JP7284088B2 - ガスセンサのセンサ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサのセンサ素子に関し、特にその表面保護層に関する。
従来より、内燃機関からの排ガスなどの被測定ガス中に含まれる所望ガス成分の濃度を知るためのガスセンサとして、ジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性を有する固体電解質からなり、表面や内部にいくつかの電極を備えるセンサ素子を有するものが、広く知られている。係るセンサ素子として、長尺板状の素子形状を有し、かつ、被測定ガスを導入する部分が備わる側の端部に、多孔質体からなる保護層(多孔質保護層)が設けられるものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されるようなセンサ素子においては、ガス導入口から内部空室に導入された被測定ガスが電気化学的ポンプセルによってポンピングされる際に固体電解質を流れる電流に基づいて、所望ガス成分の濃度が特定される。
そのようなセンサ素子の表面に保護層を設けるのは、ガスセンサの使用時におけるセンサ素子の耐被水性を確保するためである。具体的には、内部に備わるヒータによって加熱された状態にあるセンサ素子の表面に水滴が付着した場合に、水滴からの熱(冷熱)に起因する熱衝撃がセンサ素子に作用して、センサ素子が割れてしまう、被水割れを防止するためである。
特開2016-65852号公報
特許文献1に開示されるような長尺板状のセンサ素子の場合、その表面の大部分が対向する2つの主面であることから、従来、保護層による耐被水性の確保という課題は主として、そうした主面上における保護層の配置、形状、組成、構成などを工夫するという態様にて解決が図られてきた。その一方で、ガス導入口が設けられる素子先端部分においても耐被水性の確保は重要であるところ、従来のセンサ素子における先端部分の耐被水性については、必ずしも十分に検討されてはいなかった。
本発明の発明者は、係る保護層の先端部分の形状と耐被水性との関係について鋭意検討し、先端部分における耐被水性の向上に寄与する保護層の形状についての知見を得た。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、先端部分における保護層の耐被水性に優れたセンサ素子を提供することを、目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、ガスセンサのセンサ素子であって、測定対象ガス成分の検知部と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを内部に備えたセラミックス構造体である素子基体と、前記素子基体のうち、少なくとも先端面を含む所定範囲の外周部に設けられた、1または複数の単位層からなる多孔質層である先端保護層と、を備え、前記先端保護層の前記先端面側における、前記センサ素子の長手方向に沿った垂直断面の曲率半径が、前記素子基体の厚みの1/2よりも大きくかつ3mm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るセンサ素子であって、前記素子基体の厚みが1mm以上1.5mm以下であり、前記曲率半径が0.5mm以上2mm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に係るセンサ素子であって、前記先端保護層のうち外周面をなす部分の気孔率が、15%以上30%以下である、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第3の態様に係るセンサ素子であって、前記先端保護層が内側先端保護層と外側先端保護層との2層からなり、前記内側先端保護層の気孔率が30%以上80%以下であり、前記外側先端保護層の気孔率が15%以上30%以下である、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1ないし第4のいずれかの態様に係るセンサ素子であって、前記先端保護層の前記先端面側における最大厚みが400μm以上800μm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第1ないし第5の態様によれば、先端部における被水性が良好に確保された、ガスセンサのセンサ素子が実現される。
センサ素子10の概略的な外観斜視図である。 センサ素子10の長手方向に沿った垂直断面図を含むガスセンサ100の構成の概略図である。 センサ素子10の一方端部E1側における断面の概略図である。 先端保護層2の先端部2eの主な形状バリエーションを例示する図である。 先端保護層2の先端部2eの主な形状バリエーションを例示する図である。 先端保護層2の先端部2eの主な形状バリエーションを例示する図である。 先端保護層2が内側先端保護層2aと外側先端保護層2bの2層構成を有する場合のセンサ素子10の一方端部E1側における断面の概略図である。 センサ素子10を作製する際の処理の流れを示す図である。 先端部2eの耐被水性の値を、先端部2eの曲率半径に対してプロットした図である。
<センサ素子およびガスセンサの概要>
図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ素子(ガスセンサ素子)10の概略的な外観斜視図である。また、図2は、センサ素子10の長手方向に沿った垂直断面図(厚み方向断面図)を含むガスセンサ100の構成の概略図である。センサ素子10は、被測定ガス中の所定ガス成分を検知しその濃度を測定するガスセンサ100の、主たる構成要素であるセラミックス構造体である。センサ素子10は、いわゆる限界電流型のガスセンサ素子である。センサ素子10は、いわゆる限界電流型のガスセンサ素子である。
ガスセンサ100は、センサ素子10のほか、ポンプセル電源30と、ヒータ電源40と、コントローラ50とを主として備える。
図1に示すように、センサ素子10は概略、長尺板状の素子基体1の一方端部側が、多孔質の先端保護層2にて被覆された構成を有する。
素子基体1は概略、図2に示すように、長尺板状のセラミックス体101を主たる構造体とするとともに、該セラミックス体101の2つの主面上には主面保護層170を備え、さらに、センサ素子10においては、一先端部側の端面(セラミックス体101の先端面101e)および4つの側面の外側に先端保護層2が設けられてなる。なお、以降においては、センサ素子10(もしくは素子基体1、セラミックス体101)の長手方向における両端面を除く4つの側面を単に、センサ素子10(もしくは素子基体1、セラミックス体101)の側面と称する。
セラミックス体101は、酸素イオン伝導性固体電解質であるジルコニア(イットリウム安定化ジルコニア)を主成分とするセラミックスからなる。また、係るセラミックス体101の外部および内部には、センサ素子10の種々の構成要素が設けられてなる。係る構成を有するセラミックス体101は、緻密かつ気密なものである。なお、図2に示すセンサ素子10の構成はあくまで例示であって、センサ素子10の具体的構成はこれに限られるものではない。
図2に示すセンサ素子10は、セラミックス体101の内部に第一の内部空室102と第二の内部空室103と第三の内部空室104とを有する、いわゆる直列三室構造型のガスセンサ素子である。すなわち、センサ素子10においては概略、第一の内部空室102が、セラミックス体101の(素子基体1の)一方端部E1側において外部に対し開口する(厳密には先端保護層2を介して外部と連通する)ガス導入口105と第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120を通じて連通しており、第二の内部空室103が第三の拡散律速部130を通じて第一の内部空室102と連通しており、第三の内部空室104が第四の拡散律速部140を通じて第二の内部空室103と連通している。なお、ガス導入口105から第三の内部空室104に至るまでの経路を、ガス流通部とも称する。本実施の形態に係るセンサ素子10においては、係る流通部がセラミックス体101の長手方向に沿って一直線状に設けられてなる。
第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140はいずれも、図面視上下2つのスリットとして設けられている。第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140は、通過する被測定ガスに対して所定の拡散抵抗を付与する。なお、第一の拡散律速部110と第二の拡散律速部120の間には、被測定ガスの脈動を緩衝する効果を有する緩衝空間115が設けられている。
また、セラミックス体101の外面には外部ポンプ電極141が備わり、第一の内部空室102には内部ポンプ電極142が備わっている。さらには、第二の内部空室103には補助ポンプ電極143が備わり、第三の内部空室104には、測定対象ガス成分の直接の検知部である測定電極145が備わっている。加えて、セラミックス体101の他方端部E2側には、外部に連通し基準ガスが導入される基準ガス導入口106が備わっており、該基準ガス導入口106内には、基準電極147が設けられている。
例えば、係るセンサ素子10の測定対象が被測定ガス中のNOxである場合であれば、以下のようなプロセスによって、被測定ガス中のNOxガス濃度が算出される。
まず、第一の内部空室102に導入された被測定ガスは、主ポンプセルP1のポンピング作用(酸素の汲み入れ或いは汲み出し)によって、酸素濃度が略一定に調整されたうえで、第二の内部空室103に導入される。主ポンプセルP1は、外部ポンプ電極141と、内部ポンプ電極142と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101aとによって構成される電気化学的ポンプセルである。第二の内部空室103においては、同じく電気化学的ポンプセルである、補助ポンプセルP2のポンピング作用により、被測定ガス中の酸素が素子外部へと汲み出されて、被測定ガスが十分な低酸素分圧状態とされる。補助ポンプセルP2は、外部ポンプ電極141と、補助ポンプ電極143と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101bとによって構成される。
外部ポンプ電極141、内部ポンプ電極142、および補助ポンプ電極143は、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrOとのサーメット電極)として形成されてなる。なお、被測定ガスに接触する内部ポンプ電極142および補助ポンプ電極143は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた、あるいは、還元能力のない材料を用いて形成される。
補助ポンプセルP2によって低酸素分圧状態とされた被測定ガス中のNOxは、第三の内部空室104に導入され、第三の内部空室104に設けられた測定電極145において還元ないし分解される。測定電極145は、第三の内部空室104内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する多孔質サーメット電極である。係る還元ないし分解の際には、測定電極145と基準電極147との間の電位差が、一定に保たれている。そして、上述の還元ないし分解によって生じた酸素イオンが、測定用ポンプセルP3によって素子外部へと汲み出される。測定用ポンプセルP3は、外部ポンプ電極141と、測定電極145と、両電極の間に存在するセラミックス体101の部分であるセラミックス層101cとによって構成される。測定用ポンプセルP3は、測定電極145の周囲の雰囲気中におけるNOxの分解によって生じた酸素を汲み出す電気化学的ポンプセルである。
主ポンプセルP1、補助ポンプセルP2、および測定用ポンプセルP3におけるポンピング(酸素の汲み入れ或いは汲み出し)は、コントローラ50による制御のもと、ポンプセル電源(可変電源)30によって各ポンプセルに備わる電極の間にポンピングに必要な電圧が印加されることにより、実現される。測定用ポンプセルP3の場合であれば、測定電極145と基準電極147との間の電位差が所定の値に保たれるように、外部ポンプ電極141と測定電極145との間に電圧が印加される。ポンプセル電源30は通常、各ポンプセル毎に設けられる。
コントローラ50は、測定用ポンプセルP3により汲み出される酸素の量に応じて測定電極145と外部ポンプ電極141との間を流れるポンプ電流Ip2を検出し、このポンプ電流Ip2の電流値(NOx信号)と、分解されたNOxの濃度との間に線型関係があることに基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を算出する。
なお、好ましくは、ガスセンサ100は、それぞれのポンプ電極と基準電極147との間の電位差を検知する、図示しない複数の電気化学的センサセルを備えており、コントローラ50による各ポンプセルの制御は、それらのセンサセルの検出信号に基づいて行われる。
また、センサ素子10においては、セラミックス体101の内部にヒータ150が埋設されている。ヒータ150は、ガス流通部の図2における図面視下方側において、一方端部E1近傍から少なくとも測定電極145および基準電極147の形成位置までの範囲にわたって設けられる。ヒータ150は、センサ素子10の使用時に、セラミックス体101を構成する固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるべく、センサ素子10を加熱することを主たる目的として、設けられてなる。より詳細には、ヒータ150はその周囲を絶縁層151に囲繞される態様にて設けられてなる。
ヒータ150は、例えば白金などからなる抵抗発熱体である。ヒータ150は、コントローラ50による制御のもと、ヒータ電源40からの給電により発熱する。
本実施の形態に係るセンサ素子10はその使用時、ヒータ150によって、少なくとも第一の内部空室102から第二の内部空室103に至る範囲の温度が500℃以上となるように、加熱される。さらには、ガス導入口105から第三の内部空室104に至るまでのガス流通部全体が500℃以上となるように、加熱される場合もある。これらは、各ポンプセルを構成する固体電解質の酸素イオン伝導性を高め、各ポンプセルの能力が好適に発揮されるようにするためである。係る場合、最も高温となる第一の内部空室102付近の温度は、700℃~800℃程度となる。
以降においては、素子基体1の(セラミックス体101の)2つの主面のうち、図2において図面視上方側に位置する、主に主ポンプセルP1、補助ポンプセルP2、および測定用ポンプセルP3が備わる側の主面(あるいは当該主面が備わるセンサ素子10の外面)をポンプ面1pと称し、図2において図面視下方に位置する、ヒータ150が備わる側の主面(あるいは当該主面が備わるセンサ素子10の外面)をヒータ面1hと称する。換言すれば、ポンプ面1pは、ヒータ150よりもガス導入口105、3つの内部空室、および各ポンプセルに近接する側の主面であり、ヒータ面1hはガス導入口105、3つの内部空室、および各ポンプセルよりもヒータ150に近接する側の主面である。
セラミックス体101のそれぞれの主面上の他方端部E2側には、センサ素子10と外部との間の電気的接続を図るための複数の電極端子160が形成されてなる。これらの電極端子160は、セラミックス体101の内部に備わる図示しないリード線を通じて、上述した5つの電極と、ヒータ150の両端と、図示しないヒータ抵抗検出用のリード線と、所定の対応関係にて電気的に接続されている。よって、センサ素子10の各ポンプセルに対するポンプセル電源30から電圧の印加や、ヒータ電源40からの給電によるヒータ150の加熱は、電極端子160を通じてなされる。
さらに、センサ素子10においては、セラミックス体101のポンプ面1pおよびヒータ面1hに、上述した主面保護層170(170a、170b)が備わっている。主面保護層170は、アルミナからなる、厚みが5μm~30μm程度であり、かつ20%~40%程度の気孔率にて気孔が存在する層であり、セラミックス体101の主面(ポンプ面1pおよびヒータ面1h)や、ポンプ面1p側に備わる外部ポンプ電極141に対する、異物や被毒物質の付着を防ぐ目的で設けられてなる。それゆえ、ポンプ面1p側の主面保護層170aは、外部ポンプ電極141を保護するポンプ電極保護層としても機能するものである。
なお、本実施の形態において、気孔率は、評価対象物のSEM(走査電子顕微鏡)像に対し公知の画像処理手法(二値化処理など)を適用することで求めるものとする。
図2においては、電極端子160の一部を露出させるほかはポンプ面1pおよびヒータ面1hの略全面にわたって主面保護層170が設けられてなるが、これはあくまで例示であり、図2に示す場合よりも、主面保護層170は、一方端部E1側の外部ポンプ電極141近傍に偏在させて設けられてもよい。
<先端保護層>
センサ素子10においては、上述のような構成を有する素子基体1の一方端部E1から所定範囲の最外周部に、先端保護層2が設けられてなる。
先端保護層2を設けるのは、素子基体1のうちガスセンサ100の使用時に高温(最高で700℃~800℃程度)となる部分を囲繞することによって、当該部分における耐被水性を確保し、当該部分が直接に被水することによる局所的な温度低下に起因した熱衝撃により素子基体1にクラック(被水割れ)が生じることを、抑制するためである。
なお、本実施の形態においては、先端保護層2に対する所定量の水滴の滴下を、係る滴下の前後におけるポンプ電流Ip0に異常が生じるまで繰り返した結果、ポンプ電流Ip0に異常が生じない範囲における最大滴下量を、限界被水量と定義する。そして、係る限界被水量の値の大小に基づいて、耐被水性の良否を判定する。係る場合においては、「耐被水性」なる語を、限界被水量の意で用いることがある。
上記に加え、先端保護層2は、センサ素子10の内部にMgなどの被毒物質が入り込むことを防ぐ、耐被毒性の確保のためにも、設けられてなる。
先端保護層2は、素子基体1の一方端部E1側の先端面101eと4つの側面とを覆うように(素子基体1の一方端部E1側の外周に)、設けられてなる。先端保護層2のうち、先端面101e側の部分を特に先端部2eと称し、ポンプ面1p側の部分を特にポンプ面部2pと称し、ヒータ面1h側の部分を特にヒータ面部2hと称する。
図2に示す構成の場合、先端保護層2は、アルミナにて、15%以上30%以下の気孔率を有するように、設けられてなる。先端保護層2は、気孔率が大きい低熱伝導率の層として設けられることで、外部から素子基体1への熱伝導を抑制する機能を有してなる。
先端保護層2は、素子基体1に対し、その構成材料を順次に溶射(プラズマ溶射)することで形成される。これは、素子基体1と先端保護層2の間にアンカー効果を発現させ、素子基体1に対する先端保護層2の接着性(密着性)を、確保するためである。
先端保護層2は、ポンプ面部2pおよびヒータ面部2hにおいては略平坦に設けられる一方で、先端部2eにおいては、全体として凸状にかつ外周面2sが曲面をなすように、設けられる。より具体的には、外周面2sは、少なくとも、先端部2eのうち素子基体1の幅の範囲内において、図2に示すような素子長手方向に沿った垂直断面がセンサ素子10の外側に向けて凸の曲線をなすように、設けられる。なお、以降においては、特に断らない限り、センサ素子10の素子長手方向に沿った垂直断面のことを単に断面と称し、当該断面の形状を単に断面形状と称する。
本実施の形態においては、係る先端保護層2の先端部2eにおける形状を特徴付ける指標として、その外周面2sの断面における曲率半径(以下、断面曲率半径)を用いるものとする。
図3は、外周面2sの断面曲率半径の特定の仕方を説明するべく示す、センサ素子10の一方端部E1側における断面の概略図である。
断面曲率半径を特定するに際しては、まず、先端保護層2の先端部2eにおける断面を示す曲線(以下、断面曲線)と、素子基体1のポンプ面1pとヒータ面1hとをそれぞれ、先端部2e側に仮想的に延長した面の断面を示す直線との、2つの交点を特定する。図3においてはこれを点A、Bとして示している。そして、これらの点A、Bを結ぶ断面曲線を円弧ABと仮定したときの当該円弧ABの半径(円弧ABを円周の一部とする円の半径)が、断面曲率半径rとなる。図3に示す場合においては、点Cが円弧ABの中心を表しており、線分CA、CBが断面曲率半径rとなっている。
以降、図3に示した構成における先端部2eの断面曲率半径rの値をr0とする。
断面曲率半径rの算出方法については、種々の手法が適用可能である。例えば、公知のカーブフィッティング手法などを適用して、数値的に断面曲率半径rを算出する態様であってもよい。
あるいは、点A、B以外にもう一点、断面曲線上の点を特定すると、それら3点を通る円弧が一意に定まることを利用し、解析的に(幾何学的に)断面曲率半径rを求める態様であってもよい。
比較的簡単な例でいえば、図3に示すように、素子厚み方向の中央部分において先端保護層2の先端部2eにおける厚み(先端面101eからの距離)が最大であると仮定した場合、より具体的には、円弧ABの中心である点Cを通りポンプ面1pおよびヒータ面1hと平行な仮想面と断面曲線との交点を点Dとし、円弧ABが点C、Dを通る平面に対して対称でありかつ点Dにおいて先端部2eの厚みが最大であると仮定した場合、素子基体1の厚みをtとし、先端保護層2の先端部2eにおける最大厚みをT1c、点Aにおける厚みをT1p、点Bにおける厚みをT1hとすると、T1p=T1hであり、三平方の定理より、
r={(t/2)+(T1c-T1p)}/2(T1c-T1p) ・・・(1)
となる。
図4ないし図6は、先端保護層2の先端部2eの主な形状バリエーションを例示する図である。ただし、図3と同様、円弧ABが点C、Dを通る平面に対して対称でありかつ点Dにおいて先端保護層2の先端部2eにおける厚み(先端面101eからの距離)が最大であると仮定している。
先端部2eの形状は、断面曲率半径rの値に応じて種々に異なるものとなる。
図4は、先端部2eの断面形状が図3に示すセンサ素子10の先端部2eよりも平坦に近い場合を例示している。係る場合、先端保護層2の先端部2eにおける最大厚みT1cは図3に示す場合と同程度であったとしても、断面曲率半径rについてはr0よりも大きい値(図4においてはr1)を取ることになる。なお、最大厚みT1cが同じであれば、断面曲率半径rが大きいほど、中心Cは先端面101eから遠ざかることになる。
図5は、先端部2eの断面形状が図3に示すセンサ素子10の先端部2eよりも尖鋭である場合を例示している。係る場合、先端保護層2の先端部2eにおける最大厚みT1cは図3に示す場合と同程度であったとしても、断面曲率半径rについてはr0よりも小さい値(図5においてはr2)を取ることになる。なお、最大厚みT1cが同じであれば、断面曲率半径rが小さいほど、中心Cは先端面101eに近づくことになる。図5においては特に、中心Cが先端面101e上にある場合を例示している。
一方、図6は、断面曲率半径rの値は図3に示す場合と同じr0であるものの、先端部2eにおける先端保護層2の厚みが異なる場合を例示している。より具体的には、最大厚みT1cが図3に示す場合よりも小さい場合を例示している。図6に示すように、断面曲率半径rが同じであれば、先端部2eの断面形状は図3に示すセンサ素子10と同じとなる。
そして、本発明の発明者は、鋭意検討するなかで、先端部2eの断面曲率半径rの値が小さいほど、つまりは、断面形状が尖鋭であるほど、センサ素子10の耐被水性が向上する傾向がある、という知見を得た。例えば、図3~図5に示したセンサ素子10であれば、図5、図3、図4の順に、耐被水性に優れた断面形状を有していることになる。
具体的には、断面曲率半径rの値が3mm以下である場合に、先端部2eの耐被水性(先端耐被水性)が良好に確保される。具体的には、10μLを上回る先端耐被水性が得られる。
ただし、r>t/2である。r≦t/2の場合、先端面101eとポンプ面1pおよびヒータ面1hのそれぞれとがなす角部が先端保護層2によって覆われないことになり、好ましくないからである。なお、素子基体1の厚みtは通常、1mm~1.5mm程度であることから、断面曲率半径rの現実的な下限値は0.5mm程度である。
このように、先端部2eにおける断面曲率半径rの値が3mm以下である場合に先端被水性が良好であるのは、先端部2eが、外部から飛来し付着した水滴がその場所に滞留することなく流れていきやすい形状となっているためであると考えられる。すなわち、センサ素子10の使用時(例えば内燃機関の排気管に取り付けられて使用される際)に高温に加熱されてなる先端保護層2の表面に水滴が付着しさらに滞留すると、その場所において吸熱が顕著に生じ、これが被水割れを発生させる要因となるが、たとえ水滴が瞬間的に付着したとしても、滞留がなければ、当該付着箇所において吸熱は顕著に生じることはなく、それゆえ、被水割れは生じにくいと考えられる。
より好ましくは、断面曲率半径rの値は2mm以下である。係る場合に、先端耐被水性が極めて良好に確保される。具体的には、30μLを上回る先端耐被水性が得られる。
また、先端部2eの最大厚みT1cは400μm~800μmであることが好ましい。T1cが400μm未満である場合、強度が十分に確保されない可能性がある。また、T1cが800μmを超える場合、被測定ガスがガス導入口105に到達しにくくなり、応答性が低下する可能性があるため、好ましくない。
なお、上述のように、先端部2eは、全体として凸状をなしていればよく、その限りにおいては、素子幅方向において断面曲率半径や厚みは異なっていてもよい。例えば、素子幅方向中央部分において断面曲率半径が最小あるいは厚みが最大であり、側部に向かうほど断面曲率半径が大きくなっていたり厚みが小さくなっていたりしていてもよい。
<先端保護層が積層構造を有する場合>
図2~図6においては、先端保護層2が単一層であるセンサ素子10を示していたが、先端保護層2は、2以上の層(単位層)が積層された積層構造を有していてもよい。
そして、このように先端保護層2が積層構造を有する場合も、図3に示した場合と同様、センサ素子10の断面において点A~点B(さらには点C~点D)を観念することができる。そして、これらの点に基づいて特定される、外周面2sの断面曲率半径rが3mm以下である場合には、先端部2eの耐被水性(先端耐被水性)が良好に確保される。
図7は、その一例として示す、先端保護層2が内側先端保護層2aと外側先端保護層2bの2層構成を有する場合のセンサ素子10の一方端部E1側における断面の概略図である。
内側先端保護層2aは、アルミナにて、30%以上80%以下であって外側先端保護層2bよりも大きい気孔率を有するように、設けられてなるものとする。これに対し、外側先端保護層2bは、図2に示したセンサ素子10における先端保護層2と同様、アルミナにて、15%以上30%以下の気孔率にて設けられてなるものとする。これにより、図7に示す先端保護層2においては、総厚を確保しつつ熱伝導率の低減が図られている。ただし、係る場合においても、単層の場合と同様、先端部2eの最大厚みは400μm~800μmであることが好ましい。
一方で、先端部2eの外周面2sの断面曲率半径rは、図3に示す単層の場合と同様に、r>t/2をみたす範囲において3mm以下とされてなる。これにより、図7に示す先端保護層2においても、図3に示す単層の場合と同様の耐被水性が得られる。
すなわち、図7に示す先端保護層2においては、その外周面2sが、断面曲率半径rが3mm以下となる断面形状を有するように設けられることに加えて、内部に設ける内側先端保護層2aについては、気孔率が大きくそれゆえに熱伝導率が小さい層とすることにより、総厚の確保と熱伝導率の低減とが図られている。その結果として、図7に示す2相応像の先端保護層2は、単層の場合よりもさらに優れた先端耐被水性を、奏するようになっている。
より好ましくは、断面曲率半径rの値は2mm以下である。係る場合に、先端耐被水性が極めて良好に確保される。具体的には、30μLを上回る先端耐被水性が得られる。
係る場合において、内側先端保護層2aと外側先端保護層2bとは、それぞれの構成材料を順次に溶射(プラズマ溶射)することで形成される。
なお、図7には、先端部2eにおける最外面が曲面状となった内側先端保護層2aの上に、略同一の厚みにて外側先端保護層2bを設けることで、外側先端保護層2bの最外面でもある先端保護層2の外周面2sが先端部2eにおいて曲面をなしている構成を示しているが、これはあくまで例示であり、実際の両層の形態はこれに限られるものではない。あくまで、先端保護層2全体の外周面2sをなす外側先端保護層2bの最外面さえ3mm以下の断面曲率半径rを有していれば、両層の形態は異なっていてもよい。
また、図3に示した場合と同様、図7においても、円弧ABの中心である点Cを通りポンプ面1pおよびヒータ面1hと平行な仮想面と断面曲線との交点を点Dとし、円弧ABが点C、Dを通る平面に対して対称でありかつ点Dにおいて先端保護層2の先端部2eにおける厚みが最大であると仮定した場合、断面曲率半径rは、
r=[(t/2)+{(T1c+T2c)-(T1p+T2p)}] /2{(T1c+T2c)-(T1p+T2p)} ・・・(2)
となる。
ただし、式(2)においては、図7に基づき、先端保護層2の先端部2eにおいて最大厚みを与える点Dにおける総厚がT1c+T2cと表している(そのうちの内側先端保護層2aの厚みをT1cとし、外側先端保護層2bの厚みをT2cとする)。同様に、点Aにおける厚みをT1p+T2p、点Bにおける厚みをT1h+T2hと表している。ただし、T1p+T2p=T1h+T2hである。
以上、説明したように、本実施の形態に係るセンサ素子においては、素子基体のうちガスセンサの使用時に高温となる部分を囲繞する先端保護層について、その先端部における断面の曲率半径を3mm以下とすることで、当該部分における耐被水性が良好に確保されてなる。
<センサ素子の製造プロセス>
次に、上述のような構成および特徴を有するセンサ素子10を製造するプロセスの一例について説明する。図8は、先端保護層2が図7に示す態様にて内側先端保護層2aと外側先端保護層2bとを備える場合を例として、センサ素子10を作製する際の処理の流れを示す図である。
素子基体1の作製に際しては、まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含み、かつ、パターンが形成されていないグリーンシートであるブランクシート(図示省略)を、複数枚用意する(ステップS1)。
ブランクシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いる複数のシート穴が設けられている。係るシート穴は、パターン形成に先立つブランクシートの段階で、パンチング装置による打ち抜き処理などで、あらかじめ形成されている。なお、セラミックス体101の対応する部分に内部空間が形成されることになるグリーンシートの場合、該内部空間に対応する貫通部も、同様の打ち抜き処理などによってあらかじめ設けられる。また、それぞれのブランクシートの厚みは、全て同じである必要はなく、最終的に形成される素子基体1におけるそれぞれの対応部分に応じて、厚みが違えられていてもよい。
各層に対応したブランクシートが用意できると、それぞれのブランクシートに対してパターン印刷・乾燥処理を行う(ステップS2)。具体的には、各種電極のパターンや、ヒータ150および絶縁層151のパターンや、電極端子160のパターンや、主面保護層170のパターンや、図示を省略している内部配線のパターンなどが、形成される。また、係るパターン印刷のタイミングで、第一の拡散律速部110、第二の拡散律速部120、第三の拡散律速部130、および第四の拡散律速部140を形成するための昇華性材料(消失材)の塗布あるいは配置も併せてなされる。なお、下地層を形成する場合は、積層後に最上層および最下層となるブランクシートに対し、下地層を形成するためのパターンの印刷もなされる。
各々のパターンの印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してブランクシートに塗布することにより行う。印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
各ブランクシートに対するパターン印刷が終わると、グリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う(ステップS3)。接着用ペーストの印刷には、公知のスクリーン印刷技術を利用可能であり、印刷後の乾燥処理についても、公知の乾燥手段を利用可能である。
続いて、接着剤が塗布されたグリーンシートを所定の順序に積み重ねて、所定の温度・圧力条件を与えることで圧着させ、一の積層体とする圧着処理を行う(ステップS4)。具体的には、図示しない所定の積層治具に積層対象となるグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ積み重ねて保持し、公知の油圧プレス機などの積層機によって積層治具ごと加熱・加圧することによって行う。加熱・加圧を行う圧力・温度・時間については、用いる積層機にも依存するものであるが、良好な積層が実現できるよう、適宜の条件が定められればよい。なお、係る態様にて得られた積層体に対し下地層を形成するためのパターンの形成がなされる態様であってもよい。
上述のようにして積層体が得られると、続いて、係る積層体の複数個所を切断して、それぞれが最終的に個々の素子基体1となる単位体に切り出す(ステップS5)。
続いて、得られた単位体を、1300℃~1500℃程度の焼成温度で焼成する(ステップS6)。これにより素子基体1が作製される。すなわち、素子基体1は、固体電解質からなるセラミックス体101と、各電極と、主面保護層170とが一体焼成されることによって、生成されるものである。なお、係る態様にて一体焼成がなされることで、素子基体1においては、各電極が十分な密着強度を有するものとなっている。
以上の態様にて素子基体1が作製されると、続いて、係る素子基体1に対し、内側先端保護層2aと外側先端保護層2bの形成が行われる。内側先端保護層2aの形成は、あらかじめ用意した内側先端保護層形成用の粉末(アルミナ粉末)を素子基体1における内側先端保護層2aの形成対象位置に対し狙いの形成厚みに応じて溶射(ステップS7)した後、係る態様にて塗布膜が形成された素子基体1を焼成する(ステップS8)ことによって行われる。内側先端保護層形成用のアルミナ粉末には、所定の粒度分布を有するアルミナ粉末と造孔材とが所望する気孔率に応じた割合にて含まれており、溶射後に素子基体1を焼成することによって係る造孔材を熱分解させることで、30%~80%という高い気孔率の内側先端保護層2aが好適に形成されるようになっている。なお、溶射および焼成には公知の技術を適用可能である。
なお、図7に示すように、先端面101e側において、内側先端保護層2aの最外面を曲面状とすることは、溶射の速度や溶射時の素子基体1の角度を適宜に調整することなどによって、実現が可能である。
内側先端保護層2aが形成されると、続いて、同じくあらかじめ用意した、所定の粒度分布を有するアルミナ粉末が含まれる外側先端保護層形成用の粉末(アルミナ粉末)を、素子基体1における外側先端保護層2bの形成対象位置に対し狙いの形成厚みに応じて溶射する(ステップS9)ことにより、所望の気孔率の外側先端保護層2bを形成する。外側先端保護層形成用のアルミナ粉末には造孔材は含まれない。係る溶射についても、公知の技術を適用可能である。また、ポンプ面1p側、ヒータ面1h側、および先端面101e側で、外側先端保護層2bの厚みを違える場合の対応は、内側先端保護層2aの形成時と同様である。
図7に示した場合では、最外面が曲面状(断面曲線が円弧状)とされた内側先端保護層2aの上に、外側先端保護層2bが略同一の厚みに形成されることで、先端保護層2は、外周面2sが先端部2eにおいて円弧状の断面曲線をなすように設けられてなる。係る場合は、外側先端保護層2bは一様に形成されることになる。
一方で、上述のように、内側先端保護層2aの最外面は曲面には設けられず、外側先端保護層2bの最外面のみが円弧状の断面曲線をなすように設けられる場合もある。先端部2eがそのような構成を有する先端保護層2についても、外側先端保護層2bを形成する際の、溶射の速度や溶射時の素子基体1の角度を適宜に調整することなどによって、実現が可能である。
また、図2ないし図6に示したように、先端保護層2が単一層として設けられる場合には、上述のステップS9は不要である。
以上の手順によりセンサ素子10が得られる。得られたセンサ素子10は、所定のハウジングに収容され、ガスセンサ100の本体(図示せず)に組み込まれる。
<変形例>
上述の実施の形態においては、3つの内部空室を備えたセンサ素子を対象としているが、センサ素子が3室構造であることは必須ではない。すなわち、センサ素子が、内部空室を2つあるいは1つ備える態様であってもよい。
先端保護層2の層数(単層または2層)、厚み、気孔率、および先端部2eの断面曲率半径と、素子基体1の厚みとの組み合わせが相異なる9種類のセンサ素子10を作製し、それぞれのセンサ素子10について、先端部2eにおける耐被水性を評価した。先端保護層2は、素子厚み方向の中央付近で最大厚みが得られるように設けた。
耐被水性の評価は、ヒータ150によってそれぞれのセンサ素子10をおよそ500℃~900℃に加熱した状態で、主ポンプセルP1におけるポンプ電流Ip0を測定しつつセンサ素子10の一方端部E1側に対し0.1μLずつ水滴を滴下したときの限界被水量を特定することにより行った。
表1に、それぞれのセンサ素子10の先端保護層2の先端部2eにおける最大厚みと、係る最大厚みを与える部分における内側先端保護層2aおよび外側先端保護層2bのそれぞれの厚みおよび気孔率と、素子基体1の厚み(表1においては「素子厚み」と記載)と、先端部2eの断面曲率半径と、先端部2eにおける耐被水性の評価結果とを一覧にして示す。なお、先端保護層2を単層としたセンサ素子10については、「外側先端保護層」の「厚み」欄および「気孔率」欄に、当該先端保護層2の最大厚みおよび気孔率を示している。
係る場合において、それぞれのセンサ素子10の先端部2eにおける最大厚みと、各層の厚みおよび気孔率と、断面曲率半径とは、断面SEM像から求めている。なお、断面曲率半径は、断面SEM像において図3の点Aおよび点Bに相当する点を特定し、さらに、素子厚み方向の真ん中を通る仮想線と先端部2eの該表面との交点とを特定したたうえで、それら3点について式(1)を適用することにより特定した。確認的にいえば、いずれのセンサ素子10についても、係る態様にて得られた断面曲率半径を与える円弧の形状は概ね、それぞれにおける実際の先端部2eの曲面形状と一致した。
Figure 0007284088000001
また、図9は、表1に示した先端部2eの耐被水性の値を、先端部2eの曲率半径に対してプロットした図である。
表1および図9からは、先端部2eの具体的構成の相違によらず、先端部断面曲率半径が3mm以下の場合に先端耐被水性の値が10μLを超えていることが、確認される。
特に、先端保護層2が2層構成であって、かつ、先端部断面曲率半径が2mm以下の場合には、先端耐被水性の値が30μLを超えていることも、確認される。
以上の結果は、センサ素子の先端保護層において先端部の断面曲率半径を低減することが、先端保護層の先端部における耐被水性の向上に効果があることを、指し示している。
1 素子基体
1h ヒータ面
1p ポンプ面
2 先端保護層
2a 内側先端保護層
2b 外側先端保護層
2e (先端保護層の)先端部
2h (先端保護層の)ヒータ面部
2p (先端保護層の)ポンプ面部
2s (先端保護層の)外周面
10 センサ素子
100 ガスセンサ
101 セラミックス体
101e 先端面
102 第一の内部空室
103 第二の内部空室
104 第三の内部空室
105 ガス導入口
106 基準ガス導入口
110 第一の拡散律速部
115 緩衝空間
120 第二の拡散律速部
130 第三の拡散律速部
140 第四の拡散律速部
141 外部ポンプ電極
142 内部ポンプ電極
143 補助ポンプ電極
145 測定電極
147 基準電極
150 ヒータ
151 絶縁層
160 電極端子
170(170a、170b) 主面保護層
P1 主ポンプセル
P2 補助ポンプセル
P3 測定用ポンプセル
r 断面曲率半径

Claims (5)

  1. ガスセンサのセンサ素子であって、
    測定対象ガス成分の検知部と、前記センサ素子を加熱するためのヒータとを内部に備えたセラミックス構造体である素子基体と、
    前記素子基体のうち、少なくとも先端面を含む所定範囲の外周部に設けられた、1または複数の単位層からなる多孔質層である先端保護層と、
    を備え、
    前記先端保護層の前記先端面側における、前記センサ素子の長手方向に沿った垂直断面の曲率半径が、前記素子基体の厚みの1/2よりも大きくかつ3mm以下である、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  2. 請求項1に記載のセンサ素子であって、
    前記素子基体の厚みが1mm以上1.5mm以下であり、
    前記曲率半径が0.5mm以上2mm以下である、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセンサ素子であって、
    前記先端保護層のうち外周面をなす部分の気孔率が、15%以上30%以下である、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  4. 請求項3に記載のセンサ素子であって、
    前記先端保護層が内側先端保護層と外側先端保護層との2層からなり、
    前記内側先端保護層の気孔率が30%以上80%以下であり、
    前記外側先端保護層の気孔率が15%以上30%以下である、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセンサ素子であって、
    前記先端保護層の前記先端面側における最大厚みが400μm以上800μm以下である、
    ことを特徴とする、ガスセンサのセンサ素子。
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