JP7268309B2 - 化粧シート及び化粧部材 - Google Patents
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しかし、特許文献1に記載の化粧シートでは、ドライラミネート接着剤では、透明アクリル樹脂層と着色オレフィン系樹脂層との密着力が不十分であるという問題があった。
また、本発明の他の態様は、(a)木質系材料又は金属系材料により形成された基板と、(b)基板の表面側に設けられた上記した化粧シートと、を備える化粧部材であることを要旨とする。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備えている。
(基板)
基板11の材料としては、例えば、木質系材料、金属系材料を用いることができる。木質系材料としては、例えば、木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、金属系材料としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板を採用することができる。基板11と化粧シート13との間には、必要に応じて、例えば、接着剤層を設けてもよい。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、着色オレフィン系樹脂層136と、着色オレフィン系樹脂層136の表面136a側に設けられた絵柄インキ層135と、絵柄インキ層135の表面135a側に設けられたドライラミネート接着剤層134と、ドライラミネート接着剤層134の表面134a側に設けられたアンカーコート層133と、アンカーコート層133の表面133a側に設けられた透明アクリル樹脂層132とを備える。化粧シート13の厚さは40μm以上300μm以下が好ましい。
また、透明アクリル樹脂層132の表面132aには、エンボス加工により形成された凹凸模様139が設けられている。凹凸模様139としては、例えば、絵柄インキ層135の絵柄と同調した模様や、絵柄と非同調の模様を用いることができる。凹凸模様139の凹凸の深さは、耐汚染性能や触感性能等の面から、10μm以下が好ましい。
着色オレフィン系樹脂層136の材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されている熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
絵柄インキ層135は、化粧シート13に絵柄による意匠性を付与するための層である。絵柄インキ層135は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで絵柄インキ層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、アクリル系インキを用いることができる。アクリル系インキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用することができる。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等を用いることができる。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることできる。
ドライラミネート接着剤層134は、着色オレフィン系樹脂層136(下台)と透明アクリル樹脂層132(上台)とを接着させるための層である。ドライラミネート接着剤層134は、ドライラミネート接着剤を用いて形成される。ドライラミネート接着剤としては、特に制限はなく、従来の化粧シートでドライラミネート接着剤層に使用されている接着剤と同様のものを使用できる。例えば、ポリカーボネートポリオールとイソシアネートからなるポリカーボネートウレタンを用いることができる。ポリカーボネートウレタンとしては、例えば、ポリカーボネート系樹脂を主鎖とするウレタン系接着剤を使用できる。
アンカーコート層133は、絵柄インキ層135とドライラミネート接着剤層134との密着性を向上させるための層である。例えば、ドライラミネート接着剤として、ポリカーボネートウレタンを用いた場合、アンカーコート層133は、ポリカーボネートウレタンに合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、アクリルポリオールとイソシアネートからなるアクリルウレタンを用いることができる。ラミネート後に架橋効果させることにより、外装用途等における高温の使用条件下でも、接着強度を失わず、十分な耐剥離性を維持できる。アクリルウレタンとしては、例えば、ガラス転移温度が100℃のアクリル系樹脂を主鎖とするアンカー剤を使用できる。アクリル系樹脂(アクリルポリオール)は、密着性及び耐熱性の観点から、ガラス転移温度が95℃~105℃のものが好ましい。ガラス転移温度が低すぎる場合、耐熱性が劣り、温水に浸漬されることで、空隙が発生し、絵柄インキ層135とドライラミネート接着剤層134との密着力が低下する。
アクリルポリオールとイソシアネートとの比率は、密着力を考慮した場合、アクリルポリオール:イソシアネートの比率が、8~12:1が好ましい。特に、アクリルポリオール:イソシアネートの比率が、9~11:1がより好ましい。
透明アクリル樹脂層132は、化粧シート13の耐候性を向上させるための層である。透明アクリル樹脂層132は、透明アクリル樹脂を用いて形成される。透明アクリル樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで透明アクリル樹脂層に使用されている透明アクリル樹脂と同様のものを使用できる。例えば、透明アクリル樹脂フィルムを用いることができる。特に、熱による光沢変化(耐熱性)の観点から透明アクリル樹脂層132の最表層側にフッ素樹脂が配置された透明フッ素アクリル共押出しフィルムが好ましい。
プライマー層137は、基板11との接着に用いられる接着剤138との密着性を向上させるための層である。例えば、基板11が木質系材料からなる場合には、接着剤として、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤138が使用されるため、プライマー層137は、これらの接着剤138に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を採用することができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨効果による接着力の向上に有効である。
凹凸模様139は、化粧シート13の表面に立体的な意匠感を付与するためのものである。凹凸模様139としては、任意の凹凸形状を用いることができる。例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群、或いはこれらの組み合わせ等を用いることができる。また、凹凸模様139の形成方法としては、例えば、着色オレフィン系樹脂層136の表面136aに対する透明アクリル樹脂層132の積層前、積層後又は積層と同時に行われる、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を採用することができる。
また、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、木質系材料または金属系材料により形成された基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備えるようにした。それゆえ、密着力に優れた化粧部材10を提供することができる。
まず、着色オレフィン系樹脂層136として、着色ポリプロピレン樹脂フィルム(リケンテクノス株式会社製「リベストTPO」)を用意した。着色オレフィン系樹脂層136の厚さは、60μmとした。続いて、着色オレフィン系樹脂層136の一方の面(表面136a)に、グラビア印刷法で、印刷インキを塗布して絵柄インキ層135を形成した。印刷インキとしては、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を、5重量%配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキ(東洋インキ株式会社製)を用いた。
続いて、透明アクリル樹脂層132として、透明アクリル樹脂フィルム(三菱レイヨン株式会社製「HBS-006」)を用意した。続いて、透明アクリル樹脂層132の一方の面(裏面132b)に、グラビアコート法で、ガラス転移温度が100℃のアクリル軽樹脂を主鎖とするアンカー剤(DIC株式会社製「UCクリヤー」)を塗工してアンカーコート層133を形成した。アンカー材の乾燥後の塗布量は、1g/m2になるようにした。
続いて、基板11として、アルミ板を用意した。基板11の厚さは、1mmとした。続いて、基板11の一方の面(表面11a)に、接着剤138を介して、着色オレフィン系樹脂層136を対向させて、化粧シート13を張り合わせた。接着剤138としては、2液硬化性ウレタン系接着剤を用いた。2液硬化性ウレタン系接着剤の乾燥状態での塗布量は、25g/m2となるようにした。これにより、第1実施例の化粧部材10を製作した。
実施例2では、透明アクリル樹脂層132として、最表層側にフッ素樹脂が配置された透明フッ素アクリル共押出しフィルム(三菱レイヨン株式会社製「FBS-006」)を用いた。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
(実施例3)
実施例3では、絵柄インキ層135の印刷インキとして、ポリエステルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を3重量%配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキ(東洋インキ製造株式会社製)を用いた。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
比較例1では、アンカーコート層133を省略した。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
(比較例2)
比較例2では、ドライラミネート接着剤層134の形成に、ポリエステル系ポリオールとイソシアネートとからなるポリエステルウレタンの接着剤を用いた。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
実施例1~3、比較例1、2の化粧部材10に対して、以下の性能評価を行った。
(ダンプヒート試験)
ダンプヒート試験では、IEC-61215/JIS C 8990 10.13に準拠して、温度85℃、湿度85%の環境下に化粧部材10を1000時間放置した後、化粧部材10の透明アクリル樹脂層132にクロスカットを行った。クロスカット後、透明アクリル樹脂層132の浮きや剥がれがなかった場合を合格「○」とし、透明アクリル樹脂層132の浮きや剥がれがあった場合を不合格「×」とした。また、透明アクリル樹脂層132の浮きや剥がれが僅かであった場合も合格「△」とした。
耐候性試験では、化粧部材10に対して、ライトモード(照度65W/cm2、ブラップパネル温度53℃、湿度50%、20時間)→シャワー30秒→湿潤モード(ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間)→シャワー30秒のサイクルを63回行った後、化粧部材10の透明アクリル樹脂層132にクロスカットを行った。クロスカット後、透明アクリル樹脂層132の浮きや剥がれがなかった場合を合格「○」とし、透明アクリル樹脂層132の浮きや剥がれがあった場合を不合格「×」とした。
(耐熱性試験)
耐熱性試験では、化粧部材10を、温度80℃の環境下に500時間放置した後、外観の判定を行った。化粧部材10の光沢に変化がなかった場合を合格「○」「◎」とし、化粧部材10の光沢に変化があった場合を不合格「×」とした。
これらの評価結果を表1に示す。
さらに、実施例3の化粧部材10では、ダンプヒート試験が合格「△」となり、メタルウェザー試験及び耐熱試験の評価結果が合格「○」となり、総合判定が合格「△」となった。具体的には、実施例3の化粧部材10は、絵柄インキ層135の印刷インキとしてポリエステルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合した2液硬化型ウレタン樹脂系インキを用いたため、絵柄インキ層135とドライラミネート接着剤層134との密着力が低くなり、ダンプヒート試験が合格「○」よりも悪い合格「△」となった。
したがって、実施例1~3の化粧部材10は、比較例1の化粧部材10よりも、密着性、加水分解に対する耐久性及び光沢変化に対する耐熱性が良好であることが確認された。特に、実施例2の化粧部材10は、耐熱性がより良好であることが確認された。
Claims (4)
- 着色オレフィン系樹脂層と、
前記着色オレフィン系樹脂層の表面側に設けられた絵柄インキ層と、
前記絵柄インキ層の表面側に設けられたドライラミネート接着剤層と、
前記ドライラミネート接着剤層の表面側に設けられたアンカーコート層と、
前記アンカーコート層の表面側に設けられた透明アクリル樹脂層と、を備え、
前記絵柄インキ層は、アクリル系インキを含み、
前記ドライラミネート接着剤層は、ポリカーボネートポリオールとイソシアネートとからなるポリカーボネートウレタンを含み、
前記アンカーコート層は、アクリルウレタンを含み、
前記ドライラミネート接着剤層のポリカーボネートポリオールとイソシアネートとの比率が14~18:1であり、
前記透明アクリル樹脂層は、最表層側にフッ素樹脂が配置されていることを特徴とする化粧シート。 - 前記透明アクリル樹脂層は、最表層側にフッ素樹脂が配置された透明フッ素アクリル共押出しフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記ドライラミネート接着剤層のポリカーボネートポリオールとイソシアネートとの比率が15~17:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 木質系材料または金属系材料により形成された基板と、
前記基板の表面側に設けられた請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シートと、
を備えることを特徴とする化粧部材。
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