以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
図1は、実施形態に係るガスケット付加装置100の第1基材準備部1を示す図である。また、図2は、実施形態に係るガスケット付加装置100の第2基材準備部2および第2貼付機構3を示す図である。このガスケット付加装置100は、膜電極接合体の両面にサブガスケットが取り付けられたサブガスケット付膜電極接合体87を含む基材接合体B3を製造する装置である。後述するように、基材接合体B3は、膜電極接合体85および第1サブガスケットフィルム92aを含む第1基材B1と、第2サブガスケットフィルム92bを含む第2基材B2とを接合した構造を有する。
図1および図2に示すように、ガスケット付加装置100は、第1基材準備部1と、第2基材準備部2と、第1基材B1と第2基材B2とを接合させるための第2貼付機構3と、制御部4と、基材接合体回収ローラ5とを含む。第1基材準備部1は、第1基材B1を準備し、第2基材準備部2は、第2基材B2を準備する。
<第1基材準備部1>
第1基材準備部1は、電極層基材搬送機構11、第1サブガスケット基材搬送機構12、第1ハーフカット部13、第2ハーフカット部14、第1貼付機構15、バックシート回収ローラ16を備える。
<電極層基材搬送機構11>
電極層基材搬送機構11は、長尺帯状の電極層基材8(図3参照)を複数のローラで支持しつつ、第1貼付機構15へ向けて既定の搬送経路8TRに沿って搬送する。電極層基材搬送機構11は、第1供給ローラ111、第1フィードローラ112および第1ダンサーローラ113を備える。また、電極層基材搬送機構11は、搬送経路8TR上の電極層基材8から剥離される部分(後述する電解質膜82の非採用領域A82)を巻き取って回収する電解質膜回収ローラ114を備える。
以下では、電極層基材8が電極層基材搬送機構11によって第1貼付機構15へ向けて移動する移動方向を搬送方向DR1とし、当該搬送方向DR1に直交する方向であって、電極層基材8の主面(最も面積が大きい面)と平行な方向を幅方向DR2とする。搬送方向DR1は、電極層基材8の長手方向に一致する。搬送経路8TRにおいて、第1供給ローラ111に近い側を搬送方向DR1の上流側とし、第1貼付機構15に近い側を搬送方向DR1の下流側とする。
図3は、第1供給ローラ111から送り出される電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。図3に示すように、電極層基材8は、長尺帯状のバックシート81と、バックシート81の上面に設けられた長尺帯状の電解質膜82とを含む。電解質膜82の上面には、等間隔で矩形状の第1触媒層83が設けられており、電解質膜82の下面には、第1触媒層83各々と厚さ方向に重なるように複数の第2触媒層84が設けられる。電極層基材8において、第2触媒層84は、電解質膜82と、バックシート81との間に挟まれている。電極層基材8は、図示を省略する外部装置において、あらかじめ製造され、第1供給ローラ111にロール状に巻かれた状態で準備される。電解質膜82、複数の第1触媒層83および複数の第2触媒層84は、膜電極接合体層80を構成する。バックシート81は、電解質膜82に対して、容易に剥離可能な状態で付着している。
電解質膜82には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜82の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜82の膜厚は、例えば、5μm~30μmとされる。電解質膜82は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜82は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
バックシート81は、電解質膜82の変形を抑制するためのフィルムである。バックシート81の材料には、電解質膜82よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。バックシート81の材料としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。バックシート81の膜厚は、例えば、25μm~100μmである。
図3に示すように、バックシート81の幅は、電解質膜82の幅よりも若干大きい。電解質膜82は、バックシート81における幅方向の中央に設けられる。第1触媒層83および第2触媒層84の幅は、電解質膜82の幅よりも小さい。第1および第2触媒層83,84各々は、電解質膜82の上面および下面の幅方向中央に設けられる。
第1および第2触媒層83,84の材料には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。例えば、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等の触媒粒子が、第1および第2触媒層83,84の材料として用いられる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択される少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒層の材料には白金が用いられ、アノード用の触媒層の材料には白金合金が用いられる。
第1フィードローラ112は、図1に示すように、互いに接するように配置された2つのローラ体を備える。第1フィードローラ112は、当該2つのローラ体の間に電極層基材8を挟持し、当該2つのローラ体が回転することによって、第1供給ローラ111から電極層基材8を引き出す。第1フィードローラ112は、制御部4からの制御信号に応じて、能動回転することが可能に構成される。第1フィードローラ112の回転が停止されると、第1供給ローラ111からの電極層基材8の送り出しが停止され、電極層基材8の第1ハーフカット部13への搬入および第1ハーフカット部13からの搬出が停止される。
図4は、切断部8Cが設けられた電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。第1ハーフカット部13は、第1フィードローラ112の下流側に配置される。第1ハーフカット部13は、図4に示すように、第1供給ローラ111から送り出された電極層基材8の膜電極接合体層80を、採用領域A81と非採用領域A82とに切り分ける処理(以下、「第1ハーフカット処理」と称する。)を行う処理部である。第1ハーフカット部13の構成については、後述する。
図4に示すように、切断部8Cは、単一の第1触媒層83およびその裏側にある単一の第2触媒層84を取り囲む矩形状に電解質膜82を切断することによって設けられる。切断部8Cは、電解質膜82をその上面から下面へ貫通する切断面によって構成される。また、切断部8Cは、バックシート81を貫通せず、バックシート81の上面から厚さ方向の中間部まで到達する切断面によって構成される。すなわち、切断部8Cは、バックシート81の下面まで到達しない。
第1ダンサーローラ113は、電極層基材8にかかる張力を一定にするため、電極層基材8の張力に応じて上下(電極層基材8の主面に直交する方向)に移動する。第1ダンサーローラ113が上下に移動することによって、電極層基材8にかかる急激な張力の変動が吸収される。
電解質膜回収ローラ114は、電極層基材8のうち、膜電極接合体層80の非採用領域A82の部分を巻き取って回収する。非採用領域A82は、長尺帯状の電解質膜82のうち、採用領域A81を除いた部分である。電解質膜82の非採用領域A82は、第1ハーフカット部13よりも下流側の位置にて電極層基材8から剥離され、その後、電解質膜回収ローラ114に巻き取られる。
図5は、膜電極接合体層80の非採用領域A82が分離される電極層基材8を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。図5に示すように、電解質膜回収ローラ114が、電極層基材8から電解質膜82の非採用領域A82を回収すると、バックシート81の上面に、膜電極接合体85が残される。すなわち、膜電極接合体85は、電解質膜82の採用領域A81と、電解質膜82の採用領域A81の上面および下面に設けられた単一の第1触媒層83および単一の第2触媒層84とを含む。膜電極接合体85は、バックシート81とともに、第1貼付機構15へ向けて搬送される。
<第1サブガスケット基材搬送機構12>
第1サブガスケット基材搬送機構12は、長尺帯状の第1サブガスケット基材9a(図6参照)を、複数のローラで支持しつつ、第1貼付機構15へ向けて既定の搬送経路9Taに沿って搬送する。本実施形態では、第1サブガスケット基材搬送機構12によって第1貼付機構15へ向けて移動する第1サブガスケット基材9aの移動方向を搬送方向DR3とする。搬送経路9Taにおいて、第1供給ローラ111に近い方を搬送方向DR3の上流側とし、第1貼付機構15に近い方を搬送方向DR3の下流側とする。搬送方向DR3は、第1サブガスケット基材9aの長手方向に一致する。搬送方向DR3に直交する方向であって、第1サブガスケット基材9aの主面(最も面積が大きい面)と平行な方向は、幅方向DR2と一致する。
第1サブガスケット基材搬送機構12は、第2供給ローラ121および第2ダンサーローラ122を備える。また、第1サブガスケット基材搬送機構12は、搬送経路9Ta上の第1サブガスケット基材9aから剥離される第1カバーフィルム93aの不要部分(非対応領域A92)を巻き取って回収する第1カバーフィルム回収ローラ123を備える。
図6は、第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。なお、図6に示す第1サブガスケット基材9aには、第1切断部C9aが設けられている。第1切断部C9aは、後述する第2ハーフカット部14によって設けられる部分であり、第2供給ローラ121から送り出された直後は設けられていない。
図6に示すように、第1サブガスケット基材9aは、長尺帯状の第1バックシート91aと、第1バックシート91aの上面に設けられる長尺帯状の第1サブガスケットフィルム92aと、第1サブガスケットフィルム92aの上面に設けられる長尺帯状の第1カバーフィルム93aとを有する。第1サブガスケット基材9aは、図示を省略する外部装置において、あらかじめ製造され、第2供給ローラ121にロール状に巻かれた状態で準備される。
第1バックシート91aの素材としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。第1バックシート91aの膜厚は、例えば、25μm~100μmである。第1サブガスケットフィルム92aの素材としては、電解質膜82よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が好適である。第1サブガスケットフィルム92aの素材としては、具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)またはPS(ポリスチレン)が好適である。第1サブガスケットフィルム92aの膜厚は、例えば、25~100μmである。第1カバーフィルム93aの素材は、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)が好適である。
第1サブガスケット基材9aにおいて、第1バックシート91aと第1サブガスケットフィルム92aとの間には、接着剤を含む接着層(不図示)が介在する。また、図6に示すように、第1サブガスケットフィルム92aにおける第1カバーフィルム93a側の表面には、接着剤を含む接着層921が設けられる。接着層921の接着剤は、感圧性接着剤、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤またはUV硬化型接着剤が好適である。第1カバーフィルム93aは、接着層921によって、第1サブガスケットフィルム92aから容易に剥がすことが可能な程度の力で接着される。
第2ダンサーローラ122は、第1サブガスケット基材9aにかかる張力を一定にするため、電極層基材8の張力に応じて左右(第1サブガスケット基材9aの主面に直交する方向)に移動する。また、第2ダンサーローラ122が左右に移動することによって、第1サブガスケット基材9aにかかる急激な張力の変動が吸収される。
第2ハーフカット部14は、第2供給ローラ121と第2ダンサーローラ122との間に設けられる。第2ハーフカット部14は、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93aおよび第1サブガスケットフィルム92aを、対応領域A91と非対応領域A92とに切り分ける処理(第2ハーフカット処理)を行う。
第2ハーフカット処理は、図6に示すように、第1サブガスケット基材9aに第1切断部C9aを設ける処理である。当該第1切断部C9aは、矩形状である対応領域A91とそれ以外の非対応領域A92との境界線(切断対象線L9a)に沿って設けられる。対応領域A91は、例えば、第1触媒層83と相似、かつほぼ同一の大きさとされる。なお、対応領域A91は、第1触媒層83と非相似であってもよい。また、対応領域A91は、第1触媒層83より大きくてもよい。
本例では、第2ハーフカット部14は、上下に対向する2つのローラ141,142を有しており、当該2つのローラ141,142間に第1サブガスケット基材9aが通される。また、第1サブガスケット基材9aの第1カバーフィルム93a側に対向するローラ141の外周面に、ピナクル刃が設けられる。当該ピナクル刃は、対応領域A91の形状(矩形状)に対応する形状を有する。
第2ハーフカット部14は、2つのローラ141,142間で第1サブガスケット基材9aを挟持する。そして、各ローラ141,142が第1サブガスケット基材9aの搬送方向DR3へ向けた移動速度に同期して回転する。ローラ141の外周面に設けられたピナクル刃が第1サブガスケット基材9aに当たると、第1サブガスケット基材9aに第1切断部C9aが設けられる。これによって、第1サブガスケット基材9aが、対応領域A91と非対応領域A92とに切り分けられる。ローラ141の外周長は、第1サブガスケット基材9aに設ける第1切断部C9aの間隔(換言すると、対応領域A91の間隔)と一致する。このため、ローラ141,142が第1サブガスケット基材9aの移動に同期して回転することによって、第1サブガスケット基材9aに対して一定ピッチで第1切断部C9aが設けられる。なお、ローラ141,142が、常に、第1サブガスケット基材9aの移動速度と同期した速度で回転することは必須ではない。例えば、ピナクル刃が第1サブガスケット基材9aに当接するときは、第1サブガスケット基材9aの移動速度と同期した速度でローラ141を回転させる。そして、ピナクル刃が第1サブガスケット基材9aに接触しないときは、第1サブガスケット基材9aの移動速度よりも速い速度でローラ141を回転させてもよい。これにより、第1サブガスケット基材9aに対して第1切断部C9aを設ける間隔を短くすることができるため、第1サブガスケット基材9aのロスを小さくすることができる。
ローラ141,142は、第1サブガスケット基材9aとの間に発生する摩擦抵抗によって従動的に回転してもよい。この場合、第1サブガスケット基材9aの移動速度に同期して、ローラ141,142が回転するため、制御部4による、同期制御は不要である。なお、ローラ141,142のうち少なくとも一方が、モータの駆動によって能動的に回転する構成を備えてもよい。この場合、制御部4が、第1サブガスケット基材搬送機構12による第1サブガスケット基材9aの移動速度に合わせて、ローラ141,142の回転を制御するとよい。
図6に示すように、第1切断部C9aは、第1カバーフィルム93aおよび第1サブガスケットフィルム92aを貫通する切断面によって構成される。また、第1切断部C9aは、第1バックシート91aを貫通せず、第1バックシート91aの上面から厚さ方向の中間部まで到達する切断面によって構成される。すなわち、第1切断部C9aは、第1バックシート91aの下面までは到達しない。
第1カバーフィルム回収ローラ123は、第1切断部C9aが設けられた第1サブガスケット基材9aのうち、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92を巻き取って回収する。第1カバーフィルム93aの非対応領域A92は、搬送経路9Taにおける、第2ダンサーローラ122と第1貼付機構15との間の位置にて、第1サブガスケット基材9aから剥離されて、第1カバーフィルム回収ローラ123に回収される。第1カバーフィルム回収ローラ123は、剥離部の一例である。
図7は、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。図7に示すように、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離されることにより、第1サブガスケットフィルム92aの上面に、第1カバーフィルム93aの対応領域A91である矩形状部分が残される。この矩形状部分は、第1バックシート91aおよび第1サブガスケットフィルム92aとともに、第1貼付機構15へ搬送される。
図8は、第1貼付機構15によって貼り合わせられる電極層基材8および第1サブガスケット基材9aを模式的に示す縦断面図である。図8に示すように、第1貼付機構15は、電解質膜82の非採用領域A82が分離された電極層基材8(図5参照)と、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aとを互いに貼り合わせる。ここでは、電極層基材8における膜電極接合体85の第1触媒層83の上面が、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93aの上面と合わさるように、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aが貼り合わせられる。また、電極層基材8における膜電極接合体85のうち、第1触媒層83の周囲にある電解質膜82が、第1サブガスケット基材9aにおける第1カバーフィルム93aの周囲にある第1サブガスケットフィルム92aの表面(接着面)に接着する。
本実施形態では、第1サブガスケット基材9aに対して、第1触媒層83に対応する対応領域A91に、第1バックシート91aの厚さ方向中間部まで第1切断部C9aが設けられ、そして、当該第1サブガスケット基材9aが、電極層基材8に貼り合わされる。すなわち、第1サブガスケット基材9aは、対応領域A91が切り抜かれずに、電極層基材8と貼り合わせられる。このため、貼付け前の第1サブガスケットフィルム92aの剛性を高く維持することができるため、第1サブガスケットフィルム92aに皺が発生することを抑制できる。
バックシート回収ローラ16は、第1貼付機構15において、第1サブガスケット基材9aと張り合わされた電極層基材8から剥離されるバックシート81を巻き取って回収する。バックシート81は、第1貼付機構15とバックシート回収ローラ16との間の位置で、電極層基材8から剥離される。これにより、第1基材B1(図9参照)が形成される。第1基材B1は、一方から他方へ向かって順に、第1バックシート91aと、第1サブガスケットフィルム92aと、一方側の面に第1触媒層83を有し他方側の面に第2触媒層84を有する電解質膜82を含む膜電極接合体85とを備える。また、第1基材B1は、第1サブガスケットフィルム92aと第1触媒層83との間に、第1触媒層83に応じた形状の第1カバーフィルム93a(対応領域A91)をさらに備える。
第1貼付機構15によって形成された第1基材B1は、第2貼付機構3へ搬送される。第1貼付機構15から第2貼付機構3へ向かう第1基材B1の移動方向を搬送方向DR4とする。搬送方向DR4は、第1基材B1の長手方向に一致する。搬送方向DR4に直交する方向であって、第1基材B1の主面に平行な方向は、幅方向DR2と一致する。
図9は、第1基材B1を模式的に示す縦断面図(上)および平面図(下)である。第1基材B1は、膜電極接合体85の片面に第1サブガスケット基材9aが取り付けられた構造を有する。第1基材B1では、膜電極接合体85における第1触媒層83の周囲だけでなく、第1触媒層83にも、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91、さらには、第1カバーフィルム93aの対応領域A91が付加される。このため、電解質膜82および第1触媒層83(さらには、第2触媒層84)を含む膜電極接合体85の剛性を高めることができる。このため、膜電極接合体85における皺の発生などの変形を抑制することができる。
図10は、制御部4と、ガスケット付加装置100内の各部との電気的接続を示すブロック図である。制御部4は、CPU等のプロセッサ41、RAM等のメモリ42およびハードディスクドライブなどの記憶部43を有するコンピュータにより構成される。記憶部43には、ガスケット付加装置100の動作を制御するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。制御部4は、ガスケット付加装置100内の各部の動作を制御する。具体的には、制御部4は、電極層基材搬送機構11と、第1サブガスケット基材搬送機構12と、第1ハーフカット部13と、第2ハーフカット部14と、第1貼付機構15と、第2サブガスケット基材搬送機構21と、第3ハーフカット部22(切断機構)と、第2貼付機構3と、基材接合体回収ローラ5と電気的に接続される。
<第1ハーフカット部13>
図11~図14を参照しつつ、第1ハーフカット部13の構成について説明する。なお、図11~図14には、説明の便宜上、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。以下の説明では、各矢印の先端が向く方を+(プラス)方向とし、その逆方向を-(マイナス)方向とする。X方向は、搬送方向DR1と平行であり、Y方向は、幅方向DR2と平行であり、Z方向は、電極層基材8の上面に垂直な方向である。本例では、X方向およびY方向は、水平面と平行であり、Z方向は、鉛直方向と平行である。
図11は、第1ハーフカット部13の+X側面を模式的に示す図である。図12は、第1ハーフカット部13の+X側面を模式的に示す図である。図13は、第1ハーフカット部13の-Y側面を模式的に示す図である。図14は、第1ハーフカット部13のX方向駆動部134を模式的に示す図である。
第1ハーフカット部13は、搬送方向DR1へ移動する電極層基材8に、矩形状の切断部8C(図4参照)を設ける第1ハーフカット処理を施す装置である。第1ハーフカット部13は、吸着ステージ130、ロータリーダイカッター131、回転駆動部132、移動駆動部133を備える。
吸着ステージ130は、電極層基材8をバックシート81側から吸着して保持する。吸着ステージ130の吸着面(+Z側面)は、X方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする長方形状を有する。
ロータリーダイカッター131は、Y方向に延びる回転軸61Aを中心に回転する円筒状の部材である。ロータリーダイカッター131の外周面には、ピナクル刃51が設けられている。ピナクル刃51は、電極層基材8における第1触媒層83の周囲の切断対象線8T(図15参照)に沿って電極層基材8に切断部8Cを設ける。本例では、切断部8Cは、正方形状であるため、ピナクル刃51は、Y方向(幅方向DR2)に沿って互いに平行に延びる2つの幅方向部分512と、ロータリーダイカッター131の周方向に沿って互いに平行に延びる2つの周方向部分513とで構成される。
移動駆動部133は、ロータリーダイカッター131を保持する架橋体53、架橋体53をX方向へ移動させるX方向駆動部134、架橋体53をY方向へ移動させるY方向駆動部135、ロータリーダイカッター131をZ方向へ移動させるZ方向駆動部136を備える。
架橋体53は、吸着ステージ130の+Y側および-Y側に配置されたZ方向に延びる2つの柱部532、および、当該2つの柱部532の+Z側端部どうしを連結する梁部533を有する。2つの柱部532の間に、ロータリーダイカッター131が配置される。
移動駆動部133は、ロータリーダイカッター131を、少なくとも、離間位置L11(図11参照)とハーフカット位置L12(図12参照)とに移動させる。図11に示すように、離間位置L11に配置されたロータリーダイカッター131は、吸着ステージ130よりも上側の搬送経路8TRを通過する電極層基材8に対して、上方(+Z側)へ離れる。また、図12に示すように、ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12に配置されると、ロータリーダイカッター131が回転することによって、ピナクル刃51が吸着ステージ130に吸着された電極層基材8の上面に当接する。これにより、切断部8Cを設けることが可能となる。
<Z方向駆動部136>
Z方向駆動部136は、ロータリーダイカッター131の+Y側および-Y側それぞれに、Z方向ガイド561、昇降プレート562、スプリング563および偏心カム564を1つずつ備える。また、Z方向駆動部136は、Y方向へ延びる回転軸565、および、回転軸565を回転させるZ方向モータ566を備える。2つの偏心カム564は、回転軸565に取り付けられている。
スプリング563は、昇降プレート562と、昇降プレート562よりも-Z側に配置されたY方向ガイド553との間に配置される。スプリング563は、昇降プレート562の-Z側端部に連結されており、昇降プレート562を+Z側へ付勢する。昇降プレート562の+Z側端部は、偏心カム564の外周面(カム面)の-Z側端部に当接する。回転軸565とともに偏心カム564が回転すると、偏心カム564の-Z側端部がZ方向に変位する。これによって、偏心カム564に押圧される昇降プレート562の位置もZ方向に変位する。昇降プレート562は、Z方向に延びるZ方向ガイド561に連結されており、Z方向ガイド561によって鉛直方向と平行に変位する。
ロータリーダイカッター131の回転軸61Aの両端部は、ベアリング51Bを介して、昇降プレート562に支持されている。このため、昇降プレート562とともに、ロータリーダイカッター131がZ方向へ移動する。
<Y方向駆動部135>
Y方向駆動部135は、サーボモータであるY方向モータ551、Y方向へ延びるボールネジ552、および、Y方向に沿って延びる4つのY方向ガイド553を有する(図14参照)。架橋体53の-Z側部分は、各Y方向ガイド553に連結されている。また、ボールネジ552は、架橋体53の-Y側面に設けられたナット部材に連結されている(図11,図13参照)。Y方向モータ551がボールネジ552を回転させることによって、架橋体53がY方向ガイド553に沿ってY方向へ移動する。これにより、ロータリーダイカッター131がY方向へ移動する。
<X方向駆動部134>
X方向駆動部134は、サーボモータであるX方向モータ541、X方向へ延びるボールネジ542、および、X方向と平行に延びる2つのX方向ガイド543を備える。ボールネジ542は、架橋体53の+X側面に連結されており、X方向モータ541がボールネジ542を回転させることによって、架橋体53がX方向ガイド543に沿ってX方向へ移動する。これにより、ロータリーダイカッター131がX方向へ移動する。
<回転駆動部132>
回転駆動部132は、回転軸61Aを回転させることによって、ロータリーダイカッター131を回転させる。回転駆動部132は、回転モータ521およびクラッチ522を備える。
回転モータ521は、回転軸61Aの-Y側端部に連結されている。回転モータ521が回転軸61Aを回転させることによって、ロータリーダイカッター131が回転軸61Aを中心にして回転する。回転軸61Aの両側部分は、+Y側および-Y側の昇降プレート562に、ベアリング51Bを介して支持される。
クラッチ522は、回転軸61Aにおける、回転モータ521とロータリーダイカッター131との間に設けられている。回転軸61Aは、クラッチ522によって、原動軸(クラッチ522よりも回転モータ521側の軸部分)と、従動軸(クラッチ522よりもロータリーダイカッター131側の軸部分)とに分割されている。クラッチ522が原動軸と従動軸を断続することによって、回転モータ521からロータリーダイカッター131への回転駆動力の伝達を断続することができる。なお、クラッチ522は、必須ではなく、省略してもよい。
架橋体53の-Y側の柱部532には、回転軸61Aが挿通される、Y方向に貫通する貫通孔(不図示)が設けられる当該貫通孔は、Z方向に長い長円状など、回転軸61Aの昇降移動を許容する形状である。
図15は、吸着ステージ130の吸着面13Sを示す平面図ある。図16は、吸着ステージ130の吸着面13Sに吸着されている電極層基材8を示す平面図である。吸着ステージ130における、電極層基材8を吸着する吸着面13S(+Z側面)には、吸着溝501が設けられている。また、吸着溝501の内側に、雰囲気を吸引する複数の吸引孔502が設けられている。
吸着溝501は、+X方向に向かって+Y方向へ延びる複数の第1凹部503、および、+X方向に向かって-Y方向へ延びる複数の第2凹部504を含む。複数の第1凹部503および複数の第2凹部504は、複数の交差点505で交差しており、その交差点505において互いに連結されている。また、本実施形態では、この複数の交差点505のうちの一部に、吸引孔502が設けられている。なお、吸引孔502は、複数あることは必須ではなく、1つであってもよい。
吸引孔502は、不図示の吸引配管を介して、真空ポンプなどを含む吸引部50P(図11参照)に接続されている。吸引孔502は、吸引部50Pの作用によって、周囲の雰囲気を吸引する。制御部4は、吸引配管に設けられたバルブ(不図示)を制御することによって、吸引孔502による雰囲気の吸引の開始および停止を制御する。制御部4が、吸引孔502による雰囲気の吸引を開始させると、電極層基材8が吸着ステージ130の吸着面13Sに吸着される。制御部4が吸引孔502による雰囲気の吸引を停止させると、電極層基材8の吸着が解除され、電極層基材8が吸着ステージ130から上方(+Z側)へ離れる。
第1ハーフカット部13において電極層基材8に設けられる切断部8Cに対応する切断対象線8Tは、X方向に平行な部分と、Y方向に平行な部分とを含む矩形状である。吸着溝501は、切断対象線8Tにおける、X方向に平行な部分およびY方向に平行な部分と交差する第1凹部503および第2凹部504を含む。
第1ハーフカット部13では、第1ハーフカット処理中に、電極層基材8を吸着溝501に沿って吸着ステージ130に吸着するため、電極層基材8がずれることを軽減できる。また、吸着溝501が切断対象線8Tとは交差する方向に延びる、複数の第1凹部503および複数の第2凹部504を含む。このため、電極層基材8における切断対象線8Tの各部分を横断する吸着溝501で、電極層基材8保持することができる。したがって、電極層基材8にピナクル刃51が当てられた状態でも、吸着ステージ130が電極層基材8のその当接部分を強固に保持することができるため、電極層基材8の切断対象線8Tに精度良く切断部8Cを設けることができる。
図13に示すように、第1ハーフカット部13は、撮像部137を備える。撮像部137は、吸着ステージ130の吸着面13Sよりも+Z側に配置される。撮像部137は、イメージセンサを有する1つまたは複数のカメラを備える。撮像部137は、吸着ステージ130に吸着される電極層基材8における第1触媒層83を撮像する。撮像部137は、制御部4と電気的に接続されており、撮像によって得られる画像信号を制御部4へ送信する。
図13に示すように、制御部4は、位置特定部410として機能する。位置特定部410は、プロセッサ41が、コンピュータプログラムPを実行することによってソフトウェア的に実現される機能である。なお、位置特定部410は、特定用途向け集積回路などのハードウェア的構成であってもよい。位置特定部410は、撮像部137によって取得された画像において、第1触媒層83の位置(例えば、重心位置)を特定する。さらに、制御部4は、特定された第1触媒層83の位置に基づいて、切断対象線8Tを設定するとともに、その設定された切断対象線8Tに応じて移動駆動部133を動作させることにより、ロータリーダイカッター131を移動させる。
位置特定部410は、例えば、図16に示すように、第1触媒層83の4つの角部831,832、833,834を特定し、それらの位置に基づいて、第1触媒層83の重心位置を特定してもよい。この場合、撮像部137は、複数のカメラで角部831~834をそれぞれ撮影してもよい。また、撮像部137は、1つのカメラで角部831~834を1度に撮影してもよいし、あるいは、その1つのカメラを移動させることによって、複数回に分けて撮像してもよい。
また、位置特定部410が、角部831~834の位置から第1触媒層83の位置を特定することは必須ではない。例えば、位置特定部410は、第1触媒層83の四辺の位置を特定し、それらの位置に基づいて、第1触媒層83の位置を特定してもよい。
また、位置特定部410は、第2触媒層84の位置を特定してもよい。例えば、バックシート81が透明性を有する場合、撮像部137を電極層基材8のバックシート81側に配置して、撮像部137が第2触媒層84を撮像してもよい。この場合、第2触媒層84の位置に基づいて、制御部4が切断対象線8Tを適切に設定することができる。
また、位置特定部410は、第1および第2触媒層83,84それぞれの位置を特定し、制御部4が、それらの位置に基づいて、切断対象線8Tを設定してもよい。この場合、制御部4が、例えば、第1触媒層83の重心位置と第2触媒層84の重心位置との間の中間点を基準にして、切断対象線8Tを設定してもよい。
電極層基材8において、形状不良等の不良を有する第1または第2触媒層83,84が含まれる場合、制御部4は、その不良品については第1ハーフカット部13において第1ハーフカット処理を行わずに、スキップするようにしてもよい。この場合、電極層基材8について第1ハーフカット処理が行われる間隔は、等ピッチとは限らなくなる。
第1または第2触媒層83,84の良品検査は、例えば、電解質膜82上に第1または第2触媒層83,84が設けられたときに行われてもよい。この場合、その良品検査の結果に基づき、各第1または第2触媒層83,84の良・不良を示す管理データを準備しておくとよい。そして、ガスケット付加装置100においては、制御部4が当該管理データを参照することによって、「良品」とされた第1または第2触媒層83,84を含む領域についてのみ、第1ハーフカット部13にて第1ハーフカット処理が実行されてもよい。この場合、電極層基材8に対して不要な切断部8Cが設けられることを抑制できるため、ガスケット付加装置100において、第1基材B1を効率的に製造することができる。また、採用されない第1触媒層83が第1サブガスケット基材9aに貼り付けられることが抑制されるため、第1サブガスケット基材9aが無駄に消費されることを抑制できる。
なお、第1または第2触媒層83,84の良品検査は、ガスケット付加装置100において行われてもよい。この場合、第1供給ローラ111と第1ハーフカット部13との間の位置に、第1または第2触媒層83,84を撮像するカメラを設けてもよい。そして、制御部4が、カメラで得られた画像に対してパターンマッチング等の検査手法を適用することによって、第1または第2触媒層83,84についての良品検査が行われてもよい。
<第1ハーフカット処理の流れ>
ガスケット付加装置100において行われる第1ハーフカット処理を説明する。まず、電極層基材搬送機構11によって、電極層基材8において、良品とされる第1触媒層83を含む採用領域A81が吸着ステージ130上の既定位置に搬送される。すると、制御部4は、電極層基材搬送機構11を制御して、電極層基材8の搬送方向DR1(+X方向)へ向けた移動を停止させる。採用領域A81が、既定位置に到達したか否かの判定は、例えば、搬送経路8TR上の所定位置に配されたフォトセンサで、目的の第1触媒層83の通過を検出することによって行われてもよい。
電極層基材8の移動を停止させた後、制御部4は、吸着ステージ130の吸引孔502から雰囲気の吸引を開始する。これによって、電極層基材8が、吸着溝501を介して、吸着面13Sに吸着される。
続いて、撮像部137が第1触媒層83を撮像するとともに、位置特定部410が、その撮像によって得られた画像において、第1触媒層83の位置を特定する。そして、制御部4が、特定された第1触媒層83の位置に基づいて、切断対象線8Tを設定する。
続いて、制御部4は、ロータリーダイカッター131を、離間位置L11(図11参照)からハーフカット位置L12(図12参照)へ移動させる。ハーフカット位置L12は、ロータリーダイカッター131のピナクル刃51が、電極層基材8に切断部8Cを設けるときの、ロータリーダイカッター131の位置である。上述したように、切断対象線8Tは、位置特定部410によって特定された第1触媒層83(または第2触媒層84)の位置に応じて異なる。このため、ロータリーダイカッター131のハーフカット位置L12は、第1触媒層83の位置に応じて変動し得る。
また、ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12へ移動する前に、制御部4は、回転駆動部132を制御する。この制御によって、ロータリーダイカッター131のピナクル刃51が初期位置に配されるまで、ロータリーダイカッター131が回転する。
例えば、図12に示すように、ピナクル刃51のうち、切断対象線8Tの最上流部分8T1(図16参照)に当接する刃部分(ここでは、幅方向部分512)が、ロータリーダイカッター131の最下端に配される状態を、ピナクル刃51の初期位置としてもよい。この場合、ロータリーダイカッター131が-Z側へ下降して、ハーフカット位置L12に配されることによって、ピナクル刃51が電極層基材8の最上流部分8T1に切断部8Cを設けることができる。
ロータリーダイカッター131がハーフカット位置L12に配されると、ロータリーダイカッター131の外周面が、吸着ステージ130に吸着された電極層基材8の上面(第1触媒層83または電解質膜82)に接触する。この接触時において、より好ましくは、ロータリーダイカッター131の外周面と吸着ステージ130の吸着面13Sとが、電極層基材8を挟んで押圧する状態となる。この状態で、制御部4は、回転駆動部132および移動駆動部133によって、ロータリーダイカッター131の上流側(-Y側)への移動に同期してロータリーダイカッター131を回転させる。そして、ピナクル刃51が、初期位置から終了位置まで既定の角度分だけ回転することによって、切断対象線8Tに沿った切断部8Cが電極層基材8に設けられる。
なお、電極層基材8とロータリーダイカッター131との間に発生する摩擦抵抗を利用して、ロータリーダイカッター131を従動回転させてもよい。この場合、例えば、制御部4は、ピナクル刃51を初期位置へ移動させた後、クラッチ522を制御することによって、回転軸61Aにおける原動軸と従動軸の接続を切断してもよい。なお、上述のように、ハーフカット位置L12において、ロータリーダイカッター131を能動的に回転させる場合には、クラッチ522を省略してもよい。
ピナクル刃51が終了位置まで回転すると、制御部4は、ロータリーダイカッター131を+Z側へ上昇させて、離間位置L11へ移動させる。そして、制御部4は、吸着ステージ130による電極層基材8の吸着を解除する。そして、制御部4は、電極層基材搬送機構11によって、電極層基材8を再び搬送方向DR1へ向けて移動させる。
第1ハーフカット部13では、吸着ステージ130に対して、ロータリーダイカッター131の位置を移動させることができる。このため、吸着ステージ130に吸着された電極層基材8に対して、ロータリーダイカッター131に設けられた刃を移動させることができる。したがって、電極層基材8の適切な位置に切断部8Cを設けることができる。
特に、本実施形態では、ロータリーダイカッター131を、X方向(搬送方向DR1)、Y方向(幅方向DR2)へ移動させることができる。このため、電極層基材8の表面に平行な方向について、切断部8Cを設ける位置を調整することができる。また、本実施形態では、ロータリーダイカッター131をZ方向(電極層基材8の厚さ方向)へ移動させることができる。このため、電極層基材8に設けられる切断部8Cの深さを調整することができる。
第1ハーフカット部13は、電極層基材8にバックシート81を残しつつ、電解質膜82を切断する。したがって、第1ハーフカット部13の第1ハーフカット処理によって設けられる膜電極接合体85を、バックシート81上に残しつつ、第1貼付機構15において第1サブガスケット基材9aと貼り合わせることができる。
また、第1ハーフカット部13においては、回転軸61Aが、電極層基材8の長手方向に直交する幅方向DR2に沿って配置されている。このため、ロータリーダイカッター131が回転軸61Aを中心に回転しつつ、電極層基材8の長手方向へ移動することによって、電極層基材8に切断部8Cを効率的に設けることができる。
また、第1ハーフカット部13においては、位置特定部410によって特定された第1触媒層83の位置に基づいて切断対象線8Tが決定され、その切断対象線8Tに合わせて、ロータリーダイカッター131のハーフカット位置L12が設定される。これにより、第1触媒層83の位置に合わせて、切断部8Cを精度良く設けることができる。
ガスケット付加装置100においては、電極層基材搬送機構11は、吸着ステージ130上における電極層基材8の移動および停止を交互に行いつつ、電極層基材8を搬送方向DR1へ搬送する。そして、ガスケット付加装置100が、電極層基材8を停止させている状態で、移動駆動部133がロータリーダイカッター131をハーフカット位置L12へ移動させる。このため、電極層基材8に設けられる切断部8Cの位置精度を向上することができる。
<第1貼付機構15の構成>
図17および図18を参照しつつ、第1貼付機構15の構成について説明する。図17および図18は、第1貼付機構15を模式的に示す側面図である。なお、図17および図18には、説明の便宜上、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。+X方向は、搬送方向DR1と一致し、-X方向は搬送方向DR3と一致する。また、Y方向は、幅方向DR2と平行である。
図8において説明したように、第1貼付機構15は、電解質膜82のうち非採用領域A82が分離された電極層基材8と、第1カバーフィルム93aの非対応領域A92が分離された第1サブガスケット基材9aとを貼り合わせる装置である。第1貼付機構15は、後述する位置合わせ処理を行うことによって、第1触媒層83と第1切断部C9a(対応領域A91)とを互いに位置合わせした状態で、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aを貼り合わせる。第1貼付機構15は、第1貼付ローラ151、第2貼付ローラ152、吸着機構153、貼付ローラ移動駆動部154、第1撮像部155、および第2撮像部156を備える。
第1貼付ローラ151は、外周面に電極層基材8を保持する円筒状の部材であって、幅方向DR2へ延びる回転軸61Aを中心に回転する。第1貼付ローラ151は、電極層基材8をバックシート81側から保持する。第1貼付ローラ151の外周面は、例えば、ゴムで構成されていてもよい。
第2貼付ローラ152は、外周面に第1サブガスケット基材9aを保持する円筒状の部材である。幅方向DR2に延びる回転軸62Aを中心に回転する。第2貼付ローラ152は、第1サブガスケット基材9aを第1バックシート91a側から保持する。第1および第2貼付ローラ151,152は、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aから受ける摩擦抵抗によって受動的に回転する従動ローラであってもよい。また、第1および第2貼付ローラ151,152は、能動的に回転してもよい。すなわち、回転軸61A,62Aに、不図示のサーボモータを接続し、制御部4が当該サーボモータを制御することによって、第1および第2貼付ローラ151,152を回転させてもよい。
第2貼付ローラ152は、第1貼付ローラ151と平行に配置される。吸着機構153は、第2貼付ローラ152の外周面に、第2貼付ローラ152の保持対象物である第1サブガスケット基材9aを吸着させる機構である。
吸着機構153は、第2貼付ローラ152の外周面に設けられた多孔質部材631と、多孔質部材631に接続される吸引部632を備える。多孔質部材631は、多数の微小な孔を有しており、例えば、多孔質カーボンや多孔質セラミックス等の多孔質材料で構成される。多孔質セラミックスは、例えば、アルミナ(Al2O3)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体である。多孔質部材631における気孔径は、例えば5μm以下とされ、気孔率は、例えば15%~50%とされる。
なお、多孔質部材631に代えて、SUS等のステンレスまたは鉄などの金属製部材を用いてもよい。この場合、金属製部材の外表面に、微小な吸着孔が加工によって設けられるとよい。吸着孔の直径は、吸着痕の発生を抑制するために、例えば、2mm以下とされる。
吸引部632は、真空ポンプなどで構成され、吸引配管を介して多孔質部材631に連結される。吸引部632の駆動によって、多孔質部材631の外表面付近の雰囲気が、多数の孔に吸引される。これによって、第2貼付ローラ152の外周面(多孔質部材631の外表面)に、第1サブガスケット基材9aが吸着される。ここでは、第2貼付ローラ152は、第1サブガスケット基材9aを第1バックシート91a側から吸着して保持する。このように、本実施形態では、第2貼付ローラ152は、吸着ローラとして構成される。
貼付ローラ移動駆動部154は、第2貼付ローラ152を移動させる。貼付ローラ移動駆動部154は、接離方向駆動部64Xおよび軸方向駆動部64Yを備える。接離方向駆動部64Xは、図17および図18に示すように、第2貼付ローラ152を、第1貼付ローラ151に接近する方向(-X方向)、および、第1貼付ローラ151から離間する方向(+X方向)へ移動させる。
接離方向駆動部64Xは、X軸テーブル641と、X軸テーブル641をX方向へ移動させるための直動駆動機構(例えば、リニアモータ機構またはボールネジ機構など)、並びに、X軸テーブルをX方向へ案内するガイド部などを備える。接離方向駆動部64Xの直動駆動機構は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じて動作する。
軸方向駆動部64Yは、第2貼付ローラ152を、第2貼付ローラ152の回転軸62Aの延びる幅方向DR2(軸方向)と平行なY方向へ移動させる。軸方向駆動部64Yは、Y軸テーブル642、およびY軸テーブル642をY方向へ移動させるための直動駆動機構(例えば、リニアモータ機構またはボールネジ機構など)のほか、Y軸テーブルをY方向へ案内するガイド部などを備える。軸方向駆動部64Yの直動駆動機構は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じて動作する。軸方向駆動部64Yは、X軸テーブル641に設置されており、X軸テーブルとともに、X方向へ移動する。
第2貼付ローラ152の回転軸62Aは、連結部材643を介して、軸方向駆動部64YのY軸テーブル642に連結されている。このため、Y軸テーブル642がY方向へ移動することに伴って、第2貼付ローラ152がY方向へ移動する。また、X軸テーブル641がX方向へ移動することに伴って、第2貼付ローラ152が幅方向DR2へ移動する。
第1撮像部155は、第1貼付ローラ151に保持される電極層基材8の+Z側面(第1触媒層83側の表面)に対向して配置される。第2撮像部156は、第2貼付ローラ152に保持される第1サブガスケット基材9aの+Z側面(第1カバーフィルム93a側の表面)対向して配置される。第1および第2撮像部155,156は、それぞれ、イメージセンサを有する1つまたは複数のカメラで構成される。第1および第2撮像部155,156は、制御部4と電気的に接続されており、イメージセンサで検出される画像信号を制御部4へ送信する。
第1撮像部155は、第1貼付ローラ151に保持されている電極層基材8の+Z側面(すなわち、第1触媒層83側の表面)を撮像する。また、第2撮像部156は、第2貼付ローラ152に保持されている第1サブガスケット基材9aの+Z側面(すなわち、第1カバーフィルム93a側の表面)を撮像する。
第1貼付機構15は、第1撮像部155よりも搬送方向DR1の上流側に配置される光センサ651を備える。光センサ651は、例えば、反射型であり、電極層基材8における第1触媒層83にて反射する光を検出する。なお、光センサ651は、透過型であってもよい。光センサ651は、制御部4に電気的に接続され、検出信号を出力する。制御部4は、光センサ651からの検出信号に基づいて、第1触媒層83が光センサ651の測定地点へ到達したことを検出する。また、制御部4は、光センサ651が第1触媒層83の検出を開始してから検出を終了するまでに電極層基材8が進む距離に基づいて、第1触媒層83のX方向(搬送方向DR1)における長さ寸法を測定することができる。
図17に示すように、制御部4は、第1および第2位置測定部411,412として機能する。第1および第2位置測定部411,412は、プロセッサ41が、コンピュータプログラムPを実行することによってソフトウェア的に実現される機能である。なお、第1および第2位置測定部411,412は、特定用途向け集積回路などのハードウェア的構成であってもよい。
図19は、電極層基材8上の膜電極接合体85を模式的に示す平面図である。第1位置測定部411は、第1撮像部155が取得する画像に基づいて、電極層基材8の位置を特定する。より詳細には、第1位置測定部411は、第1撮像部155が取得する画像において、第1触媒層83の位置(搬送方向DR1および幅方向DR2の位置)を特定する。例えば、図19に示すように、第1位置測定部411は、第1触媒層83における搬送方向DR1の中心線LX1と、第1触媒層83のX方向に平行な側辺LS1,LS2との交点CL1,CL2の位置を測定する。中心線LX1の位置は、例えば、第1触媒層83のX方向の長さ寸法に基づいて、特定されてもよい。また、側辺LS1,LS2は、第1撮像部155が取得する画像に対して、例えば、2値化処理またはエッジ抽出処理などの公知の画像処理を適用することによって検出されるとよい。また、第1位置測定部411は、交点CL1,CL2の位置の中心を、第1触媒層83の位置として求めてもよい。
なお、第1位置測定部411は、第1触媒層83の4つの角部831~834(図16参照)、または、4辺を検出し、それらの位置に基づいて、第1触媒層83の位置を特定してもよい。
第2位置測定部412は、第2撮像部156が取得する画像に基づいて、第1サブガスケット基材9aの位置を特定する。より詳細には、第2位置測定部412は、第2撮像部156が取得する画像において、第1サブガスケット基材9aに設けられた第1切断部C9aを検出する。そして、第2位置測定部412は、第1切断部C9aの画像上の位置に基づいて、第1切断部C9aの位置(搬送方向DR1の位置および幅方向DR2の位置)を特定する。
第1および第2貼付ローラ151,152間で貼り合わせを行わない間は、図18に示すように、第1および第2貼付ローラ151,152がX方向へ互いに離れる。この状態で、電極層基材8の位置と第1サブガスケット基材9aの位置とが合わせられる。第1および第2貼付ローラ151,152間で貼り合わせを行う間は、図17に示すように、第1および第2貼付ローラ151,152が互いに接近する。第1および第2貼付ローラ151,152が最も接近している貼付位置LA1において、電極層基材8と第1サブガスケット基材9aが貼り合わせられることによって、貼合体が形成される。なお、ガスケット付加装置100においては、貼付位置LA1にて貼合体が形成された直後、電極層基材8のバックシート81が剥離される。これによって、等間隔に膜電極接合体85を有する第1基材B1(図9参照)が得られる。第1基材B1は、膜電極接合体85を含む膜電極基材の一例である。また、第1貼付機構15から基材接合体回収ローラ5まで第1基材B1を支持しつつ搬送する各ローラは、第1基材B1を規定の搬送経路に沿って搬送する膜電極基材搬送機構の一例である。
図20は、第1貼付機構15における貼り合わせ処理の流れを示す図である。まず、電極層基材搬送機構11が電極層基材8を+X方向へ搬送することによって、貼り合わせ対象(すなわち、採用領域A81)である第1触媒層83が、光センサ651に検出される。制御部4は、その検出開始時間をメモリ42に記憶する。制御部4は、その検出開始時間から当該第1触媒層83が検出されなくなる検出終了時間までの、電極層基材8の移動量を、第1触媒層83のX方向の長さ寸法としてメモリ42に記憶してもよい。
制御部4は、第1触媒層83が第1撮像部155の撮像位置に到達すると、電極層基材搬送機構11による電極層基材8の搬送を停止する(ステップS21)。そして、制御部4の第1位置測定部411は、第1撮像部155によって得られる画像に基づいて、第1触媒層83の位置を特定する(ステップS22)。
一方、制御部4は、第1切断部C9aが第2撮像部156の撮像位置に到達すると、第1サブガスケット基材搬送機構12による第1サブガスケット基材9aの搬送を停止する(ステップS23)。そして、制御部4の第2位置測定部412は、第2撮像部156によって得られる画像に基づいて、第1切断部C9a(対応領域A91)の位置を特定する(ステップS24)。制御部4は、ステップS23,S24の処理を、ステップS21,S22の処理と並行して行う。
続いて、制御部4は、位置合わせ処理を行う(ステップS25)。すなわち、制御部4は、第1触媒層83と第1切断部C9aの幅方向DR2(軸方向)の位置のずれを修正するため、軸方向駆動部64Yを制御することによって、第2貼付ローラ152を幅方向DR2(軸方向)へ移動させる。
また、制御部4は、第1触媒層83および第1切断部C9aの各搬送方向DR1,DR3の位置のずれを修正するため、電極層基材搬送機構11または第1サブガスケット基材搬送機構12を制御する。当該制御によって、電極層基材8または第1サブガスケット基材9aどちらか一方が搬送される。これにより、第1貼付機構15における貼付位置LA1(接触位置)において、第1触媒層83の位置と第1切断部C9aの位置とが合わせられる。
ステップS25の位置合わせ処理が完了すると、制御部4は、第2貼付ローラ152を第1貼付ローラ151へ接近させる(ステップS26)。これにより、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aが、第1および第2貼付ローラ151,152の間の貼付位置LA1において、接触される。
続いて、制御部4は、電極層基材搬送機構11および第1サブガスケット基材搬送機構12によって、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aの搬送を再開する。これによって、第1貼付機構15において、電極層基材8および第1サブガスケット基材9aの貼り合わせが開始される。また、ステップS25における位置合わせ処理によって、第1触媒層83(採用領域A81)と第1切断部C9a(対応領域A91)とが位置合わせされた状態で貼り合わされる。
本実施形態のガスケット付加装置100では、幅方向DR2(軸方向)へ移動する第2貼付ローラ152によって、第1サブガスケット基材9aを吸着して強固に保持することができる。このため、第2貼付ローラ152を幅方向DR2へ移動させた場合に、第2貼付ローラ152において第1サブガスケット基材9aが位置ずれすることを抑制できる。これにより、電極層基材8と第1サブガスケット基材9aとの幅方向DR2の位置を高精度に合わせることができるため、電極層基材8に第1サブガスケット基材9aを良好に付加することができる。
また、第1サブガスケット基材9aを吸着保持する第2貼付ローラ152を、第1貼付ローラ151に対して接離方向へ移動させる。このため、第2貼付ローラ152を接離方向へ移動させたときに、第2貼付ローラ152において第1サブガスケット基材9aが位置ずれすることを抑制できる。
なお、本実施形態では、第1サブガスケット基材9aを保持する第2貼付ローラ152に、吸着機構153が設けられているが、これは必須ではない。すなわち、電極層基材8を保持する第1貼付ローラ151の外周面に多孔質部材631を設けて、第1貼付ローラ151に電極層基材8を吸着保持させてもよい。また、第1貼付ローラ151に、貼付ローラ移動駆動部154を連結することによって、第1貼付ローラ151を軸方向(幅方向DR2)、および、接離方向(X方向)に移動させてもよい。
<第2基材準備部2>
図2に示すように、第2基材準備部2は、第2サブガスケット基材搬送機構21と、第3ハーフカット部22と、第2カバーフィルム回収ローラ24とを備える。図21は、第2基材準備部2において処理される第2サブガスケット基材9bを模式的に示す縦断面図である。第2基材準備部2は、第2サブガスケット基材9bを処理することにより、第2基材B2を準備する。
<第2サブガスケット基材搬送機構21>
第2サブガスケット基材搬送機構21は、長尺帯状の第2サブガスケット基材9bを、複数のローラで支持しつつ、第2貼付機構3へ向けて既定の搬送経路9Tbに沿って搬送する。本実施形態では、第2サブガスケット基材搬送機構21によって第2貼付機構3へ向けて移動する第2サブガスケット基材9bの移動方向を、搬送方向DR5とする。搬送経路9Tbにおいて、第3供給ローラ211に近い方を搬送方向DR5の上流側とし、第2貼付機構3に近い方を搬送方向DR5の下流側とする。搬送方向DR5は、第2サブガスケット基材9bの長手方向に一致する。第2サブガスケット基材9bの主面と平行であって、搬送方向DR5に直交する方向は、幅方向DR2と一致する。
図21上段に示すように、第2サブガスケット基材9bは、第1サブガスケット基材9aとほぼ同一の構成を有する。すなわち、第2サブガスケット基材9bは、一方から他方に向かって順に、第2バックシート91bと、第2サブガスケットフィルム92bと、第2カバーフィルム93bとを有する。第2バックシート91b、第2サブガスケットフィルム92b、第2カバーフィルム93bは、いずれも長尺帯状である。第2サブガスケット基材9bは、第1サブガスケット基材9aと同様に、図示を省略する外部装置においてあらかじめ製造され、第3供給ローラ211にロール状に巻かれた状態で準備される。
第2バックシート91bと第2サブガスケットフィルム92bとの間には、接着剤を含む接着層(不図示)が介在する。また、図21上段に示すように、第2サブガスケットフィルム92bにおける第2カバーフィルム93b側の主面には、接着剤を含む接着層922が設けられる。第2カバーフィルム93bは、接着層922によって、第2サブガスケットフィルム92bから容易に剥がすことが可能な程度の力で接着される。接着層922の接着剤は、感圧性接着剤、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤またはUV硬化型接着剤が好適である。
図2に示すように、第2サブガスケット基材搬送機構21は、第3供給ローラ211、第2フィードローラ212、第3ダンサーローラ213を備える。第2サブガスケット基材9bは、第3供給ローラ211に巻回された状態で供給される。第2フィードローラ212は、第3供給ローラ211から第2サブガスケット基材9bを引き出す。第2フィードローラ212は、制御部4からの制御信号に応じて、能動回転する。第2フィードローラ212の回転が停止されると、第3供給ローラ211からの第2サブガスケット基材9bの送り出しが停止される。
第3ダンサーローラ213は、第2サブガスケット基材9bにかかる張力を一定にするため、第2サブガスケット基材9bの張力に応じて上下(第2サブガスケット基材9bの主面に直交する方向)に移動する。第3ダンサーローラ213が移動することによって、第2サブガスケット基材9bにかかる急激な張力の変動が吸収される。
<第3ハーフカット部22>
第3ハーフカット部22は、第3ダンサーローラ213の下流側に設けられる。第3ハーフカット部22は、第2サブガスケット基材9bにおける第2カバーフィルム93bおよび第2サブガスケットフィルム92bを、対応領域A93と非対応領域A94とに切り分ける処理(第3ハーフカット処理)を行う。
第3ハーフカット処理は、図21中段に示すように、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設ける処理である。第2切断部C9bは、矩形状である対応領域A93とそれ以外の非対応領域A94との境界線(切断位置P9b)に沿って設けられる。対応領域A93は、例えば、第2触媒層84と相似、かつ、ほぼ同一の大きさとされる。なお、対応領域A93は、第2触媒層84と非相似であってもよい。また、対応領域A93は、第2触媒層84より大きくてもよい。
第2切断部C9bは、第2カバーフィルム93bおよび第2サブガスケットフィルム92bを貫通する切断面によって構成される。また、第2切断部C9bは、第2バックシート91bを貫通せず、第2バックシート91bの上面(第2サブガスケットフィルム92b側の面)から厚さ方向の中間部まで到達する切断面によって構成される。すなわち、第2切断部C9bは、第2バックシート91bの下面までは到達しない。
図2に示すように、第3ハーフカット部22は、ロータリーダイカッター221と、支持ローラ222と、駆動部223と、撮像部224とを有する。支持ローラ222は、第2サブガスケット基材9bを第2バックシート91b側から支持する。ロータリーダイカッター221は、第2サブガスケット基材9bの第2カバーフィルム93b側に配置される。ロータリーダイカッター221の外周面には、対応領域A93に対応する形状のピナクル刃が設けられている。また、ロータリーダイカッター221の回転軸には、回転駆動部(駆動部223)が接続されている。ロータリーダイカッター221が回転しつつ、ピナクル刃の先端が、第2サブガスケット基材9bにおけるロータリーダイカッター221に支持されている部分に差し込まれる。これによって、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bが形成される。
駆動部223は、回転駆動部と移動駆動部とを含む。回転駆動部は、ロータリーダイカッター221を幅方向DR2に延びる回転軸まわりに回転させる。移動駆動部は、ロータリーダイカッター221を、第2サブガスケット基材9bの主面に垂直な方向と、幅方向DR2とに移動させる。駆動部223としては、例えば、Y方向駆動部135およびZ方向駆動部136(図11および図14参照)と同様の構成を採用してもよい。駆動部223は、制御部4と電気的に接続されており、制御部4からの制御信号に応じてロータリーダイカッター221を移動させる。
<撮像部224>
撮像部224は、第1貼付機構15によって作製される第1基材B1の第2触媒層84を撮像する。撮像部224は、例えば、第1触媒層83を撮像する撮像部137と同様に、1つまたは複数のカメラを有する。撮像部224は、制御部4と電気的に接続されており、撮像によって得られる画像信号を制御部4に送信する。
<第2カバーフィルム回収ローラ24>
第2カバーフィルム回収ローラ24は、図21下段に示すように、第2切断部C9bが設けられた第2サブガスケット基材9bから、第2カバーフィルム93bの非対応領域A94を剥離して巻き取る。第2カバーフィルム回収ローラ24は、第2カバーフィルム93bの非対応領域A94を除去する第1除去機構の一例である。第2カバーフィルム回収ローラ24による剥離処理によって、第2サブガスケットフィルム92bの上面に、第2カバーフィルム93bの対応領域A93が残された第2基材B2が得られる。すなわち、第2基材B2は、一方側から他方側へ向かって順に、第2バックシート91bと、第2サブガスケットフィルム92bと、複数の第2カバーフィルム93bの対応領域A93とを有する。複数の第2カバーフィルム93bの対応領域A93は、第2基材B2の長手方向に間隔をあけて設けられる。
後述するように、第2貼付機構3においては、第1基材B1と第2基材B2とを貼り合わせる際、第2カバーフィルム93bの対応領域A93の位置が、第1基材B1の第2触媒層84の位置に合わせられる。この位置合わせを精度よく行うため、ガスケット付加装置100では、撮像部224によって得られる画像から第2触媒層84の位置が特定される。そして、特定された第2触媒層84の位置に合わせて、第3ハーフカット部22が第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設ける。この処理について、図22を参照しつつ説明する。
図22は、第3ハーフカット部22が第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bを設ける様子を概念的に示す平面図である。図22に示すように、第1基材B1は、第2貼付機構3(詳細には、貼付ローラ31)に向けて搬送方向DR4に搬送される。第2貼付機構3へ向けた第1基材B1の搬送は、図1に示すように、第1サブガスケット基材9aを搬送する第1サブガスケット基材搬送機構12、第1基材B1を支持する各ローラ、および、基材接合体回収ローラ5による基材接合体B3の巻き取りによって実現される。また、第2基材B2の第2貼付機構3に向かう搬送方向DR5への搬送は、図1および図2に示すように、第2サブガスケット基材搬送機構21による第2サブガスケット基材9bの搬送と、基材接合体回収ローラ5とによる基材接合体B3の巻き取りによって実現される。
第1基材B1上には、第1基材B1の長手方向(搬送方向DR4)に間隔をあけて複数の第2触媒層84が設けられている。このため、第1基材B1が搬送方向DR4に搬送されることによって、撮像部224の撮像領域内を、複数の第2触媒層84が順次通過することとなる。
位置特定部410(図13参照)は、撮像部224によって取得された画像に基づいて、各第2触媒層84の位置を特定する。詳細には、位置特定部410は、第2触媒層84の搬送方向DR4における位置と、第2触媒層84の幅方向DR2における位置とを求める。位置特定部410は、第2触媒層84の周縁部の各辺の位置、または、4つの角部841~844の位置を画像から特定することによって、第2触媒層84の位置を特定してもよい。
なお、第2触媒層84の搬送方向DR4における位置を求めるため、位置特定部410は、例えば搬送方向DR4における、隣接する2つの第2触媒層84間の距離D1を求めてもよい。距離D1は、隣接する2つの第2触媒層84のうち、上流側の第2触媒層84の下流側端部の位置と、下流側の第2触媒層84の上流側端部の位置とから求められてもよい。距離D1を求めることによって、第2触媒層84各々の搬送方向DR4の位置を求めることが可能である。
また、第2触媒層84の幅方向DR2における位置を求めるため、位置特定部410は、例えば、位置特定の対象である第2触媒層84について、幅方向DR2における両側端部(例えば、角部841,842)の位置を、画像から特定してもよい。そして、特定された両側端部の中心を、対象である第2触媒層84の幅方向DR2における位置としてもよい。
なお、第3ハーフカット部22は、第2触媒層84を検出するフォトセンサを備えてもよい。この場合、位置特定部410は、フォトセンサからの出力信号に基づいて、第2触媒層84の位置を特定してもよい。
制御部4は、位置特定部410によって特定された第2触媒層84の位置に基づき、切断位置P9bを決定する(図21および図22参照)。切断位置P9bは、第2触媒層84に対応する第2切断部C9bを設ける位置である。制御部4は、切断位置P9bの幅方向DR2の位置を、対応する第2触媒層84の幅方向DR2における位置に一致させる。また、制御部4は、切断位置P9bの搬送方向DR5における位置を、対応する第2触媒層84の搬送方向DR4にける位置に対応させる。
制御部4は、切断位置P9bから第2貼付機構3までの搬送方向DR5における距離を、対応する第2触媒層84から第2貼付機構3までの搬送方向DR4における距離と一致させる。これにより、切断位置P9bに形成される第2カバーフィルム93bの対応領域A93と、対応の第2触媒層84とを第2貼付機構3に同じタイミングで到達させることができる。なお、第2触媒層84の搬送方向DR4の位置として、上述の距離D1を求める場合、制御部4は、図22に示すように、切断位置P9bを、1つ前の切断位置P9bから搬送方向DR5の下流側に距離D1だけ離れた位置とする。
制御部4は、第2サブガスケット基材9bにおける切断位置P9bを設定すると、その切断位置P9bに第2切断部C9bを設ける。具体的には、制御部4は、駆動部223を制御することによって、ロータリーダイカッター221を第2サブガスケット基材9bから離した状態で、ロータリーダイカッター221の刃の軸方向(幅方向DR2)の位置を、切断位置P9bに一致させる。また、制御部4は、切断位置P9bにロータリーダイカッター221の刃を接触させるべく、ロータリーダイカッター221を支持ローラ222に近接させるとともに、ロータリーダイカッター221を回転させる。これにより、搬送方向DR5へ移動する第2サブガスケット基材9bの切断位置P9bに、第2切断部C9bが設けられる。
<第2貼付機構3>
図2に示すように、第2貼付機構3は、2つの貼付ローラ31,31を有する。2つの貼付ローラ31,31のうち、一方の貼付ローラ31には第1基材準備部1からの第1基材B1が供給され、他方の貼付ローラ31には第2基材準備部2からの第2基材B2が供給される。2つの貼付ローラ31,31の間に、第1および第2基材B1,B2が挟み込まれることによって、第2基材B2が、第1基材B1に貼り付けられる。これにより、基材接合体B3が得られる。
図23は、第2貼付機構3によって貼り合わされる第1基材B1および第2基材B2を模式的に示す縦断面図である。図24は、基材接合体B3を模式的に示す縦断面図である。図25は、基材接合体B3から得られるサブガスケット付膜電極接合体87を模式的に示す縦断面図である。図23に示すように、第2貼付機構3では、第1基材B1における第1触媒層83と、第2基材B2における第2カバーフィルム93bの対応領域A93の位置が、互いに合わせられた状態で、第2基材B2が第1基材B1に貼り付けられる。第2基材B2が第1基材B1に貼り付けられることにより、図24に示す基材接合体B3が得られる。図23および図24に示すように、基材接合体B3においては、第1基材B1における第2触媒層84の周囲に露出した電解質膜82の表面が、第2基材B2における第2カバーフィルム93bの周囲に露出した第2サブガスケットフィルム92bの接着層922に接着する。また、第1基材B1における第1サブガスケットフィルム92aの露出した主面(接着層921)が、第2基材B2における第2サブガスケットフィルム92bの接着層922に接着する。
第2貼付機構3と、基材接合体回収ローラ5との間には、接着力強化部33が設けられている。接着力強化部33は、基材接合体B3の接着層921,922における接着剤の接着力を強化する。接着力強化部33は、具体的には、加熱部34、押圧部35および冷却部36を有する。
加熱部34は、例えば、基材接合体B3を輻射熱で加熱する複数のヒータ340を備える。加熱部34は、各ヒータ340で基材接合体B3を加熱することによって、接着層921,922が有する接着剤を加熱する。これにより、接着剤が熱可塑性または熱硬化性の樹脂を含む場合、接着剤の加熱によって接着力を強化することができる。なお、加熱部34は、輻射熱で加熱するものに限定されず、例えば、熱風を基材接合体B3に吹き付けることによって、接着剤を加熱してもよい。また、加熱部34は、基材接合体B3を通過させる加熱室を備えてもよい。加熱室の内側の温度を高めることにより、基材接合体B3の接着剤を加熱することができる。
押圧部35は、基材接合体B3を両側から押圧する。押圧部35は、例えば、基材接合体B3を厚さ方向の両側から挟む2つのローラで構成される。押圧部35が、基材接合体B3を押圧することによって、基材接合体B3に含まれる弛みや皺が除去される。
押圧部35は、加熱部34よりも下流側に設けられているため、第2基材B2を加熱した後、押圧することができる。第1および第2サブガスケットフィルム92a,92bの接着面が熱硬化性または熱可塑性の接着剤を有する場合、加熱後に押圧することによって、第1基材B1と第2基材B2との接合を促進することができる。
冷却部36は、基材接合体B3の温度を、所定の目標温度へ低下させる。冷却部36は、基材接合体B3を自然冷却する搬送経路として構成される。なお、冷却部36は、押圧部35を通過した直後における基材接合体B3の温度よりも低いエアを、基材接合体B3に吹き付ける冷風供給部を備えてもよい。また、冷却部36は、循環冷却水などで冷却されるチルローラを備え、当該チルローラを基材接合体B3に接触させて基材接合体B3を冷却してもよい。
接着層921,922の接着剤が熱可塑性または熱硬化性の樹脂を有する場合、加熱部34で加熱された接着剤を冷却部36で冷却することによって、反応を停止させることができるため、接着剤の接着力を安定化させることができる。
基材接合体回収ローラ5は、冷却部36によって冷却された基材接合体B3を、ロール状に巻き取る。これにより、基材接合体B3が回収される。なお、基材接合体B3がロール状に巻き取られて回収されることは必須ではない。例えば、基材接合体B3が、膜電極接合体85を1つずつ含むように複数のシートに切り分けられることによって、多数のシートの状態で回収されてもよい。
図24に示すように、基材接合体B3は、膜電極接合体85の両面に、第1および第2サブガスケットフィルム92a,92bが取り付けられたサブガスケット付膜電極接合体87を有する。このサブガスケット付膜電極接合体87の両側の面には、第1および第2バックシート91a,91bがそれぞれ取り付けられている。基材接合体B3の場合、第1および第2バックシート91a,91bがない場合と比較して、サブガスケット付膜電極接合体87の剛性が高くなる。したがって、膜電極接合体85や第1または第2サブガスケットフィルム92a,92bにおいて、皺などの変形を抑制することができる。
図24に示すサブガスケット付膜電極接合体87は、第1および第2切断部C9a,C9bを含む。そして、第1切断部C9aは、第1カバーフィルム93aの縁部に沿って、第1サブガスケットフィルム92aを貫通するように設けられ、かつ、第1バックシート91aの厚さ方向の中間部まで到達している。また、第2切断部C9bは、第2カバーフィルム93bの縁部に沿って、第2サブガスケットフィルム92bを貫通するように設けられ、かつ、第2バックシート91bの暑さ方向の中間部まで到達している。
2つの貼付ローラ31,31のうち少なくとも一方を、搬送物を加熱する加熱ローラとしてもよい。例えば、一方の貼付ローラ31を加熱ローラとした場合、接着層922の接着剤を予備的に加熱することができる。この加熱ローラによって基材接合体B3に到達させる第1目標温度は、加熱部34の加熱で基材接合体B3に到達させる第2目標温度よりも低く設定してもよい。これにより、接着剤が急激に加熱されることを抑制できるとともに、加熱部34の加熱により接着剤の温度を第2目標温度まで有効に到達させることができる。また、加熱ローラで急激に加熱した場合、電解質膜の急激な温度変化と同時に、接着層921,922の特性変化が生じることによって、基材接合体B3に皺が発生する可能性がある。そこで、基材接合体B3を第1目標温度から第2目標温度へ段階的に加熱することによって、基材接合体B3における皺の発生を軽減することができる。
接着層921,922の接着剤として、紫外線(UV)硬化型の接着剤が用いられる場合、接着力強化部33は、加熱部34の代わりに、UVを照射するUV照射装置を備えていてもよい。基材接合体B3の両面にUV照射装置からUVを照射することによって、接着層921,922の接着力を強化することができる。
本装置において基材接合体B3が製造された後、図25に示すように、基材接合体B3において、第1バックシート91aが第1サブガスケットフィルム92aから剥離される。すると、第1バックシート91aとともに、第1切断部C9aに沿って、不要部分である第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A91、および、第1カバーフィルム93aの対応領域A91が剥離される。このため、電解質膜82の一方の面に、第1触媒層83に対応する対応領域A91が切り抜かれた枠状の第1サブガスケットフィルム92aを残すことができる。また、図25に示すように、基材接合体B3において、第2バックシート91bが第2サブガスケットフィルム92bから剥離される。すると、第2バックシート91bとともに、第2切断部C9bに沿って、不要部分である第2サブガスケットフィルム92bの対応領域A93、および、第2カバーフィルム93bの対応領域A93も剥離される。このため、図25に示すように、電解質膜82の他方の面に、第2触媒層84に対応する対応領域A93が切り抜かれた枠状の第2サブガスケットフィルム92bを残すことができる。
接着力強化部33によって、第1および第2サブガスケットフィルム92a,92bを電解質膜82に強固に接着させることができるとともに、第1および第2サブガスケットフィルム92a,92b間を強固に接着させることができる。このため、図24に示す基材接合体B3から第1バックシート91aを剥離した際に、第1サブガスケットフィルム92aの非対応領域A92が電解質膜82または第2サブガスケットフィルム92bの非対応領域A94から剥離することを抑制できる。同様に、基材接合体B3から第2バックシート91bを剥離した際に、第2サブガスケットフィルム92bの非対応領域A94が、電解質膜82または第1サブガスケットフィルム92aの非対応領域A92から剥離することを抑制できる。
接着力強化部33によって、第1サブガスケットフィルム92aおよび第1カバーフィルム93aの対応領域A91どうし、並びに、第2サブガスケットフィルム92bおよび第2カバーフィルム93bの対応領域A93どうしを強固に接着させることができる。このため、基材接合体B3から第1バックシート91aを剥離した際に、第1カバーフィルム93aが第1触媒層83上に残ることを抑制できる。同様に、基材接合体B3から第2バックシート91bを剥離した際に、第2カバーフィルム93bが第2触媒層84上に残ることを抑制できる。
2つの貼付ローラ31,31のうち一方を他方に対して軸方向に移動させたり、回転速度を変更することによって、第2触媒層84と第2カバーフィルム93bの対応領域A93との位置合わせを行ってもよい。しかしながら、この場合、基材接合体B3において、第1基材B1および第2基材B2のいずれかに弛みや皺が発生してしまうおそれがある。ガスケット付加装置100においては、第1基材B1における第2触媒層84の位置に合わせて、第2サブガスケット基材9bに第2切断部C9bが設けられる。したがって、第2貼付機構3においては、第2触媒層84の位置と、第1サブガスケットフィルム92aの対応領域A93の位置とを容易に合わせることができる。このため、第2貼付機構3において、第1および第2サブガスケットフィルム92a,92bの双方に、長手方向の余剰が生じることを抑制しつつ、これらを貼り合わせることができる。したがって、基材接合体B3において、サブガスケット付膜電極接合体87に皺などの変形が発生することを抑制できる。
特に、基材接合体回収ローラ5によって基材接合体B3aを巻き取る場合、仮に、基材接合体B3aの一部に皺などの変形が生じると、厚みが不均一となり、基材接合体B3a全体に皺などの変形が生じるおそれがある。ガスケット付加装置100は、皺などの変形を抑制することができるため、基材接合体B3を良好に巻き取って回収することができる。
第1基材準備部1が第2基材準備部2とともにガスケット付加装置100に組み込まれていることは必須ではない。すなわち、別の装置において、第1基材B1を作製しておき、この第1基材準備部1を、第2貼付機構3へ向けて搬送してもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。