JP7268457B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制御装置に関する。
減速比が異なるギヤ列を切り替えて変速を行う常時噛合式の自動変速においては、変速時にシフトスリーブの歯とクラッチギヤの歯とがぶつかってシフトスリーブがクラッチギヤにうまく噛み合わず、目標となる変速段に変速できない場合がある。そこで、駆動力が車輪に伝達できなくなることを防止するため、目標変速段の直前の変速段に戻す、いわゆるリカバリ制御を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1では、変速機アクチュエータを変速操作する際に、操作開始からの経過時間をタイマで計時し、所定時間までに変速操作が終了しないことから変速機にロックが生じたことを検知する。この場合、ロックが生じていない変速操作前の変速位置に戻す制御が行われる。
特公平5-17984号公報
上記のように特許文献1におけるリカバリ制御では、目標変速段とギヤ比が異なるギヤへの変速が行われるため、実際に車輪に伝達される駆動力が運転者の意図と異なる場合が想定される。この結果、運転者に違和感を与える可能性がある。
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、運転者の意図した変速を実現することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の車両の制御装置は、所定のシフトスリーブの歯をクラッチギヤに噛み合わせることで変速段を切り替える自動変速機において、変速時に前記シフトスリーブの歯を目標変速段のクラッチギヤに噛み合わせることができなかった場合、変速段を変速前の変速段に戻すリカバリ制御を実施する車両の制御装置であって、前記リカバリ制御を実施する際に、前記目標変速段に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を前記変速前の変速段でも得られるようにエンジンのトルクを変更する駆動力調整制御を実施することを特徴とする。
本発明によれば、運転者の意図した変速を実現することができる。
本実施の形態に係る車両の模式図である。 本実施の形態に係る変速制御の一例を示すフロー図である。 本実施の形態に係る変速制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化を示すタイムチャートの一例である。 本実施の形態に係る変速制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化を示すタイムチャートの他の一例である。 変形例に係る変速制御を示すフロー図である。 変形例に係る変速制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明が適用される車両として、四輪車を例にして説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。本発明は、例えば二輪車等、他のタイプの車両にも適用可能である。
図1を参照して、本実施の形態に係る車両について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両の模式図である。なお、車両は、以下に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。また、以下において、一般的な車両が通常備えている構成は備えているものとし、説明は適宜省略する。
図1に示すように、車両1は、車輪2の駆動力を発生する駆動源としてエンジン3等で構成されるパワーユニットを備えている。エンジン3は、例えば、並列多気筒のガソリンエンジンで構成される。なお、エンジン3は、ガソリンエンジンに限らず、例えばディーゼルエンジンであってもよい。また、本実施の形態では、前輪駆動の車両1を例にして説明するが、これに限定されず適宜変更が可能である。車両1は、例えば後輪駆動で構成されてもよい。
エンジン3の側方には、クラッチ4を介して変速機5が設けられる。変速機5の出力軸の先には車輪2(前輪)が設けられる。クラッチ4は、エンジン3と変速機5間の動力伝達状態を断接可能に構成される。変速機5は、クラッチ4を介してエンジン3の駆動力を車輪2に伝達する。変速機5は、例えば多段式の自動変速機で構成される。変速機5は、例えば減速比が異なるギヤの組み合わせにより変速を行う選択摺動式又は常時噛合式の変速機で構成される。
具体的に変速機5は、クラッチ4側に設けられるインプットシャフト50と、車輪2側に設けられるアウトプットシャフト51と、所定の変速段に応じた複数のギヤ列(不図示)と、を備えている。各ギヤ列は、変速段に応じた入力ギヤ及び出力ギヤを有している。変速機5は、クラッチ4を介してエンジン3からインプットシャフト50に伝達された駆動力を、所定のギヤ列を経由して変速した後にアウトプットシャフト51から車輪2へ伝達する。変速機5は、複数のギヤ列を切り替えることで変速比を切り替えることが可能である。
また、変速機5は、複数のギヤ列を切り替える機構として、各ギヤ列間に配置される複数の同期装置(不図示)を備えている。更に変速機5は、後述するTCM(Transmission Control Module)7の指令に応じて同期装置やクラッチ4を動作させるアクチュエータ52を備えている。
同期装置は、所定のギヤ列における動力伝達状態を切り替える機構である。同期装置は、各ギヤ列に配置されるシフトスリーブ及びクラッチギヤ(共に不図示)を有している。同期装置は、所定のシフトスリーブが軸方向にスライドして所定のクラッチギヤに噛み合うことで所定のギヤ列における動力伝達を実現する。アクチュエータ52は、TCM7の指令に応じてクラッチ4の断接を切り替えたり、所定のシフトスリーブをギヤ列の軸方向にスライドさせたりする。
このように構成される変速機5は、所定のシフトスリーブの歯をクラッチギヤに噛み合わせることで変速段を切り替える。なお、変速機5は、上記構成に限らず、手動変速機等、他のタイプの変速機で構成されてもよい。
また、車両1は、エンジン3の主要構成の動作を統括制御するエンジン制御装置としてのECM(Engine Control Module)6と、変速機5(アクチュエータ52)の動作を制御する変速機制御装置としてのTCM7と、を備えている。更に車両1は、シフトポジションを切り替えるシフト切替機構としてのセレクタモジュール8を備えている。
ECM6及びTCM7は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成される。メモリには、上記した各種構成を制御する制御プログラム等が記憶されている。ECM6及びTCM7は、CAN(Controller Area Network)を介して相互に通信可能に構成される。ECM6及びTCM7は、本実施の形態に係る車両の制御装置を構成する。
ECM6は、要求トルクに応じてスロットル開度や燃料噴射量及び点火時期を調整することにより、出力トルク(エンジン回転数等)を制御する。要求トルクは、例えば運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じてECM6により算出される。詳細は後述するが、ECM6は、TCMからの指令に応じてエンジン3のトルクを変更する駆動力調整制御を実施する。TCM7は、CANを介してアクチュエータ52及び後述するセレクタモジュール8と通信可能に構成される。詳細は後述するが、TCM7は、変速時にシフトスリーブの歯を目標変速段のクラッチギヤに噛み合わせることができなかった場合、変速段を変速前の変速段に戻すリカバリ制御を実施する。
セレクタモジュール8は、運転者が走行に使用するギヤを選択するための機構である。セレクタモジュール8は、シフトポジションとして、例えば、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等の複数のレンジを備えている。特に図示はしないが、セレクタモジュール8は、各レンジに対応して形成されたシフトゲートに沿ってセレクトレバーを移動可能に構成されている。セレクタモジュール8は、所定のレンジに位置づけられたセレクトレバーの位置情報をTCM7に出力する。
TCM7は、レンジに対応した変速操作を実現するように、変速機5(アクチュエータ52)に指令を出力する。なお、以下においては、複数のギヤ列を自動的に切り替えて自動変速するDレンジが選択された場合の変速制御を例にして説明する。しかしながら、これに限らず、複数のギヤ列を運転者が手動で選択するマニュアルモードであってもよい。
ところで、減速比が異なるギヤの組み合わせにより変速を行う選択摺動式又は常時噛合式の自動変速機では、ギヤの噛み合いを行う際にギヤの位相が重なってギヤインできない、いわゆるギヤブロックという状態に陥ることがある。このようなギヤブロックを解消する方法として、変速対象のギヤに対してギヤ比が近いギヤに変速する、いわゆるリカバリ制御という技術が提案されている。
リカバリ制御では、当初目的のギヤに変速が成功した場合に比べて車両駆動力が大きく変化することを防ぐため、車速に応じて最適なギヤが選択される。しかしながら、目的のギヤとはギヤ比が異なるギヤへの変速となるため、運転者に対して違和感を与える結果となる。この違和感は、変速段の少ない自動変速機において、より顕著に表れる。
例えば、停止状態から2速ギヤで発進しようとする際、2速選択時にギヤブロックが発生するとリカバリ制御によって1速に変速される。この場合、運転者は2速にギヤインしているものと思い込んでアクセルペダルを踏むことになる。しかしながら、実際には1速にギヤインしているため、運転者が想定しているよりも駆動力が強く、車両が飛び出してしまうおそれがある。
また、減速から停止に至るまでに1速にダウンシフトするはずが、ギヤブロックが発生するとリカバリ制御によって2速に変速される。この場合、運転者は、例えば右折待ちの状況で対向車が接近するまでまだ余裕があると判断して右折を開始する。しかしながら、実際には1速に落ちておらず2速にギヤインしているため、想定していた加速を得られずスムーズな発進ができないおそれがある。このように、従来のリカバリ制御では、運転者の意思に反したギヤに噛み合うことで、運転者に違和感を与える可能性があった。
そこで、本件発明者は、リカバリ制御によって目標変速段とは異なるギヤに噛み合った場合において目標変速段で本来得られるべきトルクとリカバリ制御後のトルクとの差に着目し、目標変速段への変速失敗時に車両の駆動力が急変することを防止すべく本発明に想到した。具体的に本実施の形態に係るTCM7は、所定のシフトスリーブの歯をクラッチギヤに噛み合わせることで変速段を切り替える変速機5において、変速時にシフトスリーブの歯を目標変速段のクラッチギヤに噛み合わせることができなかった場合、変速段を変速前の変速段に戻すリカバリ制御を実施する。ECM6は、リカバリ制御を実施する際に、目標変速段に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を変速前の変速段でも得られるようにエンジン3のトルクを変更する駆動力調整制御を実施する。
この構成によれば、変速時にギヤブロックが発生してリカバリ制御により目標変速段とは異なる変速段、すなわち変速前の変速段に変速されたとしても、目標変速段に変速された場合と同様の駆動力がリカバリ制御後の変速段(目標変速段に変速前の変速段)でも得られるようにエンジンのトルクが変更される。この結果、運転者の意図した駆動力を得ることができ、運転者に対する違和感を極力防止することが可能である。なお、目標変速段に変速できたときに得られる駆動力は、エンジントルク×(目標変速段のギヤ比/現在変速段のギヤ比)で算出することが可能である。
また、駆動力調整制御において、ECM6は、目標変速段が変速前の変速段よりも高速側である場合は、エンジンのトルクを減少させ、目標変速段が変速前の変速段よりも低速側である場合は、エンジンのトルクを増加させる。この構成によれば、リカバリ制御によって変速前の変速段に戻されても、それに応じて適切にエンジンのトルクが変更されることで運転者の意図した駆動力を再現することが可能である。
また、詳細は後述するが、駆動力調整制御を行っている場合、TCM7は、変速段を変更する時期を通常走行時よりも早くする。例えば、駆動力維持制御を比較的長い間実施する場合、エンジン回転数が高くなる状態やアクセル開度に対するレスポンスが悪くなる状態といった、いわゆるエンジン3に負荷のかかる状態が続いてしまうことが想定される。上記構成によれば、変速段の変更時期を通常時よりも早めることで通常走行時の制御に早く戻してエンジン3の負荷を軽減するとともに運転者の意図に合った駆動力を得ることが可能である。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る制御フローについて説明する。図2は、本実施の形態に係る変速制御の一例を示すフロー図である。なお、以下に示すフローでは、特に明示がない限り、動作(算出(演算)や判定等)の主体はECU6又はTCM7とする。なお、図2に示す制御フローでは、「スタート」から「エンド」までの処理が所定時間の間隔で繰り返して実施されるものとする。また、以下においては、セレクトレバーがDレンジで自動変速モードが選択されている場合を例にして説明する。
図2に示すように、制御が開始されると、ステップST101において、TCM7は、変速条件が成立したか否かを判定する。TCM7は、例えば、現在の変速段、アクセルペダルの踏み込み量、車速やエンジン回転数等から変速条件が成立したか否かを判定することが可能である。変速条件が成立した場合(ステップST101:YES)、ステップST102の処理に進む。変速条件が成立していない場合(ステップST101:NO)、ステップST101の処理が繰り返される。
ステップST102において、TCM7は、変速段を目標変速段に変速するように、クラッチ4及び変速機5(アクチュエータ52)を制御する。そして、ステップST103の処理に進む。
ステップST103において、TCM7は、目標変速段への変速が失敗したか否かを判定する。TCM7は、例えば、シフトスリーブのストローク、出力トルク、車速やエンジン回転数等に基づいて目標変速段への変速が失敗したか否かを判定することが可能である。目標変速段への変速に失敗した場合(ステップST103:YES)、ステップST104の処理に進む。目標変速段への変速に成功した場合(ステップST103:NO)、ステップST101の処理に戻る。
ステップST104において、TCM7はリカバリ制御を実施する。上記したように、TCM7は、変速段を変速前の変速段に戻すようにクラッチ4及び変速機5(アクチュエータ52)を制御する。そして、ステップST105の処理に進む。
ステップST105において、ECM7は、駆動力調整制御を実施する。上記したように、駆動力調整制御では、目標変速段に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を変速前の変速段でも得られるようにエンジン3のトルクが変更される。具体的にECM6は、スロットル開度(吸入空気量)、燃料噴射量、点火時期等を変更することでエンジン3のトルクを変更する。例えばECM7は、目標変速段が変速前の変速段よりも高速側である場合はエンジン3のトルクを減少させ、目標変速段が変速前の変速段よりも低速側である場合は、エンジン3のトルクを増加させる。そして制御が終了する。
次に、図3及び図4を参照して、上記制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化について説明する。図3及び図4は、本実施の形態に係る変速制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化を示すタイムチャートの一例である。具体的に図3は停止状態から発進する場合の例を示し、図4は走行中に急加速する場合の例を示している。また、図3において、横軸は時間を表しており、縦軸は上から順に、セレクタ位置、目標の変速段、実際の変速段、アクセル開度、エンジントルク、及び駆動力を表している。図4の縦軸では更にエンジン回転数が示されている。図3及び図4では、セレクトレバーがDレンジで自動変速モードが選択されている場合を例にして説明する。なお、自動変速モードにおいても、運転者の手動操作によってアップシフト又はダウンシフトすることが可能である。また、以下に示すタイムチャートはあくまで一例を示すものであり、これに限定されない。
図3においては、停止中に一段高いギヤで発進するためにアップシフトするが、ギヤブロックが発生してリカバリ制御が実施された結果、アップシフト要求以前のギヤが噛み合った場合について説明する。図3に示すように、所定の変速段n速の状態において、T1のタイミングでアップシフトが要求されると、目標の変速段はn+1速となるものの、ギヤブロックが発生してn+1速には入らない(ニュートラルの状態)。この場合、TCM7は、リカバリ制御を実施してT1後のT2のタイミングで変速前の変速段であるn速に戻す。T2以後、アクセル開度の上昇に合わせてエンジントルク及び駆動力が上昇する。
本制御を実施しない場合、実際の変速段であるn速に基づいてエンジントルク及び駆動力が制御される。運転者は実際の変速段がn速であることを知らないため、目標の変速段であるn+1速であるものとしてアクセルペダルを踏み込む。この結果、必要以上のトルク上昇が発生し、運転者は車両が急発進することで違和感を感じることになる。
一方で本制御を実施した場合、リカバリ制御の結果、運転者がn速であることを知らずにアクセルペダルを踏み込んでも、ECM6は、ギヤブロックせずにn+1速に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を変速前の変速段でも得られるようにエンジン3のトルクを変更する。具体的にECM6は、駆動力調整制御を実施することで要求トルクを減少させる方向に補正する。このため、n速であってもn+1速相当の駆動力に抑えられ、車両1の急発進が防止される結果、運転者にとっては違和感を感じることなく車両1を発進させることが可能である。
駆動力調整制御は、車速が所定速度に達するT3のタイミングまで継続される。駆動力調整制御を実施している間は、変速段はn速であるものの、エンジントルクはn+1速で得られるトルクが出力されている。T3のタイミングでTCM7は、変速段をn速から一段飛ばしてn+2速に変速する。すなわち、TCM7は、目標変速段を飛ばして次の変速段に変速する。上記したように、T2からT3の間ではn+1速で得られるトルクが出力されており、n+1速に変速する必要がないからである。一段飛ばして変速が実施される結果、運転者は違和感を感じることなく車両1の走行を継続させることが可能である。
n+2速への変速に成功し、その後のT4のタイミングにおいて、ECM6は本制御による要求トルクをリセットする。n+2速への変速が成功したことで、駆動力調整制御が不要となるためである。T4以後は、通常の要求トルクに基づくエンジントルク制御が実施される。なお、T3からT4までの時間は、n+2速への変速が成功したか否かを判定する時間を表している。このように、本実施の形態によれば、運転者に違和感を感じさせることなく、スムーズな発進が可能である。
図4においては、走行中、急加速するためにアクセルペダルを踏み込んでキックダウン(ダウンシフト)としようとしたところ、ギヤブロックが発生してリカバリ制御が実施された結果、キックダウン以前のギヤに戻ってしまった場合について説明する。なお、キックダウンとは、アクセルペダルを大きくあるいは急激に踏み込んだ場合に、より低速なギアに切り替わることを意味する。
図4に示すように、所定の変速段n速で走行中、T0のタイミングで運転者がアクセルペダルを大きく踏み込むと、TCM7は、急加速要求がされたものとしてT0後のT1のタイミングでダウンシフトを実施する(キックダウン)。このとき、目標の変速段はn-1速となるものの、ギヤブロックが発生してn-1速には入らない(ニュートラルの状態)。この場合、要求される駆動力が車輪2に伝達されないため、TCM7は、リカバリ制御を実施してT1後のT2のタイミングで変速前の変速段であるn速に戻す。T2以後、アクセル開度に応じてエンジントルク及び駆動力が調整される。
本制御を実施しない場合、実際の変速段であるn速に基づいてエンジントルク及び駆動力が制御される。運転者は実際の変速段がn速であることを知らないため、目標の変速段であるn-1速であるものとしてアクセルペダルを踏み込む。この結果、十分なトルク上昇が得られず、運転者は車両が思い通りに加速できずに違和感を感じることになる。
一方で本制御を実施した場合、リカバリ制御の結果、運転者がn速であることを知らずにアクセルペダルを踏み込んでも、ECM6は、ギヤブロックせずにn-1速に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を変速前の変速段でも得られるようにエンジン3のトルクを変更する。具体的にECM6は、駆動力調整制御を実施することで要求トルクを増加させる方向に補正する。このため、n速であってもn-1速相当の駆動力に上昇され、車両1のトルク不足が防止される結果、運転者にとっては違和感を感じることなく車両1を急加速させることが可能である。
駆動力調整制御は、車速が所定速度に達するT3のタイミングまで継続される。駆動力調整制御を実施している間は、変速段はn速であるものの、エンジントルクはn-1速で得られるトルクが出力されている。車両1が所望の車速まで加速できたT3のタイミングにおいて、ECM6は本制御による要求トルクをリセットする。これに伴い、エンジントルク及び駆動力は徐々に低下する一方、車速は徐々に上昇する。この間、TCM7は変速段を変速することなく、n速のままで走行が継続される。なお、T3以後は、通常の変速制御及びトルク制御が実施される。
その後のT4にタイミングでTCM7は、車速に応じて変速段をn速からn+1速に変速する。T4以後も、通常の変速制御及びトルク制御が実施される。このように、本実施の形態によれば、ダウンシフトが要求される場面においても運転者に違和感を感じさせることなく、スムーズな急加速が可能である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ギヤブロックが発生してリカバリ制御により変速前の変速段に変速されたとしても、目標変速段に変速された場合と同様の駆動力が変速前の変速段(リカバリ制御後の変速段)においても再現される。これにより、運転者の意図した駆動力を得ることができ、運転者に対する違和感を極力防止することが可能である。
次に図5及び図6を参照して、変形例について説明する。図5は、変形例に係る変速制御を示すフロー図である。図6は、変形例に係る変速制御を適用した場合の各種パラメータの経時変化を示すタイムチャートである。変形例においては、駆動力調整制御の後に変速時期を早める点で上記実施の形態と相違する。このため、上記実施の形態と共通する部分については説明を省略する。
具体的に図5に示す制御フローでは、図2のステップST105の後に、ステップST106の処理に進む。ステップST106において、TCM7は、変速時期を早期に変更する。例えば、図6に示すように、駆動力調整制御中で本来の変速タイミングであるT4(図3のT3に相当)でn+2速へ変速が実施されると、T4まで比較的長い間で駆動力調整制御が継続されることになる。この場合、エンジン回転数が高くなる状態やアクセル開度に対するレスポンスが悪くなる状態といった、いわゆるエンジン3に負荷のかかる状態が続いてしまうことが想定される。図5及び図6に示す変形例においては、変速段を変更する時期を通常走行時のT4のタイミングよりも早いT3のタイミングとすることで、通常走行時の制御に早く戻してエンジン3の負荷を軽減するとともに運転者の意図に合った駆動力を得ることが可能である。具体的には図6に示すように、ECM6は、T3まで要求トルクをn+1速相当の駆動力に抑え、T3以後はn速相当の駆動力よりも要求トルクを上昇するように制御する。これにより、スムーズな変速を実現することが可能である。
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
以上説明したように、本発明は、運転者の意図した変速を実現することができるという効果を有し、特に、多段式の自動変速機に適用される車両の制御装置に有用である。
1 :車両
2 :車輪
3 :エンジン
4 :クラッチ
5 :変速機
6 :ECU
8 :セレクタモジュール
50 :インプットシャフト
51 :アウトプットシャフト
52 :アクチュエータ

Claims (4)

  1. 所定のシフトスリーブの歯をクラッチギヤに噛み合わせることで変速段を切り替える自動変速機において、変速時に前記シフトスリーブの歯を目標変速段のクラッチギヤに噛み合わせることができなかった場合、変速段を変速前の変速段に戻すリカバリ制御を実施する車両の制御装置であって、
    前記リカバリ制御を実施する際に、前記目標変速段に変速できたときに得られる駆動力と同等の駆動力を前記変速前の変速段でも得られるようにエンジンのトルクを変更する駆動力調整制御を実施することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記駆動力調整制御では、前記目標変速段が前記変速前の変速段よりも高速側である場合は、エンジンのトルクを減少させ、前記目標変速段が前記変速前の変速段よりも低速側である場合は、エンジンのトルクを増加させることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記目標変速段が前記変速前の変速段よりも高速側であり、前記駆動力調整制御を実施している変速段から高速側の高速段に変速を行う場合、前記目標変速段を飛ばして次の変速段に変速することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記駆動力調整制御を実施している場合、前記変速前の変速段を前記目標変速段に変更できた通常走行時よりも変速段を変更する時期を早くすることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
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