JP7267984B2 - 紙葉搬送システム、制御装置、送風装置の制御方法及びプログラム - Google Patents

紙葉搬送システム、制御装置、送風装置の制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、紙葉搬送システム、制御装置、送風装置の制御方法及びプログラムに関する。
従来から、紙葉を搬送するための気流を発生させる送風装置と、気流により紙葉を搬送する搬送装置とを具備する紙葉搬送システムが知られている。また、従来の紙葉搬送システムでは、送風装置が発生する気流(強度)を適宜に調整する技術が採用される場合がある。例えば、特許文献1には、紙幣が搬送される経路の形状(直線、カーブ)に応じて、送風装置が発生する気流を調整する技術が開示される。
特開2020-157164
特許文献1の構成では、送風装置が発生する気流が自動では調整されず、手動で調整する必要がある。したがって、送風装置が発生する気流を調整する作業時間が長期化するという不都合が生じやすい。以上の事情を考慮して、本発明は、送風装置が発生する気流を容易に調整可能にすることを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の紙葉搬送システムは、気流を発生させる送風装置と、気流により紙葉を搬送する搬送装置と、送風装置を制御する制御装置と、を具備する紙葉搬送システムであって、搬送装置は、紙葉が搬送される略直線状の搬送路と、気流により搬送路を移動し、搬送路の途中に位置する第1領域にある紙葉に到達すると、その後、当該紙葉と移動する搬送体とを備え、制御装置は、搬送体が第1領域から第2領域に達したことを検知する検知部と、第1領域における搬送体の速度、および、第2領域における搬送体の速度を測定する測定部と、第1領域における搬送体の速度に応じて気流を調整するとともに、第2領域における搬送体が特定速度より速い場合、搬送体を搬送するための気流とは逆向きの気流を送風装置に発生させる調整部とを備える。

本発明によれば、搬送装置における紙葉の速度が測定され、測定の結果に応じて、送風装置の気流が調整される。したがって、送風装置が発生する気流を手動で調整する構成と比較して、送風装置が発生する気流を容易に調整可能になる。
複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。 複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。 第1の本発明に係る紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。 移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。 (a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。 搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。 移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。 移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。 送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。 送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。 受入ユニット(紙幣受入れ装置)600を備えた紙幣搬送システム10の正面図である。 同紙幣搬送システムの平面図である。 同紙幣搬送システムの正面左側斜視図である。 同紙幣搬送システムの正面右側斜視図である。 受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す斜視図である。 図15中における搬送管の一部を縦断面で示す斜視図である。 受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す横断面斜視図である。 紙幣搬送装置Cの一部の横断面図である。 (a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図である。 (a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。 搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。 (a)(b)(c)及び(d)は搬送体500が前進する過程で回収部材が待機部内に進入して待機紙幣を回収する手順を示す平面横断面図である。 搬送体が後退する過程で一方の回収爪が変形する状態を示す平面横断面図である。 搬送体による紙幣の回収手順、導入手順の一例を示すフローチャートである。 搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。 搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。 紙幣搬送システムの機能ブロック図である。 移動体および搬送体を検知する各センサを説明するための図である。 移動体の速度の測定方法の一例を説明するための図である。 回収動作における各状態を説明するための図である。 定速状態の詳細を説明するための図である。 減速状態の詳細を説明するための図である。 回収動作における制御装置の各処理のフローチャートである。 制御装置の基準強度設定処理のフローチャートである。
以下、本発明を図面に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
A.第1の本発明に係る紙幣搬送システム
以下に第1の本発明に係る紙幣搬送システムの基本的構成、及び動作について説明する。
紙幣搬送システムは、パチンコ、パチスロ等の各種遊技機を設置した遊技場における島設備に設置される。以下の実施形態では紙葉の一例として紙幣を中心に説明するが、金券、商品券等の有価証券、カード、その他、紙幣以外の紙葉(シート)にも本発明を適用することができる。
なお、特に図示説明しないが、本発明の紙幣搬送システムはカジノにおける紙幣搬送システム、紙幣搬送装置にも適用される。
〔島設備の概略構成〕
図1は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
各遊技機1は、島設備L(L1、L2…)に設置され、各島設備Lの対向する2つの側面に8台ずつ、合計16台の遊技機1が背中合わせに配置されている。なお、各島設備Lの間には、遊技者又は遊技場の店員が通行する通路が設けられ、各通路には遊技機1毎に椅子(図示省略)が設けられる。
各島設備Lには、遊技機1毎に台間機2が設置される。台間機2は、投入された紙幣を受け入れる紙幣挿入口(紙幣投入部)、及び、投入された紙幣の金額に応じた個数のパチンコ球を払い出す遊技媒体払出装置等を備える。図示する島設備Lには、台間機2から挿入された紙幣を島設備Lの一端部に配置された金庫ユニット700に搬送する紙幣搬送システム10が設置されている。
図2は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
島設備Lに設置された紙幣搬送システム10は、台間機2の紙幣挿入口から挿入された紙幣を内部に受け入れる受入ユニット(紙幣受入れ装置)600、島設備Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在し、受入ユニット600が受け入れた紙幣を搬送する搬送管400、及び、搬送管400の一方端に配置される金庫ユニット700等を備える。
〔紙幣搬送システムの概略構成〕
<全体概要>
図3は、紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。第1の本発明の一実施形態に係る紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)10は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する点に特徴がある。
紙幣搬送システム10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を走行する(移動する)移動体200と、送風管100内を流れる気流を制御する送風制御ユニット300と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された搬送管400(搬送路401)と、紙幣(紙葉)を保持可能に構成されて搬送管400内を走行する(移動する)搬送体500と、を備える。搬送管400は、紙幣の搬送路401(紙幣(紙葉)搬送経路、搬送空間)を形成する。
移動体200は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体500は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方は磁石から構成される。
また、紙幣搬送システム10は、外部から投入された紙幣を受け入れて搬送管400内の所定位置に待機させる受入ユニット600と、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部を備えた金庫ユニット700と、紙幣搬送システム10を構成する各部を制御する管理ユニット(制御手段)1000と、を備える。
本例においては、管理ユニット1000を収容した筐体1001内に、送風制御ユニット300と金庫ユニット700とが収容されている。
紙幣搬送システム10は、送風管100内を流れる気流によって送風管100内に配置した移動体200を送風管100の長手方向に進退移動させると共に、移動体200との間に作用する磁力によって搬送管400内に配置した搬送体500を送風管100の長手方向に沿って移動させる点に特徴がある。即ち、紙幣搬送システム10は、移動体側磁石213と搬送体側磁石523との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる点に特徴がある。
<各部の概要>
送風管100は、長手方向の少なくとも一部に移動体200が送風管100の長手方向に沿って走行する移動経路部分111を含む。移動経路部分111は搬送管400と並列に、且つ隣接して配置されている。
移動体200は、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を移動する。移動体200に搭載された移動体側磁石213は、搬送体500に対して磁力による反発作用、及び/又は、吸着作用を与える。移動体200は磁力により、自身の移動に連動させて移動体200を移動させる。
送風制御ユニット300は、送風管100内に所定方向の気流を発生(生成)させると共に気流の流量、流速を変更可能なブロア(気流発生装置)310を備える。送風制御ユニット300は、送風管100内に第一方向(紙幣回収方向、矢印B方向)への気流と、第一方向とは逆方向である第二方向(搬送体戻し方向、矢印C方向)への気流を交互に発生させることで、送風管100内で移動体200を往復移動させる。
搬送管400は、紙幣及び搬送体500が移動する空間を形成する。
搬送体500は、搬送路401内の所定位置にて待機する紙幣を受け取って起立させた状態で保持し、搬送路401内を移動することによって紙幣を金庫ユニット700に向けて搬送する。搬送体500に搭載された搬送体側磁石523は、移動体200に備える移動体側磁石213から磁力による吸着作用、及び/又は、反発作用を受ける。搬送体500は、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送管400内を移動する。
ここで、移動体200と搬送体500との間に吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石としてもよいし、一方を磁石とし他方を鉄等の磁性体としてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石から構成する。
受入ユニット(紙幣受入れ装置)600は、台間機2の紙幣挿入口(紙幣挿入部)から挿入された紙幣を内部に受け入れて、紙幣を搬送路401内の所定位置に待機させる。受入ユニット600は、台間機2毎に設けられる。受入ユニット600は、搬送管400の長手方向に所定間隔を空けて複数個設置される。
金庫ユニット700は、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部や、紙幣収容部への紙幣の収容に関わる各部材を駆動する駆動機構等を備えている。
管理ユニット(制御手段)1000は、紙幣搬送システム10を構成する各部の動作を制御する。管理ユニット1000は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、これらがバスを介して接続された一般的なコンピュータ装置を含んで構成される。CPUは、紙幣搬送システム10の全体を制御する演算装置である。ROMは、CPUが実行する制御プログラムやデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種の機能が実現される。
〔紙幣搬送システムの詳細構成〕
第1の本発明の実施形態に係る紙幣搬送システムの各部の詳細構成について説明する。
<送風管>
送風管について、図3と図4を参照しながら説明する。
図4は、移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図3に示す送風管100は、移動経路部分111を含む第一送風管110と、後述する切替弁325(図5参照)を介して第一送風管110との間でエンドレス状の気流路101を形成する第二送風管120とを備える。
紙幣搬送システム10は磁力を利用して搬送体500を移動させるため、送風管100の移動経路部分111は移動体200の走行と磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない構成を備える。移動経路部分111はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、移動体200と搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
移動経路部分111は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
送風管100を搬送管400とは別個独立した構成とすることにより、送風管100内に気密的な流路を形成することができる。送風管100の外部への空気漏れによる移動体200の搬送力の低下を防止できる。また、空気流の発生に使用するブロアとして比較的安価且つ低出力のブロア310を採用でき、紙幣搬送システム10の低コスト化を実現する。仮に紙幣の搬送距離の増大に伴って送風管100が長尺化した場合であっても、送風管100内の空気流を確実に制御できる。また、移動体200を空気流により走行させるため、送風管100内にはギヤや搬送ベルト等の機械的な構成、配線や電気的な接点を配置する必要がなくなり、送風管100及び内部に配置される移動体200の耐久性が向上する。また、気密的に構成された気流路101には外部空気が流入しないため、外部空気中の塵埃等を巻き込むことがなく、気流路101内をクリーンに保つことができる。
<移動体>
移動体200は空気圧を受けて送風管100内を移動可能な形状、構造であればよい。
図4に示すように、移動体200は複数の分割片210、210…がヒンジ部211によって移動体200の走行方向(送風管100の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片210は同一の構成を有し、各分割片210は夫々移動体側磁石213を備える。
移動体200は、搬送体500に磁力を作用可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の移動体側磁石213を備える。本例において、移動体側磁石213は、移動体200の搬送管400寄りに配置されている。移動体200に備えられた複数の移動体側磁石213は移動体200の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各移動体側磁石213は、N極(一方の極)が搬送管400側(図中上側)に、S極(他方の極)が図中下側に向くように、分割片210に取り付けられている。
本例に示す移動体200は、3つの分割片210から構成されている。分割片210同士は、ヒンジ部211を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、移動体200は、送風管100が上下左右方向に湾曲した気流路101を形成する場合であっても、各分割片210が変位しながら送風管100内をスムーズに移動可能となる。
<送風管と移動体との関係>
移動経路部分111の内面形状と移動体200の外面形状(構造)は、移動経路部分111の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、移動体200が移動経路部分111に対して相対回転しないように形成される。例えば、移動経路部分111の横断面形状(長手方向と直交する断面における形状)と、移動体200の分割片210の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、移動体側磁石213のN極(一方の極)が常に搬送管400側を向くように、移動経路部分111内における移動体200の姿勢を維持できる。
<送風制御ユニット>
図5(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
本実施形態に係る送風制御ユニット300は、一定方向に流れる気流を発生させる単一のブロア310と、送風管100内の空気流の方向を制御する切替ユニット320(切替弁325)と、を備える。送風制御ユニット300は切替ユニット320によって、送風管100内の空気流の方向を第一の方向(紙幣回収方向、矢印B方向)又はその反対方向である第二の方向(移動体戻し方向、矢印C方向)に切り替える点に特徴がある。
送風制御ユニット(空気流制御装置)300は、気流の排出方向を制御する切替ユニット(空気流切替ユニット)320と、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管330の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させるブロア310とを備える。
切替ユニット320は、夫々外部配管と接続する4つの流路323(第一流路323a~第四流路323d:ポート)が形成されたケーシング321と、4つの流路323の合流部(交差部)に配置されて各流路323間の連通状態、及び/又は、連通時の開度を切り替える切替弁325とを有している。各流路323は、夫々外部配管である排気管331、吸気管333、第一送風管110、第二送風管120と連通・接続される。本例において各流路323は十字状(放射状)に配置されている。本例に示す切替弁325は、ボールバルブ等のロータリー式のバルブであり、切替弁325がケーシング321内で所定の角度だけ回転することによって、各流路323間の連通状態及び各流路323の開度が切り替えられる。
切替弁325は電動弁であり、モータによって駆動されて回転角度を制御される。モータには例えばステッピングモータを用いることができる。切替弁325は、例えば、管理ユニット1000が駆動パルスに基づきステッピングモータの回転角度を制御することによって所望の回転角度に制御される。もちろん、切替弁325を回転させる駆動手段及び切替弁325の回転角度の制御には他の方式を用いてもよい。例えば切替ユニット320に、切替弁325と連動して回転するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転角度を検知するセンサとを搭載し、管理ユニット1000が切替弁325の回転角度をフィードバック制御する構成としてもよい。
第一循環配管330は、一端部(第一循環配管330の一端部330a)を切替ユニット320の第一流路323aに連通接続され、他端部をブロア310の排気口に連通接続された排気管331と、一端部をブロア310の吸気口に連通接続され、他端部(第一循環配管330の他端部330b)を切替ユニット320の第二流路323bに連通接続された吸気管333と、を備える。
送風管(第二循環配管)100は、一端部100aを切替ユニット320の第三流路323cに連通接続され、他端部100bを切替ユニット320の第四流路323dに連通接続されており、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する。送風管100は内部に配置した移動体200を気流により図中矢印B方向とC方向とに往復移動させる。
本例に係る送風管100は、移動体200の移動経路部分111を形成する第一送風管110と、第一送風管110と連通接続された第二送風管120とを備えている。第一送風管110が第三流路323cに連通接続され、第二送風管120が第四流路323dに連通接続されている。
<<切替ユニットの動作:ニュートラル状態>>
図5(a)は、ニュートラル状態を示している。
切替弁325は第一流路323aと第二流路323bとを連通させるが、第一及び第二流路323a、323bと、第三及び第四流路323c、323dとを連通させないニュートラル姿勢にある。
このため、空気流は第一循環配管330内において矢印A(A1、A2)方向に循環し、送風管100内に気流は発生しない。従って、移動体200は送風管100内において停止した状態となる。
<<切替ユニットの動作:第一の連通状態>>
図5(b)は、送風管100内に第一の方向(矢印B1、B2方向)に流れる気流を発生させる第一の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500が回収した紙幣を金庫ユニット700に搬送する紙幣の回収動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第四流路323dを連通させ、第二流路323bと第三流路323cとを連通させる第一連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第四流路323dは、第二流路323b及び第三流路323cとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第四流路323dから第二送風管120に流入する(矢印B1方向)。第一送風管110を矢印B2方向に流れて第三流路323cに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
<<切替ユニットの動作:第二の連通状態>>
図5(c)は、送風管100内に第二の方向(矢印C1、C2方向)に流れる気流を発生させる第二の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500を金庫ユニット700側(管理ユニット1000側)から、搬送管400の遠位端側に戻すための戻し動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第三流路323cとを連通させ、第二流路323bと第四流路323dを連通させる第二連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第三流路323cは、第二流路323b及び第四流路323dとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第三流路323cから第一送風管110に流入する(矢印C1方向)。第二送風管を矢印C2方向に流れて第四流路323dに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
<<切替ユニットの動作:まとめ>>
このように、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管(第一循環配管330と送風管100)を接続することにより、単一のブロア310により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁325の姿勢を切り替えて、送風管100内に気流を発生させないニュートラル状態、送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる第一の連通状態、送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる第二の連通状態の3つの状態を切り替えることができる。
また、切替弁325が取る上記3姿勢の中間の姿勢では、上記3状態とは連通状態が変化する。即ち、本実施形態においてはケーシング321内における切替弁325の角度に応じて、各流路の連通関係と各流路の開度を調整することができるため、各流路の開度に応じた風量の気流を送風管100内に発生させることができる。即ち、送風管100内の風速に応じて移動体200の速度を可変させることができる。
ここで、移動体200の移動速度をブロア310の風量制御により調整することも可能である。例えばブロア310の風量は、ブロア310の羽根の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりを可変させることによって調整可能である。しかし、ブロア310の回転速度の可変応答性よりも切替弁325の回転応答性の方が高いため、移動体200の速度調整を迅速に行うためには、切替弁325の回転角度を調整する方が有利である。
<搬送管>
搬送管(搬送経路)400について、図4及び図6を参照して説明する。
図6は、搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。図6においては、搬送管400の内部を、一部露出させた状態を示している。
紙幣搬送システム10において搬送体500は磁力を利用して搬送されるため、搬送管400は磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない材料から構成される。搬送管400はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
搬送管400は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
本例において、搬送管400は送風管100の上方に配置されているが、送風管100と搬送管400との位置関係についてはこれに限らない。搬送管400は送風管100の下方に配置されてもよいし、搬送管400を送風管100の側方に配置されてもよい。
なお、本例において搬送路401を構成する手段として搬送管400を例示したが、搬送路401を構成する手段は管状である必要はなく、搬送路401の一部又は全部が外部に開放された構成としても、本発明を実施可能である。つまり、搬送管400はその内部に搬送路401としての長尺な空間を形成できればどのような形態であってもよい。
<搬送体>
図4及び図6に示すように、搬送体500は、搬送路401内において送風管100寄りの位置に配置されて、移動体200からの磁力を受ける搬送ベース510と、搬送ベース510の送風管100とは反対側に設けられた紙幣回収保持部540とを備える。
<<搬送ベース>>
搬送ベース510は、複数の分割片520、520…が、ヒンジ部521によって搬送体500の走行方向(搬送管400の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片520は夫々搬送体側磁石523を備えている。
搬送ベース510は、移動体200から磁力の作用を受けることが可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の搬送体側磁石523を備える。本例において、搬送体側磁石523は、搬送ベース510の送風管100寄りに配置されている。搬送ベース510に備えられた、複数の搬送体側磁石523は搬送体500の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各搬送体側磁石523は、N極(一方の極)が送風管100側(図中下側)を向き、S極(他方の極)が図中上側に向くように、分割片520に取り付けられている。搬送ベース510は、移動体200から磁力による反発力を受けて搬送管400内で磁気浮上する。
本例に示す搬送ベース510は4つの分割片520から構成されている。分割片520同士は、ヒンジ部521を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、搬送体500は、搬送管400が上下左右方向に湾曲した搬送路401を形成する場合であっても、搬送管400内をスムーズに移動可能となる。
<<紙幣回収保持部>>
紙幣回収保持部540は、搬送ベース510上に配置されている。紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に突出する回収部材(回収爪)544を備える。支柱部材541は、搬送ベース510の幅方向の中間部から上方に突出している。
紙幣回収保持部540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向に沿うように、且つ起立した姿勢で保持する。紙幣Pの一方の長辺(図6中、下側に位置する長辺)は搬送ベース510によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541又は回収部材544によって支持される。
<搬送管と搬送体の関係>
搬送管400は、その内部に、送風管100寄りに配置されたベース搬送路402と、送風管100とは反対の側に配置された紙幣搬送路403とを備える。ベース搬送路402は搬送体500の搬送ベース510が走行する横長の空間であり、紙幣搬送路403は搬送体500の紙幣回収保持部540、及び紙幣回収保持部540に保持された紙幣が走行する縦長の空間である。
本例に示す搬送体500は、移動体200から磁力による反発力を受けて走行するため、ベース搬送路402と搬送ベース510は、搬送ベース510のベース搬送路402からの離脱(紙幣搬送路403側への移動)を禁止し、搬送ベース510の位置を移動体200から磁力の作用を受けられる位置に維持するように構成されている。
ベース搬送路402の内面形状と搬送ベース510外面形状は、ベース搬送路402の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、搬送ベース510がベース搬送路402に対して相対回転しないように形成される。例えば、ベース搬送路402の横断面形状と、搬送ベース510の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、搬送体側磁石523のN極(一方の極)が常に送風管100側を向くように、ベース搬送路402内における移動体200の姿勢が維持される。
<移動体と搬送体との関係>
移動体側磁性体と搬送体側磁性体との関係について説明する。
<<反発のみ>>
図4に示すように、移動体200と搬送体500の双方に互いに反発する向きに1個以上の磁石を配置して、移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500の少なくとも一方には、走行方向に所定の間隔を空けて複数個の磁石を配置することが望ましい。移動体200と搬送体500の少なくとも一方に、走行方向に複数個の磁石を配置することによって、搬送体500が移動体200から反発力を受けて走行する際に、移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが互い違いに配列される。即ち、搬送体500が走行する際に、搬送体500は移動体200に対して相対的に位置決めされる。この場合、特に、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を1個違いにするのが好適である。言い換えれば、nを自然数とした場合、移動体200と搬送体500の一方にn個の磁石を配置し、他方にn+1個の磁石を配置するのが好適である。
搬送管400を送風管100の上方に配置して、搬送体500と移動体200との間に反発力を作用させる場合、搬送体500が搬送管400内で浮上するので、搬送体500が搬送管400に接触しにくくなる。従って、搬送管400との摩擦による搬送体500の搬送力の低下を防止し、搬送体500を円滑に移動させることが可能となる。また、搬送体500と搬送管400との接触が抑制されるため、各部材の接触による微細なダスト(粉塵)の発生を防止できる。
なお、移動体200と搬送体500との間に反発力を作用させる場合は、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を増大させることによって、搬送力を向上させることができる。
<<吸着のみ>>
図7は、移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が互いに吸着する姿勢で移動体200と搬送体500に取り付けられている。移動体側磁石213と搬送体側磁石523の長手方向位置は、送風管100と搬送管400の壁を介して整合するため、移動体200に対する搬送体500の位置決めが容易となる。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、搬送体500と移動体200の一方に磁石を配置し、他方には磁石に吸着する磁石以外の磁性体(例:鉄板)を配置してもよい。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、搬送体500と移動体200に少なくとも1組の磁性体(例:磁石と磁石の組、又は磁石と鉄板の組)を配置すれば足りる。
<<反発と吸着>>
移動体200と搬送体500との間には、反発力と吸着力の双方を作用させてもよい。即ち、移動体200と搬送体500には、互いに反発力を作用させる磁石の組と、互いに吸着力を作用させる磁石の組とが混在していてもよい。反発力と吸着力の双方を作用させる例については、図8に基づき後述する。
<<磁石の向き>>
上記実施形態においては、磁石の各極を上下方向(送風管100と搬送管400の積層方向)に向けて配置しているが、磁石の各極を走行方向に向けて(例えば金庫ユニット側にN極、島端側/遠位端側にS極を向けて)配置してもよい。また、磁石の各極を走行方向に対して斜めに傾けて配置してもよい。磁石の向きに応じて磁力の作用を適宜調整可能となる。
<<磁石の向き:縦型配置>>
図8は、移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213は、N極(一方の極)が金庫ユニット側(図中左側)に、S極(他方の極)が遠位端側(図中右側)に向くように、分割片210に取り付けられている。また、搬送体側磁石523は、N極が送風管100側に、S極が図中上方を向くように分割片520に取り付けられている。
移動体側磁石213の金庫ユニット側の面(N極)は搬送体側磁石523(N極)と反発し、移動体側磁石213の遠位端側の面(S極)は搬送体側磁石523(N極)と吸着するため、移動体200と搬送体500との間に反発力と吸着力の双方を作用させることができる。
〔送風制御に係る変形実施形態1〕
図9は、送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Bは、送風管100の一端部100aに排気口を接続されたブロア310aと、送風管100の他端部100bに排気口を接続されたブロア310bと、両ブロア310a、310bの吸気口同士を接続する接続配管340とを備えた構成であってもよい。送風管100(第一送風管110、第二送風管120)は、2台のブロア310a、310bと接続配管340とを介してエンドレス状に構成される。
ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット1000により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。送風管100内を流れた空気は、ブロア310aの排気口に流入してブロア310aの吸気口から排出される。空気は更に接続配管340を通ってブロア310bの吸気口に戻り、ブロア310bの排気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにし、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
このように、2台のブロアを用いても、送風管100内に第一の方向の空気流と第二の方向の空気流とを発生させることができる。
本例においては、2台のブロア310a、310bの吸気口同士を接続配管340により接続しているため、気密的に構成された気流路101内で空気を効率的に循環させることができる。
〔送風制御に係る変形実施形態2〕
図10は、送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Cは、送風管100の一端部100aと他端部100bとに夫々ブロア310a、310bを備える構成であってもよい。ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット1000により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。ブロア310bは吸気口から外部エアを内部に取り込んで送出することで、送風管100内に矢印B方向の気流を発生させる。また、この気流はブロア310aの排気口からブロア310a内に取り込まれて吸気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにして、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
本例においては、気流路101を循環路とするための配管が不要となるため、構成が簡略化される。
B.第2の本発明に係る紙幣搬送システム
<<紙幣搬送システムの基本構造>>
次に、第2の本発明に係る紙幣搬送システムについて説明する。
なお、第2の本発明は、第1の本発明に係る紙幣搬送システム10中の受入ユニット(紙葉受入れ装置)600、搬送管400、搬送体500等をより具体化した内容を有しており、図1乃至図10を参照しつつ、同一部分には同一符号を付して説明する。
図11は受入ユニット(紙幣受入れ装置)600を備えた紙幣搬送システム10の正面図であり、図12は同紙幣搬送システムの平面図であり、図13は同紙幣搬送システムの正面左側斜視図であり、図14は同紙幣搬送システムの正面右側斜視図である。
また、図15は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す斜視図であり、図16は図15中における搬送管の一部を縦断面で示す斜視図であり、図17は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す横断面斜視図であり、図18は紙幣搬送装置Cの一部の横断面図である。
第2の本発明に係る紙幣搬送システム10は、気体の流路を形成する送風管100、移動体200、送風制御ユニット300、ブロア310等の他に、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された本流としての搬送管400(搬送路401)、搬送管400内を移動する紙幣搬送用の搬送体(紙幣搬送シャトル)500、及び搬送路401に沿って複数箇所設けられ、且つ紙幣を搬送体500に移載させるために待機させる支流としての待機部450を備えた紙幣搬送装置Cと、外部から一枚ずつ投入された紙幣Pを受け入れて各待機部450に移動させるために各待機部毎に配置される受入ユニット600と、紙幣搬送装置C、受入ユニット600等の駆動対象物を駆動する駆動装置(搬送機構620等)と、金庫ユニット700と、これらを制御する制御手段(管理ユニット)1000と、を概略備えている。
更に、移動体200は移動体側磁性体213を備え、搬送体500は搬送体側磁性体523を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方が磁石であり、移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体の移動に連動して搬送体を移動させる。
搬送体経路としての搬送路401は、本実施形態では直線状の経路で延びているが、これは一例であり、曲線的な経路を含むループを形成するようにしてもよい。
なお、実際の遊技場の島設備Lでは、受入ユニット600は図1に示した台間機2に含まれており、各台間機2に隣接した位置には遊技機1が配置されているが、本実施形態では遊技機を省略して説明する。
受入ユニット600は、投入された紙幣を受け入れる紙幣受入部(紙幣受入部)605と、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する導入部610と、導入部610を構成するローラ、ベルト、モータ等の搬送機構620等(詳細は図示しない)を備える。
搬送路401を移動する搬送体500は、各受入ユニット600が連通している各待機部450を通過する過程で各待機部に停止している紙幣を順次回収して搬送体上に起立状態で移載して重ねて保持する紙幣回収保持部(移載手段)540を備えている。紙幣回収保持部は既に移載されている先行紙幣の一面(側面)に後続の紙幣の一面(側面)を重ねて保持する構成を備えている。
搬送路401は図11乃至図14における右側端部(初期位置)と金庫ユニット700内部の紙幣排出位置との間に延在しており、搬送路401内における搬送体500の現在位置、通過の有無、タイミングをリアルタイムで確認するために搬送路内の各所に図示しない搬送体用のセンサ(フォトセンサ)が配置されている。例えば、初期位置、各待機部450、金庫ユニット700、その他の適所に搬送体検知用のセンサを配置する。また、送風管100の長手方向各所にも移動体200の位置、通過の有無、タイミングを検知する移動体用のセンサが配置されている。
制御手段1000は、ある受入ユニット600の待機部450に紙幣が存在しないことが待機部内のセンサにより検知されている時には、導入部610の搬送機構620を駆動して紙幣受入れ部に投入された後続の紙幣を待機部に移送し、待機部への移動が検知、確認された時点で停止させる。更に、待機部450に紙幣が待機していることが検知されている時に、紙幣受入れ部605に後続の紙幣が投入されたことが検知された場合には、導入部610の搬送機構620を駆動することにより受け入れて該導入部内に停止させる。このため、遊技機の利用者は、紙幣等の紙幣を二枚連続して投入することができ、待機時間を短縮できる。
<<受入ユニット600>>
図15乃至図18に示すように、受入ユニット(紙幣受入装置)600は、受入ユニットの筐体601の正面に設けられて一枚ずつ投入されてきた紙幣を受け容れる紙幣受入部(紙幣受入口)605と、紙幣受入部605から筐体601の内部に向けて配置されて受け入れた紙幣を待機部450に導入する導入部610と、を備える。導入部610は、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する空間である導入経路612と、導入経路に沿って配置されたローラ、ベルト、プーリ、ギヤ、モータ等々から成る搬送機構620と、を概略備えている。
導入部610には投入された紙幣の真贋、金種等を識別、判定する識別部630が設けられており、受入不能であると判定された場合には制御手段1000は搬送機構620を逆転させて紙幣受入部605から排出する。識別部630により受入れ可能と判定された紙幣は導入部610内を搬送機構620により待機部450に向けて搬送される。
導入経路612は、図17、図18に示すように紙幣受入部605から搬送路401に向かって直交するように延びる第1導入経路部613と、第1導入経路部613と連通接続されて搬送路401と略並行な方向で且つ金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ延びる第2導入経路部615と、第2導入経路部615の終端部に配置された反転ローラ617の外周面側に形成され、第2導入経路部615を待機部450と連通させる反転路(反転部)619と、を備えている。反転路619は待機部450と直接連通しており、反転路を通過した紙幣は待機部450に進入し、待機部450内で停止する。反転路619は反転ローラ617の外周面と、該外周面と所定の搬送空間を隔てて対向配置された搬送ガイド板619aとの間に係止される。
待機部450は、筐体455内に形成された紙幣搬送、待機用の空間であり、搬送路401側のガイド板460と、該ガイド板460との間に所定の搬送空間を隔てて配置された他のガイド板465とから形成されている。待機部450は、長手方向長が最長の紙幣の後端縁が反転路619を通過し終わった状態で、搬送路401と並行な伸長姿勢を維持しつつ待機できるような長さ、形状に設計する。待機部内に待機している紙幣は、搬送体(紙幣キャリア)500が通過する際に回収爪544が紙幣の後端縁と接して前進方向Pへ押圧しつつ待機部から搬送体上に移載できるように位置決めされる必要がある。また、待機部内に待機している紙幣の後端は反転ローラ617等の反転用の駆動手段と充分に離間することにより、反転ローラ等が駆動しても影響を受けずに待機し続けることができるように構成されている。
図18に示すように、紙幣受入部605内には紙幣の進入を検知する通紙センサS1が設けられ、その下流側の適所、例えば識別部630の入口、及び出口、第1導入経路部613と第2導入経路部615との接続部、反転路619等には夫々他の通紙センサS2~S5が設けられる。
待機部450には反転路619から紙幣が進入してきたことを検知するセンサS6、及び待機部から紙幣が回収されたことを検知するセンサS7が夫々配置される。
第1導入経路部613は、識別部630を含む入口側経路部613aと、下流側の後続紙幣用の待機用経路部613bとを備えている。識別部630を通過する際に得られた識別情報に基づいて受入れ可能であると判定された紙幣は、待機用経路部613bに移動し、待機部450内に先行する待機紙幣が存在しないことがセンサS6、S7等により検知されている場合には、第2導入経路部615、反転路619を経て待機部450内に搬送される。なお、後続紙幣の待機位置の範囲は、待機用経路部613bを越えて反転路619に達してもよい。
紙幣後端が反転路619を通過したことが検知された後、紙幣先端、或いは紙幣後端が適正な待機位置に達したことがセンサS6、センサS7等により検知された時点で搬送を停止されて待機状態に移行する。なお、待機状態に移動した時点における紙幣後端の位置は、反転路を構成する反転ローラ617等の導入部610側の搬送手段と接触しない位置とすることにより、反転ローラを含む上流側の搬送機構が後続紙幣を搬送するために駆動されたとしても干渉されることがなく、停止した状態を維持できる。例えば、後続の紙幣が識別部に630より受入できないと判定されたことにより第1導入経路部613、及び第2導入経路部615の搬送機構が逆転駆動されたとしても待機部内に停止している紙幣の位置、動作に影響を与えることはない。
待機部内の紙幣P1が搬送体500により回収されて待機部内に存在しないことが検知された時、それまで反転路619よりも上流側の経路部613b、615中に待機していた後続紙幣P2は、反転ローラ617を含む搬送機構の駆動再開により反転路を経て待機部450内に送り込まれる。
<<搬送体(紙幣回収シャトル)>>
図19(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図であり、図20(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。図21は搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。図22(a)(b)(c)及び(d)は搬送体500が前進する過程で回収部材が待機部内に進入して待機紙幣を回収する手順を示す平面横断面図である。図23は搬送体が後退する過程で一方の回収爪が変形する状態を示す平面横断面図である。
図19乃至図21に示した搬送体500は、搬送ベース510と回収部材544の構成が図6に示した搬送体とは若干異なる。
即ち、搬送ベース510は、複数の分割片520をヒンジ521を介して上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)変位自在に連結すると共に、図19(d)中に示す各分割片内の内部空間520a内に搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を配置した構成を有する。また、各分割片520の両側面には、回転自在なローラ525を配置することにより搬送管400内の移動をスムーズにしている。また、支柱部材541の上部には搬送管内壁との間の抵抗を低減するためのローラ545が回転自在に配置されている。
紙幣回収保持部(移載手段)540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向と並行になるように、且つ起立した姿勢で保持する。横長、且つ起立状態にある紙幣Pの下側の長辺は搬送ベース510(各分割片520)の上面(平坦面)によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541、及び回収部材544によって支持される。
各分割片520には、その幅方向両端縁に紙幣の脱落を防ぐ突条520bが設けられているが、突条520bの内側に位置する領域520cは平坦面となっており、紙幣の下側長辺を安定して支持できるようになっている。また、各分割片520の内側の領域520cは長手方向に連通しているため、紙幣は複数の分割片の内側領域520cに跨がって載置されることができる。
搬送ベース510上に立設された紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に平面視で翼状(鋭角状、或いは鈍角状)に突出し(拡開し)、且つ支柱部材541側の軸支部541aによって横方向へ開閉自在に軸支された2つの回収爪544から成る回収部材544を備える。図示した軸支部541aは支柱部材541と並行、即ち垂直な姿勢であるため、軸支部回りに回動する回収爪544は水平方向へ開閉する。なお、回収爪の回動方向はこれ以外の方向であってもよい。
回収部材544は、回収部材が上下二対ある図6の構成例とは異なり、支柱部材541の所定の高さ位置に一対配置されている。回収部材544を構成する2つの回収爪544は、図19中に示した拡開状態が最大開放角度にあり、これ以上は開放方向へ回動できない一方で、拡開状態から閉じる方向へは回動することができる。図20は2つの回収爪544が最小開放角度にある状態(閉止状態)を示している。また、各回収爪544はその軸支部541aに設けたバネ(弾性部材)541bにより開放する方向へ常時弾性付勢されている。搬送体500が搬送路401上を金庫ユニット700へ向かう前進方向Pへ移動する際には各回収爪544はバネ541bにより拡開した姿勢を維持するため、待機部450内に起立状態で停止している紙幣の後端縁を回収爪により引っ掛けて待機部内を前進方向Pへ移動させつつ搬送ベース510上に移載することができる。搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700へ向けて前進方向Pへ移動する過程で回収爪544が拡開した姿勢を維持できるように、搬送管400の両内壁であって各回収爪が通過する箇所には、回収爪用通路としての凹所405(図16、図21)が形成されている。各凹所405は、各待機部450内においては各回収爪が各待機部内の紙幣の後端縁に接触できるようにレイアウトされている。なお、各回収爪544は独立して開閉動作するように構成するのが好ましく、その場合には一つのコイルバネ(或いはトーションバネ)により各回収爪を個別に回動させるように構成しても良いし、バネ541bを回収爪毎に設けるようにしてもよい。
図19に示した拡開状態にある各回収爪544は、軸支部541aにより回動自在に軸支された内側の基端片544aと、基端片544aから搬送体の幅方向外側に伸びる中間片544bと、中間片544bから斜め前進方向へ屈曲、或いは湾曲して突出した端部片544cと、を備えている。回収爪544が待機部450内を通過する際には、主として中間片544b、及び端部片544cが待機部450内に進入し、待機紙幣の後端縁に接触しながら紙幣全体を前進方向へ押し出す。端部片544cは中間片544bの端部から斜めに突出しているため、中間片544bと接した紙幣後端縁が中間片の面に沿って幅方向外側へ位置ズレしようとしても端部片544cがこれを確実に阻止することができる。待機紙幣が搬送ベース510上に移載した後は、端部片544cは積載した紙幣が幅方向に位置ズレしたり、落下することを防止する。
図19のように各回収爪544が拡開した姿勢において、中間片544bが搬送路401の幅方向と並行か、或いは前進方向Pへ向けて傾斜した姿勢となるように構成することにより、中間片が待機部内の紙幣後端縁と接触した際にこれを確実に係止して前進方向へ押圧することを可能にする。
このように、回収部材544は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されている。
各回収爪544は、以上のような構成を有しているため、搬送路401を間に挟んで交互に異なった長手方向位置にある各待機部内の紙幣を回収する際に、搬送体を直線移動させるだけで各回収爪により確実に回収し、搬送体の幅方向中央部に紙幣を集めることが可能となる。
なお、搬送体500が搬送路内を退避方向Rへ移動する場合には、回収爪が待機部内の紙幣と干渉するが、紙幣と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して当該回収爪は閉じる方向へ姿勢変更する。このため、待機紙幣を損傷する等の影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
搬送ベース510上に既に紙幣が起立状態で積載されている状態で、回収してきた後続の紙幣を既積載紙幣の一面(一側面)に対して後続紙幣の一面を重ねて順次積載する方式を採るため、後続紙幣の先端縁が既積載紙幣の後端縁に突き当たって積載不能に陥ることがない。
また、図18、図22、図23等に示すように、待機部450と搬送路401との間に両者を隔てる仕切板としてのガイド板460を設けると共に、ガイド板460の前進方向寄りの端部に紙幣を搬送路401へ抜き出すための開口部460aを設ける。ガイド板460には回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板460が妨げとなることを防いでいる。また、他方のガイド板465にも回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板465が妨げとなることを防いでいる。
待機部内の紙幣が回収爪により後端縁を押圧されて前進方向Pへ移動する過程では紙幣先端は開口部460aから搬送路401へ向けて突出し、待機部から離脱する。この際に、紙幣先端縁が確実に搬送路側へガイドされるように紙幣を搬送路へ向けてガイドする傾斜面460bを開口部に設ける(図19、図22、図23)。
このように待機部450内の紙幣が回収爪により押圧されて待機部内を搬送路401へ向けて移動する過程では必ず紙幣先端部からの長手方向へ沿った移動となる。つまり、ガイド板460があるため、待機部内の待機紙幣は搬送路401と直交(接近)する方向へ移動することはできず、待機部の長手方向に沿って前進方向Pへ移動しつつ開口部460aから搬送体上に向けて移動することとなる。また、搬送体上の既積載紙幣と待機部内の待機紙幣は、ガイド板460を間に挟んで、同じ高さ位置、同じ姿勢となるように位置関係が予め設定され、且つ紙幣の厚さ方向(搬送路の幅方向)位置が確実にずれるように(紙幣同士が干渉しないように)配置されている。このため、開口部460aから押し出された紙幣が搬送体上に移載完了した時には既積載紙幣の一側面にスムーズに重ねて積載されることとなる。このため、紙幣同士の端縁が衝突して位置ズレなどの積載不良や落下を起こすことがない。
このように待機部内の待機紙幣と搬送体上の積載紙幣は互いに干渉しない位置関係にあるが、搬送体上の回収爪544だけが待機紙幣と干渉可能な位置関係にあり、回収爪が待機部の空間内に入り込んだ時に待機部内の紙幣後端を引っ掛けて待機位置から前進方向へ押圧して紙幣先端縁を開口部460aから突出させて、最後には紙幣全体を搬送体上に移載することができる。
搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ移動する過程で回収爪544が障害物(待機部450内にある紙幣)に接触した場合には、回収爪544はバネ541bに抗しながら閉じる方向へ個別に回動(退避)することができ、障害物を通過した後は元の拡開位置に復帰するように構成されている。このため、搬送ベース510が退避方向Rへ移動する過程で一方の回収爪544が通過経路に位置する一つの待機部450内にある紙幣P1に接触することがあったとしても、当該回収爪は紙幣と接触しつつ移動する過程で閉じる方向へ退避しつつ紙幣を通過するので、移動をスムーズにすることができる(図23を参照)。
図16に示すように搬送路401の2つの対向する内壁には夫々2つの回収爪544がスムーズに通過できるように凹所405が形成されている。凹所405は外側から見れば凸状部である。凹所405は搬送路401のほぼ全長(搬送体500の移動経路のほぼ全体)に渡って形成されているが、受入ユニット600が配置される箇所、即ち待機部450と干渉する範囲内においては存在していない。つまり、待機部450を内部に備えた外装体455(図16、図18)内では凹所405を構成する搬送路の凸状の壁部は除去されている。待機部450を形成している外装体455内の空間内には待機状態にある紙幣が配置されるため、凹所405を構成する凸状の壁部が待機部内にまで延在すると紙幣を待機させる空間と干渉するからである。また、待機部の外装体455内においては、待機部を形成するガイド板460、465に回収爪を回避するスリットが形成されているために、外装体内に進入した回収爪は待機紙幣と接して搬送することができる。
次に、図22に基づいて搬送体(紙幣回収保持部540)が搬送路401を金庫ユニットに向かう前進方向Pへ移動する過程で待機部450内に停止している紙幣を回収する手順について説明する。
図22(a)に示した状態では搬送体500の搬送ベース510の先端から約2/3の部分までは待機部450と重なる位置に達しているが、支柱部材541は待機部の後方に位置しているため、各回収爪544も待機部の後方にある。同図(b)(c)では支柱部材541は(a)よりも更に待機部450に接近しているが、各回収爪544は依然として待機部外にある。次いで、同図(d)では支柱部材541が待機部内に進入しており、待機部内に紙幣がある場合には当該待機部側の回収爪544が紙幣の後端縁と接してこれを前進方向Pへ押圧して移動させながら搬送路401の幅方向へ移動させるため、紙幣Pは起立姿勢を維持したまま搬送ベース510上に移載(回収)される。搬送ベース上に既に移載されている紙幣がある場合には既積載紙幣の側方に重ねて積載される。
搬送体500がこの待機部450を通過して移動方向下流側に位置する次の待機部内の紙幣を回収する場合には、次の待機部側に位置する回収爪544が紙幣を回収する。
次に、図23は搬送体500が搬送路401を金庫から離間する退避方向Rへ移動する過程で、回収爪544の一方が待機部450内に停止している紙幣Pを回避するために閉じる方向へ回動している状態を示している。
本発明に係る紙幣搬送システムによれば、搬送体を高速で移動させる場合であっても、各遊技媒体払出装置(受入ユニット)によって保持されている紙幣を確実、且つ迅速に回収して搬送体に移載すると同時に複数枚の紙幣を整列して保持しつつ、紙葉ジャムを生じさせることなく安定して搬送することができる。
<<搬送体による紙葉の回収手順>>
以上の構成を備えた紙幣搬送システム10においては、待機部450、導入部610内の紙幣の有無との関係で、次のような各種の処理が可能である。
まず、図24は搬送体による紙幣の回収手順、導入手順の一例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、ある待機部450内に紙幣が停止しており、且つ対応する導入部610に紙幣が存在しないことが検知されている時に(ステップS1 YES)、その待機部に対応する受入ユニット(紙幣受入れ装置)600に後続の紙幣が新たに投入されたことが検知された場合には(ステップS3 YES)、後続の紙幣を導入部610により受け入れて導入部内に停止(待機)させるように各部を制御する(ステップS5、7、9)。
これによれば、待機部450の上流側の導入部610内の任意の箇所を後続紙幣の待機部として利用できるので、待機部に紙幣が存在しない状態では二枚目の紙幣の投入が可能となる。
次に、図25は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、何れか一つの待機部450と、この待機部の上流側の導入部610内に異なった紙幣が夫々同時に待機状態にあることが検知されている時には(ステップS11、13 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫ユニット700の位置まで一回走査させることにより待機部450内の紙幣を回収すると共に(ステップS15)、導入部610内の紙幣を待機部450内に移動させるように各部を制御する(ステップS17)。
待機部450、及び導入部610内に紙幣が待機している状態にある時には、三枚目の紙幣を投入することができないが、以上のように制御することにより、導入部610内を空の状態にして三枚目の紙幣の投入を可能にすることができる。
次に、図26は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、全ての待機部450内において紙幣が待機状態となったことが検知された場合、或いは所定数以上(例えば、10箇所以上)の待機部内に紙幣が待機している状態となったことが検知された場合には(ステップS21 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫ユニット700の近傍位置まで一回走査させる(ステップS23)。これにより各待機部450内の紙幣を回収すると共に、導入部610内に紙幣が存在する場合にはこれらの紙幣を待機部に移動させるように各部を制御する(ステップS25、27)。
これにより、紙幣を投入することができない待機時間を短縮して利用者の利便性を高めることができる。
C.第3の本発明に係る紙幣搬送システム
<<紙幣搬送システムの基本構造>>
次に、第3の本発明に係る紙幣搬送システムについて説明する。
図27から図34は、第3の本発明の実施形態を説明するための図である。本実施形態では、図5(a)から図5(c)に示した通り、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管を接続することにより、単一のブロア310により一定方向の気流を発生させつつ、切替弁325の位置(回転角度)を切り替えて、送風管100内の気流を調整することができる。
具体的には、図5(a)に示す切替弁325の位置では、送風管100内に気流が発生しない。図5(b)に示す切替弁325の位置では、島端(金庫ユニット700に対して遠位端)から金庫ユニット700へ向かう方向(以下「正方向」)の気流が発生する。また、図5(c)に示す切替弁325の位置では、金庫ユニット700から島端側へ向かう方向(以下「逆方向」)の気流が発生する。以下、説明のため、送風管100内に気流が発生しない切替弁325の位置を「ニュートラル位置」と記載する場合がある。また、送風管100内に正方向の気流が発生する切替弁325の位置を「正方向位置」と記載し、送風管100内に逆方向の気流が発生する切替弁325の位置を「逆方向位置」と記載する場合がある。
以上の本実施形態では、他の実施形態と同様に、切替弁325を正方向位置に切替えることで、島端側で待機する移動体200を金庫ユニット700まで移動させることができる。また、移動体200の移動に伴い搬送体500が移動し、搬送体500により待機部450の紙幣が回収される。以下、説明のため、島端側の移動体200が金庫ユニット700まで移動する動作を「回収動作」と記載する場合がある。
本実施形態では、各種の契機で回収動作が実行される。例えば、受入ユニット600に紙幣が挿入されてから予め定められた時間が経過した契機で回収動作が実行される。また、1個の受入ユニット600に2枚目の紙幣が挿入された契機、および、各受入ユニット600に挿入された紙幣の合計枚数が予め定められた枚数に達した契機で回収動作が実行される。以上の構成では、回収動作毎に搬送体500で搬送(保持)される紙幣の枚数が相違し得る。
ところで、送風装置が発生させた気流により搬送装置において紙幣が搬送される構成では、紙幣が適切な速度で搬送されない場合、各種の不具合が生じ易くなるという事情がある。例えば、紙幣の速度が遅すぎる場合(勢いが弱い場合)、搬送経路の途中で当該紙幣が停止する不都合が生じ易い。また、紙幣の速度が速すぎる場合、当該紙幣が破損する不都合が生じ易い。以上の事情を考慮して、本実施形態では、当該不具合が抑制される構成(測定部101x、調整部103x)が採用される。
図27は、本実施形態の紙幣搬送システム10の機能ブロック図である。紙幣搬送システム10は、制御装置100x、搬送装置200xおよび送風装置300xを含んで構成される。送風装置300xは、気流を発生させる装置であり、例えば、上述の送風制御ユニット300(切替弁325を含む)が採用され得る。また、搬送装置200xは、送風装置300xが発生させた気流により紙葉を搬送する装置であり、例えば、上述の送風管100、移動体200および搬送体500等の組合せが採用され得る。
制御装置100xは、例えば、上述の管理ユニット1000のCPUがプログラムを実行することにより実現される。また、制御装置100xは、測定部101x、検知部102xおよび調整部103xを含んで構成される。測定部101xは、搬送装置200xにおける紙幣(紙葉)の速度を測定する。具体的には、本実施形態の搬送装置200xにはセンサSaが設けられる。センサSaは、搬送装置200xの搬送経路のうち特定の位置(後述の検知位置P)を紙幣が移動する期間においてON状態となる(図29(b)参照)。測定部101xは、センサSaがON状態となった時間の長さから紙幣の速度を測定(推定)する(図29(a)および図29(b)参照)。
検知部102xは、搬送装置200xにおける紙葉が減速領域に達したことを検知する。減速領域は、紙幣の速度を減速させるべき領域である。例えば、島端から金庫ユニット700まで紙幣(移動体200)が移動する場合、金庫ユニット700から予め定められた距離までの搬送経路が減速領域になる(後述の図30(b)参照)。移動体200が減速領域を移動している期間では、紙幣搬送システム10が後述の減速状態に制御される。
なお、減速領域は適宜に変更できる。例えば、搬送経路にカーブが設けられる場合、当該カーブの直前を減速領域としてもよい。詳細には後述するが、本実施形態の搬送装置200xには各センサSbが設けられる。特定のセンサSb(後述の検知位置P14のセンサSb)は、搬送装置200xにおける減速領域に紙幣(搬送体500)が到達した場合にON状態となる。検知部102xは、当該センサSbがON状態に変化すると、搬送装置200xにおける紙幣が減速領域に達したことを検知する。
調整部103xは、測定部101xが測定した紙幣の速度に応じて、送風装置300xが発生する気流を調整する。具体的には、調整部103xは、送風装置300xの出力強度Q(ブロア310の羽根を回転させるための出力の強度)を調整(減少、維持、増加)する。例えば、後述の定速状態(図30(b)参照)における紙幣の速度が予め定められた範囲(速度Vb(約1600mm/秒)~速度Va2(約2200mm/秒))となる様に、調整部103xは送風装置300xの出力強度Qを調整する。具体的には、定速状態において紙幣が速度Vbより遅い場合、調整部103xは、送風装置300xの出力強度Qを増加させる。一方、定速状態において紙幣が速度Va2より速い場合、調整部103xは、送風装置300xの出力強度Qを減少させる。
また、調整部103xは、減速領域(減速状態)における紙葉が特定速度(後述の速度Vd1)より速い場合、当該紙幣を搬送するための気流とは逆向き(逆方向)の気流を送風装置300xに発生させる。具体的には、減速領域における紙葉が特定速度より速い場合、調整部103xは、切替弁325を逆方向位置に切替え、逆方向の気流を発生させる。以上の構成によれば、金庫ユニット700における紙幣(移動体200)の速度が十分に小さく(適切な大きさに)なり易くなるという利点がある。
さらに、調整部103xは、減速領域における紙葉が特定速度以下の所定速度(速度Vd1より小さく、且つ、後述の速度Vd2より大きい速度)の場合、送風装置300xにおける気流を停止させる。具体的には、減速領域における紙葉が所定速度の場合、調整部103xは、切替弁325をニュートラル位置に切替え、紙幣を搬送するための気流(送風管100における気流)を停止させる。送風装置300xが送風管100における気流を停止すると、空気抵抗および摩擦力により移動体200は減速する。
仮に、減速領域における紙幣の速度によらず、送風管100における気流を一律に逆方向にする対比例を想定する。以上の対比例では、紙幣が十分に減速されている場合であっても気流が逆方向に切替えられるため、金庫ユニット700に到達する前に紙幣が停止する不都合が生じ易くなる。以上の事情を考慮して、本実施形態では、減速領域における紙幣の速度に応じて、送風管100において逆方向の気流を発生させる場合と、気流を停止させる場合とがある。送風管100における気流を停止させる場合、逆方向の気流を発生させる場合と比較して、紙幣(移動体200)を緩やかに減速できるという事情がある。本実施形態の構成によれば、減速領域における速度が特定速度より遅い所定速度の場合は紙幣が緩やかに減速されるため、上述の不都合が抑制されるという利点がある。
図28(a)は、センサSaおよびセンサSbの具体例を説明するための図である。図28(a)は、長手方向と直交する方向に切断した場合の送風管100および搬送管400の切断面を示す。図28(a)に示す通り、送風管100には、センサSaが設けられる。センサSaは、送風管100(気流路101)の長手方向における位置が検知位置P(図28(b)参照)の移動体200を検知可能に設けられる。本実施形態では、予め定められた間隔で複数のセンサSaが送風管100に設けられる(複数の検知位置Pが設けられる)。
具体的には、センサSaは、発光素子Sa1と受光素子Sa2とを含んで構成される。発光素子Sa1は送風管100の側壁の一方に設けられ、受光素子Sa2は送風管100の側壁の他方に設けられる。移動体200が検知位置Pに位置しない期間において、発光素子Sa1から照射された検知光が受光素子Sa2で受光される。一方、移動体200が検知位置Pに到達すると、発光素子Sa1から照射された検知光は、移動体200で遮光され、受光素子Sa2で受光されない。以下、説明のため、センサSaの受光素子Sa2に検知光が入射しない状態を、センサSaがON状態(移動体200を検知した状態)であるという。
図28(a)に示す通り、搬送管400には、センサSbが設けられる。センサSbは、搬送体500を検知する。また、センサSbは、上述のセンサSa毎に複数設けられ、当該センサSbが対応するセンサSaの略真上に設けられる。センサSbは、発光素子Sb1と受光素子Sb2とを含んで構成される。発光素子Sb1は搬送管400の側壁の一方に設けられ、受光素子Sb2は搬送管400の側壁の他方に設けられる。搬送体500が検知位置Pに位置しない期間において、発光素子Sb1から照射された検知光が受光素子Sb2で受光される。一方、搬送体500が検知位置Pに到達すると、発光素子Sb1から照射された検知光は、搬送体500で遮光され、受光素子Sb2で受光されない。以下、説明のため、センサSbの受光素子Sb2に検知光が入射しない状態を、センサSbがON状態(搬送体500を検知した状態)であるという。
図28(b)は、本実施形態のセンサSaの送風管100における位置を説明するための図である。すなわち、図28(b)は、検知位置Pの具体例を説明するための図である。図28(b)に示す通り、送風管100にはセンサSaが予め定められた間隔で長手方向に16個設けられる。以上の構成は、送風管100の長手方向に16個の検知位置Pが設けられるとも換言される。
以下、説明のため、回収動作における移動体200の進行方向(正方向)をX軸方向と記載する場合がある。すなわち、送風管100の長手方向のうち島端から金庫ユニット700へ向かう方向がX軸方向となる。また、各検知位置Pを島端に近い順に検知位置P1、検知位置P2…検知位置P16と記載する。回収動作が実行されない期間において、移動体200は検知位置P1で待機する。また、検知位置P16は金庫ユニット700に位置する。ただし、センサSa(検知位置P)の個数および位置は以上の例に限定されず、適宜に変更され得る。
図29(a)は、センサSaがON状態になる期間およびセンサSbがON状態になる期間の具体例を説明するための図である。上述した通り、センサSaは、移動体200が検知位置Pに到達するとON状態になる。具体的には、移動体200は、X軸方向(進行方向)の長さが略L(mm)である(後述の図29(b)参照)。センサSaは、移動体200の進行方向側の端部(以下「前端部」)が検知位置Pに到達してから進行方向逆側の端部(以下「後端部」)が検知位置Pを通過するまで(図29(b)参照)ON状態になる。
以上の構成では、移動体200の前端部が検知位置Pに到達してから距離L(mm)移動するまでの時間(以下「時間T」)にわたり、センサSaはON状態になる。図29(a)の具体例では、移動体200の前端部が時点t1において検知位置Pに到達し、時点t2において検知位置Pを後端部が通過する場合を想定する。本実施形態では、時間T(秒)および移動体200の長さL(mm)を用いて、検知位置Pにおける当該移動体200の速度(以下「速度V」)を算出(推測)する。時間Tは、例えば予め定められたタイマで計測される。
図29(b)は、移動体200の速度Vの算出方法の具体例を説明するための図である。図29(b)の具体例では、上述の図29(a)の具体例と同様に、移動体200の前端部が時点t1において検知位置Pに到達し、時点t2において検知位置Pを後端部が通過した場合を想定する。制御装置100x(測定部101x)は、移動体200の長さL(mm)を、時間T(センサSaがON状態の時間)で除した結果を速度Vとして算出する(V=L/T)。詳細には後述するが、制御装置100xは、算出した速度Vに応じて、送風装置300xの出力強度および切替弁325の位置を調整する。なお、速度Vの算出方法は適宜に変更でき、以上の例に限定されない。
図29(a)に説明を戻す。上述した通り、搬送体500を検知するセンサSbは検知位置Pに設けられる。したがって、センサSaが移動体200を検知する期間において、センサSbは搬送体500を検知する(ON状態になる)。本実施形態の制御装置100xは、各検知位置Pのうち検知位置P1(図28(b)参照)のセンサSbがON状態の場合、搬送体500が島端に位置すると判断する。一方、制御装置100xは、各検知位置Pのうち検知位置P16のセンサSbがON状態の場合、搬送体500が金庫ユニット700に位置すると判断する。
図30(a)は、紙幣搬送システム10の状態移行を説明するための図である。本実施形態の紙幣搬送システム10は、回収動作を実行する際に、準備状態、加速状態、定速状態、減速状態の順に移行する。図30(a)には、各状態における送風装置300xの制御内容、および、切替弁325の回転位置(ニュートラル位置など)が示される。図30(a)から理解される通り、送風装置300xの制御内容および切替弁325の回転位置は状態毎に相違し得る。
図30(a)には、各状態の終了契機(次の状態への移行契機)が示される。例えば、回収動作が開始されると、紙幣搬送システム10は準備状態へ移行する。準備状態では、送風装置300xの羽根の回転が開始される(送風が開始される)。ただし、準備状態では、切替弁325がニュートラル位置であり、送風管100に気流(移動体200を移動させるための気流)は発生しない。また、回収動作の開始前において移動体200は島端(検知位置P1)で停止する。したがって、準備状態では移動体200は停止したままである。
本実施形態の制御装置100xは、準備状態において、送風装置300xの羽根の単位時間当たりの回転数N(回/秒)を監視する。具体的には、準備状態へ移行する以前において、送風装置300xの羽根は停止している。制御装置100xは、準備状態へ移行すると、送風装置300xの出力強度Qを段階的に上昇させる。出力強度Qが上昇すると、送風装置300xの羽根の回転数Nが増加する。制御装置100xは、回転数Nが予め定められた開放値Nhに達したか否かを準備状態において監視する。回転数Nが開放値Nhに達すると、準備状態が終了して加速状態へ移行する。加速状態へ移行すると、切替弁325が正方向位置に回転し、送風管100に正方向の気流が発生する。
以上の説明から理解される通り、本実施形態では、送風装置300xの羽根の回転が開始された直後では、送風管100に正方向の気流を発生させる流路が閉鎖され、その後、回転数Nが開放値Nhに達すると当該流路が開放される。以上の構成では、例えば準備状態へ移行する以前から当該流路が開放されている(切替弁325が正方向位置)の対比例と比較して、開放された直後における当該流路の気流が強くなる。したがって、加速状態へ移行した直後における移動体200の加速度が大きくなる。以上の本実施形態では、例えば対比例と比較して、準備状態へ移行してから移動体200が予め定められた速度Vbまで加速するのに要する時間が短縮され易いという効果が認められた。
加速状態は、移動体200が速度Vb以上に加速される状態である。具体的には、制御装置100xは、加速状態において送風装置300xの出力強度Qを基準強度Qkで維持する。基準強度Qkは、搬送体500に紙幣が保持されない状態で、移動体200を速度Vcで移動させる出力強度Qである。以上の速度Vcは、速度Vbより大きい。例えば、速度Vbが約1600(mm/秒)に設定される構成では、速度Vcは約2000(mm/秒)である。したがって、出力強度Qが基準強度Qkで維持されると、移動体200は速度Vb以上に加速する。移動体200が速度Vb以上に加速されると、加速状態から定速状態へ移行する。なお、詳細には後述するが、基準強度Qkは送風管100の形状(長さ等)により変化する。本実施形態は、基準強度Qkを自動で算出可能に構成される(後述の図34参照)。
定速状態は、移動体200を略一定の速度Vで移動させる状態である。具体的には、定速状態では、移動体200が速度Vbから速度Va2(後述の図30(b)参照)で移動する様に、送風装置300xの出力強度Qが調整される。例えば、移動体200が速度Vb以下で移動する場合(V≦Vb)、制御装置100xは出力強度Qを大きくする。一方、移動体200が速度Va2以上で移動する場合(V≧Va2)、制御装置100xは出力強度Qを小さくする。また、移動体200が速度Va2より大きい速度Va1以上で移動する場合(V≧Va1≧Va2)、移動体200が速度Va2から速度Va1で移動する場合(Va1>V≧Va2)と比較して、出力強度Qをより小さくする。以上の構成については、図31(a)を用いて詳細に後述する。
定速状態は、予め設定された検知位置Pに移動体200(搬送体500)が到達すると終了する。本実施形態では、移動体200が検知位置P14に到達すると定速状態が終了する。具体的には、検知位置P14のセンサSbが搬送体500を検知すると定速状態は終了する。定速状態が終了すると減速状態へ移行する。なお、速度Vbが約1600(mm/秒)に設定される構成では、速度Va2は約2200(mm/秒)であり、速度Va1は約2600(mm/秒)である構成が好適である。
減速状態は、移動体200を減速するための状態である。具体的には、減速状態は、金庫ユニット700(検知位置P16)において安全に停止できる速度まで移動体200を減速する状態である。上述した通り本実施形態では、減速状態における紙幣(移動体200)の速度に応じて、逆方向の気流を発生させる場合と、気流の発生を停止させる場合とがある。具体的には、移動体200の速度に応じて、切替弁325を逆方向位置に切替える場合と、ニュートラル位置に切替える場合とがある。以上の構成については、図32(a)を用いて詳細に後述する。減速状態は、検知位置P16のセンサSbにより搬送体500が検知されると終了する。
図30(b)は、紙幣搬送システム10の状態が移行する具体例を説明するための図である。図30(b)は、送風管100における位置(X軸方向における位置)を横軸とし、移動体200の速度Vを縦軸とするグラフである。図30(b)には、X軸方向における加速状態で制御される区間、定速状態で制御される区間および減速状態で制御される区間(減速領域)が示される。また、図30(b)には、速度Vb(約1600mm/秒)および速度Vc(約2000mm/秒)が示される。また、図30(b)には、速度Va2(約2200mm/秒)および速度Va1(約2600mm/秒)が示される。
図30(b)は、加速状態へ移行した直後(準備状態が終了した直後)から減速状態が終了するまでの移動体200の速度Vを示す。加速状態では、送風管100に正方向の気流が発生し、移動体200が加速する。また、加速状態は、移動体200が速度Vbまで加速されると終了する。本実施形態では、移動体200が検知位置Pを通過する毎に速度Vが測定され、測定結果が速度Vb以上であるか否かが判定される。図30(b)の具体例では、検知位置P1における測定結果が速度Vb未満であり、その後の検知位置P2における測定結果が速度Vb以上である場合を想定する。以上の場合、図30(b)に示す通り、移動体200が検知位置P2を通過した直後から定速状態へ移行する。
定速状態では、移動体200が速度Vbから速度Va2で移動する様に、送風装置300xの出力強度Qが調整される。本実施形態の定速状態では、移動体200が検知位置Pを通過する毎に速度Vが測定され、測定結果が範囲「Vb~Va2」内である否かが判定される。また、測定結果が速度Vb以下である場合、制御装置100xは出力強度Qを大きくする。一方、測定結果が速度Va2以上である場合、制御装置100xは出力強度Qを小さくする。図30(b)の具体例では、定速状態において移動体200が速度Va2から速度Vbの間の速度で移動した場合を想定する。以上の場合、送風装置300xの出力強度Qは調整されない(一定である)。
移動体200が検知位置P14に到達すると、定速状態から減速状態へ移行する。減速状態では移動体200が減速される。具体的には、制御装置100xは、検知位置P14において測定した速度Vおよび検知位置P15において測定した速度Vに応じて、送風装置300xの出力強度Q(気流の強さ)および切替弁325の位置(気流の方向)を制御する。
図31(a)は、定速状態の詳細を説明するための図である。上述した通り、速度Vb(約1600mm/秒)以上が測定された検知位置Pの直後から検知位置P13までが定速状態になる。以下、定速状態において最初に移動体200が到達する検知位置Pを「検知位置Px」と記載する。制御装置100xは、以上の各検知位置P(x~13)における速度Vに応じて、送風装置300xの出力強度Qを変更または維持することを決定する。図31(a)には、変更後の出力強度Qが速度V(測定結果)毎に示される。
上述した通り、定速状態では、移動体200の速度Vを数値「Va2」(約2200mm/秒)から数値「Vb」の間に維持するための制御が実行される。具体的には、検知位置P(x~13)において測定(算出)された速度Vが数値「Vb」以下の場合(V≦Vb)、出力強度Qが約1.1倍に変更(増加)される(Q→Q×1.1)。以上の構成によれば、移動体200が速度Vbより遅い場合、出力強度Qが増加するため、移動体200を速度Vbより速くすることができる。
一方、検知位置P(x~13)において測定された速度Vが数値「Va1」(約2600mm/秒)より小さく数値「Va2」以上の場合(Va1>V≧Va2)、出力強度Qが約0.95倍に変更(減少)される(Q→Q×0.95)。以上の構成によれば、移動体200が速度Va2より速い場合、出力強度Qが減少するため、移動体200を速度Va2より遅くすることができる。
また、検知位置P(x~13)において測定された速度Vが数値「Va1」以上の場合、出力強度Qが約0.7倍に変更(減少)される(Q→Q×0.7)。すなわち、移動体200が速度Va2より速い速度Va1で移動する場合、速度Va1より速くない場合と比較して、出力強度Qの減少幅が大きい。以上の構成によれば、移動体200をより早期に速度Vb以下に減速し易くなるという利点がある。
以上の説明から理解される通り、本実施形態の定速状態では、速度Vbより遅い場合に移動体200が加速し、速度Va2より速い場合に移動体200が減速する。以上の構成によれば、定速状態における移動体200の速度は数値「Va2」から数値「Vb」に調整される。なお、検知位置P(Px~P13)において算出された速度Vが数値「Va2」から数値「Vb」の範囲内の場合、送風装置300xの出力強度Qは変更されない(維持される)。
図31(b)は、定速状態において出力強度Qが変更される場合の具体例を説明するための図である。図31(b)は、上述の図30(b)と同様に、送風管100における位置(X軸方向における位置)を横軸とし、移動体200の速度Vを縦軸とするグラフである。図31(b)は、定速状態において移動体200が速度Vbより減速し、出力強度Qが増加する具体例を示す。また、図31(b)の具体例では、変更される前の出力強度Qが数値「Qa」の場合を想定する。
ところで、移動体200が減速する契機としては、例えば、搬送体500が新たな紙幣を保持した契機が想定される。特に、複数枚目の紙幣が搬送体500に保持された場合、移動体200が速度Vbより減速し易いという事情がある。図31(b)の具体例では、位置Xaにおいて新たな紙幣が搬送体500に保持された場合を想定する。また、移動体200(搬送体500)が位置Xaから減速し、検知位置Pn(x≦n≦13)において速度Vb以下が測定された場合を想定する。以上の場合、送風装置300xの出力強度Qが数値「Qa」から数値「Qa×1.1」に増加される。
図31(b)の具体例では、検知位置Pnの次の検知位置Pn+1において、数値「Va2」より小さく数値「Vb」より大きい速度Vが測定された場合を想定する。以上の場合、検知位置Pn+1以降の出力強度Qは、数値「Qa×1.1」で維持される。なお、仮に検知位置Pn+1において移動体200が速度Vbより遅い場合(加速が不十分の場合)、出力強度Qが数値「(Qa×1.1)×1.1」に増加される。
図32(a)は、減速状態の詳細を説明するための図である。上述した通り、移動体200が検知位置P14に到達すると減速状態へ移行する。具体的には、移動体200が検知位置P14または検知位置P15を通過する期間は減速状態になる。検知位置P14および検知位置P15では、測定された速度Vに応じて、移動体200が減速される制御を実行する。
図32(a)に示す通り、本実施形態では、検知位置P14を通過した際と、その後、検知位置P15を通過した際とで、移動体200を減速させるために実行し得る制御が相違する。具体的には、検知位置P14で測定された速度Vが数値「Vc」(約2000mm/秒)以上の場合、切替弁325がニュートラル位置に切替えられる。すなわち、検知位置P14において移動体200が速度Vcより速い場合、送風管100における気流(移動体200を搬送するための気流)が停止する。以上の場合、検知位置P14を通過した後に移動体200が減速する。
一方、検知位置P14で測定された速度Vが数値「Vc」未満の場合、切替弁325は正方向位置で維持されるとともに、送風装置300xの出力強度Qが維持される。すなわち、検知位置P14で測定された速度Vが数値「Vc」未満の場合、検知位置P14を移動体200が通過した際において、移動体200を減速させるための特別な制御は実行されない。
検知位置P15において測定された速度Vが数値「Vd1」(例えば、約1800mm/秒)以上の場合、送風装置300xの出力強度Qが維持された状態で、切替弁325が逆方向位置に切替えられる。すなわち、検知位置P15において移動体200が速度Vd1より速い場合、移動体200の進行方向とは逆方向の気流が送風管100において発生する。なお、切替弁325を逆方向位置に切替える際に、送風装置300xの出力強度Qが変更される構成としてもよい。例えば、以上の場合において、送風装置300xの出力強度Qが基準強度Qk(初期値)に切替えられる構成としてもよい。
検知位置P15で測定された速度Vが数値「Vd1」より小さく数値「Vd2」(例えば、約1400mm/秒)」以上の場合、切替弁325がニュートラル位置に切替えられる。上述した通り、切替弁325がニュートラル位置に切替えられた場合、切替弁325が逆方向位置に切替えられた場合と比較して、移動体200が緩やかに減速する。以上の本実施形態では、移動体200が検知位置P15に到達した際に逆方向の気流が一律に(移動体200が十分に遅い場合であっても)発生する構成と比較して、金庫ユニット700に到達する前に移動体200が停止する不都合を抑制できる。
検知位置P15で測定された速度Vが数値「Vd2」(約1400mm/秒)未満の場合、切替弁325が正方向位置に切替えられ、送風装置300xの出力強度Qが基準強度Qkに切替えられる。すなわち、移動体200が速度Vd2未満で検知位置P15を通過した場合、送風装置300xは正方向の気流を発生させる。以上の構成によれば、金庫ユニット700に到達する前に移動体200が停止する不都合を抑制できるという効果は格別に顕著である。なお、検知位置P15で測定された速度Vが数値「Vd2」未満の場合における送風装置300xの出力強度Qは基準強度Qkに限定されない。例えば、検知位置P14に到達した時点における出力強度Qを採用してもよい。
図32(b-1)は、減速状態の具体例を説明するための図である。図32(b-1)は、上述の図30(b)および図31(b)と同様に、送風管100における位置(X軸方向における位置)を横軸とし、移動体200の速度Vを縦軸とするグラフである(後述の図32(b-2)についても同様)。図32(b-1)の具体例では、移動体200が検知位置P14を速度Vc(約2000mm/秒)以上で通過した場合を想定する。以上の場合、移動体200を減速するために、切替弁325がニュートラル位置に切替えられる(上述の図32(a)参照)。
図32(b-1)の具体例では、検知位置P15で測定された移動体200の速度Vが数値「Vd1」(約1800mm/秒)未満で数値「Vd2」(約1400mm/秒)以上の場合を想定する(Vd1>V≧Vd2)。以上の場合、切替弁325がニュートラル位置に切替えられる(上述の図32(a)参照)。図32(b-1)の具体例では、検知位置P14において切替弁325がニュートラル位置に既に切替えられている。したがって、検知位置P15では、切替弁325がニュートラル位置で維持される。以上の図32(b-1)の具体例では、検知位置P14を通過してから金庫ユニット700(検知位置P16)に到達するまで切替弁325がニュートラル位置で維持される。したがって、検知位置P14から検知位置P16まで移動体200が緩やかに減速する。
図32(b-2)は、減速状態の他の具体例を説明するための図である。図32(b-2)の具体例では、上述の図32(b-1)と同様に、移動体200が検知位置P14を速度Vc以上で通過した場合を想定する。以上の場合、移動体200を減速するために、切替弁325がニュートラル位置に切替えられる(上述の図32(a)参照)。
図32(b-2)の具体例では、移動体200が検知位置P15を速度Vd1以上で通過した場合を想定する。以上の場合、切替弁325が逆方向位置に切替えられる(上述の図32(a)参照)。すなわち、検知位置P15を移動体200が通過した以降の期間において、移動体200を減速させる逆方向の気流が送風管100に生じる。以上の構成によれば、移動体200が検知位置P15を速度Vd1以上で通過した場合であっても、検知位置P16までに移動体200を十分に減速し易くなる。
図33(a)は、定速時処理のフローチャートである。制御装置100xは、定速状態において、移動体200が検知位置P(Px~P13)を通過した際に定速時処理を実行する。ただし、定速時処理が実行される時期、および、定速時処理の具体的な内容は適宜に変更できる。
定速時処理を開始すると、制御装置100xは、速度算出処理(S101)を実行する。速度算出処理では、今回通過した検知位置Pにおける移動体200の速度Vが算出される。具体的には、制御装置100xは、当該検知位置PのセンサSaがON状態になった時間T(秒)で移動体200の長さL(mm)を除して、算出結果を速度Vとして記憶する(V=L/T)。
速度算出処理を実行した後に、制御装置100xは、当該速度算出処理で算出した速度Vが数値「Vb」(約1600mm/秒)以下であるか否かを判定する(S102)。速度Vが数値「Vb」以下であると判断すると(S102:Yes)、制御装置100xは、送風装置300xの出力強度Q(現在値)を1.1倍にして(S103)、定速時処理を終了する。一方、速度Vが数値「Vb」以下ではないと判断すると(S102:No)、制御装置100xは、速度Vが数値「Va1」(約2600mm/秒)未満、且つ、数値「Va2」(約2200mm/秒)以上であるか否かを判定する(S104)。
速度Vが数値「Va1」未満、且つ、数値「Va2」以上である場合(S104:Yes)、制御装置100xは、送風装置300xの出力強度Q(現在値)を0.95倍にして(S105)、定速時処理を終了する。一方、速度Vが数値「Va1」未満、且つ、数値「Va2」以上でない場合(S104:No)、制御装置100xは、当該速度Vが数値「Va1」以上であるか否か判定する(S106)。速度Vが数値「Va1」以上であると判断すると(S106:Yes)、制御装置100xは、送風装置300xの出力強度Q(現在値)を0.7倍にして(S107)、定速時処理を終了する。
速度算出処理で算出した速度Vが数値「Va1」以上でないと判断すると(S106:No)、制御装置100xは、送風装置300xの出力強度Qを変更しないで(維持して)定速時処理を終了する。なお、ステップS102、ステップS104およびステップS106の全てで「No」と判断される場合とは、速度Vが数値「Va2」未満、且つ、数値「Vb」より大きい場合である(Va2>V>Vb)。
図33(b-1)は、第1減速処理のフローチャートである。制御装置100xは、減速状態において、移動体200が検知位置P14を通過した際に第1減速処理を実行する。第1減速処理を開始すると、制御装置100xは、速度算出処理(S111)を実行する。第1減速処理の速度算出処理では、上述の定速時処理の速度算出処理と同様な方法で、検知位置P14を通過した際の移動体200の速度Vが算出される。速度算出処理を実行した後に、制御装置100xは、速度Vが数値「Vc」(約2000mm/秒)以上であるか否かを判定する(S112)。
速度Vが数値「Vc」以上であると判断すると(S112:Yes)、制御装置100xは、切替弁325をニュートラル位置に切替えて(S113)、第1減速処理を終了する。一方、速度Vが数値「Vc」以上ではないと判断した場合(S112:No)、制御装置100xは、上述のステップS113を省略して第1減速処理を終了する。以上の場合、第1減速処理の前後において、切替弁325は正方向位置で維持される。
図33(b-2)は、第2減速処理のフローチャートである。制御装置100xは、減速状態において、移動体200が検知位置P15を通過した際に第2減速処理を実行する。第2減速処理を開始すると、制御装置100xは、速度算出処理(S121)を実行する。以上の速度算出処理では、上述の定速時処理の速度算出処理と同様な方法で、検知位置P15を通過した際の移動体200の速度Vが算出される。速度算出処理を実行した後に、制御装置100xは、速度Vが数値「Vd1」(約1800mm/秒)以上であるか否かを判定する(S122)。
速度Vが数値「Vd1」以上であると判断すると(S122:Yes)、制御装置100xは、切替弁325を逆方向位置に切替えて(S123)、第2減速処理を終了する。速度Vが数値「Vd1」以上ではないと判断すると(S122:No)、制御装置100xは、速度Vが数値「Vd1」未満、且つ、数値「Vd2」(約1400mm/秒)以上であるか否か判定する(S124)。速度Vが数値「Vd1」未満、且つ、数値「Vd2」以上であると判断すると(S124:Yes)、制御装置100xは、切替弁325をニュートラル位置へ切り替えて、第2減速処理を終了する。
速度算出処理で算出した速度Vが数値「Vd1」未満、且つ、数値「Vd2」以上でないと判断すると(S124:No)、制御装置100xはステップS126を実行する。なお、ステップS122およびステップS124の双方で「No」と判断される場合とは、速度Vが数値「Vd2」未満の場合である(V<Vd2)。速度Vが数値「Vd2」未満の場合、制御装置100xは、切替弁を正方向位置に切替え(S126)、送風装置300xの出力強度Qを基準強度Qkに変更する(S127)。出力強度Qを変更した後に、制御装置100xは、第2減速処理を終了する。
図34は、基準強度設定処理のフローチャートである。上述した通り、基準強度Qkは、搬送体500に紙幣が保持されない状態で、移動体200を速度Vcで移動させる出力強度Qである。以上の基準強度Qkは、例えば送風管100の形状(長さ等)に応じて変化し得る。本実施形態の制御装置100xは、基準強度設定処理を実行することにより、基準強度Qkを自動で設定する。なお、基準強度設定処理は、例えば、遊技場の営業時間外で実施される。したがって、基準強度設定処理において搬送体500により紙幣は回収されない。
基準強度設定処理を開始すると、制御装置100xは、移動体200を島端(検知位置P1)へ移動させる(S201)。その後、制御装置100xは、複数の候補強度Qxから1個の候補強度Qxを選択する(S202)。詳細には後述するが、ステップS202は繰り返し実行される。最初のステップS202では、全ての候補強度Qxから1個が選択され、次回以降のステップS202では、既に選択された候補強度Qx以外の1個が選択される。制御装置100xは、直前のステップS202で選択した候補強度Qxで送風装置300xに送風を開始(準備状態を介して加速状態へ移行)させる(S203)。
送風装置300xに送風を開始させたのちに、制御装置100xは、金庫ユニット700(検知位置P16)に移動体200が到達したか否かを判定する(S204)。制御装置100xは、金庫ユニット700に移動体200が到達したと判断するまでステップ204を繰り返し実行し(S204:No)、金庫ユニット700に移動体200が到達したと判断すると(S204:Yes)、平均速度算出処理(ステップS205)へ処理を進める。本実施形態の基準強度設定処理では、移動体200が移動する期間において、送風装置300xの出力強度Qは、選択中の候補強度Qxから変更されない。
平均速度算出処理では、選択中の候補強度Qxで生じた気流により移動した移動体200の平均速度Vxが算出される。具体的には、基準強度設定処理では、移動体200の速度Vが各検知位置Pにおいて測定される。制御装置100xは、各検知位置Pのうち最初に速度Vb(約1600mm/秒)以上の速度Vが測定された検知位置Pより後の各検知位置P(以下「対象位置Pm」)を特定する。また、制御装置100xは、各対象位置Pmで測定された各速度Vを合計し、合計結果を対象位置Pmの個数で除した結果を、今回の候補強度Qxの平均速度Vxとして記憶する。
平均速度算出処理を実行した後に、制御装置100xは、全ての候補出力Qxについて平均速度Vxを算出したか否かを判定する(S206)。平均速度Vxを算出していない候補出力Qxが残っている場合(S206:No)、制御装置100xは、上述のステップS201からステップS205を繰り返し実行する。その後、全ての候補出力Qxについて平均速度Vxを算出したと判断すると(S206:Yes)、制御装置100xは、基準強度Qkを設定する(S207)。
具体的には、制御装置100xは、各候補出力Qxのうち平均速度Vxが数値「Vc」(約2000mm/秒)に最も近い候補出力Qxを基準強度Qkとして設定する。基準強度Qkを設定した後に、制御装置100xは、移動体200を島端へ移動して(S208)基準強度設定処理を終了する。なお、利用者が希望するタイミングで基準強度設定処理が実行可能な構成が好適である。具体的には、利用者が制御装置100xを適宜に操作することにより、基準強度設定処理が実行される構成が好適である。
<変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
(1)各形態において、回収動作の途中で移動体200(紙幣)が停止したことを検知可能としてもよい。例えば、停止検知処理が実行される変形例を採用してもよい。以上の変形例では、時間を計測するための停止判定タイマが設けられる。停止判定タイマは、何れかの検知位置Pで移動体200(搬送体500)が検知される毎に初期化される。したがって、回収動作中において、移動体200が停止するか極端に遅くならなければ、停止判定タイマの値は予め定められた閾値(例えば4秒)を通常は超えない。停止検知処理では、停止判定タイマの数値を監視し、当該数値が上述の閾値を超えた場合、移動体200が停止したと判断する。また、当該変形例では、移動体200が検知位置Pを通過した際の速度算出処理において、算出した速度Vが数値「50」(mm/秒)以下の場合、移動体200が停止したと判断する。
以上の変形例において、移動体200が停止したと判断された場合、送風装置300xの出力強度Qが大きくなる構成が好適である。例えば、移動体200が停止したと判断された場合、出力強度Qが約1.3倍になる構成が考えられる。なお、出力強度Qを約1.3倍にした後に、各状態における通常の処理(加速状態における処理、定速時処理、第1減速処理、第2減速処理)が実行される構成が好適である。また、移動体200が停止したと判断された場合、その旨が報知される構成としてもよい。以上の移動体200が停止した旨を検知するための処理は、加速状態、定速状態および減速状態の全てで実行される構成が好適である。
(2)各形態の回収動作において、移動体200と搬送体500とが分離する(移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが分離する)不具合が生じ得る。したがって、移動体200と搬送体500とが分離した旨を検知可能な構成が好適である。例えば、移動体200と搬送体500とが分離した場合、移動体200のみが送風管100を移動し、搬送体500は搬送管400の内部で停止する。以上の場合、センサSaおよび該センサSaに対応する(真上に設けられた)センサSb(図27(a)参照)のうち一方のみがON状態になる。以上の事情を考慮して、センサSaおよびセンサSbのうち一方のみがON状態になった場合、移動体200と搬送体500とが分離したと判断する構成が採用され得る。
また、移動体200と搬送体500とが分離した場合、移動体200が急激に速くなる。以上の事情を考慮して、移動体200と搬送体500とが分離したと判断した際に、移動体200の進行方向とは逆方向の気流を送風管100内に生じさせる様に、切替弁325の位置を切替える構成が好適である。
(3)各形態において、移動体200の速度を紙幣の速度として算出したが、紙幣の速度の算出方法は適宜に変更できる。例えば、搬送体500のX軸方向の長さを、センサSbがON状態になった時間長で除した結果を紙幣の速度として算出してもよい。すなわち、紙幣と一体となり移動する物体であれば、何れの物体であっても、当該物体の速度を算出することにより、紙幣の速度が求められる。また、紙幣が通過する期間においてON状態となるセンサを搬送管400に設け、当該紙幣のX軸方向の長さを当該センサがON状態になった時間で除することにより、当該紙幣の速度を算出する構成としてもよい。以上の構成によれば、例えば特許文献1の技術に本発明を適用できる。
(4)各形態において、金庫ユニット700から島端に移動体200を帰還させる動作(以下「帰還動作」)においても、回収動作と同様に、準備状態、加速状態、定速状態および減速状態に移行する構成が好適である。ただし、回収動作と帰還動作とでは送風管100における気流の方向が逆転する(切替弁325の位置が相違する)。帰還動作では、例えば、移動体200が検知位置P3に到達した場合に減速状態へ移行する。
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の紙葉搬送システム(紙幣搬送システム10)は、紙葉を搬送するための気流(送風管100内部の気流)を発生させる送風装置(300x)と、気流により紙葉を搬送する搬送装置(200x)と、送風装置を制御する制御装置(100x)と、を具備する紙葉搬送システムであって、制御装置は、搬送装置における紙葉の速度を測定する測定部(100x)と、測定の結果に応じて、気流を調整する調整部(103x)とを備える。本態様によれば、搬送装置における紙葉の速度が測定され、測定の結果に応じて、送風装置の気流が調整される。したがって、送風装置が発生する気流を手動で調整する構成と比較して、送風装置が発生する気流を容易に調整可能になる。
<第2態様>
本態様の紙葉搬送システムは、制御装置は、紙葉が減速領域に達したことを検知する検知部(102x)を備え、調整部は、減速領域(検知位置P15)における紙葉が特定速度(Vd1)より速い場合、当該紙葉を搬送するための気流とは逆向きの気流を送風装置に発生させる(図32(b-2)参照)。本態様によれば、例えば紙葉を搬送するための気流とは逆向きの気流が発生できない構成と比較して、紙葉を素早く減速できるという利点がある。
<第3態様>
本態様の紙葉搬送システムは、調整部は、減速領域における紙葉が特定速度以下の所定速度(検知位置P15におけるVd1~Vd2)の場合、気流を停止させる(図32(b-1)参照)。本態様によれば、例えば紙葉の速度によらず逆向きの気流が一律に発生する構成と比較して、搬送中の紙葉が停止する不都合が抑制されるという利点がある。
<第4態様>
本態様の制御装置(100x)は、搬送装置により紙葉を搬送するための気流を発生させる送風装置を制御する制御装置であって、搬送装置における紙葉の速度を測定する測定部と、測定の結果に応じて、送風装置が発生する気流を調整する調整部とを具備する。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
<第5態様>
本態様の制御方法は、搬送装置により紙葉を搬送するための気流を発生させる送風装置の制御方法であって、搬送装置における紙葉の速度を測定するステップ(図33(a)のS101、図33(b-1)のS111、図33(b-2)のS121)と、測定の結果に応じて、送風装置が発生する気流を調整するステップ(図33(a)のS103、S105、S107、図33(b-1)のS113、図33(b-2)のS123、S125、S127)とを具備する。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
<第6態様>
本態様のプログラムは、第5態様に記載の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
10…紙幣搬送システム、100…送風管、1000…管理ユニット、1001…筐体、100x…制御装置、101…気流路、101x…測定部、102x…検知部、103x…調整部、110…第一送風管、111…移動経路部分、120…第二送風管、200…移動体、200x…搬送装置、300x…送風装置、310…ブロア、320…切替ユニット、321…ケーシング、323…流路、325…切替弁、331…排気管、333…吸気管、340…接続配管、400…搬送管、450…待機部、500…搬送体、510…搬送ベース、520…分割片、521…ヒンジ、525…ローラ、540…紙幣回収保持部、541…支柱部材、544…回収爪、545…ローラ、600…受入ユニット、700…金庫ユニット。

Claims (5)

  1. 気流を発生させる送風装置と、
    前記気流により紙葉を搬送する搬送装置と、
    前記送風装置を制御する制御装置と、を具備する紙葉搬送システムであって、
    前記搬送装置は、
    紙葉が搬送される略直線状の搬送路と、
    前記気流により前記搬送路を移動し、前記搬送路の途中に位置する第1領域にある紙葉に到達すると、その後、当該紙葉と移動する搬送体とを備え、
    前記制御装置は
    前記搬送体が前記第1領域から第2領域に達したことを検知する検知部と、
    前記第1領域における前記搬送体の速度、および、前記第2領域における前記搬送体の速度を測定する測定部と、
    前記第1領域における前記搬送体の速度に応じて前記気流を調整するとともに、前記第2領域における前記搬送体が特定速度より速い場合、前記搬送体を搬送するための気流とは逆向きの気流を前記送風装置に発生させる調整部とを備える
    紙葉搬送システム。
  2. 前記調整部は、前記第2領域における前記搬送体が前記特定速度以下の所定速度の場合、前記気流を停止させる
    請求項に記載の紙葉搬送システム。
  3. 搬送装置により紙葉を搬送するための気流を発生させる送風装置を制御する制御装置であって、
    前記搬送装置は、
    紙葉が搬送される略直線状の搬送路と、
    前記気流により前記搬送路を移動し、前記搬送路の途中に位置する第1領域にある紙葉に到達すると、その後、当該紙葉と移動する搬送体とを備え、
    前記搬送体が前記第1領域から第2領域に達したことを検知する検知部と、
    前記第1領域における前記搬送体の速度、および、前記第2領域における前記搬送体の速度を測定する測定部と、
    前記第1領域における前記搬送体の速度に応じて前記気流を調整するとともに、前記第2領域における前記搬送体が特定速度より速い場合、前記搬送体を搬送するための気流とは逆向きの気流を前記送風装置に発生させる調整部とを具備する
    制御装置。
  4. 搬送装置により紙葉を搬送するための気流を発生させる送風装置の制御方法であって、
    前記搬送装置は、
    紙葉が搬送される略直線状の搬送路と、
    前記気流により前記搬送路を移動し、前記搬送路の途中の第1領域にある紙葉に到達すると、その後、当該紙葉と移動する搬送体とを備え、
    前記第1領域における前記搬送体の速度を測定するステップと、
    前記第1領域における前記搬送体の速度に応じて前記気流を調整するステップと、
    前記搬送体が前記第1領域から第2領域に達したことを検知するステップと、
    前記第2領域における前記搬送体の速度を測定するステップと、
    前記第2領域における前記搬送体が特定速度より速い場合、前記搬送体を搬送するための気流とは逆向きの気流を前記送風装置に発生させるステップと
    を具備する制御方法。
  5. 請求項に記載の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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