以下、本発明の実施の形態を図面に基づき実施例によって説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
図2には、本発明に係る熱源装置の第1実施例のシステム構成が模式的に示されている。同図に示されるように、本実施例の熱源装置は、器具ケース80内に、給湯回路45と暖房回路7とを設けて形成される複合型の熱源装置である。この熱源装置は燃焼室100を有し、燃焼室100内には給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置5とが設けられている。
給湯用のバーナ装置2は複数のバーナ装置2a,2b,2cを有し、バーナ装置2aの燃焼面とバーナ装置2bの燃焼面とバーナ装置2cの燃焼面によって区分される態様で形成された区分燃焼面を有している。言い換えれば、バーナ装置2a,2b,2cの各燃焼面によって区分された区分燃焼面が形成されており、熱源装置には、給湯用のバーナ装置2に要求される燃焼能力が一段アップする毎に前記区分燃焼面を予め定められた順番(バーナ装置2a,2b,2cの順)で選択的に順次追加燃焼させる燃焼制御手段(図2には図示せず)が設けられている。給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の下方側には、これらのバーナ装置2,5の給排気用の燃焼ファン15が設けられている。
また、燃焼室100には、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に、給湯と暖房の複合熱交換器1が設けられており、この複合熱交換器1は、図1、図2に示されるように、給湯用の液体流通管路13のみが配設された一種管路配設部111と給湯用の液体流通管路13が暖房用の液体流通管路12によって上下に挟まれる態様で(図1、参照)互いに接して配設された二種管路配設部112とを有し、二種管路配設部112と一種管路配設部111とは隣り合わせに配設されている。
本実施例の最も特徴的な構成の一つは、この二種管路配設部112と一種管路配設部111とバーナ装置2,5とが、以下に述べるような位置関係で配設されていることである。つまり、本実施例においては、図2および図1に示されるように、一種管路配設部111の下方側には、該一種管路配設部111を加熱するための給湯用のバーナ装置2が配設され、二種管路配設部112の下方側には、該二種管路配設部112を加熱するための暖房用のバーナ装置5が配設されているが、図1に示されるように、二種管路配設部112において、一種管路配設部111に隣接する側の一部分に配設されている液体流通管路12,13が給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設されている。
本実施例では、この構成によって、暖房用のバーナ装置5のみの燃焼時に暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが一種管路配設部111側に広がっても、その広がり部分には給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設された二種管路配設部112の液体流通管路12,13が配設されているので、広がった燃焼ガスによって加熱されるのは、この二種管路配設部112の液体流通管路12,13となる。
そして、二種管路配設部112は、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で配設されているので、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの広がりによって加熱されるのは、給湯用の液体流通管路13の下側に配設されている暖房用の液体流通管路12である。したがって、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13が暖房単独運転時に暖房用のバーナ装置5によって加熱されてしまうことを防ぐことができ、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13内に滞留している水等の熱媒体が沸騰してしまうことを抑制できる。
複合熱交換器1はフィン43を有しており、このフィン43は、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に立ち上がる態様で設けられて、図1の紙面に垂直な方向に(図2では左右方向に)互いに間隔を介して複数配設されており、図1に示されているように、各フィン43の面方向が給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの配列方向とは直交(または略直交)する方向となるような態様と成している。一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13は共に、これらの複数の共通のフィン43に形成された対応する管路挿入孔103,104に挿入され(液体流通管路13は管路挿入孔103に、液体流通管路12は管路挿入孔104に挿入され)ており、複合熱交換器1をこのような態様に形成すると非常に製造しやすい。
また、二種管路配設部112において、上下方向に配設される3つの管路(暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13)のうち、真ん中の管路を、低温の水が導入される液体流通管路13とすることにより、以下の効果を奏することができる。つまり、二種管路配設部112における暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13の配列態様によって、暖房用の液体流通管路12の吸熱量と給湯用の液体流通管路13側の吸熱量とに違いが生じ、二種管路配設部112において上下方向の真ん中の管路を給湯用の液体流通管路13として互いに接する態様で設けることにより、給湯用の液体流通管路13の1本あたりの吸熱量を高くできる。
なお、図2はシステム図であるために、図1の態様と異なるように示されているが、実際には図1に示される断面構成図のような態様で一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13等が配設されている。ただし、図1も模式的な構成図であるために、液体流通管路12,13等の本数等は正確に示されているとは限らず、液体流通管路12,13の本数や配設間隔等は図1に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
また、複合熱交換器1は、複合熱交換器1の液体流通管路12,13を通る液体の熱媒体(例えば水)によって液体流通管路12,13の下方側に配置されているバーナ装置(給湯用のバーナ装置2や暖房用のバーナ装置5)の燃焼ガスの顕熱を回収するメインの熱交換器と成しており、言い換えれば、複合熱交換器1により形成されているメインの熱交換器は、二種管路配設部112と一種管路配設部111とにまたがる態様で設けられているメインの給湯熱交換器と、二種管路配設部112に設けられているメインの暖房用熱交換器を有して形成されている。
本実施例において、メインの給湯熱交換器を形成する給湯用の液体流通管路13には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の給湯熱交換器4が接続されており、メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の暖房用熱交換器6が接続されている。なお、これらの潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は、それぞれの熱交換器を形成する液体流通管路を通る熱媒体(ここでは水)によりバーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収するものであるが、潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は共に、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱のみならず顕熱も回収するものである。
また、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6は共に、複合熱交換器1の上部側に配設され、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間とを仕切る仕切り115が複合熱交換器1の上部側に設けられている。この仕切り115によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガス(排気ガス)が複合熱交換器1を通った後に潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間を通った後に、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間を通って排気口116から排出される態様と成している。つまり、複合熱交換器1を通った暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが流れる流れの上流側に潜熱回収用の暖房用熱交換器6が配設され、流れの下流側に潜熱回収用の給湯熱交換器4が配設されている。
このような構成によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼時の燃焼ガスが、複合熱交換器1を通った後、約160〜約250℃で潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設領域を通って潜熱回収されて冷やされた後、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設領域を通ることになるため、暖房用のバーナ装置5の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の給湯熱交換器4内の水が沸騰することを抑制できる。また、潜熱回収用の暖房用熱交換器6は、仕切り115を介して潜熱回収用の給湯熱交換器4の上側に配設されており、給湯用のバーナ装置2の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の暖房用熱交換器6内の水の沸騰は抑制できる。
なお、図2および後述する図8は、システム図であるために、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設構成も図1の態様と異なるように示されているが、実際には図1に示される模式的な断面構成図のような態様で潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6等が配設されている。ただし、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の本数や配設間隔等は図1に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
図4(a)、(b)に示されるように、本実施例において、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)は、複数の炎口110が長手方向に沿って配列配置された炎口列を一列以上(ここでは一列)配設して成る燃焼面を備えたバーナ107が、前記炎口列と直交する方向に並ぶ態様で複数配置されて形成されている。バーナ装置2aは4本のバーナ107によって形成され、バーナ装置2bは3本のバーナ107によって形成され、バーナ装置2cは6本のバーナ107によって形成されており、したがって、それぞれのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼面により形成される区分燃焼面の面積比はおおよそ、4:3:6と成している。暖房用のバーナ装置5は、給湯用のバーナ装置2を形成するバーナ107と同方向に炎口110を配列配置したバーナ109を9本配置して形成されている。
これらの給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5には、図2に示されるガス供給通路16を通して燃料ガスが供給されるものであり、図2の図中、符号14,17はガス電磁弁、符号18はガス比例弁をそれぞれ示す。
また、図4と図1とを共に参照すると分かるように、給湯用バーナ装置2(2a,2b,2c)および暖房用のバーナ装置5の各燃焼面の上側に設けられている複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12は、これらの液体流通管路12,13の下方側に配設されている対応する暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されている。潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路もバーナ装置2,5の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されており、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路は、全体としては両方のバーナ装置2,5の上面側に配設されている。
図2に示されるように、潜熱回収用の給湯熱交換器4と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の入水側に設けられた給水通路46と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の出水側に設けられた通路34と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出水側に設けられた給湯通路47とを有して、前記給湯回路45が形成されている。
給湯回路45は、給水通路46から導入されて潜熱回収用の給湯熱交換器4を通って加熱された液体の熱媒体(水)を複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)に導入して加熱した後、その加熱した水を、給湯通路47を介して給湯先に導く回路である。給湯回路45において、給水通路46には、該給水通路46を通る水の水量を検出する水量センサ19が設けられており、通路34には給湯ハイリミットスイッチ36が設けられ、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の途中部には給湯水管サーミスタ151が設けられている。
また、給湯通路47には、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出側の温度を検出する熱交出側サーミスタ23と、給湯温度を検出する出湯サーミスタ24とが設けられている。なお、本実施例では、給湯用の入水温度を検出する入水温検出手段を設けずに入水温度を演算によって求める方式を適用しており、例えば給湯バーナ装置2の安定燃焼時に燃焼量と水量と出湯温度から入水温度を逆算し、これを記憶するようにしている。演算によって給湯用の入水温度を求める方式の熱源装置については周知であるので、その説明は省略するが、適宜の方法により給湯用の入水温度を求めることができるものである。
給湯通路47には給湯回路45を通って給湯される給湯の総水量を可変調節するための水量サーボ20が設けられており、給湯通路47は、給湯バイパス通路22を介して給水通路46に接続され、該バイパス通路22の給水通路46との接続部にはバイパスサーボ21が設けられている。
前記暖房回路7は暖房用液体循環通路8を有し、暖房用液体循環通路8には、前記潜熱回収用の暖房用熱交換器6と、暖房用循環ポンプ(暖房用液体循環ポンプ)9と、シスターン10と、暖房高温サーミスタ40、暖房ハイリミットスイッチ77、暖房水管サーミスタ52、暖房低温サーミスタ41が設けられており、暖房用循環ポンプ9は、潜熱回収用の暖房用熱交換器6と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12とを通して液体の熱媒体(例えば水)を循環させる機能を備えている。
暖房用液体循環通路8は、通路59〜65,108を有しており、通路108は、暖房回路7内の熱媒体(例えば水)を潜熱回収用の暖房用熱交換器6には通さずに循環させるための潜熱熱交バイパス通路として機能する。暖房高温サーミスタ40は、複合熱交換器1を形成する暖房用の液体流通管路12の出側の熱媒体の温度を検出するものであり、暖房低温サーミスタ41は、その暖房用の液体流通管路12の入側の熱媒体の温度を検出するものである。
シスターン10の容量は例えば1800ccであり、シスターン10には水位電極44とオーバーフロー通路66とが設けられている。シスターン10は、補給水電磁弁42と水補給用通路165を介して給水通路46に接続されている。
また、本実施例において、給湯回路45と暖房回路7とは給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して熱的に接続されており、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33は、複合熱交換器1を形成する暖房用の液体流通管路12の出側を給湯回路45における潜熱回収用の給湯熱交換器4と複合熱交換器1を形成する給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)との間に熱的に接続する。
この給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33には、暖房用循環ポンプ9の駆動によって、複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12から出た熱い熱媒体(ここでは水)が導入されて図2の矢印Bに示すように流通し、給湯動作時に、潜熱回収用の給湯熱交換器4側からは、矢印Bとは逆方向(矢印B’の方向)を流れるように水が給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入されて流通する。
つまり、暖房用の液体流通管路12側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入される熱媒体は給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の給水側出口から流入し、潜熱回収用の給湯熱交換器4から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入される水は給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の熱媒体出口(水出口)から流入し、この水と液体流通管路12からの前記熱媒体とが互いに逆方向に流通するという対向熱交換器により給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33が形成されている。例えば暖房用の液体流通管路12から加熱された熱い熱媒体(ここでは熱い湯)を給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入しながら潜熱回収用の給湯熱交換器4から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に温めの湯や水を導入すると暖房回路7側の熱を給湯回路45側に移動させる(給湯側が暖房側の熱を吸熱する)ことができる。
なお、暖房回路7には適宜の暖房装置が接続されるものである。この図では、暖房装置70,71が外部通路72,73,74を介して接続されており、暖房回路7は、暖房装置70,71への熱媒体の供給機能を有する。暖房装置70は例えば浴室乾燥機等の高温暖房装置であり、暖房装置70には熱動弁76が設けられている。一方、暖房装置71は温水マット71等の低温暖房装置であり、暖房用液体循環通路8の器具ケース80内の通路と外部通路73との接続を選択的に切り替える熱動弁48が設けられて、暖房装置71への熱媒体の供給が制御される。
また、本実施例の熱源装置において、暖房回路7の暖房用液体循環通路8は、追い焚き用液−水熱交換器25を介して風呂の追い焚き循環通路26と熱的に接続されている。追い焚き循環通路26には、追い焚き循環ポンプ27と風呂サーミスタ28、流水スイッチ29、水位センサ30、風呂往きサーミスタ31が設けられており、追い焚き循環通路26は、循環金具81を介して浴槽75に接続されている。
暖房用液体循環通路8には、追い焚き用液−水熱交換器25において追い焚き循環通路26を循環する水と熱交換を行う際に、暖房用液体循環通路8から追い焚き用液−水熱交換器25側に通す液体流量を制御する追い焚き用液体流量制御弁32が設けられており、この追い焚き用液体流量制御弁32は、暖房回路7を循環する熱媒体(ここでは水)の追い焚き用液−水熱交換器25への導入の有無を切り替える熱媒体導入切り替え弁として機能する。
追い焚き用液体流量制御弁32を開いて追い焚き用液−水熱交換器25への水(温水)の導入を行いながら追い焚き循環ポンプ27を駆動することによって風呂の追い焚きが行われるが、追い焚き循環ポンプ27を停止していれば暖房回路7を通る熱媒体と追い焚き循環通路26内の水との熱交換は行われない(正確に言えば追い焚き循環通路26に滞留している水の一部は熱交換されるが殆ど熱交換は行われない)。
なお、図2の図中、符号49は注湯通路、符号50は注湯電磁弁、符号79は注湯量センサ、符号37はドレン回収手段、符号38はドレン通路、符号39はドレン中和器、符号76は熱動弁をそれぞれ示している。
また、図2にはリモコン装置が図示されていないが、熱源装置の制御装置にはリモコン装置が信号接続されており、以下の説明において、リモコン装置には、適宜、符号53を付して説明する。また家庭等の住居において、給湯を行う台所や浴室には、給湯温度設定、追い焚きスイッチ、自動スイッチ(自動湯張りのための操作スイッチ)等の付いたリモコン装置53が設けられ、洗面所には浴室乾燥(暖房装置)を行うスイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられ、居間には床暖房(暖房装置)スイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられる等、異なる機能をもったリモコンが複数設けられることが多いが、本明細書では、それらを総称してリモコン装置53と称する。
本実施例において、給湯動作は例えば以下のようにして行われる。つまり、リモコン装置53の運転がオンの状態において、例えば熱源装置の利用者によって、給湯通路47の先端側に設けられている給湯栓(図示せず)が開かれると、給水通路46から導入される水が、潜熱回収用の給湯熱交換器4と複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器)とを通って給湯通路47に導入され、水量センサ19が予め定められている給湯の作動流量に達するとバーナ装置2の燃焼制御および燃焼ファン15の回転制御等が制御手段によって適宜行われ、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成されて給湯先に供給される。なお、必要に応じ、暖房用のバーナ装置5の燃焼も行われるが、この動作についての詳細説明は後述する。
また、リモコン装置53に設けられている自動スイッチがオンとなると、前記給湯動作時と同様にして、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成され、その湯が、注湯電磁弁50が開かれることにより、給湯通路47から注湯通路49を通して浴槽75への注湯による湯張りが行われる。
一方、給湯は行わずに、暖房用液体循環通路8から暖房装置70、71に暖房用の熱媒体(液体)を供給する際(例えば衣類乾燥機、浴室暖房乾燥機、床暖房等の運転による暖房単独運転時)には、暖房用循環ポンプ9の駆動によって、液体(ここでは温水)を循環させるものであり、暖房用循環ポンプ9の吐出側から吐出される液体が、図2の矢印Aに示されるように、通路59を通って複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12(メインの暖房用熱交換器)に導入される。このときには暖房用のバーナ装置5の燃焼および燃焼ファン15の回転制御等が適宜行われて液体の加熱が行われる。
複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12を通った液体は、その後、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入され、該給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通った後、矢印Cに示されるように、通路60を通り、その後、通路64で分岐して、その一方は、矢印Dに示されるように、例えば暖房用液体循環通路8に接続されている高温側の暖房装置70が作動する際には高温側の暖房装置に供給され、高温側の暖房装置70を通った後に、矢印D’に示されるように通路61側に戻ってくる。つまり、例えば浴室暖房乾燥機の暖房スイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する高温側の暖房装置70内の熱動弁76が開弁され、高温側の暖房装置10内の制御装置からの信号を受けて暖房用の熱媒体の往き温度は(例えば80℃といった)高温に維持される。
高温側の暖房装置が作動していないときには、高温側の暖房装置70内の熱動弁76が閉弁され、矢印Dに示されるようにして通路64を通った液体は、潜熱熱交バイパス通路108を通り、シスターン10に導入され、矢印Gに示されるように通路62を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻る。
また、例えば浴室で追い焚きスイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する追い焚き用液体流量制御弁32が開状態となり、通路60を通った後に通路64で分岐された液体(熱媒体)は、矢印Eに示されるように通路64を通って追い焚き用液−水熱交換器25を通り、矢印E’に示されるように通路65を通って通路61側に向かう。このように、高温に維持される液体を追い焚き用液−水熱交換器25に通しながら、追い焚き循環通路26において浴槽の湯水を循環させることにより、風呂の追い焚きが適宜行われる。なお、通路61を通った液体は、前記の如く、シスターン10と通路62を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻ってくる。
また、暖房用循環ポンプ9の吐出側には、例えば温水マット等の低温側の暖房装置71に液体を供給するための通路63も接続されており、例えば居間等にあるリモコン装置53で床暖房がONされると、それに対応する熱動弁48の開閉に応じて適宜の低温側暖房装置71(例えば温水マット等)に暖房用の(例えば往き温度60℃といった)低温に維持された液体が供給される。
なお、高温側の暖房装置70に液体を供給する際の温度制御と低温側の暖房装置71に液体を供給する際の温度制御、暖房用液体循環通路8の通路が冷えている状態で作動するコールドスタート時の温度制御、風呂の追い焚き時の制御等、必要に応じてバーナ装置5の燃焼制御や燃焼ファン15の回転制御等の適宜の制御が行われるが、これらの制御方法については公知であるために、その詳細説明は省略するが、本発明においては、公知の適宜の制御方法および、今後提案される適宜の制御方法が適用されるものである。
また、本実施例においては、図7(a)の実線に示されるように、暖房回路7の熱媒体を、暖房回路7に接続される暖房装置70,71と潜熱回収用の暖房用熱交換器6には通さずに、暖房用循環ポンプ9の駆動によって潜熱熱交バイパス通路108と複合熱交換器1を形成する暖房用の液体流通管路12と給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33とを通して循環させるバイパス経路が形成されている。
つまり、暖房装置70,71が稼動していない状態(暖房運転が行われていない状態)において暖房回路7の熱媒体(温水)を循環させようとすると、複合熱交換器1を形成する暖房用の液体流通管路12で加熱された熱媒体が通路60,64を通った後に潜熱熱交バイパス通路108を通ってシスターン10に導入され、通路62と暖房用循環ポンプ9と通路59を順に通って液体循環通路12に戻る。
なお、図7(a)において、破線で示す経路は暖房回路7において熱媒体が通過しない通路であり、図7(b)に示されている経路については後述するが、図7(b)においても同様に熱媒体が通過する経路を実線により示し、通過しない通路は破線で示している。また、図7(a)、(b)において、暖房装置70,71は図の簡略化のために1つずつ示しており、本実施例の熱源装置において、シスターン10内を熱媒体が通る通路は実際には形成されていないが、図7(a)、(b)においては、シスターン10内を通る熱媒体の経路が曲線により模式的に示されている。
図3には、本実施例の熱源装置の制御構成がブロック図により示されており、同図に示されるように、熱源装置の制御装置54は、経路切り替え制御手段51、燃焼制御手段52、ポンプ駆動制御手段55を有している。制御装置54は、リモコン装置53と、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、追い焚き用液体流量制御弁32、ガス電磁弁14,17、ガス比例弁18、燃焼ファン15、暖房用循環ポンプ9、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41、熱交出側サーミスタ23に信号接続されている。
経路切り替え制御手段51は、暖房回路7の熱媒体を暖房装置70,71に供給することなく給湯運転を行う給湯単独運転時に、予め定められる経路切り替え条件が満たされたときには、暖房用循環ポンプの駆動によって循環する暖房回路7の熱媒体の循環経路を、図7(b)の実線に示されるような潜熱熱交経由経路とする。つまり、暖房回路7の熱媒体の循環経路を、図7(b)に示されるように、図7(a)の実線に示したバイパス経路と図7(b)の太実線で示されている潜熱回収用の暖房用熱交換器6を通す経路との両方の経路に通して循環させる潜熱熱交経由経路とする。なお、熱媒体の循環のための暖房用循環ポンプ9の駆動は、燃焼制御手段52を介してポンプ駆動制御手段55により制御される
本実施例において、経路切り替え条件としては、例えば給湯単独運転時に要求される給湯要求能力が予め定められている経路切り替え基準値を超えたときに、図7(b)の実線に示されるような潜熱熱交経由経路で熱媒体を循環させるようにする、といった条件が与えられている。経路切り替え基準値は、本実施例では、燃焼制御手段52に与えられている後述する水路配設部切り替え基準能力と同じ値に設定されており、この値(能力値)は、給湯単独運転時に給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5とを全て燃焼させることが必要な能力であり、例えば16.5号に設定されている。なお、16.5号の給湯能力とは、給水温度より25℃高い温度の湯を1分間に16.5リットル給湯可能な能力である。
経路切り替え制御手段51は、前記経路切り替え条件に基づき、給湯単独運転時に給湯要求能力が例えば16.5号を超えて燃焼制御手段52が給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5とを全て燃焼させることが生じたときに、追い焚き用液体流量制御弁32を開くようにし、それ以外の時には追い焚き用液体流量制御弁32を閉じておく(なお、浴槽湯水の追い焚き時には燃焼制御手段52により追い焚き用液体流量制御弁32が開かれる)。
追い焚き用液体流量制御弁32が閉じられた状態において、仮に暖房用循環ポンプ9を駆動させて暖房回路7内の熱媒体(温水)を循環させると、その循環経路は、図7(a)の実線に示されているようなバイパス経路となって、その長さは短く、このときには熱媒体が例えば4.8ml/分程度で給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通して流れる。
それに対し、経路切り替え制御手段51は、前記経路切り替え条件に基づき、給湯単独運転時に前記給湯要求能力の値が前記経路切り替え基準値を超えたとき(給湯単独運転時に給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5とを全て燃焼させることが必要となったとき)には、追い焚き用液体流量制御弁32を開き、図7(b)の実線に示されるような潜熱熱交経由経路で熱媒体を循環させるようする。
そうすると、暖房用循環ポンプ9の駆動によって循環する暖房回路7内の熱媒体(温水)は、図7(b)の実線(細実線と太実線)に示されているように、図7(a)の実線に示したバイパス経路を通ることに加え、図7(b)の太実線に示されているように、追い焚き用液−水熱交換器25を経由して通路64を通り、通路61を通って潜熱回収用の暖房用熱交換器6を通ってシスターン10に導入される経路を通ることになるため(バイパス経路とバイパス経路に並列な経路の両方の経路を通ることになるため)、熱媒体の循環経路は図7(a)の実線に示したバイパス経路に比べて格段に長くなる。
そのため、暖房回路7内の熱媒体は、例えば9.6ml/分程度の大流量で流れ、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通る熱媒体の流量も多くなる。また、潜熱熱交経由経路で暖房回路7の熱媒体を循環させると熱媒体は潜熱回収用の暖房用熱交換器6を通って循環するので、熱媒体が潜熱回収用の暖房用熱交換器6でも加熱されることから、熱媒体の温度もより高めることができる。つまり、暖房回路7の熱媒体を潜熱熱交経由経路で循環させると、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通る熱媒体の温度を高め、流量も多くできるので、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33と給湯回路45側との熱交換によって給湯回路45を通る湯水の温度を高める能力を向上させることができ、給湯能力を高めることができる。
なお、本実施例において、暖房回路7の熱媒体(温水)を潜熱熱交経由経路によって循環させるときには、追い焚き循環回路26における水の循環動作を停止したまま経路切り替え制御手段51によって追い焚き用液体流量制御弁32を開いて熱媒体を暖房回路7に循環させるようにしており、このようにすることによって、暖房回路7の熱媒体から追い焚き循環回路26側に熱を殆ど移動させることなく暖房回路7の熱媒体の熱を給湯側に伝えて給湯能力の補充を行うことができる。
燃焼制御手段52は、リモコン装置53の信号(指令や設定温度の値等)に基づき、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、熱交出側サーミスタ23、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41等の検出信号を参照し、ガス電磁弁14,17の開閉制御とガス比例弁18の開弁量制御とを行って、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ5の燃焼制御を行うものである。また、燃焼制御手段52は、これらのバーナ装置2,5の燃焼時には燃焼ファン15を駆動させ、例えばその回転数をバーナ装置2,5の燃焼量に対応させる等して適宜の制御を行う。
本実施例の熱源装置は、前記の如く、給湯回路45を通して給湯設定温度の湯の給湯を行う給湯運転と、暖房回路7を通して加熱した熱媒体(温水)を暖房装置70,71に供給しながら熱媒体を暖房装置70,71に循環させる暖房運転を行う機能を有しており、燃焼制御手段52は、それぞれの単独運転時(給湯単独運転時と暖房単独運転時)と、給湯と暖房の同時運転時とで、以下のように給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ5の燃焼面を切り替える燃焼制御を行う。
つまり、燃焼制御手段52は、給湯単独運転時には、給湯運転動作に必要な給湯要求能力が予め定められる水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)未満の時には一種管路配設部111の下方側の給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)のみを燃焼させ、水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)を超えたときには給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置5とを燃焼させる。また、燃焼制御手段52は、給湯運転動作に必要な給湯要求能力の値を逐次、経路切り替え制御手段51に加える。
燃焼制御手段52によって行われる給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の燃焼制御は、図4に示したような給湯用のそれぞれのバーナ装置2a,2b,2cを形成する複数本ずつのバーナ107によって区分された燃焼面(区分燃焼面)を、給湯用のバーナ装置2に要求される燃焼能力が一段アップする毎に予め定められた順番で選択的に順次追加燃焼させるものである。
給湯単独運転におけるバーナ燃焼において、表1の切り替え段数(1)の欄に示されているように、最初に燃焼させる燃焼面は給湯用のバーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面である。なお、表1においては、図1に示されるように、給湯用のバーナ装置2aの燃焼面をA、給湯用のバーナ装置2bの燃焼面をB、給湯用のバーナ装置2cの燃焼面をC、暖房用のバーナ装置5の燃焼面をDと示している。
給湯用のバーナ装置2aのみの燃焼により得られる給湯特性(出湯特性)は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じて、図5の特性線a1と特性線a2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、給湯用のバーナ装置2aのみを燃焼させる場合でも、ガス比例弁18の開弁量に応じて給湯特性が異なる態様となり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線a1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線a2側に近づき、最大開度のときに特性線a2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力が一段アップすると、バーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面に加えてバーナ装置2bの3本のバーナ107の、合計7本のバーナ107の燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(2)を参照)。バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線b1と特性線b2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線b1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線b2側に近づき、最大開度のときに特性線b2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力がさらに一段アップすると、バーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面とバーナ装置2bの3本のバーナ107とバーナ装置2cの7本のバーナ107の合計13本のバーナ107の燃焼面燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(3)、を参照)。これらのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線c1と特性線c2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線c1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線c2側に近づき、最大開度のときに特性線c2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
さらに、燃焼制御手段52は、給湯単独運転時に、給湯要求能力に対応する燃焼能力が前記水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)以上となったときには給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)に加えて二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5を燃焼させる(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(4)を参照)。また、このとき、燃焼制御手段52は、ポンプ駆動制御手段55に指令を加えて暖房用循環ポンプ9を駆動させる。
給湯用のバーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、バーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線d1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線d2側に近づき、最大開度のときに特性線d2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18を制御する。
また、給湯単独運転時であっても、暖房用のバーナ装置5の燃焼を行う時には液体循環ポンプ9を駆動させて暖房回路7内の熱媒体(温水)を循環させ、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側の熱を給湯側に吸熱させて回収することにより、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができるものである。
つまり、本実施例では、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の全ての燃焼面を燃焼させ、ガス比例弁18の開弁量制御を行うことに加え、暖房回路7の熱媒体を循環させて、前記の如く、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側の熱を給湯側に吸熱させることができ、しかも、このとき、経路切り替え制御手段51が暖房回路7の熱媒体循環経路を潜熱熱交経由経路とすることで、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介しての暖房回路7側から給湯回路45側への熱の移動量を多くできるため、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができる。
燃焼制御手段52は、暖房単独運転時には、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が予め定められる暖房制御切り替え基準能力(例えば7.3kw)未満の時には、二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ109をオンオフ制御し(予め定められるオンオフタイミング毎にオンとオフとを繰り返すオンオフ燃焼(間欠燃焼)を行い)、このとき、ガス比例弁18の開弁量を最小とする。
一方、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が前記暖房制御切り替え基準能力以上の時には、暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ109の燃焼を継続して行い、このときには、前記必要燃焼能力に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
燃焼制御手段52は、図示されていない給湯暖房同時動作制御手段を有しており、給湯と暖房の同時運転時に、この給湯暖房同時動作制御手段による制御を以下のように行うことも、本実施例の最も特徴的な構成の一つである。給湯暖房同時動作制御手段は、給湯側の温度調節を優先させる運転とし、暖房側は、その給湯側の温度調節によって得られるままの状態(つまり、暖房側に対応させての温度調節を特に行わない)か、あるいは待機とする。
具体的には、熱源装置に要求される給湯要求能力(給湯動作に必要な必要燃焼能力)が予め定められる同時燃焼時の燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)以下のときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止したまま給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行い、給湯要求能力が前記燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)よりも大きいときには、暖房用のバーナ装置5を燃焼させながら、給湯要求能力に対応させて前記給湯用のバーナ装置の燃焼制御を行う。
つまり、図6の特性線a1上または特性線a1よりも左側に示される領域においては暖房用のバーナ装置5の燃焼を行わない待機状態として給湯単独運転時と同様に、例えば給湯用のバーナ装置2aの燃焼を行い、特性線a1よりも右側に示される領域においては、以下に述べるように、給湯要求能力に対応させてガス電磁弁14,17とガス比例弁18の開弁量制御を行う。例えば、必要燃焼能力が燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)よりも小さい状態から最初に前記切り替え基準能力以上となったときには、まず、暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ109の燃焼面を燃焼させる(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(1)を参照)。
本実施例では、暖房用のバーナ装置5の上側に二種管路配設部112が設けられているので、暖房用のバーナ装置5のみの燃焼によっても給湯側の加熱が行われ、ガス比例弁18の開弁量に応じて給湯側の能力も変化し、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、給湯設定温度に応じて図6の特性線a1と特性線a2側との間の領域の給湯特性が得られる。つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときに図6の特性線a1の特性(給湯能力4.6号の特性)となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線a2側に近づき最大開度のときに特性線a2の特性が得られるので、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力に応じて要求される燃焼能力が一段アップすると、暖房用のバーナ装置5に加えてバーナ装置2bの3本のバーナ107を燃焼させ、合計12本のバーナ107,109の燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(2)を参照)。このとき、ガス比例弁18の開弁量に応じ、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じて、図6の特性線b1と特性線b2側との間の領域の給湯特性が得られる。
つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図6の特性線b1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線b2側に近づき、最大開度のときに特性線b2の特性が得られる。そのため、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
なお、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力が前記燃焼面切り替え基準能力より大きい状態から切り替え基準能力以下の状態に変化し、その後で、給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下の状態から切り替え基準能力より大きい状態に変化したときには、燃焼面切り替え基準能力を超えても直ぐには暖房用のバーナ装置5の燃焼を開始させず(暖房用のバーナ装置5への点火を行わず)、燃焼面切り替え基準能力よりも大きい値に設定されている上乗せ含み切り替え基準能力(図6の特性線b1に対応する能力であり、暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2bを、ガス比例弁18の最小開弁量で燃焼させる能力)に達したときに暖房用のバーナ装置を燃焼させて暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2の燃焼制御を行うようにする。
そして、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力が前記切り替え基準能力より大きい状態から切り替え基準能力以下の状態に変化したときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止して(暖房待機として)給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行う。
つまり、本実施例では、暖房回路7から暖房装置70,71への熱媒体供給の有無を切り替える手段が熱媒体の温度に対応して開閉する熱動弁48,76によって形成されており、熱動弁の開閉制御は電磁弁のように迅速には行われずにゆっくりと行われ、暖房回路7から暖房装置70,71への熱媒体供給の有無の切り替え信号に対して熱動弁48,76の開閉動作が迅速には追従しない。
それに対し、前記のように、給湯暖房同時動作時に暖房用のバーナ装置5を停止する基準とするための切り替え基準能力と暖房用のバーナ装置5の燃焼を再開する基準とするための上乗せ含み切り替え基準能力の2つの互いに異なる値を与え、上乗せ含み切り替え基準能力を前記燃焼面切り替え基準能力より高い値に設定し、給湯暖房同時動作時に、これらの基準能力と給湯要求能力とに応じて暖房用のバーナ装置5の停止と燃焼再開(再点火)を行うことにより、熱動弁48,76の開閉動作に適応した制御を行って暖房用のバーナ装置5の停止と燃焼再開(オンオフ)を頻繁に行うことを防ぐことができ、暖房用のバーナ装置5の寿命を長くできる。
また、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力がさらに一段アップすると、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107を燃焼させる(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(3)を参照)。
このとき、ガス比例弁18の開弁量に応じ、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じ、図6の特性線d1と特性線d2側との間の領域の給湯特性が得られる。つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図6の特性線d1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線d2側に近づき、最大開度のときに特性線d2の特性が得られる。そのため、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
なお、図6の特性線cには、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107,109を最大燃焼させた(ガス比例弁18の開度を最大にして燃焼を行った)場合において、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が全て吸熱してしまって給湯用の液体流通管路13による吸熱が行えない場合の給湯特性が示されている。
図6の特性線d2と特性線cとを比較すると分かるように、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107を最大燃焼させて、これらのバーナ装置5,2a,2b,2cの燃焼熱量を給湯用の液体流通管路13が全て吸熱すれば、図6の特性線d2の特性が得られて24号給湯器の能力が得られるが、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が全て吸熱した場合には図6の特性線cの特性が得られて給湯能力は16.5号給湯器の給湯能力となる。
このようなことから、例えば図6の破線枠E内の領域においては、給湯と暖房の同時燃焼時において、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が吸熱する量によっては給湯能力が低下する可能性があるが、本実施例では、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を設け、暖房回路7内の熱媒体(温水)から給湯回路45内の熱媒体(水)への熱移動を行うことにより、そのような給湯能力低下を補充することもできる。
ところで、本実施例のように、1つの燃焼ファン15を設けて給湯と暖房の運転を行う装置においては、その燃焼ファン15を、給湯単独運転時であっても暖房単独運転時であっても駆動する。そのため、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5とを並設し、給湯用のバーナ装置2の上側には給湯熱交換器を設けて暖房用のバーナ装置5の上側には暖房用熱交換器を設ける構成として、給湯運転を断続的に行いながら暖房運転を行うと、給湯運転停止期間において給湯熱交換器内に滞留している湯が燃焼ファン15からの送風によって冷やされることになり、このことに起因して給湯温度が変動する冷水サンドイッチ現象が生じてしまう。
それに対し、本実施例では、給湯用のバーナ装置2の上側には給湯用の液体流通管路13が配設された一種管路配設部111を設け、給湯用のバーナ装置2と並設された暖房用のバーナ装置5の上側には、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で接して配設された二種管路配設部112を設けた特徴的な構成としていることから、以下の効果を奏することができる。
つまり、暖房単独運転が行われて暖房用バーナ装置5の燃焼と共に燃焼ファン15の駆動が行われると、一種管路配設部111の液体流通管路13内に滞留している湯が給湯停止以降の燃焼ファン15からの風によって冷えてしまっても二種管路配設部の液体流通管路13内に滞留している湯が暖房用のバーナ装置5の燃焼によって加熱されるため、メインの給湯熱交換器を形成する給湯用の液体流通管路13内に温かい湯が残り、また、給湯回路45を通って給湯される熱媒体(湯)は、一種管路配設部111と暖房用のバーナ装置5に加熱される二種管路配設部112とを通って給湯されることから、冷水サンドイッチ現象を抑制できる。
なお、本実施例において、図1の右側から4番目に示されているように、給湯用のバーナ装置2側にはみ出している二種管路配設部112の液体流通管路13は、暖房用のバーナ装置5の燃焼時にバーナ装置5の燃焼面よりも給湯用のバーナ装置2側に広がりながら上昇する燃焼ガスによって加熱されるものの、燃焼ガスの熱は液体流通管路13の下側に該液体流通管路13と接して設けられている液体流通管路12によって殆ど吸熱されてしまうために、液体流通管路13によって吸収される燃焼ガスの熱量はそれほど大きくない。
したがって、この部分の液体流通管路13が暖房用のバーナ装置5からの燃焼ガスの広がりによって加熱されても、それだけでは給湯される湯の冷水サンドイッチ現象の抑制はできないが、本実施例では、暖房用のバーナ装置5の上側に配置されている液体流通管路13(図1では右側から1番目、2番目、3番目のそれぞれの液体流通管路13)は暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの熱量を十分に吸熱でき、これらの液体流通管路13内には温かい湯が残ることになり、前記の如く冷水サンドイッチ現象を抑制することができる。
つまり、本実施例の構成は、暖房単独運転時に給湯側の液体流通管路13内の液体(水)が沸騰してしまうことを抑制できて効率的に運転できることに加え、給湯運転を断続的に行いながら暖房運転を行う場合に懸念される冷水サンドイッチ現象の抑制もできるものである。
なお、図10に示した熱源装置のように、給湯用のバーナ装置2と風呂の追い焚き用のバーナ装置102とを並設し、給湯用のバーナ装置2の上側に給湯用の液体流通管路13を設けて追い焚き用のバーナ装置102の上側には追い焚き用の液体流通管路105を設け、給湯側と追い焚き側とにそれぞれ燃焼ファンを設ける構成の場合にも、それらの両方の燃焼ファンの駆動が給湯単独運転時も追い焚き単独運転時も行われる。ただし、この場合、燃焼が行われていない側の燃焼ファンの駆動は燃焼ガスの逆流を防ぐためのものであるために送風量は少ない。
つまり、このような燃焼ガスの逆流防止のための送風によって、燃焼が行われていない側の熱交換器内の湯温が大きく低下するほどではなく、図10に示したような2つの燃焼ファン15を設ける構成においては、冷水サンドイッチ現象の発生の懸念は少ないが、前記の如く、仕切り等を設けないと、給湯や追い焚きの単独燃焼時に、燃焼していない側の熱交換器内の水等が沸騰してしまうといった問題が生じることになる。
それに対し、本実施例の熱源装置は、このような水等の熱媒体の沸騰の問題を防止でき、かつ、前記のように冷水サンドイッチ現象の抑制も両立できて、給湯単独運転時でも給湯と暖房の同時運転時でも給湯温度の安定化を図れ、さらに、構成も簡単であることから低コスト化も図れる優れた熱源装置である。