JP7265405B2 - 自動変速機用ピストンシール、ピストンリップの処理方法、及びキャンセラーリップの処理方法 - Google Patents

自動変速機用ピストンシール、ピストンリップの処理方法、及びキャンセラーリップの処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動変速機用ピストンシール、ピストンリップの処理方法、及びキャンセラーリップの処理方法に関する。
自動車などの車両用のオートマチック・トランスミッションには、例えば特許文献1に記載されているような自動変速機用ピストンシール(特許文献1では「ボンデットピストンシール」)が組み込まれている。自動変速機用ピストンシールは、変速のために用いられる多板クラッチを作動させるために、ハウジングの内部に収納したピストンを往復動させ、多板クラッチの締結と解放とを制御する。
金属製の環状部材であるピストンは、ハウジングの壁面に対面する領域にピストンリップを固定している。ピストンリップはハウジングの壁面に密接し、ハウジングとピストンとの間に密閉されたピストン油圧室を生成する。
多板クラッチを締結させるには、ピストン油圧室に作動オイルを導入する。これによってピストンが多板クラッチに向けて移動し、多板クラッチを押圧して締結させる。多板クラッチを開放するには、ピストン油圧室から作動オイルを退避させる。するとハウジング内に設けたリターンスプリングの復元力によってピストンは元の位置に復帰し、多板クラッチが解放される。こうして多板クラッチの締結と解放とが制御される。
ハウジングが高速回転すると、ピストン油圧室内では遠心力による圧力、いわゆる遠心油圧が発生する。遠心油圧は、リターンスプリングの復元力による復帰方向へのピストンの動きを阻害する。そこで自動変速機用ピストンシールには、キャンセラーが組み込まれている。
キャンセラーは、ピストン油圧室とは反対側の空間に位置固定された金属製の環状部材であり、ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成している。キャンセル油圧室は、キャンセラーに設けられたキャンセラーリップをピストンの内周面に密接させることで密閉され、内部に作動油を充填している。これによってハウジングの高速回転時、キャンセル油圧室にも遠心油圧が発生し、ピストン油圧室に生ずる遠心油圧をキャンセルすることができる。その結果ピストンの円滑な動きが確保され、自動変速機用ピストンシールの応答性が向上する。
特開2017-122486号公報
自動車などの車両の燃費は、オートマチック・トランスミッションの作動状態の良否に大きく左右される。このため自動変速機用ピストンシールにおいても、作動の円滑性が求められる。自動変速機用ピストンシールにおける作動の円滑性は、ピストンの動作に着目して考えることができる。ピストンの動作の円滑化を図る上では、ピストンリップやキャンセラーリップと相手部材との間の摩擦力をいかに低減するかが重要になる。
本発明の課題は、自動変速機用ピストンシールの作動部に生ずる摩擦力を低減することである。
本発明の一態様は、自動変速機用ピストンシールであって、回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記ハウジング内の周面に密接する前記ピストンリップのリップ端の硬度を前記ピストンリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする内部構造を前記ピストンリップに与えるピストンリップ調整部と、を備える。
本発明の別の一態様は、自動変速機用ピストンシールであって、回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする内部構造を前記キャンセラーリップに与えるキャンセラーリップ調整部と、を備える。
本発明のピストンリップの処理方法の一態様は、自動変速機用ピストンシールに用いられ、回転するハウジングの内部でその軸方向に沿って往復動する環状のピストンを用意する工程と、前記ハウジング内の周面に密接するように前記ピストンに設けられ、前記ハウジングと前記ピストンとの間にピストン油圧室を生成するのに寄与するピストンリップに対して、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記ハウジング内の周面に密接する前記ピストンリップのリップ端の硬度を前記ピストンリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする処理を施す工程と、を備える。
本発明のキャンセラーリップの処理方法の一態様は、自動変速機用ピストンシールに用いられ、回転するハウジングとその内部でその軸方向に沿って往復動する環状のピストンとの間に生成されるピストン油圧室とは反対側で、前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定される環状のキャンセラーを用意する工程と、前記ピストンの内周面に密接するように前記キャンセラーに設けられ、前記ピストンと前記キャンセラーとの間にキャンセル油圧室を生成するのに寄与するキャンセラーリップに対して、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする処理を施す工程と、を備える。
本発明の一態様によれば、自動変速機用ピストンシールの作動部に生ずる摩擦力を低減することできる。
実施の一形態として、軸を中心に自動変速機用ピストンシールを半分にして示す垂直断面図。 (A)はピストンリップの内周側リップを拡大して示す垂直断面図、(B)はピストンリップの外周側リップを拡大して示す垂直断面図、(C)はキャンセラーリップを拡大して示す垂直断面図。 ピストンリップ処理方法の実施の形態として、ピストン処理装置にピストンが設置され、リップ端の熱硬化処理を受けている様子を示す垂直断面図。 キャンセラーリップ処理方法の実施の形態として、キャンセラー処理装置にキャンセラーが設置され、リップ端の熱硬化処理を受けている様子を示す垂直断面図。 (A)は全体に熱硬化処理を施したピストンリップが相手部材に密接している状態、(B)は熱硬化処理を施していないピストンリップが相手部材に密接している状態、(C)は本実施の形態のピストンリップが相手部材に密接している状態をそれぞれ示す模式図。 ピストンリップ処理方法及びキャンセラーリップ処理方法の別の実施の形態として、(A)はピストンリップの内周側リップ端を、(B)はピストンリップの外周側リップ端を、(C)はキャンセラーリップのリップ端をそれぞれ放射線照射によって硬化させる処理を説明するための模式図。 ピストンリップ処理方法及びキャンセラーリップ処理方法のさらに別の実施の形態によって処理された(A)はピストンリップの内周側リップを拡大して示す垂直断面図、(B)はピストンリップの外周側リップを拡大して示す垂直断面図、(C)はキャンセラーリップを拡大して示す垂直断面図。 ピストンリップ処理方法及びキャンセラーリップ処理方法のさらに別の実施の形態によって処理された(A)はピストンリップの内周側リップを拡大して示す垂直断面図、(B)はピストンリップの外周側リップを拡大して示す垂直断面図、(C)はキャンセラーリップを拡大して示す垂直断面図。
実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、自動車などの車両に用いられるオートマチック・トランスミッションに内蔵される自動変速機用ピストンシールの一例である。
(基本的な構成)
図1に示すように、自動変速機用ピストンシール101は、ハウジング111の内部にピストン131を往復動自在に収納し、ピストン131の往復動によって複数枚のクラッチ板151の締結と解放とを実現している。複数枚のクラッチ板151は多板クラッチを構成しており、その締結と解放とによってオートマチック・トランスミッションに変速動作を実行させる。クラッチ板151の締結と解放とを制御するピストン131は、ボンデッドピストンシール(BPS)とも称される。
自動変速機用ピストンシール101は、キャンセラー171も内蔵している。キャンセラー171は、ハウジング111の高速回転時にピストン131に生ずる遠心油圧をキャンセルし、ピストン131の動作を適正化する。このようなキャンセラー171は、ボンデッドキャンセラーシール(BCS)とも称される。
ハウジング111は軸Aを中心に回転自在であり、その内部に、内周側を向いた周面である内向き周面112と、外周側を向いた周面である外向き周面113とを備えている。外向き周面113は、内向き周面112の内周側に位置づけられる。これらの二つの周面112,113の間で、ピストン131は軸Aに沿って往復動する。複数枚のクラッチ板151の締結及び解放方向も、軸Aに沿った方向である。
ピストン131、クラッチ板151、及びキャンセラー171は、ハウジング111と共に回転する。ピストン131、クラッチ板151、及びキャンセラー171も、軸Aを中心に回転自在である。
ピストン131は、例えば板金のプレス加工によって生成された金属製の環状部材であり、ハウジング111の外向き周面113を貫通させる貫通孔132を中央部分に備えている。断面にして見たピストン131は、貫通孔132を中心に二つのカップ状部材を逆さに並べたような形状を有している。これらのカップ状部材は、内周側から外周側に向けて内筒部133、円環部134、そして外筒部135によって生成されている。
内筒部133は、軸Aと平行に延びて貫通孔132を形成する部分であり、ハウジング111の外向き周面113に非接触状態で対面している。内筒部133の先端部分は、内側に向けて屈曲する屈曲部133aをなしている。
円環部134は、内周側よりも外周側の方が隆起した形状を有している。隆起方向は、クラッチ板151から離れる方向である。説明の便宜上、隆起していない内周側を内周部134a、隆起した外周側を隆起部134bと呼ぶ。
外筒部135は、軸Aと平行に延びてピストン131の外周面を形成する部分であり、ハウジング111の内向き周面112に非接触状態で対面している。外筒部135の先端部分は外側に向けて屈曲するフランジ135aをなしている。フランジ135aは、ピストン131の往復動に応じて最初のクラッチ板151aを押圧し、複数枚のクラッチ板151の締結及び開放を制御する。
ピストン131は、内周側及び外周側の全周にわたってピストンリップ136を固定している。ピストンリップ136は、例えば各種のゴム状弾性材料によって形成することができる。ゴム状弾性材料としては、例えばフッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)などの各種の合成ゴムを用いることができる。
内周側のピストンリップ136は、屈曲部133aに加硫接着された内周側リップ136aである。内周側リップ136aは、ハウジング111の外向き周面113に密接している。
外周側のピストンリップ136は、直角に屈曲する隆起部134bと外筒部135との連結部分に加硫接着された外周側リップ136bである。外周側リップ136bは、ハウジング111の内向き周面112に密接している。
図2(A)(B)に示すように、ピストンリップ136は、固定端E1とリップ端E2とを有している。これらの固定端E1及びリップ端E2は、内周側リップ136aにも外周側リップ136bにも設けられている。
図1に示すように、ピストン131の内外周にピストンリップ136を設けることで、ハウジング111の内部とピストン131との間には、密閉された空間が生成される。この空間は、作動オイル(図示せず)を導入するピストン油圧室137を構成する。
ハウジング111は、ピストン油圧室137内に作動オイルを導入し得るように、ピストン油圧室137に位置させて、外向き周面113にオイルポート115を設けている。オイルポート115は図示しない油圧回路に連絡し、ピストン油圧室137に対するオイルの出し入れを支援する。
自動変速機用ピストンシール101は、キャンセラー171を組み込んでいる。キャンセラー171もピストン131と同様に、金属製の環状部材である。キャンセラー171は、ピストン油圧室137とは反対側の空間に配置されており、ハウジング111内の外向き周面113に設けられたシールワッシャ114によって軸A方向に位置固定されている。
キャンセラー171は、ピストン131の内周面に密接するキャンセラーリップ172を外周部に固定している。ピストン131とキャンセラー171との間には、キャンセル油圧室173が生成される。キャンセル油圧室173には、作動オイル(図示せず)が充填されている。
図2(C)に示すように、キャンセラーリップ172もピストンリップ136と同様に、固定端E1とリップ端E2とを有している。
図1に示すように、キャンセル油圧室173には、キャンセラー171とピストン131との間に、付勢部としてのリターンスプリング191が圧縮された状態で設けられている。
(ピストンリップ調整部)
図2(A)(B)に示すように、ピストン131に設けられている内周側リップ136a及び外周側リップ136bは、ピストン131に固定される固定端E1側よりも、ハウジング111内の周面112,113に密接するリップ端E2側の硬度を高くする内部構造を有している。この内部構造は、界面を生じさせることなく、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くしている。
このような内部構造をピストンリップ136に与える要素を、本実施の形態ではピストンリップ調整部138と呼ぶ。固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度が界面なしに高いというピストンリップ136の内部構造は、その外部からは判別することができない。
(キャンセラーリップ調整部)
図2(C)に示すように、キャンセラー171に設けられているキャンセラーリップ172は、キャンセラー171に固定される固定端E1側よりも、ピストン131の内周面に密接するリップ端E2側の硬度を高くする内部構造を有している。この内部構造は、界面を生じさせることなく、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くしている。
このような内部構造をキャンセラーリップ172に与える要素を、本実施の形態ではキャンセラーリップ調整部174と呼ぶ。固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度が界面なしに高いというキャンセラーリップ172の内部構造は、その外部からは判別することができない。
(ピストンリップの処理方法)
ピストンリップ136にピストンリップ調整部138を設けるためには、ピストンリップの処理方法を実行する。この方法は、ピストン処理装置141を用いて行う。
図3に示すように、ピストン処理装置141は、設置台142に環状のピストン設置部143を備え、その内周側と外周側とに環状の熱処理部144を配置している。本実施の形態では、内周側の熱処理部144を144a、外周側の熱処理部144を144bと呼ぶ。ピストン設置部143と二つの熱処理部144(144a,144b)は、すべて同心上に配置されている。
ピストン設置部143は、ピストン131の隆起部134bに適合する径を有し、ピストン131を逆さまにした状態での隆起部134bの載置を許容する。これによってピストン設置部143は、設置台142上でピストン131を所定の高さに位置づけて支持する。
内周側の熱処理部144aは、環状の発熱部H1を備え、この発熱部H1を外周面の周上に配置している。配置位置は、ピストン設置部143にピストン131が正しく設置された状態で、内周側リップ136aのリップ端E2を発熱部H1自身に接触させ得る位置である。
外周側の熱処理部144bは、環状の発熱部H2を備え、この発熱部H2を内周面の周上に配置している。配置位置は、ピストン設置部143にピストン131が正しく設置された状態で、外周側リップ136bのリップ端E2を発熱部H2自身に接触させ得る位置である。
熱処理部144が有する発熱部H1,H2としては、例えば電気的な抵抗要素、赤外線ヒータなどを用いることができる。
ピストン処理装置141を用いたピストンリップ136の処理方法は、次の各工程によって実行される。
まず自動変速機用ピストンシール101に用いるピストン131を用意し、ピストン処理装置141のピストン設置部143にピストン131を設置する。するとピストン131に設けられた内周側リップ136aのリップ端E2が発熱部H1に対面し、外周側リップ136bのリップ端E2が発熱部H2に対面する。
つぎに発熱部H1,H2を駆動し、発熱させる。これによって内周側リップ136aのリップ端E2と外周側リップ136bのリップ端E2とが加熱され、これらのリップ端E2は熱によって硬化する。このときリップ端E2に対する熱の伝達は、発熱部H1,H2に近い場所から遠い場所へと勾配を持つため、ピストンリップ136の内部に界面を生じさせることなく、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くすることができる。
こうしてピストンリップ136に対して、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を界面なしに高くする処理が施され、ピストンリップ調整部138が生成される。
(キャンセラーリップの処理方法)
キャンセラーリップ172にキャンセラーリップ調整部174を設けるためには、キャンセラーリップの処理方法を実行する。この方法は、キャンセラー処理装置181を用いて行う。
図4に示すように、キャンセラー処理装置181は、設置台182に環状のキャンセラー設置部183を備え、その外周側に環状の熱処理部184を配置している。キャンセラー設置部183と熱処理部184は、同心上に配置されている。
キャンセラー設置部183は、キャンセラー171の外周側の領域を載置し得る径を有し、逆さまにした状態でのキャンセラー171載置を許容する。これによってキャンセラー設置部183は、設置台182上でキャンセラー171を所定の高さに位置づけて支持する。
熱処理部184は、環状の発熱部H3を備え、この発熱部H3を内周面の周上に配置している。配置位置は、キャンセラー設置部183にキャンセラー171が正しく設置された状態で、キャンセラーリップ172のリップ端E2を発熱部H3自身に接触させ得る位置である。
熱処理部184が有する発熱部H3としては、例えば電気的な抵抗要素、赤外線ヒータなどを用いることができる。
キャンセラー処理装置181を用いたキャンセラーリップ172の処理方法は、次の各工程によって実行される。
まず自動変速機用ピストンシール101に用いるキャンセラー171を用意し、キャンセラー処理装置181のキャンセラー設置部183にキャンセラー171を設置する。するとキャンセラー171に設けられたキャンセラーリップ172のリップ端E2が発熱部H3に対面する。
つぎに発熱部H3を駆動し、発熱させる。これによってキャンセラーリップ172のリップ端E2が加熱され、このリップ端E2は熱によって硬化する。このときリップ端E2に対する熱の伝達は、発熱部H3に近い場所から遠い場所へと勾配を持つため、キャンセラーリップ172の内部に界面を生じさせることなく、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くすることができる。
こうしてキャンセラーリップ172に対して、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を界面なしに高くする処理が施され、キャンセラーリップ調整部174が生成される。
(リップ端の硬度)
以上説明した処理方法によって増加したリップ端E2の硬度は、一例として10ポイント以上である。より詳しくは、JIS K6253:1997に基づく硬さ測定法で測定したとき(デュロメータ、瞬時)、熱硬化処理前より10ポイント以上の変化を目安として硬化処理を施している。
(基本的な作用)
以上のように構成された自動変速機用ピストンシール101は、つぎのような作用を奏する。
オイルポート115を介してピストン油圧室137に作動オイルが導入されると、ピストン油圧室137の内圧が高まり、油圧の作用でピストン131がクラッチ板151に向けて移動する。移動したピストン131は最初のクラッチ板151aを押圧し、複数枚のクラッチ板151の配置間隔を狭め、最終的にすべてのクラッチ板151を締結させる。ピストン油圧室137から作動オイルを退避させると、ピストン131はリターンスプリング191に付勢され、元の位置に復帰する。これによって複数枚のクラッチ板151が解放される。こうしてクラッチ板151の締結と解放とが行なわれる。
キャンセラー171は、ハウジング111の高速回転時、キャンセル油圧室173内に充填されたオイルによってピストン131にかかる遠心油圧をキャンセルし、リターンスプリング191の作動状態を適正化する。
(摩擦力の低減)
本実施の形態によれば、ハウジング111内の周面に対するピストンリップ136の摩擦力、及びピストン131の内周面に対するキャンセラーリップ172の摩擦力をともに減少させることができる。その理由を図5(A)~(C)に基づいて詳しく説明する。
図5(A)~(C)は、ピストンリップ136のうち外周側リップ(136b)を例に挙げ、この外周側リップ(136b)が相手部材Oに密接したときの摩擦力の大小を説明する模式図である。図5(A)(B)は比較例の外周側リップ136E1,136E2、図5(C)は本実施の形態の外周側リップ136bがそれぞれ相手部材Oに密接している状態を示している。
自動車などの車両の燃費をよくするには、オートマチック・トランスミッションの作動の円滑性を向上させることが必要である。そのためにはオートマチック・トランスミッション内で使用される自動変速機用ピストンシール101の作動を円滑にすることが肝要である。
自動変速機用ピストンシール101の作動部はピストン131である。このためその作動を円滑にするということは、ピストン131の作動によって生ずる摩擦力を低減することに他ならない。より詳しくは、ハウジング111内の周面に対して摺動するときのピストンリップ136のリップ端E2の摩擦力と、ピストン131の内周面に対して摺動するときのキャンセラーリップ172のリップ端E2の摩擦力との低減をそれぞれ目指すことになる。
摩擦力の大小は、摩擦係数と荷重とに依存する。このため自動変速機用ピストンシール101のピストン131に当てはめて考えると、ピストン131の作動時の摩擦力を低減するには、
(1)リップ136、172のリップ端E2と相手部材Oとの間の接触面積の低減
(2)相手部材Oに対するリップ136、172の接触力の低減
という二種類のアプローチが考えられる。(1)は摩擦係数の問題、(2)は荷重の問題として把握することができる。
図5(A)に示す外周側リップ136E1は、全体を熱処理することでゴム硬度を増加した比較例である。この比較例は、変形を防止して相手部材Oとの間の接触面積を低減することが摩擦力の低減につながると考えた上記(1)のアプローチに基づいている。
ところが実験をしてみると、ゴム硬度の増加によって相手部材Oに対する外周側リップ136E1の接触力が増加し、却って摩擦力が増大する結果になった。
図5(B)に示す外周側リップ136E2は、断面積を小さくして剛性を低下させた比較例である。この比較例は、剛性を低下させることが相手部材Oに対する接触力の低減につながると考えた上記(2)のアプローチに基づいている。
ところが実験をしてみると、外周側リップ136E2はその剛性の低さから相手部材Oに対する接触面積を大きくするように変形し、却って摩擦力を増大させる結果になった。相手部材Oに対する接触面積を大きくするような変形は、加圧によって自ら潰れるという現象のみならず、ピストン油圧室137内の油圧の高まりとともに、外周側リップ136E2にそのような変形が生ずるのだとも推定される。
以上の実験結果から、相手部材Oに対する接触面積(摩擦係数)の低減と接触力(荷重)の低減とはトレードオフの関係に立ってしまうことが判明した。
図5(C)に示す外周側リップ136bは、本実施の形態のピストン油圧室137で採用されているものである。外周側リップ136bは、ピストンリップ調整部138によって、ピストン131に固定される固定端E1側よりも、ハウジング111内の周面に密接するリップ端E2側の硬度を界面なしに高くする内部構造を与えられている。このような内部構造は、相手部材Oとの間の接触面積(摩擦係数)を低減しながら、相手部材Oに対する接触力(荷重)も低減することができるという特性を外周側リップ136bにもたらす。
外周側リップ136bにおいて相手部材Oとの間の接触面積(摩擦係数)を低減することができるのは、リップ端E2側が熱処理によって硬化しているからである。硬化した結果リップ端E2は潰れにくくなり、相手部材Oとの間の接触面積が減少する。
外周側リップ136bにおいて相手部材Oに対する接触力(荷重)を低減することができるのは、固定端E1側が熱処理によって硬化していないからである。その結果固定端E1側に大きな弾性変形を生じさせることができ、相手部材Oに対する接触力が減少する。
以上外周側リップ136bを例に挙げ、相手部材Oとの間の接触面積(摩擦係数)を低減しながら、相手部材Oに対する接触力(荷重)も低減することができるという特性について説明した。このような特性は、内周側リップ136a及びキャンセラーリップ172についても同様である。
したがって本実施の形態によれば、ハウジング111の周面に対するピストンリップ136の摩擦力を低減することができ、ピストン131の内周面に対するキャンセラーリップの摩擦力を低減することができる。その結果自動変速機用ピストンシール101が組み込まれるオートマチック・トランスミッションの作動の円滑性の向上が図られ、このオートマチック・トランスミッションを備えた自動車などの車両の燃費向上に貢献する。
(ピストンリップ及びキャンセラーリップの処理方法の別の実施の形態)
図6(A)~(C)に基づいて、ピストンリップの処理方法、キャンセラーリップの処理方法の別の実施の形態を説明する。図1ないし図5(A)~(C)に基づいて説明した上記実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、熱硬化処理ではなく、放射線照射による硬化処理をピストンリップ136及びキャンセラーリップ172に施す一例である。
図6(A)に示すように、ピストンリップ136のうちの内周側リップ136aにマスク201を成膜し、予めマスキング処理を施しておく。マスク201は、内周側リップ136aのリップ端E2側の一部領域のみを残し、固定端E1側を全面的に覆った形状である。
図6(B)に示すように、ピストンリップ136のうちの外周側リップ136bにもマスク201を成膜し、予めマスキング処理を施しておく。マスク201は、外周側リップ136bのリップ端E2側の一部領域のみを残し、固定端E1側を全面的に覆った形状である。
図6(C)に示すように、キャンセラーリップ172にもマスク201を成膜し、予めマスキング処理を施しておく。マスク201は、キャンセラーリップ172のリップ端E2側の一部領域のみを残し、固定端E1側を全面的に覆った形状である。
内周側リップ136a、外周側リップ136b、及びキャンセラーリップ172に製膜するマスク201は、後述する放射線Rに対して遮蔽性を有する性質と、後処理で剥離可能な性質とを有すれば、いかなるものであってもよい。
続いて内周側リップ136a、外周側リップ136b、及びキャンセラーリップ172のリップ端E2に対して、発振器211が発振する放射線Rを照射する。これによってマスク201に覆われていないリップ端E2は、放射線照射前よりも高い架橋構造(架橋密度)を持つようになり、硬度を高める。
発振器211は、内周側リップ136aなどの材料であるゴム状弾性材料に対して物性変化を発生し得る帯域の放射線Rを発生する。発振器211が発進する放射線Rには、例えば150eV~数MeV程度のエネルギーを持つ電子線である。
マスク201に覆われていないリップ端E2に対する放射線Rの発振時間は、その材料であるゴム状弾性材料の架橋構造を変化させ得るだけの時間に設定される。
リップ端E2に与える硬度及びその深度については、放射線Rのエネルギーとその照射時間とによって適宜設定される。換言すると、放射線Rのエネルギーとその照射時間とを適宜設定することによって、リップ端E2に所望の深度で所望の硬度を与えることができる。
以上の処理によって、固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を界面なしに高くする内部構造をピストンリップ136及びキャンセラーリップ172に与えることができる。
(ピストンリップ及びキャンセラーリップの処理方法のさらに別の実施の形態)
図7(A)~(C)に基づいて、ピストンリップ及びキャンセラーリップの処理方法のさらに別の実施の形態を説明する。図1ないし図5(A)~(C)に基づいて説明した上記実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、加硫促進剤による硬化処理をピストンリップ136及びキャンセラーリップ172に施す一例である。
図7(A)に示すように、ピストンリップ136のうちの内周側リップ136aには、ピストンリップ調整部138の一部として、リップ端E2側に硬化処理部301が生成されている。
図7(B)に示すように、ピストンリップ136のうちの外周側リップ136bにも、ピストンリップ調整部138の一部として、リップ端E2側に硬化処理部301が生成されている。
図7(C)に示すように、キャンセラーリップ172には、キャンセラーリップ調整部174の一部として、リップ端E2側に硬化処理部301が生成されている。
内周側リップ136a、外周側リップ136b、及びキャンセラーリップ172のそれぞれのリップ端E2に生成された硬化処理部301は、加硫促進剤によって生成された高硬度部分である。
硬化処理部301は、ゴム状弾性材料を用いてピストン131にピストンリップ136を加硫接着し、キャンセラー171にキャンセラーリップ172を加硫接着するに際して生成されている。その生成方法の一例としては、ピストンリップ136及びキャンセラーリップ172を製造するための金型(図示せず)に、加硫促進剤を分散させた離型剤を予め塗布するという方法がとられる。
詳しく説明する。
ピストン131にピストンリップ136、キャンセラー171にキャンセラーリップ172をそれぞれ加硫接着するには、一例として金型にピストン131及びキャンセラー171をセットし、図示しないキャビティに未加硫のゴム材料を充填する。この際、製品の取り出しを容易にするために金型内には離型剤が塗布される。そこでこの離型剤に、加硫促進剤を分散させるわけである。
加硫促進剤を分散させるのは、硬度を高くしようとするリップ端E2の部分である。一例として、加硫剤として硫黄、加硫促進剤としてチウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤などを離型剤に添加する。
その後キャビティに充填された未加硫のゴム材料を加硫してゴム製品、つまりピストンリップ136、キャンセラーリップ172を製造すれば、加硫促進剤を分散させた領域に対応するリップ端E2の部分が高密度に架橋され、この部分に硬度の高い硬化処理部301が生成される。こうして固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くする内部構造を二種類のリップ136、172に与えることができる。この内部構造は、界面のないピストンリップ調整部138及びキャンセラーリップ調整部174となる。
(ピストンリップ及びキャンセラーリップの処理方法のさらに別の実施の形態)
図8(A)~(C)に基づいて、ピストンリップの処理方法、キャンセラーリップの処理方法の別の実施の形態を説明する。図1ないし図5(A)~(C)に基づいて説明した上記実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
本実施の形態は、薬品の塗布による硬化処理をピストンリップ136及びキャンセラーリップ172に施す一例である。
図8(A)に示すように、ピストンリップ136のうちの内周側リップ136aには、ピストンリップ調整部138の一部として、リップ端E2側に硬化処理部401が生成されている。
図8(B)に示すように、ピストンリップ136のうちの外周側リップ136bにも、ピストンリップ調整部138の一部として、リップ端E2側に硬化処理部401が生成されている。
図8(C)に示すように、キャンセラーリップ172には、キャンセラーリップ調整部174の一部として、リップ端E2側に硬化処理部401が生成されている。
内周側リップ136a、外周側リップ136b、及びキャンセラーリップ172のそれぞれのリップ端E2に生成された硬化処理部401は、薬品の塗布によって生成された高硬度部分である。
硬化処理部401は、ピストンリップ136及びキャンセラーリップ172のリップ端E2に薬品を塗布することによって生成される。このとき用いられる薬品は、これらのリップ136、172の材料となるゴム状弾性材料の種類によって定められる。つまりリップ136、172の材料として用いられるゴム状弾性材料を硬化させ得る種類の薬品である。
一例として、上記リップ136、172にニトリルゴム(NBR)が用いられる場合、薬剤としては、酢酸もしくはギ酸の水溶液に過酸化水素を加えた水溶液であって、酢酸もしくはギ酸の水溶液の濃度が0.5~20重量%、過酸化水素/酸のモル比が1.0~30の範囲である処理液が用いられる。この処理液は、付加物であるエポキシを介してニトリルゴムの二重結合部分に付加反応を生じさせ、エポキシ化させる。
ピストンリップ136及びキャンセラーリップ172のリップ端E2は上記薬品の塗布によって硬化し、この部分に硬度の高い硬化処理部401を生成する。こうして固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くする内部構造を二種類のリップ136、172に与えることができる。この内部構造は、界面のないピストンリップ調整部138及びキャンセラーリップ調整部174となる。
(変形例)
実施に際しては、各種の変形や変更が許容される。
例えば上記実施の形態では、ピストンリップ136にピストンリップ調整部138を設け、キャンセラーリップ172にキャンセラーリップ調整部174を設けたが、実施に際しては、その一方のみであってもよい。つまりピストンリップ136にはピストンリップ調整部138を設けるものの、キャンセラーリップ172にはキャンセラーリップ調整部174を設けない態様であっても、反対にキャンセラーリップ172にはキャンセラーリップ調整部174を設けるものの、ピストンリップ136にはピストンリップ調整部138を設けない態様も許容される。
ピストンリップ136にピストンリップ調整部138を設けるピストンリップの処理方法についても、上記各実施の形態で紹介したものに限らず、界面を生じさせることなく固定端E1側よりもリップ端E2側の硬度を高くすることができる手法を採用することが可能である。この点はキャンセラーリップの処理方法についても同様である。
例えばピストンリップ136及びキャンセラーリップ172に熱硬化処理を施す場合、図3に示したピストン処理装置141、あるいは図4に示したキャンセラー処理装置181を用いず、他の構造の加熱手段によって熱硬化処理を施すようにしてもよい。
ピストンリップ136及びキャンセラーリップ172のリップ端E2側を界面なしに硬化させる加硫促進剤や薬品についても、上記実施の形態で例示したものに限らず、様々な種類のものを用いることが可能である。
その他あらゆる変形や変更が可能である。
101 自動変速機用ピストンシール
111 ハウジング
112 内向き周面
113 外向き周面
114 シールワッシャ
115 オイルポート
131 ピストン
132 貫通孔
133 内筒部
133a 屈曲部
134 円環部
134a 内周部
134b 隆起部
135 外筒部
135a フランジ
136 ピストンリップ
136a 内周側リップ
136b 外周側リップ
136E1 外周側リップ
136E2 外周側リップ
137 ピストン油圧室
138 ピストンリップ調整部
141 ピストン処理装置
142 設置台
143 ピストン設置部
144、144a、144b 熱処理部
151 クラッチ板
151a 最初のクラッチ板
171 キャンセラー
172 キャンセラーリップ
173 キャンセル油圧室
174 キャンセラーリップ調整部
181 キャンセラー処理装置
182 設置台
183 キャンセラー設置部
184 熱処理部
191 リターンスプリング(付勢部)
201 マスク
211 発振器
301 硬化処理部
401 硬化処理部
E1 固定端
E2 リップ端
H1、H2、H3 発熱部
O 相手部材
R 放射線

Claims (9)

  1. 自動変速機用ピストンシールであって、
    回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、
    前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、
    前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記ハウジング内の周面に密接する前記ピストンリップのリップ端の硬度を前記ピストンリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする内部構造を前記ピストンリップに与えるピストンリップ調整部と、
    を備えることを特徴とする自動変速機用ピストンシール。
  2. 前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする内部構造を前記キャンセラーリップに与えるキャンセラーリップ調整部を備える、
    請求項1に記載の自動変速機用ピストンシール。
  3. 自動変速機用ピストンシールであって、
    回転するハウジングの内部にその軸方向に沿って往復動自在に設けられ、前記ハウジング内の周面にピストンリップを密接させて前記ハウジングとの間にピストン油圧室を生成する環状のピストンと、
    前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定され、前記ピストンの内周面にキャンセラーリップを密接させて前記ピストンとの間にキャンセル油圧室を生成する環状のキャンセラーと、
    前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする内部構造を前記キャンセラーリップに与えるキャンセラーリップ調整部と、
    を備える自動変速機用ピストンシール。
  4. 自動変速機用ピストンシールに用いられ、回転するハウジングの内部でその軸方向に沿って往復動する環状のピストンを用意する工程と、
    前記ハウジング内の周面に密接するように前記ピストンに設けられ、前記ハウジングと前記ピストンとの間にピストン油圧室を生成するのに寄与するピストンリップに対して、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記ハウジング内の周面に密接する前記ピストンリップのリップ端の硬度を前記ピストンリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする処理を施す工程と、
    を備えるピストンリップの処理方法。
  5. 前記ピストン油圧室とは反対側で前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定される環状のキャンセラーを用意する工程と、
    前記ピストンの内周面に密接するように前記キャンセラーに設けられ、前記ピストンと前記キャンセラーとの間にキャンセル油圧室を生成するのに寄与するキャンセラーリップに対して、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする処理を施す工程と、
    を備える請求項4に記載のピストンリップの処理方法。
  6. 前記ピストンリップの硬度を設定する処理は、
    前記ピストンの設置を受け入れ、前記ピストンが設置された状態で前記ピストンリップのリップ端に発熱部を接触させるピストン設置部に前記ピストンを設置する工程と、
    前記発熱部を駆動して発熱させる工程と、
    を備える請求項4に記載のピストンリップの処理方法。
  7. 前記キャンセラーリップの硬度を設定する処理は、
    前記キャンセラーの設置を受け入れ、前記キャンセラーが設置された状態で前記キャンセラーリップのリップ端に発熱部を接触させるキャンセラー設置部に前記キャンセラーを設置する工程と、
    前記発熱部を駆動して発熱させる工程と、
    を備える請求項5に記載のピストンリップの処理方法。
  8. 自動変速機用ピストンシールに用いられ、回転するハウジングとその内部でその軸方向に沿って往復動する環状のピストンとの間に生成されるピストン油圧室とは反対側で、前記ピストンに対面するように前記ハウジング内で軸方向に位置固定される環状のキャンセラーを用意する工程と、
    前記ピストンの内周面に密接するように前記キャンセラーに設けられ、前記ピストンと前記キャンセラーとの間にキャンセル油圧室を生成するのに寄与するキャンセラーリップに対して、前記自動変速機用ピストンシールが未使用の状態で、前記キャンセラーリップのリップ端の硬度を前記キャンセラーリップの他の部分の硬度よりも界面なしに高くする処理を施す工程と、
    を備えるキャンセラーリップの処理方法。
  9. 前記キャンセラーリップの硬度を設定する処理は、
    前記キャンセラーの設置を受け入れ、前記キャンセラーが設置された状態で前記キャンセラーリップのリップ端に発熱部を接触させるキャンセラー設置部に前記キャンセラーを設置する工程と、
    前記発熱部を駆動して発熱させる工程と、
    を備える請求項8に記載のキャンセラーリップの処理方法。
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