第4回転中心線C4、凹部99および凹部壁16cの少なくとも一部と上下方向において重なっている。印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の上下方向への投影面の中に、貼合せテープロール64およびその第2回転中心線C2、インクリボンロール72およびその第3回転中心線C3、および巻取スプール76およびその第4回転中心線C4、凹部99および凹部壁16cが位置している。また、凹部99および凹部壁16cの少なくとも一部は、印刷テープスプール24と上下方向において重なっている。また、第3方向において、印刷テープロール26および印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1は、凹部99の第3方向の一方側端部99aと他方側端部99bとの間に位置している。また、印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1は、第3方向において排出口130と凹部99の第3方向の一方側端部(図19の右側端部)との間に位置している。さらに、図19において、前後方向、および左右向において、カセット10の前後方向の中心且つ左右方向の中心である中心位置Mから印刷テープロール26の第1回転中心線C1までの距離は、中心位置Mから凹部99までの距離よりも小さく設定されている。なお、第4回転中心線C4は、巻取スプール24の回転中心である。
図20は、印刷システム122に含まれる印刷装置102の一部に設けられたカセット装着部104を示している。カセット装着部104には、嵌め入れられたカセット10を位置決めする矩形の位置決め穴112と、位置決め穴112の底面に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110とが設けられている。位置決め穴112は、カセット10の下ケースであるリボンケース21の一部を収容する収容部として機能している。これら巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110は、図示しないステップモータによりギヤ機構を介して同じ方向に回転駆動される。また、カセット装着部104の位置決め穴112の底面には、熱式の印刷ヘッド(サーマルプリントヘッド)106が固着されたヘッド保持板114が立設されており、プラテンローラ116および押圧ローラ118が回転可能に先端部に設けられたプラテン保持部材120がその基端部まわりに回動可能に設けられている。ヘッド保持板114は、たとえばアルミニウム製の金属板であって、印刷ヘッドのヒートシンクを兼ねている。
カセット10が、印刷装置102のカセット装着部104に装着されると、カセット装着部104に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110が巻取スプール76およびローラ80に連結される。次いで、カセット10がカセット装着部104に装着された状態で印刷装置102の図示しないカバーが閉じられると、プラテン保持部材120がその基端部まわりに回動させられて、プラテンローラ116および押圧ローラ118が印刷ヘッド106およびカセット10のローラ80へ押圧されるようになっている。印刷装置102とカセット10とが、印刷システム122を構成している。
本実施形態のカセット10によれば、第1層(テープケース20)に配置された印刷テープロール26と、第2層(リボンケース21)に配置されたヘッド空間(凹部99)と、第1層と第2層との境界にある開口(貫通穴52)を経由して印刷テープロール26からヘッド空間(凹部99)までの印刷テープ22の搬送経路HKとを、備えたカセット10であって、搬送経路HKのうち、第1層から第2層への移行開始位置ISから、第1層から前記第2層への移行終了位置IFまでの移行経路IKは、印刷テープロール26の第1回転中心線C1周りを半周以上にわたって設けられている。このように、2層構造のカセット10において、第1層から前記第2層への移行開始位置ISから移行終了位置IFまでの移行経路IKが、印刷テープロール26の第1回転中心線C1周りを半周以上にわたって設けられているので、第1層から第2層へ移行する過程の印刷テープ22に加えられる負荷を抑制することができる。
本実施形態のカセット10によれば、第1層(テープケース20)に配置された印刷テープロールと、第2層(リボンケース21)に配置されたヘッド空間(凹部99)とを、備えたカセットであって、第1層と第2層との境界にあって、ヘッド空間における印刷テープ22の厚み方向において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部99)がある側とは反対側に設けられている開口(貫通穴52)を経由する、印刷テープロール26からヘッド空間までの印刷テープ22の搬送経路HKが備えられている。このように、2層構造のカセット10において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間がある側とは反対側に設けられている開口を経由する、印刷テープロール26からヘッド空間までの印刷テープ22の搬送経路HKが設けられているので、搬送経路HKのうち、第1層から第2層への移行開始位置から、第1層から第2層への移行終了位置までの移行経路を長くすることができるため、第1層から第2層へ移行する過程の印刷テープ22に加えられる負荷を抑制することができる。
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープ22の搬送経路HKのうちの第1層から第2層への移行を開始する移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の送り方向において、カセット10の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。また、その移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の厚み方向において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への移行を開始する開始位置ISから移行が終了する終了位置IFまでの移行経路IKが長くなり、印刷テープ22に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープ22の搬送経路HKのうちの前記第1層から前記第2層への移行を行なう移行経路IKの移行終了位置IFは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の送り方向において、カセット10の中心位置Mに対して、リボンケース21のヘッド空間(凹部99)がある側と反対側である。また、移行終了位置IFは、ヘッド空間における前記印刷テープの厚み方向において、カセット10の中心位置Mよりも、リボンケース21のヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への移行を開始する移行開始位置ISから移行終了位置IFまでの移行経路IKが長くなり、印刷テープ22に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープ22の搬送経路HKの開始位置PSは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の送り方向において、カセット10の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。また、その開始位置PSは、ヘッド空間(凹部99)における印刷テープ22の厚み方向において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への印刷テープ22の移行経路IKを長くすることができ、印刷テープ22に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープ22の移行経路IKは、カセット10の4つの角部K1、K2、K3、K4のうちの少なくとも3つの角部、好適には4つの角部を経由して形成されている。これにより、第1層から前記第2層への印刷テープ22の移行経路IKが長くなり、印刷テープ22に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット10によれば、前後方向および左右方向は、印刷テープロール26の第1回転中心線C1軸線C1或いは底板14aに垂直な上下方向、或いはケース部材の積み重ね方向と直交する方向である。これにより、カセット10内において、第2空間S2内が有効に使用される。
本実施形態のカセット10によれば、第1層に設けられ、搬送経路HKを規定し、開口(貫通穴52)の内面の所定部分に外面が連続する第1壁(案内壁56)と、前記第2層に設けられ、前記搬送経路を規定し、開口の内面の所定部分に外面が連続する第2壁(保持壁86)とを、更に有する。これにより、貫通穴52を通して移行する印刷テープ22が円滑に案内される。
本実施形態のカセット10によれば、第2層にはさらにインクリボン68が巻回されたインクリボンロール72が配置され、インクリボン68は第2壁(保持壁86)の内面よりも内側に配置されている。これにより、リボンケース21の第2空間S2内において、インクリボンロール72が効率的に配置される。
本実施形態のカセット10によれば、第2層にはさらに印刷テープ22に貼り合わせる貼合せテープ60が巻回された貼合せロール64が配置され、貼合せテープ60は第2壁(保持壁86)の内面より内側に配置されることにある。これにより、印刷テープ22に貼合せテープ60がラミネートされ、印刷面の耐久性が高められる。
[実施形態2]
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の説明において、実施形態相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図21は、本発明の他の実施形態である貼合せテープロール64を用いないノンラミネートタイプのカセット210を正面側すなわち上面から示す斜視図であり、図22は、カセット210を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。カセット210は、全体として直方体状を成し、実施形態1のカセット10に比べて左右方向が小さく、且つローラ駆動軸110を備えないだけで図20と同様に構成されたプリンタに着脱可能に装着される。以後においては、そのプリンタとして、図20の印刷装置102を用いて説明する。本実施形態のカセット210は、貼合せテープロール64およびローラ80を備えないノンラミネートタイプであるため、ラミネートタイプであるカセット10と比較して小型である。
図23は、カセット210の第1ケース部材212、第2ケース部材214、第3ケース部材216、および第4ケース部材218を分離させて、カセット210の内部構成を説明する斜視図である。カセット210は、カセット10と同様に、第1ケース部材212および第2ケース部材214から構成されるテープケース220と、第3ケース部材216および第4ケース部材218から構成されるリボンケース221とを備えている。リボンケース221は、テープケース220に対して上下方向の一方側である下側に位置する。テープケース220は、内部に形成された第1空間S1に被印刷媒体である印刷テープロール226を備える。リボンケース221は、内部に形成された第2空間S2にインクリボンロール272を備える。インクリボンロール272は、帯状の印刷テープ222への印刷に使用される、帯状のインクリボン268が供給スプール270に巻回されている。第1ケース部材212、第2ケース部材214、第3ケース部材216および第4ケース部材218は、上下方向に相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪227と固定爪228との係合と位置決め突起229による位置決めとによって相互に固定されている。なお、本実施形態において、各ケース部材212~218の上側の面を上面もしくは正面と称し、下側の面を下面もしくは裏面と称す場合がある。第1空間S1を形成するテープケース220は、カセット10の第1層に対応し、第2空間S2を形成するリボンケース221は、カセット10の第2層に対応している。
図22に示すように、カセット210の第4ケース部材218の下面には、上下方向に貫通する巻取スプール支持穴294が設けられている。また、第3ケース部材216および第4ケース部材218の前側の面、すなわち、リボンケース221の前側の面には、カセット210が印刷装置202のカセット装着部204に装着されたとき、カセット装着部204に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部299が形成されている。
図24は、第1ケース部材212の上面側を示す正面図であり、図25は第1ケース部材212の下面側を示す斜視図である。図26は第2ケース部材214の上面側を印刷テープロール226とともに示す正面図である。図27は図21のカセット210を、第1ケース部材212を取り除いて示す斜視図である。図28は印刷テープ222がテープケース220内からリボンケース221内へ架け渡されている状態を示す、図26のXXVIII-XXVIII視断面図である。
第1ケース部材212と第2ケース部材214との間には、第1空間S1が形成されている。第1空間S1には、印刷テープロール226が上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容されている。印刷テープロール226は、印刷テープ222が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール224に巻回されて構成される。第1ケース部材212および第2ケース部材214は長方形状であって、第1回転中心線C1は、第1ケース部材212および第2ケース部材214における、左右方向の中央略右寄り、且つ、前後方向の略中央付近に位置している。印刷テープ222は、印刷ヘッド106によって印刷される被印刷媒体である。印刷テープ22は、たとえば図36に示すように、剥離テープ222cが被印刷テープ222aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤222bを介して積層されることにより構成されたものである。
図25及び図26に示すように、第1ケース部材212の下面側には、円筒状の第1支持突起230と、第1円周壁234とが設けられる。第1支持突起230は、円筒状の印刷テープスプール224に挿入され印刷テープロール226を回転可能に支持する。第1円周壁234は、印刷テープロール226の外径よりも大きい内径を有する。第1支持突起230と第1円周壁234は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第1ケース部材212の下面側から下向きに突設されている。図26及び図27に示すように、第2ケース部材214の上面側には、円筒状の第2支持突起232と、第2円周壁236とが設けられる。第2支持突起232は、円筒状の印刷テープスプール224に挿入され印刷テープロール226を回転可能に支持する。第2円周壁236は、印刷テープロール226の外径よりも大きい内径を有する。第2支持突起232と第2円周壁236は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第2ケース部材214の上面側から上向きに突設されている。印刷テープロール226は、印刷テープロール226の外径と略同じ外径を有する円形のスペーサフィルム238を印刷テープロール226の上下にそれぞれ介在させた状態で第1ケース部材212と第2ケース部材214との間に配設されている。
第1ケース部材212の下面側および第2ケース部材214の上面側には、図25および図26に示すように、印刷テープロール226から印刷テープ222を一定の位置から引き出すために第1円周壁234および第2円周壁236の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート240、242が形成されている。図26および図27に示すように、第2ケース部材214の上面側には、印刷テープロール226から引き出された印刷テープ222を一定の方向に案内するために、印刷テープゲート242の左端から左側へ伸びる案内壁250が形成されている。
図26に示すように、第2ケース部材214の底板214aには、外周壁246の長辺部246bと短辺部246aに沿って前後方向及び左右方向に延びる正面視略L字状の貫通孔252が形成されている。底板214aには、第2円周壁236のうち短辺部246aおよび長辺部46bの角部と対向する部分と貫通穴252との間においてリブ先端縁254aの外接面がテーパ面となるように形成された複数の案内リブ254とが、形成されている。複数の案内リブ254のリブ先端縁54aの外接面が形成するテーパ面は、印刷テープロール226から巻き出され且つ印刷テープゲート240および242を通して送り出された印刷テープ22を貫通穴52内へ導くためのものである。図27は、第1ケース部材212を取り除いたカセット210を示しており、印刷テープロール226から巻き出された印刷テープ222が、貫通穴252を通して第3ケース部材216と第4ケース部材218との間の第2空間内S2へ導かれている状態を示している。これにより、印刷テープ222は、第1空間S1と第2空間内S2との間の隔壁として機能する底板214aに形成された貫通穴252を通して、テープケース220とリボンケース221とに架け渡されている。貫通穴252は、印刷テープロール226の第1回転中心線C1および後述の図37の中心位置Mに対して、リボンケース21に形成された凹部299(ヘッド空間)とは反対側に主として形成されている。
カセット10は、図26に示すように、平面視において印刷テープロール226の回転方向の順に4つの角部K1、K2、K3、およびK4を有する直方体であって、図22に示すようにK1とK4との間に後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部299を備えている。前述の実施形態1に示すものと同様に、印刷テープ222が印刷テープロール226から離れる位置である搬送開始位置PSは、図26に示す位置である。印刷テープ222が下方向に下がり始める移行開始位置ISは、図26に示す位置である。印刷テープ222が下方向に下がり終わる移行終了位置IFは、図26及び図35に示すように、最も下降してインクリボン268と平行となる位置、すなわち、第3方向(左右方向)と平行になる位置である。移行経路IKは、図26の平面視では、角部K1から角部K4のうちの角部K2、K3、及びK4を経由する移行経路IKに対応しており、印刷テープロール26の第1回転中心線C1まわりに、移行角度θiで示される。移行角度θiは、約270°であり、搬送経路HKに対応する搬送角度θh(約320°)よりも小さい。
移行経路IKの移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット210の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側であり、また、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット210の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側に位置している。移行経路IKの移行終了位置IFは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット10の中心位置Mに対して、リボンケース221のヘッド空間(凹部99)がある側と反対側であり、また、ヘッド空間における前記印刷テープの厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット210の中心位置Mよりも、リボンケース221のヘッド空間(凹部99)がある側と同じ側である。
図28は、印刷テープ222が、貫通穴252を通して、テープケース220内からリボンケース221内へ斜めに架け渡される状態を示している。図29は、第2ケース部材214の下側を示している。図29に示すように、第2ケース部材214の底板214aの裏面には、貫通穴252が開口しており、貫通穴252に沿って案内壁256が上下方向に立設されている。図30は、第3ケース部材216の上面側を示している。第3ケース部材216の天井板216eには、貫通穴258と、インクリボン支持穴274と、巻取スプール支持穴278とが、形成されている。貫通穴258は、印刷テープロール226から引き出された印刷テープ222を第2空間S2へ通すために、第2ケース部材214の貫通穴252に対応する位置に形成されている。つまり、貫通孔252の一部と貫通孔258の一部は上下方向において互いに重複している。
インクリボン支持穴274は、インクリボン268が巻回された供給スプール270の一端を嵌め入れてインクリボンロール272を第1回転中心線C1と平行な第3回転中心線C3まわりに回転可能に支持する。巻取スプール支持穴278は、インクリボンロール272から巻き出されたインクリボン268を巻き取る巻取スプール276の一端を嵌め入れて巻取スプール276を第1回転中心線C1と平行な第4回転中心線C4まわりに回転可能に支持する。
図31に示すように、第3ケース部材216の下面には、インクリボンロール保持壁286と、円筒状突起288とが、形成されている。インクリボンロール保持壁286は、巻取スプール276に巻き取られたインクリボン268のインクリボンロールを保持するために巻取スプール支持穴278の周囲に巻取スプール支持穴278を中心とする円弧状に形成されている。円筒状突起288の先端面には、インクリボン支持穴274の周囲から突設され且つ先端面に周方向の凹凸が形成されている。
図23に示されるように、インクリボン268が巻回された供給スプール270の一端と円筒状突起288の先端面との間には、クラッチばねを収容したクラッチばねホルダ290が介在させられており、供給スプール70がクラッチばねホルダ90内のクラッチばねによって、インクリボンロール72には適度の回転抵抗が付与されるようになっている。
図32および図33は、第4ケース部材218の上面および下面を示している。第4ケース部材218側において巻取スプール76の他端を嵌め入れて巻取スプール276を回転可能に支持する巻取スプール支持穴294が第4ケース部材218を貫通して形成されている。また、第4ケース部材218には、供給スプール270の他端を嵌め入れて供給スプール270を回転可能に支持する円筒状の支持突起297が形成されている。巻取スプール276の他端側の端面に形成された連結穴296が、図23に示すように巻取スプール支持穴294を通して第4ケース部材218の下面に露出させられているので、カセット210が印刷装置102に装着されたとき、印刷装置102の巻取スプール駆動軸108が連結穴296内に挿入されて連結され、巻取スプール276が巻取スプール駆動軸108により回転駆動されるようになっている。
図34は、図26のXXXIV-XXXIV視断面図である。テープケース220とリボンケース221との間、すなわち、第2ケース部材214の底板214aと第3ケース部材216の天井板216eとの間には、第3層に対応する所定容積の第3空間S3が形成されている。
図22、図34に示すように、第3ケース部材216および第4ケース部材218から構成されるリボンケース221には、カセット210が図20に示すカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に立設された印刷ヘッド106を保持するヘッド保持板114を収容するための凹部299が形成されている。図31に示すように、第3ケース部材216の外周壁の一部には、前後方向に伸びる第1側壁216aと、左右方向に伸びる第2側壁(アーム壁)216bと、凹部99を囲むように配置されたU字状の凹部壁216cとが、形成されている。第4ケース部材218には、図33に示すように、凹部壁16cに対応するU字状の切欠き218aが形成されている。これら凹部壁216cおよび切欠き218aによって、凹部299が形成されている。
図35は、第3ケース部材216の下面を示す図を用いて、印刷テープロール226から引き出される印刷テープ222、およびインクリボンロール272から引き出されるインクリボン268の経路を、それぞれ説明している。カセット210が巻取スプール駆動軸108が立設されたカセット装着部104に装着されたとき、巻取スプール駆動軸108により回転駆動される巻取スプール276がインクリボン268を巻きとることにより、印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間においてインクリボン268と共に挟圧された印刷テープ222が印刷テープロール226から引き出される。図35では、印刷テープ222の経路と、巻取スプール276の駆動によってインクリボンロール272から引き出されたインクリボン268の経路とが、2点鎖線および破線でそれぞれ示されている。
印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pでは、印刷テープ222がインクリボン268を介して印刷ヘッド106に押しつけられた状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱すると、インクリボン268の一面に層状に設けられたインク268aのうち一部が印刷テープ222に転写されて、印刷テープ222に文字、記号などが印刷される。インクリボン268は、カセット210のリボンケース221すなわち第3ケース部材216に形成された排出口300から印刷テープ222と共に印刷場所Pへ向かって排出された後、印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン268は巻取スプール276に巻き取られる。
図36は、カセット210から送り出された印刷テープ222の積層構造体を示している。印刷テープ222は、被印刷テープ222aと、被印刷テープ222aの非印刷面側に粘着剤222bを介して貼り着けられた剥離テープ222cとの積層体である。被印刷テープ222aの印刷面には、印刷テープ222からのインク268aが転写されている。
図37では、第3ケース部材216と第4ケース部材218との間の第2空間S2内すなわちリボンケース221内に収容されたインクリボンロール272、巻取スプール276が実線で示され、それらに上下方向に重ねて、第1ケース部材212と第2ケース部材214との間の第1空間S1内すなわちテープケース220内に収容された印刷テープロール226およびスペーサフィルム238が、第2空間S2内で上下方向に直交する投影面上に一点鎖線(仮想線)で示されている。図37は未使用すなわち初期状態の印刷テープロール226、インクリボンロール272を示している。図37に示されるように、未使用すなわち初期状態の印刷テープロール226の径は、インクリボンロール272の径よりも大きく、インクリボンロール272の径は巻取スプール276の巻取径よりも大きいが、巻取スプール276の両端部に形成された鍔状の一対のフランジ276aの径よりは小さい。
図37において、印刷テープロール226は、インクリボンロール272の第3回転中心線C3、および巻取スプール276の第4回転中心線C4と上下方向すなわち第1方向において重なっている。換言すれば、印刷テープロール226の投影面の中に、インクリボンロール272の第3回転中心線C3、および巻取スプール276の第4回転中心線C4が位置している。また、供給スプール270の少なくとも一部、インクリボン268またはインクリボンロール272の少なくとも一部、巻取スプール276及び巻取スプール76に巻き取られようとするインクリボン268の少なくとも一部は、印刷テープロール226およびスペーサフィルム38と上下方向すなわち第1方向に重なっている。すなわち、巻取スプール76に巻き取られた或いは搬入口302から巻取スプール76へ巻き取られる過程のインクリボン268またはインクリボンロール272の少なくとも一部は、上下方向への印刷テープロール226およびスペーサフィルム238の投影面の中に位置している。
図37において、印刷テープロール226およびそれと同径のスペーサフィルム238は、インクリボンロール272の少なくとも一部およびその第3回転中心線C3、巻取スプール276の少なくとも一部およびその第4回転中心線C4、凹部299および凹部壁216cの少なくとも一部と上下方向すなわち第1方向において重なっている。印刷テープロール226およびスペーサフィルム238の投影面の中に、インクリボンロール272の少なくとも一部およびその第3回転中心線C3、および巻取スプール276の少なくとも一部およびその第4回転中心線C4、凹部299および凹部壁216cの少なくとも一部が位置している。また、凹部299および凹部壁216cの少なくとも一部は、印刷テープスプール224と上下方向すなわち第1方向において重なっている。また、第3方向において、印刷テープロール226および印刷テープスプール224の回転中心である第1回転中心線C1は、凹部299の第3方向の一方側端部と他方側端部との間に位置している。また、印刷テープスプール26の回転中心である第1回転中心線C1は、第3方向において排出口300と凹部299の第3方向の一方側端部(図37の右側端部)との間に位置している。さらに、図37において、第1方向と直交する第2方向、および第1方向および第2方向と直交する第3方向において、カセット10の第2方向の中心且つ第3方向の中心であるカセット10の中心位置Mから印刷テープロール226の第1回転中心線C1までの距離は、中心位置Mから凹部299までの距離よりも小さく設定されている。
本実施形態のカセット210によれば、第1層(テープケース220)に配置された印刷テープロール226と、第2層(リボンケース221)に配置されたヘッド空間と、第1層と第2層との境界にある開口(貫通穴252)を経由して印刷テープロール226からヘッド空間(凹部299)までの印刷テープ222の搬送経路HKとを、備えたカセット210であって、搬送経路HKのうち、第1層から第2層への移行開始位置ISから、第1層から前記第2層への移行終了位置IFまでの移行経路IKは、印刷テープロール26の第1回転中心線C1周りを半周以上にわたって設けられている。このように、2層構造のカセット210において、第1層から前記第2層への移行開始位置ISから移行終了位置IFまでの移行経路IKが、印刷テープロール26の第1回転中心線C1周りを半周以上にわたって設けられているので、第1層から第2層へ移行する過程の印刷テープ222に加えられる負荷が抑制されことができる。
本実施形態のカセット210によれば、第1層(テープケース220)に配置された印刷テープロールと、第2層(リボンケース221)に配置されたヘッド空間(凹部299)とを、備えたカセット210であって、第1層と第2層との境界にあって、ヘッド空間における印刷テープ222の厚み方向において、カセット210の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部299)がある側とは反対側に設けられている開口(貫通穴252)を経由する、印刷テープロール226からヘッド空間までの印刷テープ222の搬送経路HKが備えられている。このように、2層構造のカセット210において、カセット210の中心位置Mよりも、ヘッド空間がある側とは反対側に設けられている開口を経由する、印刷テープロール226からヘッド空間までの印刷テープ222の搬送経路HKが設けられているので、第1層から第2層へ移行する過程の印刷テープ222に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープ222の搬送経路HKのうちの第1層から第2層への移行を開始する移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ22の送り方向において、カセット210の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側である。また、その移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の厚み方向である第2方向(前後方向)において、カセット210の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への移行を開始する開始位置ISからヘッド空間までのまでの移行経路IKが長くなり、印刷テープ222に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープ222の搬送経路HKのうちの前記第1層から前記第2層への移行を行なう移行経路IKの移行終了位置IFは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の送り方向において、カセット210の中心位置Mに対して、リボンケース221のヘッド空間(凹部299)がある側と反対側である。また、移行終了位置IFは、ヘッド空間における前記印刷テープの厚み方向において、カセット210の中心位置Mよりも、リボンケース221のヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への移行を開始する開始位置ISからヘッド空間までの移行経路IKが長くなり、印刷テープ222に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープ222の搬送経路HKの移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の送り方向において、カセット210の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側である。また、その移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部299)における印刷テープ222の厚み方向において、カセット10の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側である。これにより、第1層から前記第2層への印刷テープ222の搬送経路HKが長くなり、印刷テープ22に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープ222の搬送経路HKおよび移行経路IKは、カセット210の4つの角部K1、K2、K3、K4のうちの少なくとも3つの角部、好適には4つの角部を経由して形成されている。これにより、第1層から前記第2層への印刷テープ222の搬送経路HKおよび移行経路IKが長くなり、印刷テープ222に加えられる負荷が抑制される。
本実施形態のカセット210によれば、第2方向(前後方向)および第3方向(左右方向)は、印刷テープロール226の第1回転中心線C1軸線C1或いは第1方向(底板14aに垂直な上下方向、或いはケース部材の積み重ね方向)と直交する方向である。これにより、カセット210内において、第2空間S2内が有効に使用される。
本実施形態のカセット210によれば、第1層に設けられ、搬送経路HKを規定し、開口(貫通穴252)の内面の所定部分に外面が連続する第1壁(案内壁256)と、前記第2層に設けられ、搬送経路HKを規定し、開口の内面の所定部分に外面が連続する第2壁(保持壁286)とを、更に有する。これにより、貫通穴252を通して移行する印刷テープ222が円滑に案内される。
本実施形態のカセット210によれば、第2層にはさらにインクリボン268が巻回されたインクリボンロール272が配置され、インクリボン268は第2壁(保持壁286)の内面よりも内側に配置されている。これにより、リボンケース221の第2空間S2内において、インクリボンロール272が効率的に配置される。
[実施形態3]
図38は、本発明の他の実施形態である、印刷テープ422自身が熱により発色する感熱(サーマル)タイプのカセット410を正面側すなわち上面から示す斜視図であり、図39は、カセット410を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。カセット410は、全体として直方体状を成し、寸法が少し相違し且つインクリボンロール72および巻取スプール76を備えないが、図20と同様に構成されたカセット装着部104に着脱可能に装着される。この場合のカセット装着部104には、巻取スプール駆動軸108は備えられておらず、ローラ駆動軸110が突設されている。
本実施形態のカセット410は、貼合せテープロール464およびローラ480を備えるが、巻取スプールおよびインクリボンロールは備えられていない。カセット410に備えられた印刷テープ422の被印刷テープ422aは、熱を受けて自己発色する感熱紙から構成されている。カセット410は、カセット10、210と同様に、第1ケース部材412および第2ケース部材414から構成され、内部に形成された第1空間S1に印刷テープロール426を備える第1ケースすなわちテープケース420と、テープケース420の下方側に位置するように装着され、第3ケース部材416および第4ケース部材418から構成され、内部に形成された第2空間S2に貼合せテープロール464を備える第2ケースすなわちケース421とを備えている。第1ケース部材412、第2ケース部材414、第3ケース部材416および第4ケース部材418は、相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪427と固定爪428との係合と位置決め突起429による位置決めとによって相互に固定されることにより、カセット410を構成している。
図39において、カセット410の第4ケース部材218の底面には、カセット210が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられたローラ駆動軸110が差し入れられる、後述のローラ480の軸端がローラ露出穴498を通して、露出させられている。また、第3ケース部材416および第4ケース部材418の側面には、カセット410がカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部499が形成されている。
図40は、第1ケース部材412、第2ケース部材414、第3ケース部材416、および第4ケース部材418を分離させて、カセット410の内部構成を説明する斜視図である。図41および図42は、第1ケース部材412の上(正)面側および下(裏)面側を示しており、実施形態2のカセット210の第1ケース部材212と同様に構成されている。図43および図44は、第2ケース部材414の上(正)面側および下(裏)面側を示しており、実施形態2のカセット210の第1ケース部材212と同様に構成されている。第1ケース部材412の上(正)面側は図21に、第1ケース部材412の下(裏)面側は図22に示すように構成されている。図45および図46は、第3ケース部材216の上(正)面側および下(裏)面側を示す図である。図47および図48は第4ケース部材418の上(正)面側および下(裏)面側を示す図である。
第1ケース部材412と第2ケース部材414との間には、印刷テープ422が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール424に巻回された印刷テープロール426を上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容する第1空間S1が形成されている。上下方向とは、第1ケース部材412から第4ケース部材418の積重ね方向である第1方向に対応し、上方向とは第1ケース部材212側へ向かう方向、下方向とは第4ケース部材218へ向かう方向を示している。第1ケース部材412および第2ケース部材214は長方形状であって、第1回転中心線C1は長手方向の中心からやや下偏心した位置に設けられている。印刷テープ422は印刷ヘッド106によって印刷される第1媒体に対応し、印刷テープロール426は第1媒体ロールに対応し、印刷テープスプール424は第1回転体に対応している。印刷テープ422は、たとえば図49に示すように、基材としての被印刷テープ422aの印刷面とは反対側の面に、剥離テープ422cが粘着剤422bを介して積層されることにより構成されたものである。本実施形態では、被印刷テープ422aは、加熱によってたとえば黒色に自己発色する感熱材料から構成されており、図49の被印刷テープ422aの一部には、局所発色領域422dが示されている。
図42、図43に示すように、第1ケース部材412の下面側および第2ケース414の上面側には、印刷テープスプール424の上端および他端に回転可能に嵌合して印刷テープロール426を回転可能に支持する円筒状の第1支持突起430および第2支持突起432と、未使用状態の印刷テープロール426の外径よりも大きい内径を有する第1円周壁434および第2円周壁436とが、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で突設されている。印刷テープスプール426は、第1円周壁434および第2円周壁436内に回転可能に保持された状態で、印刷テープロール426の外径と同じ外径を有する円形のスペーサフィルム438をそれぞれ介在させた状態で第1ケース部材412と第2ケース部材414との間に配設されている。
図43に示すように、第2ケース部材414の底板414aには、第2円周壁436と外周壁446の短辺部446aおよび長辺部446bとの間に沿って長手状に形成された第3開口である貫通穴452と、第2円周壁436のうち短辺部446aおよび長辺部446bの角部と対向する部分と貫通穴452との間においてリブ先端縁454aの外接面がテーパ面となるように形成された複数の案内リブ454とが、形成されている。複数の案内リブ454のリブ先端縁54aの外接面が形成するテーパ面は、印刷テープロール426から巻き出され印刷テープ422を貫通穴452内へ導くためのものである。これにより、印刷テープ422は、第1空間S1と第2空間内S2との間の隔壁として機能する底板414aに形成された貫通穴452を通して、テープケース420とケース421とに架け渡されている。
図44および図45において、第2ケース部材414の底板414aおよび第3ケース部材416の天井板416eは、テープケース420内の第1空間S1とケース421内の第2空間S2とを区画する板材或いは隔壁に対応している。
図46は、第3ケース部材416の下面側を示している。第3ケース部材416の下面には、貼合せテープロール464を保持する貼合ロール保持壁486と、貼合せテープロール464の貼合せスプール462を嵌め入れてそれを回転可能に支持する円筒状突起488とが、形成されている。貼合ロール保持壁486は、貼合せスプール462を保持するために円筒状突起488と同心の円弧状に形成されている。貫通穴452は、印刷テープロール426の第1回転中心線C1および後述の図19の中心位置Mに対して、ケース421に形成された凹部99(ヘッド空間)とは反対側に主として形成されている。
カセット410は、図43に示すように、平面視において印刷テープロール426の回転方向の順に4つの角部K1、K2、K3、およびK4を有する直方体であって、図43に示すようにK1とK4との間に後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部499を備えている。前述の実施形態1に示すものと同様に、印刷テープ422が印刷テープロール426から離れる位置である搬送開始位置PSは、図43に示す位置である。印刷テープ422が下方向に下がり始める移行開始位置ISは、図43に示す位置である。印刷テープ422が下方向に下がり終わる移行終了位置IFは、図43及び図49に示すように、最も下降して第3方向(左右方向)と平行となる位置である。移行経路IKは、図43の平面視では、角部K1から角部K4のうちの角部K2、K3、及びK4を経由する移行経路IKに対応しており、印刷テープロール426の第1回転中心線C1まわりに、移行角度θiで示される。移行角度θiは、約270°であり、搬送経路HKに対応する搬送角度θh(約320°)よりも小さい。
移行経路IKの移行開始位置ISは、ヘッド空間(凹部499)における印刷テープ422の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット410の中心位置Mに対して、ヘッド空間(凹部499)がある側と同じ側であり、また、ヘッド空間(凹部499)における印刷テープ422の厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット210の中心位置Mよりも、ヘッド空間(凹部299)がある側と同じ側に位置している。移行経路IKの移行終了位置IFは、ヘッド空間(凹部499)における印刷テープ222の送り方向または第3方向(左右方向)において、カセット10の中心位置Mに対して、ケース421のヘッド空間(凹部99)がある側と反対側であり、また、ヘッド空間における前記印刷テープの厚み方向または第2方向(前後方向)において、カセット410の中心位置Mよりも、ケース421のヘッド空間(凹部499)がある側と同じ側である。
図47および図48は、第4ケース部材218の上面および下面を示している。図47および図48において、円筒状突起488によって回転可能に支持された貼合せテープロール464の貼合せスプール462の第4ケース部材218側の端部を嵌め入れてそれを回転可能に支持する貼合せスプール支持穴494が第4ケース部材218を貫通して形成されている。また、第4ケース部材218には、ローラ480の第4ケース部材218側の端部を嵌め入れてそれを回転可能に支持するとともに、ローラ480の第4ケース部材218側の軸端を露出させて、ローラ駆動軸110と連結可能とするローラ露出穴498が、貫通状態で設けられている。
図39に示すように、第3ケース部材416および第4ケース部材418から構成されるケース421には、カセット410が図20に示すカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に立設された印刷ヘッド106を保持するヘッド保持板114を収容するための凹部499が形成されている。図46に示すように、第3ケース部材416の外周壁の一部には、積重ね方向Aに対応する第1方向(上下方向)と直交する第2方向(前後方向)に伸びる第1側壁416aと、一方向および第2方向と直交する第3方向(左右方向)に伸びる第2側壁(アーム壁)416bと、凹部499側の第2側壁416bから第2方向の一方側(後方)へ延び、且つその凹部499側の第2側壁416bよりも第2方向の一方側において第3方向の一方(図46の右)側すなわち第1側壁416a側へ伸びて凹部49を囲むように配置されたU字状の凹部壁416cとが、形成されている。第4ケース部材418には、図47および図48に示すように、凹部壁416cに対応するU字状の切欠き418aが形成されている。これら凹部壁416cおよび切欠き418aによって、凹部499が形成されている。
図49は、第3ケース部材416の下面を示す図を用いて、印刷テープロール426から引き出される印刷テープ422、および貼合せテープロール464から引き出される貼合せテープ460の経路を、それぞれ説明している。カセット410がローラ駆動軸110が立設されたカセット装着部104に装着されたとき、ローラ駆動軸110により回転駆動されるローラ480が印刷テープ422および貼合せテープ460を挟圧しつつ送ることにより、印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間において印刷テープ422が印刷テープロール426から引き出され、排出口500から排出される。図49では、印刷テープ422の経路と、貼合せテープ460の経路とが、2点鎖線および破線でそれぞれ示されている。
印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pでは、印刷テープ422が印刷ヘッド106に押しつけられた状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱すると、印刷テープ422の被印刷テープ422aが自己発色することで、印刷テープ422に文字、記号などが印刷される。
図50は、カセット410から送り出された印刷テープ422の積層構造体を示している。印刷テープ422は、被印刷テープ422aと、被印刷テープ422aの非印刷面側に粘着剤422bを介して貼り着けられた剥離テープ422cとの積層体である。被印刷テープ422aには、局所発色領域422dが形成されている。印刷テープ422の基材としての被印刷テープ422aには、貼合せテープ460の透明フィルム460aが粘着剤460bを介して積層されている。
図51では、第3ケース部材416と第4ケース部材418との間の第2空間S2内すなわちケース421内に収容された貼合せテープロール464が実線で示され、それに上下方向に重ねて、第1ケース部材412と第2ケース部材414との間の第1空間S1内すなわちテープケース420内に収容された印刷テープロール426およびスペーサフィルム438が、第2空間S2内で上下方向に直交する投影面上に一点鎖線(仮想線)で示されている。図50は未使用すなわち初期状態の印刷テープロール426、貼合せテープロール464を示している。図50に示されるように、未使用すなわち初期状態の印刷テープロール426の径は、貼合せテープロール464の径よりも大きい。
図51において、印刷テープロール426は、貼合せテープロール464の第2回転中心線C2と上下方向すなわち第1方向において重なっている。換言すれば、印刷テープロール426の投影面の中に、貼合せテープロール464の少なくとも一部および第2回転中心線C2が上下方向すなわち第1方向において重なっている。また、貼合せテープロール464の少なくとも一部および第2回転中心線C2は、印刷テープロール426およびスペーサフィルム438と上下方向すなわち第1方向に重なっている。すなわち、貼合せテープロール464の少なくとも一部および第2回転中心線C2は、印刷テープロール426およびスペーサフィルム438の投影面の中に位置している。
図51において、印刷テープロール426およびそれと同径のスペーサフィルム238は、貼合せテープロール464の少なくとも一部および第2回転中心線C2、および、凹部499および凹部壁416cの少なくとも一部と上下方向すなわち第1方向において重なっている。印刷テープロール426およびスペーサフィルム438の投影面の中に、貼合せテープロール464の少なくとも一部および第2回転中心線C2、凹部499および凹部壁416cの少なくとも一部が位置している。また、凹部499および凹部壁416cの少なくとも一部は、印刷テープスプール424と上下方向すなわち第1方向において重なっている。また、第3方向において、印刷テープロール426および印刷テープスプール424の回転中心である第1回転中心線C1は、凹部499の第3方向の一方側端部と他方側端部との間に位置している。また、印刷テープスプール426の回転中心である第1回転中心線C1は、第3方向において排出口500と凹部499の第3方向の一方側端部(図51の右側端部)との間に位置している。さらに、図51において、第1方向と直交する第2方向、および第1方向および第2方向と直交する第3方向において、カセット410の第2方向の中心且つ第3方向の中心であるカセット410の中心位置Mから印刷テープロール426の第1回転中心線C1までの距離は、中心位置Mから凹部499までの距離よりも小さく設定されている。
以上のように構成された本実施形態のカセット410によれば、前述の実施形態1および実施形態2と同様に、図43に示すように、平面視において印刷テープロール226の回転方向の順に4つの角部K1、K2、K3、およびK4を有する直方体であって、K1とK4との間に後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部299を備え、移行開始位置ISから移行終了位置IFまでの移行経路IKは、角部K1から角部K4までが移行経路IKに対応しており、印刷テープロールの第1回転中心線C1まわりの移行角度θiで示され、その移行角度θiは、180°よりも大きく、搬送経路HKに対応する搬送角度θhよりも小さいので、前述の実施形態1および実施形態2と同様の効果が得られる。
[実施形態4]
図52および図53は、本発明の他の実施形態のカセット510の上面側の斜視図および下面側の斜視図である。本実施形態のカセット510は、図54に示すように、印刷テープロール526のみを備えている。本実施形態の印刷テープロール526の印刷テープ522は、実施形態3の印刷テープ422と同様に、基材としての被印刷テープ522aの印刷面とは反対側の面に、剥離テープ522cが粘着剤522bを介して積層されることにより構成されたものである。図55は、カセット510から送り出された印刷後の印刷テープ522を示している。本実施形態の印刷テープ522は、図33に示す実施形態3の印刷テープ422と同様に、加熱によってたとえば黒色に自己発色する感熱材料から成る基材としての被印刷テープ522aと、被印刷テープ522aの貼着面に粘着剤522bを介して積層された剥離テープ522cとから構成されたものである。被印刷テープ522aの一部には、局所加熱によって形成された局所発色領域522dが示されている。
本実施形態のカセット510は、図54に示すように、実施形態2の図20のカセット210の第1ケース部材212、第2ケース部材214、第3ケース部材216、および第4ケース部材218と同様に構成された、第1ケース部材512、第2ケース部材514、第3ケース部材516、および第4ケース部材518を用いて構成されているが、供給スプール270にインクリボン268が巻回されたインクリボンロール272、およびインクリボン268を巻き取るための巻取スプール276を備えない点で、カセット210と相違している。
本実施形態のカセット510によれば、実施形態2の図26に示すように、平面視において印刷テープロール226の回転方向の順に4つの角部K1、K2、K3、およびK4を有する直方体であって、K1とK4との間に後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部299を備え、移行開始位置ISから移行終了位置PFまでの移行経路IKは、角部K1から角部K4までが移行経路IKに対応しており、印刷テープロールの第1回転中心線C1まわりの移行角度θiで示され、その移行角度θiは、180°よりも大きく、搬送経路HKに対応する搬送角度θhよりも小さいので、カセット210と同様の効果が得られる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施形態であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。