JP7262413B2 - 記録テープカートリッジ - Google Patents

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Description

本開示は、記録テープカートリッジに関する。
非接触で通信可能な非接触式通信媒体が2つの角部にそれぞれ1つずつ内蔵された記録テープカートリッジは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。非接触式通信媒体には、固有ID、品種識別、使用履歴、生産履歴、記録テープカートリッジの記録テープに記録されたデータの索引などの個体情報が記録される。
特開2000-036178号公報
ところで、記録テープカートリッジが高容量化されると、それに伴って、非接触式通信媒体も高容量化される必要がある。非接触式通信媒体の高容量化としては、上記のように、2つの角部にそれぞれ1つずつ非接触式通信媒体を設けることが考えられる。しかしながら、この構成では、ドライブ装置に各非接触式通信媒体に対応した2つの非接触式読み書き装置が必要となり、ドライブ装置の製造コストが増加してしまう問題がある。
また、非接触式通信媒体の高容量化としては、非接触式通信媒体に設けられているICチップを(例えば32KBに)高容量化することが考えられる。しかしながら、ICチップの高容量化は、ICチップの開発期間及び開発費が必要となるだけではなく、設備投資及びランニングコストが高価となる問題がある。
そこで、本開示は、非接触式通信媒体を安価に高容量化できる記録テープカートリッジを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本開示に係る記録テープカートリッジは、記録テープが巻装されたリールを収容し、ドライブ装置に装填されたときにリールの軸方向の基準となる基準面を有するケースと、個体情報が記録され、ケースに少なくとも2枚重ねられた状態で収容された板状の非接触式通信媒体と、ケースに形成され、非接触式通信媒体が基準面に対して略45度の角度で配置されるように非接触式通信媒体を支持する支持部と、を備えている。
本開示によれば、非接触式通信媒体を安価に高容量化することができる。
本実施形態に係る記録テープカートリッジの斜視図である。 本実施形態に係る記録テープカートリッジを上方から見た場合の分解斜視図である。 本実施形態に係る記録テープカートリッジを下方から見た場合の分解斜視図である。 本実施形態に係る記録テープカートリッジに内蔵されるカートリッジメモリを支持リブに支持させる前の状態を示す斜視図である。 本実施形態に係る記録テープカートリッジに内蔵されるカートリッジメモリを支持リブに支持させた後の状態を示す斜視図である。 図5のX-X線矢視断面図である。
以下、本開示に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向(右側)とする。また、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、それを記録テープカートリッジ10の上方向(上側)とする。
図1~図3に示されるように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに突き合わせた(当接又は近接させた)状態で、超音波溶着又はビス止め等によって接合されて構成されている。
すなわち、例えば上ケース14及び下ケース16には、ビスボス15がそれぞれ各コーナー部近傍に形成されており、下ケース16の下面側から、そのビスボス15に図示しないビスが螺合されることにより、ケース12が組み立てられるようになっている。そして、ケース12の内部には、単一のリール20が上下方向に沿った方向を軸方向として回転可能に収容されている。
リール20は、軸心部を構成する有底円筒状のリールハブ22と、その下端部に設けられる下フランジ26とが一体に成形され、上フランジ24がリールハブ22の上端部に超音波溶着されて構成されている。そして、そのリールハブ22の外周面に、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回され、上フランジ24及び下フランジ26によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されている。
また、リールハブ22の底壁28の下面には、リールギア44が環状に形成されており、下ケース16の中央部には、そのリールギア44を外部に露出するためのギア開口40が穿設されている。このギア開口40から露出されるリールギア44が、ドライブ装置(図示省略)の回転シャフト(図示省略)に形成された駆動ギア(図示省略)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール20がケース12に対して相対回転可能とされる。
また、底壁28の下面におけるリールギア44の径方向内側には、磁性材料でできた環状金属板であるリールプレート46が、インサート成形により、同軸的かつ一体的に固着されており、ドライブ装置の回転シャフトに設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着保持されるようになっている。更に、リール20は、上ケース14及び下ケース16の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁42によってガタつかないように保持されている。
また、ケース12の右壁12Bには、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されている。この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止されつつ引き出し操作されるリーダーピン30が固着されている。
リーダーピン30の記録テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝30Aが形成されており、この環状溝30Aが引出部材のフック等に係止される。これにより、記録テープTを引き出す際に、フック等が記録テープTに接触して傷付けることがない構成になっている。
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14Aの内面及び下ケース16の底板16Aの内面には、ケース12内においてリーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が設けられている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部30Bは、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定配置されるようになっており、この板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の上下の両端部30Bにそれぞれ係合してリーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ38の先端部は、適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する構成になっている。
また、その開口18は、ドア50によって開閉される。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18の内側の天板14A及び底板16Aには、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部64が形成されている。
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が挿嵌されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58を脱落防止とする拡開部54が形成されている。また、下ケース16には、そのシャフト52に挿嵌されたコイルバネ58の後端を係止する係止部62を有する支持台60が突設されている。
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台60上に摺動自在に支持され、かつコイルバネ58の後端が係止部62に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、常時開口18の閉塞方向へ付勢される構成になっている。なお、開口18の開放時、シャフト52を支持する支持台66を支持台60の後方側に更に突設しておくことが好ましい。
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方へ向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置側の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放される構成になっている。
また、図3に示されるように、下ケース16の底板16Aには、非貫通とされた一対の基準穴32、34が左右方向に離間して、かつ前後方向で同じ位置に形成されている。右壁12B側の基準穴32は、底面視で略円形状に形成されており、左壁12C側の基準穴34は、底面視で左右方向に長い略楕円形状に形成されている。
そして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときには、基準穴32及び基準穴34にドライブ装置に設けられた位置決め部材(図示省略)がそれぞれ挿入されるようになっている。これにより、ドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10(ケース12)の前後方向及び左右方向が位置決めされるようになっている。
また、底板16Aにおける基準穴32及び基準穴34の周りには、それぞれ鏡面仕上げされた略円形状の基準面33及び略楕円形状の基準面35が形成されている。そして、底板16Aにおける後端角部にも、それぞれ鏡面仕上げされた矩形状(前後方向が長手方向とされた長方形状)の基準面37及び基準面39が形成されている。なお、各基準面33、35、37、39は同一平面上にある。
記録テープカートリッジ10がドライブ装置へ装填されたときには、基準面33及び基準面35と基準面37及び基準面39とにドライブ装置に設けられた位置決め面(図示省略)がそれぞれ当接するようになっている。これにより、ドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10(ケース12)の厚み方向(高さ方向であり、リール20の軸方向)が位置決めされるようになっている。
また、図2、図3に示されるように、ケース12の左後部には、記録テープTへの記録可又は不可が設定されるライトプロテクト70が左右方向にスライド可能に設けられている。そして、ケース12の後壁12Dには、このライトプロテクト70を人手で操作するための操作突起72を突出させる開孔68が形成されている。
この開孔68は、上ケース14と下ケース16とを接合したときに、上ケース14の周壁14Bに形成された切欠部68Aと、下ケース16の周壁16Bに形成された切欠部68Bとによって形成される構成になっている。また、下ケース16には、ライトプロテクト70の突部74が露出される長孔69が左右方向を長手方向として穿設されている。
記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときには、そのドライブ装置側でライトプロテクト70の位置を検知して、記録テープTへの記録可又は不可が自動的に判断されるようになっている。なお、ライトプロテクト70の突部74は、下ケース16の下面から突出することはない。
また、リールハブ22の底壁28の上面周縁には、係合ギア48が所定の間隙を隔てて(等間隔に)複数(例えば120度間隔で3個)立設されており、その係合ギア48の間で、リールギア44上となる所定位置には、貫通孔28Aが複数(この場合は120度間隔で3個)穿設されている。そして、そのリールハブ22の内部には、樹脂材で成形された円板状の制動部材80が設けられている。
制動部材80の下面80Aの周縁には、係合ギア48と噛合可能な制動ギア84が環状に形成されている。制動部材80の上面には、上ケース14の天板14Aの内面から下方へ向かって突設された平面視略十字状の回転規制リブ76が内部に挿入される平面視略十字状の係合突起86が、その回転規制リブ76の高さよりも若干高くなるように立設されている。これにより、制動部材80は、ケース12(上ケース14)に対して回転不能とされ、かつリールハブ22内において、上下方向(リール20の軸方向)に移動可能とされている。
また、上ケース14と制動部材80との間には圧縮コイルスプリング98が設けられている。すなわち、圧縮コイルスプリング98の一端が上ケース14の回転規制リブ76の外側に突設された環状突起78の内側(回転規制リブ76と環状突起78の間)に当接し、他端が制動部材80の上面に設けられた環状溝88内に当接した状態に設けられている。この圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80は、常時下方へ向かって付勢されている。
したがって、記録テープカートリッジ10は、不使用時(ドライブ装置に装填されないとき)において、常時制動ギア84が係合ギア48と噛合する状態とされて、リール20のケース12に対する相対回転が阻止された回転ロック状態とされる。なお、このとき、リール20は、この付勢力によって下ケース16側に押し付けられ、リールギア44をギア開口40から露出させる。
また、リールハブ22の内部で、かつ制動部材80の下側(底壁28と制動部材80との間)には、樹脂材で成形された平面視略正三角形状の解除部材90が設けられている。解除部材90には、適宜位置に所定の形状とされた貫通孔92が複数(図示のものは六角形状とされて3つ)穿設されており、解除部材90の軽量化が図られている。そして、解除部材90の下面で、かつ各頂点部分には、貫通孔28Aに挿通されて底壁28の下面からリールギア44上に所定高さ突出する脚部94が突設されている。
また、解除部材90の上面90Aの中央には平面状の支持凸部96が形成されており、制動部材80の下面80Aの中央に突設された略半球状の解除突起82が当接するようになっている(図2、図3参照)。これにより、制動部材80と解除部材90との接触面積が低減され、使用時(リール20の回転時)における摺動抵抗が低減される構成になっている。なお、制動部材80の材質としては、例えばポリアセタール(POM)が用いられ、解除部材90の材質としては、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられる。
また、図2~図6に示されるように、ケース12(下ケース16)の右後部には、2枚重ねられた状態の非接触式通信媒体としてのカートリッジメモリ110、120が基準面33、35、37、39に対して所定の角度θ(図6参照)で傾斜配置されるようになっている。
下側のカートリッジメモリ110と上側のカートリッジメモリ120とは、左右方向が長手方向とされた略矩形平板状(平面視略長方形状)に形成されており、それぞれのサイズ(寸法形状)は、規格で定められて同一とされている。
具体的には、図4に示されるように、上側のカートリッジメモリ120を例に採ると、左右方向の長さをL、上下方向の長さ(高さ)をH、後述する膨出部124を含む厚みをD(図6参照)としたときに、一例として、L=20mm、H=10mm、D=1mmとなっている。なお、後述するエポキシ基板112、122の厚みは、一例として、0.1mmとなっている。また、各カートリッジメモリ110、120は、数g程度の極めて軽量なものとなっている。
また、各カートリッジメモリ110、120の一方の面110A、120Aにおける長手方向一端部側には、ICチップ(図示省略)が封入された平面視略正方形状の膨出部114、124が設けられている。なお、カートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120とは、一方の面110Aと膨出部124とを対向させ、一方の面120Aと膨出部114とを対向させて上下に重ねられている。そして、各カートリッジメモリ110、120の他方の面110B、120Bには、ドライブ装置に設けられた非接触式読み書き装置(図示省略)から照射される磁界を受けるコイル状のアンテナ(図示省略)が設けられている。
より具体的に説明すると、各カートリッジメモリ110、120は、エポキシ基板112、122と、そのエポキシ基板112、122の一方の面に設けられたICチップと、エポキシ基板112、122の一方の面に設けられ、ICチップを封入して保護する紫外線硬化樹脂製の膨出部114、124と、ICチップに電気的に接続され、エポキシ基板112、122の他方の面にコイル状に設けられた金属製のワイヤー(アンテナ)と、で構成されている。
ICチップには、個体情報が記録されている。具体的には、固有ID、記録容量、記録形式、品種識別、使用履歴、生産履歴、記録テープカートリッジ10の記録テープTに記録されたデータの索引などの個体情報がICチップに記録されている。なお、カートリッジメモリ110のICチップと、カートリッジメモリ120のICチップと、に記録される個体情報は、それぞれ別の個体情報となっている。また、各ICチップは、製造コストが安価な所謂マイコン式であり、通信距離が比較的短い(消費電力が比較的多い)仕様であるが、その容量は、4KB、8KB又は16KBのように、ある程度高容量になっている。
図2、図4~図6に示されるように、下ケース16の底板16A及び周壁16B(後壁12D)の内面で、かつ側面視で右後側のビスボス15及び支持台66の後方側には、各カートリッジメモリ110、120を所定の角度θ(θ=略45度であり、詳細にはθ=45度±5度、好ましくはθ=45度±2度)で傾斜配置させる支持部としての支持リブ100が一体に、かつ左右方向に所定の間隔を隔てて2個(一対で)突設されている。
図6に示されるように、支持リブ100は、側面視で略直角三角形状に形成されており、下ケース16の基準面33、35、37、39(図3参照)に対して所定の角度θに傾斜した上面が、下側のカートリッジメモリ110の下端部116を除く他方の面110Bを支持する支持面100Aとされている。なお、下側のカートリッジメモリ110の下端部116とは、側面視で支持リブ100の支持面100Aが接触しない下側の領域を指す。また、上側のカートリッジメモリ120の下端部126とは、その領域と上下方向で対向する領域を指す。
また、図4~図6に示されるように、支持リブ100の前方側における底板16Aの内面には、上方側へ延びる位置規制部としての位置規制リブ104が一体に、かつ左右方向に所定の間隔を隔てて2個(一対で)突設されている。この位置規制リブ104により、各カートリッジメモリ110、120の下端部116、126が前方へずれないように、その位置が規制されるようになっている。
また、上下方向に2枚重ねられたカートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120とは、この位置規制リブ104により、側面視で、角度θ(θ=略45度)の方向に互いの一部をずらして重ねられている。
より具体的には、側面視で、上側のカートリッジメモリ120が、下側のカートリッジメモリ110に対して斜め上後方側へずれて配置されており、エポキシ基板112の上端部におけるエッジ部112A及び下端部におけるエッジ部112Bと、エポキシ基板122の上端部におけるエッジ部122A及び下端部におけるエッジ部122Bと、がそれぞれ前後方向でほぼ同じ位置に配置されている(図6参照)。
また、図2、図4、図5に示されるように、支持リブ100の左方側における底板16Aには、各カートリッジメモリ110、120(エポキシ基板112、122)の左端部110L、120Lを位置規制する位置規制部としての位置規制リブ106が一体に突設されている。更に、支持リブ100の右方側における底板16Aには、各カートリッジメモリ110、120(エポキシ基板112、122)の右端部110R、120Rを位置規制する位置規制部としての位置規制リブ108が一体に突設されている。
以上により、各カートリッジメモリ110、120は、その前後方向及び左右方向の位置が規制されるようになっている。また、図3、図6に示されるように、上ケース14の天板14Aの内面で、かつ右後側のビスボス15よりも後方側には、上側の(最も上側に配置されている)カートリッジメモリ120の他方の面120Bを上方側から位置規制する位置規制部としての保持リブ102が一体に、かつ左右方向に所定の間隔を隔てて2個(一対で)突設されている。
各保持リブ102は、側面視で合同(同じ形状)の略台形状に形成されており、その下端面102Aは、支持リブ100における所定の角度θに合わせて斜めに切り欠かれている。したがって、各保持リブ102の下端面102Aは、それぞれ下ケース16と上ケース14とが接合されたときに、上側のカートリッジメモリ120の他方の面120Bに対して微少な間隙を隔てて対向又は軽接触し、カートリッジメモリ120及びカートリッジメモリ110を支持リブ100へ向けて位置規制するようになっている。
これにより、記録テープカートリッジ10(ケース12)がどのような姿勢になっても、上側にカートリッジメモリ120が重ねられた下側のカートリッジメモリ110が支持面100A上からずれることなく保持され、所定の角度θで安定して傾斜配置されるようになっている。
以上のような構成とされた本実施形態に係る記録テープカートリッジ10において、次にその作用について説明する。
記録テープカートリッジ10は、前壁12Aを先頭にしてドライブ装置内に装填される。すると、ドア50が摺動して開口18が開放され、基準穴32及び基準穴34にドライブ装置に設けられた位置決め部材(図示省略)がそれぞれ相対的に挿入される。そして、基準面33、基準面35、基準面37及び基準面39にドライブ装置に設けられた位置決め面(図示省略)がそれぞれ相対的に当接する。これにより、ドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10(ケース12)の前後方向、左右方向及び厚み方向(高さ方向)が位置決めされる。
また、ドライブ装置に設けられた回転シャフト(図示省略)が相対的にギア開口40から進入し、駆動ギア(図示省略)をリールギア44に噛合させる。すると、その駆動ギアがリールギア44と噛合する動作に伴って、リールギア44上に突出している脚部94が、圧縮コイルスプリング98の付勢力に抗して押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が上方へ押し上げられて、制動ギア84と係合ギア48との噛合が解除される。
そして、駆動ギアとリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギアの内側に設けられた環状のマグネットの磁力によって吸着保持される。これにより、リール20は、駆動ギアに対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる。
そして、ドライブ装置に設けられた非接触式読み書き装置が、下方側から各カートリッジメモリ110、120のICチップに非接触でアクセスする。すなわち、非接触式読み書き装置から磁界が照射され、各カートリッジメモリ110、120のアンテナが、その磁界を受ける。これにより、起電力が生成され、非接触式読み書き装置が、各ICチップに記録されている個体情報を読み取ったり、各ICチップに個体情報を書き込んだりする。
ここで、下側のカートリッジメモリ110及び上側のカートリッジメモリ120は、下ケース16に設けられた支持リブ100、位置規制リブ104、位置規制リブ106、位置規制リブ108及び上ケース14に設けられた保持リブ102により、基準面33、35、37、39に対して所定の角度θ(θ=略45度)で精度よく傾斜配置されている。
換言すれば、一方の面120Aと膨出部114とを対向させ、一方の面110Aと膨出部124とを対向させた状態で上側にカートリッジメモリ120が重ねられた下側のカートリッジメモリ110は、支持面100A上からずれることなく、角度θで安定的に保持されている。したがって、2枚のカートリッジメモリ110、120の合計の厚み及び互いの必要以上の位置ずれを低減させつつ、各カートリッジメモリ110、120を下ケース16に対して位置決めすることができる。
これにより、製造コストが安価で、かつ4KB、8KB又は16KBのように、ある程度高容量ではあるが、通信距離が短いICチップを備えたカートリッジメモリ110、120であっても、各カートリッジメモリ110、120のアンテナで、それぞれ非接触式読み書き装置から照射される磁界をより多く受け止めることができる(より多くの起電力を生成することができる)。
つまり、各カートリッジメモリ110、120は、その大きさ(エポキシ基板112、122の他方の面に形成されるアンテナの大きさ)を変えずに、非接触式読み書き装置による通信性能を向上させることができ、非接触式読み書き装置により、個体情報が精度よく読み取り又は書き込みされる。このように、本実施形態によれば、通信距離が短いカートリッジメモリ110、120であっても、その通信性能を確保することができる。
また、一対の保持リブ102は、上側のカートリッジメモリ120の膨出部124が設けられていない他方の面120Bに対して微少な間隙を隔てて対向又は軽接触するため、左右で同じ形状に形成される(膨出部124を避けるように、一方の形状を変更しなくてよい)。したがって、上ケース14を成形する金型(図示省略)の形状が複雑化されるのを抑制することができる。
また、2枚のカートリッジメモリ110、120を上下方向に重ねて下ケース16の右後部(1つの角部のみ)に内蔵(収容)したので、非接触式読み書き装置の位置及び数量を変更する必要がない。よって、ドライブ装置の製造コストが増加するのを抑制することができる。
つまり、非接触式読み書き装置は、下側のカートリッジメモリ110と上側のカートリッジメモリ120とに対し、それぞれ個別に読み書きできるように構成されていればよい。これにより、ドライブ装置内に設ける非接触式読み書き装置の設置スペース及び設置費の増加を抑制又は防止することができる。
また、下ケース16(ケース12)には、既存の4KB、8KB又は16KBの容量を有するICチップを備えたカートリッジメモリ110及びカートリッジメモリ120を適宜組み合わせて設ければよく、例えば32KBの高容量を有するICチップを備えたカートリッジメモリを用意する必要がない。したがって、例えば32KBの高容量を有するICチップを開発する開発期間、開発費、設備投資及びランニングコストが不要となる。
このように、本実施形態によれば、ケース12に内蔵されるカートリッジメモリ110、120の高容量化を安価に実現することができる(例えば16KBの容量を有するICチップを備えた2枚のカートリッジメモリ110、120を設ければ、合計で32KBの容量を有するICチップを備えたカートリッジメモリを設けたことにできる)。なお、各カートリッジメモリ110、120の容量は、非接触式読み書き装置で読み取ることにより確認できる。
また、位置規制リブ104により、側面視で、上側のカートリッジメモリ120が、下側のカートリッジメモリ110に対して斜め上後方側へずれて配置されている。すなわち、エポキシ基板112の上端部におけるエッジ部112A及び下端部におけるエッジ部112Bと、エポキシ基板122の上端部におけるエッジ部122A及び下端部におけるエッジ部122Bと、がそれぞれ前後方向でほぼ同じ位置に配置されている。
そのため、上側のカートリッジメモリ120が、下側のカートリッジメモリ110に対して斜め上後方側へずれて配置されていない場合、換言すれば、図6に示される側面視で、支持面100Aと直交する方向でエポキシ基板112、122が完全に一致するようにカートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120とが配置されている場合に比べて、カートリッジメモリ110、120を収容する部位の前後方向におけるスペースを省スペース化できる。
そして更に、図6に示される側面視で、下側のカートリッジメモリ110の上端部に配設されている最も外側のアンテナ(ワイヤーW1)と、上側のカートリッジメモリ120の上端部に配設されている最も外側のアンテナ(ワイヤーW2)との前後方向における位置をほぼ同じ位置にすることができる。
したがって、図示しないライブラリー装置のロボットハンドに設けられてケース12の後壁12D側から読み書きする非接触式読み書き装置でも、上側のカートリッジメモリ120と下側のカートリッジメモリ110とに対する通信性能を確保することができる。すなわち、ケース12の後壁12Dに対する位置関係が比較的不安定になり易いロボットハンドに設けられた非接触式読み書き装置でも、各カートリッジメモリ110、120に記録された個体情報が精度よく読み取り又は書き込みされる。
また、カートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120とは、それぞれのサイズ(寸法形状)が同一とされているため、例えば上側のカートリッジメモリ120を表裏反転して下側に配置し、下側のカートリッジメモリ110を表裏反転して上側に配置することもできる。
つまり、カートリッジメモリ110のサイズとカートリッジメモリ120のサイズとが同一とされているため、カートリッジメモリ110のサイズとカートリッジメモリ120のサイズとが異なる場合に比べて、カートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120とを下ケース16(位置規制リブ104と位置規制リブ106と位置規制リブ108との間)に配置するときの作業効率の低下を抑制又は防止することができる。
記録テープTにデータを記録又は記録テープTのデータを再生するときには、開放された開口18から、ドライブ装置に設けられた引出部材(図示省略)がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されているリーダーピン30を把持して引き出す。このとき、リール20は、その回転ロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
開口18から抜き出されたリーダーピン30は、ドライブ装置に設けられている巻取リール(図示省略)に収容される。そして、巻取リールとリール20とが同期して回転駆動することにより、記録テープTは、巻取リールに巻き取られつつケース12から順次引き出され、所定のテープ経路に沿って設けられた記録再生ヘッド(図示省略)によってデータの記録又は再生が行われる。そして、使用履歴などが、例えば上側のカートリッジメモリ120に記録され、データの索引などが、例えば下側のカートリッジメモリ110に記録される。
以上、本実施形態に係る記録テープカートリッジ10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る記録テープカートリッジ10は、図示のものに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、各カートリッジメモリ110、120は、マイコン式に限定されるものではない。
また、各カートリッジメモリ110、120は、ドライブ装置内に設けられた非接触式読み書き装置で読み書きされる態様に限定されるものではない。各カートリッジメモリ110、120は、記録テープカートリッジ10を製造する製造ラインでも、その製造ラインに設けられた非接触式読み書き装置によって読み書きされる。つまり、生産履歴などが、このときにカートリッジメモリ110又はカートリッジメモリ120に記録される。
また、カートリッジメモリ110、120は、少なくとも2枚設けられていればよく、3枚以上設けられていてもよい。ケース12に収容されるカートリッジメモリ110、120の数量に応じて、保持リブ102の突出高さが調整されて上ケース14が成形される。また、保持リブ102は、2個設ける構成としたが、1個又は3個以上設ける構成にしてもよい。また、位置規制リブ104も、2個設ける構成としたが、3個以上設ける構成にしてもよい。
また、カートリッジメモリ110とカートリッジメモリ120との重ね方は、図示の重ね方に限定されるものではない。例えば、カートリッジメモリ110の他方の面110Bと、カートリッジメモリ120の他方の面120Bと、を対向させて重ねてもよい。また、カートリッジメモリ110の一方の面110Aと、カートリッジメモリ120の他方の面120Bと、を対向させて重ねてもよい。
また、複数枚のカートリッジメモリ110、120は、予め互いに接合されてから下ケース16に配置される構成になっていてもよい。また、アンテナは、カートリッジメモリ110、120の他方の面110B、120Bではなく、一方の面110A、120Aに設けられていてもよい。また、ドア50は、平面視で直線状の動軌跡となる平板状ドアに限定されるものではなく、例えば平面視で略円弧状の動軌跡となる略円弧状ドアとしてもよい。
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
12A 前壁
12B 右壁
12C 左壁
12D 後壁
14 上ケース
14A 天板
14B 周壁
15 ビスボス
16 下ケース
16A 底板
16B 周壁
18 開口
20 リール
22 リールハブ
24 上フランジ
26 下フランジ
28 底壁
28A 貫通孔
30 リーダーピン
30A 環状溝
30B 端部
32 基準穴
33 基準面
34 基準穴
35 基準面
36 ピン保持部
37 基準面
38 板バネ
39 基準面
40 ギア開口
42 遊動規制壁
44 リールギア
46 リールプレート
48 係合ギア
50 ドア
52 シャフト
54 拡開部
56 凸部
58 コイルバネ
60 支持台
62 係止部
64 溝部
66 支持台
68 開孔
68A 切欠部
68B 切欠部
69 長孔
70 ライトプロテクト
72 操作突起
74 突部
76 回転規制リブ
78 環状突起
80 制動部材
80A 下面
82 解除突起
84 制動ギア
86 係合突起
88 環状溝
90 解除部材
90A 上面
92 貫通孔
94 脚部
96 支持凸部
98 圧縮コイルスプリング
100 支持リブ(支持部)
100A 支持面
102 保持リブ(位置規制部)
102A 下端面
104 位置規制リブ
106 位置規制リブ
108 位置規制リブ
110 カートリッジメモリ(非接触式通信媒体)
110A 一方の面
110B 他方の面
110L 左端部
110R 右端部
112 エポキシ基板
112A エッジ部
112B エッジ部
114 膨出部
116 下端部
120 カートリッジメモリ(非接触式通信媒体)
120A 一方の面
120B 他方の面
120L 左端部
120R 右端部
122 エポキシ基板
122A エッジ部
122B エッジ部
124 膨出部
126 下端部
θ 角度
T 記録テープ
W1 ワイヤー
W2 ワイヤー

Claims (5)

  1. 記録テープが巻装されたリールを収容し、ドライブ装置に装填されたときに前記リールの軸方向の基準となる基準面を有するケースと、
    個体情報が記録され、前記ケースに少なくとも2枚重ねられた状態で収容された板状の非接触式通信媒体と、
    前記ケースに形成され、前記非接触式通信媒体が前記基準面に対して略45度の角度で配置されるように前記非接触式通信媒体を支持する支持部と、
    を備えた記録テープカートリッジ。
  2. 前記非接触式通信媒体は、該非接触式通信媒体の一方の面における長手方向一端部側にICチップが封入された膨出部があり、
    2枚の前記非接触式通信媒体は、前記一方の面における長手方向他端部側と前記膨出部とを互いに対向させて重ねられている請求項1に記載の記録テープカートリッジ。
  3. 前記ケースは、上ケースと、前記非接触式通信媒体を収容する下ケースと、を有し、
    前記上ケースに、最も上側に配置されている前記非接触式通信媒体の他方の面の位置を規制する一対の位置規制部が同じ形状で形成されている請求項2に記載の記録テープカートリッジ。
  4. 2枚の前記非接触式通信媒体は、前記略45度の方向に互いの一部をずらして重ねられている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ。
  5. 少なくとも2枚の前記非接触式通信媒体は、それぞれ寸法形状が同一とされている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ。
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