以下、本発明の実施の形態を図面に基づき実施例によって説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
図3には、本発明に係る熱源装置の第1実施例のシステム構成が模式的に示されている。同図に示されるように、本実施例の熱源装置は、器具ケース80内に、給湯回路45と暖房回路7とを設けて形成される複合型の熱源装置である。この熱源装置は燃焼室100を有し、燃焼室100内には給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置(暖房用バーナ装置)5とが設けられており、複合熱交換器1の下部側に区分け配置されている。なお、複合熱交換器1についての詳細構成は後述する。
給湯用のバーナ装置(給湯用バーナ装置)2は複数のバーナ装置2a,2b,2cを有し、バーナ装置2aの燃焼面とバーナ装置2bの燃焼面とバーナ装置2cの燃焼面によって区分される態様で形成された区分燃焼面を有している。言い換えれば、バーナ装置2a,2b,2cの各燃焼面によって区分された区分燃焼面が形成されており、熱源装置には、給湯用のバーナ装置2に要求される能力(給湯能力)が一段アップする毎に前記区分燃焼面を予め定められた順番(バーナ装置2a,2b,2cの順)で選択的に順次追加燃焼させる燃焼制御手段(図3には図示せず)が設けられている。給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の下方側には、これらのバーナ装置2,5の給排気用の燃焼ファン15が設けられている。
また、燃焼室100には、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に、給湯と暖房の複合熱交換器1が設けられており、この複合熱交換器1は、図2、図3に示されるように、メインの給湯熱交換器を形成する給湯用の液体流通管路13のみが配設された一種管路配設部(一種流路配設部)111と、給湯用の液体流通管路13がメインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12によって上下に挟まれる態様で(図2、参照)互いに接して配設された二種管路配設部112とを有しており、二種管路配設部(二種流路配設部)112と一種管路配設部111とは隣り合わせに配設されている。
このように、本実施例では、複合熱交換器1の二種管路配設部112がメインの給湯熱交換器の液体流通管路13をメインの暖房用熱交換器の液体流通管路12によって上下に挟む態様で互いに接して配設された構成と成して、この構成の二種管路配設部112が複合熱交換器1の一部と成している。二種管路配設部112の下方側には、二種管路配設部112を加熱するための暖房用のバーナ装置5が設けられ、二種管路配設部112の液体流通管路12,13は共通(1つ)のバーナ装置(暖房用のバーナ装置5)により加熱される構成と成している。
一方、一種管路配設部111の下方側には、該一種管路配設部111を加熱するための給湯用のバーナ装置2が配設されているが、図2に示されるように、二種管路配設部112において一種管路配設部111に隣接する側の一部分に配設されている液体流通管路12,13が、給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設されている。
本実施例では、この構成によって、暖房用のバーナ装置5のみの燃焼時に暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが一種管路配設部111側に広がっても、その広がり部分には給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設された二種管路配設部112の液体流通管路12,13が配設されているので、広がった燃焼ガスによって加熱されるのは、この二種管路配設部112の液体流通管路12,13となる。
そして、二種管路配設部112は、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で配設されているので、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの広がりによって加熱されるのは、給湯用の液体流通管路13の下側に配設されている暖房用の液体流通管路12である。したがって、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13が暖房単独運転時に暖房用のバーナ装置5によって加熱されてしまうことを防ぐことができ、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13内に滞留している水等の熱媒体が沸騰してしまうことを抑制できる。
複合熱交換器1はフィン43を有しており、このフィン43は、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に立ち上がる態様で設けられて、図4の紙面に垂直な方向に(図3では左右方向に)互いに間隔を介して複数配設されており、各フィン43の面方向が給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの配列方向とは直交(または略直交)する方向となるような態様と成している。一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13は共に、これらの複数の共通のフィン43に形成された対応する管路挿入孔103,104に挿入され(液体流通管路13は管路挿入孔103に、液体流通管路12は管路挿入孔104に挿入され)ており、複合熱交換器1をこのような態様に形成すると非常に製造しやすい。
また、二種管路配設部112において、上下方向に配設される3つの管路(暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13)のうち、真ん中の管路を、低温の水が導入される液体流通管路13とすることにより、以下の効果を奏することができる。つまり、二種管路配設部112における暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13の配列態様によって、暖房用の液体流通管路12の吸熱量と給湯用の液体流通管路13側の吸熱量とに違いが生じ、二種管路配設部112において上下方向の真ん中の管路を給湯用の液体流通管路13として互いに接する態様で設けることにより、給湯用の液体流通管路13の1本あたりの吸熱量を高くできる構成と成している。
なお、図3はシステム図であるために、図2の態様と異なるように示されているが、実際には図2に示される断面構成図のような態様で一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13等が配設されている。ただし、図2も模式的な構成図であるために、液体流通管路12,13等の本数等は正確に示されているとは限らず、液体流通管路12,13の本数や配設間隔等は図1に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。また、図3および後述する図9においては、バーナ装置2a,2b,2c,5のバーナ本数も図2とは異なる態様に示されているが、実際には、図2に示される本数のバーナにより、各バーナ装置2a,2b,2c,5が設けられている。
本実施例において、メインの給湯熱交換器を形成する給湯用の液体流通管路13には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の給湯熱交換器4が接続されており、メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の暖房用熱交換器6が接続されている。なお、これらの潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は、それぞれの熱交換器を形成する液体流通管路を通る熱媒体(ここでは水)によりバーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収するものであるが、潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は共に、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱のみならず顕熱も回収するものである。
また、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6は共に、複合熱交換器1の上部側に配設され、図4に示されるように、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間とを仕切る仕切り115が複合熱交換器1の上部側に設けられている。この仕切り115によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガス(排気ガス)が複合熱交換器1を通った後に潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間を通り、その後、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間を通って排気口116から排出される態様と成している。つまり、複合熱交換器1を通った暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが流れる流れの上流側に潜熱回収用の暖房用熱交換器6が配設され、流れの下流側に潜熱回収用の給湯熱交換器4が配設されている。
このような構成によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼時の燃焼ガスが、複合熱交換器1を通った後に約160~約250℃で潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設領域を通って潜熱回収されて冷やされた後、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設領域を通ることになるため、暖房用のバーナ装置5の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の給湯熱交換器4内の水が沸騰することを抑制できる。また、潜熱回収用の暖房用熱交換器6は、仕切り115を介して潜熱回収用の給湯熱交換器4の上側に配設されており、給湯用のバーナ装置2の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の暖房用熱交換器6内の水の沸騰は抑制できる。
なお、図3および後述する図9は、システム図であるために、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設構成も図4の態様と異なるように示されているが、実際には図4に示される模式的な断面構成図のような態様で潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6等が配設されている。ただし、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の本数や配設間隔等は図4に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
図3に示されるように、メインの暖房用熱交換器の出側には該メインの暖房用熱交換器(暖房用の液体流通管路12)を通った液体(温水)を暖房装置70,71側に向けて流通させる往き側の通路としての管路60が形成され、暖房装置70,71を通った液体(水)を潜熱回収用の暖房用熱交換器に戻す戻り側の通路としての管路61が形成され、管路60から分岐された分岐通路65の先端側が管路61に接続されており、分岐通路65には、該分岐通路65を前記メインの給湯熱交換器の入側の通路と出側の通路のいずれか(ここでは入側)に熱的に接続する給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33が設けられている。
なお、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33は潜熱回収用の給湯熱交換器4と前記メインの給湯熱交換器との間の管路に熱的に接続されており、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を通った水の温度を検出する熱交換後水温検出手段133が設けられている。
図6(a)、(b)に示されるように、本実施例において、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)は、複数の炎口110が長手方向に沿って配列配置された炎口列を一列以上(ここでは一列)配設して成る燃焼面を備えたバーナ107が、前記炎口列と直交する方向に並ぶ態様で複数配置されて形成されている。バーナ装置2aは3本のバーナ107によって形成され(燃焼面はA面)、バーナ装置2bは5本のバーナ107によって形成され(燃焼面はB面)、バーナ装置2cは4本のバーナ107によって形成されており(燃焼面はC面)、したがって、それぞれのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼面により形成される区分燃焼面の面積比はおおよそ、3:5:4と成している。暖房用のバーナ装置5は、給湯用のバーナ装置2を形成するバーナ107と同方向に炎口110を配列配置したバーナ109を4本配置して形成されている(燃焼面はD面)。
これらの給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置5には、図3に示されるガス供給通路16を通して燃料ガスが供給される。また、複数の給湯用のバーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5のそれぞれに対応させてバーナ装置への燃料ガスの供給と遮断とを行うガス開閉弁(ガス電磁弁)17,14が設けられるとともに、全てのバーナ装置へのガス供給割合を一律に可変するガス比例弁18が設けられている。
また、図6と図2とを共に参照すると分かるように、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)および暖房用のバーナ装置5の各燃焼面の上側に設けられている複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12は、これらの液体流通管路12,13の下方側に配設されている対応する暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されている。潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路もバーナ装置2,5の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されており、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路は、全体としては両方のバーナ装置2,5の上面側に配設されている。
図3に示されるように、本実施例において、前記給湯回路45は、潜熱回収用の給湯熱交換器4と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の入水側に設けられた給水通路46と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の出水側に設けられた通路34と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出水側に設けられた給湯通路47とを有して形成されている。
給湯回路45は、給水通路46から導入されて潜熱回収用の給湯熱交換器4を通って加熱された液体の熱媒体である複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)に導入して加熱した後、その加熱した水を、給湯通路47を介して給湯先に導く回路である。給湯回路45において、給水通路46には、該給水通路46を通る水の水量を検出する流量検出手段としての水量センサ19が設けられており、通路34には給湯ハイリミットスイッチ36が設けられ、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の途中部には給湯水管サーミスタ151が設けられている。
また、給湯通路47には、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出側の温度を検出する熱交出側サーミスタ23と、給湯温度を検出する出湯サーミスタ24とが設けられている。なお、本実施例では、給湯用の入水温度を検出する入水温検出手段を設けずに入水温度を演算によって求める方式を適用しており(図示されていないが、給水温度を算出する給水温度検出手段を有しており)、例えば給湯バーナ装置2の安定燃焼時に燃焼量と水量と出湯温度から入水温度を逆算し、これを記憶するようにしている。演算によって給湯用の入水温度を求める方式の熱源装置については周知であるので、その説明は省略するが、適宜の方法により給湯用の入水温度を求めることができるものである。
給湯通路47には給湯回路45を通って給湯される給湯の総水量を可変調節するための水量サーボ20が設けられており、給湯通路47は、給湯バイパス通路22を介して給水通路46に接続され、該バイパス通路22の給水通路46との接続部にはバイパスサーボ21が設けられている。バイパスサーボ21は、給湯用の液体流通管路13からの出側の温度(熱交出側サーミスタ23で検出する例えば60℃)と、前記入水温度と、リモコン装置53に設定されている給湯設定温度とに基づいて演算されるバイパス比で制御されると共に、出湯サーミスタ24で検出される温度と給湯設定温度とを比較して、給湯温度が給湯設定温度となるように、さらに制御する。
前記暖房回路7は暖房用液体循環通路8を有し、暖房用液体循環通路8には、前記潜熱回収用の暖房用熱交換器6と、暖房用循環ポンプ(暖房用液体循環ポンプ)9と、シスターン10と、暖房高温サーミスタ40、暖房ハイリミットスイッチ77、暖房水管サーミスタ52、暖房低温サーミスタ41が設けられており、暖房用循環ポンプ9は、潜熱回収用の暖房用熱交換器6と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12とを通して液体の熱媒体(例えば水)を循環させる機能を備えている。
暖房用液体循環通路8は、通路(管路)59~65,108を有しており、通路108は、暖房回路7内の熱媒体(例えば水)を潜熱回収用の暖房用熱交換器6には通さずに循環させるための潜熱熱交バイパス通路として機能する。通路108には、低温能力切り替え弁118を備えた通路119が設けられており、通路108には、図のRの部分にオリフィスが設けられている。なお、通路119や低温能力切り替え弁118は場合によっては省略できる。
暖房高温サーミスタ40は、メインの暖房用熱交換器(メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12)の出側の熱媒体の温度を検出するものであり、暖房低温サーミスタ41は、メインの暖房用熱交換器の入側の熱媒体の温度を検出するものである。
シスターン10の容量は例えば1800ccであり、シスターン10には水位電極44とオーバーフロー通路66とが設けられている。シスターン10は、補給水電磁弁42と水補給用通路165を介して給水通路46に接続されている。
なお、暖房回路7には適宜の暖房装置が接続されるものである。この図では、暖房回路7には、暖房装置70,71が外部通路72,73,74を介して接続されており、暖房回路7は、暖房装置70,71への熱媒体の供給機能を有する。暖房装置70は例えば浴室乾燥機等の高温暖房装置であり、暖房装置70には熱動弁76が設けられている。一方、暖房装置71は温水マット等の低温暖房装置であり、暖房用液体循環通路8の器具ケース80内の通路と外部通路73との接続を選択的に切り替える熱動弁48が設けられて、暖房装置71への熱媒体の供給が制御される。
また、本実施例の熱源装置において、暖房回路7の暖房用液体循環通路8は、追い焚き用液-水熱交換器25を介して風呂の追い焚き循環通路26と熱的に接続されている。追い焚き循環通路26には、追い焚き循環ポンプ27と風呂サーミスタ28、流水スイッチ29、水位センサ30、風呂往きサーミスタ31が設けられており、追い焚き循環通路26は、循環金具81を介して浴槽75に接続されている。
また、追い焚き用液-水熱交換器25は、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33よりも分岐通路65における液体の流れの上流側に設けられており、追い焚き用液-水熱交換器25の入口側には、追い焚き用液体流量制御弁32が設けられている。追い焚き用液体流量制御弁32は、暖房回路7を循環する熱媒体(ここでは水)の、分岐通路65側への導入の有無と導入量の調整とを、弁の開閉および弁の開弁量により切り替える液体分岐可変手段として機能するものである。
追い焚き用液体流量制御弁32は、後述する分岐対応給湯側温度可変手段(図5の符号51)の制御によって制御され、前記熱媒体の分岐通路65側への導入の有無と導入量の調整とによって、追い焚き用液-水熱交換器25および給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33への前記熱媒体の導入の有無と導入量の調整とが行われる。また、追い焚き用液-水熱交換器25において、分岐通路65側から導入される熱媒体と追い焚き循環通路26を循環する水との熱交換が行われることによって浴槽湯水の追い焚きが行われ、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33において、分岐通路65側から熱媒体が導入されると、その熱媒体と給湯回路との熱交換が行われる。
なお、前記の如く、追い焚き用液体流量制御弁32を開いて追い焚き用液-水熱交換器25への水(温水)の導入を行いながら追い焚き循環ポンプ27を駆動することによって風呂の追い焚きが行われるが、追い焚き循環ポンプ27を停止していれば暖房回路7を通る熱媒体と追い焚き循環通路26内の水との熱交換は行われない(正確に言えば追い焚き循環通路26に滞留している水の一部は熱交換されるが殆ど熱交換は行われない)。
なお、図3の図中、符号49は注湯通路、符号50は注湯電磁弁、符号79は注湯量センサ、符号37はドレン回収手段、符号38はドレン通路、符号39はドレン中和器をそれぞれ示している。
また、図3にはリモコン装置が図示されていないが、熱源装置の制御装置にはリモコン装置が信号接続されており、以下の説明において、リモコン装置には、適宜、符号53を付して説明する。また、家庭等の住居において、給湯を行う台所や浴室には、給湯温度設定、追い焚きスイッチ、自動スイッチ(自動湯張りのための操作スイッチ)等の付いたリモコン装置53が設けられ、洗面所には浴室乾燥(暖房装置)を行うスイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられ、居間には床暖房(暖房装置)スイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられる等、異なる機能をもったリモコンが複数設けられることが多いが、それらを総称してリモコン装置53と称することとし、また、後述する図17を用いての説明においては、リモコン装置167,168,169と称して説明を行う。
本実施例において、給湯動作は例えば以下のようにして行われる。つまり、リモコン装置53の運転がオンの状態において、例えば熱源装置の利用者によって、給湯通路47の先端側に設けられている給湯栓(図示せず)が開かれると、給水通路46から導入される水が、潜熱回収用の給湯熱交換器4と複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)とを通って給湯通路47に導入され、水量センサ19が予め定められている給湯の作動流量に達するとバーナ装置2の燃焼制御および燃焼ファン15の回転制御等が制御手段によって適宜行われ、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成されて給湯先に供給される(通常、給湯設定温度と水量センサ19の検出流量と入水温度の検出手段による検出温度または入水温度推定手段による推定温度に基づいてフィードフォワード制御が行われる)。なお、必要に応じ、暖房用のバーナ装置5の燃焼も行われるが、この動作についての詳細説明は後述する。
また、リモコン装置53に設けられている自動スイッチがオンとなると、前記給湯動作時と同様にして、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成され、その湯が、注湯電磁弁50が開かれることにより、給湯通路47から注湯通路49を通して浴槽75への注湯による湯張りが行われる。
一方、給湯は行わずに、暖房用液体循環通路8から暖房装置70、71に暖房用の熱媒体(液体)を供給する際(例えば衣類乾燥機、浴室暖房乾燥機、床暖房等の運転による暖房単独運転時)には、暖房用循環ポンプ9の駆動によって、液体(ここでは温水)を循環させるものであり、暖房用循環ポンプ9の吐出側から吐出される液体が、図3の矢印Aに示されるように、通路59を通って複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12(メインの暖房用熱交換器)に導入される。このときには暖房用のバーナ装置5の燃焼および燃焼ファン15の回転制御等が適宜行われて液体の加熱が行われる。
複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12を通った液体は、その後、矢印Cに示されるように管路60を通り、分岐点を通り、例えば暖房用液体循環通路8に接続されている高温側の暖房装置70が作動する際には、矢印Dに示されるようにして、高温側の暖房装置に供給され、高温側の暖房装置70を通った後に、矢印D’に示されるように管路61側に戻って、矢印Fに示されるようにシスターン10に導入される。このとき、例えば浴室暖房乾燥機の暖房スイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する高温側の暖房装置70内の熱動弁76が開弁され、高温側の暖房装置10内の制御装置からの信号を受けて暖房用の熱媒体の往き温度は(例えば80℃といった)高温に維持される。
高温側の暖房装置70が作動していないときには、高温側の暖房装置70内の熱動弁76が閉弁され、矢印Dに示されるようにして通路60を通った液体は、矢印Hに示されるように潜熱熱交バイパス通路108を通り、シスターン10に導入され、矢印Gに示されるように通路64を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻る。
また、例えば浴室で追い焚きスイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する追い焚き用液体流量制御弁32が開状態となり、管路60を通った後に分岐された液体(熱媒体)は、矢印E’に示されるように、分岐通路65を通り、追い焚き用液-水熱交換器25と給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33とを順に通って管路61側に向かう。このように、高温に維持される液体を追い焚き用液-水熱交換器25に通しながら、追い焚き循環通路26において浴槽76の湯水を循環させることにより、風呂の追い焚きが適宜行われる。なお、管路61を通った液体は、前記の如く、管路62、シスターン10、管路64を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻ってくる。
なお、浴槽湯水にはレジオネラ菌や大腸菌が発生する可能性がある。しかしながら、本実施例では、浴槽水は追い焚き用液-水熱交換器25で暖房側の回路を通る湯水と絶縁され、さらに、給湯回路45を通る給湯用の湯水(市水)と暖房回路7を通る熱媒体(ここでは湯水)とは給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33によって絶縁されているため、浴槽湯水と給湯用の湯水とは給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33と追い焚き用液-水熱交換器25とで2重絶縁されている。しかも、暖房回路7を循環する熱媒体は60℃以上で循環させるように構成されていることから、万が一、追い焚き用液-水熱交換器25にピンホール等が空いて絶縁状態が維持できないといった状態が生じて浴槽湯水で発生した菌類が暖房回路7側に混入したとしても、熱殺菌されるので、菌類が給湯回路45側の湯水に混入するおそれはない。
また、暖房用循環ポンプ9の吐出側には、例えば温水マット等の低温側の暖房装置71に液体を供給するための通路63も接続されており、例えば居室にあるリモコン装置53で床暖房がONされると、それに対応する熱動弁48の開閉に応じて適宜の低温側暖房装置71(例えば温水マット等)に暖房用の(例えば往き温度60℃といった)低温に維持された液体が供給される。
なお、高温側の暖房装置70に液体を供給する際の温度制御と低温側の暖房装置71に液体を供給する際の温度制御、暖房用液体循環通路8の通路が冷えている状態で作動するコールドスタート時の温度制御、風呂の追い焚き時の制御等、必要に応じて暖房用のバーナ装置5の燃焼制御や燃焼ファン15の回転制御等の適宜の制御が行われる。暖房運転制御および浴槽75への湯張りと追い焚き制御の一例として、図17に示されるような制御構成を用いた制御例があり、以下に簡単に説明するが、本発明においては、この制御例をはじめとし、公知の適宜の制御方法および、今後提案される適宜の制御方法が適用されるものである。
図17に示す制御構成は、燃焼制御手段52を有する制御装置54が熱源装置のリモコン装置167,168,169に信号接続されて形成されている。同図において、リモコン装置167は風呂リモコン装置であり、リモコン装置168は、暖房装置(高温暖房装置)70のリモコン装置であり、リモコン装置169は、暖房装置(低温暖房装置)71のリモコン装置である。リモコン装置167には、風呂設定温度入力操作部163と追い焚きスイッチ160と風呂自動スイッチ164とが設けられ、リモコン装置168には暖房運転スイッチ161が、リモコン装置169には暖房運転スイッチ166がそれぞれ設けられている。
暖房運転スイッチ161,166は、対応する暖房装置70,71の運転のオンオフ動作指令を行うスイッチであり、暖房運転スイッチ161,166のオンオフ信号は、いずれも燃焼制御手段52に加えられる。なお、暖房運転スイッチ161がオンされると、暖房装置70の熱動弁76への通電が行われて所定時間(例えば1分)経過後に熱動弁76が開き(PTC( positive temperature coefficient;正特性)サーミスタを発熱させてサーモアクチュエータを動作させる)、暖房運転スイッチ161がオフされると、前記熱動弁76への通電が停止して所定時間(例えば20秒)経過後に熱動弁76が閉じる。また、暖房運転スイッチ166がオンされると、燃焼制御手段52により熱動弁48が開かれ、暖房運転スイッチ166がオフされると、燃焼制御手段52により熱動弁48が閉じられる。
燃焼制御手段52は、暖房運転スイッチ161のオン信号を受けて、バーナ5の燃焼制御(ガス電磁弁14の開弁、ガス比例弁18の開弁量制御等による燃焼量制御を含む)および燃焼ファン15の回転制御を行うと共に、暖房用循環ポンプ9を駆動させる。燃焼制御手段52は、高温暖房装置70の運転を行うときには80℃の液体を供給できるように(暖房高温サーミスタ40の検出温度が80℃となるようにFB;フィードバック制御して)バーナ5の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等を行って、暖房用熱交換器(メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12と潜熱回収用の暖房用熱交換器6)を加熱し、暖房用液体循環通路7を循環する液体を加熱する。加熱された液体は、メインの暖房用熱交換器から約80℃で導出され、図3の矢印Cに示すように管路60を通り、追い焚き用液体流量制御弁32の閉状態においては、図3の矢印Dに示すように、管路60,72を順に通って暖房装置70に供給される。
暖房装置70に供給された液体は、暖房装置70内の管路を通るときに放熱して、その温度が例えば60℃程度に下がった状態で、管路72、74を通り、図3の矢印D’に示すように、管路61を通って暖房用熱交換器6(潜熱熱交換器)に導入され、暖房用熱交換器6によって加温される。この加温された液体は図3の矢印Fに示すように管路62を通って導出されてシスターン装置10に導入され、シスターン装置10を通った後に、図3の矢印Gに示すように、管路64を通り、暖房用循環ポンプ9に導入される。その後、液体は、図3の矢印Aに示すように、管路59を通ってメインの暖房用熱交換器(顕熱熱交換器)(液体流通管路12)に導入され、メインの暖房用熱交換器によって加熱されて、前記と同様にして暖房用液体循環通路7を循環する。
なお、前記追い焚き用液体流量制御弁32が開いている状態(=追い焚き時。追い焚き高温暖房となる)においては、管路60を通った液体は、前記の如く、矢印Dに示したように暖房装置(高温暖房装置)70側に導入されてから管路61に導入される流れと、矢印E’に示すように、管路(分岐通路)65、追い焚き用液-水熱交換器25を通って、管路61に導入される流れとに分かれる。
また、高温暖房装置70の動作時に、燃焼制御手段52は、低温暖房装置71の運転を行うときには熱動弁48を開き、通常、60℃の液体を低温暖房装置71に供給できるようにする。なお、このときも、バーナ5の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等は、高温暖房装置70の運転時と同様であり、メインの暖房用熱交換器11からは暖房高温サーミスタ40の温度を参照して適宜の温度(例えば約80℃)の液体が導出される。そして、この液体は図3の矢印C、Dのように流れて、矢印Hのようなシスターン10側への流れと高温暖房装置70側とに別れ、シスターン10側に流れた液体がシスターン10で混合されて、管路64、暖房用循環ポンプ9、管路63を順に通って低温暖房装置71に供給される。
高温暖房装置70の動作時には、暖房用循環ポンプ9から吐出された液体が高温暖房装置70の管路を通るときに放熱することから、例えば60℃程度に下がっており、その液体がシスターン10に導入され、シスターン10で混合された液体が、熱動弁48の開状態において、図3の矢印に示すように管路73を通って低温暖房装置71に導入されることで、メインの暖房用熱交換器から直接的に液体が導入されるよりも液体の温度が低くなる。低温暖房装置71を通って放熱し、例えば40℃以下の低温となった液体は、管路74を通り、管路61に導入され、前記と同様に、暖房用液体循環通路7を循環する。
高温暖房装置70が動作していない時には、低温暖房装置71に導入される液体の温度調節は、暖房低温サーミスタ41の検出温度に基づき、燃焼制御手段52の制御によって行われるものである。つまり、低温暖房装置71の通常運転時には、暖房低温サーミスタ41の検出温度が例えば60℃になるようにして(FB;フィードバック制御して)管路73に送られる。なお、このとき、低温能力切り替え弁(熱動弁)118を開弁してメインの暖房用熱交換器からシスターン10に送る熱媒体量を増やすと同時にバーナ5の燃焼量の調節が行われ、管路73に送られる。
また、低温暖房装置71の運転開始直後には、これらの低温暖房装置71の内部通路や管路73内の液体が冷えている状態であり、このように液体を冷たい状態から加熱する場合のホットダッシュ運転(コールドスタート)では、例えば30分といった予め定められたホットダッシュ設定時間だけ、暖房高温サーミスタ40の検出温度が例えば80℃になるように低温能力切り替え弁(熱動弁)118を開弁してバーナ5の燃焼量を調節(制御)し、管路60に送られる。
なお、低温暖房装置71のみが運転されるときも、低温暖房装置71を通った液体は、低温暖房装置71の出側の管路73と管路74を通って管路61に導入される。
図17に示されている風呂設定温度入力操作部163は、浴槽湯水の温度を設定する操作部であり、浴槽湯水温度は、例えば40℃前後の適宜の値に設定される。設定された温度の情報は、燃焼制御手段52に加えられる。風呂自動スイッチ164は、浴槽75への自動湯張り、保温、保水動作のオンオフスイッチであり、風呂自動スイッチ164のオン信号は、いずれも燃焼制御手段52に加えられ、自動湯張り後、4時間保温と保水を行った後、自動的にオフとなる。また、追い焚きスイッチ160は、浴槽湯水の追い焚き単独動作のオンスイッチであり、追い焚きスイッチ160のオン信号は、燃焼制御手段52に加えられる。なお、燃焼制御手段52により追い焚き動作が終了すると、追い焚きスイッチ160は自動的にオフとなる。
燃焼制御手段52は、風呂自動スイッチ164のオン信号が加えられると、例えばバーナ2の燃焼によってメインの給湯熱交換器の液体流通管路13を通る水を加熱し、給湯通路47から注湯通路49を通して湯を浴槽75に注ぐ。この際、例えば図18に示すような、予めメモリ部4に与えられている浴槽の水位(P)と水量(Q)との関係データ(P-Qデータ)と、水位センサ30により検出される検出水位とに基づき、浴槽の設定水位まで注湯する。また、浴槽湯水循環ポンプ(追い焚き循環ポンプ)27を駆動して得られる風呂サーミスタ28により検出される浴槽湯水温が風呂設定温度よりも低いときには、前記のようなバーナ5の燃焼や暖房用循環ポンプ9の駆動を行いながら、風呂設定温度となるように、追い焚き用液体流量制御弁32を開、浴槽湯水循環ポンプ27をオンとして、浴槽湯水の追い焚き動作を行う。なお、燃焼制御手段52は、追い焚きスイッチ160のオン信号が加えられたときも、風呂サーミスタ28により検出される浴槽湯水温が風呂設定温度となるように、浴槽湯水の追い焚き動作を行う。
図5には、本実施例の熱源装置の制御構成がブロック図により示されており、同図に示されるように、熱源装置の制御装置54は、分岐対応給湯側温度可変手段51、燃焼制御手段52、ポンプ駆動制御手段55を有している。また、制御装置54は、リモコン装置53と、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、熱交換後水温検出手段133、追い焚き用液体流量制御弁32、ガス電磁弁14,17、ガス比例弁18、燃焼ファン15、暖房用循環ポンプ9、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41、熱交出側サーミスタ23に信号接続されている。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、追い焚き用液体流量制御弁32を制御することにより、分岐通路65側に分岐する液体の有無と流量の少なくとも一方を可変し、それにより、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側に与える熱量を可変することにより該給湯回路45側を流れる水の温度を可変する。なお、分岐対応給湯側温度可変手段51は、浴槽湯水の追い焚き時に、追い焚き循環ポンプ27を動かすと共に、追い焚き用液体流量制御弁32を開いて追い焚き終了後には追い焚き用液体流量制御弁32を閉じる制御も行う。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、給湯回路45側を流れる水の温度を高めるときには、追い焚き循環ポンプ27を動かすことなく、メインの暖房用熱交換器を通った液体を分岐通路65側に通すようにするか通す液体流量を多くするように、追い焚き用液体流量制御弁32の制御を行う。一方、給湯回路45側を流れる水の温度を高くする必要がないときにはメインの暖房用熱交換器11を通った液体を分岐通路65側に通さないか通す熱媒体流量を少なくするように追い焚き用液体流量制御弁32の制御を行う。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、熱交換後水温検出手段133により検出される熱交換後水温の検出温度と、水量センサ19の検出流量と、前記給水温度検出手段の検出温度とに基づいて、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33の熱交換能力を推定する熱交換能力推定手段を有している(図示せず)。そして、該熱交換能力推定手段により推定される熱交換能力に基づいて、例えば給湯回路45側を流れる水の温度を高くするための追い焚き用液体流量制御弁32の開弁量調節等、追い焚き用液体流量制御弁32の開閉や開弁量の制御を行う。
具体的には、例えば熱交換能力推定手段は、熱交換後水温検出手段133により検出される熱交換後水温の検出温度がTout、水量センサ19の検出流量と給湯回路45におけるバイパス比により求められる給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を通る水の流量がQ、前記給水温度検出手段の検出温度がTinであった場合、給水温度が潜熱回収用の給湯熱交換器4によって加温される温度ΔT(例えば1~2℃の範囲内の予め与えられる温度)に基づき、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33の熱交換能力を、{Tout-(Tin+ΔT)}Qの式により求め、この値に基づき、分岐対応給湯側温度可変手段51によって追い焚き用液体流量制御弁32の開弁量の制御を行う。
なお、暖房回路7の熱媒体(温水)を分岐通路65側に流す際に、浴槽湯水の追い焚きが行われると、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側に与える熱量が小さくなってしまうが、そのようなタイミングになることは多くはなく、追い焚き循環回路26における水の循環動作を停止したまま熱媒体を分岐通路65側に流すようにしており、このようにすることによって、暖房回路7の熱媒体から追い焚き循環回路26側に熱を殆ど移動させることなく暖房回路7の熱媒体の熱を給湯側に伝えて給湯能力の補充を行うことができる。
燃焼制御手段52は、リモコン装置53の信号(指令や設定温度の値等)に基づき、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、熱交出側サーミスタ23、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41等の検出信号を参照し、ガス電磁弁14,17の開閉制御とガス比例弁18の開弁量制御とを行って、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ5の燃焼制御を行うものである。また、燃焼制御手段52は、これらのバーナ装置2,5の燃焼時には燃焼ファン15を駆動させ、例えばその回転数をバーナ装置2,5の燃焼量に対応させる等して適宜の制御を行う。なお、その詳細は前述の記載の通りである。
本実施例では、給湯運転のみを行う給湯単独運転時と、暖房運転のみを行う暖房単独運転時と、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転とにおいて、それぞれ、各運転に対応させて、対応する給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)、暖房用のバーナ装置5の燃焼を切り替える構成を有している。つまり、燃焼制御手段52が、給湯用の複数のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置5のそれぞれに対応させてガス開閉弁17,14の開閉制御を行うと共に、ガス比例弁18の制御によって行われる全てのバーナ装置2,5へのガス供給割合を一律に制御することによって、給湯単独運転と暖房単独運転と給湯と暖房の同時運転とを適宜行うようにしている。
本実施例において、燃焼制御手段52は、要求される給湯能力に対応させて、複数の給湯用のバーナ装置2a,2b,2cのうちの燃焼バーナ個数であるバーナ段数を予め定められたバーナ段数可変プログラムに従って制御するバーナ段数制御を行う。この制御は、前記要求給湯能力が大きくなるにつれてバーナ段数を大きくし、前記要求給湯能力が小さくなるにつれて前記バーナ段数を小さくする制御と、同じバーナ段数において、前記要求給湯能力に対応させて、該要求給湯能力が大きくなるにつれてガス比例弁18の開度を大きくし、前記要求給湯能力が小さくなるにつれてガス比例弁18の開度を小さくする比例弁開度制御を行う。
燃焼制御手段52によって行われる給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の燃焼制御は、図2に示したような給湯用のそれぞれのバーナ装置2a,2b,2cを形成する複数本ずつのバーナ107によって区分された燃焼面(区分燃焼面A,B.C)を、給湯用のバーナ装置2に要求される燃焼能力が一段アップする毎に予め定められた順番で選択的に順次追加燃焼させるものである。
例えば給湯単独運転におけるバーナ燃焼においては、表1の切り替え段数(1)の蘭に示されているように、最初に燃焼させる燃焼面は給湯用のバーナ装置2aの3本のバーナ107の燃焼面である。なお、表1の切替段数はバーナ装置2,5の切り替え段数であり、バーナ段数である。また、表1においては、図2に示されるように、給湯用のバーナ装置2aの燃焼面をA、給湯用のバーナ装置2bの燃焼面をB、給湯用のバーナ装置2cの燃焼面をC、暖房用のバーナ装置5の燃焼面をDと示している。
給湯用のバーナ装置2aのみの燃焼により得られる給湯特性(出湯特性)は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じて、図7の特性線a1と特性線a2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、給湯用のバーナ装置2aのみを燃焼させる場合でも、ガス比例弁18の開弁量に応じて給湯特性が異なる態様となり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図7の特性線a1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図7の特性線a2側に近づき、最大開度のときに特性線a2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力が一段アップすると、バーナ装置2aの3本のバーナ107の燃焼面に加えてバーナ装置2bの5本のバーナ107の、合計8本のバーナ107の燃焼面の燃焼を行う(表1の切替段数(2)を参照)。バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図7の特性線b1と特性線b2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図7の特性線b1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図7の特性線b2側に近づき、最大開度のときに特性線b2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力がさらに一段アップすると、バーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面とバーナ装置2bの3本のバーナ107とバーナ装置2cの7本のバーナ107の合計12本のバーナ107の燃焼面燃焼面の燃焼を行う(表1の切替段数(3)、を参照)。これらのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図7の特性線c1と特性線c2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図7の特性線c1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図7の特性線c2側に近づき、最大開度のときに特性線c2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
さらに、燃焼制御手段52は、給湯単独運転時に、給湯要求能力に対応する燃焼能力が前記水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)以上となったときには給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)に加えて二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5を燃焼させる(表1の切替段数(4)を参照)。また、このとき、燃焼制御手段52は、ポンプ駆動制御手段55に指令を加えて暖房用循環ポンプ9を駆動させる。
給湯用のバーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図7の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、バーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図7の特性線d1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図7の特性線d2側に近づき、最大開度のときに特性線d2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18を制御する。
また、給湯単独運転時であっても、暖房用のバーナ装置5の燃焼を行う時には液体循環ポンプ9を駆動させて暖房回路7内の熱媒体(温水)を循環させ、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を介して暖房回路7側の熱を給湯側に吸熱させて回収することにより、図7の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができるものである。
つまり、本実施例では、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の全ての燃焼面を燃焼させ、ガス比例弁18の開弁量制御を行うことに加え、暖房回路7の熱媒体を循環させ、このとき、分岐対応給湯側温度可変手段51が追い焚き用液体流量制御弁32を適宜開き、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側へ熱を移動させることにより、図7の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができる。
燃焼制御手段52は、暖房単独運転時には、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が予め定められる暖房制御切り替え基準能力(例えば7.3kw)未満の時には、二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5の4本のバーナ109をオンオフ制御し(予め定められるオンオフタイミング毎にオンとオフとを繰り返すオンオフ燃焼(間欠燃焼)を行い)、このとき、ガス比例弁18の開弁量を最小とする。
一方、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が前記暖房制御切り替え基準能力以上の時には、暖房用のバーナ装置5の4本のバーナ109の燃焼を継続して行い、このときには、前記必要燃焼能力に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、本実施例において、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時には、以下に述べるような制御が行われるものである。つまり、本実施例では、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時においては、給湯単独運転時とは異なるバーナ段数可変プログラムが設定されていて、燃焼制御手段52がそのバーナ段数可変プログラムに従ったバーナ燃焼制御を行うが、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時に予め定められた暖房不足判断条件に達した時には、前記バーナ段数可変プログラムに設定されているバーナ段数よりも1段以上バーナ段数を小さくしてガス比例弁18の開度を大きくする制御を行う。なお、その詳細については図12~図16等を用いて後述する。
前記バーナ段数可変プログラムに設定されているバーナ段数とバーナ燃焼面およびバーナ燃焼本数との関係は、例えば表2に示されるものである。表1と同様に、表2における燃焼面Aは給湯用のバーナ装置2aの燃焼面、燃焼面Bは給湯用のバーナ装置2bの燃焼面、燃焼面Cは給湯用のバーナ装置2cの燃焼面は、燃焼面Dは暖房用のバーナ装置5の燃焼面を示す。
図11には、この給湯と暖房の同時運転時におけるバーナ段数制御方法と給湯号数との関連が簡略化して示されている。なお、図11および後述する図1において、特性線Saはバーナ段数1段、特性線Sbはバーナ段数2段、特性線Scはバーナ段数3段、特性線Sdはバーナ段数4段におけるバーナ燃焼本数と要求される給湯能力(給湯号数)の関係を示している。これらの特性線Sa~Sdは、いずれも、給湯用の液体流通管路13からの出側の温度が60℃で、暖房用の液体流通管路12の出側温度(高温サーミスタ40により検出される熱媒体温度)が60℃の場合について示されている
また、図11および後述する図1において、範囲Rabが特性線Saと特性線Sbとがオーバーラップしている範囲を示しており、範囲Rbcが特性線Sbと特性線Scとがオーバーラップしている範囲を示しており、範囲Rcdが特性線Scと特性線Sdとがオーバーラップしている範囲を示している。
ところで、燃焼装置において、熱効率を向上させることは重要な点の一つであり、熱効率はバーナ段数と関係がある。本実施例において、給湯単独運転時と給湯と暖房の同時運転時におけるバーナ段数の切り替えは、いずれも4段となっており、例えば給湯単独A面燃焼の場合(給湯バーナ装置2aのみの燃焼時)には、他のバーナ装置(給湯用のバーナ装置2b、2cおよび暖房用のバーナ装置5)の燃焼面BCD面では燃焼が行われておらず、空気のみが流れ、A面に対応する熱交換部で湯が作られても、BCD面に対応する熱交換部で空冷されることになる。このような結果、熱効率はABCD面の全面燃焼が最も高く、A面のみの燃焼が最も低くなる。
また、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時には、バーナ段数制御は表2に示したように、1段目は暖房バーナ装置5の燃焼面Dのみ燃焼、2段目は暖房バーナ装置5の燃焼面Dと給湯バーナ装置2aの燃焼面Aの燃焼、3段目は暖房バーナ装置5の燃焼面Dと給湯バーナ装置2a,2bの燃焼面A、Bの燃焼、4段目はABCD面の全面燃焼になるため、熱効率は4段目のABCD面の全面燃焼が最も高く、1段目のD面のみの燃焼が最も低くなる。
なお、ガス比例弁18の開度と火炎の大きさとは相関性があり、ガス比例弁18の開度が小さいとバーナで作られる火炎が小さく、ガス比例弁18の開度が大きいと火炎は大きくなる。さらに、ガス比例弁18の開度が同じであっても燃焼ファン15からバーナ装置に送られる送風量が少ないと(例えば適正値下限に近いと)火炎は大きく、送風量が多いと(例えば適正値上限に近いと)火炎は小さくなる。
そして、燃焼装置1を小さくするために、ガス比例弁18の開度が大きい場合には送風量を多くし(例えば適正値上限又はその近傍とし)、火炎を小さくすることで燃焼室高さを低く設定することが行われている。ガス比例弁18の開度が小さい場合には送風量を少なくし(例えば適正値下限又はその近傍とし)、空気の総量を減らすことで燃焼装置から持ち出される熱量を少なくして熱効率を上げている。
以上のことから、前記給湯と暖房の同時運転時においては、バーナ燃焼面切り替えと熱効率との関係について述べると、熱効率はABCD面の全面燃焼であってガス比例弁の開度が小さい場合が最も高く、D面のみの燃焼であってガス比例弁18の開度が大きい場合が最も熱効率が低くなる。したがって、給湯能力が同じ能力を出せる状況で燃焼面の切り替えが可能ならば、少しでも燃焼面を増やす方が熱効率が高くなるので、通常は、燃焼面が多い方(バーナ段数の大きい方)が選択される。この状況は給湯単能器であっても、一缶二水路型の熱交換器を用いた熱源装置で同じである。
そのため、例えば以下に述べるような制御が行われる。例えば図11(a)の特性線Saに示されるように、給湯と暖房の同時運転時において、要求される給湯能力が2.5号~6.25号の時には暖房用のバーナ装置5のみ(4本のバーナ)の燃焼でも要求される給湯能力を出すことができるが、特性線Saと特性線Sbとがオーバーラップする4.5号~6.25号の領域(範囲Rab)においては、特性線Sbにしたがった燃焼制御として暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2a(7本のバーナ)の燃焼でもよい。なお、オーバーラップはハンチングのために設けられる。
そこで、例えば要求される給湯号数が5号以上となったらバーナ段数を1段上げて特性線Sbにしたがった燃焼制御に切り替え、それと共に、ガス比例弁18の開度を小さく(例えば最小にして)、暖房用のバーナ装置5(4本のバーナの燃焼面D)と給湯用のバーナ装置2a(3本のバーナの燃焼面A)を燃焼させ(合計7本のバーナ装置の燃焼が行われ)、熱効率が高めとなるような燃焼制御が行われる。なお、特性線Sbは4.5号以上となっているが、周知の如く、制御特性線にはヒステリシスが設けられており、バーナ段数を上げる場合は例えば要求される給湯号数が5号以上となったときに特性線Sbに従うようにする。
さらに要求される能力が大きくなれば、その能力に対応させて、要求される能力が大きくなるにつれてガス比例弁18の開度を大きくする。そして、前記と同様に、特性線Sbと特性線Scとがオーバーラップする領域(8.125号~11号)(範囲Rbc)においても、同様に、特性線Sbにしたがった燃焼制御としてもよいし、特性線Scにしたがった燃焼制御でもよいので、前記と同様に熱効率を高めとするために、例えば要求される能力が約8.625号になったらバーナ段数を1段上げる(特性線Scに対応させて給湯用のバーナ装置2bの燃焼面Bも燃焼させて合計12本のバーナ装置を燃焼させる)。
また、特性線Scと特性線Sdとがオーバーラップする領域(10.875号~18.75号)(範囲Rcd)においては特性線Scにしたがった燃焼制御としてもよいし、特性線Sdにしたがった燃焼制御でもよいので、前記と同様に熱効率を高めとするために、例えば要求される能力が約11.375号になったらバーナ段数を1段上げる(特性線Sdに対応させて給湯用のバーナ装置2a~2cの燃焼面A~Cと暖房用のバーナ装置5の燃焼面Dを燃焼させて合計16本のバーナ装置を燃焼させる)、といった動作を行うようにする。
このように、要求される能力が大きくなるにつれて、ガス比例弁18の開度を大きくする制御とバーナ段数を順次大きく(高く)する制御とを行っていくが、図11の特性線Sa~Sd同士がオーバーラップしている領域(範囲Rab、範囲Rb、範囲Rcd)においては、なるべく1つ上のバーナ段数に対応する特性線にしたがった制御としてガス比例弁18の開度を小さくするような制御が行われる。
一方、要求される能力が小さくなったときには、通常は、以下のような制御を行う。つまり、図11(b)の特性線Sdに示されるように、要求される能力が24号~約10.875号の時には、暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2a,2b,2cを燃焼させ(合計16本のバーナ装置の燃焼面A,B,C,Dの燃焼が行われ)、能力に対応させて、要求される能力が小さくなるにつれてガス比例弁18の開度を小さくする。そして、要求される能力が約10.875号になったらバーナ段数を1段下げ(特性線Scにしたがう制御とし)、それと共に特性線Scに対応させてガス比例弁18の開度を制御して、暖房用のバーナ装置5の燃焼面Dと給湯用のバーナ装置2a,2bの燃焼面A,Bを燃焼させる。
さらに要求される能力が小さくなったらガス比例弁18の開度を小さくし、要求される能力が約8.125号になったらバーナ段数を1段下げ(特性線Sbに従う制御とし)、それと共に特性線Sbに対応させてガス比例弁18の開度を制御して、暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2aを燃焼させる。さらに要求される能力が小さくなったらガス比例弁18の開度を小さくし、要求される能力が約4.5号になったらバーナ段数を1段下げ(特性線Saにしたがう制御とし)、それと共に特性線Saに対応させてガス比例弁18の開度を制御して、暖房用のバーナ装置5bのみを燃焼させる。
つまり、要求される能力が小さくなるにつれて、ガス比例弁18の開度を小さくする制御とバーナ段数を順次小さく(低く)する制御とを行っていき、図11の特性線Sa~Sd同士がオーバーラップしている領域(範囲Rab、範囲Rb、範囲Rcd)において、なるべく1つ上のバーナ段数に対応する特性線にしたがった制御とする(つまり、ぎりぎりまでバーナ段数を小さくしない)ような制御が行われる。
ところで、本実施例においては、前記の如く、暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13とが上下方向に互いに接する態様で隣接した二種管路配設部112を有しており、本実施例の燃焼装置においては、この二種管路配設部112における熱の分配比について考慮してバーナ燃焼制御を行う必要がある。二種管路配設部112では、給湯と暖房の同時運転時において、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が吸熱する量によっては給湯能力が低下する可能性があるからである。
換言すると、暖房用の液体流通管路12内の熱媒体の温度が給湯用の液体流通管路13内の熱媒体の温度に比して極めて低い場合には、暖房用の液体流通管路12が吸熱する量が多くなり、給湯用である液体流通管路13側の吸熱量が低下することから、給湯能力が低下する。このように、暖房用の液体流通管路12が吸熱する割合と給湯用の液体流通管路13が吸熱する割合(分配比)は2者の温度差によって決まる。そこで、本実施例の燃焼装置におけるバーナ燃焼制御においては、実際には、例えば図12に示されるような制御特性にしたがった燃焼制御が行われる。
図12において、特性線a~dには、給湯暖房同時運転時のガス比例弁18(比例弁)の開度と給湯能力を示す給湯号数との関係に応じた制御用の特性線の一例が模式的に示されている。図12および後述する図13~図16において、特性線a~dは、いずれも給湯用の液体流通管路13からの出側の温度が60℃である場合の特性線を示している。なお、ガス比例弁18の開度と燃焼ファン15の回転数とは例えば略比例するものであり、また、給湯号数の最低値は2.5号であるため、図12~図16において、2.5号未満の特性線は想像線である(実際には存在しないが、1段目の特性線b~dの延長線を細線により示している)。
特性線a~dの違いは、暖房用の液体流通管路12内の熱媒体の温度の違いに基づくものであり、同図に示されている暖房側の温度は、暖房用の液体流通管路12の出側の熱媒体温度を示すものである(この温度は液体流通管路12への入側の温度にも対応するものである)。具体的には、暖房側の温度は、特性線aにおいては、暖房用の液体流通管路12から出た温度(暖房高温サーミスタ40により検出される熱媒体温度)が60℃の場合を示しており、この熱媒体の温度が特性線bは55℃の場合、特性線cは50℃の場合、特性線dは45℃の場合をそれぞれ示している。
なお、給湯暖房同時運転時には、給湯温度を優先して制御するようにしており、暖房往き温度(暖房高温サーミスタ40により検出される熱媒体温度)を監視してバーナ燃焼制御を行っているのではないので(暖房側は温度制御を行わずになりゆきの温度となるので)、暖房戻り温度が何度になるかは定かではなく、暖房高温サーミスタ40の検出温度も定かではない。そのため、図12~図16においては、特性線a~dまでの4本の特性線を制御特性線として与える例を示しているが、給湯暖房同時運転時のガス比例弁18(比例弁)の開度と給湯能力を示す給湯号数との関係は無限にあり、暖房往き温度しだいで常に変わってくるものであり、その関係に合わせた制御を行うようにしてもよい。
これらの特性線a~dのような制御用の特性線に対応させて、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)および暖房用のバーナ装置5の燃焼制御が行われ、その際、例えば暖房高温サーミスタ40の検出温度が60℃の場合は、同図の矢印Aに示されるように、燃焼開始後、バーナ段数1段目でガス比例弁18の開度を徐々に大きくしていって特性線a上の給湯能力が設定号数(この例では5号)に達したら、その号数が維持できるように、給湯流量に対応させてガス比例弁18の開度が制御される(矢印Bに示すように推移させ、バーナ段数を1段上げて2段目とし、ガス比例弁18の開度を調整する)。
その後、給湯の要求熱量が高くなると、矢印Cに示されるように、1つ上のバーナ段数(ここでは2段目)の制御特性線にしたがい、ガス比例弁18の開度を徐々に大きくしていく。なお、例えば2段目から1段目へバーナ段数が下げられたときには、例えば1段目において5号より小さい号数(ここでは4.5号)の領域で制御が行われるといったように、前記ヒステリシスが設けられている。また、暖房高温サーミスタ40の検出温度が55℃の場合は特性線bに従い、暖房高温サーミスタ40の検出温度が50℃の場合は特性線cに、暖房高温サーミスタ40の検出温度が45℃の場合は特性線dにしたがって同様に制御が行われる。
また、本実施例では、このような特性線a~dに基づき、前記の如く、燃焼制御手段52が、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時に、予め定められた暖房不足判断条件に達した時には前記バーナ段数可変プログラムに設定されているバーナ段数よりも1段以上バーナ段数を小さくしてガス比例弁18の開度を大きくする制御を行うものであり、例えば図13、図14に示されるような燃焼面切り替え制御が行われる。なお、図13には下から2段目と3段目間の切り替え制御例が示され、図14には下から3段目と4段目間の切り替え制御例が示されており、いずれも、特性線aの4段目と、制御例を分かりやすくするための線(制御の推移を示す線)を太線により示している。
例えば図13、図14において、給湯用の液体流通管路13が60℃出湯している場合(例えば熱交換器出口温度60℃、給湯バイパス通路22を介して給水を混ぜてリモコン装置の給湯設定温度である42℃出湯時)で、暖房用の液体流通管路12の出側の温度(暖房高温サーミスタ40の検出温度)が60℃の場合に、特性線aのA点(図13においてはバーナ段数2段目、図14においてはバーナ段数3段目におけるガス比例弁18の開度が小さいところ)で給湯しているとする。なお、周知の如く、給湯の出湯温度が同じでも給湯流量が大きい場合には大きい給湯能力(給湯号数)となり、給湯流量が小さい場合には小さい給湯能力(給湯号数)となるため、例えば給湯流量によって、図13、図14のような異なる制御例となる。
図13、図14において、特性線aのA点で給湯が行われている状態のときに、利用者が蛇口開度を変更して、湯を多く出そうとすると、燃焼能力を大きくして対応させるためにガス比例弁18の開度を大きくしていき、特性線aに添ってB点に至るようにシフトさせるが、給湯能力が同じ能力を出せる状況で燃焼面の切り替えが可能ならば、少しでも燃焼面を増やした方が熱効率が高くなるので、燃焼面が多い方(バーナ段数(バーナの切り替え段数)の大きい方)に制御を変更し、1つ上のバーナ段数にシフトできるように準備する方がよいため、図13、図14において、それぞれD点に移動して待機する(D点は給湯要求号数(号)によって決まる(図中縦軸が決まる)。
つまり、図13においては、表2のバーナ段数の3にしたがって対応するバーナ装置2bのガス電磁弁17を開弁すると共に、ガス比例弁18の開度を小さくし、図14においては、表2のバーナ段数の4にしたがって対応するバーナ装置2cのガス電磁弁17を開弁すると共に、ガス比例弁18の開度を小さくする。なお、図13、図14において、いずれも、C点の方向に制御を行うと、バーナ燃焼面切り替えと熱効率との関係について前述した説明のように熱効率が悪くなるため、C点の方向への制御を行わない。
しかしながら、暖房用の液体流通管路12への熱の供給量はガス比例弁18の開度に対応するので、例えばガス比例弁18の開度が例えば20%以下のように小さい場合には、暖房用の液体流通管路12への熱の供給量が少ない(暖房能力は、給湯側のガス電磁弁17の開閉とは無関係で、ガス比例弁18の開度が大きいほど暖房用の液体流通管路12への熱の供給量が多くなり、ガス比例弁18の開度が少ないほど暖房能力を十分に発揮しにくい領域となる)。そして、このように暖房用の液体流通管路12への熱の供給量が少ない状況では、暖房負荷のごく僅かな変動、例えばごく僅かな増大であっても、その影響は、暖房用の液体流通管路12の出湯温度低下としてすぐに表れる。換言すると、ガス比例弁18の開度が小さい場合には、特性線b等への遷移が起きやすい。
そのため、例えば前記D点で待機しているときに、例えば暖房高温サーミスタ40の検出温度が55℃になるといったように、暖房負荷の変動がある場合があり、そのような場合には、二種管路配設部112の暖房用の液体流通管路12に導入される湯水の温度が低いことによって暖房用の液体流通管路12側への吸熱量が増え、給湯用の液体流通管路13の吸熱量が減る。そうなると、給湯の出湯温度が下がるので、特性線bにしたがった制御に対応するようにガス比例弁18の開度を調整してD’点としてガス比例弁18の開度を増大し、給湯用の液体流通管路13の吸熱量を増やして出湯温度・出湯量を維持する制御が行われる。なお、このように、D’点は例えば暖房用の液体流通管路12の入水温度によって決まる(ガス比例弁18の開度を示す図中横軸が決まる)。
また、このような状態でさらに例えば暖房高温サーミスタ40の検出温度が50℃のように下がる場合があり、その場合には、ガス比例弁18の開度を増大して特性線c上で前記D’点と同じ給湯号数となるようなD”点で待機するが、暖房高温サーミスタ40が50℃以下を例えば10秒以上継続した場合には、前記暖房不足判断条件が満たされたと判断する(つまり、本実施例において、前記暖房不足判断条件は、暖房運転中に前記メインの暖房用熱交換器の出側の熱媒体の温度が予め定められた設定温度(例えば50℃)以下の状態が予め定められた設定時間(10秒)以上継続した時としている)。
そして、高温サーミスタ40が50℃以下を継続し(例えば45℃程度の場合)、前記D’点と同じ給湯号数となるような特性線d上のDd点からバーナ段数を例えば1段小さくしてA’点とし(ここで一時的に給湯能力が急激に下がるが)、その後、または同時に、給湯能力を元の号数に維持できるようにガス比例弁18の開度を大きくする制御を行なって特性線d上におけるB’点(図13ではガス比例弁18の開度90%の点)とすることで、給湯出湯温度・出湯量(給湯能力)を維持する。
このようにしてガス比例弁18の開度を大きくすると暖房用の液体流通管路12の吸熱量が増大し、やがて暖房循環水の温度が上昇し(熱交換器への暖房入水温度が上昇し)、暖房高温サーミスタ40の検出温度が、例えば55℃のようになり、50℃以下を継続しないようにできる(なお、暖房循環水の温度が上昇してきたら、B’点からC’点方向に比例弁開度を調整する)。
なお、ガス比例弁18の開度には使用上限が定められており、本実施例では、その使用上限を90%としている。その理由は、以下に述べるとおりである。つまり、例えば商用電源の供給源として、例えば東京電力から100Vの電力供給があるとされている場合に、実際には110V供給されることがあり(供給電力の制御に幅があるため、基準値である100Vを基準として多少前後するものであり)、ガス比例弁18の駆動が、例えば商用電源を用いている場合に設定開度を90%としてこの開度に合わせる制御を行った場合、110Vの電力が供給されると実際にはガス比例弁18の開度が99%となってしまうことになる。
そして、ガス比例弁18の設定開度を90%よりも大きく設定した場合に110Vの電力が供給されるとガス比例弁18の開度が100%を超えてしまい、ガス比例弁18が破損するといった恐れがあり、そのような事態を防ぐために、本実施例ではガス比例弁18の開度の使用上限を90%としている。このように、例えば電力会社から要求される電力の幅に応じてガス比例弁18の開度の使用上限が設定される。なお、ガス比例弁18の駆動を、例えば商用電源を直流安定化電源を通して、DC駆動している場合であっても、ガス比例弁18の限界能力いっぱいで使うことは好ましいとは言えない。
図15には、本実施例における別の制御例が示されており、この例は、D点(図13のD点と同じ)から給湯要求号数が大きくなる方に変動し、特性線a上を右上側に移動するようにして(比例弁18開度を上げて)D’に移動したときの制御例を示している。また、この例では、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時に、追い焚き用液-水熱交換器25による浴槽湯水の追い焚きも行われたことが想定されている。なお、追い焚き用液-水熱交換器25もまた高温暖房装置ということもでき(高温暖房負荷が生じるという点で高温暖房装置と同等であり)、風呂の追い焚きが行われている時にも、暖房用の液体流通管路12内の熱媒体の温度が下がる場合ある。
図15のD’点でバーナ燃焼制御が行われているときに、浴槽湯水の追い焚きが行われて例えば暖房高温サーミスタ40の検出温度が50℃に下がり、さらに、その50℃以下の状態が例えば10秒以上継続して例えば45℃程度であった場合には、図13で示した制御例と同様に、前記D’点、D”点と同じ給湯号数となるような特性線d上のDd点からバーナ段数を例えば1段小さくしてA’点とし、その後、または同時に、給湯能力を元の号数に維持できるようにガス比例弁18の開度を大きくする制御を行なって特性線d上におけるB’点(ガス比例弁18の開度90%の点)とする制御を行うことができる。
ただし、このB’点への移動では給湯の出湯温度が低下してしまう不具合が発生する場合がある。つまり、出湯温度が低下しないようにするためには、前記Dd点と同じ給湯号数となるような特性線d上の点とする必要があり、その点は、点B’点よりもガス比例弁18の開度が大きい点となるが、この点は図15には図示できない点である。つまり、前記の如く、ガス比例弁18の開度には使用上限があり、安全上、その使用上限より大きい開度にはできないため、バーナ段数2段目の特性線d上において、ガス比例弁18の開度が上限値である90%の点B’までしかガス比例弁18を開くことはできず(それ以上ガス比例弁18を開く制御は行えず)、その結果、出湯温度の低下を免れない場合がある。
そこで、このような出湯温度低下の不都合を防ぐために、追い焚き循環ポンプ27の回転数を変え(回転数を落とし)、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33と追い焚き用液-水熱交換器25との熱の分配比を変えることで(浴槽湯水側への熱移動量を小さくすることで)、バーナ段数2段目の制御特性線cと特性線dの中間のB”点に移動するような態様をとって暖房用の液体流通管路12の温度を上げれば出湯温度を回復させることができるようになる。つまり、給湯回路7の分岐通路65を通る湯水から追い焚き用液-水熱交換器25側に移動する熱量(追い焚き側に奪われる熱量)を小さくして給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33を通る湯水の温度を高めとすれば、その分だけ給湯側に熱を多く伝えられて温度を上昇させることができる。
しかしながら、一度、給湯の出湯温度が低下した後に、前記のように追い焚き循環ポンプ27の回転数を落として、給湯暖房熱的接続用液-水熱交換器33と追い焚き用液-水熱交換器25との熱の分配比を変える方法をとると、熱の分配比が変わるまでに時間を要する為に(A’点からB”点に移動できないので)、一時的に出湯温度が低下するという不具合が発生することになるため、図16に示されるような制御方法を用いると、このような不具合を防ぐことができる。
つまり、図15において点A’からB’点に移動すると、ガス比例弁18の使用上限である90%を超えると予想される場合には、図16に示されるように、点A’に移動する前に、追い焚き循環ポンプ27の回転数を落とし、前記分配比を変え、事前に暖房循環水の温度を上げ(例えば45℃から48℃に上げ)ることにより、制御特性線自体を特性線dから変え、B’点のある制御特性線dではなくB”点のある制御特性線とし(特性線cと特性線dの中間の制御特性線)とし、バーナ段数を減らすと同時にB”点に移動(A’点、B’点を通さずにA”を通してB”へ移動)させることで、一時的な出湯温度の低下をもたらさずに、暖房用の液体流通管路12の温度を上げるようにすることができる。本実施例では、このような制御を適用しており、このような制御方法が好ましい。
この場合も、暖房用の液体流通管路12の吸熱量が増大して暖房循環水の温度が上昇し(熱交換器への暖房入水温度が上昇し)、暖房高温サーミスタ40の検出温度が、例えば55℃のようになり、50℃以下を継続しないようにできる(なお、暖房循環水の温度が上昇してきたら、B”点からC’点方向に比例弁開度を調整する)。
なお、図15、図16において追い焚き循環ポンプ27の回転数を落とす制御を行った後、暖房用の液体流通管路12の温度が上昇(回復)してきたら、回転数を落としていた追い焚き循環ポンプ27の回転数を元に戻すようにしてもよい。
以上のように、本実施例の特徴的な制御は、給湯と暖房の同時運転時において要求される給湯号数(給湯能力)が図1の範囲Rab、範囲Rbc、範囲Rcdのいずれかの範囲であれば、必要に応じて1段以上バーナ段数を小さくしてガス比例弁18の開度を大きくする制御を行うこと、給湯の要求量(給湯能力)を維持したまま、暖房用の液体流通管路12の吸熱量を増やすこと、であり、上記の説明からも明らかなように、騒音・効率の観点から通常ならば使用しない制御エリア(ガス比例弁18の開度が大きくなる領域)を使用する場合があること、熱効率が悪くなるにもかかわらず燃焼ファン15の回転数が高くなるエリアを使用すること、を特徴としている。
さらに言及すれば、本実施例を含む本発明は、例えば高速道路の坂道を登る時に馬力不足でスピードが落ちてきた時の対応と類似する。つまり、高速道路の坂道を登る時にスピードが落ちてきた場合には、通常シフトダウン(又はスポーツモードと)してエンジン回転数を上げ、落ちてきたスピードの挽回をはかる。そしてスピードが上がってきたら、もとのシフト位置(又は通常モード)に戻してエンジン回転数を下げる。この際、一時的にエンジン回転数を上がることで、車内にはすさまじいエンジン音(騒音)がする。しかし、シフトダウン(又はスポーツモードと)した人と、すさまじいエンジン音(騒音)に包まれる人は同一人物であり、自分が行った操作に対しての騒音であるので、騒音の発生原因を把握しているので、突然の騒音に驚くことはない。
それに対し、本願熱源装置の場合には、例えば戸建て住宅の北側面に設置される。そして、シフトダウンに相当する例えば図13~図16におけるB’点やB”点への遷移を行うのは熱源装置であり、騒音に包まれる人は、隣家の住人である。なぜならば、戸建て住宅の北側面に設置された熱源装置は、隣家の南側に対峙しているからである。
このことを考慮すると、本実施例において、例えば図13~図16示したようなB’点やB”点へ遷移させる制御によって南側隣家住人は騒音に驚くことが想定されるが、実際には、南側隣家に対して前記制御による騒音影響が極めて少ない点に本願の発明者は着目した。
すなわち、図13~図16示したようなB’点やB”点へ遷移させる制御が発生するのは、熱源装置において暖房戻り温度が低い場合である。暖房を行うのは冬場が多く、かつ、暖房の戻り温度が低い場合とは、例えば気温が氷点下等の低い状態になったときと想定される。本願発明者は、上述の状況では、南側隣家住人が窓を開けているとは考えにくい状況であり、前記のような図15や図16示したようなB’点やB”点へ遷移させる制御を行っても、南側隣家の住人が騒音に驚くといった自体が発生する可能性は極めて少ない(まず無い)と考えたのである。
このようにすると、同じ要求される能力を満たす際に、ガス比例弁18の開度は大きめとなり、暖房用のバーナ装置5の燃焼能力を大きめとして燃焼を行えるので、暖房用のバーナ装置5の燃焼により加熱される暖房用のメインの熱交換器の加熱量を大きめとすることができ、暖房能力不足を生じさせることなく、快適な運転を行うことができる。
なお、前記の例では、必要に応じてバーナ段数を1段下げるようにしたが、図1に示されるようなバーナ段数と給湯号数との関係において、例えばバーナ段数が2段下の制御特性線とのラップしろがあれば、その範囲内で必要に応じて2段下げて制御を行うようにしてもよい。
また、本実施例において、前記暖房不足判断条件は、暖房運転中に前記メインの暖房用熱交換器の出側の熱媒体の温度が予め定められた設定温度(例えば50℃)以下の状態が予め定められた設定時間(10秒)以上継続した時としているが、この設定温度や設定時間は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。また、メインの暖房用熱交換器の熱媒体の温度としては、メインの暖房用熱交換器の出側、入側、中間等、適宜の箇所における熱媒体の温度とすることができる。
なお、メインの暖房用熱交換器の入側温度と、暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13から出た温度別寄与率(熱の分配比)から推定される温度上昇を用いれば、メインの暖房用熱交換器の出側温度相当を求めることができるし、その逆も可能である。そのため、暖房不足判断条件は、メインの暖房用熱交換器の出側、入側、中間の熱媒体の温度を直接検出した値に基づいて判断してもよいし、メインの暖房用熱交換器の出側、入側、中間の熱媒体の温度演算値に基づいて判断してもかまわない。さらに、前記設定時間は、暖房不足判断条件を大幅に下回った場合には短い時間とする等、その時間値を適宜可変してもかまわない。