JP7261640B2 - ガスセンサのセンサ素子 - Google Patents

ガスセンサのセンサ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP7261640B2
JP7261640B2 JP2019066786A JP2019066786A JP7261640B2 JP 7261640 B2 JP7261640 B2 JP 7261640B2 JP 2019066786 A JP2019066786 A JP 2019066786A JP 2019066786 A JP2019066786 A JP 2019066786A JP 7261640 B2 JP7261640 B2 JP 7261640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective layer
sensor element
layer
tip
sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019066786A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020165816A (ja
Inventor
隆志 日野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2019066786A priority Critical patent/JP7261640B2/ja
Priority to CN202010173599.4A priority patent/CN111751423A/zh
Priority to DE102020001747.9A priority patent/DE102020001747A1/de
Priority to US16/827,759 priority patent/US20200309733A1/en
Publication of JP2020165816A publication Critical patent/JP2020165816A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7261640B2 publication Critical patent/JP7261640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/403Cells and electrode assemblies
    • G01N27/406Cells and probes with solid electrolytes
    • G01N27/407Cells and probes with solid electrolytes for investigating or analysing gases
    • G01N27/4071Cells and probes with solid electrolytes for investigating or analysing gases using sensor elements of laminated structure
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/403Cells and electrode assemblies
    • G01N27/406Cells and probes with solid electrolytes
    • G01N27/407Cells and probes with solid electrolytes for investigating or analysing gases
    • G01N27/4077Means for protecting the electrolyte or the electrodes
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/403Cells and electrode assemblies
    • G01N27/406Cells and probes with solid electrolytes
    • G01N27/407Cells and probes with solid electrolytes for investigating or analysing gases
    • G01N27/41Oxygen pumping cells
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/0004Gaseous mixtures, e.g. polluted air
    • G01N33/0009General constructional details of gas analysers, e.g. portable test equipment
    • G01N33/0027General constructional details of gas analysers, e.g. portable test equipment concerning the detector
    • G01N33/0036Specially adapted to detect a particular component
    • G01N33/0037Specially adapted to detect a particular component for NOx
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters

Description

本発明は、ガスセンサのセンサ素子に関し、特にその表面保護層に関する。
従来より、内燃機関からの排ガスなどの被測定ガス中に含まれる所望ガス成分の濃度を知るためのガスセンサとして、ジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性を有する固体電解質からなり、表面や内部にいくつかの電極を備えるセンサ素子を有するものが、広く知られている。係るセンサ素子として、長尺板状の素子形状を有し、かつ、被測定ガスを導入する部分が備わる側の端部に、多孔質体からなる保護層(多孔質保護層)が設けられ、さらに該多孔質保護層の外側に、多孔質保護層よりも気孔率が小さい表面保護層が設けられるものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
特許第5387555号公報
センサ素子の表面に保護層を設けるのは、ガスセンサの使用時におけるセンサ素子の耐被水性を確保するためである。具体的には、センサ素子の表面に付着した水滴からの熱(冷熱)に起因する熱衝撃がセンサ素子に作用して、センサ素子が割れてしまう、被水割れを防止するためである。
特許文献1に開示されたガスセンサにおいては、表面保護層にライデンフロスト現象を利用した高温(500℃以上)での撥水性を具備させ、センサ素子に付着する水滴がはじかれるようにすることで、センサ素子の被水割れの防止が図られている。
より詳細には、特許文献1には、ライデンフロスト現象を確実に発現させ、高温時における表面保護層の撥水性を十分に保持するためには、表面保護層の表面粗度(算術平均粗さ)Raが3μm以下であることが好ましく、Raが3μmを超える場合には当該撥水性を十分に確保することができないとされている。また、特許文献1においては、10μLという被水量が被水割れ(耐被水性)の基準値とされている。
しかしながら、本発明の発明者が鋭意検討したところ、表面保護層の算術平均粗さRaが所定の要件をみたすようにすることで、ライデンフロスト現象が発現する場合よりも表面保護層に水滴が付着した際に当該表面保護層に作用する熱衝撃が抑制できるとの知見、そして、ライデンフロスト現象を積極的に発現させずとも表面保護層における耐熱衝撃性を確保することができ、これによってセンサ素子における耐被水性を確保できるとの知見を得た。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、表面保護層に水滴が付着した際に当該表面保護層に作用する熱衝撃が抑制されたセンサ素子、さらには、ライデンフロスト現象を積極的に発現させずとも表面保護層における耐熱衝撃性を確保することができ、これによって耐被水性が確保された、ガスセンサのセンサ素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、ガスセンサのセンサ素子であって、測定対象ガス成分の検知部を備えたセラミックス構造体である素子基体と、前記素子基体のうち、前記検知部が備わる側の端部から所定範囲の外周部に設けられた多孔質層である先端保護層と、を備え、前記先端保護層の表面近傍部分における気孔率が15%以上30%未満であり、表面粗さRaの値が3μm~35μmであり、かつ、前記表面近傍部分に前記表面粗さRaが3μmを超える箇所が少なくとも存在する、ことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るセンサ素子であって、前記先端保護層においては、前記表面近傍部分が、内側に存在する気孔率が30%~90%であり前記表面近傍部分よりも低熱伝導率の部分を覆っている、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、ガスセンサのセンサ素子であって、測定対象ガス成分の検知部を備えたセラミックス構造体である素子基体と、前記素子基体のうち、前記検知部が備わる側の端部から所定範囲の外周部に設けられた多孔質層である先端保護層と、を備え、前記先端保護層が、最外周部に、気孔率が15%以上30%未満であり、表面粗さRaの値が3μm~35μmであり、かつ、前記表面粗さRaが3μmを超える箇所が少なくとも存在する、外側先端保護層を備える、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第3の態様に係るセンサ素子であって、前記先端保護層が、前記外側先端保護層の内側に、気孔率が30%~90%であり前記外側先端保護層よりも低熱伝導率の内側先端保護層をさらに備える、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1ないし第4の態様のいずれかに係るセンサ素子であって、少なくとも前記素子基体の2つの主面上に設けられた下地層、をさらに備え、前記先端保護層は、前記端部と、前記下地層が形成されてなる前記2つの主面を含む前記素子基体の4つの側面とを覆うように設けられてなる、ことを特徴とする。
本発明の第1ないし第5の態様によれば、先端保護層の表面に水滴が付着した際に当該表面に作用する熱衝撃が抑制されたセンサ素子が、実現される。
特に、本発明の第2および第4の態様によれば、気孔率が大きい低熱伝導率の部分を、気孔率が15%~30%であり表面粗さRaの値が3μm~35μmである部分で覆うことで、先端保護層における耐熱衝撃性が層全体として高められてなり、これによって耐被水性が確保されたセンサ素子が実現される。
センサ素子10の概略的な外観斜視図である。 センサ素子10の長手方向に沿った断面図を含むガスセンサ100の構成の概略図である。 高温状態にあり表面粗さの値が異なる2通りの先端保護層の表面に水滴が付着したときの様子を、模式的に示す図である。 センサ素子10を作製する際の処理の流れを示す図である。
<センサ素子およびガスセンサの概要>
図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ素子(ガスセンサ素子)10の概略的な外観斜視図である。また、図2は、センサ素子10の長手方向に沿った断面図を含むガスセンサ100の構成の概略図である。センサ素子10は、被測定ガス中の所定ガス成分を検知しその濃度を測定するガスセンサ100の、主たる構成要素であるセラミックス構造体である。センサ素子10は、いわゆる限界電流型のガスセンサ素子である
ガスセンサ100は、センサ素子10のほか、ポンプセル電源30と、ヒータ電源40と、コントローラ50とを主として備える。
図1に示すように、センサ素子10は概略、長尺板状の素子基体1の一方端部側が、多孔質の先端保護層2にて被覆された構成を有する。
素子基体1は概略、図2に示すように、長尺板状のセラミックス体101を主たる構造体とするとともに、該セラミックス体101の2つの主面上には主面保護層170を備え、さらに、センサ素子10においては、一先端部側の端面(セラミックス体101の先端面101e)および4つの側面の外側に先端保護層2が設けられてなる。なお、以降においては、センサ素子10(もしくは素子基体1、セラミックス体101)の長手方向における両端面を除く4つの側面を単に、センサ素子10(もしくは素子基体1、セラミックス体101)の側面と称する。
セラミックス体101は、酸素イオン伝導性固体電解質であるジルコニア(イットリウム安定化ジルコニア)を主成分とするセラミックスからなる。また、係るセラミックス体101の外部および内部には、センサ素子10の種々の構成要素が設けられてなる。係る構成を有するセラミックス体101は、緻密かつ気密なものである。なお、図2に示すセンサ素子10の構成はあくまで例示であって、センサ素子10の具体的構成はこれに限られるものではない。
図2に示すセンサ素子10は、セラミックス体101の内部に第一の内部空室102と第二の内部空室103と第三の内部空室104とを有する、いわゆる直列三室構造型のガスセンサ素子である。すなわち、センサ素子10においては概略、第一の内部空室102が、セラミックス体101の一方端部E1側において外部に対し開口する(厳密には先端保護層2を介して外部と連通する)ガス導入口105と第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120を通じて連通しており、第二の内部空室103が第三の拡散律速部130を通じて第一の内部空室102と連通しており、第三の内部空室104が第四の拡散律速部140を通じて第二の内部空室103と連通している。なお、ガス導入口105から第三の内部空室104に至るまでの経路を、ガス流通部とも称する。本実施の形態に係るセンサ素子10においては、係る流通部がセラミックス体101の長手方向に沿って一直線状に設けられてなる。
第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140はいずれも、図面視上下2つのスリットとして設けられている。第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140は、通過する被測定ガスに対して所定の拡散抵抗を付与する。なお、第一の拡散律速部110と第二の拡散律速部120の間には、被測定ガスの脈動を緩衝する効果を有する緩衝空間115が設けられている。
また、セラミックス体101の外面には外部ポンプ電極141が備わり、第一の内部空室102には内部ポンプ電極142が備わっている。さらには、第二の内部空室103には補助ポンプ電極143が備わり、第三の内部空室104には、測定対象ガス成分の直接の検知部である測定電極145が備わっている。加えて、セラミックス体101の他方端部E2側には、外部に連通し基準ガスが導入される基準ガス導入口106が備わっており、該基準ガス導入口106内には、基準電極147が設けられている。
例えば、係るセンサ素子10の測定対象が被測定ガス中のNOxである場合であれば、以下のようなプロセスによって、被測定ガス中のNOxガス濃度が算出される。
まず、第一の内部空室102に導入された被測定ガスは、主ポンプセルP1のポンピング作用(酸素の汲み入れ或いは汲み出し)によって、酸素濃度が略一定に調整されたうえで、第二の内部空室103に導入される。主ポンプセルP1は、外部ポンプ電極141と、内部ポンプ電極142と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101aとによって構成される電気化学的ポンプセルである。第二の内部空室103においては、同じく電気化学的ポンプセルである、補助ポンプセルP2のポンピング作用により、被測定ガス中の酸素が素子外部へと汲み出されて、被測定ガスが十分な低酸素分圧状態とされる。補助ポンプセルP2は、外部ポンプ電極141と、補助ポンプ電極143と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101bとによって構成される。
外部ポンプ電極141、内部ポンプ電極142、および補助ポンプ電極143は、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成されてなる。なお、被測定ガスに接触する内部ポンプ電極142および補助ポンプ電極143は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた、あるいは、還元能力のない材料を用いて形成される。
補助ポンプセルP2によって低酸素分圧状態とされた被測定ガス中のNOxは、第三の内部空室104に導入され、第三の内部空室104に設けられた測定電極145において還元ないし分解される。測定電極145は、第三の内部空室104内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する多孔質サーメット電極である。係る還元ないし分解の際には、測定電極145と基準電極147との間の電位差が、一定に保たれている。そして、上述の還元ないし分解によって生じた酸素イオンが、測定用ポンプセルP3によって素子外部へと汲み出される。測定用ポンプセルP3は、外部ポンプ電極141と、測定電極145と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101cとによって構成される。測定用ポンプセルP3は、測定電極145の周囲の雰囲気中におけるNOxの分解によって生じた酸素を汲み出す電気化学的ポンプセルである。
主ポンプセルP1、補助ポンプセルP2、および測定用ポンプセルP3におけるポンピング(酸素の汲み入れ或いは汲み出し)は、コントローラ50による制御のもと、ポンプセル電源(可変電源)30によって各ポンプセルに備わる電極の間にポンピングに必要な電圧が印加されることにより、実現される。測定用ポンプセルP3の場合であれば、測定電極145と基準電極147との間の電位差が所定の値に保たれるように、外部ポンプ電極141と測定電極145との間に電圧が印加される。ポンプセル電源30は通常、各ポンプセル毎に設けられる。
コントローラ50は、測定用ポンプセルP3により汲み出される酸素の量に応じて測定電極145と外部ポンプ電極141との間を流れるポンプ電流Ip2を検出し、このポンプ電流Ip2の電流値(NOx信号)と、分解されたNOxの濃度との間に線型関係があることに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を算出する。
なお、好ましくは、ガスセンサ100は、それぞれのポンプ電極と基準電極147との間の電位差を検知する、図示しない複数の電気化学的センサセルを備えており、コントローラ50による各ポンプセルの制御は、それらのセンサセルの検出信号に基づいて行われる。
また、センサ素子10においては、セラミックス体101の内部にヒータ150が埋設されている。ヒータ150は、ガス流通部の図2における図面視下方側において、一方端部E1近傍から少なくとも測定電極145および基準電極147の形成位置までの範囲にわたって設けられる。ヒータ150は、センサ素子10の使用時に、セラミックス体101を構成する固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるべく、センサ素子10を加熱することを主たる目的として、設けられてなる。より詳細には、ヒータ150はその周囲を絶縁層151に囲繞される態様にて設けられてなる。
ヒータ150は、例えば白金などからなる抵抗発熱体である。ヒータ150は、コントローラ50による制御のもと、ヒータ電源40からの給電により発熱する。
本実施の形態に係るセンサ素子10はその使用時、ヒータ150によって、少なくとも第一の内部空室102から第二の内部空室103に至る範囲の温度が500℃以上となるように、加熱される。さらには、ガス導入口105から第三の内部空室104に至るまでのガス流通部全体が500℃以上となるように、加熱される場合もある。これらは、各ポンプセルを構成する固体電解質の酸素イオン伝導性を高め、各ポンプセルの能力が好適に発揮されるようにするためである。係る場合、最も高温となる第一の内部空室102付近の温度は、700℃~800℃程度となる。
以降においては、セラミックス体101の2つの主面のうち、図2において図面視上方側に位置する、主に主ポンプセルP1、補助ポンプセルP2、および測定用ポンプセルP3が備わる側の主面(あるいは当該主面が備わるセンサ素子10の外面)をポンプ面と称し、図2において図面視下方に位置する、ヒータ150が備わる側の主面(あるいは当該主面が備わるセンサ素子10の外面)をヒータ面と称することがある。換言すれば、ポンプ面は、ヒータ150よりもガス導入口105、3つの内部空室、および各ポンプセルに近接する側の主面であり、ヒータ面はガス導入口105、3つの内部空室、および各ポンプセルよりもヒータ150に近接する側の主面である。
セラミックス体101のそれぞれの主面上の他方端部E2側には、センサ素子10と外部との間の電気的接続を図るための複数の電極端子160が形成されてなる。これらの電極端子160は、セラミックス体101の内部に備わる図示しないリード線を通じて、上述した5つの電極と、ヒータ150の両端と、図示しないヒータ抵抗検出用のリード線と、所定の対応関係にて電気的に接続されている。よって、センサ素子10の各ポンプセルに対するポンプセル電源30から電圧の印加や、ヒータ電源40からの給電によるヒータ150の加熱は、電極端子160を通じてなされる。
さらに、センサ素子10においては、セラミックス体101のポンプ面およびヒータ面に、上述した主面保護層170(170a、170b)が備わっている。主面保護層170は、アルミナからなる、厚みが5μm~30μm程度であり、かつ20%~40%程度の気孔率にて気孔が存在する層であり、セラミックス体101の主面(ポンプ面およびヒータ面)や、ポンプ面側に備わる外部ポンプ電極141に対する、異物や被毒物質の付着を防ぐ目的で設けられてなる。それゆえ、ポンプ面側の主面保護層170aは、外部ポンプ電極141を保護するポンプ電極保護層としても機能するものである。
なお、本実施の形態において、気孔率は、評価対象物のSEM(走査電子顕微鏡)像に対し公知の画像処理手法(二値化処理など)を適用することで求めるものとする。
図2においては、電極端子160の一部を露出させるほかはポンプ面およびヒータ面の略全面にわたって主面保護層170が設けられてなるが、これはあくまで例示であり、図2に示す場合よりも、主面保護層170は、一方端部E1側の外部ポンプ電極141近傍に偏在させて設けられてもよい。
<先端保護層の詳細>
センサ素子10においては、上述のような構成を有する素子基体1の一方端部E1から所定範囲の最外周部に、先端保護層2が設けられてなる。
先端保護層2を設けるのは、素子基体1のうちガスセンサ100の使用時に高温(最高で700℃~800℃程度)となる部分を囲繞することによって、当該部分における耐被水性を確保し、当該部分が直接に被水することによる局所的な温度低下に起因した熱衝撃により素子基体1にクラック(被水割れ)が生じることを、抑制するためである。
加えて、先端保護層2は、センサ素子10の内部にMgなどの被毒物質が入り込むことを防ぐ、耐被毒性の確保のためにも、設けられてなる。
図2に示すように、本実施の形態に係るセンサ素子10においては、先端保護層2が、内側先端保護層22、外側先端保護層23の2層で構成される。また、先端保護層2と(内側先端保護層22と)素子基体1の間には、下地層3が設けられる。
下地層3は、その上に形成される内側先端保護層22(さらには外側先端保護層23)との間における接着性(密着性)を確保するべく設けられる層である。下地層3は少なくとも、素子基体1のポンプ面側およびヒータ面側の2つの主面上に設けられてなる。すなわち、下地層3は、ポンプ面側の下地層3aとヒータ面側の下地層3bとを備える。ただし、下地層3は、セラミックス体101の(素子基体1の)先端面101e側には設けられない。
下地層3は、アルミナにて、30%~60%の気孔率を有しかつ15μm~50μmの厚みに形成されてなる。なお、下地層3は、後述するように、内側先端保護層22および外側先端保護層23とは異なり、素子基体1の作製の過程で素子基体1ともども形成される。
内側先端保護層22と外側先端保護層23は、素子基体1の一先端部E1側の先端面101eと4つの側面とを覆うように(素子基体1の一先端部E1側の外周に)、内側から順に設けられてなる。内側先端保護層22のうち、先端面101e側の部分を特に先端部221と称し、ポンプ面側とヒータ面側の部分を特に主面部222と称する。同様に、外側先端保護層23のうち、先端面101e側の部分を特に先端部231と称し、ポンプ面側とヒータ面側の部分を特に主面部232と称する。内側先端保護層22の主面部222は、下地層3と隣接している。
内側先端保護層22は、アルミナにて、30%~90%の気孔率を有しかつ200μm~1000μmの厚みを有するように、設けられてなる。また、外側先端保護層23は、アルミナにて、10%~30%の気孔率を有しかつ50μm~300μmの厚みを有するように、設けられてなる。これにより、先端保護層2においては、外側先端保護層23よりも熱伝導率の小さい内側先端保護層22が、該内側先端保護層22よりも気孔率の小さい外側先端保護層23に、被覆された構成となっている。内側先端保護層22は、低熱伝導率の層として設けられることで、外部から素子基体1への熱伝導を抑制する機能を有してなる。
加えて、外側先端保護層23は、先端保護層2全体の表面でもあるその表面の算術平均粗さ(以下、単に平均粗さとする)Raの値が、3μm~35μmなる範囲をみたすように、設けられてなる。これは、最高で700℃~800℃の高温となるセンサ素子10の使用時の、先端保護層2の表面におけるライデンフロスト現象の発現を、抑制することを意図したものである。ただし、そのような表面粗さRaの値は、ライデンフロスト現象を利用した撥水性を具備することがセンサ素子の被水割れを防ぐという課題の解決手段とされており、係るライデンフロスト現象を確実に発現させるには表面粗さRaを3μm以下とする必要があるとする従来技術(例えば特許文献1に開示された技術)とは、相反するものである。
しかしながら、本発明の発明者が鋭意検討したところ、表面粗さRaの値が上述した3μm~35μmなる範囲内の値となるように外側先端保護層23を設け、ライデンフロスト現象の発現を抑制した場合においても、耐被水性を確保できるとの知見を得た。図3は、このことを説明するべく示す、いずれも高温状態にあり表面粗さの値が異なる2通りの先端保護層の表面に水滴が付着したときの様子を、模式的に示す図である。
まず、図3(a)に示すのは、外側先端保護層23の表面粗さRaが、ライデンフロスト現象の発現に適した値であるときの様子である。表面粗さがライデンフロスト現象の発現に適した値であるときとは、概略、高温の液体に接触したときに気泡の発生源となりやすい凹部(特にはリエントラントキャビティ)が多く存在する凹凸形状が支配的なときである。
係る場合、外側先端保護層23の表面に付着しようとした水滴は、ライデンフロスト現象によって、当該表面からはじかれた状態(より詳細には、水滴の下方において気泡の発生に起因して生じた膜沸騰により水滴と外側先端保護層23の表面との間に発生した水蒸気によって、水滴が浮いている状態)となるが、このような状態の水滴は、蒸発してしまう前に同様の状態にある他の水滴と凝集しやすい性質がある。それゆえ、図3(a)に示す場合においては、凝集が進むことによって大きな水滴が形成されやすい傾向がある。ところが、凝集によって大きくなった水滴は、その表面張力を維持することが困難となり、ほどなく崩壊し、水滴に生じていたライデンフロスト現象は消滅する。すると、水滴をなしていた水分は高温状態の外側先端保護層23の表面に直接に接触することとなるが、係る接触に際して先端保護層2の内部に対し熱衝撃が作用する。その際の熱衝撃は、崩壊前の水滴のサイズが大きいほど、大きなものとなる。
一方、図3(b)に示すのは、外側先端保護層23の表面粗さRaが、図3(a)に示す場合よりも大きいときの様子である。係る場合、外側先端保護層23においては、表面における凹凸がライデンフロスト現象の発現に適した状態よりもさらに大きいため、高温の液体が接触したとしても気泡はむしろ発生しづらくなっている。それゆえ、外側先端保護層23の表面に付着した水滴は、ライデンフロスト現象による撥水およびこれに伴う凝集に至ることなく、瞬時に核沸騰によって蒸発する。この場合、水滴の付着に起因して外側先端保護層23が受ける熱衝撃は、図3(a)に示す場合における、凝集により大きくなった水滴が崩壊する際の熱衝撃よりも小さい。このことは、図3(b)に示す場合の方が、図3(a)に示す場合よりも、先端保護層2の表面をなしている外側先端保護層23が水滴に付着に起因した冷熱に対し優れた耐熱衝撃性を有していることを意味する。このように耐熱衝撃性に優れた先端保護層2を具備したセンサ素子10は、熱衝撃による被水割れが好適に抑制された、耐被水性の優れたものとなる。
本実施の形態においては、以上の知見を踏まえ、先端保護層2の表面をなす外側先端保護層23を、気孔率が15%~30%なる範囲をみたしかつ表面粗さRaの値が3μm~35μmなる範囲をみたすように設けることによって、センサ素子10が高温に加熱された際の先端保護層2の表面におけるライデンフロスト現象の発現を抑制し、これによって先端保護層2の表面に作用する熱衝撃を抑制している。加えて、気孔率が30%~90%なる範囲をみたす低熱伝導率の内側先端保護層22を係る外側先端保護層23にて囲繞する構成とすることで、先端保護層2の全体としての冷熱に対する耐熱衝撃性を高め、センサ素子10における耐被水性を確保するようにしている。
これは、別の見方をすれば、先端保護層2の表面近傍部分において気孔率が15%~30%なる範囲をみたしかつ表面粗さRaの値が3μm~35μmなる範囲をみたすようにすることで、先端保護層2の表面に作用する熱衝撃を抑制できること、さらには、係る表面近傍部分によって気孔率が30%~90%なる範囲をみたす低熱伝導率の内側部分を覆うように、先端保護層2を構成することで、耐熱衝撃性が層全体として高められた先端保護層2を得ることができ、センサ素子10における耐被水性を確保できる、ということでもある。
それゆえ、先端保護層2の少なくとも表面近傍部分が外側先端保護層23と同様の気孔率および表面粗さを有してなり、該先端保護層2の内部に内側先端保護層22と同程度の気孔率を有する部分が当該層と同程度の厚み範囲で存在していれば、先端保護層2の厚み方向において内側先端保護層22と外側先端保護層23とが明瞭に分離している必要はなく、これらの部分の間における形態の変化は遷移的であってもよい。
内側先端保護層22と外側先端保護層23は、表面に下地層3が形成された素子基体1に対し、それぞれの構成材料を順次に溶射(プラズマ溶射)することで形成される。これは、素子基体1の作製とともにあらかじめ形成されてなる下地層3と内側先端保護層22の間にアンカー効果を発現させ、下地層3に対する(外側に形成される外側先端保護層23も含めた)内側先端保護層22の接着性(密着性)を、確保するためである。これは、換言すれば、下地層3が内側先端保護層22との間における接着性(密着性)を確保する機能を有しているということを意味する。係る態様にて接着性(密着性)が確保されてなることで、先端保護層2の表面におけるライデンフロスト現象の発現が抑制され、これによって、該表面に水滴が付着した際の熱衝撃に起因した、素子基体1からの先端保護層2の剥離が好適に抑制されてなる。
なお、内側先端保護層22と外側先端保護層23は、下地層3(a、b)の全体を被覆するように設けられるのではなく、下地層3のうち、センサ素子10の長手方向において一方端部E1側とは反対側の端部を露出させる態様にて、形成される。これは、下地層3に対する(外側に形成される外側先端保護層23も含めた)内側先端保護層22の接着性(密着性)を、より確実に確保するためである。
以上、説明したように、本実施の形態に係るセンサ素子10においては、先端保護層2の表面近傍部分が、気孔率が15%~30%なる範囲をみたしかつ表面粗さRaの値が3μm~35μmなる範囲をみたすように設けられることで、水滴が付着した際に先端保護層2の表面に作用する熱衝撃が、抑制されてなる。さらには、係る表面近傍部分によって、内側に存在する気孔率が30%~90%なる範囲をみたす低熱伝導率の部分を覆うように、先端保護層2を構成することで、先端保護層2における耐熱衝撃性が層全体として高められてなり、これによってセンサ素子10における耐被水性が確保されてなる。
<センサ素子の製造プロセス>
次に、上述のような構成および特徴を有するセンサ素子10を製造するプロセスの一例について説明する。図4は、センサ素子10を作製する際の処理の流れを示す図である。
素子基体1の作製に際しては、まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含み、かつ、パターンが形成されていないグリーンシートであるブランクシート(図示省略)を、複数枚用意する(ステップS1)。
ブランクシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いる複数のシート穴が設けられている。係るシート穴は、パターン形成に先立つブランクシートの段階で、パンチング装置による打ち抜き処理などで、あらかじめ形成されている。なお、セラミックス体101の対応する部分に内部空間が形成されることになるグリーンシートの場合、該内部空間に対応する貫通部も、同様の打ち抜き処理などによってあらかじめ設けられる。また、それぞれのブランクシートの厚みは、全て同じである必要はなく、最終的に形成される素子基体1におけるそれぞれの対応部分に応じて、厚みが違えられていてもよい。
各層に対応したブランクシートが用意できると、それぞれのブランクシートに対してパターン印刷・乾燥処理を行う(ステップS2)。具体的には、各種電極のパターンや、ヒータ150および絶縁層151のパターンや、電極端子160のパターンや、主面保護層170のパターンや、図示を省略している内部配線のパターンなどが、形成される。また、係るパターン印刷のタイミングで、第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140を形成するための昇華性材料(消失材)の塗布あるいは配置も併せてなされる。加えて、積層後に最上層および最下層となるブランクシートに対しては、下地層3(a、b)を形成するためのパターンの印刷もなされる(ステップS2a)。
各々のパターンの印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してブランクシートに塗布することにより行う。例えば、下地層3の形成に際しては、最終的に得られるセンサ素子10において所望の気孔率および厚みの下地層3を形成可能なアルミナペーストが用いられる。印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
各ブランクシートに対するパターン印刷が終わると、グリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う(ステップS3)。接着用ペーストの印刷には、公知のスクリーン印刷技術を利用可能であり、印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
続いて、接着剤が塗布されたグリーンシートを所定の順序に積み重ねて、所定の温度・圧力条件を与えることで圧着させ、一の積層体とする圧着処理を行う(ステップS4)。具体的には、図示しない所定の積層治具に積層対象となるグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ積み重ねて保持し、公知の油圧プレス機などの積層機によって積層治具ごと加熱・加圧することによって行う。加熱・加圧を行う圧力・温度・時間については、用いる積層機にも依存するものであるが、良好な積層が実現できるよう、適宜の条件が定められればよい。なお、係る態様にて得られた積層体に対し下地層3を形成するためのパターンの形成がなされる態様であってもよい。
上述のようにして積層体が得られると、続いて、係る積層体の複数個所を切断して、それぞれが最終的に個々の素子基体1となる単位体に切り出す(ステップS5)。
続いて、得られた単位体を、1300℃~1500℃程度の焼成温度で焼成する(ステップS6)。これにより、両主面に下地層3を備えた素子基体1が作製される。すなわち、素子基体1は、固体電解質からなるセラミックス体101と、各電極と、主面保護層170とが、下地層3ともども一体焼成されることによって、生成されるものである。なお、係る態様にて一体焼成がなされることで、素子基体1においては、各電極が十分な密着強度を有するものとなっている。
以上の態様にて素子基体1が作製されると、続いて、係る素子基体1に対し、内側先端保護層22と外側先端保護層23の形成が行われる。内側先端保護層22の形成は、あらかじめ用意した内側先端保護層形成用の粉末(アルミナ粉末)を素子基体1における内側先端保護層22の形成対象位置に対し狙いの形成厚みに応じて溶射(ステップS7)した後、係る態様にて塗布膜が形成された素子基体1を焼成する(ステップS8)ことによって行われる。内側先端保護層形成用のアルミナ粉末には、所定の粒度分布を有するアルミナ粉末と造孔材とが所望する気孔率に応じた割合にて含まれており、溶射後に素子基体1を焼成することによって係る造孔材を熱分解させることで、30%~90%という高い気孔率の内側先端保護層22が好適に形成されるようになっている。なお、溶射および焼成には公知の技術を適用可能である。
内側先端保護層22が形成されると、続いて、同じくあらかじめ用意した、所定の粒度分布を有するアルミナ粉末が含まれる外側先端保護層形成用の粉末(アルミナ粉末)を、素子基体1における外側先端保護層23の形成対象位置に対し狙いの形成厚みに応じて溶射する(ステップS9)ことにより、所望の気孔率の外側先端保護層23を形成する。外側先端保護層形成用のアルミナ粉末には造孔材は含まれない。係る溶射についても、公知の技術を適用可能である。
以上の手順によりセンサ素子10が得られる。得られたセンサ素子10は、所定のハウジングに収容され、ガスセンサ100の本体(図示せず)に組み込まれる。
<変形例>
上述の実施の形態においては、3つの内部空室を備えたセンサ素子を対象としているが、センサ素子が3室構造であることは必須ではない。すなわち、センサ素子が、内部空室を2つあるいは1つ備える態様であってもよい。
内側先端保護層(以下、内側層)22の気孔率と、外側先端保護層(以下、外側層)23の気孔率と、該外側層の表面粗さ(つまりは先端保護層2の表面粗さ)Raとの組み合わせが相異なる7通りのセンサ素子10(試料No.1~7)を作製した。内側層22および外側層23はいずれも、アルミナにて構成した。内側層22の狙い厚みは600μmとし、外側層23の狙い厚みは200μmとした。また、外側層23については、同じアルミナ粉末を用い、かつNo.2以外の試料においては気孔率が20%となるようにしつつも(No.2の試料の気孔率は15%としている)、溶射時のプラズマ条件を違えることで、表面凹凸の程度が異なるようにした。
表面粗さRaは、それぞれのセンサ素子10の先端保護層2の一表面である外側層23のポンプ面側の表面について求めた。具体的には、キーエンス社製の粗さ形状測定機VR3200を用いて、素子長手方向の相異なる全30箇所における素子幅方向の凹凸測定を行い、得られた個々の凹凸測定結果ごとに値を求めた。
また、比較のため、外側層23を設けず、内側層22の狙い厚みと気孔率との組み合わせが相異なる3通りのセンサ素子10(試料No.8~10)についても作製した。係るセンサ素子10についても、先端保護層2の一表面である内側層22のポンプ面側の表面を対象に、上記と同様の手法で表面粗さRaを求めた。


また、得られたそれぞれのセンサ素子10に対し、耐被水性試験を行った。耐被水性試験は、ヒータ150によってそれぞれのセンサ素子10をおよそ500℃~ 900℃に加熱した状態で、主ポンプセルP1におけるポンプ電流を測定しつつセンサ素子10のポンプ面側に対し0.1μLずつ水滴を滴下し、測定出力に異常が生じない範囲における最大水量を評価することにより行った。本実施例では、係る場合における最大水量を「耐被水性」(単位μL)と称することとする。係る耐被水性試験において測定出力に異常が生じるのは、先端保護層2が熱衝撃を受けることによってセンサ素子10に素子割れが生じることによるものと考えられることから、本実施例における「耐被水性」の値は、素子割れの生じにくさを示す指標となることに加えて、先端保護層2の耐熱衝撃性の指標ともなっている。
表1に、それぞれの試料についての、各層の狙い厚み(膜厚)および気孔率と、表面粗さRaの値の範囲と、耐被水性の評価結果とを、一覧にして示す。
Figure 0007261640000001
なお、表1においてNo.8の試料の表面粗さRaにつき「評価不能」と記載されているのは、大部分の凹凸測定箇所における表面凹凸が、測定が不可能な程度に大きかったことによるものであり、No.6およびNo.10の試料の表面粗さRaの範囲において下限値のみが示され、上限値がないのは、一部の凹凸測定箇所における表面凹凸が、測定が不可能な程度に大きかったことによるものである。
表1に示すように、外側層23を設けていないNo.8~10の試料については、表面粗さRaの値が20μm以上と大きい一方で耐被水性の値は最大でも10μLに留まったのに対し、外側層23を設けた試料についてみれば、表面粗さRaの値が35μm以上となったNo.6の試料においてのみ耐被水性の値はNo.8~10の試料と同程度に留まったものの、No.1~No.5およびNo.7の試料については、15μL以上という大きな値が得られた。
係る結果は、先端保護層2について、内側層22の気孔率が30%~90%の気孔率なる範囲をみたし、外側層23の気孔率が15%~30%なる範囲をみたしかつ表面粗さRaの値が3μm~35μmなる範囲をみたすように、センサ素子10を作製した場合、これらをみたさない場合に比して先端保護層2における耐熱衝撃性に優れており、それゆえに耐被水性に優れたセンサ素子10が得られることを、示している。
特に、表面粗さRaの値が同程度であるNo.4とNo.9の試料との間(Ra=20μm~35μm)、および、No.6の試料とNo.10の試料との間(Ra≧35μm)で、耐被水性の値を比較すると、いずれの場合も外側層23を備える前者の方が、値が大きくなっている。このことは、表面粗さの大きな外側層23の具備によってライデンフロスト現象の発現が抑制され、水滴が付着した際に先端保護層2の表面に作用する熱衝撃が抑制されたことを示唆する結果といえる。
1 素子基体
2 先端保護層
3(3a、3b) 下地層
10 センサ素子
100 ガスセンサ
101 セラミックス体
101e 先端面
102 第一の内部空室
103 第二の内部空室
104 第三の内部空室
105 ガス導入口
141 外部ポンプ電極
142 内部ポンプ電極
143 補助ポンプ電極
145 測定電極
147 基準電極
150 ヒータ
160 電極端子
170(170a、170b) 主面保護層
22 内側先端保護層(内側層)
23 外側先端保護層(外側層)
P1 主ポンプセル
P2 補助ポンプセル
P3 測定用ポンプセル

Claims (5)

  1. ガスセンサのセンサ素子であって、
    測定対象ガス成分の検知部を備えたセラミックス構造体である素子基体と、
    前記素子基体のうち、前記検知部が備わる側の端部から所定範囲の外周部に設けられた多孔質層である先端保護層と、
    を備え、
    前記先端保護層の表面近傍部分における気孔率が15%以上30%未満であり、表面粗さRaの値が3μm~35μmであり、かつ、前記表面近傍部分に前記表面粗さRaが3μmを超える箇所が少なくとも存在する、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  2. 請求項1に記載のセンサ素子であって、
    前記先端保護層においては、前記表面近傍部分が、内側に存在する気孔率が30%~90%であり前記表面近傍部分よりも低熱伝導率の部分を覆っている、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  3. ガスセンサのセンサ素子であって、
    測定対象ガス成分の検知部を備えたセラミックス構造体である素子基体と、
    前記素子基体のうち、前記検知部が備わる側の端部から所定範囲の外周部に設けられた多孔質層である先端保護層と、
    を備え、
    前記先端保護層が、最外周部に、気孔率が15%以上30%未満であり、表面粗さRaの値が3μm~35μmであり、かつ、前記表面粗さRaが3μmを超える箇所が少なくとも存在する、外側先端保護層を備える、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  4. 請求項3に記載のセンサ素子であって、
    前記先端保護層が、前記外側先端保護層の内側に、気孔率が30%~90%であり前記外側先端保護層よりも低熱伝導率の内側先端保護層をさらに備える、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセンサ素子であって、
    少なくとも前記素子基体の2つの主面上に設けられた下地層、
    をさらに備え、
    前記先端保護層は、前記端部と、前記下地層が形成されてなる前記2つの主面を含む前記素子基体の4つの側面とを覆うように設けられてなる、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
JP2019066786A 2019-03-29 2019-03-29 ガスセンサのセンサ素子 Active JP7261640B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019066786A JP7261640B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 ガスセンサのセンサ素子
CN202010173599.4A CN111751423A (zh) 2019-03-29 2020-03-13 气体传感器的传感器元件
DE102020001747.9A DE102020001747A1 (de) 2019-03-29 2020-03-16 Sensorelement für einen gassensor
US16/827,759 US20200309733A1 (en) 2019-03-29 2020-03-24 Sensor element for gas sensor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019066786A JP7261640B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 ガスセンサのセンサ素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020165816A JP2020165816A (ja) 2020-10-08
JP7261640B2 true JP7261640B2 (ja) 2023-04-20

Family

ID=72607197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019066786A Active JP7261640B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 ガスセンサのセンサ素子

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20200309733A1 (ja)
JP (1) JP7261640B2 (ja)
CN (1) CN111751423A (ja)
DE (1) DE102020001747A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022143611A (ja) * 2021-03-18 2022-10-03 日本碍子株式会社 センサ素子

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011117935A (ja) 2009-10-28 2011-06-16 Denso Corp ガスセンサ素子
JP2012093330A (ja) 2010-09-27 2012-05-17 Denso Corp ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP2012173146A (ja) 2011-02-22 2012-09-10 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ素子及びガスセンサ
US20160061767A1 (en) 2013-03-12 2016-03-03 Robert Bosch Gmbh Method for manufacturing a solid electrolyte sensor element for detecting at least one property of a measuring gas in a measuring gas chamber, containing two porous ceramic layers
JP2017187482A (ja) 2016-03-30 2017-10-12 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ
JP2018169324A (ja) 2017-03-30 2018-11-01 日本碍子株式会社 ガスセンサ素子

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008216241A (ja) * 2007-02-05 2008-09-18 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサとその製造方法
JP2013104706A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP6359373B2 (ja) * 2013-09-05 2018-07-18 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP6451534B2 (ja) * 2014-11-19 2019-01-16 株式会社デンソー ガスセンサ素子
US11204336B2 (en) * 2016-03-30 2021-12-21 Ngk Insulators, Ltd. Sensor element and gas sensor
JP6761369B2 (ja) * 2017-03-30 2020-09-23 日本碍子株式会社 ガスセンサ素子

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011117935A (ja) 2009-10-28 2011-06-16 Denso Corp ガスセンサ素子
JP2012093330A (ja) 2010-09-27 2012-05-17 Denso Corp ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP2012173146A (ja) 2011-02-22 2012-09-10 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ素子及びガスセンサ
US20160061767A1 (en) 2013-03-12 2016-03-03 Robert Bosch Gmbh Method for manufacturing a solid electrolyte sensor element for detecting at least one property of a measuring gas in a measuring gas chamber, containing two porous ceramic layers
JP2017187482A (ja) 2016-03-30 2017-10-12 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ
JP2018169324A (ja) 2017-03-30 2018-11-01 日本碍子株式会社 ガスセンサ素子

Also Published As

Publication number Publication date
DE102020001747A1 (de) 2020-10-01
US20200309733A1 (en) 2020-10-01
JP2020165816A (ja) 2020-10-08
CN111751423A (zh) 2020-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7157595B2 (ja) センサ素子
CN110873749B (zh) 传感器元件
JP2018169324A (ja) ガスセンサ素子
JP7402297B2 (ja) センサ素子
JP7227824B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP7265558B2 (ja) センサ素子
JP7122248B2 (ja) センサ素子
JP2010237044A (ja) ガスセンサの製造方法、ガスセンサ、およびガスセンサに備わる積層構造
JP7261640B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP7179968B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP7194809B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
US20210389270A1 (en) Sensor element of gas sensor
JP7195996B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
US20210389271A1 (en) Sensor element of gas sensor
JP7360311B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
WO2020195692A1 (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP7284088B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
WO2024029402A1 (ja) NOxセンサのセンサ素子
JP2022113127A (ja) ガスセンサのセンサ素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221011

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7261640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150