JP7263031B2 - 色材分散液、分散補助樹脂、感光性着色樹脂組成物及びその硬化物、カラーフィルタ、表示装置 - Google Patents
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Description
このような状況下、カラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化といった要望が高まっている。
カラーフィルタにおける着色層の形成方法としては、例えば、分散剤等により色材を分散してなる色材分散液にバインダー樹脂、光重合性化合物及び光開始剤を添加してなる着色樹脂組成物をガラス基板に塗布して乾燥後、フォトマスクを用いて露光し、現像を行うことによって着色パターンを形成し、加熱することによりパターンを固着して着色層を形成する。これらの工程を、各色ごとに繰り返してカラーフィルタを形成する。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、色材分散安定性が良好で、現像時の残渣発生、更には微小孔中の残渣発生を抑制可能な色材分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、色材分散安定性が良好で、現像時の残渣発生、更には微小孔中の残渣発生を抑制可能な当該色材分散液に用いられる分散補助樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、色材分散安定性が良好で、現像時の残渣発生、更には微小孔中の残渣発生を抑制可能な感光性着色樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該感光性着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタを提供することを目的とする。また、本発明は、当該カラーフィルタを用いることにより表示特性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
前記分散補助樹脂が、炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、酸性基を有する構成単位(a-2)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体である。
本発明は、前記本発明に係る感光性着色樹脂組成物の硬化物も提供する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本発明に係る色材分散液は、炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、酸性基を有する構成単位(a-2)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体である分散補助樹脂と、色材と、溶剤とを含有する色材分散液である。
前記本発明に係る分散補助樹脂において、前記特定の構成単位(a-1)、構成単位(a-2)、構成単位(a-3)、及び構成単位(a-4)の少なくとも1つが欠けていると、現像時の残渣が発生しやすくなり、特に、微小孔中の残渣発生を抑制することが困難になる。また、酸価が前記特定の範囲よりも小さくても大きくても、現像時の残渣が発生しやすくなり、特に、微小孔中の残渣発生を抑制することが困難になる。酸価が前記特定の範囲よりも大きいと、色材の分散安定性も悪化する傾向がある。また、重量平均分子量が前記特定の範囲よりも大きいと、現像時の残渣が発生しやすくなり、特に、微小孔中の残渣発生を抑制することが困難になる。重量平均分子量が前記特定の範囲よりも小さいと、色材の分散安定性が悪化する。
前記炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)を共重合体に導入することで、当該特定の大きさのアルキル鎖が、現像液中の界面活性剤と作用することにより、微細パターンや微小孔内部及び微小孔周縁部が現像され易くなっていることが推定される。また、前記炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とが、酸性基を有する構成単位(a-2)の間に存在することで、微細パターンや微小孔周縁部の回折光によって引き起こされる半硬化が抑制され、残渣の発生が抑制されることが推定される。また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)との組み合わせは、微小孔中の残渣発生を抑制に効果的である。
以下、このような本発明に係る色材分散液の各成分について、本発明の分散補助樹脂から順に詳細に説明する。
本発明においては、色材を分散するための分散補助樹脂として、炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、酸性基を有する構成単位(a-2)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体である分散補助樹脂が用いられる。
構成単位(a-1)は、炭素数5以上15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位である。
炭素数5以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有すると、現像液と馴染みが良くなり、また他の構成単位(a-3)や構成単位(a-4)との相互作用で半硬化が抑制され易くなり、微細パターンでもまた微小孔内でも残渣が抑制されるようになると推定される。一方で炭素数が大きすぎると色材分散性が悪化する傾向があるので、その中でも、炭素数15以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を用いる。
また、中でも微小孔中の残渣と光硬化性の点から、直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
構成単位(a-2)は、酸性基を有する構成単位である。
本発明に係る分散補助樹脂は、酸性基を有する構成単位を有することから、色材分散性が向上し、また、アルカリ可溶性樹脂として現像時に着色樹脂組成物に溶解性を付与する機能を有し、残渣を抑制可能になる。
ここで酸性基は、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、若しくはリン酸基等が挙げられるが、構成単位(a-2)として含まれる酸性基としては、中でもカルボキシ基であることが、現像性と光硬化性の点から好ましい。
カルボキシ基含有エチレン不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー、ビニル安息香酸等のカルボキシ基を有するビニルモノマー等が挙げられる。中でも、カルボキシ基含有エチレン不飽和モノマーとしては、現像性と光硬化性の点から(メタ)アクリル酸であることが好ましい。
なお、エチレン性不飽和モノマー由来の構成単位とは、エチレン性不飽和モノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が炭素-炭素単結合になった構成単位をいう。
構成単位(a-3)は、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位である。
本発明に係る分散補助樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位を有することから、他の構成単位(a-1)や構成単位(a-4)との相互作用で半硬化が抑制され易くなり、微小孔の残渣が抑制されるようになると推定される。
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位を共重合体に導入する方法としては、従来公知の製造方法を適宜選択して用いればよい。
例えば、共重合体において、カルボキシ基を有する構成単位に、分子内にエポキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有する構成単位に、分子内に水酸基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたり、水酸基を有する構成単位に、分子内にイソシアネート基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えば2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させたり、エポキシ基を有する構成単位に、分子内にカルボキシ基とエチレン性二重結合とを併せ持つ化合物、例えば(メタ)アクリル酸を反応させたりして、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位とすることができる。
構成単位(a-4)は、芳香族基を有する構成単位である。
本発明に係る分散補助樹脂は、芳香族基を有する構成単位を有することから、色材分散性が向上し、且つ、他の構成単位(a-1)や構成単位(a-3)との相互作用で半硬化が抑制され易くなり、微小孔の残渣が抑制されるようになると推定される。
芳香族基含有エチレン不飽和モノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンなどが挙げられる。現像後の着色層の断面形状や微小孔の形状が加熱処理においても維持される効果が大きく、現像残渣の抑制効果の点から、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましい。
例えばパラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートやノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレートのように、α,αジメチルベンジル基や炭素数9以上の長鎖アルキル基が置換されたフェニレン構造を有する場合には微小孔中の残渣を悪化させる恐れがある。そのため、芳香族基を有する構成単位としては、芳香族基の置換基としてα,αジメチルベンジル基や炭素数9以上の長鎖アルキル基を有しない構成単位であることが好ましい。
本発明の分散補助樹脂としては、本発明の目的を達成する範囲で、適宜その他の構成単位を有していても良い。
その他の構成単位としては、その他のエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有エチレン性不飽和モノマー、n-ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数が4以下又は16以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族環基含有エチレン性不飽和モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等のイソシアネート基含有エチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。
前記共重合体における前記構成単位(a-1)の含有割合は、微小孔中の残渣改善の点から、共重合体の全構成単位に対して、4モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、7モル%以上であることが更に好ましい。
また、前記共重合体における前記構成単位(a-1)の含有割合は、光硬化性の点から、共重合体の全構成単位に対して、30モル%以下であることが好ましく、27モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることが更に好ましい。
また、前記共重合体における前記構成単位(a-2)の含有割合は、分散安定性と現像性の点から、共重合体の全構成単位に対して、50モル%以下であることが好ましく、47モル%以下であることがより好ましく、45モル%以下であることが更に好ましい。
また、前記共重合体における前記構成単位(a-3)の含有割合は、分散安定性と光硬化性の点から、共重合体の全構成単位に対して、35モル%以下であることが好ましく、34モル%以下であることがより好ましく、33モル%以下であることが更に好ましい。
また、前記共重合体における前記構成単位(a-4)の含有割合は、パターン形成能と分散安定性の点から、共重合体の全構成単位に対して、40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることが更に好ましい。
なお、共重合体における構成単位の含有割合は、製造時には仕込み量から求めることができる。また、上記構成単位の含有割合は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
前記共重合体の酸価は、中でも現像性と分散安定性の点から、35mgKOH/g以上であることがより好ましく、40mgKOH/g以上であることが更に好ましい。一方で、前記共重合体の酸価は、中でも現像性と分散安定性の点から、98mgKOH/g以下であることがより好ましく、95mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
なお、本発明において酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
なお、本発明において質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー製のHLC-8220GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw:8×105(F-80)、Mw:4×105(F-40)、Mw:2×105(F-20)、Mw:1×105(F-10)、Mw:4×104(F-4)、Mw:2×104(F-2)、Mw:5×103(A-5000)、Mw:2.5×103(A-2500)、Mw:1×103(A-1000)、Mw:5×102(A-500)(以上、東ソー製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー製)として行われたものである。
数式(1)
エチレン性不飽和結合当量(g/mol)=W(g)/M(mol)
(数式(1)中、Wは、共重合体の質量(g)を表し、Mは共重合体W(g)中に含まれるエチレン性二重結合のモル数(mol)を表す。)
上記エチレン性不飽和結合当量は、例えば、JIS K 0070:1992に記載のよう素価の試験方法に準拠して、共重合体1gあたりに含まれるエチレン性二重結合の数を測定することにより算出してもよい。
前記分散補助樹脂の含有量は、分散安定性の点から、後述する色材100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
また、分散補助樹脂として用いられる前記共重合体は、分散安定性とパターン形成の点から、色材分散液中の固形分全量に対して好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは
2質量%以上8質量%以下の範囲内である。
なお、固形分とは、溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
本発明において、色材は、着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料、分散可能な染料、染料の造塩化合物等を、単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38;
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265、272;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59;
C.I.ピグメントブラウン23、25;
C.I.ピグメントブラック1、7。
染料の造塩化合物としては、染料がカウンターイオンと塩を形成した化合物をいい、例えば、塩基性染料と酸との造塩化合物、酸性染料と塩基との造塩化合物が挙げられ、溶剤に可溶性の染料を公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、溶剤に不溶化したレーキ顔料も包含する。
本発明においては、染料及び染料の造塩化合物から選ばれる少なくとも一種を含む色材と、前記本発明の分散剤とを組み合わせて用いることにより当該色材の分散性や分散安定性を向上することができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料が分散可能であると判定することができる。
銅フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、C.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられ、中でも、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。
亜鉛フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン58、59等が挙げられる。
キノフタロン染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー54、64、67、134、149、160、C.I.ソルベントイエロー114、157等が挙げられ、中でも、C.I.ディスパースイエロー54が好ましい。
色材分散液中の色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分布粒径は、体積平均粒径である。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、色材分散液中の固形分全量に対して、30質量%以上80質量部以下、より好ましくは40質量%以上75質量%以下の割合で配合することが好ましい。
本発明に用いられる溶剤としては、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。溶剤は単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
溶剤の具体例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、n-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、酪酸イソブチル、酪酸n-ブチル、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;プロピレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ-ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N-ヘプタン、N-ヘキサン、N-オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中ではグリコールエーテルアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が他の成分の溶解性の点で好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、及び、3-メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明に係る色材分散液は、色材分散性と色材分散安定性の点から、前記分散補助樹脂とは異なる分散剤を更に含んでいても良い。
本発明において分散剤は、従来公知の分散剤の中から適宜選択して用いることができる。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子分散剤が好ましい。
中でも、主鎖骨格が熱分解し難く、耐熱性が高い点から、下記一般式(I)で表される構成単位を有する重合体である分散剤を更に含有することが好ましい。
一般式(I)において、Aは、2価の連結基である。2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-基、-COO-基、炭素原子数1~10のエーテル基(-R’-OR”-:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、-CONH-基又は-COO-基を含む2価の連結基であることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は、1~18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は、7~20が好ましく、更に7~14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は、6~24が好ましく、更に6~12が好ましい。なお、上記好ましい炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素原子数1~5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
また、一般式(I)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK-LPN6919等が挙げられる。
本開示の好ましい分散剤は、上記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体である。
本開示においては、塩形成剤を用い、一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号公報、特開2013-054200号公報、WO2016/104493号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。
A1、A2、A3及びA4における脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和のいずれであってもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。例えば、炭素鎖中に、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよい。また、前記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
A1、A2、A3及びA4における芳香族基は、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。置換基としては前記と同様のものが挙げられる。
A1、A2、A3及びA4における脂肪族炭化水素基と芳香族基の組み合わせとしては、前記脂肪族炭化水素基と前記芳香族基とが直接結合した構造や、前記脂肪族炭化水素基と前記芳香族基とが前記エーテル基等のヘテロ原子を含む連結基で連結した構造が挙げられる。
前記一般式(B1)のA1、及び前記一般式(B2)のA2における2価の連結基としては、中でも、-COO-基と炭素原子数1~10のアルキレン基とを含む2価の連結基が好ましく、-COO-基と炭素原子数1~10のアルキレン基との組み合わせである2価の連結基がより好ましい。前記一般式(B2)のA3及びA4における2価の連結基としては、中でも、炭素原子数1~10のアルキレン基が好ましい。前記一般式(B1)のA1、並びに前記一般式(B2)のA2、A3及びA4におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。また、当該アルキレン基は、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
前記一般式(B2)のA3及びA4における3価の連結基としては、中でも、炭素原子数1~10の脂肪族飽和炭化水素から水素原子3個を除いた残りの原子団が好ましく、炭素原子数1~5の脂肪族飽和炭化水素から水素原子3個を除いた残りの原子団がより好ましい。これらの脂肪族飽和炭化水素基は置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
前記一般式(B2)のA3及びA4における4価の連結基としては、中でも、炭素原子数1~10の脂肪族飽和炭化水素から水素原子4個を除いた残りの原子団又は炭素原子が好ましく、炭素原子数1~5の脂肪族飽和炭化水素から水素原子4個を除いた残りの原子団又は炭素原子がより好ましい。これらの脂肪族飽和炭化水素基は置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、N等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
なお、前記一般式(B2)中にR14、R16、R18又はR19が複数ある場合においては、複数のR14、複数のR16、複数のR18及び複数のR19は、各々同一でも異なっていてもよい。
また、前記一般式(B1)のR11における酸素原子を含んでいても良い3価又は4価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の脂肪族飽和炭化水素又は脂肪族不飽和炭化水素から水素原子3個又は4個を除いた残りの脂肪族炭化水素基又は炭素原子が挙げられ、炭素鎖中に、エーテル基等が含まれていてもよい。中でも、酸素原子を含んでいても良い炭素原子数1~10の直鎖、分岐又は環状の脂肪族飽和炭化水素から水素原子3個又は4個を除いた残りの脂肪族飽和炭化水素基又は炭素原子が好ましい。
なお、前記一般式(B1)中にR12が複数ある場合、及び前記一般式(B2)中にR15又はR17が複数ある場合においては、複数のR12、複数のR15及び複数のR17は、各々同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックと、下記一般式(B1)で表される構成単位及び下記一般式(B2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種を含むBブロックと、を含有するブロック共重合体としては、WO2018/159458号公報に記載のブロック共重合体を好適に用いることができる。
分散剤の含有量は、色材分散液中の固形分全量に対して、3質量%以上45質量%以下であることが好ましく、5質量%以上35質量%以下の割合で配合することがより好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、感光性着色樹脂組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
特に色材濃度が高い塗膜乃至着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、色材分散液中の固形分全量に対して、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下の割合で配合することがより好ましい。
本発明に係る色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、その他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明において、色材分散液の製造方法は、前記色材が、前記分散補助樹脂、及び更に含んでいても良い分散剤により、溶剤中に分散された色材分散液が得られる方法であれば特に限定されない。
例えば、本発明に係る色材分散液の製造方法は、前記分散補助樹脂を準備する工程と、前記色材を準備する工程と、必要に応じて前記分散剤を準備する工程と、溶剤中、前記分散補助樹脂及び必要に応じて分散剤の存在下で、前記色材を分散する工程とを有するものが挙げられる。溶剤中、前記分散補助樹脂及び必要に応じて分散剤の存在下で、2種以上の色材を共分散しても良いし、1種以上の色材を分散乃至共分散した後、2種以上の色材分散液を混合することにより本発明の色材分散液を得ても良い。
分散機の具体例としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03~3.0mmが好ましく、より好ましくは0.05~2.0mmである。
本発明に係る感光性着色樹脂組成物は、前記本発明に係る色材分散液と、多官能モノマーと、光開始剤とを含有することを特徴とする。
本発明の感光性着色樹脂組成物は、前記本発明に係る色材分散液を用いることにより、色材分散安定性が良好で、現像時の残渣発生、更には微小孔中の残渣発生の抑制可能である。
本発明に係る感光性着色樹脂組成物は、現像残渣の発生が抑制されたものであり、着色層をパターニングする際に、同時に着色層に所望の微小孔を形成し易いというメリットがある。
本発明の感光性着色樹脂組成物は、着色層に所望の微細な孔を形成しやすいため、例えば、反射型カラーフィルタ、COA(Color Filter On Array)方式のカラーフィルタを形成するために、TFT基板上に着色層を形成し、同時に当該着色層に導通のためのスルーホールを形成する用途にも適している。
本発明の感光性着色樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂としては、前記本発明の分散補助樹脂を用いればよく、他のアルカリ可溶性樹脂を含有していなくて良い。
以下、本発明の感光性着色樹脂組成物に含まれる各成分について説明するが、本発明の分散補助樹脂、色材、分散剤及び溶剤については、上記本発明に係る色材分散液において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
感光性着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013-029832号公報に記載のもの等が挙げられる。
感光性着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して多官能モノマーは好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内である。多官能モノマーの含有量が上記下限値より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が現像時に溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記上限値より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
本発明の感光性着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光開始剤としては、芳香族ケトン類、ベンゾインエーテル類、ハロメチルオキサジアゾール化合物、α-アミノケトン、ビイミダゾール類、N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、ハロメチル-S-トリアジン系化合物、チオキサントン等を挙げることができる。光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体等のビイミダゾール類、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2-(4-ブトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン等のハロメチル-S-トリアジン系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパノン、1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-n-ブトキシエチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4-ベンゾイル-メチルジフェニルサルファイド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノンなどが挙げられる。
中でも、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントンが好ましく用いられる。更に2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンのようなα-アミノアセトフェノン系開始剤とジエチルチオキサントンのようなチオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましい。
α-アミノアセトフェノン系開始剤とチオキサントン系開始剤を用いる場合のこれらの合計含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5質量%~15質量%が好ましい。開始剤量が15質量%以下だと製造プロセス中の昇華物が低減するため好ましい。開始剤量が5質量%以上であると水染み等、現像耐性が向上する。
当該オキシムエステル系光開始剤としては、分解物による着色樹脂組成物の汚染や装置の汚染を低減する点から、中でも、芳香環を有するものが好ましく、芳香環を含む縮合環を有するものがより好ましく、ベンゼン環とヘテロ環を含む縮合環を有することがさらに好ましい。
オキシムエステル系光開始剤としては、1,2-オクタジオン-1-[4-(フェニルチオ)-、2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)、特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特表2010-527339、特表2010-527338、特開2013-041153等に記載のオキシムエステル系光開始剤の中から適宜選択できる。市販品として、イルガキュアOXE-01、ジフェニルスルフィド骨格を有するアデカアークルズNCI-930、TR-PBG-345、カルバゾール骨格を有するTR-PBG-304、フルオレン骨格を有するTR-PBG-365、ジフェニルスルフィド骨格を有するTR-PBG-3057(以上、常州強力電子新材料社製)などを用いても良い。特にジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが輝度の点から好ましい。またカルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を用いることが感度の高い点から好ましい。
またオキシムエステル系光開始剤を2種類以上併用することは、輝度、残膜率が向上しやすく、水染み発生抑制効果が高い点で好ましい。特にジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤2種類の併用又は、ジフェニルスルフィド骨格を有するオキシムエステル系光開始剤とフルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは輝度が高く、耐熱性が高い点から好ましい。また、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系光開始剤と、フルオレン骨格を有するオキシムエステル系光開始剤又はジフェニルスルフィドを有するオキシムエステル系光開始剤を併用することは感度、輝度に優れる点で好ましい。
また、オキシムエステル系光開始剤に、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが感度調整、水染みを抑制し、現像耐性が向上する点から好ましく、オキシムエステル系光開始剤を2種類以上と、チオキサントン系開始剤を組み合わせることが輝度、残膜率が向上し、感度調整をしやすく、水染み発生抑制効果が高く、現像耐性が向上する点で好ましい。
また、本発明の感光性着色樹脂組成物において用いられる光開始剤として、オキシムエステル系光開始剤2種以上の合計含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1質量%以上12.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上8.0質量%以下の範囲内であることが、これらの光開始剤の併用効果を十分に発揮させる点から好ましい。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が40mgKOH/g以上であることを目安にすることができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、前記本発明の分散補助樹脂を好適に用いることができる。
本発明の感光性着色樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂として、前記本発明の分散補助樹脂は、現像性とパターン形成の点から、アルカリ可溶性樹脂の合計固形分100質量部に対して10質量以上100質量部以下であることが好ましく、25質量以上100質量部以下であることがより好ましい。
その他のアルカリ可溶性樹脂としては、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができ、例えば、WO2016/104493号公報に記載のアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができる。
本発明の感光性着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含有することが、微小孔中の残渣発生抑制効果を向上する点から好ましい。酸化防止剤を含有すると微小孔中の残渣を改善できるもののパターン硬化性を低下させる恐れがあるが、本発明の感光性着色樹脂組成物は、前記本開示の分散補助樹脂を含有することから、パターン硬化性を損なうことなく、前記本開示の分散補助樹脂と酸化防止剤の相乗効果で微小孔中の残渣発生抑制効果を向上することができる。また、更に酸化防止剤を含有することは、耐熱性が向上し、色材の退色が抑制され、輝度が向上する点からも好ましい。酸化防止剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。国際公開第2014/021023号に記載されているような潜在性酸化防止剤であっても良い。
本発明の感光性着色樹脂組成物には、必要に応じて、前記酸化防止剤の他、各種添加剤を含むものであってもよい。
添加剤としては、例えば、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、特開2013-029832号公報に記載のものが挙げられる。
色材の合計の含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3質量%以上65質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、感光性着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0~5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、保存安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、色材の含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、15質量%以上65質量%以下、より好ましくは25質量%以上60質量%以下の割合で配合することが好ましい。
また、必要に応じて用いられる分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して1質量%以上40質量%以下の割合で用いることができる。更に、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して2質量%以上30質量%以下の割合で配合するのが好ましく、特に3質量%以上25質量%以下の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、感光性着色樹脂組成物の保存安定性により優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。特に色材濃度が高い着色層を形成する場合には、分散剤の含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、2質量%以上25質量%以下、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。なお、分散剤の質量は、塩型ブロック共重合体の場合、塩形成前の前記ブロック共重合体と有機酸化合物等との合計の質量である。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む感光性着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、中でも、65質量%以上88質量%以下の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
本発明の感光性着色樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、前記本発明に係る色材分散液に、多官能モノマーと、光開始剤と、必要に応じて、前記本発明の分散補助樹脂を含むアルカリ可溶性樹脂と、その他の成分を添加し、公知の混合手段を用いて混合することにより得ることができる。
本発明に係る硬化物は、前記本発明に係る感光性着色樹脂組成物の硬化物である。
本発明に係る硬化物は、前記本発明に係る感光性着色樹脂組成物の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させたのち、露光、及び必要に応じて現像することにより得ることができる。塗膜の形成、露光、及び現像の方法としては、例えば、後述する本発明に係るカラーフィルタが備える着色層の形成において用いられる方法と同様の方法とすることができる。
また、本発明に係る硬化物は、色材の分散性が良好で、且つ、現像時の残渣や、更には微小孔中の残渣の発生が抑制されたものであり、カラーフィルタの着色層として好適に用いられる。
本発明に係るカラーフィルタは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係る感光性着色樹脂組成物の硬化物である。
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係る感光性着色樹脂組成物の硬化物である着色層である。
着色層は、通常、後述する基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、感光性着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1~5μmの範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明の感光性着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ダイコート法などの塗布手段を用いて後述する基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。なかでもスピンコート法、ダイコート法を好ましく用いることができる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて硬化塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する感光性着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法、感光性レジストを熱転写する方法等がある。
基板としては、後述する透明基板、シリコン基板、及び、透明基板又はシリコン基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、TFT等のトランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm~1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係るカラーフィルタを有することを特徴とする。本発明において表示装置の構成は特に限定されず、従来公知の表示装置の中から適宜選択することができ、例えば、液晶表示装置や、有機発光表示装置などが挙げられる。
本発明の液晶表示装置としては、例えば、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有する液晶表示装置が挙げられる。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
本発明の有機発光表示装置としては、例えば、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有する有機発光表示装置が挙げられる。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
分散補助樹脂の酸価は、JIS K 0070:1992に記載の方法に準ずる方法により求めた。
分散剤のブロック共重合体のアミン価は、JIS K 7237:1995に記載の方法に準ずる方法により求めた。
分散補助樹脂、及び分散剤として用いられるブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、前述の本発明の測定方法に従って、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコにTHF250質量部、塩化リチウム0.6質量部を加え、充分に窒素置換を行った。反応フラスコを-60℃まで冷却した後、ブチルリチウム4.9質量部(15質量%ヘキサン溶液)、ジイソプロピルアミン1.1質量部、イソ酪酸メチル1.0質量部をシリンジを用いて注入した。Bブロック用モノマーのメタクリル酸メチル(MMA)35.8質量部、メタクリル酸n-ブチル(BMA)8.0質量部、メタクリル酸ポリエチレン(n=20、PEGMA)37.3質量部、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。30分後、Aブロック用モノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)18.9質量部を20分かけて滴下した。30分間反応させた後、メタノール1.5質量部を加えて反応を停止させた。得られた前駆体ブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、PGMEAで希釈し固形分30質量%溶液とした。
得られたブロック共重合体A-1”PGMEA溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行った。精製したブロック共重合体A-1”を再びPGMEA200質量部に溶かし、2-イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:カレンズMOI、昭和電工製)6.0質量部、ジブチル錫(商品名:ネオスタンU-100、日東化成(株)製)0.008質量部を加えて、80℃に昇温した後、2時間反応させて、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックと、一般式(B1)で表される構成単位とを含むBブロックとを有するブロック共重合体A-1’溶液(固形分40質量%)を得た。
得られたブロック共重合体A-1’のアミン価は75mg/KOH、重量平均分子量は7500であった。
(1)分散補助樹脂1の合成
重合槽に、PGMEAを300質量部仕込み、窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、ベンジルメタクリレート(BzMA)21.8質量部(0.124モル当量)、メタクリル酸(MAA)26.9質量部(0.373モル当量)、n-オクチルアクリレート(NOAA)21.8質量部(0.118モル当量)及びパーブチルO(日油株式会社製)1.4質量部、連鎖移動剤(n-ドデシルメルカプタン)10質量部を1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、100℃を保持して反応を続け、上記主鎖形成用混合物の滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p-メトキシフェノール0.1質量部を添加して重合を停止した。
次に、空気を吹き込みながら、エポキシ基含有化合物としてメタクリル酸グリシジル(GMA)29.2質量部(0.205モル当量)を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.8質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、分散補助樹脂1溶液(重量平均分子量(Mw)5100、酸価75mgKOH/g、固形分40質量%)を得た。
分散剤として合成例1のブロック共重合体A-1’溶液(固形分40質量%)を2.71質量部、色材としてC.I.ピグメントレッド291(PR291)を5.5質量部、分散補助樹脂1溶液を5.28質量部、PGMEAを24.64質量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ35質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振とうし、次いで粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ70質量部を加えて、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて6時間分散を行い、色材分散液R1を得た。
上記(2)で得られた色材分散液R1を53.37質量部、多官能モノマー(商品名アロニックスM-403、東亞合成(株)社製)を3.79質量部、光開始剤としてオキシムエステル系開始剤(常州強力電子新材料社製、「TR-PBG-3057」)を0.95質量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤5%PGMEA溶液(フェノール系酸化防止剤:アデカスタブAO-40、ADEKA製)5.69質量部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)を0.32質量部、メガファックF-559(DIC製)5%PEGMEA溶液を0.32質量部、及び溶媒としてPGMEAを27.3質量部添加した後、均一になるまで混合し、感光性着色樹脂組成物R1を得た。
(1)分散補助樹脂2~18の合成
実施例1の分散補助樹脂1の合成において、共重合体に用いられるモノマーを、表1に示すモノマーとモル当量に変更した以外は、実施例1と同様にして、分散補助樹脂2溶液~分散補助樹脂18溶液を得た。
(2)色材分散液R2~R18の製造
実施例1の色材分散液1の製造において、分散補助樹脂1溶液の代わりに、分散補助樹脂2溶液~分散補助樹脂18溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2~18の色材分散液R2~R18を製造した。
(3)感光性樹脂組成物R2~R18の製造
実施例1の感光性樹脂組成物1の製造において、色材分散液R1の代わりに、色材分散液R2~R18を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2~18の感光性樹脂組成物R2~R18を製造した。
(1)比較分散補助樹脂C1~C11の合成
実施例1の分散補助樹脂1の合成において、共重合体に用いられるモノマーを、表1に示すモノマーとモル当量に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較分散補助樹脂C1溶液~比較分散補助樹脂C11溶液を得た。
(2)比較色材分散液C1~C11の製造
実施例1の色材分散液R1の製造において、分散補助樹脂1溶液の代わりに、比較分散補助樹脂C1溶液~比較分散補助樹脂C11溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1~11の比較色材分散液C1~C11を製造した。
(3)比較感光性樹脂組成物C1~C11の製造
実施例1の感光性樹脂組成物1の製造において、色材分散液R1の代わりに、比較色材分散液C1~C11を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1~11の感光性樹脂組成物C1~C11を製造した。
(1)色材分散液G19の製造
実施例1の色材分散液R1の製造において、C.I.ピグメントレッド291(PR291)を5.5質量部の代わりに、C.I.ピグメントグリーン58(PG58)を5.5質量部用いた以外は、色材分散液R1と同様にして、色材分散液G19を得た。
実施例1の感光性樹脂組成物1の製造において、色材分散液R1の代わりに、色材分散液G19を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例19の感光性樹脂組成物G19を製造した。
<色材分散液の分散安定性評価>
実施例及び比較例で得られた色材分散液についてそれぞれ、調製直後と、25℃で30日間保存後の粘度を測定し、保存前後の粘度の変化を算出し、粘度安定性を評価した。粘度測定には振動式粘度計を用いて、25.0±0.5℃における粘度を測定した。
(粘度安定性評価基準)
A:保存前後の粘度の変化が0mPa・s以上0.5mPa・s未満
B:保存前後の粘度の変化が0.5mPa・s以上1.0mPa・s未満
C:保存前後の粘度の変化が1.0mPa・s以上3.0mPa・s未満
D:保存前後の粘度の変化が3.0mPa・s以上
ただし、色材分散液の溶剤を含めた合計質量に対して、色材を13質量%としたときの値である。
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて硬化塗膜が厚さ3.0μmとなるように塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥しガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜に、開口寸法90μm×300μmの独立細線内の中央に20μm×20μmのクロムマスクを配置したパターンフォトマスク(クロムマスク)を介して、超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線で露光することにより、ガラス基板上に露光後塗膜を形成した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、微小孔を有する独立細線パターン状の塗膜を得た。その後、230℃のクリーンオーブンで25分間ポストベークすることにより、微小孔を有する独立細線パターン状の着色層を形成した。得られた着色層について下記評価を行った。
前記着色層を光学顕微鏡により観察し、下記評価基準により、微小孔内部の現像残渣について評価した。
[微小孔内部の現像残渣]
A:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されず、微小孔周縁部にも透明物が観察されない
B:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されないが、微小孔周縁部に一部透明物が観察される
C:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色が観察されないが、微小孔周縁部に着色した残渣が観察される
D:光学顕微鏡による観察で着色層に形成された微小孔内部に着色した残渣が観察される
本開示の前記構成単位(a-1)と、前記構成単位(a-2)と、前記構成単位(a-3)と、前記構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体である分散補助樹脂と、色材と、溶剤とを含有する色材分散液を用いた、実施例1~19では、色材分散安定性が良好で、現像時の微小孔中の残渣発生を抑制可能であることが明らかにされた。
一方、本開示の前記構成単位(a-1)を含まず、炭素数が18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例1では、色材分散性が劣っていた。また、本開示の前記構成単位(a-1)を含まない分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例2では、現像時の微小孔中の残渣発生を抑制できないものであった。本開示の前記構成単位(a-1)を含まず、炭素数が4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例3でも、前記残渣発生を抑制できないものであった。本開示の前記構成単位(a-1)と、前記構成単位(a-2)と、前記構成単位(a-3)と、前記構成単位(a-4)とを含有するが、酸価が特定値よりも低い分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例4でも、前記残渣発生を抑制できないものであった。本開示の前記構成単位(a-1)と、前記構成単位(a-2)と、前記構成単位(a-3)と、前記構成単位(a-4)とを含有するが、酸価が特定値よりも高い分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例5では、色材分散性が悪く、且つ、前記残渣発生を抑制効果が低いものであった。本開示の前記構成単位(a-4)を含まない分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例6では、前記残渣発生を抑制できないものであった。
本開示の前記構成単位(a-3)を含まない分散補助樹脂を含有する色材分散液を用いた比較例9では、色材分散安定性がと前記残渣発生抑制効果が低いものであった。
本開示の前記構成単位(a-1)と、前記構成単位(a-2)と、前記構成単位(a-3)と、前記構成単位(a-4)とを含有するが、重量平均分子量が特定値よりも小さい比較例10では、色材分散安定性が悪いものであり、重量平均分子量が特定値よりも大きい比較例11では、色材分散安定性が悪く、且つ、現像時の微小孔中の残渣発生を抑制できないものであった。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
Claims (12)
- 炭素数5以上15以下の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、酸性基を有する構成単位(a-2)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体(但し、塩基価を有する共重合体、及び主鎖に環構造含む共重合体を除く)であり、前記芳香族基を有する構成単位(a-4)が、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種の芳香族基含有エチレン性不飽和モノマー由来の構成単位である分散補助樹脂と、色材と、溶剤とを含有する色材分散液。
- 前記共重合体のエチレン性不飽和結合1モル当りの重量平均分子量であるエチレン性不飽和結合当量が、780以上1300以下である、請求項1に記載の色材分散液。
- 前記共重合体の前記構成単位(a-1)の含有割合は、共重合体の全構成単位に対して、4モル%以上30モル%以下である、請求項1又は2に記載の色材分散液。
- 前記分散補助樹脂の含有量は、前記色材100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の色材分散液。
- 炭素数5以上15以下の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(a-1)と、酸性基を有する構成単位(a-2)と、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構成単位(a-3)と、芳香族基を有する構成単位(a-4)とを含有し、酸価が30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下で、重量平均分子量が3000以上8000以下の共重合体(但し、塩基価を有する共重合体、及び主鎖に環構造含む共重合体を除く)であり、
前記芳香族基を有する構成単位(a-4)が、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンからなる群から選択される少なくとも1種の芳香族基含有エチレン性不飽和モノマー由来の構成単位である、分散補助樹脂。 - 前記共重合体のエチレン性不飽和結合1モル当りの重量平均分子量であるエチレン性不飽和結合当量が、790以上1300以下である、請求項6に記載の分散補助樹脂。
- 前記共重合体の前記構成単位(a-1)の含有割合は、共重合体の全構成単位に対して、4モル%以上30モル%以下である、請求項6又は7に記載の分散補助樹脂。
- 前記請求項1~5のいずれか1項に記載の色材分散液と、多官能モノマーと、光開始剤とを含有する、感光性着色樹脂組成物。
- 請求項9に記載の感光性着色樹脂組成物の硬化物。
- 基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが請求項10に記載の感光性着色樹脂組成物の硬化物である、カラーフィルタ。
- 前記請求項11に記載のカラーフィルタを有する、表示装置。
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