以下、本開示に係る医療機器用カバーの実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
図1、図2は、画像診断装置100を示す図である。図1、図2に示す画像診断装置100は、画像診断用カテーテル110と、外部装置120と、を備える。図1、図2では、画像診断用カテーテル110が外部装置120に接続されている状態を示している。詳細は後述するが、図1、図2は、画像診断装置100の異なる形態を示している。
画像診断用カテーテル110は、生体内に挿入される長尺な医療機器である。外部装置120は、生体外で画像診断用カテーテル110に接続される別の医療機器である。図1、図2に示すように、本開示に係る医療機器用カバーの一実施形態としての医療機器用カバー1は、画像診断装置100の外部装置120に使用可能である。
まず、図1、図2を参照して、画像診断装置100の概要について説明する。
画像診断用カテーテル110は、血管内超音波診断法(IVUS:Intra Vascular Ultra Soundの略)、光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomographyの略)等に適用可能である。図1、図2に示すように、画像診断用カテーテル110は、外部装置120に接続されることによって駆動される。より具体的に、画像診断用カテーテル110は、外部装置120の駆動ユニット120aに接続されている。
図1、図2に示すように、画像診断用カテーテル110は、挿入部110aと、操作部110bと、を備える。挿入部110aは、画像診断用カテーテル110のうち、生体内に挿入されて使用される部位である。操作部110bは、画像診断用カテーテル110のうち、挿入部110aが生体内に挿入されている状態で、生体外で操作される部位である。図1、図2に示す画像診断用カテーテル110では、後述する遠位側コネクタ62(図1、図2参照)よりも遠位側の部分が挿入部110aであり、遠位側コネクタ62から近位側の部分が操作部110bである。
図1、図2に示すように、挿入部110aは、イメージングコア部10と、駆動シャフト20と、シース40と、を備える。イメージングコア部10は、駆動シャフト20の遠位側に連結されている。イメージングコア部10及び駆動シャフト20は、シース40内に位置し、シース40と共に生体内に挿入されて使用される。
図1、図2に示すように、操作部110bは、内管部材50と、外管部材60と、を備える。内管部材50は、駆動シャフト20の近位側の端部を保持している。外管部材60は、シース40の近位側の端部を保持している。内管部材50が外管部材60内を中心軸方向に移動することで、画像診断装置100は、図1に示す形態と図2に示す形態とで形態変化する。つまり、内管部材50が外管部材60内を中心軸方向に移動することで、イメージングコア部10をシース40内で長手方向に移動させることができる。
イメージングコア部10は、所定の信号を送受信可能な送受信部材を備える。送受信部材としては、例えば、超音波信号を送受信可能な超音波振動子、光信号を送受信可能な光学素子、等が挙げられる。
駆動シャフト20は、シース40内で中心軸線O周りを回転可能である。また、上述のイメージングコア部10は、シース40内で駆動シャフト20に対して取り付けられている。そのため、駆動シャフト20は、シース40内でイメージングコア部10を中心軸線O周りで回転させる。より具体的に、駆動シャフト20は、シース内で中心軸線O周りを回転することにより、イメージングコア部10の送受信部材を中心軸線O周りで回転させる。駆動シャフト20を回転させる動力源は、例えば、後述する外部装置120の駆動ユニット120aのモータ121(図1参照)である。
図1、図2に示すように、シース40は、イメージングコア部10及び駆動シャフト20が収容されているルーメンを区画する本体部40aと、この本体部40aの遠位端部に並設され、ガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤ挿通部40bと、を備える。
図1、図2に示すように、内管部材50は、内管51と、ハブ52と、を備える。内管51は、外管部材60内で進退移動可能に挿入されている。ハブ52は、内管51の近位側に設けられている。
図1、図2に示すように、外管部材60は、外管61と、遠位側コネクタ62と、近位側コネクタ63と、を備える。外管61は、内管51の径方向の外側に位置し、外管61内を内管51が進退移動する。遠位側コネクタ62は、シース40の本体部40aの近位端部と、外管61の遠位端部と、を接続している。近位側コネクタ63は、外管61の近位端部に設けられ、内管51を外管61内に受容するように構成されている。
上述した駆動シャフト20及び駆動シャフト20内の信号線は、シース40の本体部40aのルーメンから、この本体部40aの近位側に接続された外管部材60の内部、及び、この外管部材60に一部が挿入されている内管部材50の内部を通じて、内管部材50の近位端部に位置するハブ52まで、延在している。
上述したイメージングコア部10は、駆動シャフト20を介して内管部材50と一体的に連結されている。そのため、内管部材50が、長手方向の一方側(図1、図2で左側。以下、「挿入方向」と記載する。)に向かって押される操作がなされると、内管部材50は、挿入方向に向かって、外管部材60内に押し込まれる。内管部材50が挿入方向に向かって外管部材60内に押し込まれると、内管部材50に対して駆動シャフト20を介して連結されているイメージングコア部10は、シース40の本体部40a内を挿入方向に移動する。逆に、内管部材50が、長手方向の他方側(図1、図2で右側。以下、「抜去方向」と記載する。)に向かって引かれる操作がなされると、内管部材50は、外管部材60内から抜去方向に引き出される。内管部材50が外管部材60内から抜去方向に引き出されると、内管部材50に対して駆動シャフト20を介して連結されているイメージングコア部10は、シース40の本体部40a内を抜去方向に移動する。
内管部材50のハブ52の近位端には、外部装置120と機械的、および、電気的又は光学的、に接続されるコネクタ部が設けられている。具体的に、図1、図2に示す画像診断用カテーテル110は、内管部材50のハブ52に設けられたコネクタ部により、外部装置120の駆動ユニット120aと機械的に接続される。また、図1、図2に示す画像診断用カテーテル110の信号線としての電気信号線は、イメージングコア部10の送受信部材からハブ52のコネクタ部まで延在している。そして、信号線としての電気信号線は、ハブ52のコネクタ部が外部装置120に接続された状態で、イメージングコア部10の送受信部材と外部装置120とを電気的に接続する。イメージングコア部10の送受信部材における受信信号は、ハブ52のコネクタ部を介して外部装置120に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。
図1、図2に示すように、外部装置120は、駆動ユニット120aと、支持台120bと、を備える。
駆動ユニット120aは、駆動シャフト20を回転させるための動力源であるモータ121を備える。
また、駆動ユニット120aは、支持台120b上を駆動シャフト20の長手方向に移動する動力源であるモータ122を備える。このモータ122の回転運動は、ボールネジ等の所定の運動変換機構を用いて、駆動シャフト20の長手方向の運動に変換される。
支持台120bは、画像診断用カテーテル110の外管部材60の近位側コネクタ63が取り付けられて固定される固定部123を備える。具体的に、固定部123は、近位側コネクタ63を挟持することで、近位側コネクタ63の位置を固定する。
したがって、駆動ユニット120aは、モータ121により、イメージングコア部10及び駆動シャフト20をシース40内で回転させる。また、駆動ユニット120aは、モータ122により、支持台120b上を駆動シャフト20の長手方向に移動することで、イメージングコア部10及び駆動シャフト20をシース40内で長手方向に移動させる。
外部装置120は、例えばケーブル30を介して、制御装置及び表示装置に電気的に接続される。制御装置は、画像診断用カテーテル110から受信した受信信号に基づいて生成した画像を、液晶モニタ等の表示装置に表示させることができる。駆動ユニット120aの動作は、制御装置によって制御される。制御装置は、CPU及びメモリを含むプロセッサにより構成することができる。
次に、本開示に係る医療機器用カバーの一実施形態としての医療機器用カバー1について説明する。図1、図2に示すように、画像診断装置100において、外部装置120は、医療機器用カバー1に覆われた状態で使用されている。
まず、医療機器用カバー1により外部装置120を覆う作業について説明する。図3、図4は、医療機器用カバー1を外部装置120に覆い被せる作業工程を示す図である。
図3、図4に示すように、医療機器用カバー1は、開放口71を通じて外部空間と連通する、医療機器としての外部装置120を収容可能な内部空間72を区画するカバー本体部材2を備える。ここで言う「外部空間」とは、カバー本体部材2に対する外部の空間を意味する。したがって、カバー本体部材2が後述する拘束部材4(図5参照)としての包装体に収容されている状態では、包装体の内部空間73(図5参照)であっても、カバー本体部材2の外部の空間であれば、上述の「外部空間」に該当する。
図3に示すように、外部装置120に覆い被せる際の本実施形態のカバー本体部材2の開放口71は、外面側に蛇腹状に折り返されている。そのため、図4に示すように、外部装置120は、蛇腹状に折り返されている開放口71を通じて、内部空間72内へ収容される。次いで、図4に示すように、蛇腹状に折り返されている部分が引き伸ばされる。これにより、外部装置120のみならず、外部装置120に接続されているケーブル30等についても、カバー本体部材2により覆われる。
また、図3、図4に示すように、医療機器用カバー1は、開放口71とは異なる位置でカバー本体部材2に取り付けられている接続部材3を備える。接続部材3は、他の医療機器としての画像診断用カテーテル110と接続可能である。具体的に、接続部材3は、袋状のカバー本体部材2の内外を連通する接続孔3aを区画している。画像診断用カテーテル110の内管部材50のハブ52の近位端に位置するコネクタ部は、この接続孔3aを通じて、内部空間72に位置する外部装置120の駆動ユニット120aと機械的及び電気的に接続される。
また、図3、図4に示すように、カバー本体部材2には、外部装置120が内部空間72に収容された状態で、外部装置120の支持台120bの固定部123に位置決めされる位置決め部2cが設けられている。画像診断用カテーテル110の外管部材60の近位側コネクタ63は、このカバー本体部材2の位置決め部2cを介して、固定部123に固定される。
以下、医療機器用カバー1の詳細について説明する。図5は、医療機器用カバー1の断面図である。図5では、説明の便宜上、接続部材3を省略して描いている。また、図5では、説明の便宜上、カバー本体部材2の位置決め部2cを省略して描いている。更に、図5では、説明の便宜上、カバー本体部材2の開放口71の位置に設けられる蛇腹状の折り返し部分を省略して描いている。図6は、医療機器用カバー1の製造工程の一例の概要を示す図である。
図5に示すように、医療機器用カバー1は、カバー本体部材2と、接続部材3と、拘束部材4と、を備える。詳細は後述するが、図6に示すように、本実施形態のカバー本体部材2は折り重ねられ、拘束部材4としての包装体に包装される。
カバー本体部材2は、上述したように、開放口71を通じて外部空間と連通する内部空間72を区画している。この内部空間72には、開放口71を通じて、医療機器としての外部装置120を収容可能である(図1~図4参照)。
図3~図6に示すように、カバー本体部材2は、透過シート部2aと、不透過シート部2bと、を備える。透過シート部2aは、外部空間と内部空間72との間で気体を透過可能な部分である。不透過シート部2bは、外部空間と内部空間72との間で気体を透過させない部分である。
透過シート部2aは、滅菌ガスなどの気体を透過させる通気性を有する。ここで、「通気性を有する」とは、JIS T 0841-1の附属書Cに規定される非透気性の試験方法に基づく非透気性材料の基準を充足しないことを意味する。以下、上記試験方法により非透気性材料の基準を充足しない材料を、「多孔質材料」と記載する。したがって、透過シート部2aは、多孔質材料により構成されている。
更に、透過シート部2aは、微生物を透過させない微生物バリア特性を有する。ここで、「微生物バリア特性を有する」とは、JIS T 0841-1の5.2を充足することを意味する。具体的には、旧日本医療器材工業会(医器工/現日本医療機器テクノロジー協会(MTジャパン))の「ディスポーザブル医療用具包装材料自主規格」に規定されている「遮菌性試験」により評価することができる。この他に、ASTM F 1608又はASTM F 2638により評価されてもよい。
透過シート部2aは、上述したように、通気性を有し、かつ、微生物バリア特性を有する構成であればよく、その構成・材料等は特に限定されないが、透過シート部2aとしては、例えば、不織布や紙などを用いることができる。一例として、透過シート部2aは、高密度ポリエチレン繊維の不織布により構成することができる。
カバー本体部材2が透過シート部2aを備えることにより、カバー本体部材2が折り重ねられた状態にされる場合であっても、内部空間72に残留する空気を、透過シート部2aを通じて、外部空間へと排出し易くなる。そのため、後述するカバー本体部材2の滅菌処理の減圧工程(図7参照)においても、カバー本体部材2は、内部空間72に残留する空気が外部空間に排出され易いため、膨れ上がり難い。これにより、カバー本体部材2が膨れ上がることで生じる破損を抑制できる。
不透過シート部2bは、滅菌ガスなどの気体を透過させる通気性を有さない。ここで、「通気性を有さない」とは、JIS T 0841-1の附属書Cに規定される非透気性の試験方法に基づく非透気性材料の基準を充足することを意味する。つまり、不透過シート部2bは、JIS T 0841-1の附属書Cに基づく、非透気性材料により構成されている。
不透過シート部2bは、上述したように、通気性を有さない構成であればよく、その構成・材料等は特に限定されないが、不透過シート部2bとしては、例えば、樹脂材料をシート状に成形した樹脂シートなどを用いることができる。一例として、不透過シート部2bは、ポリエチレンシートにより構成することができる。
図6に示すように、接続部材3は、上述したように、開放口71とは異なる位置でカバー本体部材2に取り付けられている。
上述したカバー本体部材2の透過シート部2aは、接続部材3の位置から開放口71を区画す開放端の位置まで延在していることが好ましい。この構成の詳細は後述する(図8参照)。
拘束部材4は、折り重ねられている状態のカバー本体部材2を拘束する。本実施形態の拘束部材4は、カバー本体部材2を包み込む包装体である。具体的に、拘束部材4としての包装体は、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の周囲全域を覆っている。換言すれば、本実施形態の拘束部材4としての包装体は、折り重ねられている状態のカバー本体部材2を、内部空間73に収容している。
本実施形態の拘束部材4としての包装体は、気体を透過可能な透過シート部4aを備える。拘束部材4の透過シート部4aは、外部空間と、カバー本体部材2が位置する内部空間73との間で気体を透過可能な部分である。
透過シート部4aは、滅菌ガスなどの気体を透過させる通気性を有する。ここで「通気性を有する」の意味は、上述したカバー本体部材2の透過シート部2aと同様である。
更に、透過シート部4aは、微生物を透過させない微生物バリア特性を有する。ここで「微生物バリア特性を有する」の意味は、上述したカバー本体部材2の透過シート部2aと同様である。
透過シート部4aは、上述したように、通気性を有し、かつ、微生物バリア特性を有する構成であればよく、その構成・材料等は特に限定されないが、透過シート部4aとしては、例えば、不織布や紙などを用いることができる。一例として、透過シート部4aは、高密度ポリエチレン繊維の不織布により構成することができる。
また、本実施形態の拘束部材4としての包装体は不透過シート部4bを備える。透過シート部4bは、外部空間と、カバー本体部材2が位置する内部空間73との間で気体を透過させない部分である。
不透過シート部4bは、滅菌ガスなどの気体を透過させる通気性を有さない。ここで、「通気性を有さない」の意味は、上述したカバー本体部材2の不透過シート部2bと同様である。
不透過シート部4bは、上述したように、通気性を有さない構成であればよく、その構成・材料等は特に限定されないが、不透過シート部4bとしては、例えば、樹脂材料をシート状に成形した樹脂シートなどを用いることができる。一例として、不透過シート部2bは、ポリエチレンシートにより構成することができる。
本実施形態の拘束部材4としての包装体は、透過シート部4a及び不透過シート部4bの両方を備えるが、不透過シート部4bがない構成であってもよい。不透過シート部4bを設ける場合は、防水性を有する不透過シート部4bとすることが好ましい。このようにすることで、内部空間73に液体が進入し、内部空間73に収容されるカバー本体部材2に液体が付着することを抑制できる。
また、拘束部材4としての包装体は、例えば、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の積層方向Aの一方側を覆う部分のみに透過シート部4aを備えてもよい。更に、拘束部材4としての包装体は、例えば、カバー本体部材2の積層方向Aの一方側を覆う部分及び他方側を覆う部分の両方それぞれに透過シート部4aを備えてもよい。
次に、本実施形態のカバー本体部材2の透過シート部2aの更なる詳細について説明する。
図5に示すように、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の少なくとも1層に、透過シート部2aが設けられている。本実施形態のカバー本体部材2は開放口71が設けられている袋状である。そのため、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の1層とは、内部空間72を挟む少なくとも2枚のシートを含む。
このように、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の少なくとも1層に透過シート部2aが設けられていることで、後述するカバー本体部材2の滅菌処理後の減圧工程(図7参照)において、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の内部空間72に残留する空気を、透過シート部2aを通じて内部空間72外へ排出し易くなる。つまり、後述の滅菌処理の減圧工程(図7参照)において、カバー本体部材2が膨れ上がることを抑制し、その結果、カバー本体部材2が破損することを抑制できる。
図5に示すように、本実施形態のカバー本体部材2は、拘束部材4としての包装体の内部空間73で、6層に折り重ねられている。本実施形態では、これら6層の全てに、透過シート部2aが設けられている。このように、全層に透過シート部2aを設けることで、減圧工程(図7参照)において、カバー本体部材2が膨れ上がることを、より抑制することができる。
更に、図5に示すように、折り重ねられている状態のカバー本体部材2は、開放口71を含む開放層74aと、開放口71を含まない密閉層74bと、を備える。具体的に、図5に示す本実施形態のカバー本体部材2は、3層の開放層74aと、3層の密閉層74bと、を備える。本実施形態のカバー本体部材2では、上述したように全層に透過シート部2aが設けられている。
本実施形態のように、透過シート部2aが設けられる層には、少なくとも1つの密閉層74bを含むことが好ましい。また、本実施形態のように、透過シート部2aは、全ての密閉層74bに設けられていることが、より好ましい。更に、本実施形態のように、透過シート部2aは、全ての密閉層74bに加えて、開放層74aにも設けられていることが、特に好ましい。このようにすることで、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の内部空間72に残留する空気を、透過シート部2aを通じて内部空間72外へ、より排出し易くなる。そのため、後述の滅菌処理の減圧工程(図7参照)において、カバー本体部材2が膨れ上がることを、より抑制できる。
また、図5に示すように、本実施形態のカバー本体部材2は、層同士を繋ぐ屈曲部75の位置で連続し、少なくとも2層に設けられている透過シート部2aを備える。
具体的に、図5に示すカバー本体部材2の積層方向Aの両端に位置する2層(積層方向Aの一方側から1層目及び6層目)は、屈曲部75aで繋がっている。この屈曲部75aを介して繋がっている2層には、屈曲部75aの位置で連続する透過シート部2aが設けられている。
また、図5に示すカバー本体部材2の積層方向Aの中央に位置する2層(積層方向Aの一方側から3層目及び4層目)は、屈曲部75bで繋がっている。この屈曲部75bを介して繋がっている2層には、屈曲部75bの位置で連続する透過シート部2aが設けられている。
更に、図5に示すカバー本体部材2の積層方向Aの残りの2層(積層方向Aの一方側から2層目及び5層目)は、屈曲部75cで繋がっている。この屈曲部75cを介して繋がっている2層には、屈曲部75cの位置で連続する透過シート部2aが設けられている。
このように、屈曲部75の位置で繋がり複数の層に亘って延在する透過シート部2aを形成することで、複数の層で別々の透過シート部を形成しなくてよい。そのため、少なくとも2層に位置する透過シート部2aを容易に形成できる。
本実施形態のカバー本体部材2は、屈曲部75の位置で繋がり2層に亘って延在する透過シート部2aを備えるが、この構成に限られず、2つ以上の屈曲部の位置で繋がり、3層以上に亘って延在する透過シート部2aを備えるカバー本体部材2としてもよい。
本実施形態のカバー本体部材2では、各層において、内部空間72を挟む両方のシートそれぞれに透過シート部2aが形成されている。このようにすることで、内部空間72に残留する空気を、より効率的に内部空間72外へと排出できる。
更に、本実施形態のカバー本体部材2では、各層において、内部空間72を挟む両方のシートそれぞれに形成されている透過シート部2aが、積層方向Aで対応しているが、積層方向Aで対向しない位置に形成されていてもよい。
また、図6に示すように、本実施形態の透過シート部2aは、カバー本体部材2の複数の層に設けられており、その中の少なくとも2層に設けられている透過シート部2aは、積層方向Aで少なくとも一部が重なっている(図6(b)、図6(c)参照)。このように、複数の層に形成されている透過シート部2aは、積層方向Aで重なる位置に形成されていることが好ましい。このようにすることで、内部空間72に残留する空気を内部空間72外へとより効率的に排出できる。
また、本実施形態のカバー本体部材2は、上述の屈曲部75の位置で連続し複数の層に亘って延在する透過シート部2aが積層方向Aで重なるように、折り重ねられている。このようにすることで、カバー本体部材2の透過シート部2aを形成し易さ、及び、内部空間72内の空気の排出効率の向上、を両立できる。
次に、医療機器用カバー1の製造方法の一例について、図6を参照して例示説明する。図6(a)~図6(c)に示すように、カバー本体部材2を折り重ねる。図6(a)では、折り重ねる前のカバー本体部材2を示している。上述したように、本実施形態のカバー本体部材2の開放口71は、外部装置120を収容する作業を容易にするため、外側に蛇腹状に折り返されているが、このような蛇腹状の折り返しがないカバー本体部材であってもよい。
図6(a)に示すように、カバー本体部材2には、帯状に延在する透過シート部2aが複数形成されている。本実施形態のカバー本体部材2の透過シート部2a以外の部分は、不透過シート部2bにより構成されている。
図6(b)では、図6(a)に示されるカバー本体部材2が、折り目の一端が開放口71の位置になるようにして、三つ折りにされる様子が、示されている。本実施形態のカバー本体部材2では、三つ折りにされて重ねられる3層それぞれに、透過シート部2aが設けられている。また、図6(b)に示すように、三つ折りにして重ねられる3層それぞれの両側に、透過シート部2aが形成されている。図6(b)に示すように、本実施形態のカバー本体部材2では、三つ折りにして重ねられる3層それぞれに形成されている透過シート部2aは、積層方向Aで重なる。
図6(c)では、図6(b)に示されるカバー本体部材2が、折り目の一端が開放口71の位置にならないようにして、二つ折りにされる様子が、示されている。図6(c)において二つ折りにされるカバー本体部材2は、合計6層に折り重ねられた状態となる。本実施形態のカバー本体部材2では、図6(c)において二つ折りにして重ねられる合計6層それぞれに形成されている透過シート部2aは、積層方向Aで重なる。
図6(d)では、図6(c)に示されるカバー本体部材2が拘束部材4としての包装体により包装される様子が、示されている。拘束部材4としての包装体は、例えば、2枚のシート材又は二つ折りにされた1枚のシート材、の周囲を熱溶着して形成されるピール袋である。拘束部材4としての包装体は、折り畳まれたカバー本体部材2を内部に収容した状態で、周囲全てが熱融着されて密封される。
このようにして、本実施形態の医療機器用カバー1を製造することできる。
図7は、図6により製造される医療機器用カバー1のカバー本体部材2の滅菌処理の概要を示す図である。図7に示すように、図6により製造された医療機器用カバー1は、滅菌処理用の容器76内の処理空間77で、滅菌処理される。具体的には、容器76内に医療機器用カバー1を配置する。容器76内の処理空間77をEOGガス(エチレンオキサイドガス)などの滅菌ガスで満たす。滅菌ガスの内圧を高めることで、滅菌ガスは、拘束部材4としての包装体の透過シート部4aから内部空間73に入り込む。これにより、拘束部材4としての包装体に包装されているカバー本体部材2を滅菌ガスにより滅菌することができる。
カバー本体部材2の滅菌後には、容器76内の処理空間77から滅菌ガスを除去する。具体的には、処理空間77を減圧して、滅菌ガスを処理空間77外に排出する。この際に、折り重ねられている状態のカバー本体部材2の内部空間72に空気が残留していると、この空気が滞留したまま膨張するが、本実施形態のカバー本体部材2では、透過シート部2aが設けられているため、内部空間72に残留する空気を、透過シート部2aを通じて外部に排出できる。具体的に、内部空間72に残留する空気は、透過シート部2aを通じて、拘束部材4としての包装体の内部空間73に排出される。更に、内部空間73へと排出された空気は、拘束部材4としての包装体の透過シート部4aを通じて、処理空間77へと排出される。そのため、この減圧工程において、折り重ねられている状態のカバー本体部材2が膨れ上がることを抑制できる。そのため、膨れ上がることでカバー本体部材2が破損することを抑制できる。
更に、本実施形態の拘束部材4としての包装体は、周囲が熱溶着されているピール袋により構成されている。そのため、カバー本体部材2が膨れ上がることを抑制することで、拘束部材4としての包装体の熱溶着部分に剥離する力が作用することを抑制できる。つまり、拘束部材4としてピール袋を利用する場合であっても、上記の減圧工程においてピール袋の熱溶着部分が剥離することを抑制できる。
カバー本体部材2の滅菌処理時には、環境コントロールとして、熱及び蒸気の負荷をかける。拘束部材4としてピール袋を利用する場合には、熱及び蒸気により、熱溶着部分が剥離し易い。そのため、減圧工程において膨れ上がり難い本実施形態のカバー本体部材2は、特に有益である。
最後に、上述した医療機器用カバー1のカバー本体部材2の変形例について図8を参照して説明する。図8に示すカバー本体部材202は、透過シート部202aの位置が、上述したカバー本体部材2の透過シート部2aと相違しており、その他の構成は共通する。
図8に示すカバー本体部材202の透過シート部202aは、接続部材3の位置から開放口71を区画す開放端の位置まで延在している。より具体的に、図8に示す透過シート部202aは、接続部材3の位置から開放口71を区画す開放端の位置まで帯状に延在している。このような透過シート部202aを設けることで、カバー本体部材202の使用後に、カバー本体部材202から透過シート部202aを剥がし取り易くなる。そのため、医療機器としての外部装置120(図1~図4参照)を、内部空間72から容易に取り出すことができる。また、カバー本体部材202から上述の透過シート部202aを取り外すことで、カバー本体部材202から接続部材3を取り外し易くなる。つまり、カバー本体部材2と接続部材3とを分離し易くなるため、使用後に廃棄し易い。
本開示に係る医療機器用カバーは、上述の実施形態及び変形例に記載されている具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。上述した医療機器用カバー1は、カバー本体部材2の他に、接続部材3及び拘束部材4を備えるが、この構成に限られず、接続部材3及び拘束部材4を備えない構成であってもよい。また、上述した医療機器用カバー1は、図6に概要を示す製造方法により製造可能であるが、図6に示す製造方法は一例であり、この他の製造方法により製造されてもよい。更に、上述した医療機器用カバー1のカバー本体部材2は袋状の構成であるが、シート状の構成であってもよい。かかる場合であっても、折り重ねられた状態のカバー本体部材の層間には空気が残留し得る。この残留する空気は、本開示に係るカバー本体部材の透過シート部を設けることで、層間から層間外へと排出され易くなる。