JP7270960B2 - 固形燃料の識別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、古紙と廃プラスチックを主原料とする固形燃料に関する。
近年、微細なプラスチック粒(マイクロプラスチック)が生態系を脅かしていることが明らかになった。廃プラスチックの処理が急がれる。
廃プラスチックの処理技術は、幾つか提案されてきたが、中でも燃料として再利用する技術が実用に供されている(例えば、特許文献1(図1)参照)。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図5は従来の固形燃料の斜視図であり、固形燃料100は、破砕された廃プラスチック101と、20~30重量%の古紙102とからなる。直径は約40mmで長さは30~100mm程度である。
廃プラスチック101のみでは、発熱量が高くなりすぎて、ボイラーなどの燃焼装置を傷める。古紙102を混ぜることで、発熱量を適度に下げることができる。埋め立てや単純に焼却するよりは、廃プラスチック101及び古紙102の有効活用が図れる。
このような利点を有する固形燃料100を、ボイラーに供給し、石油や天延ガスの消費量を抑えることができる。しかし、長く使い続けると、次に述べる問題点が浮上してきた。
複数基のボイラーにおいて、ボイラーの傷み具合が異なった。ボイラーに供給する固形燃料100の一部を、ボイラー毎に且つ定期的にサンプル採取し、これを保管した。この保管していたサンプルを分析したところ、次のことが判明した。
傷みが少ないボイラーには、主に、発熱量が低く、塩素成分が少ない固形燃料100が供給され、傷みが酷いボイラーには、主に、発熱量が高く、塩素成分が多い固形燃料100が供給されていた。
すなわち、古紙102の含有量を20重量%、残部を廃プラスチック101にすると、固形燃料100の発熱量が上がる。また、廃プラスチック101の主体が、塩化ビニルに代表される塩素系プラスチックであると、塩素成分が多くなる。燃焼ガス中に塩素ガスが含まれ、この塩素ガスが金属を傷める。
従来は、大まかな発熱量と、大まかな塩素成分とが管理されるだけで、細かな管理はされてこなかった。
しかし、廃プラスチックの発生が急増し、これを利用する固形燃料の増産が求められる中、固形燃料のきめ細かな管理が望まれる。
特開平7-118673号公報
本発明は、固形燃料のきめ細かな管理技術を提供することを課題とする。
上述したボイラーの場合、塩素成分が少ない固形燃料100を供給することで、傷みを少なくすることができる。しかし、塩素成分が少ない固形燃料100だけを使用すると、塩素成分が多い固形燃料100が残ってしまい、その対策が必要となる。
ところで、塩素ガス処理装置を備え燃焼装置は、塩素成分を多く含む固形燃料を燃やすことができる。また、耐熱対策を強化した燃焼装置は、高発熱量の固形燃料を燃やすことができる。
すなわち、本発明者らが調べたところ燃焼装置によっては、塩素ガスに強い装置と、塩素ガスに弱い装置とがあり、高発熱量の固形燃料で差し支えない装置と、高発熱量の固形燃料では支障がでる装置とが、存在することが分かった。
この知見から、固形燃料を色分けし、燃焼装置に適した色の固形燃料を供給することで、固形燃料を満遍なく使い切る見通しを得た。
なお、本発明において、重量%は、(着色剤の重さ/(古紙の重さ+廃プラスチックの重さ+着色剤の重さ))×100の計算式で定義される。また、着色剤の重さは、着色剤が粉末などの固体である場合は固体の重さとし、着色剤が固体を溶剤に溶かした液状である場合は、溶剤を除いた固体の重さとする。
請求項に係る発明は、古紙と廃プラスチックを主原料とする固形燃料の識別方法であって、この固形燃料の発熱量と塩素含有率に応じて、前記固形燃料に着色を施し、この着色により前記固形燃料を識別することができるようにしたことを特徴とする。
着色の方法は、着色剤を主原料に混入することが好ましいが、固形燃料を塗装液に浸漬することや、塗装ガンで固形燃料に吹付けてもよい。
請求項に係る発明は、請求項記載の固形燃料の識別方法であって、前記発熱量は、7000kcalを閾値とすることを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項又は請求項記載の固形燃料の識別方法であって、前記塩素含有率は、0.3%を閾値とすることを特徴とする。
請求項に係る発明では、固形燃料の発熱量と塩素含有率に応じて、固形燃料に着色を施し、この着色により固形燃料を識別する。
仮に、従来の固形燃料(非着色)を樹脂袋に入れ、この樹脂袋に識別表示をした場合、樹脂袋が破れて固形燃料(非着色)が飛散すると、種別ができなくなる。
この点、本発明によれば、固形燃料に識別用の着色が施されているため、固形燃料単位で識別が可能となる。
併せて、本発明により、きめ細かな固形燃料の管理が可能となる。
請求項に係る発明では、発熱量は、7000kcalを閾値とする。7000kcalを超える固形燃料を、高発熱量の固形燃料で差し支えない装置へ供給し、7000kcal以下の固形燃料を、高発熱量の固形燃料では支障がでる装置へ供給すればよい。
請求項に係る発明では、塩素含有率は、0.3%を閾値とする。0.3%を超える塩素含有率の固形燃料を塩素ガスに強い装置へ供給し、0.3%以下の塩素含有率の固形燃料を塩素ガスに弱い装置へ供給すればよい。
本発明に係る固形燃料を製造するときに使用する破砕装置の原理図である。 本発明に係る固形燃料を製造するときに使用する圧縮・整粒装置の原理図である。 圧縮・整粒装置の作用図である。 固形燃料の製造フロー図である。 従来の固形燃料の斜視図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示すように、破砕装置10は、上から投入した着色剤、廃プラスチック及び古紙の混合物11を、プッシャ12で回転刃13へ押し出し、回転刃13と固定刃14とで切断し、8~80mmの目のスクリーン15を通して落下させ、コンベア16で搬出する装置である。
なお、着色剤は、混合物11に混入しないで、後述する圧縮・整粒装置20の投入ダクト22へ破砕物17と共に投入してもよい。また、破砕装置10の構成は一例を示したものであり、8~80mmの破砕物17が得られれば他の構造のものでも差し支えない。
スクリーン15の目を変更することにより破砕物17の大きさを変更することができる。
図2に示すように、圧縮・整粒装置20は、破砕物17を回転ドラム状のリングダイ21に投入する投入ダクト22と、リングダイ21内に配置されリングダイ21と共に回転するローラ23、24と、リングダイ21に開けた多数のダイ孔25と、リングダイ21の外周に沿って配置したカッタ26と、ケーシング27とからなる。
投入ダクト22を通じてリングダイ21に投入した破砕物17は、ローラ23で強く圧縮され、ダイ孔25へ進入する。以降の作用は、図3を用いて説明する。
図3では、便宜上、円筒状のリングダイ21を平板状に記載した。
図3に示すように、ダイ孔25に前の破砕物17が残っており、そこへローラ23で新たな破砕物17が押し込まれる。この押し込みのときに、新たな破砕物17はダイ孔25により摩擦熱が発生し、この摩擦熱により、破砕物17に含まれる廃プラスチック(図4、符号32)は、溶融しバインダー(接着剤)の役割を果たす。
ローラ23で押されたことにより、リングダイ21から成形物17Aが突出する。突出した成形物17Aは、カッタ26で折り曲げるように切断され、一定の外径で一定の長さの固形燃料30が得られる。
本発明に係る固形燃料の製造方法を、図4に基づいて説明する。
図4のST01(ステップ01)で、着色剤31と、破砕した廃プラスチック32及び古紙33を準備する。なお、着色剤31と、廃プラスチック32と、古紙33の発熱量や配合割合は、後述する表で説明する。
また、着色剤31は、後述するST04で混入してもよい。この場合は、ST01では、破砕した廃プラスチック32及び古紙33を準備する。
着色剤31は、顔料、染料、塗料、色インクの何れであってもよい。
着色剤31は、鉱物の粉、炭の粉、植物由来、動物由来、石油由来の何れでもよい。石油由来であれば、石油並みの高い発熱が得られるため、固形燃料の一成分に相応しいと言える。
また、染料は、粉末状の固体染料の他、溶剤に染料を溶かした液状染料であってもよい。
準備した着色剤31と、廃プラスチック32と、古紙33を十分に撹拌し混合し(ST02)、得られた混合物を破砕装置(図1、符号10)で破砕し(ST03)、得られた破砕物を圧縮・整粒装置(図2、符号20)で圧縮・整粒し(ST04)、固形燃料を得る。この固形燃料を便宜上、A種固形燃料、B種固形燃料、C種固形燃料、D種固形燃料と称し、これらの物性を、表1に示す。
Figure 0007270960000001
A種固形燃料は、低発熱量で、塩素成分が少ない。A種固形燃料には、緑色を付すことにする
B種固形燃料は、低発熱量で、塩素成分が多い。B種固形燃料には、青色を付すことにする
C種固形燃料は、高発熱量で、塩素成分が少ない。C種固形燃料には、橙色を付すことにする
D種固形燃料は、高発熱量で、塩素成分が多い。D種固形燃料には、赤色を付すことにする
・A種固形燃料の製造方法:
図4のST01では、表2に示す原料を準備する。
Figure 0007270960000002
着色剤は、石油由来の緑色原料を準備する。
廃プラスチックは、塩化ビニルを殆ど含まないものを準備する。
着色剤1.0重量%、廃プラスチック20重量%、古紙79重量%を準備し、図4のフローを実施することで、緑色で、4680kcal/kg(7000kcal/kg以下)で、塩素含有率が少ない固形燃料である、A種固形燃料を得ることができる。
・B種固形燃料の製造方法:
図4のST01では、表3に示す原料を準備する。
Figure 0007270960000003
着色剤は、石油由来の青色原料を準備する。
廃プラスチックは、塩化ビニルを主とする。
着色剤1.0重量%、廃プラスチック20重量%、古紙79重量%を準備し、図4のフローを実施することで、青色で、4680kcal(7000kcal/kg以下)で、塩素含有率が多い固形燃料である、B種固形燃料を得ることができる。
・C種固形燃料の製造方法:
図4のST01では、表4に示す原料を準備する。
Figure 0007270960000004
着色剤は、石油由来の橙色原料を準備する。
廃プラスチックは、塩化ビニルを殆ど含まないものを準備する。
着色剤1.0重量%、廃プラスチック50重量%、古紙49重量%を準備し、図4のフローを実施することで、橙色で、7080kcal/kg(7000kcal/kg超)で、塩素含有率が少ない固形燃料である、C種固形燃料を得ることができる。
・D種固形燃料の製造方法:
図4のST01では、表5に示す原料を準備する。
Figure 0007270960000005
着色剤は、石油由来の赤色原料を準備する。
廃プラスチックは、塩化ビニルを主とする。
着色剤1.0重量%、廃プラスチック50重量%、古紙49重量%を準備し、図4のフローを実施することで、赤色で、7080kcal/kg(7000kcal/kg超)で、塩素含有率が多い固形燃料である、D種固形燃料を得ることができる。
図3で示した固形燃料30は、外径が8mm、20mm又は40mmの円柱物である。樹脂袋や紙袋に所定量を詰めで、運搬や保管に供する。袋に「A種~D種」と印字してあっても袋が破れて固形燃料30が飛散することがある。
本発明によれば、A種固形燃料には「緑」が着色され、B種固形燃料には「青」が着色され、C種固形燃料には「橙」が着色され、D種固形燃料には「赤」が着色されているため、固形燃料30を誤って燃焼装置へ供給することがなくなる。
なお、固形燃料30に着色する方法は、着色剤を主原料に混入する他、着色無しの固形燃料に塗装を吹付けたり、浸漬してもよい。
ただし、外表面に塗布したときには、擦れにより色が落ちることがある。この点、混入であれば、色が落ちる心配はない。混入であれば、固形燃料が割れても、切断面に色が現れる。
よって、着色方法は着色剤の混入が好適である。
尚、色は、実施例に限定するものではなく、白や黒であってもよい。
また、主原料(古紙と廃プラスチック)に、布、皮などの廃棄物を混ぜることは差し支えない。
また、固形燃料30に、0.05~1.0重量%の着色剤を混入したが、この混入割合は0.1~ 0.5重量%にすることは更に好ましい。
0.1重量%以上であれば、色がより鮮明になり、識別がより容易になる。
主原料(古紙、廃プラスチック)は、極めて安価であるが、顔料等の着色剤は主原料に比較して高価である。
混入割合を0.5重量%以下にすることにより、コストアップを抑制することができる。よって、0.05~1.0重量%よりは、0.1~0.5重量%がより好ましい。
なお、固形燃料の納入先毎に色分けすることは差し支えない。
本発明は、古紙と廃プラスチックを主原料とする固形燃料に好適である。
30…固形燃料、31…着色剤、32…廃プラスチック、33…古紙。

Claims (3)

  1. 古紙と廃プラスチックを主原料とする固形燃料の識別方法であって、
    この固形燃料の発熱量と塩素含有率に応じて、前記固形燃料に着色を施し、この着色により前記固形燃料を識別することができるようにしたことを特徴とする固形燃料の識別方法。
  2. 請求項記載の固形燃料の識別方法であって、
    前記発熱量は、7000kcalを閾値とすることを特徴とする固形燃料の識別方法。
  3. 請求項又は請求項記載の固形燃料の識別方法であって、
    前記塩素含有率は、0.3%を閾値とすることを特徴とする固形燃料の識別方法。
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